JP6150949B2 - ヘキサデシルオキシプロピル−ホスホン酸エステルの形態型 - Google Patents

ヘキサデシルオキシプロピル−ホスホン酸エステルの形態型 Download PDF

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Description

関連出願
本出願は2013年11月15日出願の米国仮出願第61/904,857号の優先権および恩典を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
技術分野
本開示は、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステルの固体結晶形、ならびに関連する組成物および方法に関する。本開示において提供される方法は、高純度、高収率、および高安定性を有する化合物1の形態型、ならびにその結晶の合成を実現する。
発明の背景
薬剤開発においては、薬学的有効成分を化学的および形態的に純粋な形態で得るための再現可能な製造方法が求められている。薬学的有効成分を均一な固相で得ることは、最終剤形の工業的製造の要件に適合するための前提条件である。異なる形態(morphology)を有する同じ有効成分の固形は、溶解速度、バイオアベイラビリティ、および化学安定性の有意な差を示すことがある。したがって、工業技術、化学技術、および製薬技術の観点からは、有効成分の異なる固形が、技術の運用に関する著しく異なった性質、例えば、濾過速度または乾燥速度、溶解度、錠剤化中の挙動を有しうることが重要である。ここで言及される性質は、工業的製造プロセスの効率、経済性、再現性、および複雑性に対する直接的な影響を示すものであり、形態的に均一な製品を生じさせうるものである。
薬学的有効成分の結晶形が非晶形に比べて改善された化学安定性を有することは、一般に認められている。最終剤形の製造中および有効期間中の分解プロセスが異なることから、この安定性の差は一般に重要である。したがって、医薬製品の製造者は、薬剤開発中に有効成分の結晶形を使用することを好む。
薬学的有効成分の多形性をいくつかのやり方で利用することができる。例えば、好適な安定性および不純物プロファイル(純度)を有する結晶形を最終剤形の製造に使用することは最も重要である。また、結晶性有効成分が工業規模での大規模製造技術および製薬技術の操作に適した性質を有することも重要である。しかし、多形の異なる性質、例えば溶解速度、粒径などを、異なる最終剤形の設計中に利用することもできる。より低い溶解速度を有する多形が、遅延放出剤形の性質に寄与しうる一方で、当業者は、即時放出剤形の製剤化中に、より高い溶解度またはより高い溶解速度を示す型を認識しうる。さらに、特定の多形を作製することは当技術分野における日常的な慣行ではない。本発明は、望ましい特徴を有する化合物1の独自の多形を提供することに関する。
本開示の一部は、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)の工業規模の固形(例えば結晶形)を製造するための方法を提供する。いくつかの態様では、本発明は、化合物を高純度および高収率で得るために該化合物を合成する方法を提供する。いくつかの態様では、本開示の方法によって合成される化合物1の結晶形は非晶形に比べて安定している。
本開示の目的は、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(「化合物1」)の固形(例えば結晶形)の良好な収率での、大量の、かつ望ましい純度での調製のための新規方法を提供することにある。ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(「化合物1」)の新規固形(例えば結晶形)が本明細書において提供される。
一態様は、多形またはII型形態(「多形」または「形態型」という用語は、本開示においては互換的に使用される)に関する。いくつかの態様では、本開示のII型形態を含む組成物は不純物を実質的に含まず、すなわち、十分な量の不純物がII型の試料中に存在しない。いくつかの態様では、II型形態を含む組成物は、非晶質の化合物1を実質的に含まない。また、本開示の態様は、II型が水和形を実質的に含まないと規定する。いくつかの態様では、II型を含む組成物は無水である。
いくつかの態様では、本開示のII型形態を含む組成物は、1:1のメタノール:水比において室温で約3mg/mL未満の溶解度であり、約63℃で約14mg/mL未満の溶解度である。本開示のII型形態を含む組成物は、約2.81および約5.63°2θでの顕著なピークを含むX線回折パターンを有しうる。
一態様では、本態様の化合物のII型形態を含む組成物は、図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターン、図2に記載のものと実質的に同様の指数付けを特徴とし、かつ/または、図4、図15、図16、もしくは図22〜24に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを有する。
本開示の一態様は、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される2個以上(例えば3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、もしくは10個以上)のピークを有するX線回折パターンを特徴とするか、または、図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを有する、式IIまたはIIIを有する化合物のII型形態を提供する。一態様では、II型形態を含む組成物は、図2に記載のものと実質的に同様の指数付け、および/または図4、図15、図16、もしくは図22〜24に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを有する。いくつかの態様では、II型形態を含む組成物は、図6に記載のものと実質的に同様の1H NMRを特徴とする。
本開示は、用量約100mgで週2回または用量約200mgで週1回投与される、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される2個以上(例えば3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、もしくは10個以上)のピークを有するX線回折パターンを特徴とするか、または図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを有し、かつ/または図6に記載のものと実質的に同様の1H NMRを特徴とする、式IIもしくはIIIの化合物のII型形態(または薬学的に許容されるその塩)を提供する。一態様では、図2に記載のものと実質的に同様の指数付け、および/または図4、図15、図16、もしくは図22〜24に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを有する、II型形態を含む組成物が、用量約100mgで週2回または用量約200mgで週1回投与される。
本開示は、用量約1〜4mg/kg(例えば約1.0〜1.1mg/kg、約1.1〜1.2mg/kg、約1.2〜1.3mg/kg、約1.3〜1.4mg/kg、約1.4〜1.5mg/kg、約1.5〜1.6mg/kg、約1.6〜1.7mg/kg、約1.7〜1.8mg/kg、約1.8〜1.9mg/kg、約1.9〜2.0mg/kg、約2.0〜2.1mg/kg、約2.1〜2.2mg/kg、約2.2〜2.3mg/kg、約2.3〜2.4mg/kg、約2.4〜2.5mg/kg、約2.5〜2.6mg/kg、約2.6〜2.7mg/kg、約2.7〜2.8mg/kg、約2.8〜2.9mg/kg、約2.9〜3.0mg/kg、約3.0〜3.1mg/kg、約3.1〜3.2mg/kg、約3.2〜3.3mg/kg、約3.3〜3.4mg/kg、約3.4〜3.5mg/kg、約3.5〜3.6mg/kg、約3.6〜3.7mg/kg、約3.7〜3.8mg/kg、約3.8〜3.9mg/kg、または約3.9〜4.0mg/kg)で投与される、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される2個以上(例えば3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、もしくは10個以上)のピークを有するX線回折パターンを特徴とするか、または図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを有し、かつ/または図6に記載のものと実質的に同様の1H NMRを特徴とする、式IIもしくはIIIの化合物のII型形態(または薬学的に許容されるその塩)を提供する。
いくつかの態様では、図2に記載のものと実質的に同様の指数付け、および/または図4、図15、図16、もしくは図22〜24に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを有する、II型形態を含む組成物が、用量約1〜4mg/kg(例えば約1.0〜1.1mg/kg、約1.1〜1.2mg/kg、約1.2〜1.3mg/kg、約1.3〜1.4mg/kg、約1.4〜1.5mg/kg、約1.5〜1.6mg/kg、約1.6〜1.7mg/kg、約1.7〜1.8mg/kg、約1.8〜1.9mg/kg、約1.9〜2.0mg/kg、約2.0〜2.1mg/kg、約2.1〜2.2mg/kg、約2.2〜2.3mg/kg、約2.3〜2.4mg/kg、約2.4〜2.5mg/kg、約2.5〜2.6mg/kg、約2.6〜2.7mg/kg、約2.7〜2.8mg/kg、約2.8〜2.9mg/kg、約2.9〜3.0mg/kg、約3.0〜3.1mg/kg、約3.1〜3.2mg/kg、約3.2〜3.3mg/kg、約3.3〜3.4mg/kg、約3.4〜3.5mg/kg、約3.5〜3.6mg/kg、約3.6〜3.7mg/kg、約3.7〜3.8mg/kg、約3.8〜3.9mg/kg、または約3.9〜4.0mg/kg)で投与される。
本開示は、用量約100mgで週2回または用量約200mgで週1回投与される、図18に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを特徴とする、式IIもしくはIIIの化合物のH型形態(または薬学的に許容されるその塩)を提供する。一態様では、図3に記載のものと実質的に同様の指数付け、および/または図17に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを有する、H型形態を含む組成物が、用量約100mgで週2回または用量約200mgで週1回投与される。
いくつかの態様では、図18に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを特徴とし、図3に記載のものと実質的に同様の指数付けを有し、かつ/または図17に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを有する、H型形態を含む組成物が、用量約1〜4mg/kg(例えば約1.0〜1.1mg/kg、約1.1〜1.2mg/kg、約1.2〜1.3mg/kg、約1.3〜1.4mg/kg、約1.4〜1.5mg/kg、約1.5〜1.6mg/kg、約1.6〜1.7mg/kg、約1.7〜1.8mg/kg、約1.8〜1.9mg/kg、約1.9〜2.0mg/kg、約2.0〜2.1mg/kg、約2.1〜2.2mg/kg、約2.2〜2.3mg/kg、約2.3〜2.4mg/kg、約2.4〜2.5mg/kg、約2.5〜2.6mg/kg、約2.6〜2.7mg/kg、約2.7〜2.8mg/kg、約2.8〜2.9mg/kg、約2.9〜3.0mg/kg、約3.0〜3.1mg/kg、約3.1〜3.2mg/kg、約3.2〜3.3mg/kg、約3.3〜3.4mg/kg、約3.4〜3.5mg/kg、約3.5〜3.6mg/kg、約3.6〜3.7mg/kg、約3.7〜3.8mg/kg、約3.8〜3.9mg/kg、または約3.9〜4.0mg/kg)で投与される。
いくつかの態様では、II型はH型と区別される。例えば、図25は、II型の2つの試料(上2つのスペクトル)およびH型の1つの試料(下の試料)のX線粉末回折スペクトルの比較を示す。この比較からわかるように、II型は、例えば約24.8°2θおよび22.9°2θにおいて顕著なピークを示すという点でH型と異なる。対照的に、いくつかの態様では、II型は、H型において見られる顕著なピーク、例えば約24.1°2θ、21.5°2θ、20.9°2θ、および12.6°2θでのピークを示さない。
いくつかの態様では、本開示は、薬学的組成物として製剤化される化合物1のII型(または薬学的に許容されるその塩)を提供する(表11および表12参照)。一態様では、化合物1のII型(または薬学的に許容されるその塩)は製剤1の錠剤として製剤化される(表11参照)。別の態様では、化合物1のII型(または薬学的に許容されるその塩)は製剤2の錠剤として製剤化される(表11参照)。さらに別の態様では、化合物1のII型(または薬学的に許容されるその塩)は製剤3の懸濁液剤として製剤化される(表12参照)。別の態様では、化合物1のII型(または薬学的に許容されるその塩)は製剤4の懸濁液剤として製剤化される(表12参照)。
本開示の化合物のII型形態を含む組成物は、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)の調製物をメタノールから再結晶化する工程を含む精製プロセスによって生成することができる。
いくつかの好ましい態様では、本明細書に記載の方法によって生成される化合物1を、一連の5回の別個の再結晶によって精製する。例えば、最初に化合物1をメタノールからの3回の別個の連続した再結晶によって精製することができる。次に、化合物1をn-ヘプタンおよびメタノールから再結晶化することができる。いくつかの好ましい態様では、メタノール再結晶によってn-ヘプタン/メタノール再結晶とは異なるセットの不純物を除去する。最後に、化合物1を再度メタノールから精製することができる。いくつかの好ましい態様では、メタノールからの最後の再結晶を、ある量のII型形態のシード添加によって行い、II型形態の形成を確実にする制御された徐冷によって進行させる。
本開示はまた、化合物1のII型形態を含む組成物を合成するための方法を提供する。本開示のII型形態を含む組成物の合成方法は、それによってホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のII型形態を合成する以下の工程を包含する:
a. (S)-N1-[(2-ヒドロキシ-3-トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)、P-[[[4-メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]-,モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル,ナトリウム塩(化合物4)、マグネシウムtert-ブトキシド、およびジメチルホルムアミド(DMF)の混合物を加熱する工程;
b. 冷却し、酢酸イソプロピルを加える工程;
c. HCl溶液およびNaCl溶液で順次洗浄する工程;
d. 濃縮物をメタノールで希釈し、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)-2-(トリフェニルメトキシ)エチル]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物3)を含有する混合物を形成する工程;
e. 化合物3を含有する濃縮物をメタノール中で希釈する工程;
f. HClガスを加え、温度を約20℃未満に維持する工程;
g. 濾過して不純物を除去し、アセトン中でスラリーを調製する工程;
h. スラリーを濾過し、アセトンで洗浄する工程;
i. メタノールから再結晶化する工程;
j. メタノールからの2回目の再結晶を行う工程;
k. メタノールからの3回目の再結晶を行う工程;
l. n-ヘプタンおよびメタノールから再結晶化する工程;
m. 粗生成物をメタノールに溶解させる工程;
n. ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)の種晶ストックを溶液に加え、攪拌する工程;
o. 冷却し、濾過し、溶液をメタノールで洗浄し、乾燥させる工程。
本開示は、約91重量/重量%以上、約95重量/重量%以上、または約99重量/重量%以上の純度である、合成されたII型を提供する。
本開示はまた、化合物1のII型形態を含む組成物を合成するための方法を提供する。本開示のII型形態を含む組成物の合成方法は、それによってホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のII型形態を合成する以下の工程を包含する:
(S)-N1-[(2-ヒドロキシ-3-トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)、P-[[[4-メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]-,モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル,ナトリウム塩(化合物4)、マグネシウムtert-ブトキシド、およびジメチルホルムアミド(DMF)の混合物を約75〜85℃で約3時間加熱する工程;
a. 混合物を約25〜35℃に冷却し、酢酸イソプロピルを加える工程;
b. 溶液を約15〜25℃にさらに冷却し、HCl溶液およびNaCl溶液で順次洗浄する工程;
c. 有機相を減圧蒸留することで酢酸イソプロピルを除去し、それによって濃縮物を形成する工程;
d. 濃縮物をメタノールで希釈し、酢酸イソプロピルをさらに除去し、それによって再濃縮し、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)-2-(トリフェニルメトキシ)エチル]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物3)を含有する混合物を形成する工程;
e. 化合物3を含有する濃縮物をメタノール中で希釈する工程;
f. 温度を約-5〜15℃に維持する速度でHClガスを加える工程;
g. 反応液を約10〜20℃に2時間維持した後、濾過して固体不純物を除去する工程;
h. 濾液を水で希釈し、pHをNaOHで約2.3〜2.7に調整する工程;
i. 固体を濾過し、固体を水で洗浄した後、アセトン中、約35〜45℃で約1時間かけてスラリーを調製する工程;
j. スラリーを濾過し、アセトンで洗浄する工程;
k. アセトンで洗浄した粗生成物を温度約40℃以下で約12時間乾燥させる工程;
l. 粗生成物をメタノール中にて約60〜70℃で加熱する工程
m. 清澄濾過し、約58〜62℃に冷却し、1時間攪拌し、約48〜52℃に約6時間、次に約17〜23℃に2時間冷却し、濾過した後、メタノールで洗浄する工程;
n. 工程l〜mを2回以上繰り返す工程;
o. メタノール中にて生成物を約64℃で加熱し、温度を50℃超に維持しながらn-ヘプタンを40分かけてゆっくりと加える工程;
p. 温度約55℃に30分間保持し、40℃に6時間かけて冷却する工程;
q. 40℃で2時間攪拌した後、20℃に6時間かけて冷却する工程;
r. 20℃で2時間攪拌する工程;
s. 濾過し、n-ヘプタンおよびメタノールで洗浄し、減圧乾燥させる工程;
t. 固体をメタノールに溶解させた後、約59〜61℃に冷却し、次に約20分間攪拌する工程;
u. ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)の種晶ストックを溶液に加え、2時間攪拌する工程;
v. 溶液を約8時間攪拌することで約47〜53℃に冷却した後、約2時間攪拌する工程;
w. 攪拌溶液を約6時間かけて約17〜23℃にさらに冷却し、約2時間さらに攪拌する工程;
x. 濾過し、溶液をメタノールで洗浄する工程;
y. 温度約40℃以下で約24時間乾燥させる工程。
本開示は、(S)-N1-[(2-ヒドロキシ-3-トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)、P-[[[4-メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]-,モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル,ナトリウム塩(化合物4)と、マグネシウムtert-ブトキシドおよびジメチルホルムアミド(DMF)とを組み合わせる工程を含む、化合物1のII型を調製する方法を提供する。
本開示は、結晶化工程を行うことで化合物1のII型形態の結晶を合成するための方法を提供する。例えば、化合物1を含む溶液(例えばメタノール溶液)に約0.5%、約3%、または約7%のホスホン酸の種晶をシード添加することができる(例えば種晶は化合物1のI型またはII型でありうる)。次に溶液を結晶化することができる。いくつかの態様では、化合物1のII型形態の結晶を、結晶化プロセス中の緩徐な攪拌(stirring)または攪拌(agitation)によって結晶化する。一態様では、生成される形態型の種類に、攪拌速度が影響を与える。別の態様では、生成される形態型の種類に、攪拌速度が影響を与えない。本態様は、メタノールを含むプロセスによるII型形態の結晶化を提供する。本態様はさらに、ホスホン酸のII型またはI型をシード添加することでII型形態を形成するための結晶化プロセスを提供する。さらに、いくつかの態様では、メタノールを徐冷することでII型形態を得る。例えば、いくつかの好ましい態様では、化合物1をメタノールに約65℃(例えば還流温度近く)で溶解させ、約65℃に1時間保持し、次に61℃に冷却した後、II型形態をシード添加することができる。内容物を60℃で1時間攪拌し、50℃に8時間かけて冷却することができる。内容物を50℃に2時間保持した後、さらに50℃から20℃に少なくとも6時間(例えば終夜)かけて冷却し、20℃で少なくとも2時間攪拌した後、濾過することができる。いくつかの好ましい態様では、徐冷プロトコールが、II型の形成を確実にすることに役立ちうる。
一態様では、本開示は、出発原料約100Kgを用いる、シード添加なしでのII型の生成を提供する。シード添加なしでのII型の生成方法は、急冷メタノール再結晶を包含するものであり、これにより、本方法がシード添加および徐冷を含む場合のII型の粒径に比べて小さな粒径が得られる。
いくつかの態様では、本開示の方法に従って合成されるII型形態を含む組成物は、不純物を実質的に含まない。いくつかの態様では、本態様の方法に従って合成されるII型形態を含む組成物は、約99重量/重量%以上の純度である。いくつかの好ましい態様では、実質的な純度(例えば約100%の純度)は、多量の不純物を除去可能な一連の再結晶の結果である。いくつかの態様では、任意の特定の再結晶技術によって不純物を除去することができるが、特定の不純物を除去する上で、特定の再結晶が他の再結晶に比べて有効であることがある。例えば、いくつかの態様では、メタノールからの最初の3回の再結晶によって特定の不純物を除去する。次に、いくつかの態様では、n-ヘプタンおよびメタノールからの再結晶によって、メタノールのみからの再結晶では完全には除去されなかった化合物1中に残留するさらなる(例えば異なる)不純物を除去することができる。シード添加および徐冷を伴うメタノールからの最後の再結晶によって、さらなる微量の不純物を除去し、化合物1のII型形態を生成することができる。
いくつかの態様では、本開示の方法によって合成されるII型形態を含む組成物は水和物でありうる。いくつかの態様では、本開示の化合物のII型形態を含む組成物は水和物ではない。いくつかの態様では、本開示の方法によって合成されるII型形態を含む方法は、水和形を実質的に含まない。いくつかの態様では、II型形態を含む組成物は部分水和形または部分水和物である。
いくつかの態様では、本開示のII型形態を含む組成物は、約43相対湿度%に約12日間曝露された後で水和形に部分変換される。いくつかの態様では、本態様のII型形態を含む組成物は、DSCサーモグラムにおいて約41〜43℃(最大ピーク)での副吸熱、続いて約90および約95℃(最大ピーク)での重複する主吸熱を示す。本態様のII型形態を含む組成物の最終吸熱は約196℃での開始を示す。
本開示は、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される2個以上(例えば3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、または10個以上)のピークを有するX線回折パターンを特徴とする、式IIまたはIIIを有する化合物のII型形態の合成方法を提供する。
本開示はさらに、図1、図7、図13、図14、図20、図21、または図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを特徴とする、式IIまたはIIIを有する化合物のII型形態の合成方法を提供する。
本開示のいくつかの態様は、図4、図15、または図16に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを特徴とする、式IIまたはIIIを有する化合物のII型形態の合成方法を提供する。
本開示は、式IIまたはIIIの化合物のII型を安定な結晶形で提供する。
本開示は、それによって(S)-N1-[(2-ヒドロキシ-3-トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)を得る以下の工程を含む、(S)-N1-[(2-ヒドロキシ-3-トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)を合成する方法を提供する:
a. (S)-トリチルグリシジルエーテル、シトシン、炭酸カリウム、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の混合物を加熱する工程;
b. 反応混合物を冷却し、トルエンで反応停止させる工程;
c. 工程bの得られたスラリーを冷却し、濾過し、トルエンで洗浄する工程;
d. 固体をトルエン中でスラリー化し、濾過した後、アセトンで洗浄する工程;
e. 固体を水/アセトン中でトリチュレートし、濾過し、アセトンで洗浄しかつアセトンに懸濁させる工程;
f. 任意で、工程d〜eを繰り返して残留シトシンおよびプロセス関連不純物を除去する工程; ならびに
g. 濾過ケークを減圧乾燥させる工程。
一態様では、合成化合物のHPLC(AUC)純度は91重量/重量%以上、91重量/重量%以上、または99重量/重量%以上である。
本開示はまた、以下の工程を含む、(S)-N1-[(2-ヒドロキシ-3-トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)を合成する方法を提供する:
a. (S)-トリチルグリシジルエーテル、シトシン、炭酸カリウム、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の混合物を約85〜95℃で約9時間加熱する工程;
b. 工程aの反応混合物を約66〜70℃に冷却し、トルエンで反応停止させる工程;
c. 工程bの得られたスラリーを約-10〜5℃に冷却し、濾過し、トルエンで洗浄する工程;
d. 固体をトルエン(168.8kg)中にて約15〜25℃でスラリー化し、濾過した後、アセトンで洗浄する工程;
e. 固体を水/アセトン(90.0kg/54.0kg)中にて約17〜22℃でトリチュレートし、濾過し、アセトン(36.0kg)で洗浄する工程;
f. 濾液の濾過ケークをアセトン(178.9kg)に懸濁させ、約35〜45℃で約3時間加熱し、濾過し、アセトン(36.0kg)で洗浄する工程。
g. 残留シトシンおよびプロセス関連不純物を除去するために、洗浄およびトリチュレーションを必要に応じて繰り返してもよい。ケークを温度約40℃以下で約12時間減圧乾燥させて化合物2約45.0kg(約65.0%)を得る。合成化合物のHPLC(AUC)純度は99%以上である。
本開示に記載されるいくつかの独自の特徴および利点は、以下の詳細な説明において、当業者に明らかになるであろうし、かつ詳述されている。本発明の第1の利点は、親化合物である化合物1の純度の増加である。化合物を特徴づけ、薬剤としての用途で投与する際に、純度が最も重要であることは、化学分野および薬学分野において容易に理解されよう。いくつかの好ましい態様では、本技術は、化合物1の5回の別個の再結晶を提供する。いくつかの好ましい態様では、最初の3回の再結晶はメタノールからの再結晶であり、化合物1から特定の不純物(例えば下記化合物AおよびB)を除去するために使用される。いくつかの好ましい態様では、n-ヘプタンおよびメタノールからの4回目の再結晶(例えば化合物1の)が、最初の3回のメタノール再結晶の後に残留する他の不純物(例えば化合物CおよびD)を除去するために使用される。したがって、本技術は、化合物1中の不純物を有効に除去しかつ実質的に(例えば>99%または>99.9%)純粋な化合物1の組成物に到達するために別個の直交精製方法を使用するシステムを提供する。
本発明の第2の利点は、製薬(例えば商業的製薬)において使用される化合物1の特定の多形を生じさせる能力にある。いくつかの好ましい態様では、5回目の再結晶(例えばメタノールから。徐冷およびII型のシード添加を伴う)によってII型を確実にかつ常に生成することができる。当業者は、所与の化合物(例えば化合物1)が種々の異なる多形として存在しうることを容易に認識するであろう。これらの多形は、著しく異なる密度、溶解度、さらには化学反応性などの物性を有しうる。同じ化合物の異なる多形の間の不均一性によって、所与の薬剤(例えば化合物1)の正確かつ的確な投与量を確実に与えるための試みが困難になることがある。例えば、同じ化合物の2つの異なる多形が異なる密度を有する場合、モル比で同じ量の該化合物自体を確実に有する、該化合物を含む薬学的組成物を製剤化することが困難なことがある。同様に、異なる多形が異なる溶解度プロファイルを有する場合、該多形は体内で異なって作用することがある(例えば、異なる多形は血中でより急速にまたは緩徐に溶出することがある)。これによって、例えば即時放出剤形または持続放出剤形を確実に与えるための試みが困難になることがある。言い換えれば、多形性が、異なる薬剤の実行において遭遇する不一致の原因でありうる。例えばCaira, M.R. Crystalline Polymorphism in Organic Compoundsを参照。したがって、所与の化合物(例えば化合物1)の多形は、該化合物(例えば化合物1)それ自体に固有ではない独自の性質を有しうる。
さらに、特定の多形を作製することは日常的な慣行ではない。実際、いくつかの場合では、特定の多形に到達することは予測不可能および/または不確かでありうるし、該多形を生成するための方法は、該多形を常にまたは確実に生じさせることができないことがある。Polymorphism in Pharmaceutical Solids, 2nd Ed., Drugs and the Pharmaceutical Sciences (2009), Informa Healthcare USA, Inc., New York, NY, Chapter 3, page 52, Introduction and Chapter 4, page 77, first full paragraph and page 87, first full paragraphを参照。
本発明は、特定の多形(すなわち化合物1のII型)に常にかつ確実に到達するためのやり方を提供する。いくつかの好ましい態様では、メタノールからの最後の再結晶に適量のII型の種晶をシード添加することで、II型を生じさせる。また、いくつかの好ましい態様では、再結晶を徐冷勾配によって進行させることで、化合物1のII型形態の形成を確実にする。いくつかの好ましい態様では、II型形態のシード添加と徐冷手順との組み合わせによって、最後のメタノール再結晶からのII型形態の形成を確かにかつ間違いなく確実にすることができる。
いくつかの態様では、式IIまたはIIIの化合物(例えば化合物1)は非晶形でありうる。
1つまたは複数の局面では、本発明は、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のII型形態を提供する。
別の局面では、本発明は、ウイルス感染症を処置する上で使用される、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のII型形態を含む組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、ウイルス感染症を処置する上で使用される、本明細書において開示される化合物(例えば化合物1)または形態型(例えばI型、II型、もしくはH型)のいずれかを含む組成物を提供する。
別の局面では、本発明は、ウイルス感染症を処置するための医薬の製造における、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のII型形態を含む組成物の使用を提供する。いくつかの態様では、本発明は、ウイルス感染症を処置するための医薬の製造において使用される、本明細書において開示される化合物(例えば化合物1)または形態型(例えばI型、II型、もしくはH型)のいずれかを含む組成物を提供する。
本技術のさらなる特徴および利点、例えば化合物1を合成するためのプロセスの収率の改善および時間の減少も、当業者には明らかであろう。
別途定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するものと同一の意味を有する。矛盾がある場合は、定義を含む本明細書が優先される。本明細書では、文脈上別途明らかな指示がない限り、単数形は複数も含む。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料を以下に記載する。本明細書において言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照により組み入れられる。本明細書において引用される参考文献は、特許請求される本発明の先行技術であるとは認められない。さらに、材料、方法、および実施例は、例示的なものでしかなく、限定的であるようには意図されていない。
[本発明1001]
ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のII型形態。
[本発明1002]
前記形態型が無水である、本発明1001のII型形態。
[本発明1003]
II型が部分水和物または部分水和形である、本発明1001のII型形態。
[本発明1004]
前記II型が、1:1のメタノール:水比において室温で約3mg/mL未満の溶解度であり、かつ約63℃で約14mg/mL未満の溶解度である、本発明1001のII型形態。
[本発明1005]
約2.81および約5.63°2θでの顕著なピークを含むX線回折パターンを特徴とする、本発明1001のII型形態。
[本発明1006]
図1に記載のものと実質的に同様のX線回折パターン、および図2に記載のものと実質的に同様の指数付けを特徴とする、本発明1001のII型形態。
[本発明1007]
2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される2個以上のピークを有するX線回折パターンを特徴とする、本発明1001のII型形態。
[本発明1008]
図1、図7、図13、図14、図20、または図21に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを特徴とする、本発明1001のII型形態。
[本発明1009]
図4、図15、または図16に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを特徴とする、本発明1001のII型形態。
[本発明1010]
図4に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを特徴とする、本発明1001のII型形態。
[本発明1011]
ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)の調製物をメタノールから再結晶化する工程を含む精製プロセスによって生成される、本発明1001のII型形態。
[本発明1012]
(S)-N 1 -[(2-ヒドロキシ-3-トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)、P-[[[4-メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]-,モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル,ナトリウム塩(化合物4)と、マグネシウムtert-ブトキシドおよび好適な有機溶媒とを組み合わせる工程を含む、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステルのII型を含む組成物を調製する方法。
[本発明1013]
II型が、約91重量/重量%以上、約95重量/重量%以上、または約99重量/重量%以上の純度である、本発明1012の方法。
[本発明1014]
II型形態が水和物ではない、本発明1013の方法。
[本発明1015]
II型形態が、1:1のメタノール:水比において室温で約3mg/mL未満の溶解度であり、かつ約63℃で約14mg/mL未満の溶解度である、本発明1012の方法。
[本発明1016]
II型形態が、約2.81および約5.63°2θでのピークを含むX線回折パターンを特徴とする、本発明1012の方法。
[本発明1017]
II型形態が、図1または図20に記載のものと実質的に同様のX線回折パターン、図2に記載のものと実質的に同様の指数付け、および図4に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを特徴とする、本発明1012の方法。
[本発明1018]
II型形態が、DSCサーモグラムにおいて約41〜43℃(最大ピーク)での副吸熱、続いて約90および約95℃(最大ピーク)での重複する主吸熱を示す、本発明1012の方法。
[本発明1019]
最終吸熱が約196℃で開始する、本発明1018の方法。
[本発明1020]
II型形態が、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される2個以上のピークを有するX線回折パターンを特徴とする、本発明1012の方法。
[本発明1021]
II型形態が、図1、図7、図13、図14、図20、図21、または図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを特徴とする、本発明1012の方法。
[本発明1022]
II型形態が、図4、図15、または図16に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを特徴とする、本発明1012の方法。
[本発明1023]
約0.5%、約3%、または約7%のホスホン酸の種晶をシード添加することを含む結晶化工程をさらに含む、本発明1012の方法。
[本発明1024]
結晶化工程がメタノールを含む、本発明1023の方法。
[本発明1025]
種晶がホスホン酸のII型またはI型である、本発明1024の方法。
[本発明1026]
好適な有機溶媒がジメチルホルムアミド(DMF)である、本発明1012の方法。
[本発明1027]
前記II型が安定な結晶形である、本発明1001のII型形態。
[本発明1028]
約41〜43℃での吸熱、約90および約95℃での重複する吸熱、ならびに約196℃での吸熱を示すDSCサーモグラムを特徴とする、本発明1001のII型形態。
[本発明1029]
2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される3個以上のピークを有するX線回折パターンを特徴とする、本発明1001のII型形態。
[本発明1030]
2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される4個以上のピークを有するX線回折パターンを特徴とする、本発明1001のII型形態。
[本発明1031]
2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される5個以上のピークを有するX線回折パターンを特徴とする、本発明1001のII型形態。
[本発明1032]
約1.5%未満のH型、I型、および/または非晶形を含有することを特徴とする、本発明1001のII型形態。
[本発明1033]
約2%未満の以下のいずれかの化合物:
Figure 0006150949
およびそれらの組み合わせを含有することを特徴とする、化合物1のII型形態を含む組成物。
[本発明1034]
約2%未満の総不純物を含有することを特徴とする、本発明1001のII型形態を含む組成物。
[本発明1035]
II型、I型、およびH型を含む組成物。
[本発明1036]
90%超のII型を含む、本発明1035の組成物。
[本発明1037]
95%超のII型を含む、本発明1036の組成物。
[本発明1038]
99%超のII型を含む、本発明1027の組成物。
[本発明1039]
10%未満のI型およびH型を含む、本発明1035の組成物。
[本発明1040]
5%未満のI型およびH型を含む、本発明1039の組成物。
[本発明1041]
1%未満のI型およびH型を含む、本発明1040の組成物。
[本発明1042]
化合物1ならびに化合物A、B、C、およびDを含む組成物。
[本発明1043]
90%超の化合物1を含む、本発明1042の組成物。
[本発明1044]
95%超の化合物1を含む、本発明1043の組成物。
[本発明1045]
99%超の化合物1を含む、本発明1044の組成物。
[本発明1046]
10%未満の化合物A、B、C、およびDを含む、本発明1042の組成物。
[本発明1047]
5%未満の化合物A、B、C、およびDを含む、本発明1046の組成物。
[本発明1048]
1%未満の化合物A、B、C、およびDを含む、本発明1047の組成物。
[本発明1049]
ウイルス感染症を処置するのに使用するための、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のII型形態を含む組成物。
[本発明1050]
ウイルス感染症を処置するための医薬の製造における、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のII型形態を含む組成物の使用。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであろう。
化合物1のII型の試料(試料1)のXRPD散乱。 Cu-Kα線を用いて収集したXRPDに関する化合物1のII型(試料1)の指数付け結果を示す。 Cu-Kα線を用いて収集したXRPDに関する化合物1のH型の指数付け結果を示す。 化合物1のII型(試料1)のDSCサーモグラムを示す。 化合物1のII型の粒子粒度分布を示し、体積加重平均は25.663とする。 化合物1のII型(試料1)の1H NMRスペクトルを示す。 化合物1のII型の試料(試料2)のXRPD散乱を示す。 化合物1のII型(試料2)のDSCサーモグラムを示す。 化合物1のI型、II型(試料1)、およびH型のXRPDパターンの比較を示す。 化合物1の薬品試料(錠剤1(上側プロット)および錠剤2(下側プロット))のXRPDオーバーレイを示す。 化合物1の薬品試料ならびにII型、I型(錠剤1)、およびH型のXRPDオーバーレイを示す。 化合物1のII型(試料1)のメタノール中での溶解度曲線およびMSZを示す。 II型の錠剤1のXRPDを示す。 II型の錠剤2のXRPDを示す。 II型の錠剤1のDSCサーモグラムを示す。吸熱は約90、93、および165℃で示される。 II型の錠剤2のDSCサーモグラムを示す。吸熱は約89、94、および165℃で示される。 H型の熱分析(DSCサーモグラム)を示す。 ピークシフトを伴う化合物1のH型の2つの試料のXRPDオーバーレイ(約15〜30 2θ)を示す。 メタノールからの再結晶および急冷により生成される化合物1のII型の試料(十字形)、ならびにシード添加および徐冷により生成される試料3(円形)および4(三角形)の粒径分布オーバーレイの比較を示す。 化合物1のII型の試料(試料3)のXRPD散乱を示す。 化合物1のII型の試料(試料3)の第2のXRPD散乱を示す。 化合物1のII型(試料3)のDSCサーモグラムを示す。 化合物1のII型(試料3)の近接DSCサーモグラムを示す。 化合物1のII型(試料3)の別のDSCサーモグラムを示す。 化合物1のII型(試料3)、化合物1のII型(試料1)、および化合物1のH型のXRPDオーバーレイの比較を示す。 化合物1のII型(試料3)、化合物1のII型、および化合物1のH型のDSCサーモグラムオーバーレイの比較を示す。 2回の急冷メタノール再結晶後の化合物1のクロマトグラムを示す。クロマトグラムは、化合物1が98.5%の純度であることを示す。 型の制御を伴う3回の徐冷メタノール再結晶後の化合物1のII型のクロマトグラムを示す。クロマトグラムは、化合物1が99.5%の純度であることを示す。 1回のヘプタン/メタノール再結晶に続く、型の制御のための1回のメタノール徐冷再結晶の後の化合物1のII型のクロマトグラムを示す。クロマトグラムは、化合物1が100%の純度であることを示す。 1回のヘプタン/メタノール再結晶に続く3回のメタノール再結晶の後の化合物1のII型のクロマトグラムを示す。クロマトグラムは、化合物1が100%の純度であることを示す。
発明の詳細な説明
化合物を薬学目的で使用する場合、化合物の固形(例えば結晶状態)が重要でありうる。非晶質固体との比較でいえば、結晶性化合物の固体物性は固形ごとに変化することがあり、このことは薬学用途でのその適合性に影響を与えることがある。さらに、結晶性化合物の異なる固形は、異なる種類および/または異なる量の不純物を包含しうる。また、化合物の異なる固形は、ある期間にわたる熱、光、および/もしくは水分(例えば大気水分)に対する曝露時の異なる化学安定性、または異なる溶解速度を示しうる。吸湿性ではなく、かつ原薬および薬品の開発における使用において改善された化学安定性を示す、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(「化合物1」)の固体結晶形が依然として求められている。
物質が2つ以上の結晶形で存在する能力は多形性として定義され、特定の物質の異なる結晶形は互いの「多形」と呼ばれる。一般に、多形性は、ある物質(またはその塩もしくは水和物)の分子がその立体配座を変化させるかまたは異なる分子間もしくは分子内相互作用(例えば異なる水素結合配置)を形成する能力に影響され、これは異なる多形の結晶格子中の異なる原子配置に反映される。対照的に、物質の全体的外形は「形態(morphology)」として知られており、形態は、存在する結晶および平面の外形を意味し、内部構造を意味しない。特定の結晶多形は、異なる条件、例えば成長速度、攪拌、および不純物の存在に基づいて異なる形態(morphology)を示しうる。
物質の異なる多形は、異なる結晶格子エネルギーを有することがあり、したがって、固体状態では、異なる型、密度、融点、色、安定性、溶解度、溶解速度などの物性を示すことがあり、これらの物性は、所与の多形の安定性、溶解速度、および/またはバイオアベイラビリティ、ならびに薬剤としてのおよび薬学的組成物中での用途でのその適合性に影響を与えることがある。例えばPolymorphism in Pharmaceutical Solids, 2nd Ed., Drugs and the Pharmaceutical Sciences (2009), Informa Healthcare USA, Inc., New York, NY, Chapter 3, page 52, Introduction and Chapter 4, page 77, first full paragraph and page 87, first full paragraphおよびCaira M. R., Crystalline Polymorphism of Organic Compoundsを参照。
米国特許第8,569,321号では、A型と命名された化合物1の結晶性の物理形が開示されている。本発明は、安定な多形である化合物1の新規多形型、およびその調製のための方法を含む。
化合物1は、メタノールからの急冷結晶化プロセスを利用して約100kg規模で生成された。シード添加なしでのII型の生成方法は、急冷メタノール再結晶を包含するものであり、これにより、本方法がシード添加工程および徐冷工程を含む場合のII型の粒径に比べて小さな粒径が得られる。
本開示は(i) 形態型の間の固形および粒子の差を評価するための、化合物1の選択された形態型の特性評価、(ii) 異なる結晶形を生成する化合物1の傾向を評価するための、プロセス溶媒に重点を置いた固形スクリーニング、ならびに(iii) 制御性および再現可能性がより高い、改善された結晶化プロセスに関する。
本開示は、置換ホスホン酸エステルの合成方法を提供する。特定の局面では、本発明は、式Iの構造を有する化合物、またはその鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、もしくは混合物の調製のための方法を提供する:
Figure 0006150949
式中、
R1は、非置換もしくは置換C1〜C6アルコキシ-、または非置換もしくは置換C1〜C30アルコキシ-C1〜C6-アルコキシ-である。
別の態様では、R1はC10〜C30アルコキシ-C2〜C4-アルコキシ-である。
別の態様では、R1はヘキサデシルオキシプロピルオキシ-である。
化合物1の新規結晶形が本明細書において提供される。
一態様では、本開示は、式IIの構造を有する化合物、または鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、もしくはその混合物、あるいは薬学的に許容されるそれらの塩の調製のための方法を提供する。
Figure 0006150949
一態様では、本開示は、式IIIの構造を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩の調製のための方法を提供する。
Figure 0006150949
I型、II型、およびH型形態
化合物1のI型、II型、およびH型多形(本明細書においてはそれぞれ「多形I」、「多形II」、および「多形H」とも呼ばれる)が本明細書に記載されている。
化合物1のII型は、薬学的製剤の調製において有用な高結晶性の型で生成することができ、薬物化合物の一般的取扱い、操作、および貯蔵を改善する。一態様では、式IIまたはIIIを有する化合物のII型の結晶形は、「多形II」、「II型形態」、または「II型」と呼ばれる型である(「多形」、「形態型」、または「型」は本開示を通じて互換的に使用される)。本明細書に記載のように、多形IIまたはII型は、新たな薬理学的性質を得るために利用可能でかつ原薬および薬品の開発において利用可能な物性を示す。
多形II(または「II型形態」もしくは「II型」)は、その遊離酸型に関連しかつ他の多形に関連するいくつかの有利な物性を有する。II型は、式IIまたはIIIの化合物の他の多形(例えばI型および/またはH型)に比べて低い吸湿性を有する。II型は、化合物1の別の形態型(例えばI型および/またはH型)に比べて低い吸湿性を有する。薬学的有効成分(API)化合物の多形型は、薬物の製剤化(例えば錠剤化)に適合するには、吸湿性が最小限であることが一般に必要である。また、湿度が変動する設定で貯蔵される際に薬物形態の溶解速度(および他の物理化学的性質)が変化する可能性があることから、高吸湿性の薬物形態は不安定である可能性がある。また、吸湿性の活性物質を含む薬学的組成物を調製する際にその剤の真の重量を測定することが困難である場合があるため、吸湿性は化合物の大規模な取扱いおよび製造に影響を与えうる。例えば、大規模な錠剤化または他の医薬製剤の調製においては、高吸湿性化合物は、バッチ製造の不確実性を生じさせることで臨床上および処方上の困難を生じさせることがある。II型は、式IIまたはIIIの化合物の他の多形(例えばI型および/またはH型)に比べて低い吸湿性を有しうる。したがって、II型形態は、実質的なまたはいかなる有害な製剤の変化なしに、相当の期間または条件(例えば低相対湿度条件)において貯蔵される。
一態様では、本開示は、化合物1のII型形態を提供する。本開示は、無水のII型形態を提供する。
いくつかの態様では、化合物1は不純物を実質的に含まない。いくつかの態様では、化合物1または薬学的に許容されるその塩の純度は92%以上(例えば≧92%、≧93%、≧94%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、または≧99.5%)である。さらに他の態様では、化合物1または薬学的に許容されるその塩は純度91%以上(例えば≧91%、≧92%、≧93%、≧94%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、>99%、または>99.5%)を有する。一態様では、化合物1または薬学的に許容されるその塩の純度は約99%である。一態様では、化合物1の多形は水和物である。別の態様では、化合物1の多形は水和物ではない。さらに別の態様では、該化合物は溶媒和物、例えばメタノール溶媒和物、エタノール溶媒和物、またはイソプロパノール溶媒和物である。
いくつかの態様では、式I、II、および/もしくはIIIの化合物(または薬学的に許容されるその塩)の純度は92%以上(例えば≧92%、≧93%、≧94%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、または≧99.5%)である。他の態様では、該化合物はII型または薬学的に許容されるその塩である。さらに他の態様では、化合物1はII型であり、純度91%以上(例えば≧91%、≧92%、≧93%、≧94%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、>99%、または>99.5%)を有する。一態様では、式I、II、および/もしくはIIIの化合物(または薬学的に許容されるその塩)の純度は約99%である。一態様では、式I、II、もしくはIIIの化合物(または薬学的に許容されるその塩)は、本明細書に記載の好適な再結晶溶媒から粗化合物を再結晶化することで得られる。
本開示は、温度およびメタノール:水比を変動させることで化合物1または薬学的に許容されるその塩を合成することを提供する。本開示は、温度およびメタノール:水比を変動させることで式IIもしくはIIIの化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)を合成することを提供する。代替の温度およびメタノール:水比で、水和形(例えばH型)、または水和形(例えばH型)と無水形(例えばII型)との混合物が形成される。
いくつかの態様では、結晶化プロセス中に、式IIおよび/もしくはIIIの化合物の無水形(例えばII型)(または薬学的に許容されるその塩)が、異なるメタノール-水濃度にスラリーを設定することで得られる。一態様では、周囲温度以下のスラリー(すなわち周囲温度で調製されるスラリー)から、約98:2または99:1のメタノール:水比によって無水の形態型(例えばII型)が回収される。対照的に、別の態様では、約97:3以上のメタノール:水比によって、水和の形態型(例えばH型)がII型との混合物として、またはH型の純粋な形態として回収される。本開示は、式IIもしくはIIIの化合物の無水形(例えばII型)(または薬学的に許容されるその塩)を合成するには、水濃度約1〜3%以下が必要であると規定する。そのような態様の含水量は、メタノール中の含水量に応じて変動するものであり、式IIもしくはIIIの化合物の無水形(例えばII型)(または薬学的に許容されるその塩)を合成するためには約1〜3%超とする。
別の態様では、室温でのスラリーから、式IIもしくはIIIの化合物の無水の形態型(例えばII型)(または薬学的に許容されるその塩)が、スラリー中5%以下(例えば≦5〜4.9%、≦4.9〜4.8%、≦4.8〜4.7%、≦4.7〜4.6%、≦4.6〜4.5%、≦4.5〜4.4%、≦4.4〜4.3%、≦4.3〜4.2%、≦4.2〜4.1%、4.1〜4.0%、≦4.0〜3.0%、または≦3.0〜2.0%)の水の存在下で得られる。一態様では、室温でのスラリーから式IIもしくはIIIの化合物の無水の形態型(例えばII型)(または薬学的に許容されるその塩)を得るために決定的に重要な水濃度は5%以下である。
さらに別の態様では、室温よりも高い温度(例えば30℃以上)でのスラリーから、式IIまたはIIIの化合物の無水の形態型(例えばII型)が、スラリー中10%以下(例えば≦10〜9%、≦9〜8%、≦8〜7%、≦7〜6%、≦6〜5%、≦5〜4%、≦4〜3%、または≦3〜2%)の水の存在下で得られる。一態様では、約45℃でのスラリーから式IIもしくはIIIの化合物の無水の形態型(例えばII型)(または薬学的に許容されるその塩)を得るために決定的に重要な水濃度は10%以下である。
いくつかの態様では、式IIもしくはIIIの化合物のII型形態(または薬学的に許容されるその塩)を含む組成物は、I型および/またはH型を実質的に含まない。例えば、本開示のII型形態を含む組成物は、10%以下のI型および/またはH型を含む。いくつかの態様では、II型の組成物は、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、0.1%以下、0.05%以下、0.01%以下、または0.001%以下のI型および/またはH型を含む。
いくつかの態様では、本開示のII型形態を含む組成物は、相対湿度(RH)40%以上で貯蔵される場合、水和形(例えばH型)に変換される。いくつかの態様では、本開示のII型形態を含む組成物は、相対湿度40%以上で数日間貯蔵される場合、H型形態に部分変換される。いくつかの態様では、II型形態を含む組成物は、約43相対湿度(RH)%に約12日間曝露された後で水和形(例えばH型)に部分変換される。本開示のII型形態を含む組成物の完全変換は、5〜20日(例えば5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日)にわたる約80相対湿度%以上、約81相対湿度%以上、約82相対湿度%以上、約83相対湿度%以上、約84相対湿度%以上、約85相対湿度%以上、約86相対湿度%以上、約87相対湿度%以上、約88相対湿度%以上、約89%相対湿度%以上で生じる。
本開示は、約12日間の約43〜約85相対湿度%での異なる相対湿度負荷条件に対するII型の曝露によって、II型からH型への微量の変換が生じると規定する。一態様では、約85相対湿度%で、II型からH型への完全変換が生じる。表1参照。本開示は、比較的高い湿度に対するII型の曝露が、水和形への変換に十分であると規定する。
(表1)II型からH型への変換
Figure 0006150949
a実験用スラリーをII型(化合物1(化合物1))を用いて調製し、これに少量のH型をシード添加した。試料を7〜9日間攪拌した。
溶解度
本開示は、メタノール中での低い溶解度を示すII型形態を提供する。溶解度は、溶解完了を実現するために必要な溶媒の総量に基づいて推定することができる。溶媒の漸増添加および材料の溶解反応速度が理由で、実際の溶解度は計算値よりも大きいことがある。溶解度は、溶解が実験中に生じなかった場合は「〜未満」、溶解が第1のアリコートの添加後に生じた場合には「〜超」として表される。
(表2)溶解度の定義
Figure 0006150949
いくつかの態様では、本開示のII型形態を含む組成物は、1:1のメタノール:水比において室温で約5mg/mL以下(例えば≦5〜4mg/mL、≦4〜3mg/mL、≦3〜2mg/mL、≦2〜1mg/mL、または≦1〜0.01mg/mL)の溶解度である。一態様では、本開示のII型形態を含む組成物は、1:1のメタノール:水比において室温で約3mg/mL未満の溶解度である。いくつかの態様では、本開示のII型形態を含む組成物は、1:1のメタノール:水比において室温を超える温度(例えば30℃以上)で約15mg/mL以下(例えば≦15〜14mg/mL、≦14〜13mg/mL、≦13〜12mg/mL、≦12〜11mg/mL、≦11〜10mg/mL、≦10〜9mg/mL、≦9〜8g/mL、≦8〜7mg/mL、7〜6mg/mL、または6〜5mg/mL)の溶解度である。一態様では、本開示のII型形態を含む組成物は、約63℃で約14mg/mL未満の溶解度である。
(表3)II型の推定溶解度
Figure 0006150949
a溶解度は、溶液を得るために使用した総溶媒に基づいて推定した。実際の溶解度は、利用した溶媒部分の量、または遅い溶解速度が理由で、より大きいことがある。溶解度は最も近いmg/mLに丸められる。
(表4)II型のメタノール溶解度および準安定域(MSZ)*データ
Figure 0006150949
a - Crystal16(商標)中の非GMP実験物質を出発原料として使用した。
b - 冷却速度0.5℃/分により測定。
c - 冷却速度0.03℃/分により測定。
*既に言及した溶液をさらに冷却する場合、準安定域を規定する特定の地点での核生成によって新たな固相が形成される。
多形性化合物1の粒径
別の態様では、粒径分析および走査型電子顕微鏡法(SEM)画像によって、異なる結晶化条件下で形成された結晶の粒子特性および特性変動が示される。
本開示は、結晶単位格子の寸法および充填率がI型およびH型の内部構造と異なる、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)の内部構造を提供する。本開示はまた、式IIもしくはIIIの単結晶形(例えばII型)(または薬学的に許容されるその塩)を提供する。本開示のII型は、XRPD指数付け、独自のDSC特性、他と異なる粒径および形態、ならびにメタノール中での比較的低い溶解度によって特徴づけられる。
一態様では、II型は大きな凝集物をより小さな板状粒子と共に形成する。SEMは、本開示のI型が最大の凝集物(>500μm)を有しており、表面が他の2つのロットに比べて著しく平滑なようであったことを示す。一態様では、粒子は、凝結された凝集物を含まず、より大きな薄い板状の粒子で構成される。得られた結晶粒子は、約6〜10μmでの小さな粒子のモードおよび約60〜160μmでのより大きなモードを伴う双峰分布を有する。一態様では、試料は、より微細な粒子のテールを伴う約90μmでの単一のモードを有する。別の態様では、試料は大きなd90(試料の90%がそれよりも小さい粒径)を有し、これはSEM画像からの観察と一致している。
本開示は、結晶化用の出発原料、メタノール再結晶材料、および再結晶バッチ約45kgからの共粉砕材料の粒径を提供する。出発原料は、比較的小さな板状物で構成される凝集物(約100μm)を有する。本開示のメタノール再結晶形は、比較的大きな一次粒子、凝結のない何らかの凝集、および単一の粒径モードを有する。共粉砕試料は、メタノール再結晶バッチと類似のものであるが、それよりもわずかに小さな粒径分布を示す。これは、粉砕工程中にごく軽微な粒子摩損が生じたことを示唆している。
(表5)化合物1のII型の試料1、3および4の粒径分布
Figure 0006150949
a. 粒子の総量の10%が、指示されるμm単位のサイズ以下の粒子で構成される。
b. 粒子の総量の50%が、指示されるμm単位のサイズ以下の粒子で構成される。
c. 粒子の総量の90%が、指示されるμm単位のサイズ以下の粒子で構成される。
いくつかの態様は、異なるサイズおよび型の粒子および凝集物を提供する。粒子および凝集物のサイズおよび型は、シード添加の割合に応じて変動する。一態様では、0.5%の化合物1がシード添加された結晶化プロセスにより合成される粒子および凝集物は、3%の化合物1がシード添加された結晶化プロセスにより合成される粒子および凝集物と異なる。図22および図23を比較されたい。これらの態様の粒径分析は、結晶成長に利用可能な粒子数がより多い/表面積がより大きいことから、3%シード添加試料が0.5%シード添加試料に比べて小さなd10値(試料の10%がそれよりも小さい粒径)、d50値(試料の50%がそれよりも小さい粒径)、およびd90値(試料の90%がそれよりも小さい粒径)を有すると規定する。水和物、例えばH型を出発原料として使用して結晶化した試料、または結晶化中に過剰の水を含んだ試料は、比較的低い凝集度を有する試料を生じさせるようである。含水量をより高くすることで、溶解度または誘導時間が変化し、二次核生成および凝集が回避される。
X線回折
特定の態様では、式IIまたはIIIを有する化合物のI型、II型、およびH型は、X線粉末回折解析におけるそれぞれの特有のピークに基づいて同定可能である。XRPDパターンとも呼ばれるX線粉末回折パターンは、結晶の構造に関する情報を生じさせる回折パターンを生成する、結晶原子によるX線の散乱を包含する科学的技術である。結晶の内部構造はX線回折解析によって入手可能である。多形は、異なる構造、物性、および化学的性質に基づいて異なる結晶形を示す。
準安定域幅(MSZW)は、系の核生成挙動を明らかにすることから、結晶化プロセスにおける決定的に重要なパラメータとなる。MSZWは、核生成速度によって制限されるパラメータであり、プロセス条件に高度に依存する。多くの要因、例えば冷却速度、攪拌や、異物粒子および不純物の存在がMSZW値に影響しうる。攪拌速度が増加するに従ってMSZWは減少し、MSZWはN>400rpmで広くなり、冷却速度が上昇するに従ってMSZWは広くなる。一態様では、II型およびI型の両方において、急速な冷却速度約0.5℃/分と非常に遅い冷却速度約0.03℃/分との間で準安定域の大きな差が観察される。別の態様では、比較的高い濃度(例えば約100mg/mL)で狭い準安定冷却速度が観察される。
本開示は、多形であるI型および/またはH型に比べて低いメタノール中での溶解度を生じさせるMSZWを示す、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型形態(または薬学的に許容されるその塩)を提供する。II型のメタノール中の溶解度が本開示のI型に比べて低いことは、II型がI型に比べて安定な型であることと符合している。
本開示の結晶化は、所望の最終生成物サイズを実現するための「シード添加」を包含する。また、シード添加は、好ましい形態型を得る能力、望ましい結晶形態(crystal morphology)を得る能力、および多形または擬多形を得る能力を与える。本開示のいくつかの態様では、結晶化プロセスは、式IIもしくはIIIを有する化合物のI型、II型、もしくはH型(または薬学的に許容されるその塩)のシード添加を包含する。本開示は、結晶化プロセス中のII型のシード添加を提供する。
本開示の一態様は、約2.81および約5.63°2θでの顕著なピークを含むX線回折パターンを有する多形性の結晶形(例えばII型)を提供する。一態様では、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型形態を含む組成物は、図1または図20に記載のものと実質的に同様のX線回折パターン、図2に記載のものと実質的に同様の指数付け、および図4に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを特徴とする。
本開示は、式IIもしくはIIIを有する化合物の結晶形(例えばII型)の再結晶を提供する(表5)。本開示の一態様では、XRPDパターンから明らかなように、主に結晶形IIの単一の相が与えられる。一態様では、試料の1H NMR分光測定は、単離された結晶形IIの化学構造としての式IIまたはIIIを示す(図6)。
特定の態様では、II型は、2.81、5.63、19.00、19.57、22.76、および24.70±0.2における°2θで表される2個〜7個の特有のピークを有するX線粉末回折パターン、または図1もしくは図20に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンと、図2に記載のものと実質的に同様の指数付けと、図4に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムとを示す。一態様では、II型のXRPDピークは表6に記載のものと実質的に同様である。
(表6)II型の観察された顕著なピーク
Figure 0006150949
Figure 0006150949
当業者は、何らかの変動が2-シータ(2θ)測定に付随することを認識する。通常、2θ値は±0.1〜±0.2で変動しうる。当業者は、そのような値の変動が低2θ値で最も大きく、高2θ値で最も小さいことを認識する。当業者は、2θ値が多少変動するものの、異なる機器によって実質的に同じXRPDパターンを得ることができることを認識する。さらに、当業者は、個々に収集されたXRPDパターンのXRPDの2θ値がわずかに変動するものの、同じ機器によって、同じまたは異なる試料について実質的に同じXRPDパターンを得ることができることを認識する。そのようなわずかな変動は、例えば試料調製技術、異なる使用機器、機器ドリフト、および他の実験上の要因によって引き起こされうる。
また、回折ピークリストは、2θおよび絶対強度よりもむしろ、dhkl(観察されたピーク位置°2θはブラッグ則dhkl=λ/2sinθを使用してdhkl値に変換することができ、回折ピークのミラー指数(hkl)は公表された基準パターンから決定され、また、基準パターン同定(hkl)が利用不可能な場合、(hkl)を決定するためにパターンの「指数付け」が必要になる)および相対強度を使用して報告することができる。2θとしてのピーク位置は、波長などの機器特性に依存する。dhklとしてのピーク位置は、機器とは無関係な材料固有の性質である。絶対強度、すなわち、所与のピーク中に観察されるX線の数は、機器パラメータおよび実験パラメータによって変動しうる。相対強度を計算するために、各ピークの絶対強度を最も強いピークの絶対強度で割った後、パーセントに変換する。したがって、相の最も強いピークは「100%ピーク」と呼ばれる。ピーク面積は、信頼できる強度の尺度である。
当業者はまた、同じ試料のXRPDパターン(同じまたは異なる機器上で取得)が異なる2θ値においてピーク強度の変動を示しうることを認識する。当業者はまた、同じ多形の異なる試料のXRPDパターン(同じまたは異なる機器上で取得)も異なる2θ値においてピーク強度の変動を示しうることを認識する。XRPDパターンは、対応する2θ信号のピーク強度が変動するものの、実質的に同じパターンでありうる。
一態様では、II型は、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61における°2θ(±0.2)で表される2個以上(例えば3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、もしくは10個以上)の特有のピークを有するX線粉末回折パターン、または図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンと、図2に記載のものと実質的に同様の指数付けと、図4に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムとを示す。
別の態様では、II型は、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61における°2θ(±0.2)で表される3個以上の特有のピークを有するX線粉末回折パターン、または図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンと、図2に記載のものと実質的に同様の指数付けと、図4に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムとを示す。
別の態様では、II型は、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61における°2θ(±0.2)で表される4個以上の特有のピークを有するX線粉末回折パターン、または図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンと、図2に記載のものと実質的に同様の指数付けと、図4に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムとを示す。別の態様では、II型は、2.81、5.63、19.00、19.57、22.76、および24.70における°2θ(±0.2)で表される特有のピークを有するX線粉末回折パターン、または図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンと、図2に記載のものと実質的に同様の指数付けと、図4、図15、図16、もしくは図22〜24に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムとを示す。
特定の態様では、II型は、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61からなる群より選択される°2θ(±0.2)で表される少なくとも8個の特有のピークを有するX線粉末回折パターン、または図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンと、図2に記載のものと実質的に同様の指数付けと、図4、図15、もしくは図16に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムとを示す。
別の態様では、II型は、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61からなる群より選択される°2θ(±0.2)で表される少なくとも9個の特有のピークを有するX線粉末回折パターン、または図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンと、図2に記載のものと実質的に同様の指数付けと、図4、図15、図16、もしくは図22〜24に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムとを示す。
1つまたは複数の態様では、II型の化合物を含む組成物は、H型に特有のXRPDピーク(例えば約12.6°2θにおける)および/またはI型に特有のXRPDピーク(例えば約15.6°2θにおける)を欠く。
XRPD指数付け
XRPDパターンを、X-Pert High Score Plus (v.2.2.1)を使用して指数付けする。指数付けおよび構造精密化に関する計算的試験を行った。許容されたピーク位置と観察されたピークとの一致は、矛盾のない単位格子の決定を示す。パターンの指数付けの成功は、試料が主に単一の結晶相で構成されていたことを示す。割り当てられた消光記号、単位格子パラメータ、および導出された量と一致する、空間群を各図面において表にすることで、各型の指数付けの解を示す。仮の指数付けの解を確認するために、結晶単位格子内の分子充填モチーフを決定する。
XRPDピーク同定
大部分の状況下では、約30°2θまでの範囲内のピークを選択する。データおよび/または固有のピーク分解能を収集するために使用する機器に応じて、各ピークを最も近い0.1°または0.01°2θに丸めるために丸めアルゴリズムを使用する。d間隔リスト作成において、d間隔を計算するために使用した波長は、Cu-Kα1およびCu-Kα2波長の加重平均である1.541874Åとした。
d間隔推定値に関連する変動可能性を、各d間隔においてUSPの推奨により計算し、各データ表に示す。USPガイドラインによれば、変動可能性のある水和物および溶媒和物は0.2°2θを超えるピーク分散を示すことがあり、したがって、0.2°2θのピーク分散はこれらの材料に当てはまらなかった。1つのXRPDパターンしか有さず、かつ、試料が粉末平均の良い近似値を示すか否かを評価する他の手段がない、試料に関しては、ピーク表は、「顕著なピーク」としてのみ同定されたデータを含む。これらのピークは、観察されたピークのリスト全体のサブセットである。高い強度を有する好ましくは非重複の低角度ピークを同定することで、観察されたピークから顕著なピークを選択した。
示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
II型は、DSC、指数付け、SEM、および/または粒径分布に基づいて同定することもできる。本開示のいくつかの態様では、II型は、示差走査熱量測定サーモグラムにおいて観察される特有のピークに基づいて同定可能である。示差走査熱量測定またはDSCは、試料および基準物質の温度を増加させるために必要な熱の量が温度の関数として測定される、熱分析技術である。一態様では、II型は、約43℃(最大ピーク)での特有の副吸熱、続いて約90および約95℃(最大ピーク)での重複する主吸熱を示した、示差走査熱量測定サーモグラムを示す。約196℃での開始を示す最終吸熱が観察された。別の態様では、II型は、実質的に図4と一致する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
本発明の別の態様では、相対湿度を5.0%から95.0%に増加させる際に1.5%未満の重量増を経る化合物1の固形として特徴づけられるII型が、本明細書において提供される。
一態様では、式IIまたはIIIのII型の結晶形は、徐冷プロファイルを使用しかつ攪拌を使用しないメタノール結晶化により調製される。徐冷プロファイルを使用しかつ攪拌を使用せずに調製されるII型のDSCサーモグラムは、約41℃での副吸熱、約90および約95℃(最大ピーク)での重複する吸熱、ならびに約200℃での開始を示す最終吸熱を示す。
本開示はまた、結晶化中に水を含む方法により得られる水和H型形態を提供する。水和H型形態は、約41℃(最大ピーク)での副吸熱、約70℃および約103℃(最大ピーク)での主吸熱、ならびに約193℃での最終吸熱を示すというDSC特性を有する。水和H型形態のTGAは、約25℃から約100℃までの約0.93%の重量減である。
走査型電子顕微鏡法(SEM)
本開示は、開示される方法によって合成される結晶のSEMによる分析を提供する。SEM用試料を、アルミニウム台に支持された炭素粘着タブ上に少量を置くことで用意する。次に、各試料に、Cressington 108auto Sputter Coaterを約20mAおよび0.13mbar(Ar)で使用してAu/Pdをスパッタコーティングする。各試料をビーム電圧5.0kVを使用して高真空下で観察する。
いくつかの態様では、SEMを、Everhart Thornley(ET)検出器を備えたFEI Quanta 200走査型電子顕微鏡を使用して行う。画像をそれぞれxTm(v. 2.01)およびXT Docu(v. 3.2)ソフトウェアを使用して収集および解析する。倍率はNIST追跡可能な標準物質を使用して確認する。試料を、アルミニウム台に支持された炭素粘着タブ上に少量を置くことで、分析用に用意する。次に試料に、Cressington 108auto Sputter Coaterを約20mAおよび0.13mbar(Ar)で75秒間使用してAu/Pdを2回スパッタコーティングする(図26〜図32)。
(表7)II型形態の特性
Figure 0006150949
純度
特定の態様では、II型の試料は不純物を含有する。不純物の非限定的な例としては非晶形、他の形態型(例えば、H、I、およびIII)、あるいは、関連不純物(例えばII型もしくはその断片を作製するために使用される中間体)、溶媒、水、または塩などの残留有機分子および無機分子が挙げられる。一態様では、II型の試料は不純物を実質的に含まず、すなわち、有意な量の不純物は存在しない。別の態様では、II型の試料は10重量%未満の総不純物を含有する。別の態様では、II型の試料は5重量%未満の総不純物を含有する。別の態様では、II型の試料は1重量%未満の総不純物を含有する。別の態様では、II型の試料は0.1重量%未満の総不純物を含有する。
本開示は、無水形がそれ未満で安定な型である限界水分濃度を決定することで、結晶化プロセス中に無水形(例えばII型)が水和形(例えばH型)の形成なしに生成されると規定する。限界水分濃度は、スラリー中のメタノール-水濃度を変動させることで決定される。
一態様では、周囲温度以下のスラリー中にて、メタノール:水99:1でII型が回収された。別の態様では、メタノール:水97:3以上の濃度でH型がスラリーから回収された。これらの態様は、II型を形成するための限界水分濃度が1〜3水分%であると規定する。いくつかの態様では、初期メタノール溶媒中の水は考慮されず、これにより最終水分濃度は1〜3%よりもわずかに高くなる。さらなる態様では、スラリー中のメタノール-水濃度を変動させることによる実験が室温または約45℃で行われる。一態様では、限界水分濃度は室温で5%未満、約45℃で10%未満である。II型およびH型の混合物は、正確な含水量に応じてメタノール中でII型またはH型に変換されることが観察される。本開示は、II型の結晶化中に、限界水分活性が約45℃まで非常に低いままであること、および、最後のメタノール再結晶における含水量が、H型の形成を促進する条件での操作を回避するために制御することが決定的に重要なプロセスパラメータであることを規定する。
特定の態様では、II型の試料は、式IIまたはIIIの非晶質化合物を実質的に含まない結晶性固体である。本明細書において使用される「式IIまたはIIIの非晶質化合物を実質的に含まない」という用語は、化合物が有意な量の式IIまたはIIIの非晶質化合物を含有しないことを意味する。別の態様では、式IIまたはIIIの結晶性化合物の試料は、I型および/またはH型を実質的に含まないII型を含む。本明細書において使用される「I型および/またはH型を実質的に含まない」という用語は、式IIまたはIIIの結晶性化合物の試料が有意な量のI型および/またはH型を含有しないことを意味する。特定の態様では、試料の少なくとも約90重量%がII型であり、わずか10%がI型および/もしくはH型、ならびに/または式IIもしくはIIIの非晶質化合物である。特定の態様では、試料の少なくとも約95重量%がII型であり、わずか5%がI型および/もしくはH型、ならびに/または式IIもしくはIIIの非晶質化合物である。本発明のさらに他の態様では、試料の少なくとも約99重量%がII型であり、わずか1重量%がI型および/もしくはH型、ならびに/または式IIもしくはIIIの非晶質化合物である。本発明のさらに他の態様では、試料の少なくとも約99.5重量%がII型であり、わずか0.5重量%がI型および/もしくはH型、ならびに/または式IIもしくはIIIの非晶質化合物である。本発明のさらに他の態様では、試料の少なくとも約99.9重量%がII型であり、わずか0.1重量%がI型および/もしくはH型、ならびに/または式IIもしくはIIIの非晶質化合物である。
II型は任意の妥当な互変異性体、または妥当な互変異性体の混合物として生じうる。本明細書において使用される「互変異性体」とは、平衡状態で存在しかつ1つの異性体から別の異性体に容易に変換される、2つ以上の構造異性体のうちの1つを意味する。
いくつかの態様では、化合物1(例えば式IIまたは式III)を再結晶化するプロセスによって、不純物をほとんど含まない化合物1が得られる。いくつかの態様では、化合物1は>95%の純度、>96%の純度、>97%の純度、>98%の純度、>99%の純度、>99.5%の純度、>99.9%の純度、または>99.99%の純度である。純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの当技術分野において公知である種々の異なる技術によって測定することができる。例えば、いくつかの好ましい態様では、化合物1をメタノールおよびヘプタンから1回再結晶化した後、メタノールから3回再結晶化し、II型は3回目および最後のメタノール再結晶中にのみシード添加する。
化合物1(例えば化合物1のII型)の再結晶プロトコールは化合物1の相対純度に影響を与えうる。例えば、図27は、2回の急冷メタノール再結晶後の化合物1のCAD(帯電エアロゾル検出)クロマトグラムを示す。例えば、図27に示すように、化合物1は98.5%の純度である。
図28は、メタノール中での3回の徐冷再結晶後の化合物1のCADクロマトグラムを示す。図28に示すように、化合物1は99.5%の純度である。
図29は、ヘプタン/メタノール中での1回の再結晶に続く、メタノール中での1回の徐冷再結晶後の化合物1のCADクロマトグラムを示す。図29に示すように、該化合物は100%の純度である。
図30は、ヘプタン/メタノールからの1回の再結晶に続くメタノールからの3回の再結晶を含む好ましい態様の後の化合物1のCADクロマトグラムを示す。図30に示すように、化合物1の純度は100%である。この再結晶プロセスは、実施例3でさらに詳細に説明するが、好ましい精製プロトコールである。
したがって、いくつかの好ましい態様では、化合物1を精製するプロセスは5つの別個の再結晶手順、すなわち、シード添加なしの3回のメタノール再結晶、1回のn-ヘプタン/メタノール再結晶、およびシード添加ありの1回のメタノール再結晶を含む。いくつかの態様では、最初の3回のメタノール再結晶によって、残留量の以下の化合物(すなわち化合物AおよびB)などの不純物が除去される。
Figure 0006150949
いくつかの態様では、化合物1を含む組成物から上記化合物を他の手段(例えばクロマトグラフィー)によって除去することは実質的に困難でありうる。したがって、いくつかの態様では、上記不純物を除去するための最初の再結晶手順としてメタノールからの少なくとも1回の再結晶を行うことが有利である。
n-ヘプタンおよびメタノールを使用する再結晶によって、CADによって検出可能でかつ図27および図28に示される不純物が除去される。いくつかの態様では、CADによって検出可能な不純物は例えば以下の化合物(すなわち化合物CおよびD)でありうる。
Figure 0006150949
したがって、上記再結晶が実行されない、いくつかの態様では、上記に示す化合物が、化合物1を含む組成物に存在する。任意の組み合わせでの上記化合物が少量(例えば<2重量%または<1重量%)で存在しうる。
いくつかの態様では、本発明は、II型および様々な他の形態型を含む組成物を含む。他の形態型としてはI型およびH型を挙げることができる。いくつかの態様では、該組成物は>90%のII型を含む。いくつかの態様では、該組成物は>95%のII型を含む。いくつかの態様では、該組成物は>99%のII型を含む。あるいは、いくつかの態様では、該組成物は<10%のI型および/またはH型を含む。いくつかの態様では、該組成物は<5%のI型および/またはH型を含む。いくつかの態様では、該組成物は<1%のI型および/またはH型を含む。
いくつかの態様では、本発明は、化合物1および他の不純物を含む組成物を含む。いくつかの態様では、不純物は化合物A〜Dより選択される。いくつかの態様では、本発明は、>90%の化合物1を含む組成物を含む。いくつかの態様では、本発明は、>95%の化合物1を含む組成物を含む。いくつかの態様では、本発明は、>99%の化合物1を含む組成物を含む。いくつかの態様で、本発明は、化合物A〜Dより選択される<10%の不純物を含む組成物を含む。いくつかの態様で、本発明は、化合物A〜Dより選択される<5%の不純物を含む組成物を含む。いくつかの態様で、本発明は、化合物A〜Dより選択される<1%の不純物を含む組成物を含む。
共結晶
本開示は、式IIまたはIIIのII型の共結晶を提供する。本開示の共結晶は、式IIまたはIIIの薬学的に許容される塩、溶媒和物(化学量論的もしくは非化学量論的量の溶媒を包含する結晶構造)、水和物(化学量論的もしくは非化学量論的量の水を包含する結晶構造)、クラスレート(1つの物質の分子が別の物質の結晶構造に完全に封入されている)、および/または分子複合体(化学量論的量の2種以上の分子を包含する独自の結晶構造)でありうる。
共結晶はクエン酸、フマル酸、ゲンチジン酸、馬尿酸、マレイン酸、L-マンデル酸、オロト酸、シュウ酸、サッカリン、コハク酸、L-酒石酸、トルエンスルホン酸、アンモニア、L-アルギニン、水酸化カルシウム、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、エチレンジアミン、1Hイミダゾール、L-リジン、2-ヒドロキシエチルモルホリン、N-メチル-グルカミン、カリウムメタノレート、亜鉛tert-ブトキシドによって形成可能である。塩/共結晶スクリーニングは、4つの溶媒からの蒸発、続いて4つのさらなる溶媒中での相平衡を含んだ。
II型形態の合成方法
本発明は、式I、II、および/またはIIの化合物の合成のための方法を提供する。本発明はまた、以下のスキームに従いかつ実施例に示される、本発明の様々な開示される化合物の合成のための詳細な方法を提供する。
本明細書を通じて、組成物が特定の成分を有する、包含するまたは含むものとして記載される場合、組成物は列挙される成分から本質的になるかまたはそれからなることもあると想定される。同様に、方法(methods)または方法(processes)が特定の工程を有する、包含する、または含むものとして記載される場合、方法は列挙される工程から本質的になるかまたはそれからなることもある。さらに、本発明が実行可能であり続ける限り、工程の順序または特定の行為を行うための順序は重要でないと理解すべきである。さらに、2つ以上の工程または行為を同時に行ってもよい。
本発明の合成方法は多種多様な官能基を許容しうるものであり、したがって様々な置換出発原料を使用することができる。本方法は一般に、プロセス全体の最後またはその近くで所望の最終化合物を与えるが、特定の場合では、該化合物を薬学的に許容されるその塩、エステル、または誘導体にさらに変換することが望ましいことがある。
スキーム1(工程1、2A、および2B)
ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)の合成
一態様では、本開示は、式IIもしくは式IIIの化合物のII型形態、または薬学的に許容されるその塩を生成する方法を提供する。本方法は、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)の調製物をメタノールから再結晶化する工程を含む精製プロセスを提供する。
本開示は、工程1および2を含む、化合物1のII型形態を合成するための方法を提供する。
スキーム1
Figure 0006150949
工程1
(S)-N1-[(2-ヒドロキシ-3-トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)の合成
Figure 0006150949
シトシンと(S)-トリチルグリシジルエーテル(別名(S)-グリシジルトリチルエーテル; トリチル-(s)-グリシジルエーテル; (S)-トリチルグリシジルエーテル; (S)-(-)-トリチルグリシジルエーテル; (S)-(-)-グリシジルトリチルエーテル; トリフェニルメチルグリシジルエーテル; (S)-2-((トリチルオキシ)メチル)オキシラン; (S)-(-)-グリシジルトリチルエーテル; (S)-グリシジルトリフェニルメチルエーテル; (S)-2-(トリフェニルメトキシメチル)オキシラン)とを好適な有機溶媒(例えばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)またはtert-アミルアルコール)中、金属炭酸塩(例えば炭酸カリウム)などの好適な塩基の存在下、好適な反応温度(例えば約85〜約95℃または約60〜約120℃)で、反応の完了まで約4〜14時間、例えば約8〜10時間接触させることで、(S)-N1-[(2-ヒドロキシ-3-トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)を合成する。一態様では、反応液を温度約85〜約95℃で約9時間加熱することができる。
次に、加熱した反応混合物を冷却する。一態様では、加熱した反応混合物を例えば約50〜75℃または約66〜70℃に冷却し、置換ベンゼン誘導体、例えばトルエンなどの一置換ベンゼン誘導体で反応停止させる。得られたスラリーを例えば0℃未満または0℃近傍の温度に、例えば約-10〜5℃にさらに冷却する。次に、冷却したスラリーを濾過し、置換ベンゼン誘導体、例えばトルエンなどの一置換ベンゼン誘導体で洗浄する。次に、置換ベンゼン誘導体、例えばトルエンなどの一置換ベンゼン誘導体中での洗浄後に得られた固体を、好適な温度、例えば約15〜25℃でスラリーにした後、スラリーを濾過する。次に、冷却したスラリーをケトン、例えばアセトン(プロパノン)などの有機溶媒で洗浄する。
次に固体を好適な温度、例えば約17〜22℃での好適な比の水/アセトン(例えば90.0kg/54.0kg)中でのトリチュレーションによって精製し、濾過し、ケトン、例えばアセトン(プロパノン)などの有機溶媒(例えば約36.0kg)で洗浄する。本態様は、濾過工程後に得られた濾過ケークを次にケトン、例えばアセトン(プロパノン)などの有機溶媒(例えば約178.9kg)に懸濁させ、例えば約35〜45℃で1時間超、例えば約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9または3.0時間以上加熱した後、濾過し、ケトン、例えばアセトン(プロパノン)などの有機溶媒(例えば約36.0kg)で洗浄すると規定する。残留物および/または不純物、例えば残留シトシンおよび/またはプロセス関連不純物を除去するために、洗浄およびトリチュレーションを必要に応じて繰り返す。ケークを約40℃以下で数時間、例えば12時間減圧乾燥させて化合物2約45.0kg(約65.0%)を得る。いくつかの態様では、産物の純度は約99%超である(HPLC(AUC)により測定)。一態様では、生成物の1H-NMRは化合物2の標準構造と一致している。
工程2Aおよび2B
下記式を有するホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)の合成
Figure 0006150949
化合物2と化合物4とを好適な有機溶媒(例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1-メチル-2-ピロリジノン)中、金属アルコキシド(例えばマグネシウムジ-tert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-アミルアルコキシド、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド)、金属水素化物(例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム)、または金属アミド(例えばリチウムビス(トリメチルシリル)アミド)などの好適な塩基の存在下、好適な反応温度(例えば50〜110℃)で、反応完了まで約0.25〜5時間、例えば約2〜4時間接触させることで、式IIまたはIIIの化合物を調製する。粗反応混合物を水性ワークアップに供する。粗生成物を好適な有機溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタンなど)で抽出し、有機溶媒を濃縮して粗化合物3を得る。化合物3を含有する濃縮物をメタノール中で希釈し、再濃縮して残留有機溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタンなど)を除去する。粗化合物3と好適な脱保護剤(例えば塩化水素、塩化アセチル)とを有機溶媒(例えばメタノール)中で反応完了まで1時間以上、例えば1〜6時間接触させる。一態様では、化合物3と好適な脱保護剤(例えば塩化水素、塩化アセチル)とを有機溶媒(例えばメタノール)中で反応完了まで2〜3時間接触させる。粗化合物1を好適な溶媒系(例えばメタノール/アセトン/水、エタノール、メタノール)を使用して再結晶化する。
一態様では、(S)-N1-[(2-ヒドロキシ-3-トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)、P-[[[4-メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]-,モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル,ナトリウム塩(化合物4)、マグネシウムtert-ブトキシド、および極性(親水性)非プロトン性溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)の混合物を好適な温度、例えば約75〜85℃で1時間超、例えば約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0時間以上加熱する。テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、またはジメチルスルホキシドなどの他の極性非プロトン性溶媒も混合物中で使用される。
次に混合物溶液を好適な温度、例えば約25〜35℃に冷却した後、有機溶媒、例えば酢酸イソプロピル(酢酸1-メチルエチル)などのエステルを加える。次に溶液を好適な温度、例えば約15〜25℃にさらに冷却した後、酸溶液、例えばHCl溶液、および塩溶液、例えばNaCl溶液で順次洗浄する。
有機相を減圧蒸留することで有機溶媒、例えば酢酸イソプロピル(酢酸1-メチルエチル)などのエステルを除去して濃縮物を形成する。次に濃縮物をアルコール(例えばメタノール)で希釈し、酢酸イソプロピルをさらに除去することで再濃縮し、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)-2-(トリフェニルメトキシ)エチル]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物3)を含有する混合物を形成する。所望の速度でHClガスを加えることで温度を約-5〜15℃に維持する。反応液を約10〜20℃未満に1時間超、例えば約2時間維持した後、濾過して固体不純物を除去する。次に濾液を水で希釈した後、pHをNaOHで約2.3〜2.7に調整する。固体を濾過し、水で洗浄した後、スラリーをケトン、例えばアセトン(プロパノン)などの有機溶媒中にて約35〜45℃で約1時間かけて調製する。次にスラリーを濾過し、ケトン、例えばアセトン(プロパノン)などの有機溶媒で洗浄する。次に、ケトン、例えばアセトン(プロパノン)などの有機溶媒で洗浄した粗生成物を約40℃以下で数時間、例えば約12時間乾燥させ、アルコール(例えばメタノール)中にて約60〜70℃で加熱する。次に乾燥粗生成物を清澄濾過し、約58〜62℃に冷却し、約1時間攪拌し、最初に約48〜52℃に約6時間、次に約17〜23℃に2時間冷却し、濾過した後、アルコール(例えばメタノール)で洗浄する。洗浄工程、乾燥工程、清澄濾過工程、冷却工程、ならびに最終の濾過工程および洗浄工程を1回または複数回繰り返すことで固体をアルコール(例えばメタノール)に溶解させることができ、その後、試料を例えば約59〜61℃に冷却する。次に冷却生成物を数分、例えば約20分攪拌する。この溶液にホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステルの種晶ストック(例えばI型、II型、またはH型の種晶ストック約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2.0%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、約3.0%、約3.1%、約3.2%、約3.3%、約3.4%、約3.5%、約3.6%、約3.7%、約3.8%、約3.9%、約4.0%、約4.1%、約4.2%、約4.3%、約4.4%、約4.5%、約4.6%、約4.7%、約4.8%、約4.9%、約5.0%、約5.1%、約5.2%、約5.3%、約5.4%、約5.5%、約5.6%、約5.7%、約5.8%、約5.9%、約6.0%、約6.1%、約6.2%、約6.3%、約6.4%、約6.5%、約6.6%、約6.7%、約6.8%、約6.9%、約7.0%、約8.0%、約9.0%、約10.0%、約0.1〜0.2%、約0.2〜0.3%、約0.3〜0.4%、約0.4〜0.5%、約0.5〜0.6%、約0.6〜0.7%、約0.7〜0.8%、約0.8〜0.9%、約0.9〜1.0%、約1.0〜2.0%、約2.0〜3.0%、約3.0〜4.0%、約4.0〜5.0%、約5.0〜6.0%、約6.0〜7.0%、約7.0〜8.0%、約8.0〜9.0%、約9.0〜10.0%、約7.0〜8.0%、約8.0〜9.0%、または約9.0〜10.0%)を加えた後、1時間超、例えば約2時間攪拌し、次に溶液を約数時間、例えば8時間攪拌することで約47℃〜53℃に冷却した後、約1時間超、例えば約2時間攪拌する。種晶を温度約50℃〜65℃(例えば56℃〜61℃)で加える。次に攪拌溶液を約17〜23℃に少なくとも約1時間、例えば約6時間以上かけてさらに冷却し、約2時間さらに攪拌し、濾過し、メタノールで洗浄し、約40℃以下で約24時間乾燥させる。以上によって、本開示の方法は、ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のII型形態の合成を実現する。
いくつかの態様では、II型形態の組成物は、対応する水和物(すなわちH型)を含みうる。いくつかの態様では、II型の組成物は微量(例えば<1.5%、<1%、<0.5%、<0.4%、<0.3%、<0.2%、<0.1%、または0.01%)のH型を有する(例えば、該組成物はH型を実質的に含まない)。例えば、図20に示す化合物1のXRPDパターンは、試料が結晶性材料で構成されていることを示す鋭いピークを示す。パターンはピーク位置に関してII型の試料1と同様であり(例えば図1参照)、このことは、試料がII型で構成されていることを示唆している。しかし、約12.6°2θでのピークは、少量の化合物1のH型の存在が理由でありうる(例えば図3参照)。
いくつかの態様(例えば試料3)では、II型のDSCサーモグラムは、約42℃での最大を有する副吸熱(開始約42℃)、約90℃および約97での最大を有する重複する吸熱(それぞれ開始約89および96℃)、ならびに約202℃での吸熱(開始約201℃)を示しうる(例えば図22〜図24)。サーモグラムは化合物1のII型の試料1と同様である(図4)。しかし、II型の試料3の走査において副吸熱が105℃で観察される(図22〜図24)。これは微量のH型の存在が理由でありうる。
例えば、化合物1のII型の試料3は以下のDSCプロファイルを有する: 小さな鋭い吸熱: 約42℃での最大(開始約42℃); 重複する鋭い吸熱: 約90℃での最大(開始約89℃); 約97℃での最大(開始約96℃); 副吸熱: 約105℃; 鋭い吸熱: 約202℃での最大(開始約201℃)。このプロファイルは、II型、プラス微量のH型の存在が理由でありうるさらなる微量の約105℃での副吸熱と一致している。
本開示は、式IIもしくはIIIを有する化合物の約99重量/重量%超の純度のII型形態、または薬学的に許容されるその塩を提供する。いくつかの態様では、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型形態、または薬学的に許容されるその塩を含む組成物は、約99重量/重量%以下、約98重量/重量%以下、約97重量/重量%以下、約96重量/重量%以下、約95重量/重量%以下、約94重量/重量%以下、約93重量/重量%以下、約92重量/重量%、または約91重量/重量%の純度である。いくつかの態様では、本開示は、式IIもしくはIIIを有する化合物の非水和II型形態、または薬学的に許容されるその塩を提供する。いくつかの態様では、本開示のII型形態を含む組成物は、1:1のメタノール:水比において室温で約5mg/mL以下、約4mg/mL以下、約3mg/mL以下、約2mg/mL以下、または約1mg/mL以下の溶解度であり、室温よりも高い温度、例えば約63℃で約20mg/mL未満、約19mg/mL未満、約18mg/mL未満、約17mg/mL未満、約16mg/mL未満、約15mg/mL未満、約14mg/mL未満、約13mg/mL未満、約12mg/mL未満、約11mg/mL未満、または約10mg/mL未満の溶解度である。いくつかの態様では、本開示のII型形態を含む組成物は、約2.81および約5.63°2θでの顕著なピークを含むX線回折パターンを特徴とする。一態様では、開示される方法によって合成および/または結晶化されるII型形態を含む組成物は、図1に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを特徴とする。さらに別の態様では、開示される方法によって合成および/または結晶化されるII型形態を含む組成物は、図13または図17に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを特徴とする。本開示はまた、開示される方法によって合成および/または結晶化されるII型形態がDSCサーモグラムにおいて約41〜43℃(最大ピーク)での副吸熱、続いて約90および約95℃(最大ピーク)での重複する主吸熱を示すと規定する。一態様では、DSCサーモグラムにおいて、開示される方法によって合成および/または結晶化されるII型形態の最終吸熱は約196℃における開始を示す。
本開示は、約0.1〜10%(例えば約0.1〜0.2%、約0.2〜0.3%、約0.3〜0.4%、約0.4〜0.5%、約0.5〜0.6%、約0.6〜0.7%、約0.7〜0.8%、約0.8〜0.9%、約0.9〜1.0%、約1.0〜2.0%、約2.0〜3.0%、約3.0〜4.0%、約4.0〜5.0%、約5.0〜6.0%、約6.0〜7.0%、約7.0〜8.0%、約8.0〜9.0%、または約9.0〜10.0%)のホスホン酸の種晶をシード添加することによりホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステルの結晶II型形態を合成するための方法を提供する。いくつかの態様は、結晶化プロセスに約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2.0%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%、約2.5% 約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、約3.0%、約3.1%、約3.2%、約3.3%、約3.4%、約3.5%、約3.6%、約3.7%、約3.8%、約3.9%、約4.0%、約4.1%、約4.2%、約4.3%、約4.4%、約4.5%、約4.6%、約4.7%、約4.8%、約4.9%、約5.0%、約5.1%、約5.2%、約5.3%、約5.4%、約5.5%、約5.6%、約5.7%、約5.8%、約5.9%、約6.0%、約6.1%、約6.2%、約6.3%、約6.4%、約6.5%、約6.6%、約6.7%、約6.8%、約6.9%、約7.0%、約7.0〜約8.0%、約8.0〜約9.0%、または約9.0%〜約10%のホスホン酸の種晶をシード添加することを提供する。さらなる態様では、結晶の形態型を、結晶化プロセス中の緩徐なまたは中速度の攪拌(stirring)または攪拌(agitation)によって形成する。一態様では、生成される形態型の種類に、攪拌速度が影響を与える。別の態様では、生成される形態型の種類に、攪拌速度が影響を与えない。本態様は、メタノールを含むプロセスによるII型形態の結晶化を提供する。本態様はさらに、ホスホン酸のII型またはI型をシード添加することでII型形態を形成するための結晶化プロセスを提供する。
いくつかの態様では、化合物1のII型は不純物を実質的に含まない。本開示は、純度91%以上を有する式IIまたはIIIを有する化合物のII型形態が、ウイルス感染症(例えばdsDNAウイルス感染症)を、該感染症がバルガンシクロビル塩酸塩(もしくはガンシクロビル)に対する耐性を示す対象、またはバルガンシクロビル塩酸塩(もしくはガンシクロビル)による副作用を示す対象において処置するために使用されると規定する。あるいは、またはさらに、91重量/重量%以上の純度を有するかまたはII型である、例えば9重量/重量%以下の他の形態型または非晶形を有する、式IIまたはIIIの化合物が、ガンシクロビルでの処置に引き続くサイトメガロウイルス(CMV)、例えば、CMV感染症が出現するCMVを処置するために使用される。患者は、骨髄幹細胞移植患者、特に、患者におけるガンシクロビルによる骨髄毒性の(現実のまたは知覚された)危険性が存在する患者でありうる。
別の態様では、対象は哺乳動物である。別の態様では、対象はヒトである。
別の態様では、純度91%以上を有するかまたはII型である式IIまたはIIIの化合物が、例えば投与量約0.01mg/kg〜約10mg/kg以上、例えば最大約100mg/kgで経口投与される。別の態様では、純度91重量/重量%を有するかまたはII型である、例えば9重量/重量%以下の他の形態型または非晶形を有する、式IIまたはIIIの前記化合物が、約0.01mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約1.5mg/kg、約2.0mg/kg、約2.5mg/kg、約3.0mg/kg、約3.5mg/kg、約4.0mg/kg、約4.5mg/kg、約5.0mg/kg、約5.5mg/kg、約6.0mg/kg、約6.5mg/kg、約7.0mg/kg、約7.5mg/kg、約8.0mg/kg、約8.5mg/kg、約9.0mg/kg、約9.5mg/kg、もしくは約10mg/kg以上、または上記以内の任意の範囲の投与量で前記対象に投与される。
本開示は、用量約100mgで週2回または用量約200mgで週1回投与される、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される2個以上(例えば3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、もしくは10個以上)のピークを有するX線回折パターンを特徴とするか、または図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを有する、式IIもしくはIIIの化合物のII型形態(または薬学的に許容されるその塩)を提供する。一態様では、図2に記載のものと実質的に同様の指数付け、および/または図4、図15、図16、もしくは図22〜24に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを有する、II型形態を含む組成物が、用量約100mgで週2回または用量約200mgで週1回投与される。
本開示は、用量約1〜4mg/kg(例えば約1〜1.1mg/kg、約1.1〜1.2mg/kg、約1.2〜1.3mg/kg、約1.3〜1.4mg/kg、約1.4〜1.5mg/kg、約1.5〜1.6mg/kg、約1.6〜1.7mg/kg、約1.7〜1.8mg/kg、約1.8〜1.9mg/kg、約1.9〜2.0mg/kg、約2.0〜2.1mg/kg、約2.1〜2.2mg/kg、約2.2〜2.3mg/kg、約2.3〜2.4mg/kg、約2.4〜2.5mg/kg、約2.5〜2.6mg/kg、約2.6〜2.7mg/kg、約2.7〜2.8mg/kg、約2.8〜2.9mg/kg、約2.9〜3.0mg/kg、約3.0〜3.1mg/kg、約3.1〜3.2mg/kg、約3.2〜3.3mg/kg、約3.3〜3.4mg/kg、約3.4〜3.5mg/kg、約3.5〜3.6mg/kg、約3.6〜3.7mg/kg、約3.7〜3.8mg/kg、約3.8〜3.9mg/kg、または約3.9〜4.0mg/kg)で投与される、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される2個以上(例えば3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、もしくは10個以上)のピークを有するX線回折パターンを特徴とするか、または図1、図7、図13、図14、図20、図21、もしくは図25に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを有する、式IIもしくはIIIの化合物のII型形態(または薬学的に許容されるその塩)を提供する。
いくつかの態様では、図2に記載のものと実質的に同様の指数付け、および/または図4、図15、図16、もしくは図22〜24に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを有する、II型形態を含む組成物が、用量約1〜4mg/kg(例えば約1.0〜1.1mg/kg、約1.1〜1.2mg/kg、約1.2〜1.3mg/kg、約1.3〜1.4mg/kg、約1.4〜1.5mg/kg、約1.5〜1.6mg/kg、約1.6〜1.7mg/kg、約1.7〜1.8mg/kg、約1.8〜1.9mg/kg、約1.9〜2.0mg/kg、約2.0〜2.1mg/kg、約2.1〜2.2mg/kg、約2.2〜2.3mg/kg、約2.3〜2.4mg/kg、約2.4〜2.5mg/kg、約2.5〜2.6mg/kg、約2.6〜2.7mg/kg、約2.7〜2.8mg/kg、約2.8〜2.9mg/kg、約2.9〜3.0mg/kg、約3.0〜3.1mg/kg、約3.1〜3.2mg/kg、約3.2〜3.3mg/kg、約3.3〜3.4mg/kg、約3.4〜3.5mg/kg、約3.5〜3.6mg/kg、約3.6〜3.7mg/kg、約3.7〜3.8mg/kg、約3.8〜3.9mg/kg、または約3.9〜4.0mg/kg)で投与される。
本開示はまた、対象、例えば免疫不全対象におけるウイルス感染症の治療的処置および/または予防的処置用の医薬の製造における、91重量/重量%以上の純度を有する、例えば9重量/重量%以下の他の形態型または非晶形を有する、化合物1、またはII型の化合物1の使用を提供する。
別の態様では、本開示は、対象、例えば免疫不全対象におけるウイルス感染症の治療的処置および/または予防的処置のための方法であって、91重量/重量%以上の純度を有するかまたはII型である、例えば9重量/重量%以下の他の形態型または非晶形を有する、式IIまたはIIIの化合物を該患者に投与する段階を含む方法を提供する。
別の態様では、本開示はまた、約91重量/重量%以上の純度を有するかまたはII型である、例えば約9重量/重量%以下の他の形態型または非晶形を有する、式IIまたはIIIの化合物を含む、対象におけるウイルス感染症の治療的処置および/または予防的処置のための経口剤形であって、該化合物の投与量約2mg/kgでのヒトへの投与時に該化合物のAUC0-inf約2000〜約4000h*ng/mL、例えば約2500〜約3000h*ng/mLを示す経口剤形を提供する。
別の態様では、本開示はまた、約91重量/重量%以上の純度を有するかまたはII型である、例えば約9重量/重量%以下の他の形態型または非晶形を有する、式IIまたはIIIの化合物を含む、対象におけるウイルス感染症の治療的処置および/または予防的処置のための経口剤形であって、該化合物の投与量約1〜2mg/kg、約2〜3mg/kg、約3〜4mg/kgでのヒトへの投与時に該化合物のCmax約100〜約500ng/mL、例えば約200〜約400h*ng/mLを示す経口剤形を提供する。
別の態様では、本開示はまた、約91重量/重量%以上の純度を有するかまたはII型である、例えば約9重量/重量%以下の他の形態型または非晶形を有する、式IIまたはIIIの化合物を含む、対象におけるウイルス感染症の治療的処置および/または予防的処置のための経口剤形であって、式IIまたはIIIの該化合物の投与量約1〜2mg/kg、約2〜3mg/kg、約3〜4mg/kgでのヒトへの投与および式IIまたはIIIの該化合物のシドホビルへの代謝時に式IIまたはIIIの該化合物のCmaxの約30%未満、例えば式IIまたはIIIの該化合物のCmaxの約20%未満である該シドホビルのCmaxを示す経口剤形を提供する。
再結晶プロトコール
1つまたは複数の態様では、本技術は、化合物1を精製するための5つの別個の再結晶工程を含む。例えば、いくつかの好ましい態様では、以下のスケジュールを連続再結晶に使用する。
1回目の再結晶
MeOHに60〜70℃で溶解、5分間攪拌
60℃に冷却、1時間攪拌
50℃に6時間かけて冷却
20℃に2時間かけて冷却、2時間攪拌
濾過
2回目の再結晶
MeOHに60〜70℃で溶解、5分間攪拌
60℃に冷却、1時間攪拌
50℃に6時間かけて冷却
20℃に2時間かけて冷却、2時間攪拌
濾過
3回目の再結晶
MeOHに60〜70℃で溶解、20分間攪拌
60℃に冷却、20分間攪拌、種晶ストックを添加、2時間攪拌
50℃に8時間かけて冷却、2時間攪拌
20に6時間かけて冷却、2時間攪拌
濾過、≦40℃で乾燥、粉砕
4回目の再結晶
MeOHに60〜70℃で溶解、20分間攪拌
n-ヘプタンを添加、50℃超に保持、20分間攪拌
40℃に6時間かけて冷却、1時間攪拌
20℃に6時間かけて冷却、2時間攪拌
濾過
5回目の再結晶
MeOHに60〜70℃で溶解、20分間攪拌
61℃に冷却、種晶ストックを添加、2時間攪拌
50℃に8時間かけて冷却、2時間攪拌
20℃に6時間かけて冷却、2時間攪拌
濾過、≦40℃で乾燥、粉砕
いくつかの態様では、他の再結晶スケジュールを使用することができる。例えば、いくつかの態様では、化合物1を1回のメタノール再結晶に供した後、n-ヘプタンおよびメタノールにより再結晶化することができる。これに続いて、II型のシード添加を含むメタノールによる最終再結晶を行うことができる。再結晶および精製用の代替スケジュールを当業者は想定することができ、以下の例示的態様は限定的であるように解釈されるべきではない。
再結晶態様A
1回目の再結晶
MeOHに60〜70℃で溶解、5分間攪拌
60℃に冷却、1時間攪拌
50℃に6時間かけて冷却
20℃に2時間かけて冷却、2時間攪拌
濾過
2回目の再結晶
MeOHに60〜70℃で溶解、20分間攪拌
n-ヘプタンを添加、約50℃に保持、20分間攪拌
35℃に4時間かけて冷却、1時間攪拌
20℃に6時間かけて冷却、2時間攪拌
濾過
3回目の再結晶
MeOHに60〜70℃で溶解、20分間攪拌
61℃に冷却、種晶ストックを添加、2時間攪拌
50℃に8時間かけて冷却、2時間攪拌
20℃に6時間かけて冷却、2時間攪拌
濾過、≦40℃で乾燥、粉砕
再結晶態様B
1回目の再結晶
MeOHに60〜70℃で溶解、20分間攪拌
n-ヘプタンを添加、50℃超に保持、20分間攪拌
4℃に6時間かけて冷却、1時間攪拌
20℃に6時間かけて冷却、2時間攪拌
濾過
2回目の再結晶
MeOHに60〜70℃で溶解、20分間攪拌
60℃に冷却、20分間攪拌、種晶ストックを添加、2時間攪拌
50℃に8時間かけて冷却、2時間攪拌
20℃に6時間かけて冷却、2時間攪拌
濾過、≦40℃で乾燥、粉砕
3回目の再結晶
MeOHに60〜70℃で溶解、20分間攪拌
61℃に冷却、種晶ストックを添加、2時間攪拌
50℃に8時間かけて冷却、2時間攪拌
20℃に6時間かけて冷却、2時間攪拌
濾過、≦40℃で乾燥、粉砕
いくつかの態様では、当業者に明らかであろう代替再結晶プロトコールを使用することができる。当業者は、異なる種類の不純物を除去する上で異なる再結晶が多少なりとも有効でありうることを認識するであろう。
(表8)式IIまたはIIIを有する化合物のメタノール中での結晶化実験
Figure 0006150949
Figure 0006150949
a 再結晶はEasyMax(商標)を使用して非GMP条件下で行った。温度、時間、および速度は近似値とした。別途指定がない限り、結晶化はメタノール中で行った。示される比は体積比とする。別途指定がない限り、すべての実験で出発原料として化合物1のII型の試料を使用した。各結晶化において徐冷(9〜10時間)を使用した。別途指定がない限り、試料を真空オーブン中にて約40℃〜約48℃で7時間〜1日間乾燥させた。スケールは約5gとした。
b 観察はSEM画像に基づいた。
c おそらくは蒸発による溶媒の有意な損失が反応器中で観察された。
薬学的組成物
別の局面では、本発明の多形(例えばII型形態)と、任意では薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、薬学的組成物が、本明細書において提供される。また、本発明の多形(例えば多形またはII型)と薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、薬学的組成物も、本明細書において提供される。
「薬学的組成物」という用語は、哺乳動物、例えばヒトへの投与に好適な製剤を含む。本発明の化合物を哺乳動物、例えばヒトに薬剤として投与する場合、そのまま与えても良く、有効成分約0.1%〜約99.9%、約0.2〜約98%、約0.3%〜約97%、約0.4%〜約96%、または約0.5〜約95%と薬学的に許容される担体との組み合わせを例えば含有する薬学的組成物として与えてもよい。一態様では、有効成分約0.5%〜約90%と薬学的に許容される担体との組み合わせを含有する薬学的組成物が哺乳動物、例えばヒトへの投与に好適である。いくつかの態様は、ウイルス感染症またはウイルス感染症関連障害の処置、予防(preventing)、または予防(prophylaxis)において使用される、本発明の式IIまたはIIIの化合物約0.1%〜約99.9%、約0.2〜約98%、約0.3%〜約97%、約0.4%〜約96%、または約0.5〜約95%を含む薬学的組成物の調製を提供する。本開示は、ウイルス感染症およびウイルス感染症関連疾患の処置、予防(preventing)、または予防(prophylaxis)において使用される有効量の式IIまたはIIIの化合物を含有する医薬の製造のための、該化合物約0.1%〜約99.9%、約0.2〜約98%、約0.3%〜約97%、約0.4%〜約96%、または約0.5〜約95%の使用を提供する。
いくつかの態様では、薬学的組成物は、I型および/またはH型を実質的に含まない式IIもしくはIIIの化合物の無水の形態型(例えばII型)(または薬学的に許容されるその塩)を含む。本開示のII型形態を含む薬学的組成物は、約10%以下のI型および/またはH型を不純物として有する。いくつかの態様では、II型を含む薬学的組成物は約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、約0.9%以下、約0.8%以下、約0.7%以下、約0.6%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、約0.2%以下、約0.1%以下、約0.05%以下、約0.01%以下、または約0.001%以下のI型および/またはH型を不純物として有する。
通常の薬学的配合技術に従って、本明細書に記載の多形(例えば多形II)と薬学的に許容される担体とを組み合わせることができる。本明細書において使用される「薬学的に許容される担体」としては、所望の特定の剤形に合ったあらゆる溶媒、希釈剤、または他の液体媒体、分散助剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤などを挙げることができる。Remington's Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)では、薬学的組成物を製剤化する上で使用される様々な担体、および薬学的組成物の調製のための公知の技術が開示されている。任意の通常の担体媒体が、例えば任意の望ましくない生物学的効果を生じさせるか、そうでなければ薬学的組成物の任意の他の成分との有害な相互作用を引き起こすことにより、本化合物との適合性を示さないということがない限り、その使用は本発明の範囲内であると想定される。薬学的に許容される担体として役立ちうる材料のいくつかの例としてはラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖; コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン; セルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどのその誘導体; トラガント末; 麦芽; ゼラチン; タルク; カカオバターおよび坐薬ワックスなどの賦形剤; ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油などの油; プロピレングリコールなどのグリコール; オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル; 寒天; 水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤; アルギン酸; パイロジェンフリー水; 等張食塩水; リンゲル液; エチルアルコール、ならびにリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒で適合性のある潤滑剤が挙げられるがそれに限定されず、また、製剤者の判断に従って、着色料、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味料、および芳香剤、保存料、ならびに抗酸化剤も組成物中に存在しうる。
さらに、担体は、投与、例えば経口投与、経鼻投与、直腸投与、経膣投与、非経口(静脈内注射または静脈内注入を含む)投与に望ましい製剤の形態に応じて多種多様な形態を取りうる。経口剤形用の組成物を調製する上で、任意の通常の薬学的媒体を使用することができる。通常の薬学的媒体としては例えば、経口液体製剤(例えば懸濁液剤、溶液剤、乳剤、およびエリキシル剤などの); エアロゾル剤の場合の水、グリコール、油、アルコール、香味料、防腐剤、着色料など; または経口固体製剤(例えば散剤、カプセル剤、および錠剤など)の場合のデンプン、糖、微結晶セルロースなどの担体、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。
本発明の多形(例えばII型)を含む薬学的組成物を、任意の所望の濃度を有するように製剤化することができる。いくつかの態様では、本組成物は、少なくとも治療有効量を含むように製剤化される。本明細書において使用される「治療有効量」とは、患者において臨床的に観察される改善を行うために必要な量を意味する。いくつかの態様では、本組成物は、1つまたは複数の望ましくない副作用を引き起こさない量を含むように製剤化される。
薬学的組成物は経口投与、舌下投与、経鼻投与、直腸投与、経膣投与、局所投与、頬側投与、ならびに非経口(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)投与に好適な組成物を含むが、最も好適な経路は、処置される状態の性質および重症度に依存する。本組成物は単位剤形で好都合に提示することができ、薬学分野において周知の任意の方法によって調製することができる。特定の態様では、薬学的組成物は丸剤、カプセル剤、舐剤、または錠剤の形態での経口投与用に製剤化されている。他の態様では、薬学的組成物は懸濁液剤の形態である。
投与レジメンは、薬学的有効量を構成するものに影響を与えることがある。本発明の多形(例えばII型)およびその組成物を疾患の発症の前または後に対象に投与することができる。さらに、いくつかの分割投与量および時差投与量を毎日または順次投与することができ、あるいは、用量を持続注入するかまたはボーラス注射とすることができる。さらに、投与量を、治療状況または予防状況が要求する通り比例的に増大または減少させることができる。さらに、投与量を、当業者に公知の他の化学療法剤との組み合わせで同時投与することができる。
「薬学的組成物」とは、対象への投与に好適な形態で本発明の化合物を含有する製剤のことである。一態様では、薬学的組成物はバルクまたは単位剤形である。単位剤形は、カプセル剤、点滴袋、錠剤、エアロゾル吸入器上の単一のポンプ、またはバイアルを例えば含む種々の形態のうちのいずれかである。組成物の単位剤形中の有効成分(例えば、開示される化合物またはその塩、水和物、溶媒和物、もしくは異性体の製剤)の量は、有効量であり、関係する特定の処置によって変動する。当業者は、患者の年齢および状態に応じて投与量の日常的な変更を行うことが時として必要であることを認識するであろう。投与量は投与経路にも依存する。経口、肺内、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、吸入、頬側、舌下、胸膜内、くも膜下腔内、鼻腔内などを含む種々の経路が想定される。本発明の化合物の局所投与または経皮投与用の剤形としては散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶液剤、パッチ剤、および吸入剤が挙げられる。一態様では、活性化合物は滅菌条件下で、薬学的に許容される担体、および必要な任意の防腐剤、緩衝剤、または噴霧剤と混合される。
本明細書において使用される「薬学的に許容される」という語句は、正しい医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用する上で好適であり、妥当なベネフィット/リスク比に相応している、化合物、原料、組成物、担体、および/または剤形を意味する。
「薬学的に許容される賦形剤または担体」とは、一般に安全で、無毒であり、かつ生物学的にもその他の点でも望ましくないということがない薬学的組成物を調製する上で有用な賦形剤または担体を意味し、獣医学的使用およびヒトでの薬学的使用に許容される賦形剤を含む。本明細書および特許請求の範囲において使用される「薬学的に許容される賦形剤」は、1つのそのような賦形剤および2つ以上のそのような賦形剤の両方を含む。
本発明の薬学的組成物は所期の投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例としては非経口投与、例えば静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口(例えば吸入)投与、経皮(局所)投与、および経粘膜投与が挙げられる。非経口適用、皮内適用、または皮下適用に使用される溶液剤または懸濁液剤は以下の成分を含みうる: 注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌希釈剤; ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤; アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤; エチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート化剤; 酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝液、および塩化ナトリウムまたはブドウ糖などの浸透圧の調整のための剤。pHは塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整可能である。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または多用量バイアルに封入することができる。
本明細書において使用される「治療有効量」とは、同定された疾患もしくは状態を処置する、寛解させる、もしくは予防するか、または検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示す、薬剤の量を意味する。効果は、当技術分野において公知の任意のアッセイ法によって検出することができる。対象についての正確な有効量は、対象の体重、サイズ、および健康;状態の性質および程度;ならびに投与向けに選択される治療薬または治療薬の組み合わせに依存する。所与の状況での治療有効量は、臨床医の技量および判断の範囲内である日常的な実験によって決定することができる。好ましい局面では、処置すべき疾患または状態はウイルス感染症である。
任意の化合物について、最初に治療有効量を、例えば新生細胞の細胞培養アッセイにおいて、または動物モデル、通常はラット、マウス、ウサギ、イヌ、またはブタにおいて推定することができる。また、動物モデルを、適切な濃度範囲および投与経路を決定するために使用することができる。次にそのような情報を、ヒトにおける有用な用量および投与経路を決定するために使用することができる。治療/予防有効性および毒性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順、例えばED50(集団の50%の治療有効量)およびLD50(集団の50%の致死量)によって決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比を治療指数とし、それはLD50/ED50比で表すことができる。大きい治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。投与量は、使用する剤形、患者の感受性、および投与経路に応じて、この範囲内で変動しうる。
投与量および投与は、十分なレベルの活性物質を与えるように、または所望の効果を維持するように調整される。考慮に入れることができる要因としては、疾患状態の重症度、対象の全身的健康、対象の年齢、体重、および性別、食事、投与時間および投与頻度、薬物組み合わせ、反応感受性、ならびに治療に対する耐性/応答が挙げられる。長時間作用型の薬学的組成物を、特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて、3〜4日に1回、週1回、または2週間に1回投与することができる。
本発明の活性化合物を含有する薬学的組成物は、一般に公知のやり方で、例えば通常の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥のプロセスによって製造することができる。薬学的組成物は、薬学的に使用可能な製剤に活性化合物を加工することを促進する、1つまたは複数の賦形剤および/または助剤を含む薬学的に許容される担体を使用して、従来のように製剤化することができる。当然、適切な製剤化は選択される投与経路に依存する。
注射用に好適な薬学的組成物としては、滅菌水溶液剤(水溶性の場合)または水性分散液剤、および滅菌注射用溶液剤または分散液剤の即時調製用の滅菌散剤が挙げられる。静脈内投与では、好適な担体としては生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、ニュージャージー州Parsippany)、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。いずれの場合でも、本組成物は滅菌されていなければならず、また、容易なシリンジ注入可能性が存在する程度に流動的であるべきである。組成物は製造条件および貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。担体は、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセリン、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにその好適な混合物を例えば含有する溶媒または分散媒でありうる。適当な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用、分散液剤の場合における必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の阻止を様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどで実現することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウムを本組成物中に含むことが好ましい。吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含むことで、注射用組成物の長期吸収をもたらすことができる。
滅菌注射用溶液剤は、所要量の活性化合物を適切な溶媒中に、必要に応じて先に列挙した成分のうち1つまたは組み合わせと共に組み入れた後、濾過滅菌を行うことで調製することができる。分散液剤は一般に、塩基性分散媒および上記で列挙した必要な他の成分を含有する滅菌媒体に活性化合物を組み入れることで調製される。滅菌注射用溶液剤の調製用の滅菌散剤の場合、調製方法としては、有効成分と任意のさらなる所望の成分との粉末を、既に滅菌濾過したその溶液から得る、真空乾燥および凍結乾燥がある。
経口組成物は、不活性希釈剤または薬学的に許容される食用担体を一般に含む。経口組成物はゼラチンカプセル剤に封入されてもよく、錠剤に圧縮されてもよい。治療用経口投与の目的で、活性化合物を賦形剤と共に組み入れ、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の形態で使用することができる。また、洗口液として使用される経口組成物を流体担体を使用して調製することができる。洗口液では、流体担体中の本化合物が経口適用されて、すすがれて、吐き出されるかまたは飲み込まれる。薬学的に適合性のある結合剤および/または補助材料を組成物の一部として含むことができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分または同様の性質の化合物のいずれかを含有しうる: 微結晶セルロース、トラガントゴム、もしくはゼラチンなどの結合剤; デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤; アルギン酸、Primogel、もしくはコーンスターチなどの崩壊剤; ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesなどの潤滑剤; コロイダル二酸化ケイ素などの流動促進剤; スクロースもしくはサッカリンなどの甘味料; またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香味料などの香味料。
吸入による投与では、本化合物は、好適な噴霧剤、例えば二酸化炭素などのガスを含む加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーから、エアロゾルスプレー剤の形態で送達される。
全身投与は経粘膜または経皮的手段によるものでもよい。経粘膜または経皮投与では、透過すべき障壁に適した浸透剤が製剤中で使用される。そのような浸透剤は当技術分野において一般に公知であり、例えば経粘膜投与では界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は経鼻スプレー剤または坐薬の使用を通じて達成することができる。経皮投与では、活性化合物は、当技術分野において一般に公知の軟膏剤、塗擦剤、ゲル剤、またはクリーム剤として製剤化される。
活性化合物は、身体からの急速な排除に対して該化合物を保護する薬学的に許容される担体と共に、移植片およびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤として調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製のための方法は当業者には明らかであろう。材料はAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に入手することもできる。リポソーム懸濁液(感染細胞を標的とするリポソームをウイルス抗原に対するモノクローナル抗体と共に含む)を薬学的に許容される担体として使用することもできる。
投与が容易でありかつ投与量が均一であることから、単位剤形で経口または非経口組成物を製剤化することが特に有利である。本明細書において使用される単位剤形とは、処置される対象用の単位剤形として適した物理的に分離された単位を意味し、各単位は、所望の治療効果を生成するように計算される所定量の活性化合物と所要の薬学的担体との組み合わせを含む。本発明の単位剤形の規格は、活性化合物の独自の特性および実現すべき特定の治療効果により決定づけられかつそれに直接依存する。
式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)を含む薬学的組成物は、該組成物のX線粉末回折パターンとII型のX線粉末回折パターンとの比較によって同定することができる。式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)を含む薬学的組成物が、図1に比べて実質的に同じパターンである非同一のX線粉末回折パターンを示すことが認識されよう。XRPDの観察されたわずかな差は、試料中の他の不純物の存在を含む上述の要因が原因でありうる。
分析前に、錠剤を乳鉢および乳棒を使用して軽く磨砕した。錠剤は図13および/または図14と同様である非常に類似したXRPDパターンを示し、これは、潜在的には1つまたは複数の賦形剤からのものである散漫散乱を示す結晶性材料を示している。
一態様では、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)は、2.81、5.63、19.00、19.57、22.76、および24.70における°2θ(±0.2)で表される特有のピークを有するX線粉末回折パターン、または図13もしくは図17に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンと、図2に記載のものと実質的に同様の指数付けと、図15もしくは図16に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムとを示す。
いくつかの態様では、II型の2つの錠剤試料のDSCサーモグラムは、約90℃および約95℃(最大ピーク)での重複する副吸熱、ならびに約165℃での開始を示す主吸熱を示す。錠剤試料は、II型の結晶形の約196℃での大きな吸熱を示す。
一態様では、ホットステージ顕微鏡法は、約189℃での流動の前に、約98℃で観察される何らかの潜在的な昇華以外の有意な観察を示さない。いくつかの態様では、本態様のII型は潜在的なサーモトロピック中間相を有する。
(表9)II型の錠剤1の特性評価
Figure 0006150949
a 試料は白色錠剤として提示されたが、分析用に乳鉢および乳棒にて手作業で軽く磨砕した
(表10)II型の錠剤2の特性評価
Figure 0006150949
a 試料は白色錠剤として提示されたが、分析用に乳鉢および乳棒にて手作業で軽く磨砕した
治療用途では、本発明に従って使用される薬学的組成物の投与量は、選択される投与量に影響を与える要因のなかでも特に、剤、レシピエント患者の年齢、体重、および臨床的状態、ならびに治療を実行する臨床医または開業医の経験および判断に応じて変動する。投与量は約0.01mg/kg〜約100mg/kgの範囲でありうる。好ましい局面では、投与量は約0.1mg/kg〜約10mg/kgの範囲でありうる。一局面では、用量は、単一用量、分割用量、または持続用量で約1mg〜約1g; 約10mg〜約500mg; 約20mg〜約400mg; 約40mg〜約400mg; または約50mg〜約400mgの範囲である(この用量はkg単位の患者の体重、m2単位の体表面積、および年単位の年齢に応じて調整可能である)。特定の態様では、剤形当たりの量は約0.1mg〜約1000mg、例えば約0.1mg、約0.5mg、約1.0mg、約2.0mg、約3.0mg、約4.0mg、約5.0mg、約6.0mg、約7.0mg、約8.0mg、約9.0mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、または約100mg以上でありうる。一態様では、量は約20mgでありうる。一態様では、量は約50mgでありうる。
化合物1のII型もしくはH型、または薬学的に許容されるその塩は、薬学的組成物として製剤化されるか、あるいは、ウイルス感染症ならびに/またはウイルス感染症関連の疾患および/もしくは障害の処置用の医薬の製造において使用される。化合物1のII型もしくはH型、または薬学的に許容されるその塩の組成物および/または医薬は、錠剤または懸濁液剤として製剤化される。薬理学的に許容される緩衝剤、賦形剤、乳化剤を含む担体、促進剤(例えば吸収促進剤)、崩壊剤(例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)の高架橋修飾体であるポリビニルポリピロリドン(ポリビニルポリピロリドン、PVPP、クロスポビドン、クロスポリビドン、もしくはE1202))、ならびに/または本開示において開示されかつ当技術分野において周知であるポリマーを含む、化合物1のII型の錠剤が製剤化される。
一態様では、本開示は、ウイルス感染症および/またはウイルス関連の疾患もしくは障害の予防的処置または予防において使用される、化合物1の錠剤製剤1を提供する。本開示は、免疫不全対象、または臓器移植および/もしくは組織移植の前もしくは後の対象を処置する上で使用される、化合物1の錠剤製剤1を提供する。
別の態様では、本開示は、ウイルス感染症ならびに/またはウイルス関連の疾患および/もしくは障害の予防的処置または予防において使用される、化合物1の錠剤製剤2を提供する。本開示は、免疫不全対象、または臓器移植および/もしくは組織移植の前もしくは後の対象を処置する上で使用される、化合物1の錠剤製剤2を提供する。
いくつかの態様では、本開示は、ウイルス感染症ならびに/またはウイルス関連の疾患および/もしくは障害の予防的処置または予防において使用される、化合物1のII型の錠剤製剤1を提供する。本開示は、免疫不全対象、または臓器移植および/もしくは組織移植の前もしくは後の対象を処置する上で使用される、化合物1のII型の錠剤製剤1を提供する。
いくつかの態様では、本開示は、ウイルス感染症ならびに/またはウイルス関連の疾患および/もしくは障害の予防的処置または予防において使用される、化合物1のII型の錠剤製剤2を提供する。本開示は、免疫不全対象、または臓器移植および/もしくは組織移植の前もしくは後の対象を処置する上で使用される、化合物1のII型の錠剤製剤2を提供する。
本開示の錠剤形態での2つの化合物1製剤の組成を表11に列挙する。
一態様では、本開示は、ウイルス感染症ならびに/またはウイルス関連の疾患および/もしくは障害の予防的処置または予防において使用される、化合物1の懸濁液剤製剤3を提供する。本開示は、免疫不全対象、または臓器移植および/もしくは組織移植の前もしくは後の対象を処置する上で使用される、化合物1の懸濁液剤製剤3を提供する。
別の態様では、本開示は、ウイルス感染症ならびに/またはウイルス関連の疾患および/もしくは障害の予防的処置または予防において使用される、化合物1の懸濁液剤製剤4を提供する。本開示は、免疫不全対象、または臓器移植および/もしくは組織移植の前もしくは後の対象を処置する上で使用される、化合物1の懸濁液剤製剤4を提供する。
(表11)化合物1の100mg錠剤製剤
Figure 0006150949
いくつかの態様では、本開示は、ウイルス感染症ならびに/またはウイルス関連の疾患および/もしくは障害の予防的処置および/または予防において使用される、化合物1のII型の懸濁液剤製剤3または4を提供する。本開示は、免疫不全対象、または臓器移植および/もしくは組織移植の前もしくは後の対象を処置する上で使用される、化合物1のII型の懸濁液剤製剤3または4を提供する。
本開示の懸濁液剤形態での2つの化合物1製剤の組成を表12に列挙する。
(表12)化合物1の懸濁液剤製剤
Figure 0006150949
本開示の製剤は、ウイルス感染症に関連する終末器官損傷を処置する上で、例えば、対象におけるBKウイルス感染症関連終末器官損傷を処置し、予防し、かつ/または寛解させる上で使用される。
本開示の製剤は、ウイルス感染症ならびに/またはウイルス関連の疾患および/もしくは障害の予防的処置および/または予防における医薬を製造する上で使用される。
一態様では、式IIもしくはIIIの化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)が用量約100mg(表11に記載の錠剤製剤1もしくは2、または表12に記載の懸濁液剤製剤3もしくは4)で週2回投与される。別態様では、式IIもしくはIIIの化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)が用量約200mg(表11に記載の錠剤製剤1もしくは2、または表12に記載の懸濁液剤製剤3もしくは4)で週1回投与される。
別の態様では、本発明は、望ましい薬物動態特性を有する組成物(例えば薬学的組成物)を提供する。例えば、本発明の組成物は、治療上有効な形態(すなわちシドホビル)への代謝後に毒性(例えば腎毒性)を誘導しない血中レベルの該代謝産物を生じさせる血中レベルの、式IIもしくはIIIの化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)を与えることができる。
薬剤の有効量とは、臨床医または他の認定観察者によって認められる客観的に同定可能な改善を実現する量のことである。本明細書において使用される「投与量が有効な様式(dosage effective manner)」という用語は、対象または細胞において望ましい生物学的効果を生成する活性化合物の量を意味する。
別の態様では、本発明の式II、IIIの化合物、または別の組成物を対象に単一用量で投与することができる。別の態様では、本発明の式II、III、または別の組成物を対象に複数用量で投与することができる。複数用量は定期的に、例えば12時間に1回、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、7日に1回、8日に1回、9日に1回、10日に1回、11日に1回、12日に1回、13日に1回、14日間に1回、または15日に1回投与することができる。例えば、用量を週2回投与することができる。さらに、個々の各用量を同じ投与量または異なる投与量で投与することができる。
例えば、対象に初回量約1〜4mg/kg(例えば約1〜1.1mg/kg、約1.1〜1.2mg/kg、約1.2〜1.3mg/kg、約1.3〜1.4mg/kg、約1.4〜1.5mg/kg、約1.5〜1.6mg/kg、約1.6〜1.7mg/kg、約1.7〜1.8mg/kg、約1.8〜1.9mg/kg、約1.9〜2.0mg/kg、約2.0〜2.1mg/kg、約2.1〜2.2mg/kg、約2.2〜2.3mg/kg、約2.3〜2.4mg/kg、約2.4〜2.5mg/kg、約2.5〜2.6mg/kg、約2.6〜2.7mg/kg、約2.7〜2.8mg/kg、約2.8〜2.9mg/kg、約2.9〜3.0mg/kg、約3.0〜3.1mg/kg、約3.1〜3.2mg/kg、約3.2〜3.3mg/kg、約3.3〜3.4mg/kg、約3.4〜3.5mg/kg、約3.5〜3.6mg/kg、約3.6〜3.7mg/kg、約3.7〜3.8mg/kg、約3.8〜3.9mg/kg、または約3.9〜4.0mg/kg)の式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)を投与した後、同じ週または翌週に用量1〜4mg/kg(例えば約1〜1.1mg/kg、約1.1〜1.2mg/kg、約1.2〜1.3mg/kg、約1.3〜1.4mg/kg、約1.4〜1.5mg/kg、約1.5〜1.6mg/kg、約1.6〜1.7mg/kg、約1.7〜1.8mg/kg、約1.8〜1.9mg/kg、約1.9〜2.0mg/kg、約2.0〜2.1mg/kg、約2.1〜2.2mg/kg、約2.2〜2.3mg/kg、約2.3〜2.4mg/kg、約2.4〜2.5mg/kg、約2.5〜2.6mg/kg、約2.6〜2.7mg/kg、約2.7〜2.8mg/kg、約2.8〜2.9mg/kg、約2.9〜3.0mg/kg、約3.0〜3.1mg/kg、約3.1〜3.2mg/kg、約3.2〜3.3mg/kg、約3.3〜3.4mg/kg、約3.4〜3.5mg/kg、約3.5〜3.6mg/kg、約3.6〜3.7mg/kg、約3.7〜3.8mg/kg、約3.8〜3.9mg/kg、または約3.9〜4.0mg/kg)の式IIもしくはIIIのII型(または薬学的に許容されるその塩)をさらに1回または複数回投与することができる。例えば、対象に初回量約3mg/kgを投与した後、用量約1mg/kgをさらに1回または複数回投与することができる。例えば、対象に初回量約2mg/kgを投与した後、用量約3mg/kgをさらに1回または複数回投与することができる。例えば、対象に初回量4mg/kgを投与した後、用量約4mg/kgをさらに1回または複数回投与することができる。
また、複数用量を、変動する時間間隔で投与することができる。例えば、最初の2回、3回、4回、5回、6回、7回、または8回以上の用量を6日の間隔で投与した後、さらなる用量を7日の間隔で投与することができる。例えば、最初の2回、3回、4回、5回、6回、7回、または8回以上の用量を7日の間隔で投与した後、さらなる用量を3日の間隔で投与することができる。
別の態様では、本発明は、純度91%超を有するかまたはII型である、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)を含む、対象におけるウイルス感染症の治療的処置および/または予防的処置のための経口剤形であって、該化合物の投与量約1〜4mg/kg(例えば約1〜1.1mg/kg、約1.1〜1.2mg/kg、約1.2〜1.3mg/kg、約1.3〜1.4mg/kg、約1.4〜1.5mg/kg、約1.5〜1.6mg/kg、約1.6〜1.7mg/kg、約1.7〜1.8mg/kg、約1.8〜1.9mg/kg、約1.9〜2.0mg/kg、約2.0〜2.1mg/kg、約2.1〜2.2mg/kg、約2.2〜2.3mg/kg、約2.3〜2.4mg/kg、約2.4〜2.5mg/kg、約2.5〜2.6mg/kg、約2.6〜2.7mg/kg、約2.7〜2.8mg/kg、約2.8〜2.9mg/kg、約2.9〜3.0mg/kg、約3.0〜3.1mg/kg、約3.1〜3.2mg/kg、約3.2〜3.3mg/kg、約3.3〜3.4mg/kg、約3.4〜3.5mg/kg、約3.5〜3.6mg/kg、約3.6〜3.7mg/kg、約3.7〜3.8mg/kg、約3.8〜3.9mg/kg、または約3.9〜4.0mg/kg)でのヒトへの投与時に該化合物のAUC0-inf約2000〜約4000h*ng/mL、例えば約2500〜約3000h*ng/mLを示す経口剤形を提供する。いくつかの態様では、該化合物のAUC0-infは約2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、もしくは4000h*ng/mL、または上記以内の任意の範囲である。AUC0-infは、当技術分野において周知でかつ本明細書の実施例に記載されている任意の方法によって決定することができる。
別の態様では、本発明は、純度91%以上を有するかまたはII型である、式IIもしくはIIIの化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)を含む、対象におけるウイルス感染症の治療的処置および/または予防的処置のための経口剤形であって、該化合物の投与量約1〜4mg/kg(例えば約1〜1.1mg/kg、約1.1〜1.2mg/kg、約1.2〜1.3mg/kg、約1.3〜1.4mg/kg、約1.4〜1.5mg/kg、約1.5〜1.6mg/kg、約1.6〜1.7mg/kg、約1.7〜1.8mg/kg、約1.8〜1.9mg/kg、約1.9〜2.0mg/kg、約2.0〜2.1mg/kg、約2.1〜2.2mg/kg、約2.2〜2.3mg/kg、約2.3〜2.4mg/kg、約2.4〜2.5mg/kg、約2.5〜2.6mg/kg、約2.6〜2.7mg/kg、約2.7〜2.8mg/kg、約2.8〜2.9mg/kg、約2.9〜3.0mg/kg、約3.0〜3.1mg/kg、約3.1〜3.2mg/kg、約3.2〜3.3mg/kg、約3.3〜3.4mg/kg、約3.4〜3.5mg/kg、約3.5〜3.6mg/kg、約3.6〜3.7mg/kg、約3.7〜3.8mg/kg、約3.8〜3.9mg/kg、または約3.9〜4.0mg/kg)でのヒトへの投与時に該化合物のCmax約100〜約500ng/mL、例えば約200〜約400ng/mLを示す経口剤形を提供する。いくつかの態様では、該化合物のCmaxは約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、約290、約300、約310、約320、約330、約340、約350、約360、約370、約380、約390、約400、約410、約420、約430、約440、約450、約460、約470、約480、約490、もしくは約500ng/mL、または上記以内の任意の範囲である。Cmaxは、当技術分野において周知でかつ本明細書の実施例に記載されている任意の方法によって決定することができる。
別の態様では、本発明は、純度約91%超を有するかまたはII型である、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)を含む、対象におけるウイルス感染症の治療的処置および/または予防的処置のための経口剤形であって、式IIもしくはIIIを有する該化合物(または薬学的に許容されるその塩)の投与量約1〜4mg/kg(例えば約1〜1.1mg/kg、約1.1〜1.2mg/kg、約1.2〜1.3mg/kg、約1.3〜1.4mg/kg、約1.4〜1.5mg/kg、約1.5〜1.6mg/kg、約1.6〜1.7mg/kg、約1.7〜1.8mg/kg、約1.8〜1.9mg/kg、約1.9〜2.0mg/kg、約2.0〜2.1mg/kg、約2.1〜2.2mg/kg、約2.2〜2.3mg/kg、約2.3〜2.4mg/kg、約2.4〜2.5mg/kg、約2.5〜2.6mg/kg、約2.6〜2.7mg/kg、約2.7〜2.8mg/kg、約2.8〜2.9mg/kg、約2.9〜3.0mg/kg、約3.0〜3.1mg/kg、約3.1〜3.2mg/kg、約3.2〜3.3mg/kg、約3.3〜3.4mg/kg、約3.4〜3.5mg/kg、約3.5〜3.6mg/kg、約3.6〜3.7mg/kg、約3.7〜3.8mg/kg、約3.8〜3.9mg/kg、または約3.9〜4.0mg/kg)でのヒトへの投与および式IIもしくはIIIの該化合物(または薬学的に許容されるその塩)のシドホビルへの代謝時に式IIもしくはIIIを有する該化合物(または薬学的に許容されるその塩)のCmaxの約30%未満、例えば式IIもしくはIIIを有する該化合物(または薬学的に許容されるその塩)のCmaxの約20%未満である該シドホビルのCmaxを示す経口剤形を提供する。いくつかの態様では、代謝産物(すなわちシドホビル)のCmaxは、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)のCmaxの約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%未満である。
別の態様では、本発明は、純度91%超を有するかまたはII型である、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)を含む、経口剤形であって、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型の該化合物(または薬学的に許容されるその塩)の投与量約2mg/kgでのヒトへの投与時にシドホビルのAUC0-inf約1000〜約5000h*ng/mL、例えば約1500〜約4000h*ng/mLを示す経口剤形を提供する。いくつかの態様では、シドホビルのAUC0-infは約1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、もしくは5000h*ng/mL、または上記以内の任意の範囲である。
別の態様では、本発明は、純度91%以下を有するかまたはII型である、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)を含む、経口剤形であって、式IIもしくはIIIを有する化合物の該II型(または薬学的に許容されるその塩)の投与量約2mg/kgでのヒトへの投与時にシドホビルのCmax約10〜約100ng/mL、例えば約20〜約70ng/mLを示す経口剤形を提供する。いくつかの態様では、式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)のCmaxは約10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100ng/mL、または上記以内の任意の範囲である。
特定の態様では、経口剤形は、2つ以上の上記の薬物動態特性、例えば式IIもしくはIIIを有する化合物のII型(または薬学的に許容されるその塩)あるいは代謝産物(すなわちシドホビル)のAUC0-infまたはCmax、あるいは代謝産物(すなわちシドホビル)対式(I)の化合物のCmax比を示し、例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の該薬物動態特性の任意の組み合わせを示す。
組成物の薬物動態挙動は、集団内の対象毎に多少変動する。本発明の組成物に関する上記の数値は、集団内の平均挙動に基づく。本発明は、概して開示される範囲内にある組成物を包含するように意図されているが、特定の対象が該範囲の外にありうると理解されよう。
薬学的組成物を投与用説明書と共に容器、パック、またはディスペンサーに収容することができる。
本発明の化合物は塩をさらに形成可能である。すべてのこれらの型も、特許請求される本発明の範囲内にあると想定される。
定義
本明細書において使用される「薬学的に許容される塩」とは、親化合物がその酸性塩または塩基性塩を作り出すことで修飾された、本発明の化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩、などが挙げられるがそれに限定されない。薬学的に許容される塩としては、無毒の無機酸または有機酸から例えば形成される親化合物の通常の無毒の塩または四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような通常の無毒の塩としては、2-アセトキシ安息香酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、1,2-エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリルアルサニル酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン酸(hydrabamic)、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシル酸(napsylic)、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、塩基性酢酸(subacetic)、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、および一般に生じるアミン酸、例えばグリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニンなどより選択される無機酸および有機酸に由来する塩が挙げられるがそれに限定されない。
薬学的に許容される塩の他の例としてはヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ピルビン酸、マロン酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ムコン酸などが挙げられる。本発明はまた、親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンで置き換えられるか、またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、エチレンジアミン、イミダゾール、リジン、アルギニン、モルホリン、2-ヒドロキシエチルモルホリン、ジベンジルエチレンジアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ベンジルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの有機塩基に配位する場合に形成される塩を包含する。
薬学的に許容される塩に対するすべての言及が、同じ塩の本明細書において定義される溶媒付加形(溶媒和物)または結晶形(多形)を含むことを理解すべきである。
また、本発明の化合物をエステル、例えば薬学的に許容されるエステルとして調製することができる。例えば、化合物中のカルボン酸官能基をその対応するエステル、例えばメチルエステル、エチルエステル、または他のエステルに変換することができる。また、化合物中のアルコール基をその対応するエステル、例えば酢酸エステル、プロピオン酸エステル、または他のエステルに変換することができる。
本化合物、または薬学的に許容されるその塩、エステル、もしくは誘導体は経口投与、経鼻投与、経皮投与、肺内投与、吸入投与、頬側投与、舌下投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、直腸投与、胸膜内投与、くも膜下腔内投与、および非経口投与される。一態様では、本化合物は経口投与される。当業者は、特定の投与経路に関する利点を認識するであろう。
本化合物を利用する投与レジメンは、患者の種類、種、年齢、体重、性別、および医学的状態; 処置される状態の重症度; 投与経路; 患者の腎機能および肝機能; ならびに使用される特定の化合物またはその塩を含む、種々の要因に従って選択される。通常の技量を有する医師または獣医は、状態を予防するか、状態に対抗するか、または状態の進行を停止させるために必要な薬物の有効量を容易に決定および処方することができる。
本発明の開示される化合物の製剤化および投与用の技術はRemington: the Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, Mack Publishing Co., Easton, PA (1995)に見ることができる。一態様では、本明細書に記載の化合物、および薬学的に許容されるその塩は、薬学的製剤中で、薬学的に許容される担体または希釈剤との組み合わせで使用される。好適な薬学的に許容される担体としては不活性固体充填剤または不活性希釈剤、および滅菌水溶液または滅菌有機溶液が挙げられる。本化合物はそのような薬学的組成物中に、本明細書に記載の範囲の所望の投与量を与えるために十分な量で存在する。
本明細書において開示される方法が、所望の化合物の大規模調製および小規模調製の両方に好適であると認識されよう。本明細書に記載の方法の好ましい態様では、ホスホン酸エステルを実験/実験室規模よりもむしろ大規模で、例えば工業的製造の規模で調製することができる。例えば、本開示の方法によるバッチ型プロセスによって、ホスホン酸エステル生成物のバッチ少なくとも1g、または少なくとも5g、または少なくとも10g、または少なくとも100g、または少なくとも1kg、または少なくとも100kgが調製される。さらに、本方法によって、HPLCにより測定される純度少なくとも98%または少なくとも98.5%を有するホスホン酸エステル生成物が調製される。本開示の好ましい態様では、これらの生成物は、任意の形態のクロマトグラフィー(例えば、ガスクロマトグラフィー、HPLC、分取LC、サイズ排除クロマトグラフィーなど)による精製を包含しない反応順序で得られる。
本明細書において言及される特許、特許出願、および刊行物はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。しかし、明確な定義を含む特許、特許出願、または刊行物が参照により組み入れられる場合、それら明確な定義は、それらが見出される組み入れられた特許、特許出願、または刊行物に適用されるものであり、本出願の本文の残り、特に本出願の特許請求の範囲には適用されるものではないと理解すべきである。
本明細書において使用される「対象」は「それを必要とする対象」と互換的であり、いずれも、ウイルス感染症が役割を果たす障害を有する対象、または集団全体に比べてウイルス感染症関連の疾患もしくは障害を発生させる危険性が増加している対象を意味する。「対象」は哺乳動物を含む。哺乳動物は例えばヒトまたは適切な非ヒト哺乳動物、例えば霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、雌ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジ、またはブタでありうる。また、対象はトリまたは家禽でありうる。一態様では、哺乳動物はヒトである。
本明細書において使用される「処置すること」、「処置」、または「処置する」は、疾患、状態、または障害と戦うための患者の管理およびケアを表すものであり、疾患、状態、または障害の症状または合併症を軽減するための、あるいは疾患、状態、または障害を除去するための、本発明の多形(例えば多形II)の投与を含む。また、「処置する」という用語はインビトロでの細胞の処理、または動物モデルの処置を含みうる。
本発明の多形は、関連性のある疾患、状態、または障害を予防するために使用してもよく、そのような目的に好適な候補を同定するために使用してもよい。本明細書において使用される「予防すること」、「予防する」、または「〜に対して保護すること」は、そのような疾患、状態、または障害を減少させるか、それを寛解させるか、またはその症状もしくは合併症の発症をなくすことを表す。
本発明をその好ましい具体的な態様との関連で説明してきたが、前述の説明および後続の実施例が、本発明の範囲を例示するように意図されており、それを制限するようには意図されていないことを理解すべきである。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更を行うことができ、等価物を置き換えることができること、さらには、他の局面、利点、および修正が、本発明が属する技術分野における当業者には明らかであろうことを理解するであろう。
本明細書において使用される「結晶性」とは、本化合物が3つの空間次元の特定の結晶充填配置に結晶化されること、または本化合物が結晶外面を有することを意味する。結晶性状態の化合物はX線回折パターンにおいて明瞭な鋭いピークを示し、通常は決まった融点を示す。通常、異なる結晶形は異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学特性および電気特性、安定性、ならびに溶解度を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、貯蔵温度、および他の要因によって1つの結晶形が優勢になりうる。
本明細書において使用される「非晶質」または「非結晶性」とは、本化合物がX線回折パターンにおいて実質的なピークを示さないことを意味する。通常、非結晶性材料は決まった融点を示さない。
「溶媒和物」とは、化学量論的量または非化学量論的量の溶媒を含有する溶媒付加体を意味する。いくつかの化合物は、固定されたモル比の溶媒分子を結晶性固体中に捕捉することで溶媒和物を形成する傾向を有する。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコール和物である。水和物は、1つまたは複数の水分子と、水がその分子状態をH2Oとしてその中で保持する1つの物質との組み合わせによって形成され、そのような組み合わせは1つまたは複数の水和物を形成可能である。
本明細書において使用される「薬学的に許容される」という語句は、正しい医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用する上で好適であり、妥当なベネフィット/リスク比に相応している、化合物、原料、組成物、担体、および/または剤形を意味する。
本明細書に記載の態様の理解を促進するために、好ましい態様を参照し、それを説明するために特定の術語を使用する。本明細書において使用される用語法は、特定の態様を説明することだけが目的であり、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。本開示を通じて使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上別途明らかな指示がない限り、複数への言及を含む。したがって、例えば、「組成物」に対する言及は、複数のそのような組成物および単一の組成物を含み、「治療剤」に対する言及は、当業者に公知の1つまたは複数の治療剤および/または薬剤ならびにその等価物などに対する言及を含む。本明細書において使用されるすべてのパーセントおよび比率は、別途指示がない限り重量比である。
本明細書において「約(about)」という用語は、約(approximately)、約(in the region of)、約(roughly)、または約(around)を意味するように使用される。「約」という用語は、数値範囲との組み合わせで使用される場合、記載される数値の上下に境界を拡張することでその範囲を改変する。一般に、本明細書において「約」という用語は、記載値を上下に20%変動させることで数値を改変するために使用される。
本開示において使用される「含む(comprise(s))」および「含む(comprising)」という用語は、請求項の移行句においてであれ、本文においてであれ、非限定的な意味を有するものと解釈すべきである。すなわち、これらの用語は「少なくとも有する」または「少なくとも含む(including at least)」という語句と同義であると解釈すべきである。「含む」という用語は、方法(process)に関して使用される場合、該方法が記載の工程を少なくとも含むが、さらなる工程を含んでもよいことを意味する。「含む」という用語は、分子、化合物、または組成物に関して使用される場合、該化合物または組成物が記載の特徴または成分を少なくとも含むが、さらなる特徴または成分を含んでもよいことを意味する。
本明細書において使用されるすべてのパーセントおよび比率は、別途指示がない限り重量比である。本発明の他の特徴および利点は、異なる実施例から明らかになる。提示される実施例は、本発明を実施する上で有用な異なる成分および方法論を示す。実施例は、特許請求される発明を限定するものではない。当業者は、本開示に基づいて、本発明を実施するために有用な他の成分および方法論を同定および使用することができる。
実施例1
ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)の一般的調製
工程1
(S)-N1-[(2-ヒドロキシ-3-トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)の調製
(S)-トリチルグリシジルエーテル(56.4kg、178.22mol)、シトシン(18.0kg、162.02mol)、および炭酸カリウム(2.20kg、16.20mol)のジメチルホルムアミド(73.2kg)中スラリーを85〜95℃に加熱した。9時間後、反応混合物を66〜70℃に冷却し、トルエン(216.0kg)で反応停止させた。得られたスラリーを-10〜5℃にさらに冷却し、濾過して固体を収集した。この材料をトルエン(38.9kg)で洗浄し、トルエン(168.8Kg)に15〜25℃で再懸濁させ、再度濾過した。
残留シトシンおよびプロセス関連不純物をさらに除去するために、精製サイクルを実行した。精製サイクルでは、化合物をアセトン(36.0Kg)で洗浄した後、固体を水/アセトン(90.0kg/54.0Kg)中にて17〜22℃でトリチュレートし、最後にまたアセトン洗浄(36.0Kg)を行った。このサイクルを数回繰り返して生成物の純度を改善したが、このサイクルは少なくとも1回は行うべきである。
35〜45℃の濾過ケークのアセトン(178.9Kg)懸濁液を調製した。3時間後、反応混合物を濾過し、得られた固体をアセトン(36.0Kg)で洗浄して化合物2(45.0kg、収率65%)を得て、≦40℃で12時間減圧乾燥させた。化合物の純度をHPLC分析によって測定した(>99.0%)。化合物をNMRで分析した。NMR特性評価は化合物2の構造と一致していた。
工程2
ホスホン酸[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)-2-(トリフェニルメトキシ)エチル]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物3)の調製
化合物2(45.0kg、105.26mol)、P-[[[(4-メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]-モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステルナトリウム塩(化合物4)(66.1kg、115.79mol)、マグネシウムtert-ブトキシド(18.9kg、110.53mol)、およびジメチルホルムアミド(135.0kg)の溶液を75〜85℃で3時間加熱した。反応混合物を25〜35℃に冷却し、酢酸イソプロピル(387kg)を加えた。添加の完了後、反応混合物を15〜25℃にさらに冷却し、HCl(水溶液; 濃HCl 22.8kgを水290.8kgで希釈)およびNaCl(水溶液; 塩化ナトリウム161.10kgを水606.3kgに溶解)で抽出した。得られた有機層を減圧蒸留し、濃縮物をメタノールで2回負荷して残留酢酸イソプロピルを除去することで化合物3を得て、これをさらに精製せずに次の工程に使用した。
工程3
ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)の合成
粗化合物3濃縮物のメタノール(276.3kg)中冷却(-5〜5℃)溶液を収容する反応器に塩化水素ガス(11.7kg、320.9mol)を添加した。塩化水素ガスを反応容器中の溶媒ラインよりも下に、全体的反応温度が-5〜15℃にとどまる速度で導入した。添加の完了後、反応混合物を≦15±5℃に2時間維持した後、再度濾過した。濾液を水(408.4kg)で希釈し、反応混合物のpHをNaOH(水溶液; 50% NaOH(水)溶液29.4kgを水337.6kgで希釈)でpH=2.3〜2.7に調整した。得られた固体を濾取し、水(137.6kg)で洗浄し、アセトン(177.1kg)に35〜45℃で1時間再懸濁させた。固体を40℃で12時間乾燥させた後、最後の濾過およびアセトン洗浄(2x91.7kg)を行った。
最終工程は、粗生成物をメタノール(320.8kg)中で60〜70℃に加熱した後、以下に記載のいくつかの徐冷および濾過サイクルを行うことを包含した。
溶液を清澄濾過した後、60±2℃に冷却した。反応液を60±2℃に約2時間維持した。次に溶液を50±2℃に約6時間冷却した後、20±3℃に約2時間冷却した。
冷却溶液を濾過して溶液から固体を収集した後、メタノール(91.7kg)で洗浄した。
固体材料をメタノール(320.8kg)に60〜70℃で溶解させた。溶解した時点で、反応混合物を60±1℃でさらに20分間攪拌し、その後、化合物1の種晶ストック(390.0g)を加えた。種晶ストックの添加後、反応混合物を60℃でさらに2時間攪拌した。反応液を攪拌しながら50±3℃に次の8時間徐冷した。50℃に到達した時点で、反応温度をさらに2時間維持した。6時間にわたる最終冷却サイクルによって反応混合物を20±3℃で得て、さらに2時間攪拌した。反応混合物を濾過して固体を収集し、収集された固体をメタノールで洗浄し、≦40℃で24時間乾燥させて化合物1(41.1g、収率72.4%)を得た。産物の純度をHPLC分析によって測定したところ、>99.0%であった。DSCおよびXRPDを行った。DSCおよびXRPDデータは、II型形態を含む組成物と一致していた。
実施例2
パイロット結晶化
化合物1約5gをメタノールから結晶化した。シード添加量(最大3%)、種晶温度(56℃〜61℃)、プロセス体積(8.5〜10)、出発原料(II型対H型)、過剰含水量(メタノール:水、最大93:7)、および攪拌速度を含む、異なるプロセスパラメータの効果を、結晶化プロセスについて評価した。II型を、プロセスにII型をシード添加しなかった場合を含む各結晶化実験から回収した。各結晶化では徐冷プロセスおよび長期のスラリー期間を利用した。
SEM画像をいくつかの結晶化試料上で収集した。大部分の試料は、凝集物と非常に薄い板状粒子との組み合わせを含んでいた。観察された凝集は、既存粒子上での成長よりもむしろ微粒子の二次核生成および凝結が理由でありうる。
0.5%種晶および3%種晶を用いる結晶化により生じた粒子および凝集物において微小な差が観察された(図22および図23)。これらのロットの粒径分析は、結晶成長に利用可能な粒子数がより多い/表面積がより大きいことから、3%シード添加試料が、予想通り0.5%に比べて小さなd10値、d50値、およびd90値を有したことを示した。水和物(H型)を出発原料として使用して結晶化した試料、または結晶化中に過剰の水を含んだ試料は、比較的低い凝集度を有する試料を生じさせるようであった。含水量をより高くすることで、溶解度または誘導時間が変化した可能性があり、他の試料において観察された二次核生成および凝集が回避された可能性がある。
緩徐な攪拌によって調製された試料は、著しい凝集を依然として示した。II型を利用するシード添加工程を、型の制御のために行う。比較的小さな粒子を生成する二次核生成、凝集、および望ましくないI型の形成が、シード添加工程(サイズ、量、スラリー時間など)および冷却プロファイルの最適化によって回避される。長期のスラリー時間が含まれることで、生成されるすべてのI型がより安定なII型に変換されることが促進される。含水量を最小レベルに減少させることで、水和物の形成を促進する条件が回避される。
実施例3
化合物1のII型の合成、例えば商業的合成の方法
Figure 0006150949
工程1
(S)-4-アミノ-1-(2-ヒドロキシ-3-(トリチルオキシ)プロピル)ピリミジン-2(1H)-オン(化合物2)の合成
Figure 0006150949
代表的な材料比
Figure 0006150949
窒素雰囲気下、周囲温度で反応器にシトシン、炭酸カリウム、(S)-トリチルグリシジルエーテル、および無水N,N-ジメチルホルムアミドを添加した。反応混合物を85〜95℃に加熱し、反応が完了するまで85〜95℃に維持した後、60〜70℃に冷却した。反応混合物をトルエンで反応停止させた後、0℃に冷却し、濾過した。湿った固体をトルエン、アセトン、アセトン/水、次にアセトンで洗浄した。固体をアセトン中にて約40℃でスラリー化した後、濾過し、アセトンで洗浄し、生成物が含む溶媒が0.5%未満になるまで約40℃で減圧乾燥させた。通常の収率はシトシンに対して約65〜75理論%であった。
化合物2の調製のためのプロセスは、中間体の一貫した品質を保証するための5つのインプロセスチェックを含んだ: 1. シトシンレベルを測定することで反応が完了したことを確認する(≦5%; AUC、HPLC); 2. 単離精製化合物2中の残留シトシンを測定する(シトシンレベル≦1%; HPLC、AUC); 3. 化合物2中の残留溶媒を測定することで該残留溶媒が≦0.5%であることを保証する; 乾燥減量法; 4. 化合物2中に含まれるビス-トリチルグリシジルエーテルアルキル化不純物が≦0.10%であることを確認する(AUC、HPLC)。
工程2Aおよび2B
ホスホン酸,[[(S)-2-(4-アミノ-2-オキソ-1(2H)-ピリミジニル)-1-(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3-(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)の調製
Figure 0006150949
代表的な材料比
Figure 0006150949
窒素雰囲気下、周囲温度で、無水N,N-ジメチルホルムアミドですすいだ(2x)反応器に無水N,N-ジメチルホルムアミド、化合物2、マグネシウムジ-tert-ブトキシド、および化合物4を添加した。反応混合物を加熱し、完了まで75〜85℃に維持した。次に反応混合物を25〜35℃に冷却し、酢酸イソプロピルで希釈し、塩酸水溶液で洗浄した。水層を除去し、有機層を塩化ナトリウム溶液で2回洗浄した。有機相を濃縮し、溶媒を減圧蒸留によって酢酸イソプロピルからメタノールに切り替えた。得られた中間体(化合物3)のメタノール溶液を-5〜5℃に冷却した。塩化水素ガスを反応器に添加し、反応が完了するまで反応液を約15℃で攪拌した。次に反応混合物を濾過してすべての不溶性材料を除去した。混合物を水で反応停止させ、pHを水酸化ナトリウム溶液で約2.5に調整した。得られた固体を濾過し、水で洗浄した。固体をアセトン中にて約40℃でトリチュレートし、濾過し、アセトンで洗浄し、乾燥させた。固体をメタノールから再結晶化し、濾過し、メタノールで洗浄した。固体を再度メタノールから再結晶化し、濾過し、メタノールで洗浄した。固体をメタノールに溶解させ、II型形態の種晶ストックをシード添加した。得られた固体を濾取し、メタノールで洗浄し、残留溶媒が0.5%以下になるまで約40℃で減圧乾燥させた。化合物1のII型形態の通常の収率: 化合物2に対して65〜75理論%。
工程3
試料再結晶化手順
代表的な材料比
Figure 0006150949
パート1
メタノールからの再処理
工程2Bにより得られた固体(化合物1)を、1L丸底フラスコ中の還流MeOH(450mL、約65℃)に溶解させ、得られた透明溶液を約65℃に1時間保持し、約61℃に冷却した。
内容物を60℃で1時間攪拌した後、50℃に8時間かけて徐冷した。50℃に2時間保持した後、内容物を50℃から20℃に少なくとも6時間(終夜)かけてさらに冷却し、20℃で少なくとも2時間攪拌し、濾過した。
得られた固体をMeOH(2x25mL)で洗浄し、45℃で減圧乾燥させた。このプロセスを2回以上再度繰り返した。
パート2A
MeOH-ヘプタンからの再処理
1L三つ口丸底フラスコ中の、還流MeOH(360mL、約64℃)に溶解した化合物1(60g)の熱溶液に、内温を50℃超に維持することでn-ヘプタン(360mL)をゆっくりと加えた(40分かけて)。内容物を約55℃に30分間保持した後、40℃に6時間かけて徐冷した。
40℃で2時間攪拌した後、内容物を40℃から20℃に少なくとも6時間かけて徐冷し、20℃で少なくとも2時間攪拌した。
得られた固体を濾過し、n-ヘプタン(2x20mL)およびMeOH(2x20mL)で順次洗浄し、≦45℃で12時間減圧乾燥させて白色固体を得た。濾液を濃縮乾固させて帯黄白色固体(2.6g)を得た。
パート2B
MeOH中での型の変換(プロセスを3回行い、最後の再結晶でのみII型をシード添加する)
パート2Aにより得られた固体を、1L丸底フラスコ中の還流MeOH(450mL、約65℃)に溶解させ、得られた透明溶液を約65℃に1時間保持し、約61℃に冷却し、化合物1(1g)をシード添加した。
内容物を60℃で1時間攪拌した後、50℃に8時間かけて徐冷した。50℃に2時間保持した後、内容物を50℃から20℃に少なくとも6時間(終夜)かけてさらに冷却し、20℃で少なくとも2時間攪拌し、濾過した。
得られた固体をMeOH(2x25mL)で洗浄し、45℃で減圧乾燥させて輝白色結晶性固体(57g)を得た。およその収率: 化合物1に対して85〜95%。
化合物1の調製のためのプロセスは、中間体の一貫した品質を保証するための4つのインプロセスチェックを含んだ: 1. 化合物2の残留レベルを測定することで反応が完了したことを確認する(≦10.0%であるべきである(AUC、HPLC)); 2. 酢酸イソプロピルの含有量を測定する(酢酸イソプロピルの残留量は≦5.0%であるべきである(AUC、GC)); 3. 化合物3の残留量を測定することで反応が完了したことを保証する(≦5.0%であるべきである(AUC、HPLC)); 4. 残留アセトンの量を測定する(残留アセトンの量はLOD≦0.4%である(ガスクロマトグラフィー)); 5. 残留溶媒チェックによって最終生成物が乾燥していることを保証する(LOD≦0.4%)。
実施例4
化合物1の2回目の精製手順
使用材料
Figure 0006150949
手順
窒素雰囲気下で反応器にCMX001およびメタノールを添加した。混合物を還流温度(約65℃)に加熱し、透明溶液が形成されるまで攪拌した。温度を50℃超に維持しながら、n-ヘプタンを反応器に約40分かけてゆっくりと加えた。温度を約55℃に30分間保持した後、約40℃に6時間かけて冷却した。混合物を約40℃で2時間攪拌した後、20℃に6時間かけて冷却した。混合物を20℃で2時間攪拌した。次に混合物を濾過し、n-ヘプタンおよびメタノールで洗浄し、≦45℃で減圧乾燥させた。
得られた固体およびメタノールを窒素雰囲気下で反応器に添加した。混合物を還流温度に加熱し、少なくとも1時間攪拌した。温度を60±2℃に調整し、CMX001種晶ストック(II型形態)を反応器に加えた。混合物を60±2℃で少なくとも1時間攪拌した後、50±2℃に少なくとも8時間かけて冷却した。混合物を50±2℃で少なくとも2時間攪拌した後、20±3℃に少なくとも6時間かけて冷却した。次に混合物を20±3℃で2時間攪拌し、濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥する(残留n-ヘプタンレベルが≦5000ppmになる時点)まで≦45℃で乾燥させた。
材料が所望の純度に到達するまで、上記の再結晶工程を反復的に(例えば1回、2回、3回、またはそれ以上の回数)繰り返す。次に材料を粉砕し、包装する。
こうして生成された5g試料を試料3と称し、DSCおよびXRPD分析に供した。結果を図20〜図26に示す。収量は化合物1約36.0kg〜39.2kg(64.1〜69.8モル)(90〜98理論%)である。
精製化合物1の調製のためのプロセスは、中間体の品質を保証するための2つのインプロセスチェックを含んだ: 1. 残留n-ヘプタンが≦5000ppmであることを確認する; 2. 最終生成物が乾燥していることを確認する(LOD≦0.4%)。残留メタノール(≦300ppm)、アセトン(≦200ppm)、酢酸イソプロピル(≦200ppm)、DMF(≦200ppm)、トルエン(≦200ppm)、ヘプタン(≦5000ppm)、および水以外の総揮発物(≦6200)をGC-HSで実行した。
実施例5
化合物1のII型の特性評価
一般
実施例2に記載の方法によって単離した化合物1のII型をXRPDによって特性評価した。XRPDパターンは結晶性材料と一致していた。結晶が主に単一相で構成されているか否かを決定するために、結晶性材料を指数付けした。結晶形の1H NMR分光測定は化合物1の化学構造と一致していた。DSCサーモグラムを実行したところ、約43℃(最大ピーク)での副吸熱、続いて約90および約95℃(最大ピーク)での重複する主吸熱を示した。約196℃での開始を示す最終吸熱が観察された。ホットステージ顕微鏡法は、約189℃での流動の前に、約98℃で観察される何らかの潜在的な昇華以外の有意な観察を示さなかった。徐冷プロファイルでの、但し攪拌なしのメタノール結晶化によってもII型が形成された。攪拌なしで形成されたII型のDSCサーモグラムは、約41℃での副吸熱、約90および約95℃(最大ピーク)での重複する吸熱、ならびに約200℃での開始を示す最終吸熱を示した。
結晶化
結晶化実験を、Julabo F26冷却器/循環装置付きのMettler Toledo EasyMax(商標)102を使用して行った。結晶化を、濁度プローブ、温度プローブ、およびオーバーヘッドスターラー付きの100mLガラス反応器中で行った。EasyMax(商標)上で行った実験は非GMP条件下で行った。
EasyMaxを使用する結晶化パイロットを約5グラムスケールで実行した。各実験において、出発原料を約65℃に加熱することで溶解完了を確実にした。各実験においていくつかのプロセスパラメータを変動させたが、各結晶化においては徐冷(>9時間)プロファイルを使用した。シード添加を利用した実験では、手作業で磨砕したII型の種晶を使用した。固体を減圧濾過によって単離し、真空オーブン中にて約40℃〜約48℃で乾燥させた。
示差走査熱量測定(DSC)
DSCをTA Instruments Q2000示差走査熱量計を使用して行った。温度の較正をNIST追跡可能なインジウム金属を使用して行った。試料をアルミニウムDSCパンに入れ、蓋で覆い、重量を正確に記録した。試料パンとして構成された秤量アルミニウムパンをセルの基準側面に置いた。サーモグラム上の方法コードは、開始温度および終了温度ならびに加熱速度の略語である。例えば-30-250-10とは「-30℃〜250℃、10℃/分で」を意味する。例えば図4を参照。
ホットステージ顕微鏡法(HSM)
ホットステージ顕微鏡法を、SPOT Insight(商標)カラーデジタルカメラを備えたLeica DM LP顕微鏡上に装着されたLinkamホットステージ(FTIR 600)を使用して行った。温度較正をUSP融点標準物質を使用して行った。試料をカバーガラス上に置き、第2のカバーガラスを試料の上に置いた。ステージを加熱する際に、各試料を、交差偏光子および一次赤色補償板付きの10倍または20倍対物レンズを使用して目視した。画像をSPOTソフトウェア(v. 4.5.9)を使用して取り込んだ。
走査型電子顕微鏡法(SEM)
SEMを、Everhart Thornley(ET)検出器を備えたFEI Quanta 200走査型電子顕微鏡を使用して行った。画像をそれぞれxTm(v. 2.01)およびXT Docu(v. 3.2)ソフトウェアを使用して収集および解析した。倍率はNIST追跡可能な標準物質を使用して確認した。各試料を、アルミニウム台に支持された炭素粘着タブ上に少量を置くことで、分析用に用意した。次に、各試料に、Cressington 108auto Sputter Coaterを約20mAおよび0.13mbar(Ar)で75秒間使用してAu/Pdをスパッタコーティングした。各試料をビーム電圧5.0kVを使用して高真空下で観察した。各画像について報告された倍率は、最初のデータ取得時に計算されたものである。各画像の下側部分において報告されたスケールバーは、リサイズの時点で正確であり、サイズ測定を行う際に使用すべきである。
X線粉末回折(XRPD)
図1、2、10、12〜14、および16〜17に示すXRPDパターンを、Pattern Match 2.3.6を使用して作成した。XRPDパターンを、反射配置または透過配置のPANalytical X'Pert PRO MPD回折計によって収集した。反射配置では、回折計をBragg-Brentano対称配置を使用して構成し、CuKα線の入射ビームをロングファインフォーカス放射源およびニッケルフィルターを使用して生成した。試料の試験片を、ゼロバックグラウンドケイ素基材上の薄い円形の層として用意した。散乱防止スリット(SS)を使用して、空気により生じるバックグラウンドを最小化した。透過配置では、回折計は、Optixロングファインフォーカス放射源を使用して生成されたCu線の入射ビームを使用した。多層膜楕円ミラーを使用することで、試験片を通じて検出器上にCuKα X線の焦点を合わせた。試料の試験片を3μm厚フィルムの間に挟み込み、透過配置で分析した。ビームストップ、散乱防止用の短い延長部、および散乱防止ナイフエッジを使用して、空気により生じるバックグラウンドを最小化した。本試験を通じて透過配置を最も頻繁に使用した。いずれの構成でも、分析前に、ケイ素試験片(NIST SRM 640d)を分析してSi 111ピーク位置を確認した。入射ビームおよび回折ビーム用のソーラスリットを使用して軸発散の広がりを最小化した。回折パターンを、試料から240mmに位置する走査型位置感応検出器(X'Celerator)、およびData Collectorソフトウェアv. 2.2bを使用して収集した。
Anton Paar TTK 450ステージを使用してインサイチュXRPDパターンを温度関数として収集した。試料を、試料ホルダーの直下に位置する抵抗加熱器で加熱し、温度を、試験片ホルダーに位置するplatinum-100抵抗センサでモニタリングした。加熱器は、Data Collectorとインターフェース接続されたAnton Paar TCU 100によって駆動され、制御された。
図20、図21、および図25に示すXRPDパターンを、PANalytical X'Pert PRO MPD回折計によって、Optixロングファインフォーカス放射源を使用して生成されたCu線の入射ビームを使用して収集した。多層膜楕円ミラーを使用することで、試験片を通じて検出器上にCuKα X線の焦点を合わせた。分析前に、ケイ素試験片(NIST SRM 640d)を分析して、Si 111ピークの観察位置がNIST認証位置と一致していることを確認した。試料の試験片を3μm厚フィルムの間に挟み込み、透過配置で分析した。ビームストップ、散乱防止用の短い延長部、および散乱防止ナイフエッジを使用して、空気により生じるバックグラウンドを最小化した。入射ビームおよび回折ビーム用のソーラスリットを使用して軸発散の広がりを最小化した。回折パターンを、試験片から240mmに位置する走査型位置感応検出器(X'Celerator)、およびData Collectorソフトウェアv. 2.2bを使用して収集した。PatternMatch v2.3.6を使用して図25を作り出した。
計算的技術
XRPD指数付け
XRPDパターンを、X-Pert High Score Plus (v.2.2.1)を使用して指数付けした。指数付けおよび構造精密化は、「SSCIの非cGMP活動のための手順」に基づいて行った計算的試験である。許容されたピーク位置と観察されたピークとの一致は、矛盾のない単位格子の決定を示した。パターンの指数付けの成功は、試料が主に単一の結晶相で構成されていたことを示した。割り当てられた消光記号、単位格子パラメータ、および導出された量と一致する、空間群を各図面において表にすることで、各型の指数付けの解を示した。仮の指数付けの解を確認するために、結晶単位格子内の分子充填モチーフを決定する。
XRPDピーク同定
大部分の状況下では、約30°2θまでの範囲内のピークを選択した。データおよび/または固有のピーク分解能を収集するために使用する機器に応じて、各ピークを最も近い0.1°または0.01°2θに丸めるために丸めアルゴリズムを使用した。図面および表の両方におけるX軸に沿ったピークの位置(°2θ)をプロプライエタリ・ソフトウェアを使用して決定し、小数点後の1つまたは2つの有効桁に丸めた。d間隔リスト作成において、d間隔を計算するために使用した波長は、Cu-Kα1およびCu-Kα2波長の加重平均である1.541874Åとした。
d間隔推定値に関連する変動可能性を、各d間隔においてUSPの推奨により計算し、各データ表に示した。USPガイドラインによれば、変動可能性のある水和物および溶媒和物は0.2°2θを超えるピーク分散を示すことがあり、したがって、0.2°2θのピーク分散はこれらの材料に当てはまらなかった。1つのXRPDパターンしか有さず、試料が粉末平均の良い近似値を示すか否かを評価する他の手段がない、試料に関しては、ピーク表は、「顕著なピーク」として同定されたデータのみを含む。これらのピークは、観察されたピークのリスト全体のサブセットであった。高い強度を有する好ましくは非重複の低角度ピークを同定することで、観察されたピークから顕著なピークを選択した。
粒径分析(PSA)
粒径データを、Hydro2000μP分散ユニットを備えたMalvern Instruments Mastersizer 2000を使用して取得した。データを、体積ベースの測定を用いるMastersizer 2000ソフトウェア(v. 5.60)を使用して収集し、解析した。NIST追跡可能なガラスビーズを使用して機器を適格性評価した。
単離された結晶形IIに対して粒径分析および走査型電子顕微鏡法(SEM)を行った。SEM画像は、化合物1のII型について大きな凝集物をより小さな板状粒子と共に示した(図22〜図25)。大部分の試料は、約6〜10μmでの小さな粒子のモードおよび約60〜160μmでのより大きなモードを伴う双峰分布を示した。粒子の粒径は試料の種類に応じて異なった。3つの試料をSEMおよび粒径分析によって特性評価した。これらは出発原料; メタノール再結晶材料; および再結晶バッチ約45kgからの共粉砕材料を含んだ。
出発原料は、比較的小さな板状物で構成される凝集物(約100μm)を含んだ。出発原料の粒径分布は双峰性であった。メタノール再結晶試料は、比較的大きな一次粒子、凝結のない何らかの凝集、および単一の粒径モードを含んだ。共粉砕試料は、メタノール再結晶試料と類似のものであったが、それよりもわずかに小さな粒径分布を示した。これは、粉砕工程中にごく軽微な粒子摩損が生じたことを示唆した。また、SEM画像は、粒子の形態(morphology)に基づく小さな摩損を示唆した。
実施例6
薬品試料の特性評価
XRPDおよびDSC分析を化合物1の錠剤の2つの試料について完了した。分析前に、錠剤を乳鉢および乳棒を使用して軽く磨砕した。2つの錠剤試料は非常に類似したXRPDパターンを示した(図16および図17参照)。これは、潜在的には1つまたは複数の賦形剤からのものである散漫散乱を示す結晶性材料を示している。両錠剤試料において、I型、II型、およびH型との比較は、II型と一致するいくつかのピークを示した(図14)。両錠剤試料のDSCサーモグラム(図18および図19)は、約90℃および約95℃(最大ピーク)での重複する副吸熱、ならびに約165℃での開始を示す主吸熱を示した。2つの副吸熱は、II型について観察された吸熱と一致していたが、II型は、いずれの試料でも観察されなかった約196℃での大きな吸熱も示した。図18および図19と図4とを比較されたい。
実施例7
化合物1のII型の安定型スクリーニング
固形スクリーニング実験の設計を支援するために、溶解度の推定を、II型を様々な溶媒系中で周囲温度および高温で使用して完了した。試験した各溶媒において、概して低い溶解度が観察された。トリフルオロエタノールにおいて溶解度5mg/mL超が観察された。スラリーを種々の溶媒系中に設定することで、化合物1の安定な型、および化合物1が安定な溶媒和物を形成する潜在能力を決定した。スラリーをII型を使用して調製し、各スラリーにI型をシード添加した。各スラリーを約2週間攪拌し、大部分のスラリーは室温で処理したが、いくつかのスラリーは周囲温度以下の温度および高温(約45℃)で処理した。II型を各無水溶媒系中で回収した。いくつかの試料は、おそらくは溶解度の限界により変換速度が低かったことから、II型中に微量のI型を示した。水性溶媒系中の各スラリーは、水和形であるH型に変換されたことがわかった。潜在的なメタノール溶媒和物を含む新たな型の証拠は観察されなかった。また、I型およびII型の混合物で出発する相互変換試験をメタノール中にて室温および約45℃で実行した。これらの実験から回収された固体はII型と一致していることがわかった。このことは、II型が室温〜約45℃で最も安定な無水形であることを示唆している。
実施例8
メタノール溶解度および準安定域
溶解度測定
試験溶媒または試験溶媒混合物のアリコートを化合物1の秤量試料に加えた。添加と添加との間に、溶解を促進するために試料を必要に応じて超音波処理した。各溶媒中の試験材料の溶解完了を目視により判定した。溶解度を、溶解完了を実現するために必要な溶媒の総量に基づいて推定した。溶媒の漸増添加および材料の溶解反応速度が理由で、実際の溶解度は計算値よりも大きいことがある。溶解度は、溶解が実験中に生じなかった場合は「〜未満」、溶解が第1のアリコートの添加後に生じた場合には「〜超」として表される。本開示の「詳細な説明」中の「溶解度」の節の表2および説明を参照されたい。
等価物
本発明の真意または本質的特性を逸脱することなく、本発明を他の特定の形態で具現化することができる。したがって、前述の態様は、すべての点において、本明細書に記載の本発明に関して限定的というよりもむしろ例示的であると見なすべきである。したがって、本発明の範囲は前述の記載よりもむしろ添付の特許請求の範囲により示されるものであり、特許請求の範囲と等価の意味および範囲内にあるすべての変更は特許請求の範囲に包含されるように意図されている。

Claims (19)

  1. 約2.81、約5.63、約19.57、および約24.70°2θでのピークを含むX線回折パターンを特徴とする、ホスホン酸,[[(S)−2−(4−アミノ−2−オキソ−1(2H)−ピリミジニル)−1−(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3−(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のII型形態の結晶
  2. 2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される個以上のピークを有するX線回折パターンを特徴とする、請求項1記載のII型形態の結晶
  3. 図1
    Figure 0006150949
    、図7
    Figure 0006150949
    または図20
    Figure 0006150949

    に記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを特徴とする、請求項1記載のII型形態の結晶
  4. 図4
    Figure 0006150949
    に記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを特徴とする、請求項1記載のII型形態の結晶
  5. (S)−N−[(2−ヒドロキシ−3−トリフェニルメトキシ)プロピル]シトシン(化合物2)、P−[[[4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]−,モノ[3−(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル,ナトリウム塩(化合物4)と、マグネシウムtert−ブトキシドおよび好適な有機溶媒とを組み合わせる工程、ならびに
    3%未満の水を含むメタノールから結晶化する工程
    を含む、請求項1記載のホスホン酸,[[(S)−2−(4−アミノ−2−オキソ−1(2H)−ピリミジニル)−1−(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3−(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステルのII型形態の結晶を調製する方法。
  6. II型形態の結晶が、約99重量/重量%以上の純度である、請求項記載の方法。
  7. II型形態の結晶が、2.81、5.63、11.30、12.05、13.22、13.45、13.81、14.32、14.92、15.64、16.25、16.41、17.00、17.67、17.87、18.15、18.35、18.50、19.00、19.57、19.85、20.22、20.96、21.06、21.89、22.76、23.70、23.95、24.32、24.70、25.54、26.12、26.52、26.81、27.07、27.48、27.71、29.11、29.36、および29.61より選択される°2θ(±0.2)で表される個以上のピークを有するX線回折パターンを特徴とする、請求項記載の方法。
  8. II型形態の結晶が、図1
    Figure 0006150949
    、図7
    Figure 0006150949
    または図20
    Figure 0006150949
    記載のものと実質的に同様のX線回折パターンを特徴とする、請求項記載の方法。
  9. II型形態の結晶が、図4
    Figure 0006150949
    記載のものと実質的に同様のDSCサーモグラムを特徴とする、請求項記載の方法。
  10. 約0.5重量/重量%、約3重量/重量%、または約7重量/重量%の化合物1の種晶をシード添加する工程をさらに含む、請求項記載の方法。
  11. 種晶が請求項1記載のII型形態の結晶または、約15.6°2θでのX線回折ピークを有するI型形態の結晶である、請求項10記載の方法。
  12. 約41〜43℃での吸熱、約90および約95℃での重複する吸熱、ならびに約196℃での吸熱を示すDSCサーモグラムを特徴とする、請求項1記載のII型形態の結晶
  13. 約1.5重量/重量%未満のホスホン酸,[[(S)−2−(4−アミノ−2−オキソ−1(2H)−ピリミジニル)−1−(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3−(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のH型形態の結晶、I型形態の結晶、および/または非晶形を含有することを特徴とする、請求項1記載のII型形態の結晶を含む組成物であって、
    H型形態の結晶が約12.6°2θでのX線回折ピークを有し、I型形態の結晶が約15.6°2θでのX線回折ピークを有する、組成物
  14. 約2重量/重量%未満の以下のいずれかの化合物:
    Figure 0006150949
    およびそれらの組み合わせを含有することを特徴とする、請求項1記載のII型形態の結晶を含む組成物。
  15. 約2重量/重量%未満の総不純物を含有することを特徴とする、請求項1記載のII型形態の結晶を含む組成物。
  16. 請求項1記載のII型形態の結晶、並びにホスホン酸,[[(S)−2−(4−アミノ−2−オキソ−1(2H)−ピリミジニル)−1−(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]モノ[3−(ヘキサデシルオキシ)プロピル]エステル(化合物1)のI型形態の結晶、およびH型形態の結晶を含む、成物であって、
    H型形態の結晶が約12.6°2θでのX線回折ピークを有し、I型形態の結晶が約15.6°2θでのX線回折ピークを有する、組成物
  17. 90重量/重量%超のII型形態の結晶を含む、請求項16記載の組成物。
  18. 10重量/重量%未満のI型形態の結晶およびH型形態の結晶を含む、請求項16記載の組成物。
  19. 99%超の純度である、請求項1記載のII型形態の結晶
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