以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、各実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1に係る頭部保護具1の構成について、その展開状態を示した図1及び図2を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態1に係る頭部保護具1は、帯状部材10a,10b,10cからなる頭頂保護部10と、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長手方向の一端側に、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角方向に配設する前方保護部20と、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長手方向の他端側に、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角方向に配設する後方保護部30と、前方保護部20の長手方向の両側に形成されて前方保護部20を構成し、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角方向に配設する左右の側部としての側頭保護部22R,22Lと、前方保護部20及び後方保護部30を接合自在とする接合具として、前方保護部20の裏面(B)側であってその長手方向の両端側に取付けられた面ファスナ41aR,41aL及び後方保護部30の表面(F)側に取付けられた面ファスナ41bとを有する。
本実施の形態1の頭頂保護部10は、長尺状に形成された3本の帯状部材10a,10b,10cによって構成し、それら3本の帯状部材10a,10b,10cの長手方向を一致させた配置としている。そして、3本の帯状部材10a,10b,10cは、それらの長さ方向に直角な幅方向で互いに結合することなく、分列している。
ここで、頭頂保護部10を構成する帯状部材10a,10b,10cは、緩衝材Aとそれを包む外装生地Bとによって形成されている。
各帯状部材10a,10b,10cは、例えば、図10(a)に示すように、縫合線sにて袋状に閉じた一枚の布からなる外装生地Bに緩衝材Aが入れられて形成される。勿論、例えば、図10(b)に示すように、2枚の布によって、或いは、3枚以上の布によって袋状を形成し、そこに緩衝材Aを挿入しても良い。
緩衝材Aとしては、頭部への衝撃を緩和できるクッション材であればよく、例えば、(ポリ)ウレタンフォーム、(ポリ)オレフィンフォーム等の緩衝機能が高いものが使用される。好ましくは、図10(d)に示すように、緩衝材Aが編目状に形成されて強度を確保しつつ、三角形状の孔Pを有するものや、図10(e)に示すように、緩衝材Aに任意形状の孔Pを所定間隔で設けたものである。このように厚み方向の表裏に貫通する孔Pを有することで、孔Pによって空気の出入りを許容するから、通気性を確保できる。
また、例えば、東洋紡株式会社から商品名「ブレスエアー(登録商標)」、株式会社シーエンジから「C−CORE」、株式会社エアウィーヴから商品名「エアウィーヴ(登録商標)」、東レ・デュポン株式会社から「ハイトレル(登録商標)等として販売されている立体網状構造体、具体的には、樹脂からなる連続線条体が不規則に蛇行して絡み合っており、かつ、蛇行した状態で随所に接着してなり、連続線条体間の空間が連続して所定の厚みを有する立体網状構造体を緩衝材Aに用いることでも、通気性を確保できる。
なお、薄厚と緩衝性との両立や、強度、緩衝性と通気性との両立のために、硬さや反発特性の異なる2種以上の緩衝材Aを組み合わせて用いることも可能である。
緩衝材Aを包み込む外装生地Bには、例えば、ポリエステル、綿、再生繊維等の生地を使用することで軽量化を図り、かつ、通気性を確保することができる。また、繰り返しの洗濯でも型崩れや損傷が生じ難く、洗濯によって清潔さ、衛生さを保つことができる。
特に、所定の開口の網目・網模様の構造を有するメッシュ(ネット)生地や、多少織目を粗くした粗密度の生地や、表裏のメッシュ生地間に通気性のある特定の厚みの空気層を形成する連結糸を織り込んでなる特定の厚みを有する立体編物(ダブルラッシェル)等のメッシュ状繊維からなる外装生地Bの使用により、高い通気性が確保され頭部の湿気や熱が放散されやすくなる。
中でも、立体編物(ダブルラッシェル)によれば、表裏のメッシュ生地間に織り込まれた連結糸によって形成される空気層により頭部保護具1を装着する者(以下、単に『装着者』という)の汗等の湿気や熱の発生に対しても、その湿気や熱を収容できる容積を有しており、更に、頭部の動きが空気層の体積変化となって、空気層の空気が排出及び供給されるから、汗を速やかに吸収でき、また、熱を逃すことができる。勿論、表裏のメッシュ生地及び空気層により通気性、通水性にも優れるから、水分の乾きも速い。更に、連結糸によって形成される空気層により多少の弾力性(クッション性)等を有し、衝撃を吸収する緩衝機能を発揮する。また、装着者の頭部の形状への馴染みもよい。
なお、このような立体編物(ダブルラッシェル)はダブルラッシェル機やトリコット機等の織布製造機によって製造され、その商品は、旭化成株式会社から「フュージョン(商標名)」、また、帝人興産から「エアクィーン(商標名)」等として販売されているので、ここでは仔細な説明を省略する。
そして、図1及び図2に示すように、このような緩衝材A及びそれを包む外装生地Bから形成されている帯状部材10a,10b,10cの長手方向の一端部には、それらの一端部と略T字状に一体に接続した前方保護部20が配設し、また、帯状部材10a,10b,10cの長手方向の他端部には、それらの他端部と略T字状に一体に接続した後方保護部30が配設している。
また、図10(c)に示すように、緩衝材Aの中心には硬質のウレタン、ポリオリフィン系等の弾性に富んだ板状の芯材Cを埋設し、外力が加わったとき、当該板状の芯材Cとの間で衝撃を吸収することができる。この場合には、単位面積当たりの衝撃力を緩衝できる。
ここで、帯状部材10a,10b,10cからなる頭頂保護部10と前方保護部20は、縫製によって縫合わされており、両者間は、頭頂保護部10の面方向に対して直角方向に折り曲げ、湾曲自在となっている。即ち、帯状部材10a,10b,10cの長手方向の一端側で、前方保護部20が頭頂保護部10とその面方向を同一に延設した位置から、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して垂直方向の位置、そして、面方向を重ね合わせる180度の位置まで変位可能に曲折自在に接続している。
また、帯状部材10a,10b,10cからなる頭頂保護部10と後方保護部30と関係も、縫製によって縫合わされ、両者間は、頭頂保護部10の面方向に対して直角方向に折り曲げ、湾曲自在となっている。即ち、後方保護部30が頭頂保護部10とその面方向を同一に延設した位置から、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して垂直方向の位置、そして、面方向を重ね合わせる180度の位置まで変位可能に曲折自在に接続している。
なお、本実施の形態1では、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cが前方保護部20に接続する一端側において、中央に位置する帯状部材10bに対して、その両側に位置する帯状部材10a、帯状部材10bが先端側の一部分で重なり合う状態で前方保護部20に縫製によって縫合わされている(図1、図2、図3及び図5参照)。しかも、中央に位置する帯状部材10bでは、その長手方向に対して略直角方向で前方保護部20と縫合わされているのに対し、帯状部材10bの左右両側の帯状部材10a及び帯状部材10cでは、それらの長さ方向に対して斜め方向で前方保護部20と縫合わされている。
また、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cが後方保護部30に接続する他端側においては、中央に位置する帯状部材10bに対しその両側に位置する左右の帯状部材10a、帯状部材10cが重なり合うことなく隣接しまたは離れて配置し、それらの長手方向に対して略直角方向で後方保護部30と縫合わされている。
このような構成により、図3及び図5に示す頭部保護具1の立体的な組立状態で、図3に示すように正面側(前方)みると、中央に位置する帯状部材10bに対してその両側の帯状部材10a及び帯状部材10cが左右に離間する方向に鋭角状に拡がり、また、図5に示すように上側からみると頭頂保護部10が流線形を表象するデザインとなり、意匠的効果を独特なものとしている。
特に、従来では、人体の頭頂部側に対応させるトップクラウン側が十字状に交差した形状であるから、頭部に装着した際に頭頂部の形状によってトップクラウンが尖軸状の意匠に強調されやすく、即ち、頭頂部側を交差させるからそのボリュームで頭頂部側の天井が強調されやすく、見た目にバランスの悪さを感じることがある。これに対し、本実施の形態1では、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長手方向を統一させた配置であることで、頭部に装着した際でも頭頂部側が強調され難く、デザイン性に優れる。
勿論、本発明を実施する場合には、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの配置は、それらの長手方向を一致させた配置であれば、上記に限定されるものではなく、前方保護部20と後方方保護部30の間で帯状部材10a,10b,10cが所定間隔で並行に配置するようにしてもよいし、後方方保護部30側との接続においても帯状部材10a,10b,10cの一部を重複させるように接続してもよい。
そして、帯状部材10a,10b,10cの長手方向の一端側に接続する本実施の形態1の前方保護部20は、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角な方向に延びている。
本実施の形態1の前方保護部20は、頭部の前頭部側に対応させる前頭保護部21と、頭部の右側頭部側及び左側頭部側に対応させる左右の側部としての右側頭保護部22R及び左側頭保護部22L(以下、右側頭保護部22R,左側頭保護部22Lを格別区別する必要のない場合には、単に、『側頭保護部22R,22L』と記す)とを連続的に形成してなるものであり、頭部の前頭部側並びに右側頭部側及び左側頭部側に対応させる長さを有する。
前頭保護部21は、略一定の幅で直線状に形成されており、その幅方向の一端側には帯状部材10a,10b,10cが接続され、反対側の幅方向の他端側には鍔部23が接続されている。
また、この前頭保護部21の幅方向に対して略直角な方向で左右両側に延びる右側頭保護部22R及び左側頭保護部22Lは、人体の耳を覆うことのないようにその耳の曲線形状に対応する湾曲形状を有する。
本実施の形態1の前方保護部20も、緩衝材Aとそれを包む外装生地Bとによって形成されており、例えば、図10(b)に示すように、2枚の表生地B1及び裏生地B2を縫合線sでの縫合わせによって袋状とした外装生地B1,B2によって緩衝材Aが包まれて形成される。緩衝材Aや外装生地Bの素材、構成、特性等は、頭頂保護部10と同一であってもよいし、相異していてもよい。勿論、表生地B1と裏生地B2も互いに同一の素材、構成、特性等であっても良いし、相異していてもよい。
なお、本実施の形態1では、前方保護部20を構成する緩衝材Aが湾曲可能な程度に適度な柔軟性を有し、前頭保護部21と左右の側頭保護部22R,22Lとを区別することなく連続した1本の緩衝材A及びそれを覆う外装生地Bによって形成している。しかし、本発明を実施する場合には、前頭保護部21と左右の側頭保護部22R,22Lとの間で緩衝材Aを連続させずに区切ってもよいし、緩衝材Aに切込みを入れることで屈曲しやすくしてもよい。
また、本実施の形態1では、前方保護部20において、その幅方向に直角な長さ方向の両端部に、後述する後方保護部30と接合するためのマジックテープ(登録商標)等の面ファスナ(接着布)41aR,41aLが取付けられている。詳細には、前方保護部20の裏面(B)側(内面側)において、右側頭保護部22Rの一端部側に面ファスナ41aRが縫製によって縫付けられ、また、左側頭保護部22Lの一端部側に面ファスナ41aLが縫製によって縫付けられている。
なお、本実施の形態1では、後方保護部30に重ねられて接合される前方保護部20の長さ方向の両端部では、緩衝材Aを配置しないことで、重複する厚みを減らして、厚みの重複による通気性の低下を防止している。また、重量の軽量化を図り、面ファスによる接合強度を高めている。しかし、本発明を実施する場合には、前方保護部20の長さ方向の両端部の端縁まで緩衝材Aを配置する設計としてもよい。
更に、本実施の形態1では、前頭保護部21に対し、頭頂保護部10側とは反対側で外方向に延びる略半楕円形状の鍔部23が接続されている。
この鍔部23は、例えば、発泡ポリエチレン等の剛性のある芯材を外装生地Bで包むことによって形成される。鍔部23は、前頭保護部21と面方向を同一に平面的に成形されるも、前頭保護部21の面方向に対して直角方向に曲折自在に接続しているから、芯材の剛性により、後述するように前方保護部20と後方保護部30とを接続して頭部にかぶせる帽子状(ヘルメット状)に立体的に組立てたときに、前頭保護部21の面方向に対して、その下縁から前方に突出して日除けや顔面の保護として機能する。また、このように前頭保護部21に対して鍔部23が曲折自在に形成されていると、例えば、収納・保管時において前頭保護部21側に鍔部23を折り畳み可能とし、コンパクト化を図ることができる。なお、鍔部23は、装着者の視界を妨げない範囲の突出長さとする。
更にまた、本実施の形態1では、左右の側頭保護部22R,22Lに対し、装着者の耳の周囲に配設される左右1対の耳紐24R,24Lがループ状に接続しており、左右の耳紐24R,24L間には顎紐25が架け渡される。この顎紐25には、マジックテープ(登録商標)等の1対の面ファスナ(接着布)26a,26b及び1対の面ファスナ(接着布)26c,26dが所定位置に取付けられている。
これより、顎紐25の長さ方向の一端側を左右の耳紐24R,24Lの一方のループ内に通し、また、顎紐25の長さ方向の他端側を左右の耳紐24R,24Lの他方のループ内に通し、そして、1対の面ファスナ26a,26bの接合及び1対の面ファスナ26c,26dの接合により1対の耳紐24R,24Lに取付けることで、左右の耳紐24R,24L間に顎紐25を架け渡して、装着者の顎に掛けることができるようになっている。なお、1対の面ファスナ26a,26b及び1対の面ファスナ26c,26dは、顎紐25の厚みの重ね合わせにより緩衝性を高くできるように、また、紐に余剰部が生じてぶらつくことのないように所定位置に設けられている。
耳紐24R,24Lや顎紐25は、例えば、若干のクッション性を有する外装生地Bを筒状にして形成してもよいし、公知のヘルメット等の耳紐や顎紐に使用されているアクリル、ポリプロピレン製のテープ状のものを使用してもよい。また、伸縮性を持たせてもよい。更に、顎紐25に緩衝性を有する幅広部を形成し、その幅広部で顎を受けて保護できるようにしてもよい。この幅広部は顎紐25に対して取付自在としてもよいし、顎紐25と一体化させてもよい。
特に、本実施の形態1では、顎紐25が面ファスナ26a,26b,26c,26dにより耳紐24R,24Lに取付け及び取外し自在である。よって、装着者の好み等に応じて顎紐25を取付けたり取外したりでき、また、新品等との交換も自在であり、使い勝手がよい。
更に、面ファスナ26a,26b,26c,26dの幅の分だけ連続的に小刻みに接続位置を調節して、1対の耳紐24R,24L間を架け渡す顎紐25の重なりの調節により、顎紐25が1対の耳紐24R,24L間を架け渡す長さが調節自在であり、装着者の顎にかける締結力の調節を自在とする。
そして、面ファスナ26a,26b,26c,26dであれば、肌が圧迫されることもなく、更に転倒時に顎等が圧迫されて怪我をするようなこともない。
このように、本実施の形態1では、面ファスナ26a,26b,26c,26dの使用により、1対の耳紐24R,24L間への顎紐25の取付けを自在とし、また、顎紐25を1対の耳紐24R,24L間に架け渡す長さの調節を自在としている。しかし、本発明を実施する場合には、1対の耳紐24R,24Lに顎紐25を取付けて架け渡す取付手段や、顎紐25を1対の耳紐24R,24L間に架け渡す長さの調節手段は、面ファスナ26a,26b,26c,26dに限定されるものではなく、例えば、ドット釦、ホック、ボタン及びボタンホール、スナップボタン、アジャスタ、バックル等を使用してもよい。また、このような取付具、長さ調節具を設けることなく、単に顎紐25を1対の耳紐24R,24Lに結んで取付ける構成としてもよい。
更に、本発明を実施する場合には、耳紐24R,24Lを設けることなく、顎紐25を直接的に左右の側頭保護部22R、22Lに取付ける構造としてもよい。
また、頭頂保護部10を介して前方保護部20とは反対側に位置し、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角方向に配設する本実施の形態1の後方保護部30は、頭部の後頭部側に対応させる略楕円形状の後頭部保護部31から形成されている。
即ち、本実施の形態1では、頭部の右側頭部側及び左側頭部側に対応させる左右の側部としての右側頭保護部22R及び左側頭保護部22Lが前方保護部20側に形成されているから、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角方向の後方保護部30の長さは、前方保護部20の長さより短い。
本実施の形態1の後方保護部30も、緩衝材Aとそれを包む外装生地Bとによって形成されており、例えば、図10(b)に示すように、2枚の表生地B1及び裏生地B2が縫合線sでの縫合わせによって袋状とされた外装生地B1,B2によって緩衝材Aを包み込んで形成される。緩衝材Aや外装生地Bの素材、構成、特性等は、頭頂保護部10、前方保護部20と同一であってもよいし、相異していてもよい。
そして、本実施の形態1では、後方保護部30において、その表面(F)側に、前方保護部20の長さ方向の両端部に設けられた面ファスナ41aR,41aLに対応する面ファスナ41bが縫製によって縫付けられている。
この面ファスナ41bは、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角な方向を左右方向としたときに、後方保護部30において、その左右方向に長く設けられており、前方保護部20の長さ方向の両端部に設けた面ファスナ41aR,41aLとの接続位置が無段階で調節できるようになっている。即ち、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角な方向を左右方向としたときに前方保護部20においてその左右方向の両端部に設けた面ファスナ41aR,41aLが、後方保護部30の面ファスナ41bに接合するとき、面ファスナ41aRが取付けられた前方保護部20の長手方向(左右方向)の一端部と、面ファスナ41aLが取付けられた前方保護部20の長手方向(左右方向)の他端部との、それら両者の間隔(後方保護部30の左右方向の間隔)を無段階で調節自在としている。
これより、後述する図6でも示すように、人体の頭部に被せる頭部保護具1の内周(内径)のサイズを無段階で調節、例えば、頭部保護具1の内周(内径)のサイズを6cm〜11cmで調節自在とする。
更に、面ファスナ41bは、後方保護部30の左右方向に対して直角な上下方向にも幅広とし、前方保護部20の長手方向の両端部に設けた面ファスナ41R,41Lも、前方保護部20の長手方向に対して直角な幅方向に長く設けているから、一対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bとの接続位置は、後方保護部30においてその左右方向に直角な上下方向(高さ方向)でも調節自在である。
よって、人体の頭部に被せる深さも無段階で調節、例えば、4cm〜6cmのサイズ深さで調節自在とする。
つまり、本実施の形態1では、一対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bの幅及び長さの分だけ接続位置を調節して、頭部保護具1の内周径及び頭部に被せる深さを調節できる。特に、接合具が面ファスナであるから、連続的に小刻みに無段階でサイズを調節できる。
更に、本実施の形態1においては、前方保護部20の両端縁に、補助接続具として、紐t(図4参照)が通されるループ43R,43Lを設けており、ループ43R,43Lに1本以上の紐tを通し、紐tの長さを短く結ぶ締め付けにより、後方保護部30に接合させた右側頭保護部22Rと左側頭保護部22Lの間隔の固定を可能とする。これにより、後述する前方保護部20と後方保護部30の接続関係が容易に解かれないように安全性を高めることができる。なお、紐tを結ぶ締め付けにより右側頭保護部22Rと左側頭保護部22Lを連結することに限定されず、ボタン等の係合具に伸縮性のループを掛ける構造や、長さ調節を可能とするアジャスタとバックルを使用した連結構造等であってもよい。
こうして、本実施の形態1の頭部保護具1においては、図1及び図2に示すように、互いに長手方向を一致させて分列した複数の帯状部材10a,10b,10cからなる頭頂保護部10に対し、その帯状部材10a,10b,10cの長手方向の両端に曲折自在に一体に接続しており、前方保護部20及び後方保護部30に取付けた接合具としての一対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bによって、前方保護部20及び後方保護部30が接合及び分離自在であり、かつ、その接合位置が調節自在である。
即ち、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長さ方向の一端部側に、その長さ方向に対して略直角方向に延びる前頭保護部21及び左右の側頭保護部22R,22Lからなる前方保護部20が形成され、また、帯状部材10a,10b,10cの長さ方向の他端部側に、その長さ方向に対して略直角方向に配設する後方保護部30が形成されており、これら帯状部材10a,10b,10cから形成された頭頂保護部10と、前頭保護部21及び左右の側頭保護部22R,22Lからなる前方保護部20と、後頭保護部31からなる後方保護部30とが、それらの面方向を同一とした平面的な成形となっている。なお、平面的に成形とは、複数の帯状部材10a,10b,10cで形成されている頭頂保護部10と、前方保護部20と、後方保護部30の面方向が同一に平面的に展開された状態を意味する。
そして、前方保護部20には、その長さ方向の両端部の裏面(B)側に面ファスナ41aR,41aLが取付けられ、後方保護部30の表面(F)側には面ファスナ41aR,41aLに対応する面ファスナ41bが取付けられている。
更に、前頭保護部21及び左右の側頭保護部22R,22Lからなる前方保護部20と、帯状部材10a,10b,10cからなる頭頂保護部10との両者は、それらの面方向が互いに0〜180度で折れ曲がり自在となっており、また、後方保護部30と帯状部材10a,10b,10cからなる頭頂保護部10の両者間も、それらの面方向が互いに0〜180度で折れ曲がり自在となっている。
したがって、前方保護部20の長さ方向の両端部と後方保護部30とを接近させ、前方保護部20の両端部の裏面(B)側に取付けた面ファスナ41aR,41aLと、後方保護部30の表面(F)側に取付けた面ファスナ41bとを接合すると、前方保護部20と後方保護部30が接続する。
即ち、図4に示すように、前方保護部20を構成する右側頭保護部22Rの一端部の裏面(B)側に設けた面ファスナ41aRと、後方保護部30の表面(F)側に設けた面ファスナ41bとの接合により、後方保護部30の左右方向の一方側で前方保護部20の右側頭保護部22Rと重なり合って接合し、また、前方保護部20を構成する左側頭保護部22Lの一端部の裏面(B)側に設けた面ファスナ41aLと、後方保護部30の表面(F)側に設けた面ファスナ41bとの接合により、後方保護部30の左右方向の他方側で前方保護部20の左側頭保護部22Lと重なり合って接合し、前方保護部20を構成する右側頭保護部22R及び左側頭保護部22が後方保護部30に連結することで、図3乃至図9に示すように、前方保護部20及び後方保護部30が環状に連続する。
このとき、本実施の形態1では、左右の側頭保護部22R,22Lが形成されている前方保護部20の長さが頭部の前頭部側及び左右の側頭部側に対応する長さ以上に形成されており、そして、左右の側頭保護部22R,22Lの一端部側の裏面(B)側に設けた面ファスナ41aR,41aLの相手となる面ファスナ41bが後方保護部30の表面(F)側(外面側)に設けられているから、図4に示すように、前方保護部20の長さ方向の両端部は、互いに対向するように内側に曲折されて、後方保護部30の表面(F)側と前方保護部20の長さ方向の両端部の裏面(B)側が対向して接合される。
特に、本実施の形態1では、前方保護部20側に側頭保護部22R,22Lが形成されており、前方保護部20の長さが頭部の前頭部側及び左右の側頭部側に対応する長さ以上に形成されているから、頭部の後頭部側に対応させる後頭保護部31からなる後方保護部30側に対して、その左右両側に前方保護部20の長手方向の端部が接続し、前方保護部20との接合が行われる。よって、頭部の後頭部側で後方保護部30と前方保護部20とが重複するから、頭部の後頭部側を重点的に保護したい場合に有利である。
なお、本実施の形態1では、後方保護部30の表面(F)側(外面側)に面ファスナ41bが設けられ、また、左右の側頭保護部22R,22Lの一端部側の裏面(B)側に面ファスナ41aR,41aLが設けられており、左右の側頭保護部22R,22Lの一端部側の裏面(B)側と後方保護部30の表面(F)側が対向するように前方保護部20と後方保護部30が重なり合い、頭部に接触する頭部保護具1の内面側には、面ファスナが表出しないから、面ファスナに頭部の髪の毛等が付着するようなこともない。
そして、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長手方向の両端側で前方保護部20及後方保護部30が曲折自在に接続していることから、図3乃至図8に示すように、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して垂直方向に前方保護部20及後方保護部30を位置させると、頭頂保護部10が頭部の頭頂部側に対応し、また、環状に連続した前方保護部20及び後方保護部30がの頭部の水平周囲に対応して、頭部形状に対応する立体形状に組立てられる。
即ち、図3乃至図8に示すように、前方保護部20の面方向が帯状部材10a,10b,10cからなる頭頂保護部10の面方向に対して略垂直な方向に位置し、更に、湾曲可能な程度に柔軟に形成した前方保護部20の長さ方向がU字状に湾曲してその両端側が対向するように内側に曲折され(湾曲され)、頭頂保護部10の面方向に対して垂直な方向に位置した後方保護部30に接合することにより、頭頂保護部10、前方保護部20及び後方保護部30で囲まれる空間、即ち、頭頂保護部10、前方保護部20及び後方保護部30によって頭部が入れられる空間を形成し、頭部に被せる帽子状(ヘルメット状)の立体形状に組立てられる。
このようにして組立てられる本実施の形態1の頭部保護具1においては、頭頂保護部10を形成する3本の帯状部材10a,10b,10cの長手方向が一致して配置され、それらは長手方向の両端部で前方保護部20及び後方保護部30に接続しているも前方保護部20及び後方保護部30の間では相互に結合することなく分列していることで、帯状部材10a,10b,10cの相互間は開口12となっており、そこで空気の流通が許容される。即ち、図9でも示すように、頭部への装着時には頭部の形状に対応して帯状部材10a,10b,10cの相互間が大きく離間し、そこが開口12となっている。
また、本実施の形態1の頭部保護具1においては、中央に位置する帯状部材10bに対して左右に位置する帯状部材10a,10cが、その長手方向の両端部で前方保護部20の前頭保護部21及び後方保護部30の後頭保護部31に接続し、帯状部材10a,10cの長手方向に対して直角な幅方向では前方保護部20及び後方保護部30に接続しておらず、頭部保護具1を立体的に組立てた状態で、頭頂保護部10の面方向に対して略垂直な方向に位置する前方保護部20及び後方保護部30と、帯状部材10a,10b,10cの長さ方向に対して直角な幅方向の頭頂保護部10の左右両側との間が開口13となっている。即ち、帯状部材10a,10cと前方保護部20及び後方保護部30との間が開口13となっており、そこでも空気の流通が許容される。
特に、本実施の形態1の頭頂保護部10は、それを構成する帯状部材10a,10b,10cが互いに長手方向を一致させて分列した形成であるから、帯状部材10a,10b,10c相互間の開口12は、帯状部材10a,10b,10cの長さ方向に延びる連続的な形成である。
また、同様に、帯状部材10a,10cと前方保護部20及び後方保護部30との間の開口13も、帯状部材10a,10b,10cの長さ方向に延びる連続的な形成である。
よって、本実施の形態1の頭部保護具1においては、帯状部材10a,10b,10c相互間に形成される開口12、並びに、帯状部材10a,10cと前方保護部20及び後方保護部30との間に形成される開口13が、帯状部材10a,10b,10cの長さ方向に延びて連続的であり、装着時に頭部の前方側から頭頂部側を通って後方側まで連続しているから、場合によっては空気の流れを生じさせることもでき、頭部全体の熱や湿気が効果的に逃げて、熱や湿気がこもり難い。そして、頭部の前方側から頭頂部側を通って後方側に向かう連続的な開口が、帯状部材10aと帯状部材10bの間の開口12及び帯状部材10bと帯状部材10cの間の開口12、並びに、帯状部材10aと前方保護部20及び後方保護部30側と間の開口13及び帯状部材10cと前方保護部20及び後方保護部30側と間の開口13の4箇所に分布し、頭部の広範囲で熱や湿気を効果的に逃げ易くしている。
更に、本実施の形態1の頭部保護具1においては、前方保護部20の両端部の裏面(B)側に設けた面ファスナ41aR,41aLと後方保護部30の表面(F)側に設けた面ファスナ41bとの接合で、前方保護部20及び後方保護部30が環状に連続的に接続され、前方保護部20及び後方保護部30の厚みの重複が2箇所のみであるから、厚みの重複による通気性低下の影響も少ない。
更にまた、本実施の形態1の頭部保護具1においては、このように頭頂保護部10が互いに長手方向を一致させて分列した複数の帯状部材10a,10b,10cで形成され、帯状部材10a,10b,10cがその長手方向で前方保護部20及び後方保護部30と接続するのみで、帯状部材10a,10b,10cの長さ方向に直角な幅方向では、帯状部材10a,10b,10c相互間に帯状部材10a,10b,10cの長手方向に延びる連続的な開口12が形成され、また、帯状部材10a,10cと前方保護部20及び後方保護部30と間に帯状部材10a,10b,10cの長手方向に延びる連続的な開口13が形成されているから、それら頭部保護具1の前方側から後方側に向かって連続的に形成された開口12及び開口13により、複数の帯状部材10a,10b,10cの相互間の間隔が変形自在(変化自在)であり、頭部の形状に追従するフィット性が得られる。
このように、本実施の形態1の頭部保護具1においては、帯状部材10a,10b,10c相互間で帯状部材10a,10b,10cの長さ方向に延びる連続的な形成の開口12と、帯状部材10a,10cと前方保護部20及び後方保護部30との間で帯状部材10a,10b,10cの長さ方向に延びる連続的な形成の開口13とによって、通気性を高めることができ、また、頭部の形状に対応するフィット性を得ることができる。更に、前方保護部20及び後方保護部30の厚みの重複が2箇所のみであるから、厚みの重複による通気性低下の影響も少ない。よって、装着時の快適さを高めることができる。
特に、メッシュ状繊維で形成され軽量なポリエステル、綿等の生地を外装生地Bに使用することで、通気性が高くなり、洗濯も可能であるから、衛生さ、清潔さを保つことができる。更に、長時間の装着でも重さを感じることが少なく、装着の重さによる負担も少なくできる。
即ち、従来の保護帽では、衝撃吸収や保護性の重視から丈夫な革素材で形成されていたため、通気性に欠けて蒸れ易かったり、その厚みによって視野を狭く感じたり重さを感じたりすることで煩わしさを感じ、その装着に不快感を示す小児も多かった。また、重厚感やボリュームにより装着時の見た目にもバランスの悪さを感じ保護帽を被っての外出は敬遠されがちであった。
これに対し、本実施の形態1の頭部保護具1においては、前方から後方に向かって連続的形成された開口12及び開口13によって、頭部形状に対するフィット性が得られ、軽量でもあるから、図9にも示すように、人体の頭部に対して見た目にバランスされた装着を可能とし、外観性の向上を可能とする。
そして、本実施の形態1の頭部保護具1では、このように前方保護部20の長手方向の両端部の裏面(B)側に設けた面ファスナ41aR,41aLと後方保護部30の表面(F)側に設けた面ファスナ41bとの接合で、前方保護部20及び後方保護部30を環状に連続的に接続し、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して垂直方向に前方保護部20及後方保護部30を位置することで、頭部に被せる立体的な組立状態となるが、前方保護部20と後方保護部30の接続において、前方保護部20の長さ方向に直角な幅方向に長く設けた面ファスナ41aR,41aL及び後方保護部30の長さ方向及び幅方向に広大な面積で設けた面ファスナ41bにより、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bの接続位置の選択を自在としている。即ち、図6において、前方保護部20を形成する左右の側頭保護部22R,22Lの端部を対向させる左右方向の間隔、及び、左右の側頭保護部22R,22Lの後方保護部30に対する上下方向(高さ方向)の接続位置の調節が自在である。
したがって、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bの接合位置の調節により、頭部の寸法に合わせて、頭部保護具1の内径(内周囲)及び頭部に被せる深さが調節自在である。これより、個人の頭部の寸法形状、頭部の成長や症例の変化、髪型、髪のボリューム、好み等に対応して、頭部にフィットさせることができ、快適な装着を可能とする。特に、個人の頭部の症状や成長にも対応させることができ、長期間に亘っての使用を可能とする。即ち、装着者の頭部が成長したときでも、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bの接合位置の調節により頭部保護具1の内径(内周囲)を大きくする等によって、装着者の頭部の寸法形状に対応させることができるから、圧迫して窮屈感や痛みを感じさせることもなく長期に亘って快適に装着できる。故に、買い替えの金銭的負担を減らすこともできる。更に、頭部に被せるその深さの調節により装着者の頭部の形状等に応じて最適なフィット感を得ることができ、見た目にもシルエットバランスのよい装着形態を可能とする。
更に、本実施の形態1の頭部保護具1の製造は、頭頂保護部10を形成する互いに長手方向を一致させた帯状部材10a,10b,10cの長さ方向の一端部に、その長さ方向に対して略直角方向に延びる前頭保護部21及び側頭保護部22R,22Lからなる前頭保護部20を形成し、また、帯状部材10a,10b,10cの長さ方向の他端部に、その長さ方向に対して略直角方向に配設する後頭保護部31からなる後方保護部30を形成し、互いに長手方向を一致させて分列した帯状部材10a,10b,10cからなる頭頂保護部10と、前頭保護部21及び側頭保護部22R,22Lからなる前頭保護部20と、後頭保護部31からなる後方保護部30とを平面的に成形するものであるから、その縫製作業も極めて容易である。
特に、頭部の頭頂部側に対応させる頭頂保護部10を介して離間した配置の前方保護部20及び後方保護部30を1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bによって接続自在としていることで、接合箇所も前方保護部20及び後方保護部30のみの接続であり、接合の構成及び接続関係がシンプルで、形状も単調で縫製も分かり易い。よって、緩衝材Aや外装生地Bの裁断作業や、緩衝材Aを外装生地Bで被覆する縫製作業や、各パーツを接続する縫製作業が簡単である。更に、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bのみの接合であるから、面ファスナの材料コストも節減でき、面ファスナを縫製等によって取付ける作業も短時間で簡単に済む。よって、製造が簡単であり、コストも廉価である。
更に、本実施の形態1の頭部保護具1では、前方保護部20と後方保護部30は、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角方向の左右両側が、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bによって接合及び分離自在であり、前方保護部20と後方保護部30を連続して一体に形成する場合と比較してカーブのラインがないから、縫製が容易であり、人為的誤差が介在しにくい縫製が可能である。特に、緩衝性が高い緩衝材Aを使用しても、即ち、厚みがあったり硬かったりして可撓性が低い緩衝材Aであっても、平面的な成形による歪みが生じ難い。よって、縫製作業がより簡単であり、歪みの少ない仕上がり精度が高いものとなる。
更にまた、本実施の形態1の頭部保護具1では、前方保護部20と頭頂保護部10とが略T字状に一体に接続され、また、後方保護部30と頭頂保護部10も略T字状に一体に接続されているから、前方保護部20及び後方保護部30のシルエットに方向転換のカーブラインが存在せず、直線的なラインの縫製であるから、極めて容易に縫製できる。
加えて、本実施の形態1の頭部保護具1は、このように1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bの接合、及び、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して垂直方向に前方保護部20及び後方保護部30を位置することにより、頭部に被せる形状に立体的に組立てるものであり、頭部保護具1を使用しないときには、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bの接合を解いて平面的に展開できるから、収納・保管の際の空間スペースを節約できる。特に、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cと前方保護部20及び後方保護部30とは、互いに面方向が直角方向に曲折自在に接続されているから、それらを曲折げてコンパクトに畳むことも可能である。
このように、本実施の形態1の頭部保護具1は、互いに長手方向を一致させた複数の帯状部材10a,10b,10cで形成され、装着対象である頭部の頭頂部側を保護する頭頂保護部10と、頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向の一端側に曲折自在に接続し、頭部の前方側を保護する前方保護部20と、頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向の他端側に曲折自在に接続し、頭部の後方側を保護する後方保護部30と、前方保護部20に形成され、頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角方向に配設する左右の側部としての側頭保護部22R,22Lと、複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向の両端側で曲折自在に接続した前方保護部20及び後方保護部30に取付けられ、前方保護部20及び後方保護部30を接合及び分離自在とし、かつ、前方保護部20と後方保護部30の接合位置を調節自在とする接合具としての1対の面ファスナ41aR,41aL及び面ファスナ41bとを具備し、前方保護部20及び後方保護部30を1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bで接合して立体的組立状態とし、接合した前方保護部20及び後方保護部30と、頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの間に開口13が形成されているものである。
こうして、本実施の形態1の頭部保護具1は、互いに長手方向を一致させて分列する複数の帯状部材10a,10b,10cで形成された頭頂保護部10に対し、その帯状部材10a,10b,10cの長手方向の一端側に前方保護部20が接続し、反対側の他端側に後方保護部30が接続しており、前方保護部20には複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角方向に配設する側頭保護部22R,22Lが形成されている。また、頭頂保護部10と、左右の側頭保護部22R,22Lが形成されている前方保護部20と、後方保護部30とは面方向を同一として平面的に成形されている。即ち、平面的に展開自在である。
そして、各前方保護部20、後方保護部30は、帯状部材10a,10b,10cの長手方向の一端側で曲折自在な接続であり、また、左右の側頭保護部22R,22Lが形成された前方保護部20の長手方向の両端部に取付けた面ファスナ41aR,41aLと後方保護部30に取付けた面ファスナ41bとによって、前方保護部20及び後方保護部30が環状に接合及び分離自在で、かつ、その接合位置が調節自在である。
よって、左右の側頭保護部22R,22Lが形成されて帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角方向に延びる前方保護部20の長手方向の各端部と、後方保護部30とを重ね、前方保護部20の長さ方向の各端部の裏面(B)側に取付けた面ファスナ41aR,41aLと後方保護部30の表面(F)側に取付けた面ファスナ41bを接合して、左右の側頭保護部22R,22Lが形成されている前方保護部20と後方保護部30とを接合すると、頭頂保護部10の帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して垂直方向に前方保護部20及び後方保護部30を位置し人体の頭部に被せる立体的な組立状態になる。
即ち、頭頂保護部10が、所謂、帽子のトップクラウン側に相当して頭部の頭頂部側に対応し、左右の側頭保護部22R,22Lが形成されている前方保護部20及び後方保護部30が、所謂、帽子のサイドクラウン側に相当し頭部の水平周囲(頭囲)側に対応する。
ここで、本実施の形態1の頭部保護具1によれば、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bによって、頭部の水平周囲(頭囲)側に対応する前方保護部20及び後方保護部30の接合位置が調節自在であるから、頭部の寸法形状に応じて頭部に被せるサイズ、即ち、複数の帯状部材10a,10b,10cから形成される頭頂保護部10と、その帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して垂直方向に位置させた前方保護部20及び後方保護部30とによって囲まれる空間サイズの調節が可能である。
また、本実施の形態1の頭部保護具1は、このように頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向の両端に、前方保護部20及び後方保護部30を配設し、頭頂保護部10を介して離間した配置の前方保護部20及び後方保護部30を1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bによって接合自在とする構成である。そして、頭頂部側に対応させる頭頂保護部10は、互いに長手方向を一致させて分列した複数の帯状部材10a,10b,10cで形成されており、帯状部材10a,10b,10cの長手方向の両端部で前方保護部20及び後方保護部30と一体に接続しているも、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角な幅方向では、帯状部材10a,10b,10cが互い結合しておらず、また、前方保護部20及び後方保護部30とも結合しておらず、立体的な組立状態で、帯状部材10a,10b,10cの相互間に開口12が形成され、更に、帯状部材10a,10cと前方保護部20及び後方保護部30と間にも開口13が形成されている。
このように帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角な幅方向の両側に形成されている開口12及び開口13は、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に延び連続的であるから、そのような開口12及び開口13によって、頭部保護具1の装着時には頭部がその前頭部側から頭頂部側を通って後頭部側に向かう一続きで外気に触れることになる。即ち、部分的でなく頭部の前方側から後方側に向かう広領域に亘って連続的に開口し、場合によっては、頭部の前方側から後方側に向かう領域に対応する連続的な開口12及び開口13により空気の流れを生じさせることができるから、頭部の熱や湿気を効果的に逃がすことができる。また、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に連続的に延びる開口12,13が、帯状部材10a,10b,10cの相互間、並びに、帯状部材10a,10b,10cと前方保護部20及び後方保護部30との間に分布しているから、頭部の広範囲で熱や湿気を効果的に逃げ易くしている。
更に、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bの接合も後方保護部30の左右両側で前方保護部20の長さ方向の両端部と接合するのみであるから、前方保護部20及び後方保護部30の厚みの重複による通気性低下の影響も少ない。
更にまた、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に連続的に延びる開口12,13により、頭部の形状に応じて頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの間隔が変形自在(変化自在)であり、頭部の形状に追従するフィット性が得られ、頭部の形状への馴染みがよい。
よって、通気性及びフィット性の向上により装着の快適さを向上させることができる。
そして、本実施の形態1の頭部保護具1は、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長手方向の両端に、前方保護部20及び後方保護部30を曲折自在に接続し、また、前方保護部20に帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角方向に配設する左右の側頭保護部22R,22Lを形成し、前方保護部20及び後方保護部30に1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bを取付け、前方保護部20及び後方保護部30を1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bで接合して立体的組立状態とするものであり、平面的な展開状態及び立体的組立状態に自在に形成したものであるから、平面的な成形により縫製作業も容易である。
特に、頭部の頭頂部側に対応させる頭頂保護部10を介して離間した配置の前方保護部20及び後方保護部30を1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bによって接続自在としていることで、接合箇所も前方保護部20及び後方保護部30のみの接続であり、接合の構成及び接続関係がシンプルであり、形状も単調である。よって、緩衝材Aや外装生地Bの裁断作業、緩衝材Aを外装生地Bで包み込む縫製、各パーツを接続する縫製作業が簡単である。更に、面ファスナの数も少なく、材料コストも節減でき及び面ファスナを縫製等によって取付ける作業も短時間で簡単に済む。
よって、製造が簡単であり、コストも廉価になり、安価な製品の提供を可能とする。
なお、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bLの取付位置は上記説明と表裏を逆にしてもよいし、複数に分けて段階的に接続位置を調節する形態としても良い。しかし、上記実施の形態1のように頭部保護具1の外面側で、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bLを接合する形態では、面ファスナにより頭部を圧迫したり、違和感を生じさせたりすることもなく、頭部保護具1の頭部への装着時において、面ファスナに髪が付着することもない。また、上記実施の形態1のように面ファスナの個数が3つであるとその取付作業も容易である。
更に、本実施の形態1の頭部保護具1によれば、前方保護部20と後方保護部30は、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角方向の左右両側が、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bによって接合及び分離自在であり、前方保護部20と後方保護部30が連続して一体に形成するカーブのラインもないから、人為的誤差が介在しにくい縫製が可能である。特に、緩衝性が高い緩衝材Aを使用しても、即ち、厚みがあったり硬かったりして可撓性が低くても、平面的な成形による歪みが生じ難い。よって、縫製作業がより簡単であり、歪みの少ない仕上がり精度が高いものとなる。
更にまた、本実施の形態1の頭部保護具1によれば、前方保護部20と頭頂保護部10とが略T字状に一体に接続され、また、後方保護部30と頭頂保護部10も略T字状に一体に接続されているから、前方保護部20及び後方保護部30のシルエットに方向転換のカーブラインが存在せず、直線的なラインであるから、縫製が極めて容易にできる。
そして、本実施の形態1の頭部保護具1によれば、接合箇所も頭部の水平周囲(頭囲)側に対応する前方保護部20及び後方保護部30のみの接続であるから、接合操作及びその解除操作の箇所も少ない。そして、頭部の水平周囲(頭囲)側に対応する前方保護部20及び後方保護部30において1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bによる接続が行われるから、高い圧迫力が掛かり易い頭頂部側での接続と比べてその結合も外れにくい。よって、取扱性にも優れる。
加えて、頭頂保護部10、前方保護部20及び後方保護部30は平面的な成形であり、前方保護部20及び後方保護部30の1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bの接合を解除することで平面的に展開自在であり、即ち、立体的な組立状態を平面的に展開できるから、保管・収納の空間スペースを削減することができる。特に、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cと前方保護部20及び後方保護部30とは、互いに面方向が0〜180度に曲折自在に接続されているから、それらを曲折してコンパクトに畳むことも可能である。
このようにして、本実施の形態1の頭部保護具1によれば、サイズ調節が可能であり、かつ、製造が簡単でコストを抑えることができ、また、収納・保管のための空間スペースを削減でき、更に、装着の快適性を向上し、取扱性にも優れる。
また、本実施の形態1の頭部保護具1によれば、頭頂保護部10、前方保護部20及び後方保護部30が、弾性に富む芯材Cを入れた緩衝材Aを外装生地Bで被覆して形成されているから、頭頂保護部10、前方保護部20及び後方保護部30に芯材Cを入れた緩衝材Aが配設されていることで頭部を全体的に保護できる。また、頭頂保護部10、前方保護部20、後方保護部30の各部位によって芯材Cを入れた緩衝材Aの厚み、弾性(緩衝性)、硬さ等を任意に選択することで、または、芯材Cを入れた緩衝材Aを被覆する外装生地Bの素材、種類等を任意に選択することで、衝撃吸収力や通気性を部位によって調節でき、頭部に対応させる特定の部位で衝撃吸収性を高めることもできる。
そして、本実施の形態1の頭部保護具1において、外装生地Bをメッシュ状繊維で形成すると、頭部に触れる頭頂保護部10、前方保護部20及び後方保護部30の通気性が向上し、頭部からの湿気や熱が逃れやすくなり、蒸れや暑さを軽減できる。更に、外装生地Bに包まれた緩衝材Aにおいても表裏に貫通する孔Pが形成されていると空気の流通が許容され、頭部からの湿気や熱がより逃れやすくなり蒸れや暑さを軽減できる。また、頭部保護具1の軽量化を図ることができる。よって、装着の快適さをより向上させることができる。
更に、本実施の形態1の頭部保護具1によれば、前方保護部20の頭頂保護部10への接続側とは反対側で外方向に突出し、前方保護部20の面方向に対して直角方向に曲折自在に接続した鍔部23を有するから、日除け効果があるばかりでなく、見た目にも、通常のファッション、防暑(日除け)、制帽等として使用されている鍔を有する帽子と類似するファッション性を有する。
加えて、本実施の形態1の頭部保護具1によれば、前方保護部20に形成した左右の側頭保護部22R,22Lに環状に一体に接続され、耳の周りに配設させる左右の耳紐24R,24Lと、左右の耳紐24R,24L間に架け渡す顎紐25とを有するから、両耳を前方保護部20に形成した左右の側頭保護部22R,22Lが覆うことはない。即ち、音の聞き取りに支障がでることはない。また、耳紐24R,24L間に架け渡す顎紐25を人体の顔の顎に掛けることで、頭部から外れ難くできる。
しかし、本発明を実施する場合には、顎紐25、耳紐24R,24L、鍔部23を適宜省略してもよい。例えば、図11及び図12に示すように、耳紐24R,24Lを省略し、前方保護部20に形成した左右の側頭保護部22R,22Lが両耳を覆って保護できる形態としてもよい。
図11及び図12に示す変形例に係る頭部保護具1では、前方保護部20側に形成され頭部の側頭部側に対応する左右の側頭保護部22R,22Lが幅広に形成され、両耳を覆う大きさに設計されている。即ち、変形例に係る頭部保護具1においては、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角方向に延びる前方保護部20の長手方向の両端側が、その長手方向に対して直角な幅方向で頭頂保護部10側とは反対方向で幅広に延び、前方保護部20が略コ字状に形成されている。
そして、変形例に係る頭部保護具1においても、頭頂保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角方向に延びる前方保護部20の長手方向の両端部の裏面側に、接合具としての面ファスナ41aR,41aLが取付けられている。なお、図11においては、各面ファスナ41aR,41aLは、前方保護部20の長手方向に対して直角な幅方向に長く設けているが、所定間隔で複数個を設けてもよい。
更に、変形例に係る頭部保護具1では、顎紐25を左右の側頭保護部22R,22Lに取付けるための小径な左右のリング27R,27Lが、左右の側頭保護部22R,22Lの幅方向の一端側(頭頂保護部10側とは反対側であって、頭部に装着した際に下方側となる位置)に取付けられている。顎紐25には、上記実施の形態1ときと同様、マジックテープ(登録商標)等の1対の面ファスナ(接着布)26a,26b及び1対の面ファスナ(接着布)26c,26dが所定位置に取付けられている。よって、変形例においても、顎紐25の長さ方向の一端側を左右のリング27R,27Lの一方のループ内に通し、また、顎紐25の長さ方向の他端側を左右の27R,27Lの他方のループ内に通し、そして、1対の面ファスナ26a,26bの接合及び1対の面ファスナ26c,26dの接合により左右のリング27R,27Lに取付けることで、左右のリング27R,27L間に顎紐25を架け渡して、装着者の顎に掛けることができるようになっている。
また、変形例に係る頭部保護具1では、左右の側頭保護部22R,22Lの幅広な形成に対応して、後部保護部30を形成する後頭保護部31においても幅広に形成され、後頭部側もより広い範囲の保護を可能としている。そして、後頭保護部31の表面(F)側にも、左右の側頭保護部22R,22Lに設けた面ファスナ41aR,41aLに対応する面ファスナ41bが取付られている。図11において、面ファスナ41bは、後頭保護部31の上下及び左右方向の広い面積で設けているが、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角な左右方向の両側で複数個設けるようにしてもよいし、左右方向に直角な上下方向に所定間隔で複数個設けるようにしてもよい。
このような構成の変形例に係る頭部保護具1では、人体の頭部に深く被せ、顔面側を除いて頭部全体をすっぽりと深く覆って、より広い範囲で頭部全体を保護できる。なお、後頭保護部31の大きさ寸法は上記実施の形態1と同様とし、左右の側頭保護部22R,22Lで部分的に幅広として両耳を覆うようにしてもよい。
[実施の形態2]
次に、本実施の形態2に係る頭部保護具について、図13及び図14を参照して説明する。
本実施の形態2では、帯状部材10a,10b,10cからなる頭頂保護部10の構成は上記実施の形態1と同じであるが、前方保護部20及び後方保護部の構成が上記実施の形態1と相違する。具体的には、上記実施の形態1では、頭部の右側頭部側及び左側頭部側に対応させる左右の側頭保護部22R,22Lを前方保護部20側に形成したのに対し、本実施の形態2では、頭部の右側頭部側及び左側頭部側に対応させる左右の側頭保護部22R,22Lを後方保護部30側に形成した点で相違する。ここでは、相違する点のみ説明する。
図13及び図14に示したように、本実施の形態2に係る頭部保護具100では、頭部の左右の側頭部側に対応させる左右の側頭保護部22R,22Lを後方保護部30側に形成しており、前方保護部20よりも後方保護部30の方が、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角方向に延びる長さが長くなっている。そして、本実施の形態2では、後方保護部30の長さが頭部の後頭部側及び左右の側頭部側に対応する長さ以上に形成されており、頭部の前頭部側に対応させる前頭保護部21からなる前方保護部20側において、その左右両側に後方保護部30の長手方向の端部が接続し、後方保護部30との接合が行われる構造となっている。
つまり、本実施の形態2に係る前方保護部20は、帯状部材10a,10b,10cの一端側にその長手方向に対して直角方向に配設する前頭保護部21から形成され、一方、本実施の形態2に係る後方保護部30は、帯状部材10a,10b,10cの他端側にその長手方向に対して直角方向に配設する後頭保護部21と後頭保護部21の左右の両側に延びる左右の側頭保護部22R,22Lとが連続的に形成されてなるものである。
そして、本実施の形態2に係る頭部保護具100では、前方保護部20の表面(F)側において帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角な左右方向の両側に面ファスナ41aR、41aLが取付けられ、また、後方保護部30の裏面側において、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角な左右方向の両側に、面ファスナ41aRに対応する面ファスナ41bR、面ファスナ41aLに対応する面ファスナ41bLが取付けられている。つまり、前頭部保護部21の長さ方向の左右両側に面ファスナ41aR、41aLが取付けられ、また、後方保護部30の長さ方向の左右両側の側頭保護部22R,22Lに面ファスナ41bR、41bLが取付けられている。
したがって、前方保護部20の長手方向(左右方向)の両端部で表面(F)側に取付けた面ファスナ41aR,41aLと、後方保護部30の長手方向の両端部で裏面側に取付けた面ファスナ41bR,41bLとを接合すると、前方保護部20と後方保護部30が接続する。即ち、後方保護部30を構成する左右の側頭保護部22R,22Lの端部側で裏面側に設けた面ファスナ41bR,41bLと、前方保護部20の端部側で表面(F)側に設けた面ファスナ41aR,41aLの接合により、後方保護部30側に形成した左右の側頭保護部22R,22Lの端部側の裏面側と前方保護部20の表面(F)側が対向するように前方保護部20と後方保護部30が重なり合い、前方保護部20と後方保護部30が環状に連続する。本実施の形態2では、図14に示すように、後方保護部30側に左右の側頭保護部22R,22Lが形成されており、後方保護部30の長さが頭部の後頭部側及び左右の側頭部側に対応する長さ以上に形成されているから、前頭保護部21からなる前方保護部20の左右両側において、後方保護部30の長さ方向の両端部が互いに近づくように内側に曲折されて、前方保護部20の長さ方向の端部の表面(F)側と後方保護部30の長さ方向の端部の裏面側が対向して接合される。これより、頭部の前頭部側で、前方保護部20と後方保護部30とが重複するから、頭部の前頭部側を重点的に保護したい場合に有利である。
こうして、本実施の形態2に係る頭部保護具100においても、頭頂保護部10の面方向に対して略垂直な方向に位置させる後頭保護部31及び左右の側頭保護部22R,22Lからなる後方保護部30が、湾曲可能な程度に柔軟に形成したその長さ方向でU字状に湾曲してその両端側が近づくように内側に曲折され(湾曲され)、頭頂保護部10の面方向に対して垂直な方向に位置した前頭保護部21からなる前方保護部20に接合することにより、頭頂保護部10、前方保護部20及び後方保護部30で囲まれる空間、即ち、頭頂保護部10、前方保護部20及び後方保護部30によって頭部が入れられる空間を形成し、頭部に被せる帽子状(ヘルメット状)の立体形状に組立てられる。
このように、本実施の形態2の頭部保護具100は、互いに長手方向を一致させた複数の帯状部材10a,10b,10cで形成され、装着対象である頭部の頭頂部側を保護する頭頂保護部10と、頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向の一端側に曲折自在に接続し、頭部の前方側を保護する前方保護部20と、頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向の他端側に曲折自在に接続し、頭部の後方側を保護する後方保護部30と、後方保護部30に形成され、頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角方向に配設する左右の側部としての側頭保護部22R,22Lと、複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向の両端部で曲折自在に接続した前方保護部20及び後方保護部30に取付けられ、前方保護部20及び後方保護部30を接合及び分離自在とし、かつ、前方保護部20と後方保護部30の接合位置を調節自在とする接合具としての1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bR,41bLとを具備し、前方保護部20及び後方保護部30を1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bで接合して立体的組立状態とし、接合した前方保護部20及び後方保護部30と、頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの間に開口13が形成されているものである。
このような構成の本実施の形態2に係る頭部保護具100では、上記実施の形態1よりも面ファスナの個数を1つだけ多くしているが、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
特に、頭部の前頭部側で1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bR,41bLの接合により前頭保護部21と後方保護部30が重ねられるから頭部の前頭部側の保護を重点的にできる。なお、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bR,41bLの取付位置は上記説明と表裏を逆にしてもよいし、複数個に分けてもよい。
勿論、本実施の形態2においても、顎紐25、耳紐24R,24L、鍔部23を省略してもよいし、上記変形例のように両耳を覆って保護できる形態としてもよい。
次に、本実施の形態3に係る頭部保護具について、図15及び図16を参照して説明する。
本実施の形態3においても、帯状部材10a,10b,10cからなる頭頂保護部10の構成は上記実施の形態1,2と同じであるが、前方保護部20及び後方保護部30の構成が上記実施の形態1,2と相違する。具体的には、本実施の形態3では、頭部の右側頭部側及び左側頭部側に対応させる左右の側部としての側頭保護部22R,22Lを前方保護部20側及び後方保護部30側に分けて形成した点で相違する。ここでも、相違する点のみ説明する。
図15及び図16に示したように、本実施の形態3に係る頭部保護具200では、頭部の左右の側頭部側に対応させる左右の側頭保護部22R,22Lを前方保護部20及び後方保護部30側に分けて形成しており、前方保護部20と後方保護部30とで帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して略直角方向に延びる長さを同等に形成している。
即ち、本実施の形態3では、頭部の右側頭部側に対応させる右側頭保護部22Rが、前方保護部20側に形成した前方右側部22ARと、後方保護部30側に形成した後方右側部22BRとから構成され、頭部の左側頭部側に対応させる左側頭保護部22Lが、前方保護部20側に形成した前方左側部22ALと、後方保護部30側に形成した後方左側部22BLとから構成されており、前方保護部20側に形成した前方右側部22ARと後方保護部30側に形成した後方右側部22BRとの両者で頭部の右側頭部側に対応させる長さとし、また、前方保護部20側に形成した前方左側部22ALと後方保護部30側に形成した後方左側部22BLとの両者で頭部の左側頭部側に対応させる長さとしている。
そして、本実施の形態3に係る前方保護部20は、帯状部材10a,10b,10cの一端側にその長手方向に対して直角方向に配設する前頭保護部21と前頭保護部21の左右の両側に延びる前方右側部22AR及び前方左側部22ALとが連続的に形成されてなり、また、本実施の形態3に係る後方保護部30は、帯状部材10a,10b,10cの他端側にその長手方向に対して直角方向に配設する後頭保護部21と後頭保護部21の左右の両側に延びる後方右側部22BR及び後方左側部22BLとが連続的に形成されてなるものである。
本実施の形態3に係る頭部保護具200においても、前方保護部20の表面(F)側において帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角な長さ方向の両側に面ファスナ41aR、41aLが取付けられ、また、後方保護部30の裏面側において、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角な長さ方向の両側に、面ファスナ41aRに対応する面ファスナ41bR、面ファスナ41aLに対応する面ファスナ41bLが取付けられている。つまり、前方保護部20の長さ方向の左右両側の前方右側部22AR,前方左側部22ALに面ファスナ41aR、面ファスナ41aLが取付けられ、また、後方保護部30の長さ方向の左右両側の後方右側部22BR,後方左側部22BLに、面ファスナ41bR,面ファスナ41bLが取付けられている。
したがって、前方保護部20の長手方向の両端部で表面(F)側に取付けた面ファスナ41aR,41aLと、後方保護部30の長手方向の両端部で裏面側に取付けた面ファスナ41bR,41bLとを接合すると、前方保護部20と後方保護部30が環状に接続する。即ち、前方保護部20を構成する左右の前方右側部22AR,前方左側部22ALの端部側で表面(F)側に設けた面ファスナ41aR,41aLと、後方保護部30を構成する左右の後方右側部22BR,後方左側部22BLの端部側で裏面側に設けた面ファスナ41bR,41bLとの接合により、後方保護部30側に形成した左右の後方右側部22BR,後方左側部22BLの裏面側と、前方保護部20側に形成した左右の前方右側部22AR,前方左側部22ALの表面(F)側が対向するように前方保護部20と後方保護部30が重なり合い、前方保護部20と後方保護部30が環状に連続する。
特に、本実施の形態3では、頭部の左右の側頭部側に対応させる左右の側頭保護部22R,22Lを前方保護部20及び後方保護部30側に分けて形成しており、頭部の側頭部側で前方保護部20側及び後方保護部30側が接続し接合する。即ち、前方保護部20の長さ方向の一端側の前方右側部22ARの表面(F)側と、後方保護部30の長さ方向の一端側の後方右側部22BRの裏面とが対向して接合され、また、前方保護部20の長さ方向の一端側の前方左側部22LRの表面(F)側と、後方保護部30の長さ方向の一端側の後方左側部22BLの裏面側とが対向して接合される。よって、図16で示すように、頭部の右側頭部側で、前方右側部22AR及び後方右側部22BRが重複し、また、頭部の左側頭部側で、前方左側部22BL及び後方左側部22BLが重複するから、頭部の左右の側頭部側を重点的に保護したい場合に有利である。
こうして、本実施の形態3に係る頭部保護具200においても、頭頂保護部10の面方向に対して垂直な方向に位置させる前頭保護部21及び左右の前方右側部22AR、前方左側部22ALからなる前方保護部20が湾曲可能な程度に柔軟に形成したその長さ方向でU字状に湾曲し、また、頭頂保護部10の面方向に対して略垂直な方向に位置させる後頭保護部31及び左右の後方右側部22BR、後方左側部22BLからなる後方保護部30が湾曲可能な程度に柔軟に形成したその長さ方向でU字状に湾曲し、前方保護部20側に形成した前方右側部22AR、前方左側部22ALと、後方保護部30側に形成した後方右側部22BR、後方左側部22BLとを重ね合わせて接合することにより、頭頂保護部10、前方保護部20及び後方保護部30で囲まれる空間、即ち、頭頂保護部10、前方保護部20及び後方保護部30によって頭部が入れられる空間を形成し、頭部に被せる帽子状(ヘルメット状)の立体形状に組立てられる。
また、本実施の形態3に係る頭部保護具200では、前方保護部20に形成した左右の各前方右側部22AR、前方左側部22ALにおいて、頭部に装着した際に下方側であって耳の前方側に位置する部位)で幅広に形成した突出部分を設け、そこに顎紐25を取付けている。この顎紐25には、1対の面ファスナ26a,26bが取付けられ、それらの接合により、前方右側部22ARと前方左側部22AL間を顎紐25を架け渡して、装着者の顎に掛けることができるようになっている。なお、顎紐25を左右の側頭保護部22R,22Lに取付けるための小径な左右のリング等を設けて顎紐25を着脱自在な構成としてもよい。
このように、本実施の形態3の頭部保護具200は、互いに長手方向を一致させた複数の帯状部材10a,10b,10cで形成され、装着対象である頭部の頭頂部側を保護する頭頂保護部10と、頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向の一端側に曲折自在に接続し、頭部の前方側を保護する前方保護部20と、頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向の他端側に曲折自在に接続し、頭部の後方側を保護する後方保護部30と、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角方向に配設する前方保護部20側に形成された前方右側部22AR、前方左側部22AL、及び、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角方向に配設する後方保護部30側に形成された後方右側部22BR、後方左側部22BLから構成された左右の側部としての側頭保護部22R,22Lと、複数の帯状部材10a,10b,10cの長手方向の両端部で曲折自在に接続した前方保護部20及び後方保護部30に取付けられ、前方保護部20及び後方保護部30を接合及び分離自在とし、かつ、前方保護部20と後方保護部30の接合位置を調節自在とする接合具としての1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bR,41bLとを具備し、前方保護部20及び後方保護部30を1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bで接合して立体的組立状態とし、接合した前方保護部20及び後方保護部30と、頭頂保護部10を形成する複数の帯状部材10a,10b,10cの間に開口13が形成されているものである。
このような構成の本実施の形態3に係る頭部保護具200でも、上記実施の形態1よりも面ファスナの個数を1つだけ多くしているが、上記実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。なお、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41bR,41bLの取付位置は上記説明と表裏を逆にしてもよいし、複数に分けてもよい。
特に、頭部の側頭部側で、前方保護部20及び後方保護部30が重ねられるから側頭部側の保護を重点的にできる。
なお、上記実施の形態3の説明では、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角方向の前方保護部20及び後方保護部30の長さを同様にしているが、前方右側部22AR及び後方左側部22BRから構成される右側頭保護部22Rが、頭部の右側頭部側に対応する長さ以上であれば、前方右側部22ARと後方右側部22BRの長さの分配比は特に問われない。左側頭保護部22Lを構成する前方左側部22ALと後方左側部22BLについても同様である。更に、左右対称にバランスさせなくともよい。
また、本発明を実施する場合には、右側頭保護部22Rまたは左側頭保護部22Lのどちらか一方を前方保護部20側に形成し、右側頭保護部22Rまたは左側頭保護部22Lのどちらか他方を後方保護部30側に形成してもよく、頭部の前頭部側及び後頭部側で接合を行うようにしてもよい。更に、頭部の右側頭部側または左側頭部側で一方の接合を行うようにし、もう一方を頭部の前頭部側または後頭部側で接合するようにしてもよい。
ところで、上記実施の形態1乃至実施の形態3では、前方保護部20と後方保護部30は、帯状部材10a,10b,10cの長手方向に対して直角方向の左右両側で、1対の面ファスナ41aR,41aLと面ファスナ41b(41bR,41bL)によって接合及び分離自在であるが、本発明を実施する場合には、前方保護部20の一端側と後方保護部30の一端側のみ1対の面ファスナを取付け、その反対側で前方保護部20と後方保護部30が連続的に繋がっているカーブ状の形態とし、前方保護部20と後方保護部30の接合箇所を1箇所の設計としてもよい。この場合には、面ファスナの接合及びその解除操作が1箇所であるから、立体的な組立及びその展開の変換が簡単であり、操作性、取扱性が向上する。
また、上記実施の形態1乃至実施の形態3では、前方保護部20と頭頂保護部10とが略T字状に一体に接続され、また、後方保護部30と頭頂保護部10も略T字状に一体に接続されている形態であるが、本発明を実施する場合には、前方保護部20や後方保護部30が略コ字状または略U字状に形成されていてもよい。この場合には、立体的な組立状態で、環状に接続した後方保護部30と前方保護部20が下端側に向かって拡径するから、日除け機能の付加を可能とする。
更に、上記実施の形態1乃至実施の形態3の説明では、頭部保護部10を形成する帯状部材10a,10b,10cを3本としていたが、本発明を実施する場合には、頭部保護部10を形成する帯状部材の本数は2以上であれば良い。また、頭頂保護部10の帯状部材の相互間の開口12は、例えば、2つの帯状部材で頭頂保護部10が形成される場合、2つの帯状部材間の開口12は1つであり、3つの帯状部材で頭頂保護部10が形成される場合、3つの帯状部材間の開口12は2つであり、4つの帯状部材で頭頂保護部10が形成される場合、4つの帯状部材間の開口12は3つである。そして、これら帯状部材間の開口12も、帯状部材の長さ方向に延びている。
また、前方保護部20や後方保護部30の形状についても、上記説明に限定されるものではない。例えば、前方保護部20の長さ方向で幅を統一した直線形状としてもよいし、後方保護部30についても長方形状等としてもよい。
更にまた、本発明を実施する場合には、前方保護部20及び後方保護部30の接続は、面ファスナの接合に限定されることなく、例えば、ドット釦、ホック、ボタン及びループ、バックル等を使用してもよい。しかし、面ファスナであれば、転倒等したときでも頭を圧迫して怪我をさせるようなこともなく、安全性が高い。また、接合及びその解除の操作も極めて容易である。更に、1つの大きな面ファスナであれば、複数個取付けなくとも、接合位置が無段階で調節でき、接合具の取付けも容易である。
なお、このような接合具の取付けは、上記の実施の形態1乃至実施の形態3での説明のように、前方保護部20及び後方保護部30の表裏面に取付けて、前方保護部20及び後方保護部30の厚みを重複させて接合させる形態であってもよいし、最大のサイズでは前方保護部200及び後方保護部30の厚みを重複させることなく前方保護部20及び後方保護部30の端縁同士を接合する形態であってもよい。
上記実施の形態1乃至実施の形態3に係る頭部保護具1,100,200は、病気や身体に障害のある者の頭部保護用に限定されることなく、日常生活で頭部を損傷する可能性のある歩き始めの乳児の頭部を保護するものとして、或いは、スポーツ、競技時に頭部を保護するものとして適用することも可能である。