JP6171780B2 - 車両用歩行者保護装置 - Google Patents
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Description
歩行者は車両との衝突時にフード側に倒れ込む。フードと車両側との上下方向間隔を確保するためにフードの前側を持ち上げる場合、フードと歩行者の大腿部や腰部との接触によりフード持ち上げに大きな力が必要となり、歩行者の頭部がフードに衝突するまでにフードが所定の位置まで持ち上がらないことが考えられる。
歩行者との実際の衝突を検知する歩行者衝突検知センサ(24)と、
前側ポップアップアクチュエータと前側ポップアップアクチュエータより遅れて作動開始される後側ポップアップアクチュエータとを含むポップアップフード(以下、「PUH」ともいう)装置(60)と、
衝突判断ECU(20)と、
ブレーキECU(30)と、
衝突判断ECU(20)とブレーキECU(30)とを含む1つ以上のECUに格納された制御ルーチンと、
を備える。
制御ルーチンは、
時点T1で衝突物(P)との衝突が不可避か否かを判断する手段(104)と、
手段(104)で衝突物(P)との衝突が不可避と判断された時に、(i)時点T1以後の時点T2で自動ブレーキ(32)のフルブレーキでの減速を開始し、(ii)フルブレーキの減速完了時点T7がフードの上昇完了時点T6以後となるようにフルブレーキの1速継続時間Tfを設定する手段(116)と、
時点T2以後の時点T3で、演算上で衝突物(P)との衝突が起こったか否かを判断する手段(118)と、
手段(118)で衝突物(P)との演算上での衝突が起こったと判断された時に、時点T3以後の時点T4で歩行者衝突検知センサ(24)がONになっているか否かを判断する手段(122)と、
手段(122)で歩行者衝突検知センサ(24)がONになっていると判断された時に、順に実行される、時点T4以後の時点T5でポップアップフード装置(60)の前側ポップアップアクチュエータを作動開始させついで後側ポップアップアクチュエータを作動開始させる手段(124)、フード持ち上げ完了手段(126)、フルブレーキ減速完了手段(128)と、
を備えている。
衝突判断ECU(20)は、
(イ)衝突物検知センサ(22)の検知情報に基づいて、衝突物(P)との衝突が不可避か否か(104)、衝突物(P)が歩行者か否か(108)、および演算上衝突が起こったか否か(118)、を判断し、演算上衝突が起こらなかった時にはフルブレーキを解除し(120)、
(ロ)演算上衝突が起こった時には歩行者衝突検知センサ(24)の検知情報に基づいて歩行者との実際の衝突が起こったか否かを判断し(122)、歩行者との実際の衝突が起こったと判断した時にPUH装置(60)にフード(12)の上昇を指示する。
サスペンションECU(40)は、衝突判断ECU(20)が衝突物(P)が歩行者であると判断した時にサスペンション(42)の減衰力を小さくするように設定されている。
プリクラッシュシートベルト制御ECU(50)は、衝突物検知センサ(22)が衝突物(P)を検知した時にプリクラッシュシートベルト(52)の引込みを行うように設定されている。
前側PUHアクチュエータ(62)の作動開始後に後側PUHアクチュエータ(64)が作動開始するように前側PUHアクチュエータ(62)と後側PUHアクチュエータ(64)の作動開始順序が設定されている。
まず、構成を説明する。
車両用歩行者保護装置10は、図3および図4に示すように、衝突判断ECU20と、自動ブレーキ(ブレーキ装置、その油圧回路、油圧回路に設けられた制御手段を含む、以下、単に「ブレーキ」ともいう)32の自動ブレーキを制御可能なブレーキECU30と、歩行者衝突検知センサ24と、PUH装置60と、を備えている。ブレーキECU30は、VSC−ECUの一部から構成されてもよい。ここで、ECUはElectronic Control Unit (電子制御装置)の略であり、VSCはVehicle Stability Control System(車両安定性制御システム)の略である。
また、自動ブレーキ32は、ブレーキECU30の指示により自動ブレーキ32のアクチュエータを作動させて発生される制動力であり、ドライバによるブレーキペダルの操作に応じて実現される制動力ではないという意味で、「自動」ブレーキと称する。
各ECU20、30、40、50はマイクロコンピュータからなり、制御プログラムを記憶するROM、入力や演算結果を一時的に記憶するRAM、入力インターフェイス、出力インターフェイスを有する。各ECU20、30、40、50は、互いに双方向性通信手段(双方向性バスである場合を含む)によって、互いに接続されている。
衝突物検知センサ22と歩行者衝突検知センサ24の出力信号は、各ECU20、30、40、50の少なくとも1つ、たとえば衝突判断ECU20、に入力される。各ECU20、30、40、50の少なくとも1つ、たとえば衝突判断ECU20、からの出力信号は、自動ブレーキ32、減衰力可変サスペンション42、プリクラッシュシートベルト52、PUH装置60の少なくとも1つに出力されてその機器、装置の作動を制御する。
際の衝突ではない。
図6は、図1のステップ120の一例を示す。ただし、ステップ120は図6に示すものに限定されるものではない。図6では、ステップ120aで、フルブレーキによる減速開始からの減速時間Tbが適宜の時間、たとえばステップ116bで設定されたブレーキ減速継続時間Tf(=T7−T2)、を越えたか否かが判定される。越えていれば歩行者との衝突は回避されたと判断してステップ120bに進み、サスペンション減衰力を元の値に復帰させ、フルブレーキをOFFにし、フルブレーキ時間Tbをゼロにリセットする。ついで、次ステップ132へと進む。ステップ120aで時間Tbが適宜の時間、たとえばステップ116bで設定されたブレーキ減速継続時間Tfを越えていないと判断されれば、ステップ120aから、ステップ120bをスキップしてステップ130へ進む。ステップ120aを設けて減速解除を遅らせる理由は、ステップ116によるフルブレーキのONとステップ120によるフルブレーキのOFFが短時間の間に繰り返されるフルブレーキの作動振動が生じるのを避けるためである。
ステップ100で所定時間間隔ΔTで割り込まれて制御がスタートし、ステップ102でプリセンシング、衝突物検知が実行され、ステップ104で衝突不可避か否かが判定される。衝突が回避される場合はステップ132に進んでその割り込みは終了し、衝突不可避の場合はステップ106に進む。ステップ106では、キャリパ隙詰め、緩ブレーキ等の制動準備が行われる。ついで、ステップ108で衝突物Pが歩行者か否かが判定され、ステップ110、112でサスペンションの減衰力が制御され、ステップ114でシートベルトが引き込まれる。ついで、ステップ116で、フルブレーキがONとされる。ついで、ステップ118で演算による衝突が起こったか否かが判定され、起こっていないならステップ120で所定時間遅れてサスペンション減衰力、フルブレーキが元に復帰される。ステップ118で演算上衝突が起こったと判定されると、ステップ122に進む。
制御開始時点を時間ゼロとすると、微小時間遅れた時間T1で衝突不可避か否かが判定される。衝突不可避の場合は、フルブレーキ減速開始時点T2までに、制動準備、サスペンション減速力の最小設定、シートベルト引込みが完了される。時間T2より時間TfだけフルブレーキのONが継続され、減速中、車両はノーズダイブ(前傾)する。時間T2より時間Tf後、減速は完了しノーズダイブが完了する。減速の途中の時間T3で演算による衝突が判定される。
ブレーキECU30におけるフルブレーキの減速完了T7が、フード12の上昇完了T6以後となるように設定されているので、フルブレーキによるノーズダイブを利用して車両側を下げることができ、フードと衝突物との接触によりフードの上昇移動が困難でも、フードと車両側との間の上下方向隙間を確保でき、歩行者の頭部衝撃を緩和できる。
12 フード
20 衝突判断ECU
22 衝突物検知センサ
24 歩行者衝突検知センサ
30 ブレーキECU
32 自動ブレーキ(ブレーキ)
40 サスペンションECU
42 減衰力可変サスペンション
50 プリクラッシュシートベルト制御ECU
52 プリクラッシュシートベルト
60 ポップアップフード(PUH)装置
62 前側PUHアクチュエータ
64 後側PUHアクチュエータ
104 衝突不可避判断手段
108 歩行者判断手段
P 衝突物(歩行者)
Claims (6)
- 車両前方の衝突物を検知する衝突物検知センサ(22)と、
歩行者との実際の衝突を検知する歩行者衝突検知センサ(24)と、
前側ポップアップアクチュエータと前側ポップアップアクチュエータより遅れて作動開始される後側ポップアップアクチュエータとを含むポップアップフード装置(60)と、
衝突判断ECU(20)と、
ブレーキECU(30)と、
衝突判断ECU(20)とブレーキECU(30)とを含む1つ以上のECUに格納された制御ルーチンと、
を備えた車両用歩行者保護装置(10)であって、
前記制御ルーチンは、
時点T1で衝突物(P)との衝突が不可避か否かを判断する手段(104)と、
手段(104)で衝突物(P)との衝突が不可避と判断された時に、(i)時点T1以後の時点T2で自動ブレーキ(32)のフルブレーキでの減速を開始し、(ii)フルブレーキの減速完了時点T7がフードの上昇完了時点T6以後となるようにフルブレーキの減速継続時間Tfを設定する手段(116)と、
時点T2以後の時点T3で、演算上で衝突物(P)との衝突が起こったか否かを判断する手段(118)と、
手段(118)で衝突物(P)との演算上での衝突が起こったと判断された時に、時点T3以後の時点T4で歩行者衝突検知センサ(24)がONになっているか否かを判断する手段(122)と、
手段(122)で歩行者衝突検知センサ(24)がONになっていると判断された時に、順に実行される、時点T4以後の時点T5でポップアップフード装置(60)の前側ポップアップアクチュエータを作動開始させついで後側ポップアップアクチュエータを作動開始させる手段(124)、フード持ち上げ完了手段(126)、フルブレーキ減速完了手段(128)と、
を備えている、車両用歩行者保護装置(10)。 - 歩行者衝突検知センサ(24)は衝突物検知センサ(22)とは別センサであり、
衝突判断ECU(20)は、
(イ)衝突物検知センサ(22)の検知情報に基づいて、衝突物(P)との衝突が不可避か否か、衝突物(P)が歩行者か否か、および演算上衝突が起こったか否か、を判断し、
演算上衝突が起こらなかった時にはフルブレーキを解除し、
(ロ)演算上衝突が起こった時には歩行者衝突検知センサ(24)の検知情報に基づいて歩行者との実際の衝突が起こったか否かを判断し、歩行者との実際の衝突が起こったと判断した時にポップアップフード装置(60)にフードの上昇を指示する、請求項1記載の車両用歩行者保護装置(10)。 - ブレーキECU(30)は、衝突判断ECU(20)が衝突物との衝突が不可避と判断した時に自動ブレーキに制動準備を行わせるように設定されている請求項1または請求項2記載の車両用歩行者保護装置(10)。
- サスペンション減衰力を制御するサスペンションECU(40)を備え、
サスペンションECU(40)は、衝突判断ECU(20)が衝突物が歩行者であると判断した時にサスペンションの減衰力を小さくするように設定されている請求項1−請求項3の何れか1項に記載の車両用歩行者保護装置(10)。 - モータ作動のプリクラッシュシートベルト引込み動作を制御するプリクラッシュシートベルト制御ECU(50)を備え、
プリクラッシュシートベルト制御ECU(50)は、衝突物検知センサ(22)が衝突物(P)を検知した時にプリクラッシュシートベルトの引込みを行うように設定されている請求項1−請求項4の何れか1項に記載の車両用歩行者保護装置(10)。 - 前側ポップアップフードアクチュエータと後側ポップアップフードアクチュエータは前側ポップアップフードアクチュエータの作動開始後に後側ポップアップフードアクチュエータが作動開始するように作動順序が設定されている請求項1−請求項5の何れか1項に記載の車両用歩行者保護装置(10)。
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