以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。本実施形態のコンロ用バーナ1は、図1に示すように、例えば、ガスコンロ70に、その加熱手段として三つ設けてある。そして、コンロ用バーナ1は、その一部が、天板71の開口72(図2参照)から天板71上に露出する。
また、図2に示すように、コンロ用バーナ1は、開口72から露出した部位と天板71の開口72縁との間に、円環状のバーナリング73が介装してある。バーナリング73は、天板71から煮汁等が下(ガスコンロ70の内部)に侵入することを抑制する。
更に、天板71上には、五徳50が載置してあり、五徳50は、コンロ用バーナ1の前記露出する部分を囲むように設けてある。五徳50は、複数(本実施形態では6個)の爪部51を等間隔に備えており、爪部51に鍋等の加熱対象(図示せず)の底部を載置することで、この加熱対象を支持する。言い換えると、ガスコンロ70は、五徳50の上に鍋等の加熱対象を載せることで、この加熱対象を天板71上に支持することができる。
本実施形態において、図1に示すように、三つのコンロ用バーナ1は、例えば、その火力に応じて、標準火力バーナ1b、標準火力バーナ1bに比べて最大火力が大きい大火力バーナ1a、標準火力バーナ1bに比べて最大火力が小さい小火力バーナ1cに区別される。そして、大火力バーナ1a、標準火力バーナ1b及び小火力バーナ1cは、基本的に同じ構造になっており、下記の説明では、標準火力バーナ1bを例示して説明する。
コンロ用バーナ1(標準火力バーナ1b)は、図2,図3に示すように、混合室3を有したバーナ本体2と、混合室3の上に脱着自在で載置されるバーナキャップ10とを備える。以下の説明では、バーナキャップ10をバーナ本体2上に載置した状態における上下を基準とする。
バーナ本体2は、例えば、アルミニウムにて形成される(アルミダイキャスト成形品となっている)。バーナ本体2は、例えば、平面視円環状に空間を有した混合室3と、混合室3の上流側に連通した混合管5とを備える。
混合管5は、その上流側の一端(基端)に、燃料としてのガス(燃料ガス)を吐出するガスノズル4が配置される。そして、バーナ本体2は、ガスノズル4から前記燃料を吐出すると、混合管5の基端から一次空気が吸入されて、混合管5内で前記燃料と一次空気とが混合されるようになっている。
混合室3は、内筒3aと外筒3bとで形成されており、所謂二重筒形状となっている。そして、混合室3は、内筒3aと外筒3bとの間の空間が混合管5に連通している。また、バーナ本体2は、混合室3の内筒3aの内周側を通って、燃焼用の二次空気がコンロ用バーナ1の火炎に供給されるよう構成される。更に、混合室3は、外筒3bの上端が、バーナベース6となっている。言い換えると、バーナ本体2の上面には、バーナベース6が設けてある。
バーナベース6は、例えば、径方向に幅を有した円環状に形成される。そして、バーナベース6の上面には、バーナキャップ10載置用の設置部6aと、全周に亘って設けた段部7とを有する。
設置部6aは、段部7より内周側に設けてあり、その上面にバーナキャップ10が脱着自在で載設される。言い換えると、バーナベース6は、バーナキャップ10載設用の設置部6aより外周側に、段部7が設けてある。
段部7は、下方に向けて凹没して設けてあり、平面視円環状の溝形に形成される。このため、バーナベース6は、外周端部6bが、段部7より上方に突出する。言い換えると、段部7は、その外周端に、上方に立ち上がる外周壁7aを備える。
バーナキャップ10は、例えば、アルミニウムにて形成される(アルミダイキャスト成形品となっている)。バーナキャップ10は、板状部11で主体が構成されており、板状部11は、平面視円環状の板部材で形成される。以下の説明では、特に規定しない限り、板状部11の径方向を基準とする。すなわち、以下の説明において、内周側や外周側等の記載は、板状部11の径方向を基準としたものである。また、後述の外径(径寸法)は、特に規定しない限り半径とする。
板状部11は、その上部の外径が、段部7の外径(外周壁7aの上端における外径)に比べて、大寸(大きい寸法)になっている。言い換えると、段部7は、その外径(外周壁7aの上端における外径)が、板状部11の上部の外径に比べて小寸(小さい寸法)になっている。そして、図4,図5に示すように、板状部11は、その下部に、複数の主炎口用溝12aが凹設してある。
主炎口用溝12aは、バーナキャップ10の下面側に、上方に凹んで形成される。そして、主炎口用溝12aは、例えばバーナキャップ10の円の中心を基準として、放射状に複数個設けてあり、複数個の主炎口用溝12aは、円周方向において、所定の間隔(詳細は後述する)をおいて位置する。更に、各主炎口用溝12aは、板状部11の前記上部の外周端と略同じ外周位置において、外周側に開口する。言い換えると、主炎口用溝12aは、その外周側の開口端における外径が、板状部11の前記上部の外周端の外径と略同寸(同じ寸法)となっている。
このため、コンロ用バーナ1は、バーナキャップ10をバーナベース6に載置した状態において、主炎口用溝12aとバーナベース6の外周端部6b(バーナ本体2の上面)との間に、主炎口12が形成される。そして、コンロ用バーナ1は、バーナベース6にバーナキャップ10を載置した状態において、バーナキャップ10の下端と段部7(バーナ本体2の上面)との間に、その全周に亘るように保炎口13が形成される。
保炎口13には、混合室3から流入溝14(詳細は後述する)、溜まり空間15(詳細は後述する)を経由して、ガスが供給される。そして、このガスは、主炎口12に供給されるガスに比べて、流量が絞られ且つ流速が減速された状態で保炎口13に供給される。このため、コンロ用バーナ1は、混合室3からガスを供給して点火すると、大きな火炎(主炎)が主炎口12に形成され、主炎に比べて小さな火炎(保炎)が保炎口13に(保炎口13に沿って板状部11の下部の全周に亘って)形成される。
また、板状部11は、円周方向において隣り合う主炎口12の間の部位として、合流用部位20と、点火用部位40と、区画用部位30とを有する。
合流用部位20は、その外周面が、板状部11の外径より内周側に若干引退して位置する。言い換えると、合流用部位20の外周面は、板状部11の外周端より内周側に位置する。このため、バーナキャップ10は、板状部11の一部の外周端の下方(合流用部位20より外周側)に、内周側に凹没した凹所21を有する。そして、合流用部位20における保炎口13は、合流用部位20の下端(凹所21より内周側の部位の下端)とバーナベース6との間に形成される。
凹所21は、その天面が主炎口用溝12aの天面と同じ高さで並んでおり(面一に位置しており)、内周側の奥面が合流用部位20の外周面となっている。更に、凹所21は、円周方向において主炎口用溝12aに連通し、また外周側及び下方に開口する。言い換えると、合流用部位20の外周側には、凹所21によって、円周方向において主炎口用溝12aに連通し、また外周側及び下方に開口する矩形状の空間が形成される。
このため、バーナキャップ10は、この凹所21にて、隣り合う主炎口12の火炎(主炎)を合流させて、合流火炎として火炎を形成する(燃焼をする)ことができる。すなわち、コンロ用バーナ1は、バーナベース6にバーナキャップ10を載置した状態において、凹所21にて凹所21の天面と段部7(バーナ本体2の上面)との間に合流用炎口17が形成される。言い換えると、合流用部位20は、その外周側に、円周方向においてその両側の主炎口12からのガスを合流させる合流用炎口17を備える。そして、合流用炎口17は、保炎口13より外周側に位置する。言い換えると、合流用部位20では、合流用部位20の下端(合流用炎口17より内周側の部位)と段部7の底面との間に保炎口13が形成される。
このように、コンロ用バーナ1は、主炎口12に形成される火炎(主炎)を、合流用炎口17(凹所21)によって合流させる(繋げて燃焼する)ことができる。このため、コンロ用バーナ1は、主炎を夫々独立して形成可能な大火力(所謂強火)に比べて火力を抑えて燃焼をする小火力(所謂弱火)の場合において、燃焼が不安定になる等で消火することを抑制することができる。すなわち、コンロ用バーナ1は、バーナキャップ10の外周部に合流用炎口17(凹所21)を設けたことで、小火力の場合における性能(弱火における火炎の安定性)を向上することができる。
また、合流用部位20は、円周方向において、所定の間隔をおいて複数設けてある。そして、合流用部位20の複数の間のうち、一つの間には、点火用部位40が設けてあり、残りの間には、区画用部位30(詳細は後述する)が設けてある。言い換えると、板状部11の隣り合う主炎口用溝12aの間の部位は、点火用部位40を起点にして、円周方向において、合流用部位20と区画用部位30とが交互に並ぶ構成となっている。なお、前記隣り合う主炎口用溝12aの間の部位として、合流用部位20を円周方向に連続して二つ以上並べて設けた場合、隣り合う合流用部位20は、その間の主炎口12を介して、合流火炎を合流させることが可能となる。
点火用部位40は、その外周面が、板状部11の外周端から内周側に凹んだ平面視円弧状の凹曲面41となっている。そして、凹曲面41の中央部に対応する位置には、点火用炎口44が設けてあり、点火用炎口44は、点火炎を形成して保炎口13や主炎口12から出るガスに点火できるようになっている。更に、凹曲面41の上部には、庇部42が外方に突出するように設けてあり、コンロ用バーナ1は、庇部42によって点火用炎口44への煮汁等の侵入を抑制している。
また、コンロ用バーナ1は、図2,図3に示すように、点火用炎口44に対応する部分(凹曲面41より外周側)に、点火スパークを発生して点火用炎口44から出るガスに点火する点火装置47を付設してある。点火装置47は、点火プラグ48と、点火スパークターゲット49とを備える。点火プラグ48は、バーナ本体2のバーナベース6の外周に装着してあり、点火プラグ48の電極48aが上方に突出している。
点火スパークターゲット49は、庇部42の下面に設けてあり、点火スパークターゲット49は、点火プラグ48の電極48aから所定のギャップを隔てて上下に対向する。このため、ガスコンロ70は、点火用炎口44からガスを吐出すると共に、点火装置47で点火スパークを発生することで、点火用炎口44から吐出するガスに点火して、点火炎を形成する。
また、点火用炎口44と混合室3との間には、滞留用空間45が設けてあり、滞留用空間45は、連通孔46を介して混合室3に連通する。言い換えると、図4に示すように、点火用部位40は、上方に凹んだ筒状に形成されており、その内部が滞留用空間45となっており、その外周側の壁部の外周面が凹曲面41となっている。そして、点火用部位40は、その内周側の壁部に連通孔46が設けてあり、前記外周側の壁部に点火用炎口44が設けてある。このため、混合室3から供給されるガスは、連通孔46から滞留用空間45に流入させて滞留用空間45に一旦滞留させた後、点火用炎口44から吐出される。更に、点火用部位40では、前記外周側の壁部の下端と段部7の底面との間に保炎口13が形成される。
区画用部位30は、図4,図5に示すように、その外周面が、板状部11の上部の外周端に沿って形成されており、区画用部位30の外径は、板状部11の上部の外径と略同寸となっている。このため、小火力の場合において、各合流火炎は、区画用部位30によって独立して形成される。これによって、バーナキャップ10は、区画用部位30において、板状部11より外周側から主炎や合流火炎(主炎口12や合流用炎口17)へ二次空気を供給することができる。言い換えると、コンロ用バーナ1は、区画用部位30を備えたことで、合流用部位20と点火用部位40だけで構成した場合に比べて、二次空気不足による燃焼不足を抑制することができて、安定した燃焼性能を得易くすることができる。
区画用部位30は、図6,7に示すように、上方に凹んだ筒形状に形成されており、その内部が溜まり空間15となっている。言い換えると、区画用部位30は、下方に開口した凹部16となっている。
区画用部位30は、図4,5に示すように、その内周側の壁部に流入溝14が設けてあり、外周側の壁部の下端と段部7の底面との間に、区画用部位30における保炎口13が形成される。更に、区画用部位30は、前記外周側の壁部の外周面の下部に、内周側に凹んだ連通溝33が設けてある。
連通溝33は、外周側及び下方に開口する。そして、連通溝33は、円周方向において両側の主炎口用溝12aと連通しており、この両側の主炎口12(主炎口用溝12a)からガスが流入する。言い換えると、区画用部位30の外周側には、連通溝33によって、円周方向において主炎口用溝12aに連通し、また外周側及び下方に開口する矩形状の空間が形成される。
このため、区画用部位30を介して隣り合う主炎口12(両側の主炎口12)は、一方の主炎を、両側の主炎口12におけるもう一方側(他側)の主炎口12に連通溝33を介して移り易くすることができる。言い換えると、コンロ用バーナ1は、バーナベース6にバーナキャップ10を載置した状態において、バーナキャップ10とバーナ本体2との間に、連通溝33にて火移り用炎口18が形成される。このため、コンロ用バーナ1は、区画用部位30において火移りを生じ易くなる。そして、区画用部位30では、連通溝33より内周側の部位の下端と段部7の底面との間に保炎口13が形成されており、火移り用炎口18(連通溝33)が保炎口13より外周側に位置する。
また、連通溝33は、その天面の高さ位置が、凹所21の天面の高さ位置に比べて、下方に位置する。そして、連通溝33の上下幅H1は、凹所21の上下幅H2に比べて小寸になっている。言い換えると、火移り用炎口18は、その上下幅が、合流用炎口17の上下幅に比べて、小寸になっている。
更に、連通溝33は、外周側の開口面からその奥面までの径方向に沿った寸法(凹没寸法R1)が、凹所21の外周側の開口面からその奥面までの径方向に沿った寸法(凹没寸法R2)と、略同寸となっている。言い換えると、連通溝33は、その奥面が、凹所21の奥面(合流用部位20の外周面)と円周方向において並んで位置する。更に言い換えると、区画用部位30は、その下端の外周面が、合流用部位20の外周面と、円周方向において並んで位置する。
このため、コンロ用バーナ1は、火移り用炎口18(区画用部位30の外周側)に流入可能なガス量を、合流用炎口17(合流用部位20の外周側)に流入可能なガス量に比べて、少なくすることができる。
更に、区画用部位30は、その下部の外径(板状部11の中心から連通溝33の奥面までの径寸法)が、段部7の外径(板状部11の中心から外周壁7aの上端までの径寸法)に比べて、小寸になっている。このため、連通溝33の奥面は、外周壁7aより内周側に位置する。
そして、連通溝33の凹没寸法R1は、本実施形態の外周壁7aから連通溝33を備えない同径の板状部11の外周端の下方位置に保炎口13を設けた場合(従来構成)の外周壁7aの位置までの径方向における寸法距離と、略同寸になっている。言い換えると、外周壁7aは、区画用部位30の下部を連通溝33で凹ませた分の寸法R1と略同寸で、前記従来構成の位置から、内周側にずらして設けてある。このため、保炎口13から外周壁7aまでの径方向の寸法距離(間隔)は、前記従来構成における保炎口13から外周壁7aまでの間隔と略同寸となっている。
また、板状部11の上面において、区画用部位30の位置(上方位置)には、放射状に凹溝37を凹設してある。そして、コンロ用バーナ1は、バーナ本体2及びバーナキャップ10の中央の開口から燃焼用の二次空気が、凹溝37を介して主炎口12の側方に供給される。すなわち、凹溝37は、二次空気供給用となっている。このように、コンロ用バーナ1は、凹溝37を介して内周側から区画用部位30の外周側に二次空気を供給することで、充分に二次空気を供給して、安定した燃焼をすることができる。また、図2に示すように、バーナキャップ10の上面には、この上面への煮汁等の付着を防止するため、カバー75が設置される。そして、カバー75は、カバー75から鋲、リベット等の固着具76をバーナキャップ10の取付ボス77に打入することで、取り付けられる。
また、バーナキャップ10は、主炎口用溝12aの円周方向における前記所定の間隔が、大小2種類となっている。そして、板状部11は、前記所定の間隔において、狭い側に合流用部位20または区画用部位30が設けてあり、広い側に点火用部位40または区画用部位30が設けてある。このため、区画用部位30は、狭い側に設けられる第1部位31と、広い側に設けられる第2部位32とに区別される。
第1部位31は、円周方向における寸法が合流用部位20と略同寸になっている。そして、板状部11は、第1部位31の上方位置に、凹溝37が設けてある。このため、凹溝37は、第2部位32に設けた場合に比べて、区画用部位30の両側の主炎口12の各々に近づけて位置し易くなり、前記両側の主炎口12の各々に二次空気を供給し易くすることができる。
第2部位32は、円周方向における寸法が第1部位31に比べて大寸になっており、点火用部位40と略同寸になっている。そして、板状部11は、第2部位32の上方位置の上方外周側に、爪部51が位置する。このため、爪部51は、第1部位31の上方位置の上方外周側に位置する場合に比べて、円周方向において、区画用部位30の両側の主炎口12(主炎)のうち少なくとも一方から離れて位置する。言い換えると、コンロ用バーナ1は、区画用部位30の外周側に爪部51が位置する。これによって、コンロ用バーナ1は、主炎が爪部51を炙り難く、爪部51による火炎の熱損失(無駄な熱の消費)を抑制することができて、五徳50による熱効率の低下を軽減し易くすることができる。
また、区画用部位30(凹部16)は、図7に示すように、前記外周側の壁部に、内周側に膨らんだ厚肉部34が設けてある。厚肉部34は、例えば、平面視矩形状に形成してある。
厚肉部34は、図4,5に示すように、前記外周側の壁部の一部に形成してあり、本例では、例えば、板状部11(バーナキャップ10)を基準とした円周方向の中央部に形成してある。厚肉部34は、区画用部位30の円周方向両側の壁部及び前記内周側の壁部に対して間隔を置いて(隙間を開けて)設けてある。言い換えると、区画用部位30の前記外周側の壁部は、円周方向両側の部位が、前記中央部に比べて径方向の厚さの薄い薄壁部となっている。
このため、溜まり空間15は、円周方向の中央部が内周側に凹んだ形状の空間となっている。言い換えると、凹部16は、内部空間が所謂平面視コ字状となっている。
更に、図7に示すように、厚肉部34は、平面視において、その内周端34aが、段部7の内周壁7b(内周端)より内周側の位置に設けてあり、厚肉部34の一部が、段部7に重なって位置する。言い換えると、区画用部位30は、平面視において、段部7における前記外周側の壁部の前記中央部から内周側に位置する部位の上方を、厚肉部34で覆っている。そして、厚肉部34は、平面視において設置部6aに重なる内周側の下端部が、少なくとも厚肉部34の円周方向の全長に亘って設置部6aに載置される。
このため、溜まり空間15の混合ガスは、厚肉部34にて円周方向に二手(両側)に分けられた状態で保炎口13に供給される。言い換えると、保炎口13は、溜まり空間15における厚肉部34の前記両側に位置する空間を介して、混合ガスが供給される。そして、混合ガスは、厚肉部34の前記両側から厚肉部34の段部7(保炎口13)に重なる部位の下方に流入する。
なお、厚肉部34は、平面視において、内周端34aが段部7の内周端(内周壁7b)と重なる位置に設けてあってもよい。この場合、区画用部位30は、平面視において、段部7における前記外周側の壁部の前記中央部から内周側に重なる部位の上方を、厚肉部34で覆う。そして、この場合、厚肉部34の内周端34aの下端は、設置部6aの外周端の上縁に当接されることが好ましい。これによって、コンロ用バーナ1は、溜まり空間15における厚肉部34の前記両側に位置する空間を介して、保炎口13に混合ガスを供給することができる。
厚肉部34は、少なくともその一部が、溜まり空間15を介した流入溝14の外周側に位置するよう設けてある。以下、第1部位31の厚肉部34を、第1厚肉部36aとし、第2部位32の厚肉部34を、第2厚肉部36bとする。
第1部位31では、例えば、前記外周側の壁部における流入溝14と対応する位置(径方向に視て流入溝14と重なる位置)に、第1厚肉部36aが設けてある。第1厚肉部36aは、内周端34aの円周方向の幅が流入溝14の外周端の円周方向の幅に比べて若干大きく形成してある。言い換えると、第1厚肉部36aは、円周方向の各側端が夫々、対応する流入溝14の円周方向の各側端と径方向に沿った所定の直線上に並ぶよう形成してある。
なお、第1厚肉部36aは、例示の円周方向の寸法に限らず、円周方向の各側端が、対応する流入溝14内を通る径方向に沿った所定の直線上に位置するよう形成してもよい。
また、第2部位32では、例えば、前記外周側の壁部における二つの流入溝14の間の部位と対応する位置(径方向に視て前記間の部位と重なる位置)に、第2厚肉部36bが設けてある。第2厚肉部36bは、内周端34aの円周方向の幅が前記間の部位の外周端の円周方向の幅に比べて大きく形成してある。
このため、第2厚肉部36bは、円周方向の一方の側端が一方の流入溝14内を通る径方向に沿った所定の直線上に位置し、円周方向の反対側の側端が他方(残り一方)の流入溝14内を通る径方向に沿った所定の直線上に位置するよう形成される。そして、第2厚肉部36bは、例えば、円周方向の各側端が夫々、対応する流入溝14の円周方向の中央と径方向に並ぶよう形成してある。
なお、第2厚肉部36bは、例示の円周方向の寸法に限らず、円周方向の各側端が、対応する流入溝14内において円周方向中央より近い方の側壁側にずれた位置を通る前記直線上に位置するよう形成してもよい。この場合、第2厚肉部36bは、流入溝14の側端を通る前記直線上に位置する状態を含んでもよい。
言い換えると、厚肉部34は、少なくともその一部が溜まり空間15を介した流入溝14の外周側に位置するよう設けてあれば、円周方向の寸法を例えばTDRや混合室3からのガス供給量等に応じて適宜設定すればよい。
このように、コンロ用バーナ1は、凹部16(区画用部位30)の前記外周側の壁部の前記中央部に厚肉部34を設けたことで、溜まり空間15に供給された混合ガスの少なくとも一部を、円周方向に偏向して保炎口13に流動させることができる。言い換えると、コンロ用バーナ1は、厚肉部34を備えたことで、例えば二次空気が円周方向に流れた場合等であっても、安定して、溜まり空間15の混合ガスを保炎口13の円周方向両側に供給することができる。
このため、コンロ用バーナ1は、保炎口13の前記両側に亘って保炎を形成した状態を保持し易くなり、一方の主炎口12側に偏って保炎が存在する状態を生じ難くすることができる。これによって、コンロ用バーナ1は、高TDRの場合等に、保炎口13に隣接する二つの主炎口12において一方の主炎口12の火炎が吹き消えたときに、保炎にてこの消えた側の主炎口12に火炎を再び形成し易くすることができる。
そして、コンロ用バーナ1は、厚肉部34を段部7の内周端(内周壁7a)と重なる位置に設けたことで、区画用部位30(凹部16)の前記中央部からそのまま下方の段部7への混合ガスの流入を抑制することができる。このため、コンロ用バーナ1は、保炎口13の前記両側に分かれて流れ易くすることができ、また例えば厚肉部34が流動抵抗となる等で、小火力時等に溜まり空間15の圧力低下を抑制することができる。これによって、コンロ用バーナ1は、保炎を前記両側に存在する状態に維持し易くすることができる。言い換えると、コンロ用バーナ1は、保炎口13の前記両側に保炎が存在する状態を保持し易くすることができる。
更に、コンロ用バーナ1は、径方向において、厚肉部34の少なくとも一部を流入溝14と並べたことで、流入溝14からの混合ガスを前記両側に流れ易くする(偏向し易くする)ことができる。言い換えると、コンロ用バーナ1は、厚肉部34によって、混合ガスを流入溝14からそのまま外周側に流して保炎口13に供給することを抑制することができる。
このため、コンロ用バーナ1は、混合ガスを保炎口13の前記両側に流れ易くすることができ、また例えば厚肉部34が流動抵抗となる等で、小火力時等に溜まり空間15の圧力低下を抑制することができる。これによって、コンロ用バーナ1は、保炎を維持し易くすることができる。
また、コンロ用バーナ1は、区画用部位30の外周面に連通溝33を設けた(火移り用炎口18を形成した)ことで、区画用部位30の下端と段部7との間に形成される保炎口13を板状部11(上部)の外周端の下方位置より内周側にずらすことができる。すなわち、コンロ用バーナ1は、板状部11の上部の外径が同寸の場合における従来構成に比べて、保炎口13を内周側にずらして設けている。言い換えると、コンロ用バーナ1は、板状部11の上部の外径を維持して、保炎口13の外径を小寸にしている。
このため、コンロ用バーナ1は、五徳50の爪部51に対応する部位において、保炎口13から外周側の五徳50までの径方向の寸法距離を、板状部11の前記外周端から外周側の五徳50までの径方向の寸法距離に比べて、大寸にすることができる。これによって、コンロ用バーナ1は、保炎で五徳50を炙り難くなり、保炎での五徳50の加熱による加熱対象への加熱効率の低下を抑制することができる。言い換えると、コンロ用バーナ1は、従来構成に比べて、径方向において保炎口13を五徳50から離すことができて、保炎による五徳50への無駄な熱消費を抑えて、加熱効率を向上させることができる。
また、コンロ用バーナ1は、連通溝33を備えたことで、連通溝33を設けない場合に比べて、区画用部位30において火移りを生じ易くすることができる。このため、コンロ用バーナ1は、小火力の場合において、主炎口12間の火移り性能を良くすることができる。これによって、コンロ用バーナ1は、小火力の場合において、主炎を安定して形成し易くすることができる。言い換えると、コンロ用バーナ1は、小火力の場合において、燃焼を安定して行う(主炎を安定して形成させる)ことができる。
そして、コンロ用バーナ1は、火移り用炎口18に流入可能なガス量を合流用炎口17に流入可能なガス量に比べて少なくしたことで、小火力の場合において、連通溝33を設けたことによる主炎口12への二次空気やガスの供給不足を生じ難くすることができる。すなわち、コンロ用バーナ1は、小火力の場合において、火移り用炎口18(連通溝33)を備えたこと(火移り性能の向上)による二次空気やガス等への影響を軽減して、燃焼を安定して行う(主炎を安定して形成させる)ことができる。
そして、コンロ用バーナ1は、火移り用炎口18が板状部11の上部の外周端より内周側に形成される。このため、コンロ用バーナ1は、火移り用炎口18の火炎が爪部51を炙り難くなり、火移り用炎口18の火炎による無駄な熱の消費を抑制することができる。
また、連通溝33の奥面の円周方向両側の下端(奥面の下端両側の角)には、C面取りのような面取り部35が形成してある。このため、主炎口12は、面取り部35を介して連通溝33側にはみ出すように火炎が形成され易くなる。これによって、コンロ用バーナ1は、連通溝33を介した火移り性能を向上することができる。
なお、本発明は、前述した実施形態の構成のみに限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことが可能である。例えば、本発明は、小火力バーナ1cや大火力バーナ1aに採用してもよい。
また例えば、コンロ用バーナ1は、バーナベース6の設置部6aより外周側に下方への段差を設け、この段差より外周側の設置部6aより下方に位置する部位(低い部位)とバーナキャップ10の下端との間に保炎口13を形成するものであってもよい。この場合では、前記低い部位が段部7と異なり外周壁7aを備えないため、この低い部位にバーナベース6に鍋等から噴き零れた煮汁等を滞留し難くすることができる。
また例えば、コンロ用バーナ1は、平面視において、厚肉部34の内周端34aを段部7の内周端(内周壁7a)より外周側に配置して設けてもよい。この場合、コンロ用バーナ1は、厚肉部34にて、段部7の平面視厚肉部34と重なる位置への混合ガスの流入を、厚肉部34より両側の位置に比べて制限することができる。これによって、コンロ用バーナ1は、小火力に切り替えたとき等に、保炎を前記両側に存在する状態に維持し易くすることができる。
また例えば、第2部位32の流入溝14を、第1部位31の流入溝14と同様にひとつだけ設けて、第2厚肉部36bが径方向に視て重なる位置に設けるように構成してもよい。この場合、第2部位32は、第1部位32と同様に厚肉部36で周方向両側に混合ガスを分けて(偏向して)供給することができる。
また例えば、第2部位32は、流入溝14と径方向に並ぶ位置に夫々厚肉部34を設けて、外周側の壁部の周方向中央(二つの厚肉部34の間)を薄壁部としてもよい。言い換えると、第2部位32は、第2厚肉部34を周方向二つ並べて備えてもよい。
この場合、第2部位32は、両側壁部近傍と、第2厚肉部34の周方向の間とに、段部7に連通する隙間を有する。言い換えると、第2部位32(凹部16)は、溜まり空間15として、平面視所謂E字状の空間を有する。
このため、第2部位32は、混合ガスが周方向両側及び中央の所定の間隔を置いた三か所から保炎口13に供給され易くなる。言い換えると、第2部位32は、混合ガスの少なくとも一部を周方向両側や中央に偏向して保炎口13に供給することができる。