JP6152634B2 - 多孔質構造体用の半導体微粒子分散体の製造方法、色素増感太陽電池用多孔質構造体の製造方法、及び色素増感太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Description
この高効率太陽電池の構造は、透明導電性ガラス基板上に電子輸送層を設け、その表面に吸着した光増感化合物と(以下、光増感化合物が吸着した電子輸送層を「光電変換層という」)、酸化還元対を有する電解質と、対向電極とからなる。
Graetzelらは、酸化チタン等からなる電子輸送層を多孔質化して表面積を大きくしたこと、並びに光増感化合物としてルテニウム錯体を単分子吸着させたことにより光電変換効率を著しく向上させた。
さらに吸着した色素すべてに光を到達させるために、電子輸送層は透明性が高いことが要求される。
このため多孔質な電子輸送層は、1次粒径が数nmから数百nmの半導体粒子分散体を塗布して、乾燥させることにより作製されることが多い。
したがって、分散性の高い半導体粒子分散体が必要とされている。(例えば、特許文献1、2参照)
しかし、比表面積を大きくした多孔質な電子輸送層は細孔径が小さくなってしまうために、電解質が細孔の中に入っていかず、光電変換層の接触面積が不充分となる問題があった。
特に近年、耐久性向上のために、ゲル状または固体状の電解質を使用する場合が多く、その場合、電解質は小さい細孔に入っていくことは困難であるため、電解質と光電変換層の接触面積が不充分となる問題が顕著であった。(例えば、特許文献3、4参照)
本発明の分散体を使用することにより、透明性の高く、大きい細孔径、大きい比表面積を有する電子輸送層が形成し、変換効率の高い太陽電池を提供することである。
(1)「透明基板上に形成された電極と、電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質層と光吸収層とを備え、該光吸収層は半導体微粒子からなる多孔質構造体上に色素が担持されている色素増感太陽電池を作製するための多孔質構造体用分散体において、体積基準の粒径分布における粒径が5nm以上500nm以下であり、粒径分布のピークが3つ以上あることを特徴とする半導体微粒子分散体」、
(2)「前記体積基準の粒径分布における粒径が5nm以上350nm以下であり、3つ以上あるピークの一つが5nmから20nmの範囲にあることを特徴とする前記第(1)項に記載の分散体」、
(3)「前記第(1)項または第(2)項に記載の分散体を塗布して作製した色素増感太陽電池用多孔質構造体」、
(4)「前記第(3)項に記載の多孔質構造体を使用した色素増感太陽電池」。
さらに、電解質の粘度が高い場合や、電解質が固体の場合であっても、変換効率の高い色素増感太陽電池を提供できる。
すなわち、図1の光電変換素子において、両電極間に、緻密な電子輸送層6、多孔質の電子輸送層7からなる電子輸送層5を有し、電解質層9を挟んで、触媒層10が設けられている。さらに、電極4、透明基板2が順次設けられた構成をとっている。
そして多孔質の電子輸送層7の表面には光増感化合物11が吸着している。
発生した電流はリードライン12、13を通じて外部回路に取り出される。多孔質の電子輸送層7は半導体層となっている。多孔質の電子輸送層7は本発明の分散体を塗布することにより作製される。本発明の分散体を塗布し、焼結等にすることよって多孔質状態を形成する。
本発明の分散体を塗布して作製した、多孔質の電子輸送層7は非常に高い表面積を持ち、その表面積はラフネスファクターを用いて表わすことができる。
このラフネスファクターは、基板に塗布した半導体微粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。従って、ラフネスファクターは大きいほど好ましいが、電子輸送層の膜厚との関係もあり、本発明においては20以上が好ましい。
多孔質の電子輸送層7は、単層であっても多層であってもよい。
多層の場合、粒径の異なる半導体粒子の分散体を多層塗布することも、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。
光の捕獲率を向上させるために、光の入射側の1次粒径は小さく、徐々に1次粒径を大きくしていくこともできる。
一般的に、電子輸送層の膜厚が増大するほど単位投影面積当たりの担持光増感化合物量も増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入された電子の拡散距離も増えるため電荷の再結合によるロスも大きくなってしまう。従って、電子輸送層の膜厚は100nm〜100μmが好ましい。
分散体中では1次粒子が凝集して2次粒子以上の集塊粒子を形成している。また、一部は1次粒子のものもある。
これらの2次粒子以上の集塊粒子、1次粒子を合わせた分布を見るには体積基準で粒度分布を確認することが好ましい。
そして300個以上の粒子の円相当径を測定し、その分布を体積基準で粒度分布として算出することができる。
さらに好ましくは粒径が5nm以上350nm以下であり、3つ以上あるピークの一つが5nmから20nmの範囲にあることが望ましい。
ピークとは図2のように山の値とすぐ隣の谷の値の差が1%以上あるものをいう。
透過率は膜厚10μmの多孔質構造体を基板に形成後、分光光度計などにより測定できる。
また体積基準の細孔径分布において、細孔径5nm以下の累積頻度は20%以下となる。
平均細孔径は多孔質構造体を基板に形成後、スパーチュラ等で剥ぎ取り、比表面積/細孔分布測定装置などを用いてBET法などより、求めることができる。比表面積(A)と全細孔容積(V)から算出でき、4V/Aで表わされる。
細孔径分布は細孔径の結果から算出することができる。
細孔径分布から細孔径5nm以下の頻度を累積した値が細孔径5nm以下の累積頻度となる。
具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物が挙げられる。また、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
これらの中でも酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
Si半導体は、Geとともに古くから半導体材料として実用化されてきた。このSi半導体を用いたガラスの太陽電池は十数年前に開発されたが、フレキシブルな色素増感太陽電池は数年前に開発されたものである。本発明の色素増感太陽電池においては、色素増感される半導体微粒子として、上記のような無機質超微粒子、特にセラミック超微粒子を好適に使用することができる。本発明における超微粒子とは粒径分布ピークが1000nm以下の粒径のもの、狭義には700nm以下の分布ピークを示すものを意味する。うち、500nm以下の分布ピークを示すものが好ましい。
例えば、典型的には、一番小さい粒径分布のピークと、それよりも大きな第二の粒径分布ピーク、それよりも大きな第三の粒径分布ピーク・・・を得ることができる。
また、最初に、粒径分布ピークがそれぞれ異なる複数種の微粒子を一緒に分散処理に供することによって、より簡単にピークが3つ以上ある半導体微粒子分散体を得ることができ、この場合は、得られた分散体のピークは、元のピークよりもそれぞれ大幅に減少する。つまり、元のピーク位置とは異なるピーク位置のものが得られる。しかし、無論、本発明はこのような分散処理に限られる訳ではない。
多目的無機質超微粒子には、例えばシリカ、球状アルミナ、板状アルミナ、繊維状アルミナ、ジルコニアY−PSZ、スピネル、タルク、ムライト、酸化マグネシウム、コージエライト、炭化ケイ素、酸化鉄などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
レアアース酸化物には、例えば酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化サマリウム、酸化ランタン、酸化タンタル、酸化テルビウム、酸化ユーロピウム、酸化ネオジムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
磁性材料には、例えばマグネタイト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライトなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
無機質顔料には、例えばヘマタイト、赤色酸化鉄、コバルトブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
光電材料には、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、フッ化グネシウム、炭化ケイ素、アルミナ、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、チタン酸バリウムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
導電性材料には、例えば酸化スズ、アルミナ、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、チタン酸バリウムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
圧電性材料には、例えばPT,PZT,PLZT、ヘマタイト、チタン酸バリウムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
ナノ粒子における一次粒子の粒径分布は、ナノ粒子は製法にも依存(通常液相法で、気相法は稀れ)して、ほとんどがシャープである。形状はほとんど粒状であるが、繊維状や板状のものもある。超微粒子の外観は、多少嵩高いという違いはあるが、微粒子とほとんど変わりない。しかし、一次粒子が小さいといっても、高活性度であるため通常は少なくとも一部凝集しているためである。粒径が細かくなる程凝集が強くるため、超微粒子の分散には微粒子の分散に比べ大きなエネルギーを必要とする。超微粒子の分散系は、濃厚コロイド系である。希薄コロイドそのままでは実用に適さない。一般的に超微粒子分散液は、分散が悪いときは粘度が小さく、分散が進むに従い、粘度が高くなる。しかし、本発明においては樹脂を添加する場合がほとんどであってよいが、これは、乾燥された塗工層の保持が主目的であり、同時に、被分散粒子(二次凝集粒子)への有効な分散力、せん断力の付与にも寄与する。したがってバインダー量は少量でも済むことが多いが、凹部や孔部に浸透し難い。
そして、本発明の太陽電池は、幅広いスペクトルを有する太陽エネルギーをできるかぎり効率的に利用するために、本発明における分散液は異なる禁制帯を有する複数種類の光吸収性材料からなることができるが、しかし、必ずしも必須ではない。光電変換素子中の光吸収材料としての存在態様の違いにも依存するからである。例えば上記のように、光電変換材料分子は、隣接する材料分子に、共鳴によって、吸収エネルギーを伝播することができるが、共鳴は構造的に同系統の分子間では生じ易い。また、隣接する分子間が凝集体からなる電荷キャリアの易動性は、その粒子の凝集状態にもよる。また、よく知られているようにすべての凝集は、例外なく発熱(表面エネルギーの放出又はエンタルピーの減少)を伴う安定化課程であるので、活性状態からどの程度の少ないエネルギー状態低下で留まったものであるかも問題となる。しかし、光電粒子含有液の調製時における溶剤の所謂「溶解度パラメータ」が、凝集エネルギーの平方根値であるとしても、これに分散される光電変換材料分子の溶解熱(又は分散熱)と凝集熱は可逆的関係にない。
このときに使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
このとき加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
分散は一般的に知られている手法を用いることができ、例えばビーズミル、ペイントシェーカー等のメディア分散、超音波やローターによるせん断などを利用したホモジナイザー、ジェットミルなどで分散することができる。
調製した微粒体を透明電極付き基板上に塗布し、電子輸送層5を形成する。
例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、ITOと称す)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称す)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、ATOと称す)等が挙げられ、これらが単独あるいは複数積層されていてもよい。
電子集電電極の厚さは5nm〜100μmが好ましく、50nm〜10μmが更に好ましい。
電子集電電極と基板が一体となっている公知のものを用いることもでき、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチック膜、ITOコート透明プラスチック膜等が挙げられる。
また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものでもよい。これらは単独あるいは2種以上の混合、または積層したものでも構わない。
また基板1、2の抵抗を下げる目的で、金属リード線等を用いてもよい。
金属リード線の材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITOやFTOを設ける方法が挙げられる。
例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融することもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、10分〜10時間が好ましい。
焼成後、半導体粒子の表面積の増大や、光増感化合物から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行なってもよい。
マイクロ波照射は、電子輸送層形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。
照射時間には特に制限がないが、1時間以内で行なうことが好ましい。
この電子輸送層5は、電子集電電極3上に緻密な電子輸送層6を形成し、更にその上に多孔質状の電子輸送層7を形成する積層構造であることが好ましい。
この緻密な電子輸送層6は、正孔集電電極4と電解質層9との電子的コンタクトを防ぐ目的で形成するものである。従って、電子集電電極と電解質層9が物理的に接触しなければ、ピンホールやクラック等が形成されていても構わない。
また、この緻密な電子輸送層の膜厚に制限はないが、10nm〜1μmが好ましく、20nm〜700nmがより好ましい。
なお、電子輸送層6の「緻密」とは、多孔質の電子輸送層7中の半導体粒子の充填密度より高密度で無機酸化物半導体が充填されていることを意味する。
光増感化合物11は使用される励起光により光励起される化合物であれば特に限定されないが、具体的には以下の化合物が挙げられる。
特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J.Phys.Chem.C,7224,Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、同特開2004−95450号公報、Chem.Commun.,4887(2007)等に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号公報、特開2004−235052号公報、J.Am.Chem.Soc.,12218,Vol.126(2004)、Chem.Commun.,3036(2003)、Angew.Chem.Int.Ed.,1923,Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J.Am.Chem.Soc.,16701,Vol.128(2006)、J.Am.Chem.Soc.,14256,Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号公報等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号公報等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号公報等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号公報、J.Phys.Chem.,2342,Vol.91(1987)、J.Phys.Chem.B,6272,Vol.97(1993)、Electroanal.Chem.,31,Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J.PorphyrinsPhthalocyanines,230,Vol.3(1999)、Angew.Chem.Int.Ed.,373,Vol.46(2007)、Langmuir,5436,Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物等を挙げることができる。
特にこの中で、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物を用いることが好ましい。
前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラー法、エアーナイフ法等を用いることができ、後者の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等を用いることができる。
また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させても構わない。
縮合剤は、無機物表面に物理的あるいは化学的に光増感化合物と電子輸送化合物を結合すると思われる触媒的作用をするもの、または化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるものの何れであってもよい。
更に、縮合助剤としてチオールやヒドロキシ化合物を添加してもよい。
凝集解離剤としてはコール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸または長鎖アルキルホスホン酸が好ましく、用いる色素に対して適宜選ばれる。これら凝集解離剤の添加量は、色素1質量部に対して0.01〜500質量部が好ましく、0.1〜100質量部がより好ましい。
また、この吸着は静置しても攪拌しながら行なっても構わない。
攪拌する場合の方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
吸着に要する時間は、5秒以上、1000時間以下が好ましく、10秒以上、500時間以下がより好ましく、1分以上、150時間が更に好ましい。
また、吸着は暗所で行なうことが好ましい。
例えば、白金、カーボン、金、導電性ポリマーなどが挙げられる。
(分散体の作製)
酸化チタン分散体を以下の配合にて混合攪拌して作製した。
分散機はビーズミル(ジルコニアビーズ、φ0.03mm)を使用(以下同様)した。
<配合>
酸化チタン1(1次粒径は25nm) :0.5重量部
酸化チタン2(1次粒径は14nm) :0.5重量部
酸化チタン3(1次粒径は7nm) :0.5重量部
エタノール :8.5重量部
上記スラリーをビーズミルに投入し5hrs、分散処理を行ない、分散体1を作製した。
さらに以下の配合にて混合した後、エタノールを除去して印刷用分散体101を得た。
分散体1 :5重量部
テルピネオール :1重量部
セルロース :0.1重量部
図3に参考例1による印刷用分散体101の粒径分布を示す。図3から、参考例1で分散処理し得られた印刷用分散体101は、体積基準の粒径分布における粒径が5nm以上500nm以下であり、かつ、ピークが明確に別れた3つの山を示し、分散処理に供された原料の1つ酸化チタン3の「平均粒径7nm」よりも小さい平均粒径側に若干シフトしたピークを有することが分かる。ここで、ピークの高さを見る際には、図中、横軸の粒径が、個数平均粒径でなく、体積平均粒径である点に留意する必要がある。
チタニウムテトラ−n−プロポキシド2ml、酢酸4ml、イオン交換水1ml、2−プロパノール40mlを混合し、FTOガラス基板上にスピンコートし、室温で乾燥後、空気中450℃で30分間焼成した。再度同一溶液を用いて、得た電極上に膜厚100nmになるようにスピンコートで塗布し、空気中450℃で30分間焼成して緻密な電子輸送層を形成した。
印刷用分散体101を、上記緻密な電子輸送層上に乾燥膜厚15μmになるように塗布し、さらに印刷用散乱層用分散体を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、室温で乾燥後、空気中500℃で30分間焼成した。更に、この電極を40mMに調整した四塩化チタン水溶液中に沈めて70℃、30分間静置した。水洗した後、再び空気中500℃で30分間焼成し、多孔質の電子輸送層を形成した。
上記酸化チタン半導体電極を、ルテニウム錯体として0.5mMに調整したN719色素[シス−ビス(イソチオシアナート)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)−ビス−テトラ−n−ブチルアンモニウム、Solaronix社製]のアセトニトリル/t−ブタノール(体積比1:1)混合溶液中に室温で2日間、暗所にて静置して光増感化合物を吸着させた。
FTOガラス基板上に、Ptをスパッタして作製した対極に電解液注入用穴を形成した。
そしてスペーサーフィルムを設置し、先に作製した光電変換素子を合わせ、アクリル系UV硬化樹脂を用いて封止した。
その後、アセトニトリルに、ヨウ化リチウム(LiI)0.1M、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド0.6M、ヨウ素(I2)0.05M、4−tert−ブチルピリジン0.5Mを溶解させた電解質を対極に形成した穴から注入し、その後穴を封止して太陽電池1を作製した。
参考例1と同様にして、以下の配合、分散条件で分散体2および、印刷用分散体201を作製した。
作製した分散体201を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池2を作製した。
<配合>
酸化チタン2(1次粒径は14nm) :7重量部
酸化チタン4(1次粒径は35nm) :5重量部
酸化チタン5(1次粒径は50nm) :3重量部
エタノール :85重量部
<分散時間>
・ビーズミルで約48時間
図4に参考例2による印刷用分散体201の粒径分布を示す。図4から、ビーズミルで約48時間分散処理して得られた印刷用分散体201中の最も小さいピークは、使用した酸化チタン2(1次粒径:14nm)の平均粒径よりも小さいことが分かる。
参考例1と同様にして、以下の配合、分散条件で分散体3および、印刷用分散体301を作製した。
作製した分散体を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池3を作製した。
<配合>
酸化チタン1(1次粒径は25nm) :15重量部
エタノール :85重量部
<分散時間>
・ビーズミルで約100時間
図5に実施例3による印刷用分散体301の粒径分布を示す。図5から、ビーズミルで約100時間分散処理して得られた印刷用分散体301中の粒子は、粒径分布ピークが3つあるものに変り、そのうちの最も小さいピークは、使用した酸化チタン1(1次粒径:25)の平均粒径よりも小さいことが分かる。
参考例1と同様にして、以下の配合、分散時間で分散体4および、印刷用分散体401を作製した。
作製した分散体を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池4を作製した。
<配合>
酸化チタン2(1次粒径は14nm) :15重量部
エタノール :85重量部
<分散時間>
・ビーズミルで約70時間
図6に実施例4による印刷用分散体401の粒径分布を示す。図6から、ビーズミルで約70時間分散処理して得られた印刷用分散体401中の粒子は、粒径分布ピークが3つあるものに変り、そのうちの最も小さいピークは、使用した酸化チタン2(1次粒径:14)の平均粒径よりも小さいことが分かる。
分散時間を1/10にした以外は参考例1と同様にして、以下の酸化チタン配合で分散体5および、印刷用分散体501を作製した。
作製した分散体を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池5を作製した。
図7に比較例1による印刷用分散体501の粒径分布を示す。
参考例1と同様にして、以下の配合で分散体6および、印刷用分散体601を作製した。
作製した分散体601を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池6を作製した。
<配合>
酸化チタン3(1次粒径は7nm) :10重量部
エタノール :90重量部
<分散時間>
・超音波ホモジナイザーで約1時間
図8に比較例2による印刷用分散体601の粒径分布を示す。
分散時間を2倍にした以外は実施例4と同様にして、以下の酸化チタン配合で分散体7および、印刷用分散体701を作製した。図9に比較例3による印刷用分散体701の粒径分布を示す。
作製した分散体701を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池7を作製した。
(多孔質構造体の評価)
作製した多孔質構造体を一部剥ぎ取り、比表面積/細孔分布測定装置(島津製作所製 トライスター3020)にて比表面積と細孔分布を測定し、平均細孔径を求めた。
作製した多孔質構造体の透過率を測定した。測定は日本分光製紫外可視分光光度計V−660で行なった。膜厚10μm、波長500nmの透過率で評価した。
太陽電池のIV測定を行ない変換効率を算出した。測定はNF回路製太陽電池評価システムAs−510−PV03で行なった。その際、照射する光の強度は疑似太陽光照射下(AM1.5、100mW/cm2)において行なった。
表1に各実施例の変換効率と平均細孔径および多孔質膜透過率の値を示す。
2 基板
3 電子集電電極
4 電子集電電極
5 6および7からなる電子輸送層
6 緻密な電子輸送層
7 多孔質な電子輸送層
8 9および10からなるホール輸送層
9 電解質層
10 触媒層
11 光増感化合物
12 リードライン
13 リードライン
Claims (4)
- 透明基板上に形成された電極と、該電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質層と光吸収層とを備え、該光吸収層は半導体微粒子からなる多孔質構造体上に色素が担持されている色素増感太陽電池を作製するための多孔質構造体用の半導体微粒子分散体の製造方法であって、
1種類の700nm以下の粒径分布ピークを示す無機質超微粒子を分散処理して、体積基準の粒径分布における粒径が5nm以上500nm以下であり、粒径分布のピークが3つ以上ある半導体微粒子分散体を得る工程を含むことを特徴とする多孔質構造体用の半導体微粒子分散体の製造方法。 - 前記体積基準の粒径分布における粒径が5nm以上350nm以下であり、3つ以上あるピークの一つが5nmから20nmの範囲にある請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法により得られた前記半導体微粒子分散体を塗布する工程を含むことを特徴とする色素増感太陽電池用多孔質構造体の製造方法。
- 請求項3に記載の製造方法により得られた多孔質構造体を使用することを特徴とする色素増感太陽電池の製造方法。
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