前述のように、操作者が、ジェスチャ検出領域において指でジェスチャを行っている最中に誤って指を当該ジェスチャ検出領域に隣接するタッチ検出領域に接触させてしまう場合があり、この場合には、操作者の意図に反してタップが検出されてしてしまうのを防止する必要がある。
ところで、車載用のタッチパネル装置の場合、タッチパネルと操作者との位置関係に起因する視差、車両の振動、又は運転操作をしながらタッチパネルに対する操作を行う運転者にかかる負荷等によって、運転者がタッチパネルに対して意図した位置とは異なる位置に指等を接触させてしまうことがある。
ここで、このような車載用のタッチパネル装置に特許文献1に開示されている技術を適用した場合を考える。この場合、車載用のタッチパネル装置は、ドラッグ検出領域でドラックを検出したことだけでタップ検出領域のアイコンを非表示にする処理を行うようになるため、タップを行おうとする運転者が誤ってドラック検出領域に指を接触させてしまうと、タップ検出領域のアイコンを非表示としタップを検出しなくなってしまう。これは、運転者が意図しているタップの操作を必要以上に制限する結果となる。
よって、特許文献1に開示されている技術は、操作者の意図に反してタップを検出してしまうのを防止することができる反面、運転者が意図しているタップの操作を必要以上に制限してしまう恐れがある。
本発明の目的は、操作者が意図している操作を必要以上に制限しないようにすることである。
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、情報を画面に表示するとともに前記画面に操作者が接触された接触物の接触状態を検出するタッチパネルを有して前記タッチパネルへの接触状態に応じた処理を行うタッチパネル装置であって、前記画面には、当該画面に対する前記接触物の接触状態を基に操作者による第1の操作を検出するための第1の領域と、前記第1の領域とは位置が異なる領域であって当該画面に対する前記接触物の接触状態を基に前記操作者による第2の操作を検出するための第2の領域とが設けられ、前記第1の操作は、前記接触物を前記画面に接触させてその接触を維持したまま当該接触物を移動させる操作であり、前記第2の操作は、前記画面ヘの前記接触物の接触だけで当該接触物の移動を伴わない操作であり、前記タッチパネルが前記第1の領域で検出した前記第1の操作に応じた処理を行う第1の処理部と、前記タッチパネルが前記第2の領域で検出した前記第2の操作に応じた処理を行う第2の処理部と、前記タッチパネルが前記第1の領域で検出した前記接触物の接触状態を基に、前記第1の領域で行われた前記操作者による操作が前記第1の操作である可能性を示す指標となる値であり、当該操作者による操作を判定するための第1判定値を算出する第1判定値算出部と、前記第1判定値算出部が算出した第1判定値を基に前記第2の領域での前記第2の操作の検出を無効にする無効化部と、を有することを特徴とするタッチパネル装置を提供する。
本発明の第2の態様では、前記第1判定値算出部は、前記接触物が前記タッチパネルに接触してその接触が維持されて移動しているときの最初の接触時点からの経過時間、又は前記接触物が前記タッチパネルに接触してその接触が維持されて移動しているときの移動を開始した時点からの経過時間を基に前記第1判定値を算出することが好ましい。
本発明の第3の態様では、前記第1判定値算出部は、前記接触物が前記第1の領域に最初に接触した位置からその接触が維持されたまま前記接触物が移動している移動距離を基に前記第1判定値を算出することが好ましい。
本発明の第4の態様では、前記第1判定値は、前記第1の領域で行われた前記操作者による操作が、前記接触物が前記第1の領域に接触した後にその接触を維持したまま移動して前記接触物が前記第2の領域に接触するような操作である可能性を示す指標となる値であることが好ましい。
本発明の第5の態様では、前記第1判定値算出部は、前記第1の領域での前記接触物が最初に接触した位置と前記第2の領域との距離を基に前記第1判定値を算出することが好ましい。
本発明の第6の態様では、前記操作者による前記第2の操作に反応する表示を前記第2の領域に行う表示処理部と、前記第1判定値算出部が算出した第1判定値を基に前記表示処理部による前記第2の領域への前記表示を止める表示禁止部とをさらに有することが好ましい。
本発明の第7の態様では、前記表示禁止部が前記第2の領域への前記表示を止める場合、前記第1の領域を前記第2の領域まで拡張する領域拡張部をさらに有することが好ましい。
本発明の第8の態様では、前記第1判定値算出部が算出した第1判定値が予め設定されている第1しきい値に達しているか否かを判定する第1判定部をさらに有し、前記無効化部は、前記第1判定部の判定結果を基に、前記第2の領域での前記第2の操作の検出を無効にすることが好ましい。
本発明の第9態様は、情報を画面に表示するとともに前記画面に操作者が接触された接触物の接触状態を検出するタッチパネルを有して前記タッチパネルへの接触状態に応じた処理を行うタッチパネル装置であって、前記画面には、当該画面に対する前記接触物の接触状態を基に操作者による第1の操作を検出するための第1の領域と、前記第1の領域とは位置が異なる領域であって当該画面に対する前記接触物の接触状態を基に前記操作者による第2の操作を検出するための第2の領域とが設けられ、前記第1の操作は、前記接触物を前記画面に接触させてその接触を維持したまま当該接触物を移動させる操作であり、前記第2の操作は、前記画面ヘの接触だけで前記接触物の移動を伴わない操作であり、前記タッチパネルが前記第1の領域で検出した前記第1の操作に応じた処理を行う第1の処理部と、前記タッチパネルが前記第2の領域で検出した前記第2の操作に応じた処理を行う第2の処理部と、前記タッチパネルが前記第1の領域で検出した前記接触物の接触状態を基に、前記第2の領域での前記第2の操作の検出を無効化する無効化部と、前記タッチパネルが前記第1の領域で検出した前記接触物の接触状態を基に、前記接触物が前記画面と非接触となることで前記第1の操作が完了した後の前記操作者による操作を判定するための第2判定値を算出する第2判定値算出部と、前記第1の領域で前記第1の操作が行われている期間中に前記無効化部が前記第2の領域での前記第2の操作の検出を無効化している場合、前記第2判定値算出部が算出した第2判定値を基に、当該無効化している状態を前記第1の操作が完了した後も維持する無効化維持部と、を有することを提供する。
本発明の第10の態様では、前記第2判定値は、前記第1の操作が完了した後の前記操作者による操作が、前記操作者が前記第1の操作を繰り返すときに意図に反して前記第2の領域に前記接触物を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となる値であることが好ましい。
本発明の第11の態様では、前記第2判定値算出部は、前記第1の操作が完了して前記第1の領域において前記接触物が非接触となった位置と前記第2の領域との距離を基に前記第2判定値を算出することが好ましい。
本発明の第12の態様では、前記第2判定値算出部は、前記完了した前記第1の操作において前記接触物が最初に接触した前記第1の領域における位置と前記第2の領域との距離を基に前記第2判定値を算出することが好ましい。
本発明の第13の態様では、前記第2判定値は、前記第1の操作が完了した後の前記操作者による操作が、再度前記第1の操作となる可能性を示す指標となる値であることが好ましい。
本発明の第14の態様では、前記第2判定値算出部は、前記完了した前記第1の操作において前記第1の領域に前記接触物が最初に接触した時点から非接触となった時点までの時間、又は前記完了した第1の操作において前記第1の領域に前記接触物が接触して移動を開始した時点から非接触となった時点までの時間を基に前記第2判定値を算出することが好ましい。
本発明の第15の態様では、前記第2判定値算出部は、前記完了した前記第1の操作において前記接触物が前記第1の領域に接触して移動しその後非接触となったときの前記接触物が最初に接触した位置から非接触となる位置までの移動距離を基に前記第2判定値を算出することが好ましい。
本発明の第16の態様では、前記操作者による前記第2の操作に反応する表示を前記第2の領域に行う表示処理部と、前記表示処理部による前記第2の領域への前記表示を止める表示禁止部と、前記第1の領域で前記第1の操作が行われている期間中に前記表示禁止部が前記表示を止めている場合に、前記第2判定値算出部が算出した第2判定値を基に、当該止めている状態を前記第1の操作が完了した後も維持する表示禁止維持部とをさらに有することが好ましい。
本発明の第17の態様では、前記表示禁止維持部が前記第2の領域への前記表示を止めていることを維持している場合、前記第1の領域を前記第2の領域まで拡張する領域拡張部をさらに有することが好ましい。
本発明の第18の態様では、前記第2判定値算出部が算出した第2判定値を基に前記第1の操作の完了時点から前記無効化している状態を維持する時間を算出する維持時間算出部をさらに有し、前記無効化維持部は、前記第1の操作の完了時点から前記維持時間算出部が算出した時間だけ前記無効化している状態を維持することが好ましい。
本発明の第19の態様では、前記第2判定値算出部が算出した第2判定値が予め設定されている第2しきい値に達しているか否かを判定する第2判定部をさらに有し、前記無効化維持部は、前記第2判定部の判定結果を基に、前記無効化している状態を第1の操作が完了した後も維持することが好ましい。
本発明の第1の態様によれば、タッチパネル装置は、タッチパネルが第1の領域で検出した接触物の接触状態に基づき算出した第1判定値を基に、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を無効にするため、操作者が第1の領域で接触物を移動させすぎて第2の領域まで誤って接触物を移動させてしまうような接触物の接触状態のときに、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を無効にできる。この結果、タッチパネル装置は、操作者が第1の領域で接触物を移動させすぎて第2の領域まで誤って接触物を移動させてしまい、このような操作者による操作が第2の領域で行われた第2の操作として誤って検出されてしまうのを防止できる。
また、本発明の第1の態様によれば、タッチパネル装置は、タッチパネルが第1の領域で検出した接触物の接触状態に基づき算出した第1判定値によっては、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を有効にすることができる。そのため、操作者が第1の領域で接触物を移動させても第2の領域まで接触物を移動させてしまわないような接触物の接触状態のときには、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を無効にせずに有効なものとして扱うことができる。また、タッチパネル装置は、例えば、第1の領域に接触物を接触させるだけで移動を伴わないような接触物の接触状態のときに、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を有効なものとして扱うことができるため、操作者が第2の操作を誤って第1の領域で行った場合でもその後やり直す第2の領域への第2の操作を無効にすることなく検出することができる。この結果、タッチパネル装置は、必要以上に第2の操作を制限してしまうのを防止できる。
本発明の第1の態様によれば、タッチパネル装置は、タッチパネルの第1の領域で行われた操作者による操作が第1の操作である可能性を示す指標となるように第1判定値を算出し、算出した第1判定値を基にタッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を無効にする。これによって、タッチパネル装置は、タッチパネルの第1の領域で行われた操作者による操作が第1の操作である可能性が高いことを第1判定値が示すときに、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を無効にできる。また、タッチパネル装置は、タッチパネルの第1の領域で行われた操作者による操作が第1の操作である可能性が低いことを第1判定値が示すときに、第2の領域での第2の操作の検出を無効にせずに有効なものとして扱うことができる。
本発明の第2の態様によれば、タッチパネル装置は、タッチパネルへの接触物の接触開始時点からの経過時間又は接触物の移動開始時点からの経過時間を基に第1判定値を算出することによって、タッチパネルの第1の領域で行われた操作者による操作が第1の操作である可能性を示す指標となる第1判定値を簡易に算出できる。
例えば、前記経過時間が長いほど第1の操作である可能性が高く、第1判定値は、このような経過時間を基に算出されることで、タッチパネルの第1の領域で行われた操作者による操作が第1の操作である可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
本発明の第3の態様によれば、タッチパネル装置は、タッチパネルの第1の領域での接触物の接触開始位置からの接触物の移動距離を基に第1判定値を算出することによって、タッチパネルの第1の領域で行われた操作者による操作が第1の操作である可能性を示す指標となる第1判定値を簡易に算出できる。
例えば、前記移動距離が長いほど第1の操作である可能性が高く、第1判定値は、このような移動距離を基に算出されることで、タッチパネルの第1の領域で行われた操作者による操作が第1の操作である可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
本発明の第4の態様によれば、タッチパネル装置は、タッチパネルの第1の領域で行われた操作者による操作が、接触物がタッチパネルの第1の領域に接触した後にその接触を維持したまま移動して接触物が第2の領域に接触するような操作である可能性を示す指標となるように第1判定値を算出し、算出した第1判定値を基にタッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を無効にする。
これによって、タッチパネル装置は、タッチパネルの第1の領域で行われた操作者による操作が、接触物がタッチパネルの第1の領域に接触した後にその接触を維持したまま移動して接触物が第2の領域に接触するような操作である可能性が高いことを第1判定値が示すときに、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を無効にできる。また、タッチパネル装置は、タッチパネルの第1の領域で行われた操作者による操作が、接触物がタッチパネルの第1の領域に接触した後にその接触を維持したまま移動して接触物が第2の領域に接触するような操作である可能性が低いことを第1判定値が示すときに、第2の領域での第2の操作の検出を無効にせずに有効なものとして扱うことができる。
本発明の第5の態様によれば、タッチパネル装置は、第1の領域での接触物が最初に接触した位置と第2の領域との距離を基に第1判定値を算出することによって、第1の領域で行われた操作者による操作が、接触物が第1の領域に接触した後にその接触を維持したまま移動して接触物が第2の領域に接触するような操作である可能性を示す指標となる第1判定値を簡易に算出できる。
例えば、前記距離が長いほど、例えば操作者が意図して第1の操作を第2の領域から離れた位置で行っている可能性が高いなどの理由から、接触物が第1の領域に接触した後にその接触を維持したまま移動して接触物が第2の領域に接触する可能性が低く、第1判定値は、このような距離を基に算出されることで、タッチパネルの第1の領域で行われた前記操作者による操作が、接触物がタッチパネルの第1の領域に接触した後にその接触を維持したまま移動して接触物が第2の領域に接触するような操作である可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
本発明の第6の態様によれば、タッチパネル装置は、第1判定値を基に、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を無効にするとともに第2の操作に反応する表示を第2の領域に行わないようにすることができる。これによって、操作者は、その表示が無いことで、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出が無効となっていることを知ることができる。
また、本発明の第6の態様によれば、タッチパネル装置は、第1判定値によっては、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を有効にするとともに第2の操作に反応する表示を第2の領域に行うことがきる。これによって、操作者は、その表示が有ることで、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出が有効となっていることを知ることができる。
本発明の第7の態様によれば、タッチパネル装置は、第1の領域を第2の領域まで拡張することで、第1の領域において1回の第1の操作でできる操作量を増加させることができる。
本発明の第8の態様によれば、タッチパネル装置は、第1判定値と予め設定されている第1しきい値とを比較するといった簡単な判定処理によって、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を無効にすることや有効なものとして扱うのを維持することができる。
本発明の第9の態様によれば、タッチパネル装置は、タッチパネルの第1の領域で第1の操作が行われている期間中に無効化部が第2の領域での第2の操作の検出を無効化している場合、タッチパネルが第1の領域で検出した接触物の接触状態を基に、当該無効化している状態を前記第1の操作が完了した後も維持できる。これによって、タッチパネル装置は、操作者が第1の操作が完了した後に再び第1の操作を行おうとしているにもかかわらず、操作者が第1の操作が完了した後に誤って第2の領域に接触物を接触させてしまい、このような操作者による操作が第2の領域で行われた第2の操作として誤って検出されてしまうのを防止できる。
また、本発明の第9の態様によれば、タッチパネル装置は、タッチパネルの第1の領域で第1の操作が行われている期間中に無効化部が第2の領域での第2の操作の検出を無効化している場合、タッチパネルが第1の領域で検出した接触物の接触状態によっては、当該無効化している状態を第1の操作の完了時点で止めてタッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を有効なものとして扱うこともできる。これによって、タッチパネル装置は、操作者が第1の操作後に意図して行う第2の操作を第2の領域で検出することができるため、必要以上に第2の操作の検出を制限してしまうのを防止できる。
本発明の第10の態様によれば、タッチパネル装置は、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、操作者が第1の操作を繰り返すときに意図に反して第2の領域に接触物を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となるように第2判定値を算出し、算出した第2判定値を基に、第2の領域での第2の操作の検出を無効化している状態を第1の操作が完了した後も維持する。
これによって、タッチパネル装置は、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、操作者が第1の操作を繰り返すときに意図に反して第2の領域に接触物を接触させてしまうような操作である可能性が高いことを第2判定値が示すときに、第2の領域での第2の操作の検出を無効化している状態を第1の操作が完了した後も維持することができる。また、タッチパネル装置は、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、操作者が第1の操作を繰り返すときに意図に反して第2の領域に接触物を接触させてしまうような操作である可能性が低いことを第2判定値が示すときに、第2の領域での第2の操作の検出を無効化している状態を第1の操作の完了時点で止めてタッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を有効なものとして扱うこともできる。
本発明の第11の態様によれば、タッチパネル装置は、第1の操作が完了してタッチパネルの第1の領域において接触物が非接触となった位置と第2の領域との距離を基に第2判定値を算出することによって、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、操作者が第1の操作を繰り返すときに意図に反して第2の領域に接触物を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となる第2判定値を簡易に算出できる。
例えば、操作者は、第1の操作を繰り返す場合、第1の操作の完了時に接触物が非接触となった位置の近くで接触物を再び接触させて第1の操作を行う可能性が高い。このようなことから、第1の操作が完了して接触物が非接触となった位置と第2の領域との距離が短いほど、操作者は、第1の操作の完了後に再び行う第1の操作において接触物を第2の領域で接触させてしまう可能性が高くなる。よって、第2判定値は、このような距離を基に算出されることで、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、操作者が第1の操作を繰り返すときに意図に反して第2の領域に接触物を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
本発明の第12の態様によれば、タッチパネル装置は、完了した第1の操作において接触物が最初に接触したタッチパネルの第1の領域における位置と第2の領域との距離を基に第2判定値を算出することによって、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、操作者が第1の操作を繰り返すときに意図に反して第2の領域に接触物を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となる第2判定値を簡易に算出できる。
例えば、操作者は、第1の操作を繰り返す場合、前回の第1の操作での接触物の接触開始位置と同じ位置で今回の第1の操作で接触物を最初に接触させる可能性が高い。このようなことから、完了した第1の操作において接触物が最初に接触した位置と第2の領域との距離が短いほど、操作者は、第1の操作の完了後に再び行う第1の操作において接触物を第2の領域で接触させてしまう可能性が高くなる。よって、第2判定値は、このような距離を基に算出されることで、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、操作者が第1の操作を繰り返すときに意図に反して第2の領域に接触物を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
本発明の第13の態様によれば、タッチパネル装置は、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、再度第1の操作となる可能性を示す指標となるように第2判定値を算出し、算出した第2判定値を基に第2の領域での第2の操作の検出を無効化している状態を第1の操作が完了した後も維持する。
これによって、タッチパネル装置は、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、再度第1の操作となる可能性が高いことを第2判定値が示すときに、第2の領域での第2の操作の検出を無効化している状態を第1の操作が完了した後も維持することができる。また、タッチパネル装置は、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、再度第1の操作となる可能性が低いことを第2判定値が示すときに、第2の領域での第2の操作の検出を無効化している状態を第1の操作の完了時点で止めてタッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を有効なものとして扱うこともできる。
本発明の第14の態様によれば、タッチパネル装置は、完了した第1の操作においてタッチパネルの第1の領域に接触物が最初に接触した時点から非接触となった時点までの時間、又は完了した第1の操作においてタッチパネルの第1の領域に接触物が接触して移動を開始した時点から非接触となった時点までの時間を基に第2判定値を算出することによって、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、再度第1の操作となる可能性を示す指標となる第2判定値を簡易に算出できる。
例えば、完了した第1の操作においてタッチパネルに接触物が最初に接触した時点から非接触となった時点までの時間が長いほど、例えば第1の操作が未完了となっている可能性が高いなどの理由から、操作者が再度第1の操作を行う可能性が高い。また、完了した第1の操作においてタッチパネルに接触物が接触して移動を開始した時点から非接触となった時点までの時間が長いほど、例えば第1の操作が未完了となっている可能性が高いなどの理由から、操作者が再度第1の操作を行う可能性が高い。このようなことから、第2判定値は、このような時間を基に算出されることで、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、再度第1の操作となる可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
本発明の第15の態様によれば、タッチパネル装置は、完了した第1の操作において接触物がタッチパネルの第1の領域に接触して移動しその後非接触となったときの接触物が最初に接触した位置から非接触となる位置までの移動距離を基に第2判定値を算出することによって、第1の操作が完了した後の操作者による操作が、再度第1の操作となる可能性を示す指標となる第2判定値を簡易に算出できる。
例えば、完了した第1の操作において接触物がタッチパネルに接触して移動しその後非接触となったときの接触物が最初に接触した位置から非接触となる位置までの移動距離が長いほど、例えば第1の操作が未完了となっている可能性が高いなどの理由から、操作者が再度第1の操作を行う可能性が高い。このようなことから、第2判定値は、このような移動距離を基に算出されることで、第1の操作が完了した後の前記操作者による操作が、再度第1の操作となる可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
本発明の第16の態様によれば、タッチパネル装置は、第2判定値を基に、第1の操作の完了以降も、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を無効にするとともに第2の操作に反応する表示を第2の領域に行わないようにすることができる。これによって、操作者は、その表示が無いことで、第1の操作の完了以降も、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出が無効であることを知ることができる。
また、本発明の第16の態様によれば、タッチパネル装置は、第2判定値によっては、第1の操作の完了時点で、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出を有効にするとともに第2の操作に反応する表示を第2の領域に行うことがきる。これによって、操作者は、その表示が有ることで、第1の操作の完了時点で、タッチパネルの第2の領域での第2の操作の検出が有効になっていることを知ることができる。
本発明の第17の態様によれば、タッチパネル装置は、第1の領域を第2の領域まで拡張することで、第1の領域において1回の第1の操作でできる操作量を増加させることができる。
本発明の第18の態様によれば、タッチパネル装置は、第1の操作の完了時点から、タッチパネルが第1の領域で検出した接触物の接触状態に基づき算出した時間だけ、無効化している状態を維持する。ここで、連続して第1の操作が行われる場合に、前回の第1の操作での画面に対する接触状態と今回の第1の操作での画面に対する接触状態とは関連性は高く、前回の第1の操作での画面に対する接触状態と今回の第1の操作の操作時間との関連性は高い。このようなことから、タッチパネル装置は、前回の第1の操作に基づき、今回の第1の操作の操作時間に合致させて、無効化している状態をより適切に維持できる。
本発明の第19の態様によれば、タッチパネル装置は、第2判定値と予め設定されている第2しきい値とを比較するといった簡単な判定処理によって、無効化している状態を第1の操作が完了した後も維持することができる。
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、車載用のタッチパネル装置を挙げている。
(構成)
第1の実施形態に係るタッチパネル装置は、画面に対してジェスチャやタッチによる乗員の操作がなされることによって当該画面に様々な情報を出力する。
図1には、第1の実施形態に係るタッチパネル装置1の構成例を示す。
図1に示すように、タッチパネル装置1は、画像生成表示装置2、画像表示装置3、デジタイザ4、入力装置6、記憶装置7、及び制御装置10を有している。
ここで、画像生成表示装置2は、画像表示装置3に表示するための画像を生成し、生成した画像を画像表示装置3に表示する処理を行う。画像表示装置3は、画像を表示するためのものであり、例えば、液晶の画像表示装置である。
デジタイザ4は、画像表示装置3の画面に対する指等の接触物の接触位置を検出するためのものであり、例えば、画面上に取り付けられている透明な薄板形状の接触座標検出パネルである。デジタイザ4としては、圧力検知によって接触物の接触位置を検出する方式のものや、静電容量の変化を検知して接触物の接触位置を検出する方式のもの等がある。入力装置6は、このデジタイザ4が検出した接触物の接触位置の情報、例えば、接触位置のX軸位置情報及びY軸位置情報を制御装置10に出力する。このデジタイザ4と画像表示装置3とでタッチパネル5が構成される。以下では、接触物を操作者の指として説明する。
図2には、タッチパネル5の画面100への表示例を示す。図2に示すように、タッチパネル5には、タッチパネル5に対する操作者のジェスチャの操作を検出するためのジェスチャ検出領域101と、タッチパネル5に対する操作者のタッチの操作を検出するためのタッチ検出領域102とが設けられている。
図2中に2点鎖線で示すように、ジェスチャ検出領域101は、画面100の中央部分に広い四角形状の領域として設けられている。タッチ検出領域102は、このジェスチャ検出領域101とは異なる位置であり、画面100の右側に設けられている。そして、タッチ検出領域102には、操作者によって操作される対象であり、操作者によるタッチに反応するアイコン102aが表示されている。一方、ジェスチャ検出領域101は、アイコン102aのような当該ジェスチャ検出領域101を視覚的にわかるようにするための表示を伴っていない。
ここで、ジェスチャは、前述のように、タッチパネル5に指を接触させてその接触を維持したまま指を移動させる操作であり、代表的なものとして、例えば、ドラック、スワイプ、フリックがある。また、タッチは、前述のように、タッチパネル5ヘの接触だけで指の移動を伴わない操作であり、代表的なものとして、タップ、ホールドがある。
記憶装置7には、各種の情報が記憶される。例えば、記憶装置7には、画像表示装置3に表示する画像の画像データが記憶されている。
制御装置10は、画像生成表示装置2を制御して画像表示装置3に画像を表示させる画像表示処理を行う。例えば、制御装置10は、画像表示処理によって、タッチパネル5に対して操作者が操作したときに入力装置6から得られる接触位置の情報を基に、画像生成表示装置2を制御して画像表示装置3に画像を表示させる。
図3には、制御装置10の構成例を示す。
図3に示すように、制御装置10は、接触状態検出部11、操作処理部12、判定値算出部13、判定部14、表示処理部15、及び検出領域設定部16を有している。
ここで、接触状態検出部11は、入力装置6からの接触位置の情報を基に、画面100に対する指の接触状態を検出する。例えば、接触状態検出部11は、画面100に対する指の接触状態から、後述の判定値Hを算出するためのアイコン間距離L1、移動距離L2、及び接触時間tを検出する。
ここで、アイコン間距離L1、移動距離L2、接触時間tについて、図4を参照しつつ説明する。
図4に示すように、アイコン間距離L1は、タッチパネル5の画面100のジェスチャ検出領域101での指の最初の接触位置P1とアイコン102a(例えば、アイコン102aのジェスチャ検出領域101寄りの端部)との距離である。また、移動距離L2は、指がジェスチャ検出領域101に最初に接触した位置P1からその接触が維持されたまま指が移動している移動距離である。ここで、指の移動が直線的な移動であれば、移動距離は、指の最初の接触位置P1からの直線距離になる。また、接触時間tは、指がジェスチャ検出領域101に接触した時点からの経過時間である。
また、画面100上で指を移動させている場合には、接触時間tはその移動時間でも良い。この場合、例えば、接触時間tは、指がジェスチャ検出領域101に接触してその接触が維持されて移動しているときの移動を開始した時点からの経過時間となる。
ここで、移動距離L2や接触時間tは、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性を示す指標となる。例えば、移動距離L2や接触時間tが長いほど、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性が高いことを示す。また、アイコン間距離L1は、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がアイコン102a、すなわちタッチ検出領域102に接触するような操作である可能性を示す指標となる。例えば、アイコン間距離L1が短いほど、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がアイコン102aに接触するような操作である可能性が高いことを示す。
操作処理部12は、一般的なタッチパネル装置における処理と同様に、接触状態検出部11の検出結果を基にタッチパネル5に対して行われる操作者によるジェスチャやタッチを検出し、その検出結果を基に各種処理を行う。例えば、操作処理部12は、ジェスチャ検出領域101で行われたドラッグ等のジェスチャを検出したり、タッチ検出領域102で行われたタップ等のタッチを検出したりし、検出したジェスチャやタッチに応じて、画像生成表示装置2を制御して画像表示装置3の画像表示を制御する。操作処理部12は、ジェスチャやタッチの検出については、タッチパネル5の画面100上での指の移動距離や移動時間等を基に行う。
判定値算出部13は、接触状態検出部11が検出したアイコン間距離L1、移動距離L2、及び接触時間tを基に判定値Hを算出する。ここで、判定値Hは、ジェスチャ検出領域101で行われる操作者による操作がどのようなものであるかを判定するための値となる。例えば、判定値算出部13は、下記(1)式を用いて判定値Hを算出する。
H=a1・L1+a2・t+a3・L2 ・・・(1)
ここで、a1、a2、a3は、重み係数である。この重み係数a1、a2、a3は、例えば、実験的、経験的、又は理論的に予め設定されている値である。また、重み係数a1、a2、a3の正負の符号については、重み係数a1は負値であり、重み係数a2、a3は正値である。よって、アイコン間距離L1が短いほど、判定値Hは大きくなる。また、移動距離L2や接触時間tが長いほど、判定値Hは大きくなる。
判定部14は、判定値算出部13が算出した判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きいか否かを判定する。ここで、判定値用しきい値Hthは、実験的、経験的、又は理論的に予め設定されている値である。
ここで、前述のように、アイコン間距離L1が短いほど判定値Hが大きくなるため、アイコン間距離L1が短いほど、判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きいと判定部14が判定する可能性は高くなる。よって、前述のように、アイコン間距離L1が短いほど判定値Hが大きくなり、また、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がアイコン102aに接触するような操作である可能性が高いことを示すため、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がアイコン102aに接触するような操作である可能性が高いほど、判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きいと判定部14が判定する可能性が高くなる。
また、前述のように、移動距離L2や接触時間tが長いほど判定値Hが大きくなるため、移動距離L2や接触時間tが長いほど、判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きいと判定部14が判定する可能性が高くなる。よって、前述のように、移動距離L2や接触時間tが長いほど判定値Hが大きくなり、また、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性が高いことを示すため、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性が高いほど、判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きいと判定部14が判定する可能性が高くなる。
表示処理部15は、判定部14の判定結果を基に、画像生成表示装置2を制御して画像表示装置3への画像表示を行う。例えば、表示処理部15は、判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きい場合、画面100のタッチ検出領域102に表示されているアイコン102aを消去する。
検出領域設定部16は、判定部14の判定結果を基に、画面100のジェスチャ検出領域101について様々な設定を行う。例えば、検出領域設定部16は、この設定によって、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効にしたり、ジェスチャ検出領域101を拡大したりする。例えば、検出領域設定部16は、判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きい場合、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化するとともに、アイコン102aが表示されていたタッチ検出領域102を含む領域までジェスチャ検出領域101を拡大する。検出領域設定部16によるこのような処理によって、例えば、表示処理部15は、ジェスチャ検出領域101の拡大された領域においてなされた操作者によるジェスチャを有効なものとして検出して、当該ジェスチャに応じて画像表示を制御する。
図5には、拡大されたジェスチャ検出領域101の一例を示す。図5に示すように、ジェスチャ検出領域101は、右方向に広がり、アイコン102aが表示されていた領域まで拡大される。
次に、制御装置10が行う画像表示処理の処理手順について説明する。
図6には、画像表示処理の処理手順の一例のフローチャートを示す。
図6に示すように、先ず、ステップS1では、接触状態検出部11は、ジェスチャ検出領域101で指の接触を検出したか否かを判定する。接触状態検出部11は、ジェスチャ検出領域101で指の接触を検出したと判定したときに、ステップS2に進む。
ステップS2では、接触状態検出部11は、ジェスチャ検出領域101での指の接触状態からアイコン間距離L1、移動距離L2、及び接触時間tを検出する。
次に、ステップS3では、判定値算出部13は、ステップS2で検出されたアイコン間距離L1、移動距離L2、及び接触時間tを基に、前記(1)式を用いて判定値Hを算出する。
ステップS4では、判定部14は、前記ステップS3で算出された判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きいか否かを判定する。そして、判定部14は、判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きいと判定すると、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性が高い、又はジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がアイコン102aに接触するような操作である可能性が高いと判断して、ステップS6に進む。
一方、判定部14は、判定値Hが判定値用しきい値Hth以下であると判定すると、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性が低い、又はジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がアイコン102aに接触するような操作である可能性が低いとして、ステップS5に進む。
ステップS5では、接触状態検出部11は、タッチパネル5のジェスチャ検出領域101から指が離れてタッチパネル5と指とが非接触になったか否かを判定する。そして、接触状態検出部11は、タッチパネル5と指とがまだ非接触になっていないと判定すると、すなわち、タッチパネル5と指との接触状態が維持されている場合、ステップS2に戻り、タッチパネル5と指とが非接触になっていると判定すると、画像表示処理を終了する。
また、ステップS6では、検出領域設定部16は、画面100のタッチ検出領域102に対する接触の検出を無効化する。
次に、ステップS7では、表示処理部15は、画面100からアイコン102aを消去する。
次に、ステップS8では、検出領域設定部16は、アイコン102aが表示されていたタッチ検出領域102を含む領域までジェスチャ検出領域101を拡大して、ステップS5に進む。
(動作、作用等)
次に、タッチパネル装置1の動作、及びその作用等の一例について説明する。
タッチパネル装置1は、図2に示すようにアイコン102aをタッチパネル5の画面100に表示させている状態において、画面100のジェスチャ検出領域101で指の接触を検出すると、その接触期間中、その接触状態を基に算出した判定値Hが判定値用しきい値Hth以下であれば、画面100にアイコン102aを表示したままにする(ステップS1〜ステップS5)。そして、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101への指の接触状態からジェスチャを検出すると、そのジェスチャに応じた画像表示等を行う。
よって、例えば、操作者が指でアイコン102aに対してタッチを行おうとして、ジェスチャ検出領域101におけるアイコン102aに近い部位に誤って指を接触させてしまった場合でも、ジェスチャ検出領域101での指の移動距離L2や接触時間tが短いことで判定値Hが小さくなり、その判定値Hが判定値用しきい値Hth以下であれば、タッチ検出領域102へのアイコン102aの表示が維持される。これによって、操作者は、誤って指を接触させてしまった直後に、表示が維持されているアイコン102aに対して今度は正確にタッチを行うことができる。
また、例えば、判定値Hは、接触時間tの増大とともに大きくなるが、判定値Hが判定値用しきい値Hthを超えないうちに、操作者がタッチパネル5から指を離すと、画面100にアイコン102aが表示されたままとなる。
一方、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101で指の接触を検出し、その接触期間中に、その接触状態を基に算出した判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きくなると、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化するとともにタッチ検出領域102に表示されているアイコン102aを消去し、かつジェスチャ検出領域101をタッチ検出領域102まで拡大させる(ステップS1〜ステップS4、ステップS6〜ステップS8→ステップS5)。例えば、接触時間tが同じでも、移動距離L2が大きいと、すなわち、指の移動速度が大きいと、判定値Hが、早いタイミングで判定値用しきい値Hthを超えるようになる。この場合、指を移動させてから早い段階で、タッチ検出領域102でのタッチの検出が無効化され、タッチ検出領域102に表示されているアイコン102aが消去され、かつジェスチャ検出領域101がタッチ検出領域102まで拡大される。そして、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域(拡大された領域を含む)101への指の接触状態からジェスチャを検出すると、そのジェスチャに応じた画像表示等を行う。
このように、タッチ検出領域102でのタッチの検出が無効化されるとともにジェスチャ検出領域101が当該タッチ検出領域102まで拡大されていることで、例えば、操作者がそのジェスチャ中に指を、その移動速度を大きくしすぎたなどによって、タッチを検出するためのタッチ検出領域102にまで移動させすぎても、タッチパネル装置1は、当該タッチ検出領域102でのジェスチャの検出を有効とし、当該ジェスチャに応じた処理を行う。
ここで、図7には、ジェスチャ検出領域101にて操作者がジェスチャを行うことで当該ジェスチャ検出領域101が拡大される様子の一例を示す。
図7(a)に示すように、ジェスチャ検出領域101にて操作者が指200を移動させて操作者がジェスチャを行うと、タッチパネル装置1は、指の接触状態を基に算出した判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きい場合、図7(b)に示すように、ジェスチャ検出領域101を右方向に広げて、タッチ検出領域102を含む領域まで拡大させる。これによって、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101の拡大された領域においてなされたジェスチャも有効なものとして検出し、検出したジェスチャに応じて動作するようになる。
以上のように、本実施形態では、タッチパネル装置1は、タッチパネル5がジェスチャ検出領域101で検出した指の接触状態に基づき算出した判定値Hを基に、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効にしている。これによって、タッチパネル装置1は、操作者がジェスチャ検出領域101で指を移動させすぎてタッチ検出領域102まで誤って接触物を移動させてしまうような指の接触状態のときに、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効にすることができる。この結果、タッチパネル装置1は、操作者がジェスチャ検出領域101で接触物を移動させすぎてタッチ検出領域102まで誤って指を移動させてしまい、操作者による操作がタッチ検出領域102でのタッチの操作として誤って検出されてしまうのを防止できる。
また、タッチパネル装置1は、タッチパネル5がジェスチャ検出領域101で検出した指の接触状態に基づき算出した判定値Hによっては、タッチ検出領域102でのタッチの検出を有効にすることもできる。これによって、タッチパネル装置1は、操作者がジェスチャ検出領域101で指を移動させてもタッチ検出領域102まで指を移動させてしまわないような指の接触状態のときには、タッチ検出領域102でのタッチの検出を有効なものとして扱うことができる。また、タッチパネル装置1は、例えば、ジェスチャ検出領域101に指を接触させるだけで移動を伴わないような指の接触状態のとき(すなわち、移動距離L2が小さくかつ接触時間tが短いようなとき)に、タッチパネル5のタッチ検出領域102でのタッチの検出を有効なものとして扱うことができる。これによって、操作者が誤ってタッチ(すなわち、移動距離L2が小さくかつ接触時間tが短い操作)をジェスチャ検出領域101で行った場合でもその後やり直すタッチ検出領域102へのタッチを無効にすることなく検出することができる。この結果、タッチパネル装置1は、必要以上にタッチを制限してしまうのを防止できる。
また、前述の移動距離L2、接触時間tは、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性を示す指標となっている。これによって、このような移動距離L2、接触時間tに基づき算出される判定値Hも、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性を示す指標となる。そして、タッチパネル装置1は、このような判定値Hを基にタッチパネル5のタッチ検出領域102でのタッチの検出を無効にしたり、有効にしたりしている。
これによって、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性が高いことを判定値Hが示すときに、タッチパネル装置1は、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効にできる。この結果、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作が実際にジェスチャとして検出される前からタッチ検出領域102でのタッチの検出を無効にでき、実際に検出したジェスチャで指を移動させすぎてタッチ検出領域102でのタッチの操作として誤って検出されてしまうのをより的確に防止できる。
また、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性が低いことを判定値Hが示すときに、タッチパネル装置1は、タッチ検出領域102でのタッチの検出を有効なものとして扱うことができる。この結果、操作者が指でアイコン102aに対してタッチを行おうとして、誤ってジェスチャ検出領域101におけるアイコン102aに近い部位へのタッチを行ってしまった場合でも、タッチパネル装置1は、当該タッチに基づく指の接触状態から算出される判定値Hから、当該タッチをジェスチャである可能性が低い操作者による操作として検出して、タッチ検出領域102での検出を有効なものとして維持できる。これによって、操作者が指でアイコン102aに対してタッチを行おうとして、誤ってジェスチャ検出領域101におけるアイコン102aに近い部位へのタッチを行ってしまった場合でも、タッチパネル装置1は、その直後になされたアイコン102aに対する正確なタッチを検出できる。
また、前述の接触時間tは、指がタッチパネル5に接触してその接触が維持されて移動しているときの最初の接触時点からの経過時間、又は指がタッチパネル5に接触してその接触が維持されて移動しているときの移動を開始した時点からの経過時間であり、タッチパネル装置1は、このような接触時間tを基に判定値Hを算出する。このように、タッチパネル装置1は、タッチパネル5への指の接触開始時点からの経過時間又は指の移動開始時点からの経過時間を基に判定値Hを算出することによって、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性を示す指標となる判定値Hを簡易に算出できる。例えば、このような経過時間が長いほどジェスチャである可能性が高く、判定値Hは、このような経過時間を基に算出されることで、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
また、前述の移動距離L2は、指がタッチパネル5に最初に接触した位置からその接触が維持されたまま指が移動している距離であり、タッチパネル装置1は、このような移動距離L2を基に判定値Hを算出する。このように、タッチパネル装置1は、タッチパネル5での指の接触開始位置からの指の移動距離L2を基に判定値Hを算出することによって、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性を示す指標となる判定値Hを簡易に算出できる。例えば、このような移動距離が長いほどジェスチャである可能性が高く、判定値Hは、このような移動距離L2を基に算出されることで、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作がジェスチャである可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
また、前述のアイコン間距離L1は、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がアイコン102a、すなわちタッチ検出領域102に接触するような操作である可能性を示す指標となっている。これによって、このようなアイコン間距離L1に基づき算出される判定値Hも、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がアイコン102aに接触するような操作である可能性を示す指標となる。そして、タッチパネル装置1は、このような判定値Hを基にタッチ検出領域102でのタッチの検出を無効にしたり、有効にしたりしている。これによって、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がタッチ検出領域102に接触するような操作である可能性が高いことを判定値Hが示すときに、タッチパネル装置1は、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効にすることができる。また、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がタッチ検出領域102に接触するような操作である可能性が低いことを判定値Hが示すときに、タッチパネル装置1は、タッチ検出領域102でのタッチの検出を有効なものとして扱うことができる。
また、前述のアイコン間距離L1は、タッチパネル5での指が最初に接触した位置とタッチ検出領域102との距離であり、タッチパネル装置1は、このようなアイコン間距離L1を基に判定値Hを算出する。このように、タッチパネル装置1は、タッチパネル5での指が最初に接触した位置とタッチ検出領域102との距離を基に判定値Hを算出することによって、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がタッチ検出領域102に接触するような操作である可能性を示す指標となる判定値Hを簡易に算出できる。
例えば、このような距離が長いほど、例えば操作者が意図してジェスチャをタッチ検出領域102から離れた位置で行っている可能性が高いなどの理由から、指がジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がタッチ検出領域102に接触する可能性が低く、判定値Hは、このような距離を基に算出されることで、ジェスチャ検出領域101での操作者による操作が、指が画面100のジェスチャ検出領域101に接触した後にその接触を維持したまま移動して指がタッチ検出領域102に接触するような操作である可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
また、タッチパネル装置1は、判定値Hを基に、タッチパネル5のタッチ検出領域102でのタッチの検出を無効にするとともにタッチ検出領域102のアイコン102aを消去できる(ステップS4、ステップS6、ステップS7)。これによって、操作者は、その表示が無いことで、タッチパネル5のタッチ検出領域102でのタッチが無効であることを知ることができる。
また、タッチパネル装置1は、判定値Hによっては、タッチパネル5のタッチ検出領域でのタッチの検出を有効にするとともにタッチ検出領域102にアイコン102aを表示しておくことがきる(ステップS4→ステップS5)。これによって、操作者は、その表示が有ることで、タッチパネル5のタッチ検出領域102でのタッチの検出が有効となっていることを知ることができる。
また、タッチパネル装置1は、タッチ検出領域102のアイコン102aを消去するとともに、ジェスチャ検出領域101をアイコン102aが表示されていたタッチ検出領域102まで拡大している。このように、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101をタッチ検出領域102まで拡大することで、ジェスチャ検出領域101において1回のジェスチャでできる操作量を増加させることができ、操作者にジェスチャを効率良く行わせることができる。
また、タッチパネル装置1は、判定値Hと判定値用しきい値Hthとを比較するといった簡単な判定処理によって、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効にすることや有効にすることができる。
ところで、ダッシュボードの運転席と助手席との間に車載用のタッチパネル装置1が設置される場合、車載用のタッチパネル装置1に対して、タッチパネル5と、操作者、すなわち乗員との位置関係に起因する視差が発生し易くなる。次に、その視差に基づいて発生する操作者の誤操作について説明する。
図8は、タッチパネル5と操作者との位置関係に起因する視差を説明する図である。図8に示すように、タッチパネル5は、タッチに反応するアイコン102aを画面100に表示する場合、画像表示装置3(例えば、液晶)にアイコン102aを表示するとともに、デジタイザ4に、アイコン102aに重ねて当該アイコン102aへのタッチを検出するためのタッチ検出領域102が設けられる。
このようなタッチパネル5に対してその正面に操作者が位置していれば、その操作者の視点Aからは、タッチ検出領域102の範囲内にアイコン102aが収まる。この場合、操作者は、タッチ検出領域102内に指を接触させればアイコン102aに対するタッチを行える。
一方、タッチパネル5に対して操作者が斜めに位置すると、タッチパネル5を斜めから見る操作者の視点Bからは、タッチ検出領域102とアイコン102aとがずれ、タッチ検出領域102内にアイコン102aが収まっていない場合がある。このような場合、操作者は、アイコン102aにタッチしようとして、タッチ検出領域102外の領域Xに指を接触させてしまうことがある。そして、特許文献1のようにタッチパネル装置1がタッチ検出領域102外の領域X(ジェスチャ検出領域)に指が接触した場合にアイコン102aを非表示にする(又はアイコン102aへの操作の検出を無効化する)処理を行うような場合には、図9(a)に示すようにタッチ検出領域102外の領域Xに指200が接触してしまうことで、図9(b)に示すように操作者の意図に反してアイコン102aが非表示になってしまい(又はアイコン102aへの操作の検出が無効化されてしまい)、タッチパネル装置1に対する操作性が低下してしまう。
これに対して、第1の実施形態では、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101に対して所定の操作があった場合だけアイコン102aを非表示にしている。そのため、タッチパネル装置1は、タッチパネル5と操作者との位置関係に起因する視差等によってタッチ検出領域102外の領域に操作者が指200を誤って接触させてしまった場合でも、操作者の意図に反してアイコン102aが非表示になってしまうことを防止できる。
なお、前述の第1の実施形態の説明では、ジェスチャは、例えば、第1の操作に相当し、タッチは、例えば、第2の操作に相当する。また、ジェスチャ検出領域101は、例えば、第1の領域に相当し、タッチ検出領域102は、例えば、第2の領域に相当する。また、操作処理部12は、例えば、第1の処理部及び第2の処理部を構成する。また、判定値算出部13は、例えば、第1判定値算出部を構成する。また、表示処理部15は、例えば、表示処理部及び表示禁止部を構成する。また、検出領域設定部16は、例えば、無効化部や領域拡張部を構成する。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るタッチパネル装置について説明する。第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明し、説明を省略又は単純化して、冗長な記述を避ける。
第2の実施形態に係るタッチパネル装置の構成、作用は、以下に示す点を除いて、第1の実施形態に係るタッチパネル装置の構成、作用とほぼ同一である。そこで、以下異なる点について主に説明する。
第2の実施形態では、タッチパネル装置は、第1の実施形態における画像表示処理に加えて、ジェスチャ検出領域101を拡大させた状態を所定時間維持する領域拡大維持処理を行う。
図10には、領域拡大維持処理を実現する制御装置10の構成例を示す。
図10に示すように、制御装置10は、接触状態検出部11、操作処理部12、第1判定値算出部13、第1判定部14、ジェスチャ完了判定部21、第2判定値算出部22、第2判定部23、表示処理部15、及び検出領域設定部16を有している。
ここで、第1判定値算出部13は、前述の第1の実施形態における制御装置10の判定値算出部13に相当する。すなわち、第1判定値算出部13は、第1の実施形態と同様に、タッチパネル5に対する操作者による操作を判定するための判定値(以下、第1判定値という。)Hを算出する。また、第1判定部14は、前述の第1の実施形態における制御装置10の判定部14に相当する。すなわち、第1判定部14は、第1の実施形態と同様に、第1判定値算出部13が算出した第1判定値Hが判定値用しきい値(以下、第1判定値用しきい値という。)Hthよりも大きいか否かを判定する。
また、第2の実施形態では、接触状態検出部11は、画面100に対する指の接触状態から、後述の判定値H´を算出するための画面対角線距離L0、アイコン間距離L1´、移動距離L2´、及び接触時間t´を検出する。
ここで、画面対角線距離L0、アイコン間距離L1´、移動距離L2´、及び接触時間t´について、図11を参照しつつ説明する。
図11に示すように、画面対角線距離L0は、画面100の対角線距離である。また、アイコン間距離L1´は、ジェスチャが完了してタッチパネル5において指が非接触となった位置P2とアイコン102a(例えば、アイコン102aのジェスチャ検出領域101よりの端部)との距離である。また、移動距離L2´は、完了した第1の操作において指がタッチパネル5に接触して移動しその後非接触となったときの指が最初に接触した位置P1から非接触となる位置P2までの移動距離である。また、接触時間t´は、完了したジェスチャにおいてタッチパネル5に指が最初に接触した時点から非接触となった時点までの時間である。また、画面100上で指を移動させている場合には、接触時間tはその移動時間でも良い。この場合、接触時間tは、完了したジェスチャにおいてタッチパネル5に指が接触して移動を開始した時点から非接触となった時点までの時間となる。
ここで、アイコン間距離L1´は、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となる。例えば、アイコン間距離L1´が短いほど、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性が高いことを示す。また、移動距離L2´や接触時間t´は、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性を示す指標となる。例えば、移動距離L2´や接触時間t´が長いほど、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性が高いことを示す。
ジェスチャ完了判定部21は、ジェスチャ検出領域101でのジェスチャが完了し、かつタッチ検出領域102での接触の検出が無効化されているか否か、すなわち、第1判定値Hが第1判定値用しきい値Hthよりも大きいか否かを判定する。
第2判定値算出部22は、接触状態検出部11が検出したアイコン間距離L1´、移動距離L2´、及び接触時間t´を基に第2判定値H´を算出する。ここで、第2判定値H´は、ジェスチャが完了した後の操作者による操作がどのようなものであるかを判定するための値である。例えば、第2判定値算出部22は、下記(2)式を用いて第2判定値H´を算出する。
H´=b1・(L0−L1´)+b2・t´+b3・L2´ ・・・(2)
ここで、b1、b2、b3は、重み係数である。この重み係数b1、b2、b3は、例えば、実験的、経験的、又は理論的に予め設定されている値である。また、重み係数b1、b2、b3は全て正値である。よって、画面対角線距離L0とアイコン間距離L1´との差分(L0−L1´)が大きいほど、又は、アイコン間距離L1´が短いほど、第2判定値H´は大きくなる。また、移動距離L2や接触時間tが大きいほど、第2判定値H´は大きくなる。
第2判定部23は、第2判定値算出部22が算出した第2判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きいか否かを判定する。ここで、第2判定値用しきい値H´thは、実験的、経験的、又は理論的に予め設定されている値である。
ここで、前述のように、画面対角線距離L0とアイコン間距離L1´との差分(L0−L1´)が大きいほど第2判定値H´が大きくなるため、当該差分が大きいほど、又はアイコン間距離L1´が短いほど、第2判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きいと第2判定部23が判定する可能性が高くなる。よって、前述のように、アイコン間距離L1´が短いほど、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性が高いことを示すため、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性が高いほど、第2判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きいと第2判定部23が判定する可能性が高くなる。
また、前述のように、移動距離L2´や接触時間t´が長いほど第2判定値H´が大きくなるため、判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きいと第2判定部23が判定する可能性が高くなる。よって、前述のように、移動距離L2´や接触時間t´が長いほど、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性が高いことを示すため、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性が高いほど、判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きいと第2判定部23が判定する可能性が高くなる。
第2の実施形態では、表示処理部15は、前述の第1の実施形態で説明した処理の他に、第2判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きい場合には、画面100からアイコン102aを消去している状態を所定時間維持する。ここで、所定時間は、例えば、ジェスチャが完了した後に操作者が再度行うジェスチャでジェスチャ検出領域101に指を接触させている接触予測時間と同等又はその接触予測時間よりも多少長い時間である。このような所定時間は、例えば、実験的、経験的、又は理論的に予め設定される。そして、表示処理部15は、所定時間経過後、画面100にアイコン102aを表示する。
また、第2の実施形態では、検出領域設定部16は、前述の第1の実施形態で説明した処理の他に、第2判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きい場合には、タッチ検出領域102でのタッチの検出の無効化を所定時間維持し、その後、タッチ検出領域102でのタッチの検出を有効にする。
さらに、第2の実施形態では、検出領域設定部16は、第2判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きい場合、ジェスチャ検出領域101を拡大させている状態を所定時間維持し、その後、ジェスチャ検出領域101を元の大きさに戻す。
次に、第2の実施形態における領域拡大維持処理の処理手順について説明する。
図12には、領域拡大維持処理の処理手順の一例のフローチャートを示す。例えば、制御装置10は、所定のサンプリング時間で前述の画像表示処理の実施中に割り込んで領域拡大維持処理を実施する。
図12に示すように、先ず、ステップS21では、ジェスチャ完了判定部21は、ジェスチャ検出領域101でのジェスチャが完了しているか否かを判定する。そして、ジェスチャ完了判定部21は、ジェスチャ検出領域101でのジェスチャが完了していると判定すると、ステップS22に進む。
ステップS22では、ジェスチャ完了判定部21は、タッチ検出領域102でのタッチの検出が無効化されているか否かを判定する。そして、ジェスチャ完了判定部21は、タッチ検出領域102でのタッチの検出が無効化されていると判定すると、ステップS23に進み、一方、タッチ検出領域102でのタッチの検出が有効とされていると、領域拡大維持処理を終了する。
ステップS23では、接触状態検出部11は、画面100のジェスチャ検出領域101での指の接触状態からアイコン間距離L1´、移動距離L2´、及び接触時間t´を検出する。
次に、ステップS24では、第2判定値算出部22は、ステップS23で検出されたアイコン間距離L1´、移動距離L2´、及び接触時間t´を基に、前記(2)式を用いて第2判定値H´を算出する。
次に、ステップS25では、第2判定部23は、ステップS24で算出された第2判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きいか否かを判定する。そして、第2判定部23は、第2判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きいと判定すると、ステップS26に進み、一方、第2判定値Hが第2判定値用しきい値H´th以下であると判定すると、ステップS27に進む。
ステップS26では、第2判定部23は、第2判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きいと判定した時点から所定時間を経過したか否かを判定する。そして、第2判定部23は、所定時間を経過したと判定すると、ステップS27に進む。
ステップS27では、検出領域設定部16は、ジェスチャ検出領域101を元の大きさに戻す。
次に、ステップS28では、表示処理部15は、画面100にアイコン102aを表示する。
また、ステップS29では、検出領域設定部16は、画面100のアイコン102aに対して行われるタッチの検出を有効化して、画像表示処理を終了する。
(動作、作用等)
次に、第2の実施形態に係るタッチパネル装置1の動作、及びその作用等の一例について説明する。
第2の実施形態では、前述の第1の実施形態と同様に、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101で指の接触を検出すると、その接触期間中、その接触状態を基に算出した判定値Hが判定値用しきい値Hth以下であれば、画面100にアイコン102aを表示したままにする(ステップS1〜ステップS5)。そして、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101への指の接触状態からジェスチャを検出すると、そのジェスチャに応じた画像表示等を行う。
また、第2の実施形態では、前述の第1の実施形態と同様に、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101で指の接触を検出し、その接触期間中に、その接触状態を基に算出した判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きくなると、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化するとともにタッチ検出領域102に表示しているアイコン102aを消去し、かつジェスチャ検出領域101を拡大させる(ステップS1〜ステップS4、ステップS6〜ステップS8→ステップS5)。そして、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101への指の接触状態からジェスチャを検出すると、そのジェスチャに応じた画像表示等を行う。
そして、第2の実施形態では、タッチパネル装置1は、領域拡大維持処理によって、ジェスチャ検出領域101でのジェスチャが完了したときに、タッチ検出領域102でのタッチの検出が無効化されており、かつ第2判定値H´が第2判定値用しきい値H´thよりも大きい場合、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している状態、アイコン102aを非表示にしている状態、及びジェスチャ検出領域101を拡大させている状態を所定時間維持する(ステップS21〜ステップS26)。そして、タッチパネル装置1は、所定時間経過した後、ジェスチャ検出領域101を元の大きさに戻し、タッチ検出領域102にアイコン102aを表示し、かつ当該アイコン102aに対するタッチの検出を有効にする(ステップS26〜ステップS29)。
また、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101でのジェスチャが完了したときにタッチ検出領域102でのタッチの検出が無効化されている場合でも、第2判定値H´が第2判定値用しきい値H´th以下のときには、前述のような維持する処理を行うことなく、当該ジェスチャの完了直後に、ジェスチャ検出領域101を元の大きさに戻し、タッチ検出領域102にアイコン102aを表示し、かつ当該アイコン102aに対するタッチの検出を有効にする(ステップS21〜ステップS25、ステップS27〜ステップS29)。
以上のように、第2の実施形態では、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101でジェスチャが行われている期間中にタッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している場合に、タッチパネル5がジェスチャ検出領域101で検出した指の接触状態、すなわち、第2判定値H´を基に、当該無効化している状態をジェスチャが完了した後も維持できる。これによって、タッチパネル装置1は、操作者がジェスチャを完了した後に再びジェスチャを行おうとしているにもかかわらず、操作者がジェスチャを完了した後に誤ってタッチ検出領域102に指を接触させてしまい、操作者による操作がタッチ検出領域102でのタッチとして誤って検出されてしまうのを防止できる。
また、第2の実施形態では、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101でジェスチャが行われている期間中にタッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している場合に、タッチパネル5がジェスチャ検出領域101で検出した指の接触状態によっては、当該無効化している状態をジェスチャの完了時点で止めてタッチパネルのタッチ検出領域102でのタッチの検出を有効なものとして扱うこともできる。この結果、タッチパネル装置1は、必要以上にタッチの検出を制限してしまうのを防止できる。
また、前述のアイコン間距離L1´は、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となっている。これによって、このようなアイコン間距離L1´に基づき算出される第2判定値H´も、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となる。そして、タッチパネル装置1は、このような第2判定値H´を基に、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している状態をジェスチャが完了した後も維持している。これによって、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性が高いことを第2判定値H´が示すときに、タッチパネル装置1は、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している状態をジェスチャが完了した後も維持することができる。また、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性が低いことを第2判定値H´が示すときに、タッチパネル装置1は、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している状態をジェスチャの完了時点で止めてタッチパネルのタッチ検出領域102でのタッチの検出を有効なものとして扱うこともできる。
また、前述のアイコン間距離L1´は、ジェスチャが完了してタッチパネル5に対して指が非接触となった位置とタッチ検出領域102との距離であり、タッチパネル装置1は、このようなアイコン間距離L1´を基に第2判定値H´を算出する。このように、タッチパネル装置1は、ジェスチャが完了してタッチパネル5に対して指が非接触となった位置とタッチ検出領域102との距離を基に第2判定値H´を算出することによって、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となる第2判定値H´を簡易に算出できる。
例えば、操作者は、ジェスチャを繰り返す場合、ジェスチャの完了時に指が非接触となった位置の近くで指を再び接触させてジェスチャを行う可能性が高い。このようなことから、ジェスチャが完了して指が非接触となった位置とタッチ検出領域102との距離が短いほど、操作者は、ジェスチャの完了後に再び行うジェスチャにおいて指をタッチ検出領域102に接触させてしまう可能性が高くなる。このようなことから、第2判定値H´は、このような距離を基に算出されることで、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
また、前述の移動距離L2´や接触時間t´は、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性を示す指標となっている。これによって、このような移動距離L2´や接触時間t´に基づき算出される第2判定値H´も、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性を示す指標となる。そして、タッチパネル装置1は、このような第2判定値H´を基に、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している状態をジェスチャが完了した後も維持している。これによって、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性が高いことを第2判定値H´が示すときに、タッチパネル装置1は、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している状態をジェスチャが完了した後も維持することができる。また、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性が低いことを第2判定値H´が示すときに、タッチパネル装置1は、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している状態をジェスチャの完了時点で止めてタッチパネルのタッチ検出領域102でのタッチの検出を有効なものとして扱うこともできる。
また、前述の接触時間t´は、完了したジェスチャにおいてタッチパネル5に指が最初に接触した時点から非接触となった時点までの時間、又は完了したジェスチャにおいてタッチパネル5に指が接触して移動を開始した時点から非接触となった時点までの時間であり、タッチパネル装置1は、このような接触時間t´を基に第2判定値H´を算出する。このように、タッチパネル装置1は、完了したジェスチャにおいてタッチパネル5に指が最初に接触した時点から非接触となった時点までの時間、又は完了したジェスチャにおいてタッチパネル5に指が接触して移動を開始した時点から非接触となった時点までの時間を基に第2判定値H´を算出することによって、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性を示す指標となる第2判定値H´を簡易に算出できる。
例えば、完了したジェスチャにおいてタッチパネル5に指が最初に接触した時点から非接触となった時点までの時間が長いほど、例えばジェスチャが未完了となっている可能性が高いなどの理由から、操作者が再度ジェスチャを行う可能性が高い。また、完了したジェスチャにおいてタッチパネル5に指が接触して移動を開始した時点から非接触となった時点までの時間が長いほど、例えばジェスチャが未完了となっている可能性が高いなどの理由から、操作者が再度ジェスチャを行う可能性が高い。このようなことから、第2判定値H´は、このような時間を基に算出されることで、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
また、前述の移動距離L2´は、完了したジェスチャにおいて指がタッチパネル5に接触して移動しその後非接触となったときの指が最初に接触した位置から非接触となる位置までの移動距離であり、タッチパネル装置1は、このような移動距離L2´を基に第2判定値H´を算出する。このように、タッチパネル装置1は、完了したジェスチャにおいて指がタッチパネル5に接触して移動しその後非接触となったときの指が最初に接触した位置から非接触となる位置までの移動距離を基に第2判定値H´を算出することによって、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性を示す指標となる第2判定値H´を簡易に算出できる。
例えば、完了したジェスチャにおいて指がタッチパネル5に接触して移動しその後非接触となったときの指が最初に接触した位置から非接触となる位置までの移動距離が長いほど、例えばジェスチャが未完了となっている可能性が高いなどの理由から、操作者が再度ジェスチャを行う可能性が高い。このようなことから、第2判定値H´は、このような移動距離を基に算出されることで、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、再度ジェスチャとなる可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
また、タッチパネル装置1は、第2判定値H´を基に、ジェスチャの完了以降も、所定時間、タッチパネル5のタッチ検出領域102でのタッチの検出を無効にするとともにタッチ検出領域102へのアイコン102aの表示を止める(ステップS25、ステップS26)。これによって、操作者は、その表示が無いことで、ジェスチャの完了以降も、タッチパネル5のタッチ検出領域102でのタッチが無効であることを知ることができる。
また、タッチパネル装置1は、第2判定値H´によっては、ジェスチャの完了時点で、タッチパネル5のタッチ検出領域102でのタッチの検出を有効にするとともにタッチ検出領域102へのアイコン102aの表示を行うことがきる(ステップS25→ステップS27〜ステップS29)。これによって、操作者は、その表示が有ることで、ジェスチャの完了時点で、タッチパネル5のタッチ検出領域102でのタッチが有効になっていることを知ることができる。
また、タッチパネル装置1は、第2判定値H´と第2判定値用しきい値H´thとを比較するといった簡単な判定処理によって、無効化している状態をジェスチャが完了した後も維持することができる。
なお、前述の第2の実施形態の説明では、検出領域設定部16は、例えば、無効化維持部を構成する。また、表示処理部15は、例えば、表示処理部に加えて、表示禁止部及び表示禁止維持部を構成する。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るタッチパネル装置について説明する。第3の実施形態においては、第1及び第2の実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明し、説明を省略又は単純化して、冗長な記述を避ける。
第3の実施形態に係るタッチパネル装置の構成、作用は、以下に示す点を除いて、第1及び第2の実施形態に係るタッチパネル装置の構成、作用とほぼ同一である。そこで、以下異なる点について主に説明する。
ここで、前述の第2の実施形態に係るタッチパネル装置は、領域拡大維持処理によって、ジェスチャ検出領域を拡大させている状態を一定時間維持している。これに対して、第3の実施形態に係るタッチパネル装置は、領域拡大維持処理によって、ジェスチャ検出領域を拡大させている状態を維持する時間をタッチパネルに対する操作者による操作内容に応じて設定する。
図13には、そのような領域拡大維持処理を実現する制御装置10の構成例を示す。
図13に示すように、制御装置10は、接触状態検出部11、操作処理部12、第1判定値算出部13、第1判定部14、ジェスチャ完了判定部21、第3判定値算出部31、第3判定部32、表示処理部15、及び検出領域設定部16を有している。
第3判定値算出部31は、ジェスチャ検出領域101を拡大させている状態を維持する時間Tを算出する。具体的には、第3判定値算出部31は、接触状態検出部11が検出したアイコン間距離L1´、移動距離L2´、及び接触時間t´を基に、下記(3)式を用いて時間Tを算出する。
T=c1・(L0−L1´)+c2・t´+c3・L2´ ・・・(3)
ここで、画面対角線距離L0、アイコン間距離L1´、移動距離L2´、接触時間t´については、図11を参照しつつ説明した通りである。また、c1、c2、c3は、重み係数である。この重み係数c1、c2、c3は、例えば、実験的、経験的、又は理論的に予め設定されている値である。
第3判定部32は、第3判定値算出部31が時間Tを算出した時点から時間Tを経過したか否かを判定する。
第2の実施形態では、表示処理部15は、前述の第1の実施形態で説明した処理の他に、第3判定値算出部31が時間Tを算出した時点から時間Tを経過したと判定するまで、アイコン102aを消去している状態を維持する。そして、表示処理部15は、時間Tの経過後、画面100にアイコン102aを表示する。
また、第2の実施形態では、検出領域設定部16は、前述の第1の実施形態で説明した処理の他に、第3判定値算出部31が時間Tを算出した時点から時間Tを経過したと判定するまで、タッチ検出領域102でのタッチの検出の無効化を維持する。そして、検出領域設定部16は、時間Tの経過後、タッチ検出領域102でのタッチの検出を有効にする。
さらに、第2の実施形態では、検出領域設定部16は、第3判定値算出部31が時間Tを算出した時点から時間Tを経過するまで、ジェスチャ検出領域101を拡大させている状態を維持する。そして、検出領域設定部16は、時間Tの経過後、ジェスチャ検出領域101を元の大きさに戻す。
次に、第3の実施形態における領域拡大維持処理の処理手順について説明する。
図14には、領域拡大維持処理の処理手順の一例のフローチャートを示す。図14に示すように、第3の実施形態では、制御装置10は、前述のステップS24に換えてステップS41の処理を行い、前述のステップS25に換えてステップS42の処理を行う。
ステップS41では、第3判定値算出部31は、ステップS23で検出されたアイコン間距離L1´、移動距離L2´、接触時間t´を基に、前記(3)式を用いて時間Tを算出する。
次に、ステップS42では、第3判定部32は、第3判定値算出部31が時間Tを算出した時点からステップS41で算出された時間Tが経過したか否かを判定する。そして、第3判定部32は、第3判定値算出部31が時間Tを算出した時点から時間Tが経過したと判定すると、ステップS27に進む。
(動作、作用等)
次に、第3の実施形態に係るタッチパネル装置1の動作、及びその作用等の一例について説明する。
第3の実施形態では、前述の第1の実施形態と同様に、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101で指の接触を検出すると、その接触期間中、その接触状態を基に算出した判定値Hが判定値用しきい値Hth以下であれば、画面100にアイコン102aを表示したままにする(ステップS1〜ステップS5)。そして、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101への指の接触状態からジェスチャを検出すると、そのジェスチャに応じた画像表示等を行う。
また、第3の実施形態では、前述の第1の実施形態と同様に、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101で指の接触を検出し、その接触期間中に、その接触状態を基に算出した判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きくなると、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化するとともにタッチ検出領域102に表示しているアイコン102aを消去し、かつジェスチャ検出領域101を拡大させる(ステップS1〜ステップS4、ステップS6〜ステップS8→ステップS5)。そして、タッチパネル装置1は、ジェスチャ検出領域101への指の接触状態からジェスチャを検出すると、そのジェスチャに応じた画像表示等を行う。
そして、第3の実施形態では、タッチパネル装置1は、領域拡大維持処理によって、ジェスチャ検出領域101でのジェスチャの操作が完了したときに、タッチ検出領域102でのタッチの検出が無効化されている場合、アイコン間距離L1´、移動距離L2´、及び接触時間t´を基に算出した時間T分だけ、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している状態、アイコン102aを非表示にしている状態、及びジェスチャ検出領域101を拡大させている状態を維持する(ステップS21〜ステップS23、ステップS41、ステップS42)。そして、タッチパネル装置1は、時間Tが経過した後、ジェスチャ検出領域101を元の大きさに戻し、タッチ検出領域102にアイコン102aを表示し、かつ当該アイコン102aに対するタッチの検出を有効化する(ステップS27〜ステップS29)。
以上のように、第3の実施形態では、タッチパネル装置1は、ジェスチャの完了時点から、アイコン間距離L1´、移動距離L2´、及び接触時間t´を基に算出した時間T分だけ、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している状態、アイコン102aを非表示にしている状態、及びジェスチャ検出領域101を拡大させている状態を維持する。ここで、連続してジェスチャが行われる場合に、前回のジェスチャでの画面100に対する接触状態と今回のジェスチャでの画面100に対する接触状態とは関連性は高く、前回のジェスチャでの画面100に対する接触状態と今回のジェスチャの操作時間との関連性は高い。このようなことから、タッチパネル装置1は、前回のジェスチャに基づき、今回のジェスチャの操作時間に合致させて、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化している状態等をより適切に維持できる。
なお、前述の第3の実施形態の説明では、第3判定値算出部31は、例えば、維持時間算出部を構成する。
(実施形態の変形例等)
前述の実施形態では、画面100に表示する、タッチに反応するアイコン102aは、前述の表示態様に限定されない。
図15には、画面100へのアイコン102a,103aの他の表示例を示す。図15に示すように、本実施形態の変形例では、2つのアイコン102a,103aがジェスチャ検出領域101の両側にそれぞれ表示されても良い。この場合、例えば、タッチパネル装置1は、判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きくなると、画面100からアイコン102a,103aを消去するとともに当該アイコン102a,103aに対応するタッチ検出領域でのタッチの検出を無効化し、かつ当該タッチ検出領域を含む領域までジェスチャ検出領域101を拡大させる。
また、このように、複数のアイコン102a,103aを画面100に表示する場合には、タッチパネル装置1は、各アイコン102a,103a毎に判定値Hを算出したり、各アイコン102a,103a毎に判定値用しきい値Hthを設定したりして、各アイコン102a,103a毎にタッチの検出を無効化するなどしたり、無効化している状態等を維持したりしても良い。この場合、例えば、タッチパネル装置1は、指が接近している側のアイコンを、その他のアイコンよりも検出を無効化する可能性を高くしたりする。
また、タッチパネル装置1の構成は、前述の態様に限定されない。図16には、タッチパネル装置1の他の具体的な構成例を示す。例えば、図16に示すタッチパネル装置1は、ナビゲーションシステムを搭載している。図16に示すように、このタッチパネル装置1には、各種の操作ボタン等121が設けられている。そして、タッチパネル装置1には、画面100の中央部分にジェスチャ検出領域101が設けられ、画面100においてジェスチャ検出領域101の左右にタッチに反応するアイコン群122a,122b(斜線で示す領域部分)が表示される。
また、実施形態の変形例として、接触物は、指以外の、タッチペン等でも良い。
また、本実施形態の変形例として、タッチパネル装置1は、車両の走行状態を基に、前述の画像表示処理を行うか否かを決定しても良い。ここで、車両の走行状態としては、例えば、渋滞道路を走行中の状態、悪路を走行中の状態等がある。これによって、タッチパネル装置1は、例えば、車両が渋滞道路を走行している場合に、前述の画像表示処理を開始し、その開始した画像表示処理によって、ジェスチャ検出領域101で指の接触を検出し、かつ判定値Hが判定値用しきい値Hthよりも大きいと判定したときには、タッチ検出領域102でのタッチの検出を無効化し、かつタッチ検出領域102に表示されているアイコン102aを消去し、かつジェスチャ検出領域101を拡大する。これによって、タッチパネル装置1は、例えば、車両が渋滞道路を走行中にだけ画像表示処理を行うようにし、画像表示処理を必要以上に実施してしまうのを防止できる。
ここで、例えば、車両が渋滞道路を走行している場合、操作者は、タッチパネル5に対して間欠的な操作を行ってしまう場合がある。この場合、操作者は、操作を完了するまでに何度も類似したジェスチャを繰り返し行う可能性が高い。このような場合に、タッチパネル装置1は、前述の第2の実施形態や第3の実施形態のように、ジェスチャ検出領域101を拡大した状態を維持することで、そのように繰り返し行われるジェスチャをより適切に検出できる。
また、前述の第1の実施形態の変形例として、判定値算出部13は、下記(4)式を用いて第1判定値Hを算出しても良い。
H=a1・(Ls−L1)+a2・t+a3・L2 ・・・(4)
ここで、Lsは、ジェスチャ検出領域101の横方向の長さの1/2の値である。
また、前述の第2及び第3の実施形態の変形例として、完了したジェスチャにおいて指が最初に接触したタッチパネル5における位置とタッチ検出領域102との距離をアイコン間距離L1´としても良い。
この場合、タッチパネル装置1は、完了したジェスチャにおいて指が最初に接触したタッチパネル5における位置とタッチ検出領域102との距離を基に第2判定値H´を算出することによって、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となる第2判定値H´を簡易に算出できる。
例えば、操作者は、ジェスチャを繰り返す場合、前回のジェスチャでの接触物の接触開始位置と同じ位置で今回のジェスチャで接触物を最初に接触させる可能性が高い。このようなことから、完了したジェスチャにおいて接触物が最初に接触した位置とタッチ検出領域102との距離が短いほど、操作者は、ジェスチャの完了後に再び行うジェスチャにおいて接触物をタッチ検出領域102で接触させてしまう可能性が高くなる。よって、第2判定値H´は、このような距離を基に算出されることで、ジェスチャが完了した後の操作者による操作が、操作者がジェスチャを繰り返すときに意図に反してタッチ検出領域102に指を接触させてしまうような操作である可能性を示す指標となる値として簡易に算出される。
また、本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。