JP6149482B2 - 水無し平版の製造方法、印刷物の製造方法、および水無し平版 - Google Patents

水無し平版の製造方法、印刷物の製造方法、および水無し平版 Download PDF

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Description

本発明は、レーザーアブレーションを利用した水無し平版の製造方法に関するものである。
従来、印刷法は簡易的にパターンを形成できるという利点を有することから広く用いられてきた。このような印刷法としては、例えば平版印刷が知られており、中でも水あり平版印刷が一般的であった。水あり平版印刷とは、表面にインクを受容する親油部およびインクを反発する親水部がパターン状に形成された水あり平版にインクを塗布し、親油部および親水部におけるインクの濡れ性の相違を利用して、水あり平版から被転写体にインクを転写して所望のパターンを形成するというものである。ここで、水あり平版の親水部には有機溶剤を含む湿し水が用いられる。そのため、水あり平版を用いた印刷法においては、親油部および親水部が隣接する領域にてインクと湿し水とが混ざり合い、インクの濃度を一定に保つことが困難になるという問題や、有機溶剤を含む湿し水が環境や人体に対して悪影響を及ぼすという問題がある。
そこで、最近では、水あり平版に代替して湿し水のかわりにインクを反発するシリコーンゴム層等を有する水無し平版についての研究が進められている(例えば特許文献1〜3参照)。
水無し平版の製造方法としては種々の方法が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
例えば特許文献1には、支持体表面にコロナ放電処理を施し、支持体上にレーザー光を熱に変換する光熱変換剤を含有する光熱変換層とシリコーンゴム層とを順に積層した後、シリコーンゴム層にレーザーを照射してシリコーンゴム層の露光部の光熱変換層との密着性を低下させる露光工程と、密着性の低下したシリコーンゴム層を除去してインキ受容性の領域を形成する現像工程とを行う方法が提案されている。この現像工程では、現像液が用いられ、例えば現像液を含む現像液パッドで版面をこする、または現像液を版面に注いだ後に水中にて現像ブラシでこする等の方法が行われる。
また特許文献2には、基板上にシリコーンゴム層とレーザー光を熱に変換する光熱変換剤を含有する光熱変換層である疎水層とを積層した後、光熱変換層にレーザー光を照射して除去する方法が提案されている。さらに、特許文献2には、基板上にシリコーンゴム層と光硬化性疎水層とを積層した後、光硬化性疎水層にレーザー光を照射して硬化させ、光硬化性疎水層の非硬化部を除去する方法が提案されている。この光硬化性疎水層の非硬化部の除去には現像液が用いられる。
また特許文献3には、支持体上に熱可塑性樹脂を殻とする微小中空粒子を含有する断熱層と、熱融着性微粒子を含有し、熱により疎水性へ変換する変換層と、ポリマーを含有する親水性層とを積層し、親水性層にレーザー等で熱を照射する方法が提案されている。この方法では、親水性層に熱が照射されることにより、その下層の変換層が溶融されると同時に親水性層が変換層に取り込まれることで最表面が疎水性になる、またはアブレーション等で親水性層が破壊された際に熱によって溶融した変換層が疎水性へと変化し表面に露出する。これにより、インクを受理する部分が形成される。
特開2006−130911号公報 特開2001−26185号公報 特開2007−237428号公報
平版印刷は、上述のように簡易な方法であるものの、高精細な印刷が困難であり、回路等のパターンの微細化が要求される用途においては適用困難であるという指摘がされている。例えば特許文献1のようなレーザー照射後に現像液を用いる水無し平版の製造方法では十分な解像度が得られないおそれがあり、水無し平版の印刷性能向上には改善の余地がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高精細な印刷を可能にする水無し平版の製造方法、印刷物の製造方法、および水無し平版を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、紫外線を吸収する紫外線吸収層、および、紫外線を透過し、フッ素を含有し、上記紫外線吸収層よりも撥液性が高い撥液層を積層する積層工程と、上記撥液層側から上記紫外線吸収層に紫外線レーザーをパターン状に照射して、レーザーアブレーションにより上記撥液層をパターン状に除去し、上記紫外線吸収層を露出させる撥液層パターニング工程とを有することを特徴とする水無し平版の製造方法を提供する。
本発明においては、撥液層が紫外線を透過し、紫外線吸収層が紫外線を吸収するため、撥液層側から紫外線吸収層に紫外線レーザーをパターン状に照射することで、レーザーアブレーションにより撥液層をパターン状に除去することができ、これにより露出した紫外線吸収層表面をインクを受容する親液部とし、撥液層表面をインクを反発する撥液部とすることができる。また、フッ素を含有する撥液層を用いることにより、撥液層表面と紫外線吸収層表面との濡れ性の差を大きくすることができる。さらに、紫外線レーザーは直進性に優れているため、撥液層を高精細にパターニングすることができ、微細な親液部を利用して高精細な印刷が可能な水無し平版を得ることができる。
上記発明においては、上記撥液層パターニング工程後に、露出した上記紫外線吸収層表面に親液化処理を行う親液化処理工程をさらに有することが好ましい。親液化処理を行うことにより露出した紫外線吸収層表面と撥液層表面とで濡れ性の差をさらに大きくすることができる。また、親液化処理がUV−オゾン処理や真空紫外線処理等の紫外線を利用する方法である場合には、撥液層が紫外線を透過するため、露出した紫外線吸収層表面のみを親液化することができる。
また本発明は、紫外線を吸収する紫外線吸収層、および、紫外線を透過し、フッ素を含有し、上記紫外線吸収層よりも撥液性が高い撥液層を積層する積層工程、および上記撥液層側から上記紫外線吸収層に紫外線レーザーをパターン状に照射して、レーザーアブレーションにより上記撥液層をパターン状に除去し、上記紫外線吸収層を露出させる撥液層パターニング工程を有する水無し平版形成工程と、上記水無し平版の上記紫外線吸収層の露出面に機能性インクを付与し、上記機能性インクを被転写基板に転写する転写工程とを有することを特徴とする印刷物の製造方法を提供する。
本発明においては、上記の水無し平版の製造方法により製造される水無し平版を用いて印刷を行うため、高精細な印刷が可能になる。
さらにまた本発明は、紫外線を吸収する紫外線吸収層と、上記紫外線吸収層上にパターン状に形成され、紫外線を透過し、フッ素を含有し、上記紫外線吸収層よりも撥液性が高い撥液層とを有し、上記撥液層の開口部では上記紫外線吸収層が表面に凹部を有することを特徴とする水無し平版を提供する。
本発明の水無し平版は、上述の水無し平版の製造方法により製造することができるため、高精細な印刷が可能な水無し平版とすることができる。
本発明においては、高精細な印刷が可能な水無し平版を得ることができるという効果を奏する。
本発明の水無し平版の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の水無し平版の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の水無し平版の一例を示す概略断面図である。 本発明の印刷物の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の印刷物の製造方法の他の例を示す模式図である。 本発明の水無し平版の他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明の水無し平版の製造方法、印刷物の製造方法、および水無し平版について詳細に説明する。
A.水無し平版の製造方法
本発明の水無し平版の製造方法は、紫外線を吸収する紫外線吸収層、および、紫外線を透過し、フッ素を含有し、上記紫外線吸収層よりも撥液性が高い撥液層を積層する積層工程と、上記撥液層側から上記紫外線吸収層に紫外線レーザーをパターン状に照射して、レーザーアブレーションにより上記撥液層をパターン状に除去し、上記紫外線吸収層を露出させる撥液層パターニング工程とを有することを特徴とするものである。
図1(a)〜(d)は本発明の水無し平版の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図1(a)に例示するように、基板2上に紫外線吸収層3および撥液層4を順に積層する積層工程を行う。次に、図1(b)〜(c)に例示するように、撥液層4側から紫外線吸収層3に紫外線レーザーLをパターン状に照射すると、撥液層4が紫外線を透過し、紫外線吸収層3が紫外線を吸収するため、撥液層4および紫外線吸収層3の界面から撥液層4に向かってアブレーションが起こり、レーザーアブレーションにより撥液層4がパターン状に除去され、紫外線吸収層3が露出し、紫外線吸収層3表面に凹部10が形成される。このようにして、図1(b)〜(d)に例示するように、撥液層4をパターニングする撥液層パターニング工程を行う。これにより、露出した紫外線吸収層3表面をインクを受容する親液部とし、撥液層4表面をインクを反発する撥液部とすることができる。この水無し平版1においては、紫外線が紫外線吸収層3に吸収されることで、撥液層4および紫外線吸収層3の界面から撥液層4に向かってアブレーションが起こるため、撥液層4が除去された領域では紫外線吸収層3表面に窪みが形成され、すなわち凹部10が形成される。
本発明においては、撥液層が紫外線を透過し、紫外線吸収層が紫外線を吸収するため、撥液層側から紫外線吸収層に紫外線レーザーをパターン状に照射することで、レーザーアブレーションにより撥液層をパターン状に除去することができ、これにより露出した紫外線吸収層表面をインクを受容する親液部とし、撥液層表面をインクを反発する撥液部とする水無し平版を得ることができる。また、フッ素を含有する撥液層を用いることにより、撥液層表面と紫外線吸収層表面との濡れ性の差を大きくすることができる。さらに、紫外線レーザーは直進性に優れているため、撥液層を高精細にパターニングすることができ、微細な親液部を形成することができる。したがって、この親液部を利用して高精細な印刷が可能な水無し平版を得ることができる。
図2(a)〜(e)は本発明の水無し平版の製造方法の他の例を示す工程図である。なお、図2(a)〜(d)は上記図1(a)〜(d)と同様であるので省略する。次に、図2(e)に例示するように、露出した紫外線吸収層3および撥液層4の全面にUV−オゾン処理、真空紫外線処理等の親液化処理Tを施す親液化処理工程を行う。撥液層4が紫外線を透過するため、撥液層4表面は親液化されず、露出した紫外線吸収層3の表面3aのみが親液化される。これにより、露出した紫外線吸収層3の表面3aをインクを受容する親液部とし、撥液層4の表面をインクを反発する撥液部とすることができる。
このように本発明において、撥液層パターニング工程後に親液化処理を行う場合には、露出した紫外線吸収層表面と撥液層表面とで濡れ性の差を大きくすることができる。
また、親液化処理がUV−オゾン処理や真空紫外線処理等の紫外線を利用する方法である場合には、撥液層が紫外線を透過するため、撥液層表面は親液化されず、露出した紫外線吸収層表面のみを親液化することができる。
以下、本発明の水無し平版の製造方法における各工程について説明する。
1.積層工程
本発明における積層工程は、紫外線を吸収する紫外線吸収層、および、紫外線を透過し、フッ素を含有し、上記紫外線吸収層よりも撥液性が高い撥液層を積層する工程である。
以下、紫外線吸収層および撥液層に分けて説明する。
(1)紫外線吸収層
本発明における紫外線吸収層は、紫外線を吸収するものである。紫外線はエネルギーが大きく、レーザーアブレーションに有利である。
紫外線吸収層の紫外線の透過率としては、紫外線レーザーの照射によりレーザーアブレーションが起こり得る程度であればよいが、具体的には50%以下であることが好ましく、中でも30%以下、特に15%以下であることが好ましい。透過率が上記範囲であれば、撥液層側から紫外線吸収層に紫外線レーザーを照射することで、効率良くレーザーアブレーションにより撥液層をパターン状に除去することができるからである。
なお、上記の透過率は、使用する紫外線の波長の透過率を指す。具体的に、紫外線の透過率は、波長190nm〜380nmの光を用い、Lambert-Beerの法則に基いて試料の透過分光スペクトルを測定し、算出する。
また、紫外線吸収層は撥液層よりも撥液性が低く、具体的には紫外線吸収層表面は撥液層表面と比較して液体との接触角が小さいものである。これにより、本発明により得られる水無し平版を用いて、露出した紫外線吸収層表面と撥液層表面との濡れ性の相違を利用して種々の機能性インクを印刷することができるとともに、高精細な印刷が可能になる。
露出した紫外線吸収層表面の液体との接触角および撥液層表面の液体との接触角の差は、10°以上であることが好ましく、中でも30°以上、特に60°以上であることが好ましい。
また、露出した紫外線吸収層表面の液体との接触角は、撥液層表面の液体との接触角よりも小さければよいが、表面張力70mN/mの液体との接触角が80°以下であることが好ましく、中でも60°以下、特に40°以下であることが好ましい。一方、表面張力70mN/mの液体との接触角は20°以上であることが好ましい。露出した紫外線吸収層表面の濡れ性が上記範囲であることにより、本発明により得られる水無し平版を用いて、露出した紫外線吸収層表面と撥液層表面との濡れ性の相違を利用して種々の機能性インクを印刷することができるとともに、高精細な印刷が可能になる。また、露出した紫外線吸収層表面の液体との接触角が小さすぎると、本発明により得られる水無し平版を用いて印刷を行う際に、インクを受容する親液部である紫外線吸収層表面からのインクの離れやすさが低下するおそれがある。
ここで、液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を、協和界面科学(株)製の接触角計 PCA−1を用いて、マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後に測定し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
紫外線吸収層を構成する材料としては、紫外線を吸収し、撥液層を構成する撥液性材料よりも撥液性が低く、紫外線レーザーの照射によりレーザーアブレーションが起こり得る材料であれば特に限定されるものではなく、有機材料および無機材料のいずれも用いることができる。中でも、有機材料が好ましい。有機材料は、レーザーアブレーションが起こりやすく、またレーザーアブレーションに必要なエネルギーが低いからである。また、紫外線吸収層を構成する材料は、例えば樹脂を用いることができる。
露出した紫外線吸収層表面が親液性を有する場合、紫外線吸収層は、親液性材料を含有するものであってもよく、後述の親液化処理工程にて親液化処理が可能な材料を含有するものであってもよい。親液化処理工程にて露出した紫外線吸収層表面を親液化処理することにより、露出した紫外線吸収層表面と撥液層表面とで濡れ性の差を大きくすることができる。
親液性材料としては、上記の紫外線吸収層表面の液体との接触角を満たすものであれば特に限定されるものではなく、公知の有機材料の中から適宜選択して用いることができる。親水性材料の例としては、ポリビニルアルコール類や尿素樹脂類が挙げられる。
また、親液化処理が可能な材料としては、親液化処理後において上記の紫外線吸収層表面の液体との接触角を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、セルローストリアセテート、ポリスチレン、オルガノポリシロキサン等の高分子材料を挙げることができる。
また、紫外線吸収層を構成する材料には、紫外線吸収層が吸収する紫外線の波長を調整するために、色素が含有されていてもよい。色素としては、目的とする紫外線の波長に応じて適宜選択される。
さらにまた、紫外線吸収層は、弾性を有することが好ましい。紫外線吸収層が弾性を有する場合には、本発明により得られる水無し平版表面に被転写基板を密着させてインクを被転写基板に転写する際に、水無し平版表面に均一に圧力を加えることができ、インクの転写性を向上させ、高精細な印刷が可能になる。また、本発明により得られる水無し平版が、支持体として後述する基板を有する場合であって、上記基板に弾性が不足している場合等においては、紫外線吸収層が弾性を有することにより、水無し平版と被転写体との密着度を上げることができ、高精細な印刷が可能になる。
紫外線吸収層に弾性を付与する方法としては、例えば上述した紫外線吸収層の構成材料に弾性を有する材料を添加する方法が挙げられる。弾性を有する材料としては、例えばポリウレタン誘導体、ポリエステル誘導体、ポリシロキサン誘導体等が挙げられる。
紫外線吸収層の厚みとしては、紫外線レーザーの照射によりレーザーアブレーションが起こった際に、照射部分の紫外線吸収層が残存し得る程度の厚みであれば特に限定されるものではないが、具体的には0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.2μm〜5μmの範囲内、特に0.5μm〜1μmの範囲内であることが好ましい。
本発明においては、図1(a)〜(d)に例示するように、水無し平版1は、撥液層4側から紫外線吸収層3に紫外線レーザーLをパターン状に照射し、レーザーアブレーションにより撥液層4をパターン状に除去することにより形成することができる。紫外線が紫外線吸収層3に吸収されることで、撥液層4および紫外線吸収層3の界面から撥液層4に向かってアブレーションが起こるため、水無し平版1においては、撥液層4が除去された領域では、紫外線吸収層3が露出し、紫外線吸収層3表面が僅かに窪み、凹部10が形成されている。そのため、撥液層の開口部では、露出した紫外線吸収層は表面に凹部を有している。
紫外線吸収層の形成方法としては、紫外線吸収層に用いられる材料等に応じて適宜選択されるものであり、例えば、基板上に紫外線吸収層形成用塗工液を塗布する方法、および、熱CVD法、プラズマCVD法等のCVD法、蒸着法、スパッタリング法等のPVD法等が挙げられる。塗布方法としては、基板全面に紫外線吸収層形成用塗工液を塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、グラビア印刷法、スリットコート法、インクジェット法、フレキソ印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
(2)撥液層
本発明における撥液層は、紫外線を透過し、フッ素を含有し、上記紫外線吸収層よりも撥液性が高いものである。
撥液層の紫外線の透過率としては、撥液層側から紫外線吸収層に紫外線レーザーを照射した際に、紫外線が撥液層を透過して紫外線吸収層に吸収され、レーザーアブレーションにより撥液層をパターン状に除去することが可能な程度であればよいが、具体的には60%以上であることが好ましく、中でも75%以上、特に85%以上であることが好ましい。透過率が上記範囲であれば、撥液層側から紫外線吸収層に紫外線レーザーを照射することで、効率良くレーザーアブレーションにより撥液層をパターン状に除去することができるからである。
なお、紫外線の透過率の定義および紫外線の透過率の測定方法については、上記紫外線吸収層の項に記載したものと同様である。
撥液層を構成する材料としては、紫外線を透過し、フッ素を含有し、紫外線吸収層よりも撥液性が高く、撥液層側から紫外線吸収層に紫外線レーザーを照射することでレーザーアブレーションにより除去可能な材料であれば特に限定されるものではなく、例えばフッ素樹脂を挙げることができ、具体的にはポリテトラフルオロエチレンや旭硝子社製のサイトップ(登録商標)が挙げられる。撥液層を構成する材料は、フッ素樹脂以外であっても、照射される紫外線の波長での透過率が上述の範囲となる材料であればよい。
また撥液層は、上述のようにフッ素材料を含有するものであってもよく、表面がフッ素化合物を導入ガスとする撥液化処理が施されたものであってもよい。
フッ素化合物を導入ガスとする撥液化処理としては、例えば、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射するフッ素プラズマ処理が挙げられる。導入ガスとして用いられるフッ素化合物としては、例えばCF、NF、SF、CHF、C、C、C等が挙げられる。また、導入ガスは、フッ素化合物と他のガスとが混合されたものであってもよい。他のガスとしては、例えば、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。
プラズマの照射方法としては、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射し、撥液層表面に撥液性を付与することができる方法であれば特に限定されるものではなく、減圧下でプラズマ照射してもよく、大気圧下でプラズマ照射してもよい。大気圧プラズマはコストや製造効率等の面で有利である。
撥液層表面に撥液化処理を施す際には、撥液層表面の液体との接触角が所定の範囲内になるように撥液化処理を行うことが好ましい。
撥液層表面に導入されたフッ素の存在は、X線光電子分光分析装置による分析において、撥液層表面より検出される全元素中のフッ素元素の割合を測定することにより確認することができる。
撥液化処理が可能な材料としては、撥液化処理後において後述の撥液層表面の液体との接触角を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、オルガノポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の高分子材料が挙げられる。
さらに、撥液層は紫外線吸収層よりも撥液性が高く、具体的には撥液層表面は紫外線吸収層表面と比較して液体との接触角が大きい。
撥液層表面の液体との接触角は、露出した紫外線吸収層表面の液体との接触角よりも大きければよいが、具体的には表面張力70mN/mの液体との接触角が90°以上であることが好ましく、中でも95°以上、特に100°以上であることが好ましい。撥液層表面の濡れ性が上記範囲であることにより、撥液層表面と露出した紫外線吸収層表面との濡れ性の相違を利用して高精細な印刷が可能になるからである。
なお、液体との接触角の測定方法については、上記紫外線吸収層の項に記載した方法と同様である。
撥液層の厚みとしては、上記透過率を満たすことができ、撥液層側からの紫外線吸収層への紫外線レーザーの照射によるレーザーアブレーションにより除去可能な厚みであれば特に限定されるものではないが、具体的には1nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、中でも2nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、特に2nm〜20nmの範囲内であることが好ましい。撥液層の厚みが上記範囲内であれば、撥液層側から紫外線吸収層に紫外線レーザーを照射することで、効率良くレーザーアブレーションにより撥液層をパターン状に除去することができるからである。
撥液層の形成方法としては、撥液層に用いられる材料等に応じて適宜選択されるものであり、例えば紫外線吸収層上に撥液層形成用塗工液を塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、紫外線吸収層全面に撥液層形成用塗工液を塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、グラビア印刷法、スリットコート法、インクジェット法、フレキソ印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
(3)基板
本発明においては、基板上に紫外線吸収層および撥液層が形成されていてもよい。
基板は、紫外線吸収層および撥液層を支持することができるものであればよく、例えば、ガラス、樹脂フィルム、セラミック、金属からなるもの等を挙げることができる。また、本発明における基板は、弾性を有していてもよい。基板が弾性を有することにより、本発明により得られる水無し平版表面に被転写基板を密着させてインクを被転写基板に転写する際に、水無し平版表面に均一に圧力を加えることができ、また、水無し平版と被転写体との密着度を上げることができるため、インクの転写性を向上させ、高精細な印刷が可能になる。このような基板としては、例えばエラストマー、ゴム等の材料を用いることができる。
また、紫外線吸収層が基板を兼ねていてもよい。
(4)プライマー層
本発明においては、紫外線吸収層と撥液層との間にプライマー層が形成されていることが好ましい。本発明において用いられるプライマー層は、紫外線吸収層と撥液層との間に形成され、上記紫外線吸収層と上記撥液層との密着性を向上させる機能を有するものである。紫外線吸収層と撥液層との間の密着性を向上させることにより、本発明により得られた水無し平版を被転写基板に密着させて機能性インクを転写する際に、紫外線吸収層からの撥液層の剥離を防止することができ、水無し平版の耐久性を向上させることができる。
本発明において用いられるプライマー層は、所定の性質を備えるものであれば特に限定されるものではなく、紫外線を吸収してもよく、紫外線を透過してもよい。このようなプライマー層の材料としては、紫外線吸収層および撥液層との密着性を向上させることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、または、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
なお、本発明において用いられるプライマー層には、上記の樹脂以外に、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および分散剤等が含まれていてもよい。
2.撥液層パターニング工程
本発明における撥液層パターニング工程は、撥液層側から紫外線吸収層に紫外線レーザーをパターン状に照射して、レーザーアブレーションにより撥液層をパターン状に除去し、紫外線吸収層を露出させる工程である。
紫外線の波長は、撥液層を透過し、紫外線吸収層に吸収されるとともに、紫外線レーザーを紫外線吸収層に照射することによりレーザーアブレーションを起こすことができれば特に限定されるものでない。紫外線領域は、通常365nm以下であり、中でも190nm〜355nmの範囲内、特に248nm〜355nmの範囲内であることが好ましい。
紫外線レーザーとしては、波長により適宜選択される。例えば、F、ArF、KCl、KrF、XeCl、XeF等のエキシマレーザー、YAGレーザー等を用いることができる。
また、紫外線の照射量は、撥液層側から紫外線吸収層に紫外線レーザーを照射することで、レーザーアブレーションにより撥液層を除去することができ、また照射部分の紫外線吸収層を残存させることができる程度であればよく、特に限定されない。
紫外線の照射時間は比較的短いことが好ましい。照射時間が長いと、照射部分の紫外線吸収層まで除去されてしまうおそれがあるからである。そのため、高出力の紫外線レーザーを用いることが好ましい。
撥液層側から紫外線吸収層に紫外線レーザーをパターン状に照射する際には、マスクを介して紫外線レーザーを照射してもよく、紫外線レーザーを集光して照射してもよい。
紫外線レーザーを照射する際、紫外線吸収層および撥液層の積層体の温度としては特に限定されないが、紫外線吸収層および撥液層の積層体を加熱しながら紫外線レーザーを照射することが好ましい。これにより、レーザーアブレーションが起こりやすくなるからである。加熱温度としては、レーザーアブレーションが起こりやすい温度であれば特に限定されないが、具体的に50℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。
撥液層のパターン形状としては、被転写基板に転写するパターン形状に応じて適宜選択されるものであり、任意の形状とすることができる。
また、撥液層のパターン寸法としては特に限定されるものではないが、本発明においてはインクを受容する親液部の微細化が可能である。具体的には、撥液層の開口部の幅が2μm程度であれば形成可能である。
3.親液化処理工程
本発明においては、上記撥液層パターニング工程後に、露出した紫外線吸収層表面に親液化処理を行う親液化処理工程をさらに有していてもよい。
親液化処理としては、露出した紫外線吸収層表面のみに親液性を付与することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばUV−オゾン処理、真空紫外線処理、紫外線吸収層表面に親液性を付与することができる化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射するプラズマ処理等が挙げられる。中でも、親液化処理は、UV−オゾン処理、真空紫外線処理等の紫外線を利用する方法であることが好ましい。撥液層が紫外線を透過するので、撥液層および露出した紫外線吸収層の全面にUV−オゾン処理または真空紫外線処理を施した場合でも、撥液層表面は親液化されず、露出した紫外線吸収層表面のみを親液化することができ、精度良く効率的に親液化処理を行うことができるからである。
UV−オゾン処理において、オゾンを発生させる酸素や空気を用いることができる。
UV−オゾン処理は、撥液層および紫外線吸収層の全面に施してもよく、マスクを介して露出した紫外線吸収層表面のみに施してもよいが、撥液層および紫外線吸収層の全面に施すことが好ましい。上述のように、撥液層が紫外線を透過するので、撥液層および紫外線吸収層の全面にUV−オゾン処理を施した場合でも、露出した紫外線吸収層表面のみを親液化することができる。
また、真空紫外線処理も、UV−オゾン処理と同様に、撥液層および紫外線吸収層の全面に施してもよく、マスクを介して露出した紫外線吸収層表面のみに施してもよいが、撥液層および紫外線吸収層の全面に施すことが好ましい。
プラズマ処理において、導入ガスとして用いられる化合物は、紫外線吸収層表面のみに親液性を付与することができるものであればよく、例えば、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。
プラズマ処理は、撥液層および紫外線吸収層の全面に施してもよく、マスクを介して露出した紫外線吸収層表面のみに施してもよいが、マスクを介して露出した紫外線吸収層表面のみに施すことが好ましい。撥液層表面の撥液性を保持することができるからである。
露出した紫外線吸収層表面に親液化処理を施す際には、露出した紫外線吸収層表面の液体との接触角が所定の範囲内になるように親液化処理を行うことが好ましい。
4.水無し平版
本発明により得られる水無し平版の形状としては、本発明の水無し平版の製造方法により製造できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、図1(d)および図2(e)に示すように板状であってもよく、図3に示すようにロール状であってもよい。なお、図3において説明していない符号については図1と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
ロール状の水無し平版を作製する場合には、板状の水無し平版をロール状に巻き取ることによりロール状の水無し平版を製造してもよく、また、円筒状の支持体の外周に紫外線吸収層および撥液層を積層する積層工程と撥液層パターニング工程を行うことによりロール状の水無し平版を製造してもよい。
B.印刷物の製造方法
本発明の印刷物の製造方法は、紫外線を吸収する紫外線吸収層、および、紫外線を透過し、フッ素を含有し、上記紫外線吸収層よりも撥液性が高い撥液層を積層する積層工程、および上記撥液層側から上記紫外線吸収層に紫外線レーザーをパターン状に照射して、レーザーアブレーションにより上記撥液層をパターン状に除去し、上記紫外線吸収層を露出させる撥液層パターニング工程を有する水無し平版形成工程と、上記水無し平版の上記紫外線吸収層の露出面に機能性インクを付与し、上記機能性インクを被転写基板に転写する転写工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の印刷物の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図4(a)〜(g)は、本発明の印刷物の製造方法の一例を示す工程図である。なお、図4(a)〜(d)は上記の図1(a)〜(d)と同様であるので省略する。次に、図4(e)に例示するように、水無し平版1上に図示しないがコーターヘッドを用いて機能性インク11を塗布する。撥液層4表面は紫外線吸収層3表面よりも撥液性が高いため、紫外線吸収層3表面のみに機能性インク11が付着される。次いで、図4(f)〜(g)に例示するように、機能性インク11が付着した水無し平版1表面に被転写基板12を密着させた後に、水無し平版1から被転写基板12を剥離して被転写基板12に機能性インク11を転写し所望のパターンを印刷する。このように、図4(a)〜(d)に例示する水無し平版形成工程後に、図4(e)〜(g)に例示する転写工程を行う。
本発明においては、上述の水無し平版の製造方法により製造される水無し平版を用いて印刷を行うため、高精細に印刷された印刷物が得られる。
以下、本発明の印刷物の製造方法における各工程について説明する。
1.水無し平版形成工程
本発明における水無し平版形成工程は、紫外線を吸収する紫外線吸収層、および、紫外線を透過し、フッ素を含有し、上記紫外線吸収層よりも撥液性が高い撥液層を積層する積層工程、および上記撥液層側から上記紫外線吸収層に紫外線レーザーをパターン状に照射して、レーザーアブレーションにより上記撥液層をパターン状に除去し、上記紫外線吸収層を露出させる撥液層パターニング工程を有するものである。
なお、水無し平版の形成工程については、上記「A.水無し平版の製造方法」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
2.転写工程
本発明における転写工程は、上記水無し平版の上記紫外線吸収層の露出面に機能性インクを付着させ、上記機能性インクを被転写基板に転写する工程である。
ここで、機能性インクにおける「機能性」とは、光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光またはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等の光学的;硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等の磁気的;導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等の電気または電子的;吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等の化学的;耐摩耗性等の機械的;伝熱性、断熱性、赤外線放射性等の熱的;生体適合性、抗血栓性等の生体機能的のような各種の機能性を意味するものである。
機能性インクとしては、少なくとも機能性材料を含有するものである。機能性材料としては、本発明における水無し平版を用いて印刷されるパターンの種類や用途等に応じて適宜選択されるものであり、例えば、半導体材料、発光材料、正孔注入性材料、金属ナノコロイド等の導電性材料、着色材料、樹脂材料、タンパク質、細胞、DNA等の生体物質等が挙げられる。
水無し平版上に機能性インクを塗布する方法としては、撥液層の開口部の紫外線吸収層の露出面のみに機能性インクを付着させることができる方法であれば特に限定されるものではなく、露出した紫外線吸収層表面および撥液層表面の液体の接触角の差に応じて適宜選択される。露出した紫外線吸収層表面および撥液層表面の液体の接触角の差が大きい場合には、撥液層および紫外線吸収層の全面に機能性インクを塗布する方法、および撥液層の開口部の紫外線吸収層の露出面のみに機能性インクを塗布する方法のいずれも用いることができる。一方、露出した紫外線吸収層表面および撥液層表面の液体の接触角の差が小さい場合には、撥液層の開口部の紫外線吸収層の露出面のみに機能性インクを塗布する方法が用いられる。撥液層および紫外線吸収層の全面に機能性インクを塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、グラビアオフセット印刷法、平版オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法、ノズルジェット法等が挙げられる。撥液層の開口部の紫外線吸収層の露出面のみに機能性インクを塗布する方法としては、例えば、インクジェット法、ディスペンサ法等の吐出法が挙げられる。
機能性インクを紫外線吸収の露出面に付着させた際の機能性インクの塗膜の厚みとしては、被転写基板に高精細な印刷ができる程度であれば特に限定されるものではなく、形成されるパターンの種類や用途等に応じて適宜調整される。
被転写基板としては、水無し平版を密着させて印刷することができるものであれば特に限定されるものではなく、水無し平版を用いて印刷されるパターンの種類や用途等に応じて適宜選択されるものである。例えば、石英ガラス、無アルカリガラス、鉛ガラス等の透明ガラス基板や、樹脂フィルム、セラミック、金属からなるもの、紙等が挙げられる。
機能性インクを被転写基板に転写する方法としては、水無し平版における紫外線吸収層の露出面に付着した機能性インクを被転写基板に転写することができる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、図4(f)〜(g)に例示するように、板状の水無し平版1に被転写基板12を密着させて、その後水無し平版1から被転写基板12を剥離することにより被転写基板12に機能性インク11を転写する方法や、図5に例示するように、ロール状の水無し平版1に被転写基板12を密着させ、その状態のまま被転写基板12を矢印方向に移動させてロール状の水無し平版1を回転させることにより被転写基板12に機能性インク11を転写する方法が挙げられる。
C.水無し平版
本発明の水無し平版は、紫外線を吸収する紫外線吸収層と、上記紫外線吸収層上にパターン状に形成され、紫外線を透過し、フッ素を含有し、上記紫外線吸収層よりも撥液性が高い撥液層とを有し、上記撥液層の開口部では上記紫外線吸収層が表面に凹部を有することを特徴とするものである。
本発明の水無し平版について図面を参照しながら説明する。
図1(d)は本発明の水無し平版の一例を示す概略断面図である。図1(d)に例示する水無し平版1は、基板2と、基板2上に形成され、紫外線を吸収し、表面にパターン状の凹部10を有する紫外線吸収層3と、紫外線吸収層3上にパターン状に形成され、紫外線を透過し、紫外線吸収層3よりも撥液性が高い撥液層4とを有している。撥液層4の開口部では、紫外線吸収層3が表面に凹部10を有している。
本発明の水無し平版は、上述の水無し平版の製造方法により製造されるものであるため、高精細な印刷が可能な水無し平版とすることができる。
図2(e)は、本発明の水無し平版の他の例を示す概略断面図である。図2(e)に例示する水無し平版1は、上述した図1(d)と同様に、基板2上に紫外線吸収層3と撥液層4とを有するものであり、紫外線吸収層の露出面3aが親液化処理されている。
また、図3は本発明の水無し平版の他の例を示す概略断面図である。図3に例示する水無し平版1は、上述した図1(d)と同様に、基板2上に紫外線吸収層3と撥液層4とを有するものであり、ロール状である。
なお、撥液層および基板については、上記「A.水無し平版の製造方法」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明の水無し平版における他の構成について説明する。
1.紫外線吸収層
本発明における紫外線吸収層は、紫外線を吸収し、撥液層の開口部において表面に凹部を有するものである。
凹部の深さとしては、上述の水無し平版の製造方法により形成することができる程度であれば特に限定されないが、具体的には、50nm〜150nmの範囲内であることが好ましくい。凹部の深さが小さいと、紫外線吸収層の凹部に付着した機能性インクを保持できない場合がある。また、凹部の深さが大きいと、上述の水無し平版の製造方法におけるレーザーアブレーションにより凹部を形成することが困難である。
ここで、凹部の深さとは、撥液層が形成されている領域の紫外線吸収層表面から、撥液層が形成されていない領域の紫外線吸収層表面までの深さをいう。例えば図6に示すように、撥液層4が形成されている領域の紫外線吸収層3の表面から、撥液層4が形成されていない領域の紫外線吸収層3の表面までの深さdを、凹部10の深さとする。
また、凹部の幅としては、水無し平版の用途、機能性インクの種類等に応じて適宜調整されるものであり、特に限定されるものではないが、本発明の水無し平版は上述の水無し平版の製造方法により製造されるものであることから、凹部のパターンの微細化が可能である。具体的には、凹部の幅が2μm程度であれば形成可能である。
凹部のパターン形状としては、水無し平版の用途等に応じて適宜選択されるものであり、任意の形状とすることができる。
また、撥液層の開口部では紫外線吸収層が表面に凹部を有する。ここで、撥液層の開口部では紫外線吸収層が表面に凹部を有するとは、紫外線吸収層の凹部の端部と撥液層の開口部の端部とが一致していることをいう。例えば図6においては、紫外線吸収層3の凹部10の端部と撥液層4の開口部の端部とが一致している。
なお、紫外線吸収層のその他の点については、上記「A.水無し平版の製造方法」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
2.用途
本発明の水無し平版の用途としては、例えば、トランジスタやダイオード等の半導体素子における電極、半導体層、ゲート絶縁層および層間絶縁層の形成、TFT基板における画素電極の形成、太陽電池における背面電極の形成、有機EL素子における背面電極の形成、不揮発性メモリの電極およびポリマー層の形成、圧力センサーの電極およびポリマー層の形成、配線基板における配線の形成、カラーフィルタにおける着色層および遮光部の形成、バイオチップの作製等が挙げることができる。特に、本発明の水無し平版は、パターンの微細化が要求される電子デバイスの製造に好適に用いることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
(親液部および撥液部の形成)
まず、帝人社製のポリカーボネートフィルム上に、紫外線吸収層形成用塗工液として和光純薬製のスチレンポリマー 198−12805の5wt%トルエン溶液を、Mikasa製のスピンコーター MS−A200で塗布し、乾燥することで厚さ1μmの紫外線吸収層を形成した。この紫外線吸収層表面の純水の接触角を協和界面科学社製の接触角計 PCA−1で測定した結果は80°であった。また、紫外線吸収層の波長248nmの透過率は40%であった。
次いで、紫外線吸収層表面に、撥液層形成用塗工液として旭硝子社製 サイトップCTX−809APをスピンコーターで塗布し、乾燥することで厚さ20nmの撥液層を形成した。この撥液層表面の純水の接触角を協和界面科学社製の接触角計 PCA−1で測定した結果は110°であった。また、撥液層の波長190nm〜380nmの透過率はほぼ一定であり、95%であった。
次に、上記の積層体の撥液層側からTamarack製の波長248nmのエキシマレーザーを120mW/cmの出力で照射し、紫外線吸収層の最表層をアブレーションすることで撥液層をパターニングした。これにより、露出した紫外線吸収層表面と撥液層表面とで接触角の差が30°となる親液部および撥液部を形成した。また、このパターニングによる最小線幅は2μmであることが確認された。
[実施例2]
(親液部および撥液部の形成)
実施例1で得られた親液部および撥液部において、TAKEDEN製のUV装置を用いて撥液層側からUV−オゾン処理を行った。UV−オゾン処理後の紫外線吸収層表面の純水の接触角を協和界面科学社製の接触角計 PCA−1で測定したところ20°となり、露出された紫外線吸収層のみで濡れ性が向上した。これにより、露出した紫外線吸収層表面と撥液層表面とで接触角の差が90°となる親液部および撥液部を形成した。
[比較例1]
まず、実施例1と同様にして、帝人社製のポリカーボネートフィルム上に紫外線吸収層を形成した。
次に、紫外線吸収層表面にTamarack製の波長248nmのエキシマレーザーを120mW/cmの出力で照射し、紫外線吸収層の最表層をアブレーションすることでパターニングした。これにより、紫外線吸収層表面に凹凸パターンを形成した。
このパターニングによる最小線幅は2μmであることが確認された。しかしながら、凹凸パターンの凹部および凸部の純水との接触角はいずれも80°であり、親液部および撥液部は得られなかった。比較例1から、紫外線吸収層上に撥液層を設ける効果を確認できた。
[比較例2]
まず、厚さ0.7mmの日本電気硝子製のガラス基板 OA10の表面に、旭硝子社製のサイトップCTX−809APをスピンコーターで塗布し、乾燥することで厚さ20nmの撥液層を形成した。この撥液層表面の純水の接触角を協和界面科学社製の接触角計 PCA−1で測定した結果は110°であった。また、撥液層の波長190nm〜380nmの透過率はほぼ一定であり、95%であった。
次に、撥液層表面にTamarack製の波長248nmのエキシマレーザーを120mW/cmの出力で照射したが、実施例1および比較例1のようなアブレーションは起こらなかった。撥液層は波長248nmの紫外線の吸収が10%未満と非常に弱く、またガラス基板のアブレーションには出力が不足するためである。比較例2より、撥液層の下地層としてアブレーションを起こしやすい層を導入する効果が確認された。
1 … 水無し平版
2 … 基板
3 … 紫外線吸収層
4 … 撥液層
10… 凹部
11… 機能性インク
12… 被転写基板
L … 紫外線レーザー

Claims (4)

  1. 紫外線を吸収する紫外線吸収層、および、紫外線を透過し、フッ素を含有し、前記紫外線吸収層よりも撥液性が高い撥液層を積層する積層工程と、
    前記撥液層側から前記紫外線吸収層に紫外線レーザーをパターン状に照射して、レーザーアブレーションにより前記撥液層をパターン状に除去し、前記紫外線吸収層を露出させる撥液層パターニング工程と
    を有することを特徴とする水無し平版の製造方法。
  2. 前記撥液層パターニング工程後に、露出した前記紫外線吸収層表面に親液化処理を行う親液化処理工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の水無し平版の製造方法。
  3. 紫外線を吸収する紫外線吸収層、および、紫外線を透過し、フッ素を含有し、前記紫外線吸収層よりも撥液性が高い撥液層を積層する積層工程、および前記撥液層側から前記紫外線吸収層に紫外線レーザーをパターン状に照射して、レーザーアブレーションにより前記撥液層をパターン状に除去し、前記紫外線吸収層を露出させる撥液層パターニング工程を有する水無し平版形成工程と、
    前記水無し平版の前記紫外線吸収層の露出面に機能性インクを付与し、前記機能性インクを被転写基板に転写する転写工程と
    を有することを特徴とする印刷物の製造方法。
  4. 紫外線を吸収する紫外線吸収層と、
    前記紫外線吸収層上にパターン状に形成され、紫外線を透過し、フッ素を含有し、前記紫外線吸収層よりも撥液性が高い撥液層と
    を有し、
    前記撥液層の開口部では前記紫外線吸収層が表面に凹部を有し、
    前記撥液層の厚みは、1nm〜300nmの範囲内であることを特徴とする水無し平版。
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