以下、本発明の1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の冷蔵庫10は、キャビネット12の内部に形成された貯蔵室内に減酸素装置100を有している。
(1)冷蔵庫10
冷蔵庫10について図1に基づいて説明する。図1は、冷蔵庫10の全体の縦断面図である。
冷蔵庫10は、外郭を形成する外箱と貯蔵空間を形成する内箱との間に断熱材を配設した前面に開口するキャビネット12を備える。このキャビネット12内部は、断熱仕切壁24によって上方の冷蔵空間と下方の冷凍空間とに区画している。
冷蔵空間は、冷蔵温度(例えば、2〜3℃)に冷却される空間であって、内部がさらに仕切体26によって上下に区画され、上部空間に複数段の載置棚を設けた冷蔵室14が設けられ、下部空間に野菜室16が設けられている。
野菜室16の下方に配置した冷凍空間は、冷凍温度(例えば、−18℃以下)に冷却される空間であって、比較的小容積の自動製氷機を備えた製氷室22と小型冷凍室18とが左右に併設され、その下方に冷凍室20が設けられている。
冷蔵室14の前面には、観音開き式の扉14a,14bが設けられ、野菜室16、小型冷凍室18、冷凍室20及び製氷室22にはそれぞれ引出し式の扉16a,18a,20a,22aが設けられている。
(2)野菜室16
次に、野菜室16について、図2及び図3に基づいて説明する。図2は、野菜室16の正面図であり、図3は野菜室16の平面図である。
野菜室16の下部には、扉16aの開扉動作とともに前方に引き出される野菜容器28が設けられている。野菜室16の上部には、後述する減酸素室30と保持体34が、左右一方側に片寄らせて設けられている。
(3)減酸素室30
次に、減酸素室30について、図4〜図12に基づいて説明する。
減酸素室30は、図10に示すように、仕切体26の下方に取り付けられた保持体34に吊り下げて野菜室16内に固定される収納室である。減酸素室30は、前面が開口する直方体状の箱体からなり、その内部に減酸素容器36が引き出し可能に設けられている。減酸素室30の前面開口部は、減酸素容器36の前板を兼ねた扉38によって閉塞されている。減酸素室30の背面には、減酸素装置100が取り付けられている。
(3−1)保持体34
次に、保持体34について図4及び図5に基づいて詳しく説明する。
保持体34は、減酸素室30を保持する収納保持部33と、減酸素装置100を保持する装置保持部35とを備える。
収納保持部33は、水平板40と吊り下げ具96を有している。水平板40は、その上面に複数の柱状の吊り下げ具96が固定されており、吊り下げ具96の上面に仕切体26がネジ止めなどによって固定されている。これにより、水平板40が、仕切体26の下方に間隔をあけて水平に配置されている。吊り下げ具96は、この例では前後方向に3個、幅方向に3個、計9個設けられており、収納保持部33を吊り下げ状態で固定する(図2参照)。
水平板40の両側部には、左保持面42と右保持面44が下方に延設されている。水平板40の後端部両側から後保持面46が下方に延設されている(図5参照)。これら左保持面42、右保持面44、後保持面46の高さ寸法は、直方体状の減酸素室30の高さ寸法の約1/3に設定することができる。
水平板40の後端部における幅方向中央部には、下方に向かって延びる装置保持部35が設けられている(図4、5参照)。装置保持部35は、水平板40から下方に垂れ下がる支持板48と、支持板48の下端部からほぼ垂直に折れ曲がって前方へ延びる支持片52と、支持片52の先端に設けられた爪状の係止部54とを備える。支持板48には、減酸素室30内部と減酸素装置100とを連通する開口部49が設けられ、開口部49を取り囲む封止部材51が支持板48の前面に設けられている。
支持板48の高さ寸法、つまり、水平板40と支持片52との上下方向の間隔は、減酸素室30の高さ寸法より若干長く形成されている。
左保持面42及び右保持面44の内面には、前後方向に沿って固定レール56が設けられている。この固定レール56は、水平に形成された上下一対の突条から構成されている。上下一対の突条の間隔は、前部が後部よりも大きくなっている。
左右の後保持面46には、矩形の開口部62,62が貫通し、開口部62の左右の両側端縁と下端縁から前方へ向けて突出する受け片63,65が設けられている(図4、5参照)。
(3−2)減酸素室30
次に、減酸素室30について図6〜図8に基づいて説明する。
減酸素室30は、上面64、左面66、右面68、底面70、後面72を有し、前面に開口する直方体状をなしている。上面64の後端部には左右一対の突部74が後方に向かって突出している。これら突部74は、収納保持部33の後保持面46の左右一対の開口部62に嵌合し、突部74の下面が開口部62に下端縁に設けられ受け片63に支持される。
減酸素室30の左面66、右面68の外側の上部には、前後方向に沿って延びる可動レール76が突条に設けられている。この可動レール76の前部の高さ寸法は、後部の高さ寸法より大きく形成されている。可動レール76は固定レール56に係合して前方から後方にスライドする。これにより減酸素室30の上部が収納保持部33に支持され、保持体34に減酸素室30が取り付けられる。
減酸素室30の左面66と右面68の内側には、前後方向に沿って延びる第2固定レール90が設けられている。
減酸素室30の底面70の後部には、下方に突出する係止突部94が設けられている。この係止突部94は、幅方向に沿って延びる突条であり、減酸素室30の底面を補強する補強リブとして機能するとともに、上述した装置保持部35の支持板48の先端に設けられた係止部54が係止して、減酸素室30の下部が支持板48に固定される。
なお、本実施形態では、装置保持部35に設けた爪状の係止部54を減酸素室30の係止突部94に係止させることで減酸素室30を支持板48に固定するが、例えば、減酸素室30に設けた係止突部94と装置保持部35の支持板48とをねじ止めすることで減酸素室30を支持板48に固定してもよい。
減酸素室30の後面72には、支持板48の開口部49に対向する位置に開口部73が設けられている。
(3−3)減酸素容器36
次に、減酸素容器36について図9及び図10に基づいて説明する。
減酸素容器36は、上面に開口する箱体であり、その内部に食品等の貯蔵品を収納する空間が設けられている。
減酸素容器36は、左右両側面の後部に設けられたローラ92が、減酸素室30の内側に設けられた第2固定レール90を摺動することで、減酸素室30に対して前後方向に引出し可能となっている。
減酸素容器36の前面を構成する扉38は、減酸素室30の前面の開口部を全て覆う形状に設けられている。この扉38の後面周囲にはガスケット39が設けられており、扉38を閉扉した場合に、ガスケット39が減酸素室30の前面開口部の周縁部から外方へ突出するフランジ部83に当接する。これにより、ガスケット39が減酸素室30と扉38との間をシールして、減酸素室30の内部を密閉する。このように閉扉された扉38は、減酸素室30及び扉38に設けられた扉保持機構178により閉扉状態が保持される。
(3−4)扉保持機構178
次に、扉保持機構178について図11〜図13に基づいて説明する。
扉保持機構178は、減酸素室30及び扉38の一方に設けられた保持部材179と、減酸素室30及び扉38の他方に設けられ挿入体180とを備え、扉83の閉扉時に挿入体180が保持部材179に挟持されることで扉38を保持する。
本実施形態では、減酸素室30の外側に保持部材179を設け、扉38に挿入体180を設ける場合について説明するが、扉38に保持部材179を設け、減酸素室30の外側に挿入体180を設けてもよい。また、本実施形態では、減酸素室30の左右側部に扉保持機構178を設ける場合について説明するが、減酸素室30の上面部や底面部に設けてもよい。
なお、減酸素室30の左右側部に設ける扉保持機構178の構造は同一であるため、ここでは、減酸素室30の右側部に設けた扉保持機構178について説明し、左側部の扉保持機構178の構成の説明を省略する。
保持部材179は、減酸素室30の右面68の前部に取り付けられる本体181と、本体181より扉38へ向けて前方に突出する一対の支持部182と、一対の支持部182の先端に取り付けられた挟持片183とを備える。
本体181は、図12に示すように、筒状の挿通部185を備え、この挿通部185に減酸素室30の右面68から外方へ突出する取付ボス184が挿通される。取付ボス184は、右面68からの突出高さが挿通部185の軸方向の長さより大きく設けられており、挿通部185に取付ボス184を挿通すると取付ボス184が挿通部185より突出する。本体181の挿通部185に挿通された取付ボス184にはネジ186が螺合しており、これにより、ネジ186の頭部と減酸素室30の右面68との間で本体181が取付ボス184の軸回りに回動可能に支持される。
一対の支持部182は、本体181の前面から減酸素室30の右面68に沿って扉38に向けて(つまり、前方に向けて)一体に突出している。一対の支持部182は、本体181側が前方に行くほど上下方向に離れるように広がり、先端側が互いにほぼ平行に前方へ突出する形状をなしており、上下方向の間隔が広がるように弾性変形可能に設けられている。一対の支持部182は、先端に挟持片183を取り付ける取付部182aが設けられており、挟持片183を弾性支持する。
一対の挟持片183は、取付部182aに軸支されるローラからなり、右面68に沿って上下方向に間隔Sをあけつつ、右面68に垂直な回転軸183aの周りに回転自在に一対の支持部182に設けられている。このローラからなる一対の挟持片183は、扉38の開閉時に、一対の挟持片183の対向間隙183bに抜き差しされる挿入体180を案内する。
このような保持部材179は、付勢手段187によって挟持片183の対向方向(つまり、上下方向)の両側から弾性的に支持され、上下方向への移動が制限されている。
詳細には、付勢手段187は、本体181の上下面と間隔をあけて上下面に沿って延びる上下一対の弾性片188と、一対の弾性片188の外側に設けられた枠体189とから構成されている。
枠体189は、保持部材179の本体181の上方、下方、及び後方を取り囲むコの字状をなしており、本体181の前面から延びる一対の支持部182が、枠体189に設けられた前方の開口部189aより扉38へ向けて突出している。
一対の弾性片188は、一端が保持部材179の本体181に連結され、他端が膨らんだ球状の当接部188aをなしている。一対の弾性片188は、内側(つまり、保持部材179の本体181側)に弾性変形し撓んだ状態で枠体189の内側に配置され、先端に設けられた当接部188aが枠体189に当接することで、上下方向両側から保持部材179を付勢しながら弾性支持する。
これにより、保持部材179が付勢手段187以外から外力を受けていない状態では、図11に示すような一対の挟持片183の対向間隙183bが前方を向いて扉38に設けられた挿入体180と対向する所定位置に保持される。また、保持部材179に付勢手段187以外の外力を受けて、保持部材179の本体181が取付ボス184の周りに回動することで、図13に示すように一対の挟持片183が上下方向に移動すると、弾性片188の付勢力が本体181を上記の所定位置に戻す力として作用する。
なお、保持部材179を上下方向両側から弾性支持する付勢手段187は、一対の挟持片183を弾性支持する一対の支持部182より弾性変形しやすく設けられており、一対の挟持片183に挿入体180が接触すると、一対の支持部182が弾性変形する前に付勢手段187の弾性片188が弾性変形して、一対の挟持片183の対向間隙183bが挿入体180に対向するように保持部材179の本体181が取付ボス184の周りに回動する。
挿入体180は、扉38の側部から減酸素室30に設けられた保持部材179に向けて後方へ突出し、扉38の閉扉時に一対の挟持片183の対向間隙183bに挿入される。挿入体180は、先端側(後端側)に一対の挟持片183の間隔Sより幅広に設けられた幅広部190と、幅広部190の基端側(前端側)に幅広部190より幅狭の幅狭部191とを備える。
幅広部190の先端側には、先端に向かうほど細くなる先細部192が形成されている。幅狭部191は、幅広部190から基端側に向かうほど漸次幅狭になる傾斜部193と傾斜部193の基端側から一定の幅で延びる等幅部194とを備える。等幅部194は、一対の挟持片183の間隔Sとほぼ等しい幅に設けられ、等幅部194と幅広部190の間に設けられた傾斜部193は、一対の挟持片183の間隔Sより幅広に設けられている。等幅部194の基端側には、扉38に向かうほど漸次幅広になる補強部195が形成されており、この補強部195に扉38が連結されている。
このような構成の扉保持機構178では、付勢手段187からの付勢力を受けて一対の挟持片183の対向間隙183bが前方を向き挿入体180と対向しているため、扉38が開いた状態から閉扉されると、挿入体180の先細部192が、一対の挟持片183の対向間隙183bに挿入され対向間隙183bを押し広げるように一対の支持部182を弾性変形させることで、幅広部190を対向間隙183bに通過させて、挿入体180を一対の挟持片183の間に挿入する。
この時、ローラから構成された一対の挟持片183が、先細部192を摺動することで後方へ挿入体180を案内する。そして、一対の挟持片183は、幅広部190を乗り越えて、幅狭部191の傾斜部193を挟持する。
なお、本実施形態では、保持部材179の一対の挟持片183が上下方向に移動可能に設けられているため、閉扉時に挿入体180の位置が一対の挟持片183の対向間隙183bに対して上下方向にずれていても、挿入体180の先端の先細部192が、一対の挟持片183に接触して保持部材179の本体181を取付ボス184の周りに回動させて、一対の挟持片183の対向間隙183bに対向する。そのため、挿入体180を保持部材179の対向間隙183bにスムーズに挿入することができる。
傾斜部193は、上記のように幅広部190から基端側に向かうほど(つまり、前方に向かうほど)漸次幅狭に設けられているため、一対の挟持片183が傾斜部193を挟持すると、挿入体180を保持部材179側(後方)へ引き込む力が発生し、扉38を後方へ引き込む。
本実施形態において、挿入体180は、扉38の後面に設けられたガスケット39から挿入体180の等幅部194の前後方向中央までの距離Tが、減酸素室30のフランジ部83から一対の挟持片183の前後方向中央までの距離Uより短く設けられており、閉扉時に一対の挟持片183がガスケット39を圧縮しながら扉38を後方へ引き込む。これにより、ガスケット39で減酸素室30と扉38との間をシールした状態で扉38が保持される。
(4)減酸素装置100
次に、減酸素装置100について、図14〜図17に基づいて説明する。
減酸素装置100は、高分子電解質膜法を利用して減酸素室30内の酸素を低減するものであり、図14に示すように、減酸素ユニット106と、減酸素ユニット106の下方で、かつ、支持板48の後方に配置された給水装置104とを備える。
減酸素ユニット106は、箱型のユニットケース102の内部に収納され、ユニットケース102に内側に設けられた断熱材107で外側を覆われている。
ユニットケース102の前部は、装置保持部35の支持板48の背面に固定されており、減酸素室30の後面72と支持板48との間を封止部材51がシールしつつ、支持板48に設けられた開口部49と、減酸素室30の後面72に設けられた開口部73とを介して減酸素室30内部とユニットケース102内部とが連通する。
ユニットケース102及び断熱材107の背面には、酸素を拡散させる排気口137が開口している。
(5)減酸素ユニット106
減酸素ユニット106について、図14及び図15に基づいて説明する。図14は、減酸素装置100の縦断面図であり、図15は減酸素ユニット106の分解斜視図である。なお、図14及び図15において、実際の各部材の厚みは薄いものであるが、説明を判り易くするために、図面ではその厚みを拡大して記載している。
減酸素ユニット106は、高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」という)116と、電解質膜116の後部に設けられたアノード層118と、電解質膜116の前部に設けられたカソード層120とを備える。
電解質膜116は、例えば、ナフィオンで形成されている。「ナフィオン」は、スルホン化されたテトラフルオロエチレンをもとにしたフッ素樹脂の共重合体で、イオン電導性を持つポリマーであり、内部を陽イオンだけが移動して、陰イオンや電子はナフィオン内を移動しない。
アノード層118及びカソード層120は白金を含む触媒が担持されたカーボン触媒とカーボンペーパを積層してなり、アノード層118及びカソード層120の間に電解質膜116が挟持された状態でホットプレスなどにより一体に接合されている。
電解質膜116を挟持するアノード層118及びカソード層120の外側には、一対の集電体122,124が配設され、一対の集電体122,124の更に外側に撥水層126,130が配設され、アノード層118側の撥水層126の外側に給水体128が配設され、これらが一対の固定部材132,134によって挟持されユニット化されている。
一対の集電体122,124は、表面に白金メッキを行なったメッシュ状のチタン膜からなり、外部の電源装置に接続されており、集電体122がアノード層118にプラス通電を行い、集電体124がカソード層120にマイナス通電を行い、アノード層118とカソード層120との間に電圧を印加する。また、両集電体122,124の接触による短絡を防止するため、両集電体122,124の間には絶縁体125が設けられている。この絶縁体125は、電解質膜116を挟持するアノード層118及びカソード層120の周囲を取り囲む額縁状に設けられている。
撥水層126,130は、PTE(ポリエステル)フィルムやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルムや撥水性樹脂を用いた布帛などの水を透過せずに水蒸気を透過させる膜体からなり、周縁部にガスケット127,131が設けられている。アノード層118側の撥水層126は、給水体128から液体の水がアノード層118へ進入するのを防止しつつ、水蒸気を給水体128からアノード層118側へ供給とする。カソード層120側の撥水層130は、カソード層120で発生した水が支持板48の開口部49から減酸素室30内部へ流出するのを防止する。
アノード層118側の撥水層126の後方に配設された給水体128は、例えば、合成樹脂繊維より形成されたシート状の不織布からなり、好ましくは、減酸素装置100の稼働時の温度以上のガラス転移温度を持った合成樹脂繊維(例えば、ポリプロピレン)が用いられる。
一対の固定部材132、134は、上記のように積層された電解質膜116、アノード層118、カソード層120、集電体122,124、絶縁体125、撥水層126,130、給水体128を挟持して固定する。アノード層118側に配設された固定部材132は、直方体形状を成し、図15に示すように、ユニットケース102の排気口137に対応した位置に前後方向に貫通する排気口136が設けられている。
カソード層120側に配設された固定部材134は、直方体形状を成し、支持板48の開口部49に対応する位置に前後方向に貫通する吸気口138が設けられている。この吸気口138は、上下方向に細長く延びる複数のスリットから構成されている。
以上の部材により、減酸素ユニット106が構成されている。固定部材132と固定部材134とは、不図示の複数本のネジによって固定されている。
減酸素ユニット106を構成する各部材の寸法の一例を挙げると、固定部材132と固定部材134の前後方向の厚さは例えば10mmであり、給水体128の厚みは例えば0.2mm、撥水層126と撥水層130の厚みは例えば0.2mm、ガスケット127とガスケット131の厚みはそれぞれ例えば0.2mm、アノード層118の厚みは例えば0.25mm、電解質膜116の厚みが例えば0.2mm、カソード層120の厚みが例えば0.25mm、絶縁体125の厚みが例えば0.7mm、集電体122と集電体124の厚みはそれぞれ例えば0.5mmである。
(6)給水装置104
次に、給水装置104について、図14、図16及び図17に基づいて説明する。
給水装置104は、冷蔵庫幅方向Lに沿って細長く延びる横長の直方体状の給水本体140を備える。
給水本体140は、連結板141によって減酸素装置100に連結され、減酸素装置100とともに装置保持部35に固定されている(図14参照)。
給水本体140の長手方向(つまり、冷蔵庫幅方向)Lの一端部、例えば、図16及び図17の左端部には、上面に冷蔵庫10の蒸発器で発生した除霜水や製氷タンク内の水などの水源からの水が外部流路148を介して流れ込む取水口147が設けられ、下面に給水本体140内の水を外部へ排出する排水口155が設けられている。排水口155から排出された水は、外部流路156を流れて冷蔵庫10の機械室に設けられた蒸発皿へ送られる。
図16に示すように、取水口147には、水源に繋がる外部流路148の先端を移動可能に給水本体140に接続する連結部160が設けられている。この連結部160は、外部流路148の先端に固定された拡径部161と、区画壁142から上方に突出する突出部162と、外部流路148を挿通する切欠部163が設けられた蓋体164とを備える。突出部162は、周方向に複数の間隔を設けたリング状をなしており、その外側に拡径部161が径方向に間隔をあけて嵌め込まれ、この状態で、蓋体164は切欠部163に外部流路148が挿通され給水本体140に固定される。これにより、蓋体164は、給水本体140との間で外部流路148の先端を移動可能に保持する。本実施形態では、蓋体164は、薄肉部164aを介して給水本体140に一体に連結されたセルフヒンジ機構によって、薄肉部164aを中心として回動するようになっており、爪嵌合などの係止手段によって給水本体140に固定される。
また、排水口155には、取水口147と同様に、外部流路156の先端を移動可能に給水本体140に接続する連結部166が設けられている。
なお、本実施形態では、取水口147や排水口155に設けられた連結部160,166が、外部流路148の先端を給水本体140に対して移動可能に接続する場合について説明したが、例えば、ゴム材などで形成した可撓性を有する連結部によって取水口147と外部流路148や,排水口155と外部流路156を接続してもよい。このように可撓性を有する連結部によって取水口147と外部流路148や,排水口155と外部流路156を接続することで、製造誤差などにより取水口147と外部流路148の間や、排水口155と外部流路156との間に位置ズレがあっても、組み付ける作業を簡単に行なうことができる。
給水本体140の内部は、長手方向Lの一端から他端へ向けて低くなるように傾斜する区画壁142によって上下に区画され、区画壁142の上方に第1流路144が形成され、区画壁142の下方に第2流路146が形成されており、第1流路144の底面が第2流路146を覆っている。このような給水本体140は、上面が開口する直方体状の箱体を上下に重ね合わせて形成されている。
区画壁142には、長手方向Lの他端側に上下に開口する給水孔150が形成され、この給水孔150を介して第1流路144と第2流路146とが連通している。
第1流路144の内部には、イオン交換樹脂よりなる浄水部152が設けられており、取水口147を介して給水本体140内に流れ込んだ水は、第1流路144を長手方向Lの一端側から他端側へ流れ給水孔150から第2流路146に流れ込む。第1流路144を流れる際に水源から供給された水に含まれる金属イオンが浄水部152で除去され、これにより減酸素ユニット106の劣化を防止できる。
給水孔150の下方には、第1流路144から流れ込んだ水を溜める貯水部154が形成され、貯水部154と長手方向Lの一端側に設けられた排水口155との間に第2流路146の内底面から上方に向けて堰部158が突出している。つまり、堰部158の上流側に第1流路144から流れ込んだ水を溜める貯水部154が区画されており、堰部158を乗り越えて貯水部154から溢れ出た水が排水口155から排出され、外部流路156を流れて機械室に設けられた蒸発皿へ送られる。
貯水部154は、長手方向Lの中央部に下方に凹んだ凹部153が形成されている。図17に示すように、凹部153は、第2流路146の幅が広がっており、第2流路146の上方に配置された第1流路144より長手方向Lに垂直な冷蔵庫の前後方向Mの少なくとも一方向(例えば、前方)へ突出し、上方に開口する導入口157が形成されている。 給水装置104の上方に位置する減酸素ユニット106から垂れ下がる給水体128が、導入口157より貯水部154内に挿入され、給水体128の下端が凹部153まで延びており、貯水部154に溜まった水に浸されている。これにより、給水体128は、毛細管現象によって貯水部154の水を吸い上げて減酸素ユニット106に水を供給する。
なお、上記した例では、給水体128が配される凹部153の位置において、第1流路144より第2流路146を前後方向Mに突出させて上方に開口する導入口157を形成したが、例えば、図18に示すように、第2流路146より第1流路144の幅が狭くなるように第1流路144を前後方向Mに凹ませて上方に開口する導入口157を形成してもよい。
(7)減酸素室30の組み立て方法
次に、減酸素室30の組み立て方法について、図4〜図10に基づいて説明する。
はじめに、装置保持部35の支持板48の背面に減酸素ユニット106のユニットケース102を固定して、保持体34に減酸素装置100を取り付ける。
次に、図4及び図5に示すように、減酸素装置100を取り付けた保持体34を、複数個の吊り下げ具96を介して仕切体26にネジ止めすることで、保持体34を仕切体26に支持させて野菜室16の左上部に配設させるとともに、減酸素装置100を野菜室16の後部に配設する。そして、減酸素装置100の取水口147と排水口155に設けられた連結部160,166に外部流路148,156の先端を接続する。
なお、ここでは、仕切体26をキャビネット12に取り付けた後、吊り下げ具96を介して仕切体26に保持体34を取り付けてもよく、また、キャビネット12に仕切体26を取り付ける前に、仕切体26へ保持体34を取り付け、その後、仕切体26をキャビネット12に取り付けても良い。
次に、図6に示すように、減酸素室30を、野菜室16の前方から収納保持部33にスライドさせて挿入する。この場合に、減酸素室30の左右両側面66,68に設けられている可動レール76を、固定レール56を構成する上下一対のレールの間に差し込んでスライドさせる。可動レール76の後部は前部よりも高さが小さく形成され、かつ、固定レール56を構成する上下一対の突条の間隔は、固定レール56の前部が後部より大きく形成されているため、固定レール56に可動レール76を差込み易い。
そして、図7及び図8に示すように、減酸素室30の後面72が支持板48の前面に設けられた封止部材51に当接するまで減酸素室30を収納保持部33に挿入して、減酸素室30を収納保持部33に取り付けて野菜室16内に配設する。
その際、減酸素室30から後方へ突出する突部74が、支持板48の開口部62の左右側端から突出する受け片63と下端縁から突出する受け片65に案内されながら開口部62に嵌め込まれる。これにより、減酸素室30は、収納保持部33に対して前後方向及び左右方向に位置決めされ、支持板48の封止部材51が減酸素室30の後面72に設けられた開口部73の外側を取り囲むように後面72に当接し、支持板48の開口部49と減酸素室30の開口部73とを介してユニットケース102内部とが連通して、装置保持部35に保持された減酸素装置100に連結される。
図6及び図7に示すように、右保持面44における固定レール56に3個のネジ孔98が設けられ、また、それに対応した突条の可動レール76の位置にも3個のネジ孔99が設けられている。そのため、ネジ97を用いて、ネジ孔98からネジ孔99にネジ97を螺合して、収納保持部33に減酸素室30をネジ止めする。これにより、減酸素室30が、収納保持部33に対し前後方向及び左右方向に固定される。また、支持板48の下端から延びている支持片52の先端の係止部54が、減酸素室30の下面70の後部に設けられている係止突部94に係合することで、減酸素装置100に対して減酸素室30を固定する。
なお、減酸素室30に設けられたネジ孔99や係止突部94の位置は、収納保持部33に設けられたネジ孔98や装置保持部35に設けられた係止部54の位置よりわずかに前方に配置されており、ネジ97や係止部54で減酸素室30を固定すると、減酸素室30が後方へ引っ張られ、減酸素室30の後面72が支持板48の封止部材51に押し付けられる。
次に、図9に示すように、保持体34に取り付けられた減酸素室30の前面開口部から減酸素容器36を差し込み、減酸素室30の左右両側面66,68の内面に設けられた第2固定レール90に減酸素容器36の両側面に設けられているローラ92を摺動させて、減酸素容器36を後方にスライドさせる。
そして、図10に示すように、扉38のガスケット39が減酸素室30のフランジ部83に当接するまで減酸素容器36を減酸素室30に差し込み、減酸素室30内に減酸素容器36を収納しつつ、減酸素室30の前面開口部を扉38により閉塞する。
その際、扉38に設けられた挿入体180が、減酸素室30に設けられた保持部材179の一対の挟持片183の対向間隙183bに挿入されることで、扉38が減酸素室30に設けられたガスケット39に密着して減酸素室30の前面開口部を密閉した状態で保持される。なお、扉保持機構178の一対の挟持片183は、一対の支持部182によって上下方向の間隔が広がるように弾性支持されているため、扉38を前方に引っ張ると挿入体180が抜き出され、扉38は前方にスライドする。以上のようにして、減酸素室30を組み立てることができる。
(8)減酸素装置100の動作状態
次に、減酸素装置100の動作状態について、図14〜図17に基づいて説明する。
蒸発器で発生した除霜水が、外部流路148を介して給水装置104に供給され、給水装置104内部の第1流路144を通して浄水された後、給水孔150を通って第2流路146における貯水部154に貯水される(図16参照)。
貯水部154に溜まった水は、給水体128に吸い上げられ、アノード層118側の撥水層126の外側に保持される。
そして、撥水層126の外側に水が保持された状態で、集電体122,124の間に電圧を印加すると、撥水層126を通ってアノード層118に供給された水蒸気が水素イオンに分解され、電解質膜116を通ってカソード層120へ移動する。カソード層120では、電解質膜116から移動した水素イオンが減酸素室30内の空気中の酸素と反応して水を生成することで、減酸素室30内の酸素を減少させる。
(9)効果
以上の構成を備えた本実施形態によれば、予めキャビネット12内に設けた保持体34の収納保持部33に対して、前方から減酸素室30をスライドさせることで、減酸素室30を野菜室16に取り付けることができるとともに、装置保持部35に取り付けられた減酸素装置100に連結することができるため、簡単に組み付けを行なうことができる。
また、装置保持部35に設けられた係止部54が、減酸素室30の係止突部94に係止するため、装置保持部35に取り付けられた減酸素装置100を減酸素室30に対して位置ズレすることなく確実に固定することができる。
特に、減酸素室30では、左面66及び右面68の上側に可動レール76が設けられ、底面70に係止突部94が設けられており、収納保持部33と装置保持部35とで減酸素室30の上下部をそれぞれ保持することができ、保持体34に減酸素室30を確実に固定することができる。
また、本実施形態では、減酸素室30を保持体34に取り付けた際に、係止突部94の位置が、装置保持部35に設けられた係止部54の位置よりわずかに前方に配置されており、係止部54が係止突部94減酸素室30を固定すると、係止部54が減酸素室30を後方へ引っ張って減酸素室30の後面72に支持板48の封止部材51を押し付けることができ、減酸素室30と減酸素装置100とのシール性を高めることができる。
また、本実施形態では、給水装置104が、連結板141によって減酸素ユニット106に連結され、減酸素装置100とともに装置保持部35に固定されているため、給水装置104を簡単に取り付けることができる。
また、給水装置104は、第1流路144内に設けられた浄水部152によって、蒸発器から除霜水に溶解した金属イオンなどを除去することができるため、減酸素ユニット106の劣化を抑えることができる。
また、給水装置104では、浄水部152が設けられた第1流路144と貯水部154が設けられた第2流路146との水の流れる向きが逆向きで平行に配置されているため、取水口147と排水口155とを給水本体140の上下に配置することができ、外部流路148,156を取水口147及び排水口155に接続する作業が容易となる。
しかも、第1流路144の底面が第2流路146の上面を覆う傾斜面をなしているため、上面が開口する箱体を上下に重ね合わせて給水本体140を形成することができ、内部に浄水部152や貯水部154を設けた給水装置104を容易に製造することができる。
また、給水装置104では、取水口147や排水口155に設けられた連結部160,166が、外部流路148,156の先端を移動可能に給水本体140に接続するため、製造誤差などにより取水口147と外部流路148の間や、排水口155と外部流路156との間に位置ズレがあっても、連結部160,166において位置調整が可能となり、組み付ける作業を簡単に行なうことができる。
なお、上記した実施形態では、野菜室16内部に減酸素室30を設ける場合について説明したが、本発明はこれに限らず、冷蔵室14や冷凍室20等のキャビネット12内部に形成された貯蔵室に適用してもよい。
また、上記した実施形態では、高分子電解質膜法を利用して減酸素室30内の酸素を減少させる場合について説明したが、これに代えて、真空ポンプを用いて減酸素室30内の酸素を減少させてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。