以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る光源装置1の光源となる発光素子を示す斜視図であり、図1(a)は発光素子としての半導体レーザー10の外観を示す斜視図であり、図1(b)は半導体レーザー10の内部の構成を示す斜視図である。なお、図1(b)では、図1(a)に示す半導体レーザー10の内部の主要な構成を図示している。図1を参照して半導体レーザー10に関して説明する。
本実施形態では、発光素子として半導体レーザー10を用いている。半導体レーザー10は、光源装置1において光源として機能する。半導体レーザー10は、図1(a)に示すように、円筒状の管部11と、管部11を受けると共に電力を供給する2つの端子13を中央部に保持するステム部12を備えている。管部11とステム部12とは同心円状に構成されている。管部11の天面には、レーザー光が射出される開口部11aが形成されている。
図1(b)に示すように、管部11の内部には、概略、レーザー光を射出する発光部111と、発光部111を保持するポスト部112とを備えている。ポスト部112は、略半円柱状に形成されており、ステム部12の中央部に保持される2つの端子13に対して(ステム部12の中心に対して)扁芯して、ステム部12に設置されている。発光部111は、ポスト部112の側面部で、2つの端子13の間に位置するように、ポスト部112に保持されている。
なお、図示省略するが、発光部111には電極が形成されている。ステム部12の端子用貫通孔121を貫通して内部に突出した端子13と、電極とをワイヤーボンディングすることにより、発光部111は端子13と電気的に接続されている。
図2は、光源装置1を表側から見た斜視図である。図3は、光源装置1を裏側から見た斜視図である。図4は、光源装置1を表側から見た組み立て斜視図である。図5は、光源装置1を裏側から見た組み立て斜視図である。図6は、ベース部材20を裏側から見た平面図であり、図6(a)はベース部材20の全体の平面図を示し、図6(b)はベース部材20に半導体レーザー10を設置した場合を含めた拡大した平面図である。図2〜図6を参照して、光源装置1の構成と組み立てに関して説明する。
光源装置1は、略矩形状に形成されている。光源装置1は、ベース部材20を備え、ベース部材20を基準として、ベース部材20の表側に、複数の半導体レーザー10と、固定部材30とを備えている。また、光源装置1は、ベース部材20を基準として、ベース部材20の裏側に、絶縁部材40と、回路基板50とを備えている。また、固定部材30は、位置決め部材31と、バネ部材32と、固定部材本体33とで構成されている。
ベース部材20は、半導体レーザー10を保持する部材として機能する。ベース部材20は、図4に示すように、略矩形状に形成され、第1の面である表側は、半導体レーザー10の底面を受けて設置する受面21が形成されている。なお、本実施形態では、ベース部材20の表側は、略全面が平坦面となる受面21で形成された状態となっている。なお、受面21には、半導体レーザー10の端子13を挿通する複数の貫通孔22が、使用する半導体レーザー10の個数と配列に応じて形成されている。本実施形態では、半導体レーザー10は、直線状で複数列(4列)に配置され、合計で20個使用している。
ベース部材20は、半導体レーザー10のステム部12の底面と当接(接触)することにより、半導体レーザー10が発熱した熱を伝導する。ベース部材20は、本実施形態では、熱伝導性が良好なアルミニウムを使用している。
ベース部材20の裏側、すなわち第1の面と対向する面は凹凸面27である。ベース部材20は、凹凸面27の凸部に対応する厚肉部23と、凹部に対応する薄肉部24とを有している。図6の図面視(ベース部材20を裏側から見た状態)で、厚肉部23と薄肉部24とが、上下方向に延びる状態で、交互に形成されている。ここで、図6の図面視において、複数の厚肉部23と複数の薄肉部24を、右方向から順番に、厚肉部231、薄肉部241、厚肉部232、薄肉部242、厚肉部233、薄肉部243、厚肉部234、薄肉部244、厚肉部235と呼ぶ。
各厚肉部23(231〜235)の先端面(受面21の反対面)は、平坦面となる放熱面25として形成されている。また、各放熱面25は面一の面として形成されている。よって、厚肉部23は、受面21から放熱面25までの厚さは同一に形成されている。なお、厚肉部23の放熱面25は、後述する冷却装置60の受熱部61の受熱面611と接触する面として機能する。
各薄肉部24(241〜244)の先端面は、平坦面となる受面26として形成されている。また、各受面26は面一の面として形成されている。よって、薄肉部24は、受面21から受面26までの厚さは同一に形成されている。なお、薄肉部24の受面26は、後述する絶縁部材40を受ける面として機能する。
薄肉部241,242は、詳細には、上下の縁部でつながり、厚肉部232を囲むように形成されている。また、同様に、薄肉部243,244も、上下の縁部でつながり、厚肉部234を囲むように形成されている。なお、本実施形態の複数の厚肉部23と複数の薄肉部24とは、複数の貫通孔22を含めて、ベース部材20を左右に二等分する線(中心線C)を中心に略対称に形成されている。
貫通孔22は、薄肉部24に貫通して形成されている。貫通孔22は、長孔となる略トラック状の孔で形成され、1つの貫通孔22に半導体レーザー10の2つの端子13が挿通される。
薄肉部241に4つの貫通孔22が直列に形成され、薄肉部242に6つの貫通孔22が直列に形成され、薄肉部243に6つの貫通孔22が直列に形成され、薄肉部244に4つの貫通孔22が直列に形成される。
貫通孔22と厚肉部23と薄肉部24との位置関係と形状関係とに関して説明する。
ここで、説明の便宜上、図6に示すように、薄肉部241に形成される貫通孔22の1つを第1貫通孔221とし、第1貫通孔221と隣り合う貫通孔22を第2貫通孔222とする。
第1貫通孔221と第2貫通孔222とは、厚肉部232と薄肉部241との境界Bに沿って形成される。そして、第1貫通孔221の厚肉部232との間は所定の隙間を有する薄肉部241となっている。なお、この所定の隙間に比べて、第1貫通孔221の右方向の薄肉部241の幅が広く取られている。言い換えると、薄肉部241に形成される第1貫通孔221は、厚肉部232の方向に偏って形成されている。第2貫通孔222も第1貫通孔221と同様に厚肉部232の方向に偏って形成される。
また、第1貫通孔221と第2貫通孔222との間の領域Aでは、境界は平面視で厚肉部232から薄肉部241へ突出して形成されている。
なお、薄肉部242に形成される一の貫通孔22及びその貫通孔22と隣り合う貫通孔22も、薄肉部242と厚肉部233との関係を、第1貫通孔221と第2貫通孔222の薄肉部241と厚肉部232との関係と同じくして形成される。また、薄肉部243に形成される一の貫通孔22及びその貫通孔22と隣り合う貫通孔22も、薄肉部243と厚肉部233との関係を、第1貫通孔221と第2貫通孔222の薄肉部241と厚肉部232との関係と同じくして形成される。また、薄肉部244に形成される一の貫通孔22及びその貫通孔22と隣り合う貫通孔22も、薄肉部244と厚肉部234との関係を、第1貫通孔221と第2貫通孔222の薄肉部241と厚肉部232との関係と同じくして形成される。
図6(b)に示すように、複数の半導体レーザー10のうち第1の半導体レーザー10をベース部材20に設置する場合には、ベース部材20の受面21側から、第1貫通孔221に2つの端子13を挿通し、ステム部12の底面を受面21に当接させる。このとき、ポスト部112が厚肉部232に相対する位置となるように受面21に設置する。言い換えると、ステム部12に扁芯して設置されるポスト部112のうち少なくとも一部が、厚肉部232と平面的に重なるように設置することになる。本実施形態では、ポスト部112の一部が厚肉部232と平面的に重なるように設置される。複数の半導体レーザー10のうち第2の半導体レーザー10をベース部材20に設置する場合には、第2貫通孔222に2つの端子13を挿通し、第1の半導体レーザー10を設置する場合と同様に、ポスト部112のうち少なくとも一部が厚肉部232と平面的に重なるように設置する。
同様に、薄肉部242に形成される貫通孔22に半導体レーザー10を設置する際も、厚肉部233にポスト部112のうち少なくとも一部が重なるように設置する。また、薄肉部243に形成される貫通孔22に半導体レーザー10を設置する際も、厚肉部233にポスト部112のうち少なくとも一部が重なるように設置する。また、薄肉部244に形成される貫通孔22に半導体レーザー10を設置する際も、厚肉部234にポスト部112のうち少なくとも一部が重なるように設置する。
ベース部材20には、後述する固定部材30を受面21に固定する6つのネジ孔215(図4参照)と、固定部材30を受面21に組み立てる際の基準となる2つの貫通する基準孔216とが形成されている。また、ベース部材20には、後述する絶縁部材40、回路基板50を受面26に固定する4つのネジ孔265が形成されている。
図2に戻り、ベース部材20の表側に設置する部材(固定部材30)の構成に関して説明する。
上述したように、ベース部材20の表側には、半導体レーザー10と、半導体レーザー10をベース部材20(受面21)に固定する固定部材30とが設置される。固定部材30は、位置決め部材31とバネ部材32と固定部材本体33とで構成されている。
位置決め部材31は、半導体レーザー10を受面21に設置する際に半導体レーザー10を設置する位置を決める部材である。バネ部材32は、半導体レーザー10を受面21側に付勢する部材である。固定部材本体33は、位置決め部材31及びバネ部材32に重なって設置され、バネ部材32を受面21に押さえ付けることにより、バネ部材32に半導体レーザー10を押圧させる部材である。
図4、図5に示すように、位置決め部材31は、板状に形成され、半導体レーザー10の配列位置に合わせて開口部310が形成されている。開口部310には、半導体レーザー10のステム部12の縁部123に形成される略矩形の切り欠き部122(図1(b)参照)に係合する凸部311と、ステム部12の側面を受ける2つの曲面部312とが形成されている。また、位置決め部材31は、位置決め部材31自身をベース部材20(受面21)に固定するための6つの孔部315と、組み立ての際に使用する2つの基準孔316とが形成されている。なお、位置決め部材31は、本実施形態では、板状の金属部材を打ち抜きにより形成している。
バネ部材32は、板状に形成され、半導体レーザー10のステム部12の縁部123を押圧して受面21側に付勢する2つのバネ部321を有する開口部320が、半導体レーザー10の配列位置に合わせて形成されている。また、バネ部材32は、バネ部材32自身をベース部材20(受面21)に固定するための6つの孔部325と、組み立ての際に使用する2つの基準孔326とが形成されている。なお、バネ部材32は、本実施形態では、板状の金属部材(バネ部材)を打ち抜きにより形成している。
固定部材本体33は、半導体レーザー10の配列位置に合わせて、開口部330が形成されている。また、この開口部330の外周から、半導体レーザー10のレーザー光が射出される方向(表側)に、概筒状に突出する壁部331が形成されている。壁部331を筒状に突出させることで、固定部材本体33の剛性を高めている。固定部材本体33でバネ部材32の開口部320周辺を受面21に押え付けることにより、バネ部材32のバネ部321に半導体レーザー10のステム部12を押圧させる。なお、バネ部材32は、固定部材本体33に押え付けられることにより、バネ部321がバネとして機能する。
また、固定部材本体33は、固定部材本体33自身をベース部材20(受面21)に固定するための6つの孔部335と、組み立ての際に使用する2つの基準孔336とが形成されている。なお、固定部材本体33は、本実施形態では、耐熱性を有する合成樹脂部材の射出成形により形成している。
次に、図4、図5を参照して、ベース部材20の表側に設置する部材(半導体レーザー10、固定部材30)の組み立てに関して説明する。
最初に、ベース部材20を組み立て用の治具(図示省略)にセットする。詳細には、治具に設置される図示省略する基準用の突起(基準ピン)をベース部材20の裏側から2つの基準孔216に挿通させてセットする。
次に、位置決め部材31をベース部材20の受面21に設置する。詳細には、ベース部材20の基準孔216から表側に突出する基準ピンに、位置決め部材31の基準孔316を挿通し、位置決め部材31を受面21に設置する。
次に、半導体レーザー10を受面21に設置する。詳細には、位置決め部材31の開口部310を介して、受面21に形成される貫通孔22に端子13を挿入しつつ、開口部310の凸部311にステム部12の切り欠き部122を係合させて、ステム部12の底面を受面21に当接させる。
次に、バネ部材32を位置決め部材31に重ねて設置する。詳細には、位置決め部材31の基準孔316から表側に突出する基準ピンに、バネ部材32の基準孔326を挿通し、バネ部材32を位置決め部材31の表側に重ねて設置する。なお、バネ部材32を位置決め部材31に重ねて設置した場合、バネ部材32の開口部320から半導体レーザー10の管部11が突出し、バネ部321がステム部12の縁部に当接した状態となる。
次に、固定部材本体33をバネ部材32に重ねて設置する。詳細には、バネ部材32の基準孔326から表側に突出する基準ピンに、固定部材本体33の基準孔336を挿通し、固定部材本体33をバネ部材32の表側に重ねて設置する。
最後に、6つのネジSC1を固定部材本体33の孔部335、バネ部材32の孔部325、位置決め部材31の孔部315に順次挿通して、受面21に形成された6つのネジ孔215にそれぞれ螺合させる。この組み立てにより、ベース部材20に半導体レーザー10と固定部材30とが組み立てられる。
なお、固定部材30が受面21に固定されることにより、バネ部材32のバネ部321は、半導体レーザー10のステム部12の縁部を押圧し、半導体レーザー10を受面21に対して付勢して固定する。
次に、ベース部材20の裏側に設置する部材(絶縁部材40、回路基板50)の構成に関して説明する。
上述したように、ベース部材20の裏側には、絶縁部材40と回路基板50とが設置される。
絶縁部材40と回路基板50とは、ベース部材20の薄肉部24に設置される。絶縁部材40は、ベース部材20の薄肉部24(受面26)と、回路基板50との間に設置され、ベース部材20と回路基板50とを電気的に絶縁する。回路基板50は、貫通孔22に挿通した半導体レーザー10の端子13と電気的に接続されており、端子13を介して半導体レーザー10を駆動させるための駆動電力を供給する。
絶縁部材40は、図4、図5に示すように、略矩形状で、ベース部材20の薄肉部24(受面26)の平面形状に略沿った形状に形成されている。なお、貫通孔22に対応する領域には切り欠き部401を設けている。絶縁部材40は、詳細には、薄肉部241の平面形状に沿って形成される第1絶縁部41と、薄肉部242の平面形状に沿って形成される第2絶縁部42と、薄肉部243の平面形状に沿って形成される第3絶縁部43と、薄肉部244の平面形状に沿って形成される第4絶縁部44とを有している。なお、第1絶縁部41から第4絶縁部44は、上部と下部でそれぞれ接続されている。
絶縁部材40は、絶縁部材40自身をベース部材20(受面26)に固定するための4つの孔部405と、組み立ての際に使用する2つの基準孔406とが形成されている。なお、絶縁部材40は、本実施形態では、絶縁性の合成樹脂シートを打ち抜きにより形成している。
回路基板50は、略矩形状で、ベース部材20の薄肉部24(受面26)の平面形状に略沿った形状に形成されている。回路基板50は、詳細には、薄肉部241の平面形状に沿って形成される第1回路部51と、薄肉部242の平面形状に沿って形成される第2回路部52と、薄肉部243の平面形状に沿って形成される第3回路部53と、薄肉部244の平面形状に沿って形成される第4回路部54とを有している。なお、第1回路部51から第4回路部54は、上部と下部でそれぞれ接続されている。
また、第1回路部51〜第4回路部54各々には、ベース部材20の貫通孔22に挿通された半導体レーザー10の2つの端子13をそれぞれ挿通させる2つの孔部501が、それぞれの貫通孔22に相対して形成されている。回路基板50には、半導体レーザー10を電気的に直列に接続し、駆動するための配線が設けられている。この孔部501に挿通された端子13は、回路基板50に設けられた配線に半田付けされる。
回路基板50は、回路基板50自身をベース部材20(受面26)に固定するための4つの孔部505と、組み立ての際に使用する2つの基準孔506とが形成されている。なお、回路基板50は、本実施形態では、ガラスエポキシ樹脂を用いた基板を用いている。
次に、図4、図5を参照して、ベース部材20の裏側に設置する部材(絶縁部材40、回路基板50)の組み立てに関して説明する。
最初に、ベース部材20を組み立て用の治具(図示省略)にセットする。なお、ベース部材20には表側に半導体レーザー10及び固定部材30がネジSC1により固定されていることを前提とする。従って、半導体レーザー10及び固定部材30が固定されたベース部材20を治具の収容部(図示省略)に設置する。
次に、絶縁部材40をベース部材20の受面26に設置する。詳細には、治具に設置される図示省略する基準用の突起(基準ピン)を絶縁部材40の2つの基準孔406に挿通させて受面26に設置する。
次に、回路基板50を絶縁部材40に重ねることにより受面26に設置する。詳細には、絶縁部材40の基準孔406から裏側に突出する基準ピンに、回路基板50の基準孔506を挿通し、回路基板50を絶縁部材40に重ねて設置する。なお、回路基板50を絶縁部材40に重ねて設置する際、貫通孔22から裏側に突出している半導体レーザー10の2つの端子13を、回路基板50の2つの孔部501にそれぞれ挿通させる。
最後に、4つのネジSC2を回路基板50の孔部505、絶縁部材40の孔部405に順次挿通して、受面26に形成された4つのネジ孔265にそれぞれ螺合させる。この組み立てにより、ベース部材20の裏側に絶縁部材40と回路基板50とが組み立てられる。
なお、ベース部材20の裏側に絶縁部材40と回路基板50とが組み立てられた後、回路基板50の孔部501から突出する端子13を配線に対して半田付けを行う。これにより、半導体レーザー10の端子13と回路基板50とが固定され、電気的に接続される。
以上の組み立てにより、図2、図3に示すように、光源装置1が完成する。
図7は、図6(B)におけるDD’断面図である。なお、ベース部材20の表側に固定する固定部材30は図示を省略している。
図7に示すように、光源装置1の組み立てが終了した場合、第1絶縁部41及び第1回路部51は、厚肉部232の放熱面25より突出しておらず、また、第1回路部51の孔部501から突出する端子13の先端部13aも放熱面25より突出していない。言い換えると、厚肉部232の放熱面25は、側面視で、設置された第1絶縁部41及び第1回路部51より突出しており、また、端子13の先端部13aより突出した状態となっている。この状態は、全ての厚肉部23と端子13の先端部13aに対しても同様であり、厚肉部23の放熱面25は、端子13の先端部13aより突出した状態となっている。
図8は、光源装置1と冷却装置60とを接続した状態の斜視図である。図8を参照して、冷却装置60の構成を説明する。
冷却装置60は、光源装置1で発生した熱を冷却する装置であり、本実施形態では、ヒートパイプを用いた熱交換装置で構成されている。冷却装置60は、図8に示すように、概略、受熱部61と、受熱部61に接続されたヒートパイプ62と、ヒートパイプ62を接続する本体部63とで構成されている。
受熱部61は、アルミニウムを用いて構成され、表面には均一な平坦面(受熱面611)が形成され、背面にはヒートパイプ62が固定される。なお、受熱面611は、ベース部材20の放熱面25と接触する。なお、受熱面611は、ベース部材20の、全ての厚肉部231〜235の平坦面である放熱面25と接触している。また、放熱面25は、端子13の先端部13aより突出しているため、受熱面611に端子13を逃がす溝等を構成する必要がない。そのため、本実施形態では、受熱面611を平坦面としている。
ヒートパイプ62は、銅を用いて構成され、内部には少量の作動液(図示省略)が封入され、内壁には毛細管構造(図示省略)を備えている。そして、ヒートパイプ62は、一端部が受熱部61と接続され、他端部が本体部63と接続されている。本体部63は、アルミ板金製のフィンを配列したヒートシンクが形成されている。
冷却装置60の動作に関して簡略に説明する。
受熱部61では、受熱面611により、接触する放熱面25を介して光源装置1で発生した熱を受け取る。ヒートパイプ62では、受熱部61からの熱により作動液が蒸発し本体部63に蒸気が移動する。本体部63では、蒸気の熱をヒートシンクで放熱・冷却することで凝縮する。ヒートパイプ62では、凝縮された作動液が毛細管構造により再び受熱部61に移動する。この一連の動作の繰り返しにより、熱交換が行われ、光源装置1の熱は効率的に冷却される。なお、後述する本実施形態の光源装置1を用いたプロジェクター7において、冷却装置60(本体部63)の熱は、図示省略する冷却ファンにより、ダクト(図示省略)及び排気口(図示省略)を介して、プロジェクター7の外部に排気される。
図9は、ステム部12の温度分布を模式的に示す図であり、図9(a)は、本実施形態による温度分布を示す図であり、図9(b)は、従来の構造での温度分布を示す図である。なお、従来の構造では、ベース部材20の厚肉部232は薄肉部241に平面視で突出しておらず、厚肉部232と薄肉部との境界Bは直線上に形成されている。さらに、矩形状に形成された薄肉部の幅方向の中央部に端子13が位置している。
本実施形態では、図6に示したように、領域Aにおいて、厚肉部232が薄肉部241へ突出して形成されている。また、薄肉部241に形成される第1貫通孔221は、厚肉部232の方向に偏って形成されている。そして、ポスト部112の一部が厚肉部232と平面的に重なるように設置される。この構成により、図9(b)に示した温度分布と比較すると、最も高温となる領域αの面積が、図9(a)に示すように、縮小され、冷却効率が高くなっていることを示している。
図10は、本実施形態に係るプロジェクター7の光学系の構成を示す図である。なお、本実施形態のプロジェクター7は、本実施形態の光源装置1と、透過型の光変調装置としての液晶パネルとを用いて構成されている。図10を参照して、プロジェクター7の光学系の構成を説明する。
プロジェクター7は、図10に示すように、照明装置700、色分離光学系710、光変調装置としての3つの液晶パネル730R,730G,730B、クロスダイクロイックプリズム740及び投写光学系750を備える。
照明装置700は、光源装置1、集光光学系701、回転蛍光板702、モーター704、コリメート光学系705、第1レンズアレイ706、第2レンズアレイ707、偏光変換素子708及び重畳レンズ709を備える。
光源装置1は青色光を射出するレーザー光源で構成されている。集光光学系701は第1レンズ701a及び第2レンズ701bを備える。集光光学系701は、光源装置1から回転蛍光板702までの光路中に配置され、全体として青色光を略集光した状態で蛍光層703aに入射させる。第1レンズ701a及び第2レンズ701bは凸レンズで構成される。
回転蛍光板702はいわゆる透過型の回転蛍光板であり、モーター704により回転可能な円板703の一部に、単一の蛍光層703aが円板703の周方向に沿って連続して形成されている。蛍光層703aが形成されている領域は、青色光が入射する領域を含む。回転蛍光板702は、青色光が入射する側とは反対の側に向けて赤色光及び緑色光を射出するように構成されている。回転蛍光板702は、青色光の集光スポットが所定の速度で蛍光層703a上を移動するような回転速度で回転する。
円板703は、青色光を透過する材料からなる。円板703の材料としては、例えば、石英ガラス、水晶、サファイア、光学ガラス、透明樹脂等を用いることができる。
光源装置1からの青色光は、円板703側から回転蛍光板702に入射するように構成されている。蛍光層703aは、青色光を透過し赤色光及び緑色光を反射するダイクロイック膜703bを介して円板703上に形成されている。ダイクロイック膜703bは、例えば、誘電体多層膜からなる。
蛍光層703aは、光源装置1からの青色光の一部を赤色光及び緑色光を含む光に変換し、かつ、青色光の残りの一部を変換せずに通過させる。蛍光層703aは、所定の波長の青色光によって効率的に励起され、光源装置1が射出する青色光の一部を、赤色光及び緑色光を含む黄色光(蛍光)に変換して射出する。なお、蛍光層として、赤色光及び緑色光を含む蛍光を射出する他の蛍光体を含有する層を用いてもよい。また、蛍光層として、励起光を赤色光に変換する蛍光体と、励起光を緑色に変換する蛍光体との混合物を含有する層を用いてもよい。
コリメート光学系705は、回転蛍光板702からの光の拡がりを抑える第1レンズ705aと、第1レンズ705aからの光を略平行化する第2レンズ705bとを備え、全体として、回転蛍光板702からの光を略平行化する機能を有する。第1レンズ705a及び第2レンズ705bは、凸レンズで構成される。
第1レンズアレイ706は、コリメート光学系705からの光を複数の部分光束に分割するための複数の第1小レンズ706aを有する。第1レンズアレイ706は、複数の第1小レンズ706aが照明光軸AXと直交する面内に複数行・複数列のマトリクス状に配列された構成を有している。
第2レンズアレイ707は、第1レンズアレイ706の複数の第1小レンズ706aに対応する複数の第2小レンズ707aを有する。第2レンズアレイ707は、重畳レンズ709とともに、第1レンズアレイ706の各第1小レンズ706aの像を液晶パネル730R,730G,730Bの画像形成領域近傍に結像させる機能を有している。第2レンズアレイ707は、複数の第2小レンズ707aが照明光軸AXに直交する面内に複数行・複数列のマトリクス状に配列された構成を有している。
偏光変換素子708は、第1レンズアレイ706により分割された各部分光束の偏光方向を、偏光方向の揃った略1種類の直線偏光光として射出する偏光変換素子である。
重畳レンズ709は、偏光変換素子708からの各部分光束を集光して液晶パネル730R,730G,730Bの画像形成領域近傍に重畳させるための光学素子である。第1レンズアレイ706、第2レンズアレイ707及び重畳レンズ709は、回転蛍光板702からの光の面内光強度分布を均一にするインテグレーター光学系を構成する。
色分離光学系710は、ダイクロイックミラー711,712、反射ミラー713,714,715及びリレーレンズ716,717を備える。色分離光学系710は、照明装置700からの光を赤色光、緑色光及び青色光に分離し、赤色光、緑色光及び青色光のそれぞれの色光を照明対象となる液晶パネル730R,730G,730Bに導光する機能を有する。色分離光学系710と、液晶パネル730R,730G,730Bとの間には、集光レンズ720R,720G,720Bが配置されている。
ダイクロイックミラー711,712は、基板上に、所定の波長領域の光を反射して、他の波長領域の光を通過させる波長選択透過膜が形成されたミラーである。ダイクロイックミラー711は、赤色光成分を通過させ、緑色光成分及び青色光成分を反射するダイクロイックミラーである。ダイクロイックミラー712は、緑色光成分を反射して、青色光成分を通過させるダイクロイックミラーである。反射ミラー713は、赤色光成分を反射する反射ミラーである。反射ミラー714,715は青色光成分を反射する反射ミラーである。
ダイクロイックミラー711を通過した赤色光は、反射ミラー713で反射され、集光レンズ720Rを通過して赤色光用の液晶パネル730Rの画像形成領域に入射する。また、ダイクロイックミラー711で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー712でさらに反射され、集光レンズ720Gを通過して緑色光用の液晶パネル730Gの画像形成領域に入射する。ダイクロイックミラー712を通過した青色光は、リレーレンズ716、入射側の反射ミラー714、リレーレンズ717、射出側の反射ミラー715、集光レンズ720Bを経て青色光用の液晶パネル730Bの画像形成領域に入射する。リレーレンズ716,717及び反射ミラー714,715は、ダイクロイックミラー712を透過した青色光成分を液晶パネル730Bまで導く機能を有する。
なお、青色光の光路にこのようなリレーレンズ716,717が設けられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。本実施形態のプロジェクター7においては、青色光の光路の長さが長いのでこのような構成としているが、赤色光の光路の長さを長くして、リレーレンズ716,717及び反射ミラー714,715を赤色光の光路に用いる構成としてもよい。
液晶パネル730R,730G,730Bは、入射された色光を画像情報に応じて変調してカラーの画像光を形成するものであり、照明装置700の照明対象となる。なお、図示を省略したが、各集光レンズ720R,720G,720Bと各液晶パネル730R,730G,730Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が介在配置され、各液晶パネル730R,730G,730Bとクロスダイクロイックプリズム740との間には、それぞれ射出側偏光板が介在配置される。これら入射側偏光板、液晶パネル730R,730G,730B及び射出側偏光板によって、入射された各色光の光変調が行われる。
液晶パネル730R,730G,730Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入した透過型のパネルであり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に応じて、入射側偏光板から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
クロスダイクロイックプリズム740は、射出側偏光板から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラーの画像光を形成する光学素子である。クロスダイクロイックプリズム740は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光及び青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
クロスダイクロイックプリズム740から射出されたカラーの画像光は、投写光学系750によって拡大投写され、スクリーンS上でカラー画像を形成する。
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態の光源装置1において、ベース部材20は、第1貫通孔221と第2貫通孔222との間の領域Aでは、厚肉部23と薄肉部24との間の境界Bが平面視で厚肉部23から薄肉部24へ突出して形成されており、半導体レーザー10の、扁芯してステム部12に設置されるポスト部112の少なくとも一部が、平面視で厚肉部23と重なるように設けられる。この構成により、半導体レーザー10の底面(ステム部12の底面)のうち、ポスト部112に相対する領域に接触する厚肉部23の面積を拡げることができる。従って、扁芯して設置されるポスト部112により偏った温度分布となる半導体レーザー10の熱を、ベース部材20の厚肉部23に効率的に伝導させることができる。
本実施形態の光源装置1において、ベース部材20の凹凸面27は、厚肉部23において、放熱用の面(放熱面25)を有し、放熱面25は、光源装置1を冷却する冷却装置60が有する受熱用の面(受熱面611)と接触している。これにより、半導体レーザー10で発生した熱を厚肉部23に伝導させ、厚肉部23の放熱面25から効率的に冷却装置60の受熱面611に伝導させることができるため、冷却効率を向上させることができる。従って、光源装置1(半導体レーザー10)の高い発光出力を維持させることができる。
本実施形態の光源装置1において、ベース部材20の受面21に半導体レーザー10を設置した場合、放熱面25は、側面視で端子13の先端部13aより突出している。これにより、放熱面25や、冷却装置60の受熱面611を平面で構成することができ、放熱面25や受熱面611の加工性向上と、冷却効率の向上を図ることができる。
本実施形態の光源装置1において、ベース部材20の薄肉部24に、貫通孔22に挿通された端子13と電気的に接続された回路基板50が設置されている。これにより、光源装置1としての厚さを低減することができる。
本実施形態の光源装置1において、ベース部材20の薄肉部24と、回路基板50との間には、ベース部材20と回路基板50とを電気的に絶縁する絶縁部材40が設置されている。これにより、半導体レーザー10のショート等を確実に防止することができ、光源装置1の品質を向上させることができる。
本実施形態の光源装置1において、半導体レーザー10のポスト部112が収納される管部11を挿通させてステム部12を押えることにより、半導体レーザー10をベース部材20に固定する固定部材30が設置されている。詳細には、固定部材30は、位置決め部材31とバネ部材32と固定部材本体33とで構成されている。位置決め部材31で、半導体レーザー10の設置位置を決め、バネ部材32でステム部12を押圧し、固定部材本体33で、半導体レーザー10をベース部材20に固定する。これにより、半導体レーザー10を、ベース部材20の受面21に位置を決めて設置でき、バネ部材32の押圧により付勢して、確実にベース部材20に固定することができる。これにより、光源装置1に振動や衝撃が加わった場合にも、ベース部材20の受面21から半導体レーザー10が離れること等が低減され、半導体レーザー10の熱を効率的にベース部材20に伝えることができる。さらに、光源装置1の明るさを一定に維持することができる。
本実施形態の光源装置1において、複数の半導体レーザー10が直線状で複数列に設置されていることにより、複数の半導体レーザー10を高密度でベース部材20に設置することができ、光源装置1の明るさの向上と、小型化を図ることができる。
本実施形態のプロジェクター7は、ステム部12において偏った温度分布を持つ半導体レーザー10の熱を効率的に伝導する光源装置1を備えることにより、効率的な冷却が行え、光源装置1(半導体レーザー10)の高い発光出力を維持することができる。これにより、プロジェクター7は、投写画像の明るさを維持することができる。
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
前記実施形態の光源装置1において、放熱面25は端子13の先端部13aより突出している。しかし、これに限られず、端子13の先端部13aが、放熱面25より突出していてもよい。このような場合、冷却装置60の受熱面611の平坦面において、端子13に相対する領域に、端子13との当接(ショート)を避けるための、溝等の逃げ部を形成し、他の平坦面で放熱面25と接触させる構成とすることでよい。
前記実施形態の光源装置1において、全ての放熱面25は、面一の平坦面で形成されている。しかし、全ての放熱面25ではなく、半導体レーザー10のポスト部112に相対する厚肉部232,233,234の放熱面25を面一の平坦面で形成してもよい。
前記実施形態の光源装置1において、放熱面25は面一の平坦面で形成されている。また、放熱面25に接触する冷却装置60の受熱面611も平坦面で形成されている。しかし、放熱面25及び受熱面611は、平坦面には限られない。
また、放熱面25は端子13の先端部13aより突出しているため、放熱面25を冷却装置60の受熱面611に当接させるときに、端子13に邪魔されない。従って、放熱面25及び受熱面611の面形状の自由度が向上する。
前記実施形態のプロジェクター7は、光変調装置として透過型の光変調装置を用いている。しかし、これに限られず、反射型の光変調装置や、マイクロミラー型の光変調装置等、他の方式の光変調装置を採用することができる。なお、マイクロミラー型の光変調装置としては、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を採用することができる。
前記実施形態の光源装置1において、発光素子として半導体レーザー10を用いているが、半導体レーザーに限られない。発光部と、発光部を保持するポスト部と、発光部に電気的に接続される端子と、ポスト部が設置されるステム部と、を有する素子であれば、本発明の発光素子として用いることができる。例えば、上述のように構成された、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro Luminescence)素子、シリコン発光素子等を用いてもよい。
また、放熱面25と受熱面611との間に、熱伝導性を高めるための部材、例えば放熱グリスや放熱シート等を適宜配置して良い。同様に、半導体レーザー10のステム部12とベース部材20の受面21との間にも、熱伝導性を高めるための部材、例えば放熱グリスや放熱シート等を適宜配置して良い。
また、本実施例の組立ては、ベース部材20の表側に設置する部材(半導体レーザー10、固定部材30)をベース部材20に組み付けた後、ベース部材20の裏側に設置する部材(絶縁部材40、回路基板50)をベース部材20に組み付けたが、順番が逆でも良い。つまり、ベース部材20の裏側に設置する部材(絶縁部材40、回路基板50)をベース部材20に組み付けた後、ベース部材20の表側に設置する部材(半導体レーザー10、固定部材30)をベース部材20に組み付けても良い。
前記実施形態の光源装置1は、プロジェクター7に用いているが、これ以外に、複写機、ファクシミリ、プリンター、デジタルラボ等の各種画像形成装置の操作光学系に用いることができる。