JP6167218B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録媒体に関する。
磁気テープ等の磁気記録媒体への信号の記録再生は、通常、磁気記録媒体をドライブ内で走行させ磁性層表面と磁気ヘッド(以下、単に「ヘッド」とも記載する。」とを接触(摺動)させることにより行われる。そのような走行中、磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦が増大すると、磁性層の一部が削れ、発生した削れ物がヘッド表面に付着する現象が発生する。そして、そのような削れ物が多量にヘッド表面に付着すると、磁性層表面とヘッドとの間に生じたスペーシングに起因する出力低下(スペーシングロス)が発生してしまう。そのため磁気記録媒体には、繰り返し走行後も高い出力を維持するために、ヘッドとの摺動時に多くの削れ物が発生することのないこと、即ち、優れた走行耐久性を有することが求められる。
上記の走行耐久性については、磁性層や非磁性層に潤滑剤を含有させることにより、走行中の磁性層表面とヘッドとの摺動性を安定化し走行耐久性を高めることが提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。
特開2002−298332号公報 特開2012−43495号公報 特開平2−227821号公報 特開平11−259849号公報
従来行われてきたように、潤滑剤の使用は、走行耐久性を高めるための有効な手段である。しかるに本発明者らの検討によれば、単に潤滑剤の使用により走行耐久性を高めようとすると、潤滑剤に起因するスペーシングロスが無視できなくなる。そのようなスペーシングロスとしては、磁性層表面に存在する潤滑剤量が多量になり、磁性層表面からヘッドに付着した潤滑剤に起因するスペーシングロスや、多量の潤滑剤によって可塑化し脆くなった磁性層がヘッドとの摺動時に削れて発生した削れ物がヘッドに付着することに起因するスペーシングロスが挙げられる。したがって、潤滑剤のみによらずに磁気記録媒体の走行耐久性を高めるための新たな手段が求められる。
そこで本発明の目的は、磁気記録媒体の走行耐久性を高めるための新たな手段を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するための鋭意検討を重ねた結果、以下の磁気記録媒体:
非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
磁性層は、潤滑剤および磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレンに対する接触角を調整可能な1−ブロモナフタレン接触角調整剤を含み、
磁性層表面において測定される接触角は、1−ブロモナフタレンに対して45.0°〜55.0°の範囲であり、かつ水に対して90.0°〜100.0°の範囲である磁気記録媒体、
を新たに見出し、本発明を完成させた。
以下において、1−ブロモナフタレンに対する接触角を、ブロモナフタレン接触角とも記載する。また、水に対する接触角は、水接触角とも記載する。ブロモナフタレン接触角および水接触角は、液滴法により評価するものとする。具体的には、接触角とは、25℃、相対湿度25%の測定環境において、θ/2法により、あるサンプルについて6回測定を行い得られた値の算術平均値をいうものとする。測定条件の具体的態様の一例は、実施例について後述する。
一態様では、1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、ポリマーであることができる。ここでポリマーとは、同一または異なる複数の繰り返し単位により構成される多量体であって、ホモポリマーとコポリマーとを包含する意味で用いるものとする。
一態様では、1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、含窒素ポリマーであることができる。
一態様では、1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、ポリアルキレンイミン系ポリマーであることができる。
一態様では、1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、ポリアルキレンイミン鎖およびポリエステル鎖を含むポリアルキレンイミン系ポリマーであることができる。
一態様では、1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、アミン系ポリマーであることができる。
一態様では、磁性層は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選ばれる一種以上の潤滑剤を含むことができる。
一態様では、非磁性層の厚みは、0.80μm以下であることができる。
一態様では、非磁性層は、潤滑剤を含むことができる。潤滑剤を含む非磁性層は、磁性層へ潤滑剤を供給するタンクとしての機能を果たし得る。
一態様では、非磁性層は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選ばれる一種以上の潤滑剤を含むことができる。
一態様では、磁性層は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選ばれる一種以上の潤滑剤を含むことができる。
ところで、一般に、磁性層の表面平滑性が高まるほど、高密度記録化には有利であるが、磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦が増大し走行耐久性が低下する傾向がある。そのような磁気記録媒体であっても、先に記載したように1−ブロモナフタレン接触角および水接触角を制御することにより、優れた走行耐久性を実現することができる。
上記の点に関し、一態様では、磁性層表面において原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、3.0nm以下であることができる。
原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、磁性層表面の面積40μm×40μmの領域において測定される中心線平均表面粗さRaをいうものとする。原子間力顕微鏡としては、例えば一例として、DIGITALINSTRUMENT社製のNANO SCOPE(登録商標)IIIをコンタクトモードで用いることができる。具体的な測定条件の一例については、後述の実施例の記載を参照できる。
本発明によれば、優れた走行耐久性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
実施例におけるヘッド汚れ(ヘッド面汚れ、ヘッドエッジ汚れ)の評価方法の説明図である。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、磁性層は、潤滑剤および磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレンに対する接触角を調整可能な1−ブロモナフタレン接触角調整剤(以下、単に「接触角調整剤」とも記載する。)を含み、磁性層表面において測定される接触角は、1−ブロモナフタレンに対して45.0°〜55.0°の範囲であり、かつ水に対して90.0°〜100.0°の範囲である
以下は、本発明を何ら限定するものではないが、上記磁気記録媒体が優れた走行耐久性を示すことができる理由を、本発明者らは次のように考えている。
先に記載したように、単に潤滑剤を使用するのみでは、潤滑剤に起因するスペーシングロスが発生してしまう。このような潤滑剤に起因するスペーシングロスは、潤滑剤のタンクとしての機能を果たし得る非磁性層が薄くなり、薄くなった非磁性層からの供給不足を補うために磁性層への潤滑剤の添加量を増量すると顕在化する傾向がある。
そこで本発明者らは、潤滑剤の増量のみによらずに走行耐久性を高めるための手段について鋭意検討を重ねた結果、1−ブロモナフタレン接触角に着目するに至った。この点について更に説明すると、本発明者らは、磁性層表面の表面自由エネルギーを北崎−畑の理論(三液法)に基づき検討した。三液法による表面自由エネルギーは、分散成分、水素結合成分および分極成分の和として求められるが、磁気記録媒体の磁性層表面で測定される表面自由エネルギーでは、磁性層の構成成分の物性に起因して分散成分が支配的であると考えられる。したがって、磁性層表面とヘッドとの親和性には、主に、分散成分が寄与すると推察される。そして本発明者らは、分散成分の指標について更に検討を重ねた結果、1−ブロモナフタレン接触角を採用するに至り、この値に基づき磁性層表面の表面性を制御することを検討した。ただし、1−ブロモナフタレン接触角は潤滑剤の添加により高めることは可能であるが、潤滑剤の添加のみにより1−ブロモナフタレン接触角を制御した場合には、先に記載したように、潤滑剤に起因するスペーシングロスが発生してしまう。そこで本発明者らは、1−ブロモナフタレン接触角とともに、磁性層表面における潤滑剤存在量の指標として水接触角を採用し、これら2つの接触角をともに制御することにより、優れた走行耐久性を有する磁気記録媒体の提供が可能になることを新たに見出した。より詳しくは、潤滑剤とともに、1−ブロモナフタレン接触角を調整可能な接触角調整剤を使用し、1−ブロモナフタレン接触角および水接触角をともに制御することにより、磁性層表面の削れ物に起因するスペーシングロスおよび潤滑剤に起因するスペーシングロスの発生を抑制することが可能になることを新たに見出し、本発明を完成させた。
ただし、以上は本発明者らによる推察を含むものであり、本発明を何ら限定するものではない。
なお磁性層表面の潤滑剤存在量の指標としては、特許文献4の段落0101、0186および0187に、ヨウ化メチレンに対する接触角が挙げられている。しかるにヨウ化メチレンに対する接触角は、三液法による表面自由エネルギーを構成する3成分中の分散成分に加えて分極成分による影響も含むと考えられ、磁性層表面とヘッドとの親和性の指標としては適切でないと推察される。このようなヨウ化メチレンに対する接触角を開示するに過ぎない特許文献4は、本発明に対して何ら示唆を与えるものではない。
以下、上記磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
<1.磁性層>
(1−1.磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレン接触角、水接触角)
上記磁気記録媒体において、磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレン接触角は45.0°〜55.0°の範囲であり、水接触角は90.0°〜100.0°の範囲である。磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレン接触角、水接触角がそれぞれ上記範囲である磁気記録媒体は、良好な走行耐久性を示すことができる。より詳しくは、繰り返し走行後のヘッド表面に、スペーシングロスの原因となる磁性層表面の削れ物の付着や、やはりスペーシングロスの原因となる潤滑剤の多量付着が起こることを防ぐことによって、良好な走行耐久性を示すことができる。なお1−ブロモナフタレン接触角とともに水接触角を規定することに関する本発明者らによる推察は、先に記載した通りである。
磁性層表面の削れの発生をより効果的に防ぐ観点から、1−ブロモナフタレン接触角は、46.0°以上であることが好ましく、47.0°以上であることがより好ましい。同様の観点から、水接触角は93.0°以上であることが好ましく、95.0°以上であることがより好ましい。
また、ヘッドに付着する潤滑剤をより少なくする観点から、1−ブロモナフタレン接触角は、53.0°以下であることが好ましく、52.0°以下であることがより好ましい。同様の観点から、水接触角は、99.5°以下であることが好ましく、99.0°以下であることがより好ましい。
以上記載した1−ブロモナフタレン接触角および水接触角は、1−ブロモナフタレン接触角を調整可能な接触角調整剤および潤滑剤の使用により制御することができる。詳しくは、接触角調整剤の添加量を増量するほど磁性層表面に存在する1−ブロモナフタレン接触角は高まる傾向があり、磁性層表面の潤滑剤存在量を増やすほど水接触角は高まる傾向がある。より詳しくは、後述する。
(1−2.潤滑剤)
磁性層に含まれる潤滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等の磁気記録媒体に通常使用される各種潤滑剤を挙げることができる。
例えば、脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、エライジン酸等を挙げることができ、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。なお脂肪酸は、金属塩等の塩の形態で磁性層に含まれていてもよい。
脂肪酸エステルとしては、上記各種脂肪酸のエステル、例えば、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ネオペンチルグリコールジオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、オレイン酸オレイル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸ブトキシエチル等を挙げることができる。
脂肪酸アミドとしては、各種脂肪酸のアミド、例えば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等を挙げることができる。
脂肪酸と一種以上の脂肪酸の誘導体とを併用することが好ましく、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選択される一種以上と脂肪酸とを併用することがより好ましく、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドを併用することがより好ましい。
脂肪酸と脂肪酸の誘導体(エステル、アミド等)とを併用する場合、脂肪酸誘導体の脂肪酸由来部位は、併用される脂肪酸と同様または類似の構造を有することが好ましい。例えば、一例として、脂肪酸としてステアリン酸を用いる場合には、ステアリン酸エステルやステアリン酸アミドを使用することは好ましい。
また、潤滑剤としては、特開2009−96798号公報段落0111に記載されているものを用いることもできる。
磁性層の潤滑剤含有量は、強磁性粉末100.0質量部あたり、例えば6.0〜12.0質量部であり、好ましくは7.0〜11.0質量部、より好ましくは8.0〜10.0質量部である。なお潤滑剤として二種以上の異なる潤滑剤を使用する場合、含有量とは、それらの合計含有量をいうものとする。この点は、本明細書において、特記しない限り、他の成分の含有量についても同様とする。
(1−3.1−ブロモナフタレン接触角調整剤)
磁性層には、潤滑剤とともに1−ブロモナフタレン接触角調整剤が含まれる。1−ブロモナフタレン接触角調整剤とは、磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレン接触角を調整可能な成分である。ここで調整可能とは、1−ブロモナフタレン接触角を変化させる作用を奏することができることをいい、1−ブロモナフタレン接触角を高める作用を奏することが好ましい。かかる作用を奏することは、接触角調整剤の有無により、磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレン接触角が変化することによって、確認することができる。なお1−ブロモナフタレン接触角調整剤により、水接触角は変化(上昇または低下)してもよく、しなくてもよい。
接触角調整剤は、一種用いてもよく、二種以上を用いてもよい。1−ブロモナフタレン接触角制御の容易性の観点からは、磁性層における接触角調整剤の含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対して0.5質量部以上とすることが好ましく、1.0質量部以上とすることがより好ましい。他方、高密度記録の観点からは、強磁性粉末の充填率を高くするために他の成分の含有量は相対的に低くすることが好ましい。この点からは、磁性層における接触角調整剤の含有量は、強磁性粉末100質量部に対して50.0質量部以下とすることが好ましく、40.0質量部以下とすることがより好ましく、30.0質量部以下とすることが更に好ましく、20.0質量部以下とすることが一層好ましく、15.0質量部以下とすることがより一層好ましい。
接触角調整剤としては、1−ブロモナフタレン接触角を高めることに寄与すると考えられる疎水性部と、強磁性粉末の粒子表面への吸着部とを含む構造を有する化合物が好ましい。
また、接触角調整剤は、一態様では、ポリマーであることが好ましい。ポリマーに含まれるポリマー鎖が、磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレン接触角を高めることに寄与すると本発明者らは推察している。1−ブロモナフタレン接触角を高める観点からは、ポリマー鎖は疎水性鎖であることがより好ましい。好ましいポリマー鎖の具体例は、後述する。
上記ポリマーは、一態様では、含窒素ポリマーであることが好ましい。含窒素ポリマーとは、構造中に窒素原子を含むポリマーをいい、好ましい含窒素ポリマーとしては、ポリアルキレンイミン系ポリマー、アミン系ポリマー等を挙げることができる。
また、一態様では、上記ポリマーは、重量平均分子量が、磁性層に含まれる結合剤の重量平均分子量を超えない範囲にあるポリマーであることが好ましい。
以下に、好ましいポリアルキレンイミン系ポリマーについて説明する。
(1−3−1.ポリアルキレンイミン系ポリマー)
(1−3−1−a.ポリアルキレンイミン鎖)
ポリアルキレンイミン系ポリマーとは、ポリアルキレンイミン鎖を1つ以上含むポリマーである。また、ポリアルキレンイミン鎖とは、同一または異なるアルキレンイミン鎖の2つ以上を含む重合構造である。含まれるアルキレンイミン鎖としては、下記の式Aで表されるアルキレンイミン鎖、および式Bで表されるアルキレンイミン鎖を挙げることができる。下記式で表されるアルキレンイミン鎖の中で、式Aで表されるアルキレンイミン鎖は、他のポリマー鎖との結合位置を含み得るものである。また、式Bで表されるアルキレンイミン鎖は、他のポリマー鎖と塩架橋基(詳細は後述する。)により結合することができる。また、ポリアルキレンイミン鎖は、直鎖構造のみからなるものであっても、分岐した三級アミン構造を有するものであってもよい。分岐構造を含むものとしては、下記式A中の*において隣接するアルキレンイミン鎖と結合するもの、下記式B中の*において隣接するアルキレンイミン鎖と結合するものを挙げることができる。
式A中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、a1は2以上の整数を表し、*は隣接する他のポリマー鎖(例えば隣接するアルキレンイミン鎖や後述するポリエステル鎖)、または水素原子もしくは置換基との結合位置を表す。
式B中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、a2は2以上の整数を表す。式Bで表されるアルキレンイミン鎖は、アニオン性基を有する他のポリマー鎖と、式B中のNと他のポリマー鎖に含まれるアニオン性基が塩架橋基を形成することにより結合する。
式A、B中の*、および式B中の*は、それぞれ独立に、隣接するアルキレンイミン鎖、または水素原子もしくは置換基と結合する位置を表す。
以下、上記式A、式Bについて、更に詳細に説明する。なお、本発明において、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。ある基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば炭素数1〜6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。
式A中のRおよびR、ならびに式B中のRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基またはエチル基であり、更に好ましくはメチル基である。式A中のRおよびRの組み合わせとしては、一方が水素原子であって他方がアルキル基である態様、両方が水素原子である態様、両方がアルキル基(同一または異なるアルキル基)である態様があり、好ましくは両方が水素原子である態様である。以上の点は、式B中のRおよびRについても、同様である。
ルキレンイミンとして環を構成する炭素数が最小の構造はエチレンイミンであり、エチレンイミンの開環により得られたアルキレンイミン鎖(エチレンイミン鎖)の主鎖の炭素数は2である。したがって、式A中のa1および式B中のa2の下限は2である。即ち、式A中のa1および式B中のa2は、それぞれ独立に、2以上の整数である。強磁性粉末の粒子表面への吸着性の観点からは、式A中のa1および式B中のa2は、それぞれ独立に、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、4以下であることが更に好ましく、2または3であることがいっそう好ましく、2であることがよりいっそう好ましい。
式Aで表されるアルキレンイミン鎖、式Bで表されるアルキレンイミン鎖と他のポリマー鎖との結合の詳細については、後述する。
上記の各アルキレンイミン鎖は、各式中の*で表される位置において、隣接するアルキレンイミン鎖、または水素原子もしくは置換基と結合する。置換基としては、例えばアルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)等の一価の置換基を例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、置換基として、他のポリマー鎖(例えば後述のポリエステル鎖)が結合してもよい。
ポリアルキレンイミン系ポリマーに関し、本発明者らは、ポリアルキレンイミン鎖が、ポリアルキレンイミン系ポリマーが強磁性粉末の粒子表面に吸着するための吸着部として機能し得ると考えている。強磁性粉末の粒子表面への吸着性の観点からは、ポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量は、300以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましい。また同様の観点から、3,000以下であることが好ましく、2,000以下であることがより好ましい。
本発明において、ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量とは、ポリアルキレンイミン系ポリマーを加水分解して得られたポリアルキレンイミンについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求められる値をいう。こうして求められる値は、ポリアルキレンイミン系ポリマーを合成するために用いたポリアルキレンイミンについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求められる値と同様である。したがって、ポリアルキレンイミン系ポリマーを合成するために用いたポリアルキレンイミンについて求めた数平均分子量を、ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量として採用することができる。ポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量の測定条件については、後述の実施例を参照できる。なおポリアルキレンイミンとは、アルキレンイミンの開環重合により得ることができるポリマーである。
また、ポリアルキレンイミン系ポリマーの加水分解は、エステルの加水分解法として通常用いられている各種方法により行うことができる。そのような方法の詳細については、例えば、「実験化学講座14 有機化合物の合成II−アルコール・アミン(第5版)」(日本化学会編、丸善出版、2005年8月発行)95〜98頁に記載の加水分解法に関する記載、「実験化学講座16 有機化合物の合成IV−カルボン酸・アミノ酸・ペプチド(第5版)」(日本化学会編、丸善出版、2005年3月発行)10〜15頁に記載の加水分解法に関する記載等を参照できる。
得られた加水分解物から、液体クロマトグラフィー等の公知の分離手段によりポリアルキレンイミンを分離し、数平均分子量を求めることができる。
1−ブロモナフタレン接触角制御の容易性の観点から、ポリアルキレンイミン系ポリマーにおいてポリアルキレンイミン鎖の占める割合(以下、「ポリアルキレンイミン鎖比率」とも記載する。)は、5.0質量%未満であることが好ましく、4.9質量%以下であることがより好ましく、4.8質量%以下であることが更に好ましく、4.5質量%以下であることが一層好ましく、4.0質量%以下であることがより一層好ましく、3.0質量%以下であることが更に一層好ましい。また、同様の観点から、ポリアルキレンイミン鎖比率は、0.2質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。
以上記載したポリアルキレンイミン鎖の占める割合は、例えば、合成時に用いるポリアルキレンイミンとポリエステルとの混合比によって制御することができる。
ポリアルキレンイミン系ポリマーにおいてポリアルキレンイミン鎖の占める割合は、核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;NMR)、より詳しくは、H−NMRおよび13C−NMR、ならびに公知の手法による元素分析による分析結果から、算出することができる。こうして算出される値は、ポリアルキレンイミン系ポリマーの合成原料の配合比から求められる理論値と同様であるため、配合比から求められる理論値を、ポリアルキレンイミン系ポリマーにおけるポリアルキレンイミン鎖の占める割合(ポリアルキレンイミン鎖比率)として採用することができる。
(1−3−1−b.ポリエステル鎖)
ポリアルキレンイミン系ポリマーは、以上説明したポリアルキレンイミン鎖とともに、他のポリマー鎖を含むことが好ましい。他のポリマー鎖としては、疎水性部として機能し得るもの(疎水性鎖)が好ましい。疎水性鎖は、好ましくは、ポリエステル鎖である。ポリエステル鎖は、一態様では、式Aで表されるアルキレンイミン鎖と、式A中の*において、式Aに含まれる窒素原子Nとカルボニル結合−(C=O)−により結合し、−N−(C=O)−を形成することができる。また、他の一態様では、式Bで表されるアルキレンイミン鎖とポリエステル鎖とが、式B中の窒素カチオンNとポリエステル鎖が有するアニオン性基により塩架橋基を形成することができる。塩架橋基としては、ポリエステル鎖に含まれる酸素アニオンOと式B中のNとにより形成されるものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
式Aで表されるアルキレンイミン鎖と、式Aに含まれる窒素原子Nとカルボニル結合−(C=O)−により結合するポリエステル鎖としては、下記式1で表されるポリエステル鎖を挙げることができる。下記式1で表されるポリエステル鎖は、*で表される結合位置において、アルキレンイミン鎖に含まれる窒素原子とポリエステル鎖に含まれるカルボニル基−(C=O)−とが−N−(C=O)−を形成することにより、式Aで表されるアルキレンイミン鎖と結合することができる。
また、式Bで表されるアルキレンイミン鎖と、式B中のNとポリエステル鎖に含まれるアニオン性基が塩架橋基を形成することにより結合するポリエステル鎖としては、下記式2で表されるポリエステル鎖を挙げることができる。下記式2で表されるポリエステル基は、酸素アニオンOにより、式B中のNと塩架橋基を形成することができる。
式1中のL、式2中のLは、それぞれ独立に二価の連結基を表す。二価の連結基としては、好ましくは炭素数3〜30のアルキレン基を挙げることができる。なおアルキレン基の炭素数は、アルキレン基が置換基を有する場合には、先に記載したように、置換基を除く部分(主鎖部分)の炭素数をいうものとする。
式1中のb11、式2中のb21は、それぞれ独立に2以上の整数を表し、例えば200以下の整数である。後述の実施例に示すラクトン繰り返し単位数は、式1中のb11または式2中のb21に相当する。
式1中のb12、式2中のb22は、それぞれ独立に0または1を表す。
式1中のX、式2中のXは、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。一価の置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基(例えばフルオロアルキル基等)、アルコキシ基、ポリアルキレンオキシアルキル基およびアリール基からなる群から選択される一価の置換基を挙げることができる。
アルキル基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基を有するアルキル基としては、ヒドロキシル基が置換したアルキル基(ヒドロキシアルキル基)、ハロゲン原子が1つ以上置換したアルキル基が好ましい。また、炭素原子と結合する全水素原子がハロゲン原子に置換したアルキル基(ハロアルキル基)も好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。アルキル基としては、より好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基である。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよい。ハロアルキル基についても、同様である。
置換または無置換のアルキル基、ハロアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、へキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、2−ヘキシルデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチルシクロヘキシル基、2−ノルボルニル基、2,2、4−トリメチルペンチル基、アセチルメチル基、アセチルエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ノナデカフルオロノニル基、ヒドロキシウンデシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシペンタデシル基、ヒドロキシヘプタデシル基、ヒドロキシオクタデシル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシメチル基等を挙げることができる。
ポリアルキレンオキシアルキル基とは、R10(OR11)n(O)m−で表される一価の置換基である。R10はアルキル基を表し、R11はアルキレン基を表し、nは2以上の整数を表し、mは0または1を表す。
10で表されるアルキル基については、X、Xで表されるアルキル基について記載した通りである。R11で表されるアルキレン基の詳細については、X、Xで表されるアルキル基に関する上記の記載を、これらアルキレン基から水素原子を1つ取り去ったアルキレン基に読み替えて(例えば、メチル基はメチレン基に読み替えて)適用することができる。nは2以上の整数であり、例えば10以下、好ましくは5以下の整数である。
アリール基は置換基を有していても縮環していてもよく、より好ましくは炭素数6〜 24のアリール基であり、例えばフェニル基、4−メチルフェニル基、4−フェニル安息香酸、3−シアノフェニル基、2−クロロフェニル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。
以上記載した式1、式2で表されるポリエステル鎖は、公知のポリエステル合成法により得られたポリエステル由来の構造であることができる。ポリエステル合成法としては、例えば、ラクトンの開環重合を挙げることができる。ラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、エナントラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、ラクチド等を挙げることができる。なおラクチドは、L体であってもD体であってもよい。ポリエステル合成において、ラクトンは一種のみ用いてもよく、異なる構造の二種以上を用いてもよい。ラクトンとしては、ε−カプロラクトン、ラクチドまたはδ−バレロラクトンが、反応性・入手性の観点から好ましい。ただし、これらに限定されるものではなく、開環重合によりポリエステルを得ることができるものであれば、いずれのラクトンであってもよい。
ラクトンの開環重合のための求核試薬としては、カルボン酸、アルコール等を用いることができ、カルボン酸が好ましい。カルボン酸は一種用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
カルボン酸は、R12(C=O)OHで表すことができ、R12(C=O)−部が、式1で表されるポリエステル鎖において、X−(C=O)−部として存在し得る。式2で表されるポリエステル鎖におけるX−(C=O)−部についても同様である。
12は、非環状構造(直鎖構造または分岐構造)であってもよく、環状構造であってもよい。R12の詳細は、先に式1中のX、式2中のXについて記載した通りである。
カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、n−ヘキサン酸、n−オクタン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸、パルミチン酸、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、ステアリン酸、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、シクロヘキシル酢酸、アダマンタンカルボン酸、アダマンタン酢酸、リシノール酸、12−ヒドロキシドデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、2,2−ビス(ヒロドキシメチル)酪酸、[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)]酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、ブロモ酢酸、ノナフルオロ吉草酸、ヘプタデカフルオロノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、アセチル酢酸、4−オキソバレリン酸、安息香酸、4−フェニル安息香酸、2−ナフトエ酸等が挙げられる。中でも、1分子中の総炭素数(置換基を有するものは置換基の炭素数も含む)が、1〜20のカルボン酸が好ましい。より好ましくは、R12がポリアルキレンオキシアルキル基であるカルボン酸(ポリアルキレンオキシアルキルカルボン酸)、R12がハロアルキル基であるカルボン酸(ハロアルキルカルボン酸)、炭素数6〜20の直鎖脂肪族カルボン酸、炭素数1〜20のヒドロキシル基含有カルボン酸である。
ただし、上記ポリエステル鎖は、ラクトンの開環重合により得られたポリエステル由来の構造に限定されるものではなく、公知のポリエステル合成法、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、等により得られたポリエステル由来の構造であることもできる。
1−ブロモナフタレン接触角制御の容易性の観点からは、ポリエステル鎖の数平均分子量は、200以上であることが好ましく、400以上であることがより好ましく、500以上であることが更に好ましい。また、同様の観点から、ポリエステル鎖の数平均分子量は、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましい。ポリエステル鎖の数平均分子量とは、ポリアルキレンイミン系ポリマーを加水分解して得られたポリエステルについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求められる値をいう。こうして求められる値は、ポリアルキレンイミン系ポリマーを合成するために用いたポリエステルについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求められる値と同様である。したがって、ポリアルキレンイミン系ポリマーを合成するために用いたポリエステルについて求めた数平均分子量を、ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリエステル鎖の数平均分子量として採用することができる。ポリエステル鎖の数平均分子量の測定条件については、後述の実施例におけるポリエステルの数平均分子量の測定条件を参照できる。
(1−3−1−c.ポリアルキレンイミン系ポリマーの重量平均分子量)
ポリアルキレンイミン系ポリマーの分子量は、重量平均分子量として、例えば1,000以上であり、また例えば80,000以下である。また、ポリアルキレンイミン系ポリマーの重量平均分子量は、1,500以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましく、3,000以上であることが更に好ましい。また、一態様では、ポリアルキレンイミン系ポリマーの重量平均分子量は、60,000以下であることが好ましく、40,000以下であることがより好ましく、35,000以下であることが更に好ましく、34,000以下であることが一層好ましい。
本発明において、ポリアルキレンイミン系ポリマーの重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で求められる値をいう。測定条件については、後述の実施例を参照できる。
(1−3−1−d.合成方法)
ポリアルキレンイミン系ポリマーの合成方法は、特に限定されるものではない。合成方法の好ましい一態様としては、ポリアルキレンイミン(以下、「成分A−1」と記載する。)とポリエステル(以下、「成分A−2」と記載する。)とを反応させる方法を挙げることができる。
成分A−1は、先にポリアルキレンイミン鎖について記載した数平均分子量を有することが好ましい。成分A−1の数平均分子量について、測定方法および好ましい範囲等の詳細については、先にポリアルキレンイミン鎖について記載した通りである。
ポリアルキレンイミンとは、先に記載した通り、アルキレンイミンの開環重合により得ることができる重合体である。ポリアルキレンイミンの構造の詳細については、先にポリアルキレンイミン鎖について記載した通りである。
開環重合によりポリアルキレンイミンをもたらすアルキレンイミンとしては、同一二種以上の異なるアルキレンイミンを用いることができる。上記アルキレンイミンの炭素数の詳細については、先に式A、B、C中のa1、a2、a3について記載した通りである。好ましくは炭素数が2〜4のアルキレンイミン、より好ましくは炭素数2または3のアルキレンイミン、更に好ましくは炭素数2のアルキレンイミン、即ちエチレンイミンを用いることができる。なおアルキレンイミンについての炭素数とは、環を構成する炭素数を言うものとする。
成分A−1として使用可能なポリアルキレンイミンは、公知の方法により合成可能であり、また市販品として入手することもできる。
成分A−2はポリエステルであり、成分A−2によってポリアルキレンイミン系ポリマーにポリエステル鎖をもたらすことができる。成分A−2の数平均分子量について、測定方法および好ましい範囲等の詳細については、先にポリエステル鎖について記載した通りである。
成分A−2は、ポリアルキレンイミンと反応し得る官能基を1つ以上有することにより、ポリアルキレンイミンと反応することができる。こうして形成されるポリアルキレンイミン系ポリマーにおいて、先に記載したように、ポリエステル鎖は、好ましくは、−N−(C=O)−または塩架橋基によって、ポリアルキレンイミン鎖を構成するアルキレンイミン鎖と結合することができる。そのような結合をもたらすために好ましくは、ポリエステルは、上記官能基として、一価の酸性基を有することができる。ここで酸性基とは、水中または水を含む溶媒(水性溶媒)中でHを放出しアニオンに解離可能な基をいう。そのような基は、ポリアルキレンイミン鎖と結合を形成し、または塩架橋基を形成することができる。具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、それらの塩の形態等を挙げることができ、好ましくはカルボキシル基およびカルボキシル塩基である。ここでカルボキシル基(−COOH)の塩の形態とは、−COOMにおいてMがアルカリ金属イオン等のカチオンを表すカルボキシル塩基を意味する。他の酸性基の塩の形態についても、同様である。立体反発鎖として有効に機能し得るポリエステル鎖を導入する観点からは、成分A−2に含まれる上記官能基の数は、好ましくは1つである。また同様の観点から、成分A−2において、上記官能基は、好ましくは末端官能基として含まれる。
なお上記では酸性基を水中または水性溶媒に関して規定したが、ポリアルキレンイミン系ポリマーは、水系(ここで「系」とは、「含む」の意味で用いる。)溶媒中で用いられるものに限定されるものではなく、非水系溶媒中で好ましく使用され得る。また、後述する磁性層、非磁性層等の各層形成用組成物に含まれる溶媒も、水系溶媒に限定されるものではなく、非水系溶媒でもよく、好ましくは非水系溶媒である。
ポリエステルの構造の詳細については、先にポリエステル鎖について記載した通りである。以上説明したポリエステルは、公知の方法により合成可能であり、また市販品として入手することもできる。例えばカルボン酸等の求核試薬存在下でラクトンの開環重合を行う方法により、末端官能基としてカルボキシル基を有するポリエステルを得ることができる。ポリエステル合成の合成条件については、公知技術を何ら制限なく適用することができる。末端官能基としてカルボキシル基を有するポリエステルは、式Aで表されるアルキレンイミン鎖と−N−(C=O)−により結合することができる。または、式Bで表されるアルキレンイミン鎖と先に記載した塩架橋基によって結合することができる。カルボン酸の具体例等の詳細については、先に記載した通りである。
以上説明した成分A−1と成分A−2との反応は、溶液重合等の公知の重合方法により行うことができる。例えば成分A−1と成分A−2とを、任意に有機溶媒の存在下で撹拌混合することにより行うことができる。上記反応は、無溶媒でも進行し得る。例えば、成分A−1および成分A−2を含む反応溶液を、空気中または窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱(加熱温度は、例えば50〜200℃)することにより、またはモノブチルすずオキシド等の有機すず化合物、トリメチルアンモニウムブロミド等のアンモニウム塩、ベンジルジメチルアミンなどの3級アミンや4級アンモニウム塩等の触媒を添加しながら加熱(加熱温度は、例えば40〜150℃)することにより、上記反応を行うことができる。有機溶媒の例としては、例えば、酢酸エチル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、トルエン等が挙げられる。
(1−3−1−e.他のポリマー鎖)
ポリアルキレンイミン系ポリマーは、ポリマー鎖として、ポリエステル鎖以外のポリマー鎖を有するものであってもよく、ポリエステル鎖とともにポリエステル鎖以外のポリマー鎖を有するものであってもよい。そのようなポリマー鎖も、ポリエステル鎖の導入について上記した方法と同様の方法によって、ポリアルキレンイミン系ポリマーに導入することができる。
(1−3−2.アミン系ポリマー)
以上説明したポリアルキレンイミン系ポリマーは、アミン系ポリマーの一種であるが、アミン系ポリマーとしては、ポリアルキレンイミン系ポリマー以外のアミン系ポリマーを用いることもできる。または、ポリアルキレンイミン系ポリマーとともに、他のアミン系ポリマーを併用することもできる。
アミン系ポリマーは、NHRで表される第一級アミン、NHRで表される第二級アミン、NRで表される第三級アミンのいずれであってもよい。上記において、Rはアミン系ポリマーを構成する任意の構造を示し、複数存在するRは同一であっても子おとなっていてもよい。本発明者らは、アミン系ポリマーの含窒素部が、強磁性粉末の粒子表面への吸着部として機能することができると考えている。
アミン系ポリマーが有するポリマー鎖としては、ポリエステル鎖、ポリアミド鎖、ポリウレタン鎖等の各種ポリマー鎖を挙げることができ、疎水性鎖であることが好ましい。ポリマー鎖の数平均分子量については、先にポリアルキレンイミン系ポリマーのポリエチレン鎖について記載した範囲であることが好ましい。アミン系ポリマーとしては、公知の方法で合成されたものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品の具体例としては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製ANTI−TERRA−U/U100、ANTI−TERRA−204/205、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−108、DISPERBYK−109、DISPERBYK−110、DISPERBYK−111、DISPERBYK−112、DISPERBYK−116、DISPERBYK−130、DISPERBYK−140、DISPERBYK−142、DISPERBYK−145、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−160、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−170DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−180、DISPERBYK−182、DISPERBYK−183DISPERBYK−184、DISPERBYK−185、DISPERBYK−2000、DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2020、DISPERBYK−2050、DISPERBYK−2070、DISPERBYK−2096、DISPERBYK−2150、BYK−P104、BYK−P105、BYK−9076、BYK−9077、BYK−220S等が挙げられるが、接触角調整剤はこれらに限定されるものではない。
(1−4.強磁性粉末)
次に、潤滑剤および接触角調整剤とともに磁性層に含まれる強磁性粉末について説明する。
強磁性粉末としては、高密度記録化の観点からは、平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末が好ましい。また、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましい。
上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定する値とする。
強磁性粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして強磁性粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、強磁性粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明において粉末についての平均粒子サイズとは、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
なお、粒子サイズ測定のために磁性層から強磁性粉末等の試料粉末を採取する方法としては、例えば特開2011−048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明において、強磁性粉末等の粉末を構成する粒子のサイズ(以下、「粒子サイズ」と言う)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚さまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
上記強磁性粉末の好ましい具体例としては、六方晶フェライト粉末を挙げることができる。六方晶フェライト粉末の平均粒子サイズ(平均板径)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0134〜0136を参照できる。
上記強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性金属粉末を挙げることもできる。強磁性金属粉末の平均粒子サイズ(平均長軸長)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性金属粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0137〜0141を参照できる。
磁性層における強磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。上記充填率が高いことは、記録密度向上の観点から好ましい。
(1−5.結合剤)
本発明の磁気記録媒体は、好ましくは塗布型磁気記録媒体である。塗布型磁気記録媒体は、結合剤を含む塗布層を有する磁気記録媒体である。磁性層に含まれる結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落0028〜0031を参照できる。また、結合剤については、特開2014−080563号公報段落0014〜0027および同公報の実施例の記載、特開2013−065381号公報0012〜0016、0040〜0136および同公報実施例の記載も参照できる。結合剤含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対して、例えば5.0〜50.0質量部の範囲、好ましくは10.0〜30.0質量部の範囲とすることができる。
また、上記樹脂とともに硬化剤を使用することも可能である。硬化剤としては、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、磁性層形成用組成物中に、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、塗膜強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で添加し使用することができる。
(1−6.添加剤)
磁性層には、潤滑剤および接触角調整剤が含まれ、必要に応じて他の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、研磨剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができる。
添加剤の一例として、特開2013−131285号公報段落0012〜0022に記載の分散剤を研磨剤の分散性を向上するための分散剤として挙げることができる。また、研磨剤については、同公報段落0023〜0024も参照できる。
他の一例としては、非磁性フィラーを挙げることもできる。非磁性フィラーは、磁性層表面に適度に突出する突起を形成する突起形成剤として機能することができる。非磁性フィラーとしては、無機酸化物粉末や無機酸化物コロイド粒子を用いることができる。非磁性フィラーについては、特開2011−048878号公報段落0013〜0028を参照できる。なお後述の実施例に示すコロイダルシリカの平均粒子サイズは、特開2011−048878号公報段落0015に平均粒径の測定方法として記載されている方法により求められた値であり、変動係数は同段落に記載されている方法により求められた値であり、真球度は同公報段落0020に円形度の測定方法として記載されている方法により求められた値である。
以上説明した磁性層は、非磁性支持体上に非磁性層を介して設けられる。非磁性層、非磁性支持体の詳細については、後述する。
<2.非磁性層>
次に非磁性層について説明する。本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有する。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報段落0146〜0150、特開2013−049832号公報段落001〜0020を参照できる。
非磁性層における非磁性粉末の含有量は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。また、非磁性層にはカーボンブラックや有機質粉末を添加することも可能である。それらについては、例えば特開2010−24113号公報段落0040〜0042を参照できる。
非磁性層も潤滑剤を含有することが好ましい。先に記載したように、磁性層へ潤滑剤を供給するタンクとしての機能を果たすことができるからである。非磁性層に添加可能な潤滑剤については、磁性層に関する前述の記載を参照できる。非磁性層の潤滑剤含有量は、非磁性粉末100.0質量部あたり、例えば1.0〜6.0質量部であり、好ましくは1.5〜5.5質量部、より好ましくは2.0〜5.0質量部である。なお、カーボンブラックは、非磁性層の非磁性粉末として使用され得る各種非磁性粉末と比べ潤滑剤を吸着し難い傾向がある。非磁性粉末が潤滑剤を吸着し難いことは、非磁性層から磁性層へ、更には磁性層表面へと移行する潤滑剤量を増やすことにつながる。したがって、1−ブロモナフタレン接触角、水接触角制御のために磁性層表面の潤滑剤量を増量したい場合には、非磁性層の非磁性粉末の一部または全部として、カーボンブラックを使用することも好ましい。
また、非磁性層の添加剤の一例としては、非磁性粉末の分散性を向上するための分散剤として機能することができる添加剤を挙げることができる。そのような添加剤としては、例えば、有機三級アミンを挙げることができる。有機三級アミンは、非磁性粉末としてカーボンブラックを含む非磁性層に添加することが好ましい。添加することにより、カーボンブラックの分散性を向上することができる。有機三級アミンについては、特開2013−049832号公報段落0011〜0018、0021を参照できる。また、有機三級アミンによりカーボンブラックの分散性を高めるための組成物の処方等については、同公報段落0022〜0024、0027を参照できる。
<3.バックコート層>
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を有することもできる。バックコート層には、カーボンブラック、またはカーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バックコート層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。
一態様では、バックコート層に潤滑剤を含有させることもできる。バックコート層に添加可能な潤滑剤については、磁性層に関する前述の記載を参照できる。
磁気記録媒体は、テープ状のものとディスク状のものに大別され、テープ状のもの(磁気テープ)は、通常、磁気テープカートリッジ内でリールに巻き取られた状態にある。バックコート層を有する磁気テープでは、巻き取られた状態で磁性層表面とバックコート層表面が接触することにより、バックコート層表面から磁性層表面へ潤滑剤が移行し得る。したがって、バックコート層に潤滑剤を含有させることは、1−ブロモナフタレン接触角や水接触角制御のための一手段となり得る。また、バックコート層表面に潤滑剤をオーバーコートしバックコート層表面に潤滑剤を偏在させることも、1−ブロモナフタレン接触角や水接触角制御のための一手段として挙げることができる。前者の手段と比べ後者の手段は、バックコート層表面から磁性層表面への潤滑剤の移行量が多い傾向がある。
バックコート層に潤滑剤を添加する態様、バックコート層表面に潤滑剤をオーバーコートする態様のいずれの態様についても、潤滑剤量は、バックコート層に含まれるカーボンブラックおよび無機粉末の合計含有量(カーボンブラック単独使用の場合にはカーボンブラック含有量)100.0質量部に対し、例えば1.0〜6.0質量部であり、好ましくは2.0〜5.0質量部、より好ましくは2.5〜4.5質量部である。
<4.非磁性支持体>
次に、非磁性支持体について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。
<5.各層および非磁性支持体の厚み>
非磁性支持体の厚みは、好ましくは3.00〜80.00μm、より好ましくは3.00〜50.00μm、特に好ましくは3.00〜10.00μmである。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、高密度記録化のためには0.01〜0.10μmであることが好ましく、0.02〜0.09μmであることがより好ましい。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.05μm以上であり、好ましくは0.07μm以上であり、より好ましくは0.10μm以上である。一方、非磁性層の厚みは、0.80μm以下であることが好ましく、0.50μm以下であることがより好ましい。磁気テープでは、磁気テープカートリッジ1巻あたりの記録容量を高めるために磁気テープ総厚を薄くすることが好ましく、非磁性層の厚みが薄いことは総厚を薄くすることにつながるため、好ましい。磁性層へ潤滑剤を供給するタンクとしての機能を果たし得る非磁性層が薄くなると非磁性層から磁性層への潤滑剤の供給量は少なくなる傾向があるが、磁性層やバックコート層の潤滑剤の増量、非磁性層の非磁性粉末として潤滑剤を吸着し難いカーボンブラックを使用すること、非磁性粉末に占めるカーボンブラックの割合を高めること等により、1−ブロモナフタレン接触角、水接触角を、それぞれ上記範囲に制御することができる。
なお、本発明における磁気記録媒体の非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および抗磁力を持たないことが好ましい。
バックコート層の厚みは、0.90μm以下であることが好ましく、0.10〜0.70μmであることが更に好ましい。
なお磁気記録媒体の各層および非磁性支持体の厚みは、公知の膜厚測定法により求めることができる。一例として、例えば、磁気記録媒体の厚み方向の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の公知の手法により露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察において厚み方向の1箇所において求められた厚み、または2箇所以上の複数箇所において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めることができる。または、各層の厚みは、製造条件から算出される設計厚みとして求めてもよい。
<6.磁性層表面粗さ>
高密度記録化の観点から、本発明の磁気記録媒体は、一態様では、磁性層表面において原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、3.0nm以下であることが好ましい。より好ましくは2.7nm以下、更に好ましくは2.5nm以下である。また、例えば、磁性層表面において原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、1.0nm以上であることが好ましい。ただし、先に記載した通り、磁性層表面粗さが低くなり磁性層表面が平滑になるほど、磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦が増大し走行耐久性が低下する傾向がある。そのような場合にも、1−ブロモナフタレン接触角および水接触角を前述の範囲に制御することにより、優れた走行耐久性を実現することができる。
磁性層表面粗さは、磁性層、非磁性層における各種成分の分散性を高めることにより低減することができる。また、磁性層表面を表面処理することによっても低減することができる。例えば、磁性層表面の表面処理としては、特開平5−62174号公報に記載の研磨手段を用いる研磨処理を挙げることもできる。上記表面処理については、同公報段落0005〜0032および全図面を参照できる。
<7.磁気記録媒体の製造工程>
本発明の磁気記録媒体は、塗布型磁気記録媒体であり、磁性層、非磁性層、および任意に設けられるバックコート層等の各層を形成するための組成物(塗布液)を用いて製造することができる。以下に、磁気記録媒体の製造工程の具体的態様を説明する。ただし本発明の磁気記録媒体は、磁性層表面の1−ブロモナフタレン接触角および水接触角が前述の範囲のものであればよく、下記態様の製造工程により製造されるものに限定されるものではない。
(7−1.磁性層形成用組成物)
磁性層形成用組成物(塗布液)は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される有機溶媒を挙げることができる。磁性層形成用組成物における溶媒含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対して、例えば100.0〜800.0質量部に範囲であり、好ましくは200.0〜600.0質量部の範囲である。
磁性層形成用組成物、および非磁性層等の各層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、各種添加剤、溶媒などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。磁性層形成用組成物については、強磁性粉末を含有する分散液(磁性液)、研磨剤を含有する分散液(研磨剤液)、非磁性フィラー(突起形成剤)を含有する分散液(非磁性フィラー液)をそれぞれ別分散して調製した後、同時または順次、潤滑剤等の他の成分と混合し磁性層形成用組成物を調製することが好ましい。潤滑剤、硬化剤、溶媒の一部または全部を、磁性液、研磨剤液および非磁性フィラー液を混合した混合液に添加してもよい。その他、各層形成用組成物の調製については、特開2010−231843号公報段落0065も参照できる。
(7−2.非磁性層形成用組成物、バックコート層形成用組成物)
非磁性層は、非磁性層形成用組成物(塗布液)を、非磁性支持体表面に、例えば直接塗布することにより、形成することができる。非磁性層形成用組成物は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される有機溶媒を挙げることができる。その他、非磁性層形成用組成物の調製の詳細については、磁性層形成用組成物に関する上述の記載を参照できる。
バックコート層形成用組成物(塗布液)の調製の詳細についても、磁性層形成用組成物に関する上述の記載を参照できる。
(7−3.塗布工程)
磁性層は、磁性層形成用組成物を、非磁性層形成用組成物と逐次または同時に重層塗布することにより形成することができる。各層形成のための塗布の詳細については、特開2010−231843号公報段落0066を参照できる。
(7−4.その他工程)
磁気記録媒体製造のためのその他の各種工程については、特開2010−231843号公報段落0067〜0070を参照できる。また、磁性層表面の表面処理については、先に記載した通り、特開平5−62174号公報も参照できる。
以上記載した本発明の磁気記録媒体によれば、信号の記録再生時に磁性層表面とヘッド表面とが接触する接触摺動型の磁気記録再生システムにおけるスペーシングロスを引き起こすヘッド付着物(磁性層表面の削れ物、潤滑剤)の発生を抑制することができる。
以下に、本発明を実施例に基づき説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお、特記しない限り、以下に記載の「部」および「%」は質量基準である。
下記の1−ブロモナフタレン接触角調整剤Aとしては、下記方法により合成した合成品を用いた。
下記の1−ブロモナフタレン接触角調整剤Bとしては、市販のアミン系ポリマー(ビックケミー社製DISPERBYK−102)を用いた。
<I.1−ブロモナフタレン接触角調整剤Aの合成例>
下記の酸価およびアミン価は、電位差法(溶媒:テトラヒドロフラン/水=100/10(体積比)、滴定液:0.01N(0.01mol/l)水酸化ナトリウム水溶液(酸価)、0.01N (0.01mol/l)塩酸(アミン価))により決定した。
下記の数平均分子量、重量平均分子量は、GPC法により測定しポリスチレン換算値として求めた。
ポリエステル、ポリアルキレンイミン、およびポリアルキレンイミン系ポリマーの平均分子量の測定条件は、それぞれ以下の通りとした。
(ポリエステルの平均分子量の測定条件)
測定器:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel Super HZ 2000/TSKgel Super HZ 4000/TSKgel Super HZ−H(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:0.35mL/min、
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折(RI)検出器
(ポリアルキレンイミンの平均分子量、ポリアルキレンイミン系ポリマーの平均分子量の測定条件)
測定器:HLC−8320GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel Super AWM−H(東ソー社製)3本
溶離液:N−メチル−2−ピロリドン(添加剤として10mM臭化リチウム添加)
流速:0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
なお、ポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量は、以下の方法により求めることもできる。
合成したポリアルキレンイミン系ポリマーを、エステル加水分解法により、例えば、実験化学講座16 有機化合物の合成IV−カルボン酸・アミノ酸・ペプチド(第5版)」(日本化学会編、丸善出版、2005年3月発行)11頁に記載の酸加水分解法により加水分解する。得られた加水分解物から、液体クロマトグラフィーによりポリアルキレンイミンを分離し上記測定条件により測定される数平均分子量を、ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量とすることもできる。
(ポリエステル(i−1)の合成)
500mL3口フラスコに、カルボン酸としてn−オクタン酸(和光純薬社製)16.8g、ラクトンとしてε−カプロラクトン(ダイセル工業化学社製プラクセルM)100g、触媒としてモノブチルすずオキシド(和光純薬社製)(CSn(O)OH)2.2gを混合し、160℃で1時間加熱した。ε−カプロラクトン100gを5時間かけて滴下し更に2時間攪拌した。その後、室温まで冷却しポリエステル(i-1)を得た。
合成スキームを以下に示す。
得られたポリエステルの数平均分子量、重量平均分子量を下記表1に示す。また、原料仕込み比より算出したラクトン繰り返し単位の単位数も下記表1に示す。
(ポリエチレンイミン系ポリマー(1−ブロモナフタレン接触角調整剤A)の合成)
ポリエチレンイミン(日本触媒製SP-006、数平均分子量600)2,4gおよびポリエステル(i−1)100gを混合し、110℃で3時間加熱して、ポリエチレンイミン系ポリマーを得た。
得られたポリアルキレンイミン系ポリマーについて、1H−NMR、13C−NMRの両NMR分析結果および燃焼法による元素分析の分析結果から、ポリアルキレンイミン系ポリマーに占めるポリアルキレンイミン鎖の割合(ポリアルキレンイミン鎖比率)を算出した。結果を表1に示す。算出されたポリアルキレンイミン鎖比率は、ポリアルキレンイミンおよびポリエステルの仕込み量から算出された値と同様の値であった。
<II.磁気テープ作製例>
[実施例1]
各層形成用組成物の処方を、下記に示す。
(磁性層形成用組成物)
(磁性液)
強磁性粉末(強磁性六方晶バリウムフェライト粉末A):100.0部
(Hc:196kA/m(2460Oe)、平均粒子サイズ(平均板径)24nm)
オレイン酸:2.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂:4.0部
(重量平均分子量70000、SONa基:0.07meq/g)
1−ブロモナフタレン接触角調整剤A:10.0部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
(研磨剤液)
α−アルミナ(比表面積19m2/g、真球度1.4):6.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量70000、SONa基:0.1meq/g):0.6部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:0.6部
シクロヘキサノン:23.0部
(非磁性フィラー液)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm、変動係数=7%、真球度1.03):2.0部
メチルエチルケトン:8.0部
(潤滑剤・硬化剤液)
ステアリン酸:3.0部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:6.0部
メチルエチルケトン:110.0部
シクロヘキサノン:110.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート(登録商標)L):3部
(非磁性層形成用組成物A)
カーボンブラック(平均粒子サイズ(平均一次粒子サイズ)16nm、DBP(Dibutyl phthalate)吸油量74cm3/100g):100.0部
トリオクチルアミン:4.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):19.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量50000、SONa基:0.07meq/g):12.0部
メチルエチルケトン:370.0部
シクロヘキサノン:370.0部
ステアリン酸:2.0部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:2.0部
(バックコート層形成用組成物A)
ベンガラ(平均粒子サイズ:0.15μm、平均針状比:7、BET法によって測定された比表面積(SBET):52m/g):80.0部
カーボンブラック(平均粒子サイズ(平均一次粒子サイズ)16nm、DBP吸油量74cm/100g):20.0部
フェニルホスホン酸:3.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):12.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量50000、SONa基:0.07meq/g):8.0部
アルミナ粉末(比表面積17m/gのα−アルミナ):5.0部
メチルエチルケトン:370.0部
シクロヘキサノン:370.0部
ステアリン酸:1.0部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:2.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):5部
(磁性層形成用組成物の作製)
磁性層形成用組成物は以下の方法によって作製した。
上記磁性液をオープン型ニーダーにより混練・希釈処理後、横型ビーズミル分散機により、粒径0.1mmのジルコニア(ZrO2)ビーズ(以下、「Zrビーズ」と記載する)を用い、ビーズ充填率80%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、30パスの分散処理を行った。
研磨剤液は、 上記成分を混合して粒径0.3mmのZrビーズとともに横型ビーズミル分散機に入れ、ビーズ体積/(研磨剤液体積+ビーズ体積)が80%になるように調整し、120分間ビーズミル分散処理を行い、処理後の液を取り出し、フロー式の超音波分散濾過装置を用いて、超音波分散濾過処理を施した。
磁性液、非磁性フィラー液および研磨剤液と、その他の成分としての潤滑剤・硬化剤液をディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、フロー式超音波分散機により流量7.5kg/分で3パス処理した後に、1μmのフィルタで濾過して磁性層形成用組成物を作製した。
(非磁性層形成用組成物の作製)
非磁性層形成用組成物は以下の方法によって作製した。
潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)を除く上記成分を、オープン型ニーダーにより混練・希釈処理して、その後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)を添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施して非磁性層形成用組成物を作製した。
(バックコート層形成用組成物Aの作製)
バックコート層形成用組成物は以下の方法によって作製した。
ポリイソシアネートおよび潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)を除く上記成分を、ディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、ポリイソシアネートおよび潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)を添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施し、バックコート層形成用組成物を作製した。
(磁気テープの作製)
厚さ4.00μmの非磁性支持体(ポリアミド支持体)上に、乾燥後の厚さが0.10μmになるように非磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させた後、バックコート層形成用組成物を、非磁性支持体の反対面に乾燥後の厚さが0.50μmになるように塗布し乾燥させた。一度巻き取りロールに巻き取った非磁性支持体を70℃の環境下で36時間熱処理した。
熱処理後の非磁性層上に、乾燥後の厚さが0.07μmになるように磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させた。
その後、金属ロールのみから構成されるカレンダで速度40m/min、線圧300kg/cm(294kN/m)、温度100℃で表面平滑化処理(カレンダ処理)を行った。その後、70℃の環境下で36時間熱処理を行った。熱処理後、1/2インチ幅にスリットを行った。
続いて、特開平5−62174号公報に記載のダイヤモンドホイールによる表面処理(同公報の図1〜図3に示されている態様)を行って得られた磁気テープをロール状にリールに巻き取った後、下記の評価方法によりその特性を評価した。
なお本実施例および後述の実施例、比較例について、各層の厚さは、製造条件から算出される設計厚みである。また、上記および後述のSONa基含有ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、以下の測定条件により測定された値である。
GPC装置:HLC−8120(東ソー製)
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー製、7.8mmID(内径)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
<評価方法>
(接触角測定法)
接触角測定機(協和界面科学(株)製 接触角測定装置 DropMaster700)により、以下の方法により接触角測定を行った。
ロール状に巻き取った磁気テープをロールの端部から一定長さ切り取り得られたテープサンプルを、バックコート層表面がスライドガラス表面と接触するようにスライドガラス上に設置した。テープサンプル表面(磁性層表面)に測定用液体(1−ブロモナフタレンまたは水)2.0μlを滴下し、滴下した液体が安定した液滴を形成したことを目視で確認した後、上記接触角測定機に付随の接触角解析ソフトウェアFAMASにより液滴像を解析し、テープサンプルと液滴の接触角を測定した。接触角の算出はθ/2法によって行い、1サンプルにつき6回測定した平均値を接触角とした。測定は温度25℃相対湿度25%RHの環境で行い、以下の解析条件で接触角を求めた。
また、参照のため、測定用液体としてヨウ化メチレンを用いて同様の方法で磁性層表面のヨウ化メチレンに対する接触角(ヨウ化メチレン接触角)も求めた。
・手法:液滴法(θ/2法)
・着滴認識:自動
・着滴認識ライン(針先からの距離):50dot
・アルゴリズム:自動
・イメージモード:フレーム
・スレッシホールドレベル:自動
(走行耐久性試験)
温度40℃相対湿度80%RHの環境において、IBM社製LTO(登録商標)G5(Linear Tape−Open Generation 5)ドライブから取り外した磁気記録再生ヘッドをテープ走行系に取り付け、0.6Nのテンションをかけながらテープ長20mの磁気テープを、送り出しロールからの送り出しおよび巻き取りロールへの巻き取りを行いつつ4.0m/sで3000サイクル走行させ、走行後のヘッド全面を倍率100倍のマイクロスコープで観察し画像処理ソフト(Win Roof(Mitani Corporatipon製)による画像処理により汚れ面積(付着物が付着している部分の面積)を求めた。ヘッド面に対する汚れ面積の割合をヘッド面汚れの指標とし、以下の基準により評価した。AおよびBを走行耐久性良好と判断した。
A:0%、B:0%超5%未満、C:5%以上10%未満、D:10%以上30%未満、E:30%以上。
また、ヘッドエッジ汚れも同様にマイクロスコープによりヘッド全面を観察し画像処理ソフトによる画像処理を行い評価した。ヘッドエッジの汚れ(付着物)が付着した範囲の割合をヘッドエッジ汚れの指標とし、以下の基準により評価した。4〜2を走行耐久性良好と判断した。なお、ヘッドの幅方向とは、磁気テープの幅方向と一致する方向である。
4:ヘッドエッジに汚れが認められない、3:ヘッドの幅方向の50%以下の部位に汚れが認められる、2:ヘッドの幅方向の50%超70%以下に汚れが認められる、1はヘッドの幅方向の70%超に汚れが認められる。
図1に、ヘッド面汚れおよびヘッドエッジ汚れの説明図を示す。図中、実線2本で磁気テープの長手方向の端辺を示している。また、図中に示すヘッド面汚れおよびヘッドエッジ汚れの個数、形状、付着位置は、模式的に示したものに過ぎない。
(磁性層表面の原子間力顕微鏡(AFM)により測定される中心線平均表面粗さRa)
原子間力顕微鏡としてDIGITAL INSTRUMENT社製のNANOSCOPE IIIをコンタクトモードで用いて、先に記載した方法により磁性層表面の中心線平均表面粗さRaを測定した。具体的には、AFMによる測定後にofflineモードに移行し、flatten処理をy方向に、plane fit処理をx方向に行って歪み補正をした後、roughness処理を行い、Raを算出した。
[実施例2]
実施例1における磁性層形成用組成物の潤滑剤の中で、ステアリン酸の添加量を2.0部に変更した点以外、実施例1と同様の方法により磁気テープを得た。
[実施例3]
実施例1における磁性層形成用組成物の潤滑剤の中で、ステアリン酸の添加量を4.0部に変更した以外は、実施例1と同様の方法により磁気テープを得た。
[実施例4]
実施例1における磁性層形成用組成物の潤滑剤の中で、ステアリン酸の添加量を2.0部に変更し、バックコート層形成用組成物Aを以下のバックコート層形成用組成物Bに変更した点以外は、実施例1と同様の方法により磁気テープを得た。
(バックコート層形成用組成物B)
カーボンブラック(DBP吸油量74cm3/100g):100.0部
ニトロセルロース:27.0部
スルホン酸(塩)基含有ポリエステルポリウレタン樹脂:62.0部
ポリエステル樹脂:4.0部
アルミナ粉末(比表面積SBET17m2/gの):0.6部
メチルエチルケトン:600.0部
トルエン:600.0部
ステアリン酸:4.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):15.0部
[実施例5]
下記(1)〜(5)の変更を行った点以外、実施例2と同様の方法により磁気テープを作製した。
(1)実施例2における磁性層形成用組成物の磁性液を、下記磁性液に変更した点以外は実施例2と同様の方法で磁性層形成用組成物を作製した。
(磁性液)
強磁性粉末(強磁性六方晶バリウムフェライト粉末B):100.0部
(Hc:189kA/m(2380Oe)、平均粒子サイズ(平均板径)22nm)
オレイン酸:2.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.0部
SONa基含有ポリエステルポリウレタン樹脂:4.0部
(重量平均分子量60000、SONa基:0.6meq/g)
1−ブロモナフタレン接触角調整剤A:10.0部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
(2)実施例2における非磁性層形成用組成物Aを、以下の非磁性層形成用組成物Bに変更した。
(非磁性層形成用組成物B)
ベンガラ(平均粒子サイズ:0.15μm、平均針状比:7、比表面積SBET:52m2/g):75.0部
カーボンブラック(平均粒子サイズ(平均一次粒子サイズ)16nm、DBP吸油量74cm3/100g):25.0部
フェニルホスホン酸:3.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):12.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量50000、SONa基:0.07meq/g):8.0部
メチルエチルケトン:370.0部部
シクロヘキサノン:370.0部部
ステアリン酸:2.0部部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:2.0部部
(3)非磁性支持体を、厚さ6.00μmのポリエチレンナフタレート支持体に変更した。
(4)バックコート層表面に以下の方法により潤滑剤のオーバーコート処理を行った。
バックコート層表面に以下の潤滑剤溶液をφ50μmのコイルが巻かれたコイルバーを使用して塗布し、さらに70℃の環境で12時間熱処理を行った。
(バックコート層へのオーバーコート処理用潤滑剤溶液)
ステアリン酸:0.6部
ステアリン酸アミド:0.2部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
[実施例6]
実施例5における磁性層形成用組成物の磁性液を、下記磁性液に変更した点以外、実施例5と同様の方法により磁気テープを作製した。
(磁性液)
強磁性粉末(強磁性六方晶バリウムフェライト粉末B):100.0部
(Hc:189kA/m(2380Oe)、平均粒子サイズ(平均板径)22nm)
オレイン酸:2.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量50000、SONa基:0.07meq/g):4.0部
1−ブロモナフタレン接触角調整剤B:6.0部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
[比較例1]
下記(1)、(2)の変更を行った点以外、実施例2と同様の方法により磁気テープを作製した。
(1)実施例1における磁性層形成用組成物の磁性液を、下記磁性液に変更した。
(磁性液)
強磁性粉末(強磁性六方晶バリウムフェライト粉末A):100.0部
(Hc:196kA/m(2460Oe)、平均粒子サイズ(平均板径)24nm)
オレイン酸:2.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):13.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂:5.0部
(重量平均分子量70000、SONa基:0.07meq/g)
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
(2)実施例1における磁性層形成用組成物の潤滑剤の中で、ステアリン酸の添加量を2.0部に変更した。
[比較例2]
実施例4におけるバックコート層形成用組成物の潤滑剤の中で、ステアリン酸の添加量を6.0部に変更した点以外、実施例4と同様の方法により磁気テープを得た。
[比較例3]
実施例6における磁性層形成用組成物の磁性液を、1−ブロモナフタレン接触角調整剤Aを添加せず作製した点以外、実施例6と同様の方法により磁気テープを得た。
[比較例4]
実施例6における磁性層形成用組成物の磁性液を、下記磁性液に変更した点以外、実施例6と同様の方法により磁気テープを作製した。
(磁性液)
強磁性粉末(強磁性六方晶バリウムフェライト粉末B):100.0部
(Hc:189kA/m(2380Oe)、平均粒子サイズ(平均板径)22nm)
オレイン酸:2.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.0部
SONa基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量50000、SONa基:0.07meq/g):4.0部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:6.0部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
実施例2〜6、比較例1〜4で作製した磁気テープについても、実施例1と同様の方法で評価を行った。
以上の結果を、下記表2に示す。
評価結果
実施例、比較例について評価を行った繰り返し走行後のヘッド面汚れは、少ないほど、走行中の磁性層表面とヘッドとの摺動性が安定化され走行耐久性が良好である(磁性層表面の削れの発生が抑制されている)ことを示している。
また、実施例、比較例について評価を行った繰り返し走行後のヘッドヘッジ汚れは、少ないほど、磁性層表面からヘッドに付着した潤滑剤、磁性層削れ物によるスペーシングロスが少ないことを意味している。
表2に示す結果から、実施例1〜5の磁気テープは、繰り返し走行後のヘッド面汚れ、ヘッドエッジ汚れがともに少ないことが確認できる。かかる実施例1〜5の磁気テープによれば、繰り返し走行後も、ヘッドへの磁性層の削れ物や潤滑剤の付着によるスペーシングロス、およびこれによる出力低下を抑制することができる。
なお表2に示すように、特許文献4に記載されているヨウ化メチレン接触角と評価結果との間には良好な相関は見られなかったのに対し、1−ブロモナフタレン接触角および水接触角との間には良好な相関が見られている。
以上の結果から、1−ブロモナフタレン接触角および水接触角に基づき磁気記録媒体の磁性層表面状態を規定することにより、優れた走行耐久性を示し、繰り返し走行後の出力低下が抑制された磁気記録媒体の提供が可能になることが確認できる。
本発明は、データバックアップテープ等のデータストレージ用磁気記録媒体の製造分野において有用である。

Claims (15)

  1. 非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、該非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    前記磁性層は、潤滑剤および磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレンに対する接触角を調整可能な1−ブロモナフタレン接触角調整剤を含み、
    前記磁性層表面において測定される接触角は、1−ブロモナフタレンに対して45.3°〜51.1°の範囲であり、かつ水に対して96.2°〜99.1°の範囲であり、
    前記磁性層の厚みは、0.01〜0.10μmの範囲である磁気記録媒体。
  2. 前記1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、ポリマーである請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、含窒素ポリマーである請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、ポリアルキレンイミン系ポリマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、ポリアルキレンイミン鎖およびポリエステル鎖を含むポリアルキレンイミン系ポリマーである請求項4に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、アミン系ポリマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記磁性層は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選ばれる一種以上の潤滑剤を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記非磁性層の厚みは、0.80μm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記非磁性層は、潤滑剤を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  10. 前記非磁性層は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選ばれる一種以上の潤滑剤を含む請求項9に記載の磁気記録媒体。
  11. 前記磁性層表面において原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、3.0nm以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  12. 前記非磁性支持体の前記非磁性層および前記磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  13. 前記バックコート層は、カーボンブラックおよび結合剤を含み、任意に無機粉末を更に含む請求項12に記載の磁気記録媒体。
  14. 前記バックコート層は、カーボンブラックおよび無機粉末の合計含有量100.0質量部に対して、ただしカーボンブラックを含み無機粉末を含まない場合にはカーボンブラック含有量100.0質量部に対して、1.0〜6.0質量部の潤滑剤を含む請求項13記載の磁気記録媒体。
  15. 前記バックコート層に含まれる潤滑剤は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選ばれる一種以上の潤滑剤である請求項14に記載の磁気記録媒体。
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