燃料電池は、化学反応のエネルギを電気に変換する装置であって、電気を発生させる発電部の外部に燃料および酸化剤を保管できるという点で従来のバッテリとは異なっている。また燃料電池は、燃料と酸化剤とが発電部に供給される限り電気を発生させることができる。そして、メタノール水溶液を燃料とし、空気(酸素)を酸化剤とするダイレクトメタノール型燃料電池(DMFCと記すことがある。)は、アノード(陰極、燃料極)において燃料のメタノールが酸化されてプロトンを発生させる。その発生したプロトンは電解質膜を透過してカソード(陽極、空気極)に到達する。また、メタノールの酸化反応にともなってアノード(燃料極)で発生した電子は、アノード(燃料極)とカソード(空気極)との間の電位差によって外部回路に流れてカソード(空気極)に到達する。
DMFCは、液体メタノールを燃料に用いることができるから、発電装置として高いエネルギ密度を有し、またその動作温度は相対的に低い、という利点を有する。また、燃料であるメタノール水溶液を補充すれば発電を継続させることができる、という利点を有する。さらにまた、メタノールの酸化反応によって発電をおこなうから、水と二酸化炭素とを排出するのみであり、いわゆる環境に優しい発電装置としての利点を有している。
燃料である液体メタノールは、水素ガスあるいは液状の水素を貯蔵タンクに貯蔵することに比較して、燃料の貯蔵および輸送を容易におこなうことができる。これは、メタノールが水素と異なり、室温で液体であって、簡易なポリマー容器に容易に貯蔵することができるためである。また理論的には、液体メタノールは、現在の水素貯蔵技術によって貯蔵される水素よりも高いエネルギを蓄えることができる。言い換えれば、現在の水素貯蔵技術によって同容量のタンクに水素あるいは液体メタノールを貯蔵した場合に、液体メタノールを貯蔵したタンクは、水素を貯蔵したタンクに比較して高いエネルギを蓄えることができる。そのため、DMFCは、水素燃料電池よりも軽量かつ高いエネルギ密度を有しており、要求される電力が絶えず増大する傾向にある携帯型電子機器(装置)に対する小型携帯型の機器用電源として有望視されている。
一般的に、単一のDMFC(単位セル)は電解質膜と電極とを一体化した膜・電極接合体(Membrane Electrode Assembly;MEAと記すことがある。)およびガス拡散層(Gas Diffusion Layer;GDLと記すことがある。)ならびにガスケットさらには燃料を流通させるフローフィールドプレート(単に燃料供給路と記す場合がある。)などを備えており、これらの部材が積層されて単位セルを構成している。そして、DMFCの総出力を増大させるために、前述した単位セルが複数直列に連結(積層)されてDMFCスタックが構成されている。また通常、DMFCスタックは、反応物質の給排をおこなうための給排出ポートを有する内部マニホールドと単位セルとともに直列に配置された複数のバイポーラプレート(燃料電池用双極板)とを備えている。
前述したDMFCスタックへの燃料および空気を供給する方法の違いにより、DMFCスタックをパッシブ型とアクティブ型とに分類することができる。パッシブ型のDMFCスタックは、燃料および空気をポンプなどの動力を必要とせずに、いわゆる自己拡散(自己呼吸)などによってMEAに供給する。また、通常、パッシブ型のDMFCスタックは空間効率を向上させるために平板状である。一般的な平板状のDMFCスタックのカソード(空気極)側は、直接外気に解放されており、いわゆる自己呼吸によって空気から酸素を取り入れるように構成されている。そのため、パッシブ型のDMFCスタックはポンプなどの補器を必要としないので、コンパクトかつ軽量な装置とすることができる、という特徴を有している。
しかしながら、パッシブ型のDMFCスタックの出力密度は、アクティブ型に比較して、低い。また、その出力が低い上に積層に制限がある。そのため、発電電力の向上および発電の安定性が新たな問題になっている。パッシブ型DMFCスタックは、その周辺状態を変化させることによって、出力(発電力)や安定性にいくらかの効果を得ることはできるが、パッシブ型のDMFCスタックの発電性能は、スタックの配置に依存しており、そのため、従来ではパッシブ型のDMFCスタックの出力は10W以下になることが多い。
これとは反対に、アクティブ型のDMFCスタックでは、MEAに燃料であるメタノールおよび空気を供給するためのポンプなどの補器が採用されている。また、このようなDMFCスタックでは、アノード(燃料極)とカソード(空気極)とに燃料あるいは酸化剤としての空気(酸素)を流通させるためのフローフィールドプレート(燃料供給路あるいは酸化剤供給路)が設けられている。そのため、アクティブ型のDMFCスタックの発電密度は、速やかに燃料および空気を輸送できることから、パッシブ型のDMFCスタックと比較して大きい。また、その発電の安定性や信頼性は、補器とのバランスによって増大(変化)させることができる。さらにまた、アクティブ型のDMFCスタックの発電性能は、パッシブ型とは異なりスタックの配置に依存していないので、ポンプなどによって強制的に燃料および空気をMEAに供給し、また排出する。したがって、例えば10W以上の発電性能が要求される場合にはアクティブ型のDMFCスタックが好ましい。
しかしながら、アクティブ型のDMFCスタックでは、発電した電力の大部分もしくは一部が補器によって消費されるため、例えば15W出力可能なDMFCにおける空気(酸素)を送風するエアポンプの消費電力は、総出力の約20%に達する。また、このような補器の駆動を制御する制御装置は騒音を発する虞がある。そのため、出力電力が5〜20Wの中型のアクティブ型DMFCでは、ポンプなどの補器によって消費される電力が増大する傾向にある。
ところで、DMFCの発電力およびその体格は、単位セルの大きさおよびその単位セルが複数連結(積層)されたDMFCスタックに依存する。アクティブ型のDMFCを小型化するために、またポンプによる電力消費量を抑制するように構成された発明が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された発明は、金属素材から構成されるセパレータの両面に燃料あるいは酸化剤としての空気(酸素)を流通させる第一および第二のチャンネルを形成し(いわゆるバイポーラプレート(燃料電池用双極板)を形成させ)、スタック全体の体積を減らすように構成されている。また、セパレータに第一チャンネルあるいは第二チャンネルに連通する孔形態の第一マニホールドおよび第二マニホールドを各々形成することによって、第一および第二のマニホールドを流通して燃料および酸化剤が各セパレータの第一および第二のチャンネルに供給され、また他側のマニホールドに排出されるように構成されている。そのため、ポンプのポンピング圧が減少して電力消費量が低減できるように構成されている。
特許文献2には、DMFCを小型化するためにスタックの体積を低減できるように構成された発明が記載されている。特許文献2に記載された発明は、燃料および空気を供給するチャンネルを非導電性の高分子によって形成されたセパレータ(燃料電池用双極板)に形成することによって、スタックの体積を低減させた発明が記載されている。
また、特許文献3には、DMFCの燃料による耐腐食性あるいは発電にともなう電気化学的な安定性を向上させるために、バイポーラプレート(燃料電池用双極板)にグラファイトを適用した発明が記載されている。
さらにまた、DMFCは、単位セルが複数連結(積層)されて構成されるから、例えばDMFCスタックを構成する単位セルに異常あるいは不具合が生じた場合に、DMFC全体の出力低下をまねく虞がある。そのため、DMFCスタックの周辺技術として、単位セルごとの異常あるいは不具合に対応できるように構成された発明が特許文献4に記載されている。特許文献4に記載された発明は、単位セルそれぞれが締結具によって固定されるように構成されており、不具合を生じたあるいは劣化した単位セルは、その不具合を生じたあるいは劣化した単位セルのみを取り出して交換できるようになっている。
また特許文献5には、燃料に金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を用いた場合に、アルカリ水溶液の腐食性によって燃料が酸化剤(空気極)側に漏出して出力低下をまねくことを、シリコーンゴムから構成されるガスケットによって抑制するように構成された発明が記載されている。
特許文献6には、MEAを構成する電解質膜が燃料中の水分を吸収することによって膨張して、燃料の流通するチャンネル(供給路)の入口を塞ぐことを、ガスケットの形状を改善することによって防止あるいは抑制するように構成された発明が記載されている。
また、単位セルが積層されたDMFCスタックでは、燃料および空気(酸素)の供給流量あるいは装置からの放熱などによって単位セル毎の発電量にいわゆるバラツキが生じる場合がある。そのため、単位セル毎の発電量のバラツキを低減させるように構成された発明が特許文献7に記載されている。特許文献7に記載された発明は、各単位セルの温度分布、空気供給量などに応じて酸化剤流路の入口断面積、カソード(空気極)の触媒層の面積、電解質膜の厚さ、撥水剤の量を調整することによって各単位セル毎の発電性能のいわゆるバラツキを抑制し、DMFCスタック全体としての出力低下を抑えて、安定した発電ができるように構成されている。
さらにまた、特許文献8には、プリント基板を用いることによってDMFCの厚さが薄く、単位面積当たりの発電量を向上できるように構成された発明が記載されている。
上述した特許文献1および特許文献2に記載された構成では、セパレータの各面に燃料あるいは酸化剤を流通させるチャンネル(流路)が形成されてバイポーラプレート(燃料電池用双極板)を構成しているから、DMFCスタックの体積(体格)を低減させることができるとしている。しかしながら、そのセパレータは金属材料から構成されているから、DMFCスタックの体積(体格)を低減できたとしても総重量が増大してしまう虞がある。そこで、特許文献2あるいは3に記載されているように、非導電性の高分子あるいはグラファイトをバイポーラプレート(燃料電池用双極板)に適用することが考えられる。しかしながら、非導電性の高分子をバイポーラプレート(燃料電池用双極板)に適用した場合、その重量を軽減でき、比較的安価に製造できるものの、体積(体格)を低減させることは困難であり、またその材料の選択によっては燃料に対する耐腐食性、強度、発電にともなって発生する熱に対する耐熱性などに問題が生じる虞がある。また、グラファイトをバイポーラプレート(燃料電池用双極板)に適用した場合、グラファイトは耐腐食性、導電性などを有しているが、その硬度が低く脆いために、薄型化が困難であり、そのためDMFCスタックの体積(体格)を低減させることが困難である。さらにまたグラファイト製のバイポーラプレート(燃料電池用双極板)の製造にはコストがかかるという問題がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、DMFCスタックの体積(体格)を低減させることができ、しかも安価かつ強度を向上させたバイポーラプレート(燃料電池用双極板)を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、膜・電極接合体に挟まれて配置され、一方の面に燃料供給路が形成され、かつ他方の面に空気供給路が形成された燃料電池用双極板において、合成樹脂材料によって板状に形成され、かつ前記合成樹脂材料によって板状に形成された各面の表面に導電性材料が配置されており、前記導電性材料は、金属製メッシュ材あるいは金属製多孔質材のいずれかを含むことを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記燃料供給路は、前記板状に形成された合成樹脂材料の一方の面に、蛇行した細溝形状に複数形成され、かつ前記空気供給路は、前記燃料供給路が複数形成された前記板状に形成された合成樹脂材料の前記一方の面とは反対側の他方の面に、互いに平行な直線状かつ細溝形状に複数形成されていることを特徴とする燃料電池用双極板である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記蛇行した細溝形状の燃料供給路における折り返し箇所の間の部分は、前記互いに平行な直線状かつ細溝形状の空気供給路に対し、直交する方向に燃料を流通させるように形成されていることを特徴とする燃料電池用双極板である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記導電性材料は、前記板状に形成された合成樹脂材料の端部で折り曲げられて該端部を覆うとともに、各面の前記導電性材料が通電可能につながっていることを特徴とする燃料電池用双極板である。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記合成樹脂材料は、補強材が混入された補強合成樹脂材料を含むことを特徴とする燃料電池用双極板である。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記補強合成樹脂材料は、繊維強化プラスチックを含むことを特徴とする燃料電池用双極板である。
請求項7の発明は、請求項2の発明において、前記板状に形成された合成樹脂材料のいずれか一方の面に前記蛇行した細溝形状の燃料供給路が形成され、前記膜・電極接合体の一方の面に配置されるアノード側エンドプレートと、前記板状に形成された合成樹脂材料のいずれか他方の面に前記互いに平行な直線状かつ細溝形状の空気供給路が形成され、前記膜・電極接合体の他方の面に配置されるカソード側エンドプレートとを含むことを特徴とする燃料電池用双極板である。
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記アノード側エンドプレートに形成された前記蛇行した細溝形状の燃料供給路における折り返し箇所の間の部分は、前記カソード側エンドプレートに形成された前記互いに平行な直線状かつ細溝形状の空気供給路に対し、直交する方向に燃料を流通させるように形成されていることを特徴とする燃料電池用双極板である。
請求項1の発明によれば、双極板は合成樹脂材料によって形成されるから、軽量かつ薄型化した双極板を得ることができる。その結果、DMFCスタック全体の軽量化、薄型化を図ることができる。また、合成樹脂材料の各面の表面に導電性材料が配置されているので、膜・電極接合体の発電した電力をその導電性材料によって取り出すことができる。また、導電性材料には金属製メッシュあるいは金属製多孔質材のいずれかを含むので、燃料あるいは空気の流通(流動)を妨げずに膜・電極接合体で発電された電力を取り出すことができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明による効果と同様の効果に加えて、双極板の一方の面に複数の蛇行した細溝形状の燃料供給路が形成されているから、膜・電極接合体の全体に対して、燃料供給のいわゆるバラツキを抑えて安定して燃料を供給することができる。また複数の蛇行した細溝形状の燃料供給路が形成さているから、例えば燃料に異物が混入して燃料供給路の一部が塞がれたとしても、他の流路によって燃料の供給を継続することができる。そのため、燃料を滞らせずに供給することができるから、ひいてはDMFCの発電性能を向上させることができる。さらにまた、複数の燃料供給路および複数の空気供給路が形成されている。そのため、これらの供給路に燃料あるいは空気を供給する場合に生じる圧力の上昇を抑制もしくは低減させることができる。したがって、燃料あるいは空気の流れが良くなり、ひいてはDMFCの発電性能を向上させることができる。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明による効果と同様の効果に加えて、燃料供給路における折り返し箇所の間の部分は空気供給路に対して直交する方向に燃料が流通するように形成されている。そのため、単位セルを複数連結(積層)させてDMFCスタックを形成する場合に、双極板に係る圧力をスタックの平面に均一に分散させることができる。
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明による効果と同様の効果に加えて、合成樹脂材料によって形成された双極板の表面に配置された導電性材料が、双極板の端部で折り曲げられて、各面の導電性材料が通電可能につながっているので、双極板を挟んでDMFCスタックを直列して積層することができる。
請求項5の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかの発明による効果と同様の効果に加えて、合成樹脂材料は補強材によって補強されるので、合成樹脂材料の軽量、低コスト性、低伝導性、易加工性を保持しつつ、機械的強度を向上させることができる。
請求項6の発明によれば、請求項5の発明による効果と同様の効果に加えて、補強合成樹脂材料は繊維強化プラスチックを含むので、軽量、薄型、低コスト性、低伝導性、易加工性を保持した高強度の双極板を得ることができる。
請求項7の発明によれば、請求項2の発明による効果と同様の効果に加えて、アノード側エンドプレートに複数の蛇行した細溝形状の燃料供給路が形成され、また、カソード側エンドプレートに複数の互いに平行な細溝形状の空気供給路が形成される。したがって、燃料に異物が混入してアノード側エンドプレートの燃料供給路の一部が塞がれた場合に、他の流路によって燃料の供給を継続することができる。また、これらの供給路に燃料あるいは空気を供給する場合に生じる圧力の上昇を抑制もしくは低減させることができる。その結果、燃料あるいは空気の流れを良くすることができ、ひいてはDMFCの発電性能を向上させることができる。
請求項8の発明によれば、請求項7の発明よる効果と同様の効果に加えて、アノード側エンドプレートに形成された燃料供給路における折り返し箇所の間の部分はカソード側エンドプレートに形成された空気供給路に対して直交する方向に燃料が流通するように形成されている。そのため、単位セルを複数連結(積層)させてDMFCスタックを形成する場合に、双極板に係る圧力をスタックの平面に均一に分散させることができる。
つぎにこの発明をより具体的に説明する。図1は、この発明に係る燃料電池用双極板の断面を模式的に示している。その燃料電池用双極板1は、例えば繊維あるいは樹脂とプラスチック(合成樹脂)との複合材料によって構成されるいわゆる繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic;FRPと記すことがある。)であって、例えば繊維が敷き詰められた型にプラスチック樹脂を注入して成形するインジェクション成形などによって形成されている。なお、燃料電池用双極板1に用いられるプラスチック樹脂および補強材としての繊維あるいは樹脂には任意のものを使用することができる。その具体例をあげれば、母体となるプラスチック樹脂(合成樹脂材料)には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などを用いることができる。また、補強材に用いることができる繊維素材として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維などを用いることができる。
前述したように構成された燃料電池用双極板1のカソード(空気極)2側には、外部から取り入れた空気を流通させるための空気供給路3が互いに平行な直線形状に形成されている。一方、燃料電池用双極板1のアノード(燃料極)4側には、燃料タンク(図示しない)に貯留された液体メタノールを流通させるための燃料供給路5が蛇状に蛇行して形成されている。なお、空気供給路3の直線部分と燃料供給路5の直線部分とが互いに直交するように燃料電池用双極板1に形成されている。
また、アノード(燃料極)4において発生した電子がカソード(空気極)2に電位差によって流れるように、燃料供給路5側から空気供給路3側にかけて導電性材料が連続的に配設され、集電部6が構成されている。集電部6を構成する導電性材料は、導電性(伝導性)を有する金属メッシュあるいは金属製多孔質材によって形成されている。そしてその導電性材料には、例えばチタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの任意の金属素材を用いることができる。また、前述した金属素材によって形成された導電性材料は、燃料であるメタノール水溶液による腐食を防止あるいは抑制するとともに、電気抵抗を低減させて電気の導電性(伝導性)を向上させるために、白金(Pt)あるいは金(Au)などによってその表面を被覆することが好ましい。この集電部6は後述するガス拡散層(GDL)7と前述した燃料あるいは空気の流路との間に介装されている。すなわち、集電部6を金属メッシュあるいは金属製多孔質材によって構成することにより、例えばアノード(燃料極)4に供給される燃料は、その燃料供給路5と金属メッシュあるいは金属製多孔質材の小孔とガス拡散層(GDL)7とを通過(透過)して膜・電極接合体(MEA)8に連続的に供給される。同様に、カソード(空気極)2に供給される空気(酸素)は、その空気供給路3と金属メッシュあるいは金属製多孔質材の小孔とガス拡散層(GDL)7とを通過(透過)してMEA8に連続的に供給される。また、集電部6を金属メッシュあるいは金属製多孔構造にすることによって、金属の使用量を低減することができ、かつ加工を容易におこなうことができる。そのため、集電部6に用いる金属メッシュあるいは金属製多孔質材の隙間面積(開口面積)は、概ね50%以上であることが好ましい。
この集電部6は燃料供給路5側から空気供給路3側にかけて連続的に配設(形成)されているから、隣り合うDMFCスタックの陰極(アノード)4と陽極(カソード)2とを接続する接続部6として機能させることができる。また、製造工程を簡素化するために、金属メッシュあるいは金属製多孔質材は電極2,4と同サイズの領域のみを覆うように構成されている。さらにまた、金属メッシュあるいは金属製多孔質材の表面は、導電性や耐食性を改善あるいは向上させるために、前述したように白金(Pt)あるいは金(Au)によって表面処理を施してもよい。以下に示す実施例では、集電部6は、その基材にチタン(Ti)を用い、その表面を白金(Pt)によって表面処理を施したものを用いた。また、その厚さは0.1〜4mm、隙間面積(開口面積)は30〜90%のものを用いた。
さらにまた、燃料電池用双極板1の両側面には、ガスケット9がそれぞれ配置されている。ガスケット9は、例えば弾力性および強度を有する圧縮性の高分子素材から構成されている。ガスケット9は燃料供給路5を流通する液体メタノールあるいは空気供給路3を流通する空気の漏れを塞ぐいわゆるシール材であって、ガスケット9を形成する素材の選択は、要求された(DMFCスタックの)組み合わせに効果的なシーリングや適切な圧縮電極を得るための一つの要素であり、また、酸やメタノールに対する耐性を有することも要求される。例えばシリコン、パーフルオロアルコキシエチレン(PFA)、ポリウレタンなど任意の材料により形成されている。以下に記す実施例では、シリコン素材によって形成されたガスケット9を使用し、その厚さは15ミル(1mil=1/1000inch)のものを用いた。
図2は、燃料である液体メタノールを流通させる燃料供給路5の形状を模式的に示す図である。燃料タンク(図示せず)に貯留された液体メタノールは、燃料タンクとこの発明に係る燃料電池用双極板1とを連通する供給路(図示せず)を介して燃料電池用双極板1に形成された燃料供給路5に供給される。燃料電池用双極板1の一方の面、すなわちアノード(燃料極)4側に形成された燃料供給路5は、その一方の端部に液体メタノールを流入させる入口部10が形成されており、この入口部10から燃料供給路5に液体メタノールが供給されるように構成されている。この燃料供給路5はMEA8に燃料である液体メタノールを供給するためのものであり、アノード(燃料極)4側に開口するようになっている。
燃料供給路5はその流路の中央にリブ11aが形成されており、燃料供給路5は少なくとも二つの流路に分けられて構成されている。リブ11aによって二つに分割させられた燃料供給路5a,5bは、その直線部分が互いに並行に構成され、かつ燃料供給路5a,5bが滑らかに折り返すように、燃料供給路5の折り返し部5cは、円弧状に形成されている。すなわち、燃料供給路5a,5bは、直線形状の燃料供給路5が円弧状の折り返し部5cで折り返されて連続的に形成されており、いわゆる蛇状に蛇行して構成されている。
これとは反対に、燃料供給路5の他方の端部には、燃料供給路5aあるいは5bを流通し、発電反応に使用されなかった未反応燃料(いわゆるオフメタノール)を含む反応残渣を排出するための出口部12が構成されている。また、入口部10と出口部12との間および入口部10と出口部12とは反対側の両端部に、燃料電池用双極板1と前述した単位セルとを連結(積層)するための留め部13が形成されている。
燃料供給路5a,5bの溝形状は、例えばU字形状あるいは半円形状に形成されている。すなわち、燃料供給路5をU字形状あるいは半円形状にすることによって、いわゆる角部をなくすように構成されている。そのため、角部におけるいわゆる淀みを低減させて、燃料の円滑な流れを確保できるようになっている。また、入口部10から供給された液体メタノールと燃料供給路5を分割するリブ11aとの接触部分の角部も同様に滑らかな形状になるように構成されている。
一般的には、燃料供給路5の溝幅が0.05〜3mmである場合に、リブ11aの幅は0.05〜3mmであることが好ましい。また、このリブ11aの幅を狭くして燃料を流通させる燃料供給路5の溝幅を広げることによって、MEA8に供給する液体メタノールの量を多くすることができる。そのため、リブ11aの幅を狭くして燃料供給路5の溝幅を広げることによって、いわゆる反応アクセス領域を増大させることができ、発電力(起電力)を向上させることができる。
リブ11aによって燃料供給路5が分割されていない場合は、燃料供給路5がリブ11aによって分割されて二条になっている場合と比較して、燃料供給路5に液体メタノールを流通させるためのポンプの吐出圧を高く設定する必要がある。すなわち、燃料供給路5が一条である場合は、二条になっている場合と比較して、燃料が流通する流路が相対的に長くなる。その結果、燃料が流路を流動する場合における圧力損失が大きくなるためである。また、燃料が流通する流路が長いことにより、入口部10と出口部12における液体メタノールの濃度差が大きくなる。さらにまた、単一の燃料供給路5であるから、いずれかの箇所で溝が詰まると燃料の供給が不十分になり、DMFC14の発電力が低下する虞がある。したがって、前述したように、リブ11aによって燃料供給路5を分割して構成することにより、液体メタノールを流通させる場合の圧力を低下させることができる。すなわち、ポンプの吐出圧および燃料が流路を流動する場合における圧力損失を低くすることができる。また、燃料供給路5が二条になっているので、いずれかの箇所で溝が詰まった場合にも、全体として燃料の供給を継続することができる。したがって、DMFC14の発電の安定性を向上させることができ、また、燃料供給路5が詰まることによる発電力の低下を抑制することができる。
以下に記す実施例では、縦80.9mm、横55mmの燃料電池用双極板1に、リブ幅1.0mmのリブ11aによって分割された燃料供給路5の各溝幅が各1.0mm(リブ11a幅に対する燃料供給路5の溝幅の比率が1:1)、溝深さ0.85mm、燃料供給路5における折り返し箇所の間の長さが59.5mmになるように燃料供給路5を構成したものを用いた。また、液体メタノールの入口部10といわゆるオフメタノールの出口部12との直径はそれぞれ4.0mmになるように構成した。留め部13の直径は4.7mmになるように構成した。
図3は、酸化剤である空気を流通させる空気供給路3の形状を模式的に示す図であって、図3(a)は燃料電池用双極板1に形成された空気供給路3の正面図であり、図3(b)は側面図である。空気供給路3は、MEA8に供給する酸化剤(空気)をガス拡散層(GDL)7に沿って分配するためのものであり、燃料電池用双極板1の他方の面、すなわちカソード(空気極)2側に形成されている。図3に示す空気供給路3は、互いに平行な溝3aとリブ11bとによって構成されているが、これに限定されない。
この発明における空気供給路3は、その両端部がDMFC14の外部に対して、すなわちDMFC14の周囲の大気に対して直接開口するようになっている。そのため、空気供給路3の一方の端部から他方の端部に向けて空気流が生じるようになっている。また、空気供給路3は前述したように互いに平行な溝3aとリブ11bとによって構成されている。この空気供給路3はMEA8のカソード(空気極)2側に開口するようになっており、酸化剤(空気)が、より具体的には空気中に含まれる酸素がガス拡散層(GDL)7を介してMEA8に供給されるようになっている。リブ11bは、その端部の角が丸められた直線形状あるいは、適宜の流線型状に形成してもよい。
空気供給路3における溝3aは、前述した燃料供給路5の場合と同様に、例えばU字形状あるいは半円形状に形成することが好ましい。すなわち、空気供給路3の角部をなくすことによって、酸化剤(空気)の流れを円滑(スムーズ)にすることができる。また、空気供給路3におけるリブ11bあるいは溝3aの端部の角についても、前述した燃料供給路5と同様に、いわゆる淀みを低減させるために滑らかにすることが好ましい。
空気供給路3におけるリブ11bの幅は、その幅を狭くするほど、酸化剤(空気)を流通させる溝幅を大きくすることができるから、いわゆる反応アクセス領域を大きくすることができる。また、それによってガス拡散層(GDL)7に対する酸化剤(空気)の流れをよくすることができるので、その結果としてDMFC14の発電性能を向上させることができる。一般的には、前述した燃料供給路5の場合と同様に、空気供給路3におけるリブ11bの幅と酸化剤(空気)を流通させる溝幅との比率は1:1あるいは1:1.5から1:3である。
ところで、この発明に係る燃料電池用双極板1は繊維強化プラスチックによって構成されている。そのため、空気供給路3が形成される燃料電池用双極板1の強度が高いことによりリブ11b幅を1mm以下の極めて小さい幅とすることができる。従来では、溝幅は0.5〜5mmであり、リブ11b幅は0.2〜3mmになるように構成されている。
また、酸化剤(空気)を流通させる溝3aの深さは、空気流およびDMFCスタックの冷却に影響をおよぼす重要な要因である。すなわち、溝深さが深い場合には、空気流の流れをよくすることができ、DMFC14の発電に伴って発生した熱を放熱しやすくすることができる。しかしながら、溝深さが深すぎるとDMFCスタックのサイズが大きくなる虞がある。そのため、従来では、溝深さは0.5〜2mmになるように構成されている。
さらにまた、前述した燃料供給路5における入口部10と出口部12との間および入口部10と出口部12とは反対側の両端部に相当する位置に、燃料電池用双極板1と前述した単位セルとを連結(積層)するための留め部13が形成されている。
以下に記す実施例では、縦80.9mm、横55mmの燃料電池用双極板1に、リブ11b幅1.2mm、酸化剤(空気)を流通させる溝幅2.0mm、溝深さ0.25mm、空気供給路3の長さが55.0mm(MEA8に対応する長さ42.0mm)になるように空気供給路3を構成したものを用いた。留め部13の直径は4.7mmになるように構成した。
図4は、DMFCスタックを積層させる場合におけるエンドプレートを模式的に示す図であって、そのエンドプレート15は積層されるDMFCスタックを挟み込むためのものである。図4(a)はカソード(空気極)2側のエンドプレート15aを模式的に示す側面図であり、図4(b)はアノード(燃料極)4側のエンドプレート15bを模式的に示す側面図である。図4(a)において、カソード(空気極)2側のエンドプレート15aは、例えば前述した繊維強化プラスチックなどの任意の素材によって構成されており、その一方の面に酸化剤(空気)を流通させる空気供給路3が形成されている。
また、その空気供給路3の表面にはアノード(燃料極)4において発生した電子がカソード(空気極)2に電位差によって流れるように、前述した金属メッシュあるいは金属製多孔質材から構成される導電性材料が被覆され、集電部6が構成されている。
さらにまた、エンドプレート15aには、ガスケット9が配置されている。ガスケット9は、例えば前述したように弾力性および強度を有する圧縮性の高分子素材から構成されている。また、エンドプレート15aには積層された燃料電池用双極板1と単位セルとを挟み込んで、あるいは連結(積層)して固定するための連結固定部16aが形成されている。
DMFC14は、その発電にともなって水および二酸化炭素が発生する。また、MEA8に供給される液体メタノールの全てが発電反応に使用されることはほとんどないため、不可避的に未反応の液体メタノール(いわゆるオフメタノール)が生じる。そのため、カソード(空気極)2側のエンドプレート15aには、エンドプレート15aを連通して外部に対して、すなわちDMFC14の周囲の大気に対して開口する排出口17が設けられており、その排出口から前述した水および二酸化炭素ならびにオフメタノールが排出されるようになっている。なお、図4(a)に示す構成例では、水および二酸化炭素ならびにオフメタノールがDMFC14から直接大気中に排出されるように構成された例を示してあるが、これに限定されず、例えば燃料タンクあるいは予備タンクに戻すあるいは貯留するように構成してもよい。
図4(b)において、アノード(燃料極)4側のエンドプレート15bは、例えば前述した繊維強化プラスチックなどの任意の素材によって構成されており、その一方の面に燃料(液体メタノール)を流通させる燃料供給路5が形成されている。
また、その燃料供給路5の表面にはアノード(燃料極)4において発生した電子がカソード(空気極)2に電位差によって流れるように、前述した金属メッシュあるいは金属製多孔質材から構成される導電性材料が被覆され、集電部6が構成されている。
アノード(燃料極)4側のエンドプレート15bに形成された燃料供給路5を囲うように、ガスケット9が配置されている。ガスケット9は、例えば前述したように弾力性および強度を有する圧縮性の高分子素材から構成されている。また、カソード(空気極)2側のエンドプレート15aに形成された連結固定部16aに対応する位置に、積層された燃料電池用双極板1と単位セルとを挟み込んで、あるいは連結(積層)して固定するためのアノード(燃料極)4側の連結固定部16bが形成されている。
また、アノード(燃料極)4側のエンドプレート15bには、図示しない燃料タンクに貯留された液体メタノールを積層されたDMFCスタック(各単位セル)に供給するための供給口18が設けられている。この供給口18は、この発明に係る燃料電池用双極板1の入口部10に連通されている。
図5は、膜・電極接合体(MEA)モジュール(単位セル)の構成を模式的に示す図である。MEA8は電解質膜19およびアノード電極(陰極)4ならびにカソード電極(陽極)2を含み、DMFCスタックのもっとも重要な部材の一つであって、電気化学的反応(DMFC14における発電反応)が生じる部分である。MEA8の電解質膜19には、パーフルオロスルホン酸系高分子膜であるNafion(登録商標)が最も多く用いられている。なお、MEA8の電解質膜19には、ガラス転移点が高いポリベンゾイミダゾール(PBI)を用いてもよい。
この電解質膜19を挟み込むようにアノードおよびカソードのそれぞれに触媒層が形成されている(図示せず)。アノードにおける触媒層には、白金(Pt)/ルテニウム(Ru)の混合物が用いられており、カソードにおける触媒層には、白金(Pt)が用いられている。
また、電解質膜19を挟み込む触媒層を更に挟み込むようにガス拡散層(GDL)7が形成されている。このガス拡散層(GDL)7は、カーボンシートあるいは紙によって構成されており、このガス拡散層(GDL)7上に前述した触媒を被覆させることができる。また、電解質膜19に直接触媒をコーティングしてもよい。アノード4およびカソード2の各ガス拡散層(GDL)7は、電解質膜19にホットプレス成形によって連結されている。
さらにまた、MEA8と一体化されたガス拡散層(GDL)7を囲うようにガスケット9が配置されている。ガスケット9は、例えば前述したように弾力性および強度を有する圧縮性の高分子素材から構成されている。
図6は、この発明に係る燃料電池用双極板1を用いたDMFCの構成を模式的に示す図である。図6において、MEAモジュール20とこの発明に係る燃料電池用双極板1とがアノード(燃料極)4側エンドプレート15bおよびカソード(空気極)2側エンドプレート15aに挟み込まれて交互に積層されるように構成されている。ここで、各エンドプレート15a,15bには連結固定部16a,16bが形成されているから、この連結固定部16a,16bに例えばボルト16cなどの締結部材が通されて、ナットなどによって締め付けられて積層されたDMFCスタックが連結固定されるように構成されている。なお、締結部材には、ボルトやナットなどの他、リベットなどを用いてもよい。要は積層されたDMFCスタックを固定できる部材であればよい。
図6に示す構成例では、積層されるDMFCスタックは、アノード(燃料極)4側エンドプレート15bから、すなわち図6において下側から、MEAモジュール20、燃料電池用双極板1、MEAモジュール20、カソード(空気極)2側エンドプレート15aの順に積層されている。
MEAモジュール20は、アノード(燃料極)4側エンドプレート15bに対向する面にアノード4が配置され、MEA8を挟んで反対側にカソード2が配置されるようになっている。また、燃料電池用双極板1は、アノード(燃料極)4側のエンドプレート15b側、すなわちMEAモジュール20のカソード2に対向する面に空気供給路3が配置され、これとは反対側に燃料供給路5が配置されるようになっている。
積層されたDMFCスタックの一方の側面には、MEAモジュール20に酸化剤である空気(酸素)を供給するためのファン21が設けられている。このファン21はMEAモジュール20において燃料である液体メタノールを酸化させる場合に要求される酸素(酸化剤)を供給するためのものであり、DMFC14の発電特性に応じて任意の大きさ、形状のものを用いることができる。ファン21によって送風された空気(酸素)は、外部に対して開口して形成された空気供給路3の端部から導入されて、MEAモジュール20のカソードに供給される。
図7は、前述したように構成されたDMFC14の発電特性を模式的に示す図であって、DMFC14はMEAモジュール20(単位セル)を六個積層させて構成した。燃料には、純水で希釈した5%メタノール水溶液を用い、燃料の供給量は25mL/minとした。横軸はDMFC14の単位面積あたりの電流密度(A/cm2)を示しており、縦軸は発電電圧(V)を示している。また、右肩上がりの実線Laは、前述のように構成されたDMFC14の発電電力(W)を示しており、右肩下がりの実線Lbは、DMFC14の発電電圧(V)を示している。なお、発電にともなうDMFC14の発電は56〜63℃であった。図7によれば、実用に耐え得る発電特性を得ることができた。
図8は、前述したようにMEAモジュール20(単位セル)が十六個積層させて構成されたDMFC14の発電特性を模式的に示す図であって、燃料には、純水で希釈した5%メタノール水溶液を用い、燃料の供給量は25mL/minとした。横軸はDMFC14の発電電流(A)を示しており、縦軸は発電電圧(V)を示している。また、右肩上がりの実線Lcは、前述のように構成されたDMFC14の発電電力(W)を示しており、右肩下がり実線Ldは、DMFC14の発電電圧(V)を示している。なお、発電にともなうDMFC14の発電は40〜45℃であった。図8によれば、実用に耐え得る発電特性を得ることができた。
したがって、この発明によれば、繊維強化プラスチックを用いることによって、薄くて軽量かつ高強度な燃料電池用双極板1を得ることができる。そのため、従来のバイポーラプレート(燃料電池用双極板)を用いたDMFCと比較して、小型化を図ることができる。