JP6168272B2 - 口部密封機構 - Google Patents
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また、この口部密封機構は、使用者により一旦開封された後も、衛生上や内容物の漏れ防止の観点から、リキャップ時に密封性を有する必要がある。
この口部密封機構500は、中心部に注出孔521を有し容器510の容器口部511の上面開口部を覆う中栓部材520と、容器口部511を中栓部材520とともに覆う着脱可能なキャップ本体530とを有している。
中栓部材520は、容器口部511の内側に挿入される挿入筒部526と、容器口部511の外側から嵌合する嵌合筒部527を有しており、容器口部511の上方から上面開口部に密着して固定されるように形成されている。
キャップ本体530は、容器口部511の外周に設けられた雄ネジ部512に螺合する雌ネジ部551を有する側壁部550と、容器口部511の上方を覆う天板部540とからなり、天板部540の下面側には、環状に突出し中栓部材520の注出孔521の内周面に密着する内コンタクトリング部541と、内コンタクトリング部541より外周側に環状に突出し中栓部材520の上面522に密着する外コンタクトリング部542とを有している。
また、使用者により一旦開封された後のリキャップ時も、同様に使用者がキャップ本体530を容器口部511に螺合することで、密封性が確保される。
このような問題を解決するため、容器内のガス圧力が上昇した際にガスを容器口部から逃がす機能を持つ様々な態様の口部密封機構が提案されている(特許文献1−6等参照。)。
また、リキャップ時には、キャップCの螺合の強さによって、密封性、ガスを逃がす圧力ともに一定しないという問題があった。
また、中栓14は密封およびガスを逃がすために用いる部材で、使用時はキャップ本体11とともに取り外されるため、前述の口部密封機構500のような、中心部に注出孔521を有し容器510の容器口部511の上面開口部を覆う中栓部材520を持つ構造のものに適用することができないという問題があった。
上記特許文献4、5に記載された公知の口部密封機構は、キャップによってパッキングを口部に密着させて密封するもので、キャップあるいはパッキングの形状、構造を工夫することで内圧が異常上昇した際にパッキングが変形してガスを逃がすものであるため、前述の口部密封機構500のような、中心部に注出孔521を有し容器510の容器口部511の上面開口部を覆う中栓部材520を持つ構造のものに適用することができないという問題があった。
また、キャップの螺合の強さによって、密封性、ガスを逃がす圧力ともに一定しないという問題があった。
また、中栓1のリング部14を本体部1aと別体にした態様は、中栓1の本体部1aが前述の口部密封機構500の中栓部材520に相当するが、さらに部品点数が多くなるとともに、リキャップ時には、キャップ2の螺合の強さによって、密封性、ガスを逃がす圧力ともに一定しないという問題があった。
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された口部密封機構の構成に加えて、前記外コンタクトリング部の前記中栓部材の上面に密着する端縁が、前記天板部の下面からの高さを高く形成された高端縁と、該高端縁より低く形成された低端縁とを有することにより、前記課題を解決するものである。
本請求項4に係る発明は、請求項3に記載された口部密封機構の構成に加えて、前記高端縁が、周方向に3箇所以上形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された口部密封機構の構成に加えて、前記薄肉部の周方向両端の境界面が、径方向に対して傾斜した面で形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された口部密封機構の構成に加えて、前記キャップ本体がポリプロピレンからなり、前記中栓部材がポリエチレンからなることにより、前記課題を解決するものである。
また、密封リング部が周方向の少なくとも1箇所に半径方向の厚みが薄く、容器の内圧上昇時に径方向に変形して前記内コンタクトリング部から離れる薄肉部を有することにより、内圧上昇時に密封リング部の半径方向の外方に一定以上の力が加わった際に薄肉部が他の部分より外方に変形して円形が歪な環状形となり、円形のまま変形する内コンタクトリング部との間に隙間が発生し、ガスを逃がして容器の破裂を確実に防止することが可能となる。
また、内圧上昇時に、密封リング部は半径方向の力で変形し、キャップ本体の上下方向押し付け力にほとんど依存しないため、リキャップ時にキャップ本体の螺合の強さにかかわらず、一定の内圧の上昇で確実に変形してガスを逃がすことが可能となる。
さらに、中心部の注出孔には何らの部材も接触せず、注出孔は密封性やガスを逃がす機能に何ら関与しないため、密封リング部の内側であれば、その大きさ、形状、位置、個数に制約はなく、内容物に応じて自由に設定することが可能となる。
請求項3に記載の構成によれば、外コンタクトリング部が高端縁と低端縁とを有することにより、その高低差を適宜に設定すると、最初のキャッピング時にキャップ本体を強く螺合することで高端縁と密着する中栓部材の上面が大きく変形して低端縁も中栓部材の上面に密着し、リキャップ時の使用者の力では高端縁と密着する中栓部材の上面の変形は小さく低端縁と中栓部材の上面の間に隙間が生じる。
このことで、最初のキャッピング時には高い密封性を確保することができるとともに、リキャップ時には内圧が上昇した際にガスを逃がす流路を確保でき、容器の破裂を確実に防止することが可能となる。
請求項4に記載の構成によれば、高端縁が周方向に3箇所以上形成されていることにより、リキャップ時にキャップ本体がやや斜めに螺合した場合であっても、周方向のいずれかの外コンタクトリング部の低端縁と中栓部材の上面に隙間が確実に形成されガスを逃がす流路を確保できる。
請求項6に記載の構成によれば、密封リング部の薄肉部が他の部分より外方に変形して歪な環状形となる際に、境界面に変形が集中して塑性変形や亀裂等が生じることが防止され、再度圧力が低下した際の密封性を損なうことがない。
請求項7に記載の構成によれば、キャップ本体がポリプロピレンからなり、中栓部材がポリエチレンからなることにより、内容物充填後のキャッピング時に硬いキャップ本体の外コンタクトリング部の高端縁が柔らかい中栓部材の上面を変形させるため、キャップ本体と中栓部材の密着性がさらに向上し、密封性がさらに向上するとともに、内圧が上昇した際の密封リング部の変形を容易とし、確実に変形してガスを逃がすことが可能となる。
本発明の一実施形態である口部密封機構100は、図1の側面断面図に示すように、中心部に注出孔121を有し容器110の容器口部111の上面開口部を覆う中栓部材120と、容器口部111を中栓部材120とともに覆う着脱可能なキャップ本体130とを有している。
中栓部材120は、容器口部111の内側に挿入される挿入筒部126と、容器口部111の外側から嵌合する嵌合筒部127を有しており、容器口部111の上方から上面開口部に密着して固定されるように形成されている。
また、中栓部材120の上面122の注出孔121より外周側には、上方に環状に突出する密封リング部123を有している。
密封リング部123の周方向等間隔の3箇所に、外周側から半径方向に凹部を設けて形成された半径方向の厚みが薄い薄肉部124が設けられており、薄肉部124の周方向両端の境界面125が、図2の拡大図で示すように、径方向に対してa°傾斜した面で形成されている。
この境界面125の径方向に対する傾斜は、5°〜60°が望ましく、本実施形態では約30°である。
天板部140の下面側には、環状に突出し中栓部材120の密封リング部123の内周面に密着する内コンタクトリング部141と、内コンタクトリング部141より外周側に環状に突出し中栓部材120の上面122に密着する外コンタクトリング部142とを有している。
また、側壁部150の外周側には、使用者による開封、リキャップが容易となるように凹凸形状のスベリ止め部152を有している。
本実施形態では、高端縁144と低端縁145が3箇所ずつ周方向等間隔に設けられており、傾斜端縁146が、それぞれの間の6箇所に設けられている。
まず、容器110に高温に加温された内容物が充填され、容器口部111に中栓部材120が取り付けられ、キャップ本体130が容器口部111に螺合されて、最初のキャッピングが行われる。
この時、内コンタクトリング部141の外周面が中栓部材120の密封リング部123の内周面に密着するとともに、外コンタクトリング部142の端縁143が中栓部材120の上面122に密着する。
外コンタクトリング部142の端縁143は高端縁144と低端縁145が存在するが、最初のキャッピングが機械による強い力で行われるため、高端縁144と接する部分が大きく変形して低端縁145も確実に中栓部材120の上面に密着する。
このとき、キャッピング後の冷却で容器110の内部が陰圧となった場合であっても、内コンタクトリング部141と密封リング部123の密着性が低下することがなく、確実に密封することができる。
外コンタクトリング部142の端縁143は高端縁144と低端縁145が存在し、使用者の力では外コンタクトリング部142の低端縁145と中栓部材120の上面122の間にはわずかに隙間が存在するように設定されているが、内コンタクトリング部141と密封リング部123の密着のみで実用上の密封性は充分担保される。
リキャップ時にも、内コンタクトリング部141と密封リング部123の密着による密封性が高いため、発生したガスにより容器110の内圧が上昇し、この内圧によって内コンタクトリング部141および密封リング部123が外方に力を受け、それぞれ、その径が広がる方向に変形しようとする。
この時、密封リング部123は、周方向等間隔の3箇所に外周側から半径方向に凹部を設けて形成された半径方向の厚みが薄い薄肉部124が設けられているため、図5に示すように、密封リング部123の内周面が円形(点線で示す)から歪な非円形(実線で示す)となるように変形する(なお図面は、説明のため強調して示したものであり、実際の形状を正確に表すものではない。)。
なお、密封リング部123に薄肉部124が存在せず一様な厚みの場合は、円形のまま内コンタクトリング部141と一緒に径が広がる方向に変形するため、ガスが流出する隙間の発生が阻害される。
また、該雌ネジ部151(あるいは、容器口部111の雄ネジ部112)に上下方向の切欠き溝(図示せず)を設けた場合には、切欠き溝を通過してより確実に流出したガスを大気中に放出することができる。
また、ガスが逃がされて内圧が低下すると、密封リング部123が弾性によって元の形状に復帰するため、再び内コンタクトリング部141と密封リング部123が密着して密封性が回復する。
また、菌や酵母により内容物が腐敗、発酵してガスが発生したことが目視できるよう、密封リング部123が変形して密封が解除される内圧が容器110の破裂する内圧より小さく、かつ、容器110の膨張する内圧よりも大きくなるように設定してもよい。
本実施形態では、破裂する内圧が約650kpaである容器110に対して、密封リング部123が変形して密封が解除される内圧を350〜450kpaとなるように、各構成の諸元を設定した。
ただし、寸法や材質等の条件にもよるが、1箇所の場合は密封リング部123の変形が不均等になり密封が解除される内圧にばらつきがでる虞があり、6箇所以上の場合は密封リング部123の変形が円形に近くなり効果的に隙間ができにくくなる虞があるため、2箇所から5箇所とするのが好適である。
また、外コンタクトリング部142の高端縁144を周方向の3箇所に設けたが、2箇所以下や4箇所以上としてもよい。
さらに、本実施形態では、中栓部材が、容器口部と別体に形成され容器口部の上面開口部に密着嵌合されるように形成された場合で説明したが、中栓部材が容器口部と一体に形成された場合にも適用できる。
また、本発明の口部密封機構は、中心部の注出孔が比較的小さいものに好適であるが、注出孔の大きさ、形状、位置、個数は密封リング部の内側であれば自由に設定することが可能である。
110、510 ・・・ 容器
111、511 ・・・ 容器口部
112、512 ・・・ 雄ネジ部
120、520 ・・・ 中栓部材
121、521 ・・・ 注出孔
122、522 ・・・ 上面
123 ・・・ 密封リング部
124 ・・・ 薄肉部
125 ・・・ 境界面
126、526 ・・・ 挿入筒部
127、527 ・・・ 嵌合筒部
130、530 ・・・ キャップ本体
140、540 ・・・ 天板部
141、541 ・・・ 内コンタクトリング部
142、542 ・・・ 外コンタクトリング部
143、543 ・・・ 端縁
144 ・・・ 高端縁
145 ・・・ 低端縁
146 ・・・ 傾斜端縁
150、550 ・・・ 側壁部
151、551 ・・・ 雌ネジ部
152 ・・・ スベリ止め部
Claims (7)
- 中心部に注出孔を有し容器口部の上面開口部を覆う中栓部材と、容器口部を中栓部材とともに覆う着脱可能なキャップ本体とを有する口部密封機構であって、
前記中栓部材の注出孔より外周側には、上方に環状に突出する密封リング部を有し、
前記キャップ本体は、容器口部の外周に設けられた雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有する側壁部と、前記容器口部の上方を覆う天板部とからなり、
前記天板部の下面側には、環状に突出し前記中栓部材の密封リング部の内周面に密着する内コンタクトリング部と、前記内コンタクトリング部より外周側に環状に突出し前記中栓部材の上面に密着する外コンタクトリング部とを有し、
前記密封リング部が、周方向の少なくとも1箇所に半径方向の厚みが薄く、容器の内圧上昇時に径方向に変形して前記内コンタクトリング部から離れる薄肉部を有することを特徴とする口部密封機構。 - 前記密封リング部の薄肉部が、外周側から半径方向に凹部を設けて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の口部密封機構。
- 前記外コンタクトリング部の前記中栓部材の上面に密着する端縁が、前記天板部の下面からの高さを高く形成された高端縁と、該高端縁より低く形成された低端縁とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の口部密封機構。
- 前記高端縁が、周方向に3箇所以上形成されていることを特徴とする請求項3に記載の口部密封機構。
- 前記外コンタクトリング部の前記中栓部材の上面に密着する端縁が、前記高端縁と低端縁との間に、周方向に所定の長さで高さが変化する傾斜端縁を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の口部密封機構。
- 前記薄肉部の周方向両端の境界面が、径方向に対して傾斜した面で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の口部密封機構。
- 前記キャップ本体がポリプロピレンからなり、前記中栓部材がポリエチレンからなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の口部密封機構。
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