JP6175278B2 - 燃料電池スタックおよび燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、燃料電池スタックおよび燃料電池システムに関する。
燃料電池は、電解質を挟んで設けられた一対の触媒電極のうち燃料極に水素含有ガスを供給するとともに、他方の酸化剤極に酸素を含有する酸化剤ガスを供給し、これら一対の電極で生じる下記の電気化学反応を利用して、燃料が有する化学エネルギーから電気エネルギーおよび熱エネルギーを取り出すものである。
固体高分子電解質膜を利用した一般的な燃料電池セルの構造は、電解質膜を挟んで設けられた触媒層の外側にガス拡散部を形成し、さらに外側に流路板であるセパレータがガス拡散部に接して配置される。ガス拡散部はカーボンペーパーなどで構成される。
水素は燃料極セパレータ流路から燃料極ガス拡散部を通過し、燃料極触媒層に供給され、酸素は酸化剤極セパレータ流路から酸化剤極ガス拡散部を通過し、酸化剤極触媒層に供給される。
電解質膜として、現在最も多く利用されているのが、パーフルオロスルホン酸型イオン交換膜である。燃料電池は電解質膜が十分に水分を保持している状態で発電することが望ましく、電解質膜が乾燥すると、発電による電池電圧の低下が大きくなり、燃料電池システムの効率を低下させることが知られている。そのため、加湿器を燃料電池システムに備え、加湿器により燃料ガスおよび酸化剤ガス(以下、「反応ガス」と称す。)を加湿してから燃料電池に供給することが、一般的である。
一般に、家庭用の燃料電池システムは、燃料電池セルを数十枚積層した燃料電池スタックを有している。燃料電池スタックは、水素含有ガス等の燃料ガスと、空気等の酸化剤ガスと、冷却水とを分離して流すために、セパレータと呼ばれる流路板を有している。セパレータには金属もしくはカーボンが用いられ、緻密質もあれば多孔質もある。
セパレータには冷却水を流す流路が設けてあり、燃料電池の発電に伴う廃熱を回収する。
多孔質のセパレータを利用する場合には、冷却水を反応ガスよりも低い圧力にて駆動する。それにより、セパレータの反応ガス流路の液水を吸水することもできる。また、多孔質セパレータは、含水しているため、数mm程度の短い助走区間で反応ガスを飽和蒸気圧まで加湿することができる。
セパレータの流路と流路との間にあり、ガス拡散部に接する箇所をリブと呼ぶ。リブはガス拡散部に押し付けられており、触媒反応に寄与する電流の通り道でもある。リブがガス拡散部に接する接触面積が極端に小さい場合や、リブの押し付け力が小さい場合に、リブとガス拡散部との接触が悪いと、セル電圧低下の要因となる。なお、緻密質のカーボンセパレータや金属セパレータのリブの加工限界は約0.5mm幅である。
発電中には、酸化剤極触媒層から生成水が発生する。酸化剤極触媒層において水分が過剰になった場合には、酸化剤極触媒層から酸化剤極ガス拡散部を通過し、酸化剤極セパレータ流路への水が排出される。水分が燃料極触媒層において過剰となった場合には、燃料極ガス拡散部を通過し、燃料極セパレータ流路へ水が排出される。
反応ガスの加湿を十分に行った場合、生成水の発生により水分が過剰になるか、もしくは、セル内温度の違いによる結露によって、セパレータ流路やガス拡散部に液水が滞留することがある。セパレータ流路に液水が滞留することをプラギングと呼び、ガス拡散部に液水が滞留することをフラッディングと呼ぶ。プラギングでもフラッディングでも、反応ガスの拡散性能が低下し、セル電圧が大きく低下する。
そのため、セパレータ流路から液水を圧力により排出できるように、つまり、プラギングを回避するために、リブにより流路を細かく区切り、セパレータ流路の一本当たりの等価直径(流路の溝空間の断面積と同じ面積を有する等価円の直径)を規定する技術がある。
また、発電中の温度環境を一定に維持して、結露水によって燃料ガスの流れが阻害されることを防ぐために、酸化剤極のリブのガス拡散部に接する接触面積が、燃料極のリブのガス拡散部に接する接触面積よりも大きくなるようにする技術がある。
特許第4249563号公報 特開2010−170947号公報
現在では、低加湿でも発電できる電解質膜などの開発が進展し、セパレータ流路において、水分が過剰とならず、プラギングが発生しない低加湿条件においても発電できる。多孔質のセパレータを用いた場合にも、多孔質のセパレータがセパレータ流路の液水を吸水するため、プラギングを考慮しなくてもよい。
しかし、プラギングを考慮する必要は無くても、ガス拡散部での反応ガスの拡散性能が燃料電池の性能を大きく左右する。一般にセパレータのリブはガス拡散部の厚みよりも長い。そのため、反応ガスはガス拡散部を厚み方向へ拡散しやすく、流路下の触媒層には反応ガスが到達しやすいが、リブ下の触媒層には反応ガスが到達しにくい。さらに、中性子などの可視化試験により、リブ直下のガス拡散部に液水が流路直下よりも多く滞留していることが観察されている。このように、既存のリブは、触媒層への反応ガスの拡散を阻害する要因となっている。
発明が解決しようとする課題は、リブ直下の反応ガスの拡散性能を向上させ、セル電圧特性を向上させることが可能な、燃料電池スタックおよび燃料電池システムを提供することにある。
実施形態の燃料電池スタックは、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方の面に配置され、ガス拡散部を有する燃料極と、前記固体高分子電解質膜の前記燃料極とは反対側の面に配置され、ガス拡散部を有する酸化剤極と、前記燃料極に水素含有ガスを供給する流路がリブにより複数並列に流路束として形成された燃料極セパレータと、前記酸化剤極に酸素含有ガスを供給する流路がリブにより複数並列に流路束として形成された酸化剤極セパレータとを具備する燃料電池スタックであって、前記酸化剤極セパレータもしくは前記燃料極セパレータの少なくともいずれか一方において、流路の幅が前記流路束における流路と流路との間のリブの幅よりも広く、リブの幅が0.9mm以下であり、リブがガス拡散部に接触する面積が電極面上の流路の面積よりも小さいことを特徴とする。
第1乃至第10の実施形態に共通する燃料電池システムの概略構成を示す模式図。 図1中に示される燃料電池スタックの概略構成を示す断面図および燃料電池スタックを構成する燃料電池セルの要部を拡大して示す断面図。 燃料極セパレータもしくは酸化剤極セパレータにより形成されるサーペンタイン状流路の概略構成を示す図。 第1,第2の実施形態において各種の条件で発電を行った結果得られる燃料極セパレータの接触面積比率とセル電圧との関係を、実施例1,2として、比較例1と対比させて示すグラフ。 第3,第4の実施形態において各種の条件で発電を行った結果得られる酸化剤極セパレータの接触面積比率とセル電圧との関係を、実施例3,4として示すグラフ。 第6乃至第10の実施形態に共通する燃料極セパレータの直線流路(PFF流路)の概略構成を示す図。 第5,第6の実施形態において各種の条件で発電を行った結果得られる燃料極セパレータの接触面積比率とセル電圧との関係を、実施例5,6として示すグラフ。 第8乃至第10の実施形態に共通する酸化剤極セパレータの部分閉塞流路(IDFF流路)の概略構成を示す図。 第1,第6乃至第10の実施形態において各種の条件で発電を行った結果得られる酸化剤極セパレータの接触面積比率とセル電圧との関係を、実施例1,6乃至10として示すグラフ。 実験例1において第7の実施形態のデータ(実施例7)に基づくモデル解析を行った結果得られる酸化剤極セパレータの接触面積比率とセル電圧との関係を示すグラフ。 実験例2において第2の実施形態のデータ(実施例2)に基づくモデル解析を行った結果得られる燃料極セパレータの接触面積比率とセル電圧との関係を示すグラフ。
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示す模式図である。なお、図1の構成は、後述する第2乃至第10の実施形態にも適用される。
本実施形態に係る燃料電池システムは、例えば、家庭用の燃料電池システムであり、燃料電池セルを積層した燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1の燃料極へ燃料ガス(水素含有ガス)を供給する燃料ガス供給装置2と、燃料電池スタック1の酸化剤極へ酸化剤ガス(酸素含有ガス、空気)を供給する酸化剤供給装置3と、燃料電池スタック1の水流路へ冷却水を循環させる水循環装置4とを備える。
図2(a)は、図1中に示される燃料電池スタックの概略構成を示す断面図である。図2(b)は、燃料電池スタックを構成する燃料電池セルの要部を拡大して示す断面図である。なお、図2の構成は、後述する第2乃至第10の実施形態にも適用される。
図2(a)に示されるように、燃料電池スタック1は、固体高分子電解質膜の表裏両面にPtを含む触媒層が接している電解質膜触媒層接合体11と、この電解質膜触媒層接合体11の一方の面に配置された燃料極ガス拡散部12と、電解質膜触媒層接合体11の燃料極ガス拡散部12とは反対側の面に配置された酸化剤極ガス拡散部13と、燃料極ガス拡散部12に接して燃料ガスを供給する燃料極流路16がリブにより複数並列に流路束として形成された燃料極セパレータ14と、酸化剤極ガス拡散部13に接して酸化剤ガスを供給する酸化剤極流路17がリブにより複数並列に流路束として形成された酸化剤極セパレータ15と、燃料極セパレータ14もしくは酸化剤極セパレータ15の少なくとも一方の背面に水が通過する水流路18とを備えた燃料電池セル19を、1層もしくは2層以上に積層して成るものである。
図2(a)の例では、複数の燃料電池セル19が積層され、水流路18は、隣接するセルの間、具体的には燃料極セパレータ14もしくは酸化剤極セパレータ15の背面に設けられている。燃料極セパレータ14および酸化剤極セパレータ15は、緻密質のカーボンセパレータである。燃料極ガス拡散部12および酸化剤極ガス拡散部13は、カーボンペーパーにカーボン紛などを塗布したものであり、担持量はそれぞれ異なる。
図2(b)に示されるように、燃料極セパレータ14,酸化剤極セパレータ15のリブは、それぞれ、燃料極ガス拡散部12,酸化剤極ガス拡散部13に押し当てられている。そのため、燃料極ガス拡散部12,酸化剤極ガス拡散部13は、リブが押し当てられていない箇所においては流路側に盛り上がっている。
図2(b)中には、リブ幅20、流路幅21、流路深さ22、流路の深さ方向中央の位置23、リブピッチ24などの寸法情報が示されている。ここで、燃料極ガス拡散部12(もしくは酸化剤極ガス拡散部13)に接する流路間のリブの幅は、流路深さ方向中央の位置23におけるリブ幅20で表すことができる。流路幅21はリブ幅20よりも広く、リブ幅20は0.9mm以下となるように形成することが望ましい。このようにすると、反応ガスが流路下の触媒層だけでなくリブ下の触媒層へも到達しやすくなる。また、リブ直下のガス拡散部での液水の滞留を防ぐことができる。但し、リブ幅20が小さすぎると、リブの押し付け力によりリブ直下のガス拡散部の中の気孔がつぶれ、反応ガスのリブ下への浸透を妨げることになるため、リブ幅20は0.5mm以上とすることが望ましい。
リブが燃料極ガス拡散部12(もしくは酸化剤極ガス拡散部13)に接する接触面の面積(接触面積)は、流路の深さ方向中央の位置23におけるセパレータ断面の総面積に相当する。また、電極面上の流路の面積(流路面積)は、電極面の面積(電極面積)から接触面積を引いた面積に相当する。ここで、接触面積は、流路面積よりも小さくなるように形成することが望ましい。このようにすると、前述したように、反応ガスが流路下の触媒層だけでなくリブ下の触媒層へも到達しやすくなり、また、リブ直下のガス拡散部での液水の滞留を防ぐことができる。
図3は、燃料極セパレータ14もしくは酸化剤極セパレータ15により形成されるサーペンタイン状流路の概略構成を示す図である。なお、図3の構成は、後述する第2乃至第6の実施形態にも適用される。
図3に示されるように、電極面32上に蛇行形状(サーペンタイン状)の流路が形成されている。この流路は、流路束35として複数並列に形成され、セパレータの流路束折り返し部33において折り返すことにより蛇行している。当該流路は、図2に示した燃料極流路16、酸化剤極流路17、もしくは水流路18に相当する。
電極の外周で流路束35よりも外側にある箇所を外周電極部34と称す。流路束折り返し部33の幅は、折り返す前の流路束35と折り返した後の流路束35との間の距離に相当する。外周電極部34の幅は、最外部流路と電極の最外周との間の距離に相当する。
なお、電極面32の面積(電極面積)は、太線の点線で囲った矩形の巨視的な面積を示しており、ミクロな触媒表面積を示しているわけではない。また、接触面31の面積(接触面積)は、電極面32上の流路深さ中央の位置23(図2(b)参照)におけるセパレータ断面の総面積に相当し、具体的には、流路束35におけるリブ断面積と、流路束折り返し部33におけるリブ断面積と、外周電極部34における断面積とを合わせた総面積に相当する。
一般に、流路束折り返し部33直下の電極や外周電極部34直下の電極には反応ガスが拡散しにくい。そのため、流路束折り返し部33や外周電極部34の幅は、リブ幅20(図2(b)参照)と同等かそれよりも狭くすることが望ましい。このようにすると、流路束折り返し部33直下や外周電極部34直下における反応ガスの拡散性能も向上する。
なお、リブ幅20が流路幅21よりも狭いことは接触面積が流路面積よりも小さいことと同じではない。図3に示されるように、流路束折り返し部33や外周電極部34が存在する分だけ、接触面積は広くなる。流路束折り返し部33では流路束35間の圧力差に起因するバイパスを防ぐために流路束折り返し部33の幅はリブ幅以上となるように設計することが望ましい。流路束35が曲がっている箇所でも、曲り部の曲率によって接触面積が広くなる。また、外周電極部34の幅はシール構造に影響を受けて設計される。そのため、例えばリブ幅20と流路幅21が同一の場合は、接触面積は流路面積よりも広くなる。
第1の実施形態における具体的な実施例を以下に示す。
燃料極側、酸化剤極側ともに、リブ幅20は0.9mm、流路幅21は1.2mm、リブピッチ24は2.0mmである。接触面31の面積(接触面積)を電極面32の面積(電極面積)で割った値である接触面積比率は、酸化剤極側では0.442で、燃料極側では0.451である。流路束折り返し部33の幅は、酸化剤極側では0.9mmで、燃料極側では1.9mmである。
供給する冷却水の温度は65℃であり、燃料ガスおよび酸化剤ガスの温度はともに65℃、湿度もともに100%である。
上記構成において、純水素H供給の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox60%、電流密度0.1、0.2、0.3A/cmとする3通りの条件、および、水素70%と二酸化炭素30%と一酸化炭素10ppmと空気0.5%の水素混合ガス(CSR)の燃料利用率Uf80%、Uf70%、Uf60%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox50%、電流密度0.6A/cmとする3通りの条件、計6通りの条件のそれぞれについて発電を行った。その結果を図4中に「実施例1」として示す。
その結果、図4中の「実施例1」に示されるように、良好なセル電圧特性を示した。特に、高電流密度の0.6A/cmのUf80%、CSR/Airという水素の拡散がセル電圧に大きな影響を与える条件においても、良好な発電特性を得た。後述する「比較例1」では、燃料極側において、セパレータのリブ幅20が流路幅21よりも大きく、接触面積が流路面積よりも大きいため、水素の拡散が大きく低下し、水素の供給不良によりセル電圧が0mVであった。
リブ幅20が流路幅21よりも狭く、接触面積が流路面積よりも小さいことから、触媒層へ反応ガスが到達しやすく、良好なセル電圧を得ることができた。
なお、リブの接触不良によるセル電圧の低下は見られなかった。
このように第1の実施形態によれば、燃料極側、酸化剤極側ともに、流路幅21がリブ幅20よりも広く、リブ幅20は0.9mm以下であり、さらに接触面積が流路面積よりも小さいため、ガス拡散部での反応ガスの拡散が良好で、反応ガスが触媒へと供給されやすい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第2の実施形態における具体的な実施例を以下に示す。
ここでは、燃料極側の接触面積比率は0.445であり、第1の実施形態で採用した0.451に近い値であるが、燃料極セパレータ14の流路束折り返し部33の幅は、0.9mmであり、第1の実施形態で採用した1.9mmと大きく異なる。
上記構成において、第1の実施形態の場合と同様に計6通りの条件のそれぞれについて発電を行った。その結果を図4中に「実施例2」として示す。
その結果、図4中の「実施例2」に示されるように、良好なセル電圧特性を示した。特に、流路束折り返し部33直下の燃料極触媒への水素の拡散性能が向上したため、全ての条件において、セル電圧特性が向上している。大きな面積を占める流路束35のリブ直下の触媒層への拡散だけでなく、小さな面積である流路束折り返し部33直下の触媒層への拡散もセル電圧に影響を与えることが分かる。このことから、外周電極部34における反応ガスの拡散もセル電圧に影響を与えることが容易に推測される。外周電極部34直下の触媒層への反応ガスの拡散は流路束35のリブ直下への反応ガスの拡散と同様であるため、外周電極部34の幅は流路束35のリブの幅と同等かそれよりも狭い幅であることが望ましい。
なお、燃料極側の接触面積は、第1の実施形態の場合よりも狭いが、リブの接触不良によるセル電圧の低下は見られなかった。
このように第2の実施形態によれば、燃料極側の接触面積比率が、第1の実施形態の場合よりも小さいため、燃料極ガス拡散部での燃料ガスの拡散がさらに向上し、水素が燃料極触媒へとさらに供給されやすい。また、流路束折り返し部33の幅が、第1の実施形態の場合よりも狭いため、流路束折り返し部33での燃料ガスの拡散が向上する。
(比較例)
ここで、比較例1について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
ここでは、燃料極側において、接触面積を流路面積よりも大きくし、リブ幅20を0.9mmよりも大きくする。
燃料極側において、流路のリブ幅20は1.0mm、流路幅21は1.0mm、接触面積比率は0.53である。なお、リブ幅20は流路幅21よりも大きい。
上記構成において、第1の実施形態の場合と同様に計6通りの条件のそれぞれについて発電を行った。その結果を図4中に「比較例1」として示す。
その結果、燃料極触媒への水素の拡散性能が大きく低下したため、図4中の「比較例1」に示されるように、「実施例1」に比べるとセル電圧特性が大きく低下している。特に、燃料極の水素拡散がセル電圧に大きな影響を与える0.6A/cmのUf80%、CSR/Airの条件においては、水素の供給不良によりセル電圧が0mVであった。
なお、燃料極側の接触面積は、第1の実施形態の場合よりも広いが、接触抵抗は第1の実施形態の場合と同等であった。
このように比較例1によれば、燃料極側において、接触面積が流路面積よりも大きく、リブ幅20は0.9mmよりも大きいため、ガス拡散部での水素の拡散が大きく低下し、水素が燃料極触媒へと供給されにくいことが分かる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第3の実施形態における具体的な実施例を以下に示す。
ここでは、酸化剤極のガス拡散部13はF社製のカーボンペーパーであり、電解質膜はG社製である。燃料極側、酸化剤極側ともに、白金量が第1の実施形態の場合と同等であるが、触媒層に含まれる電解質の量を増やしてあり、電解質膜触媒層接合体11は低加湿向けの仕様である。
供給する冷却水の温度は70℃であり、燃料ガスの温度は60℃で湿度100%、酸化剤ガスの温度は36℃で湿度100%である。
上記構成において、純水素H供給の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox60%、電流密度0.1、0.2、0.3A/cmとする3通りの条件、水素70%と二酸化炭素30%と一酸化炭素10ppmと空気0.5%の水素混合ガス(CSR)の燃料利用率の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox60%、電流密度0.1、0.2、0.3A/cmとする3通りの条件、および、水素70%と二酸化炭素30%と一酸化炭素10ppmと空気0.5%の水素混合ガス(CSR)の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox50%とUox60%、電流密度0.6A/cmとする2通りの条件、計8通りの条件のそれぞれについて発電を行った。その結果を図5中に「実施例3」として示す。
その結果、図5中の「実施例3」に示されるように、良好なセル電圧特性を示した。特に、高電流密度の0.6A/cmのUf80%、CSR/Air Uox60%という水素の拡散だけでなく、酸素の拡散がセル電圧に大きな影響を与える条件においても、良好な発電特性を得た。
触媒層の電解質の量が増えており、触媒層における反応ガスの拡散性能は低下しているが、燃料極、酸化剤極ともに、接触面積が流路面積よりも小さく、ガス拡散部での反応ガスの拡散性能が良好であるため、良好な発電性能を得た。
なお、リブの接触不良によるセル電圧の低下は見られなかった。
このように第3の実施形態によれば、燃料極側、酸化剤極側ともに、流路幅21がリブ幅20よりも広く、さらに接触面積が流路面積よりも小さいため、ガス拡散部での反応ガスの拡散が良好で、水素や酸素が触媒へと供給されやすい。また、触媒層に含まれる電解質量が増えているため、触媒層で保水しやすく、燃料極側、酸化剤極側ともに、触媒層における反応ガスの拡散性能が低下するものの、ガス拡散部での反応ガスの拡散性能が良好であるため、良好な発電性能が得られる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。以下では、第3の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第4の実施形態における具体的な実施例を以下に示す。
ここでは、酸化剤極側において、接触面積比率を、第3の実施形態の場合よりも小さくする。
酸化剤極側の流路のリブ幅20は0.5mm、流路幅21は1.5mm、酸化剤極側の接触面積比率は0.288である。
上記構成において、第3の実施形態の場合と同様に計8通りの条件のそれぞれについて発電を行った。その結果を図5中に「実施例4」として示す。
その結果、図5中の「実施例4」に示されるように、良好なセル電圧特性を示した。酸化剤極触媒への酸素の拡散性能が向上したため、全ての条件において、セル電圧特性が向上している。
なお、リブの接触不良によるセル電圧の低下は見られなかった。
このように第4の実施形態によれば、酸化剤極側において、接触面積比率が、第3の実施形態の場合よりも小さいため、ガス拡散部での酸素の拡散がさらに向上し、酸化剤が酸化剤極触媒へとさらに供給されやすい。
(第5の実施形態)
第5の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第5の実施形態における具体的な実施例を以下に示す。
ここでは、供給する冷却水の温度は65℃であり、燃料ガスの温度は65℃で湿度100%、酸化剤ガスの温度は50℃で湿度100%である。
上記構成において、純水素H供給の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox50%、電流密度0.1、0.2、0.3A/cmとする3通りの条件、および、水素70%と二酸化炭素30%と一酸化炭素10ppmと空気0.5%の水素混合ガス(CSR)の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox50%、電流密度0.1、0.2、0.3A/cmとする3通りの条件、計6通りの条件のそれぞれについて発電を行った(なお、後述する第6の実施形態では、さらに、純水素H供給の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox60%、電流密度0.3A/cmの条件についても発電を行っている)。その結果を図7中に「実施例5」として示す。その結果、図7に示されるように、良好なセル電圧特性を示した。供給される酸化剤ガスの加湿温度が50℃であり、第1の実施形態の場合よりも低加湿であることによる影響は見られなかった。
燃料ガスの組成の違いによる単セルあたりの電圧差は、0.1A/cmにおいて9mV、0.2A/cmにおいて14mV、0.3A/cmにおいて15mVであった。
このように第5の実施形態によれば、燃料極側、酸化剤極側ともに、流路幅21がリブ幅20よりも広く、さらに接触面積が流路面積よりも小さいため、ガス拡散部での反応ガスの拡散が良好で、水素や酸素が触媒へと供給されやすい。第1の実施形態の場合よりは酸化剤極が低加湿となるが、問題はない。
(第6の実施形態)
第6の実施形態について説明する。以下では、第5の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第5の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第6の実施形態における具体的な実施例を以下に示す。
ここでは、燃料極セパレータ14の流路を、直線流路であるPFF(Parallel Flow Field)流路とする。
酸化剤極側においては、流路のリブ幅20は0.7mm、流路幅21は1.3mm、リブピッチ24は2.0mm、接触面積比率は0.344である。
燃料極側においては、流路は図6に示すような直線状の流路、すなわち、PFF流路を形成しており、接触面積比率は0.427である。PFFリブ61はPFF流路を形成するリブであり、PFF流路62はPFFリブ61により形成される流路である。燃料極セパレータ14は多孔質のカーボンセパレータである。その水流路18には、燃料ガスや酸化剤ガスよりも低い圧力の水が水循環装置4により供給されるようになっている。
供給される燃料ガスは常温であり、湿度は0%である。
上記構成において、第5の実施形態の場合と同様の6条件に、さらに、純水素H供給の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox60%、電流密度0.3A/cmの条件を加え、計7通りの条件のそれぞれについて発電を行った。その結果を図7中に「実施例6」として示す。また、酸化剤極側についても、図9中に「実施例6」として示す(但し、最後に加えた1条件についてのみ示す)。
その結果、図7および図9に示されるように、良好なセル電圧特性を示した。燃料極のプラギングを防止して水素の拡散性能が向上し、かつ低加湿運転時の電解質膜の乾燥を防ぐ効果をより一層向上させたため、全ての条件において、セル電圧特性が向上している。また、燃料ガスの組成の違いによる電圧差は、0.1A/cmにおいて6mV、0.2A/cmにおいて12mV、0.3A/cmにおいて11mVであり、第4の実施形態の場合よりも電圧差が小さく、燃料極セパレータ14の違いによる水素拡散性能の向上が確認できる。
このように第6の実施形態によれば、加湿に必要な液水をポーラス内部に含み、電解質膜触媒層接合体11を加湿することができる。さらに、燃料極流路16に結露した液水を吸水することができる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態について説明する。以下では第6の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第6の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第7の実施形態における具体的な実施例を以下に示す。
ここでは、供給する冷却水の温度は65℃であるが、燃料ガスと酸化剤ガスは常温であり、湿度は0%である。酸化剤極側および燃料極側のセパレータは多孔質のカーボンセパレータである。その水流路18には、燃料ガスや酸化剤ガスよりも低い圧力の水が水循環装置4により供給されるようになっている。
また、燃料極セパレータ14のみならず酸化剤極セパレータ15においても、図6に示す直線流路(PFF流路)を形成している。
酸化剤極側においては、接触面積比率は0.424であり、流路のリブ幅20は0.9mm、流路幅21は1.2mm、リブピッチ24は2.0mmである。
上記構成において、純水素H供給の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox60%、電流密度0.3A/cmの条件で発電を行った。その結果を図9中に「実施例7」として示す。
その結果、図9に示されるように、良好なセル電圧特性を示した。多孔質の燃料極セパレータ14による滞留水の吸水と加湿の効果により、セル電圧が第1の実施形態や第5の実施形態よりも高い。
このように第7の実施形態によれば、燃料極側、酸化剤極側ともに、流路幅21がリブ幅20よりも広く、さらに接触面積が流路面積よりも小さいため、ガス拡散部での反応ガスの拡散が良好で、反応ガスが触媒へと供給されやすい。また、加湿に必要な液水をポーラス内部に含み、電解質膜触媒層接合体11を加湿することができる。さらに、酸化剤極側および燃料極側の流路に結露した液水を吸水することができる。
(第8の実施形態)
第8の実施形態について説明する。以下では、第7の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第7の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第8の実施形態における具体的な実施例を以下に示す。
ここでは、酸化剤極セパレータ15の流路を、部分閉塞流路であるIDFF(InterDigitated Flow Field)流路とする。
酸化剤極セパレータ15は、図8に示すような直線流路に流れの行き止まりを持つ部分閉塞状の流路、すなわち、IDFF流路を形成している。IDFFリブ81はIDFF流路を形成するリブであり、IDFF流路82はIDFFリブ81により形成される流路である。IDFF流路82は、反応ガスが流れる空隙が形成され、反応ガスの流入側とは反対側の端部がそれぞれ閉塞されている複数の第1の流路と、これら複数の第1の流路と並行に、かつ、所定の間隔を隔てて交互に配置され、反応ガスが流れる空隙が形成され、反応ガスの流出側とは反対側の端部がそれぞれ閉塞されている複数の第2の流路とから構成される。PFF流路と比較して、パターンや接触面積はほぼ同等であるが、流れの行き止まりが入口と出口に交互に有る点が異なる。
上記構成において、純水素H供給の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox60%、電流密度0.3A/cmの条件で発電を行った。その結果を図9中に「実施例8」として示す。
その結果、図9に示されるように、良好なセル電圧特性を示した。PFF流路が形成された第7の実施形態におけるセル電圧よりも高い。これは、PFF流路の場合、空気が拡散によってガス拡散部を移動するのに対し、空気が酸化剤極のガス拡散部を圧力駆動の強制対流で流れるため、酸素が酸化剤極の触媒層に到達しやすく、酸素拡散性能が向上するためである。
このように第8の実施形態によれば、燃料極、酸化剤極ともに、流路幅21がリブ幅20よりも広く、さらに接触面積が流路面積よりも小さいため、ガス拡散部での反応ガスの拡散が良好で、反応ガスが触媒へと供給されやすい。また、加湿に必要な液水をポーラス内部に含み、電解質膜触媒層接合体11を加湿することができる。さらに、酸化剤極側および燃料極側の流路に結露した液水を吸水することができる。さらに、流れの行き止まりがあるため、空気は酸化剤極セパレータ流路ではなく、ガス拡散部を強制的に流れ、酸素拡散性能を向上させることができる。
(第9の実施形態)
第9の実施形態について説明する。以下では、第7の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第7の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第9の実施形態における具体的な実施例を以下に示す。
ここでは、接触面積比率を、第7の実施形態の場合よりも小さくする。また、酸化剤極側のセパレータは図8に示す部分閉塞流路(IDFF流路)を形成している。酸化剤極側においては、流路のリブ幅20は0.5mm、流路幅21は1.5mm、接触面積比率は0.26である。
上記構成において、純水素H供給の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox40%、電流密度0.3A/cmの条件で発電を行った。その結果を図9中に「実施例9」として示す。
その結果、図9に示されるように、良好なセル電圧特性を示した。PFF流路が形成された第7の実施形態におけるセル電圧よりも高い。これは、PFF流路の場合、空気が拡散によってガス拡散部を移動するのに対し、空気が酸化剤極のガス拡散部を圧力駆動の強制対流で流れるため、酸素が酸化剤極の触媒層に到達しやすく、酸素拡散性能が向上するためである。また、接触面積比率が0.26であり、酸化剤極セパレータ15のリブ幅20が狭く、リブ直下のガス拡散部に液水が滞留しにくいため、酸素拡散性能がさらに向上している。
このように第9の実施形態によれば、酸化剤極側の接触面積比率が0.26であり、接触面積が、第7の実施形態の場合よりも小さいため、ガス拡散部での反応ガスの拡散がより良好となり、反応ガスが触媒へと供給されやすい。また、加湿に必要な液水をポーラス内部に含み、電解質膜触媒層接合体11を加湿することができる。さらに、酸化剤極流路17と燃料極流路16に結露した液水を吸水することができる。流れの行き止まりがあるため、空気は酸化剤極セパレータ流路ではなく、ガス拡散部を強制的に流れ、酸素拡散性能を向上させることができる。
(第10の実施形態)
第10の実施形態について説明する。以下では、第7の実施形態と共通する部分の説明を省略し、第7の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第10の実施形態における具体的な実施例を以下に示す。
ここでは、特許文献1に記載されている「等価直径」という概念を使用する。等価直径とは、流路の断面積と同じ面積を有する等価円の直径をいい、次の式で表すことができる。
等価直径=2×(流路深さ×流路幅/π)1/2
酸化剤極セパレータ15は、図8に示すようなIDFF流路を形成している。酸化剤極側においては、流路のリブ幅20は0.5mm、流路幅21は1.5mm、接触面積は0.26である。また、流路深さ22は1mmであり、セパレータ流路の一本当たりの等価直径は1.4mmである。
上記構成において、純水素H供給の燃料利用率Uf80%、空気(Air)供給の酸化剤利用率Uox40%、電流密度0.3A/cmの条件で発電を行った。その結果を図9中に「実施例10」として示す。
その結果、図9に示されるように、良好なセル電圧特性を示した。PFF流路が形成された第6の実施形態におけるセル電圧よりも高い。これは、PFF流路の場合、空気が拡散によってガス拡散部を移動するのに対し、空気が酸化剤極のガス拡散部を圧力駆動の強制対流で流れるため、酸素が酸化剤極の触媒層に到達しやすく、酸素拡散性能が向上するためである。また、接触面積比率が0.26であり、酸化剤極セパレータ15のリブ幅20が狭く、リブ直下のガス拡散部に液水が滞留しにくいため、酸素拡散性能がさらに向上している。
このように第10の実施形態によれば、酸化剤極側の接触面積比率が0.26であり、接触面積が、第7の実施形態の場合よりも小さいため、ガス拡散部での反応ガスの拡散がより良好となり、反応ガスが触媒へと供給されやすい。また、加湿に必要な液水をポーラス内部に含み、電解質膜触媒層接合体11を加湿することができる。さらに、酸化剤極流路17と燃料極流路16に結露した液水を吸水することができる。流れの行き止まりがあるため、空気は酸化剤極セパレータ流路ではなく、ガス拡散部を強制的に流れ、酸素拡散性能を向上させることができる。
なお、第10の実施形態では、等価直径を1.4mmとしており、特許文献1が提案している範囲(0.79mm以上1.30mm以下)を逸脱しているが、多孔質セパレータを採用しているためにプラギングはなく、セル電圧は良好である。
(実験例1)
PFF流路方向に垂直な断面において、カーボンペーパーGDLとカーボン層MPLとで構成されるガス拡散部における酸素拡散(式1)および水素拡散(式2)の2次元定常モデルの解析を行った。リブの接触抵抗を変化させないため、接触面積が減少すると、GDLへの圧縮応力を増加させた。圧縮応力が増加するとGDLの気孔率εが減少して酸素拡散が阻害されるプログラムになっている。ここでは、第7の実施形態におけるデータ(図9中の「実施例7」)と整合するように、アノードとカソードにそれぞれ水占積率SaとScを与えている。このモデル解析は、多孔質のカーボンセパレータを両極に利用した場合で、燃料極には純水素を供給し、カソードには空気を供給した場合のモデルの解析である。
カソードの電流密度は空気中の酸素濃度に比例するため、酸素濃度に比例した酸素消費分布をガス拡散部/触媒層界面(MPL/CL)に与え、多孔質における空気中の酸素の拡散係数DO2を利用して、ガス拡散部/触媒層界面の酸素濃度分布CO2MPL/CLを解析する。
アノードの電流密度は水素濃度に比例するため、水素濃度に比例した水素消費分布をガス拡散部/触媒層界面(MPL/CL)に与え、多孔質におけるCSR中の水素の拡散係数DH2を利用して、ガス拡散部/触媒層界面の酸素濃度分布CH2MPL/CLを解析する。それらの結果から、バトラーフォルマー式を変形した経験式である(式5)を用いてセル電圧を算出する。
セル抵抗Rおよび交換電流密度i0.9は実験値を用いた。アノード反応通過係数βは0.5で、カソード反応通過係数αは0.5である。カソードガス溝の酸素濃度Cchは空気中の酸素濃度などから算出した。アノードガス溝の水素濃度AchはCSR中の水素濃度などから算出した。
Figure 0006175278
ここで、F:ファラデー定数、R:気体定数、T:ガス温度、P:ガス溝全圧
酸化剤極側の接触面積比率(酸化剤極セパレータ接触面積比率)を0.1、0.2、0.3、0.42、0.5、0.55と変化させて、解析を行ったところ、図10に示すようなセル電圧および、セル電圧の算出に利用した酸素濃度分布CO2MPL/CLを得た。酸化剤極セパレータ接触面積比率が0.5未満におけるセル電圧の低下は小さいが、0.5を境にセル電圧が大きく低下する。
このように2次元拡散モデルからも、接触面積が電極面積の半分よりも小さいと、反応ガスの拡散性能が低下することが分かる。
(実験例2)
PFF流路方向に垂直な断面において、カーボンペーパーGDLとカーボン層MPLで構成されるガス拡散部における水素拡散と酸素拡散の2次元定常モデルの解析を実験例1と同様に行った。ここでは、第2の実施形態におけるデータ(図4中の「実施例2」)と整合するように、アノードとカソードにそれぞれ水占積率SaとScを与えている。このモデル解析は、緻密質のカーボンセパレータを両極に利用した場合で、燃料極には水素混合ガス(CSR)を供給し、カソードには空気を供給した場合のモデルの解析である。このモデル解析では両極とも加湿を100%としている。
燃料極側の接触面積比率(燃料極セパレータ接触面積比率)を0.1、0.2、0.3、0.42、0.5、0.55と変化させて、解析を行ったところ、図11に示すようなセル電圧および、セル電圧の算出に利用した水素濃度分布CH2MPL/CLを得た。燃料極セパレータ接触面積比率が0.5未満におけるセル電圧の変化は小さいが、0.5を境にセル電圧が大きく低下する。
このように2次元拡散モデルからも、接触面積が電極面積の半分よりも小さいと反応ガスの拡散性能が低下することが分かる。
以上詳述したように、少なくとも1つの実施形態によれば、リブ直下の反応ガスの拡散性能を向上させ、セル電圧特性を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…燃料電池スタック、2…燃料ガス供給装置、3…酸化剤供給装置、4…水循環装置、11…電解質膜触媒層接合体、12…燃料極ガス拡散部、13…酸化剤極ガス拡散部、14…燃料極セパレータ、15…酸化剤極セパレータ、16…燃料極流路、17…酸化剤極流路、18…水流路、19…燃料電池セル、20…リブ幅、21…流路幅、22…流路深さ、23…流路深さ中央位置、24…リブピッチ、31…接触面、32…電極面、33…流路束折り返し部、34…外周電極部、35…流路束、61…PFFリブ、62…PFF流路、81…IDFFリブ、82…IDFF流路。

Claims (5)

  1. 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方の面に配置され、ガス拡散部を有する燃料極と、前記固体高分子電解質膜の前記燃料極とは反対側の面に配置され、ガス拡散部を有する酸化剤極と、前記燃料極に水素含有ガスを供給する流路がリブにより複数並列に流路束として形成された燃料極セパレータと、前記酸化剤極に酸素含有ガスを供給する流路がリブにより複数並列に流路束として形成された酸化剤極セパレータとを具備する燃料電池スタックであって、
    前記酸化剤極セパレータもしくは前記燃料極セパレータの少なくともいずれか一方において、流路の幅が前記流路束における流路と流路との間のリブの幅よりも広く、リブの幅が0.9mm以下であり、リブがガス拡散部に接触する面積が電極面上の流路の面積よりも小さいことを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 前記酸化剤極セパレータもしくは前記燃料極セパレータの少なくともいずれか一方の外周電極部の幅がリブの幅と同等かそれよりも狭いことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタック。
  3. 前記酸化剤極セパレータもしくは前記燃料極セパレータの少なくともいずれか一方は多孔質セパレータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池スタック。
  4. 前記酸化剤極セパレータもしくは前記燃料極セパレータの少なくともいずれか一方は、
    反応ガスが流れる空隙が形成され、反応ガスの流入側とは反対側の端部がそれぞれ閉塞されている複数の第1の流路と、
    前記複数の第1の流路と並行に、かつ、所定の間隔を隔てて交互に配置され、反応ガスが流れる空隙が形成され、反応ガスの流出側とは反対側の端部がそれぞれ閉塞されている複数の第2の流路と
    を形成していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃料電池スタックと、
    前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置と、
    前記酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤供給装置と、
    水流路に水を循環させる水循環装置と
    を具備することを特徴とする燃料電池システム。
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