JP3846417B2 - 大気圧イオン化質量分析装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば液体クロマトグラフ(LC)により成分分離された液体試料を略大気圧雰囲気中に噴霧することでイオン化し、発生したイオンを質量分析部(MS)に導入して分析を行う大気圧イオン化質量分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来知られている一般的なLC/MS装置の一例を示す概略構成図である(例えば、特許文献1など参照)。LC部10のカラム11から時間的に分離して溶出する試料液は、インタフェイス部(大気圧イオン化インタフェイス)20に導入され、スプレーノズル22から霧化室(イオン化室)21内に噴霧されてイオン化される。発生したイオンは、その前方に位置している円錐状のサンプリングコーン23の頂部に穿孔されている小径の通過孔24を通ってMS部30へと送り込まれる。
【0003】
MS部30は第1中間室31、第2中間室32及び分析室33の3室から成り、霧化室21と第1中間室31とは上記通過孔24により、第1中間室31と第2中間室32とは円錐状のスキマー35の頂部に設けられた小径の通過孔(オリフィス)36により連通している。霧化室21内は略大気圧に維持され、第1中間室31はロータリーポンプによって約1Torr程度まで、第2中間室32及び分析室33はターボ分子ポンプによってそれぞれ約10-3〜10-4Torr程度、及び約10-5〜10-6Torr程度まで排気され、霧化室21から分析室33に向かって段階的に真空度を高くすることで分析室33を高真空状態に維持している。
【0004】
上述のようにして通過孔24を通過したイオンは、第1イオンレンズ34によりオリフィス36に収束され、オリフィス36を通り抜けて第2中間室32に導入される。そして、第2イオンレンズ37により収束及び加速されて分析室33へ送られ、特定の質量数(質量/電荷)を有する目的イオンのみが、分析室33内に配置された四重極フィルタ38の長軸方向の空間を通り抜けてイオン検出器39に到達する。そして、イオン検出器39では、到達したイオン数に応じた電流が検出信号として取り出される。
【0005】
上記構成においてインタフェイス部20は、試料液を加熱、高速気流、高電界等によって霧化させることで、試料液に含まれる各種の試料成分をイオン化するものであり、エレクトロスプレイイオン化法(ESI=Electricspray Ionization)や大気圧化学イオン化法(APCI=Atmospheric Pressure Chemical Ionization)が最も広く使用されている。
【0006】
図6(a)はESIによるイオン化スプレー部の構成例である。ESIでは、スプレーノズル22の先端部に数kV程度の直流高電圧を印加し、強い不平等電界を発生させる。スプレーノズル22の先端に達した試料液はこの電界により電荷分離し、スプレーノズル22と同軸外周に配設されたネブライズ管(図示せず)から噴出されるネブライズガスの助けを受けて、微小な帯電液滴として強制的に噴霧される。霧化室21内では図示しない加熱ガス供給路によって供給される加熱ガスに噴霧流が晒され、それによって液滴中の溶媒の蒸発が進行し、気体イオンの発生が促進される。
【0007】
図6(b)はAPCIによるイオン化スプレー部の構成例である。APCIでは、スプレーノズル22の前方に針状の放電電極26を配置しておき、スプレーノズル22の先端を取り囲むように周設したヒータ28で噴霧流を加熱することにより発生させた試料分子に、放電電極26からのコロナ放電により生成したキャリアガスイオン(バッファイオン)を化学反応させてイオン化を行う。
【0008】
一般に、APCIは低極性から中極性、ESIは中極性から高極性化合物のイオン化に有効である。また、ESIではタンパク質を代表とする物質のイオン化の過程で多価イオンを生成するため、装置の質量範囲の上限を越えた、分子量が数万というような化合物の測定も可能である。従って、分析対象の試料の種類や分析目的などによってイオン化法の使い分けが行われる。従来、一般的なLC/MS装置では、ESI用スプレー部とAPCI用スプレー部とが交換自在の構成となっており、分析者がイオン化法に応じて適宜スプレー部を交換するようにしている(例えば、非文献特許1参照)。しかしながら、こうした交換作業は手間が掛かるため、分析効率を落とす一因となっている。そこで、こうした交換の手間を省くことを目的とした装置が、従来から提案されている。
【0009】
例えば特許文献3に記載の装置では、ESI用スプレー部とAPCI用スプレー部とを並設し、流路切替バルブによって試料液をいずれかのスプレー部に選択的に供給する。また、ESI用スプレー部とAPCI用スプレー部との前方にはそれぞれイオンを取り込むための取入口を独立に設け、その2つの取入口に連なるイオン輸送管は途中で合流して、後段の唯一の分析室にイオンを輸送するように構成されている。しかしながら、こうした構成は複雑であり、コストが高くなり装置自体も大形になる。一方、例えば特許文献4に記載の装置では、スプレーノズル自体はESIとAPCIとで共通であり、ヒータとノズルとの位置関係などを機械的に切り替える機構を設けることにより、ESIモードとAPCIモードとの切替えを達成している。
【0010】
さらに近年、LC/MSインタフェイス用のイオン化法として、上記のようなイオン化法に加え、大気圧フォトイオン化法(APPI=Atmospheric Pressure Photo-Ionization)が提案されている(例えば特許文献5など参照)。図6(c)はAPPIによるイオン化スプレー部の構成例である。APPIは、APCIと同様にヒータ28による加熱で発生させた試料分子に、クリプトンランプである光源27から光を照射し、その光子エネルギーhνによりイオン化する。このAPPIは、ESIやAPCIでイオン化しにくい多環芳香族、脂溶性ビタミン類などをイオン化することができるほか、成分濃度と検出出力との直線性がAPCIよりも広いため、定量分析に優れるという特長がある。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−214149号公報(段落0003、段落0004、及び図6)
【特許文献2】
特開2001−272375号公報
【特許文献3】
特開平8−297112号公報
【特許文献4】
特開平8−236064号公報
【特許文献5】
米国特許第6211516号明細書
【非特許文献1】
“卓上,簡単,高機能を実現したLCMSシステム LCMS-QP8000α”、「ESI,APCIを標準装備」、[Online]、株式会社島津製作所、[平成14年11月18日検索]、インターネット〈URL: http://www.an.shimadzu.co.jp/products/lcms/qp8000.htm〉
【0012】
【発明が解決すべき課題】
最近、LC/MSで分析する試料は一層複雑化・多様化しており、各種の成分が複雑に混合した試料を測定する機会も増加している。そのため、或る試料を分析する際に或る1種のイオン化法だけでは該試料に含まれる全成分を充分には捉えられず、複数のイオン化法を用いてそれぞれ分析した結果を集めて、定性分析や各種の解析を行うようなことも多い。そうした場合に、従来のように各イオン化モードに対応したイオン化スプレー部に交換したり、或いは機械的に何らかの切替えを行ったりするのは、手間が掛かり面倒である。また、イオン化モードを替えて複数回の分析を行う必要があるため、分析に時間が掛かり、さらには、試料が微量である場合にはこうした複数回の分析が困難である場合さえある。
【0013】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、その主たる目的とするところは、試料の種類や分析の目的に応じて、面倒な手間を要することなく、複数のイオン化モードを適宜切り替えて分析を行うことができる大気圧イオン化質量分析装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された第1発明は、略大気圧にあるイオン化室内にスプレーノズルから試料液を噴霧し、該試料液に含まれる成分分子をイオン化して該イオンを質量分析する大気圧イオン化質量分析装置において、
a)ESIモードにおいて前記スプレーノズルの先端部に高電圧を印加して噴霧液滴を帯電させる電荷付与手段と、
b)前記スプレーノズルから噴霧される噴霧流に加熱乾燥ガスを吹き掛ける熱風供給部、又は該噴霧流を囲んで配設されたヒータである噴霧流加熱手段と、
c)前記噴霧流の進行方向に前記スプレーノズルの前方であって且つ前記噴霧流の中心軸上でない位置に設けられ、APCIモードにおいてコロナ放電を発生させる放電電極を含む放電手段と、
d)前記噴霧流の進行方向に前記スプレーノズルの前方であって、前記放電電極と物理的及び機能的に干渉しないように前記噴霧流の中心軸を中心として前記放電電極と回転方向に離した位置に設けられ、APPIモードにおいて前記噴霧流に光を照射する光源手段と、
e)ESI、APCI又はAPPIの各イオン化モードに応じて、スプレーノズル先端部への高電圧の印加、放電電極からのコロナ放電、又は噴霧流への光の照射を選択的に行うべく前記電荷付与手段、放電手段及び光源手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第2発明は、液体クロマトグラフで成分分離された試料液を受けて、略大気圧にあるイオン化室内にスプレーノズルから前記試料液を噴霧し、該試料液に含まれる成分分子をイオン化して該イオンを質量分析する大気圧イオン化質量分析装置において、
a)ESIモードにおいて前記スプレーノズルの先端部に高電圧を印加して噴霧液滴を帯電させる電荷付与手段と、
b)前記スプレーノズルから噴霧される噴霧流に加熱乾燥ガスを吹き掛ける熱風供給部、又は該噴霧流を囲んで配設されたヒータである噴霧流加熱手段と、
c)前記噴霧流の進行方向に前記スプレーノズルの前方に設けられ、APCIモードにおいてコロナ放電を発生させる放電電極を含む放電手段と、
d)前記噴霧流の進行方向に前記スプレーノズルの前方であって前記放電電極と物理的及び機能的に干渉しない位置に設けられ、APPIモードにおいて前記噴霧流に光を照射する光源手段と、
e)ESI、APCI又はAPPIの各イオン化モードに応じて、スプレーノズル先端部への高電圧の印加、放電電極からのコロナ放電、又は噴霧流への光の照射を選択的に行うべく前記電荷付与手段、放電手段及び光源手段を制御する制御手段と、
を備え、前記制御手段は、前記液体クロマトグラフでの1回の試料注入に対しESI、APCI及びAPPIの各イオン化モードを順次切り替えることを繰り返し、各イオン化モードに対応したクロマトグラムデータをそれぞれ採取するようにしたことを特徴としている。
【0015】
なお、ここで放電電極と光源手段とが「機能的に干渉しない」状態とは、具体的には、例えば放電電極に放電電圧が印加されたときに、該放電電極と光源手段との間で放電が生じてしまい、空間内でのコロナ放電が適切に行われなくなる、といった好ましくない事態が生じない状態のことを言う。
【0016】
【発明の実施の形態、及び効果】
この発明に係る大気圧イオン化質量分析装置では、制御手段が電荷付与手段を作動させたときにESIイオン化モードとなり、放電手段を作動させたときにAPCIイオン化モードとなり、光源手段を作動させたときにAPPIイオン化モードとなる。スプレーノズル及び噴霧流加熱手段はいずれのイオン化モードに対しても共通に使用され、制御手段による上記のような電気的な切替えによってイオン化モードの変更が達成される。従って、従来のように、イオン化モードの相違する分析を行う際に分析者がイオン化スプレー部を交換する必要はなく、面倒な手間を要しない。また、機械的な切換機構も不要であるため、装置が大形化することがなく、コストの増加も最小限に抑制できる。
【0017】
さらにまた、イオン化モードを電気的に切り替えるために高速な切替えが可能である。そこで、特に第2発明に係る大気圧イオン化質量分析装置においては、液体クロマトグラフで成分分離された試料液を導入する構成とする場合において、前記制御手段は、液体クロマトグラフでの1回の試料注入に対し、ESI、APCI及びAPPIの各イオン化モードを順次切り替えることを繰り返して、各イオン化モードに対応したクロマトグラムデータをそれぞれ採取する構成としている。
【0018】
この構成によれば、1回の試料注入に対して、それぞれ異なる特徴のある3種のクロマトグラムを取得することができるので、成分構成が複雑であるような試料に対する分析も短時間で済ますことができる。また、試料が微量であって複数回の分析が困難であるような場合でも、充分に精度の高い分析結果を得ることができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明に係る大気圧イオン化質量分析装置の一実施例を、図1〜図3を参照して説明する。図1は本実施例による大気圧イオン化質量分析装置のイオン化インタフェイス部の概略構成図、図2は本装置の要部の電気的概略構成図、図3は本装置の制御動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、上記以外の基本的な構成については、図5で説明した従来の一般的なMS装置と同様であるので、説明を省略する。
【0020】
図1に示すように、イオン化インタフェイス部において、スプレーノズル22の前方には針状の放電電極26が配設され(図1では紙面に垂直な方向に延在している)、スプレーノズルの中心軸(つまり噴霧流の中心軸)Sを中心にして、放電電極26から回転方向に約90°離れた位置で、且つ中心軸Sの延伸方向に僅かにずれた位置に、クリプトンランプ等のAPPI用の光源27が配置されている。放電電極26と光源27とを互いに回転方向に離しているのは、S軸方向には両者を互いにあまり離すことなく、且つ両者の距離を充分に確保するためである。両者の距離が充分に確保されていないと、後述のように放電電極26に高電圧を印加したときに光源27との間に放電が発生してしまい、周囲のキャリアガス分子を充分にイオン化することができなくなる。従って、放電電極26と光源27との回転方向の角度距離は必ずしも90°でなくともよく、上記のような不所望の放電の発生を回避し得るという条件の下で適宜に定めることができる。
【0021】
このイオン化インタフェイス部は、ESI、APCI又はAPPIの各イオン化モードのいずれか1つを選択的に実行できるように構成されている。すなわち、図2に示すように、数kV以上の高電圧を電圧可変で発生可能な第1電圧源42は、スイッチ41(SW1)により、放電電極26又はスプレーノズル22に内装されている金属管22aに択一的に接続される。一方、第2電圧源44はスイッチ43(SW2)により、光源27に選択的に接続される。スイッチ41、43の切替動作及び第1電圧源42の出力電圧は、MS部の動作全般を司る制御部40により制御される。また、図示せぬイオン検出器39の出力信号はA/D変換器50によりデジタル信号に変換された後にデータ処理部51に入力され、ここで後述のような特徴的なデータ処理が実行される。
【0022】
次いで、図1、図2に加え、図3を参照しつつ、本装置の動作の一例について説明する。ここでは、ESI、APCI及びAPPIの切替えを機械的でなく電気的にのみ行うことの特徴を活かし、LC部10での1回の試料の注入に対しESI、APCI、APPIの各イオン化モードによる分析を短時間ずつ繰り返し実行し、時分割でそれぞれのイオン化モードによる分析結果を取得する動作を行うものとする。
【0023】
制御部40は、図3(a)〜(d)に示すように、ESIモード、APCIモード、APPIモードをそれぞれ100msecずつ順次切り替えるべく制御を実行する。ESIモードでは、スイッチ41でA側を選択するように切り替え、スイッチ43をOFFとし、第1電圧源42の電圧をV1(例えば4kV程度)に設定する。APCIモードでは、スイッチ41でB側を選択するように切り替え、スイッチ43をOFFとし、第1電圧源42の電圧をV2(例えば4kV程度)に設定する。さらにAPPIモードでは、スイッチ41でB側(A側でもよい)を選択するようにし、スイッチ43をONとし、第1電圧源42の電圧を0Vに設定する。
【0024】
各イオン化モードでの動作を詳しく述べる。ESIモードでは、第1電圧源42で発生した高電圧V1がスプレーノズル22の金属管22aに印加される。この金属管22aは試料液が流通するキャピラリ管を囲んでいるため、金属管22aに印加された高電圧によってキャピラリ管の端部に達した試料液は正に強く帯電し、キャピラリ管の外筒であるネブライズ管から噴出するネブライズガスの助けを受けて、正の帯電液滴として強制的に霧化室21内に噴霧される。その噴霧流に加熱ガス供給管25から吹き付けられる加熱ガスが当たり、液滴中の溶媒が急速に蒸発し、液滴のサイズが小さくなるに伴いクーロン反発力によって気体イオンが発生する。こうして発生したイオンや微小な帯電液滴は、霧化室21と第1中間室31との間の圧力差により、通過孔24を通して第1中間室31内に吸い込まれる。その間にも液滴からの溶媒の蒸発は一層進行し、イオンは第1イオンレンズ34により収束される。
【0025】
APCIモードでは、第1電圧源42で発生した高電圧V2が放電電極26に印加される。スプレーノズル22から噴霧された微小液滴は、ESIモードと同様に加熱ガスに晒され、液滴中の溶媒が急速に蒸発する。このときには液滴は電荷を付与されていないので、気体イオンは発生せず、その代わりに試料分子が飛び出る。霧化室21内には前段のLCの移動相も同時に噴霧されており、放電電極26から発生するコロナ放電によって、気化した移動相の分子がイオン化され、その分子イオンとの反応によって試料分子はイオン化する。こうして発生したイオンが、霧化室21と第1中間室31との間の圧力差により、通過孔24を通して第1中間室31内に吸い込まれる。
【0026】
APPIモードでは、第2電圧源44から光源27に電力が供給され、光源27が発光する。APCIモードと同様に、スプレーノズル22から噴霧された微小液滴は加熱ガスに晒され、液滴中の溶媒が急速に蒸発して試料分子が飛び出る。こうした噴霧流に光源27からの光が当たると、光子エネルギーhνによって試料分子がイオン化する。こうして発生したイオンが、霧化室21と第1中間室31との間の圧力差により、通過孔24を通して第1中間室31内に吸い込まれる。
【0027】
上記のようなESI、APCI、APPIの各イオン化モードによるイオン化が順次繰り返し行われ、各イオン化モードに特徴的な各種イオンがMS部30に導入される。従って、イオン検出器39には、各イオン化モードで発生した各種イオンのうち、四重極フィルタ38で選択された特定の質量数を持つイオンのみが順次到達する。イオン検出器39の検出信号は、A/D変換器50において或る一定時間間隔毎にサンプリングされ、各サンプルがデジタル信号に変換される。従って、パーソナルコンピュータ等で具現化されるデータ処理部51には、デジタル信号データ列として検出信号が入力される(図3(e)参照)。
【0028】
データ処理部51では、この信号データ列に属する各サンプルを、制御部40から与えられる制御信号により、ESI、APCI、APPIの各イオン化モードに対応したものに分別することができる。図3(f)はそうしたデータの分別を概念的に示している。こうして各サンプルを3種のグループに分別した後に、各サンプルデータを適宜処理して、例えば他のイオン化モードに振り分けられたために不足した時間位置に対応するデータを補正する処理を行うことにより、クロマトグラムデータを取得する。これに基づきそれぞれクロマトグラムを作成すれば、ESI、APCI、APPIの各イオン化モードに対応した3種のクロマトグラムを得ることができる。すなわち、LC部10における1回の試料の注入で、異なる3種のイオン化モードに対応したクロマトグラムを作成することができる。これにより、例えば或るイオン化モードでは充分な量のイオンが発生しないような成分であっても、別のイオン化モードで充分な量のイオンの発生があれば、これを捉えて確実に成分の1つを検出する、さらには定量することができる。
【0029】
なお、ESI、APCI、APPIのいずれのイオン化モードにおいても、噴霧流中の液滴を乾燥させる必要がある。上記実施例では、そのために加熱ガス供給管25から噴出する加熱ガスを利用しているわけであるが、これは単位時間当たりに液滴に与えることができる熱量が比較的小さく、ESIには最適であるが、APCIやAPPIには必ずしも最適ではない。つまり、イオン化効率という点では、上記実施例の構成はAPCIやAPPIではなくESIに最適化されたものだと言うことができる。
【0030】
これとは逆に、ESIではなくAPCIやAPPIにおいてイオン化効率が最適となるように考慮した構成の例を図4に示す。すなわち、この例では、加熱ガス供給管25に換えてスプレーノズル22の先端部を取り囲むようにヒータ28を周設しており、これによってノズル22から噴霧された液滴をより効率的に加熱するようにしている。
【0031】
なお、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜に変更や修正を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による大気圧イオン化質量分析装置の大気圧イオン化インタフェイス部の概略構成図。
【図2】 本実施例の大気圧イオン化質量分析装置の要部の電気的概略構成図。
【図3】 本実施例の大気圧イオン化質量分析装置における制御動作の一例を示すタイミングチャート。
【図4】 本発明の他の実施例による大気圧イオン化質量分析装置の大気圧イオン化インタフェイス部の概略構成図。
【図5】 従来知られている一般的なLC/MS装置の一例を示す概略構成図。
【図6】 従来の各種のイオン化法の構成例を示す概略図。
【符号の説明】
10…LC部
20…インタフェイス部
21…霧化室(イオン化室)
22…スプレーノズル
22a…金属管
23…サンプリングコーン
24…通過孔
25…加熱ガス供給管
26…放電電極
27…光源
28…ヒータ
30…MS部
31…第1中間室
32…第2中間室
33…分析室
34…第1イオンレンズ
35…スキマー
36…オリフィス
37…第2イオンレンズ
38…四重極フィルタ
39…イオン検出器
40…制御部
41、43…スイッチ
42…第1電圧源
44…第2電圧源
50…A/D変換器
51…データ処理部

Claims (2)

  1. 略大気圧にあるイオン化室内にスプレーノズルから試料液を噴霧し、該試料液に含まれる成分分子をイオン化して該イオンを質量分析する大気圧イオン化質量分析装置において、
    a)ESIモードにおいて前記スプレーノズルの先端部に高電圧を印加して噴霧液滴を帯電させる電荷付与手段と、
    b)前記スプレーノズルから噴霧される噴霧流に加熱乾燥ガスを吹き掛ける熱風供給部、又は該噴霧流を囲んで配設されたヒータである噴霧流加熱手段と、
    c)前記噴霧流の進行方向に前記スプレーノズルの前方であって且つ前記噴霧流の中心軸上でない位置に設けられ、APCIモードにおいてコロナ放電を発生させる放電電極を含む放電手段と、
    d)前記噴霧流の進行方向に前記スプレーノズルの前方であって、前記放電電極と物理的及び機能的に干渉しないように前記噴霧流の中心軸を中心として前記放電電極と回転方向に離した位置に設けられ、APPIモードにおいて前記噴霧流に光を照射する光源手段と、
    e)ESI、APCI又はAPPIの各イオン化モードに応じて、スプレーノズル先端部への高電圧の印加、放電電極からのコロナ放電、又は噴霧流への光の照射を選択的に行うべく前記電荷付与手段、放電手段及び光源手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする大気圧イオン化質量分析装置。
  2. 液体クロマトグラフで成分分離された試料液を受けて、略大気圧にあるイオン化室内にスプレーノズルから前記試料液を噴霧し、該試料液に含まれる成分分子をイオン化して該イオンを質量分析する大気圧イオン化質量分析装置において、
    a)ESIモードにおいて前記スプレーノズルの先端部に高電圧を印加して噴霧液滴を帯電させる電荷付与手段と、
    b)前記スプレーノズルから噴霧される噴霧流に加熱乾燥ガスを吹き掛ける熱風供給部、又は該噴霧流を囲んで配設されたヒータである噴霧流加熱手段と、
    c)前記噴霧流の進行方向に前記スプレーノズルの前方に設けられ、APCIモードにおいてコロナ放電を発生させる放電電極を含む放電手段と、
    d)前記噴霧流の進行方向に前記スプレーノズルの前方であって前記放電電極と物理的及び機能的に干渉しない位置に設けられ、APPIモードにおいて前記噴霧流に光を照射する光源手段と、
    e)ESI、APCI又はAPPIの各イオン化モードに応じて、スプレーノズル先端部への高電圧の印加、放電電極からのコロナ放電、又は噴霧流への光の照射を選択的に行うべく前記電荷付与手段、放電手段及び光源手段を制御する制御手段と、
    を備え、前記制御手段は、前記液体クロマトグラフでの1回の試料注入に対しESI、APCI及びAPPIの各イオン化モードを順次切り替えることを繰り返し、各イオン化モードに対応したクロマトグラムデータをそれぞれ採取するようにしたことを特徴とする大気圧イオン化質量分析装置。
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