JP6167753B2 - 水田における施肥方法 - Google Patents
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すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 水田における施肥方法であって、元肥として被覆粒状肥料を施用する工程と、追肥として液状肥料を水口流入施肥により施用する工程とを含み、元肥として施用される被覆粒状肥料の水田単位面積当たりの窒素全量(A)と、追肥として水口流入施肥により施用される液状肥料の水田単位面積当たりの窒素全量(B)との重量比が、10:1〜2:1の範囲であることを特徴とする施肥方法。
[2] 追肥として液状肥料を水口流入施肥により施用する工程が、
水田の水位を調整し、水尻を閉じる工程、
液状肥料を、容器に設けられた滴下口が下になるように水田の水口に設置する工程、
水口から水を入れる工程、
水口に設置された液状肥料が入った容器に空気穴を開ける工程、
所定量の液状肥料が容器から流出した後、さらに水口から水を入れて水位を調整する工程、及び
自然減水させる工程
を含む[1]に記載の施肥方法。
[3] 液状肥料は、包装容器がバッグインボックスの液状肥料である[2]に記載の施肥方法。
[4] 被覆粒状肥料を育苗容器へ施用する[1]〜[3]のいずれかに記載の施肥方法。
[5] 被覆粒状肥料を水田へ直接施用する[1]〜[3]のいずれかに記載の施肥方法。
[6] 被覆粒状肥料が、シグモイド型の溶出パターンである被覆粒状肥料である[1]〜[5]のいずれかに記載の施肥方法。
本発明においては、元肥として通常施用される肥料成分を含む被覆粒状肥料を使用することができる。かかる被覆粒状肥料としては、窒素を含み、25℃水中へ被覆粒状肥料に含有される窒素の80%が溶出するのに要する日数は、好ましくは20〜250日、より好ましくは20〜180日の範囲である被覆粒状肥料を使用する。水稲の栽培においては、前記日数が、寒冷地で栽培する場合20〜100日程度、中間地や暖地で栽培する場合80〜160日程度である被覆粒状肥料の使用が好適である。また、溶出パターンは、初期の溶出が一定期間抑制された後溶出するシグモイド型の溶出パターンである被覆粒状肥料の使用が好適である。
水田へ直接被覆粒状肥料を施用する場合、その施用形態としては、水田に水を入れる前に動力散布機やブロードキャスターにより田の全面へ被覆粒状肥料を施用した後に耕耘を行ない全層に混和する所謂全層混和が、肥料成分の吸収効率を向上させるため好ましい。また、育苗容器へ被覆粒状肥料を施用する場合は、育苗容器内で被覆粒状肥料が均一に分布するよう培土に混和するかまたは肥料層となるよう施用する形態が、健苗育成の観点からは好ましい。なお、水稲の生育期間に必要と予測される窒素全量を予め育苗容器内へ施肥し、移植時に苗と共に水田へ持ち込む育苗箱全量施肥と呼ばれる施肥方法は、育苗容器へ専用の被覆粒状肥料を施用することにより行われる。
本発明において施用する元肥の量は、窒素として10a当たり1〜40kgであり、水稲の場合は1〜20kg、好ましくは2〜15kgである。本発明は元肥として被覆粒状肥料を施用し、その量は、前記窒素量の20重量%以上、好ましくは30重量%以上であり、被覆粒状肥料の施用量に応じて、全量が前記窒素量の範囲になるように非被覆肥料を併用する。なお、リン酸(P2O5)及び加里(K2O)については、それぞれ10a当たり1〜40kg、水稲の場合は1〜20kgとなるように施用され、被覆粒状肥料及び非被覆肥料のいずれを用いても良い。元肥で施用する窒素の一部または全量を育苗容器へ施肥する場合は、10a当たりの窒素量を使用する育苗容器の数で除して1容器当たりの施肥量を決定する。
本発明においては、施肥時に、液状肥料の容器からの流出量が一定になるように沈殿や結晶、固形物を含む液状肥料の使用は避け、均一な水溶液である液状肥料を使用する。また、25℃における比重が1.1〜1.5g/mLの範囲であり、粘度が1.5〜100mPa・s、より好適には1.5〜15.0mPa・sの範囲である液状肥料の使用が好ましい。液状肥料の粘度は、より具体的には、B型粘度計(東機産業株式会社製、ロータとしてLアダプタを使用)を用いて、ロータ回転数60rpm、温度25℃の条件にて測定することにより求めることができる。
追肥として通常施用される肥料成分を含む液状肥料としては、例えば、肥料三要素を主要成分として含むNPK(N−P2O5−K2O)成分型の液状肥料が挙げられ、市販品を用いることができる。より具体的には、窒素含量の高い下がり平型(具体例として20−2−2(N−P2O5−K2Oの重量比率を意味する。以下同じ。)、15−6−6)、ほぼ同じ成分含量の水平型やリン酸含量の低い谷型(具体例として10−5−8)、窒素含量の低い上がり平型(具体例として1−12−10)、リン酸含量の高い山型(具体例として7−20−0)の液状肥料を用いることができる。これらの液状肥料は通常、作物生育状況や施用時期によって選択して用いられ、例えば、水稲の栽培においては、活着肥、葉色低下に対する追肥や穂肥としては下がり平型や谷型を、分げつ肥としては山型を、籾肥や花肥としては上がり平型や山型を適宜選択することができる。
該蓋に滴下口がない場合には、ドリル等を用いて穴を開けて滴下口とすることができる。穴を開ける場合、所定量の液状肥料が容器から流出するのに要する時間(以下、施肥時間と記すことがある。)が2〜3時間となるように穴の大きさを調整する。穴の大きさは用いる液状肥料の性状によって適宜変更し得るが、液状肥料の容量が20kgの場合、直径を約1mmとすればよい。また、このようにして穴を開けた1つの蓋を使い回すこともできる。穴を開ける際には、千枚通し等の穴を開けるために通常用いられる工具を用いることができるが、穴の周囲に盛り上がりが生じる、蓋の表裏で穴の直径が異なる等の状態はあまり好ましくない。蓋に穴を開けることが困難な場合には、内容器に穴を開けてもよい。具体的には、外箱の一部を取り除き、蓋に穴を開ける場合と同様に、内容器に穴を開ける。このとき、内容器の穴から流出する液状肥料が外箱に染み込まないように注意する。このように予め滴下口を設けておき、該滴下口が下になるように水田の水口に液状肥料を容器ごと設置する。水田に複数の水口がある場合には、各々の水口に液状肥料を設置することが好ましい。また、水口の数より液状肥料の容器の数の方が多い場合は、ひとつの水口に複数の液状肥料を同時に設置し、施用する液状肥料の全量が容器から流出するのに要する時間が2〜3時間となるようにすることが好ましく、さらに各水口に設置する液状肥料の容器の数が同じになるようにすることが好ましい。
本発明においては、水田に液状肥料を水口から流入させて施用した後でさらに水を流入させることにより、施肥時間と灌漑時間とが同じ場合よりも肥料成分が希釈されるため拡散され易く、施肥むらが緩和される。
水稲の栽培における好ましい施肥体系の例としては、元肥として被覆粒状肥料を育苗容器へ施用し、活着肥、分けつ肥及び実肥として液状肥料を少なくとも1回施用する施肥体系、並びに、元肥として被覆粒状肥料を直接水田へ施用し、籾肥、花肥、穂肥及び実肥として液状肥料を少なくとも1回施用する施用体系を挙げることができる。
また、本発明は水稲以外の水田で栽培する作物に適用してもよい。かかる作物としては、例えばレンコン、イグサ、クワイ、マコモタケ、ワサビが挙げられる。
「被覆粒状物A」(特開平10−152387号公報に記載される方法に準じて製造された(E)−(S)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール(以下、化合物Aと記す)を粒状肥料に担持させ、被覆資材により被覆した粒状物:N−P2O5−K2O−化合物A=13%−0%−16%−0.024%)16.7重量部と、「被覆粒状肥料C」(特開平9−202683号公報に記載される方法に準じて製造された「被覆尿素80日タイプ」:N−P2O5−K2O=42%−0%−0%、25℃水中へ被覆粒状肥料に含有される窒素の80%が溶出するのに要する日数が80日)19.8重量部と、「被覆粒状肥料E」(特開平9−202683号公報に記載される方法に準じて製造された「被覆尿素120日タイプ」:N−P2O5−K2O=41%−0%−0%、25℃水中へ被覆粒状肥料に含有される窒素の80%が溶出するのに要する日数が120日)15.5重量部と、「化成肥料013号」(住友化学株式会社製、N−P2O5−K2O=10.5%−21%−23.5%)28.0重量部と、「すずらん特号」(住友化学株式会社製、N−P2O5−K2O=6%−20%−20%)10.0重量部と、「17.5−45.5 りん安4号」(住友商事株式会社輸入販売、N−P2O5−K2O=17.5%−45.5%−0%)10.0重量部とを配合し、被覆配合肥料A 100.0重量部を得た。
配合例2
「被覆粒状肥料B」(特開平9−202683号公報に記載される方法に準じて製造された「被覆尿素20日タイプ」:N−P2O5−K2O=43%−0%−0%、25℃水中へ被覆粒状肥料に含有される窒素の80%が溶出するのに要する日数が20日)10.8重量部と、「被覆粒状肥料D」(特開平9−202683号公報に記載される方法に準じて製造された「被覆尿素100日タイプ」:N−P2O5−K2O=42%−0%−0%、25℃水中へ被覆粒状肥料に含有される窒素の80%が溶出するのに要する日数が100日)27.0重量部と、「被覆粒状肥料E」16.2重量部と、「化成肥料013号」43.0重量部と、「17.5−45.5 りん安4号」3.0重量部とを配合し、被覆配合肥料B 100.0重量部を得る。
配合例3
「被覆粒状肥料F」(特開平9−202683号公報に記載される方法に準じて製造された「被覆尿素40日タイプ」:N−P2O5−K2O=43%−0%−0%、25℃水中へ被覆粒状肥料に含有される窒素の80%が溶出するのに要する日数が40日)18.3重量部と、「被覆粒状肥料D」24.4重量部と、「被覆粒状肥料G」(特開平9−202683号公報に記載される方法に準じて製造された「被覆尿素140日タイプ」:N−P2O5−K2O=41%−0%−0%、25℃水中へ被覆粒状肥料に含有される窒素の80%が溶出するのに要する日数が140日)18.3重量部と、「被覆粒状肥料H」(特開平9−202683号公報に記載される方法に準じて製造された「被覆化成138K号100日タイプ」:N−P2O5−K2O=1%−3.5%−48%、25℃水中へ被覆粒状肥料に含有される加里の80%が溶出するのに要する日数が100日)9.0重量部と、「住友化成新15号」(住友化学株式会社製、N−P2O5−K2O=15%−15%−15%)30.0重量部とを配合し、被覆配合肥料C 100.0重量部を得る。
なお、被覆配合肥料Cは、被覆配合肥料C全量に対して窒素30%及び加里8%を含み、且つ全窒素の85%の窒素及び全加里の49%の加里をそれぞれ被覆粒状肥料として含む。
2012年5月に新潟県の水田(面積:1ha)へ元肥として配合例1で得られた被覆配合肥料Aを、窒素として6.3kg/10aとなるように直接施用(全層混和)した。その10日後に水稲(品種:コシヒカリ)の苗を移植した後、通常の方法により栽培を行った。
7月下旬にひたひた状態になるまで水田の水を抜いて水尻を閉じた。水口の灌漑バルブを開き、水口から水を入れ始めてから、液状肥料(商品名:田田楽10号、住友化学株式会社製、N−P2O5−K2O=10%−5%−8%)20kgの包装容器(バッグインボックス)の外箱の切り取り線に沿って外箱の一部を切り取り、内容器の蓋を引き出して該蓋と予めドリルで直径約1mmの穴を開けた蓋とを交換し、予め入水枡の開口部の外側(水田側)に逆様に置いておいたビールケースの底面上に、蓋が下になるように液状肥料を容器ごと設置した後、液状肥料の外箱の上面をドライバー(軸径:約5mm)で突き刺し、外箱とともに内容器に空気穴を開けた。なお、本試験を実施した水田の水口の数は2であり、各々の水口における水の流量は約240L/分であった。液状肥料の施用量は10a当たり前記液状肥料10kg(窒素として1.0kg/10a)とし、一方の水口に2箱同時に、もう一方に3箱同時に、それぞれ液状肥料を設置した。設置した全ての液状肥料が流出して容器が空になった後も、灌漑バルブを開いたままにして水を入れ続け、水位が土壌から約7cmになったところで水を止めた。液状肥料が容器から全量流出するのに要した時間は約2.5時間であり、水を入れ始めてから水位が7cmになるまでの時間は約24時間であった。その後3日間水田への水の出し入れを行わず自然減水させた後は、通常の水稲の栽培条件に保つことにより、米を収穫した。
収穫時まで生育むらは見られず、追肥として液状肥料を水口流入施肥により施用しなかった場合と比較して収量が約半俵増加した。
本試験において、元肥としての被覆粒状肥料はシグモイド型の溶出パターンを示す、水稲育苗箱全量施肥専用被覆尿素(商品名:苗箱まかせN400−100、ジェイカムアグリ株式会社製、N−P2O5−K2O=40%−0%−0%、25℃水中へ被覆粒状肥料に含有される窒素の80%が溶出するのに要する日数が100日(以下、被覆尿素と記す。))を使用する。
水稲育苗箱(30cm×60cm×3cm)に肥料成分を含まない培土2kgを充填し、その上層に被覆尿素750gを施用し、その上層に催芽した種籾150gを播種し、最上層は肥料成分を含まない培土を用いて覆土する。適宜灌水して25日間育苗する。代かき後、水田の水を抜き、10a当たり20枚の苗箱を用いて水稲苗を移植する(水田への施肥量に換算すると、窒素として6.0kg/10a)。水田がひたひた状態の水位を保って水尻を閉じ、移植後、水田へ水を入れる際に、活着肥として液状肥料(商品名:田田楽15号、住友化学株式会社製、N−P2O5−K2O=15%−6%−6%)20kgを以下のように施用する。
液状肥料の包装容器(バッグインボックス)の外箱の切り取り線に沿って外箱の一部を切り取り、内容器の蓋を引き出して該蓋に錐で直径約1mmの穴を開け、周囲に生じたバリを削って除く。水路の堰を開いて水田に水を入れ始め、速やかに水口の前(水田側)にビールケースを逆様に置き、底面上に蓋が下になるように液状肥料を容器ごと設置した後、液状肥料の外箱の上面を開いて内容器に千枚通し(軸径:約3mm)を突き刺し、空気穴を開ける。液状肥料の施用量は10a当たり前記液状肥料10kg(窒素として1.5kg/10a)とし、水口にそれぞれ液状肥料を容器ごと設置して施用する(液状肥料が容器から全量流出するのに要する時間は約2.5時間)。設置した全ての液状肥料が流出して容器が空になった後も、堰を開いたままにして水を入れ続け、水位が土壌から約5cmになったところで水を止める。その後3日間水田への水の出し入れを行なわず自然減水させた後は、通常の水稲の栽培条件に保つことにより、米の収量が増加し、品質の良好な米を収穫することができる。
水稲育苗箱(30cm×60cm×3cm)の底にシグモイド型の溶出パターンを示す被覆尿素1450gを施用し、その上層に肥料成分を含まない培土を1.3kg充填し、その上層に催芽した種籾150gを播種し、最上層は肥料成分を含まない培土を用いて覆土する。適宜灌水して25日間育苗する。代かき後、水田の水を抜き、10a当たり約12枚の苗箱を用いて、条間30cm×株間30cmとなるように水稲苗を移植する(水田への施肥量に換算すると、窒素として7.0kg/10a)。移植後、水田へ水を入れ、その2週間後にひたひた状態になるまで水田の水を抜いて水尻を閉じ、分げつ肥として液状肥料(商品名:田田楽7−20、住友化学株式会社製、N−P2O5−K2O=7%−20%−0%)20kgを以下のように施用する。
液状肥料の包装容器(バッグインボックス)の外箱の切り取り線に沿って外箱の一部を切り取り、内容器の蓋を引き出して該蓋と予めドリルで直径約1mmの穴を開けた蓋とを交換する。水田にある全ての水口の灌漑バルブを開き、各々の水口から水田に水を入れ始める。速やかに各々の入水枡の上にすのこを置き、すのこの板の間から液状肥料が滴下されるように蓋を下にして液状肥料を容器ごと設置した後、液状肥料の外箱の上面を開いて内容器にカッターナイフで空気穴を開ける。液状肥料の施用量は10a当たり前記液状肥料10kg(窒素として0.7kg/10a)とし、全ての水口にそれぞれ液状肥料を容器ごと設置して施用する(液状肥料が容器から全量流出するのに要する時間は約3時間)。設置した全ての液状肥料が流出して容器が空になった後も、灌漑バルブを開いたままにして水を入れ続け、水位が土壌から約6cmになったところで水を止める。その後4日間水田への水の出し入れを行なわず自然減水させた後は、通常の水稲の栽培条件に保つことにより、米の収量が増加し、品質の良好な米を収穫することができる。
公知の方法により鉄粉と焼石膏とがコーティングされた種籾を得る。水田を硬めに代かきして、前記種籾を専用播種機で地表面へ条間30cm×株間18cm(坪当たり60株)として、その交点にあたる株の位置に約6〜8粒ずつかためて点播すると同時に、元肥として配合例2で得られる被覆配合肥料Bを窒素として8.1kg/10aとなるように側条施肥する。播種後しばらくは水田の水を抜いたままとし、種籾が出芽したら水田に水を入れ、中干しを強めに行った後、間断灌漑を行う。土壌の水分が飽和状態になった後、水位をひたひた状態として水尻を閉じ、幼穂形成期に穂肥として液状肥料(商品名:田田楽15号、住友化学株式会社製、N−P2O5−K2O=15%−6%−6%)20kgを以下のように施用する。
液状肥料の包装容器(バッグインボックス)の外箱の切り取り線に沿って外箱の一部を切り取り、内容器の蓋を引き出して該蓋と予めドリルで直径約1mmの穴を開けた蓋とを交換する。水田にある全ての水口の前(水田側)にビールケースを逆様に置き、底面上に蓋が下になるように液状肥料を容器ごと設置した後、速やかに全ての水口の灌漑バルブを開き、各々の水口から水田に水を入れ始める。そして液状肥料の外箱の上面を開いて内容器にドライバー(軸径:約5mm)を突き刺し、空気穴を開ける。液状肥料の施用量は10a当たり前記液状肥料10kg(窒素として1.5kg/10a)とし、全ての水口にそれぞれ液状肥料を容器ごと設置して施用する(液状肥料が容器から全量流出するのに要する時間は約2時間)。設置した全ての液状肥料が流出して容器が空になった後も、灌漑バルブを開いたままにして水を入れ続け、水位が土壌から約7cmになったところで水を止める。その後3日間水田への水の出し入れを行なわず自然減水させた後は、通常の水稲の栽培条件に保つことにより、米の収量が増加し、品質の良好な米を収穫することができる。
前作に豆類を栽培していた転作水田において、水田へ元肥として配合例3で得られる被覆配合肥料Cを窒素として2.0kg/10aとなるように施用(全層混和)する。通常の方法で代かきを行い、坪当たり45株として水稲苗を移植し、栽培する。出穂35日前頃に水田の水を抜いてひたひた状態として水尻を閉じ、液状肥料(商品名:田田楽PK、住友化学株式会社製、N−P2O5−K2O=1%−12%−10%)20kgを以下のように施用する。
液状肥料の包装容器(バッグインボックス)の外箱の切り取り線に沿って外箱の一部を切り取り、内容器の蓋を引き出して該蓋と予めドリルで直径約1mmの穴を開けた蓋とを交換する。各々の水口の灌漑バルブを開き、水口から水を入れ始める。予め各々の入水枡の開口部の外側(水田側)に逆様に置いておいたビールケースの底面上に、蓋が下になるように液状肥料を容器ごと設置した後、液状肥料の外箱の上面を千枚通し(軸径:約3mm)で突き刺し、外箱とともに内容器に空気穴を開ける。液状肥料の施用量は10a当たり前記液状肥料20kg(窒素として0.2kg/10a)とし、全ての水口にそれぞれ液状肥料を容器ごと設置して施用する(液状肥料が容器から全量流出するのに要する時間は約2.5時間)。設置した全ての液状肥料が流出して容器が空になった後も、灌漑バルブを開いたままにして水を入れ続け、水位が土壌から約5cmになったところで水を止める。その後3日間水田への水の出し入れを行わず自然減水させた後は、通常の水稲の栽培条件に保つことにより、米の収量が増加し、品質の良好な米を収穫することができる。
Claims (5)
- 水田における施肥方法であって、元肥として被覆粒状肥料を施用する工程と、追肥として液状肥料を水口流入施肥により施用する工程とを含み、元肥として施用される被覆粒状肥料の水田単位面積当たりの窒素全量(A)と、追肥として水口流入施肥により施用される液状肥料の水田単位面積当たりの窒素全量(B)との重量比が、10:1〜2:1の範囲であり、
追肥として液状肥料を水口流入施肥により施用する工程が、
水田の水位を調整し、水尻を閉じる工程、
液状肥料を、容器に設けられた滴下口が下になるように水田の水口に設置する工程、
水口から水を入れる工程、
水口に設置された液状肥料が入った容器に空気穴を開ける工程、
所定量の液状肥料が容器から流出した後、さらに水口から水を入れて水位を調整する工程、及び
自然減水させる工程
を含むことを特徴とする施肥方法。 - 液状肥料は、包装容器がバッグインボックスの液状肥料である請求項1に記載の施肥方法。
- 被覆粒状肥料を育苗容器へ施用する請求項1または2に記載の施肥方法。
- 被覆粒状肥料を水田へ直接施用する請求項1または2に記載の施肥方法。
- 被覆粒状肥料が、シグモイド型の溶出パターンである被覆粒状肥料である請求項1〜4のいずれかに記載の施肥方法。
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