JP6155560B2 - 高張力繊維含有モルタル材料で製造された防風パネル、防風柵、及び、防風パネルの製造方法 - Google Patents

高張力繊維含有モルタル材料で製造された防風パネル、防風柵、及び、防風パネルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、防風パネル、この防風パネルを有する防風柵、及び、防風パネルの製造方法に関する。
防風柵は、橋梁、鉄道、道路などの強風対策に用いられている。このような防風柵としては、鋼製のものが一般的であった。例えば、特許文献1には、菱形形状の開口を設けた鋼製の防風パネルが記載されている。また、鋼製の防風パネルの他、FRP製の防風パネルも用いられている。
特開平7−82710号公報
前述の防風柵は、長期間に亘って屋外に設置される。このため、鋼製の防風パネルでは腐食が生じ、定期的な塗装や交換といった定期的なメンテナンスが必要となる。とりわけ、海岸沿いに設置された防風柵では、塩分を含んだ強風に曝されることから、塩分の付着に伴って防風パネルの腐食が促進される。その結果、メンテナンス期間を短くする必要がある。
また、FRP製の防風パネルでは、塩分の付着に伴う腐食は生じないが、紫外線による劣化が生じる。このため、定期的な交換が必要となる。また、FRP製の防風パネルは高価であり、コスト高となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い耐久性を有し、定期的なメンテナンスを無くすことのできる防風パネル及び防風柵を提供すること、及び、この防風パネルを効率よく製造可能な製造方法を提供することにある。
発明に係る防風パネルは、モルタルに高張力繊維が混合された硬化したモルタル材料からなる、複数の通風孔が所定の遮蔽率となるように設けられた横長矩形状の有孔板部と、前記有孔板部の各長辺に沿って立設されたリブとを有する防風パネルであって、複数の前記通風孔は、前記有孔板部の厚み方向に対して斜めに設けられており、前記有孔板部の上半部と下半部とで、前記通風孔の傾斜方向が反対向きであることを特徴とする。この構成では、通風孔を通過させることで風の進行方向を変更できる。これにより、通過後の風同士を衝突させるなどして弱めることができる。その結果、風速の低減効果を高めることができる。
また、本発明に係る防風パネルは、モルタルに高張力繊維が混合された硬化したモルタル材料からなる、複数の通風孔が所定の遮蔽率となるように設けられた横長矩形状の有孔板部と、前記有孔板部の各長辺に沿って立設されたリブとを有する防風パネルであって、複数の前記通風孔は、前記有孔板部の一面側から他面側に向けて径が次第に小さくなるように前記有孔板部の厚み方向に対してテーパー状に設けられていることを特徴とする。
前述の防風パネルにおいて、前記リブは、前記有孔板部の各長辺から風の下流側へ突出するように立設されていることとしてもよい。
また、本発明に係る防風柵は、前述の防風パネルと、上下方向に積み重ねられた前記防風パネルの長手方向端部を支持する支柱とを有し、前記支柱は、モルタルに高張力繊維が混合された硬化したモルタル材料からなることを特徴とする。
また、本発明は、複数の通風孔が所定の遮蔽率となるように設けられた横長矩形状の有孔板部、及び、前記有孔板部の各長辺に沿って立設されたリブを有する防風パネルを、型枠にモルタル材料を充填して硬化させることで製造する製造方法であって、前記型枠は、前記有孔板部に対応する横長矩形状の主空間部と、前記主空間部に配置され、前記通風孔に対応する複数の突起部と、前記主空間部における各長辺部分と連続して設けられ、前記リブに対応する副空間部とを有し、前記主空間部の短辺が上下方向となるように設置され、前記モルタル材料は、モルタルに高張力繊維を混合したものであり、前記モルタル材料を、前記型枠の上部から前記主空間部及び前記副空間部へ打設することを特徴とする。
本発明では、有孔板部に対応する主空間部が上下方向に区画されているので、型枠の上部からモルタル材料を打設すると、モルタル材料は自重によって主空間部を流下し、主空間部と副空間部を満たす。このため、モルタル材料の充填が容易である。また、充填後の仕上げを、上側の副空間部における上面に対して行えば足りるので、仕上げ作業も容易である。従って、防風パネルを効率よく製造することができる。
本発明によれば、高い耐久性を有し、定期的なメンテナンスを無くすことのできる防風パネル及び防風柵を提供すること、及び、この防風パネルを効率よく製造可能な製造方法を提供することができる。
本実施形態の防風柵を示す斜視図である。 防風パネルの正面図である。 (a)は防風パネルの一部を切断して示す拡大図、(b)は防風パネルの右側面図、(c)は防風パネル隅部の拡大図である。 (a)は平打ち用型枠の一部を切断して示す拡大図、(b)はモルタル材料の打設状態を説明する図である。 (a)は縦打ち用型枠の一部を切断して示す拡大図、(b)は同じく平面図である。 縦打ち用型枠の断面図である。 型枠上部からモルタル材料を打設し始めた状態を説明する図である。 (a),(b)は、型枠の上端までモルタル材料を充填した状態を説明する図である。 (a)は風速低減効果を確認する確認試験の設備を説明する図、(b)は風上側凸の状態を説明する図、(c)は風下側凸の状態を説明する図である。 試験結果を示すグラフであり、(a)は一様流、風上側凸の結果、(b)は一様流、風下側凸の結果、(c)は乱流、風上側凸の結果、(d)は乱流、風下側凸の結果である。 防風パネルに対する載荷試験を説明する図である。 載荷試験の結果を示すグラフである。 (a),(b)は防風パネルの変形例を説明する図である。 (a),(b)は防風パネルの他の変形例を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1に示す防風柵1は、線路や道路の側方に、線路等に沿って設置されるものであり、基礎部2と、支柱3と、防風パネル4とを有する。
基礎部2は、支柱3や防風パネル4を支える部分である。本実施形態の基礎部2は、地中に埋設された鋼管杭によって構成されている。なお、基礎部2は鋼管杭に限られない。例えば、深礎杭や直接基礎であってもよい。支柱3は、上下方向に積み重ねられた防風パネル4の長手方向端部を支持する部材である。本実施形態の支柱3は、H型鋼材によって作製され、左右方向に所定間隔を空けた状態で配置されている。そして、支柱3の下端は、基礎部2(鋼管杭)の上端部に挿入及び固定されている。なお、支柱3に関し、鋼材以外の素材で作製されたものであってもよい。例えば、高張力繊維含有モルタル材料で作製されたものであってもよい。
防風パネル4は、風を受ける面に通風孔11が形成された部材であり、モルタルに高張力繊維を混合したモルタル材料(後述する)を硬化させることで製造されている。この防風パネル4は、支柱3に支持された状態で、基礎部2の上面に上下方向へ積み重ねられた状態で配置されている。
以下、防風パネル4について詳細に説明する。図2に示すように、防風パネル4は、正面側から見て横長矩形状に構成されており、長辺側を水平方向に、短辺側を上下方向に向けた状態で設置される。また、図3(b)に示すように、防風パネル4は、側面から見てコ字状に構成されている。すなわち、この防風パネル4は、横長矩形状の板状部分であって、板厚方向に通風孔11が設けられた有孔板部12と、この有孔板部12の長辺側の縁部に沿って立設された一対のリブ13(13U,13D)とを有している。便宜上、以下の説明では、設置状態で上側に位置するリブ13を上側リブ13Uといい、下側に位置するリブ13を下側リブ13Dという。
そして、図2に示すように、本実施形態の防風パネル4は、長辺側の長さL1が3000mm、短辺側の長さL2が300mmである。また、図3(b)に示すように、有孔板部12の厚さD1が12mm、上側リブ13U及び下側リブ13Dの突出長さL3が90mm、各リブ13U,13Dの厚さD2が20mmである。なお、有孔板部12の厚さD1は、高張力繊維の長さ(12.5±0.5mm)を基準に定められている。すなわち、高張力繊維の長さに揃えられている。
有孔板部12に設けられる通風孔11は、板厚方向を貫通する円形の孔であり、各通風孔11が千鳥状に配置されている。本実施形態では、広範囲に亘って減風効果が得られるという知見に基づき、遮蔽率が60%となるように通風孔11を設けている。
具体的には、図3(a),(c)に示すように、直径50mmの通風孔11を、防風パネル4の長辺方向に沿って所定間隔P1である20mm間隔で設け、1列目の通風孔群とする。そして、2列目の通風孔群は、1列目の通風孔群とは1/2ピッチだけ防風パネル4の長辺方向にずれた位置であって、1列目の各通風孔11との最短間隔P2が他の所定間である12mmとなるように防風パネル4の短辺方向にずれた位置に設けられている。また、3列目及び4列目の通風孔群も、1列目及び2列目の通風孔群と同様の関係となるように設けられている。
なお、本実施形態の有孔板部12では、所定の遮蔽率(60%)を確保しつつもモルタル材料の分離を生じさせずに充填するため、通風孔同士の最短間隔P2を12mmとし、通風孔11の直径を50mmにしている。
この防風パネル4は、モルタル材料を型枠に打設して硬化させることで製造することができる。ここで、モルタル材料について説明する。モルタル材料は、モルタルに高張力繊維を混合したもの(すなわち高張力繊維含有モルタル材料)である。そして、モルタルは、セメントと、シリカフュームと、水と、減水剤と、細骨材とを含んでいる。
ここで、セメントは、CSを40.0〜75.0質量%及びCAを2.7質量%未満含み、かつ、45μmふるい残分が8.0質量%未満のものを用いている。また、細骨材は、粒径0.15mm以下の粒群を15〜85質量%含み、0.075mm以下の粒群を3〜20質量%含むものを用いている。
シリカフュームは、平均粒子径が0.05〜2.0μmのものを用い、セメントとの合計量を基準として、3〜30質量%含ませている。そして、セメント及びシリカフュームの合計量100質量部に対して、水を10〜25質量部、減水剤を0.5〜6.0質量部含ませている。
高張力繊維としては、引張強度が100〜10000N/mm、アスペクト比が40〜250の金属繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン繊維、及びポリビニルアルコール繊維を用いることができる。本実施形態では、長さ12.5±0.5mmのポリプロピレン繊維をモルタルに対し、外割りで0.3〜4.0体積%混合している。
また、減水剤及び細骨材は、モルタルの作製に一般的に用いられているものを用いることができる。
このようなモルタル材料としては、例えば株式会社大林組製の商品名「スリムクリート」(登録商標)を用いることができる。そして、このモルタル材料を、スランプフローが所定値(例えば800mm)となるように練り混ぜ、型枠に打設して硬化させる。これにより、圧縮強度180N/mm程度、引っ張り強度8N/mm程度の高い強度を有する防風パネル4を製造できる。
モルタル材料の打設には、例えば図4に示す平打ち用の型枠21や図5に示す縦打ち用の型枠22を用いることができる。図4(a)に一部を示すように、平打ち用の型枠21は、有底枠体21aと突起部21bとを有している。有底枠体21aは、上面開放の枠状部材であって、断面視で略コ字状の空間が形成されている。突起部21bは、枠体21aの内側に立設された円柱状部分であり、通風孔11に対応して設けられている。図4(b)に示すように、この型枠21内にフレッシュ状態のモルタル材料FMを打設し、上面を均した状態で硬化させると、有孔板部12と各リブ13U,13Dとが一体化された防風パネル4を製造することができる。
図5(a),(b)に示すように、縦打ち用の型枠22は、主空間部22Aと副空間部22Bとを区画する型枠本体22aを有している。主空間部22Aは、有孔板部12に対応する横長矩形状の空間であり、その内部には通風孔11を形成するための複数の突起部22bが設けられている。副空間部22Bは、上側リブ13U及び下側リブ13Dに対応する横長矩形状の空間であり、主空間部22Aにおける各長辺部分と連続して設けられている。図6に示すように、主空間部22A及び各副空間部22Bは断面視でコ字状につながっている。そして、上側の副空間部22Bにおける上面が開放されている。また、主空間部22A及び各副空間部22Bにおける他の面は、型枠によって区画されている。
縦打ち用の型枠22を用いて防風パネル4を作製する場合には、例えば図7に示すように、上側の副空間部22Bからフレッシュ状態のモルタル材料FMを打設する。前述したようにモルタル材料FMにはポリプロピレン繊維(高張力繊維)が混入されているが、突起部22b同士の間隔(通風孔同士の最短間隔P2)及び主空間部22Aの厚さ(有孔板部12の厚さD1)がポリプロピレン繊維の長さに揃えられていることから、ポリプロピレン繊維は主空間部22A及び副空間部22Bを円滑に流下して全体に拡がることができる。
このことを確認すべく、本発明者等は、突起部22b同士(通風孔11同士)の間隔を20mm、及び、主空間部22Aの厚さ(突起部22bの高さ)を12mmとした縦打ち用の型枠を作製し、長さ20mmのポリプロピレン繊維を混入したモルタル材料(フロー値:305mm×300mm)を用いて充填性の確認試験を行った。
ここで、突起部22b同士の間隔を20mm、ポリプロピレン繊維の長さを20mmとして試験を行った理由は、先に述べた実施形態の仕様(突起部22b同士の間隔12mm、ポリプロピレン繊維の長さ12mm、主空間部22Aの厚さ12mm)よりも繊維同士を絡みやすくするためである。すなわち、実施形態よりも厳しい試験条件で良好な充填性が確認されれば、実施形態でも良好な充填性が得られると考えたからである。そして、硬化後の防風パネル4を目視で確認したところ、前述の試験条件であってもポリプロピレン繊維同士は絡みつかず、充填性が良好であることが確認された。
そして、図8に示すように、モルタル材料が主空間部22A及び副空間部22Bの全体に充填されたならばコテ仕上げが行われる。前述の型枠22では、上側の副空間部22Bにおける上面以外の部分は型枠で区画されているので、コテ仕上げの作業を露出部分のモルタル材料FMに対して行えば足りる。従って、仕上げ作業の対象面積を少なくすることができ、防風パネル4を効率よく製造することができる。
次に、前述の防風パネル4による風速低減効果について説明する。本実施形態の防風パネル4では通風孔11の孔径が50mmであった。これに対し、鋼鉄製の防風パネルの市販品では通風孔11の孔径は最大で20mmであった。このように、本実施形態の防風パネル4の通風孔11は、市販品のものよりも2.5倍も大きい。そこで、このように大きな通風孔11であっても、十分な風速低減効果が得られることを確認すべく確認試験を行った。
図9(a)は、確認試験の設備を示す斜視図である。この確認試験では、防風パネル4を模擬した樹脂製の模型31を風洞内に設置し、風速計によって模型31の上流側と下流側の風速を計測して、風速の低減効果を確認した。模型31の設置は、風洞内に設置された模型固定架台32を用いた。具体的には、風向と平行に設置された一対の取付け架台端板32aの間に、風向と直交する方向に向けた防風パネルの模型31を、上下方向に複数個積み重ねた。
この確認試験では、55mmの通風孔を有する本実施形態の模型31と、20mmの通風孔を有する比較例の模型31とを用いた。なお、何れの模型31も遮蔽率は60%に定めた。また、本実施形態の模型31では通風孔の直径が55mmであり、前述した通風孔11の孔径(50mm)よりも大きい。これは、より大きな通風孔の模型31で風速低減効果が確認できれば、本実施形態の防風パネル4でもそれ以上の防風効果が得られると考えたためである。
そして、模型31の設置位置における風速を10,20,30m/sに定め、模型上流500mmの位置X1における平均風速を計測した。同様に、模型下流500mm(−500mm)の位置X2から順に500mm間隔で、模型下流3000mm(−3000mm)の位置まで下流側の平均風速を測定した。なお、図9では、模型下流1500mm(−1500mm)の位置X4までが描かれている。
確認試験で使用する気流に関し、2種類の気流(一様流,乱流)を対象にした。また、模型31の設置状態に関し、図9(b)に示す風上側凸の状態と、図9(c)に示す風下側凸の状態のそれぞれを対象にした。
図10(a)〜(d)に確認試験の結果(グラフ)を示す。これらの図において、横軸は防風柵1(模型31)からの距離を示している。すなわち、模型31の設置位置を0mmとし、風向きの上流側の位置をプラスの数値で、下流側の位置をマイナスの数値でそれぞれ示している。一方、縦軸は、風速比を示している。風速比は、模型上流500mmの位置における平均風速を基準(分母)とし、各測定位置の平均風速を分子とする比率である。
また、記号四角は風速10m/sでの試験結果を、記号丸は風速20m/sでの試験結果を、記号三角は風速30m/sでの試験結果をそれぞれ示している。さらに、白抜きの記号は孔径55mmの模型31での試験結果を示し、黒塗りの記号は孔径20mmの模型31での試験結果を示している。
まず、一様流の試験結果について検討する。図10(a)に示すように、風上側凸のケースでは、−500mmの位置及び−1000mmの位置において、孔径55mmの模型31は、孔径20mmの模型31よりも風速低減効果が低いという結果になった。しかし、両者の差は模型31からの距離が離れるほど小さくなっており、−1500mmの位置において両者の風速低減効果は同レベルであった。さらに距離が離れると、孔径55mmの模型31の方が高い風速低減効果を示した。
次に、風下側凸のケースについて検討すると、図10(b)に示すように、孔径55mmの模型31は、孔径20mmの模型31よりも多少風速低減効果が低いという結果になったが、両者にそれほど大きな違いは見られなかった。このため、風下側凸のケースに関しては、孔径55mmの模型31は、孔径20mmの模型31と同程度の風速低減効果が得られることが確認された。
次に、乱流(乱れ強さ15〜20%)のケースについて検討する。図10(c),(d)に示すように、乱流に対する風速低減効果については、風速やパネルの配置方向に拘わらず、孔径55mmの模型31と孔径20mmの模型31とでほぼ同レベルであることが確認された。
以上を総括すると、一様流の風上側凸の試験結果において、模型31から風下側に1000mmまでの範囲で孔径55mmの模型31は、孔径20mmの模型31よりも多少風速低減効果が低かったが、実用上問題ないレベルと考えられた。また、その他の条件において、孔径55mmの模型31は、孔径20mmの模型31と同等の風速低減効果を示した。この結果より、孔径を50mmとした本実施形態の防風パネル4は、孔径20mmの市販の防風パネル4と置き換えても同等の風速低減効果を発揮すると推定された。
次に、前述の防風パネル4による力学的性能の確認試験について説明する。ここでは、載荷試験を行い防風パネル4の曲げ耐力を確認した。この載荷試験は、図11に示す載荷試験装置41によって行った。図11に示すように、この確認試験では、両端単純支持とするとともに2点で載荷した。また、分布荷重が作用した際の最大曲げモーメントとせん断力の関係に等しくなるよう、載荷位置を定めた。さらに、防風パネル4は2体用意し、一方は表側から載荷し、他方は裏側から載荷した。
試験結果を図12に示す。図12における横軸は中央変位、すなわち載荷対象となった防風パネル4における長手方向中央部分の変位量を示している。そして縦軸は、防風パネル4に加えられた荷重を示している。また、同図における実線は防風パネル4の表面に対する試験結果を示し、点線は裏面に対する試験結果を示す。
この試験では、載荷重量1.2kNにてひび割れが見られなければ、防風パネル4を両端で固定したとき、風速40〜50m/sの極めて強い風であっても耐えることができると解される。そして、防風パネル4に入ったひび割れの数が増えると、載荷重量に対する中央変位量が増える傾向(右方向に寝る傾向)が見られる。また、大きなひび割れが入ると、載荷重量が局所的に落ち込んでしまう。
そして、防風パネル4の表面側から載荷重を与えた場合(実線の場合)、載荷重量で2kNに達するまでは、載荷重量の大きな落ち込みもなく十分な耐力を有していることが確認できた。その後、載荷重量の大きな落ち込みが生じていることから大きなひび割れが発生したと解される。さらに、グラフが右方向へ寝てきているので、ひび割れの数が増えていることが伺える。
また、防風パネル4の裏面から載荷重を与えた場合(点線の場合)、載荷重量で1.4kNに達するまでは、載荷重量の大きな落ち込みもなく十分な耐力を有していることが確認できた。その後、グラフが次第に右方向へ寝てきているので、ひび割れの数が増えていることが伺える。また、載荷重量が2kNに達した後に、大きな落ち込みが生じているので、その時点で大きなひび割れが発生したと解される。
このように、本実施形態の防風パネル4では、載荷重量1.2kNにおいてひび割れ等の傾向が見られなかったことから、風速40〜50m/sの極めて強い風であっても十分な耐力を有していると解される。言い換えれば、設計荷重を与えてもひび割れが生じない十分な曲げ耐力を有しているといえる。
従って、既存の金属製パネルを、本実施形態のモルタル材料を用いた防風パネル4に置き換えることで、高い耐久性を有し、定期的なメンテナンスを無くすことのできる防風パネル4を提供することができるといえる。そして、この防風パネル4では、通風孔11が円形状に形成され、千鳥状に配置されているので、通風孔11同士の間隔を均等にすることができ、全体の強度を高めることができる。
また、防風パネル4を製造するに際し、本実施形態では、有孔板部12に対応する横長矩形状の主空間部22Aと、この主空間部22Aに配置され、通風孔11に対応する複数の突起部22bと、主空間部22Aにおける各長辺部分と連続して設けられ、上側リブ13U及び下側リブ13Dに対応する一対の副空間部22Bとを有する縦打ち用の型枠22を用いている。すなわち、主空間部22Aの短辺が上下方向となるように型枠22を設置し、フレッシュ状態のモルタル材料FMを、型枠の上部から主空間部22A及び各副空間部22Bへ打設している。
この型枠22は、有孔板部12に対応する主空間部22Aが上下方向に設けられているので、型枠22の上部からモルタル材料FMを打設すると、モルタル材料FMは自重によって主空間部22Aを流下し、主空間部22A及び副空間部22Bを満たす。これにより、モルタル材料の充填が容易になる。また、充填されたモルタル材料FMに対する仕上げに関し、上側の副空間部22Bにおける上面で露出している部分に対して行えば足りるため、作業が容易である。従って、防風パネル4を効率よく製造することができる。
さらに、通風孔11を形成するための突起部22bは、円柱状であって千鳥状に配置されており、隣り合う突起部22b同士の間隔がポリプロピレン繊維の長さと同じかそれ以上になっている。このため、ポリプロピレン繊維が突起部22b同士の空間で目詰まりし難くなり(モルタルと分離し難くなり)、防風パネル4の全体に分散させることができる。同様に、主空間部22Aの厚みがポリプロピレン繊維の長さに揃えられているので、ポリプロピレン繊維が途中で目詰まりし難くなり、防風パネル4の全体に分散させることができる。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
前述の防風パネル4において、通風孔11は有孔板部12の厚み方向に設けられていたが、この構成に限定されるものではない。例えば、図13に示す防風パネル4Aのように、各通風孔11Aを、有孔板部12の厚み方向に対して斜めに設けてもよい。このように構成すると、通風孔11Aを通過させることで風の進行方向を斜めに変更することができる。
特に、有孔板部12における上側半部に位置する通風孔11Aと、下側半部に位置する通風孔11Aとで傾斜方向を反対にすると、通風孔11Aを通過した後の風同士を衝突させることができ、風速の低減効果を一層高めることができる。
また、図14に示す防風パネル4Bのように、通風孔11Bを、有孔板部12の厚み方向に対してテーパー状に設けてもよい。このように構成すると、通風孔11Bを通過させることで渦流を生じさせ易くすることができる。これにより、通過後の風を弱めることができ、風速の低減効果を一層高めることができる。
また、防風パネル4を構成する有孔板部12、上側リブ13U、及び、下側リブ13Dのサイズはあくまで例示である。また、通風孔11の形状やサイズも所定の遮蔽率を実現できる範囲で変更することができる。
1…防風柵,2…基礎部,3…支柱,4…防風パネル,4A…防風パネルの変形例,4B…防風パネルの変形例,11…通風孔,11A…斜め方向の通風孔,11B…テーパー形状の通風孔,12…有孔板部,13…リブ,13U…上側リブ,13D…下側リブ,21…平打ち用の型枠,21a…有底枠体,21b…突起部,22…縦打ち用の型枠,22A…主空間部,22B…副空間部,22a…型枠本体,22b…突起部,31…防風パネルを模擬した樹脂製の模型,32…模型固定架台,32a…取付け架台端板,L1…防風パネルの長辺側長さ,L2…防風パネルの短辺側長さ,L3…上側リブ及び下側リブの突出長さ,D1…有孔板部の厚さ,D2…上側リブ及び下側リブの厚さ,P1…通風孔同士の長辺方向の間隔,P2…通風孔同士の最短間隔,FM…モルタル材料,X1…模型上流500mmの位置,X2…模型下流500mmの位置,X3…模型下流1000mmの位置,X4…模型下流1500mmの位置

Claims (5)

  1. モルタルに高張力繊維が混合された硬化したモルタル材料からなる、複数の通風孔が所定の遮蔽率となるように設けられた横長矩形状の有孔板部と、前記有孔板部の各長辺に沿って立設されたリブとを有する防風パネルであって、
    複数の前記通風孔は、前記有孔板部の厚み方向に対して斜めに設けられており、前記有孔板部の上半部と下半部とで、前記通風孔の傾斜方向が反対向きであることを特徴とする防風パネル。
  2. モルタルに高張力繊維が混合された、硬化したモルタル材料からなる、複数の通風孔が所定の遮蔽率となるように設けられた横長矩形状の有孔板部と、前記有孔板部の各長辺に沿って立設されたリブとを有する防風パネルであって、
    複数の前記通風孔は、前記有孔板部の一面側から他面側に向けて径が次第に小さくなるように前記有孔板部の厚み方向に対してテーパー状に設けられていることを特徴とする防風パネル。
  3. 前記リブは、前記有孔板部の各長辺から風の下流側へ突出するように立設されていることを特徴とする請求項又はに記載の防風パネル。
  4. 請求項からの何れか1項に記載の防風パネルと、
    上下方向に積み重ねられた前記防風パネルの長手方向端部を支持する支柱とを有し、
    前記支柱は、モルタルに高張力繊維が混合された、硬化したモルタル材料からなることを特徴とする防風柵。
  5. 複数の通風孔が所定の遮蔽率となるように設けられた横長矩形状の有孔板部、及び、前記有孔板部の各長辺に沿って立設されたリブを有する防風パネルを、型枠にモルタル材料を充填して硬化させることで製造する製造方法であって、
    前記型枠は、
    前記有孔板部に対応する横長矩形状の主空間部と、
    前記主空間部に配置され、前記通風孔に対応する複数の突起部と、
    前記主空間部における各長辺部分と連続して設けられ、前記リブに対応する副空間部とを有し、
    前記主空間部の短辺が上下方向となるように設置され、
    前記モルタル材料は、モルタルに高張力繊維を混合したものであり、
    前記モルタル材料を、前記型枠の上部から前記主空間部及び前記副空間部へ打設することを特徴とする防風パネルの製造方法。
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