JP6175028B2 - ボイラの灰付着抑制方法、およびボイラの灰付着抑制装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固体燃料を燃料とするボイラの灰付着抑制方法、および灰付着抑制装置に関する。
固体燃料を燃料とするボイラでは、スラッギング、ファウリングといった灰付着の問題がある。灰付着を抑制するための方法としては、例えば、特許文献1、2に記載の方法がある。
特許文献1に記載の方法は次の通りである。固体燃料の灰成分の組成、燃焼(炉内)の雰囲気温度、および雰囲気ガス組成に基づいて、固体燃料がスラグになる割合を示すスラグ割合を算出または測定により求める。そして、スラグ割合が基準値以下になるように(例えば、スラグ割合が50〜60重量%になるように)複数種類の固体燃料の混合比率を決定し、その混合比率で複数種類の固体燃料を混合してボイラに供給する。
特許文献2に記載の方法は次の通りである。固体燃料の灰成分の組成における鉄成分含有率、ならびに、固体燃料の灰成分の組成、燃焼(炉内)の雰囲気温度、および雰囲気ガス組成に基づいて算出または測定により求めたスラグ割合に基づいて、クリンカ灰の大塊の発生が少なくなる条件となるように(例えば、Fe23の含有率が6%以下になり、且つスラグ割合が40〜50重量%以下になるように)、単種類の固体燃料を選択し、または複数種類の固体燃料の混合比率を決定する。そして、選択した単種類の固体燃料、または決定した混合比率に基づいて混合した複数種類の固体燃料をボイラに供給する。
特許第5342355号公報 特許第5374453号公報
特許文献1に記載の灰付着抑制方法、および特許文献2に記載の灰付着抑制方法のいずれの方法においても、ボイラでの灰付着を精度良く予測して、ボイラでの灰付着を抑制することができる。
しかしながら、固体燃料の一つである例えば石炭には様々な種類の石炭があり、且つその組成も様々である。そのため、石炭銘柄、その組成によっては、特許文献1または2に記載の方法であっても、ボイラでの灰付着を精度良く予測して、ボイラでの灰付着を抑制することができない場合があり得る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、特許文献1、2に記載の灰付着抑制方法をさらに進歩させること、すなわち、ボイラでの灰付着をより精度良く予測して、ボイラでの灰付着を従来よりもより抑制することができる方法を提供することである。
本発明は、固体燃料を燃料とするボイラの灰付着抑制方法である。単種類または複数種類の固体燃料の灰成分中の、有機分から独立しているExcluded粒子の割合を求めるとともに、前記Excluded粒子中のスラグになる成分の割合を示すExcluded粒子スラグ割合を算出する。算出した前記Excluded粒子スラグ割合と、灰成分中の前記Excluded粒子の割合との積が基準値以下となるように、前記単種類の固体燃料を選択し、または前記複数種類の固体燃料の混合比率を決定する。選択した前記単種類の固体燃料、または決定した前記混合比率に基づいて混合した前記複数種類の固体燃料を、燃料としてボイラに供給する。
本発明によれば、ボイラでの灰付着をより精度良く予測して、ボイラでの灰付着を従来よりもより抑制することができる。
Excluded粒子を示すための走査型電子顕微鏡で撮影した微粉炭の写真である。 Included粒子を示すための走査型電子顕微鏡で撮影した微粉炭の写真である。 各石炭の灰成分中のIncluded粒子とExcluded粒子との存在割合を示すグラフである。 各石炭の灰成分中のExcluded粒子のスラグ割合を示すグラフである。 Excluded粒子のスラグ割合と灰成分中のExcluded粒子の割合との積を縦軸に、温度を横軸にとって示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る灰付着抑制装置を備えるボイラ設備を示すブロック図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。以下では、ボイラに供給する固体燃料として石炭を例にとって記載しているが、石炭だけでなく、汚泥炭化物、各種のバイオマス燃料をボイラに供給する固体燃料として用いることができる。
(Included粒子、およびExcluded粒子について)
まず、図1および図2を参照しつつ、石炭中に含まれるIncluded粒子、およびExcluded粒子について説明する。
石炭中には、SiO2、Al23、CaO、MgO、Fe23などの無機分(無機物質、灰成分)が含まれている。これらの無機分(灰成分)は、Included粒子とExcluded粒子とに大別される。Included粒子とは、有機分(有機物質)に内包されている無機分(灰成分)のことをいう。Excluded粒子とは、有機分から独立している(分離している)無機分(灰成分)のことをいう。図1に、Excluded粒子を示し、図2に、Included粒子を示している。図1、図2の中の白い粒子が無機分(灰成分)である。図1中の矢印で示す無機分(灰成分)が、Excluded粒子である。図2中の矢印で示す無機分(灰成分)が、Included粒子である。図2からわかるように、有機分(有機物質)に内包されている無機分(灰成分)であるIncluded粒子は、霜降りのような状態となっている。
ここで、Included粒子は、その外側に有機分が存在するため、石炭が燃焼する際、Included粒子の外側の有機分が、Included粒子よりも先に熱を受けて燃焼反応を起こす。一方、Excluded粒子は、石炭内で分離・独立しているため、Included粒子よりも先に熱を受けやすい。そのため、Excluded粒子は、Included粒子よりも溶けやすい。そのため、Included粒子とExcluded粒子との間には、溶融することに時差が存在する(Excluded粒子は、Included粒子よりも先に溶けはじめる)。
ボイラでの灰付着は、溶融した灰成分(スラグ)が固化して堆積したり、溶融した灰成分(スラグ)に固体の灰成分が付着するなどして生じる。前記したように、Excluded粒子は、Included粒子よりも溶けやすい。そのため、ボイラで灰が付着し易いか否かは、石炭中の灰成分のうちのExcluded粒子が支配的であると考えられる。
Included粒子とExcluded粒子とに灰成分を分類する(区別する)方法を記載しておく。Included粒子とExcluded粒子とに灰成分を分類する(区別する)方法には、CCSEM(Computer Controlled Scanning Electron Microscopy)分析という方法がある。CCSEM分析とは、SEM(走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope))画像上の粒子群を画像処理によって個別粒子として認識させ、それぞれの粒子のEDS(エネルギー分散型X線分析(Energy Dispersive x-ray Spectroscopy)による元素分析を自動的に行なわせ、数千個レベルで個々の粒子に関するデータを取得する分析のことである。このCCSEM分析により、石炭有機物に鉱物粒子が囲まれているIncludedと、石炭有機物から分離・独立しているExcluded粒子とに灰成分を分類することができる。
(Excluded粒子に関する検討)
前記したように、本件発明者らは、ボイラで灰が付着し易いか否かは、石炭中の灰成分のうちのExcluded粒子が支配的であると考えた。
そこで、組成が異なる3種の石炭1,2,3を用いて、ボイラでの灰付着についてのExcluded粒子の影響を調査した。図3は、これら3種の石炭1,2,3の灰成分中のIncluded粒子とExcluded粒子との存在割合を示すグラフである。Included粒子とExcluded粒子との灰成分中における存在割合の特定は、CCSEM分析により行った。
図3に示すように、石炭1の灰成分中におけるIncluded粒子とExcluded粒子との存在割合は、Included粒子が64.2%、Excluded粒子が35.8%であった。石炭2については、Included粒子が73.0%、Excluded粒子が27.0%であった。また、石炭3については、Included粒子が66.0%、Excluded粒子が34.0%であった。
なお、石炭1、石炭2、および石炭3のそれぞれの灰の融点は、それぞれ、1545℃、1565℃、および1345℃である。石炭1の融点≒石炭2の融点>石炭3の融点という関係がある。
石炭1と石炭2とを比較するに、それぞれの融点はほぼ同じ値である。一方、灰成分中におけるExcluded粒子の存在割合は、石炭1が35.8%、石炭2が27.0%というように、石炭1の方が大きい。
<ボイラでの燃焼結果>
石炭1の融点と石炭2の融点とは前記したようにほぼ同じ値である。しかしながら、石炭1を燃料として用いてボイラで燃焼させたところ、灰付着の問題が発生した。一方、石炭2を燃料として用いてボイラで燃焼させたら、灰付着の問題は発生しなかった。すなわち、石炭1の融点と石炭2の融点とがほぼ同じ値であるのにもかかわらず、石炭1を燃焼させると灰付着の問題が発生し、一方で、石炭2を燃焼させると灰付着の問題が発生しなかった。
<Excluded粒子について>
図4は、各石炭1,2,3の灰成分中のExcluded粒子(Excluded灰(Excluded無機分))のスラグ割合(Molten Slag Fraction of Excluded ash)を縦軸に、温度を横軸にとって示すグラフである。Excluded粒子(Excluded灰)のスラグ割合とは、Excluded粒子(Excluded灰)全体に対する、Excluded粒子(Excluded灰)のスラグになる成分の割合のことである。
各石炭1,2,3(微粉炭)をそれぞれCCSEM分析し、Included粒子とExcluded粒子とを特定して、各石炭1,2,3の灰成分中のExcluded粒子の存在割合を算出する。また、Excluded粒子の組成を分析する。そして、得られたExcluded粒子の組成分析値を用いて熱力学平衡計算を実施することにより、各石炭1,2,3のExcluded粒子のスラグ割合(単位は重量%)を算出した。得られた結果を示すのが図4のグラフである。1000℃〜2000℃の範囲でExcluded粒子のスラグ割合を算出した。
なお、Excluded粒子のスラグ割合の算出に当たり、ガス雰囲気の条件は、0.1%O2、8.2%CO、12.3%CO2、1.5%H2、70.6%N2、7.4%H2O、という還元性の強い還元雰囲気とした(後述する図5に示すグラフにおいても同様)。この条件は、一般的な瀝青炭を空気比0.8付近で燃焼させた場合のガス組成であり、二段燃焼を行っている場合のバーナ近傍のガス雰囲気を模擬した条件である。なお、ガス雰囲気が還元雰囲気である場合、灰の融液は生成しやすい。換言すれば、スラグ割合は大きくなりやすい。
図4に示すように、各温度におけるExcluded粒子のスラグ割合を結んだ線は、石炭1,2,3同士においていずれも同様の傾向を示すものであった。この結果より、Excluded粒子の溶融性は、石炭1,2,3のそれぞれのExcluded粒子でほぼ同じであることがわかった。Excluded粒子の溶融性が各石炭1,2,3で同じであるということは、石炭中のExcluded粒子が多ければ多いほど、その石炭は溶けやすいということである。なお、石炭が溶けやすいということは、ボイラで灰が付着し易いということである。
(石炭銘柄の選定、または複数種類の石炭の混合比率決定のための判定式)
以上説明したように、本件発明者らは、ボイラで灰が付着し易いか否かは、石炭中の灰成分のうちのExcluded粒子が支配的であることを究明した。次に、Excluded粒子という因子の、ボイラの灰付着抑制への適用のし方を記載する。
ボイラの灰付着抑制には、例えば次の(A)式で示す判定式を満たすように、石炭銘柄を選定し、または複数種類の石炭の混合比率を決定し、選定した石炭銘柄の石炭、または決定した混合比率に基づいて混合した複数種類の石炭を、燃料としてボイラに供給すればよい。
MSE[%]≦0.038×T[℃]−32.6 ・・・(A)
MSE[%]:T[℃]におけるExcluded粒子スラグ割合[重量%]×灰成分中のExcluded粒子の割合
T[℃]:温度
ここで、灰成分中のExcluded粒子の割合は、重量割合(重量比)である。
図5は、Excluded粒子のスラグ割合と灰成分中のExcluded粒子の割合との積を縦軸に、温度を横軸にとって示すグラフである。グラフ中に(A)で示すのが、上記(A)式である。
図5中の実線は、図3に示した石炭2の計算結果であり、図5中の二点鎖線は、図3に示した石炭1と石炭2とを、60重量%、40重量%の割合で混合してなる石炭の計算結果である。石炭2は、前記したように、ボイラで灰付着の問題が生じなかった石炭燃料である。一方、石炭1と石炭2とを、60重量%、40重量%の割合で混合してなる石炭は、ボイラでの燃焼で灰付着の問題が生じた石炭燃料である。
ここで、バーナ近傍領域の雰囲気温度である少なくとも1200℃〜1700℃の温度範囲全てにおいて上記(A)式が満たされるように、石炭銘柄を選定し、または複数種類の石炭の混合比率を決定することが好ましい。バーナ近傍領域は、ボイラ壁への灰付着が顕著に発生する領域だからである。なお、1200℃〜1500℃の温度範囲は、スラッギング領域とも呼ばれる。少なくとも当該領域において、灰付着を回避できる石炭銘柄を選定すること、または複数種類の石炭の混合比率を決定すること((A)式を満たすようにすること)が好ましい。
(灰付着抑制装置、および灰付着の抑制方法)
図6を参照しつつ本発明の一実施形態に係るボイラの灰付着抑制装置について説明しながら、灰付着の抑制方法についても記載する。
<灰付着抑制装置>
ボイラ設備100は、ボイラ7と、ホッパ1,2と、燃料供給量調整装置3と、混合機4と、粉砕機5と、2つのバーナ6と、演算装置9とを備えている。本発明の一実施形態に係るボイラの灰付着抑制装置は、演算装置9と、燃料供給量調整装置3とで構成される。本実施形態では、固体燃料として2種類の石炭を用いるので、計2つのホッパ1,2としているが、3種類以上の石炭を用いる場合は、石炭の種類と同じ数のホッパが設置される。
ホッパ1,2は、灰成分の性状が異なる2種類の石炭をそれぞれ貯留しておく容器である。燃料供給量調整装置3は、演算装置9で決定された2種類の石炭の混合比率に基づいて、ホッパ1,2からの石炭の切り出し量を調整する(ボイラ7への2種類の石炭の供給量を調整する)調整装置である。混合機4は、燃料供給量調整装置3で切り出された石炭を混合する機械である。粉砕機5は、混合機4で混合されたあとの石炭を粉砕して微粉炭とする機械である。バーナ6は、空気と共に吹き込まれた微粉炭を燃焼するものである。ボイラ7は、微粉炭を燃焼させて熱を回収するものである。なお、ボイラ7は、供給された燃料をバーナ6などで燃焼させることで熱を発生させる火炉と、火炉の上方からその下流にわたって配置され、内部に燃焼ガスを流動して熱交換を行う伝熱管群とを備えており、ボイラ7から出た燃焼ガスは煙突から排出されるようになっている。
(A)式を含む各種のデータ8が演算装置9に入力されている。演算装置9は、Excluded粒子のスラグ割合と、灰成分中のExcluded粒子の割合との積が基準値以下となるように、具体的には、例えば1200℃〜1700℃の温度範囲全てにおいて(A)式を満たすように2種類の石炭の混合比率を決定する装置である。なお、1200℃〜1700℃の温度範囲よりも広い温度範囲で(A)式が満たされるようにしてもよいし、1200℃〜1700℃の温度範囲よりも狭い温度範囲で(A)式が満たされるようにしてもよい。
なお、灰成分中のExcluded粒子の割合は、CCSEM分析などを用いて予め求めておく。Excluded粒子のスラグ割合は、Excluded粒子の組成分析値に基づいて熱力学平衡計算などにより予め算出しておく。
使用する予定の石炭が単種類の石炭の場合には、Excluded粒子のスラグ割合と、灰成分中のExcluded粒子の割合との積が基準値以下となるように、具体的には、例えば1200℃〜1700℃の温度範囲全てにおいて(A)式を満たすように、演算装置9にて石炭を選択する。(A)式を満たせば、固体燃料としてその石炭を選択する(用いる)ことになるし、(A)式を満たさなければ、その石炭は用いられないことになる。
<灰付着の抑制方法>
単種類または複数種類の石炭の灰成分中の、有機分から独立しているExcluded粒子の割合をCCSEM分析などを用いて求めるとともに、Excluded粒子中のスラグになる成分の割合を示すExcluded粒子スラグ割合を熱力学平衡計算などにより算出する(ステップ1)。このステップ1は、ボイラ設備100を運転する前に人が予め行っておくステップである。
算出したExcluded粒子スラグ割合と、灰成分中のExcluded粒子の割合との積が基準値以下となるように、単種類の石炭を選択し、または複数種類の石炭の混合比率を決定する(ステップ2)。具体的には、例えば、1200℃〜1700℃において前記した(A)式を満たすように、単種類の石炭を選択し、または複数種類の石炭の混合比率を決定する。このステップ2は、人が行う場合もあるし、演算装置9にて自動で行う場合もある。
その後、単種類の石炭を使用する場合には、選択した単種類の石炭のボイラ7への供給量を燃料供給量調整装置3にて調製し、粉砕機5にて石炭を微粉状にした後、ボイラ7へ石炭を供給する。複数種類の石炭を使用する場合には、決定した混合比率に基づいて複数種類の石炭のボイラ7への供給量を燃料供給量調整装置3にて調整し、混合機4にて混合し、混合された石炭を粉砕機5にて微粉状にした後、ボイラ7へ石炭を供給する(ステップ3)。
(作用・効果)
前記したように、本件発明者らは、ボイラ7で灰が付着し易いか否かは、石炭中の灰成分のうちのExcluded粒子が支配的であることを究明した。従来は、ボイラ7での灰付着予測に関し、Included粒子とExcluded粒子とを区別した予測はされていなかった。そして、この新規な知見のもと、本発明では、Excluded粒子のスラグ割合と、灰成分中のExcluded粒子の割合との積が基準値以下となるように、単種類の固体燃料を選択し、または複数種類の固体燃料の混合比率を決定する。そして、選択した単種類の固体燃料、または決定した混合比率に基づいて混合した複数種類の固体燃料を、燃料としてボイラに供給する。これにより、本発明によると、ボイラ7での灰付着を従来よりもより精度良く予測して、ボイラでの灰付着を従来よりもより抑制することができる。
ここで、Excluded粒子のスラグ割合を、Excluded粒子の組成分析値に基づいて熱力学平衡計算により算出することが好ましい。この構成によると、Excluded粒子のスラグ割合をより正確に求めることができる。
また、1200℃〜1700℃において前記した(A)式を満たすように、単種類の固体燃料を選択し、または複数種類の固体燃料の混合比率を決定することが好ましい。
1200℃〜1700℃の温度は、バーナ近傍領域の雰囲気温度である。このバーナ近傍領域は、ボイラ壁への灰付着が顕著に発生する領域である。よって、少なくとも当該領域において(A)式を満たすようにすることで、ボイラでの灰付着を従来よりもより抑制することができる。
また、前記したように、この(A)式を算出するにあたり適用したガス雰囲気の条件は、0.1%O2、8.2%CO、12.3%CO2、1.5%H2、70.6%N2、7.4%H2O、という還元性の強い還元雰囲気条件としている。ここで、ガス雰囲気が還元雰囲気である場合、ガス雰囲気が酸化雰囲気など還元雰囲気でない場合に比べて、灰の融液は生成しやすくなる。よって、ガス雰囲気が還元雰囲気である場合はもちろんのこと、ガス雰囲気が酸化雰囲気など還元雰囲気でない場合であっても、すなわち、ボイラでの燃焼におけるガス雰囲気がどのような条件であっても、還元雰囲気条件で算出した前記(A)式を満たせばボイラでの灰付着を抑制することができる。
1、2:ホッパ
3:燃料供給量調整装置
4:混合機
5:粉砕機
6:バーナ
7:ボイラ
8:データ
9:演算装置
100:ボイラ設備

Claims (5)

  1. 単種類または複数種類の固体燃料の灰成分中の、有機分から独立しているExcluded粒子の割合を求めるとともに、前記Excluded粒子中のスラグになる成分の割合を示すExcluded粒子スラグ割合を算出し、
    算出した前記Excluded粒子スラグ割合と、灰成分中の前記Excluded粒子の割合との積が基準値以下となるように、前記単種類の固体燃料を選択し、または前記複数種類の固体燃料の混合比率を決定し、
    選択した前記単種類の固体燃料、または決定した前記混合比率に基づいて混合した前記複数種類の固体燃料を、燃料としてボイラに供給することを特徴とする、ボイラの灰付着抑制方法。
  2. 請求項1に記載のボイラの灰付着抑制方法において、
    前記Excluded粒子スラグ割合を、前記Excluded粒子の組成分析値に基づいて熱力学平衡計算により算出することを特徴とする、ボイラの灰付着抑制方法。
  3. 請求項1または2に記載のボイラの灰付着抑制方法において、
    1200℃〜1700℃において下記の(A)式を満たすように、前記単種類の固体燃料を選択し、または前記複数種類の固体燃料の混合比率を決定することを特徴とする、ボイラの灰付着抑制方法。
    MSE[%]≦0.038×T[℃]−32.6 ・・・(A)
    MSE[%]:T[℃]におけるExcluded粒子スラグ割合[重量%]×灰成分中のExcluded粒子の割合
    T[℃]:温度
  4. 単種類または複数種類の固体燃料の灰成分中の、有機分から独立しているExcluded粒子の割合と、前記Excluded粒子中のスラグになる成分の割合を示すExcluded粒子スラグ割合との積が基準値以下となるように、前記単種類の固体燃料を選択し、または前記複数種類の固体燃料の混合比率を決定する演算装置と、
    前記演算装置で選択された前記単種類の固体燃料のボイラへの供給量を調整する、または前記演算装置で決定された前記混合比率に基づいて前記複数種類の固体燃料のボイラへの供給量を調整する燃料供給量調整装置と、
    を備えることを特徴とする、ボイラの灰付着抑制装置。
  5. 請求項4に記載のボイラの灰付着抑制装置において、
    前記演算装置は、1200℃〜1700℃において下記の(A)式を満たすように、前記単種類の固体燃料を選択し、または前記複数種類の固体燃料の混合比率を決定することを特徴とする、ボイラの灰付着抑制装置。
    MSE[%]≦0.038×T[℃]−32.6 ・・・(A)
    MSE[%]:T[℃]におけるExcluded粒子スラグ割合[重量%]×灰成分中のExcluded粒子の割合
    T[℃]:温度
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