JP6156189B2 - はんだ被覆装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エネルギー損失を低減可能なはんだ被覆装置を提供することである。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態によるはんだ被覆装置は、図1に示す駆動装置100の組み付け途中において、モータ101のリード線108の金属線109にはんだを被覆するために使用される。駆動装置100は、例えば車両の電動パワーステアリング装置の駆動源として用いられ、モータ101およびこれを制御するモータ制御部113が一体に設けられた機電一体型の駆動装置である。
先ず、駆動装置100の概略構成について図1、図2を参照して説明する。
図1に示すように、モータ101は、ステータ102、ロータ103、および、これらを収容するモータケース104等を備えている。モータケース104は、筒状のフレーム105と、フレーム105の両端に設けられているフレームエンド106、107とから構成されている。リード線108は、ステータ102の巻線111からフレームエンド106の通孔112を通じてモータケース104外に延び出している。本実施形態では、リード線108は、2組の3相巻線に対応して6本設けられている。
次に、金属線109のモータ端子110へのはんだ付け手順について図2〜図8を参照して説明する。
金属線109は、図3に示すようにモータ101が組み付けられた状態から、次の(1)〜(5)の手順でモータ端子110にはんだ付けされる。
(1)図4に示すリード線108の先端部の絶縁被膜118が図5に示すように剥離される。
(2)図6に示すように、露出した金属線109に後述のはんだ被覆装置10(図10参照)によってはんだ120が被覆される。このとき、金属線109の側面121には、少なくとも金属線109の先端面122から所定長さLまでの範囲で厚さXが所定の目標厚さとなるようにはんだ120が被覆される。
(4)図9に示すように、モータ端子110から突き出す金属線109の余分な部分がカットされる。
(5)図2に示すように、金属線109がモータ端子110にはんだ付けされる。
次に、はんだ被覆装置10の概略構成について図10〜図16を参照して説明する。以下の説明において、「上下」とは、はんだ被覆装置10が設置されている設置面に対し垂直な方向における上下のことである。
図10、図11に示すように、はんだ被覆装置10は、ベース15、支持板16、誘導加熱コイル20、クランプ台23、第1移動機構30、誘導加熱電源40、温度計45、制御部50、スクレイパー60および第2移動機構70を備えている。支持板16は、ベース15に固定されている垂直な板である。
温度計45は、誘導加熱コイル20の内側に位置する金属線109の温度を測定することができる。温度計45は、特許請求の範囲に記載の「温度測定手段」に相当する。
次に、金属線109へのはんだ被覆手順について図13、図15、図17〜図20を参照して説明する。
金属線109には、図5に示すように先端部の絶縁被膜118が剥離された状態から、次の(A)〜(D)の手順ではんだ120が被覆される。
(A)図17に示すように、金属線109の先端部にはんだ120が付けられる。本実施形態では、金属線109には線状のはんだ120が巻き付けられる。
(B)図13に示すようにクランプ台23が上昇させられて金属線109が誘導加熱コイル20の内側に位置させられ、誘導加熱電源40による誘導加熱コイル20への通電によって金属線109が誘導加熱され、図18に示すようにはんだ120が溶かされる。
(D)図13に示すようにスクレイパー60が上昇させられ、金属線109へのはんだ120の被覆が完了する。
以上説明したように、第1実施形態では、はんだ被覆装置10は、誘導加熱コイル20、誘導加熱電源40、およびスクレイパー60を備えている。誘導加熱電源40は、誘導加熱コイル20に交流電流を流して金属線109を誘導加熱することによって金属線109に付いているはんだ120を溶かす。スクレイパー60は、金属線109を挿入可能な挿入穴61を有し、金属線109が挿入穴61に挿入されるとき当該挿入穴61の内壁面で溶けたはんだ120を均す。
このように構成することで、誘導加熱電源40による誘導加熱コイル60の通電は、金属線109に付いているはんだ120が溶けるのにかかる必要十分な時間のみ行われる。したがって、エネルギー損失を低減可能である。
したがって、金属線109へのはんだ被覆作業を安定して行うことができる。
このように構成することで、金属線109がスクレイパー60の挿入穴61に挿入されるとき、挿入穴61の筒部62によりはんだ120を金属線109の側面121上で均すことができる。そして、スクレイパー60が挿入位置に到達すると、挿入穴61の底部63により金属線109の先端面122上のはんだ120を均すことができる。これにより、金属線109の先端面122上のはんだ120に突起が形成されることを抑制可能である。
したがって、スクレイパー60が金属線109から外されるとき、はんだ120が幾分かスクレイパー60に付着することによって、金属線109に被覆されたはんだ120の厚さXを目標厚さにすることができる。距離Sを目標厚さに対しどれくらい大きくするかは、予め実験的に求められる。
このように構成することで、加熱後に誘導加熱コイル20を移動させずともスクレイパー60の挿入穴61に金属線109を挿入させることができる。
本発明の第2実施形態によるはんだ被覆装置について図21を参照して説明する。
図21に示すように、第2実施形態では、誘導加熱コイル80は、3本の金属線109を取り囲むように形成されている。また、スクレイパー85は3つの挿入穴61を有しており、スクレイパー85には3本の金属線109を同時に挿入可能である。
第2実施形態によれば、3本の金属線109に同時にはんだ120を被覆することができる。
本発明の他の実施形態では、誘導加熱コイルは、必ずしも金属線を取り囲むように環状に形成されなくてもよい。要するに、誘導加熱コイルは、金属線を誘導加熱可能であれば、どのような形状であってもよい。
本発明の他の実施形態では、スクレイパーの挿入穴は、貫通穴であって、底部を有していなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、スクレイパーは、2つ、または4つ以上の挿入穴を有していてもよい。
本発明の他の実施形態では、スクレイパーの挿入穴の内壁面は、金属線側に突き出す環状の突起を形成し、当該突起の先端によりはんだを均すように構成されてもよい。要するに、挿入穴の内壁面は、面接触に限らず、線接触によりはんだを均してもよい。
本発明の他の実施形態では、温度計が設けられず、誘導加熱電源による誘導加熱コイルの通電を時間により制御してもよい。
本発明の他の実施形態では、リード線の断面形状、および、スクレイパーの挿入穴の断面形状は、矩形以外の例えば円形などであってもよい。
本発明の他の実施形態では、はんだ被覆装置は、モータのリード線の金属線に限らず、他の装置の金属線にはんだを被覆するために使用されてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
20、80・・・誘導加熱コイル
40 ・・・誘導加熱電源
60、85・・・スクレイパー
61 ・・・挿入穴
62、63・・・内壁面
109 ・・・金属線
120 ・・・はんだ
Claims (8)
- 金属線(109)にはんだ(120)を被覆するはんだ被覆装置(10)であって、
誘導加熱コイル(20、80)と、
前記誘導加熱コイルに交流電流を流して前記金属線を誘導加熱することによって当該金属線に付いているはんだを溶かす誘導加熱電源(40)と、
前記金属線を挿入可能な挿入穴(61)を有し、前記金属線が前記挿入穴に挿入されるとき当該挿入穴の内壁面(62、63)で溶けたはんだを均すスクレイパー(60、85)と、
を備えることを特徴とするはんだ被覆装置。 - 前記金属線の温度(T)を測定する温度測定手段(45)と、
前記金属線の温度が所定温度(T1)に達した場合、当該温度を維持するよう前記誘導加熱電源による前記誘導加熱コイルの通電量を弱め、前記所定温度に達してから所定時間(t1)が経過した場合、前記誘導加熱電源による前記誘導加熱コイルの通電を止める制御部(50)と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のはんだ被覆装置。 - 前記誘導加熱コイルが前記金属線を加熱可能な所定の加熱位置となるように、前記誘導加熱コイルと前記金属線との相対的な位置を変更可能な第1移動機構(30)と、
前記金属線が前記挿入穴に挿入されるように、前記スクレイパーと前記金属線との相対的な位置を変更可能な第2移動機構(70)と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のはんだ被覆装置。 - 前記挿入穴は有底筒状であり、
前記挿入穴の前記内壁面は、前記金属線が前記挿入穴に挿入されたとき当該金属線の側面(121)に対向する筒部(62)、および、前記金属線の先端面(122)に対向する底部(63)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のはんだ被覆装置。 - 前記挿入穴の前記内壁面と当該挿入穴に挿入された前記金属線との距離(S)は、前記金属線に被覆されるはんだの目標厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のはんだ被覆装置。
- 前記スクレイパー(85)は複数の前記挿入穴を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のはんだ被覆装置。
- 前記誘導加熱コイルは、当該誘導加熱コイルが前記金属線を加熱可能な所定の加熱位置であるとき前記金属線を取り囲むように環状に形成され、
前記スクレイパーは、前記誘導加熱コイルの内側に挿入可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のはんだ被覆装置。 - 前記金属線は、モータ(101)のステータ(102)の巻線(111)からモータケース(104)外に延び出ているリード線(108)の導体部分であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のはんだ被覆装置。
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