JP6162428B2 - 支持装置 - Google Patents
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一方、前記特許文献2の技術では、静電チャックにおける放熱性が高まるので、熱効率が低下し、特に、静電チャックにヒータを内蔵する場合には、静電チャックにおける均熱性が低下し、結果として、半導体ウェハの(温度の)面内ばらつきが増加し、歩留まりが低下するという問題があった。
・本第1態様では、多孔質のフッ素樹脂シートを用いるので、緻密なフッ素樹脂シートを用いる場合に比べて、接合性が高いという効果がある。
つまり、フッ素樹脂シートの細孔は連続孔であるので、接合時に、フッ素樹脂シートの内部から外側(厚み方向の外側)に気泡を排出し易くなるため、気泡が少ない(好ましくは含まない)接合層(詳しくは接合基材層)を形成できる。これにより、接合層における、熱的、機械的(引張強度)特性を均一にできる。
なお、細孔の多く(できれば全て)が連続孔であることが望ましいが、少なくとも全細孔の80体積%以上であれば、好適である。
更に、本第1態様では、接合材料は、フッ素樹脂シートの全体にわたって細孔内に充填されている。
つまり、多孔質のフッ素樹脂シートの全体にわたって、フッ素樹脂シートの細孔内に、接合材料が充填されているので、フッ素樹脂シートの外側表面に配置する接合材料を薄くでき、よって、接合層の厚みをより一層容易に均一化できる。
なお、接合材料が充填されたフッ素樹脂シートの(厚み方向の)両側又は片側に、接合材料からなる層があると一層接合力が向上するので好適である。
(2)本発明は、第2態様として、前記フッ素樹脂シートのヤング率は、10MPa以下であることを特徴とする。
本第2態様は、フッ素樹脂シートの好ましいヤング率を例示したものである。
(3)本発明は、第3態様として、前記フッ素樹脂シートと、該フッ素樹脂シートの厚み方向における少なくとも一方の表面に配置された接合材料とによって、前記支持部材と前記金属部材とを接合する接合層が構成されていることを特徴とする。
なお、放出型多孔質フッ素樹脂とは、複数の結節点が、複数のフッ素樹脂からなる繊維でネットワークを形成するように繋がっているものであり、市販のものを使用することができる。
本第5態様は、好ましい接合材料を例示したものである。ここでは、例えば粘着テープ(両面テープ)等の粘着剤を用いて、支持部材とフッ素樹脂シートと金属部材とを接合することができる。
本第6態様は、好ましい接合材料を例示したものである。ここでは、例えばシリコーン樹脂、フッ素化シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の接着剤を用いて、支持部材とフッ素樹脂シートと金属部材とを接合することができる。
(10)本発明は、第10態様として、前記支持部材は、板状のセラミック部材であり、前記金属部材は、板状の金属部材であることを特徴とする。
本第10態様は、好ましい支持装置を例示したものである。ここでは、板状のセラミック部材とフッ素樹脂シートと板状の金属部材とが接合された(積層体である)板状の支持装置が挙げられる。
上述した構成を有する静電チャックにおいては、例えばセラミック絶縁板と金属ベースとを接合する場合などには、静電チャックの面内の平面度が高く、表面の温度にムラが発生し難く、高い耐プラズマ性を有する。
[実施形態]
・多孔質のフッ素樹脂シートとしては、上述のように、連続孔が形成されたシートや、繊維状のフッ素樹脂が結節点にて結合された構造を有する放出型多孔質フッ素樹脂からなるシートが、接合層の均一性や接合材料の含浸性(従って接合性)等の点で好適である。
<粘着剤>
・粘着剤には、市販の粘着テープ、例えば日東電工製5303W、住友スリーエム製VHX-802、トランシルNT-1001などを使用できる。更には、粘着剤原料と触媒などを調合して粘着剤を調製することもできる。
過酸化物硬化型粘着剤の触媒である過酸化物としては、通常の有機過酸化物であれば使用でき、例えばベンゾイルパーオキサイドを使用できる。ベンゾイルパーオキサイドは高分子のラジカル重合で広範に使われており安価に入手できる。過酸化物型粘着剤は比較的粘着力が高く、過酸化物の添加後の可使時間が長い、更には、触媒毒による硬化阻害が起こりにくいという特長がある。また、触媒の添加量によって、粘着力等の特性を調整できる。
(粘着剤が塗布された)市販の粘着テープを使用する場合は、貼り付ける順序は特に問わない。粘着テープを支持部材と金属部材に貼り付けた後、多孔質のフッ素樹脂シートを間に挟み、接着して支持装置を作成すればよい。逆に、粘着テープを多孔質のフッ素樹脂シートに貼り付けた後、支持部材や金属部材を貼り付けてもよい。なお、大型の支部装置を製造する場合、作業性を向上するために粘着テープを切り分け、個別に貼り付けることもできる。
接着剤原料、触媒、粘着力調整剤を、トルエンやキシレンなどの溶媒を用いて適宜混合し、必要に応じて脱泡する。脱泡は減圧下で攪拌してもよく、所定の時間静置してもよい。この粘着剤溶液をベースフィルムの上に塗工し、乾燥、硬化することによって、粘着力のある粘着テープを製造する。この方法には、粘着剤の厚さや量を制御しやすいという特長がある。これにより、上記の市販の粘着テープと同様に使用できるようになる。
<接着剤>
・接着剤としては、例えばアクリル系、エポキシ系、シリコーン系、フッ素系の接着剤を用いることができるが、耐熱性の面からシリコーン系とフッ素系の接着剤が好ましい。シリコーン接着剤には、例えば信越化学製KE-1820などがある。このうち、耐プラズマ性が高いことからフッ素系接着剤が最も好ましい。
・上述した接着剤を用いて、静電チャック等の支持装置を製造する場合には、下記の製造方法を採用できる。
例えば、液状の接着剤をベースフィルム上に均一に塗工し、これを金属部材と支持部材に転写する。その後、多孔質のフッ素樹脂シートを間に挟み接着して、支持装置を作成する。
・第1層及び第3層を異なる接合材料としてもよい。例えば、第1層に粘着剤を、第3層に接着剤を用いた場合、支持部材を容易に取り外す事ができるという利点がある。
・耐プラズマ性に優れた静電チャックとしては、イットリア製の支持部材(セラミック絶縁板)に、フッ素系接着剤と多孔質のフッ素樹脂シートを用いて金属部材を接合したものが最も好ましい。
a)まず、本実施例の静電チャックの構造について説明する。
前記セラミック絶縁板9は、後述するように複数のセラミック層が積層された支持部材であり、アルミナを主成分とするアルミナ質焼結体である。このセラミック絶縁板9の内部には、半導体ウェハ3を冷却するヘリウム等の冷却用ガスを供給するトンネルである冷却用ガス供給路19が設けられ、その吸着面5には、冷却用ガス供給路19が開口する複数の冷却用開口部21や、冷却用開口部21から供給された冷却用ガスが吸着面5全体に広がるように設けられた環状の冷却用溝23が設けられている。
そして、後に詳述する様に、セラミック絶縁板9と金属ベース15は、互いの接合面7、11の間に配置された接合層17により接合されている。
図3に示すように、静電チャック1の吸着電極41、43やヒータ45には、それぞれを作動させるために電源回路が接続されている。
c)次に、本実施例の静電チャック1の要部について説明する。
d)次に、本実施例の静電チャック1の製造方法について説明する。
(1)図示しないが、原料としては、主成分であるAl2O3:92重量%、MgO:1重量%、CaO:1重量%、SiO2:6重量%の各粉末を混合して、ボールミルで、50〜80時間湿式粉砕した後、脱水乾燥する。
(5)そして、吸着電極41、43、ヒータ45、内部導電層(図示せず)を形成するために、前記メタライズインクを用いて、それぞれの電極やヒータの形成箇所に対応したアルミナグリーンシート上に、通常のスクリーン印刷法により、各パターンを印刷する。なお、ビアを形成するために、スルーホールに対して、メタライズインクを充填する。
(7)次に、熱圧着した積層シートを、所定の円板形状(例えば8インチサイズの円板形状)にカットする。
<セラミック絶縁板9と金属ベース15との接合方法>
(1)図7に模式的に示すように、液状の接着剤をベースフィルム上に均一の厚さで塗布し、これをセラミック絶縁板9の接合面7と金属ベース15の接合面11とに転写し、第1層63となる第1形成層71と第3層65となる第3形成層73とを作製する。
d)次に、本実施例の効果について説明する。
・本実施例では、多孔質のフッ素樹脂シート61を用いるので、緻密なフッ素樹脂シートを用いる場合に比べて、(細孔に入り込んだ接着剤による)アンカー効果によって接合性が高いという効果がある。
よって、セラミック絶縁板9と金属ベース15との熱膨張係数が異なっている場合に、温度の変化があっても、その温度変化による熱膨張差を、(低ヤング率)多孔質のフッ素樹脂シート61が吸収でき。よって、セラミック絶縁板9(従って静電チャック1)の変形を抑制できるので、吸着面5の平面度を維持することができる。
・更に、従来は、接合材料の強度向上や熱伝導率の制御のために接着剤中に粒子状のフィラーを添加することがあるが、本実施例では、接合層17にフッ素樹脂シート61を用いるので、フィラーの添加を省略することが可能である。よって、粒子の脱落によって生じる不具合、例えば半導体ウェハ3を加工する際に用いる半導体真空チャンバーの汚染を抑制できる。
・本実施例では、フッ素樹脂シート61は、繊維状のフッ素樹脂が結節点にて結合された放出型多孔質フッ素樹脂からなるので、内部に多数の連続孔を有している(殆ど全部が連続孔である)。
・また、本実施例では、金属ベース15とセラミック絶縁板9との間にフッ素樹脂シート61を配置するので、接合層17全体としての比誘電率が下がる。これは、フッ素樹脂は通常の接着剤や粘着剤となる樹脂、例えばシリコーン系材料、アクリル系材料、エポキシ系材料など通常の有機化合物からなる樹脂よりも比誘電率が小さいからである。
なお、静電チャックの構成は、前記実施例1と同様であるので、同様な部材の番号を用いて説明する。
つまり、本実施例2では、接合層17は、多孔質のフッ素樹脂シート61の両側に、粘着剤からなる第1層63及び第3層65を備えたものである。
本実施例2において、セラミック絶縁板9と金属ベース15とを接合する場合には、下記の接合方法を採用できるが、これに限定されることなく、上述した粘着剤を用いた接合方法から適宜選択して使用することができる。
なお、前記実施例1及び実施例2の変形例として、第1層63と第3層65の接合材料を違えてもよい。例えば、第1層63として粘着剤を用い、第3層65として接着剤を用いてもよく、或いは、その逆であってもよい。
図8に模式的に示す様に、本実施例3の静電チャック81では、前記実施例1と同様に、セラミック絶縁板83と金属ベース85とを接合層87によって接合しているが、接合層87の構成が、前記実施例1とは異なっている。
図9に模式的に示す様に、本実施例2の静電チャック91では、前記実施例3と同様に、セラミック絶縁板93と金属ベース95とを接合層97によって接合しているが、接合層97の構成が、前記実施例3とは異なっている。
なお、図10では、セラミック絶縁板と金属ベースとを同様な径方向の寸法(直径)で示してある。
特に本実施例5では、第1層121及び第2層123の厚み方向(同図上下方向)と垂直の径方向の外周面が、外部に露出しないように、フッ素樹脂シート119の径方向の外周縁部125によって覆われている。
図10(b)に模式的に示す様に、本実施例6の静電チャック131では、前記実施例1と同様に、セラミック絶縁板133と金属ベース135とは、接合層137によって接合されている。また、この接合層137は、多孔質のフッ素樹脂シート139の両側に配置された接合材料からなる第1層141及び第3層143から構成されている。
特に本実施例6では、第3層143の径方向の外周面が、外部に露出しないように、金属ベース135の径方向の外周縁部145によって覆われている。
図10(c)に模式的に示す様に、本実施例7の静電チャック151では、前記実施例1と同様に、セラミック絶縁板153と金属ベース155とは、接合層157によって接合されている。また、この接合層157は、多孔質のフッ素樹脂シート159の両側に配置された接合材料からなる第1層161及び第3層163から構成されている。
特に本実施例7では、第1層161の径方向の外周面が、外部に露出しないように、セラミック絶縁板153の径方向の外周縁部165によって覆われている。
図10(d)に模式的に示す様に、本実施例8の静電チャック171では、前記実施例1と同様に、セラミック絶縁板173と金属ベース175とは、接合層177によって接合されている。また、この接合層177は、多孔質のフッ素樹脂シート179の両側に配置された接合材料からなる第1層181及び第3層183から構成されている。
特に本実施例8では、接合層177の径方向の外周面全体が、外部に露出しないように、セラミック絶縁板173の径方向の外周縁部185及び金属ベース175の径方向の外周縁部187によって覆われている。
尚、本発明は前記実施形態や実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
5…吸着面
3…半導体ウェハ
9、83、93、113、133、153、173…セラミック絶縁板
15、85、95、115、135、155、175…金属ベース
17、87、97、117、137、157、177…接合層
61、89、99、119、139、159、179…フッ素樹脂シート
63、101、121、141、161、181…第1層
65、123、143、163、183…第3層
127、129…第1外周凸部
147、167、189、191…第2外周凸部
Claims (11)
- 被支持体を支持する支持部材と、
該支持部材の材料とは異なる金属部材と、
前記支持部材及び前記金属部材の間に配置された多孔質のフッ素樹脂シートと、
を備えるとともに、
前記支持部材と前記金属部材と前記フッ素樹脂シートとは、接合材料によって一体に接合されており、
前記フッ素樹脂シートの細孔は、互いに連続するとともに、該連続した細孔は、前記フッ素樹脂シートの内部から外部に至る構造を有し、
前記接合材料は、前記フッ素樹脂シートの全体にわたって前記細孔内に充填されていることを特徴とする支持装置。 - 前記フッ素樹脂シートのヤング率は、10MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の支持装置。
- 前記フッ素樹脂シートと、該フッ素樹脂シートの厚み方向における少なくとも一方の表面に配置された接合材料とによって、前記支持部材と前記金属部材とを接合する接合層が構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の支持装置。
- 前記フッ素樹脂シートは、繊維状のフッ素樹脂が結節点にて結合された構造を有する放出型多孔質フッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の支持装置。
- 前記接合材料は、粘性を有し、前記支持部材及び前記金属部材に接合する粘着剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の支持装置。
- 前記接合材料は、接合時における自身の化学的変化によって、前記支持部材及び前記金属部材に接合する接着剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の支持装置。
- 前記フッ素樹脂シートと前記接合材料からなる層とが積層された接合層を有するとともに、
前記フッ素樹脂シートの両表面のうち少なくとも一方の表面に、前記接合材料からなる層の平面方向における外周面に沿って、該接合材料からなる層の外周面を覆うように、該接合材料より耐プラズマ性の高い材料からなる第1外周凸部を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の支持装置。 - 前記フッ素樹脂シートと前記接合材料からなる層とが積層された接合層を有するとともに、
前記支持部材及び前記金属部材の前記接合層側の表面のうち少なくとも一方の表面に、前記接合層の平面方向における外周面に沿って、該接合層の外周面を覆うように、該接合材料より耐プラズマ性の高い材料からなる第2外周凸部を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の支持装置。 - 前記フッ素樹脂シートには、前記支持部材に設けられたガス供給路に対して開口する連通部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の支持装置。
- 前記支持部材は、板状のセラミック部材であり、前記金属部材は、板状の金属部材であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の支持装置。
- 前記支持装置は、前記支持部材が電気絶縁材性料からなるとともに、該支持部材に吸着電極を有し、前記吸着電極に電圧を印加させた際に生じる静電引力を用いて前記被支持体を吸着させる静電チャックであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の支持装置。
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