JP6183921B2 - ガラクトオリゴ糖含有組成物の製造方法 - Google Patents

ガラクトオリゴ糖含有組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラクトオリゴ糖含有組成物さらにはその効率的な製造方法に関する。
ヒト母乳は、母乳栄養乳児の健康への有益な効果のいくつかに寄与するとみなされるいくつかの異なるオリゴ糖を含有することが知られている(Kunz et al.(2000))。たとえば、FOS、GOS、イヌリンなどのいくつかのオリゴ糖は、いわゆるプレバイオティクスである。つまり、胃腸系の有益な細菌を賦活し、有害な細菌を抑制する。オリゴ糖は、健康増進効果があるので、乳児用栄養食品製品や臨床用栄養食品製品などの機能性食品製品で頻繁に使用される。
オリゴ糖の製造方法はいくつか存在する。一方法は、天然存在源からオリゴ糖を単離することに基づく。フルクトースオリゴ糖(FOS)およびイヌリンは、たとえば、キクイモ、ゴボウ、チコリー、リーキ、タマネギ、およびアスパラガス中に天然に見いだされ、これらの作物から単離されうる。チコリーの根からイヌリンを調製することについては、たとえば、Frank(2002)に記載されている。オリゴ糖のこの製造方法は、好適な作物の入手可能性により制限され、より複雑なオリゴ糖では実現できない可能性がある。
他の方法は、酵素がオリゴ糖の合成を触媒する酵素的合成に基づく。Yun(1996)は、フルクトシルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を用いたかつ酵素の基質としてスクロースを用いたフルクトオリゴ糖の酵素的製造を記載している。
そのほかに、国際公開第01/90,317A2号パンフレットには、酵素的合成の例が記載されており、そこには、特別なβ−ガラクトシダーゼ酵素と基質としてラクトースとを用いた式Gal−Gal−Glcで示されるガラクトオリゴ糖(GOS)の製造方法が開示されている。
欧州特許出願公開第2138586A1号明細書には、少なくとも1種のジアルキルアミドの存在下のグリコシダーゼの存在下で炭水化物ドナー分子およびグリコシルアクセプター分子をグリコシル転移または加水分解することによる二糖またはオリゴ糖のレギオ選択的製造プロセスが開示されている。しかしながら、欧州特許出願公開第2138586A1号明細書には、グリコシルドナーから放出された遊離脱離基をインキュベーション時に除去することは開示されてない。
国際公開第2009/113,030A2号パンフレットには、クロスフロー中空繊維精密濾過系を備えた反応器内での微生物全細胞を用いた純粋なラクトース系ガラクトオリゴ糖の製造プロセスが記載されている。しかしながら、国際公開第2009/113,030A2号パンフレットには、ドナーに関連しないガラクトシルアクセプターを用いたヘテロガラクトオリゴ糖の製造に関する教示はなんら含まれていない。
国際公開第2012/010,597A1号パンフレットには、ガラクトオリゴ糖含有組成物の製造方法さらにはガラクトオリゴ糖含有組成物それ自体が記載されている。しかしながら、国際公開第2012/010,597A1号パンフレットには、ガラクトシルドナーから放出された遊離脱離基をインキュベーション時に除去することは開示されていない。
本発明の目的は、ガラクトオリゴ糖、とくに、製造時に使用されるガラクトシルドナーとは異なる還元末端を有するガラクトオリゴ糖の改良された製造方法を提供することである。
本発明者らは、驚くべきことに、ガラクトオリゴ糖の合成時にドナーから放出された脱離基が競合ガラクトシルアクセプターとして作用し、以上に挙げたガラクトオリゴ糖の収率を低減することを見いだした。これは、とくに驚くべきことである。なぜなら、本発明者らにより行われた初期試験から、脱離基とくにグルコースは、弱いガラクトシルアクセプターであることが示唆されたからである。本発明者らは、ガラクトシルドナー、ガラクトシルアクセプター、およびβ−ガラクトシダーゼ酵素のインキュベーション時に放出された脱離基を反応混合物から除去することにより、以上に挙げたガラクトオリゴ糖(ガラクトシルドナーとは異なる還元末端を有する)の収率を増加させうることをさらに発見した。
図1、2、および3により、このことをさらに詳細に説明する。
図1は、ガラクトシル転移時に起こる主要な反応のタイプを示す概略図である。反応a)は、所望の反応であり、ドナー(この例ではラクトース)からアクセプター(たとえばフコース)へのガラクトシル基の転移を含む。この反応の生成物は、遊離脱離基(この例ではグルコース)と、ガラクトシルドナーとは異なる還元末端を有する小さいオリゴ糖(たとえばGal−Fuc)と、である。
反応b)は、ドナーのいわゆる自己ガラクトシル化をもたらす望ましくない副反応であり、たとえば、ドナーがラクトースの場合、さらにガラクトシル化されたラクトースを生じる。この副生成物は、オリゴ糖生成物から除去するのが困難でありかつ経費がかかる。本発明者らは、高ガラクトシル転移効率(低T値)を有する第1の酵素を比較的低濃度のガラクトシルドナーと組み合わせて使用することにより、自己ガラクトシル化レベルを有意に低減できることを発見した。
図1の反応c)は、本発明者らが最近発見した他の望ましくない副反応である。本発明者らは、ガラクトオリゴ糖組成物中に驚くほど高レベルのアロラクトースを観測し、遊離脱離基とくにグルコースは、その濃度が十分に高い場合、アクセプターとしても作用するという結論に達した。
図2は、遊離脱離基がインキュベーション時に除去されない場合にガラクトオリゴ糖組成物中に存在する分子種のいくつかを示す概略図である。ガラクトシルアクセプターから誘導された所望のオリゴ糖生成物に加えて、組成物は、遊離脱離基のガラクトシル化から誘導された望ましくないオリゴ糖、たとえば、アロラクトースおよびさらにガラクトシル化されたアロラクトースをさらに含有する。
図3は、遊離脱離基がインキュベーション時に除去された場合にガラクトオリゴ糖組成物中に存在する分子種のいくつかを示す概略図である。図2に例示されたガラクトオリゴ糖組成物とは対照的に、本ガラクトオリゴ糖組成物は、遊離脱離基、アロラクトース、およびアロラクトースから誘導されたオリゴ糖が欠如している(または少なくとも有意により低濃度である)。
したがって、本発明の態様は、1種以上のガラクトオリゴ糖を含む組成物の製造方法に関する。この方法は、
a)
・脱離基に結合されたガラクトシル基を含むガラクトシルドナーであって、多くとも350g/molのモル重量を有するガラクトシルドナーと、
・ガラクトシルドナーとは異なるガラクトシルアクセプターであって、糖または糖アルコールであるガラクトシルアクセプター、を含む混合物を提供するステップであって、ガラクトシルアクセプターとガラクトシルドナーとのモル比は、少なくとも1:10であり、かつ混合物は、少なくとも0.05mol/Lのガラクトシルアクセプターを含む提供するステップ、
b)第1の酵素を提供するステップであって、前記第1の酵素は、β−ガラクトシダーゼ活性を有するとともに、前記第1の酵素は、混合物に接触する提供するステップ、および
c)混合物と第1の酵素とをインキュベートして、第1の酵素によりガラクトシルドナーの脱離基を放出させるとともに、ガラクトシルドナーのガラクトシル基をガラクトシルアクセプターに転移することにより、ガラクトオリゴ糖を形成するステップであって、ステップc)は、インキュベート中の混合物から、すなわち、インキュベーション時に、ガラクトシルドナーから放出された脱離基を除去することにより、1種以上のガラクトオリゴ糖を含む組成物を取得することをさらに含む形成するステップ、
を含む。
「ガラクトシルドナーから放出された脱離基を除去する」という用語は、インキュベート中の混合物から遊離脱離基を物理的に除去することおよび/または遊離脱離基をインキュベート中の混合物中に依然として存在しうる1種以上の他の化学種に変換することと理解すべきである。そのような化学種は、ガラクトシルアクセプターとして作用しないか、または少なくとも遊離脱離基よりも低効率のガラクトシルアクセプターであることが好ましい。
本発明は、複雑なガラクトオリゴ糖組成物を高収率で安価かつ効率的に製造する道を開く。本発明はさらに、ガラクトシルドナーから放出された遊離脱離基のガラクトシル化さらにはガラクトシルドナーの自己ガラクトシル化を低減するように思われる。これらは両方とも、組成物から除去するのに経費がかかる望ましくない副生成物を生じる。
好ましくは、第1の酵素は、β−ガラクトシダーゼ活性に加えてガラクトシル転移活性を有する。また、第1の酵素は、多くとも0.9のT値を有することが好ましいこともありうる。
本発明との関連では、β−ガラクトシダーゼ酵素の「ガラクトシル転移活性」という用語は、ガラクトシル基をドナー分子たとえばラクトース分子から非水分子たとえば他のラクトース分子に転移する酵素の性能を意味する。
T値は、ラクトースをガラクトシルドナーおよびガラクトシルアクセプターの両方として用いたときのβ−ガラクトシダーゼ酵素のガラクトシル転移効率の尺度である。β−ガラクトシダーゼ酵素のT値の決定は、実施例3に記載のアッセイおよび式に従って行われる。T値は、式:
Figure 0006183921
を用いて計算される。
ガラクトシル転移活性をなんら有していないラクターゼ酵素は、使用されたラクトース1molあたり1molのガラクトースを生成して、T値が1になるであろう。きわめて高いガラクトシル転移活性を有するβ−ガラクトシダーゼは、ラクトースのガラクトシル基をほぼすべてガラクトシル転移に使用して、ガラクトースを生成しないであろう。したがって、T値が0に近くなるであろう。
そのほかに、本発明の態様は、1種以上のガラクトオリゴ糖を含む組成物に関する。この組成物は、本明細書に記載の方法により取得可能である。
本発明のそのほかの目的および利点は、以下に記載される。
図1は、ガラクトシル転移に関与する反応のタイプの概略図を示している。 図2は、遊離脱離基が使用されない場合に得られる反応生成物の概略図を示している。 図3は、遊離脱離基が使用されない場合に得られる反応生成物の概略図を示している。 図4は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合と除去しない場合とで、4時間インキュベーション後のガラクトシル化フコースの二糖、三糖、および四糖の積分応答のプロットを示している。遊離脱離基(グルコース)は、酵素変換により除去される。ガラクトシル化フコースの含有率は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合に増加することがわかる。 図5は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合と除去しない場合とで、5時間インキュベーション後のガラクトシル化フコースの二糖、三糖、および四糖の積分応答のプロットを示している。この場合も、ガラクトシル化フコースの含有率は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合に増加することがわかる。 図6は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合と除去しない場合とで、ガラクトシル化ドナー/脱離基の全積分応答と比較して、ガラクトシル化フコースの全積分応答のプロットを示している。ガラクトシル化ドナー/脱離基の全積分応答は、Gal−Glc分子、Gal−Gal−Glc分子、およびGal−Gal−Gal−Glc分子の積分応答の和である。ガラクトシル化フコースの全積分応答は、Gal−Fuc分子、Gal−Gal−Fuc分子、およびGal−Gal−Gal−Fuc分子の応答の和である。ガラクトシル化フコースの全積分応答は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合に有意に増加するが、ガラクトシル化ドナー/脱離基の全積分応答は、ほとんど変化しないことがわかる。
記載のごとく、本発明の態様は、1種以上のガラクトオリゴ糖を含む組成物の製造方法に関する。この方法は、
a)
・脱離基に結合されたガラクトシル基を含むガラクトシルドナーであって、多くとも350g/molのモル重量を有するガラクトシルドナー
・ガラクトシルドナーとは異なるガラクトシルアクセプターであって、糖または糖アルコールであるガラクトシルアクセプター
を含む混合物を提供するステップであって、ガラクトシルアクセプターとガラクトシルドナーとのモル比は、少なくとも1:10であり、かつ混合物は、少なくとも0.05mol/Lのガラクトシルアクセプターを含む提供するステップ、
b)第1の酵素を提供するステップであって、前記第1の酵素は、β−ガラクトシダーゼ活性を有するとともに、前記第1の酵素は、混合物に接触する提供するステップ、および
c)混合物と第1の酵素とをインキュベートして、第1の酵素によりガラクトシルドナーの脱離基を放出させるとともに、ガラクトシルドナーのガラクトシル基をガラクトシルアクセプターに転移することにより、ガラクトオリゴ糖を形成するステップであって、ステップc)は、インキュベート中の混合物から、すなわち、インキュベーション時に、ガラクトシルドナーから放出された脱離基を除去することにより、1種以上のガラクトオリゴ糖を含む組成物を取得することをさらに含む形成するステップ、
を含む。
本発明との関連では、「グリコシル基」という用語は、単糖もしくは二糖や三糖などの低級オリゴ糖または対応する糖アルコールから1個または2個のヒドロキシル基を除去することにより得られる基を意味する。この用語は、本明細書では、ガラクトシルドナー、ガラクトシルアクセプター、およびオリゴ糖の種々のビルディングブロックを記述するために用いられる。
最も一般的な糖およびそれらの対応するグリコシル基の略号は、以下に示される。
Figure 0006183921
本発明との関連では、「オリゴ糖」という用語は、同一タイプであっても異なるタイプであってもよい少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のグリコシル基を含む分子を意味する。少なくとも2個のグリコシル基は、好ましくは、O−グリコシル結合を介して結合される。オリゴ糖は、直鎖状グリコシル基でありうるか、または分岐状構造を有しうる。オリゴ糖は、たとえば、(Gal)Glcなどの化学量論式として、またはGal−Gal−Gal−Glc、Gal−Gal−Glc−Gal、Gal−(Gal−)Glc−Galなどの一般式として、表されうる。化学量論式は、オリゴ糖または一群のオリゴ糖がどのグリコシル基を含有するかに関する情報を提供するが、それらの相対位置に関する情報を提供しない。一方、一般式は、グリコシル基の相対位置に関する一般的情報も含有する。
本発明との関連では、「ホモオリゴ糖」という用語は、1つのタイプのグリコシル基のみを含有するオリゴ糖を意味する。ホモオリゴ糖の例は、Gal−Gal−Gal−GalおよびGlc−Glc−Glcである。
本発明との関連では、「ヘテロオリゴ糖」という用語は、異なるグリコシル基を含有するオリゴ糖、たとえば、Gal−Gal−GlcまたはGal−Gal−Fucを意味する。
本発明との関連では、「オリゴ糖」という用語と共に用いられる「ガラクト」という接頭辞は、オリゴ糖がガラクトシル基を繰返し単位として含有することを意味する。「ホモ」または「ヘテロ」という接頭辞は、「ガラクト」という接頭辞と共に用いられうる。Gal−Gal−GlcおよびGal−Gal−Gal−Galは両方とも、ガラクトオリゴ糖である。Gal−Gal−Glcは、ヘテロガラクトオリゴ糖であり、Gal−Gal−Gal−Galは、ホモガラクトオリゴ糖である。
本発明との関連では、「X」は、本明細書に定義されるガラクトシルアクセプターを表す。「−X」は、ガラクトシルアクセプターに対応するグリコシル基、とくに、他の基に結合されたグリコシル基を表す。「−」は、結合を表す記号である。グリコシル基は、好ましくはグリコシル基の3、4、5、または6位を介してかつ好ましくはO−グリコシル結合を介して結合される。本発明との関連では、「Gal−」は、好ましくはガラクトシル基の1位を介してかつ好ましくはO−グリコシル結合を介して他の基に結合されたガラクトシル基を表す。
本発明との関連では、「−Gal−」は、2個の他の基に結合されたガラクトシル基を表す。左の結合は、好ましくはガラクトシル基の4位または6位を介してかつ好ましくはO−グリコシル結合を介して行われる。右の結合は、好ましくはガラクトシル基の1位を介してかつ好ましくはO−グリコシル結合を介して行われる。
2個のガラクトシル基間の結合は、典型的には1−4結合または1−6結合であり、かつ通常はO−グリコシル結合である。ガラクトシル基と窒素含有アクセプターとの間の結合は、他の選択肢としてN−グリコシル結合であってもよい。
本発明に係る方法は、好ましくは、ガラクトシルドナーとガラクトシルアクセプターとを用いた1種以上のガラクトオリゴ糖を含む組成物の製造方法である。ただし、この1種以上のガラクトオリゴ糖は、その還元末端としてガラクトシルアクセプターを有する。
本発明との関連では、「方法」および「プロセス」という用語は、同義的に用いられる。
ステップa)は、オリゴ糖を生成する混合物の提供を含む。
混合物は、好ましくは、液体混合物であり、たとえば、ガラクトシルアクセプターとガラクトシルドナーとを含有する水性溶液でありうる。
本発明のいくつかの実施形態では、ステップa)の混合物のガラクトシルアクセプターとガラクトシルドナーとのモル比は、少なくとも1:5、好ましくは少なくとも1:1、さらにより好ましくは少なくとも5:1である。たとえば、ステップa)の混合物のガラクトシルアクセプターとガラクトシルドナーとのモル比は、少なくとも10:1、たとえば少なくとも15:1でありうる。
ステップa)の混合物のガラクトシルアクセプターとガラクトシルドナーとのモル比は、たとえば、1:10〜100:1の範囲内でありうる。
本発明のいくつかの実施形態では、ステップa)の混合物のガラクトシルアクセプターとガラクトシルドナーとのモル比は、1:10〜50:1の範囲内、好ましくは1:5〜30:1の範囲内、さらにより好ましくは1:1〜20:1の範囲内である。たとえば、ステップa)の混合物のガラクトシルアクセプターとガラクトシルドナーとのモル比は、たとえば2:1〜40:1の範囲内、好ましくは4:1〜30:1の範囲内、さらにより好ましくは10:1〜25:1の範囲内でありうる。
記載のごとく、ガラクトシルドナーは、脱離基に共有結合されたガラクトシル基を含有する。ガラクトシル基は、好ましくはβ−D−ガラクトピラノシル基である。さらに、ガラクトシル基は、好ましくは、ガラクトシル基の1位からO−グリコシド結合を介して脱離基に結合される。
ガラクトシルドナーの脱離基は、たとえば、グリコシル基および/または糖アルコール基である。ガラクトシルドナーの脱離基は、グルコシル基すなわちグルコース残基であることがとくに好ましい。
脱離基が単糖もしくは二糖または対応する糖アルコールのグリコシル基である場合、ガラクトシル基は、好ましくは、ガラクトシル基の1位からO−グリコシド結合を介して脱離基に結合され、この結合は、単糖型脱離基の4位または二糖型脱離基の4’位に結合する。
本発明との関連では、「Yおよび/またはX」という表現は、「Y」または「X」または「YおよびX」を意味する。同一の論理手順に沿って、「X、X、…、Xi−1、および/またはX」という表現は、「X」または「X」または「Xi−1」または「X」または成分:X、X、…、Xi−1、およびXの任意の組合せを意味する。
本発明のいくつかの実施形態では、ガラクトシルドナーは、多くとも1000g/molのモル重量を有する。たとえば、ガラクトシルドナーは、多くとも500g/molのモル重量を有しうる。さらに、ガラクトシルドナーは、多くとも350g/molのモル重量を有することが好ましいこともありうる。
二糖は、現在のところ好ましいタイプのガラクトシルドナーである。他の選択肢としてまたは追加として、三糖もまた、ガラクトシルドナーとして使用されうる。したがって、混合物は、異なるガラクトシルドナーの組合せを含有しうると考えられる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ガラクトシルドナーはラクトースである。有用なガラクトシルドナーの他の例は、ラクツロースである。そのほかに、有用なガラクトシルドナーの例は、ラクチトールである。
本発明との関連では、「ラクトース」という用語は、二糖のβ−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−D−グルコースを意味する。これはまた、乳糖としても参照され、ウシ乳の最も主要な糖である。
ガラクトシルドナーは、精製ラクトースなどの工業精製源および/またはホエー透過液(すなわち、ホエーの限外濾過により調製される脱タンパク質化ホエー)などの天然源の両方の任意の有用なガラクトシルドナー源を介して提供されうる。
ガラクトシルアクセプターは、第1の酵素によりもたらされるガラクトシル基を受容可能な任意の分子でありうる。典型的には、ヒドロキシル基、好ましくはアルコール性ヒドロキシル基を含有する。「アクセプト」という用語は、ドナーのガラクトシル基がたとえばO−グリコシル結合を介してアクセプターに共有結合されなければならないことを意味する。
本発明のいくつかの実施形態では、ガラクトシルアクセプターは、1個以上のアルコール性ヒドロキシル基を含む。たとえば、ガラクトシルアクセプターは、ポリオールでありうる。
本発明との関連では、「ポリオール」という用語は、少なくとも2個のアルコール性ヒドロキシル基を含む分子を意味する。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ガラクトシルアクセプターは、ラクトースではない。ガラクトシルアクセプターは、グルコースでないことがさらに好ましいこともありうる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ガラクトシルアクセプターは、ガラクトシルドナーとは異なる。ガラクトシル源としてラクトースなどの比較的安価なガラクトシルドナーと、ガラクトシルアクセプターとしてフコースなどの生物学的に興味深いアクセプターと、を使用することがとくに好ましい。
本発明のいくつかの実施形態では、ガラクトシルアクセプターは、ラクトースでもなく、ガラクトースでもなく、グルコースでもない。
本発明のいくつかの実施形態では、ガラクトシルアクセプターは、グルコースでもなく、一般式Gal−(Gal)−Glc(式中、iは、非負の整数、すなわち、たとえば、0、1、2、3、または4である)で示されるオリゴ糖でもない。
本発明のいくつかの実施形態では、ガラクトシルアクセプターは、ガラクトースでもなく、一般式Gal−(Gal)−Gal(式中、iは、非負の整数である)で示されるオリゴ糖でもない。
種々のモル重量を有するガラクトシルアクセプターを使用しうるが、少なくとも100g/molのモル重量を有するガラクトシルアクセプターが現在のところ有利である。
本発明のいくつかの実施形態では、ガラクトシルアクセプターは、多くとも1000g/molのモル重量を有する。たとえば、ガラクトシルアクセプターは、多くとも500g/molのモル重量を有しうる。さらに、ガラクトシルアクセプターは、多くとも350g/molのモル重量を有することが好ましいこともありうる。ガラクトシルアクセプターは、たとえば、多くとも200g/molのモル重量を有する。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ガラクトシルアクセプターは糖である。ガラクトシルアクセプターは、たとえば、単糖でありうる。他の選択肢として、ガラクトシルアクセプターは二糖でありうる。
たとえば、ガラクトシルアクセプターはペントースでありうる。ガラクトシルアクセプターは、たとえば、アラビノースでありうる。有用なペントースの他の例はキシロースである。そのほかに、有用なペントースの例はリボースである。ガラクトシルアクセプターは、たとえば、アラビノース、キシロース、およびリボースからなる群から選択されるペントースである。
ヘキソースは、有用なガラクトシルアクセプターの他の群である。ガラクトシルアクセプターは、たとえば、マンノースでありうる。有用なヘキソースの他の例はガラクトースである。そのほかに、有用なヘキソースの例はタガトースである。有用なヘキソースのさらなる例はフルクトースである。ガラクトシルアクセプターは、たとえば、マンノース、ガラクトース、タガトースはおよびフルクトースからなる群から選択されるヘキソースである。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ガラクトシルアクセプターはデオキシヘキソースである。ガラクトシルアクセプターは、たとえば、フコース、たとえば、D−フコース、L−フコース、それらの混合物などでありうる。
他の選択肢として、ガラクトシルアクセプターは、オリゴ糖、たとえば、二糖、三糖などでありうる。有用な二糖の例は、マルトースである。有用な二糖の他の例は、ラクツロースである。
そのほかに、ガラクトシルアクセプターの有用な群は、糖誘導体である。
本発明との関連では、「糖誘導体」という用語は、1個以上の非ヒドロキシル官能基を含有する糖を意味する。そのような官能基の例は、カルボキシル基、アミノ基、N−アセチルアミノ基、および/またはチオール基である。1位にアルデヒド基または2位にケトン基を含有する糖は、糖が以上に挙げた非ヒドロキシル官能基のいくつかを含まないかぎり、それ自体では糖誘導体とはみなされない。
有用な糖誘導体の例は、N−アセチルガラクトサミンである。有用な糖誘導体の他の例は、シアル酸である。そのほかに、有用な糖誘導体の例は、シアリルラクトースである。したがって、ガラクトシルアクセプターは、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸、およびシアリルラクトースからなる群から選択される糖誘導体でありうる。
有用なガラクトシルアクセプターの他の群は、糖アルコールである。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、ガラクトシルアクセプターは、糖アルコールである。有用な糖アルコールの例は、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、および/またはマルチトールである。
以上に挙げたガラクトシルアクセプターとは対照的に、本発明者らは、N−アセチルグルコサミンおよびグルコースがより低効率のガラクトシルアクセプターであることを見いだした。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、ガラクトシルアクセプターは、グルコースでもなく、N−アセチルグルコサミンでもない。
混合物は、第1のタイプのガラクトシルアクセプターとは異なる1種以上のさらなるガラクトシルアクセプターを含有しうる。混合物の異なるタイプのガラクトシルアクセプターは、たとえば、本明細書に挙げられたガラクトシルアクセプターのタイプの中から選択されうる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、生成されたガラクトシル化アクセプターは、新しいタイプのガラクトシルアクセプターとして作用し、これもまたガラクトシル化されうる。このようにして、化学量論式Gali+1X(式中、iは、非負の整数である)を有するガラクトオリゴ糖が生成されうる。通常、最も主要な種は、GalX、GalX、およびGalXである。
本発明の他の好ましい実施形態では、生成されたガラクトシル化アクセプターは、新しいタイプのガラクトシルアクセプターとして作用し、これもまたガラクトシル化されうる。このようにして、一般式Gal−(Gal)−X(式中、iは、非負の整数である)を有するガラクトオリゴ糖が生成されうる。通常、最も主要な種は、Gal−X、Gal−Gal−X、およびGal−Gal−Gal−Xである。
本発明のいくつかの実施形態では、ステップa)の混合物は、多くとも0.7mol/L、好ましくは多くとも0.4mol/L、さらにより好ましくは多くとも0.2mol/Lの濃度でガラクトシルドナーを含む。混合物は、たとえば、0.001〜0.7mol/Lの範囲内、好ましくは0.01〜0.5mol/Lの範囲内、さらにより好ましくは0.02〜0.2mol/Lの範囲内の濃度でガラクトシルドナーを含みうる。
他の選択肢として、ステップa)の混合物は、多くとも0.3mol/L、好ましくは多くとも0.1mol/L、さらにより好ましくは多くとも0.05mol/Lの濃度でガラクトシルドナーを含みうる。混合物は、たとえば、0.001〜0.2mol/Lの範囲内、好ましくは0.005〜0.1mol/Lの範囲内、さらにより好ましくは0.01〜0.05mol/Lの範囲内の濃度でガラクトシルドナーを含みうる。
ガラクトシル化ガラクトシルアクセプターおよびガラクトシル化ガラクトシルドナーは、限られた範囲内でガラクトシルドナーとして作用しうるが、本発明との関連では、ガラクトシル化ガラクトシルアクセプターおよびガラクトシル化ガラクトシルドナーは、ガラクトシルドナーとはみなされず、本明細書に挙げられたガラクトシルドナーの濃度にも比にも寄与しないことに留意すべきである。
ガラクトシルアクセプターは、一群の異なる濃度で使用可能である。しかしながら、過剰のガラクトシルアクセプターは、通常、本発明に係るガラクトオリゴ糖含有組成物から除去しなければならないので、ガラクトシルアクセプターで混合物を飽和することは避けたほうがよい。
本発明のいくつかの実施形態では、ステップa)の混合物は、少なくとも0.05mol/L、好ましくは少なくとも0.10mol/L、さらにより好ましくは少なくとも0.30mol/Lの量でガラクトシルアクセプターを含む。さらに高濃度のガラクトシルアクセプターが好ましいこともありうるので、ステップa)の混合物は、たとえば、少なくとも0.5mol/L、好ましくは少なくとも0.7mol/L、さらにより好ましくは少なくとも1mol/Lの量でガラクトシルアクセプターを含みうる。
混合物は、たとえば、0.05mol/L〜5mol/Lの範囲内、好ましくは0.1mol/L〜2mol/Lの範囲内、さらにより好ましくは0.3mol/L〜1mol/Lの範囲内の濃度でガラクトシルアクセプターを含みうる。
しかしながら、いくつかの実施形態では、比較的低濃度のガラクトシルアクセプターが好ましく、その場合、混合物は、たとえば、多くとも2mol/L、好ましくは多くとも0.5mol/L、さらにより好ましくは多くとも0.2mol/Lの濃度でガラクトシルアクセプターを含みうる。たとえば、混合物は、0.05mol/L〜2mol/Lの範囲内、好ましくは0.06mol/L〜1mol/Lの範囲内、さらにより好ましくは0.08mol/L〜0.8mol/Lの範囲内の濃度でガラクトシルアクセプターを含みうる。
ガラクトシルアクセプターおよびガラクトシルドナーに加えて、混合物は、酵素反応の条件を最適化のために、種々の添加剤をさらに含有しうる。
混合物は、たとえば、混合物のpHを第1の酵素の最適pH値に調整するために、1種以上のpH緩衝剤を含有しうる。他の選択肢としてまたは追加として、混合物は、1種以上の金属イオンを含有する水溶性塩を含みうる。特定の第1の酵素に依存して、たとえば、Ca2+、Zn2+、Mg2+などの金属イオンを使用しうる。しかしながら、いくつかの第1の酵素は、混合物中の金属イオンの存在に対して非感受性であることに留意されたい。
オリゴ糖の従来の合成方法では、多くの場合、たとえば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)などの水分活性低下剤が利用される。本発明によれば、有利なことに、そのような水分活性低下剤を用いることなくガラクトオリゴ糖の効率的な合成を行うことが可能になる。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、混合物は、混合物の重量を基準にして多くとも5重量%、好ましくは多くとも1重量%、さらにより好ましくは多くとも0.1重量%の量で水分活性低下剤を含有する。たとえば、混合物は、混合物の重量を基準にして多くとも0.05重量%の量で水分活性低下剤を含有しうる。
ステップa)の混合物または混合物を形成する成分は、反応時の微生物増殖を回避するために、第1の酵素による反応前に熱処理されたものであってもよい。低温殺菌(たとえば、72℃で15秒間)、高温殺菌(たとえば、90℃で15秒間)、UHT処理(たとえば、140℃で4秒間)などの通常の熱処理プロセスを使用することが可能である。温度不安定性酵素を熱処理する場合、注意を払うべきである。
ステップb)は、好ましくはβ−ガラクトシダーゼ活性を有する第1の酵素の提供を含む。好ましくは、第1の酵素は、β−ガラクトシダーゼ活性に加えてガラクトシル転移活性を有する。また、第1の酵素は、多くとも0.9のT値を有することが好ましいこともありうる。本方法は、追加の酵素、たとえば、β−ガラクトシダーゼ活性またはガラクトシル転移活性とは異なる酵素活性を有する酵素の使用をさらに含みうることに留意すべきである。
本発明との関連では、「β−ガラクトシダーゼ活性」という用語は、ラクトースなどのβ−D−ガラクトシド中の末端の非還元性β−D−ガラクトース残基を加水分解する酵素触媒作用を意味する。本発明で使用される第1の酵素は、好ましくは、クラスEC3.2.1.23に属する。
第1の酵素は、T値が多くとも0.9であることが好ましい。本発明のいくつかの実施形態では、第1の酵素のT値は、多くとも0.8、好ましくは多くとも0.7、さらにより好ましくは多くとも0.6である。たとえば、第1の酵素のT値は、多くとも0.5でありうる。好ましくは、第1の酵素のT値は、多くとも0.4でありうる。さらに、第1の酵素のT値は、多くとも0.3であることがより好ましいこともありうる。
多くとも0.2などのようなさらに低いT値が好ましいこともありうる。
有用な第1の酵素は、たとえば、配列番号1のDNA配列によりコードされるペプチドから誘導されうる。たとえば、有用な第1の酵素を誘導しうるそのようなペプチドの例は、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチドである。
配列番号1および配列番号2は、PCT出願国際公開第01/90,317A2号パンフレットに見いだされうる。そこでは、それらは、配列番号1および配列番号2として参照されている。そのほかにも、国際公開第01/90,317A2号パンフレットには、さらなる有用な第1の酵素が見いだされうる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の酵素は、配列番号2のペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。たとえば、第1の酵素は、配列番号2のペプチドに対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。いくつかの場合、第1の酵素は、配列番号2のペプチドに対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。
本発明との関連では、「配列同一性」という用語は、等しい長さの2つのアミノ酸配列間または等しい長さの2つの核酸配列間の同一度の定量的尺度を意味する。比較される2つの配列が等しい長さでない場合、それらは、できる限り最良の当てはめになるようにアライメントされなければならない。配列同一性は、
(Nref−Ndif)×100)/(Nref
(ここで、Ndifは、2つの配列中の同一でない残基の全数であり、かつNrefは、1つの配列中の残基の数である)
として計算可能である。したがって、DNA配列AGTCAGTCは、配列AATCAATCに対して75%の配列同一性(Ndif=2およびNref=8)を有するであろう。ギャップは、特定の残基の非同一物としてカウントされる。すなわち、DNA配列AGTGTCは、DNA配列AGTCAGTCに対して75%の配列同一性(Ndif=2およびNref=8)を有であろう。配列同一性は、たとえば、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)により提供されるBLASTpアルゴリズムなどの適切なBLASTプログラムを用いて計算可能である。
本発明の他の好ましい実施形態では、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する。たとえば、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のペプチドに対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97.5%の配列同一性を有しうる。いくつかの場合、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のペプチドに対して少なくとも99%の配列同一性を有しうる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Gly(950)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。たとえば、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Gly(950)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。いくつかの場合、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Gly(950)に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。
本発明の他の好ましい実施形態では、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Gly(950)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。たとえば、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Gly(950)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97.5%の配列同一性を有しうる。いくつかの場合、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Gly(950)に対して少なくとも99%の配列同一性を有しうる。したがって、第1の酵素は、たとえば、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Gly(950)を有しうる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Glu(917)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。たとえば、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Glu(917)に対して少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97.5%を有するアミノ酸配列を含みうる。いくつかの場合、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Glu(917)に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。
本発明の他の好ましい実施形態では、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Glu(917)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。たとえば、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Glu(917)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97.5%の配列同一性を有しうる。いくつかの場合、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Glu(917)に対して少なくとも99%の配列同一性を有しうる。したがって、第1の酵素は、たとえば、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Glu(917)を有しうる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Met(1)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。たとえば、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Met(1)〜Ile(1174)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。いくつかの場合、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Met(1)〜Ile(1174)に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。
本発明の他の好ましい実施形態では、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Met(1)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。たとえば、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Met(1)〜Ile(1174)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97.5%の配列同一性を有しうる。いくつかの場合、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Met(1)〜Ile(1174)に対して少なくとも99%の配列同一性を有しうる。
本発明のいくつかの現在のところ好ましい実施形態では、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Met(1)〜Ile(1174)を有する。
本発明のいくつかの実施形態では、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。たとえば、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。いくつかの場合、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。
本発明の他の実施形態では、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有しうる。たとえば、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97.5%の配列同一性を有しうる。いくつかの場合、第1の酵素のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)に対して少なくとも99%の配列同一性を有しうる。したがって、第1の酵素は、たとえば、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)を有しうる。
本発明のいくつかの現在のところ好ましい実施形態では、第1の酵素は、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)を有する。
第1の酵素は、たとえば、
・配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Met(1)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Gly(950)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列
を含みうる。
他の選択肢として、第1の酵素は、たとえば、
・配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Met(1)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Gly(950)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列
からなりうる。
第1の酵素は、たとえば、
・配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Met(1)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Gly(950)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Glu(917)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列
を含みうる。
他の選択肢として、第1の酵素は、たとえば、
・配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Met(1)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Gly(950)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Ile(1174)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
・配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Glu(917)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列
からなりうる。
本発明のいくつかの実施形態では、第1の酵素は、たとえば、表1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。第1の酵素は、たとえば、表1に示されるアミノ酸配列を含む。他の選択肢として、第1の酵素のアミノ酸配列は、表1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有しうる。第1の酵素は、たとえば、表1に示されるアミノ酸配列を有する。
Figure 0006183921
本発明のいくつかの実施形態では、酵素は、たとえば、表2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。酵素は、たとえば、表2に示されるアミノ酸配列を含む。他の選択肢として、酵素のアミノ酸配列は、表2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有しうる。酵素は、たとえば、表2に示されるアミノ酸配列を有する。
Figure 0006183921
本発明のいくつかの実施形態では、酵素は、たとえば、表3に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。酵素は、たとえば、表3に示されるアミノ酸配列を含む。他の選択肢として、酵素のアミノ酸配列は、表3に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有しうる。酵素は、たとえば、表3に示されるアミノ酸配列を有する。
Figure 0006183921
本発明のいくつかの実施形態では、酵素は、たとえば、表4に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。酵素は、たとえば、表4に示されるアミノ酸配列を含む。他の選択肢として、酵素のアミノ酸配列は、表4に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有しうる。酵素は、たとえば、表4に示されるアミノ酸配列を有する。
Figure 0006183921
本発明のいくつかの実施形態では、第1の酵素は、たとえば、表5に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。第1の酵素は、たとえば、表5に示されるアミノ酸配列を含む。他の選択肢として、第1の酵素のアミノ酸配列は、表5に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有しうる。第1の酵素は、たとえば、表5に示されるアミノ酸配列を有する。
Figure 0006183921
本発明のいくつかの実施形態では、第1の酵素は、たとえば、表6に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。第1の酵素は、たとえば、表6に示されるアミノ酸配列を含む。他の選択肢として、第1の酵素のアミノ酸配列は、表6に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有しうる。第1の酵素は、たとえば、表6に示されるアミノ酸配列を有する。
Figure 0006183921
ガラクトシル転移活性を有する有用な第1の酵素の他の例は、国際公開第2011/120993A1号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に見いだされうる。
本発明のいくつかの実施形態では、第1の酵素は、1個以上のグリコシル化アミノ酸を含有しうる。他の選択肢としてまたは追加として、第1の酵素は、1個以上のリン酸化アミノ酸を含有しうる。他の選択肢として、第1の酵素のアミノ酸はいずれも、グリコシル化もリン酸化もされない。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の酵素は、少なくとも2つのサブユニットを含み、各サブユニットは、以上に定義された第1の酵素からなる。
第1の酵素は、好ましくは、混合物に接触することにより、ガラクトシルアクセプターとガラクトシルドナーとの両方に接触する。
本発明のいくつかの実施形態では、混合物は、第1の酵素および/または第2の酵素を含む。第1の酵素および/または第2の酵素は、たとえば、溶解形態で、たとえば、単一の酵素分子としてまたは酵素分子の可溶性アグリゲートとして存在しうる。
本発明の他の実施形態では、第1の酵素および/または第2の酵素は、混合物から分離されているが、第1の酵素および/または第2の酵素を混合物に接触させることにより、ガラクトシルドナーおよびガラクトシルアクセプターに接触する。たとえば、固定固相上に固定された第1の酵素および/または第2の酵素を使用しうる。有用な固定固相の例は、たとえば、フィルター、第1の酵素を含有する粒子の充填床、または類似の構造である。
他の選択肢として、固相は、たとえば、混合物の一部を形成する自由流動性粒子状固相、たとえば、有機または無機のビーズでありうる。
固定化技術および好適な固相タイプをはじめとする酵素の工業的使用に関する詳細は、Buchholz(2005)(参照によりあらゆる目的で本明細書に組み込まれる)に見いだされうる。
第1の酵素は、好ましくは、ガラクトオリゴ糖の許容可能な収率を得るのに十分な活性で使用される。最適な活性は、プロセスの特定の実施形態に依存し、当業者により容易に決定可能である。
ガラクトシルドナーの高い代謝回転およびガラクトオリゴ糖の高い収率が必要とされる場合、第1の酵素を比較的高い活性で使用することが好ましいこともありうる。たとえば、第1の酵素の活性は、ガラクトシルドナーの代謝回転が少なくとも0.02mol/(L・h)、好ましくは少なくとも0.2mol/(L・h)、さらにより好ましくは少なくとも2mol/(L・h)になるようにするものでありうる。
酵素反応は、ステップc)のインキュベーション時に行われる。ガラクトシル転移は、通常、混合物を適正条件に暴露したらできる限り早く(ガラクトシルアクセプターおよびガラクトシルドナーを第1の酵素に接触させたほぼ直後でありうる)開始され、本発明のいくつかの実施形態では、ステップb)およびc)は、同時に行われる。
第1の酵素は、ガラクトシルドナーの脱離基を放出させて、ガラクトシル基をガラクトシルドナーからガラクトシルアクセプターに転移することが可能である。たとえば、ガラクトシルドナーがラクトースである場合、グルコースが放出されて、ガラクトシル基がアクセプターに転移される。第1の酵素は、酵素反応時に触媒として作用する。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の酵素は、ガラクトシル基をすでにガラクトシル化されたガラクトシルアクセプターにさらに転移することにより、2個、3個、さらにはそれ以上のガラクトシル基を含有するガラクトシルアクセプターを生成する。
インキュベート中の混合物のpHは、好ましくは、第1の酵素の最適pHの近傍である。本発明のいくつかの実施形態では、ステップc)でのインキュベート中の混合物のpHは、pH3〜9の範囲内である。たとえば、ステップc)でのインキュベート中の混合物のpHは、pH4〜8の範囲内、たとえばpH5〜7.5の範囲内でありうる。
pHと同様に、インキュベート中の混合物の温度は、好ましくは、使用される第1の酵素の最適温度に調整される。本発明のいくつかの実施形態では、ステップc)のインキュベート中の混合物の温度は、10〜80℃の範囲内である。インキュベート中の混合物の温度は、たとえば、20〜70℃の範囲内、好ましくは25〜60℃の範囲内、さらにより好ましくは30〜50℃の範囲内でありうる。
本発明との関連では、「第1の酵素の最適pH」という用語は、第1の酵素が最大ガラクトシル転移活性を有するpHを意味する。同一の手順に沿って、「第1の酵素の最適温度」という用語は、第1の酵素が最大ガラクトシル転移活性を有する温度を意味する。
ステップc)は、インキュベート中の混合物を撹拌することをさらに含みうる。
遊離脱離基の除去は、ステップc)のインキュベーション時に行われる。除去は、たとえば、ステップc)の開始直後に開始されうるか、または有意量の遊離脱離基がインキュベート中の混合物中に蓄積し始めるまで延期されうる。
遊離脱離基は、たとえば、インキュベート中の混合物中に存在する微生物によりインキュベート中の混合物から除去されうる。
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、本方法は、ガラクトシルドナーから放出された遊離脱離基を変換可能な微生物を提供することと、ガラクトシルドナーから放出された脱離基をインキュベーション時に前記微生物により除去することと、をさらに含む。
有用な微生物は、好ましくは、インキュベート中の混合物から遊離脱離基を選択的に除去可能であり、たとえば、これを代謝可能であるか、またはガラクトオリゴ糖の合成を脱離基ほど妨害しない変換生成物に変換可能である。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、微生物による遊離脱離基の除去速度は、それによるガラクトシルアクセプターの除去速度の少なくとも10倍である。
たとえば、微生物による遊離脱離基の除去速度は、それによるガラクトシルアクセプターの除去速度の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも10倍、さらに好ましくはそれによるガラクトシルアクセプターの除去速度の少なくとも10倍でありうる。微生物による遊離脱離基の除去速度は、たとえば、それによるガラクトシルアクセプターの除去速度の少なくとも10倍でありうる。さらに、微生物による遊離脱離基の除去速度は、それによるガラクトシルアクセプターの除去速度の少なくとも10倍であることが好ましいこともありうる。さらに好ましくは少なくとも10倍でありうる。
本発明との関連では、「除去速度」という用語は、微生物によりインキュベート中の混合物から1分間あたりに除去可能な遊離脱離基、ドナー、アクセプター、またはモノガラクトシル化アクセプターのモル数を意味する。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、微生物による遊離脱離基の除去速度は、それによるガラクトシルドナーの除去速度の少なくとも10倍である。
たとえば、微生物による遊離脱離基の除去速度は、それによるガラクトシルドナーの除去速度の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも10倍、さらに好ましくはそれによるガラクトシルドナーの除去速度の少なくとも10倍でありうる。微生物による遊離脱離基の除去速度は、たとえば、それによるガラクトシルドナーの除去速度の少なくとも10倍でありうる。さらに、微生物による遊離脱離基の除去速度は、それによるガラクトシルドナーの除去速度の少なくとも10倍であることが好ましいこともありうる。さらに好ましくは少なくとも10倍でありうる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、微生物による遊離脱離基の除去速度は、それによるモノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターの除去速度の少なくとも10倍である。
たとえば、微生物による遊離脱離基の除去速度は、それによるモノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターの除去速度の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも10倍、さらに好ましくはそれによるモノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターの除去速度の少なくとも10倍でありうる。微生物による遊離脱離基の除去速度は、たとえば、それによるモノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターの除去速度の少なくとも10倍でありうる。さらに、微生物による遊離脱離基の除去速度は、それによるモノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターの除去速度の少なくとも10倍であることが好ましいこともありうる。さらに好ましくは少なくとも少なくとも10倍でありうる。
微生物は、好ましくは、酵母または細菌である。
サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は、有用酵母の例であり、有用細菌は、たとえば、LacZ陰性E.コリ(E.coli)株またはグルコースを代謝可能であるがラクトースを代謝可能でない他の細菌でありうる。
他の選択肢としてまたは追加として、遊離脱離基は、脱離基を他の化学種に変換する特異的酵素を利用してインキュベート中の混合物から除去されうる。
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、本方法は、ガラクトシルドナーから放出された遊離脱離基を変換可能な第2の酵素を提供することと、ガラクトシルドナーから放出された脱離基をインキュベーション時に前記第2の酵素により変換することと、をさらに含む。
「遊離脱離基を変換する」という用語は、遊離脱離基を好ましくは遊離脱離基それ自体よりも弱いガラクトシルアクセプターである化学種に変換するプロセスを意味する。変換は、遊離脱離基をいくつかのより小さい化学種に分解することを含みうるか、または単に遊離脱離基を異なる化学種に変換することを含みうる。
本発明は、たとえば、1種以上のガラクトオリゴ糖を含む組成物の製造方法に関する。この方法は、
a)
・脱離基に結合されたガラクトシル基を含むガラクトシルドナーであって、多くとも350g/molのモル重量を有するガラクトシルドナーと、
・ガラクトシルドナーとは異なるガラクトシルアクセプターであって、糖または糖アルコールであるガラクトシルアクセプター、
を含む混合物を提供するステップであって、ガラクトシルアクセプターとガラクトシルドナーとのモル比は、少なくとも1:10であり、かつ混合物は、少なくとも0.05mol/Lのガラクトシルアクセプターを含む提供するステップ、
b)第1の酵素と第2の酵素とを提供するステップであって、前記第1の酵素は、β−ガラクトシダーゼ活性を有しかつT値が多くとも0.9であり、前記第2の酵素は、ガラクトシルドナーから放出された遊離脱離基を変換可能であり、かつ前記第1および第2の酵素は、混合物に接触する提供するステップ、および
c)第1の酵素によりガラクトシルドナーの脱離基を放出させてガラクトシルドナーのガラクトシル基をガラクトシルアクセプターに転移することによりガラクトオリゴ糖を形成するとともに、ガラクトシルドナーから放出された脱離基を第2の酵素により変換することにより、ガラクトオリゴ糖を含む組成物を取得するステップ、
を含む。
第2の酵素は、たとえば、ヘキソースオキシダーゼ活性を有しうる。すなわち、酵素クラスEC1.1.3.5に属し、Oによるβ−D−グルコースの酸化を触媒してD−グルコノ−1,5−ラクトンと過酸化水素とを形成する能力を有しうる。
第2の酵素は、グルコースオキシダーゼ活性を有することがさらにより好ましい。すなわち、酵素クラスEC1.1.3.4に属し、Oによるβ−D−グルコースの酸化を触媒してラクトースなどのグルコース含有二糖の有意な酸化を伴うことなくD−グルコノ−1,5−ラクトンと過酸化水素とを形成する能力を有する。
水性酸性環境では、D−グルコノ−1,5−ラクトンは、典型的には、加水分解してグルコン酸を形成する。
他の選択肢として、第2の酵素は、ヘキソキナーゼ活性(EC2.7.1.1)またはグルコキナーゼ活性(EC2.7.1.2)を有しうる。
他の有用な第2の酵素は、たとえば、当業者であれば入手可能なハンドブック中に見いだされうる。
第2の酵素は、それによる遊離脱離基の変換に関して選択的であり、ガラクトシルドナー、ガラクトシルアクセプター、および/またはガラクトオリゴ糖を限られた範囲内でのみ変換し、好ましくはまったく変換しないことが好ましい。
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍である。
たとえば、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも10倍、さらにより好ましくはガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍でありうる。遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、たとえば、ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍でありうる。さらに、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍であることが好ましいこともありうる。さらにより好ましくは少なくとも10倍でありうる。
「特異性定数」という用語は、kcat/Kとして決定され、反応のすべてのステップの速度定数を内包する。特異性定数は、親和性および触媒能力の両方を反映するので、異なる酵素を互いに比較したり、同一の酵素で異なる基質を比較したりするのに有用である。特異性定数の理論最大値は、限界と呼ばれ、約10〜10(M−1−1)である。この点では、酵素とその基質との衝突はすべて、触媒作用をもたらすであろう。また、生成物生成速度は、反応速度が律速ではなく、拡散速度が律速となる。
第2の酵素のkcatおよびKは、pH6.5に調整された50mM NaPO緩衝液を用いて37度で決定される。緩衝液は、酵素の最適性能に必要とされる塩および補因子をさらに含有する。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍である。
たとえば、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも10倍、さらにより好ましくはガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍でありうる。遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、たとえば、ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍でありうる。さらに、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍であることが好ましいこともありうる。さらにより好ましくは少なくとも10倍でありうる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプター(Gal−X)に対するその特異性定数の少なくとも10倍である。
たとえば、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも10倍、さらにより好ましくはモノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍でありうる。遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、たとえば、モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍でありうる。さらに、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍であることが好ましいこともありうる。さらにより好ましくは少なくとも10倍でありうる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、
・ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍、
・ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍、かつ
・モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍
である。
たとえば、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、
・ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍、
・ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍、かつ
・モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10
でありうる。
好ましくは、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、
・ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍、
・ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍、かつ
・モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10
でありうる。
他の選択肢として、遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、
・ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍、
・ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍、かつ
・モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10
でありうる。
遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、
・ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍、
・ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍、かつ
・モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10
でありうる。
遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、
・ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍、
・ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍、かつ
・モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10
であることがさらにより好ましい。
遊離脱離基に対する第2の酵素の特異性定数は、たとえば、
・ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍、
・ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍、かつ
・モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10
である。
第2の酵素は、グルコースオキシダーゼ活性を有し、かつガラクトシルドナーの脱離基は、グルコシル基であることがとくに好ましい。その場合、遊離脱離基は、グルコースである。第2の酵素がグルコースオキシダーゼ活性を有する場合、ラクトースは、好ましいガラクトシルドナーである。
グルコースオキシダーゼは、酸化剤としてO2を必要とするので、水中の溶存O2の通常量が不十分な場合、インキュベート中の混合物に追加のO(g)を添加することが必要なこともありうる。また、所要により、インキュベート中の混合物にFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)やNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)などの補因子を添加することも可能である。
以上に述べたように、グルコースオキシダーゼがグルコースからD−グルコノ−1,5−ラクトンへの酸化を触媒するときにHが形成され、高レベルのHが、たとえば、使用される酵素の望ましくない酸化に起因して、プロセスの問題になりうる。本発明のいくつかの実施形態では、本方法は、インキュベート中の混合物に接触する、かつHからたとえばHOおよびOへの分解を触媒する、ペルオキシダーゼまたはカタラーゼを提供することをさらに含む。グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼは両方とも、先行技術では周知であり、市販されている。有用なグルコースオキシダーゼの例は、Glyzyme BG(Novozymes、Denmark)である。有用なカタラーゼ酵素の例は、Catazyme 25L(Novozymes、Denmark)である。他の例は、ミクロコッカス・リソデイクティカス(Micrococcus lysodeikticus)由来のカタラーゼ酵素(Sigma−Aldrich、Denmark)である。
本方法は、インキュベート中の混合物と、ラクトナーゼ、好ましくはグルコノラクトナーゼ、すなわち、D−グルコノ−1,5−ラクトンをグルコン酸またはその対応する塩基グルコン酸塩に加水分解可能な酵素(EC3.1.1.17)と、を接触させることをさらに含みうる。
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、インキュベート中の混合物は、グルコースオキシダーゼ活性を有する酵素、グルコースオキシダーゼ活性カタラーゼ活性を有する酵素、およびグルコノラクトナーゼ活性を有する酵素に接触させる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、本方法は、第2の酵素により脱離基を変換することにより得られた変換生成物の少なくとも一部を除去可能な除去剤を提供することと、除去剤により変換生成物の少なくとも一部をインキュベーション時に除去することと、をさらに含む。
本発明との関連では、「除去剤」という用語は、変換生成物を捕獲して、インキュベート中の混合物からたとえば沈殿によりそれを除去可能な粒子状または分子状の作用剤を意味する。
除去剤は、たとえば、二価または三価の金属イオンの塩を含みうるか、さらにはそれらからなりうる。有用な金属イオンの例は、Ca2+、Fe2+、Al3+、またはZn2+である。
本発明の好ましい実施形態では、除去剤は、CaCOを含むか、さらにはそれからなる。
負荷電変換生成物、たとえば、グルコン酸イオン、すなわち、脱プロトン化された形態のグルコン酸は、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて除去されうる。
したがって、除去剤は、陰イオン交換材料を含みうるか、さらにはそれからなりうる。
本発明のいくつかの実施形態では、陰イオン交換材料は、固相と1つ以上の陽イオン性基とを含む。
好ましくは、陽イオン性基の少なくともいくつかは、固相の外表面におよび/または固相の表面を通って到達可能な細孔の表面に結合される。
本発明のいくつかの実施形態では、陰イオン交換材料の固相は、複数の粒子、フィルター、および膜からなる群から選択される1つ以上の要素を含む。
固相は、たとえば、多糖を含みうるか、さらにはそれからなりうる。架橋多糖は、とくに好ましい。有用な多糖の例は、セルロース、アガロース、および/またはデキストランである。他の選択肢として、固相は、非炭水化物ポリマーを含みうるか、さらにはそれからりうる。有用な非炭水化物ポリマーの例は、メタクリレート、ポリスチレン、および/またはスチレン−ジビニルベンゼンである。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、陽イオン性基は、アミノ基を含むか、さらにはそれからなる。第三級アミノ基は、とくに好ましく、適切なpH条件下で第四級アンモニウム基を生じる。第四級アンモニウム基は、陰イオン交換材料に強力な陰イオン交換特性を提供する。
他の選択肢としてまたは追加として、陽イオン性基は、1つ以上の第一級または第二級のアミノ基を含みうる。実質的量の第一級または第二級のアミノ基は、典型的には、弱いアニオン交換特性を有する陰イオン交換材料を提供する。陰イオン交換クロマトグラフィーおよびその工業的実施形態に関するより詳細な内容は、Scopes(参照によりあらゆる目的で本明細書に組み込まれる)に見いだされうる。
変換生成物の捕獲のために陰イオン交換材料を使用する場合、陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に生成される変換生成物の全量を基準にして、たとえば、少なくとも30%(mol/mol)でありうる。たとえば、陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に生成される変換生成物の全量を基準にして、少なくとも50%(mol/mol)でありうる。他の選択肢として、陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に生成される変換生成物の全量を基準にして、少なくとも80%(mol/mol)でありうる。
利用時、除去剤は、好ましくは、合成プロセス時に形成された変換脱離基の理論量を沈殿または捕獲するのに十分な量で存在する。
したがって、陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に生成される変換生成物の全量を基準にして、たとえば、少なくとも100%(mol/mol)でありうる。たとえば、陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に生成される変換生成物の全量を基準にして、少なくとも150%(mol/mol)でありうる。他の選択肢として、陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に生成される変換生成物の全量を基準にして、少なくとも200%(mol/mol)でありうる。
インキュベーション時に生成される変換生成物の全量は、たとえば、使用される酵素に対して計画されたプロセス条件および速度論的データから推定されうる。
他の選択肢として、放出される脱離基の予想量は、陰イオン交換材料の投入のための指針として使用されうる。したがって、陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に放出される脱離基の全量を基準にして、たとえば、少なくとも30%(mol/mol)でありうる。たとえば、陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に放出される脱離基の全量を基準にして、少なくとも50%(mol/mol)でありうる。他の選択肢として、陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に放出される脱離基の全量を基準にして、少なくとも80%(mol/mol)でありうる。
陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に放出される脱離基の全量を基準にして、たとえば、少なくとも100%(mol/mol)でありうる。たとえば、陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に放出される脱離基の全量を基準にして、少なくとも150%(mol/mol)でありうる。他の選択肢として、陰イオン交換材料の全結合容量は、インキュベーション時に放出される脱離基の全量を基準にして、少なくとも200%(mol/mol)でありうる。
本発明者らは、本方法が、驚くべきことに、比較的低濃度のガラクトシルドナーを使用したとしても、ガラクトオリゴ糖の高い収率を提供することを発見した。比較的低濃度のガラクトシルドナーは、ドナーの自己ガラクトシル化(すなわち、第1のガラクトシルドナーのガラクトシル基が、ガラクトシルアクセプターにではなく、第2のガラクトシルドナーに転移される場合)の度合いを追加的に低減する。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップc)は、混合物へのさらなるガラクトシルドナーの添加を含む。これは、比較的低濃度のガラクトシルドナーを使用する場合、とくに好ましい。より多くのガラクトシルドナーを添加することにより、混合物中のガラクトシルドナーの枯渇が回避され、酵素反応時にガラクトシルドナーの濃度が制御されうる。
さらなるガラクトシルドナーの添加は、ガラクトシルドナーの個別添加、たとえば、酵素反応時の少なくとも1回の添加を含みうる。他の選択肢としてまたは追加として、さらなるガラクトシルドナーの添加は、酵素反応時の連続添加でありうる。さらなるガラクトシルドナーは、好ましくは、ステップa)で使用されるものと同一のタイプである。
ステップc)は、たとえば、インキュベーション時にガラクトシルドナーの濃度を測定して、濃度が低すぎる場合に追加のガラクトシルドナーを添加することを含む。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップc)での混合物のガラクトシルドナーの濃度は、0.01〜1mol/Lの範囲内、好ましくは0.01〜0.5mol/Lの範囲内、好ましくは0.03〜0.3mol/Lの範囲内の濃度に維持される。
たとえば、ステップc)での混合物のガラクトシルドナーの濃度は、0.02〜0.1mol/Lの範囲内の濃度に維持されうる。
ステップc)は、さらなるガラクトシルアクセプターの添加をさらに含みうる。これにより、ステップc)で混合物のガラクトシルアクセプター濃度を制御ことが可能になる。たとえば、所望により、ガラクトシルアクセプター濃度を実質的に一定に維持することが可能になる。
2個または3個の転移ガラクトシル基を含有する有意量のガラクトオリゴ糖を生成するために、ガラクトシルアクセプターよりも多くのガラクトシルドナーをプロセスで消費するべきである。それにより、ガラクトシルアクセプターが多くなれば、2倍または3倍ガラクトシル化されるようになるであろう。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、消費されるガラクトシルドナーと消費されるガラクトシルアクセプターとのモル比は、少なくとも1:1、好ましくは少なくとも5:1、さらにより好ましくは少なくとも10:1である。
ステップc)は、典型的には、酵素を不活性化することにより、たとえば、熱処理で第1の酵素を変性させることにより、または第1の酵素とインキュベート混合物の炭水化物との接触を回避することにより、終了する。第1の酵素が固相に固定された酵素である場合、接触は、たとえば、固相とインキュベート混合物とを分離することにより解除可能である。第1の酵素を混合物中に溶解した場合、第1の酵素は、第1の酵素を保持するがオリゴ糖を通過させるフィルターを用いた限外濾過により、インキュベート混合物から分離可能である。
多くの場合、組成物のガラクトオリゴ糖を富化および/または精製したり、ガラクトシルアクセプター、ガラクトシルドナー、および放出された脱離基の濃度を低減したりすることが必要とされる。
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、本方法は、
d)ステップc)の組成物のガラクトオリゴ糖を富化するステップ
をさらに含む。
本発明との関連では、「ガラクトオリゴ糖を富化する」という用語は、乾燥重量基準で組成物のガラクトオリゴ糖の相対量を増加させることを意味する。これは、典型的には、所要により、組成物の他の固形分のいくつか、たとえば、低級糖と、さらには任意選択で第1の酵素と、を除去するにより、行われる。
ステップd)の富化は、たとえば、クロマトグラフィー分離および/またはナノ濾過を含みうる。そのようなプロセスに関する詳細は、Walstra et al.(2006)(参照によりあらゆる目的で本明細書に組み込まれる)に記載されている。
本発明のいくつかの実施形態では、富化は、多くとも200g/molのモル重量を有する分子の少なくとも50%(乾燥重量基準w/w)をステップc)の組成物から除去することを含む。たとえば、富化は、多くとも200g/molのモル重量を有する分子の少なくとも80%(乾燥重量基準w/w)をステップc)の組成物から除去することを含みうる。
本発明の他の実施形態では、富化は、多くとも350g/molのモル重量を有する分子の少なくとも50%(乾燥重量基準w/w)をステップc)の組成物から除去することを含む。たとえば、富化は、多くとも350g/molのモル重量を有する分子の少なくとも80%(乾燥重量基準w/w)をステップc)の組成物から除去することを含みうる。
富化に代わる他の選択肢としてまたはそれに加えて、ステップd)は、組成物中のガラクトオリゴ糖の濃度を増加させる1つ以上のプロセスを含むことが好ましいこともありうる。有用な濃縮ステップの例は、たとえば、逆浸透、蒸発、および/またはスプレー乾燥である。
ステップd)は、除去剤および/または除去剤に結合された変換脱離基をステップc)の組成物から除去することをさらに含みうる。そのような除去は、たとえば、濾過、沈降、または遠心分離により行われうる。
本方法により提供されるガラクトオリゴ糖含有組成物は、たとえば、乾燥粉末の形態またはシロップの形態をとりうる。
乾燥粉末の製造は、典型的には、1つ以上のプロセスステップ、たとえば、濃縮、蒸発、および/またはスプレー乾燥を必要とする。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップd)は、粉末形態の組成物を得るために、液体形態の組成物を濃縮、蒸発、および/またはスプレー乾燥することをさらに含む。粉末状組成物を得るために、ステップd)の液体組成物をスプレー乾燥することがとくに好ましい。ステップd)は、たとえば、富化ステップと、それに続く濃縮ステップ、たとえば、ナノ濾過、逆浸透、または蒸発と、それに続くスプレー乾燥ステップと、を含む。他の選択肢として、ステップd)は、濃縮ステップと、それに続く富化ステップと、それに続くスプレー乾燥ステップと、を含みうる。富化前に組成物のガラクトオリゴ糖を濃縮することにより、後続の富化プロセスをより費用効率的にしうる。
効率的なスプレー乾燥を行うには、1種以上の助剤、たとえば、マルトデキストリン、乳タンパク質、カゼイネート、ホエータンパク質濃縮物、および/またはスキムミルク粉末を添加することが必要になりうる。
本プロセスは、たとえば、バッチプロセスとして実施されうる。本プロセスは、他の選択肢として、フェドバッチプロセスとして実施されうる。本プロセスは、他の選択肢として、連続プロセスとして実施されうる。
本プロセスは、第1の酵素および/または未使用のガラクトシルアクセプターを再循環させて混合物に戻すことをさらに含みうる。再循環は、たとえば、ステップd)の一部を形成しうる。たとえば、ステップd)は、ガラクトシルアクセプターおよび/または第1の酵素をガラクトオリゴ糖含有組成物から分離することと、ガラクトシルアクセプターおよび/または第1の酵素をステップa)またはc)に再循環させることと、を含みうる。バッチプロセスまたはフェドバッチプロセスの場合、ガラクトシルアクセプターおよび/または第1の酵素は、その次のバッチの混合物に再循環させうる。
連続プロセスの場合、ガラクトシルアクセプターは、再循環させてステップa)またはステップc)に対応するプロセスラインの一部に戻しうる。第1の酵素は、再循環させてステップb)またはステップc)に対応するプロセスラインの一部に戻しうる。
ステップa)およびb)に関連付けられる詳細および特徴は、製造プロセスの実際の開始に関連する必要はないが、少なくともプロセス時のどこかで生じるはずであることに留意すべきである。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態では、ガラクトシルドナーの濃度は、ステップc)の全継続時間にわたりステップa)に記載の範囲内に維持される。
本方法をバッチプロセスまたはフィードバッチプロセスとして実施する場合、ステップa)は、好ましくは、合成開始時の混合物の組成に関連する。本方法が連続プロセスである場合、ステップa)は、好ましくは、定常状態運転下の合成時の混合物の組成に関連する。
ガラクトシル化ガラクトシルドナーは、ガラクトシル化ガラクトシルアクセプターから分離するのが厄介な望ましくない不純物として認識されうるので、所望により、ガラクトシル化ガラクトシルドナーのレベルは、できる限り低く維持されると認識されうる。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップc)のインキュベート中の混合物は、多くとも0.5mol/Lのガラクトシル化ガラクトシルドナーを含有する。ステップc)のインキュベート中の混合物は、たとえば、多くとも0.1mol/Lのガラクトシル化ガラクトシルドナーを含有しうる。さらにより好ましくは、ステップc)のインキュベート中の混合物は、多くとも0.01mol/Lのガラクトシル化ガラクトシルドナーを含有し、好ましくはガラクトシル化ガラクトシルドナーを実質的にまったく含有しない。
ドナーがラクトースである本発明のいくつかの好ましい実施形態では、アロラクトースおよびガラクトシル化アロラクトースの全濃度は、これらの化合物もまた、ガラクトシル化ガラクトシルアクセプターから分離するのが困難な望ましくない不純物として認識されるので、できる限り低く維持される。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップc)のインキュベート中の混合物は、多くとも0.5mol/Lの全量でアロラクトースとガラクトシル化アロラクトースとを含有する。ステップc)のインキュベート中の混合物は、たとえば、多くとも0.1mol/Lの全量でアロラクトースとガラクトシル化アロラクトースとを含有しうる。さらにより好ましくは、ステップc)のインキュベート中の混合物は、多くとも0.01mol/Lの全量でアロラクトースとガラクトシル化アロラクトースとを含有し、好ましくは、アロラクトースおよびガラクトシル化アロラクトースをまったく含有しない。
そのほかに、本発明の態様は、ガラクトオリゴ糖を含む組成物に関する。この組成物は、本明細書に定義される方法により取得可能である。
本発明のさらなる態様は、ガラクトオリゴ糖含有組成物、たとえば、以上に挙げた組成物である。前記ガラクトオリゴ糖含有組成物は、
・一般式Gal−Xを有する第1のガラクトオリゴ糖と、
・化学量論式(Gal)X、たとえば、一般式Gal−Gal−Xなどを有する第2のガラクトオリゴ糖と、
・化学量論式(Gal)X、たとえば、一般式Gal−Gal−Gal−Xなどを有する第3のガラクトオリゴ糖と、
を含む。ただし、Xは、ラクトシルでもグルコシルでもないグリコシル基である。
本明細書に記載のガラクトオリゴ糖含有組成物は、たとえば、食品成分でありうる。
以上に記載したように、「X」または「−X」は、好ましくは、本明細書に挙げられたガラクトシルアクセプターの1つのグリコシル基である。
本発明のいくつかの実施形態では、「X」または「−X」は、グルコースではない単糖のグリコシル基である。本発明の他の実施形態では、「−X」は、ラクトースではない二糖のグリコシル基である。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、「X」または「−X」は、フコシル基である。本発明の他の好ましい実施形態では、「X」または「−X」は、ガラクトシル基である。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ガラクトオリゴ糖含有組成物は、
・ガラクトオリゴ糖Gal−X、(Gal)X、および(Gal)Xの全量と、
・ガラクトオリゴ糖Gal−Glc、GalGlc、GalGlcの全量と、
のモル比が少なくとも5:95である。たとえば、以上に挙げたモル比は、少なくとも1:4、好ましくは少なくとも1:1、さらにより好ましくは少なくとも2:1でありうる。さらに、以上に挙げたモル比は、少なくとも5:1、好ましくは少なくとも10:1、さらにより好ましくは少なくとも20:1であることが好ましいこともありうる。
本発明の他の好ましい実施形態では、ガラクトオリゴ糖含有組成物は、
・ガラクトオリゴ糖Gal−X、Gal−Gal−X、およびGal−Gal−Gal−Xの全量と、
・ガラクトオリゴ糖Gal−Glc、Gal−Gal−Glc、Gal−Gal−Gal−Glcの全量と、
のモル比が少なくとも5:95である。たとえば、以上に挙げたモル比は、少なくとも1:4、好ましくは少なくとも1:1、さらにより好ましくは少なくとも2:1でありうる。さらに、以上に挙げたモル比は、少なくとも5:1、好ましくは少なくとも10:1、さらにより好ましくは少なくとも20:1であることが好ましいこともありうる。
さらに、ガラクトオリゴ糖含有組成物は、式Gal−Glc、Gal−Gal−Glc、およびGal−Gal−Gal−Glcで示されるいずれのガラクトオリゴ糖もまったく含有しないことが可能である。
本発明のいくつかの実施形態では、ガラクトオリゴ糖含有組成物は、第1のガラクトオリゴ糖と第2のガラクトオリゴ糖と第3のガラクトオリゴ糖とのモル比が、50〜99:1〜45:0.5〜25の範囲内である。
本発明の他の実施形態では、ガラクトオリゴ糖含有組成物は、第1のガラクトオリゴ糖と第2のガラクトオリゴ糖と第3のガラクトオリゴ糖とのモル比が、20〜45:20〜45:20〜45の範囲内である。
本発明のさらなる実施形態では、ガラクトオリゴ糖含有組成物は、第1のガラクトオリゴ糖と第2のガラクトオリゴ糖と第3のガラクトオリゴ糖とのモル比が、0.5〜25:1〜45:50〜98の範囲内である。
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ガラクトオリゴ糖含有組成物は、ガラクトオリゴ糖含有組成物の全重量を基準にして少なくとも10重量%の全量で、第1のガラクトオリゴ糖と第2のガラクトオリゴ糖と第3のガラクトオリゴ糖とを含む。たとえば、ガラクトオリゴ糖含有組成物は、ガラクトオリゴ糖含有組成物の全重量を基準にして少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、さらにより好ましくはガラクトオリゴ糖含有組成物の全重量を基準にして少なくとも40%の全量で、第1のガラクトオリゴ糖と第2のガラクトオリゴ糖と第3のガラクトオリゴ糖とを含みうる。
さらに高レベルの第1のガラクトオリゴ糖、第2のガラクトオリゴ糖、および第3のガラクトオリゴ糖が好ましいこともありうる。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ガラクトオリゴ糖含有組成物は、ガラクトオリゴ糖含有組成物の全重量を基準にして少なくとも50重量%の全量で、第1のガラクトオリゴ糖と第2のガラクトオリゴ糖と第3のガラクトオリゴ糖とを含む。たとえば、ガラクトオリゴ糖含有組成物は、ガラクトオリゴ糖含有組成物の全重量を基準にして少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくはガラクトオリゴ糖含有組成物の全重量を基準にして少なくとも80%の全量で、第1のガラクトオリゴ糖と第2のガラクトオリゴ糖と第3のガラクトオリゴ糖とを含みうる。
そのほかに、本発明の態様は、本明細書に記載のガラクトオリゴ糖含有組成物を含む食品製品に関する。
本発明のいくつかの実施形態では、食品製品は、乳児用栄養食品製品や臨床用栄養食品製品などの機能性食品製品である。
本発明の他の実施形態では、食品製品は、焼成製品、たとえば、パン製品や類似製品などの焼成生地を含むものである。
本発明のさらなる実施形態では、食品製品は、乳製品、たとえば、牛乳などの新鮮乳製品またはヨーグルトなどの発酵乳製品である。
本発明のそのほかのさらなる実施形態では、食品製品は、ペットフード製品である。
本発明の態様の1つとの関連で記載した実施形態および特徴はまた、本発明の他の態様にも当てはまることに留意すべきである。
次に、本発明を以下の実施例でさらに詳細に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:ガラクトシル転移活性を有するβ−ガラクトシダーゼの調製
12時間増殖させた3.0のOD600を有する100mg/Lアンピシリン入りの溶原性ブロス(LB)培地の2mLのスターター培養物を750mLの実効体積の発酵培地に接種した。2%(w/v)酵母エキスと2%(w/v)ダイズペプトンと1%(w/v)グルコースと100mg/Lアンピシリンとを含有するEC培地中で発酵を行った。OLGA347β−ガラクトシダーゼ(配列番号2の配列Val(33)〜Ile(1174)を有する)を発現するE.コリ(E.coli)株は、以前に記載されたように調製した(Jorgensenらの米国特許第6,555,348B2号明細書の実施例1および2)。発酵槽は、全容積2Lのガラス皿状底槽を含むApplikon製のものであり、2つのRushtonインペラーを備えていた。発酵時、2M NaOHおよび2M HPOの適切な添加によりpHをpH6.5に維持し、かつ温度を37℃に制御した。1〜2L/minの速度で空気をバブリングすることにより酸素を供給し、かつ撹拌速度を増加させることによりpOを30%に維持した。オフラインOD600読取りにより、増殖を追跡した。約10時間の増殖後、29.7のOD600値で培養物を遠心分離により採取した。650mLの培養上清を−20℃で貯蔵した。細胞ペレットを200mLのスクロース緩衝液(30mM Tris−HCl、40%スクロース、2mM EDTA、pH7.5)中に再懸濁させて、室温で10分間インキュベートすることにより、ペリプラズムタンパク質を浸透圧ショックにより細胞ペレットから単離した。遠心分離後、上清を廃棄して、ペレットを200mLの冷水中に再懸濁させた。83μLの飽和MgCl溶液を添加して、ペリプラズムタンパク質を含有する上清を遠心分離ステップにより捕集した。ペリプラズム画分を0.2μmのMillipak 40フィルターに通して濾過滅菌し、そして−20℃で貯蔵した。
プロトコル(J.Sambrook and D.W.Russell,Molecular Cloning−A laboratory manual,3rd edition(2001),pp.17.48−17.51)に従って基質としてo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(OPNG)を用いて、200mLのペリプラズム画分および650mLの培養上清のβ−ガラクトシダーゼ活性を決定した。活性の大部分は、ペリプラズム画分(98%に対応する525単位)中に見いだされた。
実施例2:ガラクトシル転移活性を有する第2のβ−ガラクトシダーゼの調製
実施例1に記載の手順に沿って、ただし、配列番号2のアミノ酸配列Val(33)〜Glu(917)の発現に基づいて、第2のβ−ガラクトシダーゼ(OLGA917)を調製した。
実施例3:β−ガラクトシダーゼ酵素のT値の決定
β−ガラクトシダーゼ酵素のT値は、以下に与えられるアッセイおよび式に従って決定される。
アッセイ:
試験されるβ−ガラクトシダーゼ酵素、10mMクエン酸ナトリウム、1mMクエン酸マグネシウム、1mMクエン酸カルシウム、Milli−Q水(Millipore、USA)からなるpH6.5の3.3mLの酵素溶液を調製する。酵素溶液は、添加された33%(w/w)のラクトースを存在するアッセイ条件下で1時間以内に使用するのに十分な量でβ−ガラクトシダーゼ酵素を含有すべきである。酵素溶液の温度は、37℃にすべきである。
時間=Tで、82.5mgのラクトース一水和物(生化学用、Merck Germany)を酵素溶液に添加混合し、続いて、混合物を37℃で4時間インキュベートする。正確にTの1時間後、100μLのサンプルを捕集し、Milli−Q水で1:5希釈し、そして85℃に10分間加熱することにより不活性化させる。特徴付けまで不活性化混合物を−20℃に維持する。
特徴付け:
生成されたガラクトースの量(mol単位)および使用されたラクトース(mol単位)の量の決定は、任意の好適な分析技術を用いて行われうる。たとえば、Richmond et al.(1982)およびSimms et al.(1994)に記載の方法に従って、希釈混合物をHPLCにより分析しうる。他の有用な分析技術は、El Razzi(2002)に記載されている。
好適な分析技術の他の例は、ISO5765−2:2002(IDF79−2:2002)「ドライミルク、乾燥アイスミックス、およびプロセスチーズ(ラクトース含有率の決定)、第2部:ラクトースのガラクトース部分を利用した酵素法」である。
T値の計算:
T値は、アッセイの希釈混合物の特徴付けから得られるデータを用いて、以下の式に従って計算される。
Figure 0006183921
例−OLGA347酵素のT値:
実施例1のOLGA347酵素を用いて、以上に述べたアッセイを行った。
変換された(すなわち、使用された)ラクトースおよび生成されたガラクトースに関して、アッセイから得られた希釈混合物を分析HPLCにより分析した。HPLC装置は、Waters製のものであり、示差屈折計(RI検出器)およびBioRad Aminex HPX−87Cカラム(300×7.8mm、125−0055)を備えていた。0.05g/Lの酢酸Ca、0.3mL/minの流量、および20μLの注入量を用いて、アイソクラチックに糖の溶出を行った。
得られたデータを自動ソフトウェアにより適切にベースライン補正し、ピークを個別に同定して積分した。ラクトース一水和物(生化学用、Merck、Germany)、D−(+)−グルコース一水和物(生化学用、Merck Eurolab、France)、およびD−(+)−ガラクトース(≧99%、Sigma−Aldrich、Italy)の外部標準を用いて、定量を行った。
各時間Tに対するラクトースの変換およびガラクトースの形成を定量データから計算した。時間T=1hで、捕集された100μLのサンプル中でラクトースの29%が変換された。これは、2.3μmolのラクトースに対応する。時間T=1で、捕集された100μLのサンプル中で0.5μmolのガラクトースが形成された。したがって、T値は、0.5μmol/2.3μmol=0.2であると計算されうる。
また、変換された(すなわち、使用された)ラクトースおよび生成されたガラクトースに関して、アッセイから得られた希釈混合物を酵素法ISO5765−2により分析した。R−Biopharm製のBoehringer Mannheimラクトース/D−ガラクトース試験キット(Cat.No.10176303035)を使用し、プロトコルに従って試験を行った。酵素法によりOLGA347酵素のT値が0.2であることが確認された。
例−OLGA917酵素のT値:
実施例2で生成されたOLGA917酵素を用いて、以上に述べたT値アッセイを行い、以上に説明した手順に従って、T値を決定した。
OLGA917酵素のT値は、0.3と決定された。
例−従来のラクターゼ酵素のT値:
市販の従来のラクターゼ酵素Lactozym Pure2600L(Novozymes、Denmark)を用いて、以上に述べたアッセイを行った。OLGA347酵素に関連して記載したように、アッセイから得られた希釈混合物を分析した。三糖および四糖は、検出可能量で存在しなかった。また、等量のグルコースおよびガラクトースが見られた。対応するT値は、1である。
また、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)由来の市販のβ−ガラクトシダーゼ(製品番号:G6008、Sigma−Aldrich、Germany)およびアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)由来の市販のβ−ガラクトシダーゼ(製品番号:G5160、Sigma−Aldrich、Germany)のT値を決定した。両方の酵素は、約1.0のT値を有する。
実施例4:ドナー分子の逐次添加およびグルコース脱離基の変換によるL−フコシル含有ヘテロガラクトオリゴ糖の合成
表7に見いだされる量のL−(−)フコースおよびラクトース一水和物を100mLのMilliQ水中に溶解させた。各サンプルを37℃の温度に維持した。また、NaOHの連続添加によりpHを6.5に維持する。100L/minの速度で空気を混合物中に連続的にポンプ注入した。グルコースオキシダーゼ酵素GOX(DuPont、Denmark)をサンプル2に添加した。グルコースオキシダーゼ酵素Gluzyme(Novozymes、Denmark)をサンプル3に添加した。ミクロコッカス・リソデイクティカス(Micrococcus lysodeikticus)由来のカタラーゼ酵素(Sigma−Aldrich、Denmark)をサンプル2および3に添加した。実施例2のOLGA917酵素を各サンプルに添加した。250mLの全プロセス体積になるようにMilliQ水を添加した。この時間をT=0として定義した。ラクトース一水和物を30分間隔で5時間にわたりサンプルに添加した。
Figure 0006183921
T=4hおよびT=5hからの試験サンプルを実施例7に従ってHPLCにより分析したところ、有意量のガラクトシル化フコースを含有することが判明した。
実施例5:L−フコシル含有ヘテロガラクトオリゴ糖の合成ならびにグルコース脱離基の変換および除去、ただし、ドナー分子の逐次添加なし
表8に見いだされる量のL−(−)フコースおよびラクトース一水和物を100mLのMilliQ水中に溶解させた。各サンプルを37℃の温度に維持し、NaOHの連続添加によりpHを6.5に維持した。100L/minの速度で空気を混合物中に連続的にポンプ注入した。陰イオン交換樹脂Dowex66(Sigma−Aldrich、USA)を用意し、サンプル3に添加した。グルコースオキシダーゼ酵素GOX(DuPont、Denmark)をサンプル2および3に添加した。ミクロコッカス・リソデイクティカス(Micrococcus lysodeikticus)由来のカタラーゼ酵素(Sigma−Aldrich、Denmark)をサンプル2および3に添加した。実施例2のOLGA917酵素を各サンプルに添加した。表8に見いだされる全プロセス体積になるようにMilliQ水を添加した。この時間をT=0として定義した。
Figure 0006183921
T=4hおよびT=5hからの試験サンプルを実施例7に従ってHPLCにより分析したところ、この場合も、有意量のガラクトシル化フコースを含有することが判明した。
実施例6:ドナー分子の逐次添加、グルコース脱離基の変換、および変換脱離基の除去によるL−フコシル含有ヘテロガラクトオリゴ糖の合成
表9に見いだされる量のL−(−)フコースおよびラクトース一水和物を100mLのMilliQ水中に溶解させた。各サンプルを37℃の温度に維持し、NaOHの連続添加によりpHを6.5に維持した。100L/minの速度で空気を混合物中に連続的にポンプ注入した。陰イオン交換樹脂Dowex66(Sigma−Aldrich、USA)を用意し、各サンプルに添加した。グルコースオキシダーゼ酵素GOX(Danisco/DuPont、Denmark)をサンプル2に添加した。グルコースオキシダーゼ酵素Gluzyme(Novozymes、Denmark)をサンプル3に添加した。ミクロコッカス・リソデイクティカス(Micrococcus lysodeikticus)由来のカタラーゼ酵素(Sigma−Aldrich、Denmark)をサンプル2および3に添加した。実施例2のOLGA917酵素を各サンプルに添加した。250mLの全プロセス体積になるようにMilliQ水を添加した。この時間をT=0として定義した。ラクトース一水和物を30分間隔で5時間にわたりサンプルに添加した。
Figure 0006183921
時間T=4および5hで、1500μLの試験サンプルを採取し、実施例7に従ってHPLCおよび質量分析により分析した。サンプルは、有意量のガラクトシル化フコースを含有することが判明した。質量分析の結果、図4〜6に例示される。
図4は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合と除去しない場合とで、4時間インキュベーション後のガラクトシル化フコースの二糖、三糖、および四糖の積分応答のプロットを示している。遊離脱離基(グルコース)は、酵素変換により除去される。ガラクトシル化フコースの含有率は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合に増加することがわかる。
図5は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合と除去しない場合とで、5時間インキュベーション後のガラクトシル化フコースの二糖、三糖、および四糖の積分応答のプロットを示している。この場合も、ガラクトシル化フコースの含有率は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合に増加することがわかる。
図6は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合と除去しない場合とで、ガラクトシル化ドナー/脱離基の全積分応答(全GOS)と比較して、ガラクトシル化フコースの全積分応答(全HOS)のプロットを示している。ガラクトシル化ドナー/脱離基の全積分応答は、Gal−Glc分子、Gal−Gal−Glc分子、およびGal−Gal−Gal−Glc分子の積分応答の和である。ガラクトシル化フコースの全積分応答は、Gal−Fuc分子、Gal−Gal−Fuc分子、およびGal−Gal−Gal−Fuc分子の応答の和である。ガラクトシル化フコースの全積分応答は、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合に有意に増加するが、ガラクトシル化ドナー/脱離基の全積分応答は、ほとんど変化しないことがわかる。
結論:
この実施例では、インキュベーション時に遊離脱離基を除去した場合、ガラクトシル化アクセプター(意図された生成物)とガラクトシル化ドナー/脱離基(副生成物)との比が有意に増加することが実証される。
実施例7:L−フコシル含有ヘテロガラクトオリゴ糖を含有するサンプルの特徴付け
捕集されたサンプルをMilli−Q水で1:10希釈し、85℃で15分間加熱することにより不活性化させた。特徴付けまで不活性化混合物を−20℃に維持した。
分析HPLCを用いてサンプルを特徴付けした。0.22μmフィルターを用いてサンプルを濾過した。HPLC装置は、Waters製のものであり、示差屈折計(RI検出器)およびBioRad Aminex HPX−87Cカラム(300×7.8mm、125−0055)を備えていた。0.05g/Lの酢酸Ca、0.3mL/minの流量、および20μLの注入量を用いて、アイソクラチックに糖の溶出を行った。
Agilent 1200 API−ES LC/MSD Quadropole 6410を用いて、100〜1000amuの質量で走査することにより、質量分析を行った(ガス温度:350℃、乾燥ガス流量:13.0L/min、ネブライザー圧力:40psig)。LC分離に使用したカラムは、25℃で操作されるHyperCarb 2.1×150mm(Thermo Scientific、Denmark)である。5mM AcNH4水性溶液およびアセトニトリルを用いて、溶出を行った。
エレクトロスプレイインターフェイスからの共通のイオン化パターンに基づいて、イオンクロマトグラムを抽出した。抽出されたクロマトグラム中のピークを質量スペクトルに基づいて評価し、続いて、積分することにより、試験サンプルの種々の炭水化物種の積分応答を提供した。
参照文献
Buchholz(2005)“Biocatalysts and Enzyme technology”,Klaus Buchholz et al.,ISBN−10:3−527−30497−5,2005,Wiley VCH Verlag GmbH
Franck(2002)“Technological functionality of inulin and oligofructose”,A.Franck,British Journal of Nutrition(2002),87,Suppl.2,S287−S291
Yun(1996)“Fructooligosaccharides−Occurrence,preparation,and application”,J.W.Yun,Enzyme and Microbial Technology 19:107−117,1996
Kunz(2000)“Oligosaccharides in human milk:Structural,functional and metabolic aspects”,Kunz et al.,Ann.Rev.Nutr.2000.20:699−722
Simms et al.(1994)Simms,P.J.;Hicks,K.B.;Haines,R.M.;Hotchkiss,A.T.and Osman,S.F.;(1994)Separations of lactose,lactobionic and lactobionolactose by high performance liquid chromatography.J.of Chromatography,667,67−73
Richmond et al.(1982)Richmond,M.L.;Barfuss,D.L.;Harte,B.R.;Gray,J.I.and Stine,C.M.;(1982)Separation of Carbohydrates in Dairy Products by High Performance Liquid Chromatography,J.of Dairy Science,65(8),1394−1400
El Razzi(2002)“Carbohydrate Analysis by Modern Chromatography and Electrophoresis”,volume 66,Journal of Chromatography Library,Elsevier Science,2002,ISBN−10:0444500618
Walstra et al.(2006)“Dairy science and technology”,Walstra et al.,CRC Press,Second edition,2006
Scopes Protein Purification:Principles and Practice;Robert K.Scopes;3rd edition,Springer Verlag New York,Inc.,ISBN 0−387−94072−3
国際公開第01/90,317A2号パンフレット
欧州特許出願公開第2138586A1号明細書
国際公開第2009/113,030A2号パンフレット
国際公開第2012/010,597A1号パンフレット

Claims (14)

  1. 1種以上のガラクトオリゴ糖を含む組成物の製造方法において、
    a)
    ・脱離基に結合されたガラクトシル基を含むガラクトシルドナーであって、多くとも350g/molのモル重量を有するガラクトシルドナーと、
    ・前記ガラクトシルドナーとは異なるガラクトシルアクセプターであって、糖または糖アルコールであるガラクトシルアクセプター、
    を含む混合物を提供するステップであって、前記ガラクトシルアクセプターと前記ガラクトシルドナーとのモル比は、少なくとも1:10であり、かつ前記混合物は、少なくとも0.05mol/Lのガラクトシルアクセプターを含むステップ、
    b)第1の酵素を提供するステップであって、前記第1の酵素は、β−ガラクトシダーゼ活性とガラクトシル転移活性とを有するとともに、前記第1の酵素は、前記混合物に接触するステップ、および
    c)前記混合物と前記第1の酵素とをインキュベートして、前記第1の酵素により前記ガラクトシルドナーの脱離基を放出させるとともに、前記ガラクトシルドナーのガラクトシル基を前記ガラクトシルアクセプターに転移することにより、前記ガラクトオリゴ糖を形成するステップであって、ステップc)は、前記ガラクトシルドナーから放出された脱離基をインキュベート中の混合物から除去することをさらに含み、かつ前記ガラクトシルドナーから放出された脱離基の除去は、遊離脱離基をインキュベート中の混合物から物理的に除去することおよび/または遊離脱離基をインキュベート中の混合物中に依然として存在しうる1種以上の他の化学種に変換することを含み、それにより、1種以上のガラクトオリゴ糖を含む組成物を取得するステップ、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記ガラクトシルドナーの脱離基がグリコシル基であることを特徴とする方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、前記ガラクトシルドナーがラクトースまたはラクチトールであることを特徴とする方法。
  4. 請求項1乃至の何れか1項に記載の方法において、前記ガラクトシルドナーから放出された遊離脱離基を変換可能な微生物を提供するステップと、前記ガラクトシルドナーから放出された脱離基をインキュベーション時に前記微生物により除去するステップと、をさらに含むことを特徴とする方法。
  5. 請求項1乃至の何れか1項に記載の方法において、前記ガラクトシルドナーから放出された遊離脱離基を変換可能な第2の酵素を提供するステップと、前記ガラクトシルドナーから放出された脱離基をインキュベーション時に前記第2の酵素により変換するステップと、をさらに含むことを特徴とする方法。
  6. 請求項に記載の方法において、前記第2の酵素がグルコースオキシダーゼ活性を有することを特徴とする方法。
  7. 請求項またはに記載の方法において、
    a)前記遊離脱離基に対する前記第2の酵素の特異性定数が、前記ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍であるか、
    b)前記遊離脱離基に対する前記第2の酵素の特異性定数が、前記ガラクトシルドナーに対するその特異性定数の少なくとも10倍であるか、または
    c)前記遊離脱離基に対する前記第2の酵素の特異性定数が、前記モノガラクトシル化ガラクトシルアクセプターに対するその特異性定数の少なくとも10倍である
    ことを特徴とする方法。
  8. 請求項6または7に記載の方法において、カタラーゼ活性を有する酵素をさらに提供することを含み、この酵素がインキュベート中の混合物に接触することを特徴とする方法。
  9. 請求項乃至の何れか1項に記載の方法において、前記第2の酵素により前記脱離基を変換することにより得られた変換生成物の少なくとも一部を除去可能な除去剤を提供するステップと、前記除去剤により前記変換生成物の少なくとも一部をインキュベーション時に除去するステップと、をさらに含むことを特徴とする方法。
  10. 請求項に記載の方法において、前記除去剤が二価イオンまたは三価金属イオンの塩を含むことを特徴とする方法。
  11. 請求項9に記載の方法において、前記除去剤が陰イオン交換材料を含むか、さらにはそれからなることを特徴とする方法。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法において、ステップc)がさらなるガラクトシルドナーの添加を含むことを特徴とする方法。
  13. 請求項1乃至12の何れか1項に記載の方法において、ステップc)での前記混合物のガラクトシルドナーの濃度が0.01〜1mol/Lの範囲内の濃度に維持されることを特徴とする方法。
  14. 請求項1乃至13の何れか1項に記載の方法において、
    d)ステップc)の組成物のガラクトオリゴ糖を富化するステップ
    をさらに含むことを特徴とする方法。
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