JP6267942B2 - 金属空気電池 - Google Patents

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Description

本発明は、金属空気電池に関する。
金属空気電池は高いエネルギー密度を有するため、次世代の電池として注目されている。金属空気電池は、電極活物質を含み電解液中に配置される燃料極をアノードとし、空気極をカソードとすることにより発電する。
代表的な金属空気電池として、金属亜鉛を電極活物質とする亜鉛空気電池が挙げられる。亜鉛空気電池では、カソードにおいて以下の化学式1のような電極反応が進行すると考えられる。
(化学式1):O2+2H2O+4e-→4OH-
また、アノードにおいて以下の化学式2のような電極反応が進行し、電解液中において以下の化学式3のような反応が進行すると考えられる。
(化学式2):Zn+4OH-→Zn(OH)4 2-+2e-
(化学式3):Zn(OH)4 2-→ZnO+2OH-+H2O
このような電極反応が進行すると燃料極の電極活物質は消費されるため、金属空気電池は、電極活物質となる金属を供給するために燃料極を交換することができる構造を有する(例えば、特許文献1参照)。このため、金属空気電池本体は、燃料極を交換するための燃料極挿入口を備えている。
このような燃料極挿入口を備えた金属空気電池では、電極間距離を短くするため、および、電解液の蒸発や吹き出し、二酸化炭素の混入等を防ぐため、燃料極挿入口のサイズを燃料極よりも少し大きいサイズで形成している。
また、化学式2により燃料極(アノード)に生じた電子は、外部回路を介して空気極(カソード)へと流れ、化学式1の電極反応に利用される。しかし、燃料極に生じた電子の一部は、燃料極表面において水素ガスを生成する局部電池反応に利用される場合がある。燃料極表面に水素ガスの気泡が生成されると、燃料極における化学式2の反応を阻害する場合があり、金属空気電池の出力を低下させる原因となる場合がある。このため、水素ガスの気泡が生じた場合、この水素ガスを速やかに金属空気電池の外部へ排出する必要がある。また、燃料極表面に水素ガスの気泡が生成されると、電解液の噴き出しの原因となる場合がある。
このため、水素ガスの排出孔を備えた金属空気電池が知られている(例えば、特許文献2参照)。
なお、水素ガスを生成する局部電池反応は、金属空気電池により放電を行っていない場合でも進行する場合がある。
特表2005−509262号公報 特開平2−295072号公報
しかし、従来の燃料極挿入口を備えた金属空気電池では、燃料極と燃料極挿入口の側壁との隙間が狭いため、電解液と燃料極との界面において発生した気泡内の水素ガスが電解液の液面上の気相中に放出されにくい。このため、水素ガスが気泡として電解液中や燃料極の表面に滞留しやすく、水素ガスが金属空気電池から排出されにくい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、水素ガスが金属空気電池から排出されやすい金属空気電池を提供する。
本発明は、電解液を収容する電解液槽と、前記電解液槽中に設けられかつアノードとなる燃料極と、カソードとなる空気極と、前記燃料極を前記電解液槽中に挿入するための電極挿入口と、前記電極挿入口の周りの口縁部とを備え、前記燃料極または前記口縁部は、凹部または貫通孔を有し、前記凹部または前記貫通孔は、前記電解液の液面が前記凹部内または前記貫通孔内に形成されるように設けられたことを特徴とする金属空気電池を提供する。
本発明によれば、電解液を収容する電解液槽と、電解液槽中に設けられかつアノードとなる燃料極と、カソードとなる空気極とを備えるため、燃料極においてアノード反応を進行させることができ、空気極においてカソード反応を進行させることができる。このことにより、燃料極と空気極との間に起電力を生じさせることができる。
なお、燃料極を電解液中に配置すると、局所電池反応により燃料極の表面上に水素ガスの気泡が生じる。この気泡は、電解液槽内の電解液中を上昇し電極挿入口へ向かい、そして、気泡中の水素ガスを電解液の液面上の気相中に放出することにより消滅する。
本発明によれば、燃料極を電解液槽中に挿入するための電極挿入口と、電極挿入口の周りの口縁部とを備えるため、使用済みとなった燃料極を電極挿入口から抜き出すことができ、新たな燃料極を電極挿入口から電解液槽中に挿入することができる。このことにより、電極活物質を金属空気電池に供給することができる。
本発明によれば、燃料極または口縁部は、凹部または貫通孔を有し、凹部または貫通孔は、電解液の液面が凹部内または貫通孔内に形成されるように設けられるため、電極活物質層の表面上で生じた水素ガスの気泡が電解液の液面に向かう経路を凹部内の電解液中または貫通孔内の電解液中に形成することができる。また、電解液の液面が広くなるため、気泡中の水素ガスが気相中に放出されやすくなる。このことにより、電解液中に水素ガスの気泡が滞留することを抑制することができ、気泡がアノード反応を阻害することを抑制することができる。この結果、金属空気電池の出力が低下することを抑制することができる。また、金属空気電池から電解液が噴き出すことを抑制することができ、金属空気電池の安全性を向上させることができる。また、電解液中で水素ガスの気泡が合体することにより成長することを抑制することができる。
(a)は本発明の一実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、(b)は本発明の一実施形態の金属空気電池に含まれる燃料極ホルダーの概略斜視図であり、(c)は本発明の一実施形態の金属空気電池に含まれる金属空気電池本体の概略斜視図である。 (a)は本発明の一実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、(b)は(a)の破線A−Aにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、(c)は(a)の破線B−Bにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、(d)は(b)の一点鎖線で囲んだ範囲Dの拡大図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池に含まれる燃料極ホルダーの概略側面図である。 (a)(b)は、水素ガスの気泡が電解液中を上昇し液面上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。 (a)は本発明の一実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、(b)は(a)の破線E−Eにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、(c)は(a)の破線F−Fにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池に含まれる燃料極ホルダーの概略側面図である。 (a)(b)は、水素ガスの気泡が電解液中を上昇し液面上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。 (a)は本発明の一実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、(b)は(a)の破線H−Hにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、(c)は(a)の破線J−Jにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池に含まれる燃料極ホルダーの概略側面図である。 (a)は本発明の一実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、(b)は(a)の破線L−Lにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、(c)は(a)の破線M−Mにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池に含まれる燃料極ホルダーの概略側面図である。 (a)(b)は、水素ガスの気泡が電解液中を上昇し液面上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。 (a)は本発明の一実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、(b)は(a)の破線O−Oにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、(c)は(a)の破線P−Pにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。 図13(a)の一点鎖線R−Rにおける金属空気電池の概略断面図である。 (a)(b)は、水素ガスの気泡が電解液中を上昇し液面上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。 (a)は本発明の一実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、(b)は(a)の破線S−Sにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、(c)は(a)の破線T−Tにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。 図16(a)の一点鎖線U−Uにおける金属空気電池の概略断面図である。 (a)(b)は、水素ガスの気泡が電解液中を上昇し液面上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。 (a)は本発明の一実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、(b)は(a)の破線W−Wにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、(c)は(a)の破線X−Xにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。 図19(a)の一点鎖線Y−Yにおける金属空気電池の概略断面図である。 (a)(b)は、水素ガスの気泡が電解液中を上昇し液面上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。 (a)は本発明の一実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、(b)は(a)の破線A−Aにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、(c)は(a)の破線B−Bにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。 図22(a)の一点鎖線C−Cにおける金属空気電池の概略断面図である。 (a)は本発明の一実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、(b)は(a)の破線E−Eにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、(c)は(a)の破線F−Fにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。 (a)(b)は、水素ガスの気泡が電解液中を上昇し液面上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。 (a)は本発明の一実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、(b)は(a)の破線H−Hにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、(c)は(a)の破線J−Jにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。
本発明の金属空気電池は、電解液を収容する電解液槽と、前記電解液槽中に設けられかつアノードとなる燃料極と、カソードとなる空気極と、前記燃料極を前記電解液槽中に挿入するための電極挿入口と、前記電極挿入口の周りの口縁部とを備え、前記燃料極または前記口縁部は、凹部または貫通孔を有し、前記凹部または前記貫通孔は、前記電解液の液面が前記凹部内または前記貫通孔内に形成されるように設けられたことを特徴とする。
本発明の金属空気電池において、前記凹部は、前記液面における前記燃料極と前記口縁部との間隔が前記凹部が設けられていない部分における前記燃料極と前記口縁部との間隔よりも広くなるように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、凹部において水素ガスの気相中への放出を促進することができ、電解液中に気泡が滞留することを抑制することができる。
本発明の金属空気電池において、前記凹部または前記貫通孔は、前記燃料極に設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、燃料極または燃料極ホルダーの重量を軽くすることができる。このため、燃料極の材料コストを低減することや、燃料極の輸送コストを低減することができる。
本発明の金属空気電池において、前記凹部は、前記口縁部に設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、燃料極に凹部または貫通孔を設ける必要が無いため、燃料極の製造コストを低減することができる。また、口縁部に凹部を設けることにより、金属空気電池本体を軽量化することができる。
本発明の金属空気電池において、前記凹部または前記貫通孔は、複数個設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、各凹部または各貫通孔において水素ガスの排出を促進することができ、電解液槽2中に気泡が滞留しやすい箇所が生じることを抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
金属空気電池の構成
図1(a)は本実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、図1(b)は本実施形態の金属空気電池に含まれる燃料極ホルダーの概略斜視図であり、図1(c)は本実施形態の金属空気電池に含まれる金属空気電池本体の概略斜視図である。
図2(a)は本実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、図2(b)は図2(a)の破線A−Aにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、図2(c)は図2(a)の破線B−Bにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、図2(d)は図2(b)の一点鎖線で囲んだ範囲Dの拡大図である。なお、図2(a)は、図2(b)(c)の破線C−Cにおける金属空気電池の概略断面図である。
図3は本実施形態の金属空気電池に含まれる燃料極ホルダーの概略側面図である。
本実施形態の金属空気電池35は、電解液3を収容する電解液槽2と、電解液槽2中に設けられかつアノードとなる燃料極5と、カソードとなる空気極9と、燃料極5を電解液槽2中に挿入するための電極挿入口15と、電極挿入口15の周りの口縁部17とを備え、燃料極5は、板状の燃料極集電体7と、燃料極集電体7上に設けられた電極活物質層8とを有し、電解液槽2は、燃料極5を電解液3中に挿入した状態において電解液の液面20が口縁部17と接触するように構成され、燃料極5または口縁部17は、凹部22、25または貫通孔23を有し、凹部22、25または貫通孔23は、液面20が凹部22、25内または貫通孔23内に形成されるように設けられたことを特徴とする。
電解液槽2、燃料極5および空気極9は、セル4を構成してもよい。また、本実施形態の金属空気電池35は、複数のセル4を重ねたセル集合体を有してもよい。
また、凹部22、25、および貫通孔23は、ガス排出構造を構成することができる。
以下、本実施形態の金属空気電池35について説明する。
1.セル
セル4は、金属空気電池35の構成単位であり、電解液槽2中に設けられかつアノードとなる燃料極5と、カソードとなる空気極9とからなる電極対を有する。セル4は、例えば、1つの空気極9と1つの燃料極5とが電解液3を挟むように設けられた電極対を有してもよく、図1(a)に示した金属空気電池35のように2つの空気極9が1つの燃料極5を挟むように設けられた電極対を有してもよい。
また、セル4は、電解液槽2と、電解液槽2中に設けられかつアノードとなる燃料極5と、カソードとなる空気極9とを備えてもよい。また、金属空気電池35は、1つのセル4を含む単セル構造を有してもよく、複数のセル4が重ねられたセル集合体(スタック構造)を有してもよい。
セル4は、燃料極5を電解液槽2中に挿入するための電極挿入口15と電極挿入口15の周りの口縁部17とを備える。この構成により、電極活物質が消費された燃料極5を電解液槽2中から除去し、新たな電極活物質を有する燃料極5を電解液槽2中に挿入することができる。このことにより、燃料となる電極活物質をセル4(金属空気電池35)に供給することができる。
セル4は、例えば、図1(a)に示したような構成を有することができる。また、セル4は、例えば、図1(b)に示したような金属ホルダー30に含まれる燃料極5を、図1(c)に示したような金属空気電池本体31に設けられた電極挿入口15から電解液槽2内に挿入することにより組み立てることができる。
2.セル集合体
セル集合体は、複数のセル4を重ねたスタック構造を有する。セル集合体は、複数のセル4が1つの電解液槽2内に設けられてもよく、それぞれのセル4が電解液槽2を有してもよい。なお、セル集合体を構成するセル4の数は特に限定されず、必要となる発電能力に応じてセル4の数量を決定すればよい。
また、セル集合体を構成する複数のセル4がそれぞれ電解液槽2を有する場合、各セル4が有する電解液槽2は共通の筐体1に設けられてもよく、各セル4が筐体1を有し、この筐体1に電解液槽2が設けられてもよい。
なお、1つの筐体1に2個または3個のセル4を設け、このような筐体1を複数組み合わせることによりセル集合体を形成してもよい。
セル集合体に含まれる複数のセル4の電極対は、直列接続してもよく、並列接続してもよい。
3.電解液、電解液槽
電解液3は、溶媒に電解質が溶解しイオン導電性を有する液体である。電解液3は、電解液槽2内に溜められる、または電解液槽2内を流通する。電解液3の種類は、燃料極5に含まれる電極活物質の種類によって異なるが、水溶媒を用いた電解液(電解質水溶液)であってもよい。また、電解液3は、添加剤を含んでもよい。電解液3は、例えば、電解液を高粘度化させるためにゲル化剤(例えば、ポリアクリル酸カリウム等)を含んでもよい。この場合電解液3は、粘液化又はゲル化していてもよい。
例えば、亜鉛空気電池、アルミニウム空気電池、鉄空気電池の場合、電解液には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などのアルカリ性水溶液を用いることができ、マグネシウム空気電池の場合、電解液には塩化ナトリウム水溶液を用いることができる。
電解液槽2は、電解液3を溜める又は流通させる電解槽であり、 電解液に対して耐食性を有する。また、電解液槽2は、その中に燃料極5を取り出し可能に設置することができる構造を有する。電解液槽2は、金属空気電池本体31に設けることができる。
電解液槽2の上部には電極挿入口15および電極挿入口15の周りの口縁部17を設けることができる。このことにより、電極挿入口15を介して燃料極5を電解液槽2中に挿入することができる。また、電極挿入口15を介して燃料極5を電解液槽2中から取り出すことができる。なお、空気極集電体10が口縁部17を構成してもよい。
電極挿入口15は、金属空気電池本体31の上部に設けられた開口であり、口縁部17で囲まれた開口である。また、電極挿入口15は、燃料極5の挿入方向に垂直な平面における燃料極5の断面と実質的に同じ形状を有することができる。また、新たな燃料極5を電極挿入口15に挿入する際に口縁部17と燃料極5との間にわずかな隙間(遊び)ができるように電極挿入口15を設けることができる。このことにより、電解液の蒸発を抑制することができる。また、大気中の二酸化炭素が電解液に溶け込むことを抑制することができる。さらに、アノードとカソードとの間の電極間距離を短くすることができる。
なお、口縁部17は、筐体1の一部であってもよい。また、口縁部17は、筐体1の一部と空気極集電体10の一部から構成されてもよい。さらに、口縁部17は、筐体1上又は空気極集電体10上に設けた別の部材を含んでもよい。この別の部材の材料は、耐食性で絶縁性の材料で有れば特に限定されず、例えば、コーティングした金属、ゴム、樹脂などである。
電解液槽2は、燃料極5を電解液槽2中に挿入した状態において口縁部17と接触する電解液3の液面20が形成されるように設けられる。また、電解液槽2は、放電していない場合においても口縁部17と接触する電解液3の液面20が形成されるように設けられてもよい。
このことにより、電解液3の液面を狭くすることができ、電解液の蒸発を抑制することができる。また、大気中の二酸化炭素が電解液に溶け込むことを抑制することができる。
なお、電解液3の液面20は、放電中実質的に同じ位置で維持することができる。例えば、電解液槽2中の電解液3を循環させる場合、電解液3の排出口を電解液3の液面20と実質的に同じ高さに設けることができる。また、電解液槽2中の電解液3を循環させない場合であっても、電解液3の排出口を電解液3の液面20と実質的に同じ高さに設けることにより、電解液3の液面20を実質的に同じ位置で維持することができる。
また、口縁部17に凹部25などのガス排出構造を設けることができる。このことにより、電解液3中に発生した気泡内の水素ガスをスムーズに液面20上の気相中に放出することができる。また、放電を行っていない場合に発生した水素ガスもスムーズに液面20上の気相中に放出することができる。なお、このことは後述する。
金属空気電池35が複数のセル4からなるセル集合体を有する場合、それぞれのセル4が別々の電解液槽2を有してもよく、それぞれのセル4の電解液槽2が流路により連通していてもよく、複数のセル4が1つの電解液槽2を共有してもよい。なお、図1(a)に示した金属空気電池35では、電解液槽2の底部および側壁の一部が筐体1であり、電解液槽2の側壁の一部が空気極9である。
金属空気電池35が電解液槽2内の電解液を流動させる機構を有してもよい。このことにより燃料極5でのアノード反応を促進することができ、金属空気電池35の性能を向上させることができる。電解液を流動させる機構としては、電解液槽2に電解液導入口と電解液排出口とを設け、ポンプを用いて電解液3を循環させ、電解液槽2内の電解液3を流動させてもよい。また、金属空気電池35が攪拌機、バイブレーターなどの電解液槽2内の電解液3を物理的に動かすことのできる可動部を備えてもよい。
電解液槽2を構成する筐体1の材料は、電解液に対して耐食性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル(PVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、ABS、塩化ビニリデン、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、フッ素樹脂、エポキシ樹脂などである。
4.燃料極、燃料極集電体、燃料極ホルダー
燃料極5は、アノードとなる電極である。また、燃料極5は、燃料極集電体7と燃料極集電体7上に設けられた電極活物質層8とを有することができる。また、燃料極5は、電極活物質層8のみからなってもよい。この場合、電極活物質層8が燃料極集電体としての機能も有する。
電極活物質層8は、アノードの電極活物質である金属を含む。電極活物質層8に含まれる電極活物質は、アノード反応により電極活物質層8中に電荷を発生させ金属含有イオンとして電解液に溶解する金属である。また、この金属含有イオンは、その濃度が飽和濃度を超えると電解液中に金属酸化物または金属水酸化物の微粒子などとして析出する。また、電極活物質層8中に発生した電荷は、外部出力された後、空気極9におけるカソード反応に利用される。
従って、電極活物質層8に含まれる電極活物質はアノード反応の進行に伴い徐々に消費されていく。このため、電極活物質層8に含まれる電極活物質が少なくなると、電極活物質層8に発生する電荷が少なくなり金属空気電池35の出力が低下するため、燃料極5は使用済みとなる。使用済みとなった燃料極5は、電極挿入口15を介して電解液槽2中から除去され、新たな電極活物質層8を有する燃料極5が電極挿入口15を介して電解液槽2中に挿入される。
また、電極活物質層8に発生した電荷の一部は、電極活物質層8の表面において水素ガスの気泡を生成する局部電池反応に利用される。生成した水素ガスの気泡は、電解液中を上昇し、電解液の液面20上の気相中に水素ガスを放出する。気相に放出された水素ガスは、ガス排出孔28から排出される。
例えば、亜鉛空気電池の場合、電極活物質は金属亜鉛であり、電解液中には水酸化亜鉛または酸化亜鉛が析出する。アルミニウム空気電池の場合、電極活物質は金属アルミニウムであり、電解液中には水酸化アルミニウムが析出する。鉄空気電池の場合、電極活物質は金属鉄であり、電解液中には酸化水酸化鉄または酸化鉄が析出する。マグネシウム空気電池の場合、電極活物質は金属マグネシウムであり、電解液中には水酸化マグネシウムが析出する。
また、リチウム空気電池、ナトリウム空気電池、カルシウム空気電池の場合、電極活物質はそれぞれ、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カルシウムであり、電解液中にはこれらの金属の酸化物、水酸化物などが析出する。なお、リチウム空気電池、ナトリウム空気電池、カルシウム空気電池の場合、燃料極5と電解液との間に固体電解質膜を有してもよい。このことにより、電極活物質が電解液により腐食されることを抑制することができる。また、この場合、電極活物質は固体電解質膜をイオン伝導した後電解液に溶解する。
なお、電極活物質は、これらの例には限定されず、金属空気電池となるものであればよい。また、電極活物質層8に含まれる電極活物質は、上記の例では一種の金属元素からなる金属を挙げたが、電極活物質層8は合金からなってもよい。
燃料極集電体7は、導電性を有する。また、燃料極集電体7の形態は、板状であってもよく、メッシュ状でもよく、パンチング形状でもよい。また、燃料極集電体7の形態は、電極挿入口15中では板状であり、電極活物質層8と接触する部分(電極活物質層8で生じた電子を集電する部分)は、メッシュ状又はパンチング形状でもよい。
また、この燃料極集電体7は、例えば、電解液に対して耐食性を有する金属板により形成することができる。燃料極集電体7の材料は、例えば、ニッケル、金、銀、銅、ステンレスなどである。また、燃料極集電体7は、ニッケルめっき処理、金めっき処理、銀めっき処理、銅めっき処理された導電性基材などであってもよい。この導電性基材には、鉄、ニッケル、ステンレスなどを用いることができる。
このことにより、アノード反応により電極活物質層8に生じた電荷を燃料極集電体7により集電することができ、発生させた電荷を外部回路に出力することができる。燃料極集電体7の主要面上への電極活物質層8の固定は、例えば、電極活物質である金属の粒子や塊を燃料極集電体7の表面に押し付けて固定してもよく、燃料極集電体7上にめっき法などにより金属を析出させてもよい。
燃料極5は、電極活物質層8を電解液槽2内に挿入することができ、電極活物質層8を電解液槽2内から抜き出せるように設けられる。このことにより、金属空気電池35に電極活物質を供給することができる。
また、燃料極5は、燃料極5を電解液槽2中に挿入した状態において電極挿入口15中に配置されるように設けられる。このことにより、燃料極5を電解液槽2内から容易に抜き出すことができる。
例えば、燃料極5は、支持部13と共に図1(b)に示したような燃料極ホルダー30を構成することができる。燃料極ホルダー30は電極挿入口15を介して燃料極5を電解液槽2中に挿入できるように設けることができる。
このような構成によると、支持部13を操作することにより、使用済みとなった燃料極5を電解液槽2中から容易に取り除くことができ、新たな電極活物質層8を有する燃料極5を電解液槽2中に挿入することができる。このことにより、金属空気電池35に電極活物質を供給することができる。
支持部13は、電解液槽2に燃料極5を挿入する電極挿入口15に蓋となるように設けることができる。このことにより、電解液槽2に燃料極5を挿入すると共に電極挿入口15に蓋をすることができ、大気中の成分と電解液3とが反応することを抑制することができる。例えば、電解液にアルカリ性電解液を用いた場合、大気中の二酸化炭素ガスが電解液に溶け込み、アルカリ性電解液を中和することを抑制することができる。
また、支持部13は、電解液3の液面20上の気相中の水素ガスを排出するガス排出孔28を有することができる。このような構成によれば、電解液槽2内の内圧が上昇することを抑制することができる。
また、燃料極5に凹部22、貫通孔23などのガス排出構造を設けることができる。このことにより、電解液3中に発生した気泡内の水素ガスをスムーズに液面20上の気相中に放出することができる。ガス排出構造は、電極活物質層8に設けられてもよく、燃料極集電体7に設けられてもよい。また、燃料極5が電極活物質層8のみからなる場合、電極活物質層8にガス排出構造を設けることができる。
5.ガス排出構造
ガス排出構造は、電解液3中に発生した気泡内の水素ガスをスムーズに液面20上の気相中に放出するための構造である。この水素ガスは、放電中に発生したものであってもよく、放電していない状態において発生したものであってもよい。
ガス排出構造は、燃料極5に設けられた凹部22、燃料極5に設けられた貫通孔23、口縁部17に設けられた凹部25などである。また、ガス排出構造は、燃料極5に設けられた凹部22または燃料極5に設けられた貫通孔23と、口縁部17に設けられた凹部25とを含んでもよい。
凹部22、25、貫通孔23は、燃料極5を電解液槽2中に挿入した状態において、電解液3の液面20が凹部22、25内または貫通孔23内に形成されるように設けられる。このため、電極活物質層8の表面上で生じた水素ガスの気泡が電解液3の液面20に向かう経路を凹部22、25内の電解液3中または貫通孔23内の電解液3中に形成することができる。また、電解液3の液面20が広くなるため、気泡中の水素ガスが気相中に放出されやすくなる。このことにより、電解液3中に水素ガスの気泡が滞留することを抑制することができ、気泡がアノード反応を阻害することを抑制することができる。
凹部22、25、貫通孔23を設けることにより、凹部22内、凹部25内または貫通孔23内に電解液が入り込むため、電解液槽2に電解液を補充する時に、電解液の液面の上昇速度を低下させることができる。このため、電解液槽2に電解液を補充する際に電解液槽2から電解液が溢れることを抑制することができ、金属空気電池の安全性を向上させることができる。また、凹部22、25、貫通孔23を設けることにより電解液の液面の面積が増加するため、電解液の液面の位置を確認しやすくなり、電解液槽2への電解液の補充が容易になる。
凹部22、25は、電解液の液面20における燃料極5と口縁部17との間隔が凹部22、25または貫通孔23が設けられていない部分における燃料極5と口縁部17との間隔よりも広くなるように設けられてもよい。このことにより、水素ガスの気泡が電解液3の液面20に向かう経路を増やすことができる。また、電解液3の液面20が広くなるため、気泡中の水素ガスが気相中に放出されやすくなる。電解液の液面20における燃料極5と口縁部17との間隔は、例えば、図2(d)に示した間隔xである。凹部22、25または貫通孔23が設けられていない部分における燃料極5と口縁部17との間隔は、例えば図2(c)に示した間隔yである。
ガス排出構造として燃料極5に設けた凹部22または貫通孔23について説明する。
燃料極5に凹部22または貫通孔23を設けることにより、燃料極5または燃料極ホルダー30の重量を軽くすることができる。このため、燃料極5における材料コストを低減することができ、また、燃料極5の輸送コストを低減することができる。
凹部22または貫通孔23の穴形状は、ガスを排出しうる形状であれば特に限定されないが、例えば、四角形、スリット形状などである。さらに凹部22は、電極活物質層8に設けられてもよく、燃料極集電体7に設けられてもよい。また、凹部22の形状は溝状とすることができる。また、凹部22の深さは、燃料極集電体7の厚さを100としたとき、10以上45以下とすることができる。
凹部22または貫通孔23は、燃料極5に複数設けられてもよい。このことのより、各凹部22または各貫通孔23において水素ガスの排出を促進することができ、電解液槽2中に気泡が滞留しやすい箇所が生じることを抑制することができる。また、凹部22または貫通孔23を複数設ける場合、各凹部22または各貫通孔23は同じサイズであってもよく、異なるサイズであってもよい。また、凹部22は、燃料極5の両主要面上にそれぞれ複数設けられてもよい。
また、燃料極5には、凹部22と貫通孔23の両方を組み合わせて設けてもよい。この場合、例えば、水素ガスがより溜まりやすい部分には貫通孔23を設けることができ、水素ガスがあまり溜まらない部分に凹部22を設けることができる。
凹部22または貫通孔23は、凹部22または貫通孔23の下端が口縁部17の下端よりも下側となるように設けることができる。このことにより、燃料極5と口縁部17の下端との間に気泡33の移動を妨げるボトルネックが形成されることを抑制することができ、電解液中の気泡の移動経路をより増加させることができる。その結果、発生した水素ガスがより排出されやすくなる。
凹部22は、燃料極5の両主要面上に設けられてもよく、燃料極5の一方の主要面上にのみ設けられてもよいが、凹部22を燃料極5の両主要面上に設けることが好ましい。両主要面上に凹部22を設けることにより、電解液槽2中に気泡が滞留しやすい箇所が生じることを抑制することができる。また、凹部22を燃料極5の両主要面上に設ける場合、両主要面上の凹部22は、対称となるように設けられてもよく、交互に位置するように設けられてもよい。
ガス排出構造として口縁部17に設けた凹部25について説明する。
金属空気電池本体31に含まれる口縁部17に凹部25を設けることにより、燃料極5に凹部または貫通孔を設ける必要が無いため、燃料極5の製造コストを低減することができる。
凹部25の穴形状は、ガスを排出しうる形状であれば特に限定されないが、例えば、四角形、スリット形状などである。凹部25の形状は溝状であってもよく、電解液槽2の底に近づくに従い徐々に燃料極5と口縁部17との距離が長くなる形状であってもよい。また、凹部25の深さは、口縁部17の厚さを100としたとき、10以上80以下とすることができる。
凹部25は、口縁部17に複数設けられてもよい。このことのより、各凹部25において水素ガスの排出を促進することができ、電解液槽2中に気泡が滞留しやすい箇所が生じることを抑制することができる。また、凹部25を複数設ける場合、各凹部25は、同じサイズであってもよく、異なるサイズであってもよい。また、凹部25は、燃料極5の両側の口縁部17にそれぞれ複数設けられてもよい。
凹部25は、凹部25の下端が口縁部17の下端となるように設けることができる。このことにより、燃料極5と口縁部17の下端との間に気泡33の移動を妨げるボトルネックが形成されることを抑制することができ、電解液中の気泡の移動経路をより増加させることができる。その結果、発生した水素ガスがより排出されやすくなる。また、凹部25の下端が口縁部17の下端となることにより、口縁部17の下側に気泡が溜まるスペースが形成されることを抑制することができる。このことにより、水素が排出される際に金属空気電池から電解液が噴き出すことを抑制することができ、金属空気電池の安全性を向上させることができる。
凹部25は、燃料極5を挟むように設けられた両側の口縁部17の両方に設けられてもよく、両側の口縁部17のうち一方のみに設けられてもよいが、凹部25を両側の口縁部17の両方に設けることが好ましい。両側の口縁部17に凹部25を設けることにより、電解液槽2中に気泡が滞留しやすい箇所が生じることを抑制することができる。また、凹部25を両側の口縁部17に設ける場合、両側の口縁部17に設けた凹部25は、対称となるように設けられてもよく、交互に位置するように設けられてもよい。
次に図面を用いてガス排出構造を説明する。図1(a)、図2(a)〜(d)に示した金属空気電池35または図1(b)、図3に示した燃料極ホルダー30では、板状の燃料極集電体7の両主要面にそれぞれ凹部22を設けることによりガス排出構造を形成している。なお、図3は、図2に示した金属空気電池35に含まれる燃料極ホルダー30の概略側面図である。
図2(a)〜(d)に示した金属空気電池35に含まれる燃料極ホルダー30および図3に示した燃料極ホルダー30は、板状で方形の燃料極集電体7の1つの辺が板状で方形の支持体13の中央部付近に接合され、T字形の断面を有している。支持体13と電極活物質層8との間に電極活物質層8が設けられていない燃料極集電体7の領域が一定の幅で設けられるように燃料極集電体7の両主要面上に電極活物質層8が設けられている。なお、燃料極集電体7の厚さはdである。
電極活物質層8が設けられていない燃料極集電体7の領域の両主要面上に、深さa、高さb、幅cの凹部22をそれぞれ設けている。なお、2つの凹部22は実質的に同じ形状であり、実質的に対象となるように設けている。これらの凹部22がガス排出構造となる。
また、凹部22は、燃料極ホルダー30を金属空気電池本体31に組み込んだ状態において口縁部17に挟まれる位置に配置されるように設けられ、電解液3の液面20が凹部22内に形成されるように設けられている。
このような燃料極ホルダー30に含まれる燃料極5を、幅lの電極挿入口15から電解液槽2内に挿入し、支持部13で電極挿入口15に蓋をすることより、燃料極ホルダー30を金属空気電池本体31に組み込み金属空気電池35を形成している。
このような構成とすると、液面20における燃料極集電体7と口縁部17との間隔は、凹部22を設けた部分では図2(d)に示したxとなり、凹部22を設けていない部分では図2(c)(d)に示したyとなる。
図4(a)は、図2の破線A−Aにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。図4(b)は、図2の破線B−Bにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。凹部22を設けていない部分では図4(b)のように燃料極集電体7と口縁部17との間隔がyで一定であるため、電解液中を上昇してきた気泡33が燃料極集電体7と口縁部17との間の電解液中に入りにくくなっている。また、燃料極集電体7と口縁部17との間に形成される電解液の液面20の幅yが狭いため、気泡33中の水素ガスが気相中に放出されにくい。このため、凹部22を設けていない部分では電解液中に水素ガスの気泡33が滞留しやすい。
これに対し、凹部22を設けている部分では、図4(a)のように燃料極集電体7と口縁部17との間隔がxであり、yよりも広い。このため、電解液中を上昇してきた気泡33は、凹部22中の電解液にも拡散することができ、燃料極集電体7と口縁部17との間の電解液中に入りやすい。また、燃料極集電体7と口縁部17との間に形成される電解液の液面20の幅xが広いため、気泡33中の水素ガスが気相中に放出されやすい。このため、凹部22を設けている部分では電解液中に水素ガスの気泡が滞留しにくい。
このため、凹部22を設けることにより、電解液中の気泡33に含まれる水素ガスの気相中への放出を促進することができ、電解液中に気泡33が滞留することを抑制することができる。このことにより、気泡がアノード反応を阻害することや、電解液を噴出させることなどを抑制することができる。
図5(a)は本実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、図5(b)は図5(a)の破線E−Eにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、図5(c)は図5(a)の破線F−Fにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。なお、図5(a)は、図5(b)(c)の破線G−Gにおける金属空気電池の概略断面図である。
図6は図5に示した金属空気電池に含まれる燃料極ホルダーの概略側面図である。
図5に示した金属空気電池では、電極活物質層8が設けられていない燃料極集電体7の領域に、長さd、高さb、幅cの貫通孔23を設けている。この貫通孔23がガス排出構造となる。
また、貫通孔23は、燃料極ホルダー30を金属空気電池本体31に組み込んだ状態において口縁部17に挟まれる位置に配置されるように設けられ、電解液3の液面20が貫通孔23内に形成されるように設けられている。
このような構成とすると、貫通孔23を設けた部分では、液面20の幅は電極挿入口15の幅lと同じである。貫通孔23を設けていない部分では、液面20の幅は図5(c)に示した燃料極集電体7と口縁部17との幅yと同じである。
その他の構成は、矛盾がない限り図2に示した金属空気電池35についての説明と同様である。
図7(a)は、図5の破線E−Eにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。図7(b)は、図5の破線F−Fにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。貫通孔23を設けていない部分では図7(b)のように燃料極集電体7と口縁部17との間隔がyで一定であるため、電解液中を上昇してきた気泡33が燃料極集電体7と口縁部17との間の電解液中に入りにくくなっている。また、燃料極集電体7と口縁部17との間に形成される電解液の液面20の幅yが狭いため、気泡中の水素ガスが気相中に放出されにくい。このため、貫通孔23を設けていない部分では電解液中に水素ガスの気泡33が滞留しやすい。
これに対し、貫通孔23を設けている部分では、図7(a)のように液面20の幅がlでありyよりも広い。このため、電解液中を上昇してきた気泡33は、貫通孔23中の電解液3にも拡散することができる。また、液面20の幅lが広いため、気泡33中の水素ガスが気相中に放出されやすい。このため、貫通孔23を設けている部分では電解液中に水素ガスの気泡が滞留しにくい。
このため、貫通孔23を設けることにより、電解液中の気泡33に含まれる水素ガスの気相中への放出を促進することができ、電解液中に気泡33が滞留することを抑制することができる。このことにより、気泡がアノード反応を阻害することや、電解液を噴出させることなどを抑制することができる。
図8(a)は本実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、図8(b)は図8(a)の破線H−Hにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、図8(c)は図8(a)の破線J−Jにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。なお、図8(a)は、図8(b)(c)の破線K−Kにおける金属空気電池の概略断面図である。
図9は図8に示した金属空気電池35に含まれる燃料極ホルダー30の概略側面図である。
図8に示した金属空気電池35では、電極活物質層8が設けられていない燃料極集電体7の領域に、長さd、高さb、幅cの貫通孔23を複数、等間隔で設けている。この複数の貫通孔23がガス排出構造となる。その他の構成は、矛盾がない限り図5に示した金属空気電池についての説明と同様である。
このような構成によると、図5に示した金属空気電池35と同様に、電解液中の気泡33に含まれる水素ガスの気相中への放出を促進することができ、電解液中に気泡33が滞留することを抑制することができる。
また、複数の貫通孔23を設けることにより、各貫通孔23において気泡33内の水素ガスを気相中へ放出させることができ、電解液中に気泡33が滞留しやすい箇所が生じることを抑制することができる。
図10(a)は本実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、図10(b)は図10(a)の破線L−Lにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、図10(c)は図10(a)の破線M−Mにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。なお、図10(a)は、図10(b)(c)の破線N−Nにおける金属空気電池の概略断面図である。
図11は図10に示した金属空気電池35に含まれる燃料極ホルダー30の概略側面図である。
図10に示した金属空気電池35では、電極活物質層8が設けられていない燃料極集電体7の領域に、長さd、高さb、幅cの貫通孔23を設けている。高さbは、貫通孔23の下端が口縁部17の下端よりも下側に位置するように設定している。この貫通孔23がガス排出構造となる。その他の構成は、矛盾がない限り図5に示した金属空気電池についての説明と同様である。
図12(a)は、図10の破線L−Lにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。図12(b)は、図10の破線M−Mにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。貫通孔23を設けていない部分では図12(b)のように燃料極集電体7と口縁部17との間隔がyで一定であるため、電解液中を上昇してきた気泡33が燃料極集電体7と口縁部17との間の電解液中に入りにくくなっている。
これに対し、貫通孔23を設けている部分では、図12(a)のように貫通孔23の下端が口縁部17の下端よりも下側に位置するため、口縁部17の下端と燃料極5との間に電解液中を上昇する気泡33のボトルネックが形成されることを抑制することができ、気泡33が貫通孔23中の電解液に拡散しやすい。また、液面20の幅lが広いため、気泡33中の水素ガスが気相中に放出されやすい。このため、貫通孔23を設けている部分では電解液中に水素ガスの気泡が滞留しにくい。
このため、貫通孔23を設けることにより、電解液中の気泡33に含まれる水素ガスの気相中への放出を促進することができ、電解液中に気泡33が滞留することを抑制することができる。このことにより、気泡がアノード反応を阻害することや、電解液を噴出させることなどを抑制することができる。
図13(a)は本実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、図13(b)は図13(a)の破線O−Oにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、図13(c)は図13(a)の破線P−Pにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。なお、図13(a)は、図13(b)(c)の破線Q−Qにおける金属空気電池の概略断面図である。
図14は図13(a)の一点鎖線R−Rにおける金属空気電池の概略断面図である。
図13に示した金属空気電池35では、燃料極集電体7にガス排出構造を設けておらず、口縁部17にガス排出構造を設けている。
図13に示した金属空気電池35では、口縁部17の電極挿入口15に面した部分に、深さa、高さb、幅cの凹部25を設けている。この凹部25がガス排出構造となる。また、凹部25は、電解液3の液面20が凹部25内に形成されるように設けられている。
このような構成とすると、凹部25を設けた部分では、液面20の幅は燃料極集電体7と口縁部17の隙間yと凹部25の深さaとを足した幅となる。凹部25を設けていない部分では、液面20の幅は図13(c)に示したyとなる。
その他の構成は、矛盾がない限り図2に示した金属空気電池についての説明と同様である。
図15(a)は、図13の破線O−Oにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。図15(b)は、図13の破線P−Pにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。凹部25を設けていない部分では図15(b)のように燃料極集電体7と口縁部17との間隔がyで一定であるため、電解液中を上昇してきた気泡33が燃料極集電体7と口縁部17との間の電解液中に入りにくくなっている。このため、凹部25を設けていない部分では電解液中に水素ガスの気泡33が滞留しやすい。
これに対し、凹部25を設けている部分では、図15(a)のように液面20の幅がy+aでありyよりも広い。このため、電解液中を上昇してきた気泡33は、凹部25中の電解液にも拡散することができる。また、液面20の幅y+aが広いため、気泡33中の水素ガスが気相中に放出されやすい。このため、凹部25を設けている部分では電解液中に水素ガスの気泡が滞留しにくい。
このため、凹部25を設けることにより、電解液中の気泡33に含まれる水素ガスの気相中への放出を促進することができ、電解液中に気泡33が滞留することを抑制することができる。このことにより、気泡がアノード反応を阻害することや、電解液を噴出させることなどを抑制することができる。
図16(a)は本実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、図16(b)は図16(a)の破線S−Sにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、図16(c)は図16(a)の破線T−Tにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。なお、図16(a)は、図16(b)(c)の破線V−Vにおける金属空気電池の概略断面図である。
図17は図16(a)(b)の一点鎖線U−Uにおける金属空気電池の概略断面図である。
図16に示した金属空気電池35では、口縁部17の電極挿入口15に面した部分に、電解液槽2の底に近づくに従い口縁部17と燃料極集電体7との間隔が徐々に広くなる凹部25を設けている。また、凹部25は、最も深い深さa、高さb、幅cとしている。また、凹部25の最深部は、口縁部17の最下部に設けている。この凹部25がガス排出構造となる。また、凹部25は、電解液3の液面20が凹部25内に形成されるように設けられている。
このような構成とすると、凹部25を設けた部分では、液面20の幅は燃料極集電体7と口縁部17の隙間yと凹部25の深さとを足した幅となる。凹部25を設けていない部分では、液面20の幅は図16(c)に示したyとなる。
その他の構成は、矛盾がない限り図13に示した金属空気電池35についての説明と同様である。
図18(a)は、図16の破線S−Sにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。図18(b)は、図13の破線T−Tにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。凹部25を設けていない部分では図18(b)のように燃料極集電体7と口縁部17との間隔がyで一定であるため、電解液中を上昇してきた気泡33が燃料極集電体7と口縁部17との間の電解液中に入りにくくなっている。このため、凹部25を設けていない部分では電解液中に水素ガスの気泡33が滞留しやすい。また、凹部25を設けていない部分では図18(b)のように口縁部17の下部に水素ガスがたまり易い。
これに対し、凹部25を設けている部分では、図18(a)のように液面の幅がy+凹部25の深さでありyよりも広い。このため、電解液中を上昇してきた気泡33は、凹部25中の電解液にも拡散することができる。また、液面20の幅が広いため、気泡33中の水素ガスが気相中に放出されやすい。このため、凹部25を設けている部分では電解液中に水素ガスの気泡が滞留しにくい。また、凹部25の最深部を口縁部17の最下部に設けることにより、口縁部17の下部に水素ガスがたまることを抑制することができる。
このため、凹部25を設けることにより、電解液中の気泡33に含まれる水素ガスの気相中への放出を促進することができ、電解液中に気泡33が滞留することを抑制することができる。このことにより、気泡がアノード反応を阻害することや、電解液を噴出させることなどを抑制することができる。
図19(a)は本実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、図19(b)は図19(a)の破線W−Wにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、図19(c)は図19(a)の破線X−Xにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。なお、図19(a)は、図19(b)(c)の破線Z−Zにおける金属空気電池の概略断面図である。
図20は図19(a)の一点鎖線Y−Yにおける金属空気電池の概略断面図である。
図19に示した金属空気電池35では、口縁部17の電極挿入口15に面した部分に、口縁部17の最上部から最下部まで深さが一定である凹部25を設けている。また、凹部25は、深さa、高さb、幅cとしている。この凹部25がガス排出構造となる。また、凹部25は、電解液3の液面20が凹部25内に形成されるように設けられている。
このような構成とすると、凹部25を設けた部分では、液面20の幅は燃料極集電体7と口縁部17の隙間yと凹部25の深さaとを足した幅となる。凹部25を設けていない部分では、液面20の幅は図19(c)に示したyとなる。
その他の構成は、矛盾がない限り図13に示した金属空気電池35についての説明と同様である。
図21(a)は、図19の破線W−Wにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。図21(b)は、図19の破線X−Xにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。凹部25を設けていない部分では図21(b)のように燃料極集電体7と口縁部17との間隔がyで一定であるため、電解液中を上昇してきた気泡33が燃料極集電体7と口縁部17との間の電解液中に入りにくくなっている。このため、凹部25を設けていない部分では電解液中に水素ガスの気泡33が滞留しやすい。また、凹部25を設けていない部分では図21(b)のように口縁部17の下部に水素ガスがたまり易い。
これに対し、凹部25を設けている部分では、図21(a)のように液面20の幅がy+aでありyよりも広い。このため、電解液中を上昇してきた気泡33は、凹部25中の電解液にも拡散することができる。また、液面20の幅が広いため、気泡33中の水素ガスが気相中に放出されやすい。このため、凹部25を設けている部分では電解液中に水素ガスの気泡が滞留しにくい。
このため、凹部25を設けることにより、電解液中の気泡33に含まれる水素ガスの気相中への放出を促進することができ、電解液中に気泡33が滞留することを抑制することができる。このことにより、気泡がアノード反応を阻害することや、電解液を噴出させることなどを抑制することができる。
図22(a)は本実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、図22(b)は図22(a)の破線A−Aにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、図22(c)は図22(a)の破線B−Bにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。なお、図22(a)は、図22(b)(c)の破線D−Dにおける金属空気電池の概略断面図である。
図23は図22(a)の一点鎖線C−Cにおける金属空気電池の概略断面図である。
図22に示した金属空気電池35では、口縁部17の電極挿入口15に面した部分に、口縁部17の最上部から最下部まで深さが一定である凹部25を複数設けている。また、複数の凹部25は、深さa、高さb、幅cとしている。この凹部25がガス排出構造となる。また、凹部25は、電解液3の液面20が凹部25内に形成されるように設けられている。
このような構成とすると、凹部25を設けた部分では、液面20の幅は燃料極集電体7と口縁部17の隙間yと凹部25の深さaとを足した幅となる。凹部25を設けていない部分では、液面20の幅は燃料極集電体7と口縁部17の隙間yとなる。
その他の構成は、矛盾がない限り図13に示した金属空気電池35についての説明と同様である。
このような構成によると、図19に示した金属空気電池35と同様に、電解液中の気泡33に含まれる水素ガスの気相中への放出を促進することができ、電解液中に気泡33が滞留することを抑制することができる。
また、複数の凹部25を設けることにより、各凹部25において気泡33内の水素ガスを気相中へ放出させることができ、電解液槽2中に気泡33が滞留しやすい箇所が形成されることを抑制することができる。
図24(a)は本実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、図24(b)は図24(a)の破線E−Eにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、図24(c)は図24(a)の破線F−Fにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。なお、図24(a)は、図24(b)(c)の破線G−Gにおける金属空気電池の概略断面図である。
図24に示した金属空気電池35では、口縁部17の電極挿入口15に面した部分に、口縁部17の最上部から最下部まで深さが一定である凹部25を設けている。また、燃料極集電体7に貫通孔23を設けている。また、凹部25および貫通孔23は、電解液3の液面20が凹部25内および貫通孔23内に形成されるように設けられている。凹部25と貫通孔23の両方がガス排出構造となる。
このような構成とすると、凹部25および貫通孔23を設けた部分では、液面20の幅はl(2a+2y+d)となる。凹部25および貫通孔23を設けていない部分では、液面20の幅は図24(c)に示したyとなる。
その他の構成は、矛盾がない限り図13に示した金属空気電池35についての説明と同様である。
図25(a)は、図24の破線E−Eにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。図25(b)は、図24の破線F−Fにおける金属空気電池35において水素ガスの気泡33が電解液中を上昇し液面20上の気相に水素ガスを放出する状態の説明図である。凹部25および貫通孔23を設けていない部分では図25(b)のように燃料極集電体7と口縁部17との間隔がyで一定であるため、電解液中を上昇してきた気泡33が燃料極集電体7と口縁部17との間の電解液中に入りにくくなっている。このため、凹部25および貫通孔23を設けていない部分では電解液中に水素ガスの気泡33が滞留しやすい。また、凹部25および貫通孔23を設けていない部分では図25(b)のように口縁部17の下部に水素ガスがたまり易い。
これに対し、凹部25および貫通孔23を設けている部分では、図25(a)のように液面20の幅が広い。このため、電解液中を上昇してきた気泡33は、凹部25中の電解液および貫通孔23中の電解液にも拡散することができる。また、液面20の幅が広いため、気泡33中の水素ガスが気相中に放出されやすい。このため、凹部25および貫通孔23を設けている部分では電解液中に水素ガスの気泡が滞留しにくい。
このため、凹部25および貫通孔23を設けることにより、電解液中の気泡33に含まれる水素ガスの気相中への放出を促進することができ、電解液中に気泡33が滞留することを抑制することができる。このことにより、気泡がアノード反応を阻害することや、電解液を噴出させることなどを抑制することができる。
図26(a)は本実施形態の金属空気電池の概略断面図であり、図26(b)は図26(a)の破線H−Hにおける金属空気電池の一部の概略断面図であり、図26(c)は図26(a)の破線J−Jにおける金属空気電池の一部の概略断面図である。なお、図26(a)は、図26(b)(c)の破線K−Kにおける金属空気電池の概略断面図である。
図26に示した金属空気電池35では、口縁部17が空気極集電体10の一部と筐体1の一部とから構成される。また、燃料極集電体7に貫通孔23を設けている。また、貫通孔23は、電解液3の液面20が貫通孔23内に形成されるように設けられている。この貫通孔23がガス排出構造となる。
このような構成とすると、貫通孔23を設けた部分では、液面20の幅はl(2y+d)となる。貫通孔23を設けていない部分では、液面20の幅は図26(c)に示したyとなる。
その他の構成は、矛盾がない限り図13に示した金属空気電池35についての説明と同様である。
このような構成によっても、電解液中の気泡33に含まれる水素ガスの気相中への放出を促進することができ、電解液中に気泡33が滞留することを抑制することができる。
6.空気極、空気極集電体、イオン交換膜
空気極9は、カソードとなる電極である。また、空気極9は、空気極触媒層11と空気極集電体10とを含んでもよい。空気極9では、大気中の酸素ガスと水と電子から水酸化物イオン(OH-)を生成する。空気極触媒層11は、例えば、導電性の多孔性担体と多孔性担体に担持された空気極触媒とを含んでもよい。このことにより、空気極触媒上において、酸素ガスと水と電子を共存させることが可能になり、電極反応を進行させることが可能になる。電極反応に使われる水は、大気中から供給されてもよく、電解液から供給されてもよい。
また、空気極9は、空気極触媒を担持した多孔性担体を導電性多孔性基材(ガス拡散層)に塗布することにより作製されてもよい。例えば、空気極9は、空気極触媒を担持したカーボンをカーボンペーパーやカーボンフェルトに塗布することにより作製することができる。このガス拡散層は、空気極集電体10として機能してもよい。
金属空気電池35は、空気極触媒層11の電荷を集電する空気極集電体10を備えてもよい。このことにより、空気極触媒層11で生じた電荷を効率よく外部回路へと取り出すことができる。また、空気極集電体10は、空気流路12を形成する部材と同じ部材であってもよい。
空気極集電体10の材料としては、電解液に対して耐食性すれば特に限定されないが、例えば、ニッケル、金、銀、銅、ステンレスなどである。また、空気極集電体10は、ニッケルめっき処理、金めっき処理、銀めっき処理、銅めっき処理された導電性基材などであってもよい。この導電性基材には、鉄、ニッケル、ステンレスなどを用いることができる。
また、空気極集電体10の形状は、例えば、板状、メッシュ状、パンチングメタルなどとすることができる。
また、空気極集電体10は、口縁部17を構成してもよい。
また、空気極集電体10と、多孔性担体又は導電性多孔性基材(ガス拡散層)とを接合する方法としては、フレームを介してネジ止めにより圧着する方法や、導電性接着剤を用いて結合させる方法などが挙げられる。
また、空気極9は、空気極集電体10が空気極触媒層11の内部に設けられる構造を取ってもよい。
1つのセル4に含まれる空気極9は、燃料極5の一方側にのみ設けられてもよく、図1のように燃料極5の両側にそれぞれ設けられてもよい。
空気極触媒層11に含まれる多孔性担体には、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、活性炭等の導電性カーボン粒子が挙げられる。また、気相法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー等の炭素繊維を用いることもできる。
空気極触媒には、たとえば、白金、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、モリブデン、マンガン、これらの金属化合物、およびこれらの金属の2種以上を含む合金からなる微粒子が挙げられる。この合金は、白金、鉄、コバルト、ニッケルのうち少なくとも2種以上を含有する合金が好ましく、たとえば、白金−鉄合金、白金−コバルト合金、鉄−コバルト合金、コバルト−ニッケル合金、鉄−ニッケル合金等、鉄−コバルト−ニッケル合金が挙げられる。
また、空気極触媒層11に含まれる多孔性担体は、その表面に陽イオン基が固定イオンとして存在するように表面処理がなされていてもよい。このことにより、多孔性担体の表面を水酸化物イオンが伝導できるため、空気極触媒上で生成した水酸化物イオンが移動しやすくなる。
また、空気極触媒層11は、多孔性担体に担持されたアニオン交換樹脂を有してもよい。このことにより、アニオン交換樹脂を水酸化物イオンが伝導できるため、空気極触媒上で生成した水酸化物イオンが移動しやすくなる。
空気極触媒層11は、大気に直接接するように設けてもよく、空気流路12を流れる空気が空気極9に供給されるように設けてもよい。このことにより、空気極9に酸素ガスを供給することができる。また、空気流路12を設ける場合、空気流路12に加湿された空気を流すことにより、空気極9に酸素ガスと共に水も供給できる。空気流路12は、例えば、図1(c)に示した金属空気電池本体31に含まれる筐体1に設けることができる。
空気極触媒層11は電解液槽2内の電解液3に接触するように設けてもよい。このことにより、空気極触媒層11で生成した水酸化物イオンが容易に電解液3へ移動することができる。また、空気極触媒層11における電極反応に必要な水が電解液3から空気極触媒層11に供給されやすくなる。
また、空気極触媒層11は、電解液槽2に溜める電解液3と接触する多孔性樹脂またはイオン交換膜と接触するように設けてもよい。多孔性樹脂またはイオン交換膜は、電解液槽2内の電解液3と空気極触媒層11とを仕切るように設けることができる。また、イオン交換膜は、アニオン交換膜であってもよい。このことにより、空気極触媒層11で発生した水酸化物イオンがアニオン交換膜を伝導し、電解液へ移動することができる。
また、多孔性樹脂を設けることにより、空気極触媒層11と電解液3との間を移動する極微細な粒子が空気極9へ付着することを抑制できる。
イオン交換膜を設けることにより、空気極触媒層11と電解液3との間を移動するイオン種を限定することができる。イオン交換膜がアニオン交換膜である場合、アニオン交換膜は、固定イオンである陽イオン基を有するため、電解液中の陽イオンは空気極触媒層11に伝導することはできない。これに対し、空気極触媒層11で生成した水酸化物イオンは陰イオンであるため、電解液へと伝導することができる。このことにより、金属空気電池35の電池反応が進行させることができ、かつ、電解液3中の陽イオンが空気極触媒層11に移動するのを防止することができる。このことにより、空気極触媒層11における金属や炭酸化合物の析出を抑制することができる。
また、多孔性樹脂またはイオン交換膜を設けることにより、電解液3に含まれる水が空気極触媒層11に過剰に供給されることを抑制することができる。
多孔性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール系の多孔膜もしくは不織布が挙げられる。孔径は特に限定されないが、5μm以下であることが好ましい。電解液の流通が良くなるよう親水化処理されていることが好ましい。
イオン交換膜としては、たとえば、パーフルオロスルホン酸系、パーフルオロカルボン酸系、スチレンビニルベンゼン系、第4級アンモニウム系の固体高分子電解質膜(アニオン交換膜)が挙げられる。
1:筐体 2:電解液槽 3:電解液 4:セル 5:燃料極 7:燃料極集電体 8:電極活物質層 9:空気極 10:空気極集電体 11:空気極触媒層 12:空気流路 13:支持部 15:電極挿入口 17:口縁部 20:電解液の液面 22:燃料極の凹部 23:燃料極の貫通孔 25:口縁部の凹部 28:ガス排出孔 30:燃料極ホルダー 31:金属空気電池本体 33:気泡 35:金属空気電池

Claims (4)

  1. 電解液を収容する電解液槽と、前記電解液槽中に設けられかつアノードとなる燃料極と、カソードとなる空気極と、前記燃料極を前記電解液槽中に挿入するための電極挿入口と、前記電極挿入口の周りの口縁部とを備え、
    記口縁部は、前記電解液深さ方向に傾斜し広くなる第1部を有し、
    前記第1部は、前記電解液の液面が前記第1凹部内に形成されるように設けられたことを特徴とする金属空気電池。
  2. 前記第1部は、複数個設けられた請求項1に記載の金属空気電池。
  3. 前記燃料極は、板状の燃料極集電体と、前記燃料極集電体上に設けられた電極活物質層とを有し、
    前記燃料極集電体は、第2凹部または貫通孔を有し、
    前記第2凹部または前記貫通孔は、前記電解液の液面が前記第2凹部内または前記貫通孔内に形成されるように設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属空気電池。
  4. 前記第2凹部または前記貫通孔は、前記燃料極集電体において、前記電極活物質層が設けられていない領域に配される、請求項3に記載の金属空気電池。
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