以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る携帯端末の一例である携帯電話1の外観斜視図を示す。なお、以下では、携帯電話1について説明するが、本発明は携帯電話装置に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であっても良い。
図1に示すように、携帯電話1は、操作部側筐体部2と、表示部側筐体部3と、を備える。操作部側筐体部2(第1の筐体)と表示部側筐体部3(第2の筐体)とは、ヒンジ機構を備える連結部4を介して開閉可能に連結される。具体的には、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、連結部4を介して連結される。これにより、携帯電話1は、ヒンジ機構を介して連結された操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを相対的に動かすことが可能に構成される。つまり、携帯電話1は、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが開いた状態(開状態)と、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが折り畳まれた状態(閉状態)とにすることができる。ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。
操作部側筐体部2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bとにより構成される。操作部側筐体部2は、フロントケース2a側の外面である操作面16に、操作部11と、携帯電話1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイクとしての音声入力部12とがそれぞれ露出するように構成される。
操作部11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う操作部材としての決定操作キー15とにより構成される。操作部11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3との開閉状態や各種モード、或いは起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
音声入力部12は、操作部側筐体部2の長手方向における連結部4側と反対の端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話1が開状態において一方の端部側に配置される。
操作部側筐体部2における一方側の側面には、外部機器(例えば、ホスト装置)と通信を行うためのインターフェース(図示せず)が配置される。操作部側筐体部2の他方側の側面には、所定の機能が割り当てられているサイドキーと、外部メモリの挿入及び取り出しが行われるインターフェース(図示せず)とが配置される。インターフェースは、キャップにより覆われている。各インターフェースは、不使用時にはキャップにより覆われる。
表示部側筐体部3は、外面がフロントパネル3aと、フロントケース3bと、リアケース3cと、リアパネル3dとにより構成される(図3参照)。表示部側筐体部3は、フロントパネル3a側の外面である表示面17に、各種情報を表示するための表示部としてのディスプレイ21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバとしての音声出力部22と、被写体を撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラ等により構成される撮像部23と、音楽等を外部に出力するスピーカ24と、が外部に露出するように配置される。
ディスプレイ21は、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とから構成される。
図2は、操作部側筐体部2の分解斜視図である。図2に示すように、操作部側筐体部2は、フロントケース2aと、キー構造部40と、ヒンジモジュール45と、キー基板50と、シールドケース60と、回路基板70と、バッテリリッド2cを備えたリアケース2bと、バッテリ81とを備える。
フロントケース2aとリアケース2bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース2aとリアケース2bとの間には、キー構造部40と、FPC部90を有するキー基板50と、シールドケース60と、回路基板70とが挟まれるようにして内蔵される。
フロントケース2aには、携帯電話1を折り畳んだ状態で表示部側筐体部3のディスプレイ21と対向する内側面に、キー孔13a、14a、15aが形成される。キー孔13a、14a、15aそれぞれからは、機能設定操作キー13を構成する機能設定操作キー部材13bの押圧面、入力操作キー14を構成する入力操作キー部材14bの押圧面、及び決定操作キー15を構成する決定操作キー部材15bの押圧面が露出される。この露出した機能設定操作キー部材13b、入力操作キー部材14b及び決定操作キー部材15bの押圧面を押し下げるように押圧することで、対応するキースイッチ51、52、53それぞれに設けられる後述のメタルドーム(椀状形状)の頂点が押圧され、スイッチ端子に接触して電気的に導通する。
キー構造部40は、操作部材40Aと、補強部材としてのキーフレーム40Bと、シート部材としてのキーシート40Cと、により構成される。
操作部材40Aは、複数のキー操作部材により構成される。具体的には、機能設定操作キー部材13bと、入力操作キー部材14bと、決定操作キー部材15bとにより構成される。操作部材40Aを構成する各操作キー部材それぞれは、後述するキーフレーム40Bを挟んでキーシート40Cに接着される。キーシート40Cに接着された各操作キー部材それぞれにおける押圧面は、上述の通り、キー孔13a、14a、15aそれぞれから外部に露出して配置される。
キーフレーム40Bは、孔部14cが複数形成された金属性の板状部材である。キーフレーム40Bは、入力操作キー部材14bの押圧による回路基板70等への悪影響を防ぐための補強部材である。また、キーフレーム40Bは導電性の部材であり、入力操作キー部材14bにおける静電気を逃がすための部材としても機能する。キーフレーム40Bに形成される複数の孔部14cには、後述するキーシート40Cに形成される凸部14dが嵌合するように配置される。そして、この凸部14dに入力操作キー部材14bが接着される。
キーシート40Cは、可撓性を有するシリコンゴム製のシート状部材である。キーシート40Cには、上述の通り、複数の凸部14dが形成される。複数の凸部14dは、キーシート40Cにおけるキーフレーム40Bが配置される側の面に形成される。この複数の凸部14dそれぞれは、後述するキースイッチ52に対応する位置に形成される。
フロントケース2aにおける連結部4近傍の部位には、孔部4aが形成される。孔部4aには、ヒンジモジュール45が配置される。ヒンジモジュール45は、金属で構成されており、略円柱状である。
キー基板50は、キーシート40C側の面である第1面50aに配置される複数のキースイッチ51、52、53を有する。複数のキースイッチ51、52、53、それぞれは、各操作部材40Aに対応する位置に配置される。キー基板50に配置されるキースイッチ51、52、53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、キー基板50の表面に印刷された電気回路(図示せず)に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通するように構成される。また、キー基板50における第2面50b側には、複数の電極配線が形成される。このキー基板50は、基板としてのFPC部90を介して回路基板70と電気的に接続される。
シールドケース60は、平面視矩形で、回路基板70側の面が開放された薄型の箱状である。このシールドケース60は、平板部61と、この平板部61の周縁部から略垂直に突出するリブ部62と、を備える。シールドケース60は、リブ部62が回路基板70に形成された基準電位パターン層75に当接するように配置される。シールドケース60は、金属材料により形成されており、導電性を有する。
回路基板70は、一方の面70aに形成された基準電位パターン層75を有する。また、この回路基板70には、携帯電話装置用のRFモジュール等の各種電子部品(図示せず)や高周波信号の処理を行うRF回路部33が実装されている。
図3は、表示部側筐体部3の分解斜視図である。図3に示すように、表示部側筐体部3は、フロントパネル3aと、フロントケース3bと、ディスプレイ21と、ディスプレイ21が接続された回路基板80と、リアケース3cと、リアパネル3dとを備える。リアパネル3dは、表示部側筺体部3の外観を構成する部材である。リアパネル3dは、板状の金属部材で構成されており、表面には例えば外観色の塗装が施される。また、表示部側筐体部3においては、フロントパネル3aと、フロントケース3bと、ディスプレイ21と、回路基板80と、リアケース3cと、リアパネル3dとが積層的に配置される。
図3に示すように、フロントケース3bとリアケース3cとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース3bとリアケース3cとの間には、ディスプレイ21と、回路基板80とが挟まれるようにして内蔵される。ディスプレイ21は、板金部材21aによって保持される。板金部材21aがフロントケース3b又はリアケース3cに対して係合することで、ディスプレイ21がフロントケース3b又はリアケース3cに対して位置決めされる。また、回路基板80には、不図示の基準電位パターン層が形成されている。
また、携帯電話1では、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3との間において、図示しないフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits:以下FPCと称す)により、表示部側筐体部3の内部に配設されている回路基板80と、操作部側筐体部2の内部に配設されている回路基板70とが電気的に接続されている。
なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話装置の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話装置の形態としては特にこれに限られず、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)等であっても良い。
本発明に係る携帯電話1は、操作部側筐体部2に係る構成及び表示部側筐体部3に係る構成のいずれか一方側をアンテナの放射素子とし、他方側をアンテナのグランド部として、筐体全体によって1個のアンテナ(ダイポールアンテナ)を構成している。
ここで、当該機能を発揮するための構成について、図4乃至図8に示す模式図を用いて説明する。なお、以下では、操作部側筐体部2に係る構成及び表示部側筐体部3に係る構成によって構成されるアンテナは、例えば、地上波デジタル放送を受信するものと想定して説明するが、これに限られず、CDMA(Code Division Multiple Access)通信に利用されるメインアンテナとして利用されても良い。
まず、図4及び図5を用いて、第1の構成について説明する。携帯電話1は、図4に示すように、操作部側筺体部2と、表示部側筺体部3と、回路部34と、第1導電部35と、第2導電部36と、第3導電部37と、第4導電部38と、を有する。
回路部34は、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3のいずれか一方に配置され、グランド部31、給電部32、及び信号処理部33を有する。信号処理部33は、アンテナ特性に影響がないように、グランド部31と同電位に構成しておく。
第1導電部35は、操作部側筺体部2に配置される。第1導電部35は、例えば、回路基板70の基準電位パターン層75である。第1導電部35は、基準電位パターン層75と電気的に接続されるシールドケース60であってもよい。或いは、第1導電部35は、操作部側筺体部3の外観を構成する部材であってもよい。
第2導電部36は、操作部側筺体部2に配置される。第2導電部36は、例えば、ヒンジモジュール45である。第2導電部36は、給電部32と電気的に接続される。後述するように、第2導電部36は、第3導電部37及び第4導電部38の各々と容量的に結合される位置に配置される。
第3導電部37及び第4導電部38は、各々表示部側筺体部3に配置される。第3導電部37は、例えば、ディスプレイ21を保持する板金部材21aである。第4導電部38は、例えば、操作部側筺体部3の外観を構成する金属製のリアパネル3dである。第3導電部37、回路基板80及び第4導電部38は、表示部側筺体部3の厚さ方向に重なって配置される。或いは、第3導電部37、回路基板80及び第4導電部38は、各々が板状部材である場合、第3導電部37、回路基板80及び第4導電部38各々の厚さ方向に重なって配置される。
図4及び図5に示すように、第2導電部36と第3導電部37とは、操作部側筺体部2と表示部側筺体部3とが開いた状態で一方の筺体部から他方の筺体部へ向かう方向に沿って対向して配置される。第2導電部36と第4導電部38とも、同様の方向に対向して配置される。そして、第2導電部36と第3導電部37とは容量結合している。同様に、第2導電部36と第4導電部38とは容量結合している。また、図5に示すように、第3導電部37と回路基板80の基準電位パターンとは容量結合している。同様に、第4導電部38と回路基板80の基準電位パターンとは容量結合している。
尚、図5においては、第2導電部36と第3導電部37との間、第2導電部36と第4導電部38との間、第3導電部37と回路基板80の基準電位パターンとの間及び第4導電部38と回路基板80の基準電位パターンとの間は、各々コンデンサを介して接続されているように表現されているが、これらは導電部同士が容量結合していることを示すものであり、実際にコンデンサが配置されているわけではない。
給電部32と電気的に接続された第2導電部36、及びこの第2導電部36と容量結合する第3導電部37及び第4導電部38は、アンテナの放射素子として動作する。また、グランド部31と電気的に接続された第1導電部35は、アンテナのグランド部として動作する。すなわち、第1導電部35、第2導電部36、第3導電部37及び第4導電部38によって、ダイポールアンテナが形成される。第3導電部37及び第4導電部38は、各々独立したアンテナ素子として動作するのではなく、高周波的に双方が一つのダイポールアンテナ素子として動作する。
給電部32から第2導電部36に供給された高周波電流は、第2導電部36と容量結合されている第3導電部37及び第4導電部38に伝わり、第3導電部37及び第4導電部38の表面を流れる。そして、高周波電流は、第3導電部37及び第4導電部38と容量結合されている回路基板80の基準電位パターンに流れる。回路基板80と操作部側筺体部2に配置された回路基板70とは、連結部4内に挿通される不図示のフレキシブル基板等で接続されているため、回路基板80の基準電位パターンに流れた高周波電流は、不図示のフレキシブル基板を介して、アンテナのグランド部として動作する第1導電部35に流れ、回路部34のグランド部31に到達する。
以上説明してきた第1の構成によれば、表示部側筺体部3に配置された第3導電部37及び第4導電部38の双方が第2導電部36と容量結合してアンテナの放射素子として動作するため、表示部側筺体部3に配置された一つの導電部をアンテナの放射素子として動作させる場合と比較して、アンテナ(ダイポールアンテナ)の利得が向上する。ここで、第3導電部37及び第4導電部38の各々において第2導電部36と対向する部分の面積は、各々の部材について概ね幅(図4における左右方向の長さ)に厚さ(図5における上下方向の長さ)を乗じた値となる。しかしながら、実際の携帯電話1では薄型化の要請があるため、板金部材21aの寸法を必要以上に大きくすることは困難である。よって、例えば板金部材21aのみでは容量結合の程度が小さくなってしまうところ、表示部側筺体部3の外観を構成するリアパネル3dが金属で構成されていれば、リアパネル3dも容量結合させることで、アンテナの利得を向上させることができる。
そして、給電部32と表示部側筺体部3に配置された第3導電部37及び第4導電部38とを第2導電部36を介した容量結合により接続するため、例えば連結部4内に挿通されるフレキシブル基板等によって給電部32と第3導電部37及び第4導電部38とを電気的に接続することで給電部32からの高周波電流を操作部側筺体部3へ供給する構成と比較して、操作部側筺体部2及び表示部側筺体部3各々の内部レイアウトに余裕を持たせることができる。
また、近年、携帯電話1をはじめとした電子機器においては小型化が求められているが、この小型化の要請に起因して、連結部4近傍に、例えば、Bluetooth(登録商標)アンテナ等の他のアンテナが配置される場合がある。本実施形態に係る携帯電話1は、アンテナの放射素子を構成する複数の導電部のうち、操作部側筺体部2に配置される導電部を円柱状のヒンジモジュール45で構成し、表示部側筺体部3に配置される導電部を板状の板金部材21a或いはリアパネル3dで構成しているため、周波数の異なるアンテナが近接配置されても、近接配置に起因する干渉が生じる可能性を低減しつつ、アンテナ特性を確保することができる。
次に、図6及び図7により、本実施形態に係る携帯電話1の第2の構成について説明する。図6及び図7に示すように、第2の構成では、第3導電部37と第4導電部38とが、導電リブ39によって電気的に接続されている。導電リブ39は、第3導電部37と第4導電部38との間に設けられ、第3導電部37の回路基板80側の面及び第4導電部38の回路基板80側の面の双方に当接する。導電リブ39は、例えばガスケット、金属製のタブ又は金属製の板バネである。導電リブ39として金属製の板バネが用いられる場合、導電リブ39は回路基板80に実装されることが好ましい。導電リブ39としてガスケットが用いられる場合、導電リブ39は回路基板80に実装されず第3導電部37と第4導電部38との間に直接設けられてよい。
導電リブ39は、第3導電部37と第4導電部38の長手方向における連結部4側の端部、中央部及び連結部4と反対側の端部であって、第3導電部37と第4導電部38の短手方向における両端部近傍に設けられる。導電リブ39は、第3導電部37と第4導電部38とを、各々の長手方向における連結部4側の端部近傍において導通させる。導電リブ39は、第3導電部37と第4導電部38とを、各々の長手方向において第2導電部36と対向する側の端部近傍において導通させる。
第2の構成によれば、以下に記載する効果が奏される。図5に示す第1の構成では、表示部側筺体部3に配置された第3導電部37及び第4導電部38をアンテナの放射素子として動作させることでアンテナの利得の向上を図っている。ここで、図5のように複数の導電部を一つのアンテナ素子として動作させる場合には、各々の導電部を伝播する高周波電流間の位相のずれを考慮する必要がある。
高周波電流は、導電部同士の容量結合の度合いが異なることによって位相にずれが生じる。すなわち、第2導電部36と第3導電部37との間の容量結合の程度と、第2導電部36と第4導電部38との間の容量結合の程度とは、容量結合する導電部同士が対向する部分の面積及び距離に依存するが、実際の携帯電話1において、第2導電部36の例であるヒンジモジュール45、第3導電部37の例である板金部材21a及び第4導電部38の例であるリアパネル3dの配置される位置は、アンテナ性能以外にも種々の要素で決定されることから、導電部同士を同一の度合いで容量結合させることは困難である。
また、高周波電流は、高周波電流が流れる第3導電部37及び第4導電部38の長さ及び幅を含む形状によっても位相がずれる。例えば、第3導電部37及び第4導電部38各々の長手方向の長さが異なれば、高周波電流の伝播距離が異なることになり、その結果高周波電流の位相がずれてしまう。上でも説明したように、実際の携帯電話1では、第3導電部37の例である板金部材21aの寸法と第4導電部38の例であるリアパネル3dの寸法とを完全に同一とすることは困難である。
以上に述べたように、実際の携帯電話1では、第3導電部37を伝播する高周波電流の位相と、第4導電部38を伝播する高周波電流の位相とがずれないような構成とすることは極めて困難である。
そこで、第2の構成によれば、第3導電部37と第4導電部38とが導電リブ39によって導通されて同電位となるため、第2導電部36から第3導電部37及び第4導電部38の双方に高周波電流が伝わるときに高周波電流の位相がずれた場合にも、第3導電部37及び第4導電部38に流れる高周波電流を同位相にすることができる。
特に、導電リブ39は、第3導電部37及び第4導電部38において第2導電部36と対向する部分の近傍(第3導電部37と第4導電部38の長手方向における連結部4側の端部)に設けられているため、第3導電部37及び第4導電部38において高周波電流の伝播が始まる部分の近傍で位相のずれを抑制し、アンテナの放射効率が低下しにくくすることができる。
また、導電リブ39は、第3導電部37と第4導電部38の長手方向における中央部及び連結部4と反対側の端部にも設けられている。この構成によって、第3導電部37と第4導電部38の長手方向における連結部4側の端部から連結部4と反対側の端部に向かって伝播する高周波電流が、第3導電部37及び第4導電部38の構造の相違等によって、伝播する間に位相がずれてしまうことを抑制できる。
上述のように、図6及び図7に示す第2の構成によれば、導電リブ39によって、第3導電部37及び第4導電部38の各々を流れる高周波電流の位相のずれを抑制できる。これは、第3導電部37及び第4導電部38の一方が、表示部側筺体部3の外観を構成する部材(例えばリアパネル3d)であって図8に示すような構成である場合に特に有効である。
図8は、第3導電部37又は第4導電部38としてのリアパネル3dの構成の一例を示す図である。リアパネル3dは、略矩形状である。リアパネル3dには、一方の長辺からリアパネル3dの内側に向かって短手方向に沿った切欠き30が形成されている。この切欠き30を介して、表示部側筺体部3に配置されたサブディスプレイ25が表示部側筺体部3の外部から視認可能である。リアパネル3dは、長手方向の端部で第2導電部36と容量結合する。
リアパネル3dに切欠きが形成されていると、第2導電部36からリアパネル3dに伝わる高周波電流は、リアパネル3dにおいて、図8において矢印で示すように、切欠きを回り込むように伝播する。操作部側筺体部3に設けられる他方の導電部(第3導電部37及び第4導電部38の他方)に切欠きがなく、高周波電流が長手方向に沿って真っすぐ伝播する場合、第3導電部37及び第4導電部38の各々を流れる高周波電流の位相がずれることとなる。
リアパネル3dがこのような構成になっていても、導電リブ39によって第3導電部37及び第4導電部38を導通させる第2の構成によれば、両者を伝播する高周波電流の位相のずれを抑制できる。
以上、本実施形態に係る携帯電話1の第1の構成及び第2の構成について説明してきたが、本発明は上述した構成に限られるものではなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、第1の構成及び第2の構成では、回路部34が操作部側筺体部2に設けられているが、表示部側筺体部3に設けられていてもよい。
また、表示部側筺体部3に配置される第3導電部37及び第4導電部38がアンテナの放射素子として動作し、操作部側筺体部2に配置される第1導電部35がアンテナのグランド部として動作する構成であるが、これに限られない。操作部側筺体部2に複数の導電部を配置して給電部32と電気的に接続させてアンテナの放射素子として動作させ、表示部側筺体部3に一つの導電部を配置してアンテナのグランドとして動作させてもよい。