JP2005218975A - 水素吸蔵体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 水素吸蔵特性を改善した、マグネシウム微粒子が複合化された、主組成が炭素(C)からなる水素吸蔵体を提供すること。
【解決手段】 マグネシウム微粒子が複合化された、主組成が炭素(C)からなる母材で構成される水素吸蔵体であって、炭素(C)を主成分とし、さらに炭素以外の元素としてV族元素を含有する材料で構成された、多数の細孔を有する多孔質構造体からなる母材と、前記多孔質構造体にマグネシウム微粒子が複合化された構成からなるので、従来にない高い水素吸蔵能を有する。この製法としては、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を有し、少なくともその一部がマグネシウム原子を含む塩で置換されたポリマー材料を、所定の温度プロファイルに従って所定雰囲気下で加熱分解することからなるので、従来にない高い水素吸蔵能を有する多孔質構造炭素材料を作製することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 マグネシウム微粒子が複合化された、主組成が炭素(C)からなる母材で構成される水素吸蔵体であって、炭素(C)を主成分とし、さらに炭素以外の元素としてV族元素を含有する材料で構成された、多数の細孔を有する多孔質構造体からなる母材と、前記多孔質構造体にマグネシウム微粒子が複合化された構成からなるので、従来にない高い水素吸蔵能を有する。この製法としては、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を有し、少なくともその一部がマグネシウム原子を含む塩で置換されたポリマー材料を、所定の温度プロファイルに従って所定雰囲気下で加熱分解することからなるので、従来にない高い水素吸蔵能を有する多孔質構造炭素材料を作製することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、主組成が炭素(C)からなる多孔質構造の母材に、マグネシウム(Mg)微粒子が複合化された水素吸蔵体及びその製造方法に関する。
21世紀のエネルギー形態の一つとして、水素(H2)がクローズアップされている中、水素を燃料源とした燃料電池、特に自動車や携帯機器用の固体高分子(PEFC)型燃料電池開発が盛んに進められている。その実用化に向けての最大のネックは、燃料貯蔵の問題、すなわち水素貯蔵方法の開発であり、いくつかの方式が検討されている。
水素吸蔵材料は、小型化/軽量化の両立が可能な、前記課題を解決する貯蔵方式のキー材料として、様々なアプローチが行なわれている。例えば水素貯蔵材料の一つとして、水素吸蔵合金が挙げられる。これは所定の条件下で気体水素を水素化物の形で固体中に吸蔵し、必要時に水素ガスとして放出させる。しかしながら水素吸蔵合金は、単位重量当たりの水素貯蔵量がまだ充分ではなく、必要量を確保するためには非常に重いものとなってしまうという課題があった。
そこで近年、水素吸蔵合金に代わる新しい水素貯蔵材料として、炭素系材料が注目されている。炭素は資源として豊富であり、かつ軽量であることから、上記の課題を解決する材料として期待され、これまで活性炭やフラーレン(C60)、カーボン・ナノ・チューブ(CNT)といった炭素系材料を水素吸蔵材料として適用する試みがなされてきた。
特許文献1〜5は、水素吸蔵特性に優れた炭素系材料に関する報告であり、賦活処理した炭素系材料の比表面積や結晶面構造を規定したもの(特許文献1)や、炭素層状材料の組成を規定したもの(特許文献2)、粉砕処理で作製したグラファイト微小結晶子からなるもの(特許文献3)、細孔を有するCNT等の炭素系材料からなるもの(特許文献4)、アモルファス構造で構成されるナノサイズCNTで構成されるもの(特許文献5)などが開示されている。
以上の様な炭素系材料そのものの特性を用いた水素吸蔵材料に加えて、炭素系材料と金属元素を組み合わせて、水素吸蔵能力を高める取組もなされている。
例えば特許文献6では、水素分子を水素原子に分離させる機能を有する金属または合金を多孔質性炭素に被覆することで水素吸蔵特性の改善を図っている。
また特許文献7では、炭素材料にアルカリ金属やアルカリ土類金属を挿入(インターカレート)した水素吸蔵体について開示している。
また特許文献8または9では、金属粒子と炭素粉末を機械的に混合した水素吸蔵材料について報告している。
特開2000−103612号公報
特開2001−106516号公報
特開2003−047843号公報
特開2001−220101号公報
特許第3355442号公報
特開平10−072201号公報
特開2002−361076号公報
特開2000−087172号公報
特開2003−138333号公報
しかしながら前記特許文献で示した様な、炭素系材料を用いた水素吸蔵体には以下の様な課題があった。
前記特許文献1〜5では、水素吸蔵能の高い炭素系材料からなる水素吸蔵体が開示されているが、炭素系材料のみで得られる水素貯蔵量がまだ十分でなかったり、規定された所望の構造を得るための製法が困難であること、CNTなどは材料自身がまだ高価であるといった課題があった。
また特許文献6〜9では、その特性を改善するための試みとして金属元素を炭素系材料に付加しているが、水素吸蔵用炭素系材料を作製後、金属元素付加する工程を追加するなど製法が煩雑であったり、その結果均一性や安定性などに課題があった。また炭素粉末と金属粉末を混合して水素吸蔵材料を作製する方法においては、粉末状物質の取扱が必要なことや混合/複合化の工程が必要など製法的に煩雑であるといった課題があった。
そこで本発明は、前記従来技術の課題を解決するために、マグネシウム微粒子が複合化された、水素吸蔵能の高い多孔質状炭素構造体からなる水素吸蔵体を容易に製造/提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の水素吸蔵体は、炭素(C)を主成分とし、さらに炭素以外の元素としてV族元素を含有する材料で構成された、多数の細孔を有する多孔質構造体からなる母材と、前記多孔質構造体からなる母材にマグネシウム(Mg)微粒子が複合化された構成からなる。
本構成により、多孔質状炭素材料が有する水素吸蔵能に加えて、炭素材料−マグネシウム微粒子複合化による水素化物反応が促進されるので、従来よりも水素吸蔵能の向上が可能となる。
本発明の構成において、前記母材に含有されたV属元素が窒素(N)あるいはリン(P)から選ばれること、または窒素(N)及びリン(P)いずれも含むことにより、水素吸蔵特性が向上するので好ましい。窒素あるいはリンの含有量としては、特に限定はされないが、概ね0.1〜5atm%であることが好ましい。
また本発明の構成において、前記マグネシウム微粒子の平均粒径が1nm以上、10nm以下の範囲から選ばれることにより、母材中への均一分散が可能となると共に、気相と接する表面積を増大させることが可能となるので好ましい。とりわけ、前記マグネシウム微粒子の平均粒径が1nm以上、5nm以下の範囲から選ばれることより、ナノサイズ化の効果が顕著になるので特に好ましい。
また前記従来の課題を解決するために、本発明の水素吸蔵体は分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を有し、少なくともその一部がマグネシウム原子を含む塩で置換されたポリマー材料を、所定の温度プロファイルに従って加熱分解することにより作製したことより構成される。
本構成により、従来方法では作製困難であった、多数の細孔構造を制御性良く炭素材料からなる母材中に導入できると共に、その母材にナノサイズのマグネシウム微粒子を多数分散配置した上で複合化させることが可能となるので、多孔質炭素構造体が有する水素吸蔵特性を向上させることが可能となる。
本発明の構成において、前記ポリマー材料が少なくともその一部に環状イミド構造を有することより、水素吸蔵体に適用可能な炭素材料からなる母材を容易に形成することが可能となるので効果的である。中でも前記ポリマー材料が、ポリイミドを主成分とするポリマーであることが好ましい。
また前記従来の課題を解決するために、本発明の水素吸蔵体の製造方法は、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を有し、少なくともその一部がマグネシウム原子を含む塩で置換されたポリマー材料を、所定の温度プロファイルに従って所定雰囲気下で加熱分解することからなる。
本構成により、水素吸蔵体として適用可能な炭素構造体を容易にかつ制御性高く作製できると共に、ナノサイズ化されたマグネシウム微粒子を分散性高く配置した上で複合化させることが可能となる。
本発明の製造方法において、前記ポリマー材料を形成する工程が、(1)少なくとも分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を有するポリマー溶液を準備する工程と、(2)前記ポリマー溶液に、炭酸マグネシウムを混合し、カルボキシル基の少なくとも一部分をマグネシウム原子を含む塩にする工程と、(3)前記工程より得られた溶液より第一のポリマー構造体を形成する工程と、(4)前記第一のポリマー構造体を、炭素材料前駆体となる第二のポリマー構造体にする工程とからなることより、マグネシウム微粒子が複合化可能な母材を形成できる炭素材料前駆体として好適なポリマー構造を容易に作製することができる。
また本発明の製造方法において、前記ポリマー溶液がポリアミド酸溶液であることより、取り扱いが容易であると共に、好適な炭素多孔質炭素構造体の形成とマグネシウム炭酸化物の高分散化が可能となるので好ましい。
また本発明の製造方法において、前記第二のポリマー構造体が少なくともその一部に環状イミド構造を有することより、取り扱いが容易であると共に、好適な多孔質炭素構造体の形成が可能となるので好ましい。とりわけ、前記第二のポリマー構造体がポリイミド(PI)を主成分とすることが好適である。
また本発明の製造方法において、前記加熱分解工程の温度プロセスが、300℃以上、700℃以下の温度範囲から選ばれる所定温度で焼成する工程であることより、第二のポリマー構造体より多孔質炭素構造体として好適な炭素材料からなる母材を形成することができるので好ましい。
また本発明の製造方法において、前記焼成工程の後に所定の雰囲気下において前記本焼成温度よりも低い温度で焼成する追焼成工程を含むことにより、炭素からなる母材に複合化されたマグネシウム微粒子の水素化物反応性を高めることが可能となるので好ましい。
以上説明したように、本発明の水素吸蔵体によれば、炭素(C)を主成分とし、さらに炭素以外の元素としてV族元素を含有する材料で構成された、多数の細孔を有する多孔質構造体からなる母材に水素吸蔵特性を有するマグネシウム微粒子を複合化させた構造を適用したので、低コストでかつ優れた水素吸蔵能を有する水素吸蔵体を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら、説明する。
本発明において用語「微粒子」とは、粒径がμmレベルの粒子と差別化するために、微小化による化学的および物理的特性の向上効果が期待される平均粒径が50nm以下の粒子を指すこととする。とりわけ、微粒子の平均粒径は1〜10nmであることが好ましく、平均粒径が1〜5nmであることがより好ましい。
図1は、本発明のマグネシウム微粒子が複合化された、主組成が炭素(C)からなる水素吸蔵体の構造を模式的に表した図である。炭素(C)を主組成とする母材1は、多数の細孔3を有する多孔質体からなる。多孔質体とは、連続細孔(空孔)または独立細孔を有した固体物質のことであり、本発明の水素吸蔵体で用いられる多孔質体としては、2〜30nmサイズの連続細孔を多数有することで好ましい効果が得られる。本発明において、この多孔質体を形成する方法については炭素前駆体を加熱分解して炭化処理したり、炭化水素ガスなどの原料を炭化成長するなどの方法を挙げることができるが、特に限定されるない。とりわけ、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を有するポリマー材料を、例えば300〜700℃から選ばれる所定温度、とりわけ600〜700℃から選ばれる所定温度で焼成処理する方法が、容易で作製し易いため好適である。
マグネシウム微粒子2は、主として前記多孔質の炭素母材の表面で複合化されている。その粒子サイズは、多孔体の空孔サイズとの兼ね合いもあるが、概ね1〜30nm、とりわけ10nm以下であることが本発明において好ましい効果が得られる。またその分布密度は、概ね1×1016個/cm3、とりわけ1×1017個/cm3以上であることが本発明において好ましい。
これらのマグネシウム微粒子2と母材1の表面との複合化状態とは、単に母材表面にマグネシウム微粒子がのっている状態(単に母材1の内部にマグネシウム微粒子2が分散されている状態)ではなく、接触部分の少なくとも一部がアロイ化し一体構造になっている状態である。また加えてマグネシウム微粒子2の表面を炭素系材料で薄く被覆していても良い。
そこで、本発明の好適な実施形態としてポリマー材料を焼成処理して作製した例を採用し、本発明の詳細を説明する。
有機材料からなるポリマー構造体を出発原料として、マグネシウム微粒子が複合化された多孔質炭素構造体からなる水素吸蔵体を得る方法は大きく、(I)マグネシウム微粒子の元となる粒子(例えば、炭酸マグネシウム粒子)を混合したポリマー構造体を得る工程と、(II)それを焼成処理してポリマー構造体を炭素化させると共に、マグネシウム微粒子を複合化させる工程とからなる。
まず工程(I)のマグネシウム含有ポリマー構造体の形成工程について説明する。マグネシウム含有ポリマー構造体は、溶媒希釈されたポリマー溶液にマグネシウム微粒子の原料を所定量だけ混合し、所定形状に成型した後、加熱脱水反応等の反応過程を経ることで合成することができる。その方法としては、少なくとも分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を有するポリマー材料を含有するポリマー溶液に炭酸マグネシウム粒子を混合する方法が好適な例として挙げることができる。この場合、ポリマー中のカルボキシル基とマグネシウム炭酸化物が反応し、塩を形成する(例えば、2R−COOH+MgCO3→(R−COO)2−Mg+CO2+H2O、ここでR:ポリマー鎖)、すなわち分子構造中に含まれるカルボキシル基の内の少なくとも一部が、マグネシウム原子を含んだ塩になったポリマー溶液となるため、マグネシウムが原子状でポリマー中に取り込まれ、非常に均一にマグネシウムをポリマー材料中に混入させることができる。このことにより、溶液中で凝集することなく、最終的に得られるマグネシウム粒子の微粒子化が実現される。
第一のポリマー構造体は、溶媒中で前記少なくとも一部のカルボキシル基がマグネシウム原子を含む塩になった、ポリマー溶液を溶媒揮発させることで固体化したものである。作製時の温度条件としては、通常の作業温度である室温近傍で行なえるが、必要に応じて溶媒の沸点以下の温度まで加熱することもある。
さらに第二のポリマー構造体は、マグネシウムが分散された第一のポリマー構造体を加熱脱水等の反応過程により炭素前駆体としたものである。一般的には、窒素雰囲気中や真空雰囲気での加熱処理や、化学的な反応で脱水重合させるが、形成するポリマーによってその最適手法は異なる。作製容易性の観点から、100〜400℃程度の温度範囲で加熱する方法で、前記反応過程を実施できるものが好適である。またポリマーの配向性や多孔度を制御するために延伸処理を同時に行なっても良い。
本発明において適用な可能なポリマー材料としては、焼成処理によって多孔質構造の炭素構造体が容易に形成できるものであり、例えばポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)などを挙げることができる。
溶媒としては、分子構造中にカルボキシル基を有するポリマーが溶解すれば良く、ジメチルアセトアミドやN−メチルピロリドンなどの一般的な有機溶媒を、単独あるいは混合して用いることができる。
次に工程(II)のマグネシウム含有ポリマー構造体を加熱分解処理して炭素構造体を得る工程について記す。
前記工程で作製された炭素前駆体となる第二のポリマー構造体を焼成することで、ポリマー中に含まれる炭素(C)以外の成分(例えば、酸素(O)、窒素(N)、水素(H)など)は除去される。その処理温度及び処理時間は、焼成処理する試料の形状やサイズにも依存するが、アルゴン(Ar)あるいは窒素(N2)雰囲気中、またはその混合雰囲気、あるいは真空中で概ね、300〜700℃及び、0.5〜5時間である。またその昇温速度としては、1〜15℃/minの範囲、とりわけ3〜10℃/minの範囲で加熱することが好ましい。また焼成処理後の降温速度としては、5〜20℃/minの範囲、とりわけ5〜10℃/minの範囲で冷却することが好ましい。
上記ポリマー構造体が焼成処理によって炭素化すると同時に、ポリマー中に分散されたマグネシウム原子が析出し、微粒子を形成する。さらにその形成過程において炭素母材と複合化される。
以上の様な工程で、本発明のマグネシウム微粒子が複合化された多孔質構造の炭素材料を形成することができる。
さらに、この方法で得られる水素吸蔵体において、焼成条件(主に昇温速度)を調整することや、前記ポリマー材料中にフィラー(例えば、リン酸水素カルシウム)を適宜混合して焼成処理することで、母材内部の空孔度合いを制御した構造を作製することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
マグネシウムを混合するポリマー材料としてポリイミドを採用し、それを焼成処理することでマグネシウム微粒子を含有した多孔質状炭素材料を作製した例について記載する。図2に、その主な工程図を示す。
マグネシウムを混合するポリマー材料としてポリイミドを採用し、それを焼成処理することでマグネシウム微粒子を含有した多孔質状炭素材料を作製した例について記載する。図2に、その主な工程図を示す。
まずポリイミドの原料であるポリマー溶液として、分子構造にカルボキシル基を有するポリアミド酸溶液を作製した。その手順は、窒素(N2)ガスが充填されたドライボックス内で、ビス(4−アミノフェニル)エーテル 5.00g、及びジメチルアセトアミド 120mlを丸底フラスコに加えて攪拌し、溶解させた。
さらにこの溶液に、ピロメリット酸無水物 5.45gを混入し、約3時間攪拌することで、有機高分子であるポリアミド酸溶液を合成した。
合成したポリアミド酸溶液に、平均粒径4μmの炭酸マグネシウム粒子(MgCO3)を体積比で30%混合し、さらにボールミルで12時間攪拌した。その結果、混合した炭酸マグネシウム粒子はポリアミド酸に含まれるカルボキシル基と反応し、ポリマー溶液中でマグネシウム原子を有する塩を形成した。
なお混合した炭酸マグネシウム粒子の粒径は4μmに限られるものではなく、さらに大きなもの(>20μm)や、より小さいものでも、攪拌することでほぼ均一に分散可能であった。
このようにして作製したマグネシウム含有ポリアミド酸溶液を、スライドガラスに塗布して、フィルム状のマグネシウム含有ポリアミド酸膜(厚さ:〜500μm)を形成した。この膜を、窒素雰囲気中で1時間余乾燥してから、真空オーブン中で室温下2時間、減圧乾燥した後、100℃に加熱し1時間熱処理した。その結果、淡黄色のフィルムが得られた。
さらに得られたフィルムを、ガラスチューブオーブン中に設置し、真空に減圧した後300℃で1時間熱処理するイミド化反応させることでマグネシウムが分散されたポリイミドフィルムが形成された。得られたポリイミドフィルムをスライドガラスからはがして、マイクロメータで厚さを測定したところ、約100μmであった。
以上の工程で得られたポリマー構造体を電気炉に入れて焼成処理を行なった。図3に本実施例で採用した焼成処理の温度プロファイルを示す。
焼成条件として、Ar雰囲気中で室温から650℃までを3℃/minの昇温速度で昇温して、焼成温度650℃で3時間保持した。昇温速度については、焼成処理する有機高分子膜の種類や形状を勘案して決めればよいが、一般的に15℃/min以下の範囲が良く、本実施例では3℃/minを採用した。焼成処理後、5℃/minの降温速度で室温まで冷却した。一般的に、冷却する際の降温速度に関しては、昇温速度ほど厳密に制御する必要はないが、10℃/min以下が好ましく、本実施例では5℃/minを採用した。
この焼成工程でポリイミドフィルムが熱分解して窒素、酸素、水素が抜けることにより、重量比で出発原料の50〜60%となり、さらにその過程でマグネシウムが微粒子状に析出した多孔質状炭素化構造体に変化した。
このようにして得られたマグネシウム微粒子含有炭素材料を走査電子顕微鏡(SEM)で観察すると、炭素母材内部に多数の微細な空孔領域が存在していることが確認された。この形成メカニズムは定かではないが、本焼成プログラムに起因するものと考えられる。またその空孔部分にはマグネシウム微粒子が多数分散配置され、さらに母材と一体化している様子も観察された。
また得られた炭素材料の組成分析を行なった結果、およそ3atm%程度の窒素が含まれていることが分かった。
そこで上記の工程で得られたマグネシウム微粒子含有炭素材料を評価装置の中に配置し、室温、10気圧の水素雰囲気下での水素吸蔵特性を評価した。その結果、重量比で3.6%の水素吸蔵特性が得られた。
(実施例2)
実施例1と同様の工程で、マグネシウム微粒子が複合化された炭素材料を作製する際、混合する炭酸マグネシウム粒子の濃度を変えた場合の結果について記す。
実施例1と同様の工程で、マグネシウム微粒子が複合化された炭素材料を作製する際、混合する炭酸マグネシウム粒子の濃度を変えた場合の結果について記す。
本実施例においては、実施例1で使用した炭酸マグネシウム粒子と同じ物を使用し、ポリマー溶液であるポリアミド酸に、この炭酸マンガン粒子を5〜40重量%の範囲で変化させて、マグネシウム微粒子が複合化された炭素材料を形成した。
得られた試料の水素吸蔵特性を評価した結果、ほぼ含有させた量を反映して水素吸蔵特性が変化することが確認された。
(実施例3)
実施例1と同様の工程で、マグネシウム微粒子が複合化された炭素材料を作製する際、焼成処理後、さらに水素雰囲気中で追焼成処理した場合の結果について記す。
実施例1と同様の工程で、マグネシウム微粒子が複合化された炭素材料を作製する際、焼成処理後、さらに水素雰囲気中で追焼成処理した場合の結果について記す。
本実施例においては、実施例1と同工程でマグネシウム含有炭素材料を形成後、水素雰囲気中でさらに400℃で1時間の追焼成処理を行なった。その結果、実施例1の水素吸蔵特性と比較して、5%程度特性が向上した。
(実施例4)
実施例1で用いたポリマー材料はポリイミドであったが、それ以外の有機ポリマー材料(ポリスチレンなど)でも、上記と同様の製法で水素吸蔵体を作製することが可能であることを確認した。
実施例1で用いたポリマー材料はポリイミドであったが、それ以外の有機ポリマー材料(ポリスチレンなど)でも、上記と同様の製法で水素吸蔵体を作製することが可能であることを確認した。
(実施例5)
実施例1で得られたマグネシウム含有炭素材料を粉砕処理し、平均粒径が10μm程度の粉末にした場合の水素吸蔵特性を調べた。その結果、膜状構造の場合とほぼ同様の水素吸蔵特性を示したことから、粉砕化処理によってもその特性が変化しないことを確認した。
実施例1で得られたマグネシウム含有炭素材料を粉砕処理し、平均粒径が10μm程度の粉末にした場合の水素吸蔵特性を調べた。その結果、膜状構造の場合とほぼ同様の水素吸蔵特性を示したことから、粉砕化処理によってもその特性が変化しないことを確認した。
本発明のマグネシウム微粒子が複合化された多孔質炭素構造体は、従来の炭素材料のみで構成される場合よりも優れた水素吸蔵特性を有し、燃料電池等で用いられる水素吸蔵部材として有用である。
1 炭素母材
2 マグネシウム微粒子
3 空孔領域
2 マグネシウム微粒子
3 空孔領域
Claims (11)
- 主組成が炭素(C)からなる母材で構成される水素吸蔵体であって、
前記水素吸蔵体が、炭素(C)を主成分とし、さらに炭素以外の元素としてV族元素を含有する材料で構成された、多数の細孔を有する多孔質構造体からなる母材と、
前記多孔質構造体からなる母材にマグネシウム(Mg)微粒子が複合化された構成からなる水素吸蔵体。 - 請求項1に記載の水素吸蔵体において、
前記母材に含有されたV属元素が、窒素(N)あるいはリン(P)から選ばれること、または窒素(N)及びリン(P)いずれも含むことを特徴とする水素吸蔵体。 - 請求項1に記載の水素吸蔵体において、
前記マグネシウム微粒子の平均粒径が、1nm以上、10nm以下の範囲から選ばれることを特徴とする水素吸蔵体。 - 主組成が炭素(C)からなる母材で構成される水素吸蔵体であって、
分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を有し、少なくともその一部がマグネシウム原子を含む塩で置換されたポリマー材料を、加熱分解することにより作製した水素吸蔵体。 - 請求項4に記載の水素吸蔵体において、
前記ポリマー材料が、少なくともその一部に環状イミド構造を有することを特徴とする水素吸蔵体。 - 主組成が炭素(C)からなる母材で構成される水素吸蔵体の製造方法であって、
分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を有し、少なくともその一部がマグネシウム原子を含む塩で置換されたポリマー材料を、加熱分解することからなる水素吸蔵体の製造方法。 - 請求項6に記載の水素吸蔵体の製造方法であって、
前記ポリマー材料を形成する工程が、
(1)少なくとも分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を有するポリマー溶液を準備する工程と、
(2)前記ポリマー溶液に炭酸マグネシウムを混合し、カルボキシル基の少なくとも一部分をマグネシウム原子を含む塩にする工程と、
(3)前記工程より得られた溶液より第一のポリマー構造体を形成する工程と、
(4)前記第一のポリマー構造体を、炭素材料前駆体となる第二のポリマー構造体にする工程とからなることを特徴とする水素吸蔵体の製造方法。 - 請求項7に記載の水素吸蔵体の製造方法において、
前記ポリマー溶液が、ポリアミド酸溶液であることを特徴とする水素吸蔵体の製造方法。 - 請求項7に記載の水素吸蔵体の製造方法において、
前記第二のポリマー構造体が、少なくともその一部に環状イミド構造を有することを特徴とする水素吸蔵体の製造方法。 - 請求項6に記載の水素吸蔵体の製造方法において、
前記加熱分解工程の温度プロセスが、300℃以上、700℃以下の温度範囲から選ばれる所定温度で焼成する工程であることを特徴とする水素吸蔵体の製造方法。 - 請求項10に記載の水素吸蔵体の製造方法において、
前記焼成工程の後に、所定の雰囲気下において前記焼成温度よりも低い温度で焼成する追工程を含むことを特徴とする水素吸蔵体の製造方法。
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