上述したように、合成ガスは一酸化炭素と水素を含む。任意には、合成ガスは二酸化炭素を含むことができる。典型的には、合成ガスは、窒素やメタンなどのような少量の不活性ガスを含むこともできる。炭化水素源を合成ガスに転換する従来プロセスは、水蒸気改質および部分的な酸化を含む。合成ガスの生産に用いられる炭化水素源の例には、バイオマス、天然ガス、メタン、C2−C5炭化水素、ナフサ、石炭および石油系重質油が含まれる。
水蒸気改質は、一般に、合成ガスを形成するため炭化水素を水蒸気と接触させることを含む。
部分酸化は一般に合成ガスを形成するため炭化水素を酸素あるいは空気のような酸素含有ガスと接触させることを含む。部分酸化は、ロジウム、白金あるいはプラチナを基礎とする触媒を用いて、あるいは用いずに生じる。
本願発明では、一酸化炭素および水素を含む合成ガスは、一つの適切なカルボニル化触媒と共にカルボニル化反応領域においてジメチルエーテルと接触させられ、酢酸メチルおよび水素含有量の多い合成ガスを含む気相カルボニル化反応生成物が生成される。
適切には、カルボニル化反応領域に供給される合成ガス供給物は、炭化水素の水蒸気改質あるいは炭化水素の部分酸化によって生成された合成ガスである。好適には、合成ガスは、天然ガスあるいはメタンの部分酸化によって生成される。
適切には、合成ガス生成プロセスで形成された合成ガスは、カルボニル化反応での使用に先立って冷却される。好適には、合成ガスは、合成ガス生成プロセス中に形成された水蒸気の少なくとも一部が凝結するように冷却される。
カルボニル化反応領域に供給される合成ガスは、好適には乾燥合成ガスである。水は、いずれかの適切な手段によって、例えば、分子篩によって合成ガスから取り除くことができる。
カルボニル化反応領域に供給される合成ガス供給物は新鮮な合成ガスを含む。本願発明の目的のため、新鮮な合成ガスは新鮮に生成された合成ガスおよび合成ガスの蓄えられた供給源をも含む。カルボニル化反応領域に供給される合成ガス供給物は、いかなる再循環合成ガスをも含まない本質的に新鮮な合成ガスから構成されうる。
適切には、カルボニル化反応領域に供給される新鮮な合成ガス供給物は二酸化炭素を含む。二酸化炭素は、50mol%以下の量、例えば0.5から12モル%の範囲内のような、において合成ガス中に存在し得る。
カルボニル化反応領域に供給される新鮮な合成ガス供給物の化学量数(SN)は、臨界的なものではなく、また大きく変化し得る。有利なことに、本願発明の一つの実施形態において、カルボニル化反応領域への供給に加えてメタノール合成領域に新鮮な合成ガス供給物を供給する必要なく、メタノールをメタノール合成領域において生産することができる。好適には、化学量論的に均衡したメタノールの生産のためメタノール合成領域に一つの適切な合成ガス組成物を供給するために、カルボニル化反応領域に供給される新鮮な合成ガスは一酸化炭素および二酸化炭素の量と比較して少なくとも部分的に過剰な水素を含む。適切には、したがって、新鮮な合成ガスは0.9から1.3の範囲の化学量数を有し、好適には1.0から1.2の範囲内であり、例えば1.0から1.1の範囲内である。
しかしながら、必要に応じて、新鮮な合成ガスをメタノール合成領域に供給することもできる。適切には、この場合、メタノール合成領域に供給される新鮮な合成ガス供給物の組成は、メタノール合成領域に供給される新鮮な合成ガス供給物とカルボニル化反応生成物から回収された合成ガスの混合物が、カルボニル化反応領域に供給される合成ガス供給物の化学量数よりも高い化学量数を有するような組成である。好適には、カルボニル化反応領域に供給される合成ガス供給物は、1.1あるいはそれより低い化学量数を有し、好適には0.05から1.1の範囲内にある。好適には、メタノール合成領域に供給される新鮮な合成ガスとカルボニル化反応生成物から回収した合成ガスの混合物は、2.0から2.1の範囲内のように、1.5から2.5の範囲の化学量数を有し、例えば、2.05である。
好適には、カルボニル化反応領域に供給される合成ガス供給物は、さらに再循環合成ガスを含む。適切な再循環合成ガスの供給源は、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスを含む。
好適には、本願発明においては、カルボニル化反応領域に供給される合成ガス供給物は、新鮮な合成ガスとカルボニル化反応生成物から回収した合成ガスの混合物を含む。
再循環合成ガス、例えば、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスのような、は、二酸化炭素をも含み得る。好適には、新鮮および再循環合成ガスを含む合成ガスは、全量として50モル%以下、例えば、0.5から12モル%の範囲内の、二酸化炭素を含むことができる。
合成ガスは、一つ以上の流れとしてカルボニル化反応領域に供給することができる。その一つ以上の流れは、新鮮な合成ガスあるいは新鮮および再循環合成ガスの混合物のいずれかとすることができる。
好適には、カルボニル化反応での使用に先立って、合成ガス(新鮮、再循環およびそれらの混合物)は、例えば、一つ以上の熱交換器の中で、所望のカルボニル化反応温度まで加熱される。
カルボニル化反応領域における一酸化炭素の分圧は酢酸メチルの生産を可能にするために十分なものとすべきである。したがって、適切には、一酸化炭素の分圧は0.1から100barg(10kPaから10,000kPa)の範囲内、例えば、10から65barg(1000kPaから65000kPa)である。
カルボニル化反応領域の水素分圧は、適切には1bargから100barg(100kPaから10,000kPa)の範囲内、好適には10から75barg(1000kPaから7500kPa)にある。
カルボニル化反応領域に供給されるジエチルエーテル供給物は、新鮮なジエチルエーテル、再循環ジエチルエーテルあるいは新鮮および再循環ジエチルエーテルの混合物とすることができる。適切には、ジエチルエーテルを含む再循環流は、カルボニル化反応領域のプロセスの下流のいかなる部分からも得ることができ、例えば、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガス流および脱水−加水分解反応生成物から回収したジエチルエーテル豊富含有製品流を含む。
適切には、カルボニル化反応領域に供給されるジエチルエーテル供給物は新鮮なジエチルエーテルおよび少なくとも一部の、好適には実質的に全ての、脱水−加水分解反応生成物から回収したジエチルエーテル豊富含有製品流を含む。
ジエチルエーテルは、一つ以上の新鮮なジエチルエーテル流、一つ以上の再循環流、あるいは一つ以上の流れであって、新鮮および循環ジエチルエーテルの混合物を含む流れとしてカルボニル化反応領域に供給することができる。
ジエチルエーテルおよび合成ガスは、カルボニル化反応領域に一つ以上の分離した流れとして供給することができるが、好適には、一つ以上の合成ガスおよびジエチルエーテルの混合流として供給する。
一つの実施形態においては、ジエチルエーテルおよび合成ガスはカルボニル化反応領域に一つの混合流として供給され、その混合流は、カルボニル化反応での使用に先立って、所望のカルボニル化反応温度まで、例えば一つ以上の熱交換器の中で、加熱される。
商業的実践においては、ジエチルエーテルは、メタノールの脱水触媒上でメタノールの触媒転換によって生産される。この触媒転換は、ジメチルエーテルが主体の生成物をもたらすが、低レベルのメタノール、水あるいはその両者をも含み得る。ジメチルエーテルのゼオライト触媒作用によるカルボニル化において多量の水が存在すると、酢酸メチル生産物の生産が阻害される傾向にある。加えて、水は、副反応を介してカルボニル化反応中に生成され得る。本願発明のカルボニル化反応に使用するジメチルエーテルは、そのメタノールおよび水の全量が、酢酸メチルの生産を著しく阻害するほど多量なものではないという条件の下、少量の一つ以上の水およびメタノールを含み得る。適切には、ジメチルエーテル(再循環物を含む)は、全量において1ppmから10モル%の範囲内、例として、1ppmから2モル%、例えば、1ppmから1モル%、好適には1ppmから0.5モル%の範囲内の水およびメタノールを含み得る。
好適には、ジメチルエーテル(新鮮および再循環)供給物はカルボニル化反応領域での使用に先立って乾燥される。
ジエチルエーテルは、1モル%から20モル%の範囲内、適切には1.5モル%から15モル%の範囲内、例えば、5から15モル%、例として、2.5から12モル%、例えば2.5から7.5モル%の範囲内のような、カルボニル化反応領域に供給される全ての流れに基づいた濃度でカルボニル化反応領域に供給される。
カルボニル化反応領域における一酸化炭素対ジメチルエーテルのモル比は、適切には1:1から99:1の範囲にあり、例として、1:1から25:1であり、例えば2:1から25:1などである。
二酸化炭素は水素と反応して水と一酸化炭素を形成する。この反応は、一般に、逆水性ガスシフト反応と呼ばれている。したがって、二酸化炭素を含む合成ガス供給物を利用する必要がある場合には、カルボニル化反応に対する水の影響を軽減するため、カルボニル化触媒が逆水性ガスシフト反応あるいはメタノールの生成に対して不活性であることが望ましい。好適には、カルボニル化触媒はアルミノケイ酸塩ゼオライトを含む。
ゼオライトは一つのチャネル系を含み、このチャネル系は他のチャネル系あるいはサイド−ポケットやケージなどのような空孔と相互接続可能である。このチャネル系は環構造によって規定され、その環は、例えば、8、10あるいは12員を含み得る。ゼオライトに関する情報、それらの骨格構造型およびチャネル構造、は、C.H. Baerlocher, L.B. Mccusker および D.H. Olson著、Atlas of Zeolite Framework Typesの第6版、エルセビア、アムステルダム、2007年に刊行されており、また国際ゼオライト協会(International Eolite Association)のウエブサイト上でもwww.iza−online.orgにおいて閲覧可能である。
適切には、カルボニル化触媒はアルミノケイ酸塩ゼオライトであり、これは一つの8員環によって規定される少なくとも一つのチャネルを含む。その8員環によって規定されるゼオライトチャネルの開口は、反応物質としてのジメチルエーテルおよび一酸化炭素分子がそのゼオライト構造の中に自由に出入りすることができるような寸法であるべきである。適切には、ゼオライトの8員環チャネルの開口は、少なくとも2.5×3.6オングストロームの寸法を有する。好適には、8員環チャネルによって規定されるそのチャネルは、10あるいは12員を有する一つの環によって規定される少なくとも一つのチャネルと相互接続されている。
アルミノケイ酸塩ゼオライトの限定されない例であって、一つの8員環によって規定される少なくとも一つのチャネルを含むアルミノケイ酸塩ゼオライトは、MOR(例として、モルデナイト)、FER(例として、フェリエライト),OFF(例として、オフレタイト)およびGME(例として、グメリナイト)の骨格構造型を含む。
一つの好適なカルボニル化触媒はモルデナイトゼオライトである。
カルボニル化触媒は、一つの水素型のゼオライトとすることができる。好適には、カルボニル化触媒は、水素型のモルデナイトである。
カルボニル化触媒は一つのゼオライトとすることができ、そのゼオライトは一つ以上の金属によって完全にあるいは部分的に担持されたものである。ゼオライト上に担持する適切な金属は、銅、銀、ニッケル、イリジウム、ロジウム、白金、パラジウムあるいはコバルトおよびそれらの組み合わせを含み、好適には、銅、銀およびそれらの組み合わせである。銅および/または銀を含みアルミニウムに対して0.05から10mol%の白金が担持されたモルデナイトゼオライトが欧州特許出願第EP−A−1985362号明細書に記載されている。
金属担持形態は、イオン交換および含浸などの技術によって準備することができる。これらの技術はよく知られており、そして典型的にゼオライトの水素あるいは水素前駆体の陽イオン(例えば、アンモニア陽イオンのような)と金属陽イオンとの交換を含む。
カルボニル化触媒はアルミノケイ酸塩ゼオライトとすることができ、アルミニウムとシリコンに加え、その骨格構造の中に一つ以上の付加的な金属、例えば、ガリウム、ホウ素および鉄から選ばれる少なくとも一つの三価金属が存在する。適切には、カルボニル化触媒は、骨格構造要素としてガリウムを含む一つのゼオライトとすることができる。より適切には、カルボニル化触媒は一つのモルデナイトであって、それは一つの骨格構造要素としてガリウムを含み、最も適切には、カルボニル化触媒は一つのモルデナイトであって、一つの骨格構造要素としてガリウムを含み、そしてその水素型である。
カルボニル化触媒は一つのゼオライトとすることができ、それは少なくとも一つのバインダー材料との複合材料である。通常の能力を有する当業者によって理解されるように、バインダー材料は、触媒が、カルボニル化反応条件下において、適切な活性を有し、および堅固であるように選ばれる。適切なバインダー材料の例として、無機酸化物、例えば、シリカ、アルミナ、アルミナ−シリケート、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、チタニアおよびジルコニアなど、を含む。好適なバインダー材料は、アルミナ、ケイ酸アルミニウムおよびシリカ、例えば、ベーマイト型アルミナ、を含む。
ゼオライトとバインダー材料の相対比率は広範囲に変化し得るが、適切には、バインダー材料は複合体の中に、複合体の10重量%から90重量%の範囲内の量、好適には、複合体の10重量%から65重量%の範囲内の量で存在し得る。
ゼオライト粉末もまたバインダーを用いることなく粒子状に形成することができる。典型的なゼオライト触媒粒子は押出成形体を含み、その断面形状は円形あるいは触媒粒子の中心部から外側に向かって延びる複数の弓形のローブを取り囲むものである。
本願発明のある実施形態では、カルボニル化触媒は一つのゼオライトであり、例えば、一つのモルデナイトであって、アルミナ、シリカおよびアルミナ−シリカ、から適切に選ばれた、少なくとも一つの無機酸化物バインダー材料との複合材料であり、且つ一つの成形体の形態、例えば、押出成形体など、で利用される。特に、カルボニル化触媒は、一つのアルミナ、例えば、ベーマイト型アルミナと複合化されたモルデナイトである。アルミナと複合化されたモルデナイトは、一つの骨格構造要素としてガリウムを含み得る。
本願発明のカルボニル化触媒として用いるゼオライトのシリカとアルミナのモル比は、容積比あるいは全体比である。この比率は、数多くある化学分析技術のいずれか一つによって決定することができる。そのような技術には、X線蛍光分析、分子吸光分析およびICP(誘導結合プラズマ)が含まれる。全ての技術が、実質的に同一のシリカ対アルミナのモル比の値を提供するだろう。
合成ゼオライトのシリカ対アルミナの容積モル比(ここでは、”SAR”と称する)は変化する。例えば、あるゼオライトのSAR、例えば、モルデナイトなどのような、ゼオライトのSARは、5という低い値から、90を超える値までの範囲になり得る。
本願発明における一つのカルボニル化触媒として用いるあるゼオライトのSARは、適切には10:1から90:1の範囲内、例えば、20:1から60:1の範囲内、にあり得る。
一つのゼオライトカルボニル化触媒は、使用する直前に活性化されることが望ましく、典型的には、窒素、一酸化炭素、水素あるいはそれらの混合流の下で少なくとも1時間の間昇温状態において加熱される。
好適には、カルボニル化反応は、実質的に無水条件下において実施される。適切には、したがって、上述したように、カルボニル化反応における水の存在を制限するため、新鮮な合成ガス、新鮮なジメチルエーテル、それらのいかなる再循環物および触媒を含む、全ての反応物質が、カルボニル化反応での使用に先立って乾燥される。
適切には、カルボニル化反応領域に存在する水とメタノール(水の一つの供給源)の合計量は、1ppmから0.5モル%の範囲内に制限され、好適には、1ppmから0.1モル%の範囲内、また最も好適には1ppmから0.05モル%の範囲内に制限される。望ましくは、カルボニル化反応領域に導入される水とメタノールの合計量は、多くても0.5mol%、例として、0から0.5mol%、例えば、1ppmから0.5モル%などである。
カルボニル化触媒は、固定床カルボニル化反応領域、例えば、管や筒の形をした、に装填することができ、そこではジメチルエーテルおよび合成ガス供給物、典型的には気体状にある、が、カルボニル化触媒の上を通過し、あるいは通り抜ける。
カルボニル化反応は気相で実施される。したがって、カルボニル化反応領域に供給されるジエチルエーテルを含むありとあらゆる供給物は、カルボニル化反応領域への供給に先立って気相状態となる。
合成ガスおよびジメチルエーテルは、酢酸メチルを含む気体状のカルボニル化反応生成物を形成するために効果的な反応条件下において、カルボニル化触媒の存在の下で反応させられる。
好適には、カルボニル化反応は、100℃から350℃の範囲内、例えば、250℃から350℃の範囲内、のある温度において実施される。
好適には、カルボニル化反応は、1から200barg(100kPaから20,000kPa)の範囲内、例えば、10から100barg(1000kPaから10,000kPa)、50から100barg(5000kPaから10,000kPa)など、のある全圧において実施される。
ある実施形態では、カルボニル化反応は、250℃から350℃の範囲内の温度において、かつ50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある全圧において実施される。
ある好適な実施形態では、合成ガスおよびジメチルエーテル、好適には水およびメタノールを合計量として高々1ppmから10モル%しか含まない、を、カルボニル化触媒、例えば、一つの8員環によって規定される少なくとも一つのチャネルを有するアルミノケイ酸塩ゼオライトなど、例としてモルデナイト、好適には水素型のモルデナイト、の存在下で、100℃から350℃の範囲内の温度および10から100barg(1000kPaから10,000kPa)の範囲内の全圧において、酢酸メチルおよび水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を形成するために反応させられる。
適切には、ジメチルエーテルおよび新鮮な合成ガス(任意に二酸化炭素、再循環合成ガスあるいはその双方を含む)を、全気体時空間速度500から40,000h−1、例えば、2000から20,000h−1の範囲内のガスの流れをもって、触媒床(GHSV)を経てカルボニル化反応領域に供給することができる。
好適には、カルボニル化反応は、ハロゲン化合物、例えば、ヨウ化物など、が実質的に存在しない状態で実施される。用語「実質的に」は、カルボニル化反応領域に供給される供給物流のハロゲン化合物、例えば、全ヨウ化物、の含有量が500ppm未満、好適には100pmm未満であることを意味する。
合成ガス中における水素の存在は、カルボニル化反応においては本質的に不活性であり、したがって、カルボニル化反応領域から取り出される合成ガスの水素含有量は、カルボニル化反応領域に供給される合成ガス供給物の水素濃度に対してより多くの水素を含む。
カルボニル化反応領域から取り出されるカルボニル化反応生成物は、酢酸メチルおよび水素が豊富な合成ガスを含む。典型的にカルボニル化反応生成物中に存在し得る付加的な成分は、未反応ジメチルエーテル、および少量の水、酢酸およびメタノールの一つ以上を含む。
カルボニル化反応領域では、一般に二酸化炭素は消費されず、したがってカルボニル化反応領域に供給される合成ガス供給物が二酸化炭素を含む場合、カルボニル化反応生成物もまた二酸化炭素を含むことになる。
カルボニル化反応生成物は、カルボニル化反応領域から気体状態で取り出される。
酢酸メチル豊富含有液体流および合成ガス流は、カルボニル化反応生成物から回収される。
適切には、カルボニル化反応生成物は、カルボニル化反応領域から取り出され、冷却され、そして酢酸メチル豊富含有液体流と合成ガス流を回収するため分離される。
カルボニル化反応生成物の冷却は、どのような適切な冷却方法、例えば、一つ以上の従来技術による熱交換器、を用いても行うことができる。カルボニル化反応生成物は、液体状の酢酸メチルおよび気体状の合成ガスの回収を許容するどのような適切な温度にまでも冷却することができる。適切には、カルボニル化反応生成物は、50℃あるいはそれ未満の温度、例えば、40℃から50℃の範囲内のある温度、まで冷却することができる。冷却されたカルボニル化反応生成物は、例として、一つ以上の気体/液体分離手段であって、酢酸メチル豊富含有液体流および合成ガス流を回収するための、例えば、ノックアウトドラムあるいは接線流入式ドラムのような、によって分離することができる。酢酸メチル豊富含有液体流は、主に酢酸メチルを含むことになり、そして、未反応ジメチルエーテル、メタノール、水、酢酸および溶解した合成ガスの一つ以上から選択される追加成分をも含むことができる。
酢酸メチルは、酢酸メチル豊富含有液体流の一部から、例えば、蒸溜によって回収することができ、そして、それ自体を販売するかまたは下流の化学プロセスの供給原料として使用することができる。
カルボニル化反応生成物から回収された合成ガスは、少量の追加成分を含むことができ、それらは典型的には未反応のジメチルエーテル、二酸化炭素、酢酸メチルおよび酢酸の一つ以上である。回収された合成ガスは、その全体をメタノール合成領域に移送することができる。
回収された合成ガス中に存在する酢酸メチルの量は変化し得るものであるが、0.1から5モル%の範囲内の量、例として、0.5から5モル%、例えば、0.5から2モル%など、さらに例えば0.5から1モル%存在し得る。メタノール合成のための合成ガス供給物中に存在する酢酸メチルは、その存在により望まない副生成物、例えば、エタノールおよび酢酸の一つ以上のような、の形成を導き、メタノール合成触媒の性能の低下、メタノールの生産性の減少あるいはその双方という結果をもたらすことが今日では見出されている。
したがって、適切には、カルボニル化反応生成物から回収された合成ガスが酢酸メチルを含む場合、その合成ガスは、一つあるいは複数の洗浄処理、例えば、二つあるいはそれ以上の洗浄処理、を施すことができ、ここで、少なくとも合成ガスの一部は、酢酸メチル成分を減少させ、且つ酢酸メチルが激減した洗浄済みの合成ガスと吸収された酢酸メチルを含む一つ以上の液体溶媒流を得るための液体洗浄溶媒によって一つ以上の洗浄ユニットを含む洗浄領域の中で洗浄される。
酢酸メチル成分を減少させるための合成ガスの洗浄は洗浄領域で実施される。洗浄領域は、一つ以上の洗浄ユニットを含むことができ、適切には従来設計によるものであって、例として、高表面積材料をその内部に含むカラム式あるいはタワー式で、例えばトレーやパッキングなど、が、合成ガスと洗浄溶剤の密接な接触を可能とし、また気相および液相間の良好な物質移動が確保されるように配置されている。望ましくは、洗浄は合成ガスと洗浄溶剤との対向流接触によって実施され、合成ガスがカラムあるいはタワーを通り抜けるように上方に流れ、そして洗浄溶剤がカラムあるいはタワーを通り抜けるように下方に流れる。
適切には、洗浄溶剤と酢酸メチルを含む液体流が洗浄ユニットの下部から取り出される。
適切には、酢酸メチルの含有量が激減した合成ガスは、洗浄ユニットの上部から取り出される。
カルボニル化反応生成物から回収された合成ガスに多重回の洗浄処理を施すことができる。各々の洗浄処理は、同一のあるいは異なる洗浄溶剤を用いて実施することができる。
合成ガスに一つ以上の洗浄処理、例えば、二つの洗浄処理など、を施すことが必要な場合には、酢酸メチルを含む液体溶剤流と酢酸メチルが激減した合成ガスを得るため、合成ガスを第1洗浄溶剤と接触させることによる第1洗浄処理を施すことができる。酢酸メチルが激減した合成ガスは、次いで酢酸メチルを含む液体溶剤流と酢酸メチルがさらに激減した合成ガスを得るため第2洗浄溶剤と接触させることによる第2洗浄処理を施すことができる。
合成ガスの複数回洗浄は、一般に、各々の洗浄から得られる異なる成分の液体溶剤流をもたらしうる。例えば、合成ガスが、メタノールあるいはメタノールを含む洗浄溶剤を用いて洗浄される場合、合成ガス中に存在する大部分の酢酸メチルは、第1洗浄処理におけるメタノール洗浄溶剤によって吸収されることになり、例えば、第1洗浄からの液体メタノール流は、これに引き続く洗浄処理から得られる液体メタノール流に比べ、より高い量の酢酸メチルをその中に含むことになる。
第1洗浄あるいはこれに続くどのような洗浄からの液体溶剤流も、単一の液体流を形成するために混合することができる。
好適には、洗浄領域に入れるときの洗浄溶剤の温度は−50℃から100℃であり、より好適には0℃から60℃であって、最も好適には35℃から55℃である。
好適には、洗浄溶剤はメタノールを含む。その洗浄溶剤は純粋なメタノールとすることができる。もう一つの方法として、洗浄溶剤はメタノールと他の組成物との混合物、例えば、メタノールと水およびジエチルエーテルの一つ以上との混合物など、とすることができる。洗浄溶剤として使用するためのメタノールとジエチルエーテルおよび水の一つ以上との混合物は、メタノール合成反応において生成されるメタノール合成生成物から得ることができる。
適切には、洗浄溶剤は、外部から取り入れたメタノール、メタノール合成生成物から回収したメタノール豊富含有流およびそれらの混合物から選択される。
適切には、メタノール合成生成物から回収したメタノール豊富含有流の全てあるいは一部は洗浄溶剤として用いられる。
適切には、他数回の洗浄処理が施される場合、各々の洗浄のための洗浄溶剤は、メタノール合成生成物から回収したメタノール豊富含有流の一部である。
好適には、メタノールと水の混合物を含む洗浄溶剤は、水を20w/w%未満含み、より好適には10w/w%未満であり、そして最も好適には5w/w%未満である。
好適には、メタノールとジメチルエーテルの混合物を含む洗浄溶剤は、ジメチルエーテルを20w/w%未満含み、より好適には10w/w%未満である。
カルボニル化反応生成物から回収された合成ガス流の組成物として存在し得るジメチルエーテルおよび酢酸は、一般に、メタノールを含む洗浄溶剤に吸収され、そしてその結果として、これらの組成物は液体メタノール溶剤流の一部としての酢酸メチルと共に除去される。
洗浄領域から取り出され吸収された酢酸メチルを含む液体溶剤流は、そこから洗浄溶剤を回収するための処置および/または精製工程が施される。そこでは、メタノール豊富含有流の少なくとも一部、あるいは実質的にその全てが、一つ以上の洗浄ユニットにおける液体洗浄溶剤として利用され、吸収された酢酸メチル(使用済みメタノール流)を含む液体メタノール流(複数の流れであり得る)は、脱水−加水分解反応領域に、そこでのジメチルエーテルおよび酢酸への転換のために移送される。
本願発明の幾つかのあるいはその全ての実施形態において、カルボニル化反応生成物から回収された合成ガスの少なくとも一部分は、他数回の洗浄処理、例えば、2回あるいはそれ以上の洗浄処理、が、液体洗浄溶剤を含む一つの洗浄処理ユニットにおいて施される。適切には、各々の洗浄処理に用いられる液体溶剤は、メタノール合成生成物から回収されたメタノール豊富含有流の一部を含み、また好適には、それによって構成される。
一つ以上の洗浄処理にいて、合成ガスから酢酸メチルの、少なくとも80%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%そして最も好適には少なくとも99%を除去することが好ましい。
適切には、メタノール合成領域に供給される合成ガスは、0から1モル%、例えば、0から1モル%未満、の酢酸メチルを含む。
合成ガスの洗浄は、そこに含まれる一酸化炭素、水素および二酸化炭素の量を実質的に変化させない。しかしながら、一酸化炭素、水素および二酸化炭素の一つ以上が洗浄溶剤の中に存在するなら、それらの成分のいずれかの一部が洗浄溶剤から開放され、洗浄された合成ガスの一部を形成することになり得る。一般的には、しかしながら、洗浄された合成ガスの化学量数は、カルボニル化反応生成物から回収される合成ガスの化学量数にほぼ一致する。
カルボニル化反応生成物から回収された合成ガスの化学量数は、主にカルボニル化反応に用いられる新鮮な合成ガスの化学量数およびそこでの転換度に依存するが、カルボニル化反応生成物から回収され、またカルボニル化反応領域に再循環される合成ガスの量を変化させることによって調整することができる。洗浄された合成ガスの化学量数は、したがって、これら因子の一つ以上を変化させることによってメタノール合成に最適となるように調整することができる。好適には、洗浄された合成ガスは、メタノール合成に最適化された化学量数を有し、それは、適切には1.5から2.5の範囲、例えば、2.0から2.1、好適には2.05である。
酢酸メチルが激減した洗浄された合成ガスは、メタノール合成領域に直接移移送することができる。適切には、洗浄された合成ガスの少なくとも一部をメタノールの生産のためにメタノール合成領域に移送する。もし必要であれば、洗浄された合成ガスの全量をメタノール合成領域に移送することができる。
必要であれば、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスの全てを洗浄することができる。もう一つの方法として、回収した合成ガスの全てを、洗浄処理を施すことなくメタノール合成領域に直接移送することができる。
カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスの少なくとも一部をメタノール合成領域に移送する。回収された合成ガスは、メタノール合成領域に直接移送することができる。もう一つの方法として、それを洗浄された合成ガスとしてメタノール合成領域に移送することができる。
好適には、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスの少なくとも一部をカルボニル化反応領域に再循環させる。
適切には、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスは二つの部分に分離され、その内の第1部分は直接あるいは間接に、洗浄を介してメタノール合成領域に移送され、少なくとも他の一つの部分、例えば、等量の部分、が、カルボニル化反応領域に再循環される。好適には、しかしながら、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスは主要部分と少量部分とに分離される。より好適には、合成ガスは主要部分と少量部分に分離されて、主要部分がカルボニル化反応領域に再循環され、そして少量部分が洗浄を介して直接に、あるいは間接にメタノール合成領域に移送される。
本願発明のある実施形態では、カルボニル化生成物から回収した合成ガスは主要部分と少量部分に分離され、主要部分はカルボニル化反応領域に再循環され、そして少量部分はメタノール合成領域への供給に先立って洗浄される。
カルボニル化反応領域に再循環される合成ガスとメタノール合成領域(洗浄を経て直接にあるいは間接に)に移送される合成ガスの相対量は変化させることができる。特に、新鮮な合成ガスをメタノール合成領域に供給することが必要な場合、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスとカルボニル化反応器に再循環される合成ガスの相対量は、一般に、メタノール合成領域に供給される合成ガスのそれに比べ極めて大きくなる。
適切には、そして、特に新鮮な合成ガスをメタノール合成領域に供給する必要がない場合には、カルボニル化反応領域に再循環される合成ガスの量は、カルボニル化反応生成物から回収される合成ガスの量の少なくとも50モル%であり、それは例えば、60から85モル%の範囲内、例として、70から70モル%である。適切には、カルボニル化反応生成物から回収される合成ガスとメタノール合成領域(洗浄を経て直接にあるいは間接に)に移送される合成ガスの量は、50モル%未満であり、例えば、10から30モル%の範囲内、例として、20から30モル%である。
本願発明の一つの実施形態では、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスの70から80モル%は、カルボニル化反応領域に再循環され、そしてその合成ガスの20から30モル%が、直接にあるいは間接に、メタノール合成領域に移送される。
本願発明のある実施形態では、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスの70から80モル%は、カルボニル化反応領域に再循環され、そしてその合成ガスの20から30モル%が、メタノール合成領域への供給に先立って洗浄される。
好適には、新鮮な合成ガスがメタノール合成領域に供給される場合、カルボニル化反応領域に再循環される合成ガスの量は、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスの少なくとも50モル%であり、例えば、80から99モル%の範囲内にあって、例としては、95から98モル%である。適切には、カルボニル化反応生成物から回収し、およびメタノール(洗浄を経て直接にあるいは間接に)に移送される合成ガスの量は50モル%未満であり、例えば、1から20モル%の範囲内にあって、例としては、2から5モル%である。
本願発明のある実施形態では、95から98モル%のカルボニル化反応生成物から回収した合成ガスはカルボニル化反応領域に再循環され、そして2から5モル%の合成ガスが直接にあるいは間接にメタノール合成領域に移送される。
適切には、合成ガスは、カルボニル化反応領域への再循環に先立って、一つ以上の圧縮機によって、圧縮される。
必要に応じて、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスの一部をパージガスとして排出することができるが、好適には、回収された合成ガスの実質的に全てをカルボニル化反応領域に再循環させ、あるいは洗浄を経て、直接にあるいは間接に、メタノール合成領域あるいはそれらの組み合わせに移送する。
本願発明のメタノール合成生成物の製造に使用されるメタノール合成プロセスは適切などのようなプロセスともすることができる。商業的には、メタノールは、次の総括反応(数3)に基づいた一酸化炭素と水素の触媒転換によって生産される。その反応は、次の反応(数4、数5)にしたがって進行する:
慣例的には、メタノールの生産に必要とされる一酸化炭素と水素は、改質あるいは部分酸化プロセスからメタノール合成領域に直接供給される合成ガスから得られる。
本願発明では、カルボニル化反応生成物から回収し、またメタノール合成領域に(洗浄を経て直接にあるいは間接に)移送される合成ガスが、メタノール合成のための唯一の合成ガスの供給源として利用され得る。しかしながら、上述したように、メタノール合成領域に追加的な合成ガスを供給することが望ましい場合があり、特にカルボニル化反応領域に供給する合成ガスが低い化学量数を有する場合がこれにあたる。メタノール合成領域に供給される追加的な合成ガスの供給源は、新鮮な合成ガスおよびメタノール合成生成物から回収される合成ガスの少なくとも一部の一つ以上を含む。好適には、メタノール合成領域に移送される合成ガス供給物の量は、メタノールの略化学量論的な生産のために調整される。好適には、カルボニル化反応生成物から回収される合成ガスおよびメタノール合成領域に供給される一つ以上の追加的な合成ガス供給物の組成は、化学量数が1.5から2.5の範囲内、例えば、2.01から2.1の範囲内、例としては、2.05であるようなものである。好適には、カルボニル化反応生成物から回収された合成ガスと新鮮な合成ガスによる供給物は、1.5から2.5の範囲内のある化学量数、例えば、2.01から2.1の範囲内、例として、2.05を有する。
カルボニル化反応生成物から回収した合成ガス、新鮮な合成ガスおよびメタノール合成生成物から回収した合成ガスは、別々の供給流としてメタノール合成領域に移送することができる。適切には、しかしながら、これら合成ガス流の一つ以上は混合され、そして一つの混合供給物流としてメタノール合成領域に移送することができる。
メタノール合成領域での使用に先立って、メタノール合成領域に供給される合成ガス供給物を加熱して、例えば、一つ以上の熱交換器によって、所望のメタノール合成温度とすることができる。
メタノール合成反応を有利に進めるため、メタノール合成領域に供給する合成ガス供給物は、好適には必要なメタノール合成圧力まで圧縮される。
メタノールの合成は二酸化炭素源を必要とする。二酸化炭素源には、合成ガス、メタノール合成中にその場生成された二酸化炭素および外部から供給される二酸化炭素が含まれる。二酸化炭素は、メタノール合成プロセス中で形成される水とメタノール合成に追加される水から生成することができる。しかしながら、追加的な処置および適切な水の供給源の用意を含む、二酸化炭素のその場生成のためにメタノール合成に水を加えることに伴うたくさんの不利益が存在する。しかしながら、必要に応じて、水および外部から供給される二酸化炭素の少なくとも一つをメタノール合成領域に導入することができる。最も望ましくは、メタノール合成に必要とされる全ての二酸化炭素を、カルボニル化反応のための合成ガス供給物、メタノール合成領域に供給する新鮮な合成ガス、あるいはメタノール合成プロセスにおいて形成される水からその場生成された新鮮な合成ガスから導き出すことである。
メタノール合成において消費されなかった二酸化炭素は、メタノール合成領域からメタノール合成生成物の一部として取り出す。必要に応じて、二酸化炭素は、メタノール合成生成物から回収することができ、例えば、それは従来の液体/気体分離技術による。
一般には、ジメチルエーテルはメタノール合成に関与せず、そしてその結果として、合成ガス中に存在し、メタノール合成領域に移送されるジエチルエーテルは、メタノール合成領域からメタノール合成生成物の一部として取り出される。
メタノール合成は、メタノール合成触媒の存在下で達成される。カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスの少なくとも一部、および任意に新鮮な合成ガスとメタノール合成生成物から回収される合成ガスの少なくとも一部の一つ以上は、メタノール合成領域内でメタノール合成触媒と接触される。
メタノール合成に活性を有する数多くの触媒が業界で知られており、それらはまた商業的に入手可能であって、例えば、Johnson Matthey pic.から入手可能なKatalcoTMメタノール合成触媒がある。典型的には、その触媒は銅を基礎とし、そして亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウムなどの一つ以上の追加金属をも含み得るものである。
本願発明の一つの実施形態では、メタノール合成触媒は銅、酸化亜鉛およびアルミナを含む。
メタノール合成触媒は、一つの固定床メタノール合成領域に組み込むことができ、それは例えば、管や筒の形状を有するものであり、カルボニル化反応生成物から回収した合成ガスおよび任意に新鮮な合成ガスおよびメタノール合成生成物から回収した合成ガスの一つ以上が、そのメタノール合成触媒の上を通過し、あるいは通り抜ける。
好適には、メタノール合成は気相で実施される。
メタノールおよび未転換合成ガスを含むメタノール合成生成物を形成するため、合成ガスの転換を生じさせるのに効果的な反応条件下において、合成ガスをメタノール合成触媒と接触させる。
適切には、メタノール合成は、210℃から300℃のある温度、例えば、210℃から270℃あるいは220℃から300℃の範囲内、例として230℃から275℃の範囲内において実施される。
好適には、メタノール合成は、25から150barg(2500kPaから15,000kPa)の範囲内、例として、50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内、のある全圧で実施される。
適切には、メタノール合成は、230℃から275℃の範囲内のある温度および50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある全圧において実施される。
本願発明のある実施形態では、メタノール合成は、210℃から270℃のある温度および50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲のある全圧において実施される。
本願のある好適な実施形態では、洗浄された合成ガスの少なくとも一部を、任意にメタノール合成生成物から回収した合成ガスの少なくとも一部と混合して、銅を基礎とするメタノール合成触媒であって、好適には、銅、亜鉛およびアルミニウムを含む触媒と、220℃から300℃の範囲、あるいは210℃から270℃の範囲のある温度、および25から150barg(2500kPaから15,000kPa)の範囲のある全圧において接触させる。
適切には、メタノール合成領域に供給する全供給物(すべての再循環合成ガス、水およびすべての外部から供給される二酸化炭素を含む)の全気体時空間速度は、500から40,000h−1の範囲内にある。
カルボニル化反応生成物から回収された合成ガスを、任意には新鮮な合成ガスとメタノール合成生成物から回収した合成ガスの少なくとも一部の一つ以上とともに、メタノール合成触媒と接触させると、メタノールと未転化の合成ガスを含む生のメタノール合成生成物が生成される。メタノール合成のための合成ガス供給物の中に存在する成分の厳格な性質に依存して、メタノール合成生成物はメタノールおよび未転化の合成ガスを含み、そして二酸化炭素、水およびジメチルエーテルの一つ以上のような、追加的な成分を含み得る。
メタノール合成生成物は、メタノール合成領域から、好適には気相状態で、取り出される。
メタノールは、取り出されたメタノール合成生成物から、既知の回収技術によって回収される。適切には、メタノールは、少なくともメタノール合成生成物の一部から、例えば、冷却されたメタノール合成ガス混合物を生成するためにメタノール合成生成物の温度を低下させることにより、回収される。適切には、混合物の温度は、30℃から50℃の範囲内のある温度に低下させられる。冷却されたメタノール合成ガス混合物は、メタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。
好適には、実質的にすべてのメタノール合成生成物が、そこからメタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。
メタノール合成生成物の少なくとも一部の分離は、一つ以上の分離ユニットで実施することができる。分離ユニットの各々は従来的設計のものであり、そして液体メタノールを、メタノール合成生物から、例えば、水などの凝集可能な成分とともに凝集して、メタノール合成生成物を冷却するための一つ以上の熱交換器、および冷却されたメタノール合成ガス混合物を分離してメタノール豊富含有流と合成ガス流を回収するための、ノックアウトドラムあるいは接線供給ドラムのような一つ以上の気体/液体分離手段とを含む。
もう一つの方法として、メタノール合成生成物の分離を、メタノール合成領域内で直接実施することができ、それは、メタノール合成流域から、合成ガスを含む一つ以上の気体流と一つ以上のメタノール豊富含有流を取り出すことによって実施される。
メタノール豊富含有流は、少量の水および未反応のジメチルエーテルを含むことができる。
メタノール豊富含有流は、カルボニルか反応生成物から回収された合成ガスを洗浄するための洗浄溶剤として用いるのに適している。したがって、好適には、少なくとも一部、例えば、メタノール豊富含有流の実質的に全てが洗浄溶剤として用いられる。有利なことに、これは、メタノールあるいは洗浄溶剤として用いるために適切などのような溶剤をも外部から取り入れることを不要とする。
複数回の洗浄処理が行われる場合、洗浄領域に供給されるメタノール豊富含有流は、洗浄領域内の二つあるいはそれ以上の洗浄ユニットに供給されるその流れの等量あるいは不等量の部分に分割することができる。例えば、メタノール豊富含有流の少量部分、例えば、0を超え、かつ20%まで、が第1洗浄ユニットに供給され、そしてその流れの主要部分、80%から100%未満、が第2洗浄ユニットに供給される。
ジメチルエーテル、それはメタノール豊富含有流の中に含まれ得る、は、例えば蒸留によって、そこから回収することができる。回収されたジメチルエーテルは、カルボニル化反応領域に再循環することができる。
メタノール合成生成物から回収された合成ガスは二酸化炭素を含み得る。
メタノール合成生成物から回収された合成ガスの少なくとも一部は、メタノール合成領域に再循環することができる。適切には、90%から99%の合成ガスを、メタノール合成領域に再循環することができる。
必要であれば、不活性ガスのメタノール合成領域での蓄積を減少させるため、メタノール合成反応生成物から回収した合成ガスの一部を、パージガスとして排出することができる。適切には、1から10%、例えば、1から5%のメタノール合成生成物から回収した合成ガスをパージ流として排出することができる。
必要に応じて、メタノール合成領域から取り出したメタノール合成生成物、メタノール合成生成物から回収したメタノール豊富含有流およびカルボニル化反応生成物から回収した合成ガスの洗浄から得られたメタノールを含む液体溶剤流の一つ以上から、メタノールを、どのような従来的な精製手段、例えば蒸留、そしてそのように販売されている手段によって、回収することができる。もう一つの方法として、回収されたメタノールを、例えば様々な化学プロセスの原料として、使用することができる。適切には、例えば、メタノールは、ロジウム、イリジウムあるいはそれらの混合物のような、第VIII族貴金属触媒の存在下において一酸化炭素とカルボニル化させることにより酢酸を形成することができる。もう一つの方法としては、メタノールは、ジエチルエーテルを形成するための適切な触媒の存在下において脱水化することができる。適切な触媒は、例えば、ガンマ−アルミナのような、アルミナを含む。
本願発明においては、メタノール合成生成物から回収したメタノール豊富含有流および洗浄領域からの使用済みメタノール流から選択した一つ以上のメタノール豊富含有流の少なくとも一部、および実質的のその全量が、脱水−加水分解反応領域に供給され、かつそこでジメチルエーテルを生成するための適切な触媒の存在下において加水分解される。
本願発明のある実施形態では、洗浄領域からの使用済みメタノール流の少なくとも一部が脱水−加水分解反応領域に供給される。
本願発明のさらなる実施形態では、メタノール合成生成物から回収したメタノール豊富流の少なくとも一部が脱水−加水分解反応領域に供給される。
本願発明のさらにさらなる実施形態では、メタノール合成生成物から回収されたメタノール豊富含有流の少なくとも一部、および洗浄領域からの使用済みメタノール流の少なくとも一部が脱水−加水分解反応領域に供給される。
カルボニル化反応生成物から回収した酢酸メチル豊富含有流の少なくとも一部、および実質的に全てが、脱水−加水分解反応領域に供給され、そしてそこで適切な触媒の存在の下で酢酸を生成するために加水分解される。
メタノール豊富含有流および酢酸メチル豊富含有流は、脱水−加水分解反応領域に、分離した供給物として、あるいは単一の混合供給物として供給することができる。
メタノールをジメチルエーテルにする脱水化反応に活性な触媒は、酢酸メチルを酢酸に加水分解するための活性な触媒と同じあるいは異なるものであり得る。
メタノールをジメチルエーテルにする脱水化反応のために適切な触媒は既知であり、そして例えば、ガンマ−アルミナなどのアルミナ、例えば、ZSM−5などのゼオライト、モルデナイトおよびフェリエライトおよびZSM−35によって実現されているFER型の骨格構造のゼオライトが含まれる。
酢酸メチルを酢酸にする加水分解反応のために適切な触媒は既知であり、ヘテロポリ酸およびそれらの塩、例として、ヘテロポリ酸のアンモニウム塩、例えば、リンタングステン酸のアンモニウム塩あるいはタングストケイ酸、高分子樹脂、例えば、スチレンジビニルベンゼンとスルホン酸塩基に基づくもの、例として、アンバーリストTM36WET(Rohm&Haas社から入手可能)、およびゼオライト、例えば、フェリエライトおよびZSM−35によって実現されているFER型の骨格構造のゼオライトが含まれる。
メチル酢酸を酢酸にする加水分解反応およびメタノールをジメチルエーテルにする脱水化反応の双方に効果的な触媒はゼオライトを含んでおり、そのようなゼオライトは、特に、10員環によって規定される一つのチャネルを少なくとも一つ含む2次元チャネル系を有しており、例えば、FER型の骨格構造のゼオライトであって、フェリエライトおよびZSM−35によって実現されている。そのようなゼオライトは、本願の発明において、一つ以上のアルカリ金属陽イオンによって置換された形態のものが便利に利用されている。適切には、脱水−加水分解反応領域において利用される触媒は一つのフェリエライトであり、好適には、セリウムによって置換され、そして10:1から90:1の範囲内のあるシリカ:アルミナモル比を有する。
ゼオライトは、本願発明においては、適切なバインダー材料、例えば、無機酸化物バインダーのような、典型的にはシリカ、アルミナ、あるいはシリカ−アルミナバインダー材料などと、組み合わせた触媒として用いることができる。
脱水−加水分解反応領域において一つ以上の型の触媒、例えば、一つのアルミナ触媒および一つのゼオライト触媒、として利用する必要がある場合、それらの触媒は、そこで、可変触媒床あるいは一つ以上の密接に混合した触媒床の中で利用することができる。
本願発明では、メタノール合成生成物あるいは洗浄領域から回収したメタノール豊富含有流の少なくとも一部は、脱水−加水分解反応領域においてメタノール源として用いられる。しかしながら、必要に応じて、追加的なメタノールを脱水−加水分解反応領域に供給することができる。メタノールの追加的な供給源は、例えば、メタノールとジメチルエーテル豊富含有生成物流および酢酸豊富含有生成物流の一つ以上から得られたメタノールを含有する再循環流を含むことができる。追加的なメタノールの他の供給源は、外部から供給されるメタノールを含むことができる。しかしながら、一般に、外部から供給するメタノールを脱水−加水分解反応領域に添加する必要はない。
必要に応じて、追加的な酢酸メチルをも脱水−加水分解反応領域に供給することができる。酢酸メチルの追加的な供給源は、例えば、酢酸メチル、およびジメチルエーテル豊富含有生成物流と酢酸豊富含有生成物流の一つ以上から分離された酢酸メチルを含む再循環流を含むことができる。追加的な酢酸メチルの他の供給源は外部から供給される酢酸メチルを含むことができる。しかしながら、一般に、脱水−加水分解反応領域に外部から供給される酢酸メチルを添加する必要はない。
メタノールおよび酢酸メチルは、脱水−加水分解反応領域において必要とされるどのような比をもっても接触させることができるが、適切には、メタノール:酢酸メチルのモル比は1:0.1から1:10の範囲内、例えば、1:0.2から1:5、例として、1:0.5から1:2である。
本願発明のある実施形態においては、脱水−加水分解反応領域、そこに向かうどのような再循環流をも含む、に供給される、メタノール:酢酸メチルのモル比は、1:1から1:10、例えば、1:1から1:5である。
酢酸メチルの加水分解は水を一つの反応物として必要とする。水は、メタノールの脱水分解反応からその場で生成される。好適には、しかしながら、水は脱水−加水分解反応領域に添加される。水は、脱水−加水分解反応領域に一つ以上の供給物流の組成物として、例えば、酢酸豊富含有流、メタノール豊富含有流および再循環流の一つ以上、または一つの追加的流として、脱水−加水分解反応領域に導入することができる。
脱水−加水分解反応領域に供給される水の量は、実質的に触媒の性能を低下させるほど高くするべきではない。適切には、水は、脱水−加水分解反応領域に供給される酢酸メチル、メタノールおよび水の全供給物を基準として、0.1から50モル%の範囲内の量を添加することができ、好適には3から40モル%の範囲内、そして、より好適には5から30モル%の範囲内である。
不活性ガスなどのような希釈剤、例として、窒素およびヘリウム、もまた、脱水−加水分解反応領域に供給することができる。
脱水−加水分解反応は気相プロセス、あるいは液層プロセスとして、例として、固定床プロセスあるいはスラリー層プロセスとして、実行することができる。
カルボニル化反応生成物から回収した酢酸メチル豊富含有流およびメタノール合成生成物あるいは洗浄領域から回収したメタノール豊富含有流は液相状態にある。したがって、脱水−加水分解反応を気相プロセスとして稼働する必要がある場合には、これらの流れを気相化することが好ましく、例えば、脱水−加水分解触媒に接触させるに先立って予備加熱器の中で気相化する。
脱水−加水分解反応は、適切にはメタノール豊富含有流および酢酸メチル豊富含有流を一つの触媒と、100℃から350℃の範囲のある温度において接触させて実施する。脱水−加水分解反応は、液相プロセスあるいは気相プロセスとして実施することができる。液相プロセスは、好適には100℃から300℃の温度範囲の温度、例えば、140℃から210℃で実施される。気相プロセスは、好適には150℃から350℃の範囲内の温度、例えば、160℃から300℃で実施される。
脱水−加水分解反応は、大気圧あるいは大気圧より高い圧力において実行することができる。脱水−加水分解反応を液相プロセスで実施する必要がある場合、ジエチルエーテルの生成を溶液中で維持するのに十分な全反応圧力において作動させることが好適である。適切には、したがって、その圧力は少なくとも40bargであり、例えば、40から100bargである。脱水−加水分解反応を気相プロセスで実施する場合、好適な作動圧力は大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲内であり、例えば、5から20barg(500kPaから20000kPa)である。
ある実施形態では、脱水−加水分解反応は、液相において、100℃から300℃の範囲内のある温度、例えば、140℃から210℃、かつ、少なくとも40barg(4000kPa)の圧力、例えば、40から100barg(4000kPaから10,000kPa)の圧力で実施される。
ある実施形態では、脱水−加水分解反応は、気相において、150℃から350℃の範囲内のある温度、例えば、160℃から300℃、かつ、大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲内のある圧力、例えば、5から20barg(500kPaから2000kPa)の圧力で実施される。
適切には、脱水−加水分解反応は、気体時空間速度(GHSV)が500から40,000h−1の範囲内で実施される。
適切には、脱水−加水分解反応は、液体時空間速度(LHSV)が0.2から20h−1の範囲内で実施される。
脱水−加水分解反応生成物は、酢酸およびジメチルエーテルを含む。酢酸豊富含有生成物流およびジメチルエーテル豊富含有生成物流は、いずれかの適切なプロセスによって脱水−加水分解反応生成物から回収することができる。
適切には、酢酸およびジメチルエーテルを含む反応生成物を形成するための脱水−加水分解反応とそこからの酢酸豊富含有生成物流およびジメチルエーテル豊富含有流の回収は、反応蒸留によって実施することができる。反応蒸留技術およびそのための装置はよく知られている。典型的には、メタノール豊富含有流および酢酸メチル豊富含有流が、例えば、大気圧から20bargの範囲のある圧力および100℃から350℃の範囲内のある反応温度において稼働している従来技術による蒸留塔に供給されて脱水−加水分解反応生成物が生産され、その中で脱水−加水分解反応生成物は、ジメチルエーテル豊富含有流、典型的には、反応蒸留塔のオーバーヘッドとして除去される、および酢酸豊富含有流、典型的には、反応蒸留塔の下部流として除去される、を生産するために本質的に分離される。
もう一つ別の方法として、脱水−加水分解反応を、例えば、固定床反応器あるいはスラリー床反応器の中で実施する場合、脱水−加水分解反応生成物をそこから取り出すことができる。
ジメチルエーテルは低い沸点(−24℃)を有しており、酢酸は高い沸点(118℃)を有している。そこで、酢酸豊富含有生成物流およびジメチルエーテル豊富含有生成物流を、従来技術による精製方法、例えば、従来技術による一つ以上の蒸留塔の中での蒸留、により便利に脱水−加水分解反応生成物から取り出すことができる。
適切には、蒸留塔は、トレー式あるいは充填式の塔とすることができる。その塔に適用される温度および圧力は変わり得る。適切には、蒸留塔は、ある圧力、例えば、大気圧から20bargの範囲内の圧力において稼働される。
蒸留塔内の温度は、普通、オーバーヘッドとして除去される組成物の沸点と底留分として除去される組成物の沸点の間に存在する。当業者によって認識されるように、蒸留塔の中の与えられた点における温度は、その部分における材料の組成と塔の圧力に依存する。適切には、蒸留塔は、25℃から200℃の間の温度、例として、基準温度、例えば、110℃から200℃の範囲内、ヘッド温度、例えば、25℃から100℃の範囲内、で稼働することができる。ジメチルエーテル豊富含有生成物流は、一般に、蒸留塔からオーバーヘッドとして回収され、そして酢酸豊富含有生成物流は、典型的には蒸留塔から底留分として回収される。
適切には、少なくとも一部、および好適には実質的に全てのジメチルエーテル豊富含有生成物流がカルボニル反応領域に再循環される。有利なことに、そのような再循環は、カルボニル化反応領域に供給される新鮮なジメチルエーテルの量を減少させる。より有利なことに、カルボニル化反応領域にジメチルエーテルを再循環させることは、新鮮なジメチルエーテルの必要量を減少させつつ、単一の合成ガス供給物から酢酸の生産が可能になることである。
メタノールの脱水および酢酸メチルの加水分解は平衡反応であり、そして、したがって、酢酸とジメチルエーテルに加え、脱水−加水分解反応生成物は、一般に、未反応メタノールおよび未反応酢酸メチルの一つ以上をも含む。典型手的には、脱水−加水分解反応生成物はまた水を含む。したがって、脱水−加水分解反応生成物から回収された酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の一つあるいは双方はまた、メタノール、酢酸メチルおよび水の一つ以上を含む。
本願発明は、さらに、酢酸豊富含有生成物流およびジメチルエーテル豊富含有生成物流の一つ以上の少なくとも一部から得られる、メタノール、酢酸メチルおよび水から選択した一つ以上の組成物の回収、および回収した一つ以上の組成物の脱水−加水分解反応領域への再循環を含む。
メタノール、酢酸メチルおよび水は、それぞれ精製された酢酸および精製されたジメチルエーテルを得るための、例として、従来技術による精製プロセス、例えば、一つ以上の蒸留塔の中での蒸留により、酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の一つあるいは両者から回収することができる。
精製されたジメチルエーテルは、燃料として、あるいは化学プロセスの原料として、本願発明のカルボニル化反応領域へ供給する供給物としての使用を含め、販売し、あるいは使用することができる。
精製された酢酸は、様々の化学プロセスの原料として、例えば、ビニルアセテートあるいはエチルアセテートの生産のような、販売し、あるいは使用することができる。
本願発明の統合プロセスは、連続プロセス、あるいはバッチプロセスであって、好適には連続プロセスとして稼働するバッチプロセスとして稼働することができる。
図1は、酢酸の生産のための本発明による統合プロセスの一つの実施形態を示すブロック図である。統合ユニット110は、一つのカルボニル化反応器116に接続された一つの合成ガス供給ライン112および一つのジメチルエーテル供給ライン114を含む。使用時には、新鮮な合成ガスが所望のカルボニル化反応温度まで加熱されて、合成ガス供給ライン112を経てカルボニル化反応器116に供給される。合成ガスは、一酸化炭素、水素そして任意に二酸化炭素を含み、そして、好適には、0.9から1.3の範囲内のある化学量数を有する。乾燥したジメチルエーテルは、ジメチルエーテル供給ライン114を経てカルボニル化反応器116に供給され、ジメチルエーテル供給ラインはカルボニル化反応器116への入力前段で合成ガス供給ライン112に合流する。カルボニル化反応器116は、ジメチルエーテルを酢酸メチルにするカルボニル化反応に活性な触媒、例として、モルデナイトゼオライト、適切には、水素型のモルデナイト、を含む。ジメチルエーテルおよび合成ガスは、カルボニル化反応器116の中で、250℃から350℃の範囲内の温度および10から100barg(1000kPaから10,000kPa)の範囲内の圧力において、酢酸メチルと水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を形成するために触媒と接触され、この合成ガスは、カルボニル化反応生成物ライン118を経てカルボニル化反応器116から取り出され、そして、例えば、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第1分離ユニット120に移送される。分離ユニット120では、カルボニル化反応生成物が冷却され、適切には40℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして酢酸メチル豊富含有液体流および合成ガス流がそこから回収される。酢酸メチル豊富含有液体流は酢酸メチル液体ライン122を介して分離ユニット120から回収される。合成ガスは、第1合成ガスライン124を介して第1分離ユニット120から除去される。第1合成ガスライン124は、メタノール合成反応器126に接続され、そして、任意に、第1分離ユニット120から回収された全ての合成ガスが、一つ以上の熱交換器(図示せず)の中で所望のカルボニル化反応温度に加熱され、そしてメタノール合成反応器126に移送される。もう一つの別の方法は、分離ユニット120から回収された合成ガスを二つの部分に分け、合成ガスの第1部分、例えば、その60から85モル%、を任意に、一つ以上の圧縮機(図示せず)によりカルボニル化反応圧力まで圧縮して、任意の第1合成ガス再循環ライン128を介してカルボニル化反応器116に再循環し、また、第2の部分を一つ以上の熱交換器によって所望のメタノール合成温度(図示せず)まで加熱し、メタノール合成反応器126に移送する。メタノール合成反応器126は、メタノールの生産のために活性な一つの触媒、例として、商業的な銅含有メタノール合成触媒、例として、Johnson Matthey picから入手可能なKatalcoTM触媒、を含む。メタノール合成反応器126に移送される合成ガスはそこでメタノール合成条件、例えば230℃から275℃の範囲内のある温度と50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある全圧の条件の下、メタノールと未転換合成ガスを含むメタノール合成生成物を生成するために、触媒と接触される。メタノール合成生成物は、メタノール合成反応器126からメタノール合成生成物ライン130を経て取り出され、そして、例えば、一つの熱交換器と一つのノックアウトドラムを含む第2分離ユニット132に供給され、そこで冷却され、適切には30℃から50℃の範囲内のある温度まで、そしてメタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。メタノール豊富含有液体流は、メタノール液体ライン134を介して第2分離ユニット132から除去され、合成ガスは、第2合成ガスライン136を介して第2分離ユニット132から除去される。合成ガスはパージ流として排出することができ、またはその全てあるいは一部、例えば、その90から99%、を、任意的な第2合成ガス再循環ライン138を介してメタノール合成反応器126に再循環することができる。酢酸メチル液体ライン122を介して第1分離ユニット120から除去された酢酸メチル豊富含有液体流、およびメタノール液体ライン134を介して第2分離ユニット132から除去されたメタノール豊富含有液体流は、混合され、任意には、気相状態に揮発させて、例として、予備加熱器(図示せず)の中で、そして、脱水−加水分解反応器140に供給される。反応器140は、少なくとも一つの触媒であって、メタノールの脱水反応および酢酸メチルの加水分解反応に活性な触媒、例として、ゼオライト、例えば、フェリエライトのような、を含む。水、適切には反応器140に供給される全供給物を基本として0.1から50モル%内の量が、水供給ライン150を介して脱水−加水分解反応器140に供給される。メタノールおよび酢酸メチルは、脱水−加水分解反応器140内で脱水−加水分解反応条件下において転換され、適切には、100℃から350℃の範囲内のある温度および大気圧あるいはそれより高い圧力において、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む脱水−加水分解反応生成物に転換され、この脱水−加水分解反応生成物は、脱水−加水分解反応生成物ライン142を介して脱水−加水分解反応器140から取り出される。脱水−加水分解反応生成物は、例として、一つ以上の蒸留塔を含み、適切には25℃から200℃の範囲内のある温度および大気圧から30bargの範囲内のある圧力において稼働する第3分離ユニット144に酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流を回収するために供給される。酢酸豊富含有流は第3分離ユニット144から、典型的には、底留分として、酢酸除去ライン146を介して、除去される。第3分離ユニット144からのジエチルエーテル豊富含有流は、典型的には、オーバーヘッド流として、ジメチルエーテル除去ライン148を介して、除去される。酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の両者はまた、変化する量のメタノール、酢酸メチルおよび水を含み、そしてこれらは任意にそれらの流れから除去され、また脱水−加水分解反応器140(図示せず)に再循環される。
図2は、新鮮な合成ガス供給物のメタノール合成のためのカルボニル化反応およびメタノール合成への供給および合成ガスの洗浄を取り込んだ酢酸の製造のための本願発明による統合プロセスのある実施形態を示すブロック図である。統合ユニット210は、一つのカルボニル化反応器216に接続された一つの合成ガス供給ライン212および一つのジメチルエーテル供給ライン214を含む。使用時には、第1の新鮮な合成ガスが所望のカルボニル化反応温度まで加熱され、そして合成ガス供給ライン212を介してカルボニル化反応器216に供給される。合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素、を含み、そして、好適には、0.05から1.1の範囲内のある化学量数を有する。乾燥したジメチルエーテルが、ジメチルエーテル供給ライン214を介してカルボニル化反応器216に供給され、ジメチルエーテル供給ラインはカルボニル化反応器216への入力前段において合成ガス供給ライン212に合流する。カルボニル化反応器216は、一つの触媒であって、ジエチルエーテルを酢酸メチルにするカルボニル化反応に活性な触媒、例としてモルデナイトゼオライト、適切には水素型のモルデナイト、を含む。ジメチルエーテルおよび合成ガスは、カルボニル化反応器616の中で、250℃から350℃の範囲内のある温度および10から100bargの範囲内のある全圧において、酢酸メチルと水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を形成するために触媒と接触され、このカルボニル化反応生成物は、カルボニル以下反応生成物ライン618を介してカルボニル化反応器616から取り出され、例えば、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第1分離ユニット620に移送される。分離ユニット620では、カルボニル化反応生成物は冷却され、適切には40℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、例えば、酢酸メチル豊富含有液体流および0.1から5モル%のある量のような、少量の酢酸メチルを含む合成ガス流がそこから回収される。酢酸メチル豊富含有液体流は、酢酸メチル液体ライン622を介して分離ユニット620から除去される。合成ガスは、第1合成ガスライン624を介して第1分離ユニット620から除去され、そして、例として、適切なバルブ系により第1部分および第2部分に分割される。合成ガスの第1部分、適切にはその1から20モル%を含む、は、洗浄ユニット232に供給される。合成ガスの第2部分、適切には、その80から99モル%を含む、は、第1合成ガス再循環ライン230を介してカルボニル化反応器216に再循環される。洗浄ユニット232には、例えば、液体洗浄溶剤、適切にはメタノールであって、溶剤供給ライン234を介して供給される、を含む対向流が備えられ、そこで、洗浄ユニット232に移送される酢酸メチルを含む合成ガスが、酢酸メチルを除去するために液体洗浄溶剤と接触される。吸収された酢酸メチルおよび他の溶剤に可溶な組成物、例えば、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む液体洗浄溶剤は、溶剤除去ライン262を介して洗浄ユニット232から除去され、酢酸メチルが激減した洗浄された合成ガスは洗浄済み合成ガスライン236を介して除去され、そしてメタノール合成反応器238に供給される。一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含む第2の新鮮な合成ガスは、第2合成ガス供給ライン268を介してメタノール合成反応器238に供給される。第2合成ガス供給ライン268は、洗浄済合成ガスライン236に接続し、そして混合された供給物が一つ以上の熱交換器によって所望のメタノール合成温度(図示せず)まで加熱され、そしてメタノール合成反応器238に移送される。メタノール合成反応器238は、一つの触媒であって、メタノールの生産に活性のある触媒、例として、商業的な銅含有メタノール合成触媒であって、Johnson Matthey picから入手可能なKatalcoTM触媒、を含む。メタノール合成反応器238に移送される混合された合成ガスは、そこで、メタノール合成条件、例えば、230℃から275℃の範囲内のある温度および50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、メタノールと未転化の合成ガスを含むメタノール合成生成物を生成するために触媒と接触される。メタノール合成生成物は、メタノール合成生成物ライン240を介してメタノール合成反応器238から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第2分離ユニット242に供給され、そこで冷却され、適切には30℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、メタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。メタノール豊富含有液体流はメタノール液体ライン244を介して第2分離ユニット242から除去され、そして合成ガスは第2合成ガスライン246を介して第2分離ユニットから除去される。合成ガスは分離され、例として、適切なバルブ系により、適切には合成ガスの90%から99%を含む第1部分、と適切には合成ガスの1%から10%を含む第2の部分となる。合成ガスの第1の部分は、第2合成ガス再循環ライン250を介してメタノール合成反応器238に再循環され、ここで第2合成ガス再循環ラインは洗浄済合成ガスライン236に接続しているため、メタノール合成反応器238への供給に先立って洗浄済合成ガスおよび新鮮な合成ガスと混合できるようになる。合成ガスの第2部分は、パージ流として除去される。酢酸メチル液体ライン222を介して第1分離ユニット220から除去される酢酸メチル豊富含有液体流、およびメタノール液体ライン244を介して第2分離ユニット242から除去されるメタノール豊富含有液体流は混合され、任意には気相状態に揮発させ、例えば、予備加熱器(図示せず)によって、そして脱水−加水分解反応器254に供給される。脱水−加水分解反応器254は、少なくとも一つの触媒であって、メタノールの脱水反応に活性であり、そして酢酸メチルの加水分解反応に活性な触媒、例として、ゼオライト、例えば、フェリエライトのような、を含む。水、適切には脱水−加水分解反応器254に供給される全供給物に基づく0.1から50モル%以内の量、を、水供給ライン256を介して反応器254に供給する。メタノールと酢酸メチルは、脱水−加水分解反応器254の中で脱水−加水分解反応条件下、適切には100℃から350℃の範囲内のある温度および大気圧あるいはそれより高い圧力において、転換され、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む脱水−加水分解反応生成物となり、この脱水−加水分解反応生成物は脱水−加水分解反応生成物ライン258を介して脱水−加水分解反応器254から取り出される。脱水−加水分解反応生成物は、例として、一つ以上の蒸留塔を含み、適切には、25℃から200℃の範囲内のある温度および大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲内のある圧力において稼働する第3分離ユニット260に、酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流を回収するために供給される。酢酸豊富含有流は、第3分離ユニット260から、典型的には、一つの底流として、酢酸除去ライン264を介して除去される。ジメチルエーテル豊富含有流は、第3分離ユニット260から、典型的には、一つのオーバーヘッド流として、ジメチルエーテル除去ライン266を介して除去される。酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の双方もまた、メタノール、酢酸メチルおよび水、を可変量含むことができ、そしてこれらは任意に流れから除去され、脱水−加水分解反応器254(図示せず)に再循環することができる。
図3は、メタノール合成のための合成ガス供給物の洗浄を取り入れた酢酸の生産のための本願発明による統合プロセスのある実施例を示すブロック図である。統合ユニット310は、一つのカルボニル化反応器316に接続された一つの合成ガス供給ライン312および一つのジメチルエーテル供給ライン314を含む。使用時には、新鮮な合成ガスが所望のカルボニル化反応温度に加熱され、そして合成ガス供給ライン312を介してカルボニル化反応器316に供給される。合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含み、そして好適には、0.9から1.3の範囲内の、化学量数を有する。乾燥したジメチルエーテルは、ジメチルエーテル供給ライン314を介してカルボニル化反応器316に供給され、ジメチルエーテル供給ラインはカルボニル化反応器316への入力前段で合成ガス供給ライン312に合流する。カルボニル化反応器316は、ジメチルエーテルを酢酸メチルにするカルボニル化反応に活性を有する触媒、例として、モルデナイトゼオライト、適切にはモルデナイトの水素型、を含む。ジメチルエーテルおよび合成ガスは、250℃から350℃の範囲内のある温度、および10から100barg(1000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、カルボニル化反応器316の中で触媒と、酢酸メチルと水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を形成するため接触され、このカルボニル化反応生成物はカルボニル化反応生成物ライン318を介してカルボニル化反応器316から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む、第1分離ユニット320に移送される。分離ユニット320の中では、カルボニル化反応生成物は冷却され、適切には40℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして酢酸メチル豊富含有液体流および少量の酢酸メチル、例として、0.1から5モル%の範囲内の量、を含む合成ガス流が、そこから回収される。酢酸メチル豊富含有液体流は、酢酸メチル液体ライン322を介して分離ユニット320から除去される。合成ガスは、第1合成ガスライン324を介して第1分離ユニット320から除去され、そして、例えば、適切なバルブ系により、第1部分と第2部分に分割される。合成ガスの第1部分、適切には、合成ガスの20から30%を含む、は、洗浄ユニット332に供給される。合成ガスの第2部分、適切には、合成ガスの70から80%を含む、は、第1合成ガス再循環ライン330を介してカルボニル化反応器316に再循環される。洗浄ユニット332は、例として、液体洗浄溶剤の対向流が備えられ、この対向流は、適切には、溶剤供給ライン334を介して供給されるメタノールを含み、そして、洗浄ユニット332に移送される酢酸メチルを含む合成ガスは、そこで酢酸メチルが除去するために液体洗浄溶剤と接触される。吸収された酢酸メチルと溶剤に可溶な他の組成物、適切にはジメチルエーテルおよび酢酸、を含む液体洗浄溶剤は、溶剤除去ライン362を介して洗浄ユニット332から除去され、そして、酢酸メチルが激減した洗浄された合成ガスは洗浄済み合成ガスライン336を経て除去されて、メタノール合成反応器338に供給される。メタノール合成反応器338は、メタノールの生産に活性な触媒、例えば、商業的な銅含有メタノール合成触媒、例として、Johnson Matthey picから入手可能なKatalcoTM触媒、を含む。メタノール合成生成物から回収した再循環合成ガスは、再循環合成ガスライン350を介して洗浄済み合成ガスと混合される。混合された合成ガスは、一つ以上の熱交換器の中で所望のメタノール合成温度(図示せず)まで加熱されて、メタノール合成反応器338に移送され、そして、そこでメタノール合成条件下において、例えば、230℃から275℃の範囲内のある温度および50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力など、メタノールおよび未転換合成ガスを含むメタノール合成生成物を生成するために触媒と接触される。メタノール合成生成物は、メタノール合成生成物ライン340を介してメタノール合成反応器338から取り出され、そして第2分離ユニット、例として、一つの熱交換器および一つのノックアウト度楽を含む、に供給されて、冷却され、適切には30℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、メタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。メタノール豊富含有液体流は、メタノール液体ライン344を介して第2分離ユニット342から除去され、そして合成ガスは第2合成ガスライン346を介して第2分離ユニット342から除去される。合成ガスは分割され、例として、適切なバルブ系により、適切には合成ガスの90から99%を含む第1部分、および第2部分であって、適切には合成ガスの1から10%を含む第2部分に分けられる。合成ガスの第1部分は、第2合成ガス再循環ライン350を介してメタノール合成反応器338に再循環され、第2合成ガス再循環ラインは洗浄済み合成ガスライン336に接続する。合成ガスの第2部分は、パージ流として除去される。酢酸メチル液体ライン322を介して第1分離ユニット320から除去された酢酸メチル豊富含有液体流、およびメタノール液体ライン344を介して第2分離ユニット342から除去されたメタノール豊富含有液体流は、混合され、任意には、気相に揮発され、例として予備加熱器(図示せず)の中で、そして、脱水−加水分解反応器354に供給される。脱水−加水分解反応器354は、メタノールの脱水反応に活性であり、かつ酢酸メチルの加水分解反応に活性な少なくとも一つの触媒、例として、ゼオライト、例えば、フェリエライトのような、を含む。水、適切には、脱水−加水分解反応器354に供給される全供給物に基づき0.1から50モル%の量、が、水供給ライン356を介して脱水−加水分解反応器354に供給される。メタノールおよび酢酸メチルは、脱水−加水分解反応器354の中で、脱水−加水分解反応条件下において、適切には、100から350℃の範囲内のある温度および大気圧あるいはより高い圧力において、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む脱水−加水分解反応生成物に転換され、この反応生成物は脱水−加水分解反応生成物ライン358を介して脱水−加水分解反応器354から取り出される。脱水−加水分解反応生成物は、第3分離ユニット360、例として、一つ以上の蒸留塔を含み、適切には25℃から200℃の範囲内のある温度および大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲のある圧力において稼働する、に供給されて、酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流が回収される。酢酸豊富含有流は第3分離ユニット360から、典型的には底流として、酢酸除去ライン364を介して除去される。ジメチルエーテル豊富含有流は第3分離ユニット360から、典型的には、オーバーヘッド流として、ジメチルエーテル除去ライン366から除去される。酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の双方が、可変量のメタノール、酢酸メチルおよび水を含むことができ、そして、これらはまた、任意にその流れから取り除くことができ、そして脱水−加水分解反応器354に再循環される(図示せず)。
図4は、メタノール合成のための合成ガス供給物の洗浄とカルボニル化反応のためのジメチルエーテルの再循環を取り入れた酢酸を生産するための統合プロセスの本願発明のある実施形態を示すブロック図である。統合ユニット410は、カルボニル化反応器416に接続された一つの合成ガス供給ライン412および一つのジメチルエーテル供給ライン414を含む。使用時には、新鮮な合成ガスは所望のカルボニル化温度まで加熱されて、合成ガス供給ライン412を介してカルボニル化反応器416に供給される。合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素、を含み、好適には、0.9から1.3の範囲内の化学量数を有する。乾燥した新鮮なジメチルエーテルがカルボニル化反応器416(図示せず)に供給されるとともに、ジメチルエーテル供給ライン414を介して再循環ジメチルエーテルがカルボニル化反応器に供給され、ジメチルエーテル供給ラインはカルボニル化反応器416の前段において合成ガス供給ライン412に合流する。カルボニル化反応器416は、ジメチルエーテルを酢酸メチルにするカルボニル化反応に活性を有する触媒、例としてモルデナイトゼオライト、適切にはモルデナイトの水素型、を含む。ジメチルエーテルおよび合成ガスは、カルボニル化反応器416の中で、250℃から350℃の範囲内のある温度および10から100barg(1000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、酢酸メチルおよび水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を形成するため、触媒と接触され、このカルボニル化反応生成物はカルボニル化反応生成物ライン418を介してカルボニル化反応器416から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器およびノックダウンドラムを含む第1分離ユニット420に移送される。分離ユニット420では、カルボニル化反応生成物は冷却され、適切には40℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして酢酸メチル豊富含有液体流および少量の酢酸メチル、例として0.1から5モル%の量、を含む合成ガス流が、そこから回収される。酢酸メチル豊富含有液体流は、酢酸メチル液体ライン422を介して分離ユニット420から除去される。合成ガスは、第1合成ガスライン424を介して第1分離ユニット420から除去され、そして第1部分と第2部分とに、例として適切なバルブ系により、分割される。合成ガスの第1部分は、適切にはその20から30%を含み、洗浄ユニット432に供給される。合成ガスの第2部分は、適切にはその70から80%を含み、第1合成ガス再循環ライン430を介してカルボニル化反応器416に再循環される。洗浄ユニット432には、例えば、液体洗浄溶剤の対向流、適切には、メタノール、溶剤供給ライン434を介する、が備えられ、そして洗浄ユニット432に移送される酢酸メチルを含む合成ガスが、そこで液体洗浄溶剤と接触されて酢酸メチルが除去される。吸収された酢酸メチルおよび溶剤に可溶な他の組成物、適切には、ジメチルエーテルおよび酢酸、を含む液体洗浄溶剤は、溶剤除去ライン462を介して洗浄ユニット432から除去され、そして、酢酸メチルが激減した洗浄された合成ガスが、メタノール合成反応器438に供給される前に洗浄済み合成ガスライン436を介して除去される。メタノール合成反応器438は、メタノールの生産に活性を有する触媒、例えば、商業的な銅含有メタノール合成触媒、例として、Johnson Matthey picから入手可能なKatalcoTM触媒、を含む。メタノール合成生成物から回収される再循環合成ガスは、再循環合成ガスライン450を介して洗浄済み合成ガスと混合される。混合された合成ガスは、一つ以上の熱交換器の中で所望のメタノール合成温度(図示せず)まで加熱され、そしてメタノール合成反応器438に移送され、そこでメタノール合成条件下、例えば、230℃から275℃の範囲内のある温度と50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、メタノールと未転換合成ガスを含むメタノール合成生成物を生成するために触媒と接触される。メタノール合成生成物は、メタノール合成生成物ライン440を介してメタノール合成反応器438から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第2分離ユニット442に供給され、そこで冷却され、適切には、30℃から50℃まで、そしてメタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。メタノール豊富含有液体流は、メタノール液体ライン444を介して第2分離ユニット442から除去され、そして合成ガスは、第2合成ガスライン446を介して第2分離ユニット442から除去される。合成ガスは分割され、例として、適切なバルブ系により、第1部分、適切には、合成ガスの90から99%を含む、と合成ガスの1から10%を適切に含む第2部分に分けられる。合成ガスの第1部分は、第2合成ガス再循環ライン450を介してメタノール合成反応器438に再循環され、第2合成ガス再循環ラインは洗浄済み合成ガスライン436に接続する。合成ガスの第2部分はパージ流として除去される。酢酸メチル液体ライン422を介して第1分離ユニット420から除去された酢酸メチル豊富含有液体流、およびメタノール液体ライン444を介して第2分離ユニット442から除去されたメタノール豊富含有液体流は混合され、任意には、気相状態に揮発させて、例として、一つの予備加熱器(図示せず)の中で、そして脱水−加水分解反応器454に供給される。脱水−加水分解反応器454は、メタノールの脱水反応に活性であり、かつ酢酸メチルの加水分解反応に活性な少なくとも一つの触媒、例として、ゼオライト、例えば、フェリエライトのような、を含む。水、適切には、脱水−加水分解反応器454に供給される全供給物を基礎として0.1から50モル%の量、が、水供給ライン464を介して脱水−加水分解反応器454に供給される。メタノールおよび酢酸メチルは、脱水−加水分解反応器454の中で、脱水−加水分解反応条件下、適切には、100℃から350℃の範囲内のある温度および大気圧あるいはそれより高い圧力において、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む脱水−加水分解反応生成物に転換され、この脱水−加水分解反応生成物は脱水−加水分解反応生成物ライン456を介して脱水−加水分解反応器454から取り出される。脱水−加水分解反応生成物は、例えば、一つ以上の蒸留塔を含み、適切には、25℃から200℃の範囲内のある温度と大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲内のある圧力において稼働する第3分離ユニット458に供給されて、酢酸豊富含有流とジメチルエーテル豊富含有流が回収される。酢酸豊富含有流は、第3分離ユニット458から、典型的には底流として、酢酸除去ライン460を介して除去される。ジメチルエーテル豊富含有流は、第3分離ユニット458から、典型的にはオーバーヘッド流として、ジメチルエーテル供給ライン414を介して除去され、そしてカルボニル化反応器416に再循環される。酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の双方はまた、可変量のメタノール、酢酸メチルおよび水を含むことができ、そして、これらは、任意には、流れから除去することができ、また脱水−加水分解反応器454に再循環される(図示せず)。
図5は、メタノール合成のための合成ガス供給物の洗浄と洗浄領域へのメタノール豊富含有流の供給を取り入れた酢酸を生産するための統合プロセスの本願発明のある実施形態を示すブロック図である。統合ユニット510は、カルボニル化反応器516に接続された一つの合成ガス供給ライン512および一つのジメチルエーテル供給ライン514を含む。使用時には、新鮮な合成ガスは所望のカルボニル化温度まで加熱されて、合成ガス供給ライン512を介してカルボニル化反応器516に供給される。合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含み、好適には、0.9から1.3の範囲内の化学量数を有する。乾燥したジメチルエーテルが、ジメチルエーテル供給ライン514を介してカルボニル化反応器516に供給され、ジメチルエーテル供給ラインはカルボニル化反応器516の前段において合成ガス供給ライン512に合流する。カルボニル化反応器516は、ジメチルエーテルを酢酸メチルにするためのカルボニル化反応に活性を有する触媒、例としてモルデナイトゼオライト、適切にはモルデナイトの水素型、を含む。ジメチルエーテルおよび合成ガスは、カルボニル化反応器516の中で、250℃から350℃の範囲内のある温度および10から100barg(1000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、酢酸メチルおよび水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を形成するために触媒と接触され、このカルボニル化反応生成物はカルボニル化反応生成物ライン518を介してカルボニル化反応器516から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器およびノックダウンドラムを含む第1分離ユニット520に移送される。分離ユニット520では、カルボニル化反応生成物は冷却され、適切には40℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして酢酸メチル豊富含有液体流および少量の酢酸メチル、例として0.1から5モル%の量、を含む合成ガス流が、そこから回収される。酢酸メチル豊富含有液体流は、酢酸メチル液体ライン522を介して分離ユニット520から除去される。合成ガスは、第1合成ガスライン524を介して第1分離ユニット520から除去され、そして任意に第1部分と第2部分とに、例として適切なバルブ系により、分割され、合成ガスの第1部分は、適切にはその20から30%を含み、洗浄ユニット528に供給され、また合成ガスの第2部分は、適切にはその70から80%を含み、第1合成ガス再循環ライン526を介してカルボニル化反応器516に再循環される。必要であれば、第1分離ユニット520から回収された合成ガスは、その全量を、第1合成ガスライン524を経て洗浄ユニット528に移送することができる。洗浄ユニット528には、メタノール供給ライン530を介して供給されるメタノールを含む液体洗浄溶剤の対向流が提供され、そして洗浄ユニット528に移送される酢酸メチルを含む合成ガスが、そこでメタノールと接触されて酢酸メチルとメタノールに可溶な他の組成物、適切には、ジメチルエーテルおよび酢酸、が除去される。吸収された酢酸メチルを含むメタノールは、メタノール除去ライン532を介して洗浄ユニット528から除去され、そして、酢酸メチルが激減した洗浄された合成ガスが、洗浄済み合成ガスライン534を介して除去される。洗浄された合成ガスは、任意に、第2合成ガス再循環ライン544を介して再循環合成ガスと混合され、一つ以上の熱交換器の中で所望のメタノール合成温度(図示せず)まで加熱され、そしてメタノール合成反応器536に移送される。メタノール合成反応器536は、メタノールの生産に活性を有する触媒、例えば、商業的な銅含有メタノール合成触媒、例として、Johnson Matthey picから入手可能なKatalcoTM触媒、を含む。洗浄された合成ガスは、任意に再循環合成ガスと混合され、メタノール合成反応器536の中で、メタノール合成条件下、例えば、230℃から275℃の範囲内のある温度と50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、メタノールと未転換合成ガスを含むメタノール合成生成物を生成するために触媒と接触される。メタノール合成生成物は、メタノール合成生成物ライン538を介してメタノール合成反応器536から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第2分離ユニット540に供給され、そこで冷却され、適切には、30℃から50℃まで、そしてメタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。メタノール豊富含有液体流は、メタノール液体ライン530を介して第2分離ユニット540から回収され、そして合成ガスは、第2合成ガスライン542を介して第2分離ユニット540から回収されるが、必要に応じて、その全体量をパージガス流として排出することができる。任意に、第2分離ユニット540から回収した合成ガスを、例として、適切なバルブ系により、第1部分、適切には、合成ガスの90から99%を含む、と合成ガスの1から10%を適切に含む第2部分に分けることができ、合成ガスの第1部分は、第2合成ガス再循環ライン544を介してメタノール合成反応器536に再循環され、第2合成ガス再循環ラインは洗浄済み合成ガスライン534に接続し、そして、合成ガスの第2部分はパージ流として除去される。メタノール液体ライン530を介して第2分離ユニット540から回収されたメタノール豊富含有液体流は、液体洗浄溶剤として利用するため洗浄ユニット528に再循環される。酢酸メチル液体ライン522を介して第1分離ユニット520から除去された酢酸メチル豊富含有液体流、およびメタノール除去ライン532を介して洗浄ユニット528から除去された吸収された酢酸メチルを含むメタノール溶剤流は混合されて、任意には、気相状態に揮発させて、例として、
一つの予備加熱器(図示せず)の中で、そして脱水−加水分解反応器546に供給される。脱水−加水分解反応器546は、メタノールの脱水反応に活性であり、かつ酢酸メチルの加水分解反応に活性な少なくとも一つの触媒、例として、ゼオライト、例えば、フェリエライトのような、を含む。水、適切には、脱水−加水分解反応器546に供給される全供給物を基礎として0.1から50モル%の量、が、水供給ライン548を介して脱水−加水分解反応器546に供給される。メタノールおよび酢酸メチルは、脱水−加水分解反応器546の中で、脱水−加水分解反応条件下、適切には、100℃から350℃の範囲内のある温度および大気圧あるいはそれより高い圧力において、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む脱水−加水分解反応生成物に転換され、この脱水−加水分解反応生成物は脱水−加水分解反応生成物ライン550を介して脱水−加水分解反応器546から取り出される。脱水−加水分解反応生成物は、例えば、一つ以上の蒸留塔を含み、適切には、25℃から200℃の範囲内のある温度と大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲内のある圧力において稼働する第3分離ユニット552に、酢酸豊富含有流とジメチルエーテル豊富含有流を回収するために供給される。酢酸豊富含有流は、第3分離ユニット552から、典型的には底流として、酢酸除去ライン554を介して除去される。ジメチルエーテル豊富含有流は、第3分離ユニット552から、典型的にはオーバーヘッド流として、ジメチルエーテル除去ライン556を介して除去される。酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の双方はまた、可変量のメタノール、酢酸メチルおよび水を含むことができ、そして、これらは、任意には、流れから除去することができ、また脱水−加水分解反応器546に再循環される(図示せず)。
図6は、新鮮な合成ガス供給物のカルボニル化反応およびメタノール合成への供給、およびメタノール豊富含有流の洗浄領域への供給を取り入れた酢酸の製造のための本願発明による統合プロセスの実施形態を示すブロック図である。統合ユニット610は、一つのカルボニル化反応器616に接続された一つの第1合成ガス供給ライン612および一つのジメチルエーテル供給ライン614を含む。使用時には、第1の新鮮な合成ガスが所望のカルボニル化反応温度まで加熱され、そして合成ガス供給ライン612を介してカルボニル化反応器616に供給される。合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含み、そして、好適には、0.05から1.1の範囲内の化学量数を有する。乾燥したジメチルエーテルが、ジメチルエーテル供給ライン614を介してカルボニル化反応器616に供給され、ジメチルエーテル供給ラインはカルボニル化反応器616への入力前段において合成ガス供給ライン612に合流する。カルボニル化反応器616は、一つの触媒であって、ジエチルエーテルを酢酸メチルにするカルボニル化反応に活性な触媒、例としてモルデナイトゼオライト、適切には水素型のモルデナイト、を含む。ジメチルエーテルおよび合成ガスは、カルボニル化反応器616の中で、250℃から350℃の範囲内のある温度および10から100barg(1000kPaから10,000kPa)の範囲内のある全圧において、酢酸メチルと水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を生成するため触媒と接触され、このカルボニル化反応生成物は、カルボニル化反応生成物ライン618を介してカルボニル化反応器616から取り出され、そして、例えば、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第1分離ユニット620に移送される。分離ユニット620では、カルボニル化反応生成物は冷却され、適切には40℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、酢酸メチル豊富含有液体流および少量の、例えば、0.1から5モル%の量、の酢酸メチルを含む合成ガス流がそこから回収される。酢酸メチル豊富含有流は、酢酸メチル液体ライン622を介して分離ユニット620から除去される。合成ガスは、第1合成ガスライン624を介して第1分離ユニット620から除去され、そして、任意には、例として、適切なバルブ系により、第1部分および第2部分に分割され、合成ガスの第1部分、適切にはその1から20モル%を含む、は、洗浄ユニット528に供給され、そして合成ガスの第2部分、適切には、その80から99モル%を含む、は、第1合成ガス再循環ライン626を介してカルボニル化反応器616に再循環される。必要に応じて、第1分離ユニット620から回収した合成ガスは、その全体を、第1合成ガスライン624を介して洗浄ユニット628に移送することができる。洗浄ユニット628には、メタノール供給ライン630を介して供給されるメタノールを含む液体洗浄溶剤の対向流が提供され、そして酢酸メチルを含み洗浄ユニット628に移送される合成ガスは、そこで酢酸メチルおよびメタノールに可溶な他の組成物、適切にはジメチルエーテルおよび酢酸を除去するために、液体メタノールと接触される。吸収された酢酸メチルを含むメタノールは、メタノール除去ライン632を介して洗浄得ニット628から除去され、そして酢酸メチルが激減した洗浄された合成ガスは洗浄済み合成ガスライン634を介して除去される。洗浄された合成ガスは、第2合成ガス供給ライン636を介して供給される第2の新鮮な合成ガス供給物と混合され、任意に第2合成ガス再循環ライン646を介して再循環合成ガスと混合され、一つ以上の熱交換器の中で所望のメタノール合成温度(図示せず)まで加熱され、そしてメタノール合成反応器638に供給される。第2の新鮮な合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含む。メタノール合成反応器638は、一つの触媒であって、メタノールの生産に活性のある触媒、例として、商業的な銅含有メタノール合成触媒であって、Johnson Matthey picから入手可能なKatalcoTM触媒、を含む。洗浄された合成ガスおよび新鮮な合成ガス、任意に再循環合成ガスと混合される、は、メタノール合成反応器638において、メタノール合成条件、例えば、230℃から275℃の範囲内のある温度および50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、メタノールと未転化の合成ガスを含むメタノール合成生成物を精製するために触媒と接触される。メタノール合成生成物は、メタノール合成生成物ライン640を介してメタノール合成反応器638から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第2分離ユニット642に供給され、そこで冷却され、適切には30℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、メタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。メタノール豊富含有液体流はメタノール液体ライン630を介して第2分離ユニット642から回収され、そして合成ガスは第2合成ガスライン644を介して第2分離ユニット642から回収されるが、必要に応じて、合成ガスの全体量をパージガス流として排出することができる。任意には、第2分離ユニット642から回収された合成ガスを、例として、適切なバルブ系により、適切には合成ガスの90%から99%を含む第1部分、と適切には合成ガスの1%から10%を含む第2の部分とに分離することができ、合成ガスの第1の部分を、第2合成ガス再循環ライン646を介してメタノール合成反応器638に再循環し、ここで第2合成ガス再循環ラインは洗浄済合成ガスライン634に接続しており、また合成ガスの第2部分をパージ流として除去することができる。メタノール液体ライン630を介して第2分離ユニット642から回収される酢酸メチル豊富含有液体流は、液体洗浄溶剤として使用するため洗浄ユニット628に再循環される。酢酸メチル液体ライン622を介して第1分離ユニット620から回収された酢酸メチル豊富含有液体流、およびメタノール除去ライン632を介して洗浄ユニット628から除去した吸収された酢酸メチルを含むメタノール溶剤流は混合されて、任意には、気相状態に揮発化され、例として、一つの予備加熱器の中で(図示せず)、そして脱水−加水分解反応器648に供給される。脱水−加水分解反応器648は、メタノールの脱水反応に活性であり、そして酢酸メチルの加水分解反応に活性な少なくとも一つの触媒、例として、ゼオライト、例えば、フェリエライトのような、を含む。水、適切には脱水−加水分解反応器648に供給される全供給物に基づく0.1から50モル%以内の量、を、水供給ライン650を介して脱水−加水分解反応器648に供給する。メタノールと酢酸メチルは、脱水−加水分解反応器648の中で脱水−加水分解反応条件下、適切には100℃から350℃の範囲内のある温度および大気圧あるいはそれより高い圧力において、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む脱水−加水分解反応生成物に転換され、この脱水−加水分解反応生成物は脱水−加水分解反応生成物ライン652を介して脱水−加水分解反応器648から取り出される。脱水−加水分解反応生成物は、例として、一つ以上の蒸留塔を含み、適切には、25℃から200℃の範囲内のある温度および大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲内のある圧力において稼働する第3分離ユニット654に供給され、酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流が回収される。酢酸豊富含有流は、第3分離ユニット654から、典型的には、一つの底流として、酢酸除去ライン656を介して除去される。ジメチルエーテル豊富含有流は、第3分離ユニット654から、典型的には、一つのオーバーヘッド流として、ジメチルエーテル除去ライン658を介して除去される。酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の双方もまた、メタノール、酢酸メチルおよび水、を可変量含むことができ、そしてこれらは任意に流れから除去され、脱水−加水分解反応器648(図示せず)に再循環することができる。
図7は、メタノール合成のための合成ガス供給物の洗浄、メタノール豊富含有流の洗浄領域への供給およびジメチルエーテルのカルボニル化反応への再循環を取り入れた酢酸の製造のための本願発明による統合プロセスの実施形態を示すブロック図である。統合ユニット710は、一つのカルボニル化反応器716に接続された一つの第1合成ガス供給ライン712および一つのジメチルエーテル供給ライン714を含む。使用時には、新鮮な合成ガスが所望のカルボニル化反応温度まで加熱され、そして合成ガス供給ライン712を介してカルボニル化反応器716に供給される。合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含み、そして、好適には、0.9から1.3の範囲内の化学量数を有する。乾燥したジメチルエーテル(図示せず)および再循環ジメチルエーテルが、ジメチルエーテル供給ライン714を介してカルボニル化反応器716に供給され、ジメチルエーテル供給ラインはカルボニル化反応器716への入力前段において合成ガス供給ライン712に合流する。カルボニル化反応器716は、一つの触媒であって、ジエチルエーテルを酢酸メチルにするカルボニル化反応に活性な触媒、例としてモルデナイトゼオライト、適切には水素型のモルデナイト、を含む。ジメチルエーテルおよび合成ガスは、カルボニル化反応器716の中で、250℃から350℃の範囲内のある温度および10から100barg(1000kPaから10,000kPa)の範囲内のある全圧において、酢酸メチルと水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を生成するため触媒と接触され、このカルボニル化反応生成物は、カルボニル化反応生成物ライン718を介してカルボニル化反応器716から取り出され、そして、例えば、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第1分離ユニット720に移送される。分離ユニット720では、カルボニル化反応生成物は冷却され、適切には40℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、酢酸メチル豊富含有液体流および少量の、例えば、0.1から5モル%の量、の酢酸メチルを含む合成ガス流がそこから回収される。酢酸メチル豊富含有流は、酢酸メチル液体ライン722を介して分離ユニット720から除去される。合成ガスは、第1合成ガスライン724を介して第1分離ユニット720から除去され、そして、例として、適切なバルブ系により、第1部分および第2部分に分割され、合成ガスの第1部分、適切にはその20から30モル%を含む、は、洗浄ユニット728に供給され、そして合成ガスの第2部分、適切には、その70から80モル%を含む、は、第1合成ガス再循環ライン726を介してカルボニル化反応器716に再循環される。洗浄ユニット728には、メタノール供給ライン730を介して供給されるメタノールを含む液体洗浄溶剤の対向流が提供され、そして酢酸メチルを含み洗浄ユニット728に移送される合成ガスは、そこで酢酸メチルおよびメタノールに可溶な他の組成物、適切にはジメチルエーテルおよび酢酸を除去するために、液体メタノールと接触される。吸収された酢酸メチルを含むメタノールは、メタノール除去ライン732を介して洗浄得ニット728から除去され、そして酢酸メチルが激減した洗浄された合成ガスは洗浄済み合成ガスライン734を介して除去される。洗浄された合成ガスは、第2合成ガス再循環ライン744を介して再循環合成ガス供給物と混合され、混合された供給物は、一つ以上の熱交換器の中で所望のメタノール合成温度(図示せず)まで加熱され、そしてメタノール合成反応器736に供給される。メタノール合成反応器736は、一つの触媒であって、メタノールの生産に活性を有する触媒、例として、商業的な銅含有メタノール合成触媒であって、Johnson Matthey picから入手可能なKatalcoTM触媒、を含む。混合された合成ガスは、メタノール合成反応器736の中で、メタノール合成条件下、例えば、230℃から275℃の範囲内のある温度および50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、メタノールと未転化の合成ガスを含むメタノール合成生成物を生成するため触媒と接触される。メタノール合成生成物は、メタノール合成生成物ライン738を介してメタノール合成反応器736から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第2分離ユニット740に供給され、そこで冷却され、適切には30℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、メタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。メタノール豊富含有液体流は、メタノール液体ライン730を介して第2分離ユニット740から回収され、そして合成ガスは、第2合成ガスライン742を介して第2分離ユニット740から回収される。第2分離ユニット740から回収された合成ガスは、例として、適切なバルブ系により、適切には合成ガスの90%から99%を含む第1部分、と適切には合成ガスの1%から10%を含む第2の部分とに分離される。合成ガスの第1の部分は、第2合成ガス再循環ライン744を介してメタノール合成反応器736に再循環され、ここで第2合成ガス再循環ラインは洗浄済合成ガスライン734に接続されており、そして、合成ガスの第2部分はパージ流として排出される。メタノール液体ライン730を介して第2分離ユニット740から回収されるメタノール豊富含有液体流は、液体洗浄溶剤として使用するため洗浄ユニット728に再循環される。酢酸メチル液体流ライン722を介して第1分離ユニット720から除去された酢酸メチル豊富含有液体流、およびメタノール除去ライン732を介して洗浄ユニット728から除去した、吸収された酢酸メチルを含むメタノール溶剤流は混合されて、任意には、気相状態に揮発化され、例として、一つの予備加熱器の中で(図示せず)、そして脱水−加水分解反応器746に供給される。脱水−加水分解反応器746は、メタノールの脱水反応に活性であり、そして酢酸メチルの加水分解反応に活性な少なくとも一つの触媒、例として、ゼオライト、例えば、フェリエライトのような、を含む。水、適切には脱水−加水分解反応器746に供給される全供給物に基づく0.1から50モル%以内の量、を、水供給ライン748を介して脱水−加水分解反応器746に供給する。メタノールと酢酸メチルは、脱水−加水分解反応器746の中で脱水−加水分解反応条件下、適切には100℃から350℃の範囲内のある温度および大気圧あるいはそれより高い圧力において、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む脱水−加水分解反応生成物に転換され、この脱水−加水分解反応生成物は脱水−加水分解反応生成物ライン750を介して脱水−加水分解反応器746から取り出される。脱水−加水分解反応生成物は、例として、一つ以上の蒸留塔を含み、適切には、25℃から200℃の範囲内のある温度および大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲内のある圧力において稼働する第3分離ユニット752に、酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流を回収するために供給される。酢酸豊富含有流は、第3分離ユニット752から、典型的には、一つの底流として、酢酸除去ライン754を介して除去される。ジメチルエーテル豊富含有流は、第3分離ユニット752から、典型的には、一つのオーバーヘッド流として、ジメチルエーテル供給ライン714を介して除去され、そして、カルボニル化反応器716に再循環される。酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の双方もまた、メタノール、酢酸メチルおよび水、を可変量含むことができ、そしてこれらは任意に流れから除去され、脱水−加水分解反応器746(図示せず)に再循環することができる。
図8は、新鮮な合成ガス供給物のカルボニル化反応およびメタノール合成への供給、メタノール豊富含有流の洗浄領域への供給およびジメチルエーテルのカルボニル化反応への再循環を取り入れた酢酸の製造のための本願発明による統合プロセスの実施形態を示すブロック図である。統合ユニット810は、一つのカルボニル化反応器816に接続された一つの第1合成ガス供給ライン812および一つのジメチルエーテル供給ライン814を含む。使用時には、第1の新鮮な合成ガスが所望のカルボニル化反応温度まで加熱され、そして合成ガス供給ライン812を介してカルボニル化反応器816に供給される。合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含み、そして、好適には、0.05から1.1の範囲内の化学量数を有する。乾燥したジメチルエーテル(図示せず)および再循環ジメチルエーテルが、ジメチルエーテル供給ライン814を介してカルボニル化反応器816に供給され、ジメチルエーテル供給ラインはカルボニル化反応器816への入力前段において合成ガス供給ライン812に合流する。カルボニル化反応器816は、一つの触媒であって、ジエチルエーテルを酢酸メチルにするカルボニル化反応に活性な触媒、例としてモルデナイトゼオライト、適切には水素型のモルデナイト、を含む。ジメチルエーテルおよび合成ガスは、カルボニル化反応器816の中で、250℃から350℃の範囲内のある温度および10から100barg(1000kPaから10,000kPa)の範囲内のある全圧において、酢酸メチルと水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を生成するために触媒と接触され、このカルボニル化反応生成物は、カルボニル化反応生成物ライン818を介してカルボニル化反応器816から取り出され、そして、例えば、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第1分離ユニット820に移送される。分離ユニット820では、カルボニル化反応生成物は冷却され、適切には40℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、酢酸メチル豊富含有液体流および少量の、例えば、0.1から5モル%の量、の酢酸メチルを含む合成ガス流がそこから回収される。酢酸メチル豊富含有液体流は、酢酸メチル液体ライン822を介して分離ユニット820から除去される。合成ガスは、第1合成ガスライン824を介して第1分離ユニット820から除去され、そして、例として、適切なバルブ系により、第1部分および第2部分に分割され、合成ガスの第1部分、適切にはその1から20モル%を含む、は、洗浄ユニット828に供給され、そして合成ガスの第2部分、適切には、その80から99モル%を含む、は、第1合成ガス再循環ライン826を介してカルボニル化反応器816に再循環される。洗浄ユニット828には、メタノール供給ライン830を介して供給されるメタノールを含む液体洗浄溶剤の対向流が提供され、そして酢酸メチルを含み洗浄ユニット828に移送される合成ガスは、そこで酢酸メチルおよびメタノールに可溶な他の組成物、適切にはジメチルエーテルおよび酢酸を除去するために、液体メタノールと接触される。吸収された酢酸メチルを含むメタノールは、メタノール除去ライン832を介して洗浄得ニット828から除去され、そして酢酸メチルが激減した洗浄された合成ガスは洗浄済み合成ガスライン834を介して除去される。洗浄された合成ガスは、第2合成ガス供給ライン836を介して供給される第2の新鮮な合成ガス供給物および第2合成ガス再循環ライン846を介して供給される再循環合成ガスと混合され、混合された供給物は、一つ以上の熱交換器の中で所望のメタノール合成温度(図示せず)まで加熱され、そしてメタノール合成反応器838に供給される。第2の新鮮な合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含む。メタノール合成反応器838は、一つの触媒であって、メタノールの生産に活性のある触媒、例として、商業的な銅含有メタノール合成触媒であって、Johnson Matthey picから入手可能なKatalcoTM触媒、を含む。混合された合成ガスは、メタノール合成反応器838の中で、メタノール合成条件下、例えば、230℃から275℃の範囲内のある温度および50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、メタノールと未転化の合成ガスを含むメタノール合成生成物を生成するために触媒と接触される。メタノール合成生成物は、メタノール合成生成物ライン840を介してメタノール合成反応器838から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第2分離ユニット842に供給され、そこで冷却され、適切には30℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、メタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。メタノール豊富含有液体流はメタノール液体ライン830を介して第2分離ユニット842から回収され、そして合成ガスは第2合成ガスライン844を介して第2分離ユニット842から回収される。第2分離ユニット842から回収された合成ガスを、例として、適切なバルブ系により、適切には合成ガスの90%から99%を含む第1部分、と適切には合成ガスの1%から10%を含む第2の部分とに分離する。合成ガスの第1の部分を、第2合成ガス再循環ライン846を介してメタノール合成反応器838に再循環するが、この第2合成ガス再循環ラインは洗浄済合成ガスライン834に接続しており、合成ガスの第2部分をパージ流として排出する。メタノール液体ライン830を介して第2分離ユニット842から回収されるメタノール豊富含有液体流は、液体洗浄溶剤として使用するため洗浄ユニット828に再循環させる。酢酸メチル液体流ライン822を介して第1分離ユニット820から除去された酢酸メチル豊富含有液体流、およびメタノール除去ライン832を介して洗浄ユニット828から除去した吸収された酢酸メチルを含むメタノール溶剤流は混合されて、任意には、気相状態に揮発化され、例として、一つの予備加熱器の中で(図示せず)、そして脱水−加水分解反応器848に供給される。脱水−加水分解反応器848は、メタノールの脱水反応に活性であり、そして酢酸メチルの加水分解反応に活性な少なくとも一つの触媒、例として、ゼオライト、例えば、フェリエライトのような、を含む。水、適切には脱水−加水分解反応器848に供給される全供給物に基づく0.1から50モル%以内の量、を、水供給ライン850を介して脱水−加水分解反応器648に供給する。メタノールと酢酸メチルは、脱水−加水分解反応器848の中で脱水−加水分解反応条件下、適切には100℃から350℃の範囲内のある温度および大気圧あるいはそれより高い圧力において、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む脱水−加水分解反応生成物に転換され、この脱水−加水分解反応生成物は脱水−加水分解反応生成物ライン852を介して脱水−加水分解反応器848から取り出される。脱水−加水分解反応生成物は、例として、一つ以上の蒸留塔を含み、適切には、25℃から200℃の範囲内のある温度および大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲内のある圧力において稼働する第3分離ユニット854に、酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流を回収するために供給される。酢酸豊富含有流は、第3分離ユニット854から、典型的には、一つの底流として、酢酸除去ライン856を介して除去される。ジメチルエーテル豊富含有流は、第3分離ユニット854から、典型的には、一つのオーバーヘッド流として、ジメチルエーテル供給ライン814を介して除去され、そしてカルボニル化反応器816に再循環される。酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の双方もまた、メタノール、酢酸メチルおよび水、を可変量含むことができ、そしてこれらは任意に流れから除去され、脱水−加水分解反応器848(図示せず)に再循環される。
図9は、新鮮な合成ガス供給物のカルボニル化反応およびメタノール合成への供給を取り入れた酢酸の製造のための本願発明による統合プロセスの実施形態を示すブロック図である。統合ユニット910は、一つのカルボニル化反応器916に接続された一つの合成ガス供給ライン912および一つのジメチルエーテル供給ライン914を含む。使用時には、第1の新鮮な合成ガスが所望のカルボニル化反応温度まで加熱され、そして合成ガス供給ライン912を介してカルボニル化反応器916に供給される。合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含み、そして、好適には、0.05から1.1の範囲内の化学量数を有する。乾燥したジメチルエーテルが、ジメチルエーテル供給ライン914を介してカルボニル化反応器916に供給され、ジメチルエーテル供給ラインはカルボニル化反応器916への入力前段において合成ガス供給ライン912に合流する。カルボニル化反応器916は、一つの触媒であって、ジエチルエーテルを酢酸メチルにするカルボニル化反応に活性な触媒、例としてモルデナイトゼオライト、適切には水素型のモルデナイト、を含む。ジメチルエーテルおよび合成ガスは、カルボニル化反応器916の中で、250℃から350℃の範囲内のある温度および10から100barg(1000kPaから10,000kPa)の範囲内のある全圧において、酢酸メチルと水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を生成するために触媒と接触され、このカルボニル化反応生成物は、カルボニル化反応生成物ライン918を介してカルボニル化反応器916から取り出され、そして、例えば、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第1分離ユニット920に移送される。分離ユニット920では、カルボニル化反応生成物は冷却され、適切には40℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、酢酸メチル豊富含有液体流および合成ガス流がそこから回収される。酢酸メチル豊富含有液体流は、酢酸メチル液体ライン922を介して分離ユニット920から除去される。合成ガスは、第1合成ガスライン924を介して第1分離ユニット920から除去される。第1合成ガスライン924は、メタノール合成反応器926に接続される。第1分離ユニット920から回収した合成ガスは、一つ以上の熱交換器(図示せず)内で所望のメタノール合成温度まで加熱され、そしてその全体量がメタノール合成反応器926に移送される。必要に応じて、分離ユニット920から回収した合成ガスを二つの部分に分離することができ、ここで、合成ガスの第1部分、その80から99モル%など、を、任意には一つ以上の圧縮機(図示せず)によりカルボニル化反応圧まで圧縮し、任意的に第1合成ガス再循環ライン928を介してカルボニル化反応器916に再循環し、そして合成ガスの第2部分、適切には1から20モル%、を、一つ以上の熱交換器において所望のメタノール合成温度(図示せず)まで加熱して、そしてメタノール合成反応器926に移送する。第2の新鮮な合成ガスは、第2合成ガス供給ライン952を介して、合成ガスライン924を介してメタノール合成反応器926に移送される合成ガスと混合される。第2の新鮮な合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含む。メタノール合成反応器926は、一つの触媒であって、メタノールの生産に活性のある触媒、例として、商業的な銅含有メタノール合成触媒であって、Johnson Matthey picから入手可能なKatalcoTM触媒、を含む。メタノール合成反応器926に移送される合成ガスは、そこで、メタノール合成条件下、例えば、230℃から275℃の範囲内のある温度および50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、メタノールと未転化の合成ガスを含むメタノール合成生成物を生成するために触媒と接触される。メタノール合成生成物は、メタノール合成生成物ライン930を介してメタノール合成反応器926から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第2分離ユニット932に供給され、そこで冷却され、適切には30℃から50℃まで、そしてメタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。メタノール豊富含有液体流は、メタノール液体ライン934を介して第2分離ユニット932から回収され、合成ガスは、第2合成ガスライン936を介して第2分離ユニット932から回収される。合成ガスは、その全体量を、パージ流として排出することができ、あるいは必要に応じて、その全てあるいは一部、例えば、その90から99%、を、任意的な第2合成ガス再循環ライン938を介してメタノール合成反応器926に再循環することができる。酢酸メチル液体ライン922を介して第1分離ユニット920から回収された酢酸メチル豊富含有液体流、およびメタノール液体ライン934を介して第2分離ユニット932から除去されたメタノール豊富含有液体流は混合され、任意には気相状態に揮発化され、例として、一つの予備加熱器の中で(図示せず)、そして脱水−加水分解反応器940に供給される。脱水−加水分解反応器940は、メタノールの脱水反応に活性であり、かつ酢酸メチルの加水分解反応に活性である少なくとも一つの触媒、例として、ゼオライト、例えば、フェリエライトのような、を含む。水、適切には脱水−加水分解反応器940に供給される全供給物に基づく0.1から50モル%以内の量、を、水供給ライン950を介して脱水−加水分解反応器940に供給する。メタノールと酢酸メチルは、脱水−加水分解反応器940の中で脱水−加水分解反応条件下、適切には100℃から350℃の範囲内のある温度および大気圧あるいはそれより高い圧力において、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む脱水−加水分解反応生成物に転換され、この脱水−加水分解反応生成物は脱水−加水分解反応生成物ライン942を介して脱水−加水分解反応器940から取り出される。脱水−加水分解反応生成物は、例として、一つ以上の蒸留塔を含み、適切には、25℃から200℃の範囲内のある温度および大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲内のある圧力において稼働する第3分離ユニット944に、酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流を回収するために供給される。酢酸豊富含有流は、第3分離ユニット944から、典型的には、一つの底流として、酢酸除去ライン946を介して除去される。ジメチルエーテル豊富含有流は、第3分離ユニット944から、典型的には、一つのオーバーヘッド流として、ジメチルエーテル除去ライン948を介して除去される。酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の双方もまた、メタノール、酢酸メチルおよび水、を可変量含むことができ、そしてこれらは任意に流れから除去され、脱水−加水分解反応器940(図示せず)に再循環することができる。
図10は、新鮮な合成ガス供給物のカルボニル化反応およびメタノール合成への供給、メタノール合成のための合成ガスの洗浄およびカルボニル化反応のためのジメチルエーテルの再循環を取り入れた酢酸の製造のための本願発明による統合プロセスの実施形態を示すブロック図である。統合ユニット1010は、一つのカルボニル化反応器1016に接続された一つの合成ガス供給ライン1012および一つのジメチルエーテル供給ライン1014を含む。使用時には、第1の新鮮な合成ガスが所望のカルボニル化反応温度まで加熱され、そして合成ガス供給ライン1012を介してカルボニル化反応器1016に供給される。合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含み、そして、好適には、0.05から1.1の範囲内の化学量数を有する。乾燥した新鮮なジメチルエーテルがカルボニル化反応器1016(図示せず)に供給され、ジメチルエーテル供給ライン1014を介して再循環ジメチルエーテルがカルボニル化反応器1016に供給され、このジメチルエーテル供給ラインは、カルボニル化反応器1016への入力前段において合成ガス供給ライン1012に合流する。カルボニル化反応器1016は、一つの触媒であって、ジエチルエーテルを酢酸メチルにするカルボニル化反応に活性な触媒、例としてモルデナイトゼオライト、適切には水素型のモルデナイト、を含む。ジメチルエーテルおよび合成ガスは、カルボニル化反応器1016の中で、250℃から350℃の範囲内のある温度および10から100barg(1000kPaから10,000kPa)の範囲内のある全圧において、酢酸メチルと水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を生成するために触媒と接触され、このカルボニル化反応生成物は、カルボニル化反応生成物ライン1018を介してカルボニル化反応器1016から取り出され、そして、例えば、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第1分離ユニット1020に移送される。分離ユニット1020では、カルボニル化反応生成物は冷却され、適切には40℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、酢酸メチル豊富含有液体流および少量の酢酸メチル、例として、0.1から5モル%の量の、酢酸メチルを含む合成ガス流がそこから回収される。酢酸メチル豊富含有液体流は、酢酸メチル液体ライン1022を介して分離ユニット1020から除去される。合成ガスは、第1合成ガスライン1024を介して第1分離ユニット1020から除去され、そして第1部分と第2部分に、例として適切なバルブ系によって、分割される。合成ガスの第1部分、適切にはその1から20モル%を含む、は、洗浄ユニット1032に供給される。合成ガスの第2部分、適切には、その80から99モル%を含む、は、第1合成ガス再循環ライン1030を介してカルボニル化反応器1016に再循環される。洗浄ユニット1032には、例えば、液体洗浄溶剤の対向流、適切には、メタノール、溶剤供給ライン1034を介して供給される、を含む対向流が備えられ、そして洗浄ユニット1032に移送される酢酸メチルを含む合成ガスは、そこで液体洗浄溶剤と酢酸メチルを除去するために接触される。吸収された酢酸メチルおよび溶剤に可溶な他の組成物、適切には、ジメチルエーテルおよび酢酸、を含む液体洗浄溶剤は、溶剤除去ライン1062を介して洗浄ユニット1032から除去され、そして、酢酸メチルが激減した洗浄された合成ガスが、メタノール合成反応器1038に供給される前に洗浄済み合成ガスライン1036を介して除去される。メタノール合成反応器1038は、メタノールの生産に活性を有する触媒、例えば、商業的な銅含有メタノール合成触媒、例として、Johnson Matthey picから入手可能なKatalcoTM触媒、を含む。第2の新鮮な合成ガスが第2の合成ガス供給ライン1066を介してメタノール合成反応器に供給される。第2の新鮮な合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含む。第2の新鮮な合成ガスおよびメタノール合成生成物から回収された再循環合成ガスは、それぞれ合成ガス供給ライン1066および第2の合成ガス再循環ライン1050を介して洗浄された合成ガスと混合される。混合された合成ガスは、一つ以上の熱交換器の中で所望のメタノール合成温度(図示せず)まで加熱され、そしてメタノール合成反応器1038に移送され、そこでメタノール合成条件下、例えば、230℃から275℃の範囲内のある温度と50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、メタノールと未転換合成ガスを含むメタノール合成生成物を生成するために触媒と接触される。メタノール合成生成物は、メタノール合成生成物ライン1040を介してメタノール合成反応1038から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第2分離ユニット1042に供給され、そこで冷却され、適切には、30℃から50℃まで、そしてメタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。メタノール豊富含有液体流は、メタノール液体ライン1044を介して第2分離ユニット1042から除去され、そして合成ガスは、第2合成ガスライン1046を介して第2分離ユニット1042から除去される。合成ガスは分割され、例として、適切なバルブ系により、第1部分、適切には、合成ガスの90から99%を含む、と合成ガスの1から10%を適切に含む第2部分に分けられる。合成ガスの第1部分は、第2合成ガス再循環ライン1050を介してメタノール合成反応器1038に再循環され、第2合成ガス再循環ラインは洗浄済み合成ガスライン1036に接続する。合成ガスの第2部分はパージ流として除去される。酢酸メチル液体ライン1022を介して第1分離ユニット1020から除去された酢酸メチル豊富含有液体流、およびメタノール液体ライン1044を介して第2分離ユニット1042から除去されたメタノール豊富含有液体流は混合され、任意には、気相状態に揮発させて、例として、一つの予備加熱器(図示せず)の中で、そして脱水−加水分解反応器1054に供給される。脱水−加水分解反応器1054は、メタノールの脱水反応に活性であり、かつ酢酸メチルの加水分解反応に活性である少なくとも一つの触媒、例として、ゼオライト、例えば、フェリエライトのような、を含む。水、適切には、脱水−加水分解反応器1054に供給される全供給物を基礎として0.1から50モル%の量、が、水供給ライン1064を介して脱水−加水分解反応器1054に供給される。メタノールおよび酢酸メチルは、脱水−加水分解反応器1054の中で、脱水−加水分解反応条件下、適切には、100℃から350℃の範囲内のある温度および大気圧あるいはそれより高い圧力において、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む脱水−加水分解反応生成物に転換され、この脱水−加水分解反応生成物は脱水−加水分解反応生成物ライン1056を介して脱水−加水分解反応器1054から取り出される。脱水−加水分解反応生成物は、例えば、一つ以上の蒸留塔を含み、適切には、25℃から200℃の範囲内のある温度と大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲内のある圧力において稼働する第3分離ユニット1058に、酢酸豊富含有流とジメチルエーテル豊富含有流を回収するために供給される。酢酸豊富含有流は、第3分離ユニット1058から、典型的には底流として、酢酸除去ライン1060を介して除去される。ジメチルエーテル豊富含有流は、第3分離ユニット1058から、典型的にはオーバーヘッド流として、ジメチルエーテル供給ライン1014を介して除去され、そしてカルボニル化反応器1016に再循環される。酢酸豊富含有流およびジメチルエーテル豊富含有流の双方はまた、可変量のメタノール、酢酸メチルおよび水を含むことができ、そして、これらは、任意には、流れから除去することができ、また脱水−加水分解反応器1054に再循環される(図示せず)。
図11は、メタノール合成のための合成ガスの洗浄、洗浄領域へのメタノール豊富含有流の供給およびカルボニル化反応と脱水−加水分解反応への再循環流の供給を取り入れた酢酸の製造のための本願発明による統合プロセスの実施形態を示すブロック図である。統合ユニット1110は、一つのカルボニル化反応器1116に接続された一つの合成ガス供給ライン1112および一つのジメチルエーテル供給ライン1114を含む。使用時には、新鮮な合成ガスが所望のカルボニル化反応温度まで加熱され、そして合成ガス供給ライン1112を介してカルボニル化反応器1116に供給される。合成ガスは、一酸化炭素、水素および二酸化炭素を含み、そして、好適には、0.9から1.3の範囲内の化学量数を有する。再循環ジメチルエーテルが、ジメチルエーテル供給ライン1114を介してカルボニル化反応器1116に供給され、ジメチルエーテル供給ラインはカルボニル化反応器1116への入力前段において合成ガス供給ライン1112に合流する。カルボニル化反応器1116は、一つの触媒であって、ジエチルエーテルを酢酸メチルにするカルボニル化反応に活性な触媒、例としてモルデナイトゼオライト、適切には水素型のモルデナイト、を含む。ジメチルエーテルおよび合成ガスは、カルボニル化反応器1116の中で、250℃から350℃の範囲内のある温度および10から100barg(1000kPaから10,000kPa)の範囲内のある全圧において、酢酸メチルと水素が豊富な合成ガスを含む気体状のカルボニル化反応生成物を生成するために触媒と接触され、このカルボニル化反応生成物は、カルボニル化反応生成物ライン1118を介してカルボニル化反応器1116から取り出され、そして、例えば、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第1分離ユニット1120に移送される。分離ユニット1120では、カルボニル化反応生成物は冷却され、適切には40℃から50℃の範囲内のある温度まで、そして、酢酸メチル豊富含有液体流および少量の、例として、0.1から5モル%の量の、酢酸メチルを含む合成ガス流がそこから回収される。酢酸メチル豊富含有液体流は、酢酸メチル液体ライン1122を介して分離ユニット1120から除去される。合成ガスは、第1合成ガスライン1124を介して第1分離ユニット1120から除去され、そして第1部分と第2部分に、例として適切なバルブ系によって、分割され、合成ガスの第1部分、適切にはその20から30%を含む、は、洗浄ユニット1128に供給され、合成ガスの第2部分、適切には、その70から80%を含む、は、第1合成ガス再循環ライン1126を介してカルボニル化反応器1116に再循環される。洗浄ユニット1128には、メタノール供給ライン1130を介して供給されるメタノールを含む液体洗浄溶剤の対向流が備えられ、そして洗浄ユニット1128に移送される酢酸メチルを含む合成ガスが、酢酸メチルと他のメタノールに可溶な組成物、例としてジメチルエーテルおよび酢酸、を除去するために、液体メタノールと接触される。吸収された酢酸メチルを含むメタノールは、メタノール除去ライン1132を介して洗浄ユニット1128から除去され、そして酢酸メチルが激減した洗浄済みの合成ガスが、洗浄済みガス供給ライン1134を介して除去される。洗浄された合成ガスは、第2の合成ガス再循環ライン1144を介して供給される再循環合成ガスと混合され、混合された供給物は、一つ以上の熱交換器で所望のメタノール合成温度(表示せず)まで加熱されて、そして、メタノール合成反応器1136に供給される。メタノール合成反応器1136は、メタノールの生産に活性を有する触媒、例えば、商業的な銅含有メタノール合成触媒、例として、Johnson Matthey picから入手可能なKatalcoTM触媒、を含む。混合された合成ガスは、メタノール合成反応器1136の中でメタノール合成条件下、例えば、210℃から270℃の範囲内のある温度と50から100barg(5000kPaから10,000kPa)の範囲内のある圧力において、メタノールと未転換合成ガスを含むメタノール合成生成物を生成するために触媒と接触される。メタノール合成生成物は、メタノール合成生成物ライン1138を介してメタノール合成反応1136から取り出され、そして、例として、一つの熱交換器および一つのノックアウトドラムを含む第2分離ユニット1140に供給され、そこで冷却され、適切には、30℃から50℃まで、そしてメタノール豊富含有液体流と合成ガス流を回収するために分離される。メタノール豊富含有液体流は、メタノール液体ライン1130を介して第2分離ユニット1140から回収され、そして合成ガスは、第2合成ガスライン1142を介して第2分離ユニット1140から回収される。第2分離ユニット1140から回収された合成ガスは分割され、例として、適切なバルブ系により、適切に合成ガスの90から99%を含む第1部分と合成ガスの1から10%を適切に含む第2部分とに分けられる。合成ガスの第1部分は、第2合成ガス再循環ライン1144を介してメタノール合成反応器1136に再循環され、第2合成ガス再循環ラインは洗浄済み合成ガスライン1134に接続し、そして合成ガスの第2部分はパージ流1142として排出される。メタノール液体ライン1130を介して第2分離ユニット1140から回収されたメタノール豊富含有液体流は、洗浄ユニット1128に再循環される。酢酸メチル液体ライン1122を介して第1分離ユニット1120から除去された酢酸メチル豊富含有液体流、およびメタノール除去ライン1132を介して洗浄ユニット1128から除去された吸収された酢酸メチルを含むメタノール溶剤流は混合され、任意には、気相状態に揮発させて、例として、一つの予備加熱器(図示せず)の中で、そして脱水−加水分解反応器1146に供給される。脱水−加水分解反応器1146は、メタノールの脱水反応に活性であり、かつ酢酸メチルの加水分解反応に活性な少なくとも一つの触媒、例として、ゼオライト、例えば、フェリエライトのような、を含む。メタノールおよび酢酸メチルは、脱水−加水分解反応器1146の中で、脱水−加水分解反応条件下、適切には、100℃から350℃の範囲内のある温度および大気圧あるいはそれより高い圧力において、ジメチルエーテルおよび酢酸を含む脱水−加水分解反応生成物に転換され、この脱水−加水分解反応生成物は脱水−加水分解反応生成物ライン1150を介して脱水−加水分解反応器1146から取り出される。脱水−加水分解反応生成物は、例えば、一つ以上の蒸留塔を含み、適切には、25℃から200℃の範囲内のある温度と大気圧から30barg(大気圧から3000kPa)の範囲内のある圧力において稼働する第3分離ユニット1152に、酢酸豊富含有流とジメチルエーテル豊富含有流を回収するために供給される。酢酸豊富含有流は、第3分離ユニット1152から、典型的には底流として、酢酸除去ライン1154を介して除去される。ジメチルエーテル豊富含有流は、第3分離ユニット1152から、典型的にはオーバーヘッド流として、ジメチルエーテル供給ライン1114を介して除去され、そしてカルボニル化反応器1116に再循環される。メタノール、酢酸メチルおよび水を含む流れが、分離ユニット1152から除去され、そしてプロセスライン1155を介して脱水−加水分解反応器1146に再循環される。主に水を含む流れは分離ユニット1152からパージ流1153として除去される。
ここで、本願発明を以下の非限定的な実施例を用いて説明する。
この実施例は、図1のプロセスフロー概要、ただし、この実施例の目的のため、水の流れ(流れ150)は脱水−加水分解反応器140に供給されないという点を除く、に従ってジメチルエーテルと一酸化炭素および水素を含む合成ガスから酢酸を生産する統合プロセスの実現可能性を実証するものである。ASPENTMソフトウェア第7.3版(Aspen Technology Inc.)を用いたシミュレーションでは、ジメチルエーテル流114および一酸化炭素および水素を含む合成ガス流112が、カルボニル化反応器116に供給され、そしてそこで、温度300℃、全圧力80bar(8000kPa)および3500h−1の全気体時空間速度(GHSV)の条件下でモルデナイトゼオライト触媒と接触され、500gl−1h−1酢酸等価の時空収量で気体状のカルボニル化反応生成物118を生成し、その反応生成物はカルボニル化反応器116から取り出され、そして気体/液体分離ユニット120に移送される。分離ユニット120では、カルボニル化反応生成物118は、酢酸メチルを豊富に含む液体生成物流122と気体状の合成ガス流124を形成するために冷却される。合成ガス流124は235℃まで加熱され、そしてメタノール合成反応器126に10000h−1のGHSVで移送され75 bar (7500kPa)の全圧力において、950gl−1h−1メタノールのSTYでメタノール合成生成物130を生産するためメタノール合成触媒に接触される。メタノール合成生成物130は、メタノール合成反応器126から取り出され、そして分離ユニット132に供給されて、そこからメタノール豊富含有液体流134と気体状の合成ガス流136が回収される。メタノール豊富含有流134は、酢酸メチル豊富含有生成物流122と混合され、そしてその混合物流は脱水−加水分解反応器に供給され、そしてそこで温度235℃、全圧力14bar(1400kPa)そして2000h−1のGHSVという条件の下で、530gl−1h−1酢酸のSTYで反応生成物を生産するためにゼオライト触媒と接触される。反応生成物流142は、脱水−加水分解反応器140から取り出され、そして分離ユニット144の中での蒸留により酢酸豊富含有流146とジメチルエーテル豊富含有流148を得るために分離される。
図1の様々なプロセス流に対する組成物データを下記の表1に掲げる。
この実施例は、図5のプロセスフロー概要、ただし、この実施例の目的のため、水の流れ(流れ548)は脱水−加水分解反応器546に供給されないという点を除く、に従ってジメチルエーテルと合成ガスから酢酸を生産する統合プロセスの実現可能性を実証するものである。ASPENTMソフトウェア第7.3版(Aspen Technology Inc.)を用いたシミュレーションでは、ジメチルエーテル流514および一酸化炭素、二酸化炭素および水素を含む合成ガス流512は、混合流としてカルボニル化反応器516に供給され、そしてそこで、温度300℃、全圧力80barg(8000kPa)および3500h−1の全気体時空間速度(GHSV)の条件下で、500gl−1h−1酢酸等価の時空収量で気体状のカルボニル化反応生成物518を生成するためにモルデナイトゼオライト触媒と接触され、その反応生成物はカルボニル化反応器516から取り出され、そして気体/液体分離ユニット520に移送される。分離ユニット520では、カルボニル化反応生成物518は冷却されて酢酸メチルを豊富に含む液体生成物流522と少量の酢酸メチルを含む気体状の合成ガス流524が形成される。合成ガス流524は、液体メタノール流530の対向流が供給された洗浄ユニット528に移送される。洗浄ユニット528では、合成ガス流524は液体メタノール流530で洗浄されて、酢酸メチルの量が減少した(洗浄済み合成ガス)合成ガス流534とメタノールおよび吸収された酢酸メチルを含む使用済みメタノール流532が提供される。洗浄済み合成ガス534は洗浄ユニット528から除去され、235℃まで加熱され、そしてメタノール合成反応器536に10000h−1のGHSVで移送され、そこで75bar(7500kPa)の全圧力においてメタノール合成触媒に接触され、950gl−1h−1メタノールのSTYでメタノール合成生成物538を生産する。メタノール合成生成物538は、メタノール合成反応器536から取り出され、そして分離ユニット540に供給されて、そこからメタノール豊富含有液体流530とパージ流として排出される気体状の合成ガス流542に分離される。メタノール豊富含有液体流530は洗浄ユニット528に供給される。メタノールおよび吸収された酢酸メチルを含む使用済みメタノール流532は、洗浄ユニット528から除去され、酢酸メチル豊富含有液体流522と混合されて、そしてその混合物流は脱水−加水分解反応器546に供給され、そしてそこで温度235℃、全圧力14bar(1400kPa)そして2000h−1のGHSVという条件の下でゼオライト触媒と接触され、530gl−1h−1酢酸のSTYで反応生成物を生産する。反応生成物流550は、脱水−加水分解反応器546から取り出され、そして分離ユニット552の中での蒸留により分離されて酢酸豊富含有生成物流554とジメチルエーテル豊富含有生成物流556が得られる。図5の様々のプロセス流に関する組成物データを下記の表2に掲げる。
実施例2を、この実施例3の目的のため、水の流れ(流れ548)を脱水−加水分解反応器546に導入したという点を除いて、繰り返した。図5の様々のプロセス流に関する組成物データを下記の表3に掲げる。
この実施例は、図11のプロセスフロー概要に従ってジメチルエーテルと合成ガスから酢酸を生産する統合プロセスの実現可能性を実証するものである。ASPENTMソフトウェア第7.3版(Aspen Technology Inc.)を用いたシミュレーションでは、一酸化炭素、二酸化炭素および水素、およびジメチルエーテルの再循環流1114を含む合成ガス流1112は、混合流としてカルボニル化反応器1116に供給され、そしてそこで、温度300℃、全圧力80bar(8000kPa)および3500h−1の全気体時空間速度(GHSV)の条件下でモルデナイトゼオライト触媒と接触され、500gl−1h−1酢酸等価の時空収量で気体状のカルボニル化反応生成物1118を生成し、その反応生成物1118はカルボニル化反応器1116から取り出され、そして気体/液体分離ユニット1120に移送される。分離ユニット1120では、カルボニル化反応生成物1118は冷却されて酢酸メチルを豊富に含む液体生成物流1122と酢酸メチルを少量含む気体状の合成ガス流1124が形成される。合成ガス流1124は分割されて、その一部が合成ガス流1126としてカルボニル化反応器1116に再循環され、合成ガス流1124の残りの部分は、液体メタノール流1130の対向流が提供された洗浄ユニット1128に移送される。洗浄ユニット1128では、合成ガス流1124は液体メタノール流1130で洗浄されて、酢酸メチルの量が減少した(洗浄された合成ガス)合成ガス流1134とメタノールおよび吸収された酢酸メチルを含む使用済みメタノール流1132が提供される。洗浄された合成ガス1134は洗浄ユニット1128から除去され、再循環合成ガス流1144と混合されて、235℃まで加熱され、そしてメタノール合成反応器1136に10000h−1のGHSVで移送され、そこで75bar(7500kPa)の全圧力においてメタノール合成触媒に接触され、950gl−1h−1メタノールのSTYでメタノール合成生成物1138を生産する。メタノール合成生成物1138は、メタノール合成反応器1136から取り出され、そして分離ユニット1140に供給されて、そこからメタノールを豊富に含む液体流1130と合成ガス流1144を含む気体状の合成ガス流が回収され、その一部がパージ流1142として排出され、また一部が再循環合成ガス流1144としてメタノール合成反応器1136に再循環される。メタノール豊富含有液体流1130は、洗浄ユニット1128に供給される。メタノールと吸収された酢酸メチルを含む使用済みメタノール流1132は、洗浄ユニット1128から除去され、そして酢酸メチル豊富含有液体流1122と混合されて、その混合流は脱水−加水分解反応器1146に供給され、そしてそこで温度235℃、全圧力14bar(1400kPa)および2000h−1のGHSVという条件の下でゼオライト触媒と接触され、530gl−1h−1酢酸のSTYで反応生成物を生産する。反応生成物流1150は、脱水−加水分解反応器1146から取り出され、そして分離ユニット1152の中での蒸留により分離されて酢酸豊富含有生成物流1154、とジメチルエーテル豊富含有生成物流1114、水豊富含有流1153およびメタノール、酢酸メチルおよび水を含む流れ1155が得られる。流れ1155は、脱水−加水分解反応器1146に再循環され、そしてジメチルエーテル豊富含有流1114はカルボニル化反応器ユニット1116に再循環される。図11の様々のプロセス流に関する組成物データを下記の表4に掲げる。
この実施例は、合成ガスからメタノールを合成する場合における酢酸メチルの効果について調べるものである。KatalcoTMメタノール触媒(Johnson Matthey pic)のパレットを粉砕し、そして125−160ミクロンのサイズ分画で篩にかけた。内径9mmのチューブ状反応器に、石英チップに載せて1:1v/vで希釈した触媒3mlを装填した。触媒床の長さは100mmであった。62モル%のH2、7モル%のCO、5モル%のCO2、21モル%のN2および5モル%のArを、全圧力75bar(7500kPa)および260℃の温度、さらに全気体時空間速度(GHSV)5000h−1(稼働1および3)あるいは全気体時空間速度(GHSV)200000h−1(稼働4および6)の条件下で反応器に供給した。実験は、稼働2および5について、62モル%のH2、7モル%のCO、5モル%のCO2、20モル%のN2および5モル%のArおよび1モル%の酢酸メチルの共供給物からなる組成を有する合成ガスを用いて繰り返した。各々の実験では、出口流の組成を分析するため、反応器からの出口流を二つのガスクロマトグラフ(GC)に移送した。これらGCは、3カラム式のVarian4900マイクロGC(分子篩い5A、Porapak(登録商標)QおよびCP−Wax−52)であり、各々のカラムには熱伝導度検出器および2カラム式のInterscienceトレースGC(CP Sil 5およびCP−Wax−52)が備えられ、また各々のカラムにはフレームイオン化検出器が備えられていた。下記の表5には、単位時間当たりの触媒の単位リットル当たりのメタノール生成物をグラムで表した時空間収率(STY)および各々の実験で達成されたメタノールに対する選択性(Sel)が与えられている。下記の表5中のデータは、合成ガスからのメタノールの生成が、酢酸メチルの存在によって悪影響を及ぼされるということを明確に実証している。