JP4645197B2 - 質量分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は質量分析方法に関し、特に、バイオ、代謝関連、医薬品の品質管理などの分野においてゲノム創薬、薬物動態試験、環境中の微量成分の計測等に好適な質量分析方法に関する。
液体試料や液体クロマトグラフにより分離された溶出液中の分析対象成分をイオン化して質量分析するために、従来より、大気圧イオン化インタフェイスが利用されている(例えば特許文献1など参照)。代表的な大気圧イオン化法としては、エレクトロスプレイイオン化法(ESI)や大気圧化学イオン化法(APCI)などが知られている。
ESIでは、液体試料を導入したノズルの先端部に数kV程度の高電圧を印加し、強い不平行電界を発生させる。液体試料はノズル中を流れる際にこの電界により電荷分離し、クーロン引力により引きちぎられるように霧化する。そして、周囲の乾燥空気に触れて液滴中の溶媒が蒸発する過程で気体イオンが発生する。他方、APCIでは、ノズルの先端の前方に針電極を配置しておき、ノズルにおいて加熱により霧化した液体試料の液滴に、針電極からのコロナ放電により生成したキャリアガスイオンを化学反応させてイオン化を行う。
一般に、こうした大気圧イオン化インタフェイスは四重極型質量分析装置やイオントラップ型質量分析装置と組み合わせて使用されることが多い。こうした大気圧イオン化インタフェイス(特にESI)では、イオン化の過程で多価イオンが発生し易い。多価イオンはその価数に応じて元の分子量よりも質量(厳密には質量電荷比m/z)が小さくなるため、分析対象の質量範囲を相対的に低い範囲に限定できるという利点はあるものの、蛋白質等の分子量の大きな試料を分析しようとすると様々な価数のイオンのピークがマススペクトルに現れるため、構造解析などのデータ解析処理が煩雑になるという問題がある。
一方、従来、蛋白質等の分子量の大きな試料を分析する場合には、MALDIイオン源を用いた質量分析装置が広く使用されている。MALDIイオン源は従来、真空中でイオン化を行うものが主流であったが、近年、大気圧中でイオン化を行う手法(AP−MALDI)も開発されている(非特許文献1参照)。こうしたMALDIイオン源、イオントラップ、TOFMSを組み合わせた装置では、MALDIイオン源で発生したイオンをイオントラップにより多段階に開裂させ、それによって生じたイオンをTOFMSで高感度で以て質量分析することができる。MALDIイオン源では生成されるイオンの殆どが1価のイオンであるため、MSn スペクトルは比較的単純でありESIに比べれば構造解析は容易である。しかしながら、上記のようなAP−MALDIイオン源では低質量範囲ではイオンの生成量が十分ではなく、検出感度が上がらないという問題がある。
こうしたことから、試料の組成・構造解析をより容易に進める一つの手法として、ESIによるイオン化とMALDIによるイオン化とを併用することが考えられる。例えば非文献特許2には、ESIイオン源とAP−MALDIイオン源とを交換可能に備える質量分析装置が記載されている。しかしながら、こうしたイオン源の交換作業は煩雑であって手間や時間が掛かるのみならず、こうしたイオン源の交換作業を伴った分析ではその結果の信頼性を確保するのが困難な場合がある。即ち、イオン源の交換作業を行うには、一旦装置の電源を落とし、質量分析室等の真空状態を解除してイオン化室内を開放する必要がある。そのため、たとえ同一の検体に由来する試料を分析する場合でも、ESIイオン源を用いた分析を行う場合とAP−MALDIイオン源を用いた分析を行う場合とで各部の温度や真空状態などの分析環境条件が微妙に相違してしまうことが理由の一つである。また、蛋白質やペプチドなどの生体由来の試料では時間経過に伴う変性が生じ易く、イオン源の交換作業に要する時間によってそうした変性や変質が起きる可能性があることがもう一つの理由である。
特開2004−185886号公報 ビクトール・ブイ・ライコ(Victor V. Laiko)、ほか2名、「アトモスフェリック・プレッシャー・マトリクス−アシステッド・レーザー・デソープション/イオナイゼイション・マス・スペクトロメトリー(Atmospheric Pressure Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization Mass Spectrometry)」、アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)、アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(American Chemical Society)、2000年2月15日、第72巻、第4号、p.652−657 「アジレント最新ニュース 様々なアプリケーションに対応するイオン源」、[online]、アジレント・テクノロジー、[平成16年11月12日検索]、インターネット <URL : http://www.chem.agilent.com/scripts/cItemLocal.asp?iKey=280&iType=1&CountryCode=JP>
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主な目的は、ESIやAPCIなどの大気圧イオン化と大気圧下でのMALDIイオン化とをほぼ同一の分析環境条件の下で且つ時間的にもほぼ同時に実行できるようにすることにより、分析対象の試料に関する幅広い質量範囲の情報を正確に収集し、組成分析や構造解析を高い信頼性を以て行うことができる質量分析方法を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析方法は、
a)ノズル先端部に達した液体試料に電荷を付与しつつ、該液体試料を略大気圧雰囲気にあるイオン化室内に噴霧することにより、該液体試料中の成分をイオン化するエレクトロスプレイイオン源、又はノズル先端部に達した液体試料を略大気圧雰囲気にあるイオン化室内に噴霧し、その前方に配置した電極のコロナ放電によって生成したバッファイオンと試料液滴との化学反応によって該試料中の成分をイオン化する大気圧化学イオン源である大気圧イオン源と、
b)前記イオン化室内に配置されたサンプルスライド上に設けられた試料に対してレーザを照射することで該試料中の分析対象成分をイオン化するMALDIイオン源と、
c)イオンを質量に応じて分離する質量分析器とその分離されたイオンを検出する検出器とを含む質量分析部と、
d)前記大気圧イオン源により発生したイオンと前記MALDIイオン源により発生したイオンとをいずれも収集して前記イオン化室から前記質量分析部に案内するイオン輸送部と、
e)前記大気圧イオン源によるイオン化と前記MALDIイオン源によるイオン化とを所定時間毎に切り替えて繰り返し実行するようにそれらイオン源及び前記質量分析器を制御する制御手段と、
を備え、前記大気圧イオン源はその噴霧流の中心軸が前記イオン輸送部の前記イオン化室内に向いた入口開口の中心軸と斜交するように配置され、前記サンプルスライドは前記入口開口からみて該入口開口の中心軸と前記噴霧流の中心軸との斜交領域よりも遠い該入口開口の中心軸の延長線上に配置され、前記MALDIイオン源によるレーザ前記サンプルスライド上に設けられた試料上で前記入口開口の中心軸の延長線上に照射される質量分析装置を用いた質量分析方法であって、
同一試料からそれぞれ前記液体試料と前記サンプルスライド上に設けられる試料とを調製し、前記大気圧イオン源によるイオン化と前記MALDIイオン源によるイオン化とを所定時間毎に切り替えて繰り返し実行して、それら異なるイオン化に応じてそれぞれ得られたデータを合わせてマススペクトルを作成することを特徴としている。
本発明に係る質量分析方法に用いられる質量分析装置では、大気圧イオン源とMALDIイオン源とが併設されており、両イオン源によりイオン化室内で発生したイオンは共通のイオン輸送部を介して質量分析部に送られる。MALDIイオン源の試料は、例えば、分析したい液体試料とマトリクス溶液とを混合してサンプルスライドの凹部に滴下して乾燥させることにより調製することができる。また、液体試料が複数の成分を含む場合には、予め液体クロマトグラフにより成分分離した溶出液をフラクションコレクタ等により分取すればよい。こうした目的のために、例えば本出願人が特開2004−184149号公報により提案しているような試料調製装置を利用することができる。一方、大気圧イオン化源に導入する試料としては、上記のように液体クロマトグラフ及びフラクションコレクタにより分取した溶出液を用いることもできるし、或いは液体クロマトグラフのカラム出口を大気圧イオン化源に直結して成分分離を行いながら分析することも可能である。
大気圧イオン化源(典型的にはESIイオン源)では1価イオンは少ないが多価イオンが容易に発生する一方、MALDIイオン源では逆に多価イオンは少ないが1価イオンが多く発生する。即ち、両者は同一の試料に由来して生成されるイオンの種類について相補性を有しており、両者のイオン源による分析を同時に、交互に切り替えて、又は一方の分析に引き続いて他方の分析を実行することにより、幅広い質量範囲の情報を収集することができる。
具体的な一態様として、前記大気圧イオン源によるイオン化と前記MALDIイオン源によるイオン化とを所定時間毎に切り替えて繰り返し実行するようにそれらイオン源及び前記質量分析器を制御する制御手段をさらに備える構成とすることができる。この構成によれば、イオン化効率等の関係上、両者のイオン源によるイオン化を同時に行うことが難しい場合でも、両者の分析を実質的にほぼ同時に且つほぼ同一の分析環境条件の下で実行することが可能である。
このように本発明に係る質量分析方法に用いられる質量分析装置によれば、ESI又はAPCIとAP−MALDIという異なる特性を持ったイオン化法を、同一の試料に対してほぼ同一の分析環境条件の下で適用することができる。それにより本発明に係る質量分析方法では、その試料に由来する各種イオンを幅広い質量範囲で正確に取得することができる。したがって、この情報を元に組成分析や構造解析を行う際にその作業が容易になり精度も向上する。また、本発明に係る質量分析方法に用いられる質量分析装置によれば、従来の装置のようにイオン源を交換する手間や時間が省けるため、分析作業の効率も改善される。
以下、本発明に係る質量分析方法及び該方法に用いられる質量分析装置の一実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明に係る質量分析方法に用いられる質量分析装置の一実施例の概略構成図、図2はイオン化部の拡大図である。
本実施例の構成では、大気圧イオン化インタフェイスはESIインタフェイスであり、ほぼ大気圧雰囲気であるイオン化室1内にイオン化プローブ2の先端部が突設されている。イオン化プローブ2の先端部の前方には、イオンを後段に輸送するための脱溶媒管8の入口開口が設けられ、さらにその前方には気化しなかった溶媒を排出するドレイン7が配置されている。脱溶媒管8の入口開口の中心軸はイオン化プローブ2の先端からの噴霧の中心軸と斜交(ここではほぼ直交)しており、それによって溶媒が十分に気化していない大きな液滴が脱溶媒管8に飛び込むことを防止している。
一方、脱溶媒管8の入口開口の中心軸の延長上には、MALDI用のサンプルプレート3がステージ移動機構4によりその面の広がり方向に移動可能に設置されている。即ち、サンプルプレート3は大気圧雰囲気にあるイオン化室1内に露出している。そして、そのサンプルプレート3に対してレーザ光を照射するために、レーザ光源5及びミラー6を含むレーザ照射部が設けられている。
イオン化室1の後段には、それぞれ隔壁で隔てられた第1中間真空室9、第2中間真空室12、及び質量分析室14が設けられている。質量分析室14内には質量分析器としての四重極質量フィルタ15と検出器16とが設けられ、第1及び第2中間真空室9、12にはそれぞれ第1及び第2イオンレンズ10、13が配置されている。イオン化室1と第1中間真空室9との間は上述した脱溶媒管8を介して、第1中間真空室9と第2中間真空室12との間は極小径の通過穴を頂部に有する円錐形状のスキマー11を介してのみ連通している。
上述の如くイオン化室1内はほぼ大気圧雰囲気であり、第1中間真空室9内は約102[Pa]まで、第2中間真空室12内は約10-1〜10-2[Pa]まで、質量分析室14内は約10-3〜10-4[Pa]の高真空状態まで真空排気される。このようにイオン化室1、第1中間真空室9、第2中間真空室12、質量分析室14と、段階的に真空度を上げるような多段差動排気系の構成とすることにより、質量分析室14内の高い真空度を維持している。
制御部20は電圧源などを含み、本装置全体の動作の制御を司る機能を有する。また、データ処理部21は検出器16による検出データを受けて、所定のデータ処理を実行することにより質量スペクトルを作成し、またその質量スペクトルに基づいて定性分析、定量分析などを実行する。なお、通常、制御部20、データ処理部21などは、実際にはパーソナルコンピュータを中心に構成され、パーソナルコンピュータにイントールされた制御・処理プログラムにより具現化される。
上記構成における大気圧イオン化源とMALDIイオン源のそれぞれの動作を、図2を参照して説明する。
(1)ESIイオン源(図2(a)参照)
試料液S1を噴霧するイオン化プローブ2は、試料液が供給されるノズル21と、ノズル21と同軸であって外筒として取り囲むように配設されたネブライズガス管22とを有し、ノズル21自体又はその周囲に設けられた図示しない金属筒と脱溶媒管8の入口との間に、数kV程度の直流高電圧が印加される。この電圧による電場の影響で、ノズル21を流れて来る試料液S1は片寄って帯電し、その状態でネブライズガス管22から噴出するネブライズガスの助けを受けて微小液滴となって噴出する。
一方、脱溶媒管8と同軸であって外筒として取り囲むように配設された乾燥ガス管81からは高温の乾燥ガスが噴出され、ノズル21から噴霧された微小液滴はこの乾燥ガスに接触し、液滴中の移動相や溶媒が急速に蒸発し液滴のサイズは小さくなる。すると、帯電電荷のクーロン反発力によって液滴は一層細かく分裂し、その過程で試料分子に由来する気体イオンが発生する。ノズル21は脱溶媒管8の入口開口の中心軸に対してほぼ直交する方向に試料液S1を噴霧し、その噴霧流はほぼ円錐形状に広がりながら進行する。その進行の過程で上述したように試料イオンが生成され、イオンは液滴が入り混じった状態で脱溶媒管8に吸い込まれる。
(2)MALDIイオン源(図2(b)参照)
レーザ光源5としては例えば波長337nmの窒素レーザが用いられ、例えば4nmのパルス幅で約10Hzの周期でパルス状にレーザ光がサンプルプレート3上の試料S2に照射される。また、サンプルプレート3と脱溶媒管8の入口との間には数kV程度の直流高電圧が印加される。レーザ光が試料S2に当たると、試料S2からプルームが爆発的に発生し、殆どのプルームはサンプルプレート3から垂直方向に進み、この中で光化学、熱化学的な反応により試料成分がイオン化される(但し、このイオン化のメカニズムは未解明の部分が多い)。プルームには、サンプルプレート3から飛散した試料、マトリクス、熱化学的に発生したクラスター、イオンなどが混在している。このプルームに対して、乾燥ガス管81から噴き出した高温の乾燥ガスが周囲を取り囲むように当たるため、プルーム内ではイオン化が促進され、且つプルームの広がりが抑制されて脱溶媒管8へ進行する指向性が高まる。そして、脱溶媒管8に吸い込まれる。
上記のようにイオン化室1内で発生したイオンは、主としてイオン化室1と第1中間真空室9との差圧により脱溶媒管8中に引き込まれる。脱溶媒管8は適度な温度に加熱されており、ESIの場合、この脱溶媒管8の内部でも微細液滴中の溶媒の気化によるイオン化が促進される。第1イオンレンズ10は、その電場により脱溶媒管8を介してのイオンの引き込みを助けるとともに、イオンをスキマー11の通過孔近傍に収束させる。スキマー11の通過孔を通って第2中間真空室12に導入されたイオンは、第2イオンレンズ13により収束及び加速された後に質量分析室14へと送られる。質量分析室14では、印加電圧に依存する特定の質量を有するイオンのみが四重極質量フィルタ15の長軸方向の空間を通り抜け、検出器16に到達しイオン電流として検出される。
本実施例の構成では、ESIイオン源とMALDIイオン源とが併設されており、後段にイオンを輸送する脱溶媒管8は共通であるため、原理的には、同一試料に由来する試料液S1及び試料S2を対象として両イオン源を同時に動作させ、ESIイオン源により発生したイオンとMALDIイオン源により発生したイオンとが混在した状態で、このイオンを質量分析室14に導入して質量分析することができる。但し、実際には、両イオン源を同時に駆動した場合に、例えばイオン化室1内の電場などが乱れ、必ずしも各イオン源でのイオン化効率を共に最良にすることは難しい。そこで、実際には両イオン源を同時には動作させず、時分割で駆動することが望ましい。以下に、そうした本実施例の質量分析装置における分析動作の一例を説明する。
図3は或る1つの試料を分析する際の分析タイミングを示す模式図である。ESIイオン源でイオン化する試料液S1とMALDIイオン源でイオン化する試料S2とは基本的に同一の検体に由来するものとし、前者としては例えば予め液体クロマトグラフで成分分離して分取したものを用意し、後者としてはその試料液をMALDI用に調製してサンプルプレート3上に固定化したものを用意する。分析が開始されると、制御部20は、MALDIイオン源によるイオン化を実行する期間taとESIイオン源によるイオン化を実行する期間tbとを交互に切り替えるように各部を制御する。期間ta、tbの長さは各部の印加電圧の切り替え可能時間などに応じて適宜に決めればよい。また、四重極質量フィルタ15に対しては、分析対象の成分に由来する多価イオン(例えば10価)に対応した低い質量から1価イオンに対応した高い質量の範囲までの広い質量範囲を走査するように電圧を掃引し、データの積算が可能であるようにこの掃引を繰り返す。
上記のようにイオン源の動作を切り替えながら質量分析を行う場合、検出器16にはそれぞれのイオン源で生成されたイオンが到達する。即ち、期間taには主として1価イオンが検出器16に到達し、期間tbには1価イオンは少なく多価イオンが多く検出器16に到達する。そこで、データ処理部21では、両期間ta、tbでそれぞれ得られた検出データを元に相対的に低い質量範囲でのマススペクトルと相対的に高い質量範囲でのマススペクトルとを作成し、それらを合成することにより図4に示すような広い質量範囲のマススペクトルを作成する。このマススペクトルには同一試料成分に由来する1価イオンから多価イオンまでの各ピークが幅広く含まれるので、これに基づいて構造解析を行うことにより、分析対象の試料成分の組成や構造を容易に解析することが可能となる。特に、同一試料成分に対するESIイオン化とMALDIイオン化とが時間的にきわめて近いタイミングで実行されるため、質量分析の際の各部の温度条件、真空度などの分析環境条件が殆ど同一であり、高い精度での分析が可能となる。
また上記実施例ではイオン化インタフェイスがESIである場合について説明したが、APCIについても同様の制御を適用することができる。但し、APCIの場合にはESIほどには多価イオンが発生しにくいので、MALDIイオン源との併用の効果の点ではESIのほうが好ましい。
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正及び追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
本発明の質量分析装置の一実施例の概略構成図。 本実施例の質量分析装置におけるイオン化部の拡大図。 本実施例の質量分析装置を用いた分析動作の一例を説明するためのタイミング図。 本実施例の質量分析装置を用いた分析動作の一例を説明するためのマススペクトル。
符号の説明
1…イオン化室
2…イオン化プローブ
21…ノズル
22…ネブライズガス管
3…サンプルプレート
4…ステージ移動機構
5…レーザ光源
6…ミラー
7…ドレイン
8…脱溶媒管
81…乾燥ガス管
9…第1中間真空室
10…第1イオンレンズ
11…スキマー
12…第2中間真空室
13…第2イオンレンズ
14…質量分析室
15…四重極質量フィルタ
16…検出器
20…制御部
21…データ処理部

Claims (1)

  1. a)ノズル先端部に達した液体試料に電荷を付与しつつ、該液体試料を略大気圧雰囲気にあるイオン化室内に噴霧することにより、該液体試料中の成分をイオン化するエレクトロスプレイイオン源、又はノズル先端部に達した液体試料を略大気圧雰囲気にあるイオン化室内に噴霧し、その前方に配置した電極のコロナ放電によって生成したバッファイオンと試料液滴との化学反応によって該試料中の成分をイオン化する大気圧化学イオン源である大気圧イオン源と、
    b)前記イオン化室内に配置されたサンプルスライド上に設けられた試料に対してレーザを照射することで該試料中の分析対象成分をイオン化するMALDIイオン源と、
    c)イオンを質量に応じて分離する質量分析器とその分離されたイオンを検出する検出器とを含む質量分析部と、
    d)前記大気圧イオン源により発生したイオンと前記MALDIイオン源により発生したイオンとをいずれも収集して前記イオン化室から前記質量分析部に案内するイオン輸送部と、
    e)前記大気圧イオン源によるイオン化と前記MALDIイオン源によるイオン化とを所定時間毎に切り替えて繰り返し実行するようにそれらイオン源及び前記質量分析器を制御する制御手段と、
    を備え、前記大気圧イオン源はその噴霧流の中心軸が前記イオン輸送部の前記イオン化室内に向いた入口開口の中心軸と斜交するように配置され、前記サンプルスライドは前記入口開口からみて該入口開口の中心軸と前記噴霧流の中心軸との斜交領域よりも遠い該入口開口の中心軸の延長線上に配置され、前記MALDIイオン源によるレーザ前記サンプルスライド上に設けられた試料上で前記入口開口の中心軸の延長線上に照射される質量分析装置を用いた質量分析方法であって、
    同一試料からそれぞれ前記液体試料と前記サンプルスライド上に設けられる試料とを調製し、前記大気圧イオン源によるイオン化と前記MALDIイオン源によるイオン化とを所定時間毎に切り替えて繰り返し実行して、それら異なるイオン化に応じてそれぞれ得られたデータを合わせてマススペクトルを作成することを特徴とする質量分析方法。
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