JP6181764B2 - ハイブリッドイオン源及び質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、試料からイオンを生成するためのイオン源装置及びそれを用いた質量分析計に関する。
大気圧イオン化質量分析計は、大気圧下で生成したイオンを真空系に導入してイオンの質量を分析する。広く使われている大気圧イオン化法には、エレクトロスプレーイオン化法(electrospray ionization:ESI)、大気圧化学イオン化法(atmospheric pressure chemical ionization:APCI)がある。
ESIは、高電圧を印加した試料噴霧管(キャピラリー)に試料溶液を流して噴霧することにより帯電液滴を生成し、この帯電液滴が蒸発と分裂を繰り返すことによりイオンを生成する方式である。ESIでは、試料噴霧管の同軸外周にネブライザーガス管を設置し、噴出するネブライザーガスにより微小な帯電液滴に噴霧する方法も用いられる。また、特に送液流速が速い時には、加熱したガス(ヒーティングガス)を大量に噴霧して液滴の蒸発・気化を促進させる方式が併用される。ESIは、分子量の大きい高分子量試料や極性が大きい高極性試料などに適用可能なイオン化法である。
APCIは、試料溶液を加熱気化して得られる試料分子をコロナ放電によりイオン化する方式である。この方式の場合、コロナ放電により生成された一次イオンと試料分子の間で電荷の移動が生じ、試料分子がイオン化される。APCIは、ESIに比べて分子量の小さい低分子量試料や極性が小さい低極性試料にも適用可能である。
このため、分析対象の試料によって、イオン化法を使い分ける必要がある。そのような理由から、イオン化原理の異なる複数のイオン化方式(例えばESIとAPCI)を1つのイオン源で実現できれば、測定対象とする物質の範囲を拡大することが可能となる。
特許文献1には、ESIとAPCIの2つのイオン化方式の切り替えを、ESI用のプローブとAPCI用のプローブを手動で入れ替えることによって実施する方法が記載されている。
特許文献2及び特許文献3には、プローブ等を入れ替えることなく、ESIとAPCIを同一構成のイオン源で実行するための方式が提案されている。ESIによる静電噴霧部とAPCIによる針電極とが同じ空間内に配置され、ESIによるイオン化とAPCIによるイオン化が同時に実行される。
特許文献4には、イオン化のプローブ(ニードル)に対して、軸方向に移動可能な霧化室を設け、霧化室をESIとAPCIで移動することでイオン化法を切り替える構成が記載されている。ESIではニードルの先端が霧化室よりも前方に突出した配置、APCIではニードルの先端が霧化室の内部に位置する配置になるように、移動機構によりニードルと霧化室が移動する。この方法により、短時間で簡単にイオン化法の切り替えが可能となるとされている。
特許文献1 : 米国特許第6759650号明細書
特許文献2 : 特許第4553011号公報
特許文献3 : 米国特許第7488953号明細書
特許文献4 : 特開平8−236064号公報
特許文献1では、イオン化法を切り替えるのに、ESI用のイオン化プローブとAPCI用のイオン化プローブを手動で切り替えるために時間がかかり、煩雑な作業が発生する。またヒーターのon/offの作業が必要なため、温度を上げたり下げたりして温度が安定するのに数10分程度の時間を要する。
特許文献2や特許文献3の例では、同時にESIとAPCIのどちらのイオン化も実施しているために、原理的にどちらで生成されたイオンも観測可能である。しかし、同時にイオン化しているため、感度低下の問題が発生する。
特許文献4では、イオン化法の切り替えの際に、霧化室のヒーターをon/offする必要があるために待ち時間が発生する問題がある。すなわち、ESIではヒーターをoff、APCIではヒーターをonするため、ヒーターの温度が一定に安定するまでに少なくとも数分から数10分は要することが予想されるため、高スループット分析が困難である。
ここで、特許文献4で霧化室のヒーターをどちらのイオン化法でも常時ヒーターoff又は常時ヒーターonのケースを考える。この場合には温度が安定になるまでの待ち時間がないために、高速にイオン化法の切り替えが可能となる。しかし、以下の課題が予想される。常時ヒーターoffの場合では、ESIの時には問題なく動作すると予想されるが、APCIの時にヒーターがoffであれば、霧化室での気化効果がほとんどないために大幅に感度低下することが予想される。次に、常時ヒーターonの場合には、ESI時に霧化室を加熱されるために、液体試料が突沸(沸騰)してうまく静電噴霧(エレクトロスプレー)されず、感度低下する又はイオン化が不安定になりイオン強度が変動する問題が発生する。
以上のように従来技術には、感度低下又はイオン化切り替えに時間がかかるといった問題がある。
本発明は、複数のイオン化方式を短時間で簡単に切り替えが可能で、かつ高感度なハイブリッドイオン源及びそのイオン源を用いた質量分析装置を提供するものである。
本発明のイオン源は、試料を噴霧するためのイオン化プローブと、内部に試料流路を備え、試料流路を通過する試料を加熱気化するための加熱室と、イオン化プローブの出口端と加熱室の入口端との間の距離を変化させるための駆動部とを有し、駆動部によりイオン化プローブと加熱室との間の距離を変化させて複数のイオン化法を個別に実施する。
複数のイオン化法は、例えばESIとAPCI又はESIとAPPIである。
駆動部は、イオン化プローブと加熱室の少なくとも一方を直線的に駆動してもよいし、固定点を中心に回転移動してもよい。
また、本発明の質量分析装置は、試料をイオン化するイオン源と、イオン源によりイオン化された試料イオンを導入するイオン導入口を有し、イオン導入口から導入されたイオンを質量分析する質量分析計と、制御部とを有し、イオン源は、試料を噴霧するためのイオン化プローブと、内部に試料流路を備え試料流路を通過する試料を加熱気化するための加熱室と、イオン化プローブの出口端と加熱室の入口端との間の距離を変化させるための駆動部とを備え、制御部により駆動部を制御して、質量分析計のイオン導入口に対するイオン化プローブ及び/又は加熱室の位置関係を変化させることにより複数のイオン化法を個別に実施する。
制御部は、イオン化プローブを用いたイオン化法の試料イオン化領域あるいはイオン化プローブと加熱室を用いたイオン化法の試料イオン化領域が質量分析計のイオン導入口の近くに位置するように、駆動部を制御する。
具体的な一例を挙げると、複数のイオン化法はESIとAPCI又はESIとAPPIであり、制御部は、ESIモードでは、イオン化プローブの出口端と質量分析計のイオン導入口の間に加熱室が存在しない配置となるように駆動部を制御し、APCIモード又はAPPIモードでは、イオン化プローブの出口端と質量分析計のイオン導入口の間に加熱室が存在する配置となるように駆動部を制御する。
本発明によれば、イオン化方法の切り替え時にヒーターの温度が安定するのを待つ必要が無く常に温度を一定に保つことができるため、短時間で高速にイオン化法を切り替えることが可能である。また各イオン化法はそれぞれの最適条件で実施可能なため、高感度な分析が可能となる。
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
第1実施例におけるイオン源の構成例(ESIモード)を示す断面摸式図。 第1実施例におけるイオン源の構成例(APCIモード)を示す断面摸式図。 分析及びイオン化法の切り替えの例を示すタイムチャート。 分析及びイオン化法の切り替えの例を示すタイムチャート。 加熱室の構造の例を示す断面模式図。 加熱室の構造の例を示す断面模式図。 加熱室の構造の例を示す断面模式図。 加熱室の構造の例を示す断面模式図。 加熱室の構造の例を示す断面模式図。 加熱室の構造の例を示す断面模式図。 加熱室の構造の例を示す断面模式図。 加熱室の構造の例を示す断面模式図。 加熱室の構造の例を示す断面模式図。 加熱室の構造の例を示す断面模式図。 システム構成例を示すブロック図。 第2実施例におけるイオン源の構成例(ESIモード)を示す断面摸式図。 第2実施例におけるイオン源の構成例(APCIモード)を示す断面摸式図。 第3実施例におけるイオン源の構成例(ESIモード)を示す断面摸式図。 第3実施例におけるイオン源の構成例(APCIモード)を示す断面摸式図。 第4実施例におけるイオン源の構成例(ESIモード)を示す断面摸式図。 第5実施例におけるイオン源の構成例(APPIモード)を示す断面摸式図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、ESIとAPCIなどの2つのイオン化法を切り替えるものであり、イオン化プローブと加熱室を相対移動によって結合・分離させることによって両者を高速に切り替える。なお、図面は本発明の原理に則った具体的な実施例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
[第1実施例]
図1及び図2は、本発明の第1実施例による質量分析装置及びイオン源の構成例を示す断面摸式図である。図には、試料を噴霧するイオン化プローブ1、試料を加熱する加熱室11、及び質量分析計24を示した。本実施例では、ESIモード(図1)とAPCIモード(図2)の2つモードが存在し、モード毎にイオン源の構成が異なるため、イオン化法を切り替えるためにモード切り替えが行われる。モード切り替えは、イオン化プローブ1と加熱室11の2つのパーツの相対移動により実施され、コンピューター制御による自動切り替えが可能である。
イオン化プローブ1の構造について説明する。イオン化プローブ1は、3つの円筒管が同軸に重なった構造である。3つの円筒管は、試料5を送液する試料噴霧管2、ネブライザーガス6を流すネブライザーガス管3、ヒーティングガス7を流すヒーティングガス管4からなり、それぞれ管の内側を試料あるいはガスが流される。試料5は、有機溶媒(メタノール、アセトニトリルなど)や水などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒によって希釈された液体試料である。液体試料はポンプによって送液され、およそ数nL/min〜数mL/min程度の範囲で送液される。試料噴霧管2は、例えば金属からなるキャピラリーであり、その内径は数μmから数百μm程度である。また金属キャピラリーではなく、ガラスのキャピラリーも使用可能である。ネブライザーガス6は、試料溶液を噴霧して霧状にスプレーする効果があり、試料5は、ネブライザーガスによりイオン化プローブ1の出口端8から噴霧される。またヒーティングガス7は、試料溶液の気化を促進し、イオンの生成を促進して感度向上に寄与する。どちらのガスも0〜数10L/min程度の範囲の流量で設定される。イオン化プローブ1は、支持部34により駆動部33と接続され、駆動部33により移動可能である。支持部34や駆動部33の例としては、一方向に可動する駆動ステージを用いることが可能である。イオン化プローブ1は、図1及び図2のように、ESIモードとAPCIモードでは、イオン化プローブ1の長軸方向(図の上下方向)に移動する。試料噴霧管2は、高電圧電源9に接続され、高電圧が印加される。
加熱室11は、APCIの試料を加熱し、気化を促進させる役割がある。加熱室11の外形は円筒形状をしており、その内部は噴霧された試料が通過できるように穴が空いていて空洞になっている。加熱室11は、金属又はセラミックなど、熱伝導が良い材料を用い、また加熱室の内部にはヒーターが取り付けられていて任意の温度(例えば数100℃)に制御可能である。加熱室11は、支持部32により駆動部31と接続され、駆動部31により移動可能である。加熱室11も、イオン化プローブ1と同様にイオン化プローブ1の長軸方向(図の上下方向)に移動する。さらに加熱室11には、支持部13により支持された放電電極12が装着されており、加熱室11と連動して放電電極12も一緒に移動する。これにより、駆動部1つで加熱室11と放電電極12を同時に移動させることが可能である。放電電極12は、高電圧電源10に接続され、高電圧を印加することで、質量分析計の導入口25の電極と放電しイオン化が可能になる。外形は円筒形状以外にも、任意の形状で可能である。例えば、四角柱でもよい。
生成された試料イオンは導入口25から質量分析計24に入り、質量分析されることにより、m/z(質量電荷比)とイオン量の質量スペクトルが得られる。
ESIモードとAPCIモードの構成と特徴、及びイオン化法の切り替え方法について説明する。イオン化法の切り替えは、駆動部31,33によりイオン化プローブ1と加熱室11が移動して構成を変更することで行われる。駆動部31,33は、支持部32,34を通じて、イオン化プローブ1や加熱室11を移動させることができる。駆動部及び支持部には、例えば一軸方向に可動なステージを用いる。ステージ移動は手動で行ってもよいし、コンピューターによる自動制御で行ってもよい。
APCIモードからESIモードへは、加熱室11が質量分析計24の導入口25よりも下方へ移動し、かつイオン化プローブ1もその出口端8が導入口25付近に来るように下方へ移動することで切り替わる。ESIモードでは、試料5はヒーティングガス7を用いて加熱・気化されるため、図1に示すようにイオン化プローブ1の出口端8が質量分析計24の導入口25の付近に配置される。これによりイオン化プローブの出口端8から噴霧された試料イオンを効率よく質量分析計24に導入することができる。
またESIモードでは、試料又は試料イオンが加熱室11を通過しないように、イオン化プローブ1の出口端8に近接して位置するESIイオン化領域21外の下方のESIのイオン化を阻害しない位置に加熱室11を移動させて配置する。もし試料溶液の突沸(沸騰)が起これば、エレクトロスプレーが不安定になり感度低下や信号強度が不安定になる問題が発生する。加熱室11をイオン化プローブ1から遠ざけることで、加熱室11が高温であっても、イオン化プローブ1の試料導入管2を加熱して出口端8から出る液体試料を突沸させることなく、試料溶液の安定した静電噴霧が可能となる。試料噴霧管2は高電圧電源9から高電圧が印加され、イオン化プローブ1の出口端8の試料噴霧管2からESIイオン化領域21に静電噴霧(スプレー)された試料はイオン化される。
APCIモードでは、試料気化促進のために加熱室11は高温に加熱して使用するため、ESIモードでも加熱室11を加熱して高温のままにしておくことが望ましい。その理由は、イオン化モード切り替えのたびに温度設定を変えると、温度が一定に安定するまでに時間がかかってしまうためである。つまり、イオン化モードの切り替えのたびに数分程度の温度安定待ち時間が発生してしまい、その結果、測定がストップするために測定のスループットが低下する。
また、高温である加熱室11を用いてESI時にESIのイオン化領域21を温めることが可能である。加熱室11から出る輻射熱により、加熱室11の周辺には常温よりも温度が高い加熱領域が生成されている。特にイオン化プローブ側の加熱領域27により、噴霧された試料の効率的な気化が可能になり、イオン化領域21におけるイオン化の促進が期待される。イオン化領域21の温度調整は、加熱室11の位置を変える、すなわちイオン化領域21に近づけるか遠ざけるかにより調整可能である。
上記では、加熱室11の温度をイオン化モードによらず一定にする(変化させない)方法を説明した。別の方法として、ESIモードでは、温度変化にあまり時間がかからない程度に加熱室の温度を低下させることも可能である。例えば一例として挙げるならば、APCIモードでは加熱室の温度が600℃であるが、ESIモードでは400℃に下げる方法である。この結果として、加熱室ヒーターの電力消費の抑制が可能となり、またESIモード時において試料や周辺に余計な熱を伝えないようにすることが可能となる。
次に、APCIモードの構成とその特徴について説明する。ESIモードからは、イオン化プローブ1が図の上方へ移動し、かつ加熱室11も図の上方へ移動することで、APCIモードに切り替わる。APCIモードでは、図2に示すように、イオン化プローブ1と導入口25の間に加熱室11が挿入され、イオン化プローブ1の出口端8と加熱11の入口端15は近接、又は接触するように配置される。また加熱室11の出口端35、または放電電極12は、質量分析計24の導入口25付近になるように配置される。
液体試料は、イオン化プローブ1の出口端8から噴霧され、加熱室の入口端15から試料流路17を通過し、加熱室の出口端35からAPCIイオン化領域22に進む。加熱室11は、加熱室に取り付けられたセラミックヒーター等により数百℃の高温に維持されているため、高温状態にある加熱領域23及び試料流路17で加熱・気化される。気化されガス化した試料は、APCIイオン化領域22で、放電電極12と質量分析計導入口24の電極との間のコロナ放電により生成されたイオンによってイオン化される。イオン化された試料イオンは、ESIと同様に導入口25から質量分析計24に入り、質量分析される。
APCIの時は試料噴霧管2に高電圧電源9から高電圧を印加しない方が望ましい。印加するとAPCIイオン化が阻害され、イオン量が低下することがあるためである。電圧を印加してなくても、試料はネブライザーガス6によって噴霧される。
APCIモード時に、加熱室11はイオン化プローブ1に最も接近する。1つの望ましい構成として、図2には、イオン化プローブ1と加熱室が接触せずに空間的に離れている構成を示した。この場合、高温の加熱室11の熱が、イオン化プローブに伝わることを防ぐことができる。このように隔離して断熱構造にすることで、イオン化プローブと加熱室それぞれの温度を管理・制御しやすくなる利点がある。
もう1つの別の望ましい構成として、熱伝導の低い物質を間に挟むことによって、イオン化プローブ1と加熱室11を物理的に接触・結合する構成がある。結合することで、イオン化プローブ1と加熱室11の位置関係を再現性良く一致させることができる。
もしイオン化プローブ1(特にヒーティングガス管4)を高温に加熱できる構造であれば、イオン化プローブ1と加熱室11を直接接触させることが可能である。すなわち、イオン化プローブ1において、ヒーティングガス管4の熱が、試料噴霧管2へ伝わらずに試料溶液が突沸しないような構造、すなわちヒーティングガス管4が高温であっても試料噴霧管2が50℃以下程度に保たれている構造であれば直接接触が可能である。
本実施例のイオン源の方式には、以下の特徴及びメリットがある。
第1に、イオン化プローブと加熱室を別々に可動式にしたため、ESIとAPCIそれぞれのイオン化モードにおいて、最適構成でイオン化が可能であり、高感度測定が実現できる。
第2に、イオン化プローブと加熱室を分離可能であるため、加熱室の温度を常に高温に維持できる。その結果、温度切り替えの必要が無いため温度切り替えに時間をかける必要が無く、イオン化モードの高速切り替え(10秒以下)が可能であり、高スループットな分析が可能となる。ESIモードでは、高温の加熱室11をイオン化プローブ1から遠ざけることで、イオン化プローブの試料噴霧管2が高温になることを防ぐことができ、試料溶液の沸騰(又は突沸)を防ぐことが可能となるために、ESIモードでも安定した測定が可能になる。
第3に、イオン化プローブのサイズに関係なく加熱室11の試料流路17の内径を小さくできるため、APCI時に高い気化効率が実現可能となる。これは、加熱室が特許文献4と異なり、イオン化プローブから遠ざかる方向へ移動するために、加熱室の流路の内径は、イオン化プローブの外径より小さくする、より具体的にはイオン化プローブのヒーティングガス管の外径よりも小さくする、など任意に設定可能であるためである(特許文献4では不可能)。加熱室の内径は小さい方が、試料の気化効率は向上することが期待される。なぜなら、内径が小さければ、加熱室の熱が狭い流路を通る試料溶液に伝達しやすくなり、気化しやすくなるためである。
分析及びイオン化法の切り替えのシーケンスの例について図3及び図4を用いて説明する。横軸は時間を表し、イオン化法の切り替えと2つのイオン化モードによる分析のタイムシーケンスを示している。切り替えとは2つのイオン化法の切り替えであり、図示の例ではESIモードからAPCIモード、又はAPCIモードからESIモードに変更する工程である。分析とは、1回インジェクションした試料をLC分離することによって質量分析する時間、又は1回のフローインジェクション分析(FIA)である。分析の時間は、LC分離を用いれば数分から1時間程度、FIAであれば数分程度である。イオン化モードの切り替えは、駆動部によるイオン化プローブと加熱室の移動に要する数秒から数10秒程度あれば切り替え可能である。
イオン化モードは、図3に示すように、ESIモードとAPCIモードがあり、イオン化モードを切り替える際には、切り替え時間が発生する。切り替え時には、加熱室11の移動が行われ、さらに、試料の送液速度、ネブライザーガス流量、ヒーティングガス流量、高電圧などが変更され、各イオン化モードにとって最適となるような分析条件で分析される。これら電圧やガス流量は、およそ10秒程度あれば十分変更可能である。
図4のように、同じイオン化モードでの分析、例えばAPCIモードでの分析、が連続して行われるのであれば、イオン化モードを切り替える必要はないため、切り替え時間は発生しない。
加熱室11の入口端15は、図1に示した漏斗部14のように漏斗形状になっていれば、APCIモードのとき、ヒーティングガス7、ネブライザーガス6、噴霧された試料5が、加熱室11の試料流路17(円筒内部)に集まり通過することが可能となる。これにより、ヒーティングガス7による加熱と、加熱室11による加熱によって、試料流路17は加熱され、試料の高い気化効率の実現が期待できる。
質量分析計は、3次元イオントラップやリニアイオントラップなどのイオントラップ質量分析計(ion trap mass spectrometer)、四重極フィルター質量分析計(Quadrupole mass spectrometer:Q Filter)、3連四重極質量分析計(Triple quadrupole mass spectrometer)、飛行時間型質量分析計(Time of flight mass spectrometer:TOF/MS)、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(Fourier transform ion cyclotron resonance mass spectrometer:FTICR)、オービトラップ質量分析計(Orbitrap mass spectrometer)、磁場型質量分析計(Magnetic sector mass spectrometer)などが用いられる。また、上記に示した質量分析計以外の既知の質量分析計を用いてもかまわない。
以上、本実施例によれば、イオン化プローブ1と加熱室11が移動することにより、イオン化モードを切り替える。APCIモードでは、イオン化プローブと加熱室を近接又は接触(結合)させ、一方ESIモードでは、イオン化プローブと加熱室を遠ざける。この方法により、各イオン化法に最適な構成になるために高効率なイオン化が可能になり、高感度な分析が実現する。また、加熱室の温度を高温に保っておくことができるために、温度切り替えの時間が必要なく、イオン化法の高速切り替えが可能となる。
次に、第1実施例の第2の例について説明する。本実施例は、加熱室の形状が、漏斗形状ではなく、1つの内径の円筒又は2つ以上の異なる内径からなる円筒の例である。それ以外は、第1実施例の第1の例と同様である。
図5は、加熱室11の試料流路17が1種類の内径36の円筒からなる構成の実施例を示す断面模式図である。図はAPCIモードの配置を示している。本例の構成では、加熱室の試料流路17の内径36の小さい狭い部分が長いために、試料流路17において加熱室の熱が試料に伝わりやすく気化効率の向上が期待できる。また加熱室の構造が簡単であるという利点もある。加熱室11の内径36は、ネブライザーガス管3の内径と同程度になっており、ネブライザーガス6により噴霧された試料を加熱室11により試料流路17において加熱・気化させることが可能である。この構成では、ヒーティングガスは、APCIモードでは使用せずに、ESIモードでのみ使用する。
図6は、加熱室11の試料流路17が内径36の異なる2つの円筒を接続した構成の実施例を示す断面模式図である。図はAPCIモードの配置を示している。加熱室の入口端15の内径は大きくヒーティングガス管4と同程度であり、一方、出口端35の内径は小さくなっている。本例の構成では、ネブライザーガス6により噴霧された試料とともに、ヒーティングガス7を加熱室11の試料流路17に流すことができるため、加熱室11における気化効率の向上が期待できる。
第1実施例の第3の例について説明する。本実施例は、APCIの時に、試料の気化効率がさらに向上するように、加熱室11内部の出口端35の内径がさらに小さくなっていることを特徴とする。それ以外は、第1実施例の第1の例と同じである。
図7は、第3の例のAPCIモードを示す断面摸式図である。加熱室11の試料流路17の出口端35が、さらに狭い流路26になり、穴径が小さくなっている構造である。流路26を狭くすることで、噴霧された試料溶液がこの流路26を通る時に、加熱室の熱が通過する試料に伝わりやすくなるため、試料の加熱効率が向上し、気化が促進される。これにより感度向上が可能となる。流路26の穴の直径は、定型的には0.1mm〜数mm程度である。
別の加熱室の構造の例を図8に示す。流路26の部分が、複数(図では6個)の穴が開いた円筒構造になっている。試料はこの6個の穴を通り、APCIイオン化領域22の方へ進んでいく。穴の個数は1個以上で任意の個数で可能である。穴の内径を小さくすることにより、円筒内を通過する試料と加熱室が近接するために気化効率の向上が期待でき、また穴を複数設けることで、試料の透過量を確保することができる。
別の加熱室の構造の例を図9に示す。これまでの例では、加熱室11の試料流路17は円筒形状であったが、図に示すように四角柱形状あるいはその他の多角柱形状でもよい。試料流路17の構造は、円柱や円筒形状に限定するものではない。
別の加熱室の構造の例を図10に示す。図8では試料流路の出口端のみ複数の円筒形状であったが、図10に示すように加熱室全体にわたり複数の円柱形状であってもよい。また図11に示すように、漏斗部が無い構造も可能である。
第1実施例の第4の例について説明する。本実施例では、ESIの時に、加熱室11を用いてヒーティングガス16をESIイオン化領域21へ流す方法を説明する。それ以外の構成、方法は、第1の例と同じである。
図12は、ESIモードの構成例を示す断面模式図である。ESIモード時には、加熱室11に、ガス流量制御部18が装着されていて、ガス配管19を通してガス流路20にガスが導入される。ガスは予め加熱されているか、もしくは加熱室11の流路を通過中に加熱される。加熱されたヒーティングガス16は加熱室11の上端の漏斗部14からESIイオン化領域21の方向へ流れていく。ガスには窒素又は空気を用いる。このヒーティングガス16は、加熱領域27を加熱することで、ESIイオン化領域21周辺も加熱し、エレクトロスプレーにおける試料の気化・脱溶媒を促進し、感度向上に寄与する。ガス流路20はできるだけ細い内径の円筒形状の方が良い。その方が加熱室11の熱がガスに伝わりやすくなり、ガスがより効率よく高温になるためである。さらに、APCIモード時に試料が漏斗部14から出口端35へ向かって進んでいくため、一部がガス流路20へ混入する可能性があるため、ガス流路20はできるだけ小さい穴にしておくことが望ましい。また、APCIモードの際も、ガス流量制御部18によって微量のガスを流しておくと、噴霧された試料や溶媒の一部がガス流路20からガス流量制御部18の方へ混入するのを防ぐことができる。また別の方法として、APCIモード時はガス流路20を金属やセラミック等により物理的にふさぐ方法も有効である。
また、図のように、ガス流路20はESIイオン化領域21の方向に斜めに開けられている方が望ましい。そうすることでヒーティングガス16を、ESIイオン化領域21の方向(上方)へ効率よく導入することが可能になる。
図13は、加熱室11の別の構成を示す断面模式図である。この構成では、加熱室11の試料流路17の出口端にふた27を設けた。ふた27をつけることで、ESIモード時に、ガス流量制御部18から導入されたガスは、試料流路17に合流したところで漏斗部14の方へ曲がりESIイオン化領域21の方へ流れることができるため、ヒーティングガス16によって効率の良い脱溶媒が可能となる。一方、APCIの時は、ふた27を外すことで、漏斗部14から入った試料は試料流路17を通り、下方の放電電極12の方へ通過してイオン化することができる。ふた27は、イオン化モード切り替え時に自動で開閉すればよい。ふた27の開閉は、駆動ステージなどの既存の技術を用いることで可能である。さらに、APCIモード時には、ガス流量制御部18によって微量のガスを流しておくと、噴霧された試料や溶媒の一部がガス流路20からガス流量制御部18の方へ混入するのを防ぐことができる。
図14には、加熱室11の別の構成を示す。ESIモード時には、ガス流量制御部18から導入されたガスは、ガス流路37を通り、漏斗部14にある出口から出て、ESIイオン化領域21の方へヒーティングガス16として流れていく。APCIモード時に試料が通過する試料流路17とは別の流路であるガス流路37をガスが流れる。一方、APCIモード時には、ガス流量制御部18によって微量のガスを流しておくと、噴霧された試料や溶媒の一部がガス流路37からガス流量制御部18の方へ混入するのを防ぐことができる。
図15は、第1の実施例のシステム構成例を示すブロック図である。イオン化プローブ1と加熱室11を駆動する駆動部31と33は、PC等の制御部45により制御される。ユーザーによりあらかじめ指定された指示(移動の時間(タイミング)、移動距離など)が制御部45に記憶されており、制御部45から指示により駆動部31,33が駆動することで、イオン化プローブ1と加熱室11は移動する。また、質量分析計も制御部45により制御することが可能である。このように、制御部45により、イオン源と質量分析計を制御する。
[第2実施例]
第2実施例は、加熱室の移動方向が異なる実施例である。本実施例では、加熱室の移動方向を同一直線状の移動ではなく、固定点を中心とした回転移動とした。イオン化プローブの移動方法は、第1実施例と同様である。
図16及び図17は、本実施例を説明する断面摸式図である。図16がESIモード、図17がAPCIモードを示す。イオン化プローブ1の構成、移動方法は、第1実施例と同様なので詳細な説明は省略し、以下では加熱室11の動作について説明する。
加熱室11は、支持部42により駆動部31と接続され、固定点41を中心に回転運動する。ESIモードでは、加熱室11はイオン化プローブ1から離れ、質量分析計24と正対するような位置に配置される(図16)。また同時に質量分析計24の導入口25に、試料噴霧管2の出口端8が近接するように、イオン化プローブ1は下方に移動する。イオン化プローブ1の移動は、実施例1と同様に駆動部33を用いて行われる。ESIモードにおいても、加熱室11はヒーターにより加熱されているため、加熱室11の周辺は加熱されており、質量分析計24側では加熱領域27が加熱されている。これにより、イオン化領域21において、噴霧される試料の脱溶媒・気化が促進され、ESIモードにおいてもイオン化効率の向上が期待される。
一方、APCIモードでは、加熱室11は固定点41を軸に駆動部31により90度回転し、図17のようにイオン化プローブ1に近接又は接触するように移動する。このとき、イオン化プローブ1は上方に移動する。APCIモードの時、支持部42や駆動部31により、加熱室11のAPCIイオン化領域22が質量分析計24の導入口25の前方に位置するように設定されている。
本実施例では、ESIモードの時に加熱室11が試料噴霧管2の延長上にない。従って、噴霧された試料が加熱室11に付着しにくいために、加熱室11が噴霧試料で汚れない利点がある。そのため、イオン源の汚れ(コンタミネーション)や汚れ物質の検出(キャリーオーバー)を防ぐことができるので、より高精度な測定が可能となることが期待される。
[第3実施例]
第3実施例について説明する。本実施例では、加熱室の全長(図の上下方向の長さ)を短くしてモード切り替えの際にイオン化プローブ1を移動する必要を無くし、加熱室11のみの移動でイオン化法の切り替えを可能とした。
図18及び図19に、ESIモードとAPCIモードの配置を示す。図18はESIモードの配置を示し、図19はAPCIモードの配置を示している。本実施例は、これまでの実施例とは加熱室11の形状のみ異なる。なお、図示した例では、加熱室11は第1実施例と同様に駆動部33を用いて図の上下方向に移動するが、第2実施例と同様に固定点を中心とした回転移動としてもよい。イオン化法切り替えの際に、これまではイオン化プローブ1も移動させていたが、本実施例ではイオン化プローブ1は移動させる必要はない。
図18に示すように、ESIモードの時にESIイオン化領域21が質量分析計24の導入口25の前方に位置付けられるようにイオン化プローブ1の位置が固定される。図19に示すように、APCIモードへの切り替えにおいては、イオン化プローブ1の下方に加熱室11を移動することにより、APCIイオン化領域22を質量分析計24の導入口25の前方に位置付けることができる。加熱室11の全長(図の上下方向の長さ)が短い構造がこのような配置を可能にしている。
本実施例の特徴として、加熱室11が上下方向に短い構造であるため、イオン化プローブ1を移動させずに固定でよい。その結果、イオン化切り替え時に加熱室11のみ移動させればよいため、駆動部が1つでよいという利点がある。
2つ目の特徴として、加熱室11が上下方向に短い構造であるために、配管を蛇行させることによって加熱領域の距離を確保する。加熱室11はこれまでの実施例のような直線的な円筒管構造では、加熱領域の距離が確保できないため、加熱される距離や時間を確保できる構造とする必要がある。その一例として、加熱室11の試料流路を蛇行させて試料ガスが加熱される時間や距離を確保した。
[第4実施例]
第4実施例について説明する。本実施例では、加熱室の移動方法が異なる。APCIモードからESIモードへ切り替わる際、これまでと加熱室の移動方法が異なり、本実施例では加熱室が2分割して、2つのパーツがそれぞれ反対方向へ移動する。
図20は、ESIモード時の構成例を示す断面摸式図である。図20は、これまでの図と異なり、質量分析計24の導入口25を正面に見た図である。加熱室は、図のように2つのパーツ11a,11bに分かれ、質量分析計24の導入口25のイオン導入の軸に垂直な面内を、それぞれ離れて遠ざかるように移動する。このようにESIモードでは、加熱室をイオン化プローブ1から遠ざけることによりイオン化プローブ1の加熱を防ぐことが可能となる。加熱室の2つのパーツ11a,11bは、それぞれ駆動部46,48に支持部47,49を介して接続され、駆動部46,48により移動する。その他、イオン化方法等に関しては、実施例1と同様である。2つのパーツ11a,11bからなる加熱室の温度を高温に維持するために、分離された加熱室の2つのパーツ11a,11bのそれぞれに加熱するためのヒーターが装着されていることが望ましい。
本実施例においても、ESIモード時に、ESIイオン化領域21付近を、加熱室の2つのパーツ11a,11bによって加熱することは可能である。実施例1に記載した加熱室の輻射熱による加熱方法、加熱ガスを用いた方法のどちらも用いることが可能である。これにより、イオンの気化が促進され、感度向上が期待される。
APCIモード時は、分離された2つの加熱室のパーツ11a,11bは1つに結合して加熱室を構成する。APCIモードの構成は、図2と同様である。
[第5実施例]
イオン化法は、APCIの代わりにAPPI(atmospheric pressure photoionization)を用いてもよい。APPIは、放電電極の代わりに真空紫外ランプを配置することにより実現可能である。その他、気体をイオンにするイオン化法であれば、APCIの代わりに用いることが可能である。
図21は、APPIを用いた実施例を示す断面模式図である。図2のAPCIモードの構成との違いは、APCIで用いていた放電電極12とその支持部13、高電圧電源10が無い代わりに、紫外ランプ43及びランプ用電源44が備わっていることである。紫外ランプ43は、加熱室11に装着され、加熱室11と一緒に移動する。紫外ランプ43は、加熱室の試料流路17へ光を照射し、イオン化を実施する。ランプのon/offは電源44を用いて行われる。電源44を図15に示した制御部45を用いて制御することで、紫外ランプ43のon/offを自動で制御することも可能である。その他、イオン化プローブ1や加熱室11の移動方法は、実施例1と同様である。
また、試料の加熱・気化を必要とするイオン化法であれば、APCIやAPPIの代わりに使用することが可能である。
一方、ESIモードについても、ESIと類似したイオン化法であれば使用可能である。例えば、SSI(sonic spray ionization)を用いることが可能である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1:イオン化プローブ
2:試料噴霧管
3:ネブライザーガス管
4:ヒーティングガス管
5:試料
6:ネブライザーガス
7:ヒーティングガス
8:イオン化プローブの出口端
9:高電圧電源
10:高電圧電源
11:加熱室
12:放電電極
13:支持部
14:漏斗部
15:加熱室の入口端
16:ヒーティングガス
17:試料流路
18:ガス流路制御部
19:ガス配管
20:ガス流路
21:ESIイオン化領域
22:APCIイオン化領域
23:加熱領域
24:質量分析計
25:導入口
26:流路
27:加熱領域
31:駆動部
32:支持部
33:駆動部
34:支持部
35:加熱室の出口端
36:内径
37:ガス流路
41:固定点
42:支持部
43:紫外ランプ
44:ランプ用電源
45:制御部
46:駆動部
47:支持部
48:駆動部
49:支持部

Claims (13)

  1. 試料を噴霧するためのイオン化プローブと、
    内部に試料流路を備え、前記試料流路を通過する試料を加熱気化するための加熱室と、
    前記イオン化プローブの出口端と前記加熱室の入口端との間の距離を変化させるための駆動部とを有し、
    前記加熱室の前記試料流路の内径が前記イオン化プローブのヒーティングガス管の外径よりも小さく、
    前記駆動部により前記イオン化プローブと前記加熱室との間の距離を変化させて複数のイオン化法を個別に実施することを特徴とするイオン源。
  2. 請求項1に記載のイオン源において、
    複数のイオン化法はESIとAPCI又はESIとAPPIであることを特徴とするイオン源。
  3. 請求項2に記載のイオン源において、
    前記ESIモードにおいて、前記加熱室の熱により前記イオン化プローブの出口端付近に形成されるESIイオン化領域を加熱することを特徴とするイオン源。
  4. 請求項1に記載のイオン源において、
    前記加熱室の入口端の形状が漏斗形状であることを特徴とするイオン源。
  5. 請求項1に記載のイオン源において、
    前記加熱室の前記試料流路は1つの円筒又は複数個の円筒であることを特徴とするイオン源。
  6. 請求項1に記載のイオン源において、
    前記加熱室の試料流路は内径が異なる複数の流路を接続して構成されていることを特徴とするイオン源。
  7. 請求項1に記載のイオン源において、
    前記イオン化プローブと前記加熱室の少なくとも一方は前記駆動部により直線的に駆動されることを特徴とするイオン源。
  8. 請求項1に記載のイオン源において、
    前記加熱室は固定点を中心に回転移動することを特徴とするイオン源。
  9. 請求項1に記載のイオン源において、
    前記加熱室から前記イオン化プローブの出口端付近に形成されるイオン化領域へ加熱ガスを送り出すことを特徴とするイオン源。
  10. 請求項1に記載のイオン源において、
    前記加熱室は全長が短く前記試料流路が蛇行しており、
    前記イオン化プローブが固定で前記加熱室が可動であることを特徴とするイオン源。
  11. 試料をイオン化するイオン源と、
    前記イオン源によりイオン化された試料イオンを導入するイオン導入口を有し、前記イオン導入口から導入されたイオンを質量分析する質量分析計と、
    制御部とを有し、
    前記イオン源は、試料を噴霧するためのイオン化プローブと、内部に試料流路を備え前記試料流路を通過する試料を加熱気化するための加熱室と、前記イオン化プローブの出口端と前記加熱室の入口端との間の距離を変化させるための駆動部とを備え、
    前記制御部により前記駆動部を制御して、前記イオン化プローブと前記加熱室の間に前記イオン導入口が位置し前記イオン化プローブの前記出口端が前記イオン導入口の近くに位置するように、あるいは、前記イオン化プローブと前記導入口の間に前記加熱室が挿入され前記イオン化プローブの前記出口端と前記加熱室の前記入口端が近接又は接触し前記加熱室の前記出口端が前記導入口の付近に位置するように、前記質量分析計の前記イオン導入口に対する前記イオン化プローブ及び/又は前記加熱室の位置関係を変化させることにより複数のイオン化法を個別に実施することを特徴とする質量分析装置。
  12. 請求項11に記載の質量分析装置において、
    前記複数のイオン化法はESIとAPCI又はESIとAPPIであり、
    前記制御部は、ESIモードでは、前記イオン化プローブの出口端と前記質量分析計の前記イオン導入口の間に前記加熱室が存在しない配置となるように前記駆動部を制御し、APCIモード又はAPPIモードでは、前記イオン化プローブの出口端と前記質量分析計の前記イオン導入口の間に前記加熱室が存在する配置となるように前記駆動部を制御することを特徴とする質量分析装置。
  13. 請求項11に記載の質量分析装置において、
    前記加熱室の前記試料流路の内径が前記イオン化プローブのヒーティングガス管の外径よりも小さいことを特徴とする質量分析装置。
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