JP6171255B2 - NOx選択還元触媒、その製造方法、及び、それを用いたNOx浄化方法 - Google Patents

NOx選択還元触媒、その製造方法、及び、それを用いたNOx浄化方法 Download PDF

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Description

本発明は、NOx選択還元触媒及びその製造方法並びにそれを用いたNOx浄化方法に関し、より詳しくは、窒素酸化物(NOx)をアンモニア(NH)又はアンモニアを生成可能な還元剤等で還元する際に用いられるNOx選択還元触媒及びその製造方法並びにそれを用いたNOx浄化方法に関する。
従来から、ディーゼルエンジン、燃料消費率の低い希薄燃焼式(リーンバーン)エンジン等の内燃機関から排出される排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化するために、アンモニア(NH)等の還元剤により排ガス中のNOxを選択的に還元して無害なN(窒素)とHO(水)に分解するNOx選択還元触媒(SCR触媒:Selective Catalytic Reduction catalysts)システムや、リーン雰囲気でNOxを触媒上の吸着材(BaやKなど)に吸蔵し短時間触媒を還元雰囲気に晒す(間欠的にリッチ雰囲気とする)ことで吸蔵されたNOxを放出して還元するNOx吸蔵還元触媒(吸蔵還元型NOx触媒、NSR触媒:NOx Storage Reduction catalysts)システムなどが開発され、希薄燃焼エンジン等からの排ガス中のNOx浄化に一部適用されているが、NOx浄化率や耐熱性、耐久性などにおいてまだ十分なものとはいえない。
そこで、近年、自動車、特に窒素酸化物の浄化が難しいディーゼル車の排ガス処理において、SCR触媒として活性金属を担持したゼオライト触媒を含有するNOx選択還元触媒が提案されている。
このようなSCR触媒は、NOxの還元反応(排気浄化反応)を促進するものであり、例えば次式に示すように、アンモニア(NH)などの還元剤の存在下でNOxを還元して窒素ガスに変換して排気中のNOxを浄化するものである。
2NO+2NH+1/2O→2N+3HO ・・・・(1)
NO+NO+2NH→2N+3H2O ・・・・(2)
このようなNOx選択還元触媒(SCR触媒)としては、例えば、特開2012−148272号公報(特許文献1)において、銅又は鉄等の金属を担持したゼオライトを含む窒素酸化物浄化用触媒であって、ゼオライトが骨格構造に少なくともケイ素原子、アルミニウム原子、及びリン原子を含み、該触媒に対する25℃、相対蒸気圧0.5における水の吸着量が0.05(kg−水/kg−触媒)以上、0.2(kg−水/kg−触媒)以下であることを特徴とする窒素酸化物浄化用触媒、及び更にアルミニウム、ケイ素、チタン、セリウム、ニオブ等の金属酸化物粒子や無機バインダーを含むことを特徴とする窒素酸化物浄化用触媒が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載のような従来の排ガス浄化用触媒は、400℃以上の高温でのNOx浄化性能の低下を抑制することが困難で、NOx浄化活性の点では必ずしも十分なものではなかった。
また、特表2010−524677号公報(特許文献2)において、ガス中の窒素酸化物を窒素に転化する方法であって、少なくとも一種の遷移金属を含むゼオライト触媒の存在下で、前記窒素酸化物を窒素系還元剤と接触させることを含んでなるものであり、前記ゼオライトが8個の四面体原子による最大環サイズを含む小細孔ゼオライトであり、かつ前記少なくとも一種の遷移金属が、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Re、Ir及びPtからなる群から選択されてなる方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載のような従来の方法では、400℃以上の高温でのNOx浄化性能の低下を抑制することが困難で、NOx浄化活性の点では必ずしも十分なものではなかった。
また、国際公開第2010/084930号公報(特許文献3)には、骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とを含むゼオライトに金属を担持した窒素酸化物浄化用触媒であって、透過型電子顕微鏡で観察したとき、触媒中の担持したCu又はFe等の金属が、直径0.5nmから20nmの粒子として担持されていることを特徴とする窒素酸化物浄化用触媒が開示されている。しかしながら、特許文献3に記載のような従来の窒素酸化物浄化用触媒では、400℃以上の高温でのNOx浄化性能の低下を抑制することが困難で、NOx浄化活性の点では必ずしも十分なものではなかった。
また、特表2011−510899号公報(特許文献4)において、CHA結晶構造を含みCuが装填されたCu−SAPO−34等の非沸石系分子篩、を含む触媒であって、前記触媒が、2〜2.5g/inの荷重にて400cpsiのセル密度を有するハニカム基板上に堆積され、80,000hr−1の空間速度で試験され、そこで、供給流が少なくとも80%のNOx転化率を提供する10%のO、5%のHO、500ppmのNO、および500ppmのNHの混合物を含む場合に、前記触媒が、200℃の排気流内における酸素の存在下において、アンモニアを用いて窒素酸化物を選択的に還元させるのに効率的である触媒、及び、前記Cu−SAPO−34を合成するための方法であって、中性の窒素含有の有機鋳型と、アルミナ源と、シリカ源と、リン源とをゲル混合物中で混合するステップと、前記ゲルを約200℃未満に少なくとも約12時間加熱して結晶性SAPO−34を生成するステップと、前記結晶性SAPO−34を濾過および洗浄するステップと、前記結晶性SAPO−34を焼成するステップと、前記結晶性SAPO−34を銅塩とイオン交換してCu−SAPO−34を得るステップと、を含む方法が開示されている。しかしながら、特許文献4に記載のような従来のアンモニア−SCR触媒では、400℃以上の高温でのNOx浄化性能の低下を抑制することが困難で、NOx浄化活性の点では必ずしも十分なものではなかった。
また、特表2012−522636号公報(特許文献5)において、ディーゼルエンジンまたは希薄燃焼ガソリンエンジンの排気流の排出処理システムであって、アンモニア生成成分と、前記アンモニア生成成分の下流に配置されたSCR触媒であって銅菱沸石(CuCHA)又は銅SAPO(CuSAPO)等のCHA結晶構造を有する分子篩を含むSCR触媒と、を備える排出処理システムが開示されている。しかしながら、特許文献5に記載のような従来の排出処理システムでは、400℃以上の高温でのNOx浄化性能の低下を抑制することが困難で、NOx浄化活性の点では必ずしも十分なものではなかった。
特開2012−148272号公報 特表2010−524677号公報 国際公開第2010/084930号公報 特表2011−510899号公報 特表2012−522636号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、400℃以上の高温度条件において高いNOx浄化活性を発揮することが可能なNOx選択還元触媒、その製造方法、及びそれを用いたNOx浄化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、骨格構造に少なくともアルミニウム(Al)原子、リン(P)原子及びケイ素(Si)原子を含む特定のゼオライトの細孔内及び細孔外に銅を担持すると共に、該ゼオライトの細孔外に特定の金属を所定量担持したNOx選択還元触媒とすることにより、得られるNOx選択還元触媒が400℃以上の高温度条件において高いNOx浄化活性を発揮することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のNOx選択還元触媒の製造方法は、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx選択還元触媒の製造方法であって、
骨格構造に少なくともアルミニウム(Al)原子、リン(P)原子及びケイ素(Si)原子を含むゼオライトを得る工程と、
該ゼオライトの細孔内及び細孔外に銅(Cu)を担持せしめてCu−ゼオライトを得る工程と、
該Cu−ゼオライトのゼオライトの細孔外にニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも一種の添加金属(M)を担持せしめることにより、骨格構造に少なくともアルミニウム(Al)原子、リン(P)原子及びケイ素(Si)原子を含むゼオライトと、該ゼオライトの細孔内及び細孔外に担持された銅(Cu)と、前記ゼオライトの細孔外に担持されたニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも一種の添加金属(M)とを含んでおり、前記銅の含有量が前記ゼオライトに含まれるケイ素原子の量に対してCu/Siモル比で0.1〜0.8の範囲にあり、かつ、前記添加金属の含有量が前記銅の量に対してM/Cuモル比で0.05〜3の範囲にあるNOx選択還元触媒を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
上記本発明のNOx選択還元触媒の製造方法においては、前記ゼオライトが、SAPO−34を含有するものであることが好ましい。
また、上記本発明のNOx選択還元触媒の製造方法においては、前記添加金属の平均粒子径が、10nm以下であることが好ましい。
なお、本発明によって上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。
すなわち、本発明者らは、先ず、上記目的を達成するために、銅を担持したシリカアルミノリン酸ゼオライトに関して検討を重ねたところ、特許文献1〜5に記載のような従来技術のSAPO−34等のシリカアルミノリン酸ゼオライト担体にCuを担持したSCR触媒においては、低温ではNOx浄化性能を有するものの、400℃以上の高温域においては、SAPO−34等のシリカアルミノリン酸ゼオライト担体のミクロ細孔の外側に担持されているCuO種上でNHとOの反応(式(3)及び(4))が進行するため、細孔内に効率よくNHを供給できなくなるものと推察している。
NH+O→N+HO ・・・・(3)
NH+O→NO+HO ・・・・(4)
そして、その結果、細孔内のCu種で進行するNHとNOxの選択還元反応(式(1)及び(2))が妨げられ、特に、400℃以上の高温域で十分なNOx浄化活性が得られなくなるものと推察している。
2NO+2NH+1/2O→2N+3HO ・・・・(1)
NO+NO+2NH→2N+3H2O ・・・・(2)
そして、このような考察結果に基づいて、本発明者らは検討を重ね、本発明者らは、骨格構造に少なくともアルミニウム(Al)原子、リン(P)原子及びケイ素(Si)原子を含む特定のゼオライトの細孔内及び細孔外に銅を担持すると共に、該ゼオライトの細孔外に特定の金属を所定量担持したNOx選択還元触媒とすることにより、得られるNOx選択還元触媒が400℃以上の高温度条件において高いNOx浄化活性を発揮することが可能となることを見出した。すなわち、本発明においては、添加金属(M)が細孔外に存在するCuO種と相互作用することにより、細孔外に存在するCuO種上でのNOxとOとの反応が抑制され、その結果、NHとNOxの選択還元反応が進行する細孔内のCu種へNHを効率よく供給することができ、400℃以上の高温域において高いNOx浄化活性が得られるものと推察している。
本発明によれば、400℃以上の高温度条件において高いNOx浄化活性を発揮することが可能なNOx選択還元触媒、その製造方法、及びそれを用いたNOx浄化方法を提供することが可能となる。
実施例1〜2、実施例4〜7及び比較例1で作製した触媒のXRDスペクトルを示すグラフである。 実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた触媒の定常NH酸化率(%)と添加金属(M)/Cuモル比との関係を示すグラフである。 実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた触媒の定常NO浄化率(%)と添加金属(M)/Cuモル比との関係を示すグラフである。 実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた触媒の過渡NO浄化量(μmol/g)と添加金属(M)/Cuモル比との関係を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[NOx選択還元触媒]
本発明のNOx選択還元触媒は、窒素酸化物(NOx)を還元剤により還元する際に使用されるNOx選択還元触媒であって、骨格構造に少なくともアルミニウム(Al)原子、リン(P)原子及びケイ素(Si)原子を含むゼオライトと、該ゼオライトの細孔内及び細孔外に担持された銅(Cu)と、前記ゼオライトの細孔外に担持されたニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも一種の添加金属(M)とを含んでおり、前記銅の含有量が前記ゼオライトに含まれるケイ素原子の量に対してCu/Siモル比で0.1〜0.8の範囲にあり、かつ、前記添加金属の含有量が前記銅の量に対してM/Cuモル比で0.05〜3の範囲にあることを特徴とするものである。
(ゼオライト)
このような本発明のNOx選択還元触媒におけるゼオライトとしては、骨格構造に少なくともアルミニウム(Al)原子、リン(P)原子及びケイ素(Si)原子を含んでいる(以下、単に「ゼオライト」と称す場合がある。)。
このような本発明のNOx選択還元触媒におけるゼオライトとしては、その骨格構造に少なくともアルミニウム(Al)原子、リン(P)原子及びケイ素(Si)原子を含んでいるゼオライトであればどのようなものでよく、特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。このようなゼオライトの中でも、SAPO−5、SAPO−18、SAPO−20、SAPO−31、SAPO−34、SAPO−37、SAPO−40、SAPO−42、SAPO−43、SAPO−47、SAPO−56から選ばれる1種以上のシリカアルミノリン酸ゼオライト(シリコアルミノフォスフェート、シリコアルミノリン酸塩、等ともいう。以下、「SAPO」と称す場合がある。)であることが好ましい。このようなシリカアルミノリン酸ゼオライトの中でも、高温での熱的安定性、特に水熱安定性に優れ、NOx選択還元触媒に用いた場合、高い活性と選択性を示し、これを長く維持することができるという観点で、SAPO−34がより好ましい。
このような本発明のゼオライトとしては、SAPO−34を含有するものであることが好ましい。
本発明にかかるNOx選択還元触媒のゼオライトにおいては、ゼオライトに含まれるSiの含有量としては3〜30モル%であることが好ましく、5〜25モル%であることがより好ましく、8〜20モル%であることが特に好ましい。前記SiOの含有量が前記下限未満では、Cuのイオン交換サイトの量が不足するため十分な活性が得られない傾向にある。一方、前記SiOの含有量が前記上限を超えると、ゼオライトの耐熱性が不十分になり活性が低下する傾向にある。
<構成原子>
本発明のNOx選択還元触媒においては、ゼオライトの骨格構造中のアルミニウム原子、リン原子及びケイ素原子の存在割合は、下記式(5)、(6)及び(7)を満たすことが好ましい。
0.3≦x≦0.6 ・・・(5)
(式中、xは骨格構造中のアルミニウム原子とリン原子とケイ素原子の合計に対するアルミニウム原子のモル比を示す)
0.3≦y≦0.6 ・・・(6)
(式中、yは骨格構造中のアルミニウム原子とリン原子とケイ素原子の合計に対するリン原子のモル比を示す)
0.03≦z≦0.30 ・・・(7)
(式中、zは骨格構造中のアルミニウム原子とリン原子とケイ素原子の合計に対するケイ素原子のモル比を示す)
更に、xは好ましくは0.35以上、より好ましくは0.40以上であり、好ましくは0.55以下である。
更に、yは好ましくは0.35以上、より好ましくは0.40以上であり、好ましくは0.55以下である。
更に、zは好ましくは0.05以上、より好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.08以上、特に好ましくは0.09以上であり、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下、更に好ましくは0.18以下である。
また、本発明のNOx選択還元触媒においては、ゼオライトの骨格構造内に、アルミニウム原子、リン原子及びケイ素原子を含むものであり、更に、これら原子以外の他の原子が含まれていてもよい。このような他の原子としては、例えば、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、亜鉛(Zr)、硼素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、砒素(As)などの原子の1種又は2種以上が挙げられ、好ましくはチタン(Ti)、亜鉛(Zr)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)の原子が挙げられる。これらの他の原子の含有量は、ゼオライトの骨格構造中に、アルミニウム原子とリン原子及びケイ素原子との合計に対するモル比で、0.3以下であることが好ましく、より好ましくは0.1以下である。
なお、上記のゼオライトの骨格構造中の原子の割合は、蛍光X線分析法(XRF:X―ray Fluorescence Analysis)により、ゼオライト骨格構造のケイ素、アルミニウム及びリン原子の含有量(質量%、mmol/g、など)を求める。また、試料を塩酸水溶液で加熱溶解させた後誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分光分析によりゼオライト骨格構造のケイ素、アルミニウム及びリン原子の含有量(重量%、など)を求めることができる。
<ゼオライトの骨格構造>
ゼオライトは通常結晶性であり、メタン型のSiO四面体あるいはAlO四面体あるいはPO四面体(以下、これらを一般化してTOとし、含有する酸素以外の原子をT原子という。)が、各頂点の酸素原子を共有し連結した規則的な網目構造を持つ。T原子としてはAl、P、Si以外の原子も知られている。網目構造の基本単位のひとつに、8個のTO四面体が環状に連結したものがあり、これは8員環と呼ばれている。同様に、6員環、10員環などもゼオライト構造の基本単位となる。なお、本発明におけるゼオライトの構造は、X線回折法(XRD:X-ray diffraction)により決定する。
本発明NOx選択還元触媒におけるゼオライトとしては、骨格構造に少なくともアルミニウム原子、リン原子及びケイ素原子を含むシリカアルミノリン酸ゼオライト類であり、かつ6員環構造又は8員環構造を有するゼオライトであることが好ましい。
<ゼオライトの粒子径>
このような本発明のNOx選択還元触媒におけるゼオライトの粒子径としては特に制限されないが、平均粒子径が0.01〜10μmであることが好ましく、0.1〜1μmの範囲にあることがより好ましい。このようなゼオライトの平均粒子径が前記下限未満では水熱安定性が不充分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると成型体触媒として用いる場合、充分な強度、耐摩耗性等が得られない傾向にある。
なお、本発明におけるゼオライト粒子の平均粒子径は、ゼオライト粒子を走査型電子顕微鏡写真(SEM)観察により求め、任意の10個以上のゼオライト粒子の一次粒子について粒子径を測定し、その粒子径の平均値を算出することにより測定したものである。なお、断面が円形でない場合には最小外接円の直径をいう。
(銅:Cu)
このような本発明のNOx選択還元触媒においては、前記ゼオライトの細孔内及び前記ゼオライトの細孔外に担持された銅(Cu)を含んでいる。
このような本発明のNOx選択還元触媒における銅(Cu)の含有量としては、前記ゼオライトに含まれるケイ素原子の量に対してCu/Siモル比で0.1〜0.8の範囲にあることが必要であり、0.1〜0.6の範囲にあることが好ましく、0.2〜0.4の範囲にあることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満では、イオン交換したCuの量が少なく十分な活性が得られない傾向にある。他方、前記上限を超えると、ゼオライト骨格外のCuO種が必要以上に増えることになり、初期活性の向上は期待できず、更にゼオライトの耐熱性に悪影響を与える傾向にある。
また、このような銅の平均粒子径が20nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。このような銅の平均粒子径が前記上限を超えると、NOxとNHの反応選択性が低下する傾向にある。
なお、本発明において、銅(Cu)の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求め、任意の100個以上の粒子について各粒子の粒子径を測定し、その粒子径の平均値を算出することにより測定したものである。なお、粒子の断面が円形ではない場合にはその粒子の断面の最大の外接円の直径とする。
このような本発明のNOx選択還元触媒においては、前記ゼオライトの細孔内に担持された銅(Cu)は、イオン状態の銅(銅イオン)であることが好ましい。なお、該銅イオンは、銅イオンの近傍に銅イオンに類似した状態の変化(銅化学種)があるものも含む。なお、前記ゼオライトの細孔内に担持された銅(Cu)の含有量としては、前記ゼオライトに含まれるケイ素原子の量に対してCu/Siモル比で0.05〜0.6の範囲にあることが好ましく、0.2〜0.4の範囲にあることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満では、含有するCuイオン量が不足し十分な活性が得られない傾向にある。他方、前記上限を超えると、ゼオライトの熱安定性が低下する傾向にある。
また、前記ゼオライトの細孔外に担持された銅(Cu)は、銅の雰囲気環境の変化(例えば、酸化還元の雰囲気変化)により、金属銅類似状態から酸化銅(II)類似状態間の各銅化学種(例えば、金属銅、金属銅類似状態、銅(0)状態、銅(I)類似状態、銅(I)状態、酸化銅(I)類似状態、酸化銅(II)類似状態、酸化銅)に遷移する。
なお、前記ゼオライトの細孔外に担持された銅(Cu)の含有量としては、前記ゼオライトに含まれるケイ素原子の量に対してCu/Siモル比で0.6以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。このような含有量が前記上限を超えると、NOxとNHの反応選択性が低下する傾向にある。
(添加金属:M)
このような本発明のNOx選択還元触媒においては、前記ゼオライトの細孔外に担持されたニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも一種の添加金属(M)を含んでいる。このような添加金属は、これらの1種であってもよく、2種以上の金属を組み合わせてゼオライトに担持してもよい。このようなCu−ゼオライトに更に担持させる添加金属は、ゼオライトに担持させて細孔外に担持されたCu種の触媒活性を抑制し得るものであり、好ましくは、ニッケル(Ni)及びチタン(Ti)である。
なお、本発明において「金属」とは、必ずしも元素状のゼロ価の状態にあるものに限定されず、「金属」という場合、触媒中に担持された存在状態、例えばイオン性ないしはその他の種(酸化物など)としての存在状態を含む。
このような本発明のNOx選択還元触媒における添加金属(M)の含有量としては、前記銅(Cu)の量に対してM/Cuモル比で0.05〜3の範囲にあることが必要であり、0.1〜2の範囲にあることが好ましく、0.3〜1.5の範囲にあることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満では、骨格外にあるCuO種との相互作用が十分に行うことができない傾向にある。他方、前記上限を超えると、ゼオライトの細孔を塞ぐため活性が低下する傾向にある。
なお、前記添加金属(M)の担持量としては、本発明のNOx選択還元触媒における添加金属(M)の含有量のうち、前記ゼオライトの細孔外に30〜100%の範囲に担持していることが好ましく、60〜100%の範囲にあることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満では、細孔内のCuイオン種に影響を与えて活性が低下する傾向にある。
また、このような添加金属(M)の平均粒子径が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましく、2nm以下であることが特に好ましい。このような添加金属(M)の平均粒子径が前記上限を超えると、骨格外にあるCuO種と十分な相互作用が得られず、NH3の酸化を十分に抑制できず、十分なNOx浄化活性が得られない傾向にある。
なお、本発明において、添加金属(M)の粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求め、任意の100個以上の粒子について各粒子の粒子径を測定し、その粒子径の平均値を算出することにより測定したものである。なお、粒子の断面が円形ではない場合にはその粒子の断面の最大の外接円の直径とする。
(NOx選択還元触媒)
また、本発明のNOx選択還元触媒の形態としては特に制限されず、ハニカム形状のモノリス触媒、ペレット形状のペレット触媒等の形態にすることができる。このような形態のNOx選択還元触媒を製造する方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、触媒をペレット状に成型してペレット形状のNOx選択還元触媒を得る方法や、触媒を触媒基材にコートすることにより、触媒基材にコート(固定)した形態のNOx選択還元触媒を得る方法等を適宜採用してもよい。なお、このような触媒基材としては特に制限されず、得られるNOx選択還元触媒の用途等に応じて適宜選択されるが、モノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等が好適に採用される。また、このような触媒基材の材質も特に制限されないが、コーディエライト、炭化ケイ素、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材が好適に採用される。更に、本発明のNOx選択還元触媒は、他の触媒と組み合わせて利用してもよい。このような他の触媒としては、特に制限されず、公知の触媒(例えば、酸化触媒、NOx還元触媒、NOx吸蔵還元型(NSR触媒)、等)を適宜用いてもよい。
また、このような本発明のNOx選択還元触媒を製造するための方法としては、後述の本発明のNOx選択還元触媒の製造方法を採用することが好ましい。すなわち、本発明のNOx選択還元触媒は、後述の本発明のNOx選択還元触媒の製造方法により好適に製造することができる。
[NOx選択還元触媒の製造方法]
本発明のNOx選択還元触媒の製造方法は、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx選択還元触媒の製造方法であって、骨格構造に少なくともアルミニウム(Al)原子、リン(P)原子及びケイ素(Si)原子を含むゼオライトを得る工程(ゼオライト調製工程)と、該ゼオライトの細孔内及び細孔外に銅(Cu)を担持せしめてCu−ゼオライトを得る工程(Cu担持工程)と、該Cu−ゼオライトのゼオライトの細孔外にニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも一種の添加金属(M)を担持せしめることにより上記本発明のNOx選択還元触媒を得る工程(添加金属担持工程)と、を含むことを特徴とする方法である。
(ゼオライト調製工程)
このような本発明のNOx選択還元触媒の製造方法においては、先ず、骨格構造に少なくともアルミニウム(Al)原子、リン(P)原子及びケイ素(Si)原子を含むゼオライトを得る(ゼオライト調製工程)。
このような本発明にかかるゼオライトを調製する方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。本発明にかかるゼオライトはそれ自体既知の化合物であり、通常用いられる方法に準じて製造することができる。例えば、特開2003−183020号公報、国際公開WO2010/084930号パンフレット、特開2013−32268号公報、特開2011−125793号公報、特公平4−37007号公報、特公平5−21844号公報、特公平5−51533号公報、米国特許第4440871号明細書等に記載の方法に準じて製造することができる。
このようなゼオライトを調製する方法としては特に制限されず、例えば、アルミニウム原子原料、リン原子原料、ケイ素原子原料、及び必要に応じてテンプレート剤(有機構造規定剤、有機結晶化剤、等ともいう)を混合した後、水熱合成することによりゼオライトを調製する。必要により、水熱合成後、ろ過・洗浄、乾燥、焼成などを行う。なお、テンプレート剤を混合した場合は、水熱合成後又は銅担持後に500〜700℃で焼成してテンプレート剤を除去することが好ましい。
<アルミニウム(Al)原子原料>
本発明におけるゼオライトのアルミニウム(Al)原子の原料は特に制限されず、通常、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド等のアルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。取り扱いが容易な点及び反応性が高い点でアルミニウム源としてはベーマイト又は擬ベーマイトが好ましい。
<リン(P)原子原料>
本発明におけるゼオライトのリン(P)原子の原料は特に制限されず、通常リン酸であるが、リン酸アルミニウムを用いてもよい。リン原子原料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、リン原子の原料は粉末等として用いてもよく、リン酸水溶液などの該原料を含む溶液として用いてもよい。
<ケイ素(Si)原子原料>
本発明におけるケイ素(Si)原子の原料は特に制限されず、通常、シリカゾル、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、水ガラス、ケイ酸エチル、ケイ酸メチル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。取り扱いが容易な点及び反応性が高い点でシリカゾルやヒュームドシリカが好ましい。
<テンプレート剤>
本発明のNOx選択還元触媒の製造方法のゼオライト調製工程においては、必要に応じてテンプレート剤(有機構造規定剤、有機結晶化剤、等ともいう)を用いることができる。このようなテンプレート剤としては特に制限されず、通常使用される種々のテンプレート剤が使用でき、例えばTEAH(テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド)のような四級アンモニウム塩や有機アミンを用いることができる。このようなテンプレート剤を用いることにより、得られるゼオライト中のSi含有量をコントロールすることが可能であり、NOx選択還元触媒として好ましいSi含有量、Si存在状態にすることができるので好ましい。
<ゼオライトの調製>
ゼオライトを調製する方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。ゼオライトの調製方法の具体的な例としては、先ず、アルミニウム原子原料、リン原子原料、ケイ素原子原料及びテンプレート剤(有機構造規定剤、有機結晶化剤、等ともいう)、並びに必要に応じてその他の添加剤や水を混合してゼオライト原料組成物(液体、スラリー又はペースト等)を準備する。なお、これら原料等は、粉末状のものでも原料を含む溶液であってもどのような形態でもよい。また、これら原料等の混合順序は特に制限されず、用いる材料や条件等により適宜選択すればよい。具体的には、先ず例えば、リン原子原料溶液にテンプレート剤混合し、この混合液にアルミニウム原子原料を添加して混合し、更にケイ素原子原料を添加して混合する。他の例としては、先ず水にリン原子原料及びアルミニウム原子原料を混合し、該混合物にケイ素原子原料及びテンプレート剤を混合する。次に、得られた前記ゼオライト原料組成物を所定の温度及び時間で水熱処理する(水熱合成)。次いで、得られた前記水熱処理物をろ過・洗浄、乾燥、焼成して本発明にかかるゼオライトを得る。
ゼオライトの調製方法の他の具体的な例としては、先ず、前記ケイ素原子原料、前記アルミニウム原子原料、前記リン原子原料、前記テンプレート剤及び水を混合して水性ゲル(ゼオライト原料組成物)を準備し、次に、該水性ゲルを水熱合成し、その後生成物をろ過又はデカンテーション等により分離し、必要により水洗、乾燥、焼成等して本発明にかかるゼオライトを得る方法である。なお、原料等の混合順序は特に制限されず、用いる条件により適宜選択すればよいが、例えば、先ず水にリン原子原料及びアルミニウム原子原料を混合し、該混合物にケイ素原子原料及びテンプレート剤を混合する。また、これら水熱合成によって得られるゼオライトの組成は水性ゲルの組成と相関があり、目的とする組成のゼオライトを得るためには水性ゲルの組成をそれに合わせて適宜設定する。
なお、このような発明にかかるゼオライトにおいては、ゼオライトに含まれるSiの含有量としては、得られる触媒中のゼオライトに含まれるゼオライト全モル量に対してSiOを3〜30モル%の範囲となる量とすることが好ましく、5〜25モル%の範囲となる量とすることがより好ましく、8〜20モル%の範囲となる量とすることが特に好ましい。前記SiOの含有量が前記下限未満では、Cuのイオン交換サイトの量が不足するため十分な活性が得られない傾向にある。一方、前記SiOの含有量が前記上限を超えると、ゼオライトの耐熱性が不十分になり活性が低下する傾向にある。
また、このような発明にかかるゼオライトにおいては、シリカアルミノリン酸ゼオライトが好ましく、その中でも高温での熱的安定性、特に水熱安定性に優れ、NOx選択還元触媒に用いた場合、高い活性と選択性を示し、これを長く維持することができるという観点で、SAPO−34がより好ましい。
また、本発明のゼオライト調製工程の水熱合成においては、水熱合成の方法及び条件は特に制限されず、公知の方法及び条件を適宜採用することができ、例えば、前記ゼオライト原料組成物を耐圧容器に入れ、自己発生圧力下、又は結晶化を阻害しない程度の気体加圧下で、撹拌又は静置状態で所定温度(例えば、100〜300℃、好ましくは150〜220℃)を所定時間(例えば、0.5時間〜30日、好ましくは5時間〜4日)保持することにより行う。
また、本発明のゼオライト調製工程においては、前記水熱合成後に必要に応じて行う乾燥や焼成の際の条件は特に制限されず、公知の条件を適宜採用することができ、例えば、乾燥条件としては80〜120℃で1〜50時間程度加熱する条件を、焼成条件としては300〜700℃で1〜10時間程度加熱する条件を、それぞれ採用してもよい。
(銅担持工程)
このような本発明のNOx選択還元触媒の製造方法においては、前記ゼオライト調製工程により得られた前記ゼオライトの細孔内及び前記ゼオライトの細孔外に銅(Cu)を担持せしめてCu−ゼオライトを得る(銅担持工程)。
このようなゼオライトへの銅の担持方法としては特に制限されず、ゼオライトに銅を担持せしめることが可能な方法であればよく、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、一般的に用いられるイオン交換法、含浸担持法、沈殿担持法、固相イオン交換法、CVD法等が用いられる。なお、生産性の観点で、イオン交換法、含浸担持法を用いることが好ましい。
本発明において担持する銅の原料(Cu源)は特に制限されず、銅塩、銅錯体、銅単体、銅酸化物等を用いることができる。このようなCu源は、担持方法や条件等により適宜選択することができる。具体的には、銅の塩類が用いられ、例えば硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩等の無機酸塩、又は酢酸塩などの有機酸塩を用いることができる。Cu源は、分散媒に可溶であっても不溶であってもよい。
銅の担持方法の具体的な例としては、先ず、銅の塩等が溶解した水溶液(例えば、酢酸銅水溶液など)を準備する。次に、前記銅源含有水溶液に前記ゼオライトを混合し所定の温度及び時間で撹拌して銅を含浸せしめる。次いで、銅含浸ゼオライトをろ過・洗浄、乾燥、焼成して本発明にかかるCu−ゼオライト(銅担持ゼオライト)を得る。
銅の担持方法の他の具体的な例としては、先ず、前記ゼオライト粉末の分散液を調製する。次に、銅化合物(例えば、硝酸第二銅など)の水溶液を調製し、前記ゼオライト粉末分散液と混合して、ゼオライト粉末と銅化合物との混合分散液を調製する。次いで、混合分散液を噴霧乾燥し、洗浄、乾燥、焼成して本発明にかかるCu−ゼオライト(銅担持ゼオライト)を得る。
なお、このような乾燥や焼成の際の条件は特に制限されず、公知の条件を適宜採用することができ、例えば、乾燥条件としては80〜120℃で1〜50時間程度加熱する条件を、焼成条件としては300〜700℃で1〜10時間程度加熱する条件を、それぞれ採用してもよい。
また、このような銅(Cu)のゼオライトへの担持量としては、得られる触媒中のゼオライトに含まれるケイ素(Si)原子の量に対してCu/Siモル比で0.1〜0.8の範囲となる量とすることが必要であり、0.1〜0.6の範囲となる量とすることが好ましく、0.2〜0.4の範囲となる量とすることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満では、イオン交換したCuの量が少なく十分な活性が得られない傾向にある。他方、前記上限を超えると、ゼオライト骨格外のCuO種が増えるのみとなり、初期活性の向上は期待できず、更にゼオライトの耐熱性に悪影響を与える傾向にある。
本発明の銅担持工程においては、前記ゼオライトに銅を担持する際、テンプレート剤を除去したゼオライトを用いても、テンプレート剤を含有したゼオライトを用いてもよい。なお、テンプレート剤を含有したゼオライトを用いた場合、テンプレート剤含有ゼオライトに銅を担持した後にテンプレート剤を除去することが好ましい。
また、ゼオライトの細孔内及び前記ゼオライトの細孔外への銅(Cu)の担持は、前記工程の水熱合成等において、銅(Cu)を担持させることもできる。
(添加金属担持工程)
このような本発明のNOx選択還元触媒の製造方法においては、前記銅担持工程により得られたCu−ゼオライトのゼオライトの細孔外にニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも一種の添加金属(M)を担持せしめることにより上記本発明のNOx選択還元触媒を得る(添加金属担持工程)。
<添加金属M>
本発明においてCu−ゼオライトのゼオライトの細孔外に担持される添加金属(M)は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも一種の金属であることが必要であり、これらの1種であってもよく、2種以上の金属を組み合わせてゼオライトに担持してもよい。このようなCu−ゼオライトに更に担持させる添加金属は、ゼオライトに担持させて触媒活性を発揮し得るものであり、好ましくは、ニッケル(Ni)及びチタン(Ti)である。
なお、本発明において「金属」とは、必ずしも元素状のゼロ価の状態にあるものに限定されず、「金属」という場合、触媒中に担持された存在状態、例えばイオン性ないしはその他の種としての存在状態を含む。
<担持量>
このような添加金属(M)の担持量としては、得られる触媒中の添加金属(M)の含有量がM/Cuモル比で0.05〜3の範囲となる量とすることが必要であり、0.1〜2の範囲となる量とすることが好ましく、0.3〜1.5の範囲となる量とすることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満では、骨格外にあるCuO種との相互作用が十分に行うことができない傾向にある。他方、前記上限を超えると、ゼオライトの細孔を塞ぐため活性が低下する傾向にある。
<金属担持方法>
このような添加金属(M)の担持方法としては特に制限されず、ゼオライトに添加金属(M)を担持せしめることが可能な方法であればよく、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、一般的に用いられるイオン交換法、含浸担持法、沈殿担持法、固相イオン交換法、CVD法等が用いられる。なお、生産性の観点で、イオン交換法、含浸担持法を用いることが好ましい。
本発明において担持する添加金属(M)の原料(添加金属源)は特に制限されず、金属塩、金属錯体、金属単体、金属酸化物等を用いることができる。このような添加金属源は、担持方法や条件等により適宜選択することができる。具体的には、担持する添加金属の塩類が用いられ、例えば硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩等の無機酸塩、又は酢酸塩などの有機酸塩を用いることができる。添加金属源は、分散媒に可溶であっても不溶であってもよい。
添加金属(M)の担持の具体的な例としては、先ず、添加金属の塩等が溶解した水溶液(例えば、酢酸コバルト溶液、酢酸ニッケル溶液、酢酸スズ溶液など)を準備する。次に、前記添加金属源含有水溶液に前記Cu−ゼオライトを混合し所定の温度及び時間で撹拌して添加金属(M)を含浸せしめる。次いで、添加金属(M)含浸Cu−ゼオライトをろ過・洗浄、乾燥、焼成して本発明にかかるNOx選択還元触媒を得る。
添加金属(M)の担持の他の具体的な例としては、先ず、前記Cu−ゼオライト粉末の分散液を調製する。例えば、前記Cu−ゼオライト粉末をイオン交換水に懸濁させて分散液を得る。次に、添加金属化合物(例えば、硝酸第二銅など)の水溶液を調製し、前記Cu−ゼオライト粉末分散液と混合して、Cu−ゼオライト粉末と添加金属(M)化合物との混合分散液を調製する。次いで、混合分散液を噴霧乾燥し、洗浄、乾燥、焼成して本発明にかかるNOx選択還元触媒を得る。
なお、このような乾燥や焼成の際の条件は特に制限されず、公知の条件を適宜採用することができ、例えば、乾燥条件としては80〜120℃で1〜50時間程度加熱する条件を、焼成条件としては300〜700℃で1〜10時間程度加熱する条件を、それぞれ採用してもよい。
なお、本発明の添加金属担持工程においては、前記Cu−ゼオライトに添加金属(M)を担持せしめる際、テンプレート剤を除去したCu−ゼオライトを用いても、テンプレート剤を含有したCu−ゼオライトを用いてもよい。なお、テンプレート剤を含有したCu−ゼオライトを用いた場合、テンプレート剤含有Cu−ゼオライトに添加金属(M)を担持せしめた後にテンプレート剤を除去することが好ましい。
[NOx浄化方法]
本発明のNOx浄化方法は、アンモニア(NH)又はアンモニアを生成可能な還元剤の存在下において、上記本発明のNOx選択還元触媒に排ガスを接触せしめて窒素酸化物(NOx)を浄化することを特徴とするNOx浄化方法である。
このように、本発明は内燃機関等からの排ガスを上記本発明のNOx選択還元触媒を用いて窒素酸化物(NOx)を浄化する方法である。ここにおいて、内燃機関としては特に制限されず、公知の内燃機関を適宜利用でき、例えば、自動車の内燃機関(ディーゼルエンジンや希薄燃焼式(リーンバーン)エンジン等)が挙げられる。また、本発明においては、酸素過剰雰囲気下において用いることが好ましい。この場合「酸素過剰雰囲気」とは、排ガスの空燃比(空気と燃料との混合比:A/F比)が14.7超となって、排ガス中に含まれる燃料に対して酸素が過剰に存在する状態をいう。
なお、本発明が浄化の対象とする窒素酸化物(NOx)としては、一酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素等が挙げられる。本発明においてNOxを浄化するとは、NOxをNOx選択還元触媒上で反応させ、窒素と酸素等に転化することをいう。
このような本発明のNOx浄化方法においては、アンモニア(NH)又はアンモニアを生成可能な還元剤の存在下において、上記本発明のNOx選択還元触媒に排ガスを接触せしめる。このような還元剤としては、特に制限されず公知の還元剤を適宜採用することができる。例えば、尿素等が挙げられる。
また、前記内燃機関等からの排ガスを上記本発明のNOx選択還元触媒に接触させるための具体的な方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、内燃機関等からの排ガスのガス流路に、上記本発明のNOx選択還元触媒を配置して排ガスを接触せしめる方法を採用してもよい。また、酸素過剰雰囲気下において排ガスを接触せしめるという観点からは、例えば、内燃機関等からの排ガスが酸素過剰雰囲気のものではない場合には、前記NOx選択還元触媒に接触する前の排ガスの空燃比(空気と燃料との混合比:A/F比)を14.7超(より好ましくは15〜50程度)に調整した後に、その酸素過剰雰囲気の排ガスを前記NOx選択還元触媒に接触させる方法を採用してもよい。なお、このような空燃比の調整は、公知の方法を適宜採用でき、例えば、排ガス中に空気を導入することにより行ってもよい。なお、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンからの排ガスであれば、基本的に、特に調整せずとも、前記酸素過剰雰囲気のガスが排出され得るため、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンからの排ガスを浄化する場合には、その排ガスを上記本発明のNOx選択還元触媒に接触させることで、上記本発明の排ガスの浄化方法を実施することが可能となる。また、排ガスを浄化する際に、例えば、内燃機関等から酸素過剰雰囲気のガスが排出された場合に、その排ガスが上記本発明のNOx選択還元触媒に接触するように、排ガスのガス流路を調整弁等で調整する等して、酸素過剰雰囲気の排ガスを上記本発明のNOx選択還元触媒に接触させてもよく、これにより上記本発明のNOx浄化方法を実施してもよい。
なお、本発明のNOx浄化方法においては、前記NOx選択還元触媒に排ガスを接触せしめる前に排ガスをNSR触媒(NOx Storage Reduction catalysts:吸蔵還元触媒))やLNT触媒(Lean NOx Trap Catalysts:希薄NOxトラップ触媒)などのNOx吸蔵還元型触媒に接触させて該NOx吸蔵還元型触媒にて吸収したNOxをNHに還元し、その後該NHと前記排ガス中の未処理のNOxの混合物を前記NOx選択還元触媒に接触せしめて窒素酸化物(NOx)を浄化することが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(調製例1)
<シリカアルミノリン酸ゼオライトの調製>
所定量の水にリン酸と35質量%濃度のテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TEAH)を混合し、次いで、擬ベーマイト(Al含有量75質量%、日産化学社製)を投入し、10分間撹拌した。これに、シリカゾル(SiO濃度20質量%、日産化学社製)を5分間で滴下・添加して、SAPO−34合成用スラリーを調製した。なお、Al:P:Si:TEAH:HOはモル比で1:0.77:0.18:2.5:50となるように調整した。
次に、得られたSAPO−34合成用スラリー170mLを容量200mLのテフロン(登録商標)製のオートクレーブ(宝泉社製)に充填し、190℃に昇温して同温度で30時間水熱処理した(水熱合成)。
その後、ろ過・洗浄を3回繰り返し、110℃で24時間乾燥後、大気中600℃で5時間焼成し、シリカアルミノリン酸ゼオライト(H−SAPO−34)を調製した。
(調製例2)
<Cu担持シリカアルミノリン酸ゼオライトの調製>
前記調製例1で得られたシリカアルミノリン酸ゼオライト(H−SAPO−34)を、酢酸銅水溶液(0.1mol/L)0.5Lに懸濁させ、60℃で5時間撹拌した。その後、ろ過・洗浄を3回繰り返し、110℃24時間乾燥後、大気中500℃で5時間焼成し、Cu担持シリカアルミノリン酸ゼオライト(Cu−SAPO−34)を調製した。
[Cu含有量とゼオライト組成の分析]
得られたCu担持シリカアルミノリン酸ゼオライト(Cu−SAPO−34)の組成分析を、蛍光X線分析法(XRF:X―ray Fluorescence Analysis)により行った。すなわち、先ず、得られたCu担持シリカアルミノリン酸ゼオライト(Cu−SAPO−34)を1000kgf/cmで圧粉成型し、破砕、整粒して直径0.5〜1.0mmのペレット化されたCu−ゼオライトを得た。次いで、得られたCu−ゼオライト1.0gを試料として走査型蛍光X線分析装置(リガク社製、製品名ZSX PrimusII)によりXRF分析を行った結果、Alが8.29mmol/g、Pが6.24mmol/g、Siが1.54mmol/g、Cuが0.46mmol/gであった。
(実施例1)
調製例2で調製したCu担持シリカアルミノリン酸ゼオライト15gを酢酸コバルト溶液(0.1mol/L)0.5Lに懸濁させ、70℃で6時間撹拌した。その後、ろ過・洗浄し、110℃で24時間乾燥させた後、550℃で5時間焼成して、Co担持Cuゼオライト触媒を得た。
得られたCo担持Cuゼオライト触媒に対して、調製例2と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Co添加量は0.17mmol/gであり、Co/Cuモル比として0.37であった。得られた結果を表1に示す。
Figure 0006171255
(実施例2)
添加金属担持用溶液を酢酸ニッケル溶液(0.1mol/L)0.5Lに変更した以外は実施例1と同様にして、Ni担持Cuゼオライト触媒を得た。
得られたNi担持Cuゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Ni添加量は0.22mmol/gであり、Ni/Cuモル比として0.48であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
調製例2で調製したCu担持シリカアルミノリン酸ゼオライトを、比較用Cuゼオライト触媒(比較例1)とした。
(比較例2)
添加金属担持用溶液を酢酸マンガン溶液(0.1mol/L)0.5Lに変更した以外は実施例1と同様にして、比較用Mn担持Cuゼオライト触媒(比較例2)を得た。
得られた比較用Mn担持Cuゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Mn添加量は0.08mmol/gであり、Mn/Cuモル比として0.18であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例3)
添加金属担持用溶液を硝酸銀溶液(0.1mol/L)0.5Lに変更した以外は実施例1と同様にして、比較用Ag担持Cuゼオライト触媒(比較例3)を得た。
得られた比較用Ag担持Cuゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Ag添加量は0.28mmol/gであり、Ag/Cuモル比として0.62であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
調製例2で調製したCu担持シリカアルミノリン酸ゼオライト10gをイオン交換水0.2Lに懸濁させ、これにNi/Cuモル比が0.1となるように調整した酢酸ニッケル溶液0.1Lを加え、70℃で3時間撹拌した後、100℃にて溶液を蒸発させた。その後、110℃で24時間乾燥させた後、550℃で5時間焼成して、Ni担持Cuゼオライト触媒を得た。
得られたNi担持Cuゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Ni添加量は0.0414mmol/gであり、Ni/Cuモル比として0.09であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
添加金属担持用溶液をNi/Cuモル比が0.5となるように調整した酢酸ニッケル溶液に変更した以外は実施例3と同様にして、Ni担持Cuゼオライト触媒を得た。
得られたNi担持Cuゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Ni添加量は0.2254mmol/gであり、Ni/Cuモル比として0.49であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
添加金属担持用溶液をNi/Cuモル比が1.0となるように調整した酢酸ニッケル溶液に変更した以外は実施例3と同様にして、Ni担持Cuゼオライト触媒を得た。
得られたNi担持Cuゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Ni添加量は0.4416mmol/gであり、Ni/Cuモル比として0.96であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例4)
添加金属担持用溶液をNi/Cuモル比が5.0となるように調整した酢酸ニッケル溶液に変更した以外は実施例3と同様にして、比較用Ni担持Cuゼオライト触媒(比較例4)を得た。
得られた比較用Ni担持Cuゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Ni添加量は2.3046mmol/gであり、Ni/Cuモル比として5.01であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
添加金属担持用溶液としてSn/Cuモル比が0.5となるように調整した酢酸スズ溶液に変更した以外は実施例3と同様にして、Sn担持Cuゼオライト触媒を得た。
得られたSn担持Cuゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Sn添加量は0.230mmol/gであり、Sn/Cuモル比として0.50であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例7)
添加金属担持用溶液としてTi/Cuモル比が0.5となるように調整したシュウ酸チタニルアンモニウム溶液に変更した以外は実施例3と同様にして、Ti担持Cuゼオライト触媒を得た。
得られたTi担持Cuゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Ti添加量は0.2346mmol/gであり、Ti/Cuモル比として0.51であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例5)
添加金属担持用溶液としてZn/Cuモル比が0.5となるように調整した酢酸亜鉛溶液に変更した以外は実施例3と同様にして、比較用Zn担持Cuゼオライト触媒(比較例5)を得た。
得られた比較用Zn担持Cuゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Zn添加量は0.230mmol/gであり、Ni/Cuモル比として0.50であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例6)
Cu担持シリカアルミノリン酸ゼオライトの代わりに調製例1で調製したシリカアルミノリン酸ゼオライト(H−SAPO−34)を用いた以外は実施例1と同様にして、比較用Co担持ゼオライト触媒(比較例6)を得た。
得られた比較用Co担持ゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Co添加量は0.54mmol/gであった。
(比較例7)
Cu担持シリカアルミノリン酸ゼオライトの代わりに調製例1で調製したシリカアルミノリン酸ゼオライト(H−SAPO−34)を用いた以外は実施例2と同様にして、比較用Ni担持ゼオライト触媒(比較例7)を得た。
得られた比較用Ni担持ゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Ni添加量は0.28mmol/gであった。
(比較例8)
Cu担持シリカアルミノリン酸ゼオライトの代わりに調製例1で調製したシリカアルミノリン酸ゼオライト(H−SAPO−34)を用いた以外は比較例3と同様にして、比較用Ag担持ゼオライト触媒(比較例8)を得た。
得られた比較用Ag担持ゼオライト触媒に対して、実施例1と同様にして蛍光X線分析を行った。XRF分析の結果、Ag添加量は0.27mmol/gであった。
[実施例1〜2、実施例4〜7及び比較例1で得られた触媒のXRD測定]
<X線回折(XRD)の測定>
実施例1〜2、実施例4〜7及び比較例1で得られたNOx選択還元触媒について、以下のようにして、XRD(X線回折法:X−ray diffraction)により、各触媒のX線回折パターンを測定した。
すなわち、先ず、前記触媒をめのう乳鉢を用いて粉砕し粉末化した。次いで、得られた触媒約100mgを触媒試料として同一形状のサンプルホルダーを用いて試料量が一定となるようにし、X線回折装置((株)リガク社製、UltimaIV)に設置した。
<測定条件>
X線源:Cu−Kα線
出力設定:40kV×50mA
測定時光学条件:
発散スリット=1°
散乱スリット=1°
受光スリット=0.2mm
回折ピークの位置:2θ(回折角)
測定範囲:2θ=10〜70度
走査速度:10度/分
測定方法:連続
実施例1〜2、実施例4〜7及び比較例1で得られた触媒のXRD測定結果(XRDスペクトル)を図1に示す。
<XRD測定結果>
図1に示した結果から明らかなとおり、実施例1〜2、実施例4〜7で得られた本発明の触媒及び比較例1においては、いずれのスペクトルもゼオライトであるSAPO−34構造に由来する回折線のみが観測され、添加金属(M)及びCuが添加されてもゼオライト構造に変化が無いことが確認された。また、担持されたCu及び添加金属(M)並びにそれら酸化物に由来する回折が認められなかったことから、Cu及び添加金属(M)はゼオライトに高分散に担持されていることが確認された。
[実施例1〜7及び比較例1〜8で得られたNOx選択還元触媒の特性の評価]
<触媒活性評価試験1:定常NH酸化活性評価>
実施例1〜7及び比較例1〜8で得られたNOx選択還元触媒について、以下のようにして、それぞれ定常時のNH酸化率の測定を行い、各触媒の定常時NH酸化活性を評価した。
すなわち、先ず、前記触媒を1000kgf/cmで圧粉成型し、破砕、整粒して直径0.5〜1.0mmのペレット化した。次いで、得られた触媒1.0gを触媒試料として常圧固定床流通型反応装置(ベスト測器社製、CATA−5000)に設置した。次に、NH(700ppm)、O(8容量%)、CO(10容量%)、HO(8容量%)及びN(残部)からなるモデルガスを10リットル/分のガス流量で供給し、触媒入りガス温度が500℃となるように調整した。その後、触媒入りガス温度を500℃に15分間保持しつつ、定常状態における触媒入りガス及び触媒出ガス中のNH濃度を測定し、それらの測定値からNH酸化率(%)を算出した。得られた結果を表1に示す。また、実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた触媒の定常NH酸化率(%)と添加金属(M)/Cuモル比との関係を示すグラフを図2に示す。
<触媒活性評価試験2:定常NOx還元活性評価>
実施例1〜7及び比較例1〜8で得られたNOx選択還元触媒について、以下のようにして、それぞれ定常時のNO浄化率の測定を行い、各触媒の定常時NO還元活性を評価した。
すなわち、先ず、前記触媒を1000kgf/cmで圧粉成型し、破砕、整粒して直径0.5〜1.0mmのペレット化した。次いで、得られた触媒1.0gを触媒試料として常圧固定床流通型反応装置(ベスト測器社製、CATA−5000)に設置した。次に、NO(600ppm)、NH(700ppm)、O(8容量%)、CO(10容量%)、HO(8容量%)及びN(残部)からなるモデルガスを10リットル/分のガス流量で供給し、触媒入りガス温度が500℃となるように調整した。その後、触媒入りガス温度を500℃に15分間保持しつつ、定常状態における触媒入りガス及び触媒出ガス中のNO濃度を測定し、それらの測定値からNO浄化率(%)を算出した。得られた結果を表1に示す。また、実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた触媒の定常NO浄化率(%)と添加金属(M)/Cuモル比との関係を示すグラフを図3に示す。
<触媒活性評価試験3:過渡NOx還元活性評価>
実施例1〜7及び比較例1〜8で得られたNOx選択還元触媒について、以下のようにしてそれぞれ過渡時のNO量の測定を行い、各触媒の過渡NO還元活性を評価した。
すなわち、先ず、前記触媒を1000kgf/cmで圧粉成型し、破砕、整粒して直径0.5〜1.0mmのペレット化した。次いで、得られた触媒1.0gを触媒試料として常圧固定床流通型反応装置(ベスト測器社製、CATA−5000)に設置した。次に、NO(150ppm)、O(8容量%)、CO(10容量%)、HO(8容量%)及びN(残部)からなるモデルガスを10リットル/分のガス流量で供給し、触媒入りガス温度が500℃となるように調整した。その後、触媒入りガス温度を500℃に 分間保持した。そこに、更にNH(2000ppm)を6秒間添加し、前記モデルガス条件及び触媒入りガス温度を保持した。NH添加時の入りガス(モデルガス)のNO濃度とNH添加 秒後の出ガスのNO濃度から、この時浄化したNO量(μmol/g)を算出した。得られた結果を表1に示す。また、実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた触媒の過渡NO浄化量(μmol/g)と添加金属(M)/Cuモル比との関係を示すグラフを図4に示す。
<定常NH酸化活性>
図2及び表1に示した結果から明らかなとおり、実施例1〜7で得られた本発明の触媒及び比較例2〜5で得られた比較用触媒においては、比較例1の銅担持ゼオライト触媒(Cu−SAPO−34)に比べて、いずれもNH酸化活性が抑制されており、金属元素の添加によりゼオライト骨格外に存在するCuO種上で進行するNHの酸化反応を抑制することが確認された。
<定常NOx還元活性及び過渡NOx還元活性>
図3、図4及び表1に示した結果から明らかなとおり、実施例1〜7で得られた本発明の触媒は、添加金属を含まない比較例1の銅担持ゼオライト触媒(Cu−SAPO−34)に比べて、いずれも高いNOx還元活性を示すことが確認された。これに対し、添加金属の添加量が本発明外の比較例4では、十分なNOx還元活性が得られていないことが確認された。また、添加金属を含むがCuを含まない比較例6〜8ではいずれもNOx還元活性が低いことが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、400℃以上の高温度条件において高いNOx浄化活性を発揮することが可能なNOx選択還元触媒、その製造方法、及びそれを用いたNOx浄化方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明のNOx選択還元触媒、その製造方法、及び、それを用いたNOx浄化方法は、400℃以上の高温度条件において優れたNOx浄化活性を発揮できるため、特に、自動車等の内燃機関から排出される排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化するために有用である。

Claims (3)

  1. 排ガス中の窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx選択還元触媒の製造方法であって、
    骨格構造に少なくともアルミニウム(Al)原子、リン(P)原子及びケイ素(Si)原子を含むゼオライトを得る工程と、
    該ゼオライトの細孔内及び細孔外に銅(Cu)を担持せしめてCu−ゼオライトを得る工程と、
    該Cu−ゼオライトのゼオライトの細孔外にニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも一種の添加金属(M)を担持せしめることにより、骨格構造に少なくともアルミニウム(Al)原子、リン(P)原子及びケイ素(Si)原子を含むゼオライトと、該ゼオライトの細孔内及び細孔外に担持された銅(Cu)と、前記ゼオライトの細孔外に担持されたニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)及びチタン(Ti)からなる群から選択される少なくとも一種の添加金属(M)とを含んでおり、前記銅の含有量が前記ゼオライトに含まれるケイ素原子の量に対してCu/Siモル比で0.1〜0.8の範囲にあり、かつ、前記添加金属の含有量が前記銅の量に対してM/Cuモル比で0.05〜3の範囲にあるNOx選択還元触媒を得る工程と、
    を含むことを特徴とするNOx選択還元触媒の製造方法。
  2. 前記ゼオライトが、SAPO−34を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載のNOx選択還元触媒の製造方法
  3. 前記添加金属の平均粒子径が、10nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のNOx選択還元触媒の製造方法
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