JP3166867U - 液体クロマトグラフ質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ESIイオン化、APCIイオン化、ESI/APCI同時イオン化のいずれもが可能であり、試料液体の流速が大きくても加熱不足が問題にならないイオン源を提供する。【解決手段】 二重管構造を有し試料液体をネブライズガスによって噴霧口から噴霧させる導電性の噴霧ノズル51と、噴霧口Jの前方空間Kを筒状に囲む筒状ヒータ55と、噴霧口の前方空間を筒状に囲み、噴霧ノズルとの間にESI用の電位差を形成する筒状電極56と、噴霧ノズルと筒状電極との間に電圧を印加する第一電源61と、筒状電極の前方に配置されるAPCI用のためのコロナ放電針57と、コロナ放電針に電圧を印加する第二電源62とを備える。【選択図】 図2

Description

本考案は、液体クロマトグラフ装置によって分離・溶出された分析対象分子をイオン化して質量分析を行う液体クロマトグラフ質量分析装置のイオン源に関し、さらに詳細には、大気圧化学イオン化法(APCI)およびエレクトロスプレーイオン化法(ESI)によりイオン化を行うイオン源に関する。
液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MSともいう)は、液体試料を成分毎に分離して溶出する液体クロマトグラフ装置(LC部ともいう)と、LC部から溶出される試料成分をイオン化するイオン化室と、イオン化室から送られるイオンを検出する質量分析装置(MS部ともいう)とから構成される。
LC/MSのイオン源には、大気圧イオン化法が用いられているものがある。
図8は、大気圧イオン化法の一つであるESIを用いたLC/MSの一例を示す概略構成図である。このLC/MS101では、LC部からの液体試料を大気圧下でイオン化を行うイオン化室11と、イオン化室11に隣接する第一中間室12と、第一中間室12に隣接する第二中間室13と、第二中間室13に隣接する質量分析装置(MS部)14とがそれぞれ隔壁を介して並ぶように設けられている。
イオン化室11には噴霧ノズル151(プローブ)を有するイオン源15が取り付けてある。噴霧ノズル151は、LC部で成分分離された液体試料が流路155を介して供給されるとともに、ネブライズガス(例えば乾燥窒素ガス)が流路156を介して供給され、液体試料がネブライズガスと混合されて霧状になって噴霧されるようにしてある。
図9は噴霧ノズル151の先端部分の拡大断面図である。噴霧ノズル151は、金属製の二重管構造になっており、流路155からの液体試料は内管152から噴出される。流路156のネブライズガスは外管153から噴射される。内管152の先端は外管153の先端よりも2mm程度だけ突出するようにしてあり、内管152から噴出された液体試料は、周囲に噴射されるネブライズガスとの衝突作用により霧状態となって噴霧される。
また、噴霧ノズル151は、高電圧印加用の電源161に接続してあり、数KVの高電圧が噴霧ノズル151の先端に印加されるようにしてある。高電圧が印加された状態で液体試料が噴霧されることで、イオン化された微小液滴が発生するようにしてある。
イオン化室11と第一中間室12とを仕切る隔壁には、温調機構が内蔵されたヒータブロック20が固定してある。また、ヒータブロック20を貫通するように細径で円管状の脱溶媒管19が形成されている。これにより、イオン化室11と第一中間室12とは、脱溶媒管19を介して連通する。脱溶媒管19は、噴霧ノズル151により噴霧されたイオンや微細な試料液滴が通過するときに、加熱作用や衝突作用により脱溶媒化、イオン化が促進される機能を有する。なお、脱溶媒管19はESIによるイオン化だけでなく、後述するAPCIでも脱溶媒化のための役割を果たしている。
脱溶媒管19の入口は、噴霧ノズル15からの試料噴霧方向に対して略直角方向に向けてあり、噴霧された巨大な試料液滴がそのまま脱溶媒管19内に飛び込まないようにしてある。また、噴霧ノズル15から試料液滴が噴霧される方向の前方にはドレイン30が形成されており、不要な試料液滴はドレイン30から外部へ排出されるようになっている。
第一中間室12の内部には、第一イオンレンズ21が設けられ、第一中間室12の下面には、油回転ポンプ(RP)で真空排気するための排気口31が設けられている。第一中間室12と第二中間室13との間の隔壁には、細孔(オリフィス)を有するスキマー22が形成され、この細孔を介して第一中間室12の内部と第二中間室13の内部とが連通する。
第二中間室13の内部には、オクタポール23と、フォーカスレンズ24とが設けられ、第二中間室13の下面には、ターボ分子ポンプ(TMP)で真空排気するための排気口32が設けられている。第二中間室13と質量分析装置14との間の隔壁には、細孔を有する入口レンズ25が設けられ、この細孔を介して第二中間室13の内部と質量分析装置14の内部とが連通する。
質量分析装置14の内部には、第一四重極16と、第二四重極17と、検出器18とが設けられ、質量分析装置14の下面には、ターボ分子ポンプ(TMP)で真空排気するための排気口33が設けられている。
なお、イオンレンズ21と、オクタポール23と、フォーカスレンズ24と、入口レンズ25とは、それぞれの真空状態下で、それぞれのイオン速度下のもとで通過するイオンを効率的に次段に送り出すための収束作用を有する。
このようなLC/MS101において、イオン化室11でESIにより生成されたイオンは、脱溶媒管19、第一中間室12内の第一イオンレンズ21、スキマー22、第二中間室13内のオクタポール23およびフォーカスレンズ24、入口レンズ25を順に経て質量分析装置14に送られ、四重極16、17により不要イオンが排出され、検出器18に到達した特定イオンのみが検出されることになる。
また、上述したエレクトロスプレーイオン化法(ESI)とは別に、大気圧化学イオン化法(APCI)によるイオン化も幅広く利用されている。
ここで、ESIとAPCIとの差異について説明する。ESIは、上述したように、LC部から溶出する液体試料を、ネブライズガスとともに噴霧ノズルの先端から噴霧する。噴霧ノズルには高電圧が印加されており、ノズル先端に発生する強い電界により液体試料が帯電液滴として大気圧下のイオン室内に噴霧される。噴霧された帯電液滴は、イオン化室の乾燥ガスにより溶媒が蒸発することにより、帯電液滴の電荷密度が増大し、液滴内でのクーロン力による反発により液滴の分裂が進行して分析対象成分のイオン化が促進されるようになる。このイオン化法は極性が高い化合物のイオン化に適している。
これに対し、APCIは、ESIと同様の噴霧ノズルの先端部分(噴霧口)に対し、噴霧口を筒状に覆うようにヒータを設けて加熱するか、あるいは、イオン化室と中間室とを仕切る隔壁に内蔵されたヒータブロック(図8のヒータブロック20)を貫通する脱溶媒管19による加熱で、噴霧された試料液滴を高温(400℃〜500℃)に加熱することにより、試料液滴の脱溶媒化を促進する。そして噴霧された液滴が存在する領域内であって、かつ、脱溶媒管の入口近傍(イオン導入口近傍)に、電極針でコロナ放電を発生させることによってバッファイオン(溶媒イオン)を生成し、これを分析対象成分に化学反応させることでイオン化(化学イオン化)を行う。このイオン化法は極性が低い化合物のイオン化に適している。
図10は、図8で説明したLC/MS101に対し、APCIによるイオン化を可能にするための改良を加えたLC/MS102を示す概略構成図である。図8と同じ構成部分については、同符号を付すことにより説明を省略する。このLC/MS102では、イオン化室11における脱溶媒管19の入口近傍で、噴霧ノズル15から噴霧された試料液滴が存在する領域に、高圧電源162から電圧を与えてコロナ放電を発生させるための電極針160の先端を配置するようにしてある。
このように、ESIとAPCIとは、異なるメカニズムによって分析対象成分のイオン化が行われるので、分析対象の極性等の特徴に応じてイオン化法を選択するようにしている。
分析対象によっては、未知成分を含む液体試料を分析する場合や、極性が低い成分から極性が高い成分までの多種類の成分を含む試料を一度に分析したい場合がある。そのような分析を行うために、APCIとESIとを短い周期で交互に切り替えて用いるイオン源、APCIとESIとを同時に並行して実行するイオン源についても開示されている(特許文献1、特許文献2)。
例えば、特許文献1に記載のマルチモードイオン源では、図10と同様に、チャンバ(イオン化室)内にエレクトロスプレープローブ(ESIのイオン源)と、コロナ放電ニードルとを収納し、電源から供給される高電圧を、エレクトロスプレープローブ、コロナ放電ニードルのいずれか、または、その両方に供給することが開示されている。
また、APCIでは、液体試料の加熱乾燥による脱溶媒化が重要になるが、特許文献2の多モードイオン化源によれば、荷電エアゾルの加熱乾燥を促進するため、高温ガスを導入する他に、赤外線波、マイクロ波のような電磁放射線を用いることが記載されている。
特表2005−528746号公報 特表2005−539358号公報
既述のように、ESIイオン化とAPCIイオン化とを同時併用するイオン化法は、未知成分を含む液体試料を分析する場合や、極性が低い成分から極性が高い成分までの多種類の成分を含む試料を一度に分析したい場合に有用である。
ところで、近年のLC/MSでは分析時間のスループットを高めることが求められており、そのためにLC部からの溶出液の流速をできるだけ高くするようにして噴霧することが必要になってきている。具体的には、以前は液体試料を送り出す流速が0.2ml/秒程度であったものが1ml/秒程度まで流速を高めることが求められている。その場合に、試料液滴に対する加熱不足が原因で十分に気化されない問題が生じるようになっている。すなわち、図10に示したLC/MS102では、加熱したネブライズガスを供給することや脱溶媒管19による加熱によって脱溶媒化が行われるが、液体試料の流速が高くなると、これらだけでは加熱不足となり、特にAPCIによる低極性化合物のイオン化では加熱が不十分となる。
そのため、加熱を補助する目的でイオン化室11内に赤外線ヒータを設け、イオン化室の広い空間を加熱することも開示されているが、それでも溶出液の流速が大きくなると加熱不足の解消が困難であり、また、イオン化室の広い空間を高温にするためには耐熱性を備えたイオン化室にする必要があった(APCIは400℃程度の加熱で気化や脱溶媒化が行われる)。
そこで、本考案は、ESIイオン化、APCIイオン化、ESI/APCI同時イオン化のいずれもが可能であり、しかも噴霧された試料液滴を効率的に加熱することができ、APCIイオン化(およびESI/APCI同時イオン化)の際にも、加熱不足が問題にならない新しい構造のイオン源を提供することを目的とする。
また、本考案はイオン化室内に赤外線ヒータなどのイオン化室の広い空間を加熱する加熱機構を設けることなく、APCIイオン化に必要な加熱を局所的に行うことができ、それでいて、従来と同様にESIイオン化も可能であるイオン源を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本考案のイオン源は、液体クロマトグラフ部から送られる液体試料をイオン化して質量分析部に送る液体クロマトグラフ質量分析装置用のイオン源であって、試料液体が供給される内管とネブライズガスが供給される外管との二重管構造を有し、前記試料液体を前記ネブライズガスによって噴霧口から噴霧させる導電性の噴霧ノズルと、前記噴霧口の前方空間を筒状に囲み、前記噴霧口から噴霧された試料液滴を加熱しながら通過させる筒状ヒータと、前記噴霧口の前方空間を筒状に囲み、前記噴霧ノズルから離隔するように設けられ、ESIによるイオン化のときに前記噴霧ノズルとの間に電位差を形成する筒状電極と、前記噴霧ノズルと前記筒状電極との間にESIによるイオン化のための電圧を印加する第一電源と、前記筒状電極の前方に配置され、APCIによるイオン化のときにコロナ放電用の電圧が印加されるコロナ放電針と、前記コロナ放電針にAPCIによるイオン化のための電圧を印加する第二電源とを備えるようにしている。
すなわち、本考案のイオン源では、ESI用第一電源とAPCI用第二電源とを備え、第一電源で高電圧を与えてESIによるイオン化を行い、第二電源で高電圧を与えてAPCIによるイオン化を行う。ESIだけに高電圧を印加させてもよいし(ESIイオン化)、APCIだけに高電圧を印加させてもよい(APCIイオン化)。両方同時に高電圧を印加させてもよい(同時イオン化)。なお、第一電源と第二電源とはESI用とAPCI用の高電圧が独立に印加できるものであれば共用してもよい。
ESIによるイオン化(同時イオン化のときも含む)のときは、第一電源によって噴霧ノズルと筒状電極との間に高電圧を印加する。これにより噴霧口周辺に大きな電位差の空間が形成できるようになり、ESIによるイオン化が可能になる。
APCIによるイオン化(同時イオン化のときも含む)のときは、第二電源によってコロナ放電針に高電圧を与える。これにより、筒状ヒータの内側で加熱された試料液滴が脱溶媒化されながら噴霧され、コロナ放電により発生したバッファイオン(溶媒イオン)との化学反応でイオン化(化学イオン化)が行われる。このとき筒状ヒータの内側を通過する試料液滴(イオンも含まれる)は、筒体内で効率的かつ高温に加熱することができるので、たとえ供給される試料液滴の流速が大きくなったとしても、問題なくAPCIによるイオン化ができる。
上記考案において、前記第一電源は前記噴霧ノズルに電圧を印加するとともに、前記筒状電極を接地電位にするのが好ましい。
噴霧ノズルと筒状電極との間にイオン化に必要な電位差が相対的に加わりさえすればイオン化が可能であるので、第一電源は噴霧ノズル側に接続してもよいし、筒状電極側に接続してもよい。しかし、噴霧ノズル側に電圧を印加するとともに、筒状電極側を接地電位にすることで安定した高電圧を印加することができ、同時イオン化のときにも2つの電源から高電圧を独立に印加する制御が容易に行えるようになる。
上記考案において、前記噴霧ノズルと前記筒状電極との離隔距離が2mm〜30mmであるのが好ましい。これにより、イオン化に必要かつ十分な電位差を噴霧口の前方空間に(筒状ヒータ内)に形成できるようになる。
上記考案において、前記噴霧ノズル外管の内径よりも前記筒状電極の内径を大きくするのが好ましい。
これにより、噴霧ノズルから噴霧された試料液滴は筒状電極内を確実に通過させることができ、筒状電極による流体抵抗(配管抵抗)を受けることがないので、滞留することなく連続して試料液滴を噴霧させることができるようになる。
以上のように、本考案のLC/MSによれば、噴霧ノズルの噴霧口から噴霧された試料液滴を筒状ヒータ内で局所的かつ効率的に高温加熱することができ、また、筒状電極内に大きな電位差を発生できるので、ESIイオン化、APCIイオン化、ESI/APCI同時イオン化のいずれの方法でも安定して確実にイオン化できる。そしてAPCIイオン化(およびESI/APCI同時イオン化)の際にも、加熱不足が問題にならない。
また、イオン化室内に赤外線ヒータなどのイオン化室の空間全体を加熱する加熱機構を設けていないので、イオン化室の広い空間を加熱しなくてよいので、イオン化室全体を高温加熱に耐えうるような構造にする必要がない。
本考案に係るイオン源の一例を用いた液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)を示す概略構成図である。 図1のイオン源の概略構成図である。 図2のイオン源を筒状ヒータの前方から見た図である。 イオン源の第二実施形態を示す概略構成図である。 図4のイオン源を筒状ヒータの前方から見た図である。 イオン源の第三実施形態を示す概略構成図である。 図6のイオン源を筒状ヒータの前方から見た図である。 ESIを用いたLC/MSの従来例を示す概略構成図である。 ESI用の噴霧ノズルにおける先端部分の拡大断面図である。 ESIとともにAPCIによるイオン化を行うための改良を加えたLC/MSの従来例を示す概略構成図である。
以下、本考案の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本考案は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
(実施形態1)
図1は、本考案に係るイオン源の一例を用いたLC/MS103を示す概略構成図であり、図2は図1のイオン源の概略構成図である。また、図3は図2のイオン源を後述する筒状ヒータ55の前方(噴霧側)から見た図である。LC/MS103における第一中間室12、第二中間室13、質量分析装置(MS部)14については、図8で説明した従来例と同じ構造であるので、同符号を付すことにより説明を省略する。
LC/MS103のイオン化室11にはイオン源50が取り付けてある。イオン源50は主に、噴霧ノズル51、セラミック管54、筒状ヒータ55、筒状電極56、コロナ放電針57、第一電源61、第二電源62からなる。
噴霧ノズル51には、LC部で成分分離された液体試料が流路155を介して供給されるとともに、乾燥したネブライズガス(例えば乾燥窒素ガス)が流路156を介して供給される。なお、ネブライズガスは加熱機構(不図示)により高温に加熱された状態で供給されるようにしてある。
噴霧ノズル51は内管52と外管53とからなる金属製の二重円管構造にしてあり、フランジ71に絶縁材料(不図示)を介して支持されるようにしてある。内管52は流路155に接続されて液体試料が流れるようにしてあり、外管53は流路156に接続されてネブライズガスが流れるようにしてある。内管52の先端は外管53の先端よりも2mm〜10mm程度だけ突出するようにしてあり、内管52から噴射された液体試料は、外管53から噴射されるネブライズガスとの衝突作用(および加熱された乾燥ガスによる熱的作用)により霧状態となって噴霧される。
また、噴霧ノズル51の内管52は、ESIのための高電圧印加用の第一電源61(HV1)と電気的に接続されており、数KVの高電圧(正負極性の切り替え可)が噴霧ノズル51の先端に印加できるようにしてある。これにより噴霧ノズル51の先端から5mm〜30mmの距離を隔てた筒状電極56との間に大きな電位差を発生させた状態で試料液滴が噴霧されることで、ESIによるイオン化が行われ、イオン(主として高極性化合物のイオン)を含む微小液滴が噴霧されるようにしてある。
セラミック管54は、基端がフランジ71に支持され、噴霧ノズル51の噴霧口J(開口端)を囲むとともに、この噴霧口Jの前方空間Kを筒状に囲むように取り付けてある。これにより噴霧口Jから噴霧された試料液滴は横方向に拡散することなく確実に前方空間Kに向けて流れるようにしてある。
前方空間Kの領域に対応するセラミック管54の外周には、筒状ヒータ55(電熱ヒータ)が巻回してあり、セラミック管54に接触させた温度センサ58によって加熱温度をモニタし温調計によってフィードバック制御することにより、前方空間Kの温度を所望の温度に制御できるようにしてある。例えばAPCIによるイオン化の際には400℃〜500℃、同時イオン化のときは250℃〜400℃に温度制御するようにしている。
筒状電極56は、前方空間Kの領域を囲むようにしてセラミック管54の内壁に固定してあり、アース電位となるように接地してある。筒状電極56と噴霧ノズル51の先端(内管52の先端)の間は、2mm〜30mm程度離隔してあり、第一電源61から高電圧が印加されたときに、この間隙に大きな電位差が生じるようにしてESIイオン化が行えるようにしてある。
前方空間Kの内径(筒状電極56の内径)は、噴霧ノズル51の外管53の内径よりも大きくしてあり、したがって噴霧された試料液滴は前方空間Kで凝縮されることなく、また、通過の際に配管による流体抵抗を受けることなく噴霧されるので、試料液滴の気化や脱溶媒化の促進が確実に行えるようにしてある。
コロナ放電針57は、筒状電極56の開口端Mに近い空間Lに配置され、針の先端が開口端Mから流出する試料液滴と接するようにしてある。
コロナ放電針57は、APCIのための高電圧印加用の第二電源62(HV2)と電気的に接続されており、数KVの高電圧(正負極性の切り替え可)が印加できるようにしてある。これによりコロナ放電を発生させることによってバッファイオン(溶媒イオン)を生成し、試料液滴に化学反応させることでAPCIによるイオン化(化学イオン化)が行えるようにしてある。このようにしてイオン(主として低極性化合物のイオン)を含む微小液滴が噴霧されるようにしてある。
次に、イオン源50によるイオン化の動作について説明する。
ESIによるイオン化を行う(ESI/APCI同時イオン化を行う場合を含む)場合は、第一電源61から2〜3KVの高電圧を印加した状態で、液体試料およびネブライズガスを供給する。噴霧ノズル51の噴霧口Jから試料液滴が噴霧され、筒状電極56との間で大きな電位差が発生している領域を通過することで、試料液滴がESIによりイオン化され、前方空間Kを通過するようになる。このとき、APCIによるイオン化を同時に行わない場合は、前方空間Kの温度を250℃程度に加熱すればよい。APCIによるイオン化を同時に行う場合は、400℃程度に加熱することになる。
また、APCIによるイオン化を行う(ESI/APCI同時イオン化を行う場合を含む)場合は、第二電源62から2〜3KVの高電圧を印加し、前方空間Kを400℃程度に加熱した状態で、液体試料およびネブライズガスを供給する。噴霧口Jから試料液滴が噴霧されると、高温加熱された前方空間Kで気化および脱溶媒化が促進されながら、試料液滴およびESIによるイオン)は開口端Mの外側に流出するようになる。そして高電圧が印加されたコロナ放電針57により、コロナ放電を発生させることにより、バッファイオン(溶媒イオン)を生成し、これを流出した試料液滴の分析対象成分に化学反応させることでイオン化(化学イオン化)が行われる。
このように、ESIイオン化、APCIイオン化、ESI/APCI同時イオン化のいずれの場合も、試料液滴やイオンが局在する領域(前方空間K)を選択的に集中して効率よく高温加熱するようにして、たとえLC部から溶出される試料液体の流速が大きい場合でも、イオン化に十分な加熱を行うようにする。
(実施形態2)
図4は本考案の第二実施形態であるイオン源50aの概略構成図である。また、図5は図4のイオン源50aを筒状ヒータ55aの前方(噴霧側)から見た図である。図1〜3と同じ構成については、同符号を付すことにより説明を省略する。
この実施形態では、セラミック管54aが噴霧口Jを囲うようにしてあるが、前方空間Kはセラミック管54aではなく、セラミック管54aの先端に固定支持させた導体管(金属管)からなる筒状電極56aで囲うようにしている。そして筒状電極56aの外周に筒状ヒータ55aを巻回すようにしてある。
この実施形態2では、筒状ヒータ55aの熱が、セラミック管を介さず導体管56aに直接伝達されるので、実施形態1よりも前方空間Kの熱応答性を向上させることができる。
(実施形態3)
図6は本考案の第三実施形態であるイオン源50bの概略構成図である。また、図7は図6のイオン源50bを筒状ヒータ55bの前方(噴霧側)から見た図である。図1〜3と同じ構成については、同符号を付すことにより説明を省略する。
この実施形態では、図2のセラミック管54に代えて、噴霧口Jおよび前方空間Kを囲む導体管54b(金属管)を用いるようにしてある。導体管54bは接地されており、これ自身で筒状の接地電極として機能するようにしてある。(図2の筒状電極56を接地した場合と同じ機能)。導体管54bと噴霧ノズル51との間隙には短絡防止のため、絶縁材料のスペーサ(不図示)が挿入してある。そして導体管54bの外周に筒状ヒータ55bを巻回すようにしてある。
この実施形態3でも、筒状ヒータ55bの熱が、セラミック管を介さず導体管56aに直接伝達されるので、実施形態1よりも前方空間Kの熱応答性を向上させることができる。
本考案は、液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)のイオン源に利用することができる。
11: イオン化室
50、50a、50b: イオン源
51: 噴霧ノズル
52: 内管
53: 外管
54、54a: セラミック管
54b: 導体管(筒状電極として兼用)
55、55a、55b: 筒状ヒータ
56、56a: 筒状電極
57: コロナ放電針
61: 第一電源(ESI用)
62: 第二電源(APCI用)
J: 噴霧口
K: 前方空間
M: 開口端
L: 開口端近傍空間

Claims (7)

  1. 液体クロマトグラフ部から送られる液体試料をイオン化して質量分析部に送る液体クロマトグラフ質量分析装置用のイオン源であって、
    試料液体が供給される内管とネブライズガスが供給される外管との二重管構造を有し、前記試料液体を前記ネブライズガスによって噴霧口から噴霧させる導電性の噴霧ノズルと、
    前記噴霧口の前方空間を筒状に囲み、前記噴霧口から噴霧された試料液滴を加熱しながら通過させる筒状ヒータと、
    前記噴霧口の前方空間を筒状に囲み、前記噴霧ノズルから離隔するように設けられ、ESIによるイオン化のときに前記噴霧ノズルとの間に電位差を形成する筒状電極と、
    前記噴霧ノズルと前記筒状電極との間にESIによるイオン化のための電圧を印加する第一電源と、
    前記筒状電極の前方に配置され、APCIによるイオン化のときにコロナ放電用の電圧が印加されるコロナ放電針と、
    前記コロナ放電針にAPCIによるイオン化のための電圧を印加する第二電源と、を備えたことを特徴とするイオン源。
  2. 液体クロマトグラフ部から送られる液体試料をイオン化して質量分析部に送る液体クロマトグラフ質量分析装置用のイオン源であって、
    試料液体が供給される内管とネブライズガスが供給される外管との二重管構造を有し、前記試料液体を前記ネブライズガスによって噴霧口から噴霧させる導電性の噴霧ノズルと、
    前記噴霧口および当該噴霧口の前方空間を筒状に囲むように取り付けられるセラミック管と、
    前記噴霧口の前方空間を筒状に囲むように前記セラミック管の外周面に取り付けられ、噴霧された試料液滴を加熱しながら通過させる筒状ヒータと、
    前記セラミック管内で前記噴霧口の前方空間を筒状に囲み、前記噴霧ノズルから離隔するように設けられ、ESIによるイオン化のときに前記噴霧ノズルとの間に電位差を形成する筒状電極と、
    前記噴霧ノズルと前記筒状電極との間にESIによるイオン化のための電圧を印加する第一電源と、
    前記筒状電極の前方に配置され、APCIによるイオン化のときにコロナ放電用の電圧が印加されるコロナ放電針と、
    前記コロナ放電針にAPCIによるイオン化のための電圧を印加する第二電源と、を備えたことを特徴とするイオン源。
  3. 液体クロマトグラフ部から送られる液体試料をイオン化して質量分析部に送る液体クロマトグラフ質量分析装置用のイオン源であって、
    試料液体が供給される内管とネブライズガスが供給される外管との二重管構造を有し、前記試料液体を前記ネブライズガスによって噴霧口から噴霧させる導電性の噴霧ノズルと、
    前記噴霧ノズルの噴霧口を筒状に囲むように取り付けられるセラミック管と、
    前記セラミック管に支持され、前記噴霧ノズルの噴霧口の前方空間を筒状に囲むように取り付けられ、噴霧された試料液滴を加熱しながら通過させる筒状ヒータと、
    前記筒状ヒータの内側で前記前方空間を筒状に囲み、前記噴霧ノズルから離隔するように設けられ、ESIによるイオン化のときに前記噴霧ノズルとの間に電位差を形成する筒状電極と、
    前記噴霧ノズルと前記筒状電極との間にESIによるイオン化のための電圧を印加する第一電源と、
    前記筒状電極の前方に配置され、APCIによるイオン化のときにコロナ放電用の電圧が印加されるコロナ放電針と、
    前記コロナ放電針にAPCIによるイオン化のための電圧を印加する第二電源と、を備えたことを特徴とするイオン源。
  4. 液体クロマトグラフ部から送られる液体試料をイオン化して質量分析部に送る液体クロマトグラフ質量分析装置用のイオン源であって、
    試料液体が供給される内管とネブライズガスが供給される外管との二重管構造を有し、前記試料液体を前記ネブライズガスによって噴霧口から噴霧させる導電性の噴霧ノズルと、
    前記噴霧口および当該噴霧口の前方空間を筒状に囲むように取り付けられ、前記噴霧ノズルから離隔するように設けられ、接地電位にされてESIによるイオン化のときに筒状電極として用いられる導体管と、
    前記噴霧口の前方空間を筒状に囲むように前記導体管の外周面に取り付けられ、噴霧された試料液滴を加熱しながら通過させる筒状ヒータと、
    前記噴霧ノズルにESIによるイオン化のための電圧を印加する第一電源と、
    前記筒状電極の前方に配置され、APCIによるイオン化のときにコロナ放電用の電圧が印加されるコロナ放電針と、
    前記コロナ放電針にAPCIによるイオン化のための電圧を印加する第二電源と、を備えたことを特徴とするイオン源。
  5. 前記第一電源は前記噴霧ノズルに電圧を印加するとともに、前記筒状電極を接地電位にする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のイオン源。
  6. 前記噴霧ノズルと前記筒状電極との離隔距離が2mm〜30mmである請求項1〜請求項5のいずれかに記載のイオン源。
  7. 前記噴霧ノズル外管の内径よりも前記筒状電極の内径が大きい請求項1〜請求項6のいずれかに記載のイオン源。
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