JP6151337B2 - ブロック積み土留め基礎及びブロック積み土留め基礎の施工方法 - Google Patents

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本発明は、高低差のある境界に施工されるブロック積み土留め基礎及びブロック積み土留め基礎の施工方法に関する。
ブロック積み土留め基礎は、高低差のある境界に施工される場合、側土圧を受けることから、例えばベース部を有する例えばL型基礎により転倒を防止している(特許文献1等参照)。
従来のブロック積み土留め基礎は、例えば図16(a)に示すように、敷地内地面501よりも敷地外地面503が低い境界に施工される場合、基礎505が平坦に形成される部分、すなわちベース部分を有し、載置されるブロック507とでL字状に形成したり、図16(b)に示すように、ブロック507の載置されるベース部分自体をL字型基礎509としたりするのが一般的である。
特開平10−219712号公報
しかしながら、上述した従来のブロック積み土留め基礎は、敷地内側に基礎ベース部511が突出する形状、例えば300〜700mmの突出形状であるため、敷地内に埋設される給排水管513等の位置によっては、施工が不可能になる。そこで現状は、最短経路での給排水管513等の配管施工を諦め基礎ベース部511と干渉しない配管経路を設定したり、配管経路よりも基礎ベース部511を深い位置に設置したりすることで給排水管513等との干渉を回避していた。その結果、ブロック積み土留め基礎のために、掘削範囲が深く大きくなり、施工時間が長くなって、施工コストが増大した。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、給排水管等に干渉しにくく、掘削範囲を小さくし、施工時間を短縮して、施工コストを低減できるブロック積み土留め基礎及びブロック積み土留め基礎の施工方法を提供することにある。
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のブロック積み土留め基礎11は、境界線に沿って敷地内に埋まり、上面が前記境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状であり埋入された鉄筋23の一部が鉛直方向上側へ突出するコンクリート製の基礎15と、
前記基礎15の敷地内側の内側面25に沿って前記基礎15の高さよりも長い長さに形成されて地中に打ち込まれ、上端に、前記基礎15の上面を前記境界線に直交する方向で横断して横断先端に敷地外側の外側面29に当接する略L字状のフック板27を有する鋼材製の杭13と、
穴部に通された前記鉄筋23の一部に充填材を介して固定され、少なくとも1つが前記基礎15に積まれ隣地の地面よりも高い敷地内地面35の側部を支持するブロック17と、
を具備し
前記フック板27の横断先端には、下向きL字状の曲げ片31を有し、該曲げ片31が前記基礎15の外側面に当接することを特徴とする。
このブロック積み土留め基礎11では、まず、根切底19に基礎15が構築される。基礎15は、上面が境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状となる。基礎15は、敷地内側の内側面25に沿って杭13が打ち込まれる。杭13は、基礎15の上面を境界線に直交する方向で横断し、横断先端に基礎15の敷地外側の外側面29に当接する略L字状のフック板27を上端に有する。基礎15は、打ち込まれた杭13のフック板27によって、敷地外側の外側面29が引っ掛けられ、敷地外側への倒れが規制される。すなわち、ブロック積み土留め基礎11は、従来のL型基礎のベース部が負担していた転倒防止効果を、杭13の曲げによる転倒防止効果で補うことができる。このように、縦長矩形状の基礎15は、内外側面を杭13の本体部分とL字曲げ片31とで挟まれるようになり、L字曲げ片31に抱えられるように支持され、敷地外側への倒れが規制される。これにより、縦長矩形状の基礎15でありながら、倒れにくくすることができる。
本発明のブロック積み土留め基礎41は、境界線に沿って敷地内に埋まり前記境界線に直交する面となる断面形状が底板部49を一対の側板部51で挟んで上側が開く略コ字形状の鋼材製のレール材43と、
前記レール材43の前記底板部49を貫通して根切底19より地中に打ち込まれ、上端に前記底板部49に当接する固定板55を有する鋼材製の杭45と、
前記底板部49の上に位置し一部が上方へ突出する鉄筋23と、
前記レール材43及び前記鉄筋23の他部を埋入し、前記鉄筋23の一部を鉛直方向上側へ突出するコンクリート製の基礎47と、
穴部に通された前記鉄筋23の一部に充填材を介して固定され、少なくとも1つが前記基礎47に積まれ隣地の地面よりも高い敷地内地面35の側部を支持するブロック17と、
を具備することを特徴とする。
このブロック積み土留め基礎41では、まず、根切底19にレール材43が設置される。レール材43は、底板部49を貫通し地中に打ち込まれた杭45の上端に設けられている固定板55に、底板部49が押さえられて根切底19に固定される。このレール材43は、包囲された型枠により、鉄筋23とともに打設コンクリートに埋入され、構築された基礎47と一体となる。基礎47の上面からはブロック17を支持する鉄筋23の一部が起立する。この基礎47は、底板部49に打ち込まれた杭45によって、敷地外側への倒れが規制される。すなわち、ブロック積み土留め基礎41は、従来のL型基礎のベース部が負担していた転倒防止効果を、杭45の曲げによる転倒防止効果で補うことができる。これにより、縦長矩形状の基礎47でありながら、倒れにくくすることができる。
本発明のブロック積み土留め基礎41は、上記のブロック積み土留め基礎41であって、
前記レール材43の前記一対の側板部51には、前記一対の側板部51に渡って側板部同士を連結固定する複数の補強架橋材57が前記レール材43の延在方向に間隔を有して設けられていることを特徴とする。
このブロック積み土留め基礎41では、レール材43の一対の側板部51が、補強架橋材57によって連結固定され、開きが規制、すなわち一対の側板部51の間隔距離が広がらないこととなる。この補強架橋材57は、基礎47を構築するための打設コンクリートに埋入される。つまり、レール材43、鉄筋23、補強架橋材57及びコンクリート21が一体となって基礎47が構築される。ブロック積み土留め基礎41は、基礎47が敷地外側へ倒れる方向の力が加わったとき、一対の側板部51、特に敷地外側の側板部51を外側へ曲げる力が働く。この際、一対の側板部51が補強架橋材57によって連結されていることで、側板部51の曲げを規制し、側板部同士の距離を一体に維持でき、基礎47が倒れることがない。
本発明の請求項記載のブロック積み土留め基礎11の施工方法は、上記請求項1に記載のブロック積み土留め基礎の施工方法であって、境界線に沿う根切底19に、型枠及び鉄筋23を配置し、前記鉄筋23の一部を鉛直方向上側へ突出させて、前記境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状のコンクリート製の基礎15を作る基礎構築工程と、
前記基礎15の敷地内側の内側面25に沿って、前記基礎15の高さよりも長い長さの鋼材製の杭13を地中に打ち込み、前記杭13が上端に有するL字状のフック板27を、前記基礎15の上面を前記境界線に直交する方向で横断させて、フック板27の横断先端に形成された下向きL字状の曲げ片31を、前記基礎の敷地外側の外側面29に横断先端の曲げ片31を当接して掛止する基礎倒れ止め工程と、
穴部に前記鉄筋23の一部を通して前記基礎15にブロック17を積み、前記穴部と前記鉄筋23の一部を充填材によって固定するブロック積み工程と、
を含むことを特徴とする。
このブロック積み土留め基礎11の施工方法では、まず、基礎15を埋設するための根切が施工される。この際、構築される基礎15は、境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状となるので、従来のL型基礎のベース部を構築する場合に比べ、給排水管39等と干渉しにくくなる。すなわち、ブロック積み土留め基礎11は、工事を浅い部分でも行なうことが可能となる。これにより、掘削手間、掘削残土処理量が削減される。また、掘削時間、配筋時間、生コン打設時間、埋戻し時間、残土処理時間の全てが短縮可能となる。さらに、ブロック積み土留め基礎11の施工方法は、基礎15を構築した後、杭13を打ち込み、フック板27を基礎15の上面に掛止して、基礎15を倒れ止めする。このように、縦長矩形状の基礎15は、内外側面を杭13の本体部分とL字曲げ片31とで挟まれるようになり、L字曲げ片31に抱えられるように支持され、敷地外側への倒れが規制される。このため、杭13の数や長さを増やすことにより、支持強度を容易に増強することができる。
本発明のブロック積み土留め基礎41の施工方法は、境界線に沿う根切底19に、前記境界線に直交する面となる断面形状が底板部49を一対の側板部51で挟んで上側が開く略コ字形状の鋼材製のレール材43を敷設するレール材敷設工程と、
前記レール材43の前記底板部49を貫通して鋼材製の杭45を前記根切底19より地中に打ち込み、前記杭45が上端に有する固定板55を前記底板部49に当接して、前記底板部49を前記根切底19に固定板55する杭打ち工程と、
前記レール材43を包囲した型枠に鉄筋23を配置し、前記鉄筋23の一部を鉛直方向上側へ突出させてコンクリート製の基礎47を作る基礎構築工程と、
穴部に前記鉄筋23の一部を通して前記基礎47にブロック17を積み、前記穴部と前記鉄筋23の一部を充填材によって固定するブロック積み工程と、
を含むことを特徴とする。
このブロック積み土留め基礎41の施工方法では、まず、基礎47を埋設するための根切が施工される。この際、構築される基礎47は、境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状となるので、従来のL型基礎のベース部を構築する場合に比べ、給排水管39等と干渉しにくくなる。すなわち、ブロック積み土留め基礎41は、工事を浅い部分でも行なうことが可能となる。これにより、掘削手間、掘削残土処理量が削減される。また、掘削時間、配筋時間、生コン打設時間、埋戻し時間、残土処理時間の全てが短縮可能となる。また、ブロック積み土留め基礎41の施工方法は、杭45の固定板55が打設コンクリートに埋入される。従って、杭45は、多少の打ち込み不良などの施工誤差があっても、固定板55と底板部49との間隙に打設コンクリートが入り込むので、施工精度の緩和が可能となる。
本発明に係る請求項1記載のブロック積み土留め基礎によれば、基礎の形状が断面縦長矩形状であり、また、杭を基礎の敷地内側の内側面に沿って地中に打ち込まれることから、給排水管等に干渉しにくく、掘削範囲を小さくし、隣地境界と建物との間が狭小であっても施工が可能であり、施工時間を短縮でき、施工コストを低減できる。また、この杭がフック板によって基礎と掛止しており、このことから敷地外側へのブロックの倒れを防ぐことができる。このように、縦長矩形状の基礎は、内外側面を杭の本体部分とフック板のL字曲げ片とで挟まれるようになり、L字曲げ片に抱えられるように支持され、敷地外側への倒れが規制される。
本発明のブロック積み土留め基礎によれば、基礎の形状を断面縦長矩形状とし、この基礎と一体となるレール材を設け、レール材を貫通して杭が地中に打ち込まれる構成としたことで、基礎と杭とは地中にて略真直な一体構造となり、このことから、給排水管等に干渉しにくく、掘削範囲を小さくし、施工時間を短縮でき、施工コストを低減することができる。また、杭と基礎とが略一体となることによって、縦長矩形状の基礎でありながら敷地外側へのブロックの倒れを防ぐことができる。
本発明のブロック積み土留め基礎によれば、レール材の一対の側板部が、補強架橋材によって連結固定され、開きが規制、すなわち一対の側板部の間隔距離が広がらず剥離などが防止されて、基礎を構築するための打設コンクリートに埋入され、これにより、レール材、鉄筋、補強架橋材及びコンクリートが一体となって基礎を構築することができる。そして、ブロック積み土留め基礎は、基礎が敷地外側へ倒れる方向の力が加わったとき、一対の側板部、特に敷地外側の側板部を外側へ曲げる力が働くが、補強架橋材によって一対の側板部が連結されていることで、側板部の曲げを規制し、側板部同士の距離を一体に維持でき、基礎が倒れることがない。
本発明に係る請求項記載のブロック積み土留め基礎の施工方法によれば、基礎の形状を断面縦長矩形状とし、また、基礎の内側面に沿って杭を敷地内側に地中に打ち込まれることから、敷地内に埋設される給排水管等に干渉しにくく、掘削範囲を小さくし、施工時間を短縮でき、施工コストを低減できる。また、杭は打ち込むのみでフック板が基礎と掛止し、基礎に対して地中に打ち込まれる杭が延設状態となって、このことから敷地外側へのブロックの倒れを防ぐことができる。このように、縦長矩形状の基礎は、内外側面を杭の本体部分とL字曲げ片とで挟まれるようになり、L字曲げ片に抱えられるように支持され、敷地外側への倒れが規制される。
本発明のブロック積み土留め基礎の施工方法によれば、基礎の形状を断面縦長矩形状とし、この基礎と一体となるレール材を設け、レール材を貫通して杭が地中に打ち込まれることで、基礎と杭とは地中にて略真直な一体な構造を得ることができ、このことから、給排水管等に干渉しにくく、掘削範囲を小さくし、施工時間を短縮でき、施工コストを低減することができる。また、杭と基礎とが略一体となることによって、縦長矩形状の基礎でありながら敷地外側へのブロックの倒れを防ぐことができる。
本発明の第1実施形態に係るブロック積み土留め基礎の施工された敷地境界部分の縦断面図である。 図1に示したブロック積み土留め基礎を右側から見た敷地境界部分の側断面図である。 図1に示した杭の斜視図である。 (a)はブロックが1段の施工例を示す縦断面図、(b)はブロックが2段の施工例を示す縦断面図、(c)はブロックが3段の施工例を示す縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係るブロック積み土留め基礎の縦断面図である。 図5に示したブロック積み土留め基礎を右側から見た敷地境界部分の側断面図である。 図5に示したブロック積み土留め基礎の斜視図である。 (a)はレール材と杭の分解斜視図、(b)は杭の貫通したレール材の斜視図である。 (a)は本発明の第1実施形態の構成を有するブロック積み土留め基礎による試験例の敷地境界部分の縦断面図、(b)は従来技術のブロック積み土留め基礎の比較試験例の敷地境界部分の縦断面図である。 同本発明の構成を有する支持力試験例のブロック積み土留め基礎示す概略斜視図である。 同本発明の構成を有する転倒試験例のブロック積み土留め基礎示す概略斜視図である。 本発明の構成による実施例と比較例及び従来例の鉛直変位を示すグラフである。 本発明の構成による実施例と比較例及び従来例の水平変位を示すグラフである。 隣地高低差とブロック天端からの仕上高さとの組み合わせ例を示したパターン表である。 基礎上端面からの敷地内地面及び敷地外地面の高さの組み合わせ例を示したパターン表である。 (a)は平坦に形成されるベース部分を有した従来のブロック積み土留め基礎の縦断面図、(b)はベース部分自体がL字型基礎となる従来のブロック積み土留め基礎の縦断面図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るブロック積み土留め基礎11の施工された敷地境界部分の縦断面図、図2は図1に示したブロック積み土留め基礎11を右側から見た敷地境界部分の側断面図、図3は図1に示した杭13の斜視図である。
本実施形態に係るブロック積み土留め基礎11は、基礎15と、杭13と、ブロック17とを主要な構成として有する。
基礎15は、根切底19に型枠を作り、そこにコンクリート21を打設して構築される。基礎15は、境界線に沿って敷地内に埋められる。基礎15は、境界線に直交する面となる断面形状が、縦長矩形状、所謂I型で構築される。なお、本明細書中、境界線とは、土地の境を構成する二以上の点を結ぶ直線を言う。この基礎15には、境界線に沿う方向で鉄筋23が埋入され、その鉄筋23の一部が鉛直方向上側へ基礎15より突出する。例えば、基礎15の幅の中央に配置され、基礎15の長手方向に約800mm間隔で基礎15より上方に突出するよう配筋される。
鉄筋23には、建築物の構造用材料、いわゆる異形鉄筋が好適に用いられる。鉄筋23は、例えば外径D10のものが用いられる。
杭13は、基礎15の敷地内側の内側面25に沿って基礎15の高さよりも長い長さで打ち込まれる。杭13の上端には、図3に示すフック板27が固定される。フック板27は、L字状に形成され、基礎15の上面を境界線に直交する方向で横断して横断先端に敷地外側の外側面29に当接する。杭13及びフック板27は、スチール製とすることができる。杭13とフック板27とは、例えば溶接により固定される。杭13は、例えば等辺山形鋼よりなる。等辺山形鋼としては、長さ700〜1500mm、好ましくは900mm、各辺部の長さ約50mm、厚さ約5mmのSS400(JIS G 3101)等が好適となる。杭13の先端である下端は、約45°で切り欠いた先細形状とする。また、杭13の上端に固定されるフック板27は、長さを後述するブロック17の厚さに設定され、厚み約4.5mmのSS400(JIS G 3101)等よりなる。フック板27の横断先端に形成されるL字曲げ片31は、50mm程度でブロック17の敷地外側の外側面29に平行に当接する。
図4(a)はブロック17が1段の施工例を示す縦断面図、(b)はブロック17が2段の施工例を示す縦断面図、(c)はブロック17が3段の施工例を示す縦断面図である。
ブロック17は、穴部に通された鉄筋23の一部に充填材(モルタル等)を介して固定される。なお、ブロック17は、基礎15との間、ブロック相互間にもモルタルが接合材として設けられる。ブロック17は、少なくとも1つが基礎15に積まれる。例えば図4に示すように、1段、2段、3段で積まれる。ブロック17は、隣地の地面(敷地外地面33)よりも高い敷地内地面35の側部を支持する。すなわち、敷地内の側土圧を支持する。このブロック17には、建築用コンクリートブロック (JIS A5406)のC種を好適に用いることができる。この場合、ブロック17の厚さは12cm、高さは19cm、長さは39cmで、長さ方向に3つの穴が高さ方向に貫通し、且つ長さ方向両端に高さ方向で溝状凹部が形成される。
なお、ブロック17としてのコンクリートブロックは、1例である。本発明のブロック積み土留め基礎11において、ブロック17の素材は限定されない。ブロック17は、コンクリートブロックに代えて例えば意匠性を有するレンガブロック等、その他の建築用ブロック資材が用いられてもよい。
ブロック積み土留め基礎11は、図4に示すように、低い側の地面、図例では基礎15の右側の敷地外地面33が、基礎15の上面と同じか、或いは埋まる位置(図1参照)となる。また、ブロック積み土留め基礎11は、高い側の地面、図例では基礎15の左側の敷地内地面35が、ブロック上端とほぼ同じか、上端から下へ数十mmから500mm程度で施工される。
次に、ブロック積み土留め基礎11の施工方法を説明する。
本実施形態に係るブロック積み土留め基礎11の施工方法は、基礎構築工程と、基礎倒れ止め工程と、ブロック積み工程と、を含む。
基礎構築工程は、境界線に沿って根切が施工される。すなわち、溝状の穴が掘られる。次いで、根切底19(溝底)に、型枠が組まれる。型枠内には、鉄筋23が配置される。鉄筋23の一部は、鉛直方向上側へ突出されるように配筋される。次いで、型枠にコンクリート21が打設される。所定期間の養生の後、型枠をばらし、基礎15の構築が完了する。構築された基礎15は、境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状となる。
基礎倒れ止め工程は、養生後の硬化した基礎15の敷地内側の内側面25に沿って、基礎15の高さよりも長い長さの上記の杭13を打ち込む。杭13は、境界線に沿って1000〜5000mmの間隔で打ち込まれる。杭13の打ち込み間隔は、基礎15の構築長さ、敷地内外の高低差や地盤強度によって適宜調整することができる。また、杭13は、基礎15に地中で接近、或いは基礎15のさらに下方の地中内に位置する既設の地中埋設物を避けて設置することも可能になる。杭13は、上端に有するL字状のフック板27を、基礎15の上面を境界線に直交する方向で横断させ、敷地外側の外側面29に横断先端であるL字曲げ片31を当接して掛止する。これにより、縦長矩形状の基礎15は、内外側面を杭13の本体部分とL字曲げ片31とで挟まれるようになり、L字曲げ片31に抱えられるように支持され、敷地外側への倒れが規制される。
ブロック積み工程は、ブロック17の穴部に、基礎15から突出している鉄筋23の一部を通し、ブロック17を基礎上に積む。なお、この際、ブロック17と基礎15との間には、接合材としてのモルタルが設けられる。ブロック17は、基礎15に所要段数で積まれながら、穴部や隣り合うブロックとの目地部分にモルタル等が充填される。ブロック17は、穴部等に充填されたモルタルにより鉄筋23の一部と固定される。つまり、ブロック積み土留め基礎11は、基礎15に埋入される鉄筋23と、基礎15に積まれたブロック17とが、鉄筋23を介して一体構造となって構築される。
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係るブロック積み土留め基礎11では、根切底19に基礎15が構築される。基礎15は、境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状となる。基礎15の敷地内側の内側面25に沿って、略垂直に杭13が打ち込まれる。杭13は、基礎15の上面を境界線に直交する方向で横断し、横断先端に基礎15の敷地外側の外側面29に当接するL字状のフック板27を上端に有する。基礎15は、打ち込まれた杭13のフック板27によって、敷地外側の外側面29が引っ掛けられ、敷地外側への倒れが規制される。すなわち、ブロック積み土留め基礎11は、従来のL型基礎のベース部が負担していた転倒防止効果を、基礎15よりも地中深くに打ち込まれる杭13の曲げによる転倒防止効果で補うことができる。これにより、縦長矩形状の基礎15でありながら、倒れにくくすることができる。
また、本実施形態に係るブロック積み土留め基礎11の施工方法では、基礎15を埋設するための根切が施工される。この際、構築される基礎15は、境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状となるので、従来のL型基礎のベース部を構築する場合に比べ、ベース部が給排水管39等と干渉しにくくなる。すなわち、ブロック積み土留め基礎11は、工事を浅い部分で、且つ狭い範囲で行なうことが可能となる。これにより、掘削手間、掘削残土処理量が削減される。また、掘削時間、配筋時間、生コン打設時間、埋戻し時間、残土処理時間の全てが短縮可能となる。さらに、ブロック積み土留め基礎11の施工方法は、基礎15を構築した後、杭13を打ち込み、フック板27を基礎15の上面に掛止して、基礎15を倒れ止めする。このため、杭13の数や長さを増やすことにより、支持強度を容易に増強することができる。
次に、第2実施形態に係るブロック積み土留め基礎を説明する。
図5は本発明の第2実施形態に係るブロック積み土留め基礎41の縦断面図、図6は図5に示したブロック積み土留め基礎41を右側から見た敷地境界部分の側断面図、図7は図5に示したブロック積み土留め基礎41の斜視図、図8(a)はレール材43と杭45の分解斜視図、(b)は杭45の貫通したレール材43の斜視図である。なお、図1〜図4に示した部材・部位と同一の部材・部位には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
第2実施形態に係るブロック積み土留め基礎41は、レール材43と、杭45と、鉄筋23と、基礎47と、ブロック17とを主要な構成として有する。
レール材43は、境界線に沿って敷地内に埋められる。レール材43は、境界線に直交する面となる断面形状が、図7に示す底板部49を一対の側板部51で挟んで上側が開く略コ字形状に形成される。レール材43は、境界線に沿う方向の長さが例えば400mm、幅が150mm、板厚が3.2mm程度で形成される。側板部51の底板部49からの起立高さは、45mm程度で形成される。底板部49の中央には、60mm×60mmの矩形の穴53が穿設される。レール材43の材質には例えばSS400(JIS G 3101)等が好適に用いられる。
杭45は、レール材43の底板部49の穴53を貫通して根切底19から地中に略垂直に打ち込まれる。杭45の上端には、レール材43の底板部49に当接する図7,図8に示す固定板55が固定される。杭45は、例えば等辺山形鋼よりなる。等辺山形鋼としては、長さが700〜1500mm、好ましくは900mm、各辺部の長さが約40mm、厚さが約5mmのSS400(JIS G 3101)等が好適となる。杭45の先端である下端は、約45°で切り欠いた先細形状とする。固定板55は、100mm×100mmの矩形板状に形成され、溶接により杭45の上端に固定される。固定板55は、厚さ約3.2mm程度のSS400(JIS G 3101)等よりなる。
鉄筋23は、底板部49の上に位置し、一部が垂直上方へ突出する。この鉄筋23には、上記と同様、建築物の構造用材料、いわゆる異形鉄筋が好適に用いられる。鉄筋23は、例えば外径D10のものが用いられる。
基礎47は、レール材43及び鉄筋23の上記した突出する一部以外の部分である他部を打設コンクリートに埋入する。すなわち、基礎47は、根切底19に、レール材43を敷設し、このレール材43に予め杭45を貫通させて、このレール材43と鉄筋23とともに型枠で囲い、そこにコンクリート21を打設して構築される。鉄筋23の一部は、基礎47から鉛直方向上側へ突出する。基礎47は、底部分にレール材43が埋設した状態で、境界線に直交する面となる断面形状が、縦長矩形状で構築される。
ブロック17は、穴部に通された鉄筋23の一部に充填材(モルタル等)を介して固定される。なお、ブロック17は、基礎47との間、ブロック相互間にもモルタルが接合材として設けられる。ブロック17は、少なくとも1つが基礎47に積まれる。ブロック17は、隣地の地面(敷地外地面33)よりも高い敷地内地面35の側部を支持する。すなわち、敷地内の側土圧を支持する。このブロック17には、建築用コンクリートブロック(JIS A5406)のC種を好適に用いることができる。この場合、ブロック17の厚さは12cm、高さは19cm、長さは39cmで、長さ方向に3つの穴が高さ方向に貫通し、且つ長さ方向両端に高さ方向で溝状凹部が形成される。
また、ブロック積み土留め基礎41は、レール材43の一対の側板部51に、一対の側板部51に渡って側板部51同士を固定する図7に示す複数の補強架橋材57がレール材43の延在方向に間隔を有して設けられている。補強架橋材57としては、例えばパイプ状部材や棒状部材とビス、ボルトとナット、などの組み合わせとすることができる。一対の側板部51を補強架橋材57で固定することにより、一対の側板部51が開いてしまい、側板部51の間隔を広げてしまうことを規制できる。また、打設コンクリートに埋設状態となり、レール材43と基礎47との一体化が向上する。
次に、ブロック積み土留め基礎41の施工方法を説明する。
本実施形態に係るブロック積み土留め基礎41の施工方法は、レール材敷設工程と、杭打ち工程と、基礎構築工程と、ブロック積み工程と、を含む。
レール材敷設工程は、境界線に沿って根切が施工される。すなわち、溝状の穴が掘られる。次いで、根切底19(溝底)に沿って型枠が設置される。
次に、型枠の内側には、根切底19(溝底)に上記のレール材43が敷設される。図8に示すように、レール材43は、根切底19に底板部49を当て、一対の側板部51が上側に向けて開く向きで配置し、両側板部51が型枠の内側に位置して、すなわちレール材43が型枠の内幅を支える。
杭打ち工程は、レール材43の底板部49を貫通して鋼材製の杭45を根切底19に打ち込む。杭13は、境界線に沿って1000〜5000mmの間隔で打ち込まれる。杭13の打ち込み間隔、すなわち、レール材43の敷設間隔は、基礎47の構築長さ、敷地内外の高低差や地盤強度によって適宜調整することができる。また、杭13、すなわち、レール材43は、既設の地中埋設物、例えば給排水管39等を避けて設置することも可能になる。杭45は、上端に有する固定板55が、底板部49に当接するまで打ち込む。これにより、レール材43は、杭45の固定板55により、底板部49が根切底19に押し付けられて固定される。
基礎構築工程は、根切底19に固定されたレール材43を包囲する型枠の内側に、鉄筋23を配置する。鉄筋23は、一部を型枠から鉛直方向上側へ突出させる。次いで、型枠にコンクリート21が打設される。所定期間の養生の後、型枠をばらし、基礎47の構築が完了する。構築された基礎47は、境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状となる。縦長矩形状の基礎47は、レール材43と一体化し、このレール材43が杭45によって根切底19に固定されているので、敷地外側への倒れが規制される。
第2実施形態に係るブロック積み土留め基礎41の施工方法は、構築された基礎47が、杭45によって倒れ止めされたものとなっている。すなわち、基礎47を構築する以前に、敷設されたレール材43への杭打ち工程を有しており、基礎47の構築によって既に地中に打ち込まれた杭45と一体化している。従って、この第2実施形態のブロック積み土留め基礎41の施工方法では、第1実施形態で行った基礎倒れ止め工程が不要となる。
なお、根切底19へのレール材43の敷設と、型枠を組む工程については、上記したように、根切の施工後に型枠を組み、レール材43を敷設する手順ではなく、根切の施工後にレール材43を根切底19に敷設し、杭13を打ち込んだ後に型枠を組み立てる手順としてもよい。
ブロック積み工程は、ブロック17の穴部に、基礎47から突出している鉄筋23の一部を通し、ブロック17を基礎上に積む。なお、この際、ブロック17と基礎47との間には、接合材としてのモルタルが設けられる。ブロック17は、基礎47に所要段数で積まれながら、穴部や隣り合うブロックとの目地部分にモルタル等が充填される。ブロック17は、穴部等に充填されたモルタルにより鉄筋23の一部と固定される。つまり、ブロック積み土留め基礎41は、基礎47に埋入される鉄筋23と、基礎47に積まれたブロック17とが、鉄筋23を介して一体構造となって構築される。
次に、上記した構成の作用を説明する。
第2実施形態に係るブロック積み土留め基礎41では、根切底19にレール材43が敷設される。レール材43は、底板部49を貫通した杭45の上端に設けられている固定板55に底板部49が押さえられて根切底19に固定される。このレール材43は、包囲された型枠により、鉄筋23とともに打設コンクリートに埋入され、構築された基礎47と一体となる。基礎47の上面からはブロック17を支持する鉄筋23の一部が起立する。この基礎47は、底板部49に打ち込まれた杭45によって、敷地外側への倒れが規制される。すなわち、ブロック積み土留め基礎41は、従来のL型基礎のベース部が負担していた転倒防止効果を、基礎47よりも下方へ地中深くに打ち込まれる杭45の曲げによる転倒防止効果で補うことができる。これにより、縦長矩形状の基礎47でありながら、倒れにくくすることができる。その結果、給排水の配管に干渉しにくく、施工コストを低減できる。
また、ブロック積み土留め基礎41では、レール材43の一対の側板部51が、補強架橋材57によって固定され、開きが規制される。この補強架橋材57は、基礎47を構築するための打設コンクリートに埋入される。つまり、レール材43,鉄筋23,補強架橋材57及びコンクリート21が一体となって基礎47が構築される。ブロック積み土留め基礎41は、基礎47が敷地外側へ倒れる方向の力が加わったとき、一対の側板部51、特に敷地外側の側板部51を外側へ曲げる力が働く。この際、一対の側板部51が補強架橋材57によって連結されていることで、側板部51の曲げを規制し、側板部51同士の間隔距離を一体に維持できる。その結果、レール材43と基礎47を高強度に一体化でき、一対の側板部51と基礎47との剥離を防止できる。
また、ブロック積み土留め基礎41の施工方法では、基礎47を埋設するための根切が施工される。この際、構築される基礎47は、境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状となるので、従来のL型基礎のベース部を構築する場合に比べ、ベース部が給排水管39等と干渉しにくくなる。すなわち、ブロック積み土留め基礎41は、工事を浅い部分で、且つ狭い範囲で行なうことが可能となる。これにより、掘削手間、掘削残土処理量が削減される。また、掘削時間、配筋時間、生コン打設時間、埋戻し時間、残土処理時間の全てが短縮可能となる。また、ブロック積み土留め基礎41の施工方法は、杭45の固定板55が打設コンクリートに埋入される。従って、杭45は、多少の打ち込み不良などの施工誤差があっても、固定板55と底板部49との間隙に打設コンクリートが入り込むので、施工精度の緩和が可能となる。その結果、掘削範囲を小さくし、施工時間を短縮して、施工コストを低減できる。
従って、本実施形態に係るブロック積み土留め基礎11、ブロック積み土留め基礎41によれば、給排水管39等に干渉しにくく構成でき、施工コストを低減できる。
また、本実施形態に係るブロック積み土留め基礎11、ブロック積み土留め基礎41の施工方法によれば、掘削範囲を小さくし、施工時間を短縮して、施工コストを低減できる。
なお、上述した各実施の形態では、杭13,45を等辺山形鋼にて構成する例について述べたが、この杭13,45は長手方向に対して撓む方向に抗する断面形状であれば、これに限定されることはなく、不等片の断面略L字状や、断面コ字状などでも上記同様の効果を得られるものである。
次に、上述した第1実施形態のブロック積み土留め基礎と同等の構成を有するブロック積み土留め基礎11を作り、従来構造のブロック積み土留め基礎と比較した結果を説明する。
図9(a)は本発明の第1実施形態の構成を有するブロック積み土留め基礎による試験例の敷地境界部分の縦断面図、(b)は従来技術のブロック積み土留め基礎の比較試験例の敷地境界部分の縦断面図、図10は同本発明の構成を有する支持力試験例のブロック積み土留め基礎示す概略斜視図、図11は同本発明の構成を有する転倒試験例のブロック積み土留め基礎示す概略斜視図、図12は本発明の構成による実施例と比較例及び従来例の鉛直変位を示すグラフ、図13は本発明の構成による実施例と比較例及び従来例の水平変位を示すグラフである。なお、以下に示す各部材・部位について上記第1実施形態及び従来技術と同一の部材・部位には同一の符号を付す。
[試験条件]
実施例としては、上述した第1実施形態のブロック積み土留め基礎とし、比較例として、実施例と同構成で杭の長さのみ短く設定し、従来例としては基礎の形状を敷地内側に突出する平坦状ベース部分よりなる構成とした。
なお、共通の条件として、基礎15に積まれるブロックは、上述のコンクリートブロック17(507)とし、目地幅等を含めた1個あたりの各寸法が、厚さ120mm、高さ200mm、長さ400mmとした。このブロック17,507を縦に3段、基礎15,505の長手方向に7個連ねて鉄筋及びモルタルにて固定している。また、敷地内地面は基礎に積まれた3段ブロックの最上段ブロックにおける略半部の高さ位置とし、敷地外地面は最下段ブロックにおける略半部の高さ位置としている。
A.実施例:本発明の第1の実施形態のブロック積み土留め基礎
敷地内外の高低差h;400mm
基礎15のサイズ;長さL=2800mm,高さH=250mm、幅W=150mm
杭13の数;2本
杭13の長さ;900mm
杭13の間隔D;2000mm
B.比較例:上記実施例の条件のうち杭の長さのみ短く設定したブロック積み土留め基礎
敷地内外の高低差;400mm
基礎15のサイズ;長さ2800mm,高さ250mm、幅150mm
杭13の数;2本
杭13の長さ;750mm
杭13の間隔;2000mm
C.従来例:ベース形状の基礎を備えたブロック積み土留め基礎
敷地内外の高低差;400mm
基礎のサイズ;長さ2800mm,高さ150mm、幅400mm
杭の数;無し
[支持力試験]
図10に示すように、基礎に積まれたブロック17の上端(天端)に荷重をかけ、支持力の試験を行った。荷重をかける部材は、上下に水平板部、中央に垂直板部を備えるH鋼よりなり、長手方向となる水平状態で、上記ブロック17に対して略均一に鉛直方向へ荷重をかけられる加圧部73とされる。加圧部73は、全長が1600mm、水平板部と垂直板部の各幅長が150mm、水平部の板厚が10mm、垂直部の板厚が7mmとされる。
基礎15と各ブロック17との全ての荷重による基礎底面(地面と接する基礎の底面)の接地圧(地面と接する基礎の底面が地面を押す圧力)は20kN/m2 未満である。
試験の結果から、図12に示すように支持力による鉛直変位は、上記接地圧とされる値を越えた載置荷重、すなわち負荷として加えた荷重に対しても、本発明の実施例(◇)及び比較例(図中△)は、従来例(図中○)の構造の基礎と比べても変位がほとんど生じておらず、本願発明の構成で使用可能である。
[転倒試験]
図11に示すように、基礎15及び基礎15に積まれたブロック17の芯(中心)から500mm離れた敷地内地面35の位置に、加圧盤71を接地した。加圧盤71の地面を押下する板状部材は、幅300mm、長さ1820mm、厚み2.5mmとされる。
敷地内地面35側は、敷地内側の建物の荷重及び埋め戻しの土の重量による影響応力は最大でも30kN/m2 とされる。
試験の結果から、図13に示すように敷地内地面35を押下されることによる基礎15の水平変位は、比較例(図中△)とした杭13の長さ750mmの結果は、変位量が大きく、すなわち転倒のおそれがあり、使用することはできない。
しかしながら、杭13の長さを900mmとした本発明の実施例(図中◇)では、従来例(図中○)の基礎505と比べても変位量が小さく、すなわち、転倒のおそれがなく、ブロック積み土留め基礎として使用することに問題がない。
[考察]
以上のことから、本発明のブロック積み土留め基礎は、断面縦長矩形状の基礎15と、この基礎15に掛止され敷地内側の内側面25に沿って打ち込まれる杭13とで、敷地外側へのブロックの倒れを防ぐことが可能となる。また、杭13を、等辺山形鋼で構成したことで、杭自体の屈曲方向に耐える力が活かされ、このことからも、基礎の倒れを防ぐことが可能となる。
ここで、上述した各試験例に基づき、築造可能な基礎15とブロック17の組み合わせを図14に示す。
隣地高低差の値を基準に、ブロック天端(上端)からの仕上げ高さを組み合わせると、図示の通り15パターンが考えられる。この組み合わせ例は、上記した試験にて用いた長さ900mmの杭で使用可能なものである。
隣地高低差は、ブロック17の単独の高さである200mmを前提に、最大で400mmの高低差を限度として、ブロック17の段数が決まり、基本はブロック天端高さが100mmの場合の組み合わせである。
このパターン図において、天端からの仕上げ高さが200mmを越える例は、敷地内地面35がブロック17に触れておらず、直接に土圧がかかるものではないが、ブロック17自体の自重も含めて上記試験例の実施例の結果と同様に転倒が防止される組み合わせである。
なお、この組み合わせにおいて、隣地高低差が300〜400mmでブロック天端の仕上げ高さを400mmとした場合は、ブロック17の段数が5段になることから、鉄筋なども考慮した強度が十分に得られず、この組み合わせは除外した。
また、上記の組み合わせを基礎15の上端面を基準にして、この上端面から敷地内地面35の高さと、上端面から敷地外地面33の高さとの組み合わせを図15に示した。この組み合わせから、隣地高低差が簡易的に得ることができる。
基礎上端面から敷地内地面35の高さは、基礎15に積み上げるブロック17の段数により100mmから600mmとなり、この範囲内を100mm毎に縦軸として示した。また、基礎上端面から敷地外地面33の高さは、基礎15の上端面と同じ高さを0mmとし、基礎15とともに1段目のブロック17が半分埋まる状態を100mm、この1段目のブロック17が埋まってしまう状態を200mmとして横軸に示した。
これら敷地内外の高さの組み合わせにより、隣地高低差を上述同様400mmを限度として、12パターンの組み合わせが容易に得られる。
11,41…ブロック積み土留め基礎
13…杭
15…基礎
17…ブロック
19…根切底
23…鉄筋
25…内側面
27…フック板
29…外側面
35…敷地内地面
43…レール材
45…杭
47…基礎
49…底板部
51…側板部
55…固定板
57…補強架橋材

Claims (2)

  1. 境界線に沿って敷地内に埋まり、上面が前記境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状であり埋入された鉄筋の一部が鉛直方向上側へ突出するコンクリート製の基礎と、
    前記基礎の敷地内側の内側面に沿って前記基礎の高さよりも長い長さに形成されて地中に打ち込まれ、上端に、前記基礎の上面を前記境界線に直交する方向で横断して、横断先端に敷地外側の外側面に当接する略L字状のフック板を有する鋼材製の杭と、
    穴部に通された前記鉄筋の一部に充填材を介して固定され、少なくとも1つが前記基礎に積まれ隣地の地面よりも高い敷地内地面の側部を支持するブロックと、
    を具備し
    前記フック板の横断先端には、下向きL字状の曲げ片を有し、該曲げ片が前記基礎の外側面に当接することを特徴とするブロック積み土留め基礎。
  2. 請求項1に記載のブロック積み土留め基礎の施工方法において、
    境界線に沿う根切底に、型枠及び鉄筋を配置し、前記鉄筋の一部を鉛直方向上側へ突出させて、前記境界線に直交する面となる断面形状が縦長矩形状のコンクリート製の基礎を作る基礎構築工程と、
    前記基礎の敷地内側の内側面に沿って、前記基礎の高さよりも長い長さの鋼材製の杭を地中に打ち込み、前記杭が上端に有するL字状のフック板を、前記基礎の上面を前記境界線に直交する方向で横断させて、フック板の横断先端に形成された下向きL字状の曲げ片を、前記基礎の敷地外側の外側面に当接して掛止する基礎倒れ止め工程と、
    穴部に前記鉄筋の一部を通して前記基礎にブロックを積み、前記穴部と前記鉄筋の一部を充填材によって固定するブロック積み工程と、
    を含むことを特徴とするブロック積み土留め基礎の施工方法。
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