JP6167686B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような定着装置において、ウォームアップ時に、加熱部材の熱容量をできるだけ小さくして、ウォームアップ時間の短縮化を図るものが提案されている(例えば、特許文献1)。
定着装置500は、同図に示すように、両端に一対の回転軸502を有する押圧ローラー501と、一対のリング状の支持部材503と、円筒状の定着ベルト504と、定着ベルト504に対して圧接および離間可能な加圧ローラー505と、定着ベルト504を誘導加熱する不図示の誘導コイルなどからなる。
定着ベルト504は、押圧ローラー501の外周面と所定の隙間Dsを介して配され、その両端部において、押圧ローラー501の回転軸502に同軸上に取着された支持部材503により保持されている。
このような構成において、ウォームアップ時に左側の図のように、加圧ローラー505を定着ベルト504から離間させることにより、定着ベルト504に付与された熱量が加圧ローラー505に伝わって逃げるのを防止すると共に、定着ベルト504の内周面が押圧ローラー501にも接触しないので、定着ベルト504のみを効率的に加熱することができ、ウォームアップ時間の短縮化を図ることができる。
ところで、このような圧接状態においては、加圧ローラー505により定着ベルト504の中央部を押圧ローラー501側に押し込むことにより、定着ベルト504の両端部を中央部側に向けて引き込むような張力が生じたり、あるいは、加圧ローラー505による押圧力が軸方向の左右で均等に付与されない状態で押圧ローラー501を回転させた場合、定着ベルト504を軸方向のどちらか一方に移動させようとする力が生じ、いずれにしても、定着ベルト504と、その両端部に設けられた支持部材503との接合部を介して、支持部材503を軸方向に移動させて変形させようとする力(以下、「スラスト力」という。)が生じる。
前記押圧部材は、前記定着ニップが形成されている状態で、前記定着ニップに対応する前記押圧部材の部分が前記ベルトの内周面に密着し、それ以外の部分が前記ベルトの内周面に接触しないように配置されていることが望ましい。
前記加圧ローラーを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる移動手段と、ウォームアップ時には、前記加圧ローラーを前記第2の位置に移動させ、ウォームアップ完了後に前記加圧ローラーを前記第1の位置に移動させるように前記移動手段を制御する接離制御手段とを更に備えることが望ましい。
前記加圧ローラーを回転させる第1の駆動源と、前記回転軸を回転させる第2の駆動源と、少なくともウォームアップ時には前記第2の駆動源を駆動させ、少なくとも定着動作実行時には前記第1の駆動源を駆動させる駆動制御手段と、前記第2の駆動源から前記回転軸へ至る動力伝達路に介設され、前記動力伝達路を、動力を伝達するモードと遮断するモードとの間で択一的に切り替える駆動力伝達切替手段とを更に備え、前記駆動力伝達切替手段は、前記加圧ローラーが前記第2の位置にあるときには前記ベルトが前記第2の駆動源により回転駆動され、前記加圧ローラーが前記第1の位置にあるときには、前記第1の駆動源により駆動されている前記加圧ローラーの回転に伴い前記ベルトが従動回転するように前記動力伝達路のモードを切り替えることが望ましい。
本発明の別の観点による定着装置は、加熱手段により加熱される無端状のベルトの周回経路内側に押圧部材を配すると共に、前記ベルトの周回経路外側に配された加圧ローラーを、前記ベルトを介して前記押圧部材に相対的に押圧することにより定着ニップを形成し、未定着画像の形成された記録シートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、前記ベルトの幅方向両端部には、それぞれ回転軸を有し、弾性を有すると共に、前記ベルトに内接して、当該ベルトを回転自在に支持する一対の支持部材が配設されており、前記ベルトが、前記支持部材により前記幅方向に滑動自在な状態で支持されている、および/または、前記支持部材が、前記回転軸に対して前記幅方向に滑動自在な状態で支持されており前記一対の支持部材はそれぞれ、前記ベルトの幅方向において空気が流動可能な間隙を有する。
前記ベルトは、金属材料からなる発熱層を有し、前記加熱手段は、前記ベルトの周面に対向して配され、交番磁束を発生する磁束発生部であって、前記発熱層を誘導加熱するとしてもよい。
また、本発明は、上記定着装置を備えた画像形成装置としてもよい。
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。
(1−1)画像形成装置の構成
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンターの構成を説明するための概略断面図である。
給紙部20は、給紙カセット21と、繰り出しローラー22と、捌き部23と、タイミングローラー対24などを有している。
給紙カセット21は、記録シートを収容するものである。
捌き部23は、給紙ローラー23aと捌きローラー23bが、互いに当接して捌きニップを形成し、捌きローラー23bにトルクリミッター(不図示)が取着されて記録シートに対して搬送方向と反対方向に摩擦抵抗を付与する構成となっている。
タイミングローラー対24は、制御部6から指示されたタイミングで記録シートを搬送方向の下流側(以下、「シート搬送方向下流側」といい、また、記録シートの搬送方向の上流側を、以下、「シート搬送方向上流側」という。)に送り出すものである。
作像ユニット11Y、11M、11C、11Kは、同図に示すように、中間転写ベルト13に沿って、この順序で所定の間隔をおいて配置されている。
感光体ドラム12は、不図示の駆動源により回転駆動されており、クリーナー19で表面の残留トナーが除去された後、帯電器16により一様に帯電され、露光部17から射出されるレーザー光により露光走査されて、感光体ドラム12の表面に静電潜像が形成される。
他の作像ユニット11Y、11M、11Cも作像ユニット11Kとトナーの色以外は全く同様の構成であり、作像ユニット11Y、11M、11Cの各感光体ドラム12にY、M、Cの各色のトナー像が作像される。
中間転写ベルト13上に形成されたカラーのトナー像の二次転写位置への移動に合わせて、給紙部20からは、タイミングローラー対24を介して記録シートが給送されており、二次転写位置において二次転写ローラー15に印加された電圧による静電力によって、中間転写ベルト13上のトナー像が、記録シート上に二次転写され、その後、定着部30に搬送される。
制御部6は、画像形成部10、給紙部20および定着部30などを統一的に制御して画像形成動作を円滑に実行させる。
(1−2)定着部の構成
図2(a)および(b)は、定着部30の構成を示す横断面図である。
図2(a)に示すように、定着部30は、押圧ローラー140、定着ベルト150、加圧ローラー180、加圧ローラー移動機構190および磁束発生部200などからなる。
図2(a)では、上記の圧接状態における定着部30の様子を示し、図2(b)では、離間状態における定着部30の様子を示している。
磁束発生部200は、図2(a)に示すように、誘導コイル201を有し、定着ベルト150の周回経路外側であって、定着ベルト150を挟んで加圧ローラー180と対向する位置に、定着ベルト150に対して、数[mm]程度の間隔を空けた状態で、ベルト幅方向に沿うように配置される。
定着ベルト150が回転駆動されつつ、上記発熱層150cが誘導加熱されることによって、定着ベルト150全体が加熱される。
この温度センサー210の検出信号は、定着ベルト150の現在の表面温度を検出するために用いられる。
図3は、省略線よりも左側の部分が、図2(a)(圧接状態)におけるA−A’断面を示すと共に、省略線よりも右側の部分が、図2(b)(離間状態)におけるB−B’断面を示している。
加圧ローラー180は、図3に示すように、非磁性材料からなる円筒状の芯金181と、弾性体182と、ボス付外歯車183とを有する。
弾性体182は、外径が40[mm]、内径が32[mm]の円筒状の部材であって、シリコーンゴムなどの耐熱性と弾性とを兼ね備える材料からなり、芯金181の両端部を除く部分を覆っている。
ボス付外歯車183は、芯金181の一方の端部に取着されており、モーターなどからなる加圧ローラー駆動源260(図5参照)から駆動力を受け、これにより、加圧ローラー180が、図2(a)において、時計回りに回転駆動される。
図2(a)に示すように、加圧ローラー移動機構190は、軸受保持部材193と、付勢部材194と、カム195などを備える(同図では、紙面奥手側の構成のみ示されている。)。
軸受保持部材193は、加圧ローラー180の軸受231を保持するものであって、支軸192を介して、定着部30の機枠の一部191に揺動自在に支持されている。
カム195は、加圧ローラー移動駆動部270(図5参照)によって回転駆動され、軸受保持部材193の一部に当接しつつ、これを揺動させるものであり、図2(a)に示すように、カム195の最小外径部分が、軸受保持部材193に当接するとき、付勢部材194の付勢力によって、加圧ローラー180が、定着ベルト150を介して押圧ローラー140を押圧して定着ニップNを形成する。
<押圧ローラー>
押圧ローラー140は、図3に示すように、アルミニウムなどの非磁性材料からなる円柱状の芯金140aと、これの両端部を除く部分を覆う円筒状の弾性体140bとを有する。
弾性体140bは、例えば、外径が32[mm]のシリコーンゴムなどの耐熱性と弾性とを兼ね備えた円筒状の部材である。
<定着ベルト>
定着ベルト150は、無端状のベルトであって、その内径は、本実施の形態では40[mm]に設定され、押圧ローラー140の外径34[mm]よりも6[mm]大きく設定されている。
後述するように、ベルト支持機構160のベルト支持部材162は、定着ベルト150の端部に緩みがない程度に内挿されているだけで、接着剤などで固着されておらず、定着ベルト150にスラスト力が生じた場合に、回転軸方向に滑動自在となっている。
離型層150aは、例えば、厚さが10[μm]〜30[μm]程度のPFA(Poly(tetrafluoriethylene-co-perfluoropropylvinylether))などのフッ素系樹脂からなり、定着ベルト150表面の離型性を高めている。
発熱層150cは、磁束発生部200から発せられた磁束により誘導加熱されるものであり、例えば、厚さが10[μm]〜50[μm]程度のニッケル、ステンレスまたは鉄などの強磁性材料からなる。
また、上記発熱層150cを、通常の温度では強磁性体であるが、キュリー温度を超えると非磁性になる特性を有する、いわゆる整磁合金で形成しても構わない。
<ベルト支持機構>
図3に示すように、ベルト支持機構160は、芯金161、ベルト支持部材162、ボス付外歯車163およびベルト規制部材170を有する。
各芯金161は、2つの軸受211によって、回転自在に支持される。
ボス付外歯車163は、芯金161の一方の端部に取着されている。
ベルト支持部材162は、外径が40[mm]、内径が26[mm]、厚みが20[mm]のリング状の部材であって、シリコーンゴムなどの耐熱性および弾性を有する材料からなり、芯金161のボス付外歯車163が取着される端部とは反対側の端部に嵌め込まれて、例えば、接着によって、芯金161に固定されている。
なお、ベルト支持部材162と弾性体140bとの間に、数[mm]程度の隙間が設定されることが望ましい。
何故なら、後述するように、ベルト支持部材162と押圧ローラー140の回転軸同士の位置が異なっているのに加え、両者の外径も異なっているため、定着ニップでの周速が同一であっても、全体としての回転速度[rpm]は異なっており、ベルト支持部材162と弾性体140bの端面同士を接触させると、接触面同士が摩耗するおそれがあるからである。
つまり、ベルト支持部材162は、定着ベルト150の内部に挿入されているだけで、接着材などによって固定されていない、即ち、定着ベルト150がベルト支持部材162により滑動自在に支持されている。
しかしながら、本実施の形態によれば、定着ベルト150にスラスト力が生じたとしても、定着ベルト150がベルト支持部材162により滑動自在に支持されているため、疲労破壊が生じ易いベルト支持部材162の外周部分に上記スラスト力が殆ど伝わらないようにすることができ、軸方向に弾性変形しなくなる。
なお、定着ベルト150とベルト支持部材162との接触する部分同士を、より滑り易くするために、当該接触する部分同士の少なくとも一方の面にフッ素系樹脂などのコーティングを施すことが望ましい。
そこで、本実施の形態に係る定着部30では、図3に示すように、定着ベルト150の両端外側に、ベルト規制部材170を設けて、定着ベルト150の幅方向への移動を規制することにより、定着ベルト150に蛇行が生じないようにしている。
定着ベルト150の両縁部とベルト規制部材170の規制面170bとの間に製造誤差や組立て誤差により多少隙間があって、その量だけ定着ベルト150の蛇行が許容されることがあっても、定着ベルト150の幅方向(回転軸方向)の長さW2が、一対のベルト支持部材162の外側の端面同士の間隔D2よりも長めに設定されているため、ベルト支持部材162により確実に支持される。
また、本実施の形態に係る定着部30では、ベルト支持機構160における芯金161の中心位置を、図2(a)に示すように、押圧ローラー140の芯金140aの中心位置から定着ニップNから遠ざかる方向にオフセットさせて、擬似ニップの幅ができるだけ小さくなるようにしている。
なお、図4では、押圧ローラー140の回転軸方向から見て、押圧ローラー140およびベルト支持機構160の双方の芯金の中心位置を一致させている状態が示されており、このような場合には、上述のようなオフセットを行った場合よりも、定着ベルト150が加圧ローラー180に近づいて、擬似ニップNgが生じ易くなる。
そればかりか、記録シートの通紙の際、記録シートS上の未定着のトナーが、シート搬送方向上流側の擬似ニップNgに接触してずれてしまい(「画像ずれ」)、定着品質の劣化するおそれさえある。
図3に戻り、定着部30は、一対のベルト支持部材162を同期させて回転させる駆動力伝達路240を有している。
ワンウェイクラッチ243は、入力軸がモーターなどからなる定着ベルト駆動源250(図5参照)に接続され、出力軸が駆動シャフト242に接続されており、正回転方向において定着ベルト駆動源250の駆動力が駆動シャフト242に伝達されるが、逆回転方向においては、ロック状態が解除されて、駆動力の伝達が遮断される。
一対の歯車241は、図3に示すように、駆動シャフト242に取着されており、一対のベルト支持機構160におけるボス付外歯車163と、それぞれ噛み合っている。
なお、定着ベルト駆動源250は、定着ニップNにおける定着ベルト150の周速が、定着ニップNにおける加圧ローラー180の周速よりも僅かに遅くなるように、単位時間あたりの回転数が設定されている。その理由については、後述する。
図5は、プリンター1における制御部6の構成と、制御部6の制御対象となる主構成要素との関係を示す図である。
制御部6は、主な構成要素として、CPU61、通信インターフェース(I/F)部62、RAM63、ROM64および不揮発性メモリー65などを備えている。
RAM(Random Access Memory)63は、揮発性のメモリーであって、CPU61におけるプログラム実行時のワークエリアとなる。
ROM(Read Only Memory)64には、プリントの実行に関連する制御および加圧ローラー接離制御処理を実行するプログラムなどが格納されている。
CPU(Central Processing Unit)61は、ROM64に格納されている制御プログラムを読み出して実行することにより、前述のプリント動作を実行すると共に、定着部30の温度センサー210から出力される信号にもとづき、磁束発生部200に交番磁束を発生させるための信号を出力して、定着ローラー131の表面温度を目標の温度に維持するための温調制御を実施する。
(1−3−1)加圧ローラー接離制御処理について
図6は、加圧ローラー接離制御処理における実行手順を示すフローチャートであり、プリンター1における全体の動作を制御するためのメインルーチン(不図示)におけるサブルーチンとして実行されるものである。
これにより、定着ベルト150は、両端に設けられた一対のベルト支持部材162にしか接触しない状態となり、磁束発生部200によって昇温される部分の熱容量が小さくなる。
ステップS102の判定において、現在、定着ベルト150の温調を実行中であると判定された場合には(ステップS102:YES)、ステップS103、S104はすでに実行されているので、これらをスキップして、ステップS105に移行する。
ここで、定着温度に達していなければ、定着温度に達するまで待機し(ステップS105:NO)、定着温度に達すると(ステップS105:YES)、加圧ローラー駆動源260を駆動して、加圧ローラー180を回転させる(ステップS106)。
なお、加圧ローラー180を定着ベルト150に圧接させた直後は、加圧ローラー駆動源260と定着ベルト駆動源250が共に駆動されることになるが、加圧ローラー駆動源260により回転駆動される加圧ローラー180の定着ニップにおける周速よりも、定着ベルト駆動源250により回転駆動される定着ベルト150の定着ニップにおける周速が、僅かに遅く設定されており、ワンウェイクラッチ243の作用により、定着ニップが形成された以後は、定着ベルト150が加圧ローラー180に従動回転するようになっている。
このことは、定着ベルト駆動源250の駆動が停止した場合も同様である。
そして、CPU61は、加圧ローラー駆動源260の駆動を停止して、加圧ローラー180の回転を停止し(ステップS113)、定着ベルト150の温調制御を終了するか否かを判定する(ステップS114)。
また、定着ベルト150の温調制御を終了すべきでないと判定された場合には(ステップS114:NO)、定着ベルト150の加熱を継続すべく、温調制御を維持したまま、メインルーチンにリターンする。
図7は、ウォームアップ時において、上記加圧ローラー接離制御処理を行った場合と、行わなかった場合における定着ベルト150の昇温特性の違いを示す図である。
ここで、曲線L1は、ウォームアップ時において、加圧ローラー接離制御処理を行わなかった場合、即ち、図2(a)に示すように、加圧ローラー180が定着ベルト150を介して加圧ローラー180に圧接している状態(圧接状態)における、定着ベルト150の昇温特性を示す図である。
一方、曲線L2は、ウォームアップ時において、加圧ローラー接離制御処理を行っている場合、即ち、図2(b)に示すように、加圧ローラー180を定着ベルト150から離間させている状態(離間状態)における、定着ベルト150の昇温特性を示す図である。
<変形例>
本発明は、上述のような実施の形態に限られるものではなく、次のような変形例も実施することができる。
この場合でも当該滑動部分において定着ベルト150に発生したスラスト力を逃がすことができ、ベルト支持部材162にストレスが蓄積されないので、その耐久性を向上させることができるからである。
このような構成は、例えば、ベルト支持部材162の内周面に、回転軸方向に沿って延びるキー溝を設けると共に、芯金161にこのキー溝に滑合するキーを設けることによって実現することができる。
なお、上記実施の形態のように、ベルト支持部材162が芯金161に固定され、定着ベルト150がベルト支持部材162によって滑動自在に保持されている構成においては、ベルト支持部材162の外周面と定着ベルト150の端部の内周面との接触面積が比較的大きいので、両者間の摩擦力により定着ベルト150が、ベルト支持部材162の回転に追随して回転するが、この部分においても、定着ベルト150の内周面のベルト支持部材162に保持される部分に、回転軸方向に延びるキー(もしくはリブ)を設け、ベルト支持部材162の周面に上記キー(もしくくはリブ)と滑合する溝を設けるようにして、回転軸方向のみに滑動自在な構成にしても構わない。
(2)また、上記実施の形態では、定着ベルト150の幅方向のほぼ全域が加圧ローラー180によって押圧される全幅押圧構成となっていたが、[背景技術]で説明したように、加圧ローラー180の弾性体182の回転軸方向における長さを、押圧ローラー140の弾性体140bの回転軸方向における長さよりも短くして、ベルト支持部材162が加圧ローラー180によって押圧されない構成としてもよい。
(3)また、上記実施の形態では、発熱層150cは、磁束発生部200から発せられた磁束により誘導加熱されるものであり、ニッケル、ステンレスまたは鉄などの強磁性を有する導電性材料からなるとしたが、これに限らない。
あるいは、定着ベルト150の周回軌跡の内側からハロゲンランプで加熱する構成などを用いても構わない。
例えば、モノクロ専用のプリンターなどの場合には、定着品質を確保する上で、それほど大きな定着ニップ幅(シート搬送方向における長さ)を必要としないため、加圧ローラー180の押圧ローラー140への押し込み量は、上記実施の形態における定着部30ほど大きくしなくて済む。
図8(a)、(b)は、このように、押圧ローラー140とベルト支持部材162の回転軸の位置をオフセットさせない定着部350の要部を示す横断面図、縦断面図である。
定着部350の基本的な構成は、ベルト支持機構160の構成が異なっている点を除いては、上述の図3に示した定着部5と同じである。なお、図8(a)、(b)において、定着部5と共通の構成部分には同じ符号を付すか、もしくは、符号を省略している。
定着ベルト150は、その両端部においてベルト支持部材362に接着剤などを介さずに滑動自在に支持されており、上記実施の形態同様、定着ベルト150にスラスト力が作用しても、当該スラスト力がベルト支持部材162に伝わらないため、ベルト支持部材362の破損を防止することができる。もちろん、ベルト支持部材362を回転軸340aに対し軸方向に滑動自在に保持させるようにしてもよい。
本変形例の構成によれば、定着ベルト支持機構が極めて簡易になり、製造コストの低減化に資する。
(5)上記変形例(4)の図8(a)および(b)に示す定着部350のようにベルト支持部材362と押圧ローラー340を同軸上に支持する構成では、定着ベルト150の内部がベルト支持部材362により密閉されてしまい、定着時に定着ベルト150の内部の空気の熱膨張により内圧が高くなり、加圧ローラー180を定着ベルト150に圧接してもニップ部が十分形成できなくなくなったり、軸方向におけるニップ幅にバラツキが生じたりして、定着品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
図9(a)に示すベルト支持部材262は、通気性があり、かつ耐熱性、弾性を有する材料で形成されており、これにより定着ベルト150内の膨張した空気を外に逃がして内部圧力が高くならないようにしている。
このような構成では、定着ベルト150とベルト支持部材263との間に存在する空気が膨張した場合、この空気がベルト支持部材263の凹部263aを通って、外部に放出される。
また、図9(c)に示すベルト支持部材264は、上記実施の形態に係るベルト支持部材162の外周に、回転軸方向に沿って伸びるV字状の溝264aを、周方向に複数設ける構成としている。
また、V字状の溝264aが設けられている分、ベルト支持部材264は、上記実施の形態に係るベルト支持部材162よりも定着ベルト150との接触面積が小さくなっているので、定着ベルト150において誘導加熱により生じた熱が、ベルト支持部材264に伝導し難くなり、加熱効率を向上させることができる。
なお、上述したベルト支持部材262〜264は、いずれもベルト支持部材162と同様に、定着ベルト150を幅方向において滑動自在に支持可能な材料で作成されている。
ところで、上記図9(a)〜(c)で示したベルト支持部材は、いずれもシリコーンゴムなどの樹脂材料で一体的に構成されていたが、このような樹脂材料を使用しないで、金属製のバネ材などの弾性を利用してベルト支持部材を構成してもよい。
このベルト支持部材265は、図9(d)に示すように、本体部265a、当接部265bおよび弾性リング265cなどからなり、これらの部材間には、空気が移動可能な間隙が存在する。
本体部265aは、外形形状が正8角形の剛性を有する部材であって、8角形の各頂部にリブ265dが形成され、当該リブ265dを介して本体部265aに弾性リング265cが取着されている。
当接部265bが、半球状となっているのは、図9(b)に示す凸部263bと同様に、定着ベルト150との接触面積をできるだけ小さくして放熱量を小さくし、定着ベルト150の加熱効率を向上させるためである。
なお、当接部265bは、摺動性、断熱性、耐熱性を有する樹脂材料からなるのが望ましい。
以上の構成により、加圧ローラー180を定着ベルト150に圧接すると、弾性リング265cが撓むことにより、定着ニップにおける定着ベルト150の径方向の変形を可能にしている。
押圧パッド440は、定着ベルト150の回転軸方向に沿って配された弾性を有する長尺な押圧部材440bを、剛性を有する保持部材440aによって保持してなる。
図10(b)は、加圧ローラー180を定着ベルト150から離間させた状態を示す図である。
この隙間D3の値は、例えば、数[mm]程度に設定される。
押圧パッド440は、押圧ローラー140のように回転自在にする必要がないので、同図に示すように、保持部材440aの長手方向両端部において、定着部450の機枠の一部491に、例えば、ネジ492などで固定される。
例えば、ワンウェイクラッチ243の代わりに電磁クラッチを設け、離間状態から圧接状態に移行する直前に、制御部6によって、上記電磁クラッチを、駆動を伝達する状態から駆動力を遮断する状態に切り替えると共に、圧接状態構成から離間状態に移行した直後に、上記電磁クラッチを、駆動力を遮断している状態から駆動を伝達する状態に切り替える構成としてもよい。
また、上記実施の形態および上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
5 定着部
6 制御部
10 画像形成部
11 作像ユニット
12 感光体ドラム
20 給紙部
30 定着部
61 CPU
62 通信I/F部
63 RAM
64 ROM
65 不揮発性メモリー
131 定着ローラー
140 押圧ローラー
150 定着ベルト
150c 発熱層
160 ベルト支持機構
162 ベルト支持部材
170 ベルト規制部材
180 加圧ローラー
190 加圧ローラー支持機構
193 軸受保持部材
200 磁束発生部
201 誘導コイル
210 温度センサー
243 ワンウェイクラッチ
250 定着ベルト駆動源
260 加圧ローラー駆動源
262、264、264、265 ベルト支持部材
270 加圧ローラー移動駆動部
Claims (15)
- 加熱手段により加熱される無端状で非張架のベルトの内側に押圧部材を配すると共に、前記ベルトの外側に配された加圧ローラーと前記押圧部材との一方を他方で、前記ベルトを介して押圧することにより定着ニップを形成し、未定着画像の形成された記録シートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、
外部のモーターから駆動力を受けて回転自在な回転軸と、
前記ベルトの幅方向両端部の内周面をそれぞれの外周面で回転自在に支持しているリング状の弾性を有する一対の部材であり、前記回転軸に同軸に固定されている一対の支持部材と
を備え、
前記加圧ローラーは、前記押圧部材に圧接する第1の位置と、前記ベルトから離間した第2の位置とに移動自在であり、
前記ベルトは、前記加圧ローラーが前記第1の位置にある間は前記加圧ローラーの回転に伴って従動回転し、前記加圧ローラーが第2の位置にある間は前記一対の支持部材の回転に伴って回転し、
前記加圧ローラーが前記第1の位置へ移動したことに起因するスラスト力を前記ベルトが受けた場合、前記ベルトの内周面は前記一対の支持部材の外周面上を幅方向に滑動自在である
ことを特徴とする定着装置。 - 加熱手段により加熱される無端状で非張架のベルトの内側に押圧部材を配すると共に、前記ベルトの外側に配された加圧ローラーと前記押圧部材との一方を他方で、前記ベルトを介して押圧することにより定着ニップを形成し、未定着画像の形成された記録シートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、
外部のモーターから駆動力を受けて回転自在な回転軸と、
前記ベルトの幅方向両端部の内周面をそれぞれの外周面で回転自在に支持しているリング状の弾性を有する一対の部材であり、前記回転軸によって同軸に、かつ前記回転軸の回転に伴って前記回転軸のまわりを回転自在に支持されている一対の支持部材と
を備え、
前記加圧ローラーは、前記押圧部材に圧接する第1の位置と、前記ベルトから離間した第2の位置とに移動自在であり、
前記ベルトは、前記加圧ローラーが前記第1の位置にある間は前記加圧ローラーの回転に伴って従動回転し、前記加圧ローラーが第2の位置にある間は前記一対の支持部材の回転に伴って回転し、
前記加圧ローラーが前記第1の位置へ移動したことに起因するスラスト力を前記一対の支持部材のそれぞれが受けた場合、当該支持部材は前記回転軸の外周面上を軸方向に滑動自在である
ことを特徴とする定着装置。 - 前記押圧部材は、前記定着ニップが形成されている状態で、前記定着ニップに対応する前記押圧部材の部分が前記ベルトの内周面に密着し、それ以外の部分が前記ベルトの内周面に接触しないように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
- 前記押圧部材は、前記ベルトの内側に遊挿され、かつ回転自在に保持された押圧ローラーであって、
前記押圧ローラーの軸心は、前記回転軸の軸心よりも、前記加圧ローラー寄りに位置している
ことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。 - 前記押圧部材は、前記ベルトの内側に配された長尺状のパッド部材であることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
- 前記ベルトの幅は、前記加圧ローラーのローラー本体の軸方向長さよりも大きく、
前記ベルトの幅方向における両外側には、前記ベルトの幅方向における移動を規制する一対の規制部材が配設されている
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の定着装置。 - 前記加圧ローラーを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる移動手段と、
ウォームアップ時には、前記加圧ローラーを前記第2の位置に移動させ、ウォームアップ完了後に前記加圧ローラーを前記第1の位置に移動させるように前記移動手段を制御する接離制御手段と
を更に備えた請求項1から請求項6までのいずれかに記載の定着装置。 - 前記押圧部材は、前記加圧ローラーが前記第2の位置に移動して前記ベルトが変形していない状態に復帰したときに、前記ベルトの内周面に接触しない位置に配されていることを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
- 前記加圧ローラーを回転させる第1の駆動源と、
前記回転軸を回転させる第2の駆動源と、
少なくともウォームアップ時には前記第2の駆動源を駆動させ、少なくとも定着動作実行時には前記第1の駆動源を駆動させる駆動制御手段と、
前記第2の駆動源から前記回転軸へ至る動力伝達路に介設され、前記動力伝達路を、動力を伝達するモードと遮断するモードとの間で択一的に切り替える駆動力伝達切替手段と
を更に備え、
前記駆動力伝達切替手段は、前記加圧ローラーが前記第2の位置にあるときには前記ベルトが前記第2の駆動源により回転駆動され、前記加圧ローラーが前記第1の位置にあるときには、前記第1の駆動源により駆動されている前記加圧ローラーの回転に伴い前記ベルトが従動回転するように前記動力伝達路のモードを切り替える
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の定着装置。 - 前記駆動力伝達切替手段は、ワンウェイクラッチであって、
前記第2の駆動源は、前記ベルトの周速が前記加圧ローラーの周速よりも遅くなるように前記回転軸を回転させていることを特徴とする請求項9に記載の定着装置。 - 加熱手段により加熱される無端状のベルトの周回経路内側に押圧部材を配すると共に、前記ベルトの周回経路外側に配された加圧ローラーを、前記ベルトを介して前記押圧部材に相対的に押圧することにより定着ニップを形成し、未定着画像の形成された記録シートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、
前記ベルトの幅方向両端部には、それぞれ回転軸を有し、弾性を有すると共に、前記ベルトに内接して、当該ベルトを回転自在に支持する一対の支持部材が配設されており、
前記ベルトが、前記支持部材により前記幅方向に滑動自在な状態で支持されている、および/または、前記支持部材が、前記回転軸に対して前記幅方向に滑動自在な状態で支持されており、
前記一対の支持部材はそれぞれ、前記ベルトの幅方向において空気が流動可能な間隙を有する定着装置。 - 加熱手段により加熱される無端状のベルトの周回経路内側に押圧部材を配すると共に、前記ベルトの周回経路外側に配された加圧ローラーを、前記ベルトを介して前記押圧部材に相対的に押圧することにより定着ニップを形成し、未定着画像の形成された記録シートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、
前記ベルトの幅方向両端部には、それぞれ回転軸を有し、弾性を有すると共に、前記ベルトに内接して、当該ベルトを回転自在に支持する一対の支持部材が配設されており、
前記ベルトが、前記支持部材により前記幅方向に滑動自在な状態で支持されている、および/または、前記支持部材が、前記回転軸に対して前記幅方向に滑動自在な状態で支持されており、
前記一対の支持部材はそれぞれ、その外周面に、複数の凹凸が設けられると共に、当該凸部分で前記ベルトに内接して支持している
ことを特徴とする定着装置。 - 前記ベルトは、金属材料からなる発熱層を有し、
前記加熱手段は、前記ベルトの周面に対向して配され、交番磁束を発生する磁束発生部であって、前記発熱層を誘導加熱する
ことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれかに定着装置。 - 前記ベルトは、抵抗発熱体層を有し、
前記加熱手段は、前記抵抗発熱体層に給電することによりジュール発熱させる
ことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれかに記載の定着装置。 - 請求項1から請求項14までのいずれかに記載の定着装置を備える画像形成装置。
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-
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