JP6161349B2 - 電線の導体電圧を測定するためのプローブを用いた低電圧測定装置 - Google Patents

電線の導体電圧を測定するためのプローブを用いた低電圧測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、プローブ(検出素子)を用いた電線導体に印加された電圧の測定に関し、更に特定すれば、交流電圧が印加される電線導体の電圧を直接接触することなく測定可能とする非接触型プローブを備える測定装置、および当該プローブに係るプローブ構造に関するものである。
電線に印加される電圧を測定するための従来技術には、電線の電線絶縁被覆を破るなどして電線導体を露出させ、この電線導体に計測器を配線し、すなわち、プローブを電線導体に直接接触させることで電線導体との導通を得るとする接触型の電圧測定技術がある。
他方、従来技術にはまた、電線導体と計測器の配線を直接接続することなく非接触で測定可能とする非接触型プローブを用いた電圧測定技術も存在する(特許文献1)。このような非接触式電圧測定技術は、一般的に、電線導体の近傍にプローブ電極を配置し、プローブ電極と電線導体との間に容量結合を形成することにより、プローブに誘起される電位から導体電位を求めることができるとするものである。
このような非接触式電圧測定技術を採用した場合、接触式の電圧測定技術が抱えていた次の課題を解決できる点で有利なものとなる。すなわち、
1)電線導体と導通を得るために電線被覆を破壊する必要がある点、
2)動作中の機器の配線に対し、新たに接触式での測定を適用することができない点、
3)計測器が故障し、配線への通電を停止する必要がある場合に、プローブの取り外しが容易ではない点、および
4)計測用配線の短絡故障が原因で、測定対象の電線にも被害が及んでしまう点、
である。
さらには、非接触式電圧測定技術の場合、電線被覆を破壊することなく、例えば被覆にプローブを近接させるだけで測定可能なことから、安全性の面でも非常に優れている。
図1は、このような従来技術の非接触型プローブを用いた電線電圧測定についての概略図である。図示のように、測定対象である電線導体11および電線被覆12からなる電線10の近傍にプローブ15が非接触で配置される。これにより、電線導体11とプローブ15が容量結合される(キャパシタCx)。ここでは、電線導体11とプローブ15間の容量結合を一定値に保つために、電線10に対しプローブ15を強固に固定する必要がある。また、電線10と非接触型プローブ15間のエア・ギャップの状態も測定に大きく影響することになる。この点、このような非接触型プローブ15を用いる場合には、異物等の対策を施す必要がある。即ち、従来技術の非接触式電圧測定では、プローブを固定して設置するのに多くの手間を必要としていた。
これらの課題に対処するための先行技術では、例えば、加熱可能な型を用意し、電線被覆を熱変形させることにより、電線導体11とプローブ15間のキャパシタンスを一定値に保ち、且つ、異物の混入を防ぐこと等の特別な対策が必要であった(特許文献2)。
さらに、電線導体11に対してプローブ15の位置関係を固定するための先行技術として、クランプ型の検出プローブ構造についても考案されてきた(特許文献3)。特許文献3では、例えば、検出プローブをクランプ型にして、絶縁被覆された電線を挟み込むことにより固定し、電線との間に容量結合を形成している。加えて、特許文献4においても、電線の電線被覆の周囲を導電体で覆うことにより、導電線と導電体によるコンデンサを形成している。このようにプローブを形成することにより、手間をかけることなくプローブを固定して非接触式電圧測定を実施することが可能となった。
一方で、仮にこのようにして非接触式電圧測定を実施したとしても、測定対象である電線導体に印加された電圧について、図1のような電線導体11とプローブ15間のキャパシタンスCxの幾何学的形状に基づき算出を行うことは尚も困難であり、電圧測定には特別な測定回路を必要としていた。例えば、特許文献4では、入力部1は結合容量12に対し、2つのコンデンサ13,14が結合され、スイッチ15の切り替え動作を伴うように構成することが必要であり、また、特許文献5では、係数求数手段20を設けて測定時に接続して静電容量を調整するように構成することが必要である。
特開1998−339754号公報 特開2001−221813号公報 2003−28900号公報 特開2002−55126号公報
本発明は、このような従来技術が有する課題を解決すべくなされたものであり、交流電圧が印加される電線導体の低電圧測定について有利なプローブを用いる。特に、上記特許文献3,4に開示されるプローブは導電線と導電体に1つのキャパシタのみを形成しているのに対し、本発明の測定装置が備えるプローブは2つの導体板およびこれらの間の誘電体を備え、プローブ単体で1つのキャパシタを形成する。そして、プローブを電線の周囲に設置することで、電線とプローブにより構成される特性が異なる2つのコンデンサが直列的に配置される。
特に本発明の測定装置が備えるこのようなプローブは、構造上、電線への設置の点で有利なものであり、電線とプローブの位置関係を容易に固定可能とするのみならず、測定対象の電線電圧の測定を容易な計算式で実施することを可能とする。さらに、これにより、定常的な電圧計測を可能にする。
上記課題を達成するために、本発明は電線の導体電圧を測定するためのプローブを用いた低電圧測定装置を提供する。
本発明の一実施形態による測定装置は、当該プローブと、電位差センサと、電位差センサに結合される導体電圧算出手段とを備えており、電線が電線導体とその周りの電線被覆からなり、プローブが、内側導体板と、外側導体板と、内側導体板および外側導体板間のプローブ誘電体とを備え、内側導体板および外側導体板にそれぞれ接続される一対の端子を通じて電位差センサに接続可能に構成される。そして、当該測定装置において、プローブが電線の一部を覆うように内側導体板を電線被覆の表面の周囲の少なくとも一部に密着して構造されたときに、直列に配置される第1のキャパシタおよび第2のキャパシタを形成し、第1キャパシタが、電線導体、内側導体板、およびその間の電線被覆により形成され、ならびに、第2キャパシタが、内側導体板、外側導体板、およびその間のプローブ誘電体により形成される。
本発明の測定装置は、導体電圧算出手段において、導体電圧が、電位差センサを用いて測定される第2キャパシタにおける電位差と電線およびプローブの構造パラメータとの値のみに基づいて算出可能とすることを特徴とする。
また、本発明の実施形態による測定装置において、電線が円柱形状であり、かつ、プローブが電線と同軸状の円筒形状または部分円筒形状となるように形成される。そして、上記電線の構造パラメータが、電線導体径、電線被覆径および電線被覆誘電率を、ならびに、上記プローブの構造パラメータが、プローブ外径およびプローブ誘電率を含むことを特徴とする。さらに、本発明の実施形態による測定装置において、上記プローブが、可撓性を有しており、電線被覆の周囲の全部または一部に巻き付けて固定するように形成されることを特徴とする。
本発明の他の実施形態による測定装置では、1本の電線に対し、この電線に沿って特性が異なる2つの上記プローブが直列的に配置されるように構成される。そして、導体電圧算出手段において、プローブに電位差センサをそれぞれ接続して測定される各プローブの第2キャパシタにおける電位差と各プローブの構造パラメータとの値に基づいて電線の導体電圧が算出されることを特徴とする。
本発明の更なる他の実施形態による測定装置では、測定対象の1本の電力線と電力線に併設された低圧配線中の1本の接地線との2本の電線のそれぞれに上記プローブが配置されるように構成される。電力線に配置されたプローブの外側導体板と接地線に配置されたプローブの外側導体板とが相互に電気的に接続され、接地線におけるプローブの外側導体板を接地電位として作用させ、電力線におけるプローブの内側導体板に接続された端子と接地線におけるプローブの内側導体板に接続された端子とが電位差センサに接続される。そして、導体電圧算出手段において、電力線におけるプローブの内側導体板と接地線におけるプローブの内側導体板との間で形成されるキャパシタに印加される、電位差センサを用いて測定される電位差の値に基づいて、電力線の導体電圧が算出されることを特徴とする。
本発明の更なる他の実施形態による測定装置では、測定対象の2本の第1および第2の電力線のそれぞれに上記プローブが配置され、低圧配線中の1本の接地線が、第1および第2の電力線の間に、導体板が接地線の電線被覆の一部に密着するように配置される。第1電力線のプローブの外側導体板、接地線の電線被覆、および第2電力線のプローブの外側導体板が相互に電気的に接続されている。そして、電位差センサを用いて測定される、
第1電力線のプローブの第2キャパシタにおける電位差、第1電力線のプローブの内側導体および第2電力線のプローブの内側導体との間における電位差、ならびに第2電力線のプローブの第2キャパシタにおける電位差と、第1電力線、第2電力線およびこれらのプローブ、並びに接地線に係る構造パラメータから算出される、第1電力線のプローブの第1および第2のキャパシタのキャパシタンス、第2電力線のプローブの第1および第2のキャパシタのキャパシタンス、ならびに接地線における電線導体、電線被覆の導体板およびその間の電線被覆によって形成されるキャパシタのキャパシタンスと、に部分的に基づいて、導体電圧算出手段において、第1および第2の電力線の導体電圧がそれぞれ算出可能であることを特徴とする。
さらに、本発明の電線の導体電圧を測定するためのプローブ構造を提供する。このプローブ構造は、電線が電線導体とその周りの電線被覆からなり、プローブが、内側導体板と、外側導体板と、該内側導体板および外側導体板間のプローブ誘電体とを備え、内側導体板および外側導体板にそれぞれ接続される一対の端子を通じて電位差センサに接続可能に構成される。プローブが電線の一部を覆うように内側導体板を電線被覆の表面の周囲の少なくとも一部に密着して構造されたときに、直列に配置される第1のキャパシタおよび第2のキャパシタを形成し、第1キャパシタが、電線導体、内側導体板、およびその間の電線被覆により形成され、ならびに、第2キャパシタが、内側導体板、外側導体板、およびその間のプローブ誘電体により形成され、プローブが可撓性を有しており、電線被覆の周囲の全部または一部に巻き付けて固定するように形成されることを特徴とする。
図1は、従来技術の非接触型プローブを用いた電線電圧測定についての概略図である。 図2は、本発明の各実施形態による円筒形状のプローブ構造を示している。 図3は、本発明の各実施形態によるプローブ構造について、電線への固定方法を示す概略図である。 図4は、本発明の各実施形態によるプローブ構造の形状および電線への装着例について示している。 図5は、本発明の各実施形態によるプローブ構造の変形例について示している。 図6は、本発明の第1実施形態によるプローブ構造を用いて構成した測定装置(測定回路)を示している。 図7は、本発明の第2実施形態によるプローブ構造を用いて構成した測定装置を示している。 図8は、本発明の第3実施形態によるプローブ構造を用いて構成した測定装置を示している。 図9は、本発明の第4実施形態によるプローブ構造を用いて構成した測定装置を示している。 図10は、本発明の第4実施形態による測定回路の等価回路を示している。
本発明の実施形態による電線導体電圧を測定するためのプローブを用いた測定装置について、以下に図2以降を参照しながら詳細に説明する。
まず、図2〜5を参照して、プローブにより形成される本発明のプローブ構造について、いくつかの変形例と共に説明する。
このようなプローブ構造の一例を図2に示す。測定対象の電線は円柱形状を有しており、プローブは、電線の周りに同軸状の円筒形状となるように密着して配置されプローブ構造が形成される。図2(a)は、このようなプローブ構造の斜視図であり、図2(b)はその平面図、図2(c)はその等価回路を示している。
図2(a)のとおり、電線10は円柱形状の電線導体11の周囲を電線被覆12により被覆している。また、プローブ20は、内側導体板21、外側導体板22、およびこれら内側導体板および外側導体板の間のプローブ誘電体25を備え、プローブ20それ自身でキャパシタ(C2)を形成するように構成されている。さらに、一対の測定端子23,24が内側導体板21および外側導体板22に接続される。この測定端子は、後述する電位差センサに接続される。
当該プローブ20は、電線の一部(長さLの電線部分)の周囲を覆うように内側導体板21を電線被覆表面12に密着して配置される。このように構造すると、当該プローブ20と電線導体10との間に直列に接続された2つのキャパシタC1およびキャパシタC2を形成して電線およびプローブ間の電圧を分圧する。
これらキャパシタについてより詳細に説明する。キャパシタC1は、電線導体、プローブの内側導体板、およびその間の電線被覆(絶縁被覆)から形成され、また、キャパシタC2は、プローブの内側導体板、プローブの外側導体板、およびその間のプローブ誘電体から形成される。そして、このようにして設けた2つのキャパシタは、直列的に接続されることになるため、これらキャパシタC1,C2に関する等価回路は図2(c)のようになる。
このようなプローブ構造とすることにより、プローブを電線に固定させることができ、また、プローブと電線の幾何学的な構造も固定的なものとすることができる。これは、定常的な導体低電圧計測を可能とする点で有利である。
また、このプローブ構造により、次のような測定対象の導体電圧の算出を可能とする。ここで、図2(b)に示すように、電線およびプローブの構造パラメータについて、電線の導体径a、電線の被覆径b、プローブの外径c、電線被覆の誘電率ε、プローブ構造体の誘電率εとし、またプローブ長Lとする。
キャパシタC1,C2は同軸円筒状のキャパシタとして形成されることから、これらのキャパシタンスC,Cは、
となる。また、これらは直列接続されることから、電線・プローブ間のキャパシタンスは、1/C=1/C+1/Cを用いて計算される。すなわち、これらキャパシタンスは、電線およびプローブについての構造パラメータに基づいて算出されることが分かる。
そして、キャパシタC2に印加される電位差V、測定対象の導体電圧Vとすると、導体電圧Vは、V/V=C/Cに上記を代入して整理することで、
として計算でき、測定対象の導体電圧Vは、この数式を用いることで算出可能となる。
上記数式(2)によれば、導体電圧Vは、キャパシタC2における電位差V(一対の端子23,24を介して接続された電位差センサを用いて測定される)と電線およびプローブについての構造パラメータとの値のみに基づいて算出可能となる。即ち、導体電圧Vの算出に際し数式(1)のようなキャパシタンスの算出が不要となる点で有利である。
次に、図3および図4を用いて、本発明の実施形態による上記プローブの形成および配置について説明する。図3は、電線にプローブを巻き付けて接着により固定する方法を示す概略図である。導体板(導体簿膜)21,22および厚さdの誘電体25からなるプローブ20は可撓性を有するように形成され、図3に示すように、プローブ20の内側導体板21を電線被覆12表面に密着させながら周囲の全部または一部に巻き付けるように固定して、プローブ20が電線10を覆うように配置することができる。
このようにして、図4に示すようなプローブ構造が、電線被覆表面上のプローブの内側導体板21、プローブの外側導体板22、およびこれらの間の誘電体25からなるキャパシタを形成する。なお、図4(a)は、円筒形状のプローブ構造を示しており、他方、図4(b)は、部分円筒形状のプローブ構造を示している。本発明の実施形態では、プローブ端子(23,24)に後述の電位差センサを配線して測定を行う。電位差センサの一例のポッケルス・センサは、電気回路を用いないため高インピーダンスなものとなる。この点、ポッケルス・センサとの接続が測定対象に与える影響は少ないものと考えられることから、図4(a)や(b)に示すような形状にすることが可能である。また、実際には、図4(a)に示すプローブ構造はクランプ型として、図4(b)に示すプローブ構造は嵌め込み型として製造および装着固定される。この他、電線被覆上に予め導体装着部分を設けておく等の対応によりプローブ形成の効率化を図ることも可能である。
次に、図5を参照して本発明の実施形態によるプローブ構造の変形例について説明する。
図5(a)では、電線導体51aが平型形状であり、その周囲を電線被覆52aにより被覆した平型平板型の電線に対し、プローブが電線の一部を覆うように内側導体板53aを電線被覆52aの表面に密着して配置され、プローブと電線導体との間に直列に接続された2つのキャパシタC1,C2を形成してプローブ・電線間のキャパシタンスを分圧するように形成される。ここでのプローブ構造は、図示のとおり平行平板構造であり、キャパシタC1およびキャパシタC2は、共に平行平板型キャパシタとして形成される。
平行平板型キャパシタの場合、電線およびプローブの構造パラメータについて、電線導体とプローブの内側導体板の距離d、プローブの内側導体板とプローブの外側導体板の距離d、電線被覆の誘電率ε、プローブ構造体の誘電率εとし、またプローブ平板の面積Sとすると、キャパシタC1,C2のキャパシタンスC,Cは、
となる。また、キャパシタC1,C2は、上記同軸円筒形状キャパシタと同様に直列接続されることから、キャパシタC2に印加される電位差V、測定対象の導体電圧Vとすると、導体電圧Vは、
と計算でき、測定対象の導体電圧Vは、この数式を用いて算出可能となる。
上記数式(4)によれば、測定対象の導体電圧Vは、キャパシタC2の電位差V(一対の端子23,24を介して接続された電位差センサを用いて測定される)と、電線およびプローブについての構造パラメータの値のみに基づいて算出可能となる。即ち、導体電圧Vの算出に際し上記数式(3)のようなキャパシタンスの算出がやはり不要となる。
他方、図5(b)では、電線は平型形状の電線導体51bのみを有し、絶縁被覆を有さない。この場合のプローブ構造は、平行平板構造として形成され、内側導体板53b、外側導体板54b、内側導体板53b上のプローブ誘電体52b、ならびに内側導体板および外側導体板の間のプローブ誘電体55bを備える。そして、プローブが、電線導体の一部を覆うようにプローブ誘電体52bを電線導体表面に密着して配置されて、プローブ構造が形成される。
このようなプローブ構造とすることにより、プローブと電線導体との間に直列に接続されたキャパシタC1およびキャパシタC2を形成してプローブ・電線間のキャパシタンスを分圧するように構成される。この例では、電線導体が平型形状であり、当該プローブが平行平板構造として形成されることから、第1キャパシタおよび第2キャパシタが、共に平行平板型キャパシタとして形成される。すなわち、キャパシタC1が、電線導体51b、内側導体板53b、およびその間のプローブ誘電体52bから形成され、ならびに、キャパシタC2が、内側導体板53b、外側導体板54b、およびその間のプローブ誘電体55bから形成される。
図5(b)の場合も、図5(a)と同様にして測定対象の導体電圧Vが算出される。すなわち、上記数式(4)により、キャパシタC2における電位差Vと電線およびプローブについての構造パラメータとの値のみに基づいて算出可能となり、やはり、上記数式(3)のようなキャパシタンスの算出は不要となる。
このように本発明の実施形態によるプローブ構造は、電線の一部を覆うように電線被覆の表面の少なくとも一部に密着して構造できるものであればよく、任意の電線の形状に応じて柔軟にプローブの形状を採用することができる。
上述したようないずれのプローブの形状を採用してプローブ構造を形成しても、従来の非接触式の電位差計測で必要とされた電線とプローブの位置関係の固定が容易になる。また、このようなプローブは電線に固定されるため定常的な計測を可能にする。さらに、プローブ単体で1つのキャパシタを形成し、電線とプローブにより構成される特性が異なる2つのコンデンサを直列的に配置することによって、電位の算出に必要な電線・プローブ間のキャパシタンスを幾何学的形状から求めることが可能になるのみならず、電線の導体径、電線の被覆径、プローブの外径、電線導体とプローブの内側導体板の距離、プローブの内側導体板とプローブの外側導体板の距離を含む、電線およびプローブについての構造パラメータを用いて、キャパシタC2における電位差V(一対の端子23,24を介して接続された電位差センサを用いて測定される)に基づき簡単に測定対象の導体電力の算出を実施できる。
そこで、以下の実施形態1〜4では、例えば図2に示した円筒形状のプローブ20を1つ以上用いてその端子23,24を通じて当該プローブと電位差センサを接続し、また、導体電圧算出手段を用いて実際に低電圧測定を行うための測定装置(測定回路)について説明する。
第1の実施形態
図6は、図2に示した円筒形状のプローブを1つ用いて構成した測定装置に関する本発明の第1実施形態を示している。なお、以下では、本プローブの構造により形成されるキャパシタC2をピックアップ・キャパシタ、または単にピックアップと称することもある。
第1実施形態では、図6(a)のとおり、プローブの内側導体21および外側導体22が多重反射型ポッケルス電位差センサ60に接続され、更に、プローブの外側導体22を接地電位としている。当該多重反射型ポッケルス電位差センサ60とは、電気光学効果(ポッケルス効果)を利用した光電位差センサのことであり、高インピーダンス測定器の一種である。
以下に、当該多重反射型ポッケルス電位差センサ60の構成について簡単に説明するが、本発明の測定装置が備える電位差センサは、高インピーダンス測定器であれば如何なるものでもよく、光電位差センサや多重反射型ポッケルス電位差センサ60に限定されないことは言うまでもない。
多重反射型ポッケルス電位差センサ60は、対向する第1および第2の表面を有する光学結晶であって第1および第2の表面が光学研磨された光学結晶、光学結晶の第1または第2の表面の端部の近傍に配置される、この表面上に密着被覆される第1および第2の透明電極であって計測光が入射および出射される透明電極、ならびに、光学結晶の第1および第2の表面のうち第1および第2の透明電極以外の表面上に密着被覆される、反射ミラーとして機能する第1および第2の金属電極であって、電位差を計測すべき一対の被測定端子に接続される金属電極を備えており、第2透明電極から出射される計測光の強度に基づいて、一対の被測定端子の間の電位差を算出可能とすることを特徴とするものである。また、上記電位差センサは縦型変調方式の配置とすることができる。すなわち、出射される光の強度が、対向する第1および第2の表面に対する垂直方向の電界成分に基づいて変化する。本発明の実施形態では、例えばこのような多重反射型ポッケルス電位差センサ60を採用すると、電磁無誘導性、電気絶縁性、広帯域性などの光測定の特徴を生かした測定を、素子サイズを大きくすることなく低電位差領域で実施をすることができる点で有利である。
本実施形態では、図6(a)のとおり、更に、この多重反射型ポッケルス・センサ60から出射された計測光を光信号から電気信号に変換するためのO/E(光信号−電気信号)変換器61、発振器63、およびロック・イン・アンプ62を備える。発振器63は、ポッケルス・センサ60とロック・イン・アンプ57に結合され、電位差センサ60に入射した計測光を変調すると共に、ロック・イン・アンプ62に参照信号を供給するように構成される。ロック・イン・アップ62は、このように変調および出射され、O/E(光信号−電気信号)変換器61で電気信号に変換された計測光について、この発振器63から供給される参照信号を用いて同期検波を行うように構成される。ロック・イン・アンプ62の出力は、導体電圧算出手段65に入力される。
図6(b)は、図6(a)で示した本実施形態の測定装置の等価回路を示している。図示のとおり、本実施形態における測定は、測定対象電線・プローブ間の電位差をキャパシタ分圧して外部に取り出し、ピックアップ・キャパシタにおける電位差を測定する。これは、上記数式(2)を用いて説明した原理に基づくものである。導体電圧算出手段65を用いて測定電圧を算出する。なお、測定を行う際には、ピックアップ・キャパシタC2のキャパシタンスをポッケルス・センサC3のそれよりも大きく設定する必要がある。
第1実施形態におけるこのような測定回路を用いて、電線構造およびプローブ構造の材質が測定に与える影響について評価する。ここでは、構造パラメータについて、例えば、電線の導体径a=5mm、電線の被覆径b=8mm、プローブの外径c=12mm、電線被覆の誘電率ε=3、プローブ構造体の誘電率ε=3とする。
上記数式(2)に基づけば、次のように評価できる。すなわち、
1)プローブ誘電体の厚さが変化した場合(すなわち、c/bが変化した場合)には、測定電圧Vの値の変化量は、c/bの変化量の約1/20となる。このことは、プローブ誘電体の厚さが1mm変化したとしても測定電圧Vの値は0.3%程度しか変化しないことを示す。即ち、プローブ誘電体の厚さの変化の測定電圧Vへの影響は小さいものと考えられる。
2)また、電線の構造(導体径と被覆径のb/a)が変化した場合には、測定値Vの変化量は、b/aの変化量の約1/3となる。そして、電線の主要構造はJIS規格に定められていることから、電線設計による変化は小さいものと考えられる。実際に、電線構造の変化要因のうち主要なものである気温変化による体積変動の変化の影響について検討しても、銅の線膨張係数は、16.6×10(−6)(mm/mm度)であることから気温差40度での体積膨張は0.07%程度であり、やはり測定電圧Vへの影響は小さい。
3)さらに、誘電比率が変化した場合(すなわち、ε/εが変化した場合)には、測定値Vの変化量は、ε/εの変化量の約1/4である。このことが測定電圧Vに与える影響はやはり大きくはないものと想定される。
このように、本発明の円筒形状のプローブ構造を1つ用いて構成した第1実施形態の測定装置は、電線構造およびプローブ構造の材質がもたらす影響を考慮しても、測定対象の電線導体電圧を適切に測定できるという点で有利である。
しかしながら、上記3)のε/εが変化した場合について、電線被覆の誘電率εはJIS規格による標準化がなされておらず、これは電線メーカに固有の値となる点に注意が必要である。一般的に仕様値が不明であることも多く容易に明らかにできるものでもない。上記数式(2)のとおり、本実施形態の測定方法は、εの影響を少なからず受けるものであるから、本発明の円筒形状のプローブ構造を用いて、かつ、εの値に依存することのない測定回路の構成についても検討すべきである。
第2の実施形態
このような観点から、本発明の第2実施形態では、電線被覆の誘電率εの値に依存することなく測定対象の電線導体電圧を適切に測定するための測定装置を構成する。
図7は、図2に示した本発明のプローブ構造を用いて構成した測定装置について示している。図示のとおり、測定装置は、図2に示した本発明の円筒形状のプローブを2つ用いて構成される。2つのプローブ71,72は、それぞれ特性(特に誘電率)が異なるものを用意し、1本の電線上に当該電線に沿って直列的に配置される。2つのピックアップ・キャパシタは、それぞれ電位差センサに接続され電位差が測定される。
なお、第2実施形態の測定装置が備える多重反射型ポッケルス電位差センサ、O/E(光信号−電気信号)変換器、発振器、およびロック・イン・アンプは、第1実施形態のものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
電線被覆の誘電率ε、2つのピックアップ71,72の誘電率ε21,ε22、ピックアップ71,72について測定される各電圧VAB(1),VAB(2)として、以下に、測定対象の電線導体電圧Vaの算出式について説明する。上記数式(2)に基づけば、ピックアップ71,72の各電圧VAB(1),VAB(2)は次の数式で表すことができる。
上記2つの式は、Vaおよびεを未知とする連立方程式と考えることができるので、これを解くことにより、電線導体電圧Vaについて、
と計算でき、電線導体電圧Vaは上記数式を用いて算出可能となることが分かる。なお、この算出は、導体電圧算出手段75で行う。
この数式(6)からも明らかなように、本実施形態の測定装置を用いた測定方法では、電線被覆の誘電率εをはじめとした電線の構造パラメータを用いることなく、各ピックアップに印加された電圧とこれらの構造パラメータとの値に基づいて電線導体電圧Vaが算出可能である。
また、上記数式(5)の連立方程式を解くことにより、電線被覆の誘電率εについても、
と計算できるから、上記数式(7)を用いてプローブ接地時にεの値を算出し、この値を用いて1つのプローブによる上述した数式(2)から電線導体電圧Vaの値を算出することも可能である。
第3の実施形態
図8は、図2に示した本発明のプローブ構造を用いて構成した測定装置の第3実施形態を示している。第3実施形態では、一般的に、プローブ構造が電力量計として採用され、電力量計における低電圧測定に用いられることを考慮している。すなわち、本実施形態の測定装置は、本発明のプローブ構造を、電力量計に通常配置されている接地線を利用しながら適用するものである。
上記第1実施形態のプローブ構造ではプローブの外側導体を接地電位とする必要があったのに対し、本実施形態のプローブ構造ではこのような接地線を利用することにより、測定回路内に専用接地線を別途設ける必要がなくなるという利点を有する。
図8(a)に示すとおり、図2に示した本発明の円筒形状のプローブ82,83が、1本の電力線80(powered line)および低圧配線中の1本の接地線81(grounded line)の双方に設置されている。そして、電力線に配置されたプローブの外側導体板と接地線に配置されたプローブの外側導体板とが相互に接続され、また、接地線の内側導体板を接地電位として作用させている。
なお、本実施形態で用いる測定装置が備える多重反射型ポッケルス電位差センサ、O/E(光信号−電気信号)変換器、発振器、およびロック・イン・アンプは、第1実施形態のものと同様であるため、説明は省略する。
図8(b)は、本実施形態の測定回路の等価回路を示している。この等価回路からも分かるように、測定対象の電力線の導体電圧Vは、電力線に配置されたプローブの内側導体板と接地線に配置されたプローブの内側導体板との間で形成されるキャパシタに印加され、多重反射型ポッケルス電位差センサで測定される電位差に基づいて算出可能となる。具体的には、上記数式(2)と同様の計算式で算出することができる。
すなわち、図8(b)に示した直列回路の3つのコンデンサの合成容量Cは、次のように表わすことができる。
ここで、電圧Vが印加されている合成容量Cに蓄えられる電荷量はQ=C×Vで計算され、かつ、コンデンサC/2の両端の電位差は、V=Q/C/2で計算されることから、これらをまとめて整理すると、上記数式(2)と同じ数式が導き出される。
なお、この算出は、導体電圧算出手段85で行う。
第4の実施形態
第4の実施形態は、更に、図2で説明したプローブ構造を単相三線式の電力量計に適用した場合の測定装置である。上記第3実施形態同様、測定装置に専用接地線を別途設ける必要がない点で有利である。
図9および図10は、図2に示した本発明のプローブ構造を用いて構成した測定装置に関する第4実施形態を示している。図9(a)に第4実施形態による測定装置の構成を示す。図示のとおり、2本の測定対象の電力線90,91のそれぞれに本発明の円筒形状のプローブ93,94が配置されている。
また、低圧配線中の1本の接地線92が、これら2本の電力線90,91の間に配置さており、プローブ93の外側導体板、接地線92の電線被覆に密着して配置された導体板95、およびプローブ91の外側導体板が相互に電気的に接続されている。なお、この接地線92は、電力量計に通常配置される接地線を利用したものであり、本測定のために特別に専用の接地線を設けていない点に留意すべきである。
図9(b)は、本実施形態の図9(a)に示した本発明のプローブ構造を用いた測定装置に関する平面図である。電位差V,V’,Vは、例えば第1実施形態で説明した多重反射型ポッケルス電位差センサを用いて測定するのがよいがこれに限定されない。本実施形態では、これら測定される電位差V,V’,Vの値に基づいて測定対象の電力線90,91の電圧V,V’を算出可能とする。
図10(a)〜(c)は、本実施形態による測定装置の等価回路を示している。
図10(a)のC1A,C1BおよびC1Nは、それぞれ電線被覆にしたがって形成されるキャパシタのキャパシタンスを示しており、またCは、プローブの内側導体板、プローブの外側導体板、およびその間のプローブ誘電体から形成されるキャパシタのキャパシタンスを示している。
図10(b)は、図10(a)に示される点Pを中心としたY結線の等価回路を示している。この構成から、キャパシタンスC3AおよびC3Bは、次の式で計算される。
また、図10(c)は電力線を含むY−Y結線の等価回路を示している。点Pにおける電位Vは、図10(c)における電源側中性点Nと負荷側中間点Pの間の電位差VNN’を考慮すると、次のように表わすことができる。
はV−Vpを容量C1AとCで分圧した値であり、また、V’は、−V’-Vを容量C1BとCで分圧した値となることから、すなわち、
のようにまとめることができる。
さらに、V=V−V2’の関係から、Vを計算および整理してVおよびV’についてまとめ直すと次のような計算式になる。
上記数式(8)からも分かるように、V,V’およびVの係数はいずれも各測定素子のキャパシタンスのみで構成されており、これらキャパシタンスは、構造パラメータに基づくものである。すなわち、これらは幾何学的形状から一意に計算可能である。
したがって、測定対象の電線電圧VおよびV’は、測定した電位差V,V’およびVの値ら決定することができる。
さらに、測定対象の各電線90,91の構造が等しく単位長さ当たりのキャパシタンスが等しいと仮定すると、以下の関係が成り立つ。
上記数式を用いて数式(8)のVおよびV’を再度整理し直すと、最終的に以下のように整理できる。
再び図9(b)を参照すると、V=V−V2’であるから、V’をVとVの値から計算することも可能であることが分かる。これは、数式(8)や数式(9)以外にもV’を算出できることを意味している。すなわち、このように複数の方法から得られる値を比較することを通じて、V’の算出値の精度向上を図ることが可能になる。
産業上の利用分野
本発明の実施形態による低電圧測定装置に用いられるプローブの特徴は、プローブが2つの導体板およびこれらの間の誘電体を備えており、プローブ単体で1つのキャパシタC2を形成し、このようなプローブを電線の周囲に設置することで、電線の周囲に2つのキャパシタC1,C2を直列に配置する構造を持つ点である。特に、電線を対象とすることで、キャパシタC1の誘電体は電線被覆そのものとなる点が利用できる。このようにして構成されるプローブは、電線外側表面に固定することができるので、既に配線が終了し使用中の電力線に対しても停電や被覆除去を行うことなくプローブを設置し電圧計測を行うことが可能となる。さらには、定常的な観察も容易に実施可能である。このことから、本発明の測定装置は、家庭用電圧に対する低電圧測定装置として有効なものと言える。
より具体的には、本発明の実施形態による測定装置に用いられるプローブ構造は、クランプ型のCT素子やホール素子と併用して非接触の電力量計を構成できる。これにより既存の配線を切断、破壊等をすることなく、また、通電を停止することなく着脱可能な電力量計を構成ことができるようになる。さらに、設置時の電気工事に伴う工事者の電気工事士資格も必要ではなくなり、短期間の計測や電力量モニタ箇所の増設に対応可能なものとなる。
また、このような測定装置を用いて、非接触で電流、電圧および位相を測定することができるコンパクトな非接触ハンディ電気量測定装置を構成することができる。
さらに、周波数特性の良い高インピーダンスの測定器を用いて測定することにより、非接触でのPLC通信信号の検出も可能になる。特に、危険エリアでの電気量測定装置に応用することができ、採掘現場や危険物貯蔵所での計測装置(光ファイバを使用し電気回路の要らないセンサとする)を構成でき、高圧電線下や変電所周辺の環境測定にも利用できる。
以上、図面を参照して本発明を詳細に説明したが、上記の説明は例示的な目的でなされたものであり、特徴を限定することを意図するものではない。上記の説明は、単に好適な実施形態を示し説明するためのものであって、本発明の技術的範囲内のすべての変更及び変形は、保護されるべきものである。
電線 10
電線導体 11,51a,51b
電線被覆 12,52a,52b
プローブ 15,20,70,71,82,83,93,94
内側導体板 21,53a,53b
外側導体板 22,54a,54b
プローブ誘電体 25,55a,52b,55b
端子 23,24
多重反射型ポッケルス電位差センサ 60
O/E(光信号−電気信号)変換器 61
発振器 63
ロック・イン・アンプ 62
電力線 80,90,91
接地線 81,92

Claims (2)

  1. 電線の導体電圧を測定するためのプローブを用いた低電圧測定装置であって、前記プローブと、電位差センサと、該電位差センサに結合される導体電圧算出手段とを備えており、
    前記電線が電線導体とその周りの電線被覆からなり、
    前記プローブが、内側導体板と、外側導体板と、該内側導体板および外側導体板間のプローブ誘電体とを備え、前記内側導体板および前記外側導体板にそれぞれ接続される一対の端子を通じて前記電位差センサに接続可能に構成され、
    前記プローブが、前記電線の一部を覆うように前記内側導体板を前記電線被覆の表面の周囲の少なくとも一部に密着して構造されたときに、直列に配置される第1のキャパシタおよび第2のキャパシタを形成し、
    前記第1キャパシタが、前記電線導体、前記内側導体板、およびその間の前記電線被覆により形成され、ならびに、前記第2キャパシタが、前記内側導体板、前記外側導体板、およびその間の前記プローブ誘電体により形成され、
    測定対象の1本の電力線と該電力線に併設された低圧配線中の1本の接地線との2本の電線のそれぞれに当該プローブが配置されるように構成され、
    前記電力線に配置された前記プローブの側導体板と前記接地線に配置された前記プローブの外側導体板とが相互に電気的に接続され、
    前記接地線におけるプローブの側導体板を接地電位として作用させ、
    前記電力線におけるプローブの内側導体板に接続された端子と前記接地線における前記プローブの内側導体板に接続された端子とが前記電位差センサに接続され、
    前記導体電圧算出手段において、前記電力線における前記プローブの内側導体板と前記接地線における前記プローブの内側導体板との間で形成されるキャパシタに印加される、前記電位差センサを用いて測定される電位差の値に基づいて、前記電力線の導体電圧が算出されることを特徴とする、低電圧測定装置。
  2. 電線の導体電圧を測定するためのプローブを用いた低電圧測定装置であって、前記プローブと、電位差センサと、該電位差センサに結合される導体電圧算出手段とを備えており、
    前記電線が電線導体とその周りの電線被覆からなり、
    前記プローブが、内側導体板と、外側導体板と、該内側導体板および外側導体板間のプローブ誘電体とを備え、前記内側導体板および前記外側導体板にそれぞれ接続される一対の端子を通じて前記電位差センサに接続可能に構成され、
    前記プローブが、前記電線の一部を覆うように前記内側導体板を前記電線被覆の表面の周囲の少なくとも一部に密着して構造されたときに、直列に配置される第1のキャパシタおよび第2のキャパシタを形成し、
    前記第1キャパシタが、前記電線導体、前記内側導体板、およびその間の前記電線被覆により形成され、ならびに、前記第2キャパシタが、前記内側導体板、前記外側導体板、およびその間の前記プローブ誘電体により形成され、
    測定対象の2本の第1および第2の電力線のそれぞれに当該プローブが配置され、
    低圧配線中の1本の接地線が、前記第1および第2の電力線の間に、導体板が前記接地線の電線被覆の一部に密着するように配置され、
    前記第1電力線のプローブの外側導体板、前記接地線の電線被覆に密着する導体板、および前記第2電力線のプローブの外側導体板が相互に電気的に接続されており、
    前記電位差センサを用いて測定される、
    前記第1電力線のプローブの第2キャパシタにおける電位差、
    前記第1電力線のプローブの内側導体および前記第2電力線のプローブの内側導体との間における電位差、ならびに
    前記第2電力線のプローブの第2キャパシタにおける電位差と、
    前記第1電力線、前記第2電力線およびこれらのプローブ、並びに前記接地線に係る構造パラメータから算出される、
    前記第1電力線のプローブの第1および第2のキャパシタのキャパシタンス、
    前記第2電力線のプローブの第1および第2のキャパシタのキャパシタンス、ならびに
    前記接地線における前記電線導体、前記電線被覆の導体板およびその間の前記電線被覆によって形成されるキャパシタのキャパシタンスと、
    に部分的に基づいて、前記導体電圧算出手段において第1および第2の電力線の導体電圧がそれぞれ算出可能であることを特徴とする、低電圧測定装置。
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