JP6152634B2 - 多孔質構造体用の半導体微粒子分散体の製造方法、色素増感太陽電池用多孔質構造体の製造方法、及び色素増感太陽電池の製造方法 - Google Patents

多孔質構造体用の半導体微粒子分散体の製造方法、色素増感太陽電池用多孔質構造体の製造方法、及び色素増感太陽電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、色素増感太陽電池用半導体粒子の分散体と、その分散体を用いた色素増感太陽電池に関する。
太陽電池にはいくつかの種類があるが、実用化されているものはシリコン半導体の接合を利用したダイオード型のものがほとんどである。これらの太陽電池は現状では製造コストが高く、このことが普及を妨げる要因となっている。
最近、低コスト化の可能性として、スイス・ローザンヌ工科大学のGraetzelらが高効率の太陽電池(以下、色素増感太陽電池)を発表したことにより、実用化への期待が高まっている(例えば、非特許文献1、2参照)。
この高効率太陽電池の構造は、透明導電性ガラス基板上に電子輸送層を設け、その表面に吸着した光増感化合物と(以下、光増感化合物が吸着した電子輸送層を「光電変換層という」)、酸化還元対を有する電解質と、対向電極とからなる。
Graetzelらは、酸化チタン等からなる電子輸送層を多孔質化して表面積を大きくしたこと、並びに光増感化合物としてルテニウム錯体を単分子吸着させたことにより光電変換効率を著しく向上させた。
多孔質な電子輸送層は、その表面により多くの光増感化合物を吸着させるために、大きい比表面積が必要とされる。
さらに吸着した色素すべてに光を到達させるために、電子輸送層は透明性が高いことが要求される。
このため多孔質な電子輸送層は、1次粒径が数nmから数百nmの半導体粒子分散体を塗布して、乾燥させることにより作製されることが多い。
したがって、分散性の高い半導体粒子分散体が必要とされている。(例えば、特許文献1、2参照)
一方、色素増感太陽電池は酸化還元対を有する電解質を有するが、電子の移動をスムーズに行なうために、電解質は光電変換層と充分な接触面積を有する必要がある。
しかし、比表面積を大きくした多孔質な電子輸送層は細孔径が小さくなってしまうために、電解質が細孔の中に入っていかず、光電変換層の接触面積が不充分となる問題があった。
特に近年、耐久性向上のために、ゲル状または固体状の電解質を使用する場合が多く、その場合、電解質は小さい細孔に入っていくことは困難であるため、電解質と光電変換層の接触面積が不充分となる問題が顕著であった。(例えば、特許文献3、4参照)
従って、本発明の課題は、色素増感太陽電池の多孔質の電子輸送層が、透明性が高く、また比表面積が大きく、細孔径が大きくなるような層をつくることのできる、半導体微粒子の分散体を提供することである。
本発明の分散体を使用することにより、透明性の高く、大きい細孔径、大きい比表面積を有する電子輸送層が形成し、変換効率の高い太陽電池を提供することである。
上記課題は、本発明の下記(1)〜(4)によって解決される。
(1)「透明基板上に形成された電極と、電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質層と光吸収層とを備え、該光吸収層は半導体微粒子からなる多孔質構造体上に色素が担持されている色素増感太陽電池を作製するための多孔質構造体用分散体において、体積基準の粒径分布における粒径が5nm以上500nm以下であり、粒径分布のピークが3つ以上あることを特徴とする半導体微粒子分散体」、
(2)「前記体積基準の粒径分布における粒径が5nm以上350nm以下であり、3つ以上あるピークの一つが5nmから20nmの範囲にあることを特徴とする前記第(1)項に記載の分散体」、
(3)「前記第(1)項または第(2)項に記載の分散体を塗布して作製した色素増感太陽電池用多孔質構造体」、
(4)「前記第(3)項に記載の多孔質構造体を使用した色素増感太陽電池」。
体積基準の粒径分布において、粒径が5nm以上500nm以下であり、ピークが3つ以上あることにより径の小さい細孔がなく、酸化還元反応がスムーズに起こり、光電変換効率の高い色素増感太陽電池を提供できる。
さらに、電解質の粘度が高い場合や、電解質が固体の場合であっても、変換効率の高い色素増感太陽電池を提供できる。
本発明の光電変換素子の構成例の1例である。 粒径分布の山谷の説明の図である。 参考例1の粒径分布である。 参考例2の粒径分布である。 実施例3の粒径分布である。 実施例4の粒径分布である。 比較例1の粒径分布である。 比較例2の粒径分布である。 比較例3の粒径分布である。
図1に、本発明の分散体を用いた一般的な光電変換素子の構成例を示す。なお本発明の色素増感太陽電池素子の構成は図1に限らない。
図1に示されるように、本発明の光電変換素子は、透明基板1上に電極3が設けられ、透明基板2上には対向電極として電極4が設けられ、両電極間には電解質層と光吸収層とを備える。また、該光吸収層は半導体微粒子からなる多孔質構造体上に色素が担持されている。この多孔質構造体用分散体は、換言すれば色素増感太陽電池用多孔質構造体である。この多孔質構造体用分散体は、以下に詳細に説明するような特徴を有する。
すなわち、図1の光電変換素子において、両電極間に、緻密な電子輸送層6、多孔質の電子輸送層7からなる電子輸送層5を有し、電解質層9を挟んで、触媒層10が設けられている。さらに、電極4、透明基板2が順次設けられた構成をとっている。
そして多孔質の電子輸送層7の表面には光増感化合物11が吸着している。
発生した電流はリードライン12、13を通じて外部回路に取り出される。多孔質の電子輸送層7は半導体層となっている。多孔質の電子輸送層7は本発明の分散体を塗布することにより作製される。本発明の分散体を塗布し、焼結等にすることよって多孔質状態を形成する。
本発明の分散体を塗布して作製した、多孔質の電子輸送層7は非常に高い表面積を持ち、その表面積はラフネスファクターを用いて表わすことができる。
このラフネスファクターは、基板に塗布した半導体微粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。従って、ラフネスファクターは大きいほど好ましいが、電子輸送層の膜厚との関係もあり、本発明においては20以上が好ましい。
多孔質の電子輸送層7は、半導体微粒子を分散した分散体を塗布したのち、乾燥、焼成などを行なうことで作製される。
多孔質の電子輸送層7は、単層であっても多層であってもよい。
多層の場合、粒径の異なる半導体粒子の分散体を多層塗布することも、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。
光の捕獲率を向上させるために、光の入射側の1次粒径は小さく、徐々に1次粒径を大きくしていくこともできる。
一度の塗布で膜厚が不足する場合には、多層塗布は有効な手段である。
一般的に、電子輸送層の膜厚が増大するほど単位投影面積当たりの担持光増感化合物量も増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入された電子の拡散距離も増えるため電荷の再結合によるロスも大きくなってしまう。従って、電子輸送層の膜厚は100nm〜100μmが好ましい。
本発明の分散体に使用される半導体微粒子の1次粒径は、1nm以上300nm以下が好ましく、1nm以上100nm以下がより好ましい。
分散体中では1次粒子が凝集して2次粒子以上の集塊粒子を形成している。また、一部は1次粒子のものもある。
これらの2次粒子以上の集塊粒子、1次粒子を合わせた分布を見るには体積基準で粒度分布を確認することが好ましい。
粒度分布は電子顕微鏡で確認することが好ましい。観察画像から得られる粒子の投影面積に等しい円の直径(円相当径)を粒径と定義する。
そして300個以上の粒子の円相当径を測定し、その分布を体積基準で粒度分布として算出することができる。
分散体の体積基準の粒径分布は、粒径が5nm以上500nm以下であり、粒径分布のピークが3つ以上あることが望ましい。
さらに好ましくは粒径が5nm以上350nm以下であり、3つ以上あるピークの一つが5nmから20nmの範囲にあることが望ましい。
ピークとは図2のように山の値とすぐ隣の谷の値の差が1%以上あるものをいう。
本発明の分散体を用いて作製した多孔質構造体の膜厚10μmでの波長500nmの透過率は40%以上となる。
透過率は膜厚10μmの多孔質構造体を基板に形成後、分光光度計などにより測定できる。
本発明の分散体を用いて作製した多孔質構造体の平均細孔径は25nm以上40nm以下となる。
また体積基準の細孔径分布において、細孔径5nm以下の累積頻度は20%以下となる。
平均細孔径は多孔質構造体を基板に形成後、スパーチュラ等で剥ぎ取り、比表面積/細孔分布測定装置などを用いてBET法などより、求めることができる。比表面積(A)と全細孔容積(V)から算出でき、4V/Aで表わされる。
細孔径分布は細孔径の結果から算出することができる。
細孔径分布から細孔径5nm以下の頻度を累積した値が細孔径5nm以下の累積頻度となる。
半導体微粒子の材質は特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物が挙げられる。また、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
これらの中でも酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
しかしながら、本発明は半導体微粒子からなる多孔質構造体上に色素が担持されている光吸収層を有する色素増感太陽電池:Dye sensitized Solar Cells(DSC)に係わる。色素増感太陽電池(DSC)は、10数年前に開発され、フレキシブルで、高温・高真空の設備がなくとも製造可能である等、多く利点を有する。
Si半導体は、Geとともに古くから半導体材料として実用化されてきた。このSi半導体を用いたガラスの太陽電池は十数年前に開発されたが、フレキシブルな色素増感太陽電池は数年前に開発されたものである。本発明の色素増感太陽電池においては、色素増感される半導体微粒子として、上記のような無機質超微粒子、特にセラミック超微粒子を好適に使用することができる。本発明における超微粒子とは粒径分布ピークが1000nm以下の粒径のもの、狭義には700nm以下の分布ピークを示すものを意味する。うち、500nm以下の分布ピークを示すものが好ましい。
粒子状の無機半導体材料には多くものが存在するが、これらすべてについてナノ粒子と云われる超微粒子化が実用レベルで達成されている訳ではない。例えばII−VI属化合物半導体の場合だけ見ても、n型(ZnO,ZnS,CdS,CdSe,CdTe,HgSe,HgTe等)や、p型(FeO,Cr2O3,ZnTe,CdTe,HgTe,MoO2等)の超微粒子すべてが、すでに実用に供されているとは断言できない。例えばSiCは、本来半導体であるが、反応焼結法や常圧焼結法により作られる従来のSiC焼結体は、焼結助剤として添加するホウ素や炭素の化合物が不純物となり、電気抵抗が上がり絶縁性となってしまう。また、古くからホトセル材料として汎用されてきたCdSでさえ、未だ超微粒子を得るのが比較的難しい。
これに対して、本発明においては、例えば、700nm以下の無機質超微粒子を用いて、これを充分に分散処理することによって、凝集している粒子を少なくとも部分的に解砕してその大きさを小さくし、かつその結果、ピークを小さい方にシフトさせ及び/又は解砕で大径粒子から分かれた一次粒子やこれら数個からなる微小凝集体等の解砕片粒子をも含むことで生じた、より小さいピークを含む3つ以上のピークを出現させて、半導体微粒子の粒径が5nm以上500nm以下であり、かつ、ピークが3つ以上ある半導体微粒子分散体を得ることができる。そして、かような分散処理は、分散処理に供される半導体微粒子の平均粒径よりも明確に減少した粒径分布ピークを含む複数の粒径分布ピークを有する分散体を得ることができる。
例えば、典型的には、一番小さい粒径分布のピークと、それよりも大きな第二の粒径分布ピーク、それよりも大きな第三の粒径分布ピーク・・・を得ることができる。
また、最初に、粒径分布ピークがそれぞれ異なる複数種の微粒子を一緒に分散処理に供することによって、より簡単にピークが3つ以上ある半導体微粒子分散体を得ることができ、この場合は、得られた分散体のピークは、元のピークよりもそれぞれ大幅に減少する。つまり、元のピーク位置とは異なるピーク位置のものが得られる。しかし、無論、本発明はこのような分散処理に限られる訳ではない。
本発明における無機質超微粒子には、多目的無機質超微粒子、レアアース酸化物、磁性材料、無機質顔料、光電材料、導電性材料、圧電材料などが含まれる。しかし、これらに限定されるものではない。
多目的無機質超微粒子には、例えばシリカ、球状アルミナ、板状アルミナ、繊維状アルミナ、ジルコニアY−PSZ、スピネル、タルク、ムライト、酸化マグネシウム、コージエライト、炭化ケイ素、酸化鉄などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
レアアース酸化物には、例えば酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化サマリウム、酸化ランタン、酸化タンタル、酸化テルビウム、酸化ユーロピウム、酸化ネオジムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
磁性材料には、例えばマグネタイト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライトなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
無機質顔料には、例えばヘマタイト、赤色酸化鉄、コバルトブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
光電材料には、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、フッ化グネシウム、炭化ケイ素、アルミナ、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、チタン酸バリウムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
導電性材料には、例えば酸化スズ、アルミナ、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、チタン酸バリウムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
圧電性材料には、例えばPT,PZT,PLZT、ヘマタイト、チタン酸バリウムなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
これまでに多くの無機質超微粒子、セラミックス超微粒子が合成されており、酸化スズ、酸化亜鉛、炭化ケイ素など、すでに多くの実例がある。これら超微粒子の粒径および比表面積は、種類により異なり、小さいものでは粒径が5〜100nmおよび比表面積が30〜470m/gの範囲にわたっている。
ナノ粒子における一次粒子の粒径分布は、ナノ粒子は製法にも依存(通常液相法で、気相法は稀れ)して、ほとんどがシャープである。形状はほとんど粒状であるが、繊維状や板状のものもある。超微粒子の外観は、多少嵩高いという違いはあるが、微粒子とほとんど変わりない。しかし、一次粒子が小さいといっても、高活性度であるため通常は少なくとも一部凝集しているためである。粒径が細かくなる程凝集が強くるため、超微粒子の分散には微粒子の分散に比べ大きなエネルギーを必要とする。超微粒子の分散系は、濃厚コロイド系である。希薄コロイドそのままでは実用に適さない。一般的に超微粒子分散液は、分散が悪いときは粘度が小さく、分散が進むに従い、粘度が高くなる。しかし、本発明においては樹脂を添加する場合がほとんどであってよいが、これは、乾燥された塗工層の保持が主目的であり、同時に、被分散粒子(二次凝集粒子)への有効な分散力、せん断力の付与にも寄与する。したがってバインダー量は少量でも済むことが多いが、凹部や孔部に浸透し難い。
DSC電池の場合も、無論、効率は、電荷キャリアの発生個数とキャリアの移動距離との積に関係する。効率を良くするためには、電荷キャリアの発生個数を増すように無機超微粒子材料が小さいものでなければならない。他方では、電荷易動性を担保するように粒子同士が適度にくっついてなければならない。本発明のDSC電池は、ナノ粒子といわれる超微粒子を用いることができる。以下の詳細かつ具体的な記載から理解されるように、本発明のDSC電池は、体積基準の粒径分布において粒径が5nm以上500nm以下であり、ピークが3つ以上あるという要件により、前記二律相反し勝ちな要求を、意外にも、同時に満足するものであるといえる。また、良好な電解質の拡散のための適正な空孔構造を確保することができる。
本発明においては、酸化亜鉛や酸化チタン等のn型半導体微粒子を好ましく用いることができ、伝導帯エネルギーの値が適当に高い(近紫外域から可視光域、近赤外光域の光を効率よく吸収する)酸化チタンを使用することが最も好ましい。酸化チタンにはエネルギーギャップ3.2eVのアナターゼ型とエネルギーギャップ3.0eVのルチル型があるが、双方とも使用することができる。
すなわち、色素増感太陽電池中で太陽エネルギーの電気エネルギーへの直接変換は、光子の吸収による電子−正孔対の生成と、pn接合での負電荷担体と正電荷担体との分離に基く。生成した正孔と電子がアノード(モータ型においては陰極であるが、電池型においては陽極、)とカソードに流れるためには、pn接合に到らなければならない。生じた光電位は、リード線に光電流をもたらし、それによって、太陽電池はその出力を出す。この際、光電変換材料はそのバンドギャップより大きいエネルギーを有する(高振動数、換言すれば短波長の)光子のみ吸収できる。光電変換材料のバンドギャップの大きさは、電気エネルギーに変換できる太陽光の割合を決める。電子が伝導帯の底と価電子帯の頂上を一気に遷移する際に吸収、放出する光の波長との関係に関しては次のような関係がある。つまり、光子のエネルギー(E)と波長(λ)の間には、プランクの定数h(=6.626×10−34)と、光速c(=3×10)と、振動数νと、禁制帯幅Egとが、換算電荷素量e(=1.602×10−19)を加味して、式「E=hν=h(c/λ)=Eg」が成立する。
上式から計算すると、例えば1eVの狭いエネルギーギャップ幅では光の波長は1240nmと長波長であってよく、3.0eVのエネルギーギャップ幅では413nmと短い(高振動数の)波長となる。3.2eVのエネルギーギャップ幅では384nmとさらに短い(より高振動数の)波長となる。
そして、本発明の太陽電池は、幅広いスペクトルを有する太陽エネルギーをできるかぎり効率的に利用するために、本発明における分散液は異なる禁制帯を有する複数種類の光吸収性材料からなることができるが、しかし、必ずしも必須ではない。光電変換素子中の光吸収材料としての存在態様の違いにも依存するからである。例えば上記のように、光電変換材料分子は、隣接する材料分子に、共鳴によって、吸収エネルギーを伝播することができるが、共鳴は構造的に同系統の分子間では生じ易い。また、隣接する分子間が凝集体からなる電荷キャリアの易動性は、その粒子の凝集状態にもよる。また、よく知られているようにすべての凝集は、例外なく発熱(表面エネルギーの放出又はエンタルピーの減少)を伴う安定化課程であるので、活性状態からどの程度の少ないエネルギー状態低下で留まったものであるかも問題となる。しかし、光電粒子含有液の調製時における溶剤の所謂「溶解度パラメータ」が、凝集エネルギーの平方根値であるとしても、これに分散される光電変換材料分子の溶解熱(又は分散熱)と凝集熱は可逆的関係にない。
酸化亜鉛は酸化チタンに比し、可視光域の光のうち、波長380nm以降の長波長域の光の吸収がより少なくなることが知られている。酸化亜鉛は酸化チタンに比し光散乱性が劣ることが知られており、この性質との関連性あるかも知れない。連続相の中に屈折率が異なる異相粒子が存在する場合、粒子の大きさにより、レーリー散乱、ミー散乱、幾何光学散乱に区分される散乱を起こす。可視光の波長と同程度の粒径を持つ微粒子による散乱は、ミー散乱が主体となり、この領域の散乱は,粒径が光の波長の1/2からほぼ等しくなるとき最大となる。一方、可視光の波長よりさらに小さい超微粒子による散乱は,レーリー散乱が主体となる。この領域の散乱は,粒子体積の2乗すなわち粒径の6乗に比例する。したがって,粒径が小さくなると急激に散乱が小さくなり透明性を増す。可視光波長の1/4以下の粒径で高い透明性が得られる。超微粒子酸化亜鉛を、本発明においても使用可能である理由の1つである。
これら粒子材料は、例えば、石原産業(株)、テイカ(株)、堺化学工業(株)、チタン工業(株)、昭和電工(株)、住友大阪セメント(株)等々から、多くの種類、多種の粒径、多種の表面積のものが市販されている。本発明においては、これらを適宜混合することによって、目的の分散体を得ることができる、しかし、むろん、本発明はこのような混合操作に限定的されるものではない。
半導体微粒子を分散する半導体粒子を分散する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
分散体には、粒子の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤等を添加することができる。
さらに樹脂を添加してもよい。
このときに使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。
このとき加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
分散は一般的に知られている手法を用いることができ、例えばビーズミル、ペイントシェーカー等のメディア分散、超音波やローターによるせん断などを利用したホモジナイザー、ジェットミルなどで分散することができる。
調製した微粒体を透明電極付き基板上に塗布し、電子輸送層5を形成する。
本発明に用いられる電子集電電極3、正孔集電電極4としては、可視光に対して透明な導電性物質であれば特に限定されるものではなく、通常の光電変換素子、あるいは液晶パネル等に用いられる公知のものを使用できる。
例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、ITOと称す)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称す)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、ATOと称す)等が挙げられ、これらが単独あるいは複数積層されていてもよい。
電子集電電極の厚さは5nm〜100μmが好ましく、50nm〜10μmが更に好ましい。
また電子集電電極は一定の硬性を維持するため、可視光に透明な材質からなる基板上に設けることが好ましく、例えば、ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などが用いられる。
電子集電電極と基板が一体となっている公知のものを用いることもでき、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチック膜、ITOコート透明プラスチック膜等が挙げられる。
また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものでもよい。これらは単独あるいは2種以上の混合、または積層したものでも構わない。
また基板1、2の抵抗を下げる目的で、金属リード線等を用いてもよい。
金属リード線の材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITOやFTOを設ける方法が挙げられる。
多孔質の電子輸送層7の塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行なうことができる。
例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
多孔質の電子輸送層7の塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために焼成、マイクロ波照射、電子線照射、あるいはレーザー光照射を行なうことが好ましい。これらの処理は単独で行なってもあるいは二種類以上組み合わせて行なってもよい。
焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融することもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、10分〜10時間が好ましい。
焼成後、半導体粒子の表面積の増大や、光増感化合物から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行なってもよい。
マイクロ波照射は、電子輸送層形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。
照射時間には特に制限がないが、1時間以内で行なうことが好ましい。
本発明の光電変換素子は、上記の電子集電電極3上に、電子輸送層5として、半導体からなる薄膜を形成する。
この電子輸送層5は、電子集電電極3上に緻密な電子輸送層6を形成し、更にその上に多孔質状の電子輸送層7を形成する積層構造であることが好ましい。
この緻密な電子輸送層6は、正孔集電電極4と電解質層9との電子的コンタクトを防ぐ目的で形成するものである。従って、電子集電電極と電解質層9が物理的に接触しなければ、ピンホールやクラック等が形成されていても構わない。
また、この緻密な電子輸送層の膜厚に制限はないが、10nm〜1μmが好ましく、20nm〜700nmがより好ましい。
なお、電子輸送層6の「緻密」とは、多孔質の電子輸送層7中の半導体粒子の充填密度より高密度で無機酸化物半導体が充填されていることを意味する。
光変換効率のさらなる向上のため、多孔質の電子輸送層7に光増感化合物11を吸着させた方が好ましい。
光増感化合物11は使用される励起光により光励起される化合物であれば特に限定されないが、具体的には以下の化合物が挙げられる。
特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J.Phys.Chem.C,7224,Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、同特開2004−95450号公報、Chem.Commun.,4887(2007)等に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号公報、特開2004−235052号公報、J.Am.Chem.Soc.,12218,Vol.126(2004)、Chem.Commun.,3036(2003)、Angew.Chem.Int.Ed.,1923,Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J.Am.Chem.Soc.,16701,Vol.128(2006)、J.Am.Chem.Soc.,14256,Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号公報等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号公報等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号公報等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号公報、J.Phys.Chem.,2342,Vol.91(1987)、J.Phys.Chem.B,6272,Vol.97(1993)、Electroanal.Chem.,31,Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J.PorphyrinsPhthalocyanines,230,Vol.3(1999)、Angew.Chem.Int.Ed.,373,Vol.46(2007)、Langmuir,5436,Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物等を挙げることができる。
特にこの中で、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物を用いることが好ましい。
多孔質の電子輸送層7に光増感化合物11を吸着させる方法としては、光増感化合物溶液中あるいは分散液中に半導体微粒子を含有する電子集電電極を浸漬する方法、溶液あるいは分散液を電子輸送層に塗布して吸着させる方法を用いることができる。
前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラー法、エアーナイフ法等を用いることができ、後者の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等を用いることができる。
また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させても構わない。
光増感化合物を吸着させる際、縮合剤を併用してもよい。
縮合剤は、無機物表面に物理的あるいは化学的に光増感化合物と電子輸送化合物を結合すると思われる触媒的作用をするもの、または化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるものの何れであってもよい。
更に、縮合助剤としてチオールやヒドロキシ化合物を添加してもよい。
光増感化合物を溶解、あるいは分散する溶媒は、水、メタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができ、これらは単独、あるいは2種以上の混合として用いることができる。
また、光増感化合物は、その種類によっては化合物間の凝集を抑制した方がより効果的に働くものが存在するため、凝集解離剤を併用しても構わない。
凝集解離剤としてはコール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸または長鎖アルキルホスホン酸が好ましく、用いる色素に対して適宜選ばれる。これら凝集解離剤の添加量は、色素1質量部に対して0.01〜500質量部が好ましく、0.1〜100質量部がより好ましい。
これらを用い、光増感化合物、あるいは光増感化合物と凝集解離剤を吸着する際の温度としては、−50℃以上、200℃以下が好ましい。
また、この吸着は静置しても攪拌しながら行なっても構わない。
攪拌する場合の方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
吸着に要する時間は、5秒以上、1000時間以下が好ましく、10秒以上、500時間以下がより好ましく、1分以上、150時間が更に好ましい。
また、吸着は暗所で行なうことが好ましい。
触媒層10に用いる材料は、導電性を示す材料であれば特に制限されない。そして、電気化学的に安定であることが好ましい。
例えば、白金、カーボン、金、導電性ポリマーなどが挙げられる。
触媒層の形成方法は公知の方法を用いることができ、例えば、スパッタ法、蒸着法、スプレー法、スピンコート法、化学気相成長法(CVD法)などが挙げられる。
以下、本発明の実施例および、比較例について説明する。
参考例1〕
(分散体の作製)
酸化チタン分散体を以下の配合にて混合攪拌して作製した。
分散機はビーズミル(ジルコニアビーズ、φ0.03mm)を使用(以下同様)した。
<配合>
酸化チタン1(1次粒径は25nm) :0.5重量部
酸化チタン2(1次粒径は14nm) :0.5重量部
酸化チタン3(1次粒径は7nm) :0.5重量部
エタノール :8.5重量部
上記スラリーをビーズミルに投入し5hrs、分散処理を行ない、分散体1を作製した。
さらに以下の配合にて混合した後、エタノールを除去して印刷用分散体101を得た。
分散体1 :5重量部
テルピネオール :1重量部
セルロース :0.1重量部
図3に参考例1による印刷用分散体101の粒径分布を示す。図3から、参考例1で分散処理し得られた印刷用分散体101は、体積基準の粒径分布における粒径が5nm以上500nm以下であり、かつ、ピークが明確に別れた3つの山を示し、分散処理に供された原料の1つ酸化チタン3の「平均粒径7nm」よりも小さい平均粒径側に若干シフトしたピークを有することが分かる。ここで、ピークの高さを見る際には、図中、横軸の粒径が、個数平均粒径でなく、体積平均粒径である点に留意する必要がある。
(半導体電極の作製)
チタニウムテトラ−n−プロポキシド2ml、酢酸4ml、イオン交換水1ml、2−プロパノール40mlを混合し、FTOガラス基板上にスピンコートし、室温で乾燥後、空気中450℃で30分間焼成した。再度同一溶液を用いて、得た電極上に膜厚100nmになるようにスピンコートで塗布し、空気中450℃で30分間焼成して緻密な電子輸送層を形成した。
印刷用分散体101を、上記緻密な電子輸送層上に乾燥膜厚15μmになるように塗布し、さらに印刷用散乱層用分散体を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、室温で乾燥後、空気中500℃で30分間焼成した。更に、この電極を40mMに調整した四塩化チタン水溶液中に沈めて70℃、30分間静置した。水洗した後、再び空気中500℃で30分間焼成し、多孔質の電子輸送層を形成した。
(光電変換素子の作製)
上記酸化チタン半導体電極を、ルテニウム錯体として0.5mMに調整したN719色素[シス−ビス(イソチオシアナート)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)−ビス−テトラ−n−ブチルアンモニウム、Solaronix社製]のアセトニトリル/t−ブタノール(体積比1:1)混合溶液中に室温で2日間、暗所にて静置して光増感化合物を吸着させた。
(太陽電池の作製)
FTOガラス基板上に、Ptをスパッタして作製した対極に電解液注入用穴を形成した。
そしてスペーサーフィルムを設置し、先に作製した光電変換素子を合わせ、アクリル系UV硬化樹脂を用いて封止した。
その後、アセトニトリルに、ヨウ化リチウム(LiI)0.1M、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド0.6M、ヨウ素(I2)0.05M、4−tert−ブチルピリジン0.5Mを溶解させた電解質を対極に形成した穴から注入し、その後穴を封止して太陽電池1を作製した。
参考例2〕
参考例1と同様にして、以下の配合、分散条件で分散体2および、印刷用分散体201を作製した。
作製した分散体201を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池2を作製した。
<配合>
酸化チタン2(1次粒径は14nm) :7重量部
酸化チタン4(1次粒径は35nm) :5重量部
酸化チタン5(1次粒径は50nm) :3重量部
エタノール :85重量部
<分散時間>
・ビーズミルで約48時間
図4に参考例2による印刷用分散体201の粒径分布を示す。図4から、ビーズミルで約48時間分散処理して得られた印刷用分散体201中の最も小さいピークは、使用した酸化チタン2(1次粒径:14nm)の平均粒径よりも小さいことが分かる。
〔実施例3〕
参考例1と同様にして、以下の配合、分散条件で分散体3および、印刷用分散体301を作製した。
作製した分散体を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池3を作製した。
<配合>
酸化チタン1(1次粒径は25nm) :15重量部
エタノール :85重量部
<分散時間>
・ビーズミルで約100時間
図5に実施例3による印刷用分散体301の粒径分布を示す。図5から、ビーズミルで約100時間分散処理して得られた印刷用分散体301中の粒子は、粒径分布ピークが3つあるものに変り、そのうちの最も小さいピークは、使用した酸化チタン1(1次粒径:25)の平均粒径よりも小さいことが分かる。
〔実施例4〕
参考例1と同様にして、以下の配合、分散時間で分散体4および、印刷用分散体401を作製した。
作製した分散体を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池4を作製した。
<配合>
酸化チタン2(1次粒径は14nm) :15重量部
エタノール :85重量部
<分散時間>
・ビーズミルで約70時間
図6に実施例4による印刷用分散体401の粒径分布を示す。図6から、ビーズミルで約70時間分散処理して得られた印刷用分散体401中の粒子は、粒径分布ピークが3つあるものに変り、そのうちの最も小さいピークは、使用した酸化チタン2(1次粒径:14)の平均粒径よりも小さいことが分かる。
〔比較例1〕
分散時間を1/10にした以外は参考例1と同様にして、以下の酸化チタン配合で分散体5および、印刷用分散体501を作製した。
作製した分散体を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池5を作製した。
図7に比較例1による印刷用分散体501の粒径分布を示す。
〔比較例2〕
参考例1と同様にして、以下の配合で分散体6および、印刷用分散体601を作製した。
作製した分散体601を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池6を作製した。
<配合>
酸化チタン3(1次粒径は7nm) :10重量部
エタノール :90重量部
<分散時間>
・超音波ホモジナイザーで約1時間
図8に比較例2による印刷用分散体601の粒径分布を示す。
〔比較例3〕
分散時間を2倍にした以外は実施例4と同様にして、以下の酸化チタン配合で分散体7および、印刷用分散体701を作製した。図9に比較例3による印刷用分散体701の粒径分布を示す。
作製した分散体701を用いて、参考例1と同様にして、太陽電池7を作製した。
<評価>
(多孔質構造体の評価)
作製した多孔質構造体を一部剥ぎ取り、比表面積/細孔分布測定装置(島津製作所製 トライスター3020)にて比表面積と細孔分布を測定し、平均細孔径を求めた。
作製した多孔質構造体の透過率を測定した。測定は日本分光製紫外可視分光光度計V−660で行なった。膜厚10μm、波長500nmの透過率で評価した。
(太陽電池変換効率の評価)
太陽電池のIV測定を行ない変換効率を算出した。測定はNF回路製太陽電池評価システムAs−510−PV03で行なった。その際、照射する光の強度は疑似太陽光照射下(AM1.5、100mW/cm)において行なった。
表1に各実施例の変換効率と平均細孔径および多孔質膜透過率の値を示す。
本発明の分散体は色素増感太陽電池用途に好適であり、変換効率の高い色素増感太陽電池を作製することができるので、工業的に非常に大きな実用的価値を有するものである。
1 基板
2 基板
3 電子集電電極
4 電子集電電極
5 6および7からなる電子輸送層
6 緻密な電子輸送層
7 多孔質な電子輸送層
8 9および10からなるホール輸送層
9 電解質層
10 触媒層
11 光増感化合物
12 リードライン
13 リードライン
特開2007−179766号公報 特開2007−42534号公報 特許第4423735号公報 特開2002−93475号公報
Nature,353(1991)737 J.Am.Chem.Soc.,115(1993)6382

Claims (4)

  1. 透明基板上に形成された電極と、電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質層と光吸収層とを備え、該光吸収層は半導体微粒子からなる多孔質構造体上に色素が担持されている色素増感太陽電池を作製するための多孔質構造体用の半導体微粒子分散体の製造方法であって、
    1種類の700nm以下の粒径分布ピークを示す無機質超微粒子を分散処理して、体積基準の粒径分布における粒径が5nm以上500nm以下であり、粒径分布のピークが3つ以上ある導体微粒子分散体を得る工程を含むことを特徴とする多孔質構造体用の半導体微粒子分散体の製造方法
  2. 前記体積基準の粒径分布における粒径が5nm以上350nm以下であり、3つ以上あるピークの一つが5nmから20nmの範囲にある求項1に記載の製造方法
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られた前記半導体微粒子分散体を塗布する工程を含むことを特徴とする色素増感太陽電池用多孔質構造体の製造方法
  4. 請求項3に記載の製造方法により得られた多孔質構造体を使用することを特徴とする色素増感太陽電池の製造方法
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