JP6167219B2 - 磁気テープおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気テープおよびその製造方法に関する。
磁気記録媒体にはテープ状のものとディスク状のものがあり、データバックアップ等のストレージ用途には、テープ状の磁気テープ、即ち磁気テープが主に用いられている。磁気テープへの信号の記録再生は、通常、磁気テープをドライブ内で走行させ磁性層表面と磁気ヘッド(以下、単に「ヘッド」とも記載する。」とを接触(摺動)させることにより行われる。磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦係数が高い状態で走行を繰り返すと、磁性層表面が削れることにより発生した削れ屑によって生じたスペーシングにより、出力が変動(スペーシングロス)してしまうことがある。このようなスペーシングロスは、走行を繰り返すうちに電磁変換特性が低下する原因となる。
これに対し、繰り返し走行中の摩擦係数増加を防ぐために、特許文献1には、磁性層内や磁性層の上に潤滑剤を存在させることが提案されている。
特開2002−367142号公報
特許文献1は、具体的には、好ましい潤滑剤として脂肪酸エステルを開示するとともに、磁気テープのほぼ表面上に存在する潤滑剤の量の指標としてn−ヘキサンにより抽出される潤滑剤量を用いることを提案している。具体的には、特許文献1は、n−ヘキサンにより抽出される潤滑剤量を、20〜1000mg/mという磁性層単位面積あたりの量として規定している(特許文献1の請求項1参照)。
ところで特許文献1に記載されている磁気テープは、非磁性支持体上に単層の磁性層を有するものであるが(例えば特許文献1の実施例参照)、磁気テープとしては、磁性層と非磁性層を有する重層構成のものも広く知られている。磁気テープをこのような重層構成とすることは磁性層の薄層化による高密度記録化等に有利と言われており、近年、重層構成の磁気テープが、磁気テープの主流になっている。そこで本発明者らが重層構成の磁気テープにおける走行耐久性について検討したところ、特許文献1に記載されているように単にn−ヘキサンにより抽出される潤滑剤量を制御するのみでは、重層構成の磁気テープにおいて、繰り返し走行中に摩擦係数が増加し磁性層表面が削れる現象が発生してしまい、十分な走行耐久性を得ることができないことが判明した。
そこで本発明の目的は、非磁性支持体上に非磁性層と磁性層とを有する重層構成の磁気テープであって、優れた走行耐久性を示すことができる磁気テープを提供することにある。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の磁気テープ:
非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、
脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよび脂肪酸を、磁性層および非磁性層の一層または両層に含み、かつ磁性層および非磁性層はそれぞれ、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよび脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含み、
n−ヘキサンにより磁性層表面から抽出される抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量は、1.00〜10.00mg/mの範囲であり、
抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量の磁性層単位面積あたりの脂肪酸アミド量と脂肪酸量との合計量に対する質量比[脂肪酸エステル量/(脂肪酸アミド量+脂肪酸量)]は、1.00〜3.00の範囲である磁気テープ、
を見出すに至った。上記磁気テープは、上記の重層構成の磁気テープであって、優れた走行耐久性を示すことができるものである。この点に関する本発明者による推察は、後述する。
上記のn−ヘキサンにより磁性層表面から抽出される抽出成分とは、磁気テープを長手方向の任意の位置から5m切り出した試料をn−ヘキサン120mlに5分間浸漬することにより、上記n−ヘキサン中に上記試料から抽出される成分をいうものとする。任意に1回ないし数回撹拌してもよい。なお磁気テープが、後述するようにバックコート層を有する場合には、試料を切り出す前に、または切り出した後の試料からバックコート層を除去した後に、上記抽出を行うものとする。また、上記操作は15〜25℃の室温下、n−ヘキサンを加温せずに行う。
その後、抽出された成分を、n−ヘキサンを蒸発させた後に、ガスクロマトグラフィー法により定性および定量分析することによって、抽出成分中の脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸の各含有量を求める。求められた値を、上記試料の磁性層表面の面積で除することによって、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量、脂肪酸アミド量、脂肪酸量を算出する。
以上の方法により求められる磁性層単位面積当たりの脂肪酸エステル量、脂肪酸アミド量および脂肪酸量は、磁気テープへの記録再生中に磁性層表面に存在する脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸の存在量の指標になり得る値と本発明者らは考えている。詳細は後述する。以下において、上記値を、表面脂肪酸エステル量、表面脂肪酸アミド量および表面脂肪酸量とも記載する。
上記磁気テープは、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよび脂肪酸を、磁性層および非磁性層の一層または両層に含む。すなわち、脂肪酸エステルは、磁性層および非磁性層の一層または両層に含まれる。脂肪酸アミドおよび脂肪酸も同様に、それぞれ磁性層および非磁性層の一層または両層に含まれる。一態様では、磁性層および非磁性層の両層が、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドを含む。なお以下において、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドの一種以上を「潤滑剤」と記載する。
一態様では、上記抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量の磁性層単位面積あたりの脂肪酸アミド量に対する質量比(脂肪酸エステル量/脂肪酸アミド量)は、5.00〜20.00の範囲である請求項1または2に記載の磁気テープ。
一態様では、上記抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量の磁性層単位面積あたりの脂肪酸量に対する質量比(脂肪酸エステル量/脂肪酸量)は、1.00〜6.00の範囲である。
一態様では、上記抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量の磁性層単位面積あたりの脂肪酸アミド量に対する質量比(脂肪酸エステル量/脂肪酸アミド量)は5.00〜20.00の範囲であり、かつ磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量の磁性層単位面積あたりの脂肪酸量に対する質量比(脂肪酸エステル量/脂肪酸量)は1.00〜6.00の範囲である。
一態様では、非磁性層の非磁性粉末は、カーボンブラックを少なくとも含む。
一態様では、非磁性層の非磁性粉末は、非磁性粉末全量100.00質量部に対して10.00〜100.00質量部のカーボンブラックを含む。
一態様では、非磁性層の厚さは0.03〜0.20μmの範囲である。
一態様では、上記磁気テープは、非磁性支持体上に上記非磁性層を形成するための塗料組成物を塗布および乾燥して非磁性層を形成した後に、非磁性層上に、上記磁性層を形成するための塗料組成物を塗布および乾燥することにより形成された磁気テープ、いわゆる逐次重層塗布により形成された磁気テープ、である。
本発明の更なる態様は、
非磁性支持体上に上記非磁性層を形成するための塗料組成物を塗布および乾燥して非磁性層を形成すること、ならびに、
形成された非磁性層上に、上記磁性層を形成するための塗料組成物を塗布および乾燥することにより磁性層を形成すること、
を含む、上記磁気テープの製造方法、
に関する。
本発明によれば、繰り返し走行中の摩擦係数の増加およびこれによる磁性層表面の削れの発生が抑制された、優れた走行耐久性を有する磁気テープを提供することができる。
本発明の磁気テープは、非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよび脂肪酸を、磁性層および非磁性層の一層または両層に含み、かつ磁性層および非磁性層はそれぞれ、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよび脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含み、n−ヘキサンにより磁性層表面から抽出される抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量は、1.0〜10.00mg/mの範囲であり、抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量の磁性層単位面積あたりの脂肪酸アミド量と脂肪酸量との合計量に対する質量比[脂肪酸エステル量/(脂肪酸アミド量+脂肪酸量)]は、1.0〜3.0の範囲である磁気テープである。
以下は、本発明を何ら限定するものではないが、上記磁気テープが、非磁性支持体上に非磁性層と磁性層とをこの順に有する重層構成の磁気テープであって、優れた走行耐久性を示すことができる磁気テープである理由を、本発明者は次のように考えている。
先に記載したように、特許文献1では、n−ヘキサンにより抽出される潤滑剤量を磁性層単位面積あたりの量として、20〜1000mg/mに規定している。また、上記の通り、特許文献1に記載されている磁気テープは、非磁性支持体上に磁性層単層を有するものである。
一方、本発明者は上記目的を達成するために検討を重ねる中で、重層構成の磁気テープでは、特許文献1に記載されているような単層構成の磁気テープと比べ、磁性層表面に潤滑剤が染み出し難いことに注目した。染み出し難い理由の1つとしては、重層構成の磁気テープは、通常、表面平滑化等のためにカレンダー処理を経て作製されるため磁性層や非磁性層の層内の空隙が減少し層が緻密になることが考えられる。緻密な層内では潤滑剤が移動し難いことが、磁性層内部から磁性層表面へ、または非磁性層から磁性層表面へ、潤滑剤を移動し難くしていると推察される。また他の理由としては、磁性層単層を有する磁気テープであれば潤滑剤から磁性層表面への潤滑剤の移動のみで磁性層表面に潤滑剤が供給されるところ、重層構成の磁気テープでは、通常、磁性層表面に存在する潤滑剤の少なくとも一部は非磁性層から磁性層への潤滑剤の移行という層間移動を経て供給されるため、磁性層単層を有する磁気テープよりも磁性層表面に潤滑剤が供給され難いことも考えられる。中でも、潤滑剤として広く使用され、特許文献1でも好ましい潤滑剤とされている脂肪酸エステルの磁性層表面への供給量は、磁性層単層を有する磁気テープに比べ、重層構成の磁気テープにおいて低下する傾向があると本発明者は考えており、この点が重層構成の磁気テープにおける走行耐久性低下を招いていると本発明者は推察している。
そこで本発明者は、重層構成の磁気テープにおいて、磁性層表面に存在する脂肪酸エステル量が少ない中で走行耐久性を向上すべく更なる検討を重ねた結果、n−ヘキサンにより抽出される抽出成分中の磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量に対する、磁性層単位面積あたりの脂肪酸アミド量および脂肪酸量の合計量の質量比を上記範囲内とすることにより、走行耐久性の向上が可能になることを新たに見出した。この点について、以下に更に説明する。
潤滑剤は、一般に流体潤滑剤と境界潤滑剤とに大別される。そして脂肪酸エステルは流体潤滑剤として機能し得る成分と言われるのに対し、脂肪酸アミドおよび脂肪酸は、境界潤滑剤として機能し得る成分と言われている。境界潤滑剤は、粉末(例えば強磁性粉末)の表面に吸着し強固な潤滑膜を形成することで接触摩擦を下げることのできる潤滑剤と考えられる。一方、流体潤滑剤は、それ自身が磁性層表面に液膜を形成し、この液膜の流動により摩擦を下げることのできる潤滑剤と考えられる。流体潤滑剤として機能し得る脂肪酸エステルの存在量が少ない磁性層表面では、脂肪酸エステルによる液膜の膜厚を十分に確保することができないことが、磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦係数の増加をもたらすと推察される。即ち、脂肪酸エステルによる摩擦係数低減作用が低下することが、重層構成の磁気テープにおける走行耐久性低下の原因と本発明者らは考えている。これに対し、粉末に吸着し強固な潤滑膜を形成することができると考えられる境界潤滑剤(脂肪酸アミドおよび脂肪酸)の磁性層表面における存在比率を高めることにより、表面の脂肪酸エステルの存在量が少ない磁性層において脂肪酸エステルによる摩擦係数低減作用を補うことが可能になり摩擦係数の増加を抑制することができると、本発明者らは考えている。このように、脂肪酸エステルの存在量が少ない磁性層表面では、脂肪酸エステルの存在量が多い磁性層表面とは走行耐久性を確保するために望ましい潤滑剤組成が異なり、境界潤滑剤として機能し得る脂肪酸アミドおよび脂肪酸の存在量を、脂肪酸エステルの存在量に対して高めることにより(具体的には上記範囲に制御することにより)、走行耐久性の向上が可能になると、本発明者らは推察している。
ただし以上は本発明者らによる推察を含むものであり、本発明を何ら限定するものではない。
以下、上記磁気テープについて、更に詳細に説明する。
<潤滑剤>
(表面脂肪酸エステル量、質量比[表面脂肪酸エステル量/(表面脂肪酸アミド量+表面脂肪酸量)])
表面脂肪酸エステル量、表面脂肪酸アミド量および表面脂肪酸量の測定方法は、先に記載した通りである。上記の各種潤滑剤は、磁性層表面への染み出し易さはそれぞれ異なると考えられる。したがって、磁気テープ製造時に磁性層や非磁性層を形成するための塗料組成物(以下において、「塗布液」とも記載する。)に添加した添加量や添加量の割合は、実際に磁気テープに記録再生を行う際に磁性層表面に存在する上記の各種潤滑剤の存在量や存在量の割合を必ずしも反映しないと本発明者らは考えている。これに対し、前述の方法により測定される表面脂肪酸エステル量、表面脂肪酸アミド量および表面脂肪酸量、それらの質量比は、実際に磁気テープに記録再生を行う際に磁性層表面に存在する上記の各種潤滑剤の存在量や存在量の割合の指標になり得る値であると、本発明者らは推察している。そして上記磁気テープの表面脂肪酸エステル量は、1.00〜10.00mg/mの範囲である。上記磁気テープは非磁性層と磁性層とを有する重層構成の磁気テープであるため、単層の磁性層を有する磁気テープと比べ磁性層表面に存在する脂肪酸エステル量は少ないと考えられる。このことが、表面脂肪酸エステル量が10.00mg/m以下となる理由と本発明者らは推察している。この点に対する対策として、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、10.00mg/m以下の表面脂肪酸エステル量を示す磁性層表面において摩擦係数の増加を防ぐために、上記の質量比[表面脂肪酸エステル量/(表面脂肪酸アミド量+表面脂肪酸量)]を規定するに至ったものである。
表面脂肪酸エステル量は、例えば8.00mg/m以下や7.00mg/m以下であることもできる。また、脂肪酸エステルによる摩擦係数低減作用を得るために、表面脂肪酸エステル量は、1.00mg/m以上とする。好ましくは1.50mg/m以上であり、より好ましくは2.00mg/m以上である。
質量比[表面脂肪酸エステル量/(表面脂肪酸アミド量+表面脂肪酸量)]は、上記範囲の表面脂肪酸エステル量を示す磁性層表面において摩擦係数増加を抑制するために、3.00以下とする。好ましくは2.90以下である。上記質量比が小さくなることは脂肪酸アミドおよび脂肪酸の磁性層表面における存在量が増加することを意味するが、脂肪酸エステルに対してきわめて多量の脂肪酸アミドおよび脂肪酸を磁性層表面に存在させることは先に記載した流体潤滑剤と境界潤滑剤のそれぞれの作用を良好に得ることが困難になると考えられる。そこで上記磁気テープでは、質量比[表面脂肪酸エステル量/(表面脂肪酸アミド量+表面脂肪酸量)]を、1.00以上とする。上記質量比は、好ましくは1.50以上、より好ましくは2.00以上である。
磁性層表面への上記の各種潤滑剤の供給は、主に磁性層内部から磁性層表面への移行や、非磁性層から磁性層への移行および磁性層内部から磁性層表面への移行が起こることによると考えられている。そして一般に、脂肪酸エステルに比べて脂肪酸アミドおよび脂肪酸は上記の移行が起こり難く、または移行速度が遅いと言われている。これは、脂肪酸アミドおよび脂肪酸は、先に記載したように境界潤滑剤として機能すると考えらえれ、磁性層や非磁性層に含まれる粉末への吸着性に富むことによると推察される。そこで、例えば、脂肪酸アミドや脂肪酸の移行を促進するような各種手段の一種以上を任意に行うことにより、表面脂肪酸エステル量が上記範囲の磁気テープにおいて、上記範囲の質量比[表面脂肪酸エステル量/(表面脂肪酸アミド量+表面脂肪酸量)]を実現することができる。詳細を、以下に記載する。
上記手段の1つとしては、非磁性層および磁性層の形成方法として、逐次重層塗布を採用することが挙げられる。非磁性層と磁性層とを有する磁気テープの製造方法には、同時重層塗布および逐次重層塗布がある。逐次重層塗布は、先に記載した方法である。これに対し同時重層塗布は、非磁性支持体上に塗布した非磁性層形成用塗料組成物が湿潤状態にあるうちに、その上に磁性層形成用塗料組成物を塗布した後に乾燥させることにより、非磁性層と磁性層を形成する方法である。後述するように、磁気テープは、好ましくは非磁性層形成用塗料組成物および磁性層形成用塗料組成物の両組成物に上記の各種潤滑剤を添加して形成することができるが、逐次重層塗布では、乾燥させた非磁性層上に磁性層形成用塗料組成物が塗布される。ここでの浸透圧効果によって非磁性層から磁性層への潤滑剤の移行、中でも、移行し難い脂肪酸アミドや脂肪酸の移行、を促進することができると考えられる。これに対し同時重層塗布においては、湿潤状態の非磁性層形成用塗料組成物上に磁性層形成用塗料組成物を塗布するため界面で混ざり合いが生じる結果、上記の浸透圧効果は小さくなるか得難くなると推察される。したがって、非磁性層から磁性層への潤滑剤の移行、中でも脂肪酸アミドや脂肪酸の移行を促進するうえで逐次重層塗布を採用することは好ましいと本発明者らは推察している。なお浸透圧効果は磁性層形成用塗料組成物の溶媒量を増量することにより更に高まると考えられるため、磁性層形成用塗料組成物の処方は、この点も考慮し調整することが好ましい。
ところで、逐次重層塗布により形成された磁気テープでは、同時重層塗布により形成された磁気テープと比べて非磁性層と磁性層の混ざり合いが少ない。そのため、磁気テープを切断し、断面を4万倍の倍率で走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)観察すると、SEM画像において、強磁性粉末の粒子が存在する部位と非磁性粉末の粒子が存在する部位との境界として、非磁性層と磁性層の境界を観察することができる。これに対し、同時重層塗布により形成された磁気テープでは、非磁性層と磁性層との界面に混ざり合いが生じているため、磁性層と非磁性層の界面において強磁性粉末の粒子と非磁性粉末の粒子が入り混じった画像を観察することができる。したがって、このような界面における強磁性粉末の粒子と非磁性粉末の粒子の混ざり合いの有無に基づき、逐次重層塗布により形成された磁気テープと同時重層塗布により形成された磁気テープとを容易に判別することができる。
また、逐次重層塗布においては、磁性層形成用塗料組成物の乾燥処理が施されるまでの間に、磁性層形成用塗料組成物中の溶媒が、非磁性層に浸み込む現象が発生し得る。この浸み込みも、非磁性層中の潤滑剤を磁性層へ移行させることに寄与すると考えられる。非磁性層が薄いほど非磁性層内部まで磁性絵層形成用塗料組成物が浸み込み、より多くの潤滑剤を磁性層へ移行させることができると推察される。したがって、逐次重層塗布において形成される磁気テープの非磁性層の厚さを調整することも、上記手段の1つとして挙げることができる。なお非磁性層の好ましい厚さは後述する。
更に他の手段としては、非磁性層形成用塗料組成物への硬化剤の添加量を減量するか硬化剤を添加しないこと、または非磁性層に硬化処理を施さないか硬化の程度を下げることも挙げられる。近年、磁気テープを形成するために磁性層や非磁性層の塗布液にポリイソシアネート等の硬化剤(架橋剤とも呼ばれる。)を添加して加熱処理等によって硬化剤の架橋反応を行うことが行われている。逐次重層塗布において非磁性層形成用塗料組成物に硬化剤を添加し、磁性層形成用塗料組成物の塗布前に硬化処理を施すことは、磁性層形成用塗料組成物の溶媒の浸透により非磁性層が膨潤し磁性層と非磁性層との界面が粗くなることを防ぐ手段と言われている。一方、このように非磁性層に硬化処理を施すことは、磁性層形成用塗料組成物が非磁性層に浸み込むことを抑制すると考えられるが、上述のように浸み込みは非磁性層から磁性層への潤滑剤の移行を促進すると推察される。そこで上記のような硬化処理を施さない等の手段を採用することで、磁性層形成用塗料組成物の非磁性層への浸み込みを促進することが考えられる。なお非磁性層を薄くすることは溶媒浸透によって膨潤する空間の絶対量が小さくなることを意味するため、上述の界面の粗れを抑制するうえで好ましい。
先に記載したように非磁性層から磁性層への潤滑剤の移行は、磁性層表面へ供給される潤滑剤量を増やすことにつながると考えられる。一方、逆に磁性層から非磁性層へ潤滑剤が移行することは磁性層表面へ供給される潤滑剤量を低下させると推察される。したがって、磁性層から非磁性層への潤滑剤の移行を妨げるような手段を採用することも好ましい。一例として、磁性層の硬化を促進することが挙げられる。硬化(架橋)の促進は、例えば、磁性層形成用塗料組成物へ添加する硬化剤の増量、硬化処理の強化(例えば加熱の強化)等により行うことができる。
また他の手段としては、粉末に吸着しやすいと考えられる脂肪酸アミドや脂肪酸の粉末への吸着を抑制することが挙げられる。これにより粉末への吸着により層内に脂肪酸アミドや脂肪酸が留め置かれ移行が妨げられることを抑制することができる。例えば一例として、脂肪酸は、非磁性層の非磁性粉末として使用され得る酸化鉄に吸着し易いと考えられる。これに対し、カーボンブラックは酸化鉄に比べて脂肪酸を吸着し難いと考えられる。そこで非磁性層の非磁性粉末として酸化鉄の使用量を低減し、代わりにカーボンブラックの使用量を増量することや、酸化鉄を使用せず非磁性層の非磁性粉末全量をカーボンブラックとすることが、磁性層表面への脂肪酸の供給量を増加させるための手段の1つとして挙げられる。また、粉末に限らず、脂肪酸を吸着し易い成分を減量したり使用しないように各層形成用の塗料組成物の処方を調整することによっても、脂肪酸の移行を促進することができる。一例として、遊離のアミン基が発生する化合物を添加するなどが挙げられる。
以上説明した手段の1つまたは2つ以上を任意に組み合わせることは、前述の範囲の表面脂肪酸エステル量および質量比を示す磁気テープを得るために好ましい。ただし上記の手段は例示であって、前述の範囲の表面脂肪酸エステル量および質量比を示す磁気テープであれば、いかなる手段を用いて製造されたものであっても本発明の磁気テープに包含されるものである。
(脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸)
上記磁気テープは、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよび脂肪酸を、磁性層および非磁性層の一層または両層に含み、かつ磁性層および非磁性層はそれぞれ、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよび脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。脂肪酸エステルは、先に記載したように流体潤滑剤として磁性層表面に液膜を形成することにより磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦係数低減に寄与すると考えられる。一方、脂肪酸アミドおよび脂肪酸は、いずれも境界潤滑剤として摩擦係数低減に寄与すると考えられる。脂肪酸アミドと脂肪酸は磁性層から磁性層表面への移行や非磁性層から磁性層への移行のし易さや移行速度が異なると考えられるため、両者を併用することにより長期にわたり安定した潤滑性能を得ることが可能になると、本発明者らは考えている。例えば脂肪酸アミドに比べて移行し難く移行速度が遅いと考えられる脂肪酸の移行を促進するような手段を採用することによって初期には主に脂肪酸により境界潤滑剤の作用を得つつ、経時的には移行により磁性層表面に供給された脂肪酸アミドにより境界潤滑剤の作用を得ることが、脂肪酸アミドと脂肪酸を併用することによって可能になると推察される。
磁性層表面において潤滑剤として良好に作用し得る脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、エライジン酸等を挙げることができ、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。なお脂肪酸は、金属塩等の塩の形態で磁性層に含まれていてもよい。
磁性層表面において潤滑剤として良好に作用し得る脂肪酸エステルとしては、上記各種脂肪酸のエステル、例えば、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ネオペンチルグリコールジオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、オレイン酸オレイル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸ブトキシエチル等を挙げることができる。
磁性層表面において潤滑剤として良好に作用し得る脂肪酸アミドとしては、各種脂肪酸のアミド、例えば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等を挙げることができる。
脂肪酸と脂肪酸の誘導体(エステル、アミド等)については、脂肪酸誘導体の脂肪酸由来部位は、併用される脂肪酸と同様または類似の構造を有することが好ましい。例えば、一例として、脂肪酸としてステアリン酸を用いる場合には、ステアリン酸エステルやステアリン酸アミドを使用することは好ましい。
また、潤滑剤としては、特開2009−96798号公報段落0111に記載されているものを用いることもできる。
脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよび脂肪酸は、磁性層および非磁性層の両層に含まれることは、それぞれの潤滑剤としての作用を良好に得るうえで好ましい。
磁性層形成用塗料組成物中の潤滑剤含有量は、強磁性粉末100.00質量部あたり、例えば1.00〜12.00質量部であり、好ましくは2.00〜11.00質量部、より好ましくは6.00〜10.00質量部である。なお磁性層形成用塗料組成物に潤滑剤として二種以上の異なる潤滑剤を使用する場合、含有量とは、それらの合計含有量をいうものとする。この点は、本明細書において、特記しない限り、他の成分の含有量についても同様とする。
また、磁性層形成用塗料組成物中の脂肪酸エステル含有量は、強磁性粉末100.00質量部あたり、例えば1.50〜20.00質量部であり、好ましくは1.00〜10.00質量部、より好ましくは1.50〜8.00質量部である。磁性層形成用塗料組成物中の脂肪酸アミド含有量は、強磁性粉末100.00質量部あたり、例えば0.10〜1.00質量部であり、好ましくは 0.10〜0.50質量部、より好ましくは 0.20〜0.50質量部である。磁性層形成用塗料組成物中の脂肪酸含有量は、強磁性粉末100.00質量部あたり、例えば0.10〜10.00質量部であり、好ましくは1.00〜5.00質量部、より好ましくは1.00〜3.00質量部である。
一方、非磁性層形成用組成物中の潤滑剤含有量は、非磁性粉末100.00質量部あたり、例えば1.00〜6.00質量部であり、好ましくは1.50〜5.50質量部、より好ましくは2.0〜5.0質量部である。
また、非磁性層形成用塗料組成物中の脂肪酸エステル含有量は、非磁性粉末100.00質量部あたり、例えば1.00〜5.00質量部であり、好ましくは1.00〜4.00質量部、より好ましくは1.00〜2.00質量部である。非磁性層形成用塗料組成物中の脂肪酸アミド含有量は、非磁性粉末100.00質量部あたり、例えば0.10〜0.40質量部であり、好ましくは0.10〜0.30質量部、より好ましくは0.10〜0.20質量部である。非磁性層形成用塗料組成物中の脂肪酸含有量は、非磁性粉末100.00質量部あたり、例えば1.00〜4.00質量部であり、好ましくは 1.00〜3.00質量部、より好ましくは1.00〜2.00質量部である。
(表面脂肪酸エステル量、表面脂肪酸アミド量、表面脂肪酸量の質量比)
表面脂肪酸エステル量が1.00〜10.00mg/mの範囲の磁性層表面において、質量比[脂肪酸エステル量/(脂肪酸アミド量+脂肪酸量)]を、1.00〜3.00の範囲とすることにより、非磁性支持体上に非磁性層と磁性層とを有する磁気テープにおいて優れた走行耐久性を得ることができることに関する本発明者の推察は、先に記載した通りである。より一層優れた走行耐久性を得るためには、磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦係数をより低下させることが好ましい。この点から、上記テープは、下記(1)および(2)の少なくとも一方を満たすことが好ましく、両方を満たすことがより好ましい。上記各質量比は、例えば、先に記載した手段の1つまたは2つ以上を任意に組み合わせることにより調整することができる。
(1)質量比(脂肪酸エステル量/脂肪酸アミド量)が、5.00〜20.00の範囲であること、好ましくは7.00〜20.00の範囲であること、より好ましくは11.45〜20.00の範囲であること。
(2)質量比(脂肪酸エステル量/脂肪酸量)が、1.00〜6.00の範囲であること、好ましくは1.00〜5.00の範囲であること、より好ましくは1.00〜2.62の範囲であること。
なお表面脂肪酸アミド量は、例えば0.20〜0.60mg/mの範囲であり、表面脂肪酸量は、例えば0.40〜2.50mg/mの範囲であるが、先に記載した質量比[脂肪酸エステル量/(脂肪酸アミド量+脂肪酸量)]を満たし、好ましくは上記(1)および(2)の質量比の一方または両方を満たせばよく、上記範囲に限定されるものではない。表面脂肪酸アミド量および表面脂肪酸エステル量も、例えば、先に記載した手段の1つまたは2つ以上を任意に組み合わせることにより調整することができる。
以上、磁性層および非磁性層に含まれる潤滑剤について説明した。次に、磁性層および非磁性層について、更に詳細に説明する。
<磁性層>
(強磁性粉末)
強磁性粉末としては、高密度記録化の観点からは、平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末が好ましい。また、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましい。
上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定する値とする。
強磁性粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして強磁性粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、強磁性粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明において粉末についての平均粒子サイズとは、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
なお、粒子サイズ測定のために磁性層から強磁性粉末等の試料粉末を採取する方法としては、例えば特開2011−048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明において、強磁性粉末等の粉末を構成する粒子のサイズ(以下、「粒子サイズ」と言う)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚さまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
上記強磁性粉末の好ましい具体例としては、六方晶フェライト粉末を挙げることができる。六方晶フェライト粉末の平均粒子サイズ(平均板径)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0134〜0136を参照できる。
上記強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性金属粉末を挙げることもできる。強磁性金属粉末の平均粒子サイズ(平均長軸長)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性金属粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0137〜0141を参照できる。
磁性層における強磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。上記充填率が高いことは、記録密度向上の観点から好ましい。
(結合剤)
本発明の磁気テープは塗布型の磁気テープであり、磁性層、ならびに後述する非磁性層および任意に設けられるバックコート層は結合剤を含む。磁性層に含まれる結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層、バックコート層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落0028〜0031を参照できる。また、結合剤については、特開2014−080563号公報段落0014〜0027および同公報の実施例の記載、特開2013−065381号公報0012〜0016、0040〜0136および同公報実施例の記載も参照できる。結合剤含有量は、強磁性粉末100.00質量部に対して、例えば5.00〜50.00質量部の範囲、好ましくは10.00〜30.00質量部の範囲とすることができる。
また、上記樹脂とともに硬化剤を使用することも可能である。硬化剤としては、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、磁性層形成用塗料組成物(塗布液)中に、結合剤100.00質量部に対して例えば0.00〜80.00質量部、先に記載した理由から、好ましくは5.00〜30.00質量部の量で添加し使用することができる。
(添加剤)
磁性層には、強磁性粉末、潤滑剤および結合剤が含まれ、必要に応じて一種以上の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、非磁性フィラー、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤などを挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができる。
以下、添加剤の一態様を説明するが、本発明は下記態様に限定されるものではない。
(非磁性フィラー(非磁性粉末))
磁性層には、一種または二種以上の非磁性フィラーが含まれることが好ましい。一般に、モース硬度の高い非磁性粉末は研磨剤として好適であり、研磨剤として機能し得る非磁性粉末よりモース硬度の低い非磁性粉末は、突起形成剤として好適である。突起形成剤は、走行安定性等を向上するために磁性層表面形状を制御し得る成分である。
研磨剤としては、モース硬度8超の無機粉末を使用することが好ましく、モース硬度9以上の無機粉末を使用することがより好ましい。なおモース硬度の最大値は、ダイヤモンドの10である。具体的には、アルミナ(Al)、炭化珪素、ボロンカーバイド(BC)、TiC、酸化セリウム、酸化ジルコニウム(ZrO)、ダイヤモンド粉末を挙げることができ、中でもアルミナが好ましい。アルミナについては、特開2013−229090号公報の段落0021を参照できる。また、研磨剤の粒子のサイズの指標としては、比表面積を用いることができる。比表面積が大きいほど粒子サイズが小さいことを意味する。磁性層表面の平滑性向上の観点からは、BET法によって測定された比表面積(BET比表面積)として、14m/g以上の研磨剤を使用することが好ましい。また、分散性の観点からは、BET比表面積が40m/g以下の研磨剤を用いることが好ましい。磁性層における研磨剤の含有量は、強磁性粉末100.00質量部に対して1.00〜20.00質量部であることが好ましい。
また、突起形成剤として機能し得る非磁性粉末としては、モース硬度8以下の非磁性粉末が好ましい。一態様では、磁性層の表面平滑性を高める観点からは、コロイド粒子(非磁性コロイド粒子)が好ましい。非磁性コロイド粒子の平均一次粒子サイズは、好ましくは50〜200nmである。なお本発明において非磁性コロイド粒子の平均一次粒子サイズは、特開2011−48878号公報段落0015に記載の方法により求められる値とする。非磁性コロイド粒子としては、無機コロイド粒子が好ましく、無機酸化物コロイド粒子がより好ましく、単分散のコロイド粒子の入手容易性の点から、シリカコロイド粒子(コロイダルシリカ)が特に好ましい。なおシリカコロイド粒子のモース硬度は、5〜7程度である。非磁性コロイド粒子の詳細については、特開2011−48878号公報段落0023を参照できる。磁性層における非磁性コロイド粒子の含有量は、好ましくは強磁性粉末100.00質量部に対して0.50〜5.00質量部であり、より好ましくは1.00〜30.00質量部である。
他の一態様では、突起形成剤としてカーボンブラックを用いることもできる。カーボンブラックとしては、平均粒子サイズが、例えば10〜200nm、好ましくは50〜150nm、更に好ましくは70〜120nmのものを使用することができる。また、磁性層中のカーボンブラック含有量は、強磁性粉末100.00質量部あたり0.10〜5.00質量部とすることが好ましい。
(分散剤)
一般に、磁性層の表面平滑性が高まるほど、高密度記録化には有利である。磁性層の表面平滑性を高めるための手段の1つとしては、磁性層や磁性層の下層に位置する非磁性層において粉末の分散性を高めることが挙げられる。そのために、磁性層および後述する非磁性層に、一種または二種以上の分散剤を含んでもよく、含むことが好ましい。分散剤としては、公知の分散剤を何ら制限なく用いることができる。磁性層、および後述する非磁性層に使用可能な分散剤としては、例えば、特開2009−96798号公報段落0111に記載の各種化合物を挙げることができる。また好ましい分散剤としては、以下に記載のものを挙げることもできる。
−フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物−
磁性層には、強磁性粉末、各種非磁性フィラー等の粉末の分散性を向上するために分散剤を添加することができる。そのような分散剤の一種としては、フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物を挙げることができる。ここでフェノール性ヒドロキシル基とは、芳香族環に直接結合したヒドロキシル基をいう。フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物は、研磨剤の分散剤として好ましく、中でもアルミナの分散剤として好ましい。フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物については、特開2013−131285号公報段落0012〜0022に記載を参照できる。フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物は、1種または2種以上を用いることができる。使用量は、研磨剤100.00質量部に対して、例えば2.00〜20.00質量部程度とすることが好ましい。なお一態様では、フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物は、強磁性粉末の分散剤としても好ましい。
−ポリアルキレンイミン系ポリマー−
(a)ポリアルキレンイミン鎖
ポリアルキレンイミン系ポリマーとは、ポリアルキレンイミン鎖を1つ以上含むポリマーである。なお本発明において、ポリマーとは、同一または異なる複数の繰り返し単位により構成される多量体であって、ホモポリマーとコポリマーとを包含する意味で用いるものとする。また、ポリアルキレンイミン鎖とは、同一または異なるアルキレンイミン鎖の2つ以上を含む重合構造である。含まれるアルキレンイミン鎖としては、下記の式Aで表されるアルキレンイミン鎖、および式Bで表されるアルキレンイミン鎖を挙げることができる。下記式で表されるアルキレンイミン鎖の中で、式Aで表されるアルキレンイミン鎖は、他のポリマー鎖との結合位置を含み得るものである。また、式Bで表されるアルキレンイミン鎖は、他のポリマー鎖と塩架橋基(詳細は後述する。)により結合することができる。また、ポリアルキレンイミン鎖は、直鎖構造のみからなるものであっても、分岐した三級アミン構造を有するものであってもよい。分岐構造を含むものとしては、下記式A中の*において隣接するアルキレンイミン鎖と結合するもの、下記式B中の*において隣接するアルキレンイミン鎖と結合するものを挙げることができる。
式A中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、a1は2以上の整数を表し、*は隣接する他のポリマー鎖(例えば隣接するアルキレンイミン鎖や後述するポリエステル鎖)、または水素原子もしくは置換基との結合位置を表す。
式B中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、a2は2以上の整数を表す。式Bで表されるアルキレンイミン鎖は、アニオン性基を有する他のポリマー鎖と、式B中のNと他のポリマー鎖に含まれるアニオン性基が塩架橋基を形成することにより結合する。
式A、B中の*、および式B中の*は、それぞれ独立に、隣接するアルキレンイミン鎖、または水素原子もしくは置換基と結合する位置を表す。
以下、上記式A、式Bについて、更に詳細に説明する。なお、本発明において、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。ある基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば炭素数1〜6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。
式A中のRおよびR、ならびに式B中のRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基またはエチル基であり、更に好ましくはメチル基である。式A中のRおよびRの組み合わせとしては、一方が水素原子であって他方がアルキル基である態様、両方が水素原子である態様、両方がアルキル基(同一または異なるアルキル基)である態様があり、好ましくは両方が水素原子である態様である。以上の点は、式B中のRおよびRについても、同様である。
アルキレンイミンとして環を構成する炭素数が最小の構造はエチレンイミンであり、エチレンイミンの開環により得られたアルキレンイミン鎖(エチレンイミン鎖)の主鎖の炭素数は2である。したがって、式A中のa1および式B中のa2の下限は2である。即ち、式A中のa1および式B中のa2は、それぞれ独立に、2以上の整数である。強磁性粉末の粒子表面への吸着性の観点からは、式A中のa1および式B中のa2は、それぞれ独立に、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、4以下であることが更に好ましく、2または3であることがいっそう好ましく、2であることがよりいっそう好ましい。
式Aで表されるアルキレンイミン鎖、式Bで表されるアルキレンイミン鎖と他のポリマー鎖との結合の詳細については、後述する。
上記の各アルキレンイミン鎖は、各式中の*で表される位置において、隣接するアルキレンイミン鎖、または水素原子もしくは置換基と結合する。置換基としては、例えばアルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)等の一価の置換基を例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、置換基として、他のポリマー鎖(例えば後述のポリエステル鎖)が結合してもよい。
ポリアルキレンイミン系ポリマーに関し、本発明者らは、ポリアルキレンイミン鎖が、ポリアルキレンイミン系ポリマーが強磁性粉末の粒子表面に吸着するための吸着部として機能し得ると考えている。強磁性粉末の粒子表面への吸着性の観点からは、ポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量は、300以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましい。また同様の観点から、3,000以下であることが好ましく、2,000以下であることがより好ましい。
本発明において、ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量とは、ポリアルキレンイミン系ポリマーを加水分解して得られたポリアルキレンイミンについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求められる値をいう。こうして求められる値は、ポリアルキレンイミン系ポリマーを合成するために用いたポリアルキレンイミンについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求められる値と同様である。したがって、ポリアルキレンイミン系ポリマーを合成するために用いたポリアルキレンイミンについて求めた数平均分子量を、ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量として採用することができる。ポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量の測定条件については、後述の実施例を参照できる。なおポリアルキレンイミンとは、アルキレンイミンの開環重合により得ることができるポリマーである。
また、ポリアルキレンイミン系ポリマーの加水分解は、エステルの加水分解法として通常用いられている各種方法により行うことができる。そのような方法の詳細については、例えば、「実験化学講座14 有機化合物の合成II−アルコール・アミン(第5版)」(日本化学会編、丸善出版、2005年8月発行)95〜98頁に記載の加水分解法に関する記載、「実験化学講座16 有機化合物の合成IV−カルボン酸・アミノ酸・ペプチド(第5版)」(日本化学会編、丸善出版、2005年3月発行)10〜15頁に記載の加水分解法に関する記載等を参照できる。
得られた加水分解物から、液体クロマトグラフィー等の公知の分離手段によりポリアルキレンイミンを分離し、数平均分子量を求めることができる。
強磁性粉末の分散性向上の観点から、ポリアルキレンイミン系ポリマーにおいてポリアルキレンイミン鎖の占める割合(以下、「ポリアルキレンイミン鎖比率」とも記載する。)は、5.0質量%未満であることが好ましく、4.9質量%以下であることがより好ましく、4.8質量%以下であることが更に好ましく、4.5質量%以下であることが一層好ましく、4.0質量%以下であることがより一層好ましく、3.0質量%以下であることが更に一層好ましい。また、同様の観点から、ポリアルキレンイミン鎖比率は、0.2質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。
以上記載したポリアルキレンイミン鎖の占める割合は、例えば、合成時に用いるポリアルキレンイミンとポリエステルとの混合比によって制御することができる。
ポリアルキレンイミン系ポリマーにおいてポリアルキレンイミン鎖の占める割合は、核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;NMR)、より詳しくは、H−NMRおよび13C−NMR、ならびに公知の手法による元素分析による分析結果から、算出することができる。こうして算出される値は、ポリアルキレンイミン系ポリマーの合成原料の配合比から求められる理論値と同様であるため、配合比から求められる理論値を、ポリアルキレンイミン系ポリマーにおけるポリアルキレンイミン鎖の占める割合(ポリアルキレンイミン鎖比率)として採用することができる。
(b)ポリエステル鎖
ポリアルキレンイミン系ポリマーは、以上説明したポリアルキレンイミン鎖とともに、他のポリマー鎖を含むことが好ましい。他のポリマー鎖が磁性層を形成するための組成物中で立体反発鎖として強磁性粉末の粒子同士の凝集を抑える作用を果たすことができると考えられる。この点から、好ましいポリマー鎖は、ポリエステル鎖である。ポリエステル鎖は、一態様では、式Aで表されるアルキレンイミン鎖と、式A中の*において、式Aに含まれる窒素原子Nとカルボニル結合−(C=O)−により結合し、−N−(C=O)−を形成することができる。また、他の一態様では、式Bで表されるアルキレンイミン鎖とポリエステル鎖とが、式B中の窒素カチオンNとポリエステル鎖が有するアニオン性基により塩架橋基を形成することができる。塩架橋基としては、ポリエステル鎖に含まれる酸素アニオンOと式B中のNとにより形成されるものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
式Aで表されるアルキレンイミン鎖と、式Aに含まれる窒素原子Nとカルボニル結合−(C=O)−により結合するポリエステル鎖としては、下記式1で表されるポリエステル鎖を挙げることができる。下記式1で表されるポリエステル鎖は、*で表される結合位置において、アルキレンイミン鎖に含まれる窒素原子とポリエステル鎖に含まれるカルボニル基−(C=O)−とが−N−(C=O)−を形成することにより、式Aで表されるアルキレンイミン鎖と結合することができる。
また、式Bで表されるアルキレンイミン鎖と、式B中のNとポリエステル鎖に含まれるアニオン性基が塩架橋基を形成することにより結合するポリエステル鎖としては、下記式2で表されるポリエステル鎖を挙げることができる。下記式2で表されるポリエステル基は、酸素アニオンOにより、式B中のNと塩架橋基を形成することができる。
式1中のL、式2中のLは、それぞれ独立に二価の連結基を表す。二価の連結基としては、好ましくは炭素数3〜30のアルキレン基を挙げることができる。なおアルキレン基の炭素数は、アルキレン基が置換基を有する場合には、先に記載したように、置換基を除く部分(主鎖部分)の炭素数をいうものとする。
式1中のb11、式2中のb21は、それぞれ独立に2以上の整数を表し、例えば200以下の整数である。後述の実施例に示すラクトン繰り返し単位数は、式1中のb11または式2中のb21に相当する。
式1中のb12、式2中のb22は、それぞれ独立に0または1を表す。
式1中のX、式2中のXは、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。一価の置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基(例えばフルオロアルキル基等)、アルコキシ基、ポリアルキレンオキシアルキル基およびアリール基からなる群から選択される一価の置換基を挙げることができる。
アルキル基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基を有するアルキル基としては、ヒドロキシル基が置換したアルキル基(ヒドロキシアルキル基)、ハロゲン原子が1つ以上置換したアルキル基が好ましい。また、炭素原子と結合する全水素原子がハロゲン原子に置換したアルキル基(ハロアルキル基)も好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。アルキル基としては、より好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基である。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよい。ハロアルキル基についても、同様である。
置換または無置換のアルキル基、ハロアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、へキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、2−ヘキシルデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチルシクロヘキシル基、2−ノルボルニル基、2,2、4−トリメチルペンチル基、アセチルメチル基、アセチルエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ノナデカフルオロノニル基、ヒドロキシウンデシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシペンタデシル基、ヒドロキシヘプタデシル基、ヒドロキシオクタデシル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシメチル基等を挙げることができる。
ポリアルキレンオキシアルキル基とは、R10(OR11)n(O)m−で表される一価の置換基である。R10はアルキル基を表し、R11はアルキレン基を表し、nは2以上の整数を表し、mは0または1を表す。
10で表されるアルキル基については、X、Xで表されるアルキル基について記載した通りである。R11で表されるアルキレン基の詳細については、X、Xで表されるアルキル基に関する上記の記載を、これらアルキレン基から水素原子を1つ取り去ったアルキレン基に読み替えて(例えば、メチル基はメチレン基に読み替えて)適用することができる。nは2以上の整数であり、例えば10以下、好ましくは5以下の整数である。
アリール基は置換基を有していても縮環していてもよく、より好ましくは炭素数6〜 24のアリール基であり、例えばフェニル基、4−メチルフェニル基、4−フェニル安息香酸、3−シアノフェニル基、2−クロロフェニル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。
以上記載した式1、式2で表されるポリエステル鎖は、公知のポリエステル合成法により得られたポリエステル由来の構造であることができる。ポリエステル合成法としては、例えば、ラクトンの開環重合を挙げることができる。ラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、エナントラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、ラクチド等を挙げることができる。なおラクチドは、L体であってもD体であってもよい。ポリエステル合成において、ラクトンは一種のみ用いてもよく、異なる構造の二種以上を用いてもよい。ラクトンとしては、ε−カプロラクトン、ラクチドまたはδ−バレロラクトンが、反応性・入手性の観点から好ましい。ただし、これらに限定されるものではなく、開環重合によりポリエステルを得ることができるものであれば、いずれのラクトンであってもよい。
ラクトンの開環重合のための求核試薬としては、カルボン酸、アルコール等を用いることができ、カルボン酸が好ましい。カルボン酸は一種用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
カルボン酸は、R12(C=O)OHで表すことができ、R12(C=O)−部が、式1で表されるポリエステル鎖において、X−(C=O)−部として存在し得る。式2で表されるポリエステル鎖におけるX−(C=O)−部についても同様である。
12は、非環状構造(直鎖構造または分岐構造)であってもよく、環状構造であってもよい。R12の詳細は、先に式1中のX、式2中のXについて記載した通りである。
カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、n−ヘキサン酸、n−オクタン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸、パルミチン酸、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、ステアリン酸、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、シクロヘキシル酢酸、アダマンタンカルボン酸、アダマンタン酢酸、リシノール酸、12−ヒドロキシドデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、2,2−ビス(ヒロドキシメチル)酪酸、[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)]酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、ブロモ酢酸、ノナフルオロ吉草酸、ヘプタデカフルオロノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、アセチル酢酸、4−オキソバレリン酸、安息香酸、4−フェニル安息香酸、2−ナフトエ酸等が挙げられる。中でも、1分子中の総炭素数(置換基を有するものは置換基の炭素数も含む)が、1〜20のカルボン酸が好ましい。より好ましくは、R12がポリアルキレンオキシアルキル基であるカルボン酸(ポリアルキレンオキシアルキルカルボン酸)、R12がハロアルキル基であるカルボン酸(ハロアルキルカルボン酸)、炭素数6〜20の直鎖脂肪族カルボン酸、炭素数1〜20のヒドロキシル基含有カルボン酸である。
ただし、上記ポリエステル鎖は、ラクトンの開環重合により得られたポリエステル由来の構造に限定されるものではなく、公知のポリエステル合成法、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、等により得られたポリエステル由来の構造であることもできる。
強磁性粉末の分散性向上の観点からは、ポリエステル鎖の数平均分子量は、200以上であることが好ましく、400以上であることがより好ましく、500以上であることが更に好ましい。また、同様の観点から、ポリエステル鎖の数平均分子量は、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましい。ポリエステル鎖の数平均分子量とは、ポリアルキレンイミン系ポリマーを加水分解して得られたポリエステルについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求められる値をいう。こうして求められる値は、ポリアルキレンイミン系ポリマーを合成するために用いたポリエステルについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求められる値と同様である。したがって、ポリアルキレンイミン系ポリマーを合成するために用いたポリエステルについて求めた数平均分子量を、ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリエステル鎖の数平均分子量として採用することができる。ポリエステル鎖の数平均分子量の測定条件については、後述の実施例におけるポリエステルの数平均分子量の測定条件を参照できる。
(c)ポリアルキレンイミン系ポリマーの重量平均分子量
ポリアルキレンイミン系ポリマーの分子量は、重量平均分子量として、例えば1,000以上であり、また例えば80,000以下である。また、ポリアルキレンイミン系ポリマーの重量平均分子量は、1,500以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましく、3,000以上であることが更に好ましい。また、一態様では、ポリアルキレンイミン系ポリマーの重量平均分子量は、60,000以下であることが好ましく、40,000以下であることがより好ましく、35,000以下であることが更に好ましく、34,000以下であることが一層好ましい。
本発明において、ポリアルキレンイミン系ポリマーの重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で求められる値をいう。測定条件については、後述の実施例を参照できる。
(d)合成方法
ポリアルキレンイミン系ポリマーの合成方法は、特に限定されるものではない。合成方法の好ましい一態様としては、ポリアルキレンイミン(以下、「成分A−1」と記載する。)とポリエステル(以下、「成分A−2」と記載する。)とを反応させる方法を挙げることができる。
成分A−1は、先にポリアルキレンイミン鎖について記載した数平均分子量を有することが好ましい。成分A−1の数平均分子量について、測定方法および好ましい範囲等の詳細については、先にポリアルキレンイミン鎖について記載した通りである。
ポリアルキレンイミンとは、先に記載した通り、アルキレンイミンの開環重合により得ることができる重合体である。ポリアルキレンイミンの構造の詳細については、先にポリアルキレンイミン鎖について記載した通りである。
開環重合によりポリアルキレンイミンをもたらすアルキレンイミンとしては、同一二種以上の異なるアルキレンイミンを用いることができる。上記アルキレンイミンの炭素数の詳細については、先に式A、B、C中のa1、a2、a3について記載した通りである。好ましくは炭素数が2〜4のアルキレンイミン、より好ましくは炭素数2または3のアルキレンイミン、更に好ましくは炭素数2のアルキレンイミン、即ちエチレンイミンを用いることができる。なおアルキレンイミンについての炭素数とは、環を構成する炭素数を言うものとする。
成分A−1として使用可能なポリアルキレンイミンは、公知の方法により合成可能であり、また市販品として入手することもできる。
成分A−2はポリエステルであり、成分A−2によってポリアルキレンイミン系ポリマーにポリエステル鎖をもたらすことができる。成分A−2の数平均分子量について、測定方法および好ましい範囲等の詳細については、先にポリエステル鎖について記載した通りである。
成分A−2は、ポリアルキレンイミンと反応し得る官能基を1つ以上有することにより、ポリアルキレンイミンと反応することができる。こうして形成されるポリアルキレンイミン系ポリマーにおいて、先に記載したように、ポリエステル鎖は、好ましくは、−N−(C=O)−または塩架橋基によって、ポリアルキレンイミン鎖を構成するアルキレンイミン鎖と結合することができる。そのような結合をもたらすために好ましくは、ポリエステルは、上記官能基として、一価の酸性基を有することができる。ここで酸性基とは、水中または水を含む溶媒(水性溶媒)中でHを放出しアニオンに解離可能な基をいう。そのような基は、ポリアルキレンイミン鎖と結合を形成し、または塩架橋基を形成することができる。具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、それらの塩の形態等を挙げることができ、好ましくはカルボキシル基およびカルボキシル塩基である。ここでカルボキシル基(−COOH)の塩の形態とは、−COOMにおいてMがアルカリ金属イオン等のカチオンを表すカルボキシル塩基を意味する。他の酸性基の塩の形態についても、同様である。立体反発鎖として有効に機能し得るポリエステル鎖を導入する観点からは、成分A−2に含まれる上記官能基の数は、好ましくは1つである。また同様の観点から、成分A−2において、上記官能基は、好ましくは末端官能基として含まれる。
なお上記では酸性基を水中または水性溶媒に関して規定したが、ポリアルキレンイミン系ポリマーは、水系(ここで「系」とは、「含む」の意味で用いる。)溶媒中で用いられるものに限定されるものではなく、非水系溶媒中で好ましく使用され得る。また、後述する磁性層、非磁性層およびバックコート層の各層形成用組成物に含まれる溶媒も、水系溶媒に限定されるものではなく、非水系溶媒でもよく、好ましくは非水系溶媒である。
ポリエステルの構造の詳細については、先にポリエステル鎖について記載した通りである。以上説明したポリエステルは、公知の方法により合成可能であり、また市販品として入手することもできる。例えばカルボン酸等の求核試薬存在下でラクトンの開環重合を行う方法により、末端官能基としてカルボキシル基を有するポリエステルを得ることができる。ポリエステル合成の合成条件については、公知技術を何ら制限なく適用することができる。末端官能基としてカルボキシル基を有するポリエステルは、式Aで表されるアルキレンイミン鎖と−N−(C=O)−により結合することができる。または、式Bで表されるアルキレンイミン鎖と先に記載した塩架橋基によって結合することができる。カルボン酸の具体例等の詳細については、先に記載した通りである。
以上説明した成分A−1と成分A−2との反応は、溶液重合等の公知の重合方法により行うことができる。例えば成分A−1と成分A−2とを、任意に有機溶媒の存在下で撹拌混合することにより行うことができる。上記反応は、無溶媒でも進行し得る。例えば、成分A−1および成分A−2を含む反応溶液を、空気中または窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱(加熱温度は、例えば50〜200℃)することにより、またはモノブチルすずオキシド等の有機すず化合物、トリメチルアンモニウムブロミド等のアンモニウム塩、ベンジルジメチルアミンなどの3級アミンや4級アンモニウム塩等の触媒を添加しながら加熱(加熱温度は、例えば40〜150℃)することにより、上記反応を行うことができる。有機溶媒の例としては、例えば、酢酸エチル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、トルエン等が挙げられる。
(e)他のポリマー鎖
ポリアルキレンイミン系ポリマーは、ポリマー鎖として、ポリエステル鎖以外のポリマー鎖を有するものであってもよく、ポリエステル鎖とともにポリエステル鎖以外のポリマー鎖を有するものであってもよい。そのようなポリマー鎖も、ポリエステル鎖の導入について上記した方法と同様の方法によって、ポリアルキレンイミン系ポリマーに導入することができる。
(f)ポリアルキレンイミン系ポリマーの含有量
磁性層が、以上説明したポリアルキレンイミン系ポリマーを含む場合、強磁性粉末の分散性を高める観点から、磁性層におけるポリアルキレンイミン系ポリマーの含有量は、強磁性粉末100.00質量部に対して0.50質量部以上とすることが好ましく、1.00質量部以上とすることがより好ましい。他方、高密度記録の観点からは、強磁性粉末の充填率を高くするために他の成分の含有量は相対的に低くすることが好ましい。この点からは、磁性層におけるポリアルキレンイミン系ポリマーの含有量は、強磁性粉末100.00質量部に対して50.00質量部以下とすることが好ましく、40.00質量部以下とすることがより好ましい。なお上記ポリアルキレンイミン系ポリマーによれば、例えば平均粒子サイズが50nm以下の高密度記録に好適な粒子サイズの小さな強磁性粉末の分散性を高めることができる。
以上説明した磁性層は、非磁性支持体上に、非磁性層を介して設けられる。非磁性層、非磁性支持体の詳細については、後述する。
<非磁性層>
次に非磁性層について説明する。本発明の磁気テープは、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有する。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラックも使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報段落0146〜0150、特開2013−049832号公報段落001〜0020を参照できる。
非磁性層における非磁性粉末の含有量は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
先に記載したように、非磁性層の非磁性粉末としてカーボンブラックを使用することが、前述の質量比を調整するための手段の1つとして挙げられる。非磁性層の非磁性粉末は、例えば非磁性粉末全量100.00質量部に対して、10.00質量部以上のカーボンブラックを含むことができ、20.00質量部以上のカーボンブラックを含むこともできる。また、非磁性粉末全量がカーボンブラック(すなわち上記含有量が100.00質量部)であってもよい。
非磁性層に含まれる潤滑剤については、先に記載した通りである。
非磁性層の結合剤、分散剤等の添加剤、溶媒、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。また、非磁性層に添加可能な成分については、例えば特開2010−24113号公報段落0040〜0042も参照できる。
また、非磁性層の添加剤の一例としては、非磁性粉末の分散性を向上するための分散剤として機能することができる添加剤を挙げることができる。そのような添加剤としては、例えば、有機三級アミンを挙げることができる。有機三級アミンは、非磁性粉末としてカーボンブラックを含む非磁性層に添加することが好ましい。添加することにより、カーボンブラックの分散性を向上することができる。有機三級アミンについては、特開2013−049832号公報段落0011〜0018、0021を参照できる。また、有機三級アミンによりカーボンブラックの分散性を高めるための組成物の処方等については、同公報段落0022〜0024、0027を参照できる。
<バックコート層>
本発明の磁気テープは、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を有することもできる。バックコート層には、カーボンブラック、またはカーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バックコート層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。
一態様では、バックコート層に潤滑剤を含有させることもできる。バックコート層に添加可能な潤滑剤については、磁性層に関する前述の記載を参照できる。潤滑剤量は、バックコート層に含まれるカーボンブラックおよび無機粉末の合計含有量100.00質量部に対し、例えば1.00〜6.00質量部であり、好ましくは2.00〜5.00質量部、より好ましくは2.50〜4.50質量部である。
<非磁性支持体>
次に、非磁性支持体について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。
<各層および非磁性支持体の厚み>
非磁性支持体の厚みは、好ましくは3.00〜80.00μm、より好ましくは3.00〜50.00μm、特に好ましくは3.00〜10.00μmである。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、高密度記録化のためには0.01〜0.10μmであることが好ましく、0.02〜0.09μmであることがより好ましい。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、先に記載した手段の観点から、0.08μm以下であることが好ましく、0.50μm以下であることがより好ましい。また、非磁性層の厚みは、例えば0.02μm以上であり、好ましくは0.03μm以上である。
なお、本発明における磁気テープの非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および抗磁力を持たないことが好ましい。
バックコート層の厚みは、0.90μm以下であることが好ましく、0.10〜0.70μmであることが更に好ましい。
なお磁気テープの各層および非磁性支持体の厚みは、公知の膜厚測定法により求めることができる。一例として、例えば、磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の公知の手法により露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察において厚み方向の1箇所において求められた厚み、または2箇所以上、例えば2箇所、の複数箇所において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めることができる。または、各層の厚みは、製造条件から算出される設計厚みとして求めてもよい。
<磁気テープの製造工程>
本発明の磁気テープは、塗布型磁気テープであり、磁性層、非磁性層、および任意に設けられるバックコート層等の各層を形成するための塗料組成物(塗布液)を用いて製造することができる。以下に、磁気テープの製造工程の具体的態様を説明する。ただし本発明の磁気テープは、下記態様の製造工程により製造されるものに限定されるものではない。
(磁性層形成用組成物)
磁性層形成用塗料組成物(塗布液)は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気テープ製造のために使用される有機溶媒を挙げることができる。磁性層形成用組成物における溶媒含有量は、強磁性粉末100.00質量部に対して、例えば100.00〜1200.00質量部に範囲であり、好ましくは500.00〜1000.00質量部の範囲である。先に記載したように、溶媒量を多くすることは、表面脂肪酸エステル量や前述の質量比の調整のための手段の1つとして挙げられる。
磁性層形成用組成物、および非磁性層等の各層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、各種添加剤、溶媒などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。磁性層形成用塗料組成物については、強磁性粉末を含有する分散液(磁性液)、研磨剤を含有する分散液(研磨剤液)突起形成剤を含有する分散液(突起形成剤液)をそれぞれ別分散して調製した後、同時または順次、潤滑剤等の他の成分と混合し磁性層形成用組成物を調製することが好ましい。潤滑剤、硬化剤、溶媒の一部または全部を、磁性液、研磨剤液および突起形成剤液を混合した混合液に添加してもよい。その他、各層形成用塗料組成物の調製については、特開2010−231843号公報段落0065も参照できる。
(非磁性層形成用組成物、バックコート層形成用組成物)
非磁性層は、非磁性層形成用塗料組成物(塗布液)を、非磁性支持体表面に、例えば直接塗布することにより、形成することができる。非磁性層形成用塗料組成物は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気テープ製造のために使用される有機溶媒を挙げることができる。その他、非磁性層形成用塗料組成物の調製の詳細については、磁性層形成用塗料組成物に関する上述の記載を参照できる。
バックコート層形成用塗料組成物(塗布液)の調製の詳細についても、磁性層形成用塗料組成物に関する上述の記載を参照できる。
(塗布工程)
磁性層は、磁性層形成用塗料組成物を、非磁性層形成用塗料組成物と逐次または同時に重層塗布することにより形成することができる。各層形成のための塗布の詳細については、特開2010−231843号公報段落0066を参照できる。前述の通り、一態様では、逐次重層塗布を行うことが好ましい。
(その他工程)
磁気テープ製造のためのその他の各種工程については、特開2010−231843号公報段落0067〜0070を参照できる。
以上記載した本発明の磁気テープによれば、信号の記録再生時に磁性層表面とヘッドとが接触(摺動)する接触摺動型の磁気記録再生システムにおいて、磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦係数が増大し走行耐久性が低下することを抑制することができる。
以下に、本発明を実施例に基づき説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお、特記しない限り、以下に記載の「部」および「%」は質量基準である。また、以下の操作は室温(約20℃)で実施した。
<ポリアルキレンイミン系ポリマーAの合成>
下記の酸価およびアミン価は、電位差法(溶媒:テトラヒドロフラン/水=100/10(体積比)、滴定液:0.01N(0.01mol/l)水酸化ナトリウム水溶液(酸価)、0.01N (0.01mol/l)塩酸(アミン価))により決定した。
下記の数平均分子量、重量平均分子量は、GPC法により測定しポリスチレン換算値として求めた。
ポリエステル、ポリアルキレンイミン、およびポリアルキレンイミン系ポリマーの平均分子量の測定条件は、それぞれ以下の通りとした。
(ポリエステルの平均分子量の測定条件)
測定器:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel Super HZ 2000/TSKgel Super HZ 4000/TSKgel Super HZ−H(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:0.35mL/min、
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折(RI)検出器
(ポリアルキレンイミンの平均分子量、ポリアルキレンイミン系ポリマーの平均分子量の測定条件)
測定器:HLC−8320GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel Super AWM−H(東ソー社製)3本
溶離液:N−メチル−2−ピロリドン(添加剤として10mM臭化リチウム添加)
流速:0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
なお、ポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量は、以下の方法により求めることもできる。
合成したポリアルキレンイミン系ポリマーを、エステル加水分解法により、例えば、実験化学講座16 有機化合物の合成IV−カルボン酸・アミノ酸・ペプチド(第5版)」(日本化学会編、丸善出版、2005年3月発行)11頁に記載の酸加水分解法により加水分解する。得られた加水分解物から、液体クロマトグラフィーによりポリアルキレンイミンを分離し上記測定条件により測定される数平均分子量を、ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量とすることもできる。
(ポリエステル(i−1)の合成)
500mL3口フラスコに、カルボン酸としてn−オクタン酸(和光純薬社製)16.8g、ラクトンとしてε−カプロラクトン(ダイセル工業化学社製プラクセルM)100g、触媒としてモノブチルすずオキシド(和光純薬社製)(CSn(O)OH)2.2gを混合し、160℃で1時間加熱した。ε−カプロラクトン100gを5時間かけて滴下し更に2時間攪拌した。その後、室温まで冷却しポリエステル(i-1)を得た。
合成スキームを以下に示す。
得られたポリエステルの数平均分子量、重量平均分子量を下記表1に示す。また、原料仕込み比より算出したラクトン繰り返し単位の単位数も下記表1に示す。
(ポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミン)系ポリマーAの合成)
ポリエチレンイミン(日本触媒製SP-006、数平均分子量数平均分子量600)2,4gおよびポリエステル(i−1)100gを混合し、110℃で3時間加熱して、ポリエチレンイミン系ポリマーを得た。
得られたポリアルキレンイミン系ポリマーについて、1H−NMR、13C−NMRの両NMR分析結果および燃焼法による元素分析の分析結果から、ポリアルキレンイミン系ポリマーに占めるポリアルキレンイミン鎖の割合(ポリアルキレンイミン鎖比率)を算出した。結果を表1に示す。算出されたポリアルキレンイミン鎖比率は、ポリアルキレンイミンおよびポリエステルの仕込み量から算出された値と同様の値であった。
<磁気テープの作製>
実施例、比較例で各層形成のために用いた塗料組成物(塗布液)の処方を、以下に示す。下記処方の塗布液を使用し、以下の方法により実施例、比較例の磁気テープを作製した。磁気テープ1〜6は実施例の磁気テープであり、磁気テープ7〜12は比較例の磁気テープである。
(磁気テープ1(実施例)の作製)
磁性層塗布液(1)
(磁性液)
強磁性バリウムフェライト粉末:100.00部
(保磁力Hc:175kA/m(2200Oe)、平均粒子サイズ:27nm)
オレイン酸:1.50部
ポリアルキレンイミン系ポリマーA:10.00部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.00部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):4.00部
2−ブタノン:424.00部
シクロヘキサノン:2220.0部
(研磨剤液)
α−アルミナ(BET比表面積19m/g):7.50部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):0.75部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:0.75部
メチルエチルケトン(2−ブタノン):28.50部
(突起形成剤液)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm):1.00部
2−ブタノン:4.00部
(潤滑剤・硬化剤液)
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
ステアリン酸−Sec−ブチル:6.00部
2−ブタノン:110.00部
シクロヘキサノン:110.00部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート(登録商標)3041):2.50部
非磁性層塗布液(1)
カーボンブラック:100.00部
平均一次粒子サイズ 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET比表面積:250m/g
揮発分:1.5%
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):18.60部
ポリエーテルポリウレタン:11.70部
トリオクチルアミン:4.00部
2−ブタノン:510.00部
シクロヘキサノン:603.00部
ステアリン酸−sec−ブチル:1.50部
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
バックコート層塗布液(1)
カーボンブラック:100部
(平均粒子サイズ40nm、DBP吸油量74cm/100g)
銅フタロシアニン:3.00部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−110):0.04部
ニトロセルロース:31.50部
ポリエステルポリエーテルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−8401):61.60部
α−アルミナ(BET比表面積17m/g):0.60部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート3041):14.40部
2−ブタノン:1106.00部
トルエン:293.00部
シクロヘキサノン:10.00部
ステアリン酸:4.00部
上記磁性液を横型ビーズミル分散機により、粒径0.1mmのジルコニア(ZrO)ビーズ(以下、「Zrビーズ」と記載する)を用い、ビーズ充填率80%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、30パスの分散処理を行った。
研磨剤液は、上記成分を混合した後、粒径0.3mmのZrビーズとともに横型ビーズミル分散機に入れ、ビーズ体積/(研磨剤液体積+ビーズ体積)が80%になるように調整し、120分間ビーズミル分散処理を行い、処理後の液を取り出し、フロー式の超音波分散濾過装置を用いて、超音波分散濾過処理を施した。
磁性液、突起形成剤液および研磨剤液と、潤滑剤・硬化剤液をディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、フロー式超音波分散機により流量7.5kg/分で3パス処理した後に、1μmのフィルタで濾過して磁性層塗布液(1)を作製した。
非磁性層塗布液(1)は以下の方法によって作製した。
潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)を除く、上記成分をオープン型ニーダーにより混練・希釈処理して、その後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、潤滑剤を添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施して非磁性層塗布液を作製した。
バックコート層塗布液(1)は以下の方法によって作製した。
潤滑剤(ステアリン酸)およびポリイソシアネートを除く、上記成分をディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、潤滑剤(ステアリン酸)およびポリイソシアネートを添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施し、バックコート層塗布液を作製した。
厚さ3.6μmのアラミド支持体上に、乾燥後の厚さが0.13μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、乾燥後の厚さが0.07μmになるように磁性層塗布液を塗布し乾燥させた。
バックコート層塗布液を、上記支持体の非磁性層と磁性層を形成した面とは反対面に乾燥後の厚さが0.50μmになるように塗布し乾燥させた。
その後、金属ロールのみから構成されるカレンダで速度40m/min、線圧300kg/cm(294kN/m)、温度100℃でカレンダ処理(表面平滑化処理)を行った。その後、70℃環境で36時間熱処理を行った。熱処理後、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ1を得た。
(磁気テープ2(実施例)の作製)
磁性層塗布液(2)
(磁性液)
強磁性バリウムフェライト粉末:100.00部
(Hc:175kA/m(2200Oe)、平均粒子サイズ:27nm)
オレイン酸:1.50部
ポリアルキレンイミン系ポリマーA:10.00部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.00部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):4.00部
2−ブタノン:377.00部
シクロヘキサノン:220.00部
(研磨剤液)
α−アルミナ(BET比表面積19m/g):6.00部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):0.60部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:0.60部
2−ブタノン:22.80部
(突起形成剤液)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm):2.30部
2−ブタノン:9.20部
(潤滑剤・硬化剤液)
ステアリン酸:2.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
ステアリン酸−sec−ブチル:6.00部
2−ブタノン:110.00部
シクロヘキサノン:110.00部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート3041):2.50部
非磁性層塗布液(2)
カーボンブラック:100.00部
平均一次粒子サイズ 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET比表面積:250m/g
揮発分:1.5%
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):18.60部
ポリエーテルポリウレタン:11.70部
トリオクチルアミン:4.00部
2−ブタノン:623.00部
シクロヘキサノン:687.00部
ステアリン酸−sec−ブチル:1.50部
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
バックコート層塗布液(2)
カーボンブラック(平均粒子サイズ40nm、DBP吸油量74cm/100g):20.00部
酸化鉄:80.00部
表面処理剤:Al、SiO
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
タップ密度:0.8
針状比:7
BET比表面積:52m/g
pH:8
DBP吸油量:33g/100g
フェニルホスホン酸:3.00部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):11.90部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−110):0.40部
ポリエーテルポリウレタン:7.50部
α−アルミナ(BET比表面積17m/g):4.60部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート3041):5.00部
2−ブタノン:324.00部
トルエン:2.50部
シクロヘキサノン:262.00部
ステアリン酸:1.00部
磁性層塗布液(2)は、上記処方のものを、磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
非磁性層塗布液(2)は、上記処方のものを、非磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
バックコート層塗布液(2)は、上記処方のものを、バックコート層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
厚さ3.6μmのアラミド支持体上に、乾燥後の厚さが0.16μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、磁気テープ1の作製と同様の方法で磁性層、バックコート層を形成し、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ2を得た。
(磁気テープ3(実施例)の作製)
磁性層塗布液(3)
(磁性液)
強磁性バリウムフェライト粉末:100.00部
(Hc:175kA/m(2200Oe)、平均粒子サイズ:27nm)
オレイン酸:1.50部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):12.50部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):5.00部
2−ブタノン:421.00部
シクロヘキサノン:220.00部
(研磨剤液)
α−アルミナ(BET比表面積19m/g):7.50部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):0.75部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:0.75部
2−ブタノン:28.50部
(突起形成剤液)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm):1.00部
2−ブタノン:4.00部
(潤滑剤・硬化剤液)
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
ステアリン酸−sec−ブチル:6.00部
2−ブタノン:110.00部
シクロヘキサノン:110.00部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート3041):2.50部
磁性層塗布液(3)は上記処方のものを、磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
非磁性層塗布液としては、非磁性層塗布液(2)を使用した。
バックコート層塗布液は、バックコート層塗布液(1)を使用した。
厚さ3.6μmのアラミド支持体上に、乾燥後の厚さが0.16μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、磁気テープ1の作製と同様の方法で磁性層、バックコート層を形成し、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ3を得た。
(磁気テープ4(実施例)の作製)
磁性層塗布液は、磁性層塗布液(1)を使用した。
非磁性層塗布液は、非磁性層塗布液(2)を使用した。
バックコート層塗布液は、バックコート層塗布液(1)を使用した。
厚さ5.0μmのポリエチレンテレフタレート(PET)支持体上に、乾燥後の厚さが0.16μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、磁気テープ1の作製と同様の方法で磁性層、バックコート層を形成し、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ4を得た。
(磁気テープ5(実施例)の作製)
磁性層塗布液(4)
(磁性液)
強磁性バリウムフェライト粉末:100.00部
(Hc:175kA/m(2200Oe)、平均粒子サイズ:27nm)
オレイン酸:1.50部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.0部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡製:UR−4800):4.30部
2−ブタノン:365.00部
シクロヘキサノン:220.00部
(研磨剤液)
α−アルミナ(BET比表面積19m/g):12.50部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):1.25部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:1.25部
2−ブタノン:47.50部
(突起形成剤液)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm):2.30部
2−ブタノン:9.20部
(潤滑剤・硬化剤液)
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
ステアリン酸−Sec−ブチル:6.00部
2−ブタノン:110.00部
シクロヘキサノン:110.00部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート3041):2.50部
非磁性層塗布液(3)
カーボンブラック:25.00部
平均一次粒子サイズ 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET比表面積:250m/g
揮発分:1.5%
酸化鉄:75.00部
表面処理剤:Al、SiO
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
タップ密度:0.8
針状比:7
BET比表面積:52m/g
pH:8
DBP吸油量:33g/100g
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):11.90部
ポリエーテルポリウレタン:7.50部
フェニルホスホン酸:3.00部
2−ブタノン:409.00部
シクロヘキサノン:396.00部
ステアリン酸−sec−ブチル:1.50部
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
磁性層塗布液(4)は、上記処方のものを、磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
非磁性層塗布液(3)は、上記処方のものを、非磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
バックコート層塗布液は、バックコート層塗布液(2)を使用した。
厚さ3.6μmのアラミド支持体上に、乾燥後の厚さが0.16μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、磁気テープ1の作製と同様の方法で磁性層、バックコート層を形成し、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ6を得た。
(磁気テープ6(実施例)の作製)
磁性層塗布液(5)
(磁性液)
強磁性バリウムフェライト粉末:100.00部
(Hc:175kA/m(2200Oe)、平均粒子サイズ:27nm)
オレイン酸:1.50部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.00部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡製:UR−4800):4.00部
2−ブタノン:365.00部
シクロヘキサノン:220.00部
(研磨剤液)
α−アルミナ(BET比表面積19m/g):4.50部
2−ブタノン:17.10部
(突起形成剤液)
カーボンブラック(平均粒子サイズ0.08μm):0.50部
2−ブタノン:9.20部
(潤滑剤・硬化剤液)
ステアリン酸:0.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
ステアリン酸−Sec−ブチル:1.50部
2−ブタノン:110.00部
シクロヘキサノン:110.00部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート3041):2.50部
磁性層塗布液(5)は、上記処方のものを、磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
非磁性層塗布液は、非磁性層塗布液(3)を使用した。
バックコート層塗布液は、バックコート層塗布液(2)を使用した。
厚さ5.0μmのPET支持体上に、乾燥後の厚さが0.70μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、磁気テープ1の作製と同様の方法で磁性層、バックコート層を形成し、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ6を得た。
(磁気テープ7(比較例)の作製)
磁性層塗布液(6)
(磁性液)
強磁性バリウムフェライト粉末:100.00部
(Hc:175kA/m(2200Oe)、平均粒子サイズ:27nm)
オレイン酸:1.50部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:6.00部
トリオクチルアミン:0.60部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.00部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):4.00部
2−ブタノン:424.00部
シクロヘキサノン:222.00部
(研磨剤液)
α−アルミナ(BET比表面積19m/g):7.50部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):0.75部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:0.75部
2−ブタノン:28.50部
(突起形成剤液)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm):1.00部
2−ブタノン:4.00部
(潤滑剤・硬化剤液)
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
ステアリン酸−Sec−ブチル:6.00部
2−ブタノン:110.00部
シクロヘキサノン:110.00部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート3041):2.50部
磁性層塗布液(6)は、上記処方のものを、磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
非磁性層塗布液は、非磁性層塗布液(1)を使用した。
バックコート層塗布液は、バックコート層塗布液(1)を使用した。
厚さ5.0μmのPET支持体上に、乾燥後の厚さが0.13μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、磁気テープ1の作製と同様の方法で磁性層、バックコート層を形成し、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ7を得た。
(磁気テープ8(比較例)の作製)
磁性層塗布液(7)
(磁性液)
強磁性バリウムフェライト粉末:100.00部
(Hc:175kA/m(2200Oe)、平均粒子サイズ:27nm)
オレイン酸:1.50部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:6.00部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):4.00部
2−ブタノン:424.00部
シクロヘキサノン:222.00部
(研磨剤液)
α−アルミナ(BET比表面積19m/g):7.50部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):0.75部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:0.75部
2−ブタノン:28.50部
(突起形成剤液)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm):1.00部
2−ブタノン:4.00部
(潤滑剤・硬化剤液)
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
ステアリン酸−Sec−ブチル:6.00部
2−ブタノン:110.00部
シクロヘキサノン:110.00部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート3041):2.50部
非磁性層塗布液(4)
カーボンブラック:100.00部
平均粒子サイズ 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET法比表面積:250m/g
揮発分:1.5%
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):18.60部
ポリエーテルポリウレタン:11.70部
トリオクチルアミン:6.00部
2−ブタノン:510.00部
シクロヘキサノン:603.00部
ステアリン酸−sec−ブチル:1.50部
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
磁性層塗布液(7)は、上記処方のものを、磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
非磁性層塗布液(4)は、上記処方のものを、非磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
バックコート層塗布液は、バックコート層塗布液(1)を使用した。
厚さ5.0μmのPET支持体上に、乾燥後の厚さが0.13μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、磁気テープ1の作製と同様の方法で磁性層、バックコート層を形成し、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ8を得た。
(磁気テープ9(比較例)の作製)
非磁性層塗布液(5)
カーボンブラック:100.00部
平均粒子サイズ 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET比表面積:250m/g
揮発分:1.5%
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):18.6部0
ポリエーテルポリウレタン:11.70部
トリブチルアミン:6.00部
2−ブタノン:510.00部
シクロヘキサノン:603.00部
ステアリン酸−sec−ブチル:1.50部
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
磁性層塗布液は、磁性層塗布液(7)を使用した。
非磁性層塗布液(5)は、上記処方のものを、非磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
バックコート層塗布液は、バックコート層塗布液(1)を使用した。
厚さ5.0μmのPET支持体上に、乾燥後の厚さが0.13μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、磁気テープ1の作製と同様の方法で磁性層、バックコート層を形成し、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ9を得た。
(磁気テープ10(比較例)の作製)
非磁性層塗布液(6)
カーボンブラック:100.00部
平均粒子サイズ 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET比表面積:250m/g
揮発分:1.5%
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):18.60部
ポリエーテルポリウレタン:11.7部
アゾ系分散剤(日本化薬社製カヤセル(登録商標)イエローCGから特開2014−009344号公報の実施例1に記載の方法により精製した固形物):4.00部
2−ブタノン:510.00部
シクロヘキサノン:603.00部
ステアリン酸−sec−ブチル:1.50部
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
磁性層塗布液は、磁性層塗布液(7)を使用した。
非磁性層塗布液(6)は、上記処方のものを、非磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
バックコート層塗布液は、バックコート層塗布液(1)を使用した。
厚さ5.0μmのPET支持体上に、乾燥後の厚さが0.13μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、磁気テープ1の作製と同様の方法で磁性層、バックコート層を形成し、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ10を得た。
(磁気テープ11(比較例)の作製)
非磁性層塗布液(7)
カーボンブラック:100.00部
平均粒子サイズ 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET比表面積:250m/g
揮発分:1.5%
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):18.60部
ポリエーテルポリウレタン:11.70部
銅フタロシアニン(日本ルブリゾール社製Solsperse5000):4.00部
2−ブタノン:510.00部
シクロヘキサノン:603.00部
ステアリン酸−sec−ブチル:1.50部
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
磁性層塗布液は、磁性層塗布液(7)を使用した。
非磁性層塗布液(7)は、上記処方のものを、非磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
バックコート層塗布液は、バックコート層塗布液(1)を使用した。
厚さ5.0μmのPET支持体上に、乾燥後の厚さが0.13μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、磁気テープ1の作製と同様の方法で磁性層、バックコート層を形成し、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ11を得た。
(磁気テープ12(比較例)の作製)
磁性層塗布液(8)
(磁性液)
強磁性バリウムフェライト粉末:100.00部
(Hc:175kA/m(2200Oe)、平均粒子サイズ:27nm)
オレイン酸:1.50部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:6.00部
トリオクチルアミン:0.60部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.00部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):4.00部
2−ブタノン:424.00部
シクロヘキサノン:222.00部
(研磨剤液)
α−アルミナ(BET比表面積19m/g):7.50部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡社製:UR−4800):0.75部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:0.75部
2−ブタノン:28.50部
(突起形成剤液)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm):1.00部
2−ブタノン:4.00部
(潤滑剤・硬化剤液)
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
2−ブタノン:110.00部
シクロヘキサノン:110.00部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート3041):2.50部
非磁性層塗布液(8)
カーボンブラック:100.00部
平均粒子サイズ 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET比表面積:250m/g
揮発分:1.5%
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):18.60部
ポリエーテルポリウレタン:11.70部
トリオクチルアミン:4.00部
2−ブタノン:510.00部
シクロヘキサノン:603.00部
ステアリン酸:1.50部
ステアリン酸アミド:0.15部
磁性層塗布液(8)は、上記処方のものを、磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
非磁性層塗布液(8)は、上記処方のものを、非磁性層塗布液(1)と同様の方法で作製した。
バックコート層塗布液は、バックコート層塗布液(1)を使用した。
厚さ5.0μmのPET支持体上に、乾燥後の厚さが0.13μmになるように非磁性層塗布液を塗布し乾燥させた後、磁気テープ1の作製と同様の方法で磁性層、バックコート層を形成し、1/2インチ幅にスリットを行い磁気テープ12を得た。
<磁気テープの評価>
(表面脂肪酸エステル量、表面脂肪酸アミド量、表面脂肪酸量、質量比)
作製した各磁気テープのバックコート層をシクロヘキサノンを染み込ませた不織布ワイパー(旭化成製商品ベンコット)を用いてふき取った。不織布ワイパーにバックコート層由来の黒色物が付かなくなるまでふき取り操作を行った後、長手方向5m切り出してテープ試料を得た。
得られたテープ試料をビーカーに入れ、このビーカーに120mlのn−ヘキサンを注入した後、ビーカーに蓋をした。
上記テープ試料をn−ヘキサンに5分間浸漬した。n−ヘキサン注入後、1分後と4分後に各30秒ずつビーカーを人の手により振とうさせてビーカー内のn−ヘキサンを撹拌した。
浸漬から5分後にコニカルビーカー内のn−ヘキサンを100mlメスシリンダーで測り取りビーカーに入れ、ビーカーをドラフト内に放置し、n−ヘキサンを蒸発させた。
その後、ビーカーにn−ヘキサンを入れ、ガスクロマトグラフィー法にて以下の測定条件により脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドを検出し、予め用意した検量線を用いて定量した。測定値から、表面脂肪酸エステル量、表面脂肪酸アミド量、表面脂肪酸量、および各種質量比を求めた。また、ガスクロマトグラフィーのピーク位置から、抽出成分にはステアリン酸ブチル、ステアリン酸、ステアリン酸アミドが含まれていることを確認した。なおオレイン酸は検出されなかった。これは、オレイン酸は磁性層において強磁性粉末の分散剤として作用し、強磁性粉末の表面に吸着しているためと考えられる。
(測定条件)
装置:島津社製GC−17A
カラム:DB−1
カラム温度:50℃
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
カラム昇温プログラム:50℃/5分→10℃/1分で250℃に昇温→250℃/10分
検出器:島津社製GC−17A
カラム:アジレント・テクノロジー社製DB−5MS(30m×0.25mm×0.25μm)
カラム温度:40℃
試料気化室温度:100℃
検出器部分温度:250℃
試料注入量:1μl
温度レート:40℃/6min→昇温30℃/min→210℃/8min
(走行耐久性の評価)
テープ長300mにわたって走行速度6m/sで7500往復走行させ、磁気テープとヘッドを摺動させた。
摺動後の磁気テープの磁性層表面を光学顕微鏡200倍倍率にて観察し、磁性層表面の傷の有無を確認した。傷が確認されなかったものをA、傷が確認されたものをBと判定した。
また、実施例の磁気テープについては、上記往復走行中に摩擦係数を測定し、走行1往復目と走行7500往復目の摩擦係数の上昇分の変化が0.1未満のものをA、0.1以上のものをBとした。なお実施例の磁気テープには走行7500往復後に摩擦係数が0.3を超えるものはなかった。
なお比較例の磁気テープは上記往復走行により傷が発生したため、傷に起因して摩擦係数を安定に検出することができなかった。したがって比較例の磁気テープについては、摩擦係数の測定は行わなかった。
以上の結果を、表2に示す。
表2に示す結果から、実施例の磁気テープが、優れた走行耐久性を有する(繰り返し走行による傷の発生が抑制されている)ことが確認できる。
本発明は、長期にわたり高い信頼性を持って使用可能であることが求められるデータバックアップテープ等のデータストレージ用磁気テープの製造分野において有用である。

Claims (14)

  1. 非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、該非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、
    脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよび脂肪酸を、前記磁性層および非磁性層の一層または両層に含み、かつ該磁性層および非磁性層はそれぞれ、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよび脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含み、
    n−ヘキサンにより前記磁性層表面から抽出される抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量は、1.00〜10.00mg/mの範囲であり、
    前記抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量の磁性層単位面積あたりの脂肪酸アミド量と脂肪酸量との合計量に対する質量比、脂肪酸エステル量/(脂肪酸アミド量+脂肪酸量)、は、1.00〜3.00の範囲であり、かつ
    前記磁性層の厚さは0.01〜0.10μmの範囲である磁気テープ。
  2. 前記磁性層および非磁性層の両層が、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドおよび脂肪酸を含む請求項1に記載の磁気テープ。
  3. 前記抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量の磁性層単位面積あたりの脂肪酸アミド量に対する質量比、脂肪酸エステル量/脂肪酸アミド量、は、5.00〜20.00の範囲である請求項1または2に記載の磁気テープ。
  4. 前記抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量の磁性層単位面積あたりの脂肪酸量に対する質量比、脂肪酸エステル量/脂肪酸量、は、1.00〜6.00の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  5. 前記抽出成分における、磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量の磁性層単位面積あたりの脂肪酸アミド量に対する質量比、脂肪酸エステル量/脂肪酸アミド量、は5.00〜20.00の範囲であり、かつ磁性層単位面積あたりの脂肪酸エステル量の磁性層単位面積あたりの脂肪酸量に対する質量比、脂肪酸エステル量/脂肪酸量、は1.00〜6.00の範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  6. 前記非磁性層の非磁性粉末は、カーボンブラックを少なくとも含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  7. 前記非磁性層の非磁性粉末は、非磁性粉末全量100.00質量部に対して10.00〜100.00質量部のカーボンブラックを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  8. 前記非磁性層の厚さは0.03〜0.70μmの範囲である請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  9. 前記磁性層は、ポリアルキレンイミン系ポリマーを含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  10. 前記ポリアルキレンイミン系ポリマーにおいてポリアルキレンイミン鎖が占める割合は、5.0質量%未満である請求項9に記載の磁気テープ。
  11. 前記ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量は、300〜3,000の範囲である請求項9または10に記載の磁気テープ。
  12. 前記ポリアルキレンイミン系ポリマーは、ポリエステル鎖を含む請求項9〜11のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  13. 前記非磁性支持体上に前記非磁性層を形成するための塗料組成物を塗布および乾燥して非磁性層を形成した後に、該非磁性層上に、前記磁性層を形成するための塗料組成物を塗布および乾燥することにより形成された磁気テープである請求項1〜12のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の磁気テープの製造方法であって、
    前記非磁性支持体上に前記非磁性層を形成するための塗料組成物を塗布および乾燥して前記非磁性層を形成すること、ならびに、
    形成された非磁性層上に、前記磁性層を形成するための塗料組成物を塗布および乾燥することにより前記磁性層を形成すること、
    を含む、前記磁気テープの製造方法。
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