JP6162636B2 - 米飯用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、米飯用油脂組成物に関する。詳しくは、炊飯後の米飯のほぐれ性、艶、食感、風味を改善し、かつ、米飯の老化を抑制し、保存性を付与することができる米飯用油脂組成物、及び米飯用油脂組成物を添加して製造した保存用米飯に関する。
これまで、家庭での炊飯及び業務用の大型炊飯において、主に作業性と米飯の風味向上を目的として、様々な米飯用油脂組成物が開発されてきた。しかしながら、従来の米飯用油脂組成物は、炊飯時に米飯へ均一に分散されにくいため、作業性が悪く、品質にもむらが生じてしまう場合が多いという問題があった。また、油脂を均一に分散させるためには、米飯への添加量を多くする必要があるが、米飯の油っぽさが増したり、風味が悪くなるなどの問題があった。
そこで、米飯用油脂組成物の分散性を向上させるために乳化剤を用いる方法が数多く提案されてきた。例えば、特許文献1では、食用油脂に対して、レシチンとレシチンを除く食品用界面活性剤(乳化剤)を1種あるいは2種以上と、アスコルビン酸の脂肪酸エステルとを添加して溶解した米飯用油脂組成物が提案されている。しかしながら、乳化剤の風味が米飯の風味に悪影響を及ぼすおそれがあり、結果として、十分に満足できる米飯の風味を得ることは難しかった。
また、米飯は生米に水を加えて加熱して製造されるが、この時、生米のβ澱粉が糊化してα化澱粉へ変化する。米飯中のα化澱粉は、時間の経過とともに、β澱粉へ逆戻りする性質があり、これは「老化」と呼ばれている。そして、米飯の「老化」が進むと、米飯の食感はぼそぼそとしたものとなり、米飯としての品質は著しく低下する。
近年、スーパーマーケット等で調理された食品を購入して、持ち帰ったり又は届けてもらうなどして家庭内で食べる食習慣、すなわち「中食」が我々の生活の中に定着してきている。こうした「中食」と呼ばれる食習慣においては、従来に比べて、食品が製造されてから長時間経過した後に食される場合が多く、微生物増殖防止の観点から、チルド温度帯(1〜15℃)で流通・保存されることが一般的である。ところが、チルド温度帯は、「老化」が最も進みやすい温度帯であり、「中食」に供される米飯の品質は低下しやすいといえる。
そこで、米飯の老化を抑制し、風味を改善する方法も数多く提案されている。例えば、特許文献2では、食用油脂を含む油脂部を、糖類または糖アルコール、乳化剤、および乳化安定剤の少なくとも三者を含む調味液部に乳化せしめた乳化物であって、当該乳化物中の油脂の平均粒子径が1〜35μm以下である、乳化型米飯用油脂組成物が提案されている。しかしながら、この技術も乳化剤を用いるため、米飯の風味に悪影響を及ぼすおそれがあり、また、乳化物の均一性を保つため、高性能な製造設備が必要になるなど、コスト面での問題もあった。
また、乳化剤は米飯の風味に悪影響を及ぼすことがよく知られているため、乳化剤を用いない方法もいくつか提案されている。例えば、特許文献3には、米油と中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を特定の比率において配合することで、レシチン等の乳化剤を用いなくても、米飯のほぐれ性や艶、食感を向上させる技術が提案されている。しかしながら、この技術においては、米油の添加が必須であり、MCTの含有量も1〜30重量%に制限されているので、本発明とは本質的に異なるものである。
特開平3−175938号公報 特開2000−116344号公報 特開2008−118986号公報
本発明の課題は、乳化剤を用いなくて、油脂が米飯に均一に分散・吸着し、炊飯後の米飯のほぐれ性、艶、食感、風味が改善されるとともに、米飯の老化を抑制し、保存性を向上させたものを得ることができる、米飯用油脂組成物を提供することである。
本発明者らは、様々な油脂を炊飯時に添加して、所望の米飯が得られるかどうか鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを特定量配合した米飯用油脂組成物を用いることにより、本課題が解決できることを見いだした。
すなわち、本発明の一態様によれば、乳化剤を含有しない米飯用油脂組成物であって、前記油脂組成物全体中、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含有量が30質量%を超える量で含まれていることを特徴とする、米飯用油脂組成物を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記油脂組成物全体中、上記中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含有量が50質量%以上の量で含まれていることを特徴とする、米飯用油脂組成物を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの構成脂肪酸が、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸のみから構成されていることを特徴とする、米飯用油脂組成物を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの構成脂肪酸が、炭素数8及び/又は10の中鎖脂肪酸のみから構成されていることを特徴とする、米飯用油脂組成物を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記米飯用油脂組成物が、米飯に対して0.75〜15.0質量%の量で添加されることを特徴とする、米飯用油脂組成物を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記米飯用油脂組成物を含有させて製造したことを特徴とする、米飯類を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記米飯用油脂組成物を有効成分とする品質向上剤を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記米飯用油脂組成物を有効成分とする老化抑制剤を提供することができる。
本発明によれば、中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを添加することにより、炊飯後の米飯において、ほぐれ性、艶、食感、風味が改善されたものを簡便に製造することができる。さらに、本発明の米飯は、老化が抑制され、保存性が向上しているので、チルド温度帯又は冷凍温度帯での保存に適しており、従来の米飯では満足できなかった人々の需要を満足することができる。
MCT及び米油のヨウ素澱粉反応を示すグラフ
以下、本発明の米飯用油脂組成物について順を追って説明する。
本発明における「米飯用油脂組成物」とは、中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを原料とし、乳化剤を含有しないものであれば特に制限されない。後で詳しく述べるが、効果の点からみれば、前記油脂組成物を構成する油脂は中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールのみからなることが好ましいが、前記油脂組成物全体中、30質量%を超える量で含まれていれば、他の油脂を混ぜて使用することもできる。さらに、少量であれば、前記油脂組成物を安定化させるために、ビタミンEなどの酸化防止剤、シリコーンオイルなどの消泡剤などを含有させることもできる。このほか、炊き込みご飯など、味付けを行う米飯の風味を向上させるために、オニオンやガーリックなどの香味油(風味剤)を配合することもできる。これらは、本発明の「米飯用油脂組成物」全体中、10質量%以下であれば、効果の発現に何らの支障はない。
本発明の「米飯用油脂組成物」中の「油脂」には、構成脂肪酸として炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールが30質量%を超えて含まれていなければならない。当該トリアシルグリセロールとしては、構成脂肪酸が炭素数6〜12の中鎖脂肪酸のみであるトリアシルグリセロールであってもよいし、構成脂肪酸として炭素数6〜12の中鎖脂肪酸と他の脂肪酸とを含む混酸基トリアシルグリセロールであってもよい。ここで、各々の中鎖脂肪酸のグリセリンへの結合位置は、特に限定されない。また、混酸基トリアシルグリセロールである場合には、構成脂肪酸の一部に炭素数6〜12以外の脂肪酸を含んでいてもよく、例えば、炭素数が14以上の長鎖脂肪酸を含んでいてもよい。
また、本発明の「中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロール」は、例えば、トリオクタノイルグリセロールとトリデカノイルグリセロールとの混合物等、複数の異なる分子種の油脂が混ざり合った混合物であってもよいし、液体状、固体状、または粉末体状など、その形態は問わない。ここで、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸は、直鎖状の飽和脂肪酸であることが好ましい。
本発明の「米飯用油脂組成物」中に含まれる、「中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロール」としては、効果の点に鑑みると、構成脂肪酸が炭素数6〜12の中鎖脂肪酸のみからなるトリアシルグリセロール(以下「MCT」とも表す。)が好ましく、特に、構成脂肪酸が炭素数8及び/又は10の中鎖脂肪酸のみからなるトリアシルグリセロールがより好ましい。
また、本発明の「米飯用油脂組成物」中に含まれる、「中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロール」は、従来公知の方法で製造できる。例えば、炭素数6〜12の脂肪酸とグリセロールとを、触媒下、好ましくは無触媒下で、また、好ましくは減圧下で、120〜180℃に加熱し、脱水縮合させることにより製造できる。
本発明の「米飯用油脂組成物」中に含まれる、「中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロール」は、効果の発現のため、前記油脂組成物全体中の30質量%を超える量で含まれていなければならない。好ましくは、50質量%以上含まれていなければならず、より好ましくは75質量%以上含まれていなければならず、さらに好ましくは90質量%以上含まれていなければならない。そして、前記油脂組成物全体(100質量%)が「中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロール」であることが最も好ましい。
本発明の「米飯用油脂組成物」は、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含量が上記特定の範囲を満たしている限り、他のどのような油脂原料をさらに含有していてもよい。例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂、ココアバター等やこれらの混合油、加工油脂等をさらに使用することができる。
本発明の「米飯用油脂組成物」には、上記トリアシルグリセロール以外にも、米飯用油脂組成物に一般的に配合される原材料を使用することができる。具体的には、例えば、pH調整剤、調味剤、着色料、香料、酸化防止剤、糖類、糖アルコール類、安定剤等を使用することができる。
ここで、本発明の「米飯用油脂組成物」の特徴の1つは、乳化剤を含有させないことである。すなわち、乳化剤を含有させると、油脂の分散性は良くなるが、乳化剤特有の風味が米飯の良好な風味に悪影響を及ぼしてしまうからである。本発明で用いられた「中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロール」は、他の油脂と比べて、水へのなじみが良いので、乳化剤を含有させなくても、米飯に均一に分散・吸着することができる。この性質を利用したことは、本発明の重要な特徴の1つである。
本発明の「米飯用油脂組成物」の用い方は、洗米に加える場合には、油脂を洗米に混合するか、あるいは米飯器等に米(洗米を含む)と規定の水を加えた上から必要量加えるか、米飯器等の中に先に加えてから、洗米を加えて用いることができる。より均一な米飯と高い効果を得ようとする場合は、当該油脂組成物を加えた後、分散する程度に軽く撹拌してから炊飯することが好ましい。連続炊飯ラインの洗米に適用する場合にも同様に、洗米に加えて混合してから用いるか、上から散布して混合して用いることができる。このほか、炊飯後の米飯に添加して使用することもできる。この場合には、加熱して熱いうちに、又は冷却して粗熱を取った後に添加してよく撹拌し、均一に当該油脂組成物が米飯粒を覆うようにする。
本発明における「米飯用油脂組成物」の添加量は、生米100質量部に対して0.75〜15.0質量部であることが好ましく、1.5〜15.0質量部であることがより好ましく、1.5〜7.5質量部であることがさらに好ましい。なお、米飯の調理において、白飯、おにぎり、寿司飯といった、ご飯そのものの風味や風味が重要である場合には、本発明の米飯用油脂組成物の添加量を、生米100質量部に対して、0.5〜5.0質量部のように少なめにすることが好ましい。一方、炊き込みご飯などの味付けご飯の場合、あるいは、チャーハンなどの炒め調理に用いるご飯の場合は、焦げ付きやすいこともあり、本発明の米飯用油脂組成物の添加量は、生米100質量部に対して5.0〜15.0質量部とある程度多めに使用しても風味、風味に対する影響は少ない。
本発明における「米飯類」としては、米を主体とする米飯類であれば特に制限されない。例えば、弁当用の白飯、おにぎり用の塩飯、寿司用の酢飯、炊き込みご飯、チャーハン等の炒め飯、ピラフやチキンライスのような洋風味付け飯などが挙げられる。さらに、本発明の「米飯用油脂組成物」は、老化を抑制し、保存性を向上させることができるので、例えば、もち米から製造される餅も、本発明の「米飯類」に含まれる。また、本発明において使用される「米」の種類や産地なども特に制限されない。例えば、本発明で用いられる「米」には、ジャポニカ米、インディカ米、ジャバニカ米だけでなく、うるち米、もち米、赤米、黒米、及びこれらの米粉なども含まれる。また、老化防止という観点から、βアミロース含量が多い「米」が本発明においては特に好ましい。また、「米」の精米度合も特に制限されない。白米だけでなく、玄米、五分づき米、発芽玄米なども本発明に含まれる。
ところで、以上述べてきたように、本発明の「米飯用油脂組成物」を米飯に添加すると、ほぐれ性、艶、食感、風味が改善された米飯に改変できることから、本発明は、上記米飯用油脂組成物を有効成分とする、米飯の品質向上剤にも関する。また、以下に示すように、本発明の米飯用油脂組成物は、米飯の老化を抑制し、保存性を向上させることができるから、本発明は、上記米飯用油脂組成物を有効成分とする米飯の老化抑制剤にも関する。
本発明の「品質向上剤」及び「老化抑制剤」は、本発明の効果を損なわない範囲で、デキストリンや澱粉等の賦形剤、他の品質改良剤などを含有させたものであってもよい。
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。なお、以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
<分析方法>
各脂肪酸含量は、AOCS Ce1f−96に準じて測定した。
<使用油脂>
〔MCT〕:トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸が、オクタン酸(炭素数8)とデカン酸(炭素数10)であり、トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸の割合がオクタン酸:デカン酸=30:70であるMCT(日清オイリオグループ株式会社社内製、商品名:MCT−C10R)をMCTとした。
〔米油〕:トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸が、パルミチン酸(炭素数16)、オレイン酸(炭素数18)、リノール酸(炭素数18)及びその他であり、トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸の割合がパルミチン酸:オレイン酸:リノール酸:その他=約17:42:36:5である米油(日清オイリオグループ株式会社社内製、商品名:日清おいしい米油)を米油とした。
[実施例1]チルド温度帯で保存した米飯における官能評価試験
本発明の米飯用油脂組成物として上記MCTを用いた。また、比較のための米飯用油脂組成物として、上記米油を用いた。
生米(ジャポニカ米)100質量部に対し、水とMCT又は米油を合わせて150質量部添加し、生米100質量部に対するMCT又は米油の添加量が0(対照)、0.15、0.75、1.50、4.50、7.50、15.0、22.5質量部となるようにMCT又は米油を加えてサンプルを調製した。これらのサンプルを家庭用電気炊飯器で炊飯した。炊き上がった米飯をパットに移して粗熱を取りラップに包みこんで、4℃(チルド温度帯)で48時間保存した。その後、家庭用電子レンジで再加熱してラップから取り出し、米飯のほぐれ性、艶、食感、風味を官能評価した。官能評価の結果を表1(MCT)及び表2(米油)に示す。
[官能評価]
上記のように得られた米飯について、5名の専門パネラーによる官能評価を行った。官能評価の観点は以下のとおりである。
<ご飯のほぐれ性評価>
◎:ご飯1粒ずつがそれぞれくっつかず、ほぐれている
○:ご飯どうしがさほどくっつかず、ほぐれている
△:ご飯の塊がところどころにみとめられる
×:ご飯全体がねばついていて塊となり、ほぐれていない
<ご飯の艶評価>
◎:光沢があり、つやつやしている
○:やや光沢がある
△:光沢がない
×:くすんでいる
<ご飯の食感評価>
◎:ご飯粒それぞれに粘りがあり、油脂などを添加していないご飯本来の食感が感じられる
○:ご飯粒に粘りが残っており、油脂を変化してないご飯本来の食感に近い
△:ご飯粒に粘りが少なく、ご飯本来の食感を感じない
×:ご飯粒に粘りがなく、かつ、ご飯本来の味がなく、まずい
<ご飯の風味評価>
◎:ご飯本来の風味があり、異味異臭を感じない
○:ご飯本来の風味が残っており、異味異臭をさほど感じない
△:ご飯本来の風味が感じられず、異味異臭を少し感じる
×:ご飯本来の風味がなく、異味異臭を感じる
Figure 0006162636
Figure 0006162636
チルド温度帯(4℃)で保存した米飯について、MCTと米油との間でほぐれ性及び艶の評価に大きな違いは認められなかった。しかしながら、MCTは、米油と比べて、食感及び風味について改善効果が認められた。これは、MCTは無味無臭であり、水に馴染みやすく、食感・風味に対する影響が低いためと思われる。他方、米油は独特の風味があり、水に馴染みにくく、多量に添加されると風味に悪い影響がある。また、MCTも米油も油分が多くなると、米飯の粘りが少なくなり、硬くなる傾向が認められた。これは米飯へ浸透する水分が少なくなるためであると考えられる。
なお、チルド温度帯で保存した米飯は、油を添加しないものであっても、その保存条件のため、品質は劣ってしまう。
[実施例2]冷凍温度帯で保存した米飯における官能評価試験
上記[実施例1]と同様に米飯を作製した。ただし、実施例2では−20℃(冷凍温度帯)で48時間保存した。その後、家庭用電子レンジで再加熱してラップから取り出し、米飯のほぐれ性、艶、食感、風味を官能評価した。官能評価の結果を表3(MCT)及び表4(米油)に示す。
[官能評価]
[実施例2]においても、上記段落〔0026〕と同じ官能評価を行った。
Figure 0006162636
Figure 0006162636
冷凍温度帯(−20℃)で保存した米飯については、MCTと米油で、ほぐれ性及び艶の評価に有意な違いが認められた。すなわち、MCTを添加したものは、米油を添加したものに比べて、ほぐれ性及び艶が向上していた。また、食感及び風味においても、MCTは米油と比べて優れた改善効果を示した。また、冷凍温度帯(−20℃)ではチルド温度帯(4℃)よりも老化進行が遅いため、その分、食感・風味改善効果がチルド温度帯よりも大きく出ていると考えられる。さらに、MCTも米油も油分が多くなると、米飯の粘りが少なくなり、硬い食感となる傾向が認められた。しかし、MCTは米油に比べて低い濃度でも硬い食感となる傾向が認められた。これは、MCTが米油よりも水に馴染みやすく、米飯への水分の浸透性をより早く抑制するためと考えられる。
なお、冷凍温度帯で保存した米飯は、油を添加しないものであっても、その保存条件のため、品質は劣ってしまう。
[実施例3]老化抑制・保存性の試験
食感及び風味において大きな改善効果が得られた[実施例2]の米飯(冷凍温度帯)について、食感及び風味に重大な影響を与える糊化した澱粉の量を測定するため、ヨウ素澱粉反応を行った。その試験結果を表5及び図1に示す。
[試験の内容]
<ヨウ素澱粉反応及び濁度法>
ヨウ素澱粉反応は、アミロースのらせん構造の中にヨウ素が取り込まれて発色する反応であり、澱粉の量を測定するため、当業者に広く利用されているものである。また、濁度法は、糊化した澱粉が沈降しにくくなる性質を利用したものであり、30mg/mlとなるようにした米飯懸濁液の上清を利用するものである(渋川・福場、家政誌、24、45、1973)。実施例3では、これら両者を組み合わせて、糊化した澱粉の量を測定した。
より具体的には、上記[実施例2]で得られた米飯を秤量し、30mg/mlとなるように加水した。これをホモジナイザー(15000rpm、60秒間)で懸濁して米飯懸濁液を調製した。この懸濁液を5μl採取し、990μlの水に希釈させた。そして、この希釈液に5μlのヨウ素反応液を添加し、全体を1mlとした。この希釈溶液を遠心分離機(5000rpm、3分間)にかけて上清を得た。なお、上清には糊化した澱粉が残り、老化した澱粉は沈殿すると考えられる。次に、上清の650nmの吸光度を測定し、糊化した澱粉の量の指標(老化抑制度)とした。
Figure 0006162636
表5から明らかであるように、MCTを加えて炊飯した米飯は、米油を加えて炊飯した米飯よりも、糊化した澱粉を多く維持している。したがって、MCTには、糊化した澱粉を維持する作用、すなわち、米飯の老化を抑制する作用があるといえる。また、このため、MCTを加えて炊飯した米飯は、低温で保存しても糊化した澱粉を失わず、それにより保存性が高いと考えられる。
このように、MCTには、米飯の老化抑制剤として機能し得る効果のあることが確認された。ただし、MCTをあまりに多く添加すると、逆に、糊化澱粉に含まれる水がMCTにより取り除かれてしまうため、米飯の老化が進んでしまうと考えられた。MCTを米飯の老化抑制剤と使用する場合は、適度な量で使用することが必要と考えられる。

Claims (10)

  1. 乳化剤を含有しない米飯用油脂組成物を有効成分とする米飯の品質向上剤であって、前記油脂組成物全体中、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含有量が50質量%以上の量で含有されていることを特徴とする、米飯の品質向上剤(ただし、前記米飯として、加水により復元して食する乾燥穀類又は乾燥穀類加工品を除く)。
  2. 上記中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの構成脂肪酸が、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸のみから構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の品質向上剤。
  3. 上記中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの構成脂肪酸が、炭素数8及び/又は10の中鎖脂肪酸のみから構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の品質向上剤。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の米飯の品質向上剤が添加された、米飯類(ただし、前記米飯類として、加水により復元して食する乾燥穀類又は乾燥穀類加工品を除く)。
  5. 乳化剤を含有しない米飯用油脂組成物を有効成分とする米飯の澱粉老化抑制剤であって、前記油脂組成物全体中、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含有量が50質量%以上の量で含有されていることを特徴とする、米飯の澱粉老化抑制剤(ただし、前記米飯として、加水により復元して食する乾燥穀類又は乾燥穀類加工品を除く)。
  6. 上記中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの構成脂肪酸が、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸のみから構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の澱粉老化抑制剤。
  7. 上記中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの構成脂肪酸が、炭素数8及び/又は10の中鎖脂肪酸のみから構成されていることを特徴とする、請求項5または6に記載の澱粉老化抑制剤。
  8. 請求項5ないし7のいずれか1項に記載の米飯の澱粉老化抑制剤が添加された、米飯類(ただし、前記米飯類として、加水により復元して食する乾燥穀類又は乾燥穀類加工品を除く)。
  9. 乳化剤を含有しない米飯用油脂組成物であって、前記油脂組成物全体中、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含有量が50質量%以上の量で含有されている米飯用油脂組成物を、生米100重量部に対し、0.75〜15.0質量部で添加することを特徴とする、米飯類の製造方法(ただし、前記米飯類として、加水により復元して食する乾燥穀類又は乾燥穀類加工品を除く)。
  10. 上記米飯用油脂組成物を洗米に添加するか、もしくは炊飯後の米飯に添加することを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
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