JP6169314B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
油圧式パワーステアリング装置では、エンジン及びモータ等の原動機により駆動される油圧ポンプによって作動油を操舵補助機構に供給し、当該操舵補助機構において操舵に応じた操舵アシストトルクを発生させている。
このような自動停止再始動制御が行われる車両において、ステアリングホイールを大きく切った旋回状態のままで車両を停止させて、エンジンが自動停止されると、油圧ポンプも停止することとなり、急激に操舵アシストトルクが低下する。車両の車輪は直進走行時の位置に戻るよう構成されており、旋回状態で操舵アシストトルクが急激に低下すると、車輪が直進走行時の位置に戻ろうとするのと同時にステアリングホイールも周方向に急激に戻される、いわゆるキックバック現象が生じる。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、エンジン等の原動機における自動停止制御を実行する機会を減少させることなくのステアリングホイールに対する不快なキックバック現象を抑制することのできるパワーステアリング装置を提供することにある。
請求項3のパワーステアリング装置では、請求項1または2において、前記油圧供給制御手段は、前記アイドルストップ条件が成立すると、前記操舵角検出手段により検出された前記操舵角が大きいほど、前記目標回転数を高くして前記補機モータを制御することで前記操舵角に応じた作動油を供給することを特徴としている。
このように、原動機の回転停止後は、徐々に第2のポンプの回転数を低下させて、操舵アシストトルクを徐々に減少させることで急激なキックバック現象を抑制しつつ、補機モータを停止させることができる。これにより原動機の回転停止後にキックバック現象を抑制しながら補機モータによる電力消費も抑えることができる。
図1は本発明の一実施形態に係るパワーステアリング装置を備えた車両の概略構成図であり、同図に基づき説明する。
図1に示すように、本実施形態のパワーステアリング装置を搭載する車両は、駆動源としてエンジン2(原動機)及び走行用モータ4を備えたハイブリッド電気自動車である。
エンジン2と走行用モータ4との間にはクラッチ6が設けられており、当該クラッチ6の入力軸にはエンジン2の出力軸が、当該クラッチ6の出力軸には走行用モータ4の回転軸がそれぞれ連結されている。
また、車両には、図示しない車輪に対して転向操作を行うステアリングホイール10(操舵手段)が設けられており、当該ステアリングホイール10の回転を伝達するステアリングシャフト12には操舵補助機構14が設けられている。当該操舵補助機構14は、ステアリングホイール10による操舵に応じて油圧による操舵アシストトルクを付与する機能を有する。当該操舵補助機構14は、作動油が循環する油圧回路を介して、当該車両に搭載されたリザーバタンク16、メイン油圧ポンプ18(第1のポンプ)、及びサブ油圧ポンプ20(第2のポンプ)と接続されている。
リザーバタンク16には、排出経路32の他、メイン油圧ポンプ18へと接続されたメイン吸入経路34、及びサブ油圧ポンプ20と接続されたサブ吸入経路36が接続されている。
ECU44は、ステアリングホイール10に対する操舵角を検出する操舵角センサ(操舵角検出手段)46、車速を検出する車速センサ48、アクセルの踏込量を検出するアクセルセンサ50、ブレーキの踏込量を検出するブレーキセンサ52等の各種センサ類と電気的に接続されており、これらの検出情報を取得可能である。また、ECU44はエンジン2、補機モータ22、及び操舵補助機構14等と電気的に接続されており、当該各種装置の作動情報等を取得、演算等して、これら各種装置の制御を行うことが可能である。
以下、ECU44が実行するエンジン自動停止時の油圧供給制御について詳しく説明する。
まず、ステップS1として、ECU44は、上述したエンジン自動停止条件が成立しているか否かを判別する。当該判別結果が偽(No)である場合は、当該ルーチンをリターンする。一方、当該判別結果が真(Yes)である場合は、次のステップS2に進む。
操舵角に応じてサブ油圧ポンプ20の回転数が設定されるマップに基づき、補機モータ22を制御する。当該マップは、操舵角センサ46により検出される操舵角が大きいほどサブ油圧ポンプ20から操舵補助機構14への作動油供給量を増やすべく、エンジン自動停止条件成立時における操舵角が大きいほどサブ油圧ポンプ20の回転数を高くするよう設定されている。なお、当該マップでは、操舵角が所定の角度まで達した後はサブ油圧ポンプの回転数を一定値としているが、これに限られるものではなく、操舵角の上限値までサブ油圧ポンプ20の回転数が上昇するマップとしても構わない。
ステップS3において、ECU44は、エンジン2を停止させるべく当該エンジン2への燃料供給を停止する。これによりエンジン2の回転数は減少していき、メイン油圧ポンプ18による作動油供給量は低下するが、上記ステップS2においてサブ油圧ポンプ20により操舵角に応じた作動油供給量はまかなえているので、操舵アシストトルクが減少することはない。
ステップS5では、ECU44は、補機モータ22を制御してサブ油圧ポンプ20を停止させる。このときECU44は、図2のステップS5に示す、時間に応じてサブ油圧ポンプの回転数が設定されるマップに基づき、補機モータ22を制御する。当該マップは、エンジン2の回転が停止してから、所定時間に達するまで一定の割合でサブ油圧ポンプの回転数を漸減させるよう設定されている。
ステップS6では、ECU44は補機モータ22への電力供給を停止させることで補機モータ22を停止させ、当該ルーチンを終了する。
以上のように、ECU44は、エンジン2の自動停止条件が成立し、エンジン2への燃料供給を停止するまでに、操舵角が大きいほどサブ油圧ポンプ20の回転数を高くして、操舵角に応じた作動油供給を行う。つまり、エンジン2の自動停止に伴いメイン油圧ポンプ18からの油圧供給が低下していくのに対して、サブ油圧ポンプ20により操舵角に応じた油圧供給を行う。これにより、エンジン自動停止条件が成立した時に大きな旋回操舵等を行っていたとしても、操舵補助機構14への油圧供給は確保されていることから、キックバック現象を防止することができる。
さらに、エンジン2の回転が停止した後は、徐々にサブ油圧ポンプ20の回転数を低下させ、操舵アシストトルクを徐々に減少させることで、急激なキックバック現象を抑制しつつ、補機モータ22を停止させることができる。これによりエンジン2の回転停止後にキックバック現象を抑制しながら補機モータ22による電力消費も抑えることができる。
上記実施形態の車両は、エンジン2と走行用モータ4との間にクラッチ6の設けられたハイブリッド電気自動車であるが、本発明が適用可能な車両は当該構成のハイブリッド電気自動車に限られるものではない。例えば、エンジンと走行用モータが常時連結され、走行用モータと変速機との間にクラッチが設けられた構成のハイブリッド電気自動車にも適用可能である。さらに、当該パワーステアリング装置を備える車両は、第1の油圧ポンプと、電動の第2の油圧ポンプを備えた車両に適用可能であり、ハイブリッド電気自動車に限られるものではない。
また、上記実施形態の油圧回路の構成はこれに限られるものではない。例えば、上記実施形態では、リザーバタンク16からメイン吸入経路34とサブ吸入経路36のそれぞれが接続されているが、リザーバタンクには1つの吸入経路のみ接続し、途中でメイン吸入経路とサブ吸入回路とに分岐する構成としても構わない。また、上記実施形態では、メイン吐出経路38とサブ吐出経路40とが供給経路30に合流しているが、合流せずにそれぞれ独立して操舵補助機構に接続された構成としても構わない。
4 走行用モータ
10 ステアリングホイール(操舵手段)
14 操舵補助機構
18 メイン油圧ポンプ(第1のポンプ)
20 サブ油圧ポンプ(第2のポンプ)
22 補機モータ
44 ECU(原動機自動停止手段、油圧供給制御手段)
46 操舵角センサ(操舵角検出手段)
Claims (3)
- 運転者の操舵に応じて車輪を転向させる操舵手段と、
原動機により駆動されて作動油の供給を行う第1のポンプと、
補機モータにより駆動されて作動油の供給を行う第2のポンプと、
前記第1のポンプ又は前記第2のポンプにより供給される作動油の油圧により前記操舵手段の操舵に対し操舵アシストトルクを付与する操舵補助機構と、
前記操舵手段の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記原動機のアイドルストップ条件が成立したときに前記原動機を停止させる原動機自動停止手段と、
前記アイドルストップ条件が成立すると、前記操舵角検出手段により検出された操舵角に応じた目標回転数に前記補機モータを制御し、前記補機モータの回転数が前記目標回転数に達すると、前記原動機自動停止手段により前記原動機を停止させる油圧供給制御手段と、
を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。 - 前記油圧供給制御手段は、前記原動機の回転の停止後から所定時期までに前記第2のポンプの回転が停止するよう、前記補機モータにより、当該第2のポンプの回転数を漸減させることを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置。
- 前記油圧供給制御手段は、前記アイドルストップ条件が成立すると、前記操舵角検出手段により検出された前記操舵角が大きいほど、前記目標回転数を高くして前記補機モータを制御することで前記操舵角に応じた作動油を供給することを特徴とする請求項1又は2記載のパワーステアリング装置。
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