JP6175860B2 - 風呂蓋 - Google Patents

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本発明は、浴槽の上に載せる風呂蓋に関する。
平板状の風呂蓋は、保温性を高めるために熱で反りにくくなっており、主として、発泡樹脂等の断熱素材からなる芯材と、芯材の表裏面を被覆する硬質樹脂製の化粧板と、芯材と化粧板の間に挟まれて風呂蓋を反らないようにする補強材と、芯材の周囲を被覆する縁材(エッジプロテクター)とから構成されている。
例えば、特許文献1には、樹脂発泡体の両面に、補強材として延伸オレフィン系樹脂シートを積層し、さらにポリプロピレン系樹脂板を積層した風呂蓋が開示されている。
特開2006−130243号公報
従来、浴槽内と浴室内の温度差によって風呂蓋が反らないようにする強度を、化粧板や補強材に頼っているが、化粧板や補強材は、芯材(面材)の表裏面と同じ大きさ(面積)であるため、風呂蓋の軽量化の障害となる。また、芯材の表裏面に補強用の部材を重ねると、製造工程が増えてしまう。
本発明は、軽量で周端縁部が反りにくい風呂蓋を提供する。
第1の発明は、圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなり、表面にシボ加工あるいは部材表面にスキン層を形成して化粧面が形成された薄板状の面材と、前記面材の側周面に沿って、前記側周面に平行となるように前記面材に内蔵されて、前記面材を反らそうとする応力に対して前記面材よりも大きな曲げ強さを発揮して前記面材の周端縁部が反らないように前記面材を支える補強材と、からなる風呂蓋である。
第1の発明によれば、浴槽に湯が貯まった状態で浴槽の開口を風呂蓋で蓋をした場合に、浴槽内と浴室内の温度差により、風呂蓋が凹状に反ろうとする応力が働いても、面材の側周面に平行となるように面材に内蔵された補強材が、浴槽の風呂蓋載置面(浴槽リム上面)に載置された面材の周端縁部が反らないように面材を支える。そのため、風呂蓋と、浴槽の風呂蓋載置面との間に生じる隙間を抑制でき、高い保温能力を発揮することができる。また、面材の表裏面に、その表裏面と同じ面積の補強用部材を設ける構造に比べて、大幅に軽量化することができ、持ち運び時などの取り扱い性が向上する。
また、面材は圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなるので、使用中に風呂蓋にかかる程度の外力に対して塑性変形や破壊することがなく、弾性変形するにとどまる。このため、面材は外力によって一時的に変形しても、すぐに元に戻り、風呂蓋が局部的にへこんだままになったり、大きく変形することがない。
第2の発明は、第1の発明において、前記補強材は、帯状であり、帯の平面が前記面材の前記側周面と平行となるように配設されたことを特徴とする。
第2の発明によれば、補強材を帯状にすることで、風呂蓋をさらに軽量化できる。補強材が薄い帯状でも、浴槽リム上面に載置された面材の周端縁部が反ろうとする応力に対する曲げ強さは充分に発揮できる。
第3の発明は、第2の発明において、前記補強材は、延伸樹脂バンドであることを特徴とする。
第3の発明によれば、補強材を延伸樹脂バンドとしたので、これまでになく軽量で、且つ面材の周端縁部の反りも発生しない風呂蓋を提供することができる。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、前記面材は、発泡ビーズ法により成形され、前記発泡ビーズ法による成形で発泡ビーズの模様が露出した前記面材の表面に、個々の前記発泡ビーズの粒径よりも小さな大きさのシボが形成されていることを特徴とする。
第4の発明によれば、シボの大きさを、個々の発泡ビーズの粒径よりも小さくしたので、面材の表面から発泡ビーズの模様を目立たなくし、風呂蓋の外観意匠性を高めることができる。
本発明によれば、取り扱い性及び保温性に優れた風呂蓋が提供される。
実施形態の風呂蓋の模式平面図。 (a)は、第1実施形態の風呂蓋の模式斜視図であり、(b)は、図2(a)におけるA−A断面図であり、(c)は、第2実施形態の風呂蓋の模式斜視図である。 実施形態の風呂蓋における補強材の変形例を示す模式断面図。 実施形態の風呂蓋の製造方法を示す模式図。 実施形態の風呂蓋の製造方法を示す模式図。 実施形態の風呂蓋の製造方法を示す模式図。
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
図1は、実施形態の風呂蓋1の模式平面図である。なお、図1に示す風呂蓋1は、後述する第1実施形態の風呂蓋1Aまたは第2実施形態の風呂蓋1Bを表す。
風呂蓋1は、浴槽の開口を塞いで浴槽内に貯留された湯の熱が外へ逃げることを防ぐ。上方からみたときの平面視において、風呂蓋1は、例えば略矩形状に形成され、浴槽のリムの上面に渡されるように配置される。
1枚または複数枚の風呂蓋1によって、浴槽の開口の全体が塞がれる。図1に表した例では、2枚の風呂蓋1が浴槽の長手方向に並べて配置され、これらの風呂蓋1によって浴槽の開口の全体が覆われる。
(第1実施形態)
図2(a)は、第1実施形態の風呂蓋1Aの模式斜視図であり、図2(b)は、図2(a)におけるA−A断面図である。
風呂蓋1Aは、薄板状の面材11と、面材11に内蔵された補強材31と、からなる。
面材11は、例えば平面形状が略矩形状の薄板状に形成され、表面、その反対側の裏面、および面材11の外形輪郭線に沿って形成された側周面13を有する。なお、以下の説明において、面材11の表と裏を区別せず、単に表面と表す場合もある。
面材11は、外力を加えると弾性変形する発泡樹脂からなる。面材11は、例えば、JIS K6767で規定された測定方法によって算出された圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなる。圧縮永久ひずみは、材料に荷重を負荷した後、その荷重を除去したときに材料に残ったひずみである。
圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、軟質ウレタンフォーム、ポリスチレン−ポリオレフィン複合樹脂発泡体が挙げられる。例えば、30〜60倍率でビーズ発泡させたポリプロピレン(EPP)の圧縮永久ひずみは、8%〜11%程度である。
一方、圧縮永久ひずみが20%を超える発泡樹脂として、硬質ウレタンフォーム、押出発泡あるいは発泡ビーズ法で発泡させたポリスチレン系樹脂が挙げられる。例えば、30〜60倍率でビーズ発泡させたポリスチレン(EPS)の圧縮永久ひずみは、21%〜24%程度である。これらの圧縮永久ひずみが20%を超える発泡樹脂で面材11を成形すると、面材11に生じた凹みが元に戻らず、風呂蓋1Aの表裏面に凹凸が発生するので、風呂蓋には相応しくない。
面材11の表面は、例えば金型の表面に細かい模様(凹凸)をつけ、成形品にその模様を転写するシボ加工により形成された化粧面12となっている。
面材11は、例えば発泡ビーズ法により成形される。具体的には、細粒状の材料樹脂にガス(例えば炭化水素ガス)を吸収させ、高温下で樹脂を軟化させると共に圧力を加えて発泡させる。
発泡ビーズ法による成形で発泡ビーズの模様が露出した面材11の表面に、個々の発泡ビーズの粒径よりも小さな大きさのシボを施すことによって、化粧面12を形成する。
シボの大きさを、個々の発泡ビーズの粒径よりも小さくしたので、面材11の表面から発泡ビーズの模様が目立たなくなり、風呂蓋1Aの外観に高級感を与えることができる。また、風呂蓋1Aの表面の触り心地を良くし、滑りを防止でき、汚れ、指紋、傷を目立ちにくくすることができる。また、化粧面12は、非透水性を有する。
補強材31は、面材11の側周面13の内側の近傍に内蔵されている。補強材31は、面材11の側周面13に沿って連続している。
補強材31は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系の樹脂からなる帯状の延伸樹脂バンドである。延伸樹脂バンドは、ある温度領域で長手方向に伸ばせるだけ伸ばしてしまい、その温度領域よりも低い通常使用時の温度領域で伸びにくくなる特性を有する。
補強材31は、帯の平面が面材11の側周面13の内側で側周面13に対して平行に向き合うように、面材11に内蔵されている。
補強材31は、面材11の側周面13に沿って連続して設けられ、浴槽内と浴室内の温度差によって面材11を反らそうとする応力に対して、面材11よりも大きな曲げ強さを発揮して、浴槽リムの上に載置される面材11の周縁端部が反らないように面材11を支えている(補強している)。
第1実施形態によれば、発泡樹脂からなる面材11の表裏面にシボ加工により化粧面12を形成している。また、面材11の反りを抑制する補強材31として延伸樹脂バンドを面材11の側周面13に沿って面材11に内蔵している。
したがって、第1実施形態の風呂蓋1Aによれば、面材の表裏面に、その表裏面と同じ面積の硬質樹脂製化粧板や補強用部材を設ける構造に比べて、大幅に軽量化することができ、持ち運び時などの取り扱い性が向上する。
また、面材11は圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなるので、使用中に風呂蓋1Aにかかる程度の外力に対して塑性変形や破壊することがなく、弾性変形するにとどまる。このため、面材11は外力によって一時的に変形しても、すぐに元に戻り、風呂蓋1Aが局部的にへこんだままになったり、大きく変形することがない。
浴槽に湯が貯まった状態で浴槽の開口を風呂蓋1Aで蓋をした場合に、浴槽内と浴室内の温度差により、風呂蓋1Aが凹状に反ろうとする応力が働いても、浴槽の風呂蓋載置面(浴槽リム上面)に載置された面材11の周縁端部が反らないように補強材31が面材11を支えているので、風呂蓋1Aと、浴槽の風呂蓋載置面との間に生じる隙間を抑制でき、高い保温能力を発揮することができる。
補強材31を薄い帯状にすることで、風呂蓋1Aをさらに軽量化できる。補強材31が薄くても、面材11の側周面13の近傍で側周面13に沿って補強材31を配設することで、浴槽リム上面に載置された面材11の周縁端部が反ろうとする応力に対する曲げ強さは充分に発揮できる。
すなわち、第1実施形態によれば、面材11の表裏面に広い面積にわたって補強部材を設けなくても、面材11の側周面13に沿って薄い帯状の補強材31を内蔵させるだけで、面材11の周縁端部の反りを抑制することができる。
第1実施形態の補強材または後述する第2実施形態の補強材としては、図3(a)に示すように、断面が中空円筒状の補強材32でもよい。
また、図3(b)に示すように、断面が中実円柱状の補強材33でもよい。
また、図3(c)に示すように、断面が弧状の補強材34でもよい。
また、図3(d)に示すように、断面がT字状の補強材35でもよい。
また、図4(c)に示すように、断面が四角い角筒状の補強材36でもよい。
第1実施形態の風呂蓋1Aは、例えばビーズ発泡法により製造することができる。
例えば、図4(a)に示すように、型(上型)51と型(下型)52内に、補強材36を内蔵する。補強材36は、型51、52内で、治具53によって支持される。型51の内面及び型52の内面には、成形品にシボを転写するための微小凹凸が形成されている。
次に、型51、52内に、図4(b)に示すように、面材11の材料となる樹脂の微細ビーズ61を注入し、発泡させる。
型51、52から取り出すと、図4(c)に示すように、発泡樹脂からなる面材11に、補強材36が内蔵された成形品が得られる。
(第2実施形態)
図2(c)は、第2実施形態の風呂蓋1Bの模式斜視図である。
第2実施形態の風呂蓋1Bは、薄板状の面材21を有する。面材21は、例えば平面形状が略矩形状の薄板状に形成され、表面、その反対側の裏面、および面材21の外形輪郭線に沿って形成された側周面23を有する。なお、以下の説明において、面材21の表と裏を区別せず、単に表面と表す場合もある。
第1実施形態と同様、面材21は、外力を加えると弾性変形する発泡樹脂からなり、例えば、JIS K6767で規定された測定方法によって算出された圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなる。
第2実施形態では、面材21の表面にスキン層が形成され、そのスキン層の表面が化粧面22となる。スキン層は、発泡樹脂を成形する際に発生する成形品表面の密度の高い層である。すなわち、化粧面22(スキン層)は、面材21における表面と裏面との間の部分(例えば厚さ方向の中央部分など)に比べて高密度である。
スキン層が化粧面22として形成されることで、面材21の表面から発泡ビーズの模様が見えなくなり、風呂蓋1Bの外観に高級感を与えることができる。また、化粧面22は、非透水性を有する。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様、面材21の側周面23の内側の近傍に補強材31が内蔵されている。補強材31は、面材21の側周面23に沿って連続している。
補強材31は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系の樹脂からなる帯状の延伸樹脂バンドである。
なお、第2実施形態においても、補強材としては、図3(a)〜(d)および図6(b)にそれぞれ示される断面形状の補強材32〜36であってもよい。
補強材31は、帯の平面が面材21の側周面23の内側で側周面23に対して平行に向き合うように、面材21に内蔵されている。補強材31は、面材21の側周面23に沿って連続して設けられ、浴槽内と浴室内の温度差によって面材21を反らそうとする応力に対して、面材21よりも大きな曲げ強さを発揮して、浴槽リムの上に載置される面材21の周縁端部が反らないように面材21を支えている(補強している)。
第2実施形態によれば、発泡樹脂からなる面材21の表裏面に高密度スキン層として化粧面22を形成している。また、面材21の反りを抑制する補強材31として延伸樹脂バンドを面材21の側周面23に沿って面材21に内蔵している。
したがって、第2実施形態の風呂蓋1Bによれば、面材の表裏面に、その表裏面と同じ面積の硬質樹脂製化粧板や補強用部材を設ける構造に比べて、大幅に軽量化することができ、持ち運び時などの取り扱い性が向上する。
また、面材21は圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなるので、使用中に風呂蓋1Bにかかる程度の外力に対して塑性変形や破壊することがなく、弾性変形するにとどまる。このため、面材21は外力によって一時的に変形しても、すぐに元に戻り、風呂蓋1Bが局部的にへこんだままになったり、大きく変形することがない。
浴槽に湯が貯まった状態で浴槽の開口を風呂蓋1Bで蓋をした場合に、浴槽内と浴室内の温度差により、風呂蓋1Bが凹状に反ろうとする応力が働いても、浴槽の風呂蓋載置面(浴槽リム上面)に載置された面材21の周縁端部が反らないように補強材31が面材21を支えているので、風呂蓋1Bと、浴槽の風呂蓋載置面との間に生じる隙間を抑制でき、高い保温能力を発揮することができる。
第2実施形態においても、面材21の表裏面に広い面積にわたって補強部材を設けなくても、面材21の側周面23に沿って薄い帯状の補強材31を内蔵させるだけで、面材21の周縁端部の反りを抑制することができる。
次に、図5(a)〜図6(b)を参照して、第2実施形態の風呂蓋1Bの製造方法について説明する。
図5(a)に、表面にスキン層が形成された2枚の発泡樹脂成形板(原反)21a、21bと、補強材36を示す。まず、発泡樹脂成形板21a、21bをオーブンなどで加熱して軟化させる。
そして、図5(b)に示すように、2枚の発泡樹脂成形板21a、21bの間に補強材36を挟んで、冷えた型51、52内に入れて、プレスする。
この成形後、図6(a)に示す縁(バリ)80をカットすることで、図6(b)に示すように、発泡樹脂からなる面材21に補強材36が内蔵された成形品が得られる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1,1A,1B…風呂蓋、11,21…面材、12,22…化粧面、13,23…側周面、31〜36…補強材

Claims (4)

  1. 圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなり、表面にシボ加工あるいは部材表面にスキン層を形成して化粧面が形成された薄板状の面材と、
    前記面材の側周面に沿って、前記側周面に平行となるように前記面材に内蔵されて、前記面材を反らそうとする応力に対して前記面材よりも大きな曲げ強さを発揮して前記面材の周縁端部が反らないように前記面材を支える補強材と、
    からなる風呂蓋。
  2. 前記補強材は、帯状であり、帯の平面が前記面材の前記側周面と平行となるように配設された請求項1記載の風呂蓋。
  3. 前記補強材は、延伸樹脂バンドである請求項2記載の風呂蓋。
  4. 前記面材は、発泡ビーズ法により成形され、
    前記発泡ビーズ法による成形で発泡ビーズの模様が露出した前記面材の表面に、個々の前記発泡ビーズの粒径よりも小さな大きさのシボが形成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の風呂蓋。
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