JP6190084B1 - マグネシウム粉末含有多孔質体、その製造方法、それを備えた水素水生成フィルタ及び水素水製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ボトルに保存した水素水は、通常、保管中に水素が水から抜け出して水素濃度が低下する。そこで、高濃度の水素を含む水素水を摂取するには、調製したばかりの高濃度の水素水をすぐに飲むことが望ましい。
特許文献2には、空気中の水分を結露させた結露水を用いて水素水を生成させる水素水製造装置が記載されている。請求項4及び[0020]に、微粉状のマグネシウム粉体を粘土に混錬して焼成することで製造された多孔質固形物が記載されている。しかし、具体的な製造条件は、全く記載されておらず、どの程度の濃度の水素水が生成されるかが全く記載されていない。
[1] 20:80〜60:40の重量比のマグネシウム粉末と炭素質物質粉末の混合物の焼成体である、マグネシウム粉末が炭化多孔質体に分散されている水素水製造用マグネシウム粉末含有多孔質体。
[2] 20:80〜60:40の重量比でマグネシウム粉末と炭素質物質粉末を混合し、焼成することによる[1]に記載の水素水製造用マグネシウム粉末含有多孔質体の製造方法。
[3] [1]に記載のマグネシウム粉末含有多孔質体を備えた水素水生成フィルタ。
[4] [3]に記載の水素水生成フィルタを備えた水素水製造装置。
本発明のマグネシウム粉末含有多孔質体は、マグネシウム粉末が炭化多孔質の中に分散されたものである。本発明のマグネシウム粉末含有多孔質体は、例えば、マグネシウム粉末と炭素質物質粉末とを混合して、焼成することで製造される。
製造に用いられるマグネシウム粉末としては、例えば純度99.5%以上のものが挙げられ、好ましくは純度99.9%以上のものが挙げられ、さらに好ましくは純度99.95%以上のものが挙げられる。
炭素質物質粉末は、マグネシウム粉末を細かく分散させた多孔質体を生成させるために、粒度が小さいものが望ましい。炭素質物質粉末の重量平均粒子径としては、例えば、約10〜500μmが挙げられ、より好ましくは約20〜200μmが挙げられ、さらに好ましくは約50〜100μmが挙げられる。
焼成温度としては、例えば約200〜260℃が挙げられ、好ましくは約200〜240℃が挙げられ、より好ましくは約200〜220℃が挙げられる。200℃以下で焼成すると、マグネシウム粉末含有多孔質体の可塑性が低下し、操作中に亀裂が生じることがある。260℃を超えると、マグネシウム粉末含有多孔質体の強度は優れているが、水の透過量が低下し、水素水の製造が十分にできなくなる。
焼成時間としては、例えば約2分間〜2時間が挙げられ、好ましくは約3分間〜1時間が挙げられ、より好ましくは約6〜30分間が挙げられる。
焼成時の加圧としては、例えば約0〜2000kgf/cm2が挙げられ、好ましくは約100〜1000kgf/cm2が挙げられ、より好ましくは約300〜800kgf/cm2が挙げられる。焼成温度は、前術の通りである。焼成時間は、焼成部105の長さ及び通過速度で制御することができる。例えば、焼成時間を約20分間にする場合は、焼成部105の長さが1mであれば、混合物を約1mm/秒で焼成部105の中で移動させればよい。
製造された円筒状のマグネシウム粉末含有多孔質体は、その後冷却される。
(a)水素水生成フィルタ
マグネシウム粉末含有多孔質体を備えた水素水生成フィルタとして、円筒状のマグネシウム粉末含有多孔質体を用いたものについて、以下に図6を用いて説明する。
図6に示すものは、水素水生成フィルタ12の断面図である。水素水生成フィルタ12は、本発明の円筒状のマグネシウム粉末含有多孔質体24を筒状ケース25に内蔵するものである。筒状ケース25の上部には、周縁部に水の入口26が形成され、中心部に出口27が形成されている。入口26から流入した水は、マグネシウム粉末含有多孔質体24の外周部から中心部に流れ、出口27より排出される。この水の流れにおいて、マグネシウム粉末と接触して水素が発生し、水素水が生成される。マグネシウム粉末含有多孔質体24を円筒状にすることにより、水と反応する表面積を増大させ、高濃度の水素水を効率的に生成することができる。また、入口26と出口27を逆にして水を流しても同様に水素水を製造することができる。
以下、水素水製造装置について、図面に基づき説明する。
図2、図3において、水素水製造装置は、水素水を生成するための機器類を収納するためのケース本体1を有する。ケース本体1の上部は、開閉又は着脱自在な上部カバー2で覆われている。
ケース本体1の前面には、操作部3と表示部4が設けられている。操作部3は、コップ一杯分の出水を操作する「一杯ボタン」と、連続的に出水させる「連続ボタン」とを有する。前記表示部4は、前記操作部3のボタンに対応した「一杯表示」、「連続表示」の他に、「スタンバイ表示」の点灯、点滅ライトで構成されている。
この実施の形態では、本装置は、水道水直結口11を水道水配管に直結して定地置き装置として使用することが出来る。また、水道水配管に接続しないで、水道水直結口11をキャップ等で密閉して、貯水タンク7に水を貯えることにより、ポータブル式の移動装置として使用することが出来る。
前記配管は、給水口16から前記排水口5に至るものである。なお、前記給水口16から前記水素水生成フィルタ12に至る間の配管を「入側配管」といい、水素水生成フィルタ12から前記排水口5に至る配管を「出側配管」という。
前記給水口16は、貯水タンク7に接続される貯水タンク直結口17と、水道水に接続される前記水道水直結口11とを有する。水道水直結口11は、水道水に直結しないときは、キャップ18により密閉されている。貯水タンク直結口17と水道水直結口11間の配管に開閉バルブ19が設けられている。この開閉バルブ19は、手動式で開閉操作されるものである。貯水タンク7を使用しないときは、この開閉バルブ19は閉じられている。
給水口16の下流側の入側配管に給水ポンプ20が設けられている。この給水ポンプ20の下流側で、前記水素水生成フィルタ12の上流側の入側配管に前記異物除去フィルタが設けられている。この異物除去フィルタは、前記有機物除去フィルタ14と微生物除去フィルタ15が直列配置されたものである。
前記異物除去フィルタの下流側に、水素水生成フィルタ12と陽イオン交換樹脂フィルタ13が並列配置されている。さらに前記水素生成フィルタ12の下流側に圧力調整手段21が設けられている。
ソレノイドを2つ設けるのは、一つの場合、配管内圧が上昇して排水口から水漏れが生じる恐れがあるので、安全装置として2つ設けている。
前記有機物除去フィルタ14は、残留ガス成分、VOC成分、ほこり砂などの浮遊物、有機物、残留塩素、農薬成分などを吸着して除去するものである。また消臭作用も有するものである。有機物除去フィルタ14は、例えば活性炭等を充填されたものが挙げられる。
有機物除去フィルタ14と微生物除去フィルタ15の配置順序は、特に限定されないが、上流側から下流側に、この順序で配置するのが好ましい。
前記円筒状体24は、マグネシウム単体、又はマグネシウムと無機素材若しくは有機素材との混合物を、加圧焼成して円筒状に成型するものである。このように焼成成形することにより、粉塵粉末の水中への排出が防止される。前記円筒状体24として、マグネシウム単体、又はマグネシウムと無機素材若しくは有機素材との混合物を不織布に入れたものを用いることもできる。
なお、入口26と出口27を逆にしても同じ作用効果を奏する。
上記実施の形態では、水素水生成フィルタ12と陽イオン交換樹脂フィルタ13を並列配置したが、直列配置でも可能である。
圧力調整手段21は、ユーザが長期間製品を使用しない場合、水素水生成フィルタ12内で発生する水素ガスの圧力により、水漏れが生じる恐れがあるので、水漏れ防止のために設けられたものである。
前記圧力調整手段21は、前記水素水生成フィルタ12の下流側の出側配管に設けられた圧力調整タンク33を有する。このタンク33は密閉式で、上部に入口が、下部に出口が設けられている。この入口と出口に、出側配管が接続されている。
前記タンク33を迂回して、出側配管に接続するバイパス配管35が形成されている。前記戻し配管34は、前記バイパス配管35の下流端接続点よりも上流側の前記出側配管に接続されている。この戻し配管34の出側配管接続端とタンク33との間の出側配管に、タンク33側への逆流を防止する逆止弁33aが設けられている。
まず、本装置の使用開始時、タンク33内は空であるので、フロートバルブ33bのフロートは下がっており、バルブ33bは開いている。
操作部3のボタン操作により給水ポンプ20が始動し、その1秒後にソレノイドバルブ22,23が開く。このとき、タンク33内のフロートバルブ33bの弁は開いており、水素水がタンク内に流入する。そしてタンク33内の水位が上昇し、フロートが上昇して、所定位置以上になるとバルブ33bが閉じる。
排水口5より所定量の水素水が排出されると、ソレノイド22,23が閉じ、同時に給水ポンプ20が停止する。
長期間未使用時のとき、水素水生成フィルタ12内において水素ガスが発生し、配管内の内圧を上昇させる。このとき、前記フロートバルブ33bは閉じているが、水素ガスによって徐々に高まった圧力が瞬間的にフロートバルブ33bの弁を開き、微量の水素ガス又は水素水がタンク33内に流入し、配管内の圧力バランスが維持される。
図5に示すように、前記水素水製造装置には、前記給水ポンプ20やソレノイドバルブ22,23等を制御する制御装置37が設けられている。この制御装置37は、前記排水口5からの排出量が連続して所定量を超えた場合、所定時間排水を停止するよう前記給水ポンプ20を制御する。
水素水製造装置の前面に設けられた操作部3の操作ボタンを操作する(S1)。このボタン操作により、給水ポンプ20が作動し、ソレノイドバルブ22,23が開く(S2)。排水口5から平均15ml/秒の水素水が出水する(S3)。ソレノイド動作後、次の動作までに間隔が300秒を超えたかを判断する(S4)。超えていない場合、ソレノイド動作時間を合算する(S5)。ソレノイド22,23の動作時間の合計が110秒を超えたかを判断する(S6)。超えていない場合は、S4に戻る。超えている場合、操作ボタンの機能を強制停止する(S7)。強制停止が5分経過したかを判断する(S8)。経過していない場合は、S7に戻る。経過した場合、ソレノイド動作時間の合計を初期値化する(S9)。そしてS4に進む。
上記実施の形態によれば、水素溶存量、約1,600ppbの水素水を生成することが出来、コップに注水後、5時間は水素溶存1,000ppbを保てる。
有機物除去フィルタ14や微生物除去フィルタ15は、約6か月から12か月で交換するのが好ましい。水素水生成フィルタ12や陽イオン交換樹脂フィルタ13も、約6か月から12か月、又は、約1,080リットル使用ごとに交換するのが好ましい。
マグネシウム粉末含有多孔質体の製造
ヤシの木パウダー(重量平均粒子径50〜100μm)とココナッツパウダー(重量平均粒子径50〜100μm)とを、重量比約9:1で混合した。得られたヤシの木パウダー及びココナッツパウダーの混合物を市販されているマグネシウム粉末(重量平均粒子径80〜100μm)と、マグネシウム粉末の配合割合が10、15、20、25、30、35、40重量%になるように混合して、混合物を調製した。
図1に示す加圧焼成装置を用いた。内軸102の直径は22mmであり、管状成形部101の内径は100mmであり、焼成部105の内径は45mmであり、焼成部105の長さは1mである。加圧焼成装置には窒素ガスを不活性ガス注入管103から加えた。得られた各混合物を、管状成形部101の左側から、600kgf/cm2で加圧して導入し、200〜220℃に設定した焼成部105を1.5mm/秒で移動させて、7種類のマグネシウム粉末含有多孔質体A1〜A7を製造した。
マグネシウム粉末含有多孔質体による水素水の生成
実施例1で製造したマグネシウム粉末含有多孔質体A1〜A7を、図6に示す水素水生成フィルタに設置して、水道水を0.9〜1L/分の速度で流して、生成した水素水の平均水素濃度と、その水素濃度がどの程度の水量まで維持されるかを試験した。その結果を表1に示す。
マグネシウム粉末の配合割合が25〜40重量%であるA4〜A7では、高濃度の水素水が得られ、2000L以上、その水素濃度が維持された。
以上より、マグネシウム粉末の配合割合は、好ましくは約25:75以上であり、より好ましくは30:70〜40:60である。
マグネシウム粉末含有多孔質体の製造及び試験
焼成温度を200℃未満、200〜220℃、220〜240℃、240〜260℃、260℃以上として、実施例1のA5の製造と同様にして、マグネシウム粉末含有多孔質体B1〜B5を製造した。
マグネシウム粉末含有多孔質体B1〜B5について、その性状、及び水の透過性を試験した。その結果を表2に示す。
以上より、好ましい焼成温度は、約200〜240℃である。
Claims (4)
- 20:80〜60:40の重量比のマグネシウム粉末と炭素質物質粉末の混合物の焼成体である、マグネシウム粉末が炭化多孔質体に分散されている水素水製造用マグネシウム粉末含有多孔質体。
- 20:80〜60:40の重量比でマグネシウム粉末と炭素質物質粉末を混合し、焼成することによる請求項1に記載の水素水製造用マグネシウム粉末含有多孔質体の製造方法。
- 請求項1に記載のマグネシウム粉末含有多孔質体を備えた水素水生成フィルタ。
- 請求項3に記載の水素水生成フィルタを備えた水素水製造装置。
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