JP6181038B2 - 異方性導電性ペーストおよびそれを用いたプリント配線基板の製造方法 - Google Patents
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すなわち、本発明の異方性導電性ペーストは、配線基板同士の接続、或いは、電子部品と配線基板との接続に用いる異方性導電性ペーストであって、(A)熱可塑性樹脂と、(B)1分子中に2つ以上の不飽和二重結合を有するラジカル重合性樹脂と、(C)1分子内に1つの不飽和二重結合を有する反応性希釈剤と、(D)ラジカル重合開始剤と、(E)1分子内に1つ以上のカルボキシル基を有する活性剤と、(F)はんだ粉末と、(G)コアシェル構造を有する(メタ)アクリル系重合体微粒子と、を含有し、前記(F)はんだ粉末の粒子径と、前記配線基板の接続部における配線間の最小間隔とが、下記数式(F1)、下記数式(F2)、下記数式(F4)および下記数式(F5)で示す条件を満たすことを特徴とするものである。
S≦100μm・・・(F1)
D99≦S/4・・・(F2)
D 10 ≧S/100・・・(F4)
S/25≦D 50 ≦S/5・・・(F5)
S:配線基板の接合部における配線間の最小間隔
D 10 :はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が10%となる粒子径
D 50 :はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が50%となる粒子径
D99:はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が99%となる粒子径
D99−D10≦S/4・・・(F3)
D10:はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が10%となる粒子径
本発明の異方性導電性ペーストにおいては、(H)チクソ剤をさらに含有し、前記(H)チクソ剤は、平均粒子径が100nm以下の無機微粒子であることが好ましい。
本発明の異方性導電性ペーストにおいては、前記(F)はんだ粉末は、スズとビスマスとの合金からなり、前記(F)はんだ粉末におけるビスマスの含有量は、スズとビスマスとの合計量100質量%に対して、58質量%以下であることが好ましい。
本発明の異方性導電性ペーストは、配線基板同士の接続、或いは、電子部品と配線基板との接続に用いる異方性導電性ペーストであって、以下説明する(A)熱可塑性樹脂、(B)ラジカル重合性樹脂、(C)反応性希釈剤、(D)ラジカル重合開始剤、(E)活性剤、および(F)はんだ粉末を含有するものである。
本発明に用いる(A)熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリル酸共重合体が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、飽和物であってもよく、不飽和物であってもよい。また、これらの熱可塑性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの熱可塑性樹脂の中でも、得られる異方性導電性ペーストの接着強度の観点から、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂が好ましい。
本発明に用いる(B)ラジカル重合性樹脂は、1分子内に2つ以上の不飽和二重結合を有する樹脂である。この(B)成分としては、例えば、重量平均分子量が800以上で、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性樹脂である。前記(B)成分を適量添加することにより、得られる異方性導電性ペーストの接着強度を向上できる傾向にある。前記(B)成分としては、例えば、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、シリコンアクリレート樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(B)成分の重量平均分子量は、1000以上10000以下であることが好ましく、1200以上5000以下であることがより好ましい。
本発明に用いる(C)反応性希釈剤は、1分子内に1つの不飽和二重結合を有する反応性希釈剤である。この(C)成分は、常温(25℃)において液体であり、かつ熱可塑性樹脂などを溶解させることができるものである。前記(C)成分としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリンが挙げられる。これらの反応性希釈剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの反応性希釈剤の中でも、接着強度の観点からは、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートが好ましく、熱可塑性樹脂などの溶解性の観点からは、テトラヒドロフルフリルアクリレートが好ましい。
本発明に用いる(D)ラジカル重合開始剤は、前記(B)成分および前記(C)成分などにおける不飽和二重結合のラジカル重合を開始させるためのものである。このようなラジカル重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
前記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類などの有機過酸化物が挙げられる。これらの熱ラジカル重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの熱ラジカル重合開始剤の中でも、反応性と安定性とのバランスの観点から、ハイドロパーオキサイド類が好ましく、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、オキシム系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルが挙げられる。これらの光ラジカル重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いる(E)活性剤は、1分子内に1つ以上のカルボキシル基を有する活性剤である。この(E)成分としては、有機酸(モノカルボン酸、ジカルボン酸など)の他に、ロジン系樹脂などの天然の樹脂酸や、カルボキシル基を有する単量体成分を用いて重合される樹脂酸が挙げられる。この(E)成分により、後述する(F)はんだ粉末の表面を活性化できる。また、この(E)成分としては、活性作用の観点から、融点150℃以下のモノカルボン酸およびジカルボン酸を用いることが好ましい。
前記有機酸としては、公知の有機酸を適宜用いることができる。このような有機酸の中でも、保管中において結晶の析出が起こりにくいという観点から、アルキレン基を有する二塩基酸を用いることが好ましい。このようなアルキレン基を有する二塩基酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、2,5−ジエチルアジピン酸、2,4−ジエチルグルタル酸、2,2−ジエチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2−エチル−3−プロピルグルタル酸、セバシン酸が挙げられる。これらの中でも、絶縁性の観点から、グルタル酸、が特に好ましい。
前記カルボキシル基含有重合性不飽和化合物としては、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル化合物が挙げられる。
前記重合性不飽和化合物としては、スチレン化合物などが挙げられる。これらの重合性不飽和化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記カルボキシル基含有共重合体は、前記カルボキシル基含有重合性不飽和化合物と前記重合性不飽和化合物とを共重合させてなるものである。具体的には、カルボキシル基含有(メタ)アクリル−スチレン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐湿性の観点から、カルボキシル基含有(メタ)アクリル−スチレン共重合体が好ましい。
また、後述する(F)はんだ粉末のように粒子径が小さい場合には、はんだ粉末の表面への活性作用が低下する傾向にあるため、後述する(F)はんだ粉末に対して(E)成分の配合量を多めにすることが好ましい。このような観点から、前記(E)成分の配合量は、後述する(F)はんだ粉末100質量部に対して、3質量部以上50質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。また、後述する(F)はんだ粉末に対する(E)成分の配合量が前記上限以下であれば、得られる異方性導電性ペーストの絶縁性や耐湿性を確保できる。
本発明に用いる(F)はんだ粉末においては、はんだ粉末の粒子径と、配線基板の接続部における配線間の最小間隔とが、下記数式(F1)および下記数式(F2)で示す条件を満たすことが必要である。
S≦100μm・・・(F1)
D99≦S/4・・・(F2)
S:配線基板の接合部における配線間の最小間隔
D99:はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が99%となる粒子径
配線基板の高密度化に伴い、配線間の間隔は狭くなっており、前記数式(F1)で示すように、配線間の最小間隔Sがより小さいことが求められている。このような観点から、配線間の最小間隔Sは、75μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが特に好ましい。
はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が99%となる粒子径(D99)が前記数式(F2)の条件を満たす場合には、隣接電極間でのショートを確実に防止でき、隣接電極間での優れた絶縁性を達成できる。また、同様の観点から、D99はS/5以下であることがより好ましい。
D99−D10≦S/4・・・(F3)
D10:はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が10%となる粒子径
また、D99−D10はS/5以下であることがより好ましく、S/6以下であることが特に好ましい。
上記と同様の観点から、下記数式(F4)で示す条件を満たすことが好ましい。
D10≧S/100・・・(F4)
また、D10はS/50であることが好ましく、S/25以上であることがより好ましい。
S/25≦D50≦S/5・・・(F5)
D50:はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が50%となる粒子径
また、D50は、S/20以上S/6以下であることがより好ましく、S/15以上S/7以下であることが特に好ましい。
なお、はんだ粉末の粒子径(D10、D50、D99)は、動的光散乱式の粒子径測定装置(COULTER社製、「レーザー回折式粒子サイズアナライザーLS130」)により粒子径分布を測定し、その結果から測定できる。
また、はんだ粉末の粒子径(D10、D50、D99)Tなどを上述した範囲に調整する方法としては、以下のような方法が挙げられる。
例えば、遠心粉末製造装置の条件(原料供給速度、はんだ組成)を変更することによって調整できる。
また、このはんだ粉末は、環境への影響の観点から、鉛フリーはんだ粉末であることが好ましい。ここで、鉛フリーはんだ粉末とは、鉛を添加しないはんだ金属または合金の粉末のことをいう。ただし、鉛フリーはんだ粉末中に、不可避的不純物として鉛が存在することは許容されるが、この場合に、鉛の量は、100質量ppm以下であることが好ましい。
本発明に用いる(G)有機フィラーとしては、公知の有機フィラーを適宜用いることができる。このような有機フィラーとしては、例えば、アクリル系有機フィラー、シリコーン系フィラー、スチレン系有機フィラーが挙げられる。これらの中でも、得られる異方性導電性ペーストの接合強度をほとんど低下させずに、フロー性を向上させることができるという観点から、コアシェル構造を有する(メタ)アクリル系重合体微粒子が好ましい。このコアシェル構造を有する(メタ)アクリル系重合体微粒子は、コア層およびシェル層を有する微粒子であって、コア層およびシェル層がともに(メタ)アクリル系重合体からなるものである。このコアシェル構造を有する(メタ)アクリル系重合体微粒子としては、適宜公知のものを用いることができる。また、この(メタ)アクリル系重合体は、アクリル基およびメタクリル基のうちの少なくとも一方の基を有する(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分を重合させて得られるものである。この(メタ)アクリル系重合体は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。
前記(G)成分の比重は、0.8g/cm3以上1.4g/cm3以下であることが好ましく、0.9g/cm3以上1.2g/cm3以下であることがより好ましい。なお、比重は、JIS−K0061の記載に準拠する方法より測定できる。
前記(G)成分のシェル層の軟化点は、60℃以上150℃以下であることが好ましく、75℃以上120℃以下であることがより好ましい。なお、軟化点は、熱機械分析(TMA)装置により測定できる。
本発明に用いる(H)チクソ剤としては、公知のチクソ剤を適宜用いることができる。このようなチクソ剤としては、例えば、脂肪酸アマイド、水添ヒマシ油、オレフィン系ワックス、無機微粒子(アモルファスシリカなど)が挙げられる。これらの中でも、脂肪酸アマイド、アモルファスシリカが好ましい。また、前記(F)はんだ粉末のように粒子径が小さい場合には、チクソ剤として無機微粒子を用いることが好ましい。より具体的には、平均粒子径が100nm以下の無機微粒子を用いることが好ましい。このような無機微粒子としては、アエロジルR974、アエロジル200などが挙げられる。
前記(H)成分の配合量は、異方性導電性ペースト100質量%に対して、0.5質量%以上4質量%以下であることが好ましい。前記(H)成分の配合量が前記下限未満では、チクソ性付与の効果を奏しにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる異方性導電性ペーストを硬化させた際の泡残りが発生しやすくなる傾向にある。
本発明のプリント配線基板は、前述した本発明の異方性導電性ペーストを用いて電極同士を接続したことを特徴とするものである。具体的には、次のようにして、電極同士を接続することで、本発明のプリント配線基板を製造できる。ここでは、配線基板および電子部品の電極同士を接続する場合を例に挙げて説明する。
このように配線基板および電子部品の電極同士を接続する方法としては、前記配線基板上に前記異方性導電性ペーストを塗布する塗布工程と、前記異方性導電性ペースト上に前記電子部品を配置し、前記はんだ粉末の融点よりも1℃以上(好ましくは10℃以上)高い温度で、前記電子部品を前記配線基板に熱圧着する熱圧着工程と、を備える方法を採用できる。
ここで、電子部品としては、チップ、パッケージ部品などの他に、配線基板を用いてもよい。配線基板としては、フレキシブル性を有するフレキ基板、フレキシブル性を有しないリジット基板のいずれも用いることができる。さらに、電子部品としてフレキ基板を用いる場合には、2つの配線基板(リジット基板)とそれぞれ接続を図ることで、リジット基板同士をフレキ基板を介して電気的に接続することもできる。また、フレキ基板同士をフレキ基板を介して電気的に接続しても構わない。
ここで用いる塗布装置としては、例えば、ディスペンサー、スクリーン印刷機、ジェットディスペンサー、メタルマスク印刷機が挙げられる。
また、塗布膜の厚みは、特に限定されないが、50μm以上500μm以下であることが好ましく、100μm以上300μm以下であることがより好ましい。厚みが前記下限未満では、配線基板の電極上に電子部品を搭載した際の付着力が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、接続部分以外にもペーストがはみ出しやすくなる傾向にある。
熱圧着時の温度が、前記はんだ粉末の融点よりも1℃以上高いという条件を満たさない場合には、はんだを十分に溶融させることができず、電子部品および配線基板の間に十分なはんだ接合を形成できず、電子部品および配線基板の間の導電性が不十分となる。
熱圧着時の温度は、130℃以上200℃以下とすることが好ましく、140℃以上180℃以下とすることがより好ましい。
熱圧着時の圧力は、特に限定されないが、0.05MPa以上3MPa以下とすることが好ましく、0.1MPa以上2MPa以下とすることがより好ましい。圧力が前記上限未満では、電子部品および配線基板の間に十分なはんだ接合を形成できず、電子部品および配線基板の間の導電性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると配線基板にストレスがかかり、デッドスペースを広くとらなければならなくなる傾向にある。
なお、本発明においては、上記のように、熱圧着時の圧力を、従来の導電性フィラー系の異方性導電材を用いる方法による場合と比較して、低い圧力範囲に設定することができる。そのため、熱圧着工程に用いる装置の低コスト化を達成することもできる。
熱圧着時の時間は、特に限定されないが、通常、1秒以上60秒以下であり、2秒以上20秒以下であることが好ましく、3秒以上10秒以下であることがより好ましい。
ここで、電子部品を配線基板から剥離する方法は、特に限定されない。このような方法としては、例えば、はんだごてなどを用いて接続部分を加熱しながら、電子部品を配線基板から剥離する方法を採用することができる。なお、このような場合に、リペアに用いる公知の剥離装置を用いてもよい。
また、電子部品を配線基板から剥離した後に、必要に応じて、溶剤などで前記配線基板上を洗浄してもよい。
再熱圧着工程においては、再塗布工程後の異方性導電性ペースト上に前記電子部品を配置し、前記はんだ粉末の融点よりも1℃以上高い温度で、前記電子部品を前記配線基板に熱圧着する。ここで、熱圧着時の温度、圧力および時間は、前記塗布工程と同様の条件を採用することができる。
例えば、前記接続方法では、熱圧着工程により、配線基板と電子部品とを接着しているが、これに限定されない。例えば、熱圧着工程に代えて、レーザー光を用いて異方性導電性ペーストを加熱する工程(レーザー加熱工程)により、配線基板と電子部品とを接着してもよい。この場合、レーザー光源としては、特に限定されず、金属の吸収帯に合わせた波長に応じて適宜採用できる。レーザー光源としては、例えば、固体レーザー(ルビー、ガラス、YAGなど)、半導体レーザー(GaAs、InGaAsPなど)、液体レーザー(色素など)、気体レーザー(He−Ne、Ar、CO2、エキシマーなど)が挙げられる。
((A)成分)
熱可塑性樹脂:フェノキシ樹脂、軟化点は70℃、重量平均分子量は50,000〜60,000、商品名「フェノトートYP−70」、新日鐵住金化学社製
((B)成分)
ラジカル重合性樹脂:ウレタンアクリレート樹脂、商品名「アロニックスM−1200」、東亞合成社製
((C)成分)
反応性希釈剤:テトラヒドロフルフリルアクリレート、商品名「ビスコート♯150」、大阪有機化学工業社製
((D)成分)
ラジカル重合開始剤:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、商品名「パーオクタO」、日油社製
((E)成分)
活性剤:グルタル酸(1,3−プロパンジカルボン酸)
((F)成分)
はんだ粉末A:D99は12μm、D50は5μm、D10は1μm、はんだの融点は139℃、はんだの組成は42Sn/58Bi
はんだ粉末B:D99は10μm、D50は5μm、D10は3μm、はんだの融点は139℃、はんだの組成は42Sn/58Bi
(その他の成分)
はんだ粉末C:D99は20μm、D50は13μm、D10は5μm、はんだの融点は139℃、はんだの組成は42Sn/58Bi
((G)成分)
有機フィラー:アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合体微粒子、平均一次粒子径は0.5μm、比重は1.1〜1.2g/cm3、コア層の軟化点は約−40℃、シェル層の軟化点は100〜105℃、商品名「スタフィロイドAC―4030」、アイカ工業社製
((H)成分)
チクソ剤: アモルファスシリカ、商品名「AEROSIL R974」、日本アエロジル社製
熱可塑性樹脂15質量部および反応性希釈剤30質量部を容器に投入し、熱可塑性樹脂を反応性希釈剤に溶解させる。その後、ラジカル重合性樹脂20質量部、活性剤1質量部、有機フィラー10質量部およびチクソ剤2質量部を容器に投入し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールを用いて室温にて混合し分散させて樹脂組成物を得た。
その後、得られた樹脂組成物78質量部に対し、ラジカル重合開始剤2質量部およびはんだ粉末20質量部を容器に投入し、混練機にて2時間混合することで異方性導電性ペーストを調製した。
次に、リジット基板(ライン幅(配線基板の接合部における配線間の最小間隔S):50μm、ピッチ:100μm、銅厚:18μm、電極:銅電極に水溶性プリフラックス処理(タムラ製作所社製))を準備し、リフロー処理(大気雰囲気下、ピーク温度:250℃)を施した。リフロー後のリジット基板上に、得られた異方性導電性ペーストをディスペンサーにて塗布した(厚み:0.2mm)。そして、塗布後の異方性導電性ペースト上に、フレキ基板(ライン幅:50μm、ピッチ:100μm、銅厚:12μm、電極:銅電極に金メッキ処理(Cu/Ni/Au))を配置し、熱圧着装置(アドバンセル社製)を用いて、温度160℃、圧力1.0MPa、圧着時間6秒の条件で、フレキ基板をリジット基板に熱圧着して、フレキ基板付のリジット基板(評価基板)を作製した。
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、異方性導電性ペーストを得た。
また、得られた異方性導電性ペーストを用いた以外は実施例1と同様にして、フレキ基板付のリジット基板(評価基板)を作製した。
異方性導電性ペーストの評価(導通性、絶縁性)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1に示す。
(1)導通性
デジタルマルチメーター(Agilent社製)を用いて、4端子法にて評価基板に電流1mAを流した時の接続抵抗(mΩ)を測定した。なお、導通性は、以下の基準に従って評価した。
○:接続抵抗値が5mΩ未満である。
△:接続抵抗値が5mΩ以上10mΩ未満である。
×:接続抵抗値が10mΩ以上である。
(2)絶縁性
評価基板の櫛形回路の部分に、ハイレジスタントメーター(Agilent社製)を用いて、15Vの電圧を印加した時の絶縁抵抗値(単位:Ω)を測定した。このようにして、(i)熱圧着後の絶縁性を評価した。
また、評価基板を、85℃、85%RH(相対湿度)中にて、15V電圧を印加しつつ1000時間放置して、耐湿熱試験後の評価基板を得た。そして、上記の方法と同様の方法で、(ii)耐湿熱試験後の絶縁性を評価した。
なお、絶縁性は、以下の基準に従って評価した。
○:絶縁抵抗値が1.0×1010Ω以上である。
△:絶縁抵抗値が1.0×108Ω以上1.0×1010Ω未満である。
×:絶縁抵抗値が1.0×108Ω未満である。
これに対し、前記数式(F1)の条件を満たさないはんだ粉末を用いた場合(比較例1)には、隣接電極間での絶縁性および耐湿性が劣ることが分かった。
Claims (6)
- 配線基板同士の接続、或いは、電子部品と配線基板との接続に用いる異方性導電性ペーストであって、
(A)熱可塑性樹脂と、(B)1分子中に2つ以上の不飽和二重結合を有するラジカル重合性樹脂と、(C)1分子内に1つの不飽和二重結合を有する反応性希釈剤と、(D)ラジカル重合開始剤と、(E)1分子内に1つ以上のカルボキシル基を有する活性剤と、(F)はんだ粉末と、(G)コアシェル構造を有する(メタ)アクリル系重合体微粒子と、を含有し、
前記(F)はんだ粉末の粒子径と、前記配線基板の接続部における配線間の最小間隔とが、下記数式(F1)、下記数式(F2)、下記数式(F4)および下記数式(F5)で示す条件を満たす
ことを特徴とする異方性導電性ペースト。
S≦100μm・・・(F1)
D99≦S/4・・・(F2)
D 10 ≧S/100・・・(F4)
S/25≦D 50 ≦S/5・・・(F5)
S:配線基板の接合部における配線間の最小間隔
D 10 :はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が10%となる粒子径
D 50 :はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が50%となる粒子径
D99:はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が99%となる粒子径 - 請求項1に記載の異方性導電性ペーストにおいて、
前記(F)はんだ粉末の粒子径と、前記配線基板の接続部における配線間の最小間隔とが、下記数式(F3)で示す条件を満たす
ことを特徴とする異方性導電性ペースト。
D99−D10≦S/4・・・(F3)
D10:はんだ粉末の粒子径分布における積算体積分率が10%となる粒子径 - 請求項1または請求項2に記載の異方性導電性ペーストにおいて、
前記(E)活性剤の配合量が、前記(F)はんだ粉末100質量部に対して、3質量部以上である
ことを特徴とする異方性導電性ペースト。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の異方性導電性ペーストにおいて、
(H)チクソ剤をさらに含有し、
前記(H)チクソ剤は、平均粒子径が100nm以下の無機微粒子である
ことを特徴とする異方性導電性ペースト。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の異方性導電性ペーストにおいて、
前記(F)はんだ粉末は、スズとビスマスとの合金からなり、
前記(F)はんだ粉末におけるビスマスの含有量は、スズとビスマスとの合計量100質量%に対して、58質量%以下である
ことを特徴とする異方性導電性ペースト。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の異方性導電性ペーストを用いて電極同士を接続することを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
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