JP6170071B2 - Cns損傷についてのバイオマーカーとしての自然免疫タンパク質 - Google Patents

Cns損傷についてのバイオマーカーとしての自然免疫タンパク質 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2012年2月6日に出願された米国特許仮出願第61/595,254号の利益を請求し、その全体が本明細書により参照によって援用される。
本発明は、一般に神経学、免疫学、および診断学の分野に関する。特に、本発明は、患者における、脊髄損傷および外傷性脳損傷などのような神経細胞損傷の重症度を予測することができる、生物学的サンプルにおけるバイオマーカーの同定に関する。同定されたバイオマーカーはまた、予後の決定、治療努力およびリハビリテーション努力の指示、ならびに中枢神経系損傷を有する患者について処置に対する応答のモニターに使用されてもよい。
ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン(NOD)含有タンパク質様受容体(NLR)は、中枢神経系(CNS)における組織損傷後に炎症応答を開始する重大な役割を果たす、最近発見されたクラスの自然免疫受容体である(Abulafiaら、2009、Silvermanら、2009)。以前の研究は、NLRP1(NAchtロイシンリッチリピートタンパク質1(NALP−1)としても知られている)が、IL−1β活性化を介して、脊髄損傷(SCI)および外傷性脳損傷(TBI)の後に初期の炎症プロセスを調整する、NLRP1、アダプタータンパク質であるカスパーゼ動員ドメイン含有アポトーシス関連スペック様タンパク質(apoptosis−associated speck−like protein containing a caspase recruitment domain)(ASC)、およびカスパーゼ−1酵素を含むインフラマソーム(inflammasome)複合体を形成することを示す(de Rivero Vaccariら、2008;2009)。インフラマソームの形成は、細胞膜に対する物理的なダメージによっておよび傷害関連分子パターン(DAMP)と呼ばれるある内因性リガンドまたは病原体関連分子パターン(PAMP)として知られている外因性リガンドによって誘発される(Bianchi、2007、Wakefieldら、2010)。しかしながら、完全なIL−1β応答はまた、pro−IL−1βの転写を誘発するToll様受容体(TLR)および/またはプリンATP開口型プリン受容体の活性化にも依存する。
組織ダメージと関連する過剰炎症応答は、IL−1βおよび他の神経毒性の可能性のある産物の過剰産生を介して、SCIおよびTBIの発病を促し得る。インフラマソーム媒介性のIL−1β過剰産生は、2型糖尿病、肝障害、および筋ジストロフィーの発病に関与する(KuferおよびSansonetti、2011)。さらに、増えつつある遺伝的証拠は、インフラマソーム活性化がまた、皮膚炎、皮膚に関係するアレルギー、および喘息のタイプの適応免疫をも駆動し得ることを示唆する(KuferおよびSansonetti、2011)。そのうえ、インフラマソーム構成成分は、エキソソーム経路に関するメカニズムを介して細胞外環境に分泌され得る(Bianchi、2007)。そのため、インフラマソームは、精力的な調査の対象になった適応免疫応答のコントロールと複雑な関係を有する。インフラマソームが、ヒトにおけるSCIおよびTBI後の組織破壊性炎症プロセスと関連するかどうかは、調査されていない。
毎年、推定150万人が、TBIにより冒され、3分の1の損傷に関係する死亡を引き起こしている。およそ530万人のアメリカ人が、今日、TBIに関係する一生の能力障害を伴って生きている。TBIおよびSCIの重症度および転帰の予測は、目的の実験室ベースのバイオマーカーがないことを考慮すれば、困難である。現在、グラスゴーコーマスケール(GCS)スコア(Teasdaleら、1974)が、損傷重症度についての最善の利用可能な臨床予測因子であるが、その値は、挿管のために薬理学的麻痺を受けている患者において、運動スコアを得ることができないので、不十分なものとなる(Brain Trauma Foundation、American Association of Neurological Surgeons、2000)。転帰の予測は、同様のGCSスコアを有する患者における病態の不均一性によってさらに複雑になる。そのため、CNS細胞に対する損傷を直接反映する診断および予後バイオマーカーの同定は、必要不可欠である。TBIおよびSCIについてのそのようなバイオマーカーは、臨床医が、脳または脊髄に対するダメージの程度を評価し、患者の家族に予後情報を中継し、特異的なCNSダメージのメカニズムに対する急性および慢性処置を目標に定めるのを可能にするであろう。そのため、神経保護戦略を目標とするように設計された早期の正確な診断試験は、非常に望ましい予後ツールとなるであろう。
脳卒中およびTBI後の様々なバイオマーカーについての検証および試験に関して著しい進歩がなされたが、どのバイオマーカーがSCIに適切であるかに関して、限られたデータしか利用可能ではない。バイオマーカーS−100β、神経特異エノラーゼ、神経フィラメント軽鎖、およびグリア線維性酸性タンパク質は、実験動物研究におけるSCIの症例において有意に増加する(Skouenら、1999、Maら、2001、Nagyら、2002、Cornefjordら、2004、Loyら、2005、Caoら、2008、Pouwら、2009)。いくつかのバイオマーカーは、有望な結果を示すが、これらは、まだ、高感度の予後ツールを提供するものではない。急性期の間にSCIおよびTBIの度合いを決定するための定量的基準が、開発され、検証されなければならない。
急性期における原発性の脊髄および脳のダメージを評価するための新しいアプローチは、脳脊髄液(CSF)におけるバイオマーカーの評価である。CSFは、脊髄および脳を囲んでいるので、脊髄または脳に対するダメージは、CSFにおいてSCIおよびTBIについてのバイオマーカーとしての役割を果たし得るタンパク質および分子の、中枢神経系細胞からCSFへの放出に至り得る。SCIの動物モデルのCSFおよび血清におけるS−100β、神経特異エノラーゼ、神経フィラメント軽鎖、およびグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)に関して、いくつかの研究が行われた(Pouwら、2009)。しかしながら、ヒトにおいてSCI後にCSFにおける神経フィラメントタンパク質およびGFAPを調査したのは1つの研究だけであった(Guezら、2003)。したがって、損傷の重症度を確認するために使用され、回復を最大限にするための適切な治療戦略の選択を容易にすることができる、ヒトにおける中枢神経系損傷後の神経細胞ダメージについてのバイオマーカーを同定する、当該技術分野における必要性がある。
Abulafiaら、Inhibition of the inflammasome complex reduces the inflammatory response after thromboembolic stroke in mice. J Cereb Blood Flow Metab 29:534−544, 2009.
本発明は、NLRP1(NALP−1)インフラマソーム構成成分が、ヒトにおいて、SCIおよび外傷性脳損傷(TBI)のすぐ後に脳脊髄液(CSF)に分泌されるという発見に部分的に基づく。中枢神経系(CNS)損傷後のCSFにおけるインフラマソームタンパク質レベルの上昇は、CNS組織における神経炎症(neuroinflammation)の程度を示し、炎症誘発性のダメージの度合いを反映する。損傷後のインフラマソームタンパク質のCSFレベルは、患者における機能的な回復の程度と相関し、したがって、患者の予後を予測し、治療的介入を指示するための急性バイオマーカーとして使用することができる。したがって、本発明は、患者におけるCNS損傷の重症度を評価するための方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、CNS損傷を有することが疑われる患者を評価するための方法であって、CNS損傷と一致する臨床症状を示す患者由来の生物学的サンプルを提供するステップ、生物学的サンプルにおける少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップ、CNS損傷またはより重度のCNS損傷と関連するタンパク質の特徴の存在または非存在を決定するステップであって、タンパク質の特徴が、前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの上昇を含むステップ、およびCNS損傷またはより重度のCNS損傷を有するとして、タンパク質の特徴の存在を示す患者を選択するステップを含む方法を提供する。ある実施形態において、前記1つ以上のインフラマソームタンパク質が、NLRP1(NALP−1)、ASC、またはカスパーゼ−1である。本発明の診断方法は、1つ以上のインフラマソームタンパク質の測定レベルに基づいて、処置に対する応答をモニターするためのメカニズムとしての、1つ以上のインフラマソームタンパク質のレベルにおける変化後に、患者に対して神経保護処置を施すステップをさらに含んでいてもよい。
いくつかの実施形態において、患者のサンプルにおける1つ以上のインフラマソームタンパク質のレベルが、CNS損傷と関連するインフラマソームタンパク質プロファイルを作成するために使用することができる。プロファイルにおけるインフラマソームタンパク質のレベルは、コントロールサンプルにおけるタンパク質のレベルまたはあらかじめ決定された基準値もしくは基準値の範囲と比べて決定されてもよい。インフラマソームタンパク質プロファイルは、いくつかの実施形態において、患者におけるCNS損傷の存在または重症度を示す。そのようなタンパク質プロファイルが、神経保護処置を施した後に患者から得られるサンプルから作成される場合、インフラマソームタンパク質プロファイルは、患者における神経保護処置の治療の有効性を示す。
本発明はまた、中枢神経系損傷を有する患者についての予後を決定するための方法をも提供する。一実施形態において、方法が、損傷の直後に(たとえば損傷の1週間以内に)患者から得られる、脳脊髄液などのような生物学的サンプルを提供するステップおよびインフラマソームタンパク質プロファイルを作成するために、生物学的サンプルにおける少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップであって、インフラマソームタンパク質プロファイルが患者の予後を示す、ステップを含む。特定の実施形態において、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲と比べた少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの上昇が、より不良な予後または好ましくない患者転帰を示す。たとえば、インフラマソームタンパク質レベルの上昇は、経過観察評価に際して1〜3のグラスゴーアウトカムスケール(GOS)スコアを有する患者を予測する。他の実施形態において、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲と比べた少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの低下が、好ましい患者転帰を予測する(たとえば、経過観察評価に際して4または5のGOSスコア)。ある実施形態において、方法が、脊髄または外傷性脳損傷を有する患者についての予後を提供する。
本発明はまた、CNS損傷と関連するインフラマソームタンパク質プロファイルを作成するためのキットを含む。一実施形態において、キットが、1つ以上のインフラマソームタンパク質に対して特異的に結合する、標識抗体またはそのフラグメントなどのような標識結合パートナーを含み、前記1つ以上のインフラマソームタンパク質が、NLRP1、ASC、カスパーゼ−1、およびその組み合わせからなる群から選択される。
本発明は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
中枢神経系(CNS)損傷を有することが疑われる患者を評価するための方法であって、
CNS損傷と一致する臨床症状を示す患者由来の生物学的サンプルを提供するステップ、該生物学的サンプルにおける少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップ、
CNS損傷またはより重度のCNS損傷と関連するタンパク質の特徴の存在または非存在を決定するステップであって、該タンパク質の特徴が、前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの上昇を含むステップ、および
CNS損傷またはより重度のCNS損傷を有するとして、該タンパク質の特徴の存在を示す患者を選択するステップを含む方法。
(項目2)
該タンパク質の特徴における前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルが、コントロールサンプルにおける前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルに比べて増強される、項目1に記載の方法。
(項目3)
該タンパク質の特徴における前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルが、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲に比べて増強される、項目1に記載の方法。
(項目4)
該CNS損傷が、脊髄損傷または外傷性脳損傷である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質が、ヌクレオチド結合ロイシンリッチリピートピリンドメイン含有タンパク質1(NLRP1)、カスパーゼ動員ドメイン含有アポトーシス関連スペック様タンパク質(ASC)、およびカスパーゼ−1またはその組み合わせである、項目1に記載の方法。
(項目6)
該タンパク質の特徴が、カスパーゼ−1、NLRP1、およびASCのそれぞれについてのレベルの上昇を含む、項目6に記載の方法。
(項目7)
該タンパク質の特徴が、カスパーゼ−1のp20サブユニットについてのレベルの上昇を含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記生物学的サンプルが、損傷が疑われる1週間以内に得られる、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記生物学的サンプルが、損傷が疑われる5日以内に得られる、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記生物学的サンプルが、損傷が疑われる3日以内に得られる、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記生物学的サンプルが、脳脊髄液(CSF)、CNS微小透析液、唾液、血清、プラスマ、または尿である、項目1に記載の方法。
(項目12)
該患者が、American Spinal Cord Injury Association(ASIA)Impairment ScaleでAまたはBの評点を有する、項目1に記載の方法。
(項目13)
該患者が、3〜12のグラスゴーコーマスケール(GCS)スコアを有する、項目1に記載の方法。
(項目14)
該患者が、3〜8のGCSスコアを有する、項目13に記載の方法。
(項目15)
該患者が、小児患者である、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルが、免疫ブロットまたはELISAによって測定される、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記タンパク質の特徴が同定される場合に、患者に対して神経保護処置を投与するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目18)
該神経保護処置が、低体温、メチルプレドニソロン、17α−エストラジオール、17β−エストラジオール、ジンセノサイド、プロゲステロン、シンバスタチン、デプレニル、ミノサイクリン、およびレスベラトロールである、項目17に記載の方法。
(項目19)
神経保護処置後に該患者から得られる生物学的サンプルにおける前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップ、
該神経保護処置に対するポジティブな応答と関連する処置タンパク質の特徴を作成するステップであって、該処置タンパク質の特徴が、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの低下を含むステップ、および
該神経保護処置に対してポジティブに応答するとして該処置タンパク質の特徴の存在を示す患者を同定するステップをさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目20)
1つ以上のインフラマソームタンパク質に対して特異的に結合する標識結合パートナーを含む、CNS損傷と関連するインフラマソームタンパク質プロファイルを作成するためのキットであって、前記1つ以上のインフラマソームタンパク質が、NLRP1、ASC、カスパーゼ−1、およびその組み合わせからなる群から選択されるキット。
(項目21)
該キットが、NLRP1、ASC、およびカスパーゼ−1のそれぞれに対して特異的に結合する標識結合パートナーを含む、項目20に記載のキット。
(項目22)
該標識結合パートナーが、標識抗体もしくはそのフラグメント、アプタマー、またはペプチドである、項目20に記載のキット。
(項目23)
該結合パートナーが、金属ナノ粒子、蛍光標識、または酵素標識により標識される、項目20に記載のキット。
(項目24)
CNS損傷を有する患者についての予後を決定するための方法であって、
損傷の1週間以内に該患者から得られる生物学的サンプルを提供するステップおよび
インフラマソームタンパク質プロファイルを作成するために、該生物学的サンプルにおける少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップを含み、該インフラマソームタンパク質プロファイルが、該患者の予後を示す方法。
(項目25)
あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲に比べた、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの上昇が、経過観察評価に際して1〜3のグラスゴーアウトカムスケール(GOS)スコアを有する患者を予測する、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質が、NLRP1、ASC、カスパーゼ−1、またはその組み合わせである、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質が、カスパーゼ−1のp20サブユニットである、項目26に記載の方法。
(項目28)
該CNS損傷が、脊髄損傷または外傷性脳損傷である、項目24に記載の方法。
(項目29)
あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲に比べた、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの低下が、経過観察評価に際して4または5のGOSスコアを有する患者を予測する、項目24に記載の方法。
(項目30)
前記生物学的サンプルが、CSF、CNS微小透析液、唾液、血清、プラスマ、または尿である、項目24に記載の方法。
(項目31)
前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルが、免疫ブロットまたはELISAによって測定される、項目24に記載の方法。
(項目32)
該患者が、小児患者である、項目24に記載の方法。
NLRP1、ASC、およびカスパーゼ−1が、SCI後の転帰を予測するバイオマーカーであることを示す図である。CSFサンプルを、NLRP1、カスパーゼ−1、およびASCに対する抗体により免疫ブロットした。非損傷患者由来のCSFサンプルは、コントロールとして使用した。SCIを有する患者の6つの異なる症例の免疫ブロット分析は、SCIのすぐ後に低レベルのカスパーゼ−1を発現する患者(2、3、および4)が、CSFにおけるこのタンパク質のレベルが上昇した被験体(1、5、および6)よりも良好な予後を有することを示す。
NLRP1インフラマソームタンパク質が、CNSの細胞において発現されることを示す図である。脊髄切片は、脊髄に対する損傷を有した死者から得た。光学顕微鏡と組み合わせた免疫組織化学法は、NLRP1が、前角の神経細胞(黒色矢印)、有髄軸索(黒色矢印頭部)、および乏突起膠細胞(黄色矢印)において発現されることを示す(上のパネル)。カスパーゼ−1は、腫大した軸索(球状、青色矢印)、運動神経細胞(黒色矢印)、および乏突起膠細胞(黄色矢印)において発現される(中央のパネル)。ASCは、前角における神経細胞(黒色矢印)、白質乏突起膠細胞(黄色矢印)、およびマクロファージ/ミクログリア(青色矢印頭部)において存在する(下のパネル)。
コントロールおよびTBIを有する患者におけるインフラマソームタンパク質の発現の散布図を示す図である。サンプルを、ASC(A)、カスパーゼ−1(B)、およびNALP−1(C)について免疫ブロットした。左上角のp値は、Mann−Whitney U検定の結果を示す。濃度測定分析は、非外傷コントロールと比較した、TBIを有する患者のCSFにおけるASC、カスパーゼ−1(p20)、およびNALP−1の発現における有意な増加を明らかにした。実線は、それぞれの群についての平均値を示す。様々な形は、損傷5か月後の患者転帰に対応する。代表的な免疫ブロットを示す。サンプルは、同じゲル上に流したが、隣接しなかった。N=分析したTBIサンプルの数;★=GOSスコア5;■=GOSスコア4;○=GOSスコア3;▽=GOSスコア1。
転帰カテゴリーによってソートしたインフラマソームタンパク質の発現についてのボックスプロットを示す図である。ひげの端は、低い方の四分位数の1.5四分位範囲内の最も低いデータおよび上の方の四分位数の1.5四分位範囲内の最も高いデータを示す。アスタリスクは、外れ値を示す。Mann−Whitney U検定は、ASC(A)、カスパーゼ−1(p20)(B)、およびNALP−1(C)のより高度な発現が、損傷の5か月後の不都合な転帰と有意に関連することを示す(p<0.0001)。それぞれのタンパク質についての代表的な免疫ブロットを示す。サンプルは、同じゲル上に流したが、隣接しなかった。
GOSスコアと共に、CSFにおけるASC(A)、カスパーゼ−1(p20)(B)、およびNALP−1(C)発現の散布図および線形回帰の推定を示す図である。線形回帰の確率値をそれぞれのグラフの左上に示す。それぞれのタンパク質の発現は、損傷の5か月後のGOSスコアと有意に相関した。x軸上のp値は、Kruskal−Wallis検定の事後比較(post hoc comparison)を示す。代表的な免疫ブロットを示す。サンプルは、同じゲル上に流したが、隣接しなかった。
低体温処置を受けているか、または処置を受けていない(正常体温)小児患者におけるTBIの1、2、および3日後のCSFにおけるカスパーゼ−1レベルを示す図である。
本発明は、NLRP1インフラマソームが、ヒトにおけるSCIおよびTBI後の炎症応答において、重要な役割を果たすという発見に部分的に基づく。特に、本発明者らは、ヌクレオチド結合ロイシンリッチリピートピリンドメイン含有タンパク質1(nucleotide−binding leucine−rich repeat pyrin domain containing protein 1)(NLRP1)、アダプタータンパク質であるカスパーゼ動員ドメイン含有アポトーシス関連スペック様タンパク質(ASC)、およびカスパーゼ−1が、SCIおよびTBI後にヒト患者の脳脊髄液(CSF)に分泌されることを驚くべきことに発見した。したがって、これらのインフラマソームタンパク質は、ヒト患者における中枢神経系損傷の重症度についての高感度バイオマーカーを表す。したがって、本発明は、患者から得られる生物学的サンプルにおける少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定することによって、患者における中枢神経系損傷の重症度を評価するための方法であって、前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質の測定レベルが、患者における中枢神経系損傷の重症度を示す、方法を提供する。
本明細書において使用される場合、用語「インフラマソーム」は、カスパーゼ−1活性を活性化する多タンパク質複合体を指し、これは、同様に、IL−1β、IL−18、およびIL−33プロセシングおよび活性化を調節する。Arendら 2008;Liら 2008;およびMartinonら 2002を参照されたい、また、それらは、それぞれ、それらの全体が参照によって組み込まれる。「インフラマソームタンパク質」は、インフラマソーム複合体のタンパク質構成成分であり、ヌクレオチド結合ドメインロイシンリッチリピート含有(NLR)ファミリーメンバー(たとえばNLRP1)、ASC、カスパーゼ−1、カスパーゼ−11、X連鎖アポトーシス抑制タンパク質(XIAP)、およびパネキシン−1(pannexin−1)が挙げられるが、これらに限定されない。NLRP1はまた、NAchtロイシンリッチリピートタンパク質1(NALP−1)としても知られている。したがって、用語「NLRP1」および「NALP−1」は、本開示の全体にわたって区別なく使用される。ある実施形態において、方法が、NLRP1(NALP−1)、ASC、カスパーゼ−1、またはその組み合わせからなる群から選択されるインフラマソームタンパク質を測定するステップを含む。一実施形態において、活性カスパーゼ−1のp20サブユニットが、測定される。
用語「患者」または「被験体」は、本明細書において区別なく使用され、処置されることになっている哺乳動物被験体を意味し、ヒト患者が好ましい。ある実施形態において、患者が、小児患者である。小児患者としては、新生児(出生〜1か月)、幼児(1か月〜2歳)、子供(2〜12歳)、および青年(12〜21歳)が挙げられる。ある場合には、本発明の方法は、実験動物において、獣医学の適用において、および疾患についての動物モデルの開発において、使用を見出し、動物モデルとしては、マウス、ラット、およびハムスターを含むげっ歯類ならびに霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態において、本発明は、中枢神経系(CNS)損傷を有することが疑われる患者を評価するための方法を提供する。一実施形態において、方法が、CNS損傷と一致する臨床症状を示す患者由来の生物学的サンプルを提供するステップ、生物学的サンプルにおける少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップ、CNS損傷またはより重度のCNS損傷と関連するタンパク質の特徴の存在または非存在を決定するステップであって、タンパク質の特徴が、前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの上昇を含む、ステップ、およびCNS損傷またはより重度のCNS損傷を有するとして、タンパク質の特徴の存在を示す患者を選択するステップを含む。
患者は、CNS損傷と一致する神経症状(運動、感覚、認知)および/または放射線的評価(MRI、CTスキャン、X線)に基づいて、たとえば医師の診断後に、CNS損傷を有することが疑われてもよい。いくつかの実施形態において、CNS損傷、特に脊髄損傷を有することが疑われる患者が、American Spinal Cord Injury Association(ASIA)Impairment ScaleでAまたはBの評点を有していてもよい。ASIA Impairment Scaleは、患者の運動および感覚機能を評価する標準的な診断ツールである。ASIA Impairment Scaleの分類評点および付随する説明は、以下のとおりである:
したがって、ASIA Impairment ScaleでAまたはBの分類評点の症状を示す患者は、損傷のレベル未満の運動機能を有していない。
他の実施形態において、CNS損傷を有することが疑われる患者が、グラスゴーコーマスケール(GCS)で≦12(たとえば3〜12)のスコアを有していてもよい。さらに他の実施形態において、患者が、≦8(たとえば3〜8)のGCSスコアを有していてもよい。GCSは、損傷または外傷後の患者の意識のレベルを評価するために一般に使用される神経学的な尺度である。尺度は、3つの試験(目、口頭、および運動応答)からなり、これらのそれぞれに6までの尺度の値が割り当てられる。3つの値が別々に、および、それらの合計が、考慮される。可能性のある最も低いGCSスコア(合計)は、3(深い昏睡または死亡)であるが、最も高度なものは、15である(完全に覚醒している人)。GCSスコア<9は、重度の脳損傷を示すのに対して、GCSスコア≧13は、軽症の脳損傷を示す。9〜12のGCSスコアは、中程度の脳損傷を一般に示す。
CNS損傷を有することが疑われる患者は、一時的な意識消失、混乱、失見当識、記憶力または集中力の欠如、頭痛、めまい、バランスの欠如、悪心または嘔吐、感覚の破壊(たとえば霧視、耳鳴り、口における後味の悪さ、四肢における感覚の欠如)、運動機能の欠如、光または音に対する感じやすさ、気分変化または気分変動、うつまたは不安、疲労、眠気、および睡眠障害などのような、CNS損傷の1つ以上の徴候および症状を有していてもよい。
いくつかの実施形態において、1つ以上のインフラマソームタンパク質のレベル、濃度、または存在量が、患者(たとえば、CNS損傷を有するまたは罹患していることが疑われる患者)から得られる生物学的サンプルにおいて測定される。特定の実施形態において、1つ以上のインフラマソームタンパク質のレベル、濃度、または存在量が、患者におけるCNSの損傷の重症度を示す。CNS損傷としては、外傷性脳損傷、脳卒中に関係する損傷、大脳動脈瘤に関係する損傷、脊髄損傷(たとえば挫傷、圧迫、断裂)、振とうに関係する損傷(脳振とう後症候群を含む)、脳虚血、神経変性疾患(パーキンソン病、ボクサー認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病を含む)の結果として生じる損傷、発作に関係する損傷、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、および他のCNS外傷が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、1つ以上のインフラマソームタンパク質のレベル、濃度、または存在量が、患者における外傷性脳損傷または脊髄損傷の重症度を示す。
本明細書において使用される場合、「生物学的サンプル」は、患者または被験体から得られる任意の体液または組織を指す。生物学的サンプルは、全血、赤血球、血漿、血清、末梢血単核細胞(PBMC)、尿、唾液、涙、頬のスワブ、CSF、CNS微小透析液、および神経組織を含むことができるが、これらに限定されない。一実施形態において、生物学的サンプルが、CSF、唾液、血清、血漿、または尿である。ある実施形態において、生物学的サンプルが、CSFである。
いくつかの実施形態において、生物学的サンプルにおける1つ以上のインフラマソームタンパク質の測定レベル、濃度、または存在量が、インフラマソームタンパク質プロファイルを作成するために使用され、プロファイルが、患者におけるCNS損傷の重症度または患者の予後またはCNS損傷からの回復の可能性を示す。インフラマソームタンパク質プロファイルは、任意選択で、本明細書において記載されるように、あらかじめ決定された値または基準値の範囲と比較した、患者のサンプルにおいて測定される1つ以上のインフラマソームタンパク質のレベル、存在量、または濃度を含んでいてもよい。ある実施形態において、プロファイルにおけるインフラマソームタンパク質としては、NLRP1(NALP−1)、ASC、および/またはカスパーゼ−1(たとえばカスパーゼ−1のp20サブユニット)が挙げられる。特定の一実施形態において、インフラマソームタンパク質プロファイルが、NLRP1(NALP−1)、ASC、およびカスパーゼ−1(たとえばカスパーゼ−1のp20サブユニット)のそれぞれのレベル、存在量、または濃度を含む。
本発明の一態様において、CNS損傷を有することが疑われる患者を評価するための方法が、患者サンプルにおける1つ以上のインフラマソームタンパク質の測定レベル、存在量、もしくは濃度または患者のサンプルから作成されたインフラマソームタンパク質プロファイルに基づいて、CNS損傷またはより重度のCNS損傷と関連するタンパク質の特徴の存在または非存在を決定するステップを含む。ある実施形態において、タンパク質の特徴が、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの上昇を含む。タンパク質の特徴における前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルは、コントロールサンプルにおけるタンパク質のレベルと比べて、または本明細書においてさらに記載されるように、あらかじめ決定された基準値もしくは基準値の範囲に比べて、増強されてもよい。タンパク質の特徴は、ある実施形態において、カスパーゼ−1(たとえばカスパーゼ−1のp20サブユニット)、NLRP1、およびASCのそれぞれについてのレベルの上昇を含んでいてもよい。タンパク質の特徴を示す患者は、CNS損傷またはより重度のCNS損傷を有するとして選択されてもよいまたは同定されてもよい。
少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルまたは濃度は、単一の時点(たとえば潜在的なCNS損傷の後)で評価し、あらかじめ決定された基準値もしくは基準値の範囲と比較することができ、または潜在的なCNS損傷の後に複数の時点(たとえば2、3、4、5回、もしくはそれ以上)で評価し、あらかじめ決定された基準値もしくはあらかじめ評価された値と比較することができる。たとえば、インフラマソームタンパク質のレベルまたは濃度を測定するための生物学的サンプルは、潜在的なCNS損傷の1時間以内〜潜在的なCNS損傷の2週間後まで患者から得ることができる。いくつかの実施形態において、生物学的サンプルが、CNS損傷または潜在的な損傷の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、または12日以内に得られる。
本明細書において使用されるように、「あらかじめ決定された基準値」は、既知のサンプルから確認されたインフラマソームタンパク質のレベルまたは濃度についてのあらかじめ決定された値を指す。たとえば、あらかじめ決定された基準値は、コントロール被験体(つまり非損傷で健康な被験体)から得られたサンプルにおけるインフラマソームタンパク質のレベルまたは濃度を反映することができる。コントロール被験体は、いくつかの実施形態において、評価されている患者と年齢が一致していてもよい。したがって、特定の実施形態において、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質の測定レベルまたは濃度が、コントロールサンプル(つまり、非損傷被験体から得られる)における前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルまたは濃度に対して比較されるか、または決定される。
他の実施形態において、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲が、臨床測定または死後の分析によって評価されるように、CNS損傷の既知の重症度を有する患者から得られるサンプルにおけるインフラマソームタンパク質のレベルまたは濃度を反映することができる。あらかじめ決定された基準値はまた、インフラマソームタンパク質の既知量または濃度とすることもできる。インフラマソームタンパク質のそのような既知量または濃度は、コントロール被験体の集団または損傷の既知のレベルを有する患者の集団由来のインフラマソームタンパク質の平均レベルまたは濃度と相関してもよい。他の実施形態において、あらかじめ決定された基準値を、値の範囲とすることができ、これは、たとえば、平均プラス標準偏差もしくは平均マイナス標準偏差または信頼区間を示すことができる。基準値の範囲はまた、CNS損傷重症度の様々なレベルにわたる、特定のインフラマソームタンパク質についての個々の基準値を指すこともできる。ある実施形態において、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲と比べた1つ以上のインフラマソームタンパク質(たとえばNLRP1(NALP−1)、ASC、またはカスパーゼ−1)のレベルにおける増加が、より重度の中枢神経系損傷を示す。
いくつかの実施形態において、CNS損傷の重症度を評価するための方法が、1つ以上のインフラマソームタンパク質のレベルまたは濃度の測定に加えて、米国特許出願公開第2011/0177974号明細書において記載される1つ以上のタンパク質のレベルまたは濃度を測定するステップをさらに含み、その全体が参照によってこれによって本明細書に組み込まれる。たとえば、ある実施形態において、方法が、1つ以上のインフラマソームタンパク質のレベルまたは濃度の測定に加えて、患者から得られる生物学的サンプルにおけるユビキチンC−末端ヒドロラーゼL1;小胞膜タンパク質p−24;シヌクレイン;微小管関連タンパク質;シナプトフィジン;ビメンチン;シナプトタグミン;シナプトジャニン−2;シナプシン2;CRMP1、2;アンフィファイシン−1;PSD95;PSD−93;カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CAMPK)−アルファ、ベータ、ガンマ;ミエリン塩基性タンパク質(MBP);ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP);ミエリン乏突起膠細胞特異的タンパク質(MOSP);ミエリン乏突起膠細胞糖タンパク質(MOG);ミエリン関連タンパク質(MAG);NF−H;NF−L;NF−M;BIII−チューブリン−1、またはこれらの組み合わせから選択される1つ以上のタンパク質のレベルまたは濃度を測定するステップをさらに含む。したがって、タンパク質の特徴は、1つ以上のインフラマソームタンパク質のレベルの上昇に加えて、1つ以上のこれらのタンパク質のレベルの上昇を含んでいてもよい。他の実施形態において、方法が、1つ以上のインフラマソームタンパク質のレベルまたは濃度の測定に加えて、患者から得られる生物学的サンプルにおけるS−100β、神経特異エノラーゼ、神経フィラメント軽鎖、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、またはこれらの組み合わせから選択される1つ以上のタンパク質のレベルまたは濃度を測定するステップをさらに含む。一実施形態において、CNS損傷またはより重度のCNS損傷と関連するタンパク質の特徴が、1つ以上のインフラマソームタンパク質(たとえばNLRP1(NALP−1)、ASC、またはカスパーゼ−1)のレベルの上昇に加えて、S−100β、神経特異エノラーゼ、神経フィラメント軽鎖、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)から選択される1つ以上のタンパク質のレベルの上昇を含む。
本発明の他の実施形態において、患者におけるCNS損傷の重症度を評価するか、またはCNS損傷を有することが疑われる患者を評価するための方法が、前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質測定レベルに基づいて、またはCNS損傷もしくはより重度のCNS損傷と関連するタンパク質の特徴が同定された場合に、患者に対して神経保護処置を施すステップをさらに含む。そのような神経保護処置としては、興奮毒性、酸化ストレス、および炎症を低下させる薬剤が挙げられる。したがって、適した神経保護処置としては、メチルプレドニソロン、17α−エストラジオール、17β−エストラジオール、ジンセノサイド、プロゲステロン、シンバスタチン、デプレニル、ミノサイクリン、レスベラトロール、ならびに他のグルタミン酸受容体アンタゴニスト(たとえばNMDA受容体アンタゴニスト)および抗酸化剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、神経保護処置が、米国特許出願公開第2009/0104200号明細書において記載されるものなどのような、インフラマソームタンパク質に対する中和抗体またはその結合フラグメントであり、その全体が参照によってこれによって本明細書に組み込まれる。たとえば、一実施形態において、神経保護処置が、抗ASC抗体またはそのフラグメントである。抗ASC抗体としては、ラットASC(受入番号BAC43754)のアミノ酸残基178〜193、たとえばアミノ酸配列ALRQTQPYLVTDLEQS(配列番号:1)に対して特異的に結合する抗体、またはヒトASCのアミノ酸配列RESQSYLVEDLERS(配列番号:2)に対して特異的に結合する抗体が挙げられる。他の実施形態において、神経保護処置が、抗NLRP1抗体またはそのフラグメントである。適した中和抗NLRP1抗体またはそのフラグメントとしては、ヒトNLRP1のアミノ酸配列CEYYTEIREREREKSEKGR(配列番号:3)、またはラットNLRP1のアミノ酸配列MEESQSKEESNTEG(配列番号:4)に対して特異的に結合する抗体が挙げられる。中和抗体または抗体フラグメントは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖可変フラグメント(scFv)、およびその他同種のものであってもよい。インフラマソームタンパク質またはそのエピトープ(たとえば配列番号:1〜4)に対して特異的に結合するアプタマーもまた、適した神経保護処置であり得る。神経保護処置はまた、低体温処置などのような治療レジメンまたはリハビリテーション手順をも包含する。
処置の成功またはそれに対する応答もまた、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定することによってモニターすることができる。したがって、いくつかの実施形態において、患者を評価するための方法が、神経保護処置後に患者から得られる生物学的サンプルにおける少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップ、神経保護処置に対する陽性応答と関連する処置タンパク質の特徴を用意(prepare)するステップであって、処置タンパク質の特徴が、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの低下を含むステップ、および神経保護処置に対して陽性応答するとして処置タンパク質の特徴の存在を示す患者を同定するステップをさらに含む。1つ以上のインフラマソームタンパク質(たとえばNLRP1、ASC、およびカスパーゼ−1)のレベル、存在量、または濃度における低下は、患者における神経保護処置の有効性を示す。処置後に得られるサンプルにおいて測定される1つ以上のインフラマソームタンパク質は、処置前に得られるサンプルにおいて測定されるインフラマソームタンパク質と同じであってもよいし、または異なっていてもよい。インフラマソームタンパク質レベルはまた、神経保護処置の投薬量または頻度を調節するために使用されてもよい。
本発明はまた、中枢神経系損傷を有する患者についての予後を決定するための方法をも提供する。一実施形態において、方法が、損傷の1週間以内に患者から得られる生物学的サンプルを提供するステップおよび上記に記載されるように、インフラマソームタンパク質プロファイルを作成するために、生物学的サンプルにおける少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップを含み、インフラマソームタンパク質プロファイルが、患者の予後を示す。ある好ましい実施形態において、生物学的サンプルが、損傷の1週間以内に、5日以内に、または3日以内に患者から得られる。いくつかの実施形態において、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲と比べた1つ以上のインフラマソームタンパク質(たとえばNLRP1、ASC、カスパーゼ−1、またはこれらの組み合わせ)のレベルにおける増加が、より不良な予後を示す。たとえば、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲と比べた、1つ以上のインフラマソームタンパク質のレベルにおける約20%〜約300%の増加は、より不良な予後を示す。一実施形態において、損傷のすぐ後の(つまり損傷の1週間以内の)、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲と比べた、カスパーゼ−1、特に、活性型カスパーゼ−1のp20サブユニットのレベルの増加が、より不良な予後を示す。
特定の実施形態において、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲と比べた少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの上昇が、グラスゴーアウトカムスケール(GOS)によって評価されるように、患者の回復の可能性または長期的な転帰を予測する。GOSは、脳損傷後に患者の回復の客観的な評価を可能にする尺度である。尺度は、以下の説明を有する1〜5の範囲にわたるスコアから構成される:
一実施形態において、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲と比べた、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの上昇が、経過観察評価に際して1〜3のGOSスコアを有する患者(つまり、死亡または重度の能力障害などのような好ましくない転帰を有する患者)を予測する。他の実施形態において、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲と比べた、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの低下が、経過観察評価に際して4または5のGOSスコアを有する患者(つまり、中程度〜低い能力障害などのような好ましい転帰を有する患者)を予測する。発明者らは、CNS損傷後3日以内の1つ以上のインフラマソームタンパク質のCSFレベルが、患者の長期的な転帰または回復の可能性を予測するのに有用であることを発見した。インフラマソームタンパク質レベルの上昇は、患者についての好ましくない転帰と相関するが、低下したインフラマソームタンパク質レベルまたは低いインフラマソームタンパク質レベルは、患者についての好ましい転帰と相関する(実施例3)。
本発明のインフラマソームタンパク質および他のマーカータンパク質を、当業者らに公知の様々な方法によって、生物学的サンプルにおいて測定することができる。たとえば、タンパク質を、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、質量分析法、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光アッセイ、FRETベースのアッセイ、免疫ブロット、ELISA、または質量分析法(たとえばMALDI MS)が後続する液体クロマトグラフィーを含むが、これらに限定されない方法によって測定することができる。当業者は、本発明の任意の特定のバイオマーカータンパク質を測定し、定量化するための他の適した方法を確認することができる。
本発明はまた、脊髄損傷または外傷性脳損傷などのようなCNS損傷と関連するインフラマソームタンパク質プロファイルを作成するためのキットを含む。キットは、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質を測定するための試薬、および患者における中枢神経系損傷の重症度を評価するための前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質を測定するための説明書を含んでいてもよい。本明細書において使用される場合、「試薬」は、本明細書において記載される方法のいずれか1つによって1つ以上のタンパク質を検出、または定量化するために必要な構成成分を指す。たとえば、いくつかの実施形態において、1つ以上のインフラマソームタンパク質を測定するためのキットが、本明細書において記載されるような1つ以上のインフラマソームタンパク質を検出するために、液体もしくはガスクロマトグラフィー、質量分析法、イムノアッセイ、免疫ブロット、または電気泳動法を実行するための試薬を含むことができる。いくつかの実施形態において、キットが、NLRP1、ASC、カスパーゼ−1、またはこれらの組み合わせから選択される1つ以上のインフラマソームタンパク質を測定するための試薬を含む。
一実施形態において、キットが、1つ以上のインフラマソームタンパク質に対して特異的に結合する標識結合パートナーを含み、前記1つ以上のインフラマソームタンパク質が、NLRP1、ASC、カスパーゼ−1、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。インフラマソームタンパク質に対して特異的に結合する適した結合パートナーとしては、抗体およびそのフラグメント、アプタマー、ペプチド、ならびにその他同種のものが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、NLPR1を検出するための結合パートナーが、それぞれヒトNLRP1およびラットNLRP1の配列番号:3または配列番号:4のアミノ酸配列に対して特異的に結合する抗体もしくはそのフラグメント、アプタマー、またはペプチドである。他の実施形態において、ASCを検出するための結合パートナーが、それぞれラットASCおよびヒトASCの配列番号:1または配列番号:2のアミノ酸配列に対して特異的に結合する抗体もしくはそのフラグメント、アプタマー、またはペプチドである。結合パートナーに対してコンジュゲートすることができる標識は、金属ナノ粒子(たとえば金、銀、銅、プラチナ、カドミウム、および複合ナノ粒子)、蛍光標識(たとえばフルオレセイン、Texas−Red、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、Alexa色素分子など)、ならびに酵素標識(たとえばアルカリ性ホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−ラクタマーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、およびアミラーゼ)を含む。
いくつかの実施形態において、キットが、CSFサンプルにおける1つ以上のインフラマソームタンパク質を測定するための試薬を含むことができる。他の実施形態において、キットが、神経組織、CNS微小透析液、血液、唾液、血清、血漿、または尿を含む他の患者サンプルにおける1つ以上のインフラマソームタンパク質を測定するための試薬を含むことができる。さらに他の実施形態において、キットが、1つ以上のインフラマソームタンパク質の測定レベルを比較することができる、基準値のセットをさらに含む。
本発明は、限定として解釈されるべきではない、以下のさらなる実施例によってさらに例証される。当業者らは、本開示を考慮して、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更が、開示される特定の実施形態においてなされ、同様のまたは類似する結果をなお得ることができることを十分に理解するはずである。
実施例1.インフラマソームタンパク質は、脊髄損傷後に脳脊髄液に分泌される
NLRP1インフラマソームタンパク質が、脊髄損傷(SCI)後に脳脊髄液(CSF)中に存在するかどうかを決定するために、SCIを有する7人の患者またはコントロール患者由来のCSFサンプルを、ヌクレオチド結合ロイシンリッチリピートピリンドメイン含有タンパク質1(NLRP1;NAchtロイシンリッチリピートタンパク質1(NALP−1)としても知られている)、カスパーゼ動員ドメイン含有アポトーシス関連スペック様タンパク質(ASC)、およびカスパーゼ−1のレベルについて分析した。救急科への入院時のSCI患者のAmerican Spinal Cord Injury Association(ASIA)scaleは、AIS A〜Bの範囲にわたった。患者の診断、手順、および転帰に関する情報を、表1に示す。患者の誰も、いかなる合併症をも有しなかった。非損傷個人由来のCSFを、67〜91歳の範囲にわたる3人の男性および2人の女性からコントロールとして得た。
インフラマソームタンパク質の検出のために、CSFサンプルを、Laemaliバッファーにより調製した。免疫ブロット分析を、NLRP1(Bethyl Laboratories)、カスパーゼ−1(Imgenex)、およびASC(Santa Cruz)に対する抗体(1:1000希釈)を使用し、以前に記載されるように(de Rivero Vaccariら、2008)、Criterionシステム(Bio−Rad)により実行した。タンパク質を、14〜20% TGX Criterionプレキャストゲル(Bio−Rad)中で分離し、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)転写膜(Tropifluor−Applied Biosystems)に転写し、遮断バッファー(PBS、0.1% Tween−20、0.4% I−Block(Applied Biosystems)中に置き、次いで、一次抗体と共に1時間インキュベートした。次いで、膜を、抗マウス、抗ラット、または抗ウサギホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)連結抗体と共に1時間インキュベートした。シグナルの視覚化は、強化型化学発光(enhanced chemiluminescence)によって実行した。
コントロールCSFサンプル(n=5)の免疫ブロット分析は、非常に低いレベルのNLRP1インフラマソームタンパク質を明らかにした(図1)。対照的に、6人の異なるSCI患者由来のサンプルの免疫ブロット分析は、コントロール被験体由来のCSFと比較した場合、CSFにおけるNLRP1、カスパーゼ−1、およびASCのレベルにおける増加を示した。患者2、3、および4(図1)が、SCIのすぐ後(0〜2日日)に、カスパーゼ−1のレベルの増加を示さなかったことに注目されたい。興味深いことには、これらの患者は、SCIの2日後に際立った運動改善を示した。患者1、5、および6は、SCIのすぐ後に、カスパーゼ−1、ASC、およびNLRP1インフラマソームタンパク質のレベルの増加を示し、これらの個人は、予後不良を有し、運動改善を示さなかった。したがって、SCIのすぐ後にCSFにおいて低レベルのカスパーゼ−1を示す個人が、このバイオマーカーのレベルの増加を示す個人よりも良好な予後を有し得るように思われる。
これらの実験からの結果は、CSFにおけるNLRP1、ASC、およびカスパーゼ−1のタンパク質レベルが、中枢神経系に対する損傷後に増加することを示し、これらのインフラマソームタンパク質のレベルが、損傷後に神経細胞ダメージの重症度についてのバイオマーカーとしての役割を果たし、それによって、処置およびリハビリテーション努力を指示し、処置に対する応答をモニターし、かつ損傷した患者における回復の予後の決定を支援することができることを示唆する。
実施例2.損傷後の脊髄におけるNLRP1インフラマソームタンパク質の免疫組織化学的発現
脊髄切片を、脊椎骨折のために脊髄に対して損傷を有した9人の死者(20〜77歳の範囲にわたる年齢を有する8人の男性および1人の女性)から得た。脊髄損傷を、それぞれの症例の損傷の中心からの、またはコントロール症例の首、胸、および腰の部分からの1枚のH&EまたはH&E/DAB染色切片を検査することによって、明視野の光学装置を使用して、顕微鏡で評価した。脊髄損傷を、「挫傷/嚢胞」、重度の圧迫、または断裂として、それらの組織学的な外観に基づいて分類した(Flemingら、2006)。挫傷損傷(contusional injury)を、脊髄の様々な要素の解剖学的関係についての無傷の軟膜および相対的維持と、組織ダメージの全断面エリアの関与から普通非対称の広いエリアの範囲にわたる損傷についての可変性の程度とによって特徴付けた。重度の圧迫損傷を、軟膜の破壊ならびに脊髄実質の重度の変形および破壊によって特徴付けた。定義によると、武器または弾丸によって引き起こされる穿孔性のまたは貫通性の損傷であった断裂損傷は、軟膜が破れ、脊髄組織が直線的に裂けることと関連した。
組織サンプルをすべて、死亡の24時間以内に摘出し、中性緩衝ホルマリン中で固定した。脊髄由来のブロックを、脱水し、パラフィンろう中に包埋し、6μm厚切片に切り、正に荷電したスライドガラス上に置いた。1セットの切片を、ヘマトキシリン−エオシン(H&E)により染色し、残りのセットを、免疫組織化学的検査に使用した。パラフィン包埋切片は、抗NLRP1(de Rivero Vaccariら 2008において記載されるBethyl Laboratories)、抗カスパーゼ−1(Upstate)、および抗ASC(Chemicon)により、発色団としてのジアミノベンジジン(DAB)およびヘマトキシリンを使用して染色した。ネガティブコントロールは、一次抗体を取り除いた切片およびアイソタイプが一致する抗体(1:100〜1:10,000 IgG)と共にインキュベートした切片を含む。これらのポジティブおよびネガティブコントロールを、免疫組織化学的スライドのすべてのバッチと共に処理した。
すべての症例において、損傷の中心からの組織サンプルならびに損傷より上のおよびより下の様々な距離の組織サンプルを得た。損傷の中心からの組織からのデータを、症例の間の炎症応答を比較するために使用したのに対して、脊髄の、離れた非損傷セグメントからのものは、症例内コントロールとしての役割を果たした。異なる症例について、損傷中心からのこれらのサンプルの距離が不定であったので、離れたサンプルの症例間比較はできなかった。
光学顕微鏡と組み合わせた免疫組織化学法は、NLRP1が、損傷した脊髄において、前角の神経細胞(黒色矢印)、有髄軸索(矢印頭部)、および乏突起膠細胞(黄色矢印)において発現されることを示した(図2)。さらに、周辺部のエリア(C7)におけるNLRP1免疫反応性は、中心から遠いエリア(L2)よりも高度であった。
カスパーゼ−1についてのDAB免疫反応性は、腫大した軸索(球状体、青色矢印)(図2)および細動脈(示さず)において検出された。周辺部のエリアで、カスパーゼ−1染色は、前角の運動神経細胞(黒色矢印)および乏突起膠細胞(黄色矢印)において白質中に存在する。乏突起膠細胞(黄色矢印)におけるカスパーゼ−1免疫反応性は、中心に対して近接しているにもかかわらず、検査した脊髄のすべてのレベルで同じであった。中心から遠いエリア(T12)で、カスパーゼ−1はまた、運動神経細胞(黒色矢印)中にも存在したが、免疫反応性は、周辺部(C7)よりも減少していた。この発見は、神経細胞におけるカスパーゼ−1免疫反応性が、NLRP1と同様に、中心までの距離が増加するにつれて減少することを示す。
周辺部(C7)および中心から遠い(L2)エリアで、前角における神経細胞(黒色矢印)および白質乏突起膠細胞(黄色矢印)は、ASC免疫反応性を示した。そのうえ、ASCはまた、中心のマクロファージ/ミクログリア(青色矢印頭部)中にも存在した。さらに、ASC免疫反応性はまた、C7およびL2の膠様質(後角)においても検出された(示さず)。
神経炎症は、SCIおよびTBIの発病において決定的な役割を果たすと考えられたが、自然免疫応答の役割は、直接検査されていなかった。自然免疫系は、微生物およびウイルスの病原体関連分子パターンならびにダメージを受けた細胞またはストレスを受けた細胞から放出される危険信号を感知し、有効な自然および適応免疫にとって決定的な炎症促進性応答を駆動する保存された細胞内シグナル伝達経路を作動させる。過度の炎症応答は、有害になり、組織破壊に至る。この実験の結果は、NLRP1インフラマソームシグナル伝達系が、外傷後にダメージを受けたヒト脊髄および脳組織における自然免疫応答において活性化されるということを実証する証拠を提供する。これらの発見は、NLRP1インフラマソームシグナル伝達系の活性化が、脊髄および脳の病態における早期の事象であり、これらのタンパク質が、ヒトにおけるSCIおよびTBIについてのバイオマーカーとしての役割を果たし得るという考えを支持する。
実施例3.脳損傷患者の脳脊髄液におけるインフラマソームタンパク質は、機能的転帰についてのバイオマーカーである
インフラマソームタンパク質が中枢神経系損傷の他のタイプについてのバイオマーカーとしての役割を果たし得るかどうかを決定するために、合計45のCSFサンプルを、損傷の日および損傷後3日までに、23人の外傷性脳損傷(TBI)患者から収集し、NALP−1(NLRP1としても知られている)、ASC、およびカスパーゼ−1のレベルについて免疫ブロットによって分析した。それぞれの患者は、以下の組み入れ基準の症状を示した:重度または中程度の頭部外傷(グラスゴーコーマスケール(GCS)スコア≦12)、年齢1か月〜65歳、および脳室開窓術。患者のうちの22人は、重度の脳外傷(GCSスコア≦8)を被り、1人は、中程度の脳外傷を被っていた(中程度のTBI GCSスコア範囲9〜12)。66.3歳の平均年齢(範囲29〜91歳)を有する9人の患者(5人の男性および4人の女性)は、コントロールとしての役割を果たした。コントロール患者は、非外傷性の病態のために脳室開窓術を必要とした。急性髄膜炎、脳血管炎、または他の最近のCNS感染症を有する患者は、除外した。患者人口統計に関する情報、頭蓋内病態、プレゼンテーション(presentation)時のGCSスコア、および損傷5か月後のグラスゴーアウトカムスケール(GOS)スコアを表2に示す。
脳脊髄液サンプルを、損傷の12時間以内および損傷後72時間までに収集した。サンプルは、細胞体およびデブリをペレットにするために、4℃で10分間、2000gで遠心分離した。上清は、ゲル電気泳動法によって分離し、以前に記載されるように免疫ブロットした(de Rivero Vaccariら、2008)。バンド密度の定量化を、UNSCAN−ITゲルデジタル化ソフトウェア(Silk Scientific)により実行した。利用可能なサンプルの容積が小さかったため、NALP−1を、9つのコントロールのうちの6つにおいて分析し、カスパーゼ−1を、45のTBIサンプルのうちの43において分析し、NALP−1は、45のTBIサンプルのうちの42において分析した。免疫ブロット分析は、インフラマソームタンパク質ASC、カスパーゼ−1(p20)、およびNALP−1が、TBIを有する患者および非外傷コントロールのCSF中に存在することを示す。濃度測定分析からの定量的データを、図3に示す。ASC(図3A)の22kDアイソフォーム、切断カスパーゼ−1のp20サブユニット(図3B)、およびNALP−1(図3C)の発現は、非外傷コントロールと比較して、TBI患者のCSFにおいて有意に上昇する(それぞれp<0.0001、p=0.0029、およびp=0.0202)。
インフラマソーム構成成分のレベルが転帰と相関するかどうかを決定するために、発明者らは、転帰カテゴリーによって研究参加者をグループ化した(GOSスコア1および3、好ましくない転帰;GOSスコア4および5、好ましい転帰)。損傷の5か月後、3人の患者は、1のGOSスコア(死亡)を有し、11人の患者は、3のGOSスコア(重度の能力障害)を有し、6人の患者は、4のGOSスコア(中程度の能力障害)を有し、3人の患者は、5のGOSスコア(良好な回復)を有した。TBIを有する患者のサンプルの内で、2のGOSスコア(遷延性植物状態)にとどまった患者はいなかった。発明者らは、日常生活動作について他人に完全に依存した、死亡および重度の能力障害を含む好ましくない転帰を有するTBI患者のCSFにおいて、有意により高度なレベルのASC(図4A)、カスパーゼ−1(p20)(図4B)、およびNALP−1(図4C)を検出した(p<0.0001)。
転帰およびインフラマソームタンパク質の間の関係をさらに理解するために、発明者らは、ASC、カスパーゼ−1(p20)、およびNALP−1の発現レベルならびにGOSについての改変型の散布図を構築した(図5)。計算される線形回帰線を、それぞれのプロットについて示す。線形回帰分析は、ASC(図5A;p<0.05)、カスパーゼ−1(p20)(図5B;p<0.01)、およびNALP−1(図5C;p<0.05)の発現が、5か月で、転帰と有意に相関することを示す。Kruskal−Wallis検定後の事後のDunn多重比較検定は、ASCのレベルが、中程度の能力障害を有する患者(GOSスコア4)(p<0.001)および軽度〜能力障害なしの患者(GOSスコア5)(p<0.05)と比較して、重度の能力障害を有する患者(GOSスコア3)において有意により高いことを示した。同様に、カスパーゼ−1(p20)およびNALP−1の発現レベルは、中程度の能力障害を有する患者(GOSスコア4)(p<0.001)よりも、重度の能力障害を有する患者(GOSスコア3)において、有意により高い。
この研究についての結果は、インフラマソームタンパク質(たとえばASC、NALP−1、およびカスパーゼ−1)が、非外傷コントロールと比較して、TBIを有する患者のCSFにおいて急性的に上昇する(たとえば72時間以内に)ことを示す。これらのタンパク質の上昇は、おそらく神経炎症の度合いを反映し、インフラマソームタンパク質が、CNS損傷の急性バイオマーカーとして機能を果たすことができることを示唆する。これらの発見は、CSFバイオマーカーが、血清バイオマーカーよりも神経病理について特異的な指標となるので、臨床的に関連している。脳脊髄液は、脳を直接覆い(bath)、CNSに対して特異的な細胞外環境変化および生化学的変化を緊密に反映する。CSFのサンプリングは、血清において示される多臓器の外傷または他の全身的な病態の影響を排除し、これは、TBIを有する患者が、多くの場合、他の臓器系に対する外傷の症状を示すので、重要となる。
結果はまた、インフラマソームタンパク質のレベルが、中程度〜能力障害なしの患者よりも、死亡した患者および重度の能力障害を有する患者のCSFにおいて、有意により高いことを実証し、インフラマソーム活性化が、慢性神経炎症をもたらし、TBIの5か月後に二次的な損傷および転帰不良の一因となることを示唆する。これらのタンパク質の急性の上昇の度合いは、好ましくない転帰対好ましい転帰を予測することができる。そのようなマーカーはまた、処置努力およびリハビリテーション努力を指示し得る。臨床医は、炎症媒介性の二次的な損傷のより大きな危険性を有するとして同定された患者に対する治療を目標とするであろう。
処置に対する応答は、CSFにおけるASC、活性カスパーゼ−1、およびNALP−1のレベルに従ってモニターされ得る。そのような1つの処置、治療的低体温は、サイトカイン産生を減少させ、アストロサイトおよびミクログリアの活性化を低下させることによって、TBIに対するCNSの内因性の炎症応答を弱め(Aibikiら、1999;Gossら、1995;Kumarら、1997;Truettnerら、2005)、培養において中程度の低体温に曝露された皮質ニューロンは、インフラマソームの活性化における減少を示す(Tomuraら、印刷中)。したがって、ASC、活性カスパーゼ−1、およびNALP−1は、CNS損傷を有する患者について処置有効性の客観的な生化学的指標として機能を果たすことができる。
実施例4.低体温は、小児患者における外傷性脳損傷後にカスパーゼ−1活性化を減少させる
カスパーゼ−1などのようなインフラマソームタンパク質をまた、TBI患者における処置有効性をモニターするために使用することができるどうかを評価するために、TBI後に低体温処置を受けた小児患者から得られたCSFカスパーゼ−1のレベルを、TBI後に処置を受けなかった小児患者から得られたものと比較した。小児患者(年齢0.1〜16歳)の脳脊髄液を、外傷性脳損傷後、様々な時間(1、2、および3日目)に得た。患者を、低体温処置を受けた患者および受けなかった患者(正常体温)に分けた。図6において示されるように、データは、損傷後24時間以内に、カスパーゼ−1のレベルが、正常体温群と比較した場合、低体温群においてより低かったことを示す。したがって、外傷後の治療的低体温は、脳損傷後のカスパーゼ−1活性化のレベルを低下させ、低体温処置を受ける患者が、低体温処置を受けない患者と比較した場合、より良好な転帰を示すという発見と一致する。
本明細書において議論され、引用される刊行物、特許、および特許出願はすべて、本明細書によってそれらの全体が参照によって組み込まれる。開示される本発明が、記載される特定の方法論、プロトコール、および材料を変えることができるので、これらに限定されないことが理解されたい。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的のみのためにあり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するようには意図されないこともまた、理解されたい。
当業者らは、慣例的な実験のみを使用して、本明細書において記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物について認識し、または確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。

Claims (31)

  1. インフラマソームタンパク質プロファイルを、中枢神経系(CNS)損傷を有する患者についての予後の指標とする方法であって、
    インフラマソームタンパク質プロファイルを作成するために、損傷の1週間以内に該患者から得られる生物学的サンプルにおける少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップを含み、該生物学的サンプルが、脳脊髄液(CSF)、血液、血清、または血漿であり、該少なくとも1つのインフラマソームタンパク質が、ヌクレオチド結合ロイシンリッチリピートピリンドメイン含有タンパク質1(NLRP1)、カスパーゼ動員ドメイン含有アポトーシス関連スペック様タンパク質(ASC)、カスパーゼ−1、カスパーゼ−1のp20サブユニット、またはその組み合わせであり、該インフラマソームタンパク質プロファイルが、該患者の予後を示す方法。
  2. あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲に比べた、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの上昇が、経過観察評価に際して1〜3のグラスゴーアウトカムスケール(GOS)スコアを有する患者を予測する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記CNS損傷が、脊髄損傷または外傷性脳損傷である、請求項1に記載の方法。
  4. あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲に比べた、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの低下が、経過観察評価に際して4または5のGOSスコアを有する患者を予測する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルが、免疫ブロットまたはELISAによって測定される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記患者が、小児患者である、請求項1に記載の方法。
  7. 中枢神経系(CNS)損傷を有する患者から得られる生物学的サンプルにおけるインフラマソームタンパク質プロファイルを、該患者が神経保護処置を施される必要があるかどうかの指標とする方法であって、
    インフラマソームタンパク質プロファイルを作成するために、損傷の1週間以内に該患者から得られる生物学的サンプルにおける少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップであって、該生物学的サンプルが、脳脊髄液(CSF)、血液、血清、または血漿であり、該少なくとも1つのインフラマソームタンパク質が、ヌクレオチド結合ロイシンリッチリピートピリンドメイン含有タンパク質1(NLRP1)、カスパーゼ動員ドメイン含有アポトーシス関連スペック様タンパク質(ASC)、カスパーゼ−1、カスパーゼ−1のp20サブユニット、またはその組み合わせである、ステップと、
    該インフラマソームタンパク質プロファイルをあらかじめ決定された基準値または基準値の範囲と比較するステップと
    を含み、
    ここで、該インフラマソームタンパク質プロファイルが、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲と比べて、前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの上昇を含む場合、患者は神経保護処置施される必要がある、方法。
  8. 前記神経保護処置が、低体温、メチルプレドニソロン、17α−エストラジオール、17β−エストラジオール、ジンセノサイド、プロゲステロン、シンバスタチン、デプレニル、ミノサイクリン、またはレスベラトロールである、請求項に記載の方法。
  9. 前記神経保護処置が、インフラマソームタンパク質またはそのエピトープに結合する分子である、請求項に記載の方法である。
  10. 前記分子が、配列番号1、2、3または4を含むタンパク質に特異的に結合する、請求項に記載の方法。
  11. 前記分子が、アプタマー、抗体またはその結合フラグメントである、請求項に記載の方法。
  12. CNS損傷またはより重度のCNS損傷と関連するタンパク質の特徴の存在を、CNS損傷を有することが疑われる患者の指標とする方法であって、
    CNS損傷と一致する臨床症状を示す患者由来の生物学的サンプルにおける少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップであって該生物学的サンプルが、脳脊髄液(CSF)、血液、血清、または血漿であり、該少なくとも1つのインフラマソームタンパク質が、ヌクレオチド結合ロイシンリッチリピートピリンドメイン含有タンパク質1(NLRP1)、カスパーゼ動員ドメイン含有アポトーシス関連スペック様タンパク質(ASC)、カスパーゼ−1、カスパーゼ−1のp20サブユニット、またはその組み合わせである、ステップと、
    該タンパク質の特徴の存在または非存在を決定するステップであって、該タンパク質の特徴が、前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの上昇を含むステップ
    を含み、該タンパク質の特徴の存在が、CNS損傷またはより重度のCNS損傷を有する患者を示す、方法。
  13. 前記タンパク質の特徴における前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルが、コントロールサンプルにおける前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルに比べて増強される、請求項1に記載の方法。
  14. 前記タンパク質の特徴における前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルが、あらかじめ決定された基準値または基準値の範囲に比べて増強される、請求項1に記載の方法。
  15. 前記CNS損傷が、脊髄損傷または外傷性脳損傷である、請求項1に記載の方法。
  16. 前記タンパク質の特徴が、カスパーゼ−1、NLRP1、およびASCのそれぞれについてのレベルの上昇を含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記生物学的サンプルが、損傷が疑われる1週間以内に得られる、請求項1に記載の方法。
  18. 前記生物学的サンプルが、損傷が疑われる5日以内に得られる、請求項1に記載の方法。
  19. 前記生物学的サンプルが、損傷が疑われる3日以内に得られる、請求項1に記載の方法。
  20. 前記患者が、American Spinal Cord Injury Association(ASIA)Impairment ScaleでAまたはBの評点を有する、請求項1に記載の方法。
  21. 前記患者が、3〜12のグラスゴーコーマスケール(GCS)スコアを有する、請求項1に記載の方法。
  22. 前記患者が、3〜8のGCSスコアを有する、請求項2に記載の方法。
  23. 前記患者が、小児患者である、請求項1に記載の方法。
  24. 前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルが、免疫ブロットまたはELISAによって測定される、請求項1に記載の方法。
  25. 前記タンパク質の特徴が同定される場合に、前記患者は、神経保護処置を投与するのに適している、請求項1に記載の方法。
  26. 前記神経保護処置が、低体温、メチルプレドニソロン、17α−エストラジオール、17β−エストラジオール、ジンセノサイド、プロゲステロン、シンバスタチン、デプレニル、ミノサイクリン、およびレスベラトロールである、請求項25に記載の方法。
  27. 神経保護処置後に該患者から得られる生物学的サンプルにおける前記少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルを測定するステップ、
    該神経保護処置に対するポジティブな応答と関連する処置タンパク質の特徴を作成するステップであって、該処置タンパク質の特徴が、少なくとも1つのインフラマソームタンパク質のレベルの低下を含むステップ、
    を含み、該処置タンパク質の特徴の存在が、該神経保護処置に対してポジティブに応答する患者を示す、請求項25に記載の方法。
  28. 1つ以上のインフラマソームタンパク質に対して特異的に結合する標識結合パートナーを含む、脳脊髄液(CSF)、血液、血清、または血漿から選択される生物学的サンプルからCNS損傷と関連するインフラマソームタンパク質プロファイルを作成するためのキットであって、前記1つ以上のインフラマソームタンパク質が、NLRP1、ASC、カスパーゼ−1、およびその組み合わせからなる群から選択されるキット。
  29. 前記キットが、NLRP1、ASC、およびカスパーゼ−1のそれぞれに対して特異的に結合する標識結合パートナーを含む、請求項28に記載のキット。
  30. 前記標識結合パートナーが、標識抗体もしくはそのフラグメント、アプタマー、またはペプチドである、請求項28に記載のキット。
  31. 前記結合パートナーが、金属ナノ粒子、蛍光標識、または酵素標識により標識される、請求項28に記載のキット。
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