JP6153154B2 - ジェミニウイルス複製阻害剤 - Google Patents

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Description

本発明は植物ウイルスに対する有効な感染防除手段に関するものである。より具体的には、植物ウイルスであるジェミニウイルスに対する複製阻害剤及びジェミニウイルス感染に耐性を有する植物などに関する。
ジンクフィンガーはヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフ、ロイシンジッパーモチーフとともにDNA結合モチーフの一つであり、アミノ末端側に2個のシステインとカルボキシル末端側に2個のヒスチジンをもち、これらの残基にジンク(Zn)が配位した三次元構造をとっている。ジンクフィンガーはDNAに対して非常に強い結合力を有することから、このモチーフを利用して、DNAに対して強固に結合する人工DNA結合タンパク質((以下、本明細書において「AZP」と呼ぶ場合がある)が提案されており、認識コード表(Nondegenerate Recognition Code Table)を用いて特定の塩基配列を認識することができるように設計されたAZPが報告されている(特表2004-519211号公報;Biochemistry, 41, pp.7074-7081, 2002)。
ジンクフィンガーモチーフひとつで3bp又は4bpを認識して結合することができ、ジンクフィンガーをペプチドリンカーで連結させることで特異的に結合させたい塩基配列の長さを調節することができる。ジンクフィンガーモチーフの4番目の認識塩基配列はアンチセンス鎖であり、次のジンクフィンガーモチーフの1番目の認識塩基配列に重なるので、ジンクフィンガーモチーフN個につき3N+1bpの塩基配列を認識して結合する(図1を参照)。
このAZPを用いて植物DNAウイルスに対する感染防除を達成できることが報告されている(J. Virology, 79, pp.2614-2619, 2005)。この刊行物には、シロイヌナズナにおいて植物DNAウイルスであるBeet Severe Curly Top Virus (BSCTV)に対するAZPの感染防除効果が報告されているが、 この方法では、ウイルス複製の開始に必要な複製タンパク質(Rep)の複製起点上のRep結合サイト(direct repeats)への結合をAZPにより阻害する手段が採用されており、複製起点のdirect repeatsに基づいてRepよりも高いDNA結合能をもつAZPを設計してウイルス複製を阻害する方法である。しかしながら、Repのdirect repeatsをAZPでブロックするこの方法では、複製起点がウイルス固有の塩基配列を有していることから、様々な植物ウイルスに対応するためにはそれぞれ別のAZPを用いなければならないという問題がある。このような観点から、単一のAZPにより多様な植物ウイルスに対する感染防除効果を達成する手段の提供が求められている。
一方、トマト黄化葉巻病はトマトに感染するウイルス病であり、タバココナジラミによって媒介されるトマト黄化葉巻ウイルス(Tomato Yellow Leaf Curl Virus: TYLCV)の感染により発病する。トマト黄化葉巻病は発病すると新葉が縁から退色・黄化して葉巻症状を示し、その後、葉が萎縮して株全体が矮化して生長が停止してしまう。トマト黄化葉巻病は地中海沿岸、アフリカ、中近東、アジア、中南米などで深刻な被害をもたらしている。TYLCVには多くの分離株が存在しているが、これまで 日本国においてはTYLCVイスラエル株(劇症型: 長崎株及び土佐株)及びTYLCVマイルド株(マイルド型: 静岡株及び愛知株)などが報告されている。
TYLCVはジェミニウイルス科(Geminiviridae)に属しているが、ジェミニウルイスは植物に感染する一本鎖の環状DNAを1つ又は2つ有するウイルスの総称である。ジェミニウイルスにはPotato yellow mosaic virusやBean golden mosaic virusなど様々な植物ウイルスが包含されているが、ジェミニウイルスにおいて高度に保存されている塩基配列をターゲットとしたウイルス複製阻害手段を提供することができれば、TYLCV感染のみならず、多様な植物ウイルス感染を有効に防除することができるものと期待される。なお、ジェミニウイルス持続耐性を有する形質転換植物の作製方法については国際公開WO2004/101798に開示された方法などが知られているが、本発明のアプローチとは全く異なる。
特表2004-519211号公報 国際公開WO2004/101798
Biochemistry, 41, pp.7074-7081, 2002 J. Virology, 79, pp.2614-2619, 2005
本発明の課題は、ジェミニウイルスに対する有効な感染防除手段を提供することにある。より具体的には、ジェミニウイルスの複製を阻害する薬剤及びジェミニウイルスに対して耐性を有する植物などを提供することが本発明の課題である。
ジェミニウイルスは植物内に入るとまず植物内在性の因子によって二重鎖環状DNAとなる。次にウイルス由来の複製タンパク質(Rep)がIntergenic Region(IR)のステムループの上流にあるRep結合サイトに結合する。Repは多機能を有するタンパク質であり、Rep結合サイトに結合し、ステムループのループ部分の9塩基配列にニックを入れた後、ニックの入ったDNAの5'末端と共有結合する。その後、3'末端から−鎖を鋳型としてDNA合成が開始され、ゲノムが1コピー合成されたところで新たにできた9塩基配列にRepによって再びニックがはいる。同時に切り出されたゲノム1コピー分のDNAはRepによってライゲーションされて一本鎖環状DNAが複製されるが、Repは新しくできた5'末端と共有結合する。この繰り返しによりジェミニウイルスの複製が行われるが、Rep以外の複製に必要な材料はすべて植物由来のものである(図2、及び化学と生物, 41, pp.311-317, 2003などを参照のこと)。
Repは一本鎖DNAしか切断しないことが知られており、RepがウイルスDNAを切断するためにはウイルスDNAがステムループ構造をとる必要がある。ジェミニウイルスではこのステムループを形成する塩基配列が極めて高度に保存されていることが知られている。一般的に、ステム領域は9つのGC対と2つのAT対からなり、ループ領域は11塩基又は12塩基からなり、TT、TTT、TA、又はATAに続いてTAATATTACの塩基配列が存在する(化学と生物, 41, pp.311-317, 2003におけるp.313の図2などを参照のこと)。
本発明者らはこのステムループ部分に着目し、ジェミニウイルスに属する多様なウイルスの複製を共通して阻害することができる手段を提供すべく鋭意研究を行った。その結果、ステムループ部分のDNAにAZPを特異的に結合させることによりウイルスDNAの二重鎖構造を安定化し、ステムループへの構造変化を阻害することによって、一本鎖DNAしか切断できないRepによるウイルスDNAの切断を阻害することができることを見出した。また、このウイルス複製阻害作用が実際に植物体において機能することを確認した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明により、ジェミニウイルスに対する複製阻害剤であって、ジェミニウイルスのステムループ領域の全長DNA又は該全長DNAから選ばれる1又は2以上の部分DNAに特異的に結合することができるジンクフィンガータンパク質を含み、かつステムループ構造の形成を阻害することができる複製阻害剤が提供される。
この発明の好ましい態様によれば、ジェミニウイルスのステム領域の全長DNAから選ばれる1個の部分DNAに結合可能な単一のジンクフィンガータンパク質を含む上記の複製阻害剤;ジェミニウイルスのステム領域の全長DNAから選ばれる2個以上の部分DNAに結合可能な単一のジンクフィンガータンパク質を含む上記の複製阻害剤;上記ジンクフィンガータンパク質が10個のジンクフィンガードメインを含むジンクフィンガータンパク質である上記の複製阻害剤;ジェミニウイルスのステム領域の全長DNAから選ばれる2以上の部分DNAにそれぞれ結合可能なジンクフィンガータンパク質をリンカーで2個以上結合したジンクフィンガータンパク質を含む上記の複製阻害剤;2個のジンクフィンガータンパク質を含む上記の複製阻害剤;2個のジンクフィンガータンパク質が、3個のジンクフィンガードメインを含むジンクフィンガータンパク質及び6個のジンクフィンガードメインを含むジンクフィンガータンパク質である上記の複製阻害剤が提供される。
また、本発明により、上記のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸、及びジェミニウイルスに対する複製阻害剤であって、上記のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸を含む複製阻害剤も提供される。
上記発明の好ましい態様によれば、ジェミニウイルスがベゴモウイルス(Begomovirus)属に属するウイルスである上記の複製阻害剤;ジェミニウイルスがトマト黄化葉巻ウイルスである上記の複製阻害剤が提供される。
別の観点からは、本発明により、上記のジンクフィンガータンパク質又は上記のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸を含む抗ジェミニウイルス剤;上記のジンクフィンガータンパク質又は上記のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸を含むジェミニウイルスに対する感染予防剤;ジェミニウイルス感染に対する防除用の農薬であって、上記のジンクフィンガータンパク質又は上記のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸を含む農薬が提供される。
さらに別の観点からは、本発明により、植物のジェミニウイルス感染を予防する方法であって、上記のジンクフィンガータンパク質又は上記のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸の予防有効量を植物に施用する工程を含む方法;ジェミニウイルス感染に対する防除方法であって、上記のジンクフィンガータンパク質又は上記のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸の防除有効量を植物に施用する工程を含む方法が提供される。
また、本発明により、ジェミニウイルスに対して耐性を有する植物であって、上記のジンクフィンガータンパク質を発現可能な遺伝子組み換え植物;ジェミニウイルスに対して耐性を有する植物であって、上記のジンクフィンガータンパク質をコードする遺伝子が導入された形質転換植物;植物にジェミニウイルスに対する耐性を獲得させる方法であって、上記のジンクフィンガータンパク質をコードする遺伝子で植物を形質転換する工程を含む方法が提供される。
さらに本発明により、上記のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸を含む組換えベクター、及び植物をジェミニウイルスに対して耐性を有する植物に形質転換するために用いる上記の組換えベクターが提供される。ベクターとしては植物用のウイルスベクターなどを用いることができる。
本発明の複製阻害剤は、ジェミニウイルスにおいて高度に保存されているステムループ領域をターゲットとしていることから、多様なジェミニウイルス感染に対して共通の複製阻害剤として作用することができる。従って、本発明の複製阻害剤は、ジェミニウイルスに包含される代表的なウイルスであるTYLCV感染のみならず、他のジェミニウイルスに対しても高い有効性を発揮することができるので、多様なジェミニウイルスに対する防除手段として極めて有用である。
ジンクフィンガーモチーフとDNAとの結合様式を示した図である。 ジェミニウイルスの複製工程の概念図である。 ジェミニウイルスとTYLCVの包含関係を示した図である。 TYLCVのステムループ領域を示した図である。 ジェミニウイルスに包含される数種のウイルスについてのステムルイープ領域の相同性を示した図である。 TYLCVのみを標的とする複製阻害剤の例(上段)及び多様なジェミニウイルスを標的とする複製阻害剤の例(下段)を示した図である。 TYLCV専用AZP-2の作成工程を示したスキームである。 ジェミニウイルス汎用AZP-3の作成工程を示したスキームである。 TYLCV専用AZP-2の標的DNA配列への結合能をゲルシフトアッセイにより評価した結果を示した図である。 ジェミニウイルス汎用AZP-3の標的DNA配列への結合能をゲルシフトアッセイにより評価した結果を示した図である。 比較のためRepNの標的DNA配列への結合能をゲルシフトアッセイにより評価した結果を示した図である。 Repの複製起点切断に対するGST-AZP(AZP-2)の阻害活性を示した図である。レーン1は基質DNA、レーン2は切断生成物マーカーを示し、レーン3は2μM GST-Repによる切断を示す。 Repの複製起点切断に対するGST-AZP(AZP-3)の阻害活性を示した図である。GST-Rep濃度2μM、反応温度25℃、反応時間30分における切断物を示した。 pUC35SO-TYLCV3/4/6の作製方法を示した図である。35S: カリフラワーモザイクウイルス由来プロモーター;NLS: 核局在化シグナル;Ω: 翻訳効率を上昇させるための5'-leader配列;NOST: ターミネーター;TYLCV3/4/6: 全TYLCVにおいて共通塩基配列に結合するAZP(認識配列は5'-GGCCATCCGTATAATATTACCGGATGGCCGC-3')。 形質転換用APZ発現プラスミドの作製方法を示した図である。NOS: ノバリン合成プロモーター(Agrobacterium tumefaciens由来);NPT2: カナマイシン耐性遺伝子;GUS: β-ガラクトシダーゼ遺伝子;RB(ライトボーダー)及びLB(レフトボーダー): 約25bpの繰り返し配列(この配列に挟まれたDNA領域が植物ゲノムに転移する)。 形質転換体T1について挿入遺伝子の構造、並びにカナマイシン耐性遺伝子及びAZP遺伝子を検出するためのPCRプライマーセットを示した図である。 形質転換体T1についてカナマイシン耐性遺伝子及びAZP遺伝子を検出した結果を示した図である。レーン1〜4は各T1植物から抽出したDNAを、Nは野生型トマトから抽出したDNAを、Pは形質転換に用いたバイナリーベクターをそれぞれ用いてPCRを行った結果を示した。 AZP発現カセット全領域における挿入遺伝子の構造、並びにゲノムに挿入されていることを確認するためのプライマーセットを示した図である。 AZP-2を導入して得られたT2植物におけるAZP遺伝子挿入をPCRにより確認した結果を示した図である。AZP発現カセットの検出のため、レーン1〜8は各T1植物から抽出したDNAを、Pは形質転換に用いたバイナリーベクターをそれぞれ用いてPCRを行った結果を示した。 AZP-2を導入して得られたT2植物についてPCRによりAZP挿入遺伝子のコピー数を同定した結果を示した図である。レーン1〜18は特定の形質転換体T1からのT2植物から抽出したDNA、Nは野生型トマトから抽出したDNA、Pは形質転換に用いたバイナリーベクターをそれぞれ用いてPCRを行った結果を示す。 AZP-2を導入して得られたT2植物におけるAZPの発現を確認した結果を示した図である。図20に示したT2植物の葉の抽出液から抗HA抗体によるウェスタンブロット法によりAZPを検出した。図中のレーンの番号は図20に対応させてある。 AZP-2を導入して得られたT3植物についてPCRによりAZP挿入遺伝子のホモのT2ラインを同定した結果を示した図である。レーン1〜16は特定のT2ラインからのT3植物から抽出したDNAを用いてPCRを行った結果を示す。全てのT3個体においてAZP挿入遺伝子が確認されたこのT2植物をホモであるとして選別した。 AZP-2を導入して得られたT3植物におけるAZPの発現を確認した結果を示した図である。レーン1〜4はT3植物の葉からの抽出液、Nは野生型トマトの葉からの抽出液、及びPは用いたラインのT2植物の葉からの抽出液をそれぞれ用いて、抗HA抗体によるウェスタンブロットによりAZPを検出した。 アグロイノキュレーション法により野生型Micro-TomトマトにTYLCVゲノムを有するアグロバクテリアを注入し、TYLCVの感染を成立させた結果を示した図である。成長した個体(右)においてTYLCV感染の特徴的症状である葉のカーリングや黄色化が明確に観察されるとともに、明白な成長の阻害が認められた。 AZP-2を導入して得られたT3植物に対してTYLCVの感染試験を行った結果を示した図である。形質転換体には感染症状は認められなかった。 ウイルスを感染させて30日後のAZP-2形質転換トマトから葉を回収し、TYLCV検出用のプライマーを用いたPCRを行なった結果を示した図である。 AZP-3を導入して作製したT1植物1個体から得られたT3植物にTYLCVを感染させた結果を示した図である。 AZP-3の形質転換体においてウイルスDNAが検出されないことを示した図である。
本発明の複製阻害剤は、ジェミニウイルスに対する複製阻害剤であって、ジェミニウイルスのステムループ領域の全長DNA又は該全長DNAから選ばれる1又は2以上の部分DNAに特異的に結合することができるジンクフィンガータンパク質を含み、かつステムループ構造の形成を阻害することができることを特徴としている。
本明細書において用いられる「ジェミニウイルス」の用語は、植物に感染するDNAウイルスであって、一本鎖の環状DNAを1つ又は2つ有するウイルスを意味するが、この用語の意味は、例えば、化学と生物, 41, pp.311-317, 2003などに具体的に説明されている。ジェミニウイルスはゲノム構造、宿主範囲、及び媒介昆虫の種類に応じて以下の4つの属、すなわちマストレウイルス(Mastrevirus)属、クルトウイルス(Curtovirus)属、トポクウイルス(Topocuvirus)属、及びベゴモウイルス(Begomovirus)属に分類されるが、本発明の複製阻害剤はこれらのいずれの属に属する任意のウイルスを標的とすることができる。それぞれの属に属するウイルスのゲノム構成については、上記の刊行物(化学と生物, 41, pp.311-317, 2003)の図2に具体的に示されている。また、ジェミニウイルスに属するウイルス及びその略号については、例えば、国際公開WO2004/101798に詳細な表が開示されている。国際公開WO2004/101798の開示の全てを参照により本明細書の開示として含める。ジェミニウイルスには、既知のジェミニウイルスのほか、未知のジェミニウイルスや既知のジェミニウイルスが変異した新種ジェミニウイルスなども包含されることは言うまでもない。
例えば、MSV(Maize streak virus)、WDV(Wheat dwarf virus)、BeYDV(Bean yellow dwarf virus)などのマストレウイルス属に属するウイルス、BCTV(Beet cury top virus)などのクルトウイルス属に属するウイルス、TPCTV(Tomato pseudo-cury top virus)などのトポクウイルスに属するウイルス、及びBGMV(Bean golden mosaic virus)、ACMV(African cassava mosaic virus)、SLCV(Squash leaf curl virus)、TGMV(Tomato golden mosaic virus)、及びTYLCV(Tomato Yellow Leaf Curl Virus)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
複製阻害剤の結合部位となるステムループ領域の相同性の観点から、ベゴモウイルス属に属するウイルスが好ましい。好ましくはTYLCCNV、 TYLCGV、 TYLCMalV、 TYLCSV、 TYLCTHV、 TYLCV、 ACMV、 BGMV、 CaLCuV、 ToCMoV、 TGMV、 ToGMoV、 ToMHV、 ToMoTV、 ToMoV、 ToRMV、 ToSLCV、 ToSRV、 ワタ葉巻(CLCrV、 CLCuAV、 ClCuGV、 CLCuKV、 CLCuMV、 CLCuRV)、東アフリカキャッサバモザイク(EACMCV、 EACMMV、 EACMV、 EACMZV)、ジャガイモ黄化モザイク(PYMPV、 PYMTV、 PYMV)、 カボチャ葉巻(SLCCNV、 SLCV, SLCYV)、サツマイモ葉巻(SPLCGV、 SPLCV)、 タバコ葉巻(TbLCJV、 TbLCKoV、 TbLCYNV、 TbLCZV)、トマト葉巻(ToLCBV、 ToLCBDV、 ToLCGV、 ToLCKV、 ToLCLV、 ToLCMV、 ToLCNDV、 ToLCSLV、 ToLCTWV、 ToLCVV、 ToLCV)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。特に、ベゴモウイルス属に属するTYLCVなどは本発明の複製阻害剤の好適な適用対象である。図3にジェミニウイルスとTYLCVの包含関係を示す。
本発明の複製阻害剤は、ジェミニウイルスのステムループ領域の全長DNA又は該全長DNAから選ばれる1又は2以上の部分DNAに特異的に結合することができるジンクフィンガータンパク質を含み、かつステムループ構造の形成を阻害する作用を有している。ジェミニウイルスの「ステムループ領域」の用語について、例えばTYLCVを例にとって説明すると、ステムループ領域は互いに相補的に結合する2つのステム領域(それぞれ11塩基からなる領域)と、その間に存在してループを形成するループ領域(11塩基からなる領域)とからなる33塩基の領域である。TYLCVには多様な株の存在が知られているが、全てのTYLCVにおいてステムループ領域の塩基配列はよく保存されている。図4にTYLCVのステムループ領域を示す。本明細書において、ステムループ領域の塩基配列が「よく保存されている」とは、比較すべき塩基配列のホモロジーが80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上であることを意味する。
このステムループ領域はベゴモウイルスに属する他のウイルスにおいても高度に保存されており、例えば、BGMVの両方のDNAのCR(common region)上には34塩基からなるステムループ領域が存在しているが、その塩基配列はベゴモウイルスに属する他のウイルスのステムループ領域の塩基配列と極めて相同性が高い。さらに、ジェミニウイルスの他の属に属するウイルスについても、ステムループ領域については高度に保存されている。図5にジェミニウイルスに包含される数種のウイルスについてのステムルイープ領域の相同性を示す。
本発明の複製阻害剤は、上記のとおり高度に保存されているジェミニウイルスのステムループ領域の全長DNA又は該全長DNAから選ばれる1又は2以上の部分DNAに特異的に結合し、この特異的な結合の結果として、ステムループ構造の形成を阻害することができるように設計することができる。本発明の複製阻害剤は、ステムループ領域の全長DNA又は該全長DNAから選ばれる1又は2以上の部分DNAに特異的に結合する性質に加えて、ステムループ領域DNAの上流及び/又は下流に結合するDNAに特異的に結合するように設計することもできる。特異的な結合によりステムループ構造の形成を阻害するためには、ステムループ領域に対して本発明の阻害剤が結合してウイルスDNAの二重鎖構造を安定化することができればよいが、ステムループ領域の塩基配列に基づいて適宜のジンクフィンガードメインを選択することにより、ステムループ構造の形成を阻害するジンクフィンガータンパク質を設計することが可能である。
ジンクフィンガータンパク質に含まれるジンクフィンガードメインは、認識コード表(Nondegenerate Recognition Code Table)を用いて特定の塩基配列を認識することができるように設計することができる。本明細書においてジンクフィンガードメインとはジンクフィンガードメインとはジンクフィンガータンパク質に存在するDNA結合部位を構成するドメインのことを意味しており、単に「フィンガー」と呼ばれる場合もある。代表的にはジンクフィンガータンパク質は2個、3個、4個、6個、又は10個程度のジンクフィンガードメインを有している。認識コード表及び特定の塩基配列を認識して特異的に結合するジンクフィンガータンパク質の設計手法については、例えば特表2004-519211号公報に記載されている。上記特許公報の開示の全てを参照により本明細書の開示に含める。また、Biochemistry, 41, pp.7074-7081, 2002などを参照することもできる。上記のとおり、ジェミニウイルスゲノムDNAのステムループ領域の塩基配列についての情報は容易に入手可能であり、当業者は少なくともステムループ領域の全長DNA又は全長DNAから選択される1又は2以上の部分DNAに対して特異的に結合可能なジンクフィンガータンパク質を容易に設計して製造することができる。
例えば、TYLCVのみを標的とした複製阻害剤を設計するためには、TYLCV間でよく保存されているステムループ領域DNA(33塩基)の全長又はほぼ全長を含むDNAに対して結合可能なジンクフィンガータンパク質を設計すればよく、このようなジンクフィンガータンパク質から選ばれる1種類のジンクフィンガータンパク質を本発明の複製阻害剤として用いることにより、全てのTYLCVの複製を阻害することが可能になる。このようなジンクフィンガータンパク質としては、例えば、ジンクフィンガードメインを10個含むジンクフィンガータンパク質を設計することができる。上記の手法をTYLCV以外のジェミニウイルスファミリーを標的とした複製阻害剤の設計に適宜適用できることは当業者に容易に理解されることである。
また、TYLCVのほか、多様なジェミニウイルスを標的とした複製阻害剤を設計するためには、例えば、ステム領域の全長DNAから標的ジェミニウイルスにおいて共通の配列であ2個以上の部分DNAを選択し、それらの部分DNAに対して結合する単一のジンクフィンガータンパク質を設計するか、又はそれらの部分DNAに対してそれぞれ結合する2個以上のジンクフィンガータンパク質を設計して、これらの2個以上のジンクフィンガータンパク質を適宜のリンカー、例えばペプチドリンカーなどでそれぞれ結合すればよい。リンカーとしては、アミノ酸残基数が1〜40個、好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個程度のペプチドリンカーのほか、例えばアルキレン鎖やポリエチレングリコール鎖などの合成リンカーや糖鎖などを用いてもよい。ステム領域の全長DNAから2以上の部分DNAを選択するにあたっては、標的となる多様なジェミニウイルスのステム領域において非共通配列となる部分DNAを含まないように選択することが好ましく、一般的には、この非共通配列の上流及び下流に位置する共通配列のDNAを部分DNAとして選択することが望ましい。
TYLCVのみを標的とする複製阻害剤の例、及び多様なジェミニウイルスを標的とする複製阻害剤の例をそれぞれ図6に示す。図中、上側がTYLCVのみを標的とする場合の例であり、下側が多様なジェミニウイルスを標的とする場合の例である。
本発明の複製阻害剤の好ましい例としては、(a)TYLCVのみを標的とする複製阻害剤として配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有する複製阻害剤、及び多様なジェミニウイルスを標的とする複製阻害剤として配列番号2に示すアミノ酸配列を有する複製阻害剤を挙げることができる。また、(b)配列番号1又は2により特定されるアミノ酸配列において1から数個、好ましくは1〜5個程度のアミノ酸の欠失、置換、及び/ 又は付加を有するアミノ酸配列からなる複製阻害剤であって、配列番号1又は2により特定されるアミノ酸配列からなるタンパク質と実質的に同様の複製阻害作用を有するタンパク質も本発明の複製阻害剤として用いることができ、本発明の範囲に包含される。さらに、(c)配列番号1又は2により特定されるアミノ酸配列に対して70%、好ましくは80%、さらに好ましくは90%以上の相同性を有し、配列番号1又は2により特定されるアミノ酸配列からなるタンパク質と実質的に同様の複製阻害作用を有するタンパク質も本発明の複製阻害剤として用いることができ、本発明の範囲に包含される。
本発明の複製阻害剤を調製するために用いる核酸としては、上記(a)のタンパク質をコードするDNA(配列表の配列番号3又は4に示す塩基配列で特定されるDNA)のほか、上記(b)又は(c)のタンパク質をコードするDNAを含む核酸を用いることができる。上記(b)又は(c)で表されるタンパク質をコードするDNAとしては、例えば、配列番号3又は4に示す塩基配列で特定されるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるDNAなどが含まれる。このようなDNAとしては、例えば、DNAをプローブとして使用し、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、又はサザンブロットハイブリダイゼーション法において、コロニー又はプラーク由来のDNA又はDNA断片を固定化したフィルターを用いて0.7〜1.0 M程度のNaCl存在下で65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2×SSC溶液(1×SSC溶液は150 mM 塩化ナトリウム及び15 mM クエン酸ナトリウムを含む)を用いて65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNAなどを挙げることができる。例えば、プローブとして用いるDNAの塩基配列に対して70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するDNAを好ましく用いることができる。
本発明の複製阻害剤は上記のジンクフィンガータンパク質又は該ジンクフィンガータンパク質をコードする核酸の形態で提供されるが、本発明の複製阻害剤をそのまま農薬として植物に施用することにより、ジェミニウイルスに対する感染防除を行うことができる。本発明の複製阻害剤の施用方法は特に限定されないが、例えば、当業界で周知の製剤用添加物を用いて、農薬用組成物として調製することができる。有効成分としてタンパク質又は核酸を含む農薬用組成物が当業界で知られており、適宜の手段を用いて農薬用組成物を調製することができる。例えば、上記の核酸を組み込んだプラスミドなどのベクターを用いて植物細胞内に上記核酸を導入して一過性に植物を形質転換する方法や、ベクターを用いて植物ゲノムに上記核酸を組み込む方法などが挙げられるが、この方法に限定されるわけではない。本発明の方法において利用可能なベクターには、植物に感染するウイルスベクターも含まれる。
農薬用組成物の形態は特に限定されず、当業界で利用可能な形態であればいかなる形態を採用してもよい。例えば、乳剤、液剤、油剤、水溶剤、水和剤、フロアブル、粉剤、微粒剤、粒剤、エアゾール、くん蒸剤、又はペースト剤などの形態の組成物を用いることができる。農薬用組成物の製造方法も特に限定されず、当業者に利用可能な方法を適宜採用することができる。また、他の抗ウイルス剤、殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌剤、除草剤などの他の農薬の有効成分を農薬用組成物に配合することもできる。
本発明により、上記の複製阻害剤を発現可能な形質転換植物が提供される。本発明において形質転換の対象となる植物は特に限定されず、植物体全体のほか、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束、柵状組織、海綿状組織等)、又は植物培養細胞のいずれであってもよい。植物の種類は特に限定されず、任意の植物を対象とすることができるが、ジェミニウイルスの感染が成立する植物種を対象とすることが好ましい。
より具体的には、植物種として、例えばアオイ科(オクラなど)、アカザ科(ビート、ホウレンソウなど)、アブラナ科(カブ、カリフラワー、ブロッコリー、キャベツ、コマツナ、ストック、ダイコン、チンゲンサイ、ハクサイ、ワサビなど)、アヤメ科(アイリス、グラジオラス、フリージアなど)、イソマツ科(スターチスなど)、イネ科(イネ、シバ、トウモロコシ、ムギなど)、イワタバコ科(セントポーリアなど)、ウコギ科(ウドなど)、ウリ科(カボチャ、キュウリ、シロウリ、スイカ、メロンなど)、カキノキ科(カキなど)、キク科(ガーベラ、キク、キンセンカ、コスモス、ゴボウ、シネラリア、シュンギク、ダリア、ヒマワリ、フキ、マーガレット、ミヤコワスレ、レタスなど)、クルミ科(クルミなど)、クワ科(イチジク、クワ、ホップなど)、ケシ科(アイスランドポピーなど)、ゴマノハグサ科(キンギョソウなど)、サクラソウ科(シクラメン、プリムラなど)、サトイモ科(コンニャク、サトイモなど)、サボテン科(サボテンなど)、シソ科(サルビア、シソなど)、シュウカイドウ科(ベゴニアなど)、ショウガ科(ショウガ、ミョウガなど)、スイレン科(レンコンなど)、スミレ科(パンジーなど)、セリ科(セリ、セルリー、ニンジン、パセリ、ミツバなど)、センリョウ科(センリョウなど)、ツツジ科(ベリー類など)、ツバキ科(チャなど)、トウダイグサ科(ポインセチアなど)、ナス科(ジャガイモ、タバコ、トマト、ナス、ピーマン、シシトウガラシなど)、ナデシコ科(カーネーション、宿根カスミソウなど)、バラ科(アンズ、イチゴ、ウメ、オウトウ、スモモ、ナシ、バラ、ビワ、モモ、ユキヤナギ、リンゴ、西洋ナシなど)、ヒルガオ科(アサガオ、サツマイモなど)、フウロソウ科(ゼラニウムなど)、ブドウ科(ブドウなど)、ブナ科(クリなど)、ボタン科(ボタン、シャクヤクなど)、マタタビ科(キウイフルーツなど)、マメ科(アズキ、インゲン、インゲンマメ、エダマメ、エンドウ、スイートピー、ソラマメ、ダイズ、ラッカセイなど)、ミカン科(カンキツなど)、ヤマノイモ科(ナガイモなど)、ユキノシタ科(シンビジウムなど)、ユリ科(アスパラガス、タマネギ、チューリップ、ニラ、ニンニク、ネギ、ヒヤシンス、ユリ、ラッキョウ、ワケギなど)、ラン科(カトレア、ハイドランジア、ファレノプシスなど)、リュウゼツラン科(ドラセナ類など)、リンドウ科(トルコギキョウ、リンドウなど)に属する植物を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
好ましくは、例えば、トマト、コショウ、タバコ、カボチャ、マニオック、サツマイモ、ワタ、メロン、ジャガイモ、ダイズ、ワイン、トウモロコシ、コムギ、サトウキビ、マメ、ビート、スイカ、オクラ、キャッサバなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。さらに好ましい植物はトマト、ワタ、ジャガイモなどであり、特に好ましい植物はトマトである。
形質転換すべき植物源としては、プロトプラスト、種子、芽生え、苗、カルス、培養細胞、植物体などが挙げられるが特に限定されることはない。対象植物の種類に応じて、当業者は適宜の部位を選択して形質転換を行うことが可能である。
形質転換に用いるためのベクターの種類は特に限定されないが、ベクターには上記のジンクフィンガータンパク質をコードする遺伝子を発現させるためのプロモーター及び/又はエンハンサー配列を含むことが好ましい。プロモーター及びエンハンサー配列としては、植物細胞において上記遺伝子を発現しうるものであればその種類は特に限定されず、任意のプロモーター及びエンハンサー配列を使用することができる。例えば、アグロバクテリウム又はリゾビウムのような植物細胞内で発現する遺伝子を含め、植物体、植物ウイルス、又は細菌由来のプロモーターなどを用いることができる。プロモーターとしては、例えば、Agrobacterium tumefaciensのT-DNA由来のプロモーター、Smasプロモーター、桂皮アルコールデヒドロゲナーゼプロモータ、NOSプロモーター、リブロース二リン酸カルボキシラーゼオキシゲナーゼ(Rubisco)プロモーター、GRP1-8プロモーター、カリフラワー・モザイク・ウイルス(CaMV)由来の35Sプロモーター、植物由来のアクチンやヒストン等のプロモーター/エンハンサーなどを用いることができるが、これらに限定されることはない。
ベクターには選択マーカー遺伝子として種々の抗生物質耐性遺伝子や他のマーカー遺伝子をコードする配列を含めることができる。マーカー遺伝子の例としては、例えば、抗スペクチノマイシン遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ジェネティシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、アセト乳酸合成酵素(ALS)を阻害する除草剤に対する耐性遺伝子、グルタミン合成酵素を阻害する除草剤に対する耐性遺伝子(例えばbar遺伝子)、β-グルクロニダーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子等を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
遺伝子発現効率を高めるために、例えば、遺伝子のコード領域のポリヌクレオチドコーディング領域の3'末端にポリ(A)+配列を包含させることも好ましい場合がある。ポリ(A)+配列としては種々の植物遺伝子又はT-DNA由来のものを用いることができるが、これらに限定されることはない。遺伝子を高レベルに発現させるために有用な他の配列、例えば特定の遺伝子のイントロン配列、5'不翻訳領域の配列などをベクターに導入しておいてもよい。また、核内への移行を促進するために核局在化シグナル(NLS)などを組み込んでおくことも好ましい。
高等植物の遺伝子発現に有用なベクターは当分野において周知であり、任意のベクターを使用することができる。例えば、ベクターを植物細胞に導入した際にベクターDNAの一部を宿主植物のゲノムに組み込むことができるベクターとしてAgrobacterium tumefaciensのTiプラスミド由来のベクターのほか、Tiプバスミド由来のKYLX6、pKYLX7、pBI101、pBH2113、pBI121などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
発現ベクターは外来性遺伝子を植物細胞に導入するための公知の方法、例えばパーティクルガン法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール(PEG)法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション、リポフェクション法、及びアグロバクテリウム法などの微生物媒介トランスフェクション法などを用いて所望の植物細胞に導入することができる。これらのうち、パーティクルガン法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール法、及びアグロバクテリウム法などが好ましいが、アグロバクテリウム法を特に好ましく用いることができる(Methods Mol. Biol, 82, pp.259-266, 1998)。2成分ベクター(バイナリーベクター)法を用いることにより、効率的に遺伝子組み換えを行うことができる場合もある。
なお、発現ベクターの構築方法及び植物の形質転換方法については、本明細書の実施例にさらに具体的に説明されているので、当業者は上記の一般的な説明及び実施例の具体的な説明を参照しつつ、ベクターの種類やベクターに導入すべき配列、形質転換法などを適宜修飾ないし改変することにより、本発明の複製阻害剤を発現するように所望の植物を形質転換することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1
1.材料と方法
(1)AZPのデザイン
以下の2種類のDNA領域をそれぞれ認識するジンクフィンガータンパク質(以下、実施例において「AZP」と略す)を特表2004-519211号公報に記載された認識コード表に基づいてデザインした。
a.TYLCVで保存されているステムループ領域
b.ジェミニウイルスで保存されているステムループ領域
図6の上段に示したAZP(TYLCV専用)では10個のジンクフィンガードメインを連続的に結合した。図6の下段に示すAZP(ジェミニウイルス汎用)ではステムループ領域内でジェミニウイルスに保存されている2つの領域を認識する2種のAZPを短いペプチドで連結した。
(2)AZP発現プラスミドの作製
TYLCV専用AZP(以下、「AZP-2」と呼ぶ)を図7に示すスキームで作製した。まず3個ずつジンクフィンガーを連結した遺伝子をPCRにより合成し、それぞれの遺伝子を大腸菌発現ベクターのpET-21a(Novagen社)のBamH I/Hind IIIサイトにクローニングした後、得られたプラスミドの塩基配列を確認することにより、pET-TYLCV-3、pET-TYLCV-4、及びpET-TYLCV-5を得た。次にpET-TYLCV-3及びpET-TYLCV-4内の3フィンガーAZPの遺伝子をPCRにより増幅して連結し、最終的にpET-TYLCV3/4を得た。5'-TATA-3'を認識するジンクフィンガー遺伝子を作製し、上述した方法でpET-TYLCV5内の3フィンガーAZP遺伝子と連結することによりpET-TYLCV6を作製した。最後に、pE-TYLCV3/4及びpET-TYLCV6からそれぞれ6フィンガーAZP遺伝子及び4フィンガーAZP遺伝子をPCRにより増幅して連結することにより、ステムループ領域の配列を形成する33塩基のうち31塩基を認識するAZP-2発現用プラスミド(pET-TYLCV3/4/6)を作製した。
ジェミニウイルス汎用AZP(以下、「AZP-3」と呼ぶ)を図8に示すスキームで作製した。まずステムループ領域内でジェミニウイルスにおいて保存されている2つの領域を認識する2種のAZP遺伝子とリンカーペプチド遺伝子を組み込むため、まずプリカーサー・プラスミド(pET-MCS)を作製した。ジェミニウイルスで保存されている長いほうの領域を認識する6フィンガーAZP遺伝子をpET-TYLCV3/4からPCRで増幅し、pET-MCSにクローニングすることによりpET-TYLCV3/4-MCSを作製した。次にジェミニウイルスで保存されている短いほうの領域を認識する3フィンガーAZP遺伝子をpET-TYLCV5からPCRで増幅し、pET-TYLCV3/4-MCSにクローニングすることにより、リンカーペプチドとして6アミノ酸を有するAZP-3を発現するプラスミド(pET-TYLCV3/4-MCS-TYLCV5)を作製した。
(3)AZPの発現
AZP発現プラスミドで大腸菌BL21(DE3)を形質転換し、得られた形質転換体をアンピリシリンを含むLB培地で37℃で培養し、OD600が0.6-0.7になったときにIPTGを最終濃度1 mMになるように添加し、目的タンパク質の発現を誘導した。さらに3時間培養した後、遠心分離により大腸菌を回収し、タンパク質精製まで-80℃に保存した。
(4)AZPの精製
各AZPは基本的に同じ方法で精製した。-80℃で保存した大腸菌にlysis buffer(100 mM Trs-HCl、100 mM NaCl、0.1 mM ZnCl2、5 mM DTT、pH 8.0)10 mlを加え、凍結及び融解を3回繰り返して大腸菌の細胞壁を壊れやすくした。次に超音波破砕機にかけて大腸菌を破砕した後、遠心分離することにより目的タンパク質を含む上清を回収した。この上清を陽イオン交換樹脂のBiorex-70(Bio-Rad社)にアプライして目的タンパク質を樹脂に吸着させた後、wash buffer(50 mM Trs-HCl、50 mM NaCl、0.1 mM ZnCl2、0.2 mM DTT、pH 8.0)で十分洗浄した。次に、elution buffer(50 mM Trs-HCl、300 mM NaCl、0.1 mM ZnCl2、0.2 mM DTT、pH8.0)で目的タンパク質を溶出させた。目的タンパク質を含むフラクションのみを集め、限外ろ過膜で濃縮後、等量のグリセロールを加えて撹拌した後、-80℃にて保存した。AZP純度はSDS-PAGE上のクマシーブルー染色のバンドの量で判断した。各タンパク質の濃度は、Protein Assay ESL(Roche社)を用いて決定した。
(5)RepN発現プラスミドの作製
RepNはウイルス複製タンパク質RepのN末領域部(191アミノ酸残基)でDNA結合能を有している。AZPによるRepのdirect repeatsへの結合の阻害実験に用いるためにRepNを以下の方法で調製した。感染したトマトから回収したTYLCVゲノムを用いてRepN遺伝子をPCRによりTYLCVゲノムから増幅し、AZPの場合と同様に、pET-21aのBamH I/Hind IIIサイトにクローニングした。得られたプラスミドの塩基配列を確認することによりRepN発現用のプラスミド(pET-RepN)を作製した。
(6)RepNタンパク質の発現及び精製
RepNの発現はAZP発現の場合と同様に行い十分量の発現を得た。得られた大腸菌は、タンパク質精製まで-80℃に保存した。RepNの精製はAZPの場合と同様に行った。Biorex-70を用いたイオン交換クロマトグラフィーにおいて、elution buffer(50 mM Tris-HCl、250 mM NaCl、0.2 mM DTT、pH8.0)により溶出することにより、純度の高いRepNを得ることができた。
(7)AZP及びRepNの複製起点への結合能の評価
各タンパク質の標的DNA配列への結合能の評価はゲルシフトアッセイにより行った。標的DNA配列を含むDNAオリゴマーを作成し、5'末端を32Pで標識した。次に標識DNAを含むbinding buffer(10 mM Tris-HCl、100 mM NaCl、5 mM MgCl2、0.1 mM ZnCl2、0.05% BSA、10% glycerol、pH7.5)に所定量のタンパク質を添加し、氷上で1時間反応させた。この反応物を6%非変性アクリルアミドゲルにアプライし、4℃で2時間電気泳動した(running buffer:45 mM Tris-borate)。泳動後、ゲルをクロマト紙に載せて乾燥させた。十分乾燥した後にX線フィルムに感光させ、標識DNAのバンドを検出した。遊離DNAとタンパク質とのDNA複合体の量比が1:1になるときのタンパク質濃度が標的DNA配列との解離定数に相当する。そのタンパク質濃度に基づいてAZP及びRepNの結合能の比較を行った。
(8)AZPによるウイルス複製タンパク質の切断阻害能の評価
(a)Rep発現プラスミドの作製-1
切断阻害能の評価には切断活性を有するfull lengthのRepが必要となるので、Rep発現プラスミドの作製を行った。RepN発現プラスミドの作製と同様に、Rep遺伝子はPCRによりTYLCVゲノムから増幅し、pET-21aのBamH I/Hind IIIサイトにクローニングした。得られたプラスミドの塩基配列を確認することによりRep発現用のプラスミド(pET-Rep)を作製した。
(b)Rep発現プラスミドの作製-2
Rep単独では、大腸菌破砕後に可溶化の状態で検出できない場合があることから、溶けにくいタンパク質の可溶化を促進し、かつ精製が簡便なglutachione S-transferase(GST)との融合体としてRepを作製した。T7プロモーター及びGST遺伝子を含むDNA領域をGST融合タンパク質発現用のプラスミド(pET-41a, Novagen社)からPCRにより増幅し、pET-RepのBamH I/Sph Iサイトにクローニングした。DNA塩基配列を確認することにより、GST-Repタンパク質発現用のプラスミド(pET-GST-Rep)を作製した。
(c)GST-Rep融合タンパク質の発現
3種類の大腸菌、BL21(DE3)、Rosetta 2(DE3)pLysS、及びBL21-Codon-Plus(DE3)-RILをそれぞれpET-GST-Repで形質転換し、得られた各クローンをRepNタンパク質発現時と同様に37℃、1 mM IPTGで発現誘導した。それぞれの大腸菌で発現量は同じであったが、大腸菌破砕後のGST-Repの可溶化量はBL21(DE3)において最も高かった。そこでBL21(DE 3)形質転換体を用いて30℃でのタンパク質発現を行った。
(d)GST-Repタンパク質の精製
大腸菌ペレットをLysis Buffer (4.3 mM Na2HPO4, 1.47 mM KH2PO4, 137 mM NaCl, 2.7 mM KCl, pH7.3, 0.1 mM ZnCl2, 5 mM DTT) 3 mLに懸濁し、ソニケーションを行った。GST- Repタンパク質の可溶化をSDS-PAGEで確認後、 遠心分離して上清のみを取り出した。20倍量の1x GST-Bind Wash Bufferであらかじめ洗浄したGST結合レジンを15 mLコニカルに移し、さらに1x GST-Bind Wash Buffer (4.3 mM Na2HPO4, 1.47 mM KH2PO4, 137 mM NaCl, 2.7 mM KCl, pH7.3) 5 mLで洗浄し、400×g、25℃、5 分間遠心して上清を丁寧に取り除いた。この前処理したレジンにソニケーション後のGST- Repタンパク質を含む上清を0.45μmメンブレンフィルターでろ過したものを添加した。4℃で一晩振盪して、レジンにGST-AZPタンパク質を吸着させた。このレジンをカラムに流し、Washing Buffer (4.3 mM Na2HPO4, 1.47 mM KH2PO4, 137 mM NaCl, 2.7 mM KCl, 0.1 mM ZnCl2)で洗浄後、Elution Buffer (50 mM Tris・HCl, pH8.0, 0.1 mM ZnCl2, 10 mM reduced glutathione)で溶出した。溶出した各フラクションをSDS-PAGEで確認し、GST- Repタンパク質を含むフラクションを集め、限外ろ過膜で全量が300μLになるまで濃縮した。タンパク質濃度は市販のキット (Protein Assay ECL)で決定した。
(e)GST-AZP融合タンパク質の発現
AZPをglutachione S-transferase(GST)との融合体とし、そのGST-AZP遺伝子をT7プロモーターの下流においた、発現ベクターを大腸菌に導入した。この大腸菌をLB-Amp液体培地120 mLでOD600が0.65〜0.75になるまで培養した。培養後, 最終濃度が1 mMとなるようにIPTGを添加し、さらに3 時間培養することにより、GST-AZPタンパク質を誘導発現させた。誘導後の大腸菌を遠心して回収して−80℃に保存した。GST-AZPタンパク質の精製はGST-Repタンパク質の精製と同じ方法で行った。
(f)AZPによるウイルス複製タンパク質の切断阻害能の評価
Repの結合サイトを含む200塩基対からなる標識DNA(5 nM)を含む反応溶液(25 mM Tris-HCl, pH7.5, 75 mM NaCl, 2.5 mM DTT)にGST-AZP(又は性能比較実験のためにGST-RepN若しくはコントロール実験のためGST)を添加して混合し、氷上に30分間静置した。その後、最終濃度が2μM及び5 mMとなるようにGST-Rep及びMgCl2をそれぞれ添加した後、25℃で反応させた。30分後、0.5 M EDTAを2μLを添加して反応を終了させ、フェノール処理及びエタノール沈殿を行った。Loading Buffer (80 % formamide, 10 mM EDTA ) 3μLで溶解して作製したサンプルを8%変性アクリルアミドゲルにおいて電気泳動した。
2.結果
(1)AZPの標的DNA配列への結合能の評価
精製したAZP及びRepNの標的DNA配列への結合能をゲルシフトアッセイにより評価した。この実験においては、32PでラベルしたDNAに各種濃度でタンパク質を添加し結合反応を行わせた後、遊離DNAとタンパク質とのDNA複合体を非変性ゲル上で分離する。遊離DNAとタンパク質とのDNA複合体のバンドの比が1:1になるタンパク質濃度(解離定数に相当)を求めたところ、TYLCV専用のAZP-2の解離定数は0.3〜1 nM(図9)、ジェミニウイルス汎用のAZP-3の解離定数は<10 nM(図10)であることがわかった。一方、RepNの解離定数は30 nMであった(図11)。この実験により、デザインしたAZP-2及びAZP-3の標的DNA配列に対する結合力はいずれもRepNより強いことが確認された。
(2)AZPによるウイルス複製タンパク質の切断阻害能の評価
精製したTYLCV専用のGST-AZP(AZP-2)は図12のレーン4〜7に示されているようにRepによる複製起点の切断を効果的に阻害できた。その阻害効果はAZP濃度に依存しており、20μMで完全な阻害が認められた。一方、Repのドミナントネガティブ体であるRepNでは全く切断阻害が認められなかった(図12のレーン8〜11)。RepNはDNA結合ドメインを有しており、当然のことながら阻害したいRepとはDNA結合が全く同じである。GSTについてはレーン12に見られるように切断阻害が全く見られないことからも、レーン4〜7で確認されたGST-AZPの切断阻害活性はもっぱらAZPに由来するものであることが確認された。また、GST-AZP(AZP-3)についても同様にして切断阻害能を評価した。その結果を図13に示す。
例2
1.材料と方法
(1)AZP形質転換トマトの作製
(a)AZPの植物用安定的発現ベクターの作製
AFP-2をコードする遺伝子の植物ゲノムへの挿入はアグロバクテリア法により行った。プロトプラスト実験用にpUC35SO-TYLCV3/4/6をpUC35SO-MCSから図14の方法で調製し、このプラスミドから35Sプロモーター‐AZP遺伝子‐NOSターミネーターを含む領域をEcoR I及びHind IIIで切り出した。断片をアガロースゲル上で精製した後、バイナリープラスミドpBI121のEcoR I/Hind IIIサイトにクローニングしてpBI-OTYLCV3/4/6を得た。シークエンシングにより塩基配列が正しいことを確認した。AZP-3についても同様の操作を行った。
(b)Micro-Tomの育種
72穴のプラスチックトレイに栽培土をつめ、如雨露で軽く土を湿らせた後、Micro-Tomの種をひとつずつ蒔き、その上に湿らせた土を軽くかぶせ、全体をサランラップで覆った。このトレイを人工気象室(明期:25℃、16時間;暗期:22℃、8時間)で培養した。発芽が認められた時点でサランラップをはずし、培養を同一条件下で培養を継続した。播種後約2週間経過後に苗を直径12 cmのプラスチックポットに移し、種を回収するまで培養した。
(c)Micro-Tomの種の調製
赤く熟したMicro-Tomの実を回収し、赤道線上でナイフで2つに分割し、スパチュラですべての種を50 mlプラスチックチューブに回収した。水で軽く洗った後、1%塩酸水で10分間洗浄し、種の周囲のゼラチン層を溶解させた。次に流水で10分間種を洗浄し、余分な水分をペッパータオルで吸い取った後、室温で2日間風乾させた。乾燥した種は4℃で保存した。
(d)Micro-Tom子葉への遺伝子導入
Micro-Tomの種子10〜20 粒を10%希釈したハイター(花王)で殺菌した後、滅菌水を用いて4回洗浄した。この種子を播種用培地(1× Murashige-Skoog (MS) 培地 、15 g/L sucrose、3 g/L gelrite)を固めたプラントボックスに播種し、6日間、25℃、16時間日長の条件で生育させた。本葉が数ミリ程度になった個体を形質転換に用いた。
アグロバクテリア感染の前日にpBI-OTYLCV3/4/6で形質転換したアグロバクテリア C58C1RifR (GV2260) のグリセロールストック20μLを、2 mLのLB 培地 (Kan 100 mg/L、Amp 50 mg/L) に植菌し、30℃で24時間培養した。感染当日、アグロバクテリウム菌液 1 mLをエッペンドルフチューブに取り、5,000 rpm、5分間の遠心分離により集菌した。この菌体を100 μMのアセトシリンゴン、10 μMのメルカプトエタノールを含むMS培地 40 mLに懸濁させた。
Micro-Tomの子葉をカミソリを用いて切り取り、先端から半分の付近で2つに切断した。これら子葉切片を上述のアグロバクテリウム懸濁液に浸け、10分間静置し、感染させた。滅菌したキムタオルにのせて余分な懸濁液を吸い取り、共存培地(1×MS培地、30 g/L sucrose、3 g/L gelrite、1.5 mg/L t-zeatin、40 μM アセトシリンゴン、0.1% MES、pH 5.7) に葉を置いた。フタをサージカルテープでシールし、アルミホイルで遮光して25℃で培養した。3〜4日後、感染させた子葉切片をカルス誘導培地(1× MS培地、3 g/L gelrite、t-zeatin 1.5 mg/L、Kan 100 mg/L、Augmentin 667 mg/L、0.1% MES、pH 5.7) に移した。約2週間で感染させた一部の子葉切片からカルスが形成され、シュートを形成するものも見られた。
2週間ごとに新しいカルス誘導培地に植え継いだ。カルスから葉が3〜4枚形成された個体の子葉切片部分を切り落としてシュート誘導培地 (SIM培地; CIM培地のt-zeatin濃度を1.0 mg/Lに下げたもの)に移し、シュートの成長を促進させた。シュートが1〜2 cmの長さに伸びた時点でシュートの最下端でカルスから切り離し、発根培地(RIM培地; 1/2 x MS培地, 3 g/L Gelrite, Kan 50 mg/L, Augmentin 375 mg/L、0.1% MES pH 5.7)に植え継いだ。発根培地で2週間以内に発根した個体の根を切り落としてプラントボックス内に固化させた発根培地に植え継ぎ、発根の二次選抜を行った。プラントボックスで発根した個体を以下の順化のステップに移した。
最初の発根培地(プレート)で2週間以内に発根しなかった個体は、切り口を薄く切り落として新しい発根培地へ植え継ぎ、再び発根を誘導した。プラントボックスの発根培地で発根が見られた個体は、結実させて種子を得るために土植えにした。この際、湿度環境等の変化で植物が枯死しないように、湿度緩やかに下げて順化させた。具体的には、プラントボックスに湿らせた土を入れ、その中に発根個体を植えて、最初は高湿度の状態にし、徐々にフタを緩めて湿度を下げた。プラントボックス内で約1ヶ月かけて十分に順化させた植物を鉢に植えて生育させた。
2回目の発根選抜以降の植物について目的の遺伝子が導入されているかどうかをPCRによって確認した。約5 mmの本葉1枚を切り取り、CTAB法によってゲノム DNAを抽出した。最終的に300 μLのTEに懸濁したゲノム DNA溶液のうち1μLを用いてPCR法により遺伝子導入をチェックした。プライマーとしては、カナマイシン耐性遺伝子(NPT2遺伝子)が増幅されるプライマーセットと人工転写遺伝子とNOS terminator を含む領域が増幅されるプライマーセットを設計して用いた。
(e)形質転換体からのタンパク質の抽出
形質転換植物の1〜2 cmの葉をマイクロチューブに採取した。これに液体窒素を加えて凍結させ、ホモジナイズペッスルを用いて細かく砕いた。液体窒素が気化した後、200μLのSDS サンプルバッファー(0.125 M Tris-HCl (pH 6.8), 4% SDS, 20% glycerol, 0.01% BPB, 10% 2-ME])を加え、さらにすりつぶした。95℃で10分間保温したあと、遠心後に上清を新しいマイクロチューブに移した。これを植物抽出タンパク質のサンプルとした。
(f)ウエスタンブロット
抽出したタンパク質のうち1μLを12% SDSポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動した。分子量マーカーとしてPerfect Protein Western Marker (Novagen)を同時に泳動した。タンパク質をアクリルアミドゲルからPVDFメンブレンに転写したあと、ポンソーSを用いてタンパク質を確認した。メンブレンをブロッキング液(5% スキムミルク、0.05% tween 20, PBS)で振盪したのち、ペルオキシダーゼ標識-抗HA抗体を反応させた。分子量マーカーに対する抗体としてS-protein HRPも同時に反応させた。ECL化学発光システムを用いてX線フィルムを感光させ、シグナルを検出した。このシグナルのサイズとシグナル強度から、形質転換植物内でAZPが発現しているかどうかを検証した。
(2)ウイルス感染実験
(a)ウイルス感染用プラスミドの作製
ウイルス感染はアグロバクテリアの感染力を利用して行った。複製起点を2つ有するウイルスゲノムコピーをバイナリープラスミドに導入するために、TYLCV及びTYLCV-mildの2種類について、目的プラスミドの作製を以下に示す2段階で行った。TYLCV-mildはTYLCVとはRepの結合するdirect repeats配列が異なり、ジェミニウイルスに対する汎用性を調べる目的で用いた。
TYLCVのウイルスゲノムDNAから複製起点を含む0.5コピー分のDNAフラグメントをPCRにより増幅し、バイナリープラスミドpBI121のEcoR I/Hind IIIサイトにクローニングし、pBI-TYLCV(0.5)を得た。シークエンシングにより塩基配列が正しいことを確認した。TYLCVの1コピー分のDNAフラグメントを導入する際、PCRで増幅したDNAをクローニングする場合には、作製したプラスミドの塩基配列を確認する必要があるが、目的プラスミドはウイルスゲノムを1.5コピー含むので必ず重複するDNA領域があり、シークエンシングにより塩基配列が正しいことを確認することができない。そこで、一度クローニングプラスミドpBluescript II KS+にウイルスゲノム1コピー分を組み込んで、全塩基配列を確認した後にPCRを行わずに制限酵素で切り出したDNAフラグメントをpBI-TYLCV(0.5)に導入することにした。
TYLCVのウイルスゲノムDNAから複製起点を含む1コピー分のDNAフラグメントをPCRにより増幅し、pBluescript II KS+のPst I/Hind IIIサイトにクローニングしてpBS-TYLCVを得た。シークエンシングにより全塩基配列が正しいことを確認した。次にpBS-TYLCVからBsrG I及びHind IIIでウイルスゲノム1コピー分のDNAフラグメントを切り出し、アガロースゲル上で精製後、pBI-TYLCV(0.5)のBsrG I/Hind IIIサイトにクローニングし、最終的に目的プラスミドのpBI-TYLCV(1.5)を得た。TYLCV-mildについても、同様の操作を行い、最終的に目的プラスミドのpBI-TYLCV-mild(1.5)を得ることができた。
(b)ウイルス感染用プラスミドの感染能の確認
アグロバクテリア C58C1RifR (GV2260) のコンピテントセルを作製した。このコンピテントセルに、作製したTYLCVゲノムあるいはTYLCV-mildゲノムを1.5コピー有するバイナリーベクターを導入し、アグロイノキュレーション用のアグロバクテリアのグリセロールストックを作成し、−80℃に保存した。野生型トマトに感染する前日に、このグリセロールストックを6 mLのLB 培地 (Kan 100 mg/L、Amp 50 mg/L) に植菌し、30℃で一昼夜培養した。次にアグロバクテリアを集菌し、バッファー1 mLに懸濁させた。この懸濁液を播種後約10日の苗の子葉に注入して、感染させた。感染後定期的に植物個体の観察及び葉の中のウイルスDNAの検出を行った。そのためのDNAサンプルの作製は上述したように行い、それぞれのTYLCVに特異的なプライマーセットを用いて行って得たPCR生成物の解析により、ウイルス感染を分子レベルで評価した。
(3)TYLCV感染耐性の評価
形質転換体T3からの苗にウイルスバイナリーベクターを保持するアグロバクテリアの懸濁液を注入し、感染症状を経時的に肉眼で確認した。また、感染させたトマトの葉からDNAを抽出し、植物体内でウイルスが増殖しているかどうかを、前項の方法に従ってPCRで検証した。
2.結果
(1)AZP形質転換トマトの作製
Micro-TomトマトにAZP遺伝子をそれぞれアグロバクテリアを介して導入した。図15に示す各AZP発現カセットを有するバイナリーベクターで形質転換されたアグロバクテリアを子葉切片に感染させて遺伝子を導入した。次にカナマイシンを含む培地を用いてカルスを誘導させ、シュート、次に根を誘導させた。発根が深く寒天培地に伸びている個体を選ぶことにより発根誘導時に形質転換体をさらに選別し、順化後、土に植替えることにより形質転換体を得た。
これら形質転換体T1がAZP遺伝子を有することをPCR法により確認した。カナマイシン耐性遺伝子及びAZP遺伝子を検出するため、図16に示すPCRプライマーセットを用いて(それぞれ図中でオレンジ色及び青色の矢印で示す)PCRを行った。図17に示すように得られた形質転換体で両方の遺伝子が検出され、形質転換操作がうまく行われたことを確認できた。さらに念のため、AZP発現カセット全領域がトマトゲノムに挿入されていることを別のプライマーセットで確認した(図18: ピンク色の矢印で図示)。図19に示されているように、35SプロモーターからNOSターミネーターまで、AZP発現カセット全領域が植物ゲノムに遺伝子導入されていることを確認した。
(2)T2及びT3植物の作製及び各ラインの解析
得られたT1植物におけるAZP遺伝子のコピー数は、T2植物のAZP遺伝子挿入個体の割合を調べ、カイ2乗検定により同定した。すなわち、各T1ラインからT2種子を回収し、それらを播種して得られた各T2個体でのAZP遺伝子の有無をPCRにより同定した。AZP-2を導入して得られたT2植物のうち、各々ひとつのラインを例として図19に示した。図19を例に取ると、PCR法により特定のT1ラインから得られた18個体のT2植物中、13個体がAZP遺伝子を有しており、分離比は13対5となる。もし、このT1ラインがAZP遺伝子1コピーを有しているのであれば、その分離比は3対1となるはずである。そこでカイ2乗検定により1コピーと仮定するとカイの2乗値は0.074であり、P = 0.01の臨界値は6.63であることから、この帰無仮説は棄却されない。他方、2コピー挿入と仮定すると、カイの2乗値は14.2となり、臨界値より大きくなり、この帰無仮説は棄却される。以上の検証結果から、このT1ラインは1コピー挿入体であることがわかる。そのほかのT1個体についても同様にして1コピー挿入体の選別を行った(図20)。
さらに各アプローチの形質転換体でのAZP発現をウェスタンブロットで確認した。各々のアプローチ用のAZP発現カセットには、あらかじめHAエピトープタグをつけて、形質転換体におけるAZPタンパク質の発現を抗HA抗体を用いてたウェスタンブロット法により検証できるようにしておいた。図21に示すように、AFP-2を導入したT2植物についてもAZPタンパク質が強く発現されていることが確認できた。
AZP遺伝子の1コピー挿入が確認されたT1植物から得られた各T2ラインがホモ又はヘテロのいずれであるかは、それぞれのT2植物からのT3苗のPCR解析により決定した。各T2ラインからのT3苗(各ライン約20個体の苗を使用)の葉から抽出したDNAサンプルのPCR解析により、すべての苗でAZP遺伝子の保持が確認されれば、その親であるT2ラインをホモであると断定することができる(分離比が1:3となれば、その親であるT2ラインはヘテロである)。同一のT2ラインからのすべてのT3植物において、AZP遺伝子が保持されていることから、このT2ラインはホモであることが分かった(図22)。統計処理によりホモであることも確認した。また、T3植物においてAZPが発現していることもウェスタンブロットにより確認した(図23)。AFP-3を用いて形質転換した植物についても、それぞれのT2植物からのT3苗について同様の操作を行ない、同様の結果を得た。
注)「ホモのT2を有するT1」ラインは、得られた1コピー挿入T1について解析して得られた結果を示す。
(3)TYLCVバイナリープラスミドの作製及び感染能の確認
アグロイノキュレーション法によりMicro-Tomトマトを感染させることが可能かどうかを検証した。複数の野生型Micro-TomにTYLCVゲノムを有するアグロバクテリアを注入し、TYLCVの感染を試みた。複数回の試験を行った結果、各回とも高効率で感染させることができた。感染後約10日には若い葉においてTYLCV感染の特徴的な葉の縮退が観察された。さらに成長させた個体ではTYLCV感染の特徴的症状である葉のカーリングや黄色化が明確に観察された。感染した個体では明白な成長の阻害が認められ(図24)、開花は多いものの、結実する確率は著しく低かった。
アグロイノキュレーション法によるTYLCVの感染を分子レベルでも確認した。感染成立後、各ステージでの葉を回収し、すべての感染した葉でTYLCVゲノムDNAをPCR法により検出することができた。また、TYLCV-mildについても同様の実験を行ったが、TYLCVとは異なり、その感染症状はマイルドであった。特に感染初期の症状が葉の周辺の色が薄くなるという程度であり、表現系からの感染の判断は難しい場合がある。従って、表現系による判定だけでなく、PCR法により感染個体でのTYLCV-mildで複製されていることを分子レベルで同定することで正確な判定が可能になる。
(4)AZP発現によるTYLCV感染耐性の獲得
AZP-2を導入して作製したT1植物のうちの3個体からそれぞれ得られたホモのT2ライン(表1参照)から得られたT3植物に対して上記と同様にしてTYLCVを感染させた。図25に示されるとおり、感染した野生型(図の左側の植物)に見られるような葉の萎縮や黄色化は、形質転換トマトにおいては認められなかった。さらに、感染耐性をPCRにより分子レベルで評価した。図26に示されているように、T3ホモ体でウイルスDNAは検出されなかった。また、ホモ体だけでなく、ヘテロ体でもウイルスDNAは検出されず、ウイルスの増殖は見られなかった。
また、AZP-3を導入して作製したT1植物1個体から得られたT3植物にも同様にしてTYLCVを感染させたところ、図27に示されるとおり、感染した野生型に見られるような葉の萎縮や黄色化は、形質転換トマトにおいては認められなかった。さらに、図28に示されているように、AZP-3の形質転換体においても、ウイルスDNAは検出されなかった。
本発明の複製阻害剤は、TYLCVや他のジェミニウイルスに対して高い有効性を発揮することができるので、多様なジェミニウイルスに対する防除手段として極めて有用である。

Claims (12)

  1. ジェミニウイルスのステムループ領域の全長DNAに特異的に結合することができるジンクフィンガータンパク質を含み、かつ該DNAに特異的に結合してステムループ構造の形成を阻害することによりウイルス由来の複製タンパク質(Rep)によるステムループ構造におけるループ部位の一本鎖DNAの切断を阻害することができる複製阻害剤であって、以下の何れかである複製阻害剤。
    (a)配列番号1に示すアミノ酸配列又は配列番号2に示すアミノ酸配列を有する複製阻害剤;
    (b)配列番号1又は2により特定されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換、及び/ 又は付加を有するアミノ酸配列からなる複製阻害剤であって、配列番号1又は2により特定されるアミノ酸配列からなるタンパク質と実質的に同様の複製阻害作用を有する複製阻害剤;又は
    (c)配列番号1又は2により特定されるアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる複製阻害剤であって、配列番号1又は2により特定されるアミノ酸配列からなるタンパク質と実質的に同様の複製阻害作用を有する複製阻害剤:
  2. ジェミニウイルスがベゴモウイルス属に属するウイルスである請求項1に記載の複製阻害剤。
  3. ジェミニウイルスがトマト黄化葉巻ウイルスである請求項2に記載の複製阻害剤。
  4. 配列番号1又は2により特定されるアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる複製阻害剤であって、配列番号1又は2により特定されるアミノ酸配列からなるタンパク質と実質的に同様の複製阻害作用を有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複製阻害剤。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸。
  6. 請求項5に記載の核酸を含む植物形質転換用の組換えベクター。
  7. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のジンクフィンガータンパク質又は該ジンクフィンガータンパク質をコードする核酸を有効成分として含む農薬。
  8. 植物のジェミニウイルス感染を予防する方法であって、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のジンクフィンガータンパク質又は該ジンクフィンガータンパク質をコードする核酸の予防有効量を植物に施用する工程を含む方法。
  9. ジェミニウイルスに対して耐性を有する植物であって、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のジンクフィンガータンパク質を発現可能な遺伝子組み換え植物。
  10. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸を導入することにより形質転換された植物。
  11. 植物にジェミニウイルスに対する耐性を獲得させる方法であって、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸を該植物に導入して形質転換する工程を含む方法。
  12. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のジンクフィンガータンパク質をコードする核酸を含む植物形質転換用ベクター。
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