JP6179527B2 - プレス成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車の車体骨格部品として用いられるプレス成形部品のプレス成形方法に関する。
近年、環境問題に起因した車体の軽量化のため、自動車部品に高強度鋼板が多用されつつある。自動車部品の製作には、製作コストに優れたプレス成形が用いられることが多いが、高強度鋼板のプレス成形後に発生するスプリングバックによる形状凍結不良が問題となっている。特に自動車のフロントピラーロア等に用いられる、L形形状を有する断面ハット形部品は、部品上面の湾曲部付近に生じるしわが顕著であり、同時にスプリングバックによる寸法形状精度不良も著しい。
特許文献1には、L形部品の製造方法が示されているが、この方法は、しわ押さえパッドを使用することで、部品上面におけるしわ発生および伸びフランジ成形の割れを回避するというものである。
また、特許文献2には、しわ押えパッドの動きを制御することで湾曲部品のプレス成形後のスプリングバックを抑制し、形状凍結性に優れたプレス成形品を得る方法が開示されている。
PCT/JP2011/077073 特許5194982
急な湾曲形状を有する断面ハット形部品は、歩留まりの向上およびプレス割れ回避を目的としたフォーム成形において、部品上面部のしわ、およびしわを潰して生じる圧縮応力に起因したスプリングバックが問題となる。
しわ押えパッド機構を用いて上面しわを回避しようとした場合、しわを抑制できてもスプリングバックによる形状不良が改善されない。
例えば、特許文献1に記載のL形部品製造方法では、パッドとパンチによってブランク材を挟圧し、そのままパッドの高さを維持することで上面湾曲部近傍のしわを抑制するが、それによって生じるスプリングバックについては言及されておらず、寸法形状精度に対して十分な対策がとられているとは言えない。
また、特許文献2に記載の形状凍結性に優れたプレス成形方法には、ハット断面形状ビームのプレス成形方法が開示されているが、湾曲部の曲率半径が小さい場合に部品上部に生じるしわについては言及されていない。上記の方法では、成形初期からパッドと金属板の間の空隙を10〜20mmと著しく大きくするため、部品上部にしわが自由に発生し、一部にひずみが集中して折れ曲がりが生じて、成形後期の決め押しによる部品上部の平滑化が困難である。また不規則に生じるしわが寸法形状精度に及ぼす影響は、予測と制御が困難であるため、特許文献2に記載のプレス成形方法では、上記L形部品を精度よく製造することは極めて難しい。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、しわを抑制すると共にスプリングバックを低減し、寸法形状精度に優れたプレス成形方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係るプレス成形方法は、成形面を有するパンチと、該パンチに対応した成形面を有するダイと、前記パンチと協働してブランク材の一部を挟持するパッドとを有するプレス成形金型を用いて、
前記ブランク材を、天板部と、該天板部の周囲に形成された縦壁部と、該縦壁部に連続して形成されたフランジ部とを備えてなるプレス成形部品を成形するプレス成形方法であって、
前記パッドには、外部動力駆動のシワ押えパッド機構を使用し、成形初期に前記ブランク材を前記パッドで押さえ、成形が進むに伴い前記パンチに対する前記パッドの相対高さを連続的又は間欠的に大きくすることにより、前記天板部にしわを誘発させながら前記縦壁部を成形する第1成形工程と、
前記第1成形工程の後、前記成形部品の成形完了時において前記パッドで、決め押しをかける第2成形工程とを有し、
前記第1成形工程は、
プレス成形初期からプレス成形中期の間で、前記ブランク材から前記パッドを離して、前記パンチに対する前記パッドの相対高さを一定の高さに保つこと、又は連続的に大きくすることで、前記成形部品の製品形状をコントロールする第1段階と、
プレス成形中期からプレス成形後期にかけて、前記パンチに対する前記パッドの相対高さを第1段階よりも大きくとり、しわの程度をコントロールする第2段階とを備えたことを特徴とするものである
)また、上記()に記載のものにおいて、前記第1成形工程において、前記第1段階、および前記第2段階は、前記パンチに対する前記パッドの相対高さを連続的に大きくすることを特徴とするものである。
)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記第1段階は、前記パッドの前記パンチに対する相対高さを、前記第1段階終了時点で0.5mm〜1.0mmの範囲内の値をとり、前記第2段階は、該第2段階終了時点で3.0mm〜6.0mmの範囲の値をとることを特徴とするものである。
)また、上記(1)乃至()のいずれかに記載のものにおいて、前記プレス成形部品は、平面視でL形の天板部を有する断面ハット型形状を有する部品であることを特徴とするものである。
本発明においては、外部動力駆動のシワ押えパッド機構を使用し、成形が進むに伴いパンチに対する前記パッドの相対高さを連続的又は間欠的に大きくすることにより、天板部にしわを誘発させながら縦壁部を成形する第1成形工程と、第1成形工程の後、成形部品の成形完了時において前記パッドで、相対高さ0となるまで決め押しをかける第2成形工程とを有することにより、第1成形工程において細かなしわによる凹凸形状を生じさせて、圧縮応力を面外方向に分散させながら成形し、第2成形工程において決め押しをすることで適切なしわを残存させ、これによってスプリングバックが低減され、寸法形状精度に優れたプレス成形部品を得ることができる。
本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の成形条件を説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の成形対象であるL形部品の説明図である。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法におけるパッドの相対高さHを説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法で成形した部品にできたしわを説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法で成形する解析モデルの説明図である。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法及び従来例で成形した解析モデルにおける応力分布の解析結果を示す図である。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法のパッド挙動を説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の成形途中で生じるしわの形状を説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法で用いるプレス成形金型を説明する説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法で用いるプレス成形金型を説明する説明図である(その2)。 本発明の他の実施の形態に係るプレス成形方法のパッド荷重と寸法形状精度の関係を説明する説明図である。 本発明の他の実施の形態に係るプレス成形方法においてパッド荷重を30kNとしたときのパッド変位を示す図である。 本発明の実施例に係るプレス成形方法のパッド挙動を説明する説明図である。
まず、本実施の形態に係るプレス成形方法の発明に至った経緯を、平面視でL形の天板部5を有する断面ハット型形状を有する部品(以下、L形部品1)をプレス成形する場合を例にあげて説明する。
プレス成形の対象となるL形部品1は、図2(a)および(b)に示すように、平面視で湾曲部3を有するL形の天板部5、縦壁部7およびフランジ部9からなる断面ハット形状部品である。
湾曲部3を有する内側の縦壁部7aおよびフランジ部9の曲率半径が小さい場合、特にパッドを使用せずにフォーム成形によってこのL形部品1を成形しようとすると、成形過程で部品上面11(図2(c)参照)に大きな材料余りを生じ、下死点においてこの材料余りが潰された際、鋼板面内方向に強い圧縮応力が生じ、これを起因としたスプリングバックによる形状不良が顕著である。
上記のような部品上部の材料余りへの対策として、外部駆動力のパッド機構を用いて、成形初期から部品上面11を押さえつけておき、たわみを防止することは一般的である。しかし、この手法では成形過程で生じる材料余りは抑制できるが、該当部位に圧縮応力が依然として残存することから、スプリングバックによる形状不良に対しては効果がない。
このように、パッドを使用しない場合も、逆にパッドを使用して大きなパッド荷重をかけた場合も共に、スプリングバックを効果的に抑制することはできない。
そこで本発明者らは、成形過程での部品上面11の材料余りを最小限にし、かつ成形終了後のスプリングバックによる形状不良を十分に小さくする方法を検討した。
検討の結果、外部駆動力によるしわ押さえパッドを用いて材料余りを抑える際、パンチに対するパッドの相対高さを、成形開始時には0mmとし、ここから徐々に値を大きくしてゆき、成形終了時においてはパッドのパンチに対する相対高さを再び0mmとすべく、プレス荷重と同等の荷重でパッド成形範囲を押し切ることが効果的であることを見出した。
つまり、プレス成形途中においてパッドの動きを制御して、しわを完全に押さえ込まないようにすることでプレス成形途中に生じた圧縮応力を面外に開放し、成形終了時には天板部5を決め押しすることで、成形途中に生じたしわを押し潰し、図4に示す如く、適切な形状で適度な程度のしわを残留させることで、該部品を形状凍結性よく成形できることを知見した。
なお、ここでいう適度なしわとは、高低差およそ0.2mm程度であり、十分に小さいものである。
また、ここでいう相対高さHとは、図3に示す如く、パンチとパッド相対高さhから加工前のブランクの板厚tを差し引いた高さ(H=h−t)であり、パッドがパンチからブランク板厚t分だけ移動した位置を0として、その位置から鉛直方向へのパッド移動距離をパッド変位量と定義した。
上記のようにパッドの動きを制御することで、成形過程でしわを誘発して、最終的に図4に示すような適度なしわを残存させることが、部品の寸法形状精度向上に有効である根拠を説明するため、数値解析による検討を行ったので、以下説明する。
検討用サンプルは図5に示すように、L形部品1の一部を切り取り簡易形状とした解析モデル27を使用し、湾曲部3の曲率半径を100mm、内側の縦壁部7aとフランジのなす角度αを60度、外側の縦壁部7bとフランジのなす角度βを85度とし、部品高さhを50mmとして、ブランクは引張強度が1180MPa級、板厚1.4mmの薄鋼板とした。
なお、図2で使用したL形部品1と同様のものには同一の符号を付している。
検討用サンプルに対して、十分に大きなパッド荷重を付与してしわの発生を完全に抑え込んだ場合(比較例)と、パッド制御を行って適度なしわを生じさせた場合(発明例)とにおける金型下死点と離型後、すなわちスプリングバック前後の圧縮応力差を求めた。
図6は、紙面上下方向に前記圧縮応力差を示すコンター図であり、図6(a)が比較例、図6(b)が発明例である。
この圧縮応力差は、スプリングバック時に開放される応力開放量と考えてよく、図6(b)の発明例の方が圧縮応力差、すなわち応力解放量が少なく、寸法形状精度が向上したといえる。
次に、天板部5の材料余りを抑制しながら、生じた圧縮応力が形状不良に影響しにくい部品形状となるようなパッド挙動を明らかにするべく、前述した図5に示す解析モデル27を用いて数値解析による検討を行った。
以下、形状一致面積率とは、数値解析結果と正規の部品形状を重ね合わせ、両者の乖離量が±1mmの範囲に入っている部品の面積の割合で定義した。
パッドを用いないフォーム成形によって得られた解析モデル27は、形状一致面積率が74.4%であった。
また、十分なパッド荷重を与え、相対変位を限りなく0mmとして成形した場合の形状一致面積率は、68.7%であった。
上記より、通常のしわ押さえパッドでは、パッドを用いないフォーム成形よりも形状一致面積率が小さく、寸法形状精度不良に対しては効果がないことがわかる。
次に、パッドの相対高さHの推移を図7に示すグラフに従うよう制御した場合を検討した。
なお、プレス成形過程では、しわの形状及び大きさをコントロールするために、プレス成形に伴うしわ発生後のパッド21とブランク材13のしわの頂点は常に接触することが好ましい。
図7(a)では、パッドの相対高さHを常に1mmであるようにした。その際の成形部品の形状一致面積率は63.1%であり、このような相対高さHの制御では生じさせるしわが小さすぎるため、上記した効果が十分に得られていないことがわかる。
通常のパッドの目的はしわ抑えであり、パッドの荷重制御を行った際にもパッドの多少の相対移動は生じるが、その最大高さが1mmを超えることはないので、このような荷重制御では、図7(a)と同様の結果であると考えられる。
図7(b)では、パッドの相対高さHを常に6mmと、比較的大きな値に保つようにした。この場合、成形部品の形状一致面積率は82.0%まで向上するものの、図8(a)のような折れ曲がりとも言える顕著なしわ(以下、折れ曲がり29)が成形途中において生じ、これは下死点においても適度なしわの高低差である0.2mm以下の水準まで平坦化することができず、製品として利用できるものにならない。したがって、成形過程で生じるしわの形状も重要な要素であることがわかる。
図7(c)ではパッドの相対高さHを成形開始から中期にかけて0mmから0.5mmまで線形に変化させ(第1段階)、成形中期から成形後期にかけて1mmから3mmまで変化させ(第2段階)、成形下死点においてはダイ19とともに天板部5を押し切る動きをさせた。このとき、成形部品の形状一致面積率は83.8%まで向上した。成形途中におけるしわの状態も図8(b)に示すとおり、顕著な折れ曲がり29は生じず、成形部品表面の凹凸は0.2mm以内に収まる。
図7(c)に示したパッド変位制御から、成形が進むに伴いパンチに対するパッドの相対高さを大きくすることにより、天板部にしわを誘発させながら縦壁部を成形する第1成形工程と、第1成形工程の後、成形部品の成形完了時において、パッドで決め押しをかける第2成形工程とを有することが有効であるとの知見が得られた。
次に、上記の手順による数値解析による検討を繰り返した結果、本発明者らは、図4に示す如くの波打つようなしわ形状を生じさせ、かつ十分に寸法形状精度向上効果が得られるパッド変位の挙動は、第1成形工程をさらに2つの段階に分け、成形初期から成形中期の第1段階においては第1段階終了時点でのパッドの相対高さHを0.5mm〜1.0mmの範囲に収め、成形中期から成形終期の第2段階においては最終的に適切なしわ高さに調整するために第2段階終了時点でのパッドの相対高さHを3.0mm〜6.0mm程度まで上昇させることが好ましいとの知見を得た。
本発明は、以上の検討の結果から得られた知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成を備えている。
本実施の形態に係るプレス成形方法は、成形面を有するパンチ17と、ダイ19と、パッド21とを有するプレス成形金型15を用いて(図9、図10参照)、ブランク材13を、天板部5と、天板部5の周囲に形成された縦壁部7と、縦壁部7に連続して形成されたフランジ部9とを備えてなるプレス成形部品を成形するプレス成形方法であって、パッド21には、外部動力駆動のしわ押えパッド機構23を使用し、図1に示すように、プレス成形が進むに伴いパンチ17に対するパッドの相対高さHを連続的又は間欠的に大きくすることにより、天板部5にしわを誘発させながら縦壁部7を成形する第1成形工程と、前記第1成形工程の後、成形部品の成形完了時においてパッド21で、決め押しをかける第2成形工程とを有することを特徴とするものである。
以下、プレス成形金型、第1成形工程、第2成形工程を詳細に説明する。
<プレス成形金型>
プレス成形金型15は、図9及び図10に示すように、成形面を有するパンチ17と、パンチ17に対応した成形面を有するダイ19と、パンチ17と協働してブランク材13の一部を挟持するパッド21を有している。また、パッド21は外部動力による駆動部25によって駆動され、パッド21と駆動部25によってしわ押えパッド機構23を構成している。
<第1成形工程>
第1成形工程は、パンチ17に対するパッドの相対高さHを連続的又は間欠的に大きくすることにより、天板部5にしわを誘発させながら縦壁部7を成形する工程である。
第1成形工程において、適切な形状精度のしわを残留させるには、次に示すように、第1段階と第2段階を経ることが好ましい(図1参照)。
≪第1段階≫
第1段階は、プレス成形初期からプレス成形中期の間で、パンチ17に対するパッドの相対高さHを一定の高さに保つこと、又は連続的に大きくすることで、成形部品の製品形状をコントロールする工程である。
≪第2段階≫
第2段階は、プレス成形中期からプレス成形後期にかけて、パンチ17に対するパッドの相対高さHを第1段階よりも大きくとり、しわの程度をコントロールする工程である。
第1段階では製品形状をコントロールし、第2段階ではしわの程度をコントロールすることで、成形過程での部品上面11(図2(c))の材料余りを最小限にし、かつ成形終了後のスプリングバックによる形状不良を十分に小さくすることが可能となる。
<第2成形工程>
第2成形工程は、第1成形工程の後、成形部品の成形完了時においてパッド21で決め押しをかける工程である。
第2成形工程では、前述したように、プレス荷重と同等の荷重でパッド成形範囲を押し切ることが効果的である。
第2成形工程によって、第1成形工程で生じたしわを押圧したとしても、0.2mm以下程度の適切なしわを残存させることができる。このような適切なしわを残存させることで、部品上面の剛性を高めるという効果も得られる。
本実施の形態によれば、第1成形工程において細かなしわによる凹凸形状を生じさせて、圧縮応力を面外方向に分散させながら成形し、第2成形工程において決め押しをすることで適切なしわを残存させ、これによってスプリングバックが低減され、寸法形状精度に優れたプレス成形部品を得ることができる。
なお、上述した実施の形態の説明では、パッドの相対高さHの時間変化が直線状になるようにしたが、本発明に係るプレス成形方法はこれに限られず、パッドの相対高さHの時間変化が階段状、または曲線状であってもよい。
また、第1成形工程において、パッドの相対高さH=0mmから始める必要はなく、成形が進むに伴い、隙間を連続的、又は間欠的に広げて、第2工程の最後に決め押しをかければよい。
なお、上記の説明では、パッドの相対高さHをパッドの位置制御によって行ったが、本発明はこれに限られるものではなく、成形部品の部品上面11に適度なしわが生じるようにパッド荷重を制御することで、パッドの相対高さHを成り行きで変化させるようにしてもよい。
以下、この点について説明する。
パッド荷重を10kNから100kNまでの範囲でそれぞれ一定のパッド荷重とした場合のパッド変位と、スプリングバック解析後の寸法形状精度の相関を見た。
パッド荷重と得られた形状一致面積率の関係を図11および表1に示す。
表1からわかるように、本検討においてはパッド荷重を30kN一定としたとき寸法形状精度が著しく向上する。このとき、成形過程の成形部品の上面には適度なしわが生じておりこれがある程度まで潰されることで、許容範囲内のしわに収まり、かつ前述したとおりのメカニズムによって形状凍結性が著しく向上したものと考えられる。
このパッド荷重30kN一定とした場合のパッド変位は図12に示すように、上述した条件範囲内であることがわかる。
このように、寸法形状精度向上を目的としたパッド制御を考えたとき、最適なパッド荷重が存在し、上述した本発明の効果は荷重制御によっても実現可能である。もっとも、荷重の最適値の設定は難しいので、現実的には油圧サーボ等による変位制御が有用であると考えられる。
なお、一般的にパッド荷重はしわがほぼ生じない強さに設定するのが通常であり、従来の考え方ではパッドの相対高さHが大きく変化するような弱いパッド荷重を設定することは行われておらず、本願発明は従来例とは明確に相違する。
本発明のプレス成形方法による作用効果について確認するための具体的な実験を行ったので、以下に説明する。
実験は、様々なパッド制御条件で図5に示す簡易形状の解析モデル27を成形し、各成形部品について寸法形状精度の評価を行った。
図5に示す形状の解析モデル27を対象に、本発明を適用した。形状パラメータは、湾曲部3の曲率半径を100mm、内側の縦壁部7aとフランジのなす角度αを60度、外側の縦壁部7bとフランジのなす角度βを85度とし、部品高さhを50mmとした。材料は引張強度が1180MPa級、板厚1.4mmの薄鋼板とした。
本実施例で行った実験の結果を表2と共に以下に示す。
<従来例3>
パッドを用いないフォーム成形(従来のプレス成形方法)によって得られた成形部品は、形状一致面積率が74.4%であった。
以下の発明例1〜3、従来例1,2については、上記従来例3の形状一致面積率を基準として向上割合を示した。
<発明例1>
パッドの相対高さHの推移を図13(a)のように、成形開始から0.05秒までの間(第1成形工程の第1段階)は、成形開始後0.05秒の時点でパッド変位が1mmとなるように線形的に増加し、成形開始後0.05秒から成形開始後約0.092秒までの間(第1成形工程の第2段階)は、成形開始後約0.092秒の時点でパッド変位が約5mmとなるように線形変位し、成形開始後約0.092秒から成形終了時である成形開始後0.11秒までの間に決め押しを行った(第2成形工程)。プレス成形下死点では、約0.2mmのしわが残存しており、パッド変位は0.2mmとなっている。
上記発明例1のパッド相対高さHの推移は、本発明において好ましいとしている範囲[第1プレス成形工程の第1段階(第1段階終了時点で0.5mm〜1.0mm)、第1プレス成形工程の第2段階(第2段階終了時点で3.0mm〜6.0mm)]にある。
得られた成形部品の寸法形状精度を評価した結果、パッドを用いないフォーム成形で得られたサンプル(従来例3)と比較し、13.0%寸法形状精度が向上した。
<発明例2>
パッドの相対高さHの推移を図13(b)のように、成形開始から0.05秒までの間(第1成形工程の第1段階)は、成形開始後0.05秒の時点でパッド変位が0.5mmとなるように線形的に増加し、成形開始後0.05秒から成形開始後約0.097秒までの間(第1成形工程の第2段階)は、成形開始後約0.097秒の時点でパッド変位が約3.8mmとなるように線形変位し、成形開始後約0.097秒から成形終了時である成形開始後0.11秒までの間に決め押しを行った(第2成形工程)。プレス成形下死点では、約0.2mmのしわが残存しており、パッド変位は0.2mmとなっている。
上記発明例2のパッド相対高さHの推移は、発明例1と同様に本発明において好ましいとしている範囲にある。
得られた成形部品の寸法形状精度を評価した結果、(従来例3)と比較し、12.6%寸法形状精度が向上した。
<発明例3>
パッドの相対高さHの推移を図13(c)のように、成形開始から0.05秒までの間(第1成形工程の第1段階)は、成形開始後0.05秒の時点でパッド変位が0.1mmとなるように線形的に増加し、成形開始後0.05秒から成形開始後約0.1秒までの間(第1成形工程の第2段階)は、成形開始後約0.1秒の時点でパッド変位が約3mmとなるように線形変位し、成形開始後約0.1秒から成形終了時である成形開始後0.11秒までの間に決め押しを行った(第2成形工程)。プレス成形下死点では、約0.2mmのしわが残存しており、パッド変位は0.2mmとなっている。
上記発明例3のパッド相対高さHの推移は、第1プレス成形工程の第2段階は本発明が好ましいとしている範囲(第2段階終了時点で3.0mm〜6.0mm)内であるが、第1プレス成形工程の第1段階は本発明が好ましいとしている範囲(第1段階終了時点で0.5mm〜1.0mm)よりも小さくなっている。
得られた成形部品の寸法形状精度を評価した結果、(従来例3)と比較し、8.2%の寸法形状精度向上が得られた。この結果は、発明例1,2よりも向上率が小さいが、これは第1プレス成形工程の第1段階が上記の好ましい範囲外であったからと考えられる。
<従来例1>
パッドの相対高さHの推移を図13(d)のように、成形開始から0.075秒までの間はパッド変位を15mmで一定にして、成形開始後約0.1秒から成形終了時である成形開始後0.11秒までの間に決め押しを行った(第2成形工程)。
このパッドの相対高さHの制御は、特許文献2に記載の発明と同様である。得られた成形部品の寸法形状精度を評価した結果、(従来例3)と比較して0.9%寸法形状精度が悪化した。またパッドがブランク材と触れない間、しわが自由に発生したため、折れ曲がり29(図8(a)参照)も生じた。
<従来例2>
パッドの相対高さHを制御するのではなく、荷重を100kN一定としてプレス成形を行った。プレス成形中パッドの相対高さHはほとんど変化がなかった。得られた成型品の寸法形状精度を評価した結果、(従来例3)と比較して7.7%寸法形状精度が悪化した。
以上のように、発明例1〜3については、従来例3に対して形状一致面積率が向上しており、本発明が寸法形状精度の向上に有効であることが実証された。
1 L形部品
3 湾曲部
5 天板部
7 縦壁部
7a 縦壁部(内側)
7b 縦壁部(外側)
9 フランジ部
11 部品上面
13 ブランク材
15 プレス成形金型
17 パンチ
19 ダイ
21 パッド
23 しわ押さえパッド機構
25 駆動部
27 解析モデル
29 折れ曲がり
h 部品高さ
H 相対高さ
t 加工前のブランク板厚

Claims (4)

  1. 成形面を有するパンチと、該パンチに対応した成形面を有するダイと、前記パンチと協働してブランク材の一部を挟持するパッドとを有するプレス成形金型を用いて、
    前記ブランク材を、天板部と、該天板部の周囲に形成された縦壁部と、該縦壁部に連続して形成されたフランジ部とを備えてなるプレス成形部品を成形するプレス成形方法であって、
    前記パッドには、外部動力駆動のシワ押えパッド機構を使用し、成形初期に前記ブランク材を前記パッドで押さえ、成形が進むに伴い前記パンチに対する前記パッドの相対高さを連続的又は間欠的に大きくすることにより、前記天板部にしわを誘発させながら前記縦壁部を成形する第1成形工程と、
    前記第1成形工程の後、前記成形部品の成形完了時において前記パッドで、決め押しをかける第2成形工程とを有し、
    前記第1成形工程は、
    プレス成形初期からプレス成形中期の間で、前記ブランク材から前記パッドを離して、前記パンチに対する前記パッドの相対高さを一定の高さに保つこと、又は連続的に大きくすることで、前記成形部品の製品形状をコントロールする第1段階と、
    プレス成形中期からプレス成形後期にかけて、前記パンチに対する前記パッドの相対高さを第1段階よりも大きくとり、しわの程度をコントロールする第2段階とを備えたことを特徴とするプレス成形方法。
  2. 前記第1成形工程において、前記第1段階、および前記第2段階は、
    前記パンチに対する前記パッドの相対高さを連続的に大きくすることを特徴とする請求項に記載のプレス成形方法。
  3. 前記第1段階は、前記パッドの前記パンチに対する相対高さを、前記第1段階終了時点で0.5mm〜1.0mmの範囲内の値をとり、前記第2段階は、該第2段階終了時点で3.0mm〜6.0mmの範囲の値をとることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形方法。
  4. 前記プレス成形部品は、平面視でL形の天板部を有する断面ハット型形状を有する部品であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のプレス成形方法。
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