JP6154999B2 - 電池用電極体、電池および金属空気電池 - Google Patents
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金属空気電池を二次電池として用いると充電時に電池内部において金属電極から空気極に向けて樹枝状のデンドライトが生成し短絡の原因となる場合がある。このため、金属空気電池を一次電池として用い、副生成物である金属酸化物などを還元処理することにより、金属からなる電極活物質を製造し金属空気電池に供給するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、金属からなる電極活物質の表面に金属酸化物が形成されることを容易に抑制することができ、容易に電極活物質を電池に供給することができる電池用電極体を提供する。
本発明によれば、アノードは、底面と上面に開口を有する円柱筒型であるため、開口を塞ぐことにより、アノードの内部の表面が空気と接触することを抑制することができ、アノードの内部の表面に金属酸化物が形成されることを抑制することができる。
本発明によれば、前記アノードは、円柱筒型であり内部にカソードが挿入されるため、アノードとカソードとの間のイオン伝導パスを十分に確保することができる。また、アノードとカソードとの間のイオン伝導パスに濃淡が生じることを抑制することができ、電池の出力特性を安定することができる。
本発明において、電池用電極体とは、電池に用いられる電極を含み、電極活物質を貯蔵、輸送する構造体である。
このような構成によれば、アノードの内部空間と外部とを遮断することができ、内部空間に面するアノードの表面に金属酸化物が形成されることを抑制することができる。
本発明の電池用電極体において、第1蓋部材は、前記アノードの底面を覆い、第2蓋部材は、前記アノードの上面を覆うことが好ましい。
このような構成によれば、アノードの底面または上面が外気に触れることを抑制することができ、アノードと外気とが反応することを抑制することができる。
このような構成によれば、アノードの側面が外気に触れることを抑制することができ、アノードと外気とが反応することを抑制することができる。
本発明は、本発明の電池用電極体と、前記アノードの内部に配置されたカソードとを備える電池も提供する。
本発明の電池によれば、アノードの内部にカソードを備えるため、アノードとカソードとの間のイオン伝導パスを十分に確保することができる。また、アノードとカソードとの間のイオン伝導パスに濃淡が生じることを抑制することができ、電池の出力特性を安定することができる。
本発明の金属空気電池によれば、電極活物質である金属からなるアノードと、カソードである空気極とにより電気エネルギーを生成することができる。
本発明の金属空気電池において、電解液を溜める電解液槽をさらに備え、前記電解液は、前記空気極を包囲し、前記電池用電極体は、前記電解液槽内に挿入することができ、かつ、前記電解液槽内から抜き出すことができるように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、電解液槽内に配置する電池用電極体を取り替えることにより金属空気電池に電極活物質を供給することができる。
このような構成によれば、空気流路を流れる酸素ガスを空気極に供給することができる。
本発明の金属空気電池において、前記空気極を包囲するイオン交換膜をさらに備え、前記イオン交換膜は、第1主要面が前記電解液に接触し第1主要面に対向する第2主要面が前記空気極と接触するように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、イオン交換膜を介して電解液と空気極との間にイオンを伝導させることができる。
このような構成によれば、アノードにおける電極反応により生じた電荷を第2集電部を介して取り出すことができる。
本発明の金属空気電池において、電池用電極体は、アノードの円柱側面を覆う第1集電部を備え、第2集電部は、第1集電部と接触するように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、アノードにおける電極反応により生じた電荷を第1集電部および第2集電部を介して取り出すことができる。
図1、3、5はそれぞれ本実施形態の電池用電極体の構成を示す概略断面図であり、図2は図1の破線A−Aにおける電池用電極体の概略断面図であり、図4は図3の破線B−Bにおける電池用電極体の概略断面図であり、図6は図5の破線C−Cにおける電池用電極体の概略断面図である。
本実施形態の電池用電極体8は、電極活物質である金属からなるアノード1を有し、アノード1は、円柱筒型であり、底面と上面に開口を有し、アノード1は、アノード1の内部5にカソードを挿入することができ、かつ、アノード1の内部5からカソードを抜き出すことができるように設けられたことを特徴とする。
また、本実施形態の電池用電極体8は、電極体用蓋部材3および第1集電部4を備えてもよい。
以下、本実施形態の電池用電極体8について説明する。
アノード1は、電極活物質である金属からなる。電池用電極体8が、金属空気電池に用いられる場合、電極活物質は、金属亜鉛、金属カルシウム、金属マグネシウム、金属アルミニウム、金属鉄、金属リチウム、金属ナトリウムなどである。電池用電極体が、アルカリマンガン電池に用いられる場合、電極活物質は、金属亜鉛である。また、電極活物質は、合金であってもよい。
なお、アノード1は、アノード1が十分な強度を有するための添加成分や、電極活物質の腐食を防止するための成分を含んでもよい。
アノード1は、底面、上面および曲面状の側面を有し、側面は、底面または上面に対し実質的に垂直に形成することができる。また、アノード1は、底面または上面に平行な断面が実質的に円であってもよく、実質的に楕円であってもよい。
また、アノード1は、内部空間5に面する表面に凹凸を有してもよい。このことにより、アノード1の電極反応が生じる表面を広くすることができる。
また、電池をこのような構成とすると、アノード1の内部空間5に面した表面において電極反応を進行させることができ、アノードとカソードとの間のイオン伝導パスを十分に確保することができる。また、アノードとカソードとの間のイオン伝導パスに濃淡が生じることを抑制することができ、電池の出力特性を安定することができる。
電極体用蓋部材3は、アノード1の開口を塞ぐように設けられる。例えば、図1、2に示した電池用電極体8、図3、4に示した電池用電極体8、図5、6に示した電池用電極体8のように、底面用の電極体用蓋部材3bが底面の開口を塞ぐように設けられ、上面用の電極体用蓋部材3aが上面の開口を塞ぐように設けられる。このことにより、アノード1の内部空間5と外部とを遮断することができ、アノード1の内部空間5に面した表面に金属酸化物が形成されることを抑制することができる。
また、電極体用蓋部材3は、内部空間5に窒素ガスなどの不活性ガスが封入されるように設けることができる。このことのより、アノード1の内部空間5に面した表面に金属酸化物が形成されることをさらに抑制することができる。
また、電極体用蓋部材3は剛性材料からなってもよい。このことにより、アノード1が破損することを抑制することができる。
第1集電部4は、アノード1を構成する電極活物質と接触するように設けることができる。このことにより電極反応により生じる電荷を第1集電部を介して外部に取り出すことができる。
第1集電部4は、導電性を有し、電解液に対して耐食性を有する金属からなれば特に限定されないが、例えば、ステンレス、ニッケルなどから構成される。
第1集電部4の形態は、板状であってもよく、金属線が組み合わされた構造であってもよい。第1集電部4がこのような形態を有することにより、アノード1が破損したり、電極反応により電極活物質が消費される際、アノード1の一部が分離することを抑制することができる。
本実施形態の電池は、本実施形態の電池用電極体8と、アノード1の内部に配置されたカソードとを備える。
本実施形態の電池は、例えば、金属空気電池、アルカリマンガン電池などである。本実施形態の電池が金属空気電池の場合、カソードは空気極であり、本実施形態の電池がアルカリマンガン電池の場合、カソードは、二酸化マンガンを電極活物質とするカソードである。
図7、図10は、本実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図であり、図8は図7の破線D−Dにおける金属空気電池の概略断面図であり、図11は図10の破線E−Eにおける金属空気電池の概略断面図である。また、図12は図5、6に示した電池用電極体8を用いて図10に示した金属空気電池を形成する方法の説明図である。
また、本実施形態の金属空気電池25は、電解液18を溜める電解液槽11をさらに備え、電解液18は、空気極14を包囲し、電池用電極体8は、電解液槽11内に挿入することができ、かつ、電解液槽11内から抜き出すことができるように設けられてもよい。
さらに、本実施形態の金属空気電池25は、空気流路15、イオン交換膜13、第2集電部10などを備えることができる。
また、本実施形態の金属空気電池25は、電解液槽11、空気極14、空気流路15、イオン交換膜13、第2導電部10などを備えた金属空気電池本体26と、金属空気電池本体26に着脱可能に設けられる電池用電極体8とから構成することができる。
電解液槽11は、第2導電部10とセパレータ17との間に電池用電極体8を挿入することができるように設けられる。また、電解液槽11は、第2導電部10とセパレータ17との間に配置された電池用電極体8を抜き出すことができるように設けられる。
まず、電池用電極体8が有する上面用の電極体用蓋部材3aおよび底面用の電極体用蓋部材3bをアノード1から取り外す。なお、電極体用蓋部材3でアノード1の開口が塞がれている間は、アノード1の内部空間5は外部と遮断されていたため、内部空間5に面したアノード1の表面は、金属酸化物の形成が抑制されている。
新たな電極活物質を金属空気電池25に供給する方法を次に説明する。
次に、電極体用蓋部材3を取り外した新たな電池用電極体8を金属空気電池本体26の第2導電部10とセパレータ17との間の電解液槽11内に挿入する。その後、電解液槽11の上部の開口を電池用蓋部材23で塞ぐことにより、金属空気電池25を電気エネルギー生成可能な状態にすることができる。
このように、電極活物質が消費された金属空気電池25に新たな電極活物質を供給することができる。
まず、電池用電極体8が有する上面用の電極体用蓋部材3aを残したまま、底面用の電極体用蓋部材3bをアノード1から取り外す。なお、電極体用蓋部材3bでアノード1の底面の開口が塞がれている間は、アノード1の内部空間5は外部と遮断されていたため、内部空間5に面したアノード1の表面は、金属酸化物の形成が抑制されている。
まず、電解液槽11内から使用済みのアノード1および蓋部材3a(23)を有する電池用電極体8を電解液槽11内から抜き出す。その後、電解液槽11に溜めた電解液18と共に生成した金属酸化物などを電解液槽11から排出し、新たな電解液を電解液槽11に溜める。
次に、底面用の電極体用蓋部材3bを取り外した新たな電池用電極体8を金属空気電池本体26の第2導電部10とセパレータ17との間の電解液槽11内に挿入する。このことにより、金属空気電池25を電気エネルギー生成可能な状態にすることができる。
このように、電極活物質が消費された金属空気電池25に新たな電極活物質を供給することができる。
電解液18は、溶媒に電解質が溶解しイオン導電性を有する液体である。電解液18の種類は、アノード1を構成する金属の種類によって異なるが、水溶媒を用いた電解液(電解質水溶液)であってもよく、有機溶媒を用いた電解液(有機電解液)であってもよい。
例えば、亜鉛空気電池、アルミニウム空気電池、鉄空気電池の場合、電解液には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などのアルカリ性水溶液を用いることができ、マグネシウム空気電池の場合、電解液には塩化ナトリウム水溶液を用いることができる。また、リチウム金属電池、ナトリウム空気電池、カルシウム空気電池の場合、有機電解液を用いることができる。
また、電解液槽11が固体電解質からなる隔壁を有し、隔壁で仕切られた一方側に電解質水溶液が溜められ、他方側に有機電解液が溜められてもよい。
空気極触媒には、たとえば、白金、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、モリブデン、マンガン、これらの金属化合物、およびこれらの金属の2種以上を含む合金からなる微粒子が挙げられる。この合金は、白金、鉄、コバルト、ニッケルのうち少なくとも2種以上を含有する合金が好ましく、たとえば、白金−鉄合金、白金−コバルト合金、鉄−コバルト合金、コバルト−ニッケル合金、鉄−ニッケル合金等、鉄−コバルト−ニッケル合金が挙げられる。
また、空気極14は、多孔性担体に担持されたアニオン交換樹脂を有してもよい。このことにより、アニオン交換樹脂を水酸化物イオンが伝導できるため、空気極触媒上で生成した水酸化物イオンが移動しやすくなる。
101:亜鉛電極 103:アルカリ性電解液 105:空気極 106:アニオン交換膜
Claims (3)
- 電極活物質を貯蔵、輸送する構造体である電池用電極体であって、
前記電池用電極体は、電極活物質となりうる金属からなるアノードと、第1蓋部材と、第2蓋部材とを有し、
前記アノードは、底面と上面に開口を有する円柱筒型であり、
前記アノードは、前記アノードの内部にカソードを挿入することができ、かつ、前記アノードの内部からカソードを抜き出すことができるように設けられ、
第1蓋部材は、前記底面の開口を塞ぎ、
第2蓋部材は、前記上面の開口を塞ぎ、
第1及び第2蓋部材は、前記アノードの内部空間と外部とを遮断することを特徴とする電池用電極体。 - 第1蓋部材は、前記アノードの底面を覆い、
第2蓋部材は、前記アノードの上面を覆う請求項1に記載の電池用電極体。 - 前記アノードの円柱側面を覆う第1集電部をさらに備える請求項1又は2に記載の電池用電極体。
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