JP4810202B2 - シール性とガス抜き性に優れたプラスチックキャップ - Google Patents

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Description

本発明は、螺子係合式のプラスチックキャップに関するものであり、より詳細には、キャップ頂板部の内面に、容器口部壁の内面に密着してシールを形成するインナーリングが形成されており、インナーリングにより良好なシール性が確保されると同時に、ボトル内圧が上昇した場合のガス抜き性も備えた螺子係合式プラスチックキャップに関する。
プラスチックキャップには、容器口部壁との螺子係合により装着される螺子タイプのものが、例えば飲料容器用のキャップとして広く使用されている。このようなキャップの頂板部の内面には、一般に、インナーリングが形成されており、キャップを閉じた状態で、容器口部壁の上端部分が、キャップのスカートとインナーリングとの間に侵入し、インナーリングが容器口部壁の内面に密着することにより、シールが形成される構造となっている。
上記のような構造のキャップは、インナーリングによって高い密封性を有しているが、反面、ガス抜き性に若干問題がある。即ち、このキャップをジュースなどの果汁飲料用ボトルに適用した場合において、果汁飲料が二次発酵して炭酸ガスが発生した時には(ボトル内に果汁飲料の飲み残しなどがあり、キャップをリシールして長期間放置していた場合にしばしば生じる)、ボトル内圧が上昇し、ボトル口部からのキャップ飛び等の虞がある。
上記のような問題を解決し、ガス抜き性が高められたキャップとして、例えば特許文献1には、インナーリングの内面からキャップ頂板部の内面にかけて連結部(補強リブ)を設けたものが提案されている。
特開2004−224371号公報
上記特許文献1で提案されているキャップは、容器内圧が増大してキャップ頂板部がドーミングしたとき、上記の連結部に引っ張られてインナーリングの先端が内方に変形し、これによりインナーリングの外面と容器口部壁内面との密着が損なわれ、容易にガス抜きが行われるというものである。
しかしながら、このようなキャップでは、キャップ頂板部のドーミングに際して、連結部の引っ張りによるインナーリングの変形が容易に生じるようにするために、インナーリングを薄肉にしなければならないという問題がある。即ち、インナーリングが厚肉に形成されていると、インナーリングの剛性が高いため、連結部の引っ張りによってのインナーリングの変形が生じにくくなり、ガス抜きを生じ難くなってしまうからである。しかるに、インナーリングを薄肉にしてしまうと、インナーリングの可撓性が高められ、この結果、インナーリングによるシール性が低下してしまうこととなる。
このように従来公知のキャップでは、キャップのシール性とガス抜き性とを両立させることが困難であった。
従って本発明の目的は、密封性とガス抜き性との両特性に優れたプラスチックキャップを提供することにある。
本発明の一局面によれば、頂板部と、頂板部周縁から降下したスカートとを備え、該頂板部内面には、容器口部壁の内面に密着してシールを形成するインナーリングが形成されており、該スカートの内面には、容器口部壁の外面にネジ係合する螺条が形成されているプラスチックキャップにおいて、前記インナーリングの内面には、その先端から上方に向かって延びている細長い凹部が少なくとも1個形成され、前記インナーリングの外面には、容器口部壁の内面に密着するシールポイントPが形成され、前記凹部は、前記インナーリング内面の先端から、少なくとも前記シールポイントPの高さよりも上方まで延びており、前記頂板部の内面には、前記インナーリングの外側に位置するアウターリングが形成され、該アウターリングの内面には、容器口部壁の外面に密着する密着ポイントQが形成され、前記アウターリングには、少なくとも前記密着ポイントQを含む部分に、少なくとも1個の切り欠きが形成され、該少なくとも1個の切り欠きは、前記凹部の近傍に配置されている、ことを特徴とするプラスチックキャップが提供される。
本発明の他の局面によれば、頂板部と、頂板部周縁から降下したスカートとを備え、該頂板部内面には、容器口部壁の内面に密着してシールを形成するインナーリングが形成されており、該スカートの内面には、容器口部壁の外面にネジ係合する螺条が形成されているプラスチックキャップにおいて、前記インナーリングの内面には、その先端から上方に向かって延びている細長い凹部が周方向に偏って複数個形成され、前記インナーリングの外面には、容器口部壁の内面に密着するシールポイントPが形成され、前記凹部は、前記インナーリング内面の先端から、少なくとも前記シールポイントPの高さよりも上方まで延びている、ことを特徴とするプラスチックキャップが提供される。
本発明においては、
(1)前記インナーリングは、全体として下方に向かって外方に広がるように傾斜した形状を有しており且つ先端部分が薄肉に形成されているとともに、該インナーリングの外面には、下方に向かって且つ外方に傾斜した面から下方に向かって且つ内方に傾斜した面への変曲部分である前記シールポイントPが形成されていること
(2)前記凹部の上端位置が、前記シールポイントPよりも0.1乃至1.8mm上方の位置にあること
(3)前記凹部形成部分でのインナーリングの水平方向での最大厚みtが0.5乃至1.5mmの範囲にあり、且つ前記凹部は、0.5乃至6mmの幅wを有していること、
が好ましい。
本発明では、インナーリングの内面に細長い凹部が形成されているため、ドーミングに際してインナーリングの変形が容易に生じる。即ち、容器内圧が増大してキャップ頂板部がドーミング(外方への膨れ)を生じたとき、インナーリングは、その先端が内側を指向するように変形するが、上記のような凹部が形成されていると、その変形に伴うシワなどの歪が該凹部によって吸収され、この結果、インナーリングの変形が促進され、インナーリング外面と容器口部壁内面との密着性が低下し、容易にガス抜きを生じることとなる。しかも、本発明では、インナーリングの厚みを薄肉にする必要はなく、従来公知のキャップと同様、インナーリングが高いシール性が確保される程度の厚みを有している場合にも、上記のようなドーミング時のインナーリングの変形性を確保することができる。従って、本発明では、優れたシール性とガス抜き性とを達成することができるのである。
下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のキャップの側断面図であり、
図2は、図1のキャップを容器口部に装着した状態での半断面側面図であり、
図3は、図1に示されているキャップの底面図であり、
図4は、図1のキャップの要部拡大図であり、
図5は、図1のキャップの頂板部が容器内圧の上昇によりドーミングした状態を示す図であり、
図6は、図5の状態のキャップの要部拡大図であり、
図7は、本発明のキャップの他の例における要部拡大図であり、
図8は、図7のキャップの底面図であり、
図9は、本発明のキャップのさらに他の例における要部拡大図である。
図1乃至図4を参照して、このキャップは、大まかに言って、頂板部1と、頂板部1の周縁部から垂下しているスカート2とから成っており、スカート2の下端には、破断可能なブリッジ3を介して開封履歴明示バンド(TEバンド)5が設けられている。
頂板部1の内面には、スカート2とは間隔を置いて下方に延びているインナーリング7が形成されている。また、このインナーリング7の外側には、インナーリング7よりも背の低いアウターリング9が設けられていることが好ましい。
スカート2の内面には、螺条10が形成されており、この螺条10は、容器口部壁50の外面に形成されている螺条51と係合する。即ち、スカート2を閉栓方向に旋回し(即ち、巻き締め)、螺条10と容器口部壁50の外面の螺条51とを螺子係合することにより、このキャップは、容器口部壁50に装着される。
キャップが容器口部壁50に装着された状態において、インナーリング7の外面は、容器口部壁50の内周面に密着し、これにより良好なシール性が確保されるようになっている。このため、インナーリング7は、図1及び図4に示されているように、全体として下方に向かって外方に広がるように傾斜した形状を有しており、且つ先端部分の厚みは薄肉になっており、これにより、キャップが容器口部壁50に装着され、容器口部壁50の上方部分がインナーリング7とスカート2との間の空間に嵌め込まれたとき、インナーリング7が容易に内方に撓み、インナーリング7の外面が容器口部壁50の内周面にと密着し、良好な密封性が確保されるようになっている。即ち、このようなインナーリング7の外面にはシールポイントPが形成されており、このシールポイントPの部分で、インナーリング7の外面が容器口部壁50の内周面にがっちりと密着する。このようなシールポイントPは、図1から理解されるように、下方に向かって且つ外方に傾斜した面から下方に向かって且つ内方に傾斜した面への変曲部分となっている。
スカート2の外面には、滑り止め用のローレット11が形成されており、キャップの閉栓方向及び開栓方向への旋回をスムーズに行い得るようになっている(図2参照)。
TEバンド5の内面には、それ自体公知のフラップ片13が設けられており、容器口部壁50の顎部52と係止し得るようになっている。即ち、容器口部壁50に巻き締められたキャップを開栓したとき、このフラップ片13が上記顎部52に当接し、TEバンド5の上昇は制限される。一方、スカート2は、そのまま開栓方向に回転して上昇する。従って、シール部(インナーリング7と容器口部壁50との密着部分であり、後述するシールポイントP)が解除されるまえに、スカート2の下端とTEバンド5を繋ぐブリッジ3が破断し、TEバンド5は、キャップから離脱する。かくして、TEバンド5がキャップから離脱していることにより、キャップが一度開栓され或いはシール部の破断が生じていたという事実を認識することが可能となるものである。
尚、図1に示されているように、スカート2の上方部分には、適当な間隔でスリット15が形成されており、キャップと容器口部壁50との間を洗浄できるようになっている。
また、図1及び図2に示されているように、頂板部1の周縁部分には、キャップの閉栓状態を示すための検知用凹状マーク17を設け、さらに、このマーク17に対応して、頂板部1の内面からスカート2の内面上端部分にかけてリブ19が設けられている。即ち、上記マーク17の位置により、生産過程において容器口部壁50に巻き締められたキャップの締め付け状態を確認することができる。また、リブ19を形成しておくことにより、キャップ成形時における樹脂の流れをスムーズにして成形不良を回避することができる。
さらに図4を参照して、インナーリング7の外側に形成されているアウターリング9は、その内面が容器口部壁50の外面と密着するように形成されている。即ち、アウターリング9の内面には、下方に向かって且つ内方に傾斜している面から下方に向かって且つ外方に傾斜した面への変曲部分である密着ポイントQが形成されており、アウターリング9の内面は、少なくともこの密着ポイントQの部分で容器口部壁50の外面に密着する。このようなアウターリング9によって、キャップ開栓時のガタツキを抑制し、タンパーエビデント(TE)性を高めることができる。例えば、キャップ(スカート2)を開栓方向に旋回して開封する際、このアウターリング9により、インナーリング7を容器口部壁50内周面と同心円状にガタつくことなく回転させることができ、インナーリング7によるシール性を安定に保持してシールが破壊するまでの回転角度を広くとることができ、開栓に際して、ブリッジ3が破断するに先立ってのシール破壊を有効に回避することができるのである。
また、上記のアウターリング9には、少なくとも容器口部壁50の外面と密着する内周面の位置に、複数個のガス抜き用の切欠き23が設けられている。この機能については、後述する。
また、このようなキャップにおいては、頂板部1の内面のアウターリング9とインナーリング7との間の部分、特にアウターリング9の付け根部の近傍部分には、補助突条21が形成されていることが好ましい。この補助突条21は、図2及び図4に示されているように、容器口部壁50の頂面から外面にかけてのコーナー部に密着するものであり、インナーリング7によるシール性を補強するものである。即ち、容器を成形する際の成形収縮などによって容器口部壁50に微細な凹凸が発生していたときにも、インナーリング7に加えて、このような補助突条21を設けることによってシール性の低下を有効に回避することができる。
さらに、頂板部1の内面には、上記のインナーリング7とアウターリング9との間の部分に、小突起25を設けることが好ましい。この小突起25は、キャップ巻き締め時の締め過ぎを防止するとともに、耐衝撃性を高めるという機能を有するものである。例えば、落下衝撃等によりキャップの軸方向に衝撃力が加わったとき、この小突起25が容器口部壁50の頂面に当接しているため、これにより衝撃力が緩和されて、衝撃によってインナーリング7と容器口部壁50の内面及び補助突条21と容器口部壁50のコーナー部との密着によるシールが破壊されることを防止することができる。尚、図4などに示されている例では、この小突起25は、キャップが容器口部壁50に装着されていた状態において容器口部壁50の頂面に当接しているが、この小突起25は、容器口部壁50の頂面から離れていてもよい。即ち、外力が加わったときに、小突起25が容器口部壁50の頂面に当接するようにしても、衝撃を緩和し、シール破壊を防止することが可能である。また、この小突起25は、周状に形成されていてもよいし、間欠的に形成されていてもよい。特に、小突起25を周状に形成し、その先端を容器口部壁50の頂面に密着させておくことにより、シール性を高めることができる。
本発明においては、インナーリング7の内面に、その先端から上方に延びている細長い凹部30が形成されていることが重要である。即ち、図4とともに、容器内圧が増大してドーミングが生じた状態を示す図5及び図6を参照して、キャップの頂板部1が外方に膨らむと、インナーリング7は、その内面に凹部30が形成されているため、インナーリング7は、その先端が内側を指向するように容易に変形する(即ち傾斜する)。即ち、このような凹部30が形成されている部分は変形し易く、この部分からインナーリング7の変形が促進されるのである。このようなインナーリング7の変形により、インナーリング7の外面(特にシールポイントP)が容器口部壁50の内面から離れ、同時にアウターリング9の付け根部近傍に形成されている補助突条21や上記の小突起25と容器口部壁50との間に間隙が形成されることとなる。しかもアウターリング9には、切欠き23が形成されている。従って、本発明では、容器内圧が所定値以上に増大して大きなドーミングが生じたときには、ガス抜きがスムーズに行われ、容器内圧の著しい増大によるキャップ飛びや容器破壊を有効に防止することが可能となるのである。このような切欠き23は、複数(例えば3個)形成されるが、少なくとも1個は、凹部30の近傍に位置していることが好ましい。また、切欠き23の周方向幅は3mm程度であり、その深さ(密着ポイントQでの深さ)は0.1mm程度でよい。
また、本発明において最大の利点は、上記のような凹部30をインナーリング7の内面に形成することにより、インナーリング7を良好なシール性を確保できる程度に厚肉に形成した場合にも、ドーミング時のインナーリング7を容易に変形させることができる点にある。即ち、インナーリング7による優れたシール性を確保できると同時に、優れたガス抜き性を確保できるのである。
上記のようなインナーリング7の内面の凹部30は、図4に示されているように、インナーリング7の外面が形成しているシールポイントPよりも上方まで延びていることが好ましい。即ち、凹部30の上端の高さHがシールポイントPよりも低いときには、シールポイントPの容器口部壁50の内面からの引き離しが不十分となり、ガス抜き性が低下するおそれがあるからである。
また、上述した例では、凹部30は、インナーリング7の先端からインナーリング7の途中まで延びているが、例えば図7の他の例の要部拡大図に示すように、インナーリング7の先端から付け根部までの全体にわたって凹部30を形成することもできる。このような場合には、ドーミング時のインナーリング7に最大の易変形性を与えることができ、最もガス抜き性を高めることができる。
しかしながら、凹部30がインナーリング7の先端から上方に延びるほど、インナーリング7の変形性が高まるため、TE性の低下をもたらすおそれがある。即ち、インナーリング7が変形し易くなると、このキャップを旋回して容器口部壁50から取り除くとき、小さな回転角度でシール破壊を生じ易くなり、前述したブリッジ3が破断するまえに、シール破壊を生じてしまうことがある。このように、ブリッジ3の破断前にシール破壊が生じてしまうことは、TEバンド5が切り離されていないときにもシール破壊が生じていること、換言すると、TE性が低下していることを意味する。従って、本発明においては、凹部30の上端位置を、TE性を損なうことなく、優れたガス抜き性が発現するように決定することが好ましく、例えば、図4に示されているように、凹部30の上端位置HがシールポイントPよりも高い位置であり、特に、凹部30の上端位置Hが、インナーリング7のシールポイントPよりも0.1乃至1.8mm上方にあることが好適である。凹部30の上端位置Hが、この範囲よりも低い位置にあると、ガス抜き性が低くなるおそれがあり、この範囲よりも上方にあると、TE性が低下する傾向があるからである。
また、凹部30の数は、1個でもよいし、複数とすることもできる。例えば、図7のキャップでは、図8の底面図に示されているように、凹部30が複数(6個)が設けられている。但し、凹部30の数を多くすることはインナーリング7の易変形性が必要以上に高められて密封性或いはTE性の低下をもたらすおそれがあるので、図3に示されているように、凹部30の数は1個であることが最も好適である。凹部30がある程度の幅を有していれば、凹部30の数が1個のときにも十分なガス抜き性を確保することができるからである。即ち、容器内のガス圧が急激に増大したとき、1箇所でもシールポイントPでのシール破壊が生じれば、その部分から集中的にガス抜きが行われることとなる。尚、凹部30を複数形成する場合には、図8に示されているように、複数の凹部30を一定の間隔で対称的に設けることもできるし、インナーリング7の内面の周方向の一部分の領域に偏って設けることもできる。特に偏って複数の凹部30を形成する場合には、内圧上昇時にインナーリング7が歪んで変形するため、その変形による密着破壊が容易に生じ、ガス抜き性を高めることができる。
本発明においては、特にガス抜き性とインナーリング7によるシール性とをバランスよく確保するためには、凹部30が形成されている部分でのインナーリング7の水平方向最大厚みt(図4参照)が0.5乃至1.5mmの範囲にあり、且つこのような凹部30の幅w(図3参照)が0.5乃至6mmの範囲にあることが好ましい。即ち、上記の厚みtがあまり厚い場合或いは幅wが必要以上に狭い場合には、ドーミング時のインナーリング7の変形性が損なわれ、ガス抜き性が低下してしまい、厚みtがあまり薄い場合や幅wが必要以上に広い場合には、インナーリング7の変形が生じやすくなってしまい、シール性或いはTE性が低下するおそれがある。また、凹部30の深さは、上記のような厚みt、凹部30の数あるいはその幅wによっても異なるが、一般的には、0.05〜0.30mmの範囲にあることが好適である。
上述した本発明においては、種々の設計変更が可能であり、例えば図9に示されているように、容器口部壁50のコーナー部に密着する補助突条21を省略し、その代わりに、容器口部壁50の頂面と密着する補助突条35を設けることもできる。また、図1から図8の例では、ガス抜き用切欠き23は、アウターリング9の内面のみを切り欠くことにより形成されているが、図9に示されているように、密着ポイントQを含むように、アウターリング9の下方全体を切欠くことにより、ガス抜き用切欠き23を形成することも可能である。このような場合においても、キャップ開栓時におけるキャップのガタツキによるシール破壊が有効に回避され、ブリッジ3の破断前のシール破壊を防止し、良好なTE性を確保できると同時に、インナーリング7の内面に凹部30を形成することにより、ドーミング時のガス抜き性を高めることができる。
上述した本発明のキャップは、各種のプラスチック、例えば、低−、中−または高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、スチレン系樹脂、ABS樹脂等を用いての射出成形、圧縮成形等の一体成形により製造することができる。
本発明の効果を以下の実験例で説明する。尚、本発明は、本実験例に限定されるものではない。
キャップA(本発明例):
図1と同形状であり且つ、呼び径28mmの容器口部に巻き締め可能なキャップを圧縮成形にて成形した。
尚、凹部30の数は1個であり、その幅wは3mmであり、凹部30の上端位置HとシールポイントPとの間隔は0.4mmとした。また、凹部30が形成されているインナーリング7の付け根部の厚みは、1.1mmであり、凹部30の深さは0.1mmとした。
キャップB(本発明例):
幅wが1mm、深さが0.15mmの凹部30をインナーリング7の内面に、その先端から付け根部までの全体にわたって形成し、且つ凹部30を等間隔に6個設けた以外は、キャップAと全く同様にしてキャップBを成形した。
キャップC(比較例):
凹部30をインナーリング7の内面に形成しなかった以外は、キャップAと全く同様にキャップCを成形した。
実験例1(落下衝撃試験):
500ml用PETボトルに87℃まで加熱した1%オルトトリジン水溶液を充填し、キャップA〜Cを巻締めてからシャワーにて冷却し、常温にて24時間保管して、キャップA〜Cが巻締められた実験用サンプルを、それぞれ10本作製した。
上記で作製されたそれぞれ10本の実験用サンプルのキャップに次亜塩素酸を垂らし、倒立状態で、上面に10°の傾斜面を有する鉄製円柱材に100cmの高さから垂直方向に落下させた。その後、5℃の水道水でうすめた次亜塩素酸に24時間漬けた。
本発明例のキャップA、B及び比較例のキャップCが巻締められた実験用サンプルの何れの10本についても、ボトル内の1%オルトトリジン水溶液の液色変化は認められなかった。即ち、衝撃時にシールが破壊されて外気がボトル内に吸い込まれることが無く、良好な密封性を有していた。
実験例2(ベント性試験):
500ml用PETボトルに87℃まで加熱した水道水を充填し、キャップA〜Cを巻締めてからシャワーにて冷却し、常温にて24時間保管して、キャップA〜Cが巻締められた実験用サンプルを、それぞれ10本作製した。
上記で作製されたそれぞれ10本の実験用サンプルを水槽内に保持し、キャップ天面から窒素注入孔を有する針を刺した。注入孔から0.034MPa/secの速度で窒素をボトル内に注入し、ボトルとキャップのシールが破壊されて窒素が漏れるボトル内圧を測定した。但し、ガス圧によりボトル破壊が生じないように、各サンプルをケースで保持した状態で測定を行った。
本発明例のキャップAが巻締められた10本の実験用サンプルでは、平均で0.78MPaで窒素が漏れ、ガス抜きが生じ、キャップBの10本の実験用サンプルでは、平均で0.56MPaで窒素が漏れ、ガス抜きが生じた。一方、比較例のキャップCが巻締められた10本の実験用サンプルでは、1.2MPaまでボトル内圧を上昇させたが、窒素が漏れることはなかった(即ち、ガス抜きされなかった)。
実験例3(TE性試験)
500ml用PETボトルに87℃まで加熱した水を充填し、キャップA〜Cを巻締めてからシャワーにて冷却し、常温にて24時間保管して、キャップA〜Cが巻締められた実験用サンプルを、それぞれ10本作製した。
上記の各サンプルについて、以下の方法でリーク角度とブリッジ角度とを測定した。
先ず、リーク角度及びブレーク角度の測定に先立って、黒色マジックインキを用いてキャップとボトルに一本の直線を引いておく(即ち、マーキングする)。
次に、一定の低速度でキャップを開栓方向に回し、ボトル内の水の液面が移動し始めるときのキャップの回転角度(リーク角度)及びTEバンドを繋ぐブリッジが切れ始めるときのキャップの回転角度(ブリッジ角度)を、ボトルに引かれた直線とキャップに引かれた直線とのずれから算出する。
リーク角度は、開封に際して、シール破壊が生じるまでのキャップの回転角度を示すものであり、ボトル内の水の液面の移動開始は目視で判断する。また、ブリッジ角度の算出に際して、ブリッジ切れは、ブリッジが切れるときに発生する音により判断する。
上記で測定されたリーク角度とブリッジ角度とから、下記式:
BL角度=(リーク角度)−(ブリッジ角度)
により、各サンプルについてBL角度を求め、このBL角度がマイナスになった本数を求めた。BL角度がマイナスの値のときは、ブリッジ切れよりも先にシール破壊が生じていることを意味し、BL角度がマイナスの値となるサンプル数が多いほどTE性が低く、そのサンプル数が少ないほどTE性が優れていることを意味する。
上記の結果、キャップA及びキャップCが巻締められた10本の実験用サンプルでは、それぞれ、BL角度がマイナスとなった本数はゼロであったが、キャップBが巻締められた10本の実験用サンプルでは、2本が、BL角度がマイナスであった。
以上の実験例1〜3の結果を、表1にまとめて示した。
Figure 0004810202
本発明のキャップの側断面図。 図1のキャップを容器口部に装着した状態での半断面側面図。 図1に示されているキャップの底面図。 図1のキャップの要部拡大図。 図1のキャップの頂板部が容器内圧の上昇によりドーミングした状態を示す図。 図5の状態のキャップの要部拡大図。 本発明のキャップの他の例における要部拡大図。 図7のキャップの底面図。 本発明のキャップのさらに他の例における要部拡大図。
符号の説明
1:頂板部
2:スカート
7:インナーリング
9:アウターリング
25:補助突条
30:凹部

Claims (6)

  1. 頂板部と、頂板部周縁から降下したスカートとを備え、該頂板部内面には、容器口部壁の内面に密着してシールを形成するインナーリングが形成されており、該スカートの内面には、容器口部壁の外面にネジ係合する螺条が形成されているプラスチックキャップにおいて、
    前記インナーリングの内面には、その先端から上方に向かって延びている細長い凹部が少なくとも1個形成され、前記インナーリングの外面には、容器口部壁の内面に密着するシールポイントPが形成され、前記凹部は、前記インナーリング内面の先端から、少なくとも前記シールポイントPの高さよりも上方まで延びており、
    前記頂板部の内面には、前記インナーリングの外側に位置するアウターリングが形成され、該アウターリングの内面には、容器口部壁の外面に密着する密着ポイントQが形成され、前記アウターリングには、少なくとも前記密着ポイントQを含む部分に、少なくとも1個の切り欠きが形成され、
    該少なくとも1個の切り欠きは、前記凹部の近傍に配置されている、
    ことを特徴とするプラスチックキャップ。
  2. 頂板部と、頂板部周縁から降下したスカートとを備え、該頂板部内面には、容器口部壁の内面に密着してシールを形成するインナーリングが形成されており、該スカートの内面には、容器口部壁の外面にネジ係合する螺条が形成されているプラスチックキャップにおいて、
    前記インナーリングの内面には、その先端から上方に向かって延びている細長い凹部が周方向に偏って複数個形成され、
    前記インナーリングの外面には、容器口部壁の内面に密着するシールポイントPが形成され、前記凹部は、前記インナーリング内面の先端から、少なくとも前記シールポイントPの高さよりも上方まで延びている、
    ことを特徴とするプラスチックキャップ。
  3. 前記頂板部の内面には、前記インナーリングの外側に位置するアウターリングが形成され、該アウターリングの内面には、容器口部壁の外面に密着する密着ポイントQが形成され、前記アウターリングには、少なくとも前記密着ポイントQを含む部分に、少なくとも1個の切り欠きが形成されている請求項2に記載のプラスチックキャップ。
  4. 前記インナーリングは、全体として下方に向かって外方に広がるように傾斜した形状を有しており且つ先端部分が薄肉に形成されているとともに、該インナーリングの外面には、下方に向かって且つ外方に傾斜した面から下方に向かって且つ内方に傾斜した面への変曲部分である前記シールポイントPが形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチックキャップ。
  5. 前記凹部の上端位置が、前記シールポイントPよりも0.1乃至1.8mm上方の位置にある請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチックキャップ。
  6. 前記凹部形成部分でのインナーリングの水平方向での最大厚みtが0.5乃至1.5mmの範囲にあり、且つ前記凹部は、0.5乃至6mmの幅wを有している請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチックキャップ。
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