JP6163287B2 - ゲルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロースを使用したゲルおよびその製造方法に関する。
ゲル材料は、自重の数百、数千倍の液体を保持することができる材料として、従来から高吸水性樹脂、紙おむつや生理用品、ソフトコンタクトレンズ、屋内緑化用含水シート等に利用されている。また、薬物の徐放性も有し、ドラッグデリバリーシステムや創傷被覆材等の医療材料にも応用されている。また、衝撃吸収材料、制振・防音材料等への利用もされており、その用途は多岐に渡る。
しかしながら、かかるゲル材料は一般的に強度がなく、微小な応力で構造が破壊されてしまうため、強度が必要とされる用途には不向きであった。近年、上述のような従来のゲル材料から強度を大幅に向上させた、様々なゲル材料が提唱されている。
例えば、架橋点が主鎖に沿って動くトポロジカルゲル(例えば特許文献1)や、架橋点として親水性クレイを用いたナノコンポジットゲル(例えば特許文献2)、2種類の網目構造が互いに侵入したダブルネットワークゲル(例えば特許文献3)、および均一網目構造のテトラペグゲル(例えば非特許文献1)は四大高強度ゲルと称され、注目を浴びている。
これらのゲルは、伸び・強度共に従来のゲルに比べ高く、様々な応用・産業的利用が期待されている。
特にダブルネットワークゲルは、伸び・強度のバランスを設計することが自在であり、高透明である等の点で優れている。また、架橋剤の添加量を増やすことで、より高弾性、高強度のゲルが得られることが知られている。そのようなダブルネットワークゲルは例えば、特許文献3、4に提案されている。
特許文献3では、ダブルネットワークゲルを構成する、第一の網目構造を形成するために、第一のモノマー成分を重合することが必須である。製造工程中に含まれる重合工程が多いほど、重合条件の微妙な差によるロットぶれ等のばらつきが生じやすくなる。また、特許文献3では、第一の網目構造を形成するための第一のモノマー成分に、一定量以上の、酸性基を含むアニオン性モノマーが含まれるが、かかる電荷を有するモノマーの使用量が多いほど、長期使用におけるゲルの加水分解による劣化や黄変が生じやすくなる。さらに、酸性基の存在は、金属に対する腐食性や処理時の環境への負荷、生態への負荷を増大させる。
特許文献4には、ダブルネットワークゲルを構成するポリマーとして、微生物により産生されたバクテリアセルロースを使用することが記載されている。しかしながら、バクテリアセルロースは容易に入手できず、調製することも容易でない。
特許第3475252号公報 特許第3914489号公報 特許第4381297号公報 特許第4709956号公報
Macromolecules,2008年,41巻、14号,5379貢−5384貢
本発明は、ゲルの強度向上、ゲル製造のための重合工程の低減、長期使用における劣化や黄変の抑制、金属への腐食性の低減、および/または、処理時の環境および生態への負荷低減を実現できるゲル、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、セルロース原料(a)を溶剤(s)に溶解させてセルロース溶液を調製する工程と、該セルロース溶液を、セルロースに対する貧溶媒中に浸漬させて、第一の架橋された網目構造(A)を形成する工程と、前記第一の架橋された網目構造(A)に、電気的に中性な単量体(b1)を含み、酸性基を含有する単量体を含まない重合性不飽和結合を有する単量体(b)及び架橋剤を導入する工程と、該単量体(b)を重合により架橋する工程を有することを特徴とするゲルの製造方法を提供する。
前記電気的に中性な単量体(b1)がアクリルアミド又はアクリルアミド誘導体であることを特徴とするゲルの製造方法。
本発明によれば、第一の架橋された網目構造(A)を、セルロース溶液を貧溶媒中に浸漬させて再生セルロースを析出させる方法で形成できるため、重合工程を経ずに第一の架橋された網目構造(A)を形成することができる。製造工程中の重合工程数を低減することによって、重合条件のばらつきによる製品のばらつきを低減させることができる。
本発明によれば、第一の架橋された網目構造(A)をセルロースで構成したことにより、力学的強度が向上し、取り扱い性に優れるゲルが得られる。
またセルロースを使用することにより、従来のゲルの製造に用いられていた酸性基を含むモノマーや電荷を有するモノマーの使用量を低減することが可能であり、これによって、長期使用におけるゲルの加水分解による劣化や黄変を抑制し、金属に対する腐食性や処理時の環境への負荷および生態への負荷を低減することができる。
<ゲル>
本発明のゲルは、ポリマーで構成された網目構造中に水もしくは有機溶媒を溶媒として取り込んでいるゲルである。
網目構造とは、ポリマー同士を化学的または物理的に架橋することにより、三次元に張り巡らされた網の目のような構造を意味する。該網目構造は、直鎖状または分岐状のポリマーの絡み合いからなるものとは異なり、網目内に溶媒を取り込むことができる。以下、ポリマー同士を化学的または物理的に架橋することにより得られる網目構造を、「架橋された網目構造」と記す。
本発明のゲルは、概略、第一の架橋された網目構造(A)と、該第一の架橋された網目構造(A)中に形成された分子鎖(B)と、溶媒(以下、ゲル溶媒ということもある。)とからなる。これらの他に、必要に応じて、公知の着色剤、可塑剤、安定剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤、難燃剤等の添加剤を配合してもよい。配合する添加剤の量や種類、混合の有無、混合比率等は、特に限定されず、用いる使用環境に合わせて適宜選択することができる。
第一の架橋された網目構造(A)は、セルロースが溶解しているセルロース溶液を、貧溶媒に浸漬して析出させた再生セルロースからなる。こうして得られる再生セルロースは、架橋されたセルロースで構成される網目構造を有する。
分子鎖(B)は、単量体(b)の重合反応により形成される分子鎖である。
本発明のゲルにおいて、第一の架橋された網目構造(A)と分子鎖(B)とで形成される構造は、相互侵入網目構造である
相互侵入網目構造とは、分子鎖(B)が、架橋された網目構造(以下、第二の架橋された網目構造(B1)という。)を構成しており、第一の架橋された網目構造(A)と該第二の架橋された架橋された網目構造(B1)とが重なり合い、相互に絡み合っている構造を意味する。
ゲルに取り込まれるゲル溶媒の量や種類、混合の有無、混合比率等は、特に限定されず、用いる使用環境に合わせて適宜選択することができる。ゲル溶媒は、1種の単独溶媒であってもよく、2種以上の混合溶媒であってもよい。例えば、水、または水と有機溶媒の混合物が好適に用いられる。
有機溶媒は、常温で液体状態の有機物であればよく、例えば、メタノール、エタノール等の1価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミン類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、無水酢酸等が挙げられる。
本発明のゲルにおける、ゲル溶媒の含有量(含水率ということもある)は、40〜99量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。
本明細書において、ゲル中の固形分量は、ゲルを、温度100℃、圧力50mmHg(6.67kPa)以下で24時間乾燥してゲル中の溶媒を除去したときの、乾燥後質量で表わす。ゲル中に存在する溶媒の含有量[質量%](含水率をいうこともある。)は、かかる乾燥を行う前後におけるゲルの質量変化から下記式により得られる値である。
ゲル中の溶媒の含有量=(乾燥前質量−乾燥後質量)/乾燥前質量×100
本発明のゲルにおいて、セルロースで構成された第一の架橋された網目構造(A)の質量を1とすると、ゲルの引張時に良好な伸びと強度が得られやすい点で、単量体(b)の重合反応により形成された分子鎖(B)の質量比が0.1〜500であることが好ましく、1〜500であることがより好ましく、2〜500であることが特に好ましい。セルロースの重合度が高くなればセルロースゲルの機械強度が高く、含水率の高いゲルが調整できるため、導入する当然該分子鎖(B)の質量比を高くする事が出来る。よって、延性等の高いゲルを調製したければ、単量体(b)の重合反応により形成された分子鎖(B)の質量比を高くすれば良い。単量体(b)の重合反応により形成された分子鎖(B)の質量比が0.1以上であれば、単量体(b)が重合反応によりネットワーク構造を形成しやすく、得られたゲルの強度が発現しやすい。
本発明において、ゲルが第一の架橋された網目構造(A)と分子鎖(B)と溶媒と必要であれば添加剤からなり、これらの他の成分を含まない場合、第一の架橋された網目構造(A)を有するゲル中の固形分質量を第一の架橋された網目構造(A)の質量とみなし、本発明のゲル中の固形分質量を、第一の架橋された網目構造(A)と分子鎖(B)と添加剤の合計とみなす。単量体(b)の重合反応により形成された分子鎖(B)の質量は下記式より得られる値である。
分子鎖(B)の質量=(本発明のゲルの乾燥後質量−第一の架橋された網目構造(A)を有するゲルの乾燥後質量)×(単量体(b)の質量/(単量体(b)の質量+添加剤の質量))
なお、乾燥後質量は、ゲルを温度100℃、圧力50 mmHg(6.67kPa)以下で24時間乾燥してゲル中の溶媒を除去したときの、乾燥後質量である。
<ゲルの製造方法>
本発明のゲルの製造方法は、セルロース原料(a)を溶剤(s)に溶解させてセルロース溶液を調製する工程と、該セルロース溶液を、セルロースの貧溶媒中に浸漬させて、第一の架橋された網目構造(A)を形成する工程と、前記第一の架橋された網目構造(A)に、重合性不飽和結合を有する単量体(b)を導入する工程と、該単量体(b)を重合させる工程を有する。
[第一の架橋された網目構造(A)の形成]
まず、セルロース原料(a)を溶剤(s)に溶解してセルロース溶液を調製する。
セルロース原料(a)は、セルロースと、原料由来または製造途中で生じる不純物とからなる組成物であり、公知のセルロース原料を適宜用いることができる。
セルロース原料(a)として、例えば、植物由来セルロース、動物由来セルロース(ホヤセルロース等)、再生セルロース等を使用できる。セルロース原料(a)中のセルロースは、溶剤(s)への溶解を妨げない範囲で化学修飾されたセルロースであってもよい。
セルロース原料(a)は、ゲルの強度を発現する水素結合性の点からセルロース純度が90%以上のものを用いることが好ましい。
セルロース原料(a)の形態は特に限定されず、粉状、糸状、紙状、フィルム状など種々の形態のものを用いることができる。
セルロース原料(a)の平均重合度は、セルロース溶液の粘度、および得られる再生セルロースゲルの良好な強度を発現しやすい点から、100以上が好ましく、200以上がより好ましく、400以上が特に好ましい。また入手および取扱いが容易な点で、セルロース原料(a)の平均重合度は30000以下が好ましい。
本明細書におけるセルロース原料(a)の平均重合度の値は、公表値もしくは、公知のMark−Houwink−桜田の式等を用いて得られる値である。
セルロース原料(a)を溶解させる溶剤(s)は、再生セルロースの製造において公知の溶剤を用いることができる。例えば苛性アルカリ水溶液、苛性アルカリと尿素を水に溶解させた水溶液(苛性アルカリ/尿素水溶液と記載することもある。)、水酸化銅(II)を濃アンモニアに溶解した銅アンモニア溶液、塩化リチウムをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させた溶液などが挙げられる。
これらのうちで苛性アルカリ/尿素水溶液が、入手の容易さ、低コスト、環境への負荷や生態への負荷が少ない点で好ましい。苛性アルカリ/尿素水溶液は、(i)苛性アルカリを2〜20質量%以上含み、かつ(ii)尿素又はチオ尿素を2〜40質量%含む水溶液がより好ましい。該(i)、(ii)の一方または両方を満たさない場合、苛性アルカリ/尿素水溶液のセルロース溶解性は大きく低下する。
該苛性アルカリとしては、セルロース溶液の貯蔵安定性、セルロースの溶解度等の点から、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。セルロース溶液の貯蔵安定性、セルロースの溶解度の点では水酸化リチウムがさらに好ましい。水酸化ナトリウムは、食品の処理にも使用されているものであり、環境や生態への負荷が特に少ない点で特に好ましい。
セルロース原料(a)を溶剤(s)に溶解させる方法は、公知の方法を用いることができる。
セルロースの融解が均一になりやすい点で、溶剤(s)にセルロース原料(a)を加え、攪拌しながら−20℃付近で冷却して完全に凍結させた後、冷蔵庫内(例えば10〜0℃)で徐々に融解させる方法を用いることが好ましい。
セルロース溶液におけるセルロース原料(a)の固形分濃度は、0.1〜30質量%が好ましく、0.2〜15質量%がより好ましい。上記範囲の下限値未満であるとセルロース溶液を貧溶媒中に浸漬した際に、セルロース同士がネットワーク構造を持つことが困難であり、架橋構造を形成しづらい。上限値を超えると溶液の粘度が高すぎる、低い分子量のセルロースしか溶解できない、セルロース溶液が均一にならない等の点から好ましくない。
次に、セルロース溶液を、セルロースに対する貧溶媒に浸漬してセルロースを析出させて再生セルロースゲルを得る。このとき用いられる貧溶媒は、セルロースを溶解しないものであれば特に指定は無く、例えばアルコール類、アルカリ水溶液、酸水溶液、および水等が使用できる。望ましくはアルコールであり、特にコストの点、および浸漬して得られる再生セルロースの表面均一性の点からメタノールが好ましい。
セルロース溶液を貧溶媒に浸漬させる方法は特に限定されないが、セルロース溶液を任意の基材上に膜状に塗布した状態で貧溶媒に浸漬させる方法;キャスト法等が挙げられる。
こうして得られる再生セルロースゲルは、セルロース間の水素結合による物理架橋構造を有する。物理架橋は環境の変化に可逆的である点で、化学架橋と大きく異なる。また、物理架橋によって形成されるゲルは物理架橋ゲルと呼ばれ、高分子鎖同士が物理架橋して形成された網目構造(物理架橋網目構造という)を有するゲルである。
セルロース溶液を貧溶媒に浸漬して得られる再生セルロースゲル(物理架橋ゲル)は、架橋された網目構造中に、前記貧溶媒を取り込んでいる。
この再生セルロースゲルを貧溶媒とは異なる他の溶媒(例えば水または有機溶媒)中に浸漬して、架橋された網目構造中に取り込んでいる貧溶媒を他の溶媒と溶媒交換してもよい。
例えば、セルロース溶液を貧溶媒中に浸漬して得られた再生セルロースゲルを、水に浸漬させて、該再生セルロースゲル中の貧溶媒を水で完全に溶媒交換することにより、再生セルロースヒドロゲルが得られる。
再生セルロースゲルの製造に用いた貧溶媒が、得ようとするゲル中のゲル溶媒と異なる場合には、該貧溶媒をゲル溶媒に溶媒置換することが好ましい。
第一の架橋された網目構造(A)を形成する好ましい態様として、セルロース溶液の溶剤(s)として(i)苛性アルカリを2〜20質量%含み、かつ(ii)尿素又はチオ尿素を2〜40質量%含む苛性アルカリ/尿素水溶液を使用し、貧溶媒としてメタノールを使用し、セルロース溶液を貧溶媒であるメタノールに浸漬して得られたメタノール含有再生セルロースゲルを、乾燥させることなく、水に浸漬させて溶媒置換することで得られる再生セルロースヒドロゲルが好ましい。
次工程に使用する、第一の架橋された網目構造(A)を有するゲル(再生セルロースゲル)における溶媒の含有量(含水率ということもある)は、70〜99.9質量%が好ましく、80〜99.8質量%がより好ましい。
[分子鎖(B)の形成]
セルロース原料(a)を用いて形成された第一の架橋された網目構造(A)に、重合性不飽和結合を有する単量体(b)を導入した後、単量体(b)を重合させることにより分子鎖(B)を形成する。
方法(1):単量体(b)を重合させる工程において、単量体(b)を重合させて分子鎖(B)を形成するとともに、架橋させることにより、前記第一の架橋された網目構造(A)中に第二の架橋された網目構造(B1)が形成され、相互侵入型網目構造のゲルが得られる。
単量体(b)は、重合性不飽和結合を1個有する単官能不飽和単量体である。電気的に中性な単量体(b1)、アニオン性単量体(b2)、およびカチオン性単量体(b3)から選ばれる1種または2種以上の混合であることが好ましい。これらは公知の単量体を適宜使用できる。単量体(b)は、少なくとも電気的に中性な単量体(b1)を含むことが、長期使用におけるゲルの加水分解による劣化や黄変を抑制し、金属に対する腐食性や処理時の環境への負荷および生態への負荷を低減できるゲルを調製できる点で好ましい。
電気的に中性な単量体(b1)としては、公知のノニオン性単量体を用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電気的に中性な単量体(b1)として例えば、アクリルアミド誘導体(アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロイルモルホリン等)、メタクリルアミド誘導体(メタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン等)、アクリレート(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレートエステル化物、ポリエチレングリコールモノアクリレート誘導体等)、メタクリレート(ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレートエステル化物、ポリエチレングリコールモノメタクリレート誘導体等)、アクリロニトリル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、酢酸ビニル等の水溶性のものや、アルキル(メタ)アクリレート(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートエステル化物、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート誘導体、反応性官能基を有する(メタ)アクリレート(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等)等の水溶性に乏しいノニオン性単量体が挙げられるがこれに限定されない。
アニオン性単量体(b2)としては、公知のアニオン性単量体を用いることができ、例えば、スルホン酸基を有する不飽和単量体(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等)、カルボン酸基を有する不飽和単量体(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸等)、リン酸基を有する不飽和単量体(メタクリルオキシエチルトリメリック酸等)、これらの塩等が挙げられる。これらアニオン性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性単量体(b3)としては、公知のカチオン性単量体を用いることができ、例えば、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドに代表されるような不飽和4級アンモニウム塩等が挙げられる。カチオン性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(b)の全体のうち、電気的に中性な単量体(b1)の含有量が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。該単量体(b1)の含有量が多いほど、長期使用におけるゲルの加水分解による劣化や黄変が生じにくい。
電気的に中性な単量体(b1)として、上記ノニオン性単量体であって、分子量300以下の単量体を用いることが好ましい。このような単量体を使用すると、第一の架橋された網目構造(A)中に充分な量の単量体(b)を導入することが容易になるほか、重合が容易であり、また分子量が上がりやすいため、高強度ゲルの作製が容易となる。
電気的に中性な単量体(b1)として、特にゲルに高い靭性(延性)を持たせる点でアクリルアミドが好ましい。
単量体(b)を重合させる方法としては、熱重合開始剤によるラジカル重合法や、光重合開始剤による光重合法が挙げられる。
熱重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物、アゾ系開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤等の一般的な光重合開始剤が挙げられる。
なお、第一の架橋された網目構造(A)が不透明で充分に光を透過しない場合には、熱重合開始剤によるラジカル重合法が好ましい。また、温度によって挙動の変わる不飽和単量体を用いる場合には、光重合開始剤による光重合法が好ましい場合もある。
[方法(1):第二の架橋された網目構造(B1)の形成]
単量体(b)の重合により形成される分子鎖(B)を架橋させて第二の架橋された網目構造(B1)とする方法としては、化学結合による架橋方法、イオン結合による架橋方法、物理的架橋方法等が挙げられる。
具体的には、下記の架橋方法が挙げられる。特殊な設備を必要としない、製造工程が複雑にならない、操作が簡便である、網目構造を制御しやすい点から、方法(α)が好ましいが、これらを併用することも可能である。
(α)1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ以上有する多官能不飽和単量体(c)を単量体(b)とともに用いて、重合と同時に架橋する方法。
(β)単量体(b)を重合させた後、放射線照射によって、単量体(b)の重合により形成された分子鎖(B)中にラジカルを発生させて架橋する方法。
(γ)単量体(b)を重合させた後、分子鎖(B)を構成する単量体(b)に由来する単位の側鎖の官能基同士を直接反応させる方法。
(δ)単量体(b)を重合させた後、分子鎖(B)を構成する単量体(b)に由来する単位の側鎖の官能基同士を架橋剤で架橋する方法。
(ε)多価金属イオン(銅イオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン等)を用いて、イオン結合または配位結合によって架橋する方法。
多官能不飽和単量体(c)とは、重合性官能基を2個以上有する不飽和単量体を意味する。重合性官能基とは、重合体に架橋点を形成する官能基であり、(メタ)アクリロイル基やビニル基等、重合性不飽和結合を有する基が挙げられる。
架橋に用いる多官能不飽和単量体(c)としては、公知の架橋剤を用いることができ、例えば、下記に示すようなものが挙げられる。
2官能不飽和単量体として、例えば、N,N−メチレンビスアクリルアミド、モノエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、モノプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能不飽和単量体として、例えば、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
4官能不飽和単量体として、例えば、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら多官能不飽和単量体(c)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第二の架橋された網目構造(B1)を形成する工程は、まず、第一の架橋された網目構造(A)中に、単量体(b)、重合開始剤、および必要に応じて多官能不飽和単量体(c)のような架橋剤等を導入することによって、第一の架橋された網目構造(A)中に含まれる溶媒中に、該単量体(b)等が均一に拡散された状態とする。
具体的には、溶媒に、単量体(b)等を溶解した単量体溶液を調製し、この単量体溶液中に第一の架橋された網目構造(A)を有するゲルを浸漬させ、溶媒置換によって、単量体(b)等をゲル中に吸収させる方法が好ましい。単量体溶液の溶媒は、得ようとするゲル中のゲル溶媒と同じであることが好ましい。
次いで、単量体(b)等が導入された第一の架橋された網目構造(A)に熱または光を与えることにより、単量体(b)を重合させ分子鎖(B)を形成する。該分子鎖(B)の架橋は、上述の方法を用いることができ、単量体(b)の重合と同時に行ってもよく、重合させた後に行ってもよい。
以上のようにして、第一の架橋された網目構造(A)中に第二の架橋された網目構造(B1)を形成することにより、相互侵入型網目構造を有するゲルが得られる。
相互侵入型網目構造において、第一の架橋された網目構造(A)内のセルロースが有する反応性官能基と、単量体(b)とが反応して一部グラフト体等の重合体を形成していてもよく、
第一の架橋された網目構造(A)と第二の架橋された網目構造(B1)が、多官能不飽和単量体(c)によって一部架橋されていてもよく、
第一の架橋された網目構造(A)に単量体(b)が一部重合されて重合鎖が形成され、その重合鎖部分と第二の架橋された網目構造(B1)が、多官能不飽和単量体(c)によって一部架橋されていてもよく、
第一の架橋された網目構造(A)内のセルロースが有する反応性官能基と、第二の架橋された網目構造(B1)が、多官能不飽和単量体(c)によって一部架橋されていてもよく、相互侵入型網目構造の形態は多様に選択できる。
第一の架橋された網目構造(A)内のセルロースが有する反応性官能基とは、セルロース由来の水酸基、末端アルデヒド基等や、化学修飾されていているセルロース誘導体が有するカルボキシメチル基やヒドロキシエチル基等を意味する。
以下、合成例、実施例、比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら合成例、実施例に限定されるものではない。
<試験方法>
[力学的強度の測定]
厚さ0.4mmに形成したゲルを、TOYOSEIKI社製、ダンベル金型(JIS−6251、3号)を用いてダンベル型に打ち抜き、試験片とした。
該試験片について、テンシロン万能試験機(型式 : RTC−1350A−PL)を使用し、JIS K 6251に基づいて引張試験を行い、破断応力[単位:MPa]および破断歪[単位:%]を測定した。測定条件は温度25℃で、相対湿度65%とした。
<合成例1:再生セルロースヒドロゲル(A−1)の調製>
水酸化リチウム4.6g、尿素15g及び水80.4gを溶解させた水溶液100gに、粉末セルロース(製品名:CF11、whatman社製、コットンリンター由来、セルロース純度98%以上、平均重合度200)6.4gを加えた溶液を、容器に入れて密閉した。該容器を液体窒素に漬けて、攪拌しながら冷却し、該溶液が完全に凍結するまで攪拌を続けた。これを冷蔵庫(3〜7℃)に一晩放置することによって該溶液を完全に融解させ、セルロースが溶解した透明なセルロース溶液を得た。該セルロース溶液の少量をガラス板上に流延し、ガラス棒で引き伸ばすことによって厚さが均一な膜状に形成した後、濃度100質量%のメタノール水溶液に浸漬した。10分後、ゲル化したフィルムを水中に浸漬して洗浄し、第一の架橋された網目構造を有する、再生セルロースヒドロゲル(A−1)を得た。
再生セルロースヒドロゲル(A−1)について、含水率[単位:質量%]、全固形分(乾燥後質量)の含有量[単位:質量%]、力学的強度(破断応力および破断歪。以下、同様)を測定した。その結果を表1に示す(以下、同様)。
再生セルロースヒドロゲル(A−1)の全固形分の含有量(乾燥後質量)を、セルロースで構成された第一の架橋された網目構造(A)の含有量とみなす。
<実施例1:相互侵入網目構造を有するゲル(PG−1)の製造>
純水200gに、単量体(b)としてアクリルアミド(AAm)100g、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)0.1g、および開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:dar1173、BASF社製)0.01gを加えて混合し、単量体溶液を調製した。
この単量体溶液に、合成例1で得られた再生セルロースヒドロゲル(A−1)を一昼夜浸漬し、溶媒置換によって単量体溶液をゲル中に吸収させた。
浸漬した再生セルロースヒドロゲル(A−1)を取り出し、ガラス板で上面から挟みこみ、ケミカルランプ(TOSHIBA社製、捕虫器用蛍光ランプ、20W、型番:FL20S・BL)を1時間照射して重合させることにより、相互侵入網目構造を有するゲル(PG−1)を得た。
ゲル(PG−1)について、含水率[単位:質量%]、全固形分(乾燥後質量)の含有量[単位:質量%]、力学的強度を測定した。
ゲル(PG−1)の全固形分の含有量(乾燥後質量)を、第一の架橋された網目構造(A)と分子鎖(B)の質量の合計とみなし、合成例1で得た再生セルロースヒドロゲル(A−1)の全固形分の含有量を第一の架橋された網目構造(A)の含有量とみなして、分子鎖(B)の含有量[単位:質量%]、および第一の架橋された網目構造(A)の質量を1とするときの分子鎖(B)の質量比[(B)/(A)]を算出した。
これらの結果を表1に示す(以下、同様)。
<合成例2:再生セルロースヒドロゲル(A−2)の調製>
合成例1における粉末セルロースの質量を、6.4gから9.8gに変更した以外は同様の方法により、再生セルロースヒドロゲル(A−2)を得た。合成例1と同様に測定を行った。
<実施例2:相互侵入網目構造を有するゲル(PG−2)の製造>
実施例1における(A−1)のかわりに、再生セルロースヒドロゲル(A−2)を用いた以外は同様の方法により、相互侵入網目構造を有するゲル(PG−2)を得た。実施例1と同様に測定を行った。
<合成例3:再生セルロースヒドロゲル(A−3)の調製>
合成例1における粉末セルロース6.4gを、無灰パルプ(Advantec社製、セルロース純度98%以上、平均重合度800)6.4gに変更した以外は同様の方法により、再生セルロースヒドロゲル(A−3)を得た。合成例1と同様に測定を行った。
<実施例3:相互侵入網目構造を有するゲル(PG−3−1)の製造>
実施例1における(A−1)のかわりに、再生セルロースヒドロゲル(A−3)を用いた以外は同様の方法により、相互侵入網目構造を有するゲル(PG−3−1)を得た。実施例1と同様に測定を行った。
<実施例4(参考例):セミ相互侵入網目構造を有するゲル(PG−3−2)の製造>
実施例4は参考例である。
実施例3において、架橋剤であるMBAAmを使用しなかった以外は同様の方法により、セミ相互侵入網目構造を有するゲル(PG−3−2)を得た。実施例1と同様に測定を行った。
<実施例5:相互侵入網目構造を有するゲル(PG−4)の製造>
実施例3において、単量体(b)であるアクリルアミド(AAm)の使用量を100gから200gに変更した以外は同様の方法により、相互侵入網目構造を有するゲル(PG−4)を得た。実施例1と同様に測定を行った。
<比較例1>
本例では、セルロースを用いない方法で第一の架橋された網目構造(A)を形成した。
すなわち、純水400gに、単量体として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)100g、架橋剤としてMBAAm4g、開始剤として前記dar1173(製品名)0.1gを加えて混合し、AMPS水溶液を調製した。ガラス板上に円状のシリコン枠を貼り付け、その内側にAMPS水溶液を流し込み、上面からガラス板で液が漏れないように挟みこみ、ケミカルランプを1、5時間照射して重合させることにより第一の架橋された網目構造を有するゲル(B−1)を得た。
得られたゲル(B−1)を、実施例1で用いたのと同じ単量体溶液に一昼夜浸漬し、溶媒置換によって単量体溶液をゲル中に吸収させた。
浸漬したゲル(B−1)を取り出し、ガラス板で上面から挟みこみ、実施例1と同様にしてケミカルランプを1時間照射して重合させることにより、相互侵入網目構造を有するゲル(PB−1)を得た。
ゲル(PB−1)について、含水率[単位:質量%]、全固形分(乾燥後質量)の含有量[単位:質量%]、力学的強度を測定した。
<比較例2>
比較例1においてAMPS水溶液の調製に用いた、架橋剤であるMBAAmの量を4gから6gに変更した以外は同様の方法により、相互侵入網目構造を有するゲル(PB−1)を得た。比較例1と同様に測定を行った。
Figure 0006163287
実施例1〜3、5では、第一の架橋された網目構造を形成するのにセルロースを使用することでモノマーを重合する必要がなく、高強度なゲルを得ることができた。また、合成例1〜3で得られた再生セルロースヒドロゲルに比べて、分子鎖(B)を形成して相互侵入網目構造としたことにより、破断応力および破断歪みの値が向上し、耐久性に優れたセルロース含有ゲルを得ることができた。
実施例2では、実施例1に比べてゲル中のセルロース濃度を高くしたところ、破断応力が向上した。また(B)/(A)の質量比は小さくなり、破断伸びの値は低下した。
実施例3では、実施例1で使用した粉末セルロースよりもセルロースの平均重合度が高い無灰パルプを使用したことにより、破断応力および破断歪みが向上した。高重合度のセルロースを使用するほど、高強度なゲルが得られることがわかる。
参考例である実施例4では、分子鎖(B)が架橋していないセミ相互侵入網目構造としても、高強度なゲルが得られた。
実施例5では、実施例3よりも単量体(b)の使用量を多くして、(B)/(A)の質量比を高くしたところ、更に破断応力および破断歪みの値が向上した。よって、使用するセルロースの平均重合度を上げ、更にゲル中の単量体(b)の含有量を増やすことで、容易に高強度なゲルを得ることができる。
セルロースを用いなかった比較例1,2は、第一の架橋された網目構造を形成するために、モノマーを重合する必要がある。このため、コストが増大し、また重合条件の微妙な差によるロットぶれが生じるおそれが高い。また実施例1〜5に比べて破断応力が劣る。
本発明のゲルは、第一の架橋された網目構造にセルロースを使用することにより、第一の網目構造を形成するのに重合する必要がなく、またバクテリアセルロースのような入手困難であるセルロース材料を用いる必要もなく、セルロースを溶解して再析出させるという簡単な手法を用いて高強度なゲルを実現できることを見出した。
また、比較例1及び比較例2で使用したAMPSに代表されるような電解質モノマーを
、第一の架橋された網目構造の形成に使用することなく、これに代えてセルロースを用いることで、ゲルの経時劣化や金属への腐食性が少なく、環境への負荷や生態への負荷も少ないゲルを得ることができる。よって、本発明のゲルは、近年求められている地球に優しいバイオベースポリマーとして幅広く展開することが可能である。

Claims (2)

  1. セルロース原料(a)を溶剤(s)に溶解させてセルロース溶液を調製する工程と、
    該セルロース溶液を、セルロースに対する貧溶媒中に浸漬させて、第一の架橋された網目構造(A)を形成する工程と、
    前記第一の架橋された網目構造(A)に、電気的に中性な単量体(b1)を含み、酸性基を含有する単量体を含まない重合性不飽和結合を有する単量体(b)及び架橋剤を導入する工程と、該単量体(b)を重合により架橋する工程を有することを特徴とするゲルの製造方法。
  2. 前記電気的に中性な単量体(b1)がアクリルアミド又はアクリルアミド誘導体である請求項1に記載のゲルの製造方法。
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