JP6169566B2 - サーメット被覆材、サーメット被覆材を製造するための合金粉末、およびサーメット被覆材の製造方法 - Google Patents

サーメット被覆材、サーメット被覆材を製造するための合金粉末、およびサーメット被覆材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、サーメット被覆材、サーメット被覆材を製造するための合金粉末、およびサーメット被覆材の製造方法に関する。
基材の表面特性を向上させるために、基材の表面に溶射法により合金粉末等を溶射して被膜を形成する加工法が用いられている。このような溶射法は、比較的簡便に実施できることから各種の部材に広く適用されており、特に基材の表面に部分的に耐食性や耐摩耗性を付与したい場合に効果的な手法として産業上様々な分野において用いられている。
溶射法により基材上に被膜を形成するための合金粉末材料としては、一般的にNi基の自溶性合金、Co基のステライト合金、またはWC系超硬合金等が用いられている。しかしながら、Ni基の自溶性合金やCo基のステライト合金は、基材との密着性に優れるものの、溶射層の耐食性および耐摩耗性が不十分であるという問題がある。一方、WC系超硬合金は、硬度が高過ぎるため、射出成形機のスクリュ用途などに用いた場合に、相手材を摩耗させてしまうという問題がある。また、WC系超硬合金は、熱膨張係数が鋼材の半分程度であり、鋼材との熱膨張係数の差が大きいため、基材として鋼材を用い、その表面に被膜として形成すると、熱サイクルを伴う環境下において、熱膨張係数の差の影響により、被膜のクラックや剥離が生じてしまうという問題もある。
これに対し、たとえば、特許文献1には、溶射法に用いる粉末材料として、MoNiB型の複硼化物を含有するサーメット材を用いることで、耐食性および耐摩耗性を向上させる技術が開示されている。
特開2009−68052号公報
一方で、射出成形機などの高温環境下で用いられる装置においても、溶射法により被膜を形成し、耐食性および耐摩耗性を向上させることが望まれている。特に射出成形機のスクリュは、高温環境下でトルクが加わる状態で使用されるものであるため、射出成形機のスクリュを形成するための材料としては、耐食性および耐摩耗性に優れることに加えて、高温に晒されても特性の劣化が小さい材料が求められている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、射出成形機のスクリュ用途に用いた場合に、射出成形を行う際の温度、具体的には、350℃程度の高温に晒された場合に、温度の影響により、基材表面に形成されたサーメット被膜の強度が低下してしまい、この場合において、射出成形時にスクリュにトルクが加わると、サーメット被膜にクラックが生じるおそれがあった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、耐食性および耐摩耗性に優れ、しかも、高温に晒されても特性の劣化が小さい被膜を有するサーメット被覆材を提供することにある。また、本発明は、このようなサーメット被覆材のサーメット層を形成するための合金粉末、およびこのようなサーメット被覆材の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者等は、基材に、Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相を30〜80重量%の割合で含み、残部が、結晶化度が15%以上であるNi基合金の結合相からなるサーメット層を被覆することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、Mo (Ni,Cr)B を含む硬質相を30〜80重量%の割合で含み、残部が、Ni基合金の結合相からなる、アトマイズ法によって製造される合金粉末を、基材に溶射することで、Mo (Ni,Cr)B 型の複硼化物を含む硬質相を30〜80重量%の割合で含み、残部が、結晶化度が15%以上であるNi基合金の結合相からなるサーメット溶射層を形成する工程を有することを特徴とするサーメット被覆材の製造方法が提供される。
また、本発明においては、前記合金粉末は、粒径が10〜100μmであることが好ましい
本発明によれば、耐食性および耐摩耗性が優れることに加えて、高温に晒されても特性の劣化が小さいサーメット層を有するサーメット被覆材を提供することができる。また、本発明は、このようなサーメット被覆材のサーメット層を形成するための合金粉末、およびこのようなサーメット被覆材の製造方法を提供することもできる。
図1は、サーメット層の被膜強度を測定するための試験片を示す図である。
本発明のサーメット被覆材は、基材と、基材を被覆するサーメット層とを備える。
<基材>
基材としては、特に限定されず、各種金属材料を用いることができるが、材料強度に優れるという点より、工具鋼、粉末ハイス鋼、およびステンレス鋼等が挙げられ、これらのなかでも、基材を被覆するサーメット層と熱膨張係数が近く、冷却時における相変態による寸法変化が小さいという点より、工具鋼(たとえば、SKD11、SKD61)、析出硬化系のステンレス鋼(たとえば、SUS630)が好ましく用いられる。
<サーメット層>
基材を被覆するサーメット層は、Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相を30〜80重量%の割合で含み、残部が、結晶化度が15%以上であるNi基合金の結合相から構成される。Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相の含有割合を上記範囲とすることにより、サーメット被覆材の耐食性および耐摩耗性の向上効果を適切に発揮させることができる。Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相の含有割合が30重量%未満になると、サーメット層が柔らかくなり過ぎてしまい、耐摩耗性が低下する。一方、Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相の含有割合が80重量%を超えると、硬質相の分散性が悪くなり過ぎてしまい、強度が低下する。なお、サーメット層中における、Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相の含有割合は、好ましくは35〜80重量%、より好ましくは40〜68重量%、さらに好ましくは45〜65重量%である。
また、本発明においては、サーメット層の残部を構成する結合相を構成するNi基合金の結晶化度が15%以上であり、好ましくは20%以上である。結合相を構成するNi基合金の結晶化度を上記範囲とすることにより、耐食性および耐摩耗性に優れたものとしながら、高温に長時間晒された場合においても、サーメット層の被膜強度の低下を抑制することができる。Ni基合金の結晶化度が15%未満になると、Ni基合金中の非晶質部分の割合が増大してしまい、高温環境下において、トルクがかかった場合において、サーメット層のクラックや剥離が生じ易くなる傾向にある。なお、この理由としては、350℃程度の高温に晒されると、Ni基合金の非晶質部分において、析出物が生成することなどにより、Ni基合金の靭性が低下するためなどが考えられる。なお、Ni基合金の結晶化度の上限は特に限定されない。また、結合相を形成するNi基合金の結晶化度を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、一例を挙げれば、後述するガスアトマイズ法により製造した合金粉末を用いて、溶射法によりサーメット層を形成する方法などが挙げられる。
なお、サーメット層としては、硬質相の含有割合および結合相の結晶化度が上記所定の範囲にあればよいが、その組成が、B:3.0〜6.5重量%、Mo:20.0〜66.0重量%、Cr:7.5〜20.0重量%であり、残部がNiからなるものであることが好ましい。
B(ホウ素)は、硬質相粒子となる複硼化物を形成するための元素である。Bの含有割合を上記範囲とすることにより、サーメット層を、適度にMo(Ni,Cr)B型の複硼化物が形成され、耐摩耗性や強度に優れたものとすることができる。Bの含有割合が低すぎると、硬質相の含有割合が低くなってしまい、これにより耐摩耗性が低下するおそれがある。一方、Bの含有割合が高すぎると、硬質相同士の接触率が高くなってしまい、結果として、機械的強度が低下してしまう。
Mo(モリブデン)は、Bとともに、硬質相となる複硼化物を形成するための元素であるとともに、Moの一部は結合相に固溶し、これにより耐食性を向上させる効果を有する。Moの含有割合が低すぎると、耐摩耗性および耐食性が低下するおそれがある。一方、Moの含有割合が高すぎると、第三相を形成し、機械的強度が低下してしまう。
Ni(ニッケル)は、BおよびMo同様に、複硼化物を形成するために必要な元素である。また、結合相を構成する主な元素であり、優れた耐食性に寄与する。Ni含有量が10重量%未満の場合は、十分な液相が出現せず緻密なサーメット層が得られず、強度の低下を招いてしまうため、Ni含有量は10重量%以上であることが好ましい。
Cr(クロム)は、複硼化物中のNiと置換固溶し、複硼化物の結晶構造を正方晶に安定化させる効果を有する。また添加したCrは、結合相中にも固溶し、サーメット層の耐食性、耐摩耗性、高温特性、および機械的特性を大幅に向上させる。Cr含有量が多くなりすぎると、Cr53などの硼化物を形成し、強度が低下してしまう。
なお、このようなMo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相を有するサーメット層には、上記各成分に加えて、W,V,Fe,MnおよびSiから選択される1種または2種以上が含有されていてもよい。たとえば、Vを含有させた場合には、サーメット層の硬質相を構成する複硼化物を、Mo,Ni,Cr,Bに加えて、Vを含有するMo(Ni,Cr,V)B型の複硼化物とすることができる。この場合においては、サーメット層の組成は、B:3.0〜6.5重量%、Mo:20.0〜66.0重量%、Cr:7.5〜20.0重量%、V:0.1〜10.0重量%であり、残部がNiからなるものが好ましい。なお、上記組成のうち、Moの含有割合は、24.0〜66.0重量%であることがより好ましい。サーメット層に、Vを上記範囲で含有させることにより、Mo(Ni,Cr,V)B型の複硼化物の結晶構造を正方晶に安定化させることができ、加えて、Vの一部が結合相に固溶するため、サーメット層の耐食性、耐摩耗性、高温特性、および機械的特性を大幅に向上させることができる。
<サーメット被覆材の製造方法>
次に、本発明のサーメット被覆材の製造方法について、説明する。
本発明のサーメット被覆材は、サーメット層を構成することとなる合金粉末を基材上に溶射して、基材上にサーメット層を形成することで製造される。
まず、サーメット層を構成することとなる合金粉末を製造する。サーメット層を構成することとなる合金粉末は、サーメット層を形成するための各原料を合金化することで得ることができる。サーメット層を形成するための原料の組成としては、形成されるサーメット層が、Mo(Ni,Cr)Bを含む硬質相を30〜80重量%の割合で含み、残部が、Ni基合金の結合相であるものとなるように調整すればよく、この場合には、得られる合金粉末も、このような構成を有するものとすることができる。
なお、サーメット層を形成するための原料を合金化し、合金粉末を得る方法としては、得られる合金粉末が、その内部が緻密な構造を有するものとすることができるという点より、アトマイズ法を用いることが好ましい。特に、サーメット層を形成するための合金粉末を、アトマイズ法で製造し、その内部が緻密な構造を有するものとすることにより、このような合金粉末を溶射した際に、サーメット層の結合相を構成するNi基合金の結晶化度を、15%以上、好ましくは25%以上とすることができる。
一方で、溶射用の粉末として、造粒焼結粉末などを用いた場合には、アトマイズ法で製造した合金粉末とは異なり、その内部が緻密な構造を有するものではないため、溶射時において、2000℃程度の高温まで加熱されて溶融または半溶融の状態とされた後、比較的低温の200℃程度とされた基材に衝突した際に、急冷されて、Ni基合金が非晶質化してしまう。そして、その結果として、サーメット層の結合相を構成するNi基合金の結晶化度が15%未満と低くなってしまい、得られるサーメット層が、クラックや剥離が発生しやすいものとなってしまう。これに対して、アトマイズ法で製造した合金粉末は、2000℃程度の高温まで加熱されて溶融または半溶融の状態とされた後、比較的低温の200℃程度とされた基材に衝突した場合でも、その内部が緻密な構造を有するものであるため、基材に衝突した際における冷却速度を緩和することができ、これにより、急冷によるNi基合金の非晶質化を防ぐことができ、結果として、サーメット層の結合相を構成するNi基合金の結晶化度を、上記範囲とすることが可能となる。
なお、合金粉末を製造するためのアトマイズ法としては、ガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法、水アトマイズ法、プラズマアトマイズ法等のいずれを採用してもよいが、形状が均一な球形であり、内部の密度が高い合金粉末を製造することができるという点より、ガスアトマイズ法が特に好ましい。アトマイズ法は、合金粉末を溶融炉で溶解した後、ノズル穴から流出する溶湯(本発明においては、合金粉末の溶湯は1500〜1850℃程度の温度であることが好ましい。)に対して流体を吹き付けたりすることにより合金を粉末化する方法である。アトマイズ法における溶融炉としては、高周波誘導溶解炉やガス炉などを用いることができる。アトマイズ法のうち、ガスアトマイズ法は、溶湯に対して不活性ガスを吹き付けて粉化する方法である。特に、ガスアトマイズ法により製造された合金粉末は、均一な球形であることから表面積が小さく、溶射する際に、合金粉末に与えられる熱エネルギーに対する、合金粉末の粒子間の結合に使用される単位面積当たりのエネルギーの割合が比較的大きくなると考えられ、その結果、合金粉末の粒子間の結合が強くなり、被膜強度を向上させることが可能となるためである。
また、アトマイズ法において、溶解炉で溶解する原料を構成する各元素の含有割合が所望の組成比となっていれば、原料は粉末状であっても、粉末を焼結した焼結体であっても、数mm〜数十mm程度の大きさの塊であってもよい。溶解炉として高周波誘導溶解炉を用いる場合には、原料としては焼結体を用いると溶解が比較的容易となる。そして、原料を溶解する際には、原料が不要な反応を起こしてしまうことを抑制するために、真空中またはアルゴン等の不活性雰囲気下であることが好ましい。
また、ガスアトマイズ法により合金粉末を製造する際には、溶湯に対して吹き付ける不活性ガスとして、アルゴン、窒素、ヘリウム等を採用することができるが、合金粉末の反応を抑制することができるという点より、アルゴンを用いることが好ましい。
また、製造する溶射用の合金粉末としては、溶射を行い易いという点より、粒子径が10〜100μmであることが好ましく、20〜75μmであることがより好ましい。
次いで、製造した合金粉末を、溶射法により基材に溶射することでサーメット層を形成する。溶射法としては、サーメット層形成時の熱影響が小さいフレーム溶射、高速フレーム溶射のいずれを採用してもよいが、金属粉末の速度が速く緻密な膜が形成できるという点より、高速フレーム溶射が好ましい。
形成するサーメット層の厚みは、好ましくは100μm〜500μmであり、より好ましくは200μm〜400μmである。形成するサーメット層の厚みを上記範囲とすることにより、耐食性および耐摩耗性に優れたサーメット層を形成することができる。なお、サーメット層の厚みは、たとえば、電磁式膜厚計により測定することができる。
本発明のサーメット被覆材は、Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相を30〜80重量%の割合で含み、残部が、結晶化度が15%以上であるNi基合金の結合相からなるサーメット層を基材に被覆したものであるため、次のような効果を奏するものである。すなわち、サーメット層を形成する硬質相として、Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含有していることから、耐食性および耐摩耗性に優れており、また、これに加えて、サーメット層の結合相が、結晶化度が15%以上であるNi基合金から構成されているため、高温に晒された際における、特性の劣化を有効に抑制することができる。そのため、本発明のサーメット被覆材は、耐食性、および耐摩耗性に加えて、高温環境下での強度が要求される用途、たとえば、射出成形機のスクリュ用途に好適に用いることができる。特に、アトマイズ法で得られた粉末を用いることにより、形成されるサーメット層は、Ni基合金の非晶質化が抑制されることで、クラックや剥離を防止することができ、また、これに加えて、合金粉末の粒子間の結合が強まるため、被膜強度を向上させることが可能となる。
以下に、実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
<実施例1>
B:4.0重量%、Mo:39.1重量%、Cr:17.5重量%、Ni:残部の比率で混合してなる原料100重量部に対して、5重量部のパラフィンを加え、これをアセトン中で、振動ボールミルにより25時間湿式粉砕を行うことで粉砕粉を作製した。そして、作製した粉砕粉を1250℃で0.5時間保持して焼結することで焼結体を得た。次いで、得られた焼結体を、ガスアトマイズ装置(日新技研製、NEV−GP5G)を用いて、アルゴン雰囲気下で高周波誘導溶解炉(20kW)にて溶解し、出湯温度:1650℃、噴霧圧:1.5MPaの条件で作製した粉末を、真空中にて1100℃で1時間保持した後、32〜75μmの粒度範囲になるように分級することにより、溶射用の合金粉末を得た。そして、得られた合金粉末は、Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相を49重量%の割合で含み、残部がNi基合金の結合相からなるものであった。
次いで、溶射を行うための基材として、図1に示す形状を有する鋼材(SKD11)を準備した。図1に示す鋼材は、後述する被膜強度の測定を行うための試験片であり、両端(図1における、固定部10および回転部30)は直径:20mmであり、中心部分(図1における、サーメット層形成部20)は直径:10mmである。そして、準備した試験片100の表面のうち、図1におけるサーメット層形成部20に、高速フレーム溶射機(TAFA社製、JP−5000)を用いて、上記にて調製した溶射用の合金粉末を溶射することで、サーメット層形成部20にサーメット層を形成した。なお、サーメット層の形成は、溶射距離(基材と溶射ガンの距離):300mm、灯油量:6gph、酸素流量:1850scfhの条件で行った。また、これにより形成されたサーメット層の厚みは0.3mmであった。そして、形成されたサーメット層は、Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相を49重量%の割合で含み、残部がNi基合金の結合相からなるものであった。
次いで、得られたサーメット被覆材について、被膜強度の測定を行った。すなわち、被膜強度の測定は、ねじり試験機(島津製作所製、UET−300)により、試験片100の固定部10を固定したまま、回転部30を回転させ、サーメット層形成部20に形成されたサーメット層にクラックまたは剥離が生じた時のトルク値を計測し、その値を被膜強度とした。ここで、被膜強度の測定は、サーメット層を形成した後に熱履歴を加えていない試験片100、およびサーメット層を形成した後に350℃で100時間保持した試験片100のそれぞれについて、室温で測定を行った。また、熱履歴を加えていない試験片100の被膜強度を基準として、350℃で100時間保持した試験片100の被膜強度について、被膜強度の低下率を算出した。結果を表1に示す。
次いで、試験片100に形成したサーメット層について、Ni基合金結晶化度を測定した。Ni基合金結晶化度の測定は、♯2000の研磨紙で研磨したサーメット層表面について、X線回折装置(リガク社製、RINT−2000、線源:CuKα)を用いて、θ−2θ法により、Ni基合金の(111)面の回折パターンを検出することで行った。そして、検出した回折パターンについて、結晶質部分のピークと、非晶質部分のハローとを分離し、結晶質部分のピークおよび非晶質部分のハローのそれぞれの積分強度に基づいて、下記式(1)にしたがい結晶化度Xcを求めた。
Xc=Ic/(Ic+Ia)×100 ・・・(1)
なお、上記式(1)において、Icは結晶質部分のピークの積分強度(2θ=44°付近のピーク)であり、Iaは非晶質部分のハローの積分強度(2θ=32〜55°)である。結果を表1に示す。
<実施例2,3>
溶射用の合金粉末を作製するための原料中のB、Mo、およびNiの比率を変更するとともに、サーメット層を溶射により形成する際における酸素流量を1850scfhから2100scfhに変更することにより、サーメット層中における硬質相の含有割合およびNi基合金の結晶化度を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして、サーメット被覆材を得て、同様に被膜強度の測定および被膜強度低下率の算出を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
B:5.0重量%、Mo:51.0重量%、Cr:17.5重量%、Ni:残部の比率で混合してなる原料100重量部に対して、5重量部のパラフィンを加え、これをアセトン中で、振動ボールミルにより25時間湿式粉砕を行うことで粉砕粉を作製した。次いで、作製した粉砕粉を、窒素雰囲気下において150℃で18時間乾燥した。そして、乾燥した粉砕粉を、アセトンと1:1の重量割合で混合した後に、スプレードライヤーによって造粒し、造粒した粉末を真空にて1150℃で1時間保持して粉末を焼結した後、32〜53μmの粒度範囲で分級することにより、溶射用の焼結粉末を得た。そして、得られた焼結粉末は、Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相を62重量%の割合で含み、残部がNi基合金の結合相からなるものであった。
次いで、得られた溶射用の焼結粉末を用いて、上述した実施例1と同様の条件で、図1に示す試験片100(SKD11)に対して溶射を行い、厚さ0.3mmのサーメット層を形成した。なお、形成されたサーメット層は、Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相を62重量%の割合で含み、残部がNi基合金の結合相からなるものであった。また、被膜強度および結晶化度についても、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006169566
表1に示すように、Mo(Ni,Cr)B型の複硼化物を含む硬質相の含有割合が30〜80重量%であり、かつ、Ni基合金の結合相の結晶化度が15%以上であるサーメット層を備える実施例1〜3においては、350℃で100時間保持した後の被膜強度が、23.3〜27.2kgf・mと比較的高い値であり、被膜強度の低下率は15.5〜20.0%と低い値であり、この結果より、350℃の高温に晒されても特性の劣化が小さいものと判断することができる。
一方、表1に示すように、Ni基合金の結合相の結晶化度が15%未満であるサーメット層を備える比較例1は、350℃で100時間保持した後の被膜強度は14.3kgf・mと低い値であり、被膜強度の低下率は42.3%と高い値であり、この結果より、350℃の高温に晒されると特性が劣化し、被膜強度が低下してしまうものと判断することができる。
100…試験片
10…固定部
20…サーメット層形成部
30…回転部

Claims (2)

  1. Mo (Ni,Cr)B を含む硬質相を30〜80重量%の割合で含み、残部が、Ni基合金の結合相からなる、アトマイズ法によって製造される合金粉末を、基材に溶射することで、Mo (Ni,Cr)B 型の複硼化物を含む硬質相を30〜80重量%の割合で含み、残部が、結晶化度が15%以上であるNi基合金の結合相からなるサーメット溶射層を形成する工程を有することを特徴とするサーメット被覆材の製造方法。
  2. 前記合金粉末は、粒径が10〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載のサーメット被覆材の製造方法。
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