JP2011195655A - 繊維複合材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくともセルロース繊維の骨格からなる空隙率が10%以上、80%以下であるセルロース多孔性構造体とマトリックス樹脂を含むことを特徴とする繊維複合材料。
【選択図】なし
Description
本発明で使用する原料セルロースは、植物、海洋生物、あるいは微生物(セルロース産生菌)等によって産生されたものや、その誘導体である。セルロースの誘導体としては、分岐を持つものや、硝酸エステル、リン酸エステル、キサントゲン酸塩、亜硝酸エステル、硝酸エステル、硫酸エステル、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、酢酸プロピオン酸エステル、酢酸酪酸エステル、トリフルオロ酢酸エステル、安息香酸エステル、アルキルケテンダイマーエステル、アルケニル無水コハク酸エステル等のエステル化誘導体、カルボキチメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルセルロース、ジエチルアミノエチルエチルセルロース、トリメチルアンモノイルヒドロキシプロピルセルロース等のエーテル化誘導体、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などを導入したハロゲン化誘導体、アミノ基を導入した誘導体、チオール基を導入した誘導体、高分子をグラフトした誘導体、ポリウロン酸型の酸化物誘導体等のセルロース誘導体であってもよい。これらのセルロース、またはその誘導体は、その分子量が10,000〜2,000,000のものが好ましく、特に、10,000〜100,000のものがより好ましい。
本発明において、原料セルロースを予め溶媒に溶解した後にセルロース繊維を析出、再生させて得られる多孔性構造体を用いる場合、使用する溶媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸水溶液、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液、塩化亜鉛、チオシアン酸塩、液体アンモニアとチオシアン酸塩の混合物、ヒドラジン等の無機化合物の水溶液、[Cu(NH3)4](OH)、[Cu(エチレンジアミン)2](OH)2、[Co(エチレンジアミン)2](OH)2、[Ni(NH3)2](OH)2、[Ni(エチレンジアミン)3](OH)2、[Cd(エチレンジアミン)3](OH)2、[Zn(エチレンジアミン)3](OH)2等の金属錯体溶液、ジメチルスルホキシドとホルムアルデヒド、N,N−ジメチルホルムアミドとホルムアルデヒド、N,N−ジメチルアセトアミドとホルムアルデヒド、ジメチルスルホキシドとクロラール、N,N−ジメチルホルムアミドとクロラール、N,N−ジメチルアセトアミドとクロラール、ジメチルスルホキシドとクロラールとピリジン、N,N−ジメチルホルムアミドとクロラールとピリジン、N,N−ジメチルアセトアミドとクロラールとピリジン、ジメチルスルホキシドとクロラールとトリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドとクロラールとトリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミドとクロラールとトリエチルアミン、ジメチルスルホキシドと無水亜硫酸とジエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドと無水亜硫酸とジエチルアミン、ジメチルスルホキシドと無水亜硫酸とトリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドと無水亜硫酸とトリエチルアミン、ジメチルスルホキシドと無水亜硫酸とピペリジン、N,N−ジメチルホルムアミドと無水亜硫酸とピペリジン、ジメチルスルホキシドと無水亜硫酸とイソアミルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドと無水亜硫酸とイソアミルアミン、ジメチルスルホキシドとN2O4、N,N−ジメチルホルムアミドとN2O4、ジメチルスルホキシドとNOCl、N,N−ジメチルホルムアミドとNOCl、ジメチルスルホキシドとNOSO4H、N,N−ジメチルホルムアミドとNOSO4H、N,N−ジメチルアセトアミドと塩化リチウム、N−メチル−2−ピロリドンと塩化リチウム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンと塩化リチウム、N,N−ジメチルアセトアミドと臭化リチウム、N−メチル−2−ピロリドンと臭化リチウム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンと臭化リチウム、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸とクロロホルム、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸と酢酸、N−メチルモルフォリン−N−オキシド含水塩、N−メチルモルフォリン−N−オキシド含水塩とジメチルスルホキシド、N−アルキルピリジウムハロゲン類等の有機溶媒から選ばれる一種又は二種以上の混合物を使用することができる。
本発明で用いられるマトリックス樹脂としては、ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられるがこれらの樹脂種に限定されるものではない。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線等の活性エネルギー線硬化性樹脂の何れかに限定されるものでもなく、これらの一種、あるいは複数種をブレンドして用いても差し支えない。
本発明の繊維複合材料では、フェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤の中から選ばれた一種以上の安定剤を追加して添加してもよい。
以下、セルロース多孔性構造体の製造方法について説明するが、セルロース繊維の網目状の骨格からなるセルロース多孔性構造体を形成する方法であればこれに限定されるものではない。一例として、セルロースを溶媒に溶解し、この溶液からセルロース繊維を析出させて、セルロース多孔性構造体を得る方法について説明する。例えば、溶媒としてチオシアン酸カルシウム水溶液を使用する場合について説明すると、先ず、市販の結晶セルロースやパルプ等のセルロース原料を溶媒中に添加、分散し、さらに加熱してセルロースを予め溶解させる。溶媒中へのセルロースの添加量は特に制限されないが、溶解するセルロースの分子量等によってその量を調整すればよい。一般的に、溶媒に対して0.01〜30質量%で添加すればよいが、操作の容易さの点で0.01〜20質量%がより好ましい。溶媒中への分散方法は、特に制限はなく通常行われる種々の方法で溶媒中に分散すればよく、セルロースを溶媒に添加した後、単に撹拌する程度でもよい。加熱手段は特に制限されないが、製造効率の点でオートクレーブやマイクロ波を使用して加熱するのが好ましく、加熱温度としては70℃以上、200℃以下が好ましい。このセルロース溶液の冷却により、溶媒を含有した3次元の網目構造を形成したセルロース繊維ゲルを析出させる。次いで、このゲルから洗浄によって(例えばメタノールや流水によって)チオシアン酸カルシウムを除去することで、チオシアン酸カルシウム溶媒が除かれ3次元の網目構造を形成したセルロース繊維が得られる。これをそのまま乾燥することでセルロース繊維を骨格とするセルロース多孔性構造体を得ることができる。
ここで、Vは乾燥して得られたセルロース多孔性構造体(ゲル)の体積であり、乾燥後の多孔性ゲルの厚みと面積から算出する。Wはセルロース多孔性構造体の質量、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cm3と仮定する。
次に、本発明のセルロース多孔性構造体とマトリックス樹脂を含む繊維複合材料の製造方法について説明する。始めに、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合について説明する。熱可塑性樹脂を複合化するには、乾燥させたセルロース多孔性構造体に樹脂を融点以上の温度で溶融して含浸させたり、熱可塑性樹脂を溶解した溶液をセルロース多孔性構造体に含浸後、溶剤を除去するなどして樹脂組成物とし、これを加熱プレス等で密着、成形する方法が挙げられる。また、セルロース多孔性構造体の製造法として溶媒にセルロースを溶解した後、セルロース繊維を再生させる方法で製造する場合は、この溶媒に溶解する樹脂を予め溶解させた樹脂組成物からセルロース多孔質構造体を形成させた後、溶媒成分を洗浄、乾燥後、成形してもよい。熱処理は加圧下で行うことが望ましく、真空加熱プレス機能を有する設備の使用が有効である。また、樹脂組成物を調製する際、必要に応じて前記安定剤等の添加剤を添加することができる。本発明の繊維複合材料におけるセルロース多孔性構造体の添加量は、繊維複合材料100質量部に対して5〜90質量部とすることが好ましく、10〜70質量部とすることがさらに好ましい。
繊維複合材料の物性評価は以下の方法で行う。実施例における評価もこの方法でおこなった。
成形した繊維複合材料をオートグラフ(「DSS−500」型島津製作所製)により、曲げ弾性率及び曲げ強度の測定を行った。
前記成形体について、40〜80℃の範囲内で温度を変化させ、線膨張係数を測定した。測定装置としてSII(セイコーインスツル)社EXSTAR6000 TMA/SS6100を用いた。
前記成形体を目視にて観察し、繊維の凝集体の有無により均一性について評価した。
空隙率は、セルロース多孔性構造体の体積、質量から、下記式によって求めた。
ここで、Vはセルロース多孔性構造体の体積、Wはセルロース多孔性構造体の質量、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cm3と仮定する。
針葉樹から得られた亜硫酸漂白パルプを純水に0.1質量%となるように添加した懸濁液を、石臼式粉砕機(ピュアファインミルKMG1−10;栗田機械製作所社製)を用いて回転するディスク間を中央から外に向かって通過させる磨砕処理(回転数:1500回転/分)を10回(10パス)行いセルロース繊維を解繊した。この水分散液を濾過後、純水で洗浄し、70℃で乾燥させて解繊セルロース繊維Aを得た。得られたセルロース繊維Aは走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径40nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
チオシアン酸カルシウム四水和物(和光純薬社製)の飽和水溶液(59質量%)97質量部に結晶性セルロース(セオラスUF−702、旭化成社製)を3質量部加え、室温で1時間撹拌してセルロース分散液を得た。このセルロース分散液をガラス製シャーレに分注した後、オートクレーブ(SX−300、トミー精工社製)に入れ、120℃、1min加熱してセルロースを溶解させた。このセルロース溶液を10minかけて室温まで冷却してセルロースを析出させ、セルロースゲルを得た。次に、このゲルをメタノール、続いて流水で洗浄してチオシアン酸カルシウムを除去し、洗浄液の電気伝導度が5μS/cm以下になった時点で洗浄を終了し、得られたゲルを凍結乾燥してセルロース多孔性構造体Aを得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性構造体であることが確認でき、また、骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は20nmであり、空隙率は46%であった。
製造例2において、調製したセルロース溶液を1hrかけて冷却する以外は同様の操作にてセルロース多孔性構造体Bを得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性構造体であることが確認でき、また、骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は40nmであり、空隙率は48%であった。
製造例3で得られたセルロース多孔性構造体Bを無水酢酸:酢酸=9:1(体積比)の反応液の入ったシャーレに浸し、室温下、30min、デシケータ内で1kPaの減圧下、反応液を多孔性構造体内部まで含浸させた。常圧に戻しN2雰囲気下で10時間、室温にて静置して化学修飾処理を行った後、メタノール、蒸留水の順で洗浄して反応液を除去し、これを凍結乾燥してセルロース多孔性構造体Cを得た。この構造体を走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維の多孔性構造体を維持し、また、骨格を形成する繊維の平均繊維径は40nmに、空隙率も48%に保たれていた。
製造例2において、調製したセルロース溶液を3hrかけて冷却する以外は同様の操作にてセルロース多孔性構造体Dを得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性構造体であることが確認でき、また、骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は100nmであり、空隙率は55%であった。
製造例2において、調製したセルロース溶液を4hrかけて冷却する以外は同様の操作にてセルロース多孔性構造体Eを得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性構造体であることが確認でき、また、骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は200nmであり、空隙率は56%であった。
製造例2において、調製したセルロース溶液を5hrかけて冷却する以外は同様の操作にてセルロース多孔性構造体Fを得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性構造体であることが確認でき、また、骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は210nmであり、空隙率は56%であった。
製造例2において、チオシアン酸カルシウム四水和物を用いる替わりにチオシアン酸ナトリウム(和光純薬社製)を用い、調製したセルロース溶液を1hrかけて冷却する以外は同様の操作にてセルロース多孔性構造体Gを得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性構造体であることが確認でき、また、骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は40nmであり、空隙率は55%であった。
水81質量部に水酸化ナトリウム7質量部と尿素12質量部を加えて溶解させた後、−12℃に冷却し、この溶液に結晶性セルロース(セオラスUF−702、旭化成社製)を5質量部加えて攪拌することで透明なセルロース溶液を得た。この溶液をガラス板上にワイヤーバーを用いてキャストして溶液層を形成した後、ただちに5%硫酸水溶液に浸漬した。10分放置すると溶液はゲル化し、セルロースゲルを得た。次にこのゲルを水、次いでエタノールで十分に洗浄して洗浄液の電気伝導度が5μS/cm以下になった時点で洗浄を終了し、得られたゲルを凍結乾燥してセルロース多孔性構造体Hを得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性構造体であることが確認でき、また、骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は40nmであり、空隙率は54%であった。
製造例3において、結晶性セルロースを5質量部添加してセルロース溶液を調製する以外は同様の操作にてセルロース多孔性構造体Iを得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性構造体であることが確認でき、また、骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は40nmであり、空隙率は8%であった。
製造例3において、結晶性セルロースを4質量部添加してセルロース溶液を調製する以外は同様の操作にてセルロース多孔性構造体Jを得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性構造体であることが確認でき、また、骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は40nmであり、空隙率は15%であった。
製造例3において、結晶性セルロースを2質量部添加してセルロース溶液を調製する以外は同様の操作にてセルロース多孔性構造体Kを得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性構造体であることが確認でき、また、骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は40nmであり、空隙率は75%であった。
製造例3において、結晶性セルロースを1質量部添加してセルロース溶液を調製する以外は同様の操作にてセルロース多孔性構造体Lを得た。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース繊維が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性構造体であることが確認でき、また、骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は40nmであり、空隙率は84%であった。
特開2006−325534号公報に開示されている方法に準じてバクテリアセルロースからなるハニカム状のセルロース多孔性構造体を調製した。先ず、直径400nm程度の微細孔が最密充填された構造のポリジメチルシロキサン(PDMS)の多孔性ハニカム膜を作成した。次にHS培地(0.5%イースト抽出物、0.5%ペプトン、2.0%グルコース、0.115%クエン酸、0.27%リン酸水素二ナトリウム)を含む1.5%寒天溶液をオートクレーブで滅菌した後、シャーレに移し、この上に前記多孔性ハニカム膜を設置し、寒天を凝固させた後、ハニカム膜を寒天から剥離して別のシャーレに移し、固体栄養培地とした。これに特開2006−325534号公報に開示されている方法で酢酸菌アセトバクター・キシリナム(ATCC53582)を接種し、インキュベーションを6日間行い培養後、固体栄養培地を回収し、沸騰水に加えて固体栄養培地を溶解させ、残留したフィルムを回収して温水で洗浄、乾燥して、バクテリアセルロースからなるハニカム状のセルロース多孔性構造体Mを得た。骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は80nmであり、空隙率は65%であった。
製造例13において、インキュベーション(オートクレーブ(SX−300、トミー精工社製)に入れ、120℃、1min加熱・溶解後、同温度を維持)を12日行う以外は同様の操作にてセルロース多孔性構造体Nを得た。骨格を形成するセルロース繊維の平均繊維径は220nmであり、空隙率は15%であった。
(繊維複合材料101〜116の作製)
製造例2〜15で得られたセルロース多孔性構造体を表1、表2に示す配合組成従ってモノマー溶液に浸漬し、0.09MPaの減圧条件下、室温で一晩放置して、モノマー溶液を含浸させた。次に、このモノマー含浸物を100μm厚のスペーサーを挟んだ2枚の鏡面ステンレスシートの間に設置し、120℃、2MPaで60minホットプレスしてモノマーを硬化させて繊維強化複合材料を得た。評価結果を表1、表2に示す。
製造例1で得られたセルロース繊維Aを用い、表1、表2に示す配合組成に従って、各原料をブレンド後、混練機を用いて混練することで熱硬化性の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を100μm厚のスペーサーを挟んだ2枚の鏡面ステンレスシートの間に設置し、120℃、2MPaで60minホットプレスしてモノマーを硬化させて繊維強化複合材料を得た。但し、セルロース多孔性構造体Iは樹脂が含浸せず、複合シートの作製ができなかった。評価結果を表1、表2に示す。
重合開始剤:アゾビスイソブチロニトリル
安定剤A:テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート
安定剤B:2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチル−ヘキシルホスファイト。
(繊維複合材料201〜216の作製)
表3、表4に示す配合組成に従い、先ず、樹脂と安定剤を溶剤としてメチレンクロライドに溶解し、3質量%の樹脂溶液を調製した後、製造例2〜15で得られたセルロース多孔性構造体をこの樹脂溶液に浸漬し、風乾にて溶剤を除去して樹脂組成物を調製した。次に、この樹脂組成物を100μm厚のスペーサーを挟んだ2枚の鏡面ステンレスシートの間に設置し、180℃、2MPaで60minホットプレスして繊維強化複合材料を得た。但し、セルロース多孔性構造体Iは樹脂が含浸せず、複合シートの作製ができなかった。評価結果を表3、表4に示す。
製造例1で得られたセルロース繊維Aを用い、表3、表4に示す配合組成に従って、各原料をブレンドし、メチレンクロライドに添加し繊維分散液を調製した後、溶剤を除去して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を100μm厚のスペーサーを挟んだ2枚の鏡面ステンレスシートの間に設置し、120℃、2MPaで60minホットプレスしてモノマーを硬化させて繊維強化複合材料を得た。評価結果を表3、表4に示す。
セルロース樹脂:セルロースアセテートプロピオネートCAP482−20(イーストマンケミカル社製)
脂肪族ポリエステル樹脂:ポリ乳酸(レイシアH−400、三井化学社製)
安定剤A:テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート
安定剤B:2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチル−ヘキシルホスファイト。
Claims (5)
- 少なくともセルロース繊維の骨格からなる、空隙率が10%以上、80%以下であるセルロース多孔性構造体とマトリックス樹脂を含むことを特徴とする繊維複合材料。
- 前記セルロース繊維の骨格を形成する繊維の平均繊維径が10nm以上、200nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の繊維複合材料。
- 前記セルロース多孔性構造体が表面修飾されていることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維複合材料。
- 溶媒にセルロースを溶解した後、セルロースを析出させて形成したセルロース多孔性構造体と、マトリックス樹脂を含む組成物を成形して得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維複合材料の製造方法。
- 前記溶媒がチオシアン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の水溶液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維複合材料の製造方法。
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