JP6169693B2 - 次亜塩素酸およびアミノ酸を含む創傷およびびらんを治療するための製剤 - Google Patents

次亜塩素酸およびアミノ酸を含む創傷およびびらんを治療するための製剤 Download PDF

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Description

本発明は、びらん(sores)、創傷、潰瘍もしくは同様のもの、または瘻孔もしくは耳炎の予防および/または治療に使用するためのキットおよび製剤に関する。さらにまた、本発明は、キットおよび製剤を用いる方法にも関する。
びらんおよび創傷、例えば慢性創傷は、一般的であり、費用の点で患者を苦しめ、社会への負担となる(非特許文献1参照)。
びらんおよび創傷を治療するための知られている方法としては、例えば水で洗浄することが挙げられる。消毒薬および抗生物質は、例えば皮膚びらんまたは皮膚潰瘍の感染症の予防および治療においてもしばしば用いられる。皮膚潰瘍は、組織が崩壊し、結果として表皮、真皮および皮下組織でさえ喪失することもありうるびらんである。皮膚びらん、特に皮膚潰瘍は、治療が困難であることがあり、長期治療を必要とすることがある。その場合、治療には、感染症および炎症のリスクを低減することに加えてびらんの環境を保つことが含まれる。感染症のリスクを少なくとも低減するために局所消毒薬および抗生物質が用いられてきた。
塩素化合物、例えば次亜塩素酸およびクロラミンTは、それらの消毒薬としての能力に関して研究されてきた。知られている化合物に伴う1つの問題は、それらが生体組織に対して攻撃的および有毒となりうることであり、それらはしばしば不安定な物質であるため、例えば物質の望ましくない崩壊およびその不活性化に至るということである。
N−クロロタウリンの消毒液は、感染症の治療および炎症のコントロールにおける使用が指示されている(非特許文献2)。N−クロロタウリンは、スルホン酸タウリンのN−クロロ誘導体である。上記文献では、N−クロロタウリンは、十分な殺菌活性と組織忍容性との間でバランスのとれた天然の長寿命酸化剤として記載されている。また、皮膚潰瘍における感染症の治療に対するN−クロロタウリンを含む消毒液の使用が指示されている。
先行技術の物質は、皮膚びらん、創傷、潰瘍などを予防および治療する問題を、ある程度解消しうるが、それでも、上記予防または治療のために知られている物質または製剤と少なくとも交換可能な、改善されたかつ/または代わりとなる物質または製剤が大いに必要とされている。
Serens T, Bates-Jensen B, Carter MJ, Cordrey R, Driver V, Fife CE, et al. Consensus principles for wound care research obtained using Delphi process. Wound repair and regeneration. 2012 May;20(3):284-93 Waldemar Gottardi and Markus Nagl, N-chlorotaurine, a natural antiseptic with outstanding tolerability, J Antimicrob Chemother 2010; 65: 399-409)
皮膚創傷の治療に使用するための知られている物質を鑑みて、例えば、低い毒性および良好な安定性を有する改善されたかつ/または代わりとなる製剤を提供することを目的とし、この製剤は、びらん、創傷、潰瘍などの予防または治療において有用となりうる。
この目的は、添付の請求項1に記載のパーツ(parts)のキット、添付の請求項19に記載の治療製剤、添付の請求項24に記載の使用および添付の請求項29に記載の方法によって全体としてまたは部分的に達成される。実施態様は、添付の従属請求項ならびに以下の説明および実施例に示す。
一態様によれば、びらん、創傷、潰瘍など、または瘻孔もしくは耳炎の予防および/または治療に使用するためのパーツのキットが提供される。このパーツのキットは、
a)1つまたはそれ以上のアミノ酸を含む第1の水性成分と、
b)活性ハロゲン化合物を含む第2の水性成分と、
を含む。
第1の成分および/または第2の成分のpHは、約9〜11.5である。
本明細書における「活性ハロゲン化合物」という用語は、ハロゲンのイオン、ガス、塩またはハイポハロゲナイトの形態のハロゲンのことをいう。
2つの成分は、一緒に混合され、それによって潰瘍のような治療部位における適用に使用するための治療製剤を形成することを意図している。治療製剤は、びらん、潰瘍、創傷、熱傷および瘻孔の治療、ならびに、また、慢性であり、感染症、壊死を有する場合に有用であることがわかっている。治療製剤は、耳炎を患っている対象においても試験されており、ここで、治療製剤は、耳炎の治療において有用であることがわかった(データは示さず)。したがって、その場合、治療製剤は、耳炎の治療を補助することが期待される。また、それは、消毒薬として、および感染症または炎症の予防において有用であることが示されている。治療製剤は、異なるタイプの治療部位、例えば慢性びらん、潰瘍、褥瘡、血管炎びらん(vasculitis sores)、および慢性である糖尿病性潰瘍の治療に有効である。治療製剤は、びらんまたは同様のものにおける部分(parts)を分解する手段を提供する。分解された部分は、例えば、びらんなどに存在する細菌、膿、壊死細胞または痂皮であってもよい。
第1の成分は、活性ハロゲン化合物の生体組織への攻撃性を低減する。2つの成分で構成された治療製剤は、使用において有用であり、かつびらんなどの治療にとって攻撃性および毒性が低い手段を提供する1つまたはそれ以上のアミノ酸を含む。治療製剤による治療は、組み合わせて治療製剤にして治療部位に適用したときに、第一級クロロアミノ酸のような(第一級)ハロゲン化アミノ酸の形態の第一級ハロゲン化アミンを生じると考えられる化学反応に至る2つの液体成分を利用する。第一級クロロアミノ酸とは、アミンが1つの塩素原子を担持するアミノ酸を意味する。本明細書に開示する治療は、この化学反応を利用すると考えられる。本明細書に使用するように、第一級ハロゲン化アミノ酸を生じる化学反応を第1の反応と呼ぶ。
当分野で知られているクロロアミンの使用は、第1の反応の後にある反応の使用に依存しており、そこでは、製剤は、低いpH、すなわち、pH約6のような中性pHの少し下である必要がある。これらの後続反応により、二ハロゲン化アミン、すなわち窒素が2つの塩素原子を担持するアミンが生じる。その時、pHは、通常、中性pHより低く、それは、本明細書に開示されたpHが高く塩基性である治療製剤による本治療とは対照的である。したがって、消毒薬としてクロロアミンを用いる知られている方法では、塩基性pHの第1の反応を使用せず、代わりに、酸性pH、例えばpH約6でジクロロアミンを形成する反応のような反応を使用する。
ここで、高いpHは、治療部位において第一級ハロゲン化アミノ酸が生じ、同時にまた、疼痛緩和をもたらし、かつ生体組織への攻撃性が最小限となる所望の反応の手段を提供すると考えられる。
形成された治療製剤は、対象が治療の間および後に経験する疼痛が軽減または除去されることさえある治療を提供することを示している。少なくとも、治療製剤が対象になんらかのさらなる疼痛をもたらすことはない。
さらに、治療製剤の使用は、感染性びらん、創傷または潰瘍からしばしば発せられる悪臭を軽減する可能性を提供する。
2つのパーツのキットの供給は、成分を安定に保ち、製造された治療製剤を対象に適用する前にその内容物が分解するリスクを低減するやり方を提供する。さらにまた、キットの供給は、所望の反応が治療部位に起こることを調節する手段を提供する。
また、混合された成分は、本質的に塩、ガスおよび水に分解することになるため、混合後の成分は、環境への低い影響を有することになる。本成分および治療製剤に用いる塩素のようなハロゲンの濃度が、水を精製するための水の塩素化、または塩素を含有する通常の家庭用漂白剤製品に用いられる塩素の量より低いことは、注目される。
実施態様によれば、上記第1および/または第2の成分のpHは、約9〜11、または約9.5〜11.5、または約10〜11.5、または約10.5〜11.5、または約11〜11.5、または約9〜10.5、または約9.5〜10.5であってもよい。
予防および/または治療は、疼痛緩和作用を含んでもよい。驚くべきことに、本治療製剤は、このような作用をもたらすことがわかっている。
また、本治療製剤は、上記のような抗菌作用を有してもよい。本治療製剤が有用となりうる細菌は、MRSAのような連鎖球菌、ブドウ球菌、シュードモナス菌、放線菌(Actino mycetes)および大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)、特にE.coliを産生する基質特異性拡張型ベータラクタマーゼ(ESBL)である。
本治療製剤は、抗生物質の任意の使用を最小限にできることがわかっており、一実施態様において、感染した治療部位を治療するために抗生物質を用いる必要がない。本治療製剤による治療が、抗生物質の使用なしに、抗生物質を用いるよりも有効となる適応症さえある。
実施態様によれば、上記びらん、潰瘍、瘻孔または耳炎は慢性であり、炎症、感染症および/または壊死を含む。
成分を混合することによって得ることができる治療製剤は、このような慢性部位に対して本明細書に記載された使用において有用であると示されており、ここでは、他の知られている治療が不成功であると示されている。
実施態様によれば、使用は、非経口使用である。
本明細書における開示から明白であるように、第1の成分と第2の成分とを混合することによって得ることができる治療製剤は、驚くべきことに、非経口治療部位、例えば皮膚びらん、創傷および潰瘍の予防および/または治療において有用であることが示されている。皮膚びらん、創傷および潰瘍の例は、糖尿病足びらん、後頭部の感染性びらん、感染性潰瘍、ならびに脚および/または足の潰瘍、切断創、ならびに感染性熱傷である。さらに、本治療製剤は、瘻孔、例えば痔瘻および耳炎を治療するために用いてもよい。
実施態様によれば、活性ハロゲン化合物は、活性塩素化合物であってもよい。
実施態様によれば、活性塩素化合物は、Cl、塩化物、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩および/または次亜塩素酸塩化合物であってもよい。
イオン化合物は、ナトリウム、カルシウム、リチウムおよび/またはカリウム形態の形態であってもよく、例えば次亜塩素酸塩化合物は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸リチウムおよび/または次亜塩素酸カリウムであってもよい。
実施態様によれば、第2の成分の活性ハロゲン化合物の量は、0.5〜5、0.5〜3または1〜2%(質量による)であってもよい。
特に記載がない場合、本明細書における質量パーセントは、化合物を含む記載された成分または同様のものの総量に対する化合物または同様のものの質量に相当することを意味する。
これらの濃度の治療製剤による治療は有効であり、1〜2%(質量による)の濃度は、有害作用をなんら生じることなく特に有効と考えられる。
本明細書に使用するとおり、アミノ酸は、各アミノ酸に特有の側鎖に加えてアミン(−NH)およびカルボン酸(−COOH)官能基でできた有機化合物である。
実施態様によれば、上記1つまたはそれ以上のアミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、イソロイシン、ロイシン、リシンおよび/またはバリンからなる群から選択してもよい。
これらのアミノ酸は、第一級クロロアミノ酸のような第一級ハロゲン化アミノ酸を形成する種類であることが確認されている。側鎖のpK値および/または性質は、第一級ハロゲン化アミノ酸を形成することができ、また、その使用によって、たとえあっても、対象における有害作用を生じるリスクが低くなるようなものである。
特に、1つまたはそれ以上のアミノ酸は、グルタミン酸、ロイシンおよびリシンを含んでもよいし、またはそれらからなってもよい。
これらのアミノ酸は、本明細書における使用に有用であると示されている。
実施態様によれば、第1の成分は、上記1つまたは複数のアミノ酸0.1〜1%(質量による)を含んでもよい。
実施態様において、第1の成分中のアミノ酸濃度は、0.4〜1.0%もしくは0.5〜1%(質量による)、または0.4〜0.8%もしくは0.5〜0.8%(質量による)であってもよい。アミノ酸組成物は、それぞれのアミノ酸の間の質量比が、約2:1〜1:2、好ましくは約1:1で混合されたアミノ酸の混合物を含んでもよい。
実施態様によれば、2つの成分は、1:2〜2:1、好ましくは約1:1の体積比で混合するものとし、それによって、びらん、創傷、潰瘍もしくは同様のもの、または瘻孔もしくは耳炎である治療部位における適用に使用するための治療製剤が形成される。室温(摂氏20度)および1気圧の圧力(101325Pa)で、そして成分を一緒に混合した後30秒以内に、本治療製剤は、約9〜11.5、または約9〜11、または約9.5〜11.5、または約10〜11.5、または約10.5〜11.5、または約11〜11.5、または約9〜10.5、または約9.5〜10.5のpHを有する。
このように、第一級ハロゲン化アミノ酸を形成する反応が本明細書に議論するような治療部位で発生するための適当な反応条件を有することを保証する方法が提供される。したがって、2パーツのキットの提供は、所望の反応が治療部位で起こることを制御する手段を提供する。
使用は、治療製剤から気泡が現れる前または間に治療製剤を適用することを含んでもよい。活性塩素化合物を用いる場合、気泡形成に伴い塩素臭も生じる。こうして、適当な反応の発生が保証される。
一実施態様によれば、第1の水性成分は、ゲル物質をさらに含んでもよい。
ゲル物質は、治療部位を湿った環境に保つ保湿手段を提供し、特に、ゲル物質は、治療部位に適用されたときに、第1および第2の成分から製造された水性治療製剤からの蒸発を軽減する。さらにまた、ゲル物質は、2つの成分から製造された治療製剤に適当な粘稠度を与える。
ゲル物質を用いて提供され、かつ「高」塩基性pHを有する治療製剤は、治療部位への攻撃性を低くすると同時に、本明細書において上述された有効な予防または治療のための使用を提供する。また、治療製剤は、治療の間および後になんら疼痛を生じることがなく、そして治療の間および後になんらかの疼痛を軽減または除去することさえありうると考えられる。
ゲル物質は、ポリエチレングリコール(PEG)および/またはカルボキシメチルセルロースおよび/または多糖類物質またはその塩、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース(Na−CMC)を含むか、またはそれらであってもよい。
このような物質は、上記の粘稠度をもたらし、治療製剤および治療部位からの上記蒸発を防止する保湿物質として作用する。
実施態様によれば、第1の成分は、ゲル物質2〜4%(質量による)を含んでもよい。
実施態様によれば、第1の成分は、TiO および/またはNaClをさらに含んでもよい。
TiO は、治癒過程の速度を上げると考えられる。
NaClの添加は、第1の成分および治療製剤中に存在する活性塩素化合物含量を増やす。NaClも、このような抗菌作用を有する。
これらの成分は、商標Carisolv(R)およびPerisolv(R)(RLS Global AB)の下で販売されたものあってもよい。
実施態様によれば、パーツのキットは、脂肪様乳剤である第3の成分をさらに含んでもよい。
脂肪様乳剤は、ワセリン(R)、亜鉛華軟膏または同様のものであってもよい。それは、後で治療製剤が適用されるびらん、創傷および/または潰瘍の縁に沿って適用するものである。脂肪様乳剤の使用は、びらんのような治療部位に後で適用された治療製剤が、対象の所望の治療部位と接触し、治療の間もそこに保持されるような封入手段を提供する。したがって、脂肪様乳剤は、液体製剤がびらん中に保持され、そこから流出することなく、びらんを取り囲む皮膚領域に入ることを保証しうる。
一実施態様によれば、キットは、保護製剤である第4の成分をさらに含んでもよい。
保護製剤は、治療部位を保護するだけでなく、びらんまたは創傷のような治療部位で治癒を刺激するために、本発明の製剤による治療の間および後に適用するものとする。
ビタミンDは刺激することが期待され、知られているため、本保護製剤は、免疫学的防御および治癒過程を改善するビタミンDを含んでもよい。さらにまた、保護製剤は、当分野で知られているような免疫学的防御を改善するため、ビタミンDを部位に到達させる手段を提供するためのビタミンAをさらに含んでもよい。
したがって、ビタミンAおよびDを用いて免疫系を刺激させ、治癒過程を改善させてもよい。
保護製剤は、乳剤またはゲルであってもよい。保護製剤は、当分野で当業者に知られているゲルを含むアルコゲルまたはグリセロールであってもよい。このような保護製剤の例は、i)ビタミンDおよび場合によりビタミンAを含むMano+(RLSグローバルAB社(company RLS Global AB)から)、ならびにii)ビタミンDが添加されてもよい商標Aberela(ヤンセン・シラグAB社(Janssen-Cilag AB)から)の下で販売されたビタミンA含有ゲルまたは乳剤である。
保護製剤は、治療部位、すなわちびらん、創傷、潰瘍または同様の部位に適用され、ここで、この製剤によって治療部位が覆われる。アルコゲルまたは同様のものは、アルコールが蒸発したあとに形成された保護層を提供することになる。
保護製剤は、2成分の治療製剤による治療の後および間に適用され、好ましくは、1回またはそれ以上の治療を実施した後、治療部位に感染症がないか、または僅かしかない場合、および肉芽組織が視認でき、びらんのような治療部位の表面が治療部位を取り囲む健常組織(例えば皮膚)のレベルにある場合に適用される。
一態様によれば、びらん、創傷、潰瘍もしくは同様のもの、または瘻孔もしくは耳炎の予防および/または治療に使用するための治療製剤が提供され、ここで、この治療製剤は、本明細書において上述された第1の成分と第2の成分とを、1:2〜2:1の体積比、好ましくは約1:1の体積比で混合することによって得ることができる。
このような治療製剤は、例えば、本明細書に上述された使用において所望の作用を示している。
実施態様によれば、上記治療製剤は、(室温および1気圧の圧力(101325Pa)で)成分を一緒に混合した後、30秒以内に約9〜11.5のpHを有する。pHは、約9〜11もしくは約9〜10.5、または約9,5〜10.5、または約9.5〜11.5、または約10〜11.5、または約10.5〜11.5、または約11〜11.5であってもよい。
これは、治療部位で起こる適当な反応の手段を提供し、すべての上記利点を提供する。
上記のように、治療製剤の使用は、治療製剤から気泡が現れる前または間に治療製剤を適用することを含んでもよい。活性塩素化合物を用いる場合、気泡形成に伴い塩素臭も生じる。こうして、適当な反応の発生が保証される。
実施態様によれば、上記予防および/または治療には、疼痛緩和作用が含まれ、上記びらん、潰瘍、瘻孔または耳炎が慢性であり、炎症、感染症および/または壊死を含むものでもよい。さらにまた、使用は非経口使用であってもよい。
一態様によれば、びらん、創傷、潰瘍もしくは同様のもの、または瘻孔もしくは耳炎を予防および/または治療するための薬剤の製造における上記のような治療製剤の使用が提供される。
治療製剤の使用の実施態様は、びらん、創傷、潰瘍もしくは同様のもの、または瘻孔もしくは耳炎の予防および/または治療に使用する治療製剤の態様の下で上に記載される。
一態様によれば、びらん、創傷、潰瘍もしくは同様のもの、または瘻孔もしくは耳炎である治療部位の予防および/または治療に使用する方法が提供される。
この方法は、
a)1つまたはそれ以上のアミノ酸を有する第1の成分と、活性ハロゲン化合物を有する第2の成分とを含む、上記の治療製剤を治療すべき対象の治療部位に適用することと、
b)治療製剤を治療部位に作用させるため、かつ/または治療部位に存在する部分を分解させるためにステップa)において適用された治療製剤をインキュベートすることと、
c)治療製剤および分解された部分を治療部位から除去することと、
d)場合により、ステップcを繰り返すことと、
を含む。
実施態様によれば、ステップb)の治療製剤は、治療製剤から気泡が現れる限り、インキュベートさせてもよい。活性塩素化合物を用いる場合、気泡形成に伴い塩素臭も生じる。最終的に、気泡および塩素臭は治療製剤において消失し、ここで、インキュベーションを停止する。
実施態様によれば、ステップb)の治療製剤は、約30秒から10分間、好ましくは約30秒から5分間、インキュベートされうる。
実施態様によれば、ステップc)は、水、生理食塩水または同様のもので治療部位をすすぐまたは洗浄することを含んでもよい。
ほとんどの場合、ステップb)後の治療部位にはNaClが存在することになるため、水を用いてもよい。
また、治療部位を洗浄し、その中のあらゆる分解部分を除去するために、乾燥圧迫ガーゼもしくはパッド、または水、生理食塩水もしくは同様のもので湿らせた圧迫ガーゼもしくはパッドを用いてもよい。また、過剰の液体および分解部分を効率的に洗浄および/または除去するために、シリカまたは活性炭を含む圧迫ガーゼまたはパッドを用いてもよい。適当な治癒環境を提供するため、本発明の治療製剤による治療の間および後に治療部位を覆うために圧迫ガーゼまたはパッドを用いてもよい。
実施態様によれば、ステップc)は、細菌、膿および/または壊死部分を除去することを含む。
本明細書において上で議論された脂肪様乳剤は、ステップa)の前に、治療製剤が提供されるびらんの縁に沿って適用してもよい。これによって、適用された治療製剤が対象の所望の身体部分と接触し、治療の間もそこに保持されるように、びらんなどの治療される部分または領域の囲いが提供される。こうして、脂肪様乳剤によって、後でびらんに適用された液体製剤がびらん中に保持され、そこから流出することなく、びらんを取り囲む皮膚領域に入ることが保証されうる。
実施態様によれば、ステップd)の後のステップにおいて、本明細書において上記されたような保護製剤で治療部位を覆ってもよい。
治療製剤は、上で議論したように新たな治療製剤ならびに適当な治療および反応条件が得られるように、ステップa)の直前に、第1の成分と第2の成分とを混合することによって製造してもよい。
本方法は、治療製剤から気泡が現れる前または間に治療製剤を適用すること(ステップa)を含んでもよい。活性塩素化合物を用いる場合、気泡形成に伴い塩素臭も生じる。こうして、適当な反応の発生が保証される。
一実施態様によれば、治療製剤は、ステップa)の前に、第1の成分と第2の成分とを混合することによって製造され、そのステップa)は、成分を一緒に混合した後、2分以内に、より好ましくは、1分、45秒または30秒以内に起こる。
実施態様によれば、本方法における上記予防および/または治療には、疼痛緩和作用が含まれ、上記びらん、潰瘍、瘻孔または耳炎が、慢性であり、炎症、感染症および/または壊死を含むものでもよい。さらにまた、本使用は、非経口使用であってもよい。
ここで、実施態様、図面および実施例を参照して本発明をより詳細に説明することにする。
本発明による治療製剤による任意の治療前に潰瘍の写真を示す。 本発明による治療製剤による治療後の図1の潰瘍の写真を示す。
びらんおよび創傷、例えば慢性創傷および潰瘍は、一般的であり、疼痛および障害で苦しむという点から患者へのかなりの負担となるだけでなく、費用の点から社会への負担となる(Serens T, Bates-Jensen B, Carter MJ, Cordrey R, Driver V, Fife CE, et al. Consensus principles for wound care research obtained using Delphi process. Wound repair and regeneration. 2012 May;20(3):284-93)。
慢性創傷および潰瘍を治療する知られている方法としては、水または生理食塩水などの溶液で週に数回洗浄し、洗浄の間に、通常、抗菌性の包帯剤、例えばSuprasorb (R)、銀、Aquacel (R)、ヨウ化物およびSorbact (R)を用いて創傷または潰瘍の手当てをすることが含まれる。
治療洗浄の費用は多額であり、例えば看護師による労働時間が必要となる。洗浄および包帯剤の両方による治療の有効性は、治癒、創傷サイズの減少および疼痛の軽減、創傷または潰瘍の進行、創傷および潰瘍をどれくらいの頻度で洗浄しなければならないか、治療が週および月でどれくらいの期間かかるか、抗生物質を用いる必要性に関して測定される。エンドポイント治癒に達する創傷および潰瘍の治療に関する研究は、ほとんどない。
炎症は、局所感染症および/または損傷した組織によって生じる。局所感染症の典型的な徴候は、疼痛、熱感、腫れ、発赤および機能の喪失である。しかし、慢性創傷では、患者は炎症の徴候を抑制する共存症をしばしば有する。結果として、慢性創傷において感染症を確認することは困難であることがあり、他の徴候および症状に依存する必要がある。慢性創傷は、例えば、糖尿病足潰瘍、静脈下肢潰瘍、動脈下肢/足潰瘍および圧迫潰瘍である。感染症は、a)新たな、増大した、または変化した疼痛、b)治癒の遅れまたは失速、c)創周囲浮腫、d)出血またはもろい肉芽組織、e)特徴的な悪臭または匂いの変化、f)創傷床の変色、g)増加した、変質した、または化膿性の滲出液、g)硬結、h)ポケット形成(pocketing)またはブリッジング(bridging)によって限局化してもよい。さらにまた、限局性慢性感染症に関する感染の広がりは、i)創離開、j)創縁から広がる紅斑、k)捻髪音、熱感、創周囲領域への変色拡散の硬結、および/またはl)倦怠感または患者の全身状態における非特異的悪化によって確認してもよい(World Union of Wound Healing Societies (WUWHS) Principles of best practice. Wound infection in clinical practice. An international consensus. London MEP Ltd 2008を参照のこと。www.woundsinternational.comから入手可能)。
本明細書に上述したとおり、びらんおよび創傷、例えば慢性創傷または潰瘍の治療には、消毒薬および抗生物質も用いられる。また、上述のように、N−クロロタウリンを含む溶液は、例えば、皮膚潰瘍の治療における消毒薬として示されている(Waldemar Gottardi and Markus Nagl, N-chlorotaurine, a natural antiseptic with outstanding tolerability, J Antimicrob Chemother 2010; 65: 399-409)。
潰瘍に関する総説では、潰瘍を治療する能力について、生理食塩水の異なる組成物および物質、例えばアロエベラ、生理食塩水スプレー、塩化銀およびデシルグルコシドの製剤が試験された。「任意の特定の創傷洗浄液または圧迫潰瘍の技法の使用を支持する試験のエビデンスがほとんどなく、エビデンスの不足は、医療提供者にとって懸念となるであろう」ということが結論付けられた(Moore Z, Cowman S. A systematic review of wound cleansing for pressure ulcers. J Clin Nurs, 2008 17(15):1963-72)。
したがって、多くのびらん、創傷および潰瘍を治療する可能性を提供すると同時に製剤が接触している皮膚のような身体部分に優しく、かつ本明細書に上述したように患者および社会の負担を軽減しうる、びらん、創傷、潰瘍または同様のものを治療する新たな製剤を探索する必要があった。
本発明は、治療製剤の新たな使用および治療製剤を製造するためのキットならびに上記問題を克服する上記の態様において有用であることが見いだされた治療方法に関する。本使用および方法は、びらん、創傷、潰瘍、瘻孔または耳炎の治療に関する。
方法
以下において、本発明は、例えば、炎症、感染症、膿および/または壊死を伴う、熱傷、慢性創傷および潰瘍、および瘻孔ならびに耳炎を予防および/または治療する方法によって例証することになる。瘻孔は痔瘻であってもよく、それは直腸から皮膚表面に延びている異常な経路である。
本方法およびその中に用いる治療製剤は、疼痛緩和作用および抗菌作用をもたらし、慢性であり、炎症、感染症および/または壊死を伴う、びらん、潰瘍、瘻孔または耳炎の予防および/または治療に対して、特に非経口使用において有用でありうる。
一般に、本方法は、
・1つまたはそれ以上のアミノ酸を含む第1の成分と、活性ハロゲン化合物を含む第2の成分とを含む本明細書に記載された治療製剤を、びらん、瘻孔、耳炎または同様のもののような治療部位に適用するステップと、
・治療製剤を治療部位において作用させ、その中に存在する部分を分解させるために上のステップにおいて適用された治療製剤をインキュベートするステップと、
・治療製剤および/または分解された部分を対象から除去するステップと、
・場合により、上のステップを繰り返すステップと、
を含む。
本明細書に記載された方法は、例えば、皮膚創傷または潰瘍の治療に有用であり、その際、細菌、膿、壊死細胞および/または痂皮の部分が存在し、その場合、これらの部分は本方法を用いて除去、軽減することができる。
本明細書に上述したように、本方法は、疼痛緩和および抗菌作用の手段も提供しており、ここでは、連鎖球菌、ブドウ球菌、シュードモナス菌、放線菌(Actino mycetes)および大腸菌(E.coli)、特に抗生物質に対した多剤耐性であるE.coliを産生する基質特異性拡張型ベータラクタマーゼ(ESBL)のような細菌の量を、治療部位において低減または除去することができる。
さらにまた、本治療製剤の使用は、感染性びらん、創傷または潰瘍からしばしば発生する悪臭を軽減する手段を提供する。
本治療製剤は、第1の成分と第2の成分とを一緒に混合することによって製造した後30秒以内に約9〜11.5のpHを有する(室温および1気圧の圧力(101325Pa)で)。これは、びらんまたは同様のものに適用するときも「高い」塩基性のpHを提供する。このようなpHで、本治療製剤は、本明細書に記載された使用に有効であると同時に知られている治療製剤よりも生体組織に対して攻撃性が低い。本治療製剤は、本明細書に記載されたような疼痛の抑制および軽減さえもたらす。さらにまた、高いpHによって、第一級クロロアミノ酸のようなハロゲン化アミノ酸を形成する所望の反応が治療部位で起こることが保証され、これは、また本明細書にさらに記載される。
実施態様によれば、本治療製剤のpHは、約9〜11、9〜10.5、または9.5〜10.5、または約9.5〜11.5、または約10〜11.5、または約10.5〜11.5、または約11〜11.5である。
したがって、本治療製剤は、1つまたはそれ以上のアミノ酸を含む第1の水性成分と、活性ハロゲン化合物を含む第2の水性成分とを混合することによって得てもよい。
活性ハロゲン化合物は、本明細書に上述された化合物のいずれか、例えば第2の成分中に0.5〜5、0.5〜3または1〜2%(質量による)の量で存在しうる次亜塩素酸ナトリウムのような次亜塩素酸塩化合物でもあってよい。本明細書に記載された治療目的では、0.5〜3%、特に1〜2%の低い量で十分であることがわかっている。第1の成分は、上記1つまたはそれ以上のアミノ酸を、0.1〜1%(質量による)の量、または本明細書に記載された他のいずれかの濃度で含んでもよい。その中のアミノ酸は、互いの間で約2:1〜1:2、好ましくは1:1の質量比で存在してもよい。第1および第2の両成分は、例えば、NaOHで調整して約9〜11.5のpHを有してもよい。実施態様において、pHは、約9〜11、9〜10.5、または9.5〜10.5、または約9.5〜11.5、または約10〜11.5、または約10.5〜11.5、または約11〜11.5である。
2つの成分は、1:2〜2:1、好ましくは約1:1の体積比で混合してもよく、それによって創傷のような治療部位に適用される治療製剤を形成する。好ましくは、治療製剤を治療部位に適用する直前に2つの成分を混合する。これによって治療製剤中の活性成分の分解リスクが軽減され、治療部位で治療製剤をインキュベートすることによって治療の間に第一級ハロゲン化アミノ酸を形成する所望の反応が起こることになる。したがって、治療製剤の適用時に活性成分を含む治療製剤を提供する手段が提供される。適用直前に成分を混合することによって、製造された治療製剤のpHは上記のようになり、それによってその利点が保証される。
本治療製剤は、それを適用する直前に、第1の成分と第2の成分とを混合することによって製造してもよく、新たな治療製剤ならびに上に議論したような適当な治療および反応条件が得られる。
本治療製剤は治療製剤から気泡が現れる前および間に治療製剤を適用することを含んでもよい。活性塩素化合物を用いる場合、気泡形成に伴い塩素臭も生じる。こうして、適当な反応の発生が保証される。
一実施態様によれば、本治療製剤は、第1の成分と第2の成分とを混合し、続いて、成分を一緒に混合した後、2分以内、より好ましくは1分、45秒または30秒以内に治療製剤を適用することによって製造される。
第1の成分は、ゲル物質を2〜4質量%の量で含んでもよい。
ゲル物質は、PEGおよび/またはカルボキシメチルセルロースおよび/または多糖類物質またはその塩、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース(Na−CMC)であってもよい。一実施態様において、ゲル物質は、高粘度カルボキシメチルセルロースゲルであってもよい。カルボキシメチルセルロースの高粘度は、800〜1300(mPas;室温)と定義される。ゲル物質は、400〜800(mPas)と定義される中程度の粘度のカルボキシメチルセルロースであってもよい。ゲル物質は、治療部位のための湿性環境を保持する保湿手段を提供し、ここでは、治療製剤および治療部位からの蒸発が防止される。さらにまた、ゲル物質は、2つの成分から製造された治療製剤に対して適当な粘稠度も提供する。
上記pHを有する治療製剤および場合によりゲル物質を適用することによって、本明細書に記載された使用による作用が得られると期待される。
実施態様によれば、上記1つまたはそれ以上のアミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、イソロイシン、ロイシン、リシンおよび/またはバリンからなる群から選択してもよい。
これらのアミノ酸は、第一級ハロゲン化アミノ酸を形成する種類であることが確認されている。側鎖のpK値および/または性質は、第一級ハロゲン化アミノ酸を形成することができ、かつその使用により対象において生じる有害作用のリスクが、たとえあっても、低くなるようなものである。
特に、1つまたはそれ以上のアミノ酸は、グルタミン酸、ロイシンおよびリシンを含んでもよく、またはこれらからなってもよく、それは、これらのアミノ酸が本明細書の使用において有用であることがわかっているからである。
第2の成分は、以下の化合物、塩化ナトリウム、酸化チタン、EDTAおよび水酸化ナトリウムの1つまたはそれ以上をさらに含んでもよい。
したがって、治療部位、例えばびらん、潰瘍もしくは同様のものに、または瘻孔、例えば痔瘻に適用してもよい液体製剤が提供される。本治療製剤は、適用時に表面を完全に覆うためびらん、潰瘍または同様の表面上にそれ自体で拡散する能力を有する液体、好ましくは液体ゲルの粘稠度を有してもよい。
本治療製剤は、瘻孔のような治療される部分に注射してもよい。
本発明による使用のための成分および製剤は、商標Carisolv(R)およびPerisolv (R)(RLS Global AB)の下で販売されたものの1つであってもよい。
ここで下の表1において、治療製剤を提供するためのキットのパーツとして2つの成分の含量の例を提供する。含量は、一般に商標Carisolv(R)およびPerisolv(R)の下で販売された成分および製剤に対応する。
Figure 0006169693
本方法は、びらん、創傷、潰瘍もしくは同様のもの、または痔瘻のような瘻孔、または耳炎である治療部位の予防または治療用の水性製剤の使用に基づく。
本方法は、治療部位に治療製剤を適用することを含み、その後、この治療製剤を一定時間の間インキュベートして、例えば壊死細胞のような分解された部分をその後のステップで除去し、感染症のリスク減少をもたらす。
治療製剤の適用は、クロロアミノ酸のような第一級ハロゲン化アミンを形成する、活性ハロゲン化合物と上記1つまたはそれ以上のアミノ酸との間の第1の反応のその一部または全体が治療部位で起こるように実施されることが好ましい。これは、第1の成分と第2の成分とを互いに混合した直後に、すなわち2つの成分を一緒に混合した後、2分以内、好ましくは1分以内、または最も好ましくは数秒以内、例えば5〜10秒以内に治療製剤を適用することによって達成される。その場合、本治療製剤は、治療部位に適用される時点で塩基性のpH、例えば約9〜約11.5のpH値を有する。高いpHは第1の反応が起こる条件を提供すると同時に、本治療製剤は疼痛緩和作用も提供する。
当分野で知られているようなクロロアミンは、第1の反応の後にあり、かつ製剤が、本明細書に記載された態様および実施態様によるpHより低いpHを有する必要がある反応の使用に依存している。その場合、通常、pHは中性pHより低く、それはpHが塩基性である本治療と反対である。したがって、消毒薬としてクロロアミンを用いる知られている方法は、第1の反応を使用せず、その代りに、ジクロロアミンの形成がずっと後の段階で起こる反応などの反応を用いる。
治療部位に治療製剤を適用する実施態様において、本方法は、治療製剤を適用する前にびらん、創傷または潰瘍辺縁に沿って脂肪性乳剤または同様のもの(脂肪様乳剤)を適用することを含んでもよい。脂肪性乳剤の使用によって、その後にびらん、創傷、または潰瘍に適用される液体製剤が、びらん、創傷または潰瘍中に保持され、それによって、そこから流出することなく、びらん、創傷または潰瘍を取り囲む皮膚領域に入ることが保証される。
脂肪性乳剤は、ワセリン(R)または、亜鉛華軟膏であってもよい。しかし、例えば、びらん辺縁に沿って液体関門を提供するために当業者に知られているいずれかの脂肪様乳剤を用いてもよい。
2つの成分から製造される液体治療製剤は、びらんまたは潰瘍のような治療部位に適用される。本明細書に上述したとおり、本治療製剤は、完全に表面を覆うためびらん、潰瘍または同様の表面においてそれ自体で拡散すると同時に治療領域から流出することなく、湿性機能をもたらす能力を有する液体、好ましくは液体ゲルの粘稠度を有してもよい。本液体治療製剤は、前述の2つの成分を混合することによって、その適用の直前に製造される。
次いで、本治療製剤を、一定期間インキュベートして製剤の作用を可能にする。本治療製剤は、30秒後にすでに作用を達成することがわかっており、そのため、製剤を除去する前に、製剤を少なくとも30秒間インキュベートする必要がある。それにもかかわらず、本治療製剤を数分間インキュベートしても、より良好な作用が示されており、一実施態様によれば、本治療製剤は5〜10分間インキュベートされる。一実施態様によれば、インキュベーションは、小さな気泡および塩素臭(活性塩素化合物を用いる場合)が現れ、次いで消失するまで続行させるが、それは、通常5〜10分以内、ほとんどの場合5分以内に起こる。したがって、記載された治療製剤の有効な第1の反応は、ほとんどの場合、5〜10分以内に終了する。
長年の間、クロロアミンは、口腔の治療に対して本明細書に上述された濃度で用いられており、これに関連してヒトでの毒性作用の徴候がないと報告されている。口腔の粘膜における毒物学的研究は、なんら悪影響を示さなかった(King CD, Stoudt MS. Toxicological evaluations of a chemical caries-removing agent. Preclinical report, National patent development corporation, 1985; CarisolvTM sensitizing potential in the guinea-pg: Magnusson & Klingman test (G.P.M.T.), Caroline Ruat, Chrysalis, Preclinical services- Europe. a2PU1478, 1998;CarisolvTM - Single application dermal irritation study in rat, Chrysalis, N 789/002-D-23, 1998; CarisolvTM - - Test to evaluate irritation of the buccal mucosa in the guinea-pig, Chrysalis, 789/001, 1998;Silica fumed CarisolvTM Acute Oral Toxicity Study in the Rat. OECD Guideline no.420, Acute Oral Toxicity - fixed Dose method, Bollen L.S. ScanTox, lab No 43241, Dk, 2001; Removing the necrosis (compress with water or the like and drying)。
したがって、本明細書に記載された使用のため第一級ハロゲン化アミノ酸が形成される、本明細書に記載された製剤を用いるときに、本明細書に記載された使用における大きな毒性作用はないと予想される。
治療製剤をインキュベートした後、例えば、水または同様のもので治療部位をすすぐまたは濡らし、場合により、治療した領域を湿ったおよび/または乾燥した圧迫ガーゼ/包帯剤/パッドまたは同様のものでふき取ることによってそれを除去する。
過剰の液体および分解した部分を効率的に洗浄および/または除去するために、シリカ、超吸収剤または活性炭を含む圧迫ガーゼまたはパッドを使用してもよい。また、本明細書において下に記述するとおり、治療の間に治療部位を覆うために圧迫ガーゼまたはパッドを使用してもよい。
上記の手技は、その必要があれば、1回またはそれ以上繰り返してもよい。
治療の後、びらんに固着しないようびらんに面してなめらかな表面を有する乾燥した圧迫ガーゼ/包帯剤/パッドで治療部位を覆ってもよく、それによって治癒が可能となる。また、シリカ、超吸収剤または活性炭を含む圧迫ガーゼまたはパッドを使用してもよい。また、例えば、特に静脈瘤性潰瘍の場合、包帯または同様のものによる被覆を適用してもよい。
その場合、上記の手技(治療)は、例えば週1回、その必要がある限り1〜3回またはそれ以上繰り返してもよい。
治療の間、治療部位に適当な湿性環境を与えるだけでなく、治療部位内で治癒を刺激するために、保護製剤を治療部位に適用してもよい。
保護製剤は、乳剤またはアルコゲルのようなゲルであってもよい。保護製剤は、グリセロール、コレステロール、パラフィン、パラオキシ安息香酸プロピルおよびメチル、ポリエチレングリコール(PEG)、ワセリン、ステアリン酸グリセロール、ビタミンA、ビタミンDを含んでもよい。また、保護製剤は、無水アルコール≧99.5%、2−プロパノール≧99%、1−ブタノール≧99%、グリセリン(USP試験規格を満たす)、アクリレート/C10−13ポリ(アクリル酸Mn130,000、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール95%、ラベンダーおよびビタミンD(デトレミン(detremin)、ドロップ(drops))の製剤であってもよい。
市場で入手可能な保護製剤の例は、i)ビタミンDおよび場合によりビタミンAを含むMano+(RLSグローバルAB)、およびii)ビタミンDが添加されてもよい商標Aberela(ヤンセン・シラグAB社(Janssen-Cilag AB)から)の下で販売されたビタミンA含有ゲルまたは乳剤である。
ビタミンDは刺激することが期待され、知られているため、ビタミンDは局所的な免疫学的防御を改善することを目的とする。ビタミンAは、ビタミンDを刺激して組織中に浸透し、体内の免疫学的防御を刺激する部位に到達することが知られている。
本保護製剤は、治療部位、すなわちびらん、創傷、潰瘍または同様のものに適用され、ここでは、この製剤が治療部位を覆う。アルコゲルまたは同様のものは、アルコールが蒸発した後、形成された層が得られることになる。
本保護製剤は、2つの成分の治療製剤による治療の後および間に適用され、好ましくは、1回またはそれ以上の治療が実施された後、治療部位に感染症がないか、または僅かしかない場合、および肉芽組織が視認でき、びらんのような治療部位の表面が治療部位を取り囲む健常組織のレベルにある場合に適用される。
本発明は、上述の実施態様に限定されるわけではなく、実施例において説明してもよいことがわかるであろう。むしろ、当業者は、添付の請求項の保護範囲で枠組み内で実施することができる多くの変更および改良を認めるであろう。例えば、本治療製剤の好ましい使用は、びらんまたは瘻孔の治療を対象とするが、本製剤を、例えば耳炎の予防または治療に用いてもよい。
実施例、その背景および試験法の説明
本明細書に上述したとおり、びらんおよび創傷は一般的であり、明らかに患者および社会へのかなりの負担となる。知られており、かつ慢性びらん、創傷および潰瘍の治癒に有効に用いることができる製剤は、たとえあっても、少ししかない。
したがって、治療には長い時間がかかるだけでなく、治療を何度しても完全に治癒に至ることがない。場合によっては、切断が唯一の代替治療となる。
多くのさまざまな製剤がこれまで試験されており、本明細書に上述したように、例えば、N−クロロタウリンンを含む溶液は、皮膚潰瘍の治療の消毒薬として示されている(Waldemar Gottardi and Markus Nagl, N-chlorotaurine, a natural antiseptic with outstanding tolerability, J Antimicrob Chemother 2010; 65: 399-409)。
上述のように、任意の特定の創傷洗浄液または圧迫潰瘍の技法の使用を支持する試験のエビデンスがほとんどなく、エビデンスの不足は、医療提供者にとって懸念となるであろう。
多くのびらん、創傷および潰瘍を治療する可能性を提供する、びらんまたは同様のものを治療する新たな製剤を探索する必要がある。
したがって、熱傷、皮膚びらん、創傷、潰瘍およびさらに瘻孔の治療に対して本発明の製剤を調べた。驚くべきことに、以下、本明細書において明らかとなるように、これらの製剤は上記治療に非常に有効であることが示されており、ここでは、例えば、びらん、熱傷、潰瘍および瘻孔を完全に治療し、患者から除去することができた。患者の何人かは長年にわたってびらん、潰瘍または瘻孔を患っており、知られている製剤を用いていくつかの治療をうけたことがあるが、そこでは、びらん、潰瘍または瘻孔を除去して治療することができなかったという事実は、注目される。
さらにまた、治療には疼痛がなんら含まれていないが、本製剤は疼痛緩和作用を有すると考えられる。実際、実施例の対象では、治療してすぐと治療の間で疼痛の減少が報告された。
しかし、本成分の混合物を、熱傷後の新たに定着した上皮組織に適用すべきではなく、それは、これによって、例えば疼痛反応が生じると考えられるためである(本明細書における下の実施例7を参照のこと)。
実施例で用いた製剤
以下、本明細書において特に記載がない場合、以下の実施例で用いた治療製剤は、水性NaOClを1〜2%(質量による)の量で含む成分1体積を、アミノ酸lys+Glu+Leu(質量比1:1:1および総アミノ酸含量0.7〜0.8質量%)、TiO(0.04質量%)、NaCl(0.3〜0.6質量%)、Na−CMC(中程度の粘度;3質量%)、およびNaOH(質量によりpHを9.5〜10.5となるよう調整するために加えた)を含む成分1体積と混合することによって適用直前に製造した。カルボキシメチルセルロースの中程度の粘度は、400〜800(mPas)と定義される。
実施例では、各成分1/2〜2mlを用いて1:1の比率で混合した。
適用前の治療製剤の最終pHは、9.5〜10.5であった。
pHは、電極、pH LE 420(VWRインターナショナルAB)を取付けられたpH Fiveeasy FE20-basic(VWRインターナショナルAB(VWR International AB))によって測定した。それぞれ周囲温度および圧力で各バッチについて4、7および10で標準緩衝液を用いて較正曲線を作成した。推奨試料体積1mlで三通り試験し、成分のpH条件(pH9,5〜10,5)を満たすため水酸化ナトリウムおよび/または塩酸で調整した。
また、本明細書に上述された実施態様による代替含量を有する2つの成分から得られた上記pHを有する製剤も、実施例で用いた特定の治療製剤と同様の作用をもたらすことが期待される。例えば、活性塩素化合物は、Ca(OCl) またはKOClであってもよく、1つまたはそれ以上のアミノ酸は、実施態様または添付の請求項の態様に記載されたものであってもよい。
治療の手順および結果の評価
本発明による方法は、組み合わせて治療領域上に適用したときに化学反応が起こり、第一級ハロゲン化アミノ酸を生成する2つの液体成分を利用する。使用した成分および混合物は、本明細書において上および下に記載する。
以下に、実施例で用いた一般的な手順を説明する。あらゆる具体的な詳細および逸脱した手順のステップをそれぞれの実施例の下に示す。
成分を混合し、得られた混合物、すなわち治療製剤を治療部位、例えば潰瘍に直ちに(数秒、最大1分以内に)適用した。こうして、記載されたハロゲン化アミノ酸を形成する化学反応が治療部位と接触して起こることが適用された。健常な組織から死んだ組織を分離するだけでなく、細菌を分解および/または破壊するために、生じた化学反応を進行させた。溶液形態の混合物を治療領域、例えば潰瘍内に5分またはそれ未満の間放置したが、ここでは、製剤中に気泡および塩素臭が現れ、次いで消失するような反応が進行する。場合によっては、溶液を5分より長く放置する必要があったが、最も長いインキュベーション時間は9分であった。
次いで、治療領域を水ですすいだ。その時、力を及ぼす必要なしに、死んだ組織および膿を潰瘍から容易に除去することができた。必要に応じて、代わりに湿ったパッドを用いてびらんまたは同様のものを洗浄した。潰瘍内で溶液を保持するため、熱傷の場合のように、その必要がある場合、潰瘍に沿って皮膚に脂肪性乳剤を適用した。本明細書において以下に特に記載されてない場合、脂肪性乳剤は、ワセリン(R)であった。また、脂肪性乳剤は、治療の間にびらん辺縁を保護するために適用することができ、場合によっては、適用した。
細菌、膿および死んだ組織を除去した後、新たに製造した治療製剤を治療部位、例えば潰瘍に再び適用し、あらゆる細菌を根絶するため、5分またはそれ未満の間、治療部位に放置した。水ですすぐことおよび/または湿ったパッドの使用によって溶液を除去した。治療部位に治療製剤を2回適用し、水および/またはパッドでそれを除去するこの治療を、その必要がある限り、定期的に繰り返した。正確な繰り返しのスケジュールは、各実施例に示す。したがって、手順は、すべての膿および死んだ組織を除去することができるように週に約1回、最初はより頻繁に繰り返す治療を含んでもよい。
治療の間に、積極的治療なしで潰瘍を放置することによって、なんら妨害要素なしに組織を治癒させることができた。
本明細書に上述したように、治療後および治療の間に、保護乳剤またはゲル、例えばアルコゲルを治療部位に沿わせてもよい。
以下の実施例1では、本明細書において下に述べるように、治療の間および後にビタミンDを含むMano+(RLSグローバルABから)を用いた。Mano+は、グリセロールを含むアルコゲルであり、何回か治療を行った後、創傷に感染症がないか、または僅かしかない場合、および肉芽組織が視認でき、創傷の表面が周囲の健常組織、すなわち周辺の皮膚のレベルにある場合に適用した。製剤中のアルコールは、適用後、保護層から蒸発させた。
好ましくは、治療の間および治療後の治療部位は、非粘着性表面乾燥滅菌パッドおよび適所にガーゼが入ったパッドだけで保護する必要がある。ほとんどの実施例では、このような乾燥パッドを用いた。
さらにまた、試験では、包帯で覆われた領域中に細菌培養を導くと考えられるため、例えばしっかり密封された包帯など、圧迫を加えることはなかった。
びらん、潰瘍または瘻孔の治療は、以下の1つまたはそれ以上に基づいて評価した、または評価してもよい:
・定規または同様のものおよびカメラ/画像を用いて測定したびらんのサイズ;
・びらん辺縁から外側の赤斑の縁までの距離をmmで測定したびらん周囲の赤斑;
・本明細書に記載された感染症または炎症を伴う慢性びらんまたは創傷のなんらかの徴候の存在、例えばポケット形成の存在;
・疼痛を1から10まで評価する、知られている疼痛の視覚評価スケール(Visual Analog pain Scale)(VAS)を用いた、治療の前、間、および後に経験した疼痛の患者調査、ここで、例えば、8はひどい疼痛である;
・びらんの知られている細菌の存在の試験(例えば、培養を用いて、治療の前および後に);および
・びらんの画像、すなわち治療の前および後に撮った画像を比較することであり、画像を比較することによって、例えば、感染症に起因する炎症反応が示される。
実施例1−糖尿病および循環障害のような障害を患っている患者の足におけるびらんの治療
対象は、疾病およびアルコール乱用の長い病歴を有する74歳男性であった。この男性は真性糖尿病であり、錠剤による治療を受けたことがあり、そして受けている。また、この男性には血液循環の悪化を伴う動脈硬化症がある。この男性は脳卒中および心不全にかかったことがあり、利尿薬による治療を受けている。この男性は、10代の頃から1日40本のタバコを吸っていた。この男性には骨粗鬆症があり、何回か骨折したことがある。
4年前、この男性は自動車事故に遭って、左足および下腿が動かなくなり、車の外へ自分自身を引っ張り出さなければならず、左下腿に循環障害が生じた。事故前の2年間に、この男性は左下腿にいくつかの丹毒があった。
ここ2年、この男性は左足の第1趾と第2趾と間に感染性の治癒困難な潰瘍があり、この男性が受けた治療がどうであれ、潰瘍は治癒しておらず、サイズが大きくなっている。この男性には莫大な疼痛があり、高用量の鎮痛剤による治療を受けたが、それにはモルヒネが含まれていた。また、高用量の抗生物質(Heracillin(R)、Meda AB、750mg1×3、およびシプロフロキサシン、ヘキサルA/S、750mg1×3)が4ヵ月間投与された。過去1年半の間、この男性はアルコールの摂取量を減らしてきた。この男性はきっちり糖尿病食を続けてきた。左下腿の動脈不全のため、左下腿の動脈の拡張が2011年11月に実施された。潰瘍を週2回洗浄し、潰瘍洗浄の間にSorbact(Abigo Medical AB)で治療した。また、培養検査によれば、シュードモナス菌の2種類の菌株が豊富にあり、それらは高い抗生物質耐性であることがわかった。
患者が糖尿病動脈足潰瘍を患っており、治療により潰瘍に対する改善の徴候がなんら示されなかったため、2012年2月に、切断のため患者を整形外科医院にまわされた。6週後に、この男性は指示を受けた。整形外科医院でのこの指示の前に、本明細書に上述された手順および治療製剤を用いた治療によって改善に至り、どのような形であれこの男性が助かるかどうかにかかわらず、この男性は試験することを受け入れることにした。
図1に、治療製剤による任意の治療前の潰瘍の写真を示す。潰瘍は母趾と第2趾との間にあり、深さ約2〜3cmであり、約12立方センチメートルの体積であった。潰瘍には灰色の死んだ組織が含まれていた。培養検査は、潰瘍中に2種類のシュードモナス菌株が多量に存在し、これらの菌株が抗生物質に対して耐性であることを示した。
そこで、上記のような治療手順に従って本明細書に記載された製剤治療を用いて患者を治療し、ここでは、合計13回の治療を実施した。治療の期日、説明および結果は、以下、本明細書に示す。
結果から、13回の治療後に潰瘍が治癒し、患者が、本明細書に上述した成分混合物を用いた治療による疼痛およびその治療中の疼痛における減少を経験したことは明らかである。
図2は、最終治療後の足を示す写真であり、ここでは、除去されるべき過剰皮膚組織および瘢痕の存在以外は、潰瘍が治癒している。最終治療後、患者は、瘢痕上に定期的にワセリン(R)を適用することが推奨された。
実施例1−説明および結果
第1の治療(2012−03−02、すなわち2012年3月2日)
潰瘍状態:
長さ:39mm:
幅:14mm
治療前の潰瘍の深さ:23mm
治療後の潰瘍の深さ:30mm
表面領域:562mm3
治療前の総潰瘍体積:12558mm3
治療後の総潰瘍体積:16380mm3
疼痛
治療前に患者が評価した疼痛(VASスケール):10/10
治療の間に患者が評価した疼痛(VASスケール):8/10
脚の簡単な説明:
下腿全体に紅斑があり、脚から発する強い悪臭があった。化膿滲出液も認めることができた。潰瘍を取り囲む皮膚の下にポケット形成を認めることができた。図1は、治療製剤による第1の治療前の潰瘍を示す。
第1の治療後の結果
死んだ組織の上になんら力を及ぼす必要なしに、死んだ組織を容易に除去することが可能であった。化学反応によって死んだ組織が生じて健常な組織部分から分離したようになっている。しかし、すべての死んだ組織および膿を除去することができたわけではない。治療後、死んだ組織部分の除去のため、潰瘍の体積は増加した。
第2の治療(2012−03−06)
潰瘍状態:
長さ:37mm
幅:12mm
治療前の潰瘍の深さ:23mm
治療後の潰瘍の深さ:26mm
表面領域:444mm
治療前の総潰瘍体積:10212mm
治療後の総潰瘍体積:11544mm
疼痛
治療前に患者が評価した疼痛(VASスケール):8/10
治療の間に患者が評価した疼痛(VASスケール):6/10
脚の簡単な説明:
足のみに、なお紅斑があった。なお悪臭があったが、以前より少なかった。潰瘍は死んだ組織であふれていたが、本発明の製剤の第1の適用および死んだ組織の除去後、深さは、第1の治療におけるほど増加しなかった。表面領域は減少し、治療の間で、疼痛の減少が残っており、その後、疼痛の減少が続いた。
第2の治療後の結果
対象が経験した疼痛は軽減され、潰瘍は僅かに小さくなった。紅斑は少なくなり、ほとんどの膿および死んだ組織は容易に除去することができた。第2の治療後、悪臭はなく、潰瘍に沿った皮膚の下のポケット形成は治療前よりも少なくなった。
第3の治療(2012−03−14)
潰瘍状態:
長さ:36mm
幅:12mm
治療前の潰瘍の深さ:23mm
治療後の潰瘍の深さ:23mm
表面積:360mm
治療前の総潰瘍体積:8280mm
治療後の総潰瘍体積:8280mm
疼痛
治療前に患者が評価した疼痛(VASスケール):3/10
治療の間に患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
脚の簡単な説明:
紅斑は潰瘍の辺縁に軽減さていた。悪臭はかなり少なく、滲出液の量は少なかった。
第3の治療後の結果
すべての死んだ組織は除去されており、ごく僅かな膿が残った。患者は疼痛を経験せず、任意の鎮痛剤の摂取を停止することができた。潰瘍の深さは、サイズがより深くなることはなかった。
第4の治療(2012−03−21)
状態潰瘍
長さ:35mm
幅:10mm
治療前の潰瘍の深さ:19mm
治療後の潰瘍の深さ:19mm
表面積:350mm
治療前の総潰瘍体積:6650mm
治療後の総潰瘍体積:6650mm
疼痛
治療前に患者が評価した疼痛(VASスケール):
患者の経験2/10VAS
治療の間に患者が評価した疼痛(VASスケール):
患者の経験0/10VAS
脚の簡単な説明:
紅斑を認めることはできなかった。悪臭はごく僅かしかなかった。滲出液の量も減少しており、ポケット形成は僅かしか認められなかった。
第4の治療後の結果
培養検査は、任意の治療前に最初に認められた2種類のシュードモナス菌株の一方の菌株だけが治療前に残ったことを示した。しかし、治療前のシュードモナス菌の量は依然として高く、治療後、その数は有意に減少したが、しかし、なお同じ抗生物質耐性があった。患者は、自分の脚および足で歩くことができた。この患者は、もはや抗生物質を摂取する必要がなかった。治療後、少しの膿だけが残った。
第5の治療(2012−03−28)
潰瘍状態:
長さ:32mm
幅:10mm
潰瘍の深さ:15mm
表面積:288mm
総潰瘍体積:4320mm
疼痛
治療前に患者が評価した疼痛(VASスケール):1/10
治療の間に患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
脚の簡単な説明:
潰瘍によって生じる悪臭はなかった。ポケット形成はごく僅かしかなく、紅斑はなかった。
第5の治療後の結果
潰瘍では以前よりもかなり少ない滲出を認めることができた。ここで、潰瘍の包帯剤を、密着したパッドから非粘着性表面を有する緩い風通しのよい乾燥滅菌パッドおよびガーゼの使用に変更することができた。
第6の治療(2012−04−04)
潰瘍状態:
長さ 29mm
幅 9mm
潰瘍の深さ:13mm
表面積:261mm
総潰瘍体積:3393mm
疼痛
治療前に患者が評価した疼痛(VASスケール):1/10
治療の間に患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
脚の簡単な説明:
本発明の製剤を適用する前に、ごく僅かな膿が認められた。悪臭および観察できるポケット形成はなかった。少量の滲出液があった。
第6の治療後の結果
治療後、整形外科医院で対象に指示があり、下腿の切断を延期することが決定された。
さらにまた、整形外科医は、対象に週2回治療を受けるようにと指示した。
第7の治療(2012−04−13)
潰瘍状態:
長さ 28mm
幅 8mm
潰瘍の深さ:8mm
表面積:224mm
総潰瘍体積:3393mm
疼痛
治療前に患者が評価した疼痛(VASスケール):1/10
治療の間に患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
脚の簡単な説明:
紅斑なし、ポケット形成なし、悪臭なし、および少量の滲出液があった。
第7の治療の結果
以前に含まれておらず、潰瘍の写真を撮らず、結果の記録も作成しなかった人によって治療を実施した。したがって、第8の治療について述べる。
第8の治療(2012−04−16)
潰瘍状態:
長さ 24mm
幅 7mm
潰瘍の深さ:8mm
表面積:168mm
総潰瘍体積:1344mm
疼痛
治療前に患者が評価した疼痛(VASスケール):1/10
治療の間に患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
第8の治療後の結果
潰瘍はすっかりきれいになっており、潰瘍底に新たな赤色の肉芽組織を認めることができた。
第9の治療(2012−04−19)
潰瘍状態:
長さ 23mm
幅 6mm
潰瘍の深さ:7mm
表面積:138mm
総潰瘍体積:966mm
疼痛
治療前に患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
治療の間に患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
脚の簡単な説明:
シュードモナス菌の最小限の成長を検出することができた。ブドウ球菌は増殖を開始して最小量になった。
第9の治療後の結果
潰瘍周辺の領域を保護するため、Mano+を潰瘍に沿わせた。潰瘍が非常にきれいになったようであるため、再び週1回対象を治療すること決定し、こうしてなんら障害なしに潰瘍を治癒させることができる。
第10の治療(2012−04−25)
潰瘍状態:
長さ 22mm
幅 6mm
潰瘍の深さ:6mm
表面積:132mm
総潰瘍体積:792mm
疼痛
治療の前および後に患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
第10の治療後の結果
ほんの僅かな死んだ組織を、その上になんら力を及ぼす必要なしに除去した。治療後、ビタミンDを含むMano+を潰瘍に沿わせて継続した。
第11の治療(2012−05−03)
潰瘍状態:
長さ 18mm
幅 4mm
潰瘍の深さ:4mm
表面積:72mm
総潰瘍体積:216mm
疼痛
治療の前および後に患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
第11の治療後の結果
潰瘍は小さかった。治療後、ビタミンDを含むMano+を潰瘍に沿わせて継続した。
第12の治療(2012−05−11)
潰瘍状態:
長さ 12mm
幅 3mm
潰瘍の深さ:2mm
表面領域:36mm
総潰瘍体積:72mm
疼痛
治療の前および後の患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
第12の治療後の結果
治療後、ビタミンDを含むMano+を潰瘍に沿わせて継続した。潰瘍の深さは最小限であり、潰瘍は完全に治癒しそうであった。
最終治療(2012−05−18)
潰瘍状態:
治癒した
疼痛
治療の前および後の患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
脚の簡単な説明:
潰瘍は治癒した。図2は、最終治療後の足を示す写真であり、ここでは、除去すべき過剰の皮膚組織および瘢痕の存在を除いて、潰瘍は治癒している。
治療製剤を1回適用した後、潰瘍があった領域からはがれた過剰の皮膚をこすり落とすことができた。
最終治療後の結果
潰瘍は治癒し、瘢痕にワセリンを使用し続けることが推奨された。
実施例2−感染性潰瘍の治療
対象は、骨粗鬆症であり、骨折および食欲不振による栄養不良を患っている86歳女性であった。この女性は、2011年3月に転んだことがあり、右下腿の前方を損傷して脚に創傷ができた。次いで、創傷が化膿して赤くなり、疼痛を生じた。そのため、この女性に抗生物質Heracillin(R)750mg1×3、つまり100錠剤を投与した。最初は毎日、その後、週2回、創傷を洗浄した。
創傷の洗浄および抗生物質による治療では、創傷状態が改善されず、実際、創傷のサイズが少し大きくなった。そのうえ、対象はそれ以上抗生物質を摂取することを拒否した。
創傷は、この段階で8ヵ月間存在している動脈性下腿潰瘍であると結論され、この期間の間に、i)対象が経験した疼痛が増大している、ii)潰瘍からの滲出液が多くなった、かつiii)対象は、脚を踏み出して歩くのが次第に困難になった。
次の代替治療は、切断であった。対象は他の治療手段を求め、この女性は、本明細書に上述された手技および治療製剤を用いた試験治療を認め、受け入れることになった。この女性は身長134cmで体重41kgであった。
次いで、上記のような治療手順に従って本明細書に上述された治療製剤を用いて患者を治療し、ここでは、合計3回の治療を実施した。治療の間、びらん辺縁に沿ってワセリンを用いた。また、治療の間に潰瘍を覆うために乾燥パッドを用いた。
治療の期日、説明および結果は、以下、本明細書に示す。第3の治療後、創傷は治癒し、対象はさらに治療する必要がなかった。この女性は、別の問題で2012−03−14に来院したが、ここで、潰瘍の治癒が確認された。
実施例2−説明および結果
第1の治療(2011−11−10)
創傷状態
長さ 65mm
幅 35mm
創傷の深さ:5mm
表面積:2275mm
総潰瘍体積:11375mm
疼痛
治療前に患者が評価した疼痛(VASスケール):9/10
治療中に患者が評価した疼痛(VASスケール):5/10
脚の簡単な説明
右下腿全体に紅斑があった。潰瘍から強い悪臭を発した。細菌培養は、フェノキシメチルペニシリンおよびフルクロキサシリンに耐性のブドウ球菌の存在を示した。
治療後の結果
ほとんどの死んだ組織および膿は、その上になんら力を及ぼす必要なしに除去することができ、除去の間、対象はなんら疼痛を経験しなかった。圧迫包帯は使用しなかった。治療前と比較して治療後には、経験した疼痛の減少があった。
第2の治療(2011−11−17)
創傷状態
長さ 40mm
幅 13mm
潰瘍の深さ:2mm
表面積:520mm
総潰瘍体積:1040mm
疼痛
治療前に患者が評価した疼痛(VASスケール):3/10
治療の間に患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
脚の簡単な説明
紅斑は創傷周辺の領域に限定された。右脚を使って歩く対象の能力が戻った。観察された滲出液の量は減少し、悪臭は少なくなった。
治療後の結果
淡黄色壊死および膿の除去した後、創傷の深さは2mmまで減少していた。創傷のサイズはかなり縮小した。
第3の治療(2011−12−01)
創傷状態
長さ 37mm
幅 10mm
創傷の深さ:皮膚レベルにおいて深さなし、
表面積:370mm
疼痛
治療の前および間に患者が評価した疼痛(VASスケール):0/10
患者はなんら疼痛を経験しなかった。
脚の簡単な説明
皮膚レベルにおいて創傷の深さがなかった。さらにまた、紅斑、膿、壊死および悪臭がなかった。
治療後の結果
創傷は治癒しそうであった。
最終的な所見
創傷が治癒していたので、患者は、もはや病院に来る必要がないことがわかった。この女性は、別の問題で来院したが(2012−03−14)、創傷が治癒したようであると認めることができた。
実施例3−後頭部における感染性びらんの治療
対象は80歳の健常男性であり、長期的な投薬の必要はなかった。この男性は、2010年7月に鼠径ヘルニアの手術を受けた。この男性には、創傷の術後感染症がなかった。2011年10月に、この男性は足でドアをけった後、右第2趾に皮膚感染症を有した。この男性は、最初にHeracillin(R)750mg1×3 10日間およびKavepenin(R)1g×3 10日間の治療を受けた。
2011年11月4日に、この男性は倒れて、頭の後ろ、後頭部に創傷ができた。この男性は検査のため救急病院にまわされた。この男性には直径約30mmの浅い円形の創傷があった。2011年11月10日に、創傷をデスクタン(descutan)で洗浄し、メピレックスおよびアクアセルで手当てした。2011年11月11日に、この男性は、頭痛増加により頭部CT(コンピューター断層撮影法)のため最も近い病院にまわされた。CT結果は、頭蓋内出血も任意の骨折も示さなかった。医師は、創傷を洗浄する必要性を認めなかった。
2011年11月11日に、対象にとって創傷は非常に苦痛であり、本明細書に上述された手順および治療製剤を用いた試験治療のためこの男性は病院に現れた。
この段階で、患者は後頭部に感染性開放創を患っており、標準培養検査によって決定したところ創傷は連鎖球菌およびブドウ球菌に感染していた。次いで、この男性を上記の治療製剤で治療し、治療の間、創傷が頭部の後ろにあって毛髪によって取り囲まれており、その上に活性包帯剤を取り付けることができなかったため、創傷に包帯剤を施さなかった。
治療手順は、本明細書に上述された一般的な手順に従い、それには、本明細書に記載された治療製剤を創傷に存在する痂皮に適用することが含まれた。
週に約1回、合計2回治療を繰り返した。びらんは、3週後に完全に治癒した。治療の期日、説明および結果を、以下、本明細書において示す。
実施例3−説明および結果
第1の治療(2011−11−14)
創傷説明
後頭部の創傷は直径50mmで茶色および黄色の厚い痂皮があった。創傷は痂皮の下に膿を含んでいた。創傷周辺の領域には紅斑および浮腫があった。
疼痛
患者が評した疼痛(VASスケール):7/10
治療により患者がなんらかの疼痛を負うことなかった。
治療を実施した後、膿および壊死を除去したところ、患者はなんら疼痛で苦しまなくなった。
第2の治療(2011−11−21)
創傷の説明
後頭部の創傷は直径35mmであり、黄色の薄い痂皮および少量の黄色の膿があった。紅斑および浮腫は減少していた。
疼痛
患者が評した疼痛(VASスケール):3/10
治療によって対象がなんらかの疼痛を負うことは依然としてなかった。実際、治療によって疼痛が軽減した。痂皮は容易に除去することができ、ほとんどの膿も除去することができた。
第3の治療(2011−11−28)
創傷説明
後頭部の創傷は直径20mmであった。創傷に膿はなかった。紅斑および浮腫は認めることができなかった。患者は、もはやなんら疼痛を患っていなかった。
疼痛
患者が評した疼痛(VASスケール):0/10
説明
治療後、創傷はすっかりきれいになっており、治癒しそうであった。
最終的な所見
治療をそれ以上行わなかった。
2011−12−02に創傷を検査し、感染症の徴候がなく乾燥していることがわかった。2011−12−14に創傷は完全に治癒した。
実施例4−切断創の治療
対象は糖尿病の72歳男性であり、錠剤およびインスリンの両方で治療を受けていた。また、対象は、腎機能不全、高血圧、以前の心筋梗塞による心不全、および以前の脳梗塞による認知機能障害を患っていた。この男性は肺結核にもかかったことがある。
2011年秋に、対象はエリトレアを訪れ、糖尿病関連障害のため、そこに入院した。左第1趾に小さな創傷を認めることができた。スウェーデンに帰国するとき、左第1趾に壊死潰瘍があった。それで、壊死潰瘍を週に数回洗浄した。
2012年2月に経皮経管的血管形成術(PTA)を実施した。どんな治療もできないほど壊死潰瘍のサイズが大きくなり、切断について対象に照会した。そこで、左足の前方部分の1回目の切断を実施した。切断後の創傷は治癒せず、また対象には踵に圧迫潰瘍があった。左下腿の切断が決定され、その切断は2012年4月7日に実施された。新たな切断創は治癒せず、この男性は重度の疼痛が生じる創傷を患っていた。この男性には抗生物質Heracillin(R)750mg×3(2012年5月24日開始)が処方されたが、男性の状態は治療によってなお改善しなかった。
次いで、対象は、上記のような治療手順に従って本明細書に記載された治療製剤を用いた試験治療を受けていた。
これまで、合計3回の治療が実施されている。治療の日付、説明および結果は、以下、本明細書に示す。結果から、目下、壊死性潰瘍の大きさは縮小しており、治癒の途中のようであると結論付けることができた。
実施例4−説明および結果
第1の治療(2012−05−28)
潰瘍の説明
濃褐色の痂皮が潰瘍領域の75%を覆っていた。痂皮の下に黄色の膿および壊死組織があった。悪臭および浮腫ならびに化膿滲出液もあった。
長さ:27mm
幅:15mm
深さ:5mm
面積:405mm
体積:2025mm
また、小さな潰瘍が中央に認められた。
言語困難のため、疼痛評価は行わなかった。
治療製剤を2回適用し、毎回5分間インキュベートし、一部の膿および壊死組織および厚い痂皮を除去することができた。潰瘍を非粘着性の乾燥滅菌パッドで手当てし、テープで固定しなかった。
細菌培養は、R:セフォタキシム、セフタジジム、トブラマイシン、シプロフロキサシン、ピペラ(Pipera)/タゾバクタム、S:トリムサルファ(TrimSulfa)およびアミカシンに対する耐性パターンを生じる大腸菌ESBL(広域スペクトルベータ−ラクタマーゼ)の存在を示した。
第2の治療(2012−05−31)
対象は、疼痛がなくなり、夜間に眠ることができたので、笑顔を見せて非常に満足していた。この男性は、今、健康で幸せを感じると言った。
潰瘍の説明
濃褐色の痂皮は、潰瘍領域の1/3を覆っているだけで、膿および壊死は少なくなっていた。さらにまた、潰瘍はもはや軽い出血もなかった。また、悪臭および滲出液も少なくなっていた。
長さ:24mm
幅:12mm
深さ:3mm
面積:228mm
体積:864mm
治療の間、患者は疼痛を報告しなかったが、患者は、それが作用していると感じることができたと言った。
以前に中央に認められた小さな潰瘍は治癒していた。
治療製剤を適用し、9分間インキュベートし、次いで、水ですすぎ、膿および壊死を除去した。2回目の治療製剤を適用し、6.5分間インキュベートし、次いで、水ですすいだ。潰瘍を非粘着性滅菌パッドで手当てし、テープで固定した。
第3の治療(2012−06−04)
患者は、疼痛がなかったので、治療になお非常に満足していた。
潰瘍の説明
痂皮が残っていないだけでなく、観察された潰瘍の少し下に沿って膿および死んだ組織がなかった。悪臭がなく、滲出液が少なくなっていた。
長さ:20mm
幅:9mm
深さ:3mm
面積:180mm
体積:540mm
治療の間、患者は疼痛を報告しなかった。
治療製剤を2回適用し、各回5分間インキュベートし、インキュベーションの後、水ですすいだ。いくつかの膿および壊死は、なんら疼痛なしに除去することができた。潰瘍を乾燥非粘着性パッドで覆い、テープで固定した。
実施例5−痔瘻の治療
対象は、数年間痔瘻を患っている38歳男性であった。痔瘻は、直腸から皮膚表面に延びている異常な経路である。痔瘻は、典型的に直腸に存在する細菌に感染しており、それは、次に瘻孔の開口部となる。瘻孔の治療には、しばしば、抗生物質療法と組み合わせた外科的介入が含まれる。
この症例では、抗生物質を用い、かつ瘻孔の外科的閉鎖によって対象を治療した。これらの治療は不成功に終わり、痔瘻は治療後もなお存在した。
そこで、対象は、本明細書に上述された治療製剤を用いた試験治療を受けることにし、ここでは、製剤を瘻孔に注射し、そこに残存させた。驚くべきことに、治療7日後、創傷瘻孔が治癒しており、さらに治療する必要がなかったと、対象から治療施設に報告があったため、たった1回の治療しか必要なかったと考えられる。
実施例6−下腿部および足における感染性潰瘍の治療
対象は、原因不明のリウマチ性疾病および動脈血管の炎症と診断された36歳女性であった。対象は、両脚および両足にいくつかの球状感染性潰瘍があり、その潰瘍は直径20mm〜40mmの間で変化していた。この女性は、6年を超える間、潰瘍があった。
対象は、センドキサン(Sendoxan)である抗リューマチ錠により以前に治療された。さらにまた、以前に、リウマチ診療所、シャルグレンスカ大学病院、イェーテボリ(Rheumatic Clinic, Sahlgrenska University Hospital, Gothenburg)で、潰瘍は1日2回洗浄されていた。潰瘍を洗浄するため、Sorbact(R)(Abigo Medical AB)を用いた。しかし、対象は強度の疼痛を患っており、治療および洗浄後に膿および壊死が残った。
そこで、対象は、全般に上記のような治療手順に従って本明細書に上述された治療製剤を用いた試験治療を受けることになった。また、ワセリンを潰瘍辺縁に適用し、治療の間、潰瘍を乾燥パッドで覆った。合計3回の治療を行った。説明および結果は、以下、本明細書に示す。
実施例6−説明および結果
第1の治療
新たに製造された本発明の治療製剤を潰瘍に5分間適用し、これに続いて、対象になんら疼痛が生じないように膿および壊死を除去した。
疼痛
治療前の疼痛評価VAS:8/10
治療後の疼痛評価VAS:1/10
第2の治療
(第1の初回治療後の7日)
潰瘍状態:
潰瘍直径は10mm〜20mmまで縮小していた。
壊死の徴候はなく、少量の膿があった。
第2の治療適用後:
新たに製造された本発明の治療製剤を5分間適用し、その後、患者になんら疼痛を負わせることなく膿を容易に除去した。潰瘍を水ですすぎ、次いで、任意の細菌感染症の可能性を排除するため、新たに製造された製剤をさらに5分間適用した。その時点で、潰瘍は治癒しそうに見えた。
疼痛
治療前の疼痛評価VAS:2/10
治療後の疼痛評価VAS:0/10
第3の治療(第2の治療後7日)
潰瘍状態:
潰瘍は完全に治癒していたか、または最大直径10mmを有した。
膿の徴候はなかった。
治療
細菌感染症のあらゆる機会を軽減するため、治療製剤を2回適用し、各回5分間インキュベートした。
疼痛
治療前の疼痛評価VAS:0/10
治療後の疼痛評価VAS:0/10
第3の治療の1週間後、すべての潰瘍は治癒した。これらの潰瘍は、どんな治療を施してきても約6年間存在したという事実に注目される。
実施例7−感染性熱傷の治療
対象は、背部に5.5×6.6cmのサイズの感染性熱傷があった。
対象は、概して上記のような治療手順に従って本明細書に上述された治療製剤を用いた試験治療を受けることになったが、ただし、製剤を熱傷に最初に適用し、3分間インキュベートし、続いてパッドを用いて熱傷を洗浄し、再び、製剤を適用し、それを2分間インキュベートさせた。対象の報告によれば、経験が減少し、熱傷のサイズが治療3日後に3×4cmまで縮小した。新たな皮膚組織を認めることができ、膿は存在しなかった。治療製剤を再び適用したが、製剤が新たに形成された皮膚組織と接触したときに、対象が疼痛を経験したため、2分後に治療を中断した。熱傷は、治療8日後に治癒した。
実施例8−異なる時間での治療製剤のpHおよび塩素含量の測定
治療製剤を上記のように製造した。製剤の塩素含量およびpHは、成分の混合後、1分、5分、10分、15分および60分で測定した。使用した塩素試験は、Cl2 1.005999.00、スペクトロクアント(spectroquant)(メルク)であり、分光光度計(島津160)によって557nmの波長で測定し、ここでは、混合溶液のアリコートで活性塩素を規定した。pHは、メトラー・トレド(Metler-Toledo)からのpHメーターおよびオリオン(Orion)からの電極を用いて不活性雰囲気下で測定した。結果を下の表に示し、表中、min.は分を表し、Mはモル(すなわち。リットル当たりのモル)を表す。
Figure 0006169693
実施例9−治療製剤を用いた膿瘍からの液体の治療
綿棒を膿瘍中の液体に浸し、その後、それらを以下のように治療製剤に曝露した。
1番の綿棒は、治療製剤で処理せず、参照として用いた。
2番の綿棒。治療製剤は、上記のように製造し、2番の綿棒に直ちに適用した(すなわち、1分以内に適用した)。
3番の綿棒。治療製剤を上記のように製造し、5分間放置させ、その後、これを3番の綿棒に適用した。
4番の綿棒。治療製剤を上記のように製造し、15分間放置させ、その後、これを4番の綿棒に適用した。
細菌のタイプおよび量を確定するため、すべての綿棒を検査室ユニラボ(Unilab)に送った。細菌分析は、標準細菌細胞増殖法に従い、ここでは、細菌細胞コロニーを寒天プレート上で増殖させ、同定し、数を計数した。細菌の量は、豊富、中程度またはまばらと分類した。豊富な量の細菌は、寒天プレート上で50を超えるコロニーと定義し、同定し、そして顕微鏡下で計数した。中程度の量の細菌は、寒天プレート当たり約10から約50のコロニーと定義し、同定し、そして顕微鏡下で計数した。まばらな量の細菌は、寒天プレート上で10未満のコロニーと定義し、同定し、そして顕微鏡下で計数した。
結果は、試料が膿瘍液中に主にMRSA細菌(すなわちメチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を含むことを示した。1番の綿棒は、豊富な量のMRSA細菌を含むことがわかった。2番の綿棒は、まばらな量のMRSA細菌を含むことがわかった。4番の綿棒は、中程度のMRSA細菌を含むことがわかった。3番の綿棒は、まばらな量と中程度の量の間の量のMRSA細菌を含むことがわかった。
本治療製剤は殺菌作用を有し、その殺菌作用は、使用前にある程度の時間放置させていた治療製剤よりも新たに製造された治療製剤の方がかなり良好であると結論付けることができる。
実施例−最終的な所見
本明細書に上述された本発明の治療製剤は、健常な組織に損傷を与えることなく、死んだ組織を溶解し、細菌を根絶することができることを示している。
上の実施例における創傷、潰瘍および痔瘻は、治療製剤による第1の治療後の数週間以内に治癒したか、または治癒の途中にあり、その治癒は抗生物質を用いることなくより迅速であったようである。しっかり密封した包帯よりもむしろ非粘着性乾燥パッドで潰瘍および創傷をゆるやかに手当てしたときの方が、治癒期間も短縮されるようであった。その上を包帯でしっかりと密封された創傷および潰瘍は、細菌が培養される環境を提供すると考えられる(図示せず)。
従来の治療により長い間治療を受けてきたが、残っている唯一の治療が切断であった感染性潰瘍および創傷の2名の対象については、本発明の製剤および治療方法が有効であることが明らかに示された。創傷は治癒したか、または治癒の途中にあり、対象は経験した疼痛が大幅に減少したことを報告した。
局所感染症およびびまん性感染症が軽減したという徴候は、疼痛が少なくなる、浮腫が少なくなる、悪臭が少なくなる、滲出液が少なくなる、ポケット形成が少なくなる、紅斑が少なくなるおよび倦怠感がなくなることである。これは、次に潰瘍および創傷が治癒していることを示した。
本発明の製剤は、細菌、死んだ組織および膿から瘻孔、潰瘍および創傷を洗浄するために用いることができると考えられる。潰瘍および創傷がきれいになると、免疫系によってさらに瘻孔、潰瘍および創傷の治癒が可能となり、ここで、本発明の製剤による治療は、治癒過程を増強すると考えられる。

Claims (26)

  1. びらん、創傷、潰瘍、または瘻孔もしくは耳炎の非経口的予防および/または治療のための薬剤の製造におけるパーツのキットの使用であって、
    該薬剤は治療製剤であり、
    該パーツのキットが、
    a.アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、イソロイシン、ロイシン、リシンおよび/またはバリンからなる群から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸を含む第1の水性成分と、
    b.Cl2、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩および/または次亜塩素酸塩化合物からなる群から選択される活性塩素化合物を含む第2の水性成分と、
    を含み、該第1の成分および/または該第2の成分のpHが9〜11.5である、
    上記使用。
  2. 前記第2の水性成分が、Cl2、次亜塩素酸塩および/または次亜塩素酸塩化合物からなる群から選択される活性塩素化合物を含む、請求項1に記載の使用。
  3. 前記pHが、9〜11、または9〜10.5、または9.5〜10.5、または9.5〜11.5、または10〜11.5、または10.5〜11.5、または11〜11.5である、請求項1または2に記載の使用。
  4. 前記予防および/または治療が、疼痛緩和および/または抗菌作用を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
  5. 前記びらん、潰瘍、瘻孔または耳炎が慢性であり、炎症、感染症および/または壊死を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
  6. 前記第2の成分の活性塩素化合物の量が0.5〜5、0.5〜3または1〜2%(質量による)である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
  7. 前記1つまたはそれ以上のアミノ酸が、グルタミン酸、ロイシンおよびリシンを含むか、またはそれらからなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
  8. 前記第1の成分が前記1つまたはそれ以上のアミノ酸0.1〜1%(質量による)を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
  9. 前記第1の水性成分がゲル物質をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
  10. 前記ゲル物質が、ポリエチレングリコール(PEG)、および/もしくはカルボキシメチルセルロースおよび/もしくは多糖類物質もしくはその塩、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース(Na−CMC)を含むか、またはそれらである、請求項9に記載の使用。
  11. 前記第1の成分がゲル物質2〜4%(質量による)を含む、請求項9または10に記載の使用。
  12. 前記パーツのキットが、
    a.グルタミン酸、ロイシンおよびリシン0.1〜1%(質量による)およびナトリウムカルボキシメチルセルロース2〜4%(質量による)を含む第1の水性成分と、
    b.次亜塩素酸ナトリウム1〜2%(質量による)を含む第2の成分と、
    を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
  13. 第1の成分が、Ti2Oおよび/またはNaClをさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
  14. びらん、創傷、潰瘍、または瘻孔もしくは耳炎の非経口的予防および/または治療のための薬剤の製造における治療製剤の使用であって、
    該治療製剤が、
    a.アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、イソロイシン、ロイシン、リシンおよび/またはバリンからなる群から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸を含む第1の水性成分と、
    b.Cl2、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩および/または次亜塩素酸塩化合物からなる群から選択される活性ハロゲン化合物を含む第2の水性成分と、
    を1:2〜2:1の体積比で、好ましくは約1:1の体積比で混合することによって得ることができ、該第1の成分および/または該第2の成分のpHが9〜11.5である、
    上記使用。
  15. 前記第2の水性成分が、Cl2、次亜塩素酸塩および/または次亜塩素酸塩化合物からなる群から選択される活性塩素化合物を含む、請求項14に記載の使用。
  16. 前記治療製剤が、前記成分を一緒に混合した後、30秒以内に、かつ室温および1気圧の圧力(101325Pa)で9〜11.5、好ましくは9〜11または9〜10.5、または9.5〜10.5、または9.5〜11.5、または10〜11.5、または10.5〜11.5または11〜11.5のpHを有する、請求項14または15に記載の使用。
  17. 前記予防および/または治療が疼痛緩和および/または抗菌作用を含む、請求項14〜16のいずれか1項に記載の使用。
  18. 前記びらん、潰瘍、瘻孔または耳炎が慢性であり、炎症、感染症および/または壊死を含む、請求項14〜17のいずれか1項に記載の使用。
  19. 前記第1の水性成分が、グルタミン酸、ロイシンおよびリシン0.1〜1%(質量による)およびナトリウムカルボキシメチルセルロース2〜4%(質量による)を含み、そして前記第2の成分が、次亜塩素酸ナトリウム1〜2%(質量による)を含む、請求項14〜18のいずれか1項に記載の使用。
  20. 第1の成分が、NaClおよび/またはTi2Oをさらに含む、請求項14〜19のいずれか1項に記載の使用。
  21. 薬剤が、びらんの非経口的予防および/または治療のためのものである、請求項1に記載の使用。
  22. 薬剤が、創傷の非経口的予防および/または治療のためのものである、請求項1に記載の使用。
  23. 薬剤が、潰瘍の非経口的予防および/または治療のためのものである、請求項1に記載の使用。
  24. 薬剤が、びらんの非経口的予防および/または治療のためのものである、請求項14に記載の使用。
  25. 薬剤が、創傷の非経口的予防および/または治療のためのものである、請求項14に記載の使用。
  26. 薬剤が、潰瘍の非経口的予防および/または治療のためのものである、請求項14に記載の使用。
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