JP6180307B2 - インサート成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明のインサート成形品Aの製造方法に用いられる製造装置1は、2プレートタイプのインサート成形装置であって、インサート成形品Aにインサート成形されるインサート部材(ターミナル)としての導電プレートBの高度な防水性能および絶縁性能を確保することを目的としたものである。導電プレートBは、例えば銅等の導電性を有する金属材料等にて形成された導電板であって、例えばスイッチの極盤・ターミナルや固定接点等の役目を果たす部分となるものである。
金型4の上型2の下面であるパーティングラインとしての成形面2aには、下方に開口した断面略凹状の成形領域となる上型空間21が設けられている。上型空間21の底部21aには、上型空間21から上型2の外部に向けて貫通したピン挿通孔22が穿設されている。これらピン挿通孔22は、所定の間隔を空けて、例えば2本ほど設けられている。各ピン挿通孔22には、細長円柱状の押えピン24がそれぞれ挿通されて取り付けられ、これら押えピン24は、各ピン挿通孔22に挿通されて貫通させた状態で、これらピン挿通孔22の軸方向に沿って進退可能に取り付けられている。また、これら各押えピン24の先端には、軸方向に直交する水平な押え面24aが形成され、これら押え面24aは、金型4内に収容された導電プレートBの上面側を押えて位置決めする部分とされている。
下型3は、上型2と同様に構成されており、この下型3の上面であるパーティングラインとしての成形面3aに形成された断面略凹状の成形領域となる下型空間31を、上型2の上型空間21に対向させた状態とされて取り付けられている。具体的に、下型3の下型空間31の底部31aには、この下型空間31から下型3の外部に向けて貫通したピン挿通孔32が穿設されている。これらピン挿通孔32は、上型2の各ピン挿通孔22に同心状に連通するように対向させて、例えば2本ほど設けられている。
次に、上記製造装置1を用いたインサート成形品Aの製造方法について説明する。
まず、金型4が型開きされ、図1に示すように、下型3の各ピン挿通孔32から押えピン34の押え面34aのそれぞれが下型3の下型空間31の底面31aより下型空間31内へ所定距離ほど突出した状態で、この下型3の下側空間31の中央に導電プレートBを設置する。このとき、導電プレートBの下面は、各押えピン34の押え面34a上に載置された状態とされる。一方、上型2の各ピン挿通孔22に挿通されている各押えピン24は、上型2の上型空間21の底部21aより上側空間21内へ所定距離ほど突出した状態とされている。
この状態で、下型3および上型2を近づく方向に相対的に移動させて、これら下型3の成形面3aと上型2の成形面2aとを接触させて型締めする。このとき、図2に示すように、上型2の各ピン挿通孔22から上型空間21内へ突出している各押えピン24の押え面24aによって、下型3の下側空間31内に設置されている導電プレートBが上側から押えられ、下型3の各ピン挿通孔32から下型空間31内へ突出している各押えピン34との間で挟持されて位置決め固定される。そして、これら押えピン24,34によって、導電プレートBの連結部B1近傍の位置が挟持されて位置決め固定される。同時に、導電プレートBの各突出部B4の接点B3が上型3の嵌合凹部27にそれぞれ嵌合され、導電プレートBが上型2に位置決めされる。
この後、トリミングツール26を下方に移動させて進出させ、トリミングツール26のパンチ面26aを導電プレートBの連結部B1に当接させる。この状態で、さらにトリミングツール26を下方へ進出させ、図2に示すように、トリミングツール26のパンチ面26aにて導電プレートBの連結部B1を切断・内曲げ加工して、これら連結部B1が機械的かつ電気的に切り離された形状の導電プレートBとする。ここで、「切断・内曲げ加工」とは、導電プレートBの連結部B1を切断するとともに、この連結部B1の切断箇所B5を内側へ曲げる下降をいう。
この後、溶融させた絶縁性樹脂Cを樹脂注入口(図示せず)ら金型4内へ徐々に注入していき、この絶縁性樹脂Cを金型4内の成形空間5に射出させる。このとき、絶縁性樹脂Cは、各押えピン24,34およびトリミングツール26が位置する部分、および上型2の嵌合凹部27に嵌合されている導電プレートBの各接点B3を除いた成形空間5内を満たしていき、これら各押えピン24,34およびトリミングツール26の周囲を覆い、成形空間5内への絶縁性樹脂Cの充填が完了される。
そして、成形空間5への絶縁性樹脂Cの充填が完了し、この成形空間5内へ射出された絶縁性樹脂Cが硬化する前の状態で、図3に示すように、各押えピン24の押え面24a、およびトリミングツール26のパンチ面26の基端部が上型2の上型空間21の底部21aに沿う位置となるまで、これら各押えピン24およびトリミングツール26を後退移動させる。同時に、各押えピン34の押え面34aが下型3の下型空間31の底部31aに沿う位置となるまで、これら各押えピン34を後退移動させる。
金型4の成形空間5に射出された絶縁性樹脂Cが硬化(固化)した後の状態で、この金型4の上型2と下型3とを引き離すように相対的に移動させて型開きし、図4に示すように、導電プレートBの接点B3を除く全部分が絶縁性樹脂Cにてシールドされて被覆されたインサート成形品Aを、金型4の成形空間5内から取り出す。このとき、インサート成形品Aを金型4の成形空間5から取り出す際には、インサート成形品Aとともに樹脂注入口に充填され硬化した絶縁性樹脂Cがそれぞれ取り外される。
前述のように、金型4の上型2および下型3の各ピン挿通孔22,32に取り付けた押えピン24,34を用い、この金型4の成形空間5に設置された導電プレートBの上面および下面を各押えピン24,34にて挟持して位置決め固定した状態で、トリミングツール26を進出させて導電プレートBの連結部B1に当接させて、この連結部B1を切断・内曲げ加工して切り離した形状としてから金型4内に絶縁性樹脂材Cを射出する。そして、絶柄性樹脂Cが硬化する前の状態で、押えピン24,34およびトリミングツール26のそれぞれを後退させて、これら押えピン24,34と導電プレートBとの間、および切断および内曲げ加工されて切り離された連結部B1の切断箇所B3とトリミングツール26との間のそれぞれに絶縁性樹脂Bを廻して充填させて絶縁性樹脂Cにて覆って、導電プレートBをインサート成形する。
上記一実施形態では、インサート部材として導電性を有する導電プレートBを用いたが、本発明に用いるインサート部材としては、絶縁性を有する部材であっても良い。また、金型4内に射出する樹脂材としては、絶縁性を有する樹脂材、すなわち絶縁性樹脂Cのほか、導電性を有する樹脂材等でも用いることができる。
2 上型
2a 成形面
2b 上面
3 下型
3a 成形面
3b 下面
4 金型
5 成形空間
21 上型空間
21a 底部
22 ピン挿通孔
24 押えピン
24a 押え面
25 パンチ挿通孔
26 トリミングツール
26a パンチ面(切断部)
26b 軸状部
27 嵌合凹部
31 下型空間
31a 底部
32 ピン挿通孔
34 押えピン
34a 押え面
A インサート成形品
B 導電プレート(インサート部材)
B1 連結部
B2 ノッチ
B3 接点
B4 突出部
B5 切断箇所
C 絶縁性樹脂(樹脂材)
Claims (3)
- 突出部が表面に突設されたインサート部材を金型内に設置し、溶融させた樹脂材を前記金型内に射出して前記インサート部材をインサート成形するインサート成形品の製造方法であって、
前記金型内に設けられた嵌合凹部に前記突出部の先端部分を嵌合させつつ前記金型内に設置された前記インサート部材を押えピンにて押えて位置決めする型締め工程と、
前記インサート部材の所定位置にパンチを当接させて切り離す切断工程と、
前記金型内に前記樹脂材を射出する射出工程と、
前記金型内および切り離された部分が前記樹脂材にて満たされ、かつこの樹脂材が硬化する前の状態で、前記押えピンおよび前記パンチを後退させるピン移動工程と、
前記樹脂材が硬化した状態で型開きして前記インサート部材がインサート成形された前記インサート成形品を取り出す取り出し工程と、
を備えたことを特徴とするインサート成形品の製造方法。 - 請求項1記載のインサート成形品の製造方法において、
前記インサート部材は、前記突出部を複数有し、
前記所定位置は、前記インサート部材における前記複数の突出部の間の位置である
ことを特徴とするインサート成形品の製造方法。 - 請求項1または2記載のインサート成形品の製造方法において、
前記パンチは、先端部にテーパ状の切断部を備え、
前記ピン移動工程は、前記押えピンの端部および前記パンチの前記切断部の基端側が前記金型の内面に沿う位置まで前記押えピンおよび前記パンチを後退させる
ことを特徴とするインサート成形品の製造方法。
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