JP2002029870A - 水田用肥料 - Google Patents

水田用肥料

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JP2002029870A
JP2002029870A JP2000210778A JP2000210778A JP2002029870A JP 2002029870 A JP2002029870 A JP 2002029870A JP 2000210778 A JP2000210778 A JP 2000210778A JP 2000210778 A JP2000210778 A JP 2000210778A JP 2002029870 A JP2002029870 A JP 2002029870A
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paddy
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Yasutoshi Nakajima
康甫 中島
Kiichi Machitani
喜市 町谷
Akio Fukuoka
章男 福岡
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MITSUI TOUATSU HIRYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の緩効性肥料成分を含有するこ
とにより、追肥を実質的に必要としない水田用肥料を提
供する。 【解決手段】 グリコールウリルを肥料成分として含
有する水田用肥料であり、湛水時には実質的に分解され
ず、中干し時に無機化が開始され、追肥を実質的に不要
にする水田用肥料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水田用肥料に関
し、より詳しくはグリコールウリルを緩効性窒素肥料成
分として含有し、追肥を実質的に必要としない水田用肥
料に関する。
【0002】
【従来の技術】水稲栽培は、通常、育苗箱で播種育苗し
た苗を、ある段階において田植機で水田(本田)に移植
するもので、稲の成長に合わせて、深水(湛水)、中干
し、深水、落水の順で行われる水管理は、特に水稲の栽
培において特徴的な基本的な操作であるといえる。
【0003】近来、施肥窒素肥料等による環境汚染や施
肥の省力化のため、全量元肥施用技術が求められてお
り、例えば無機化のパターンの異なる速効性肥料と緩効
性肥料を組合せたり、また被覆肥料などの肥効調節型の
緩効性肥料が研究されている。しかしながら、このよう
な緩効性肥料は、従来から多数提案されているものの、
水田の温度等の外部環境の予想外の変動により分解速度
のパターンが大きく変動し、水稲の吸収量と肥料成分の
供給量のバランスが想定したものより大幅にずれてしま
い、結局は、従来と同様に穂肥等の追肥が必要となるこ
とがしばしばあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはかかる観
点から鋭意検討を行った結果、意外なことにグリコール
ウリルは、湛水時の水田土壌においては、殆ど無機化し
ないのに対し、落水水田土壌では、かなりの速度で無機
化するという特異な分解特性があることを見出した。本
発明はかかかる知見に基づいてなされるに到ったもので
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、請求項
に記載されている以下の発明が提供される。
【0006】請求項1に記載の水田用肥料は、少なくと
もグリコールウリルを肥料成分として含有し元肥として
施肥される水田用肥料であって、当該肥料成分は、湛水
時には実質的に分解されず、中干し時に無機化が開始さ
れ、追肥を実質的に不要にすることを特徴とする水田用
肥料である。
【0007】また請求項2に記載の水稲の栽培方法は、
少なくともグリコールウリルを肥料成分として含有する
水田用肥料を使用する水稲の栽培方法であって、当該肥
料を田植時に元肥として施肥し、当該肥料成分は、湛水
時には実質的に分解されず、中干し時に無機化が開始さ
れることにより追肥を実質的に不要にすることを特徴と
する水稲の栽培方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0009】本発明の水田用肥料は、少なくともグリコ
ールウリルを肥料成分として含有し、元肥として施肥さ
れるものである。グリコールウリルは、式 (1) 、〔化
1〕で表される化合物であって、
【0010】
【化1】 アセチレンジウレン、アセチレンウレア、グリオキサー
ルジウレン等とも称され、グリオキサールと尿素を塩酸
等の酸の存在下に式 (2) 、〔化2〕に従い反応させて
得られる結晶化合物である。
【0011】
【化2】
【0012】グリコールウリルは、水に対する溶解度
0.2g/100g、窒素含量39.4%の化合物で、
微生物分解型の緩効性肥料になりうるとされており、一
説によると例えばクロチリデンダイウレア(以下、CD
Uと称することがある。)等よりも無機化速度は小さい
とされてはいるが、現実には、価格が必ずしも安価でな
いこともあって、ほとんど使用されていないのが実情で
ある。
【0013】しかして、本発明者らは、グリコールウリ
ルの水田土壌における無機化速度を検討していたとこ
ろ、グリコールウリルには、図1に示すように、予想外
の特異な分解パターンを有することを見出した。すなわ
ち、図1において、aは落水状態における水田土壌にお
ける無機化速度、bは同じく硝酸化成速度、cは湛水
(冠水)状態における無機化速度であるが、落水状態
(a)では施肥から1週間程度経過後に、無機化速度
は、急激に増加するのに対し、湛水状態(c)では、4
〜5週経過後でもほとんど無機化は起こらないのである
(なお、図は、千葉県茂原市鷲巣水田土壌の例である
が、他の地区でもほぼ同様な分解パターンを示す。)。
【0014】これは、同じ水田土壌におけるCDUの無
機化速度等を示す図2、及び尿素の無機化速度等を示す
図3と比較することにより、グリコールウリルの分解の
特異性が良く理解される。すなわち、CDUや尿素は、
湛水状態(c)においては、落水状態(a)時に対して
無機化速度は低下するものの、依然としてかなりの無機
化が起こっていることが認められるのである。
【0015】以上のごとく、グリコールウリルを緩効性
の肥料成分として含有せしめた水田用肥料を元肥として
施肥した場合は、湛水時には実質的に分解されず、中干
し時(落水状態)において、無機化が開始することにな
ると考えられる。
【0016】本発明の水田用肥料は、上記の如き特異な
分解パターンを有するグリコールウリルを肥料成分とし
て配合した水田用肥料である。
【0017】グリコールウリルが配合される肥料の他の
成分としては、通常の水稲栽培において、元肥として使
用されている肥料成分であり、例えば、尿素、硫酸アン
モニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸
ソーダ、硝酸石灰、アセトアルデヒド縮合尿素、イソブ
チルアルデヒド縮合尿素、硫酸グアニル尿素、オキサミ
ド、石灰窒素等の窒素質肥料;リン酸アンモニウム、過
リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔成リン肥、焼成リン肥
等のリン酸質肥料;塩化カリ、硫酸カリ、硫酸カリ苦
土、重炭酸カリ等のカリ肥料;生石灰、消石灰、炭酸カ
ルシウム肥料等の石灰質肥料;鉱さいケイ酸質肥料、ケ
イ灰石肥料等のケイ酸質肥料;硫酸苦土肥料、水酸化苦
土肥料等の苦土肥料;硫酸マンガン肥料等のマンガン質
肥料;ホウ酸塩肥料、ホウ酸肥料、ほう砂等のホウ酸質
肥料;熔成微量要素複合肥料、混合微量要素肥料等の微
量要素複合肥料等が挙げられる。
【0018】本発明において、グリコールウリルとこれ
らの肥料成分の配合(混合)は、スクリューミキサー、
パンミキサー、パグミキサー等の粉体混合機もしくはニ
ーダにより混練することにより行うことが好ましい。
【0019】本発明の肥料は、粉状(粉体混合物)で使
用することも可能であるが、取扱いの容易さ、施肥のし
易さから、これらの肥料成分を造粒することが望まし
い。
【0020】造粒は、それ自身公知の造粒操作、例えば
転動造粒や圧縮造粒により行われる。転動造粒は、転動
造粒装置を使用するもので、傾けて配置された回転する
皿(パン)または円筒(ドラム)の上部から、グリコー
ルウリルを含む肥料粉体を供給するとともに、水(及び
澱粉、PVA、CMC、ゼラチン等の水溶性高分子から
なるバインダーを含んでいてもよい)を当該転動する粉
体上に噴霧することにより、粉体を毛管吸引力により付
着・凝集・成長せしめて、球状の粒子に成型するもので
ある。この場合は、粒子は転動しながら成長するので、
球形の肥料粒子が得られる。
【0021】一方、圧縮成型は、ブリケッターと称する
装置を使用するもので、ペレットに対応する溝(ポケッ
ト)が形成された二個のロールを互いにかみ合わせて回
転させ、当該ロール間にグリコールウリルを含む肥料粉
体を連続的に供給して、当該ポケット中に圧縮充填して
成型し所謂ブリケット形状の肥料粒子とする。
【0022】本発明において、グリコールウリルを含有
する肥料は、不定形状や柱状、ペレット状に造粒しても
よいが、取扱い容易性のため、粒径0.6〜14mm、
好ましくは、2〜8mm程度の球状粒子とするのが最も
望ましい。
【0023】以上のごとく本発明のグリコールウリルを
含有する肥料は、グリコールウリルを粉体で他の肥料成
分に配合し、粒状に成形したものでもよいが、ペースト
肥料とすることも可能である。
【0024】ここでペースト肥料(フロアブル肥料とも
云う。)とは、固体肥料と液体肥料との中間の濃厚なソ
ース状(若しくはスラリー状)の複合肥料であり、適度
な流動性を有するので、側条施肥田植機等の潅注ノズル
から、所定の施肥量を、稲(苗)の根圏の任意の施肥位
置に直接正確に注入でき、また粘性を有するため、施肥
位置からの流亡が少なく、窒素負荷等が大幅に低減され
る環境保全型肥料である。
【0025】グリコールウリルをペースト肥料とするに
は、上記した粒状肥料に配合する尿素や硫酸アンモニウ
ム等の窒素成分、リン酸アンモニウムや過リン酸石灰等
のリン成分、塩化カリや硫酸カリ等のカリ成分等上記し
た他の肥料成分とともにグリコールウリルを配合し、さ
らに水、キサンタンガムやベントナイト等の懸濁安定剤
(又は増粘剤)、さらに所望により有機成分としてアル
コール醗酵副産濃縮液等の有機液体原料を加えて、粉砕
・撹拌・混合することにより製造すればよい。
【0026】また、上記のようにグリコールウリル粉体
(結晶)を配合するかわりに、特開2000−1780
90号に開示されているように、グリオキサールと尿素
を酸触媒の存在下に反応させ、当該反応液を中和して得
られるグリコールウリル含有反応液をそのまま、他の肥
料成分とともに配合してペースト肥料とすることもでき
る。
【0027】当該反応においては、30〜45質量%の
グリオキサール水溶液を用い、グリオキサールに対して
尿素を過剰モル反応させる。この場合、少なくとも1モ
ル倍以上、好ましくは2モル倍以上、更には3モル倍以
上の尿素使用することが好ましい。過剰モル使用した尿
素は、反応終了後のスラリー中に残存するものの、これ
はそのまま、ペースト肥料中の速効性肥効成分として充
分にその機能を果たしうるものであるから、何ら問題と
なるものではない。
【0028】また、反応温度は、通常0〜100℃、好
ましくは60〜100℃である。反応時間は、モル比や
反応温度等の条件によっても変わりうるが、通常1〜3
時間、好ましくは1〜5時間程度で充分であり、グリオ
キサール基準の収率として70〜90%程度が得られ
る。
【0029】上記反応は、酸触媒の存在下に進行する
が、酸触媒としては、具体的に、塩酸、硫酸、硝酸、リ
ン酸等の鉱酸、蟻酸、酢酸等の有機酸が使用可能であ
る。本発明においては、反応終了後に、アルカリを添加
してこれらの酸を中和するが、その中和生成物が肥料と
して利用できる形態、例えば塩酸、硫酸、硝酸、又はリ
ン酸等の鉱酸であることが好ましい。
【0030】なお、中和に使用されるアルカリとして
は、特に限定するものではないが、中和された形態が肥
料の有効成分となる観点から、アンモニア又は水酸化カ
リウムであることが好ましい。中和は、通常、生成液の
pHが4〜7程度になるようにアルカリを添加する。
【0031】実際の反応操作は、これに限定されるもの
ではないが、例えば以下のようにして行われる。
【0032】まず、所定の温度に加熱された尿素の好
ましくは飽和溶液を調製する。次いで、当該溶液に、
所定量の酸を触媒として添加し、撹拌しながら所定量の
グリオキサールを加えて、加熱下に反応を開始させる。
当該反応液を所定の温度に保持しながら反応を進行さ
せると、反応の進行につれて生成したグリコールウリル
は、結晶として析出し、反応液はスラリー状となる。
反応終了後、アルカリを添加して反応液を中和し、グリ
コールウリルを含有するスラリーが得られるのである。
【0033】本発明においては、このようにして得られ
た反応生成物を含有するスラリーを、そのまま肥料成分
として配合してペースト肥料とすることができる。
【0034】ペースト肥料として配合する他の成分とし
ては、上記グリコールウリル含有スラリーと共に、例え
ば、尿素、硫酸アンモニウム等の窒素成分;リン酸アン
モニウム、リン酸カリウム等のリン成分;塩化カリウ
ム、硫酸カリウム等のカリ成分;その他さらに苦土、ホ
ウ素等の肥料成分に、水、及び増粘剤(懸濁安定剤)と
して、ベントナイト、アタパルジャイト等の粘土類;グ
アガム、キサンタンガム、ローカスビーンガム等の天然
多糖類;メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロ
ース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポ
リエチレングリコール、リグニンスルホン酸ナトリウ
ム、アルギン酸ナトリウム、澱粉等が使用される。増粘
剤の添加量は、ペースト肥料の粘度が100〜2000
cP(10〜200Pa・s)程度になるように調整す
ることが好ましい。これらの成分に、さらに所望によ
り、有機成分としてアルコール醗酵副産濃縮液等の有機
液体原料を加えて、粉砕・撹拌・混合することによりグ
リコールウリル含有ペースト肥料とする。
【0035】なお、上記グリコールウリル含有スラリー
は、所望により、これを化成肥料の造粒時等の乾燥前の
製造工程において直接供給することにより、単独で、あ
るいは、当該スラリーを化成肥料の原料等と混合してす
でに述べた造粒方法により造粒し乾燥することにより、
グリコールウリル含有粒状肥料とすることも可能であ
る。
【0036】以上のごとくして得られた本発明の水田用
肥料中におけるグリコールウリル由来の窒素の含量は、
特に限定するものではないが、1〜30質量%、好まし
くは2〜15質量%程度である。
【0037】本発明の水田用肥料は、元肥として施用さ
れる。ここで云う元肥とは、水稲の苗の移植(田植)の
約20日前から移植までの間に施用される少なくとも窒
素、リン酸、カリの三要素に富んだ肥料である(「田植
時に元肥として施肥する」とは、このような意味であ
る。)。施肥の形式は、全面施肥、直下施肥、点施肥、
又は側条施肥等のいずれであってもよいが、特に側条施
肥が好ましい。側条施肥は、稲ぎわ(横)2〜4cm、
地表面下3〜5cmに、粒状肥料やペースト肥料をすじ
状かつ局所的に施肥するもので、肥料の利用率が高いほ
か、特に側条施肥田植機を使用することにより施肥と苗
の移植を同時に行うことができるので、省力化に大きく
寄与する方法である。
【0038】水稲の苗が移植された水田は、稲の活着、
分けつを促進し、かつ異常還元を防止するため、深水を
基本とし、水の深さの調節等水管理を慎重に行いながら
稲を生育させる。
【0039】田植後1〜1.5月後経過し、ある程度苗
が成長した時期に、中干しが行われる。中干しは、水田
の湛水(冠水)を、田面に排水溝を設け、適宜排水して
乾田化をはかり、稲の生育を良好にする操作である。す
なわち、圃場の表面に軽い亀裂が入る程度まで乾燥せし
めることにより、倒伏、無効分けつの抑制、根の成長促
進、土壌中の有害ガスの除去、地耐力向上等をはかる重
要な作業である。通常乾田化は、10日前後行われる。
【0040】しかして、本発明のグリコールウリルを含
有する肥料は、図1に示す無機化速度から明らかなよう
に、元肥として施肥された後、圃場が深水状態にある間
は、実質的に無機化しないが、この中干しを契機とし
て、急速に無機化が開始される。おそらく、グリコール
ウリルは、湛水状態においては、嫌気性菌による分解は
ほとんど行われず、主として中干し(乾田)状態におけ
る好気性菌により実質的に無機化が行われるためであろ
うと推定される。
【0041】以上のごとくして、通常の元肥を使用した
場合は、この中干し後に穂肥等の追肥を施すことが必要
になるが、本発明の水田用肥料は、施用された元肥中の
グリコールウリルが、この中干しを契機(トリガー)と
して分解を開始するメカニズムにより窒素分が供給され
るので、実質的に従来の追肥は、不要となるものであ
る。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。実施
例中、%とあるのは、特に断りなき限り質量%である。
【0043】〔製造例1〕 ( グリコールウリル含有ペースト肥料の製造 )加熱/冷
却装置を備えた10リットルの撹拌槽型ガラス製反応容
器に尿素1800g及び水2000gを仕込み、これに
35%塩酸800gを添加して、60℃まで加熱溶解し
た。溶解が完了し、温度が60℃になった時点で、40
%グリオキサール溶液2000gを約7.5時間かけて
分割投入しながら反応温度が80℃を越えないようにし
て反応させた。さらに80℃で3時間撹拌下に保持し反
応を完結させた。これに25%アンモニア水520g添
加して反応液を中和しpHを5.6とした。冷却後、グ
リコールウリル濃度を測定したところ25.4%であっ
た。
【0044】得られた反応液の約7000gに、キサン
タンガム18gを添加混合し、充分撹拌して分散させ、
グリコールウリル25%を含有するペースト肥料約70
18gを得た。このペースト肥料の粘度は、1320c
P(132Pa・s)(15℃)であり、一ヶ月間放置
試験後も、物性の変化は無く、かつ、分離等も起こすこ
との無い、極めて安定したペースト肥料であることが確
認された。
【0045】〔製造例2〕 ( グリコールウリル含有粒状肥料の製造 )加熱/冷却装
置を備えた10リットルの撹拌槽型ガラス製反応容器に
尿素3800g及び水700gを仕込み、これに35%
塩酸560gを添加して、撹拌下に温度を80℃まで上
げて溶解した。温度90℃において、40%グリオキサ
ール溶液4300gを約8時間かけて分割添加し反応さ
せた。なお、反応液の温度は90℃を大きく越えないよ
うに制御しながら添加した。90℃において、さらに3
時間保持し、反応を完結させた。これに25%アンモニ
ア水320gを添加して反応液を中和しpHを5.8と
した。冷却後、グリコールウリル濃度を測定したところ
39.2%であった。
【0046】得られた反応液の5890gに、硫酸アン
モニウム1130g、リン酸アンモニウム3000g、
塩化カリ2600g、クレー340gを加え、皿(パ
ン)型造粒機で造粒・乾燥した。粒子表面に固結防止剤
120gを付着させ、グリコールウリル含有粒状肥料約
13kgを得た。この肥料の組成分析より、窒素
(N):15.8%(うち、グリコールウリル由来の
N:9.2%)、リン酸(P2 5 ):15.7%、カ
リ(K2 O):15.4%を含有するグリコールウリル
含有肥料であった。
【0047】〔植生試験1〕 ( 実証圃場試験)上記製造例1で得られたペースト肥料
及び製造例2で得られ造粒肥料を用いて、下記条件によ
り実証圃試験を実施した。
【0048】(1)実証圃場: 千葉県長南郡圃場 土壌の理化学性は以下のとおりである: 土性 埴壌土 pH 6.34 EC(電気伝導度) 76 μs/cm 有効態リン酸 9 mg/100 g乾土 リン酸吸収係数 780 mg/100 g乾土 アンモニア態窒素 1.3 mg/100 g乾土 硝酸態窒素 1.1 mg/100 g乾土 置換性カリ 37 mg/100 g乾土 置換性石灰 382 mg/100 g乾土
【0049】(2)供試作物: 水稲 (品種「コ
シヒカリ」):
【0050】 (3) 実証圃場試験に用いたペースト肥料以外の肥料一覧: (イ)肥料−A(重過リン酸石灰肥料) a)登録番号 輸第5794号 b)保証成分量 可溶性リン酸 44% (内水溶性リン酸 38%)
【0051】(ロ)肥料−B(塩化カリ肥料) a)登録番号 輸第1880号 b)保証成分量 水溶性カリ 60%
【0052】 (ハ)肥料−C(複合肥料) a)登録番号 生第71501号 b)保証成分量 窒素全量 12% (内アンモニア性窒素 10%) 可溶性リン酸 18% (内水溶性リン酸 15%) 水溶性カリ 15%
【0053】(ニ)肥料−D(窒素質肥料) a)登録番号 生第219号 b)保証成分量 窒素全量 46%
【0054】 (ホ)肥料−E(液体複合肥料) a)登録番号 生第77489号 b)保証成分量 窒素全量 12% (内アンモニア性窒素 3.5%) 可溶性リン酸 12% (内水溶性リン酸 10%) 水溶性カリ 12%
【0055】(4)施肥設計:元肥施肥成分量が10ア
ール当たり窒素成分で4.8kgになるよう、さらに全
てのP25 は10kg及びK2 0は10kgとなるよ
うに施用量を各試験とも調整し栽培を行った。
【0056】試験区−1 上記製造例1で得られたペースト肥料に、窒素成分、P
25 及びK2 O成分を配合し、窒素全量12%、可溶
性リン酸12%、水溶性カリ12%を含有するペースト
肥料としたものを、側条施肥田植え機を用いて田植えと
同時に潅注ノズルにより注入施用した。注入は、ノズル
が閉塞することもなく極めて容易に実施することができ
た。
【0057】施肥の量は、10アール当たり40kgを
使用し、不足のリン酸は、上記肥料−Aの重過リン酸石
灰を11.8kg、カリは、上記肥料−Bの塩化カリを
8.7kg、田植え前7日に全面施肥した。その内訳
は、元肥成分量で窒素全量4.8kg、可溶性リン酸1
0kg、水溶性カリ10kgである。なお、追肥は省略
した。
【0058】試験区−2 上記製造例2で得られた粒状肥料を、側条施肥田植え機
を用いて田植えと同時に施用した。
【0059】施肥の量は、10アール当たり30kgを
使用し、不足のリン酸は、上記肥料−Aの重過リン酸石
灰を12.0kg、カリは、上記肥料−Bの塩化カリを
9.0kg、田植え前7日に全面施肥した。その内訳
は、元肥成分量で窒素全量4.8kg、可溶性リン酸1
0kg、水溶性カリ10kgである。なお、追肥は省略
した。
【0060】対照区−1 前述の試験区に用いたペートスト肥料に代えて、肥料−
Eの液体複合肥料(窒素全量12%、可溶性リン酸12
%、水溶性カリ12%の液体複合肥料)により、試験区
の施肥窒素成分75%に当たる量を側条施肥田植え機を
用いて田植えと同時に施用した。
【0061】施肥の量は、10アール当たり30kgを
使用し、不足のリン酸は、肥料−Aの重過リン酸石灰を
14.5kg、カリは肥料−Bの塩化カリを10.7k
g、田植え前7日に全面施肥した。その内訳は、元肥成
分量で窒素全量3.6kg、可溶性リン酸10kg、水
溶性カリ10kgである。
【0062】追肥は、田植後62日目に、穂肥として試
験区の窒素成分の量に合わせるため、試験区の施肥窒素
成分量の25%に当たる量を施した。
【0063】追肥には、上記肥料−Dを用いた。これは
窒素46%を保障する尿素である。尿素の施肥量は、1
0アール当たり2.6kgであるが、均一散布が出来る
ように、あらかじめ乾燥させ2mm径の篩を通過させた
山砂10kgを均一混合して調整したものを施した。追
肥の施肥成分量は、窒素全量1.2kgである。
【0064】対照区−2 前述の試験区−2に用いた粒状肥料に代えて、肥料−C
の複合肥料(窒素全量12%、可溶性リン酸18%、水
溶性カリ15%の複合肥料)により、試験区の施肥窒素
成分量の75%に当たる量を施用した。またリン酸、カ
リは、試験区の元肥成分量にあわせた量を田植え前7日
に肥料−Cの複合肥料とともに施した。
【0065】元肥に施した量は、肥料−Cの複合肥料を
30kg、不足のリン酸は、肥料−Aの重過リン酸石灰
を10.5kg、カリは、肥料−Bの塩化カリを9.2
kg田植え前7日にそれぞれ全面施肥した。元肥の施肥
成分量は、窒素全量3.6kg、可溶性リン酸10k
g、水溶性カリ10kgである。
【0066】追肥は、対照区−1と同様に調整したもの
を田植え後62日目に穂肥として施した。追肥の施肥成
分量は、窒素全量1.2kgである。
【0067】追肥に用いた上記肥料−Dは、窒素46%
を保証する尿素を用いた。施した尿素は、10アール当
たり2.6kgであるが、均一散布が出来るように、あ
らかじめ乾燥させ2mm径の篩を通過させた山砂10k
gを均一混合し調製したものを施した。追肥の施肥成分
量は、窒素全量1.2kgである。
【0068】対照区−3 前述の試験区−1に用いたペートスト肥料に代えて、肥
料−Eの液体複合肥料(窒素全量12%、可溶性リン酸
12%、水溶性カリ12%の液体複合肥料)により、施
肥窒素成分全量を側条施肥田植え機を用いて田植えと同
時に施用した。
【0069】元肥に施した量は、10アール当たり40
kgを使用し、不足のリン酸は、肥料−Aの重過リン酸
石灰を12.0kg、カリは肥料−Bの塩化カリを8.
7kg、田植え前7日に全面施肥した。その内訳は、元
肥成分量で窒素全量4.8kg、可溶性リン酸10k
g、水溶性カリ10kgである。
【0070】対照区−4 前述の試験区−2に用いた粒状肥料に代えて、肥料−C
の複合肥料(窒素全量12%、可溶性リン酸12%、水
溶性カリ12%の複合肥料)により、施肥窒素成分全量
を田植前7日に肥料−Cの複合肥料とともに施した。
【0071】元肥に施した量は、肥料−Cの複合肥料を
40kg、不足のリン酸は、肥料−Aの重過リン酸石灰
を6.4kg、カリは肥料−Bの塩化カリを6.7k
g、田植え前7日にそれぞれ全面施肥した。その内訳
は、元肥成分量で窒素全量4.8kg、可溶性リン酸1
0kg、水溶性カリ10kgである。
【0072】(5)耕種の概要: a)元肥施用 4月25日 b)田植え 5月02日 c)中干し 6月16日〜6月26日 d)穂肥 7月03日 e)収穫日 8月17日 e)調査日 8月30日
【0073】(6)実証圃場試験結果:上記試験の結果
を、試験区−1〜試験区−2、対照区−1〜対照区−4
のそれぞれについて以下に示す。
【0074】(収穫物調査結果)表1に収穫物の籾重量
等を、表2に収量及び品質を示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】(注)表2において、食味は、ケット社製
測定機により測定し、また良質格付け評価は、静岡精機
製作所社製水稲玄米品質判定機を使用し測定した。
【0078】上記表1及び表2を参照することから明ら
かなように、製造例1及び2で得られたグリコールウリ
ルを含有する本発明の水田用肥料を用いて水稲「コシヒ
カリ」を実際に本田にて栽培試験を実施した試験区の結
果は、米づくりの慣行として実際に行われている対照区
−1及び対照区−2の肥培管理と比較し収量、品質等が
ほぼ同等か、若しくはそれ以上であることが確認され
た。なお、本発明においては所望により、ある程度の補
助的な追肥を施用することを排除するものではない。
【0079】以上のごとく、製造例1及び2で得られた
肥料は、緩効性窒素肥料成分としてグリコールウリルを
含むものであるが、施肥された当該グリコールウリル成
分は、水田が湛水状態にある間(4月25日〜6月15
日)は、実質的に無機化しないが、中干し( 6月16日
〜 )を契機として、無機化が開始する。すなわち極めて
有効な緩効性窒素肥料成分として働くものであるため、
実質的に穂肥を施すことなく、穂肥を必須としていた従
来の慣行方法による対照区と同等以上の収穫が得られる
省力型肥料(所謂一発型肥料)を構成するものであり、
その意義は極めて大きいと言うべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】グリコールウリルの水田土壌における無機化速
度等を示すグラフである。
【図2】CDUの水田土壌における無機化速度等を示す
グラフである。
【図3】尿素の水田土壌における無機化速度等を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
a 落水状態における無機化速度(無機化率) b 落水状態における硝酸化成速度(硝酸化成率) c 湛水状態における無機化速度(無機化率)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福岡 章男 東京都中央区日本橋大伝馬町11番8号 三 井東圧肥料株式会社内 Fターム(参考) 4H061 AA01 AA04 BB16 FF05 FF08 HH03 JJ06 KK01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともグリコールウリルを肥料成分
    として含有し元肥として施肥される水田用肥料であっ
    て、当該肥料成分は、湛水時には実質的に分解されず、
    中干し時に無機化が開始され、追肥を実質的に不要にす
    ることを特徴とする水田用肥料。
  2. 【請求項2】 少なくともグリコールウリルを肥料成分
    として含有する水田用肥料を使用する水稲の栽培方法で
    あって、当該肥料を田植時に元肥として施肥し、当該肥
    料成分は、湛水時には実質的に分解されず、中干し時に
    無機化が開始されることにより追肥を実質的に不要にす
    ることを特徴とする水稲の栽培方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015039312A (ja) * 2013-08-21 2015-03-02 住友化学株式会社 水田における施肥方法

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JP2015039312A (ja) * 2013-08-21 2015-03-02 住友化学株式会社 水田における施肥方法

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