JP6149247B1 - 発光デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高効率で長寿命の発光デバイスを安価かつ大量に提供する【解決手段】陽極と陰極と、前記陽極と陰極の間に配置されたLEDダイと、前記陽極と陰極の間に配置され、前記LEDダイに接するトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料とを含む有機層からなる発光デバイスであって、前記LEDダイはn側が陰極側、p側が陽極側になるように配置され、前記有機層はLEDダイが存在する断面においてはn側と陰極の間あるいはp側と陽極の間の少なくともいずれか一方を充填するように配置され、LEDダイが存在しない断面においては陰極と陽極の間を充填するように配置され、LEDダイが存在する部分と存在しない部分にわたって連続的に配置され、LEDダイが存在しない断面における前記有機層の膜厚がLEDダイが存在する断面における前記有機層の膜厚より厚いことを特徴とする発光デバイス。【選択図】図1

Description

本発明は、発光デバイスとその製造方法に関するものである。
発光ダイオード(以降、LEDと呼ぶ)は省電力で長寿命などの長所を有する発光デバイスであり、照明やディスプレイのバックライトとして広く用いられている。LEDは、サファイアなど小型の結晶性基板の上に発光性の薄膜を結晶成長させて製造されている。基板上に面状に作製されたLEDデバイスは、一辺が100マイクロメートルオーダーの小片(以降、LEDダイと呼ぶ)に分割される。LEDダイは、1個あるいは数個ずつ、外部電源に接続できる端子に固定され(以降、実装と呼ぶ)、電圧を印加することで発光する実用的な発光デバイスとなる。
特許文献1には、多数個のLEDダイを2つの透明基板で挟んだ発光デバイスの構造と製造方法が開示されている。導電性表面を有する底部基板を提供し、ホットメルト接着剤シートを提供し、上部電極と底部電極を有するLEDダイをホットメルト接着剤シートに埋め込み、透明導電層を有する上部透明基板を提供し、ホットメルト接着剤シートは、導電性表面と透明導電層との間に挿入され、上部基板を底部基板に結合するために、加熱圧力ローラシステムを通し、ホットメルト・シートが柔らかくなるにつれ、LEDダイは分断され、それにより、上部電極は、上部基板の透明導電層と電気接触し、底部電極は、底部基板の導電性表面と電気接触し、それにより各LEDダイのp側およびn側は、上部導電層および底部導電性表面と自動的に接続される。また、上部透明導電層と底部導電性表面はホットメルト接着剤により絶縁されている。これにより、ワイヤ結合、はんだ付け、リードワイヤ、あるいは他の電気接続要素またはステップが必要でなくなり、高歩留りで低コストな方法であること、また、高密度実装にも有効であることが開示されている。
特許文献2には、特許文献1の構造の課題として、次の内容を開示している。ホットメルト材料はある確率においてLEDダイ表面を湿潤させることが十分に考えらえる。この場合、ホットメルト材料が絶縁材料であるために、LEDダイへの電気的接続が得られなくなり、発光デバイスとして機能しなくなる。この問題は、多数の発光デバイスを製造する場合の歩留りの低減と、多数個のLEDダイを配置し全数を光らせたい場合に大きな問題となる。さらに、長期にわたって発光デバイスを使用する際、LEDダイの表面が導電性材料で湿潤されておらず、電極とLEDダイが直接接触している構造であるために、電極とLEDダイの接触は不安定であり、機械的衝撃や曲げなどの応力によって容易に剥離して電気的に絶縁されるため、使用寿命が短い課題もある。
特許文献2には、特許文献1の課題の解決に対して、いずれかが実質的に透明である陽極と陰極と、前記陽極と陰極の間に配置されたp側とn側を有するLEDダイと、前記陽極と陰極の間に配置され、前記LEDダイに接する有機半導体材料を含む有機層からなる発光デバイスであって、前記LEDダイはn側が陰極側、p側が陽極側になるように配置され、前記有機層はLEDダイが存在する断面においてはn側と陰極の間あるいはp側と陽極の間の少なくともいずれか一方を充填するように配置され、LEDダイが存在しない断面においては陰極と陽極の間を充填するように配置され、LEDダイが存在する部分と存在しない部分にわたって連続的に配置され、LEDダイが存在しない断面における前記有機層の膜厚がLEDダイが存在する断面における前記有機層の膜厚より厚いことを特徴とする発光デバイスの構造を開示している。これによって、歩留りが高く製造ができ、加えて長期にわたり安定的に発光する発光デバイスを得ることができることが開示されている。
特許文献2には、有機膜中の電荷密度を増やすため、酸化タングステンや酸化モリブデンなどの正孔ドープ材料や炭酸セシウムやアルカリ金属、アルカリ土類金属などの電子ドープ材料を混合する方法が開示されている。これによって、漏れ電流は増えるが、LEDダイと電極間の電気的接合を改善して接触抵抗を低減する効果が得られることが開示されている。
特表2007−531321 特願2015−177157
Chemical Review、2007年、107巻 953〜1010ページ
特許文献2記載の発光デバイスは、高効率、長寿命、製造歩留まりを高めるために改善の余地がある。
本発明が解決しようとする課題は、高効率で長寿命の発光デバイスを高い製造歩留まりで提供することである。
本発明の発光デバイスは、いずれかが実質的に透明である陽極と陰極と、前記陽極と陰極の間に配置されたp側とn側を有するLEDダイと、前記陽極と陰極の間に配置され、前記LEDダイに接するトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料とを含む有機層からなる発光デバイスであって、前記LEDダイはn側が陰極側、p側が陽極側になるように配置され、前記有機層はLEDダイが存在する断面においてはn側と陰極の間あるいはp側と陽極の間の少なくともいずれか一方を充填するように配置され、LEDダイが存在しない断面においては陰極と陽極の間を充填するように配置され、LEDダイが存在する部分と存在しない部分にわたって連続的に配置され、LEDダイが存在しない断面における前記有機層の膜厚がLEDダイが存在する断面における前記有機層の膜厚より厚いことを特徴とする発光デバイスである。
ここで、LEDダイのp側とは陽極と電気的に接続され正孔を受け取る側、LEDダイのn側とは陰極と電気的に接続され電子を受け取る側と定義する。窒化ガリウムを用いるLEDダイでいうと、p型窒化ガリウム層が形成された側がp側であり、n型窒化ガリウム層が形成された側がn側である。なお、インジウムスズ酸化物層など一般に電極と呼ばれる層がLEDダイの表面に形成されていてもよい。
本発明により、トリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料は、両方とも有機材料であることに基づき、分子レベルで均質に混ざり合うことができるため、電子供与性のトリアリールアミン誘導体から電子受容性の有機材料への電子の移動が起こりやすくなり、トリアリールアミン誘導体のラジカルカチオン状態が得られやすくなる。これによって、膜の中の正孔電荷の密度が高くなり、加えてトリアリールアミン構造を持つ有機材料が優れた正孔輸送能力を有しているために、電極からLEDダイまで効率的に電流を流すことができるようになり、有機層における電圧降下量が低下するとともに、電極と有機層との界面およびLEDダイと有機材料との界面の接触抵抗が低下し、結果的に消費電力の低減、つまり発光効率の向上が得られる。また、本発明により電極と有機層との界面およびLEDダイと有機材料との界面の接触抵抗が低下し良好な電気的接合が得られやすくなり、電気的絶縁状態になりにくいために、発光デバイスの長期安定性、発光寿命および製造歩留まりが高くなる。
本発明の発光デバイスにおいては、トリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料とを含む有機層は、LEDダイのp側と陽極の間とn側と陰極の間の両方に形成されていてもよい。トリアリールアミン構造を持つ有機材料は電子受容性の有機材料と混合されることによって、正孔電荷が膜の中に生じるが、この正孔電荷は、LEDダイのp側と陽極の間においては、陽極からp側に移動することによって電流を与え、LEDダイのn側と陰極の間においては、n側から陰極に移動することによって電流を与えることができる。p側、n側、陽極、および陰極と、トリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料とを含む有機層の間には、電荷が移動して蓄積することによって電気二重層のような界面が形成され、オーミック接触のような低い接触抵抗の電気的な接続が得られる。
本発明の別の形態としては、前記発光デバイスにおいて、前記電子受容性の有機材料が一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする発光デバイスである。ここで、一般式(1)において、CNはシアノ基を表し、n1、n2、n3は0、1、2のいずれかの整数であり、それぞれ同じでも異なっていてもよく、n=1の場合はピラジン環上の置換可能な炭素2つのいずれの位置に置換されていてもよく、n=2の場合は置換可能な炭素2つとも置換していることを意味する。
一般式(1)で表される有機化合物は、深いLUMOエネルギー準位を有しているために、トリアリールアミン構造を持つ有機材料から電子を引き抜く能力が高く、有機層内に電荷を発生させることで得られる本発明の効果がより得やすくなる。
本発明の別の形態としては、前記発光デバイスにおいて、前記トリアリールアミン構造を持つ有機材料が一般式(2)で表される有機化合物を用いる発光デバイスである。ここで、一般式(2)において、R1〜R5は水素、アルキル基あるいはアルコキシ基を表し互いに同じでも異なっていてもよく、このうち一つ以上は炭素数が2以上のアルキル基あるいはアルコキシ基であり、R1はベンゼン環のオルト、メタ、パラ位のいずれの位置に置換されていてもよい。
一般式(2)で表される有機化合物は、一般式(2)に共通するN,N−ジフルオレニルアニリン構造が非平面構造を作り出し結晶化が阻害されるために、ガラス状態および過冷却液体状態が安定に維持できる。また、炭素数が2以上のアルキル基を有しているので機械的な強度や靭性に優れる柔軟な膜を形成することができ、外部の力や温度変化によって応力がデバイスに負荷された場合においても、本発明の柔軟な有機層が適度に変形できるために応力を緩和して剥離や亀裂などによるデバイスの破壊を防ぐことができる。加えて、フルオレン構造は融点と熱分解温度を高める効果があるため、一般式(2)で表される有機化合物は耐熱性にも優れる。この有機化合物を含む有機層は十分に高い粘度を有しているため、2つの電極を接着して離れないようにすることができ、デバイスを力学的に安定に保つことができる。アモルファス状態であるため、多結晶のような粒界が存在せず、電気的な短絡などの原因にならない。また、N,N−ジフルオレニルアニリン構造は可視光に吸収をもたないため、一般式(2)で表される有機化合物を本発明に用いることによりLEDの光が吸収によりロスされることがない。加えて、N,N−ジフルオレニルアニリン構造は、安定に正孔電荷を保持できる機能と、正孔を分子間でお互いに受け渡しすることで正孔を運ぶ機能を有している。以上のような理由から、本発明のトリアリールアミン構造を持つの有機材料として特に適している。このような本発明の効果によって、発光特性に優れるのみでなく、本発明の発光デバイスは機械的な衝撃に強く、フレキシブル性をもつ。例えば、プラスチック基板を用いた場合には曲げたりできる特長を有する。
本発明の別の形態としては、前記発光デバイスにおいて、LEDダイが存在しない断面の一部または全部にわたって絶縁層が形成されていることを特徴とする発光デバイスである。
本発明の有機層は膜中に電荷を有している。そのため、LEDダイが存在しない箇所において漏れ電流が発生することがある。前記絶縁層をLEDダイが存在しない箇所に配置することによって、漏れ電流が流れる面積を小さくすることができ、発光デバイスの発光効率を高めることができる。なお、絶縁層の厚みはLEDダイより厚くても薄くてもよい。絶縁層の厚みをLEDダイよりも薄くすると、LEDダイと電極の間の有機層の距離を小さくでき、電極からLEDダイまでの電圧降下を抑えることができる。
前記絶縁層の厚みをLEDダイの厚みよりも厚くして有機層の膜厚スペーサーの役割を兼ねてもよい。
本発明の別の形態としては、本発明の発光デバイスにおいて、前記陽極あるいは前記陰極と電気的に接続して電気抵抗を低減する配線が形成されており、前記電気抵抗を低減する配線の一部が前記絶縁層によって被覆されていることを特徴とする発光デバイスである。
本発明の発光デバイスは、その発光面側は実施的に透明である必要があり、インジウム−スズ酸化物のような透明電極を好適に用いることができる。この場合、インジウム−スズ酸化物は電気抵抗が十分に小さくないため、外部電源から電流を供給する際に無視できない電圧降下が生じる。この電圧降下を防ぐためには、透明電極に電気的に接合する低抵抗の配線を用いることが有効である。配線の材質としてはアルミや銀などの金属および合金材料などが好適に用いることができる。
これらの配線を透明電極の表面に形成した場合、電極表面よりも高い位置に配線の表面が位置するために、その部分の有機材料からなる層の膜厚は、配線がない場合に比べて薄くなり、電流が流れやすくなってしまう。また、電極の端の部分には異常な電界がかかりやすく、電気的な短絡の原因になりやすい。これを防止するために、配線の一部を絶縁層で被覆することでこの課題を解決できることを発明した。なお、配線の表面を酸化などによって絶縁性の物質にして絶縁層としてもよい。
発明者は本発明の発光デバイスの製造方法についても発明した。本発明の製造方法は、陽極を有する基板と陰極を有する基板を準備する工程と、前記2つの基板のいずれか片方の上にLEDダイを配置する工程と、あらかじめ混合したトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料の混合物をLEDダイを配置した基板あるいはもう片方の基板の上に配置する工程と、前記混合物を加熱して粘度を下げる工程と、粘度を下げた混合物を2つの基板で挟む工程、をこの順に含むことを特徴とする発光デバイスの製造方法である。
本発明の製造方法により、本発明の構造の発光デバイスを簡易に短時間で、かつ高い製造歩留まりで製造できるようになる。
本発明により、高効率で長寿命の発光デバイスを高い製造歩留まりで提供することができるようになる。
本発明の発光デバイスの断面図の模式図 本発明の発光デバイスの断面図の模式図 本発明の発光デバイスの断面図の模式図 絶縁層を配置した本発明の発光デバイスの断面図の模式図 配線の表面が絶縁層で覆われた本発明の発光デバイスの断面図の模式図 本発明の化7で表される化合物の質量スペクトル 本発明の化7で表される化合物の核磁気共鳴スペクトル 実施例1に用いた基板のサイズを示した模式図 実施例1の本発明の発光デバイスを上面視した模式図 図7の点線部の断面図の模式図(実寸の比を表すものではない) 実施例1の発光デバイスの発光時の写真 実施例1の発光デバイスとLEDダイ単体の電流・電圧特性
本発明を実施するための形態について詳細に記載する。本発明の発光デバイスは、いずれかが実質的に透明である陽極と陰極と、前記陽極と陰極の間に配置されたp側とn側を有するLEDダイと、前記陽極と陰極の間に配置され、前記LEDダイに接するトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料とを含む有機層からなる発光デバイスであって、前記LEDダイはn側が陰極側、p側が陽極側になるように配置され、前記有機層はLEDダイが存在する断面においてはn側と陰極の間あるいはp側と陽極の間の少なくともいずれか一方を充填するように配置され、LEDダイが存在しない断面においては陰極と陽極の間を充填するように配置され、LEDダイが存在する部分と存在しない部分にわたって連続的に配置され、LEDダイが存在しない断面における前記有機層の膜厚がLEDダイが存在する断面における前記有機層の膜厚より厚いことを特徴とする発光デバイスである
実質的に透明な陽極あるいは陰極の材質としては、インジウムスズ酸化物などの金属酸化物電極、アルミニウム、銀などからなる100nm以下の膜厚の薄膜金属電極、カーボンナノチューブやグラフェンなどの炭素材料、銀や銅などのナノワイヤー材料などが挙げられる。電極の製造方法としては、真空蒸着法、スパッタ法やCVD法などの乾式法、前駆体のインクを塗布したのちベークする湿式法を用いることができる。透明な電極のLED発光に対する透過率は高い方が消費電力を低く抑えることができるので100%に近いほど好ましいが、10%以上であればよい。電極の抵抗値は低い方が電圧ロスを低減できるので好ましいが1000オーム/□以下のシート抵抗であればよい。一般に透明電極の導電性は高くないため、補助配線として導電性が高い金属からなる比較的厚い配線を形成しておくと、実質的な抵抗値を大きく低減でき、消費電力の低減に寄与する。
陽極あるいは陰極の片方に不透明性の電極を用いてもよい。この場合、一般的な金属膜などを基板の上に形成してもよいし、金属板や金属フィルムをそのまま電極兼基板として用いることができる。
陽極と陰極の両方に実質的に透明な電極を用いた場合、光透過性がある発光デバイスを得ることができる。これにより面状の発光デバイスを通して観測者がいる側と逆側を見ることができるシースルー性を得ることができ、実用上価値が高い。
p側とn側を有するLEDダイとしては、一般に市販されている垂直型LEDダイを好適に用いることができる。なお、同じ面側にpとnを取り出した水平型LEDダイは本発明に用いることはできない。なぜならば、本発明の効果を得るためには、LEDダイのn側が陰極側、p側が陽極側になるように配置し、n側と陰極の間の有機層、あるいはp側と陽極の間の有機層に垂直方向に電流を流す構造とするためである。
本発明の発光デバイスにおけるトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料とを含む有機層は、LEDダイが存在する部分と存在しない部分にわたって連続的に配置されており、LEDダイが存在しない断面における有機層の膜厚がLEDダイが存在する断面における有機層の膜厚より厚いことが必要である。図1は、本発明の発光デバイスの断面図の模式図であり、上述の膜厚の関係を満たしている。加えて、本発明の有機層にはトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料とを含むことが必要である。トリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料とを含む有機層は膜厚が厚くなると、急激に電気抵抗が大きくなる。したがって、LEDダイが存在する断面においては電気抵抗が小さいため電圧降下つまり電圧ロスが小さくても電流をLEDダイに供給できる。一方、LEDダイが存在しない断面においては、有機層は厚く高い電気抵抗を有しているため漏れ電流は小さい。
LEDダイに接するトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性材料とを含む有機層は、LEDダイのp側と陽極の間に配置されてもよく、LEDダイのn側と陰極の間に配置されてもよく、図1に示したようにその片側のみでも、図2に示すようにその両方に配置されてもよい。図1の発光デバイスでは、LEDダイが電極2と直接接触しており電極1とはトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性材料とを含む有機層を介して接合している。図2の発光デバイスでは、LEDダイが電極1および電極2の両方とトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性材料とを含む有機層を介して接合している。
層内のトリアリールアミン構造を持つ有機材料の一部は、電子受容性材料に電子を渡しているため、可動な電荷として振る舞い、電圧印加時には一部が電極界面あるいはLEDダイとの界面に移動して、電気2重層のような局所的な電場が形成されるため電荷注入が起きやすくなる。したがって、接触する電極やLEDダイの材料のエネルギー準位がトリアリールアミン構造を持つ有機材料のエネルギー準位と異なっていても、本発明の発光デバイスにおいてはこれらの界面で電荷の注入が効率的に起こるために、陽極側および陰極側のいずれにも使うことができる。トリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料は、本発明の効果を得るために必要であるが、それ以外の材料は必要に応じて混合してもよい。例えば、導電性を示さない高分子をバインダー樹脂として混合してもよい。
本発明においてはLEDダイのp側あるいはn側の片側は有機層以外の電気的な接続方法でもよい。例えば、図3に示すように、金属性のはんだや銀ペーストなどの導電材料によって電極と電気的に接続してもよい。図3の発光デバイスでは、LEDダイが電極2とはんだや導電ペーストなどの導電材料によって接合しており電極1とはトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料とを含む有機層を介して接合している。
トリアリールアミン構造のアリール基とは、フェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、アンスリル基などの芳香族炭化水素の置換基を意味しており、トリアリールアミンとは、3つのアリール基で置換された窒素化合物を意味する。トリアリールアミン構造をもつ化合物が正孔を輸送する機能を有することは広く知られており、例えば非特許文献1に開示されている。
本発明では、電子受容性の有機化合物として、下記に示す一般式(1)で表される化合物を本発明の発光デバイスに好適に適用できることを発明した。ここで、一般式(1)において、CNはシアノ基を表し、n1、n2、n3は0、1、2のいずれかの整数であり、それぞれ同じでも異なっていてもよく、n=1の場合はピラジン環上の置換可能な炭素2つのいずれの位置に置換されていてもよく、n=2の場合は置換可能な炭素2つとも置換していることを意味する。
一般式(1)で表される化合物の具体的な例としては、化4で表される化合物および化5で表される化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。化4で示される化合物は、電子受容性が高いピラジン環が3つ縮合した構造をしており、3つのピラジン環が強く共役することで強い電子受容性を示す。したがって、トリアリールアミン誘導体の正孔輸送材料から電子を引き抜く能力を有しており、本発明の電子受容性材料として良好に機能する。化5で示される化合物は、化4の化合物のピラジン環上の置換可能な炭素全てにシアノ基を導入したものであり、シアノ基の電子受容性に基づき、さらに高い電子受容性を示すので、本発明の電子受容性材料として良好に機能する。
本発明では、トリアリールアミン構造を持つ有機材料として下記に示す一般式(2)の化合物を本発明の発光デバイスに好適に適用できることを発明した。ここで、一般式(2)において、R1〜R5は水素、アルキル基あるいはアルコキシ基を表し互いに同じでも異なっていてもよく、このうち一つ以上は炭素数が2以上のアルキル基あるいはアルコキシ基であり、R1はベンゼン環のオルト、メタ、パラ位のいずれの位置に置換されていてもよい。
一般式(2)で表される有機化合物は、一般式(2)に共通するN,N−ジフルオレニルアニリン構造が非平面構造を作り出し結晶化が阻害されるために、ガラス状態および過冷却液体状態が安定に維持できる。また、炭素数が2以上のアルキル基を有しているので機械的な強度や靭性に優れる柔軟な膜を形成することができ、外部の力や温度変化によって応力がデバイスに負荷された場合においても、本発明の柔軟な有機層が適度に変形できるために応力を緩和して剥離や亀裂などによるデバイスの破壊を防ぐことができる。加えて、フルオレン構造は融点や熱分解温度を高める効果があるため、一般式(2)で表される有機化合物は耐熱性にも優れる。この有機化合物を含む有機層は十分に高い粘度を有しているため、2つの電極を接着して離れないようにすることができ、デバイスを力学的に安定に保つことができる。アモルファス状態であるため、多結晶のような粒界が存在せず、電気的な短絡などの原因にならない。また、N,N−ジフルオレニルアニリン構造は可視光に吸収をもたないため、一般式(2)で表される有機化合物を本発明に用いることによりLEDの光が吸収によりロスされることがない。加えて、N,N−ジフルオレニルアニリン構造は、安定に正孔電荷を保持できる機能と、正孔を分子間でお互いに受け渡しすることで正孔を運ぶ機能を有している。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、およびtert−ブチル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピロキシ基、イソプロピロキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、およびtert−ブトキシ基などが挙げられる。アルキル基あるいはアルコキシ基に含まれる炭素数は、その数が多いほどガラス転移温度が下がる傾向にある。また、アルキル基あるいはアルコキシ基に含まれる炭素数が多いほど、アルキル基が分子内回転によって様々な形状を取ることができ、分子間で潤滑油のような役割を担い、そのガラス状態に機械的な柔軟性が発現する。これによって、N,N−ジフルオレニルアニリンの中心骨格のみの場合に比べて、本発明で用いる10マイクロメートル以上の厚膜の状態でも機械的に割れたり、剥離しにくいことが見いだされた。発光デバイスの製造工程あるいは使用中に膜が割れたり破損してしまうと2つの電極を機械的および電気的に接着する機能が失われて発光デバイスが機能しなくなるため、炭素数が多いアルキル基の導入は重要である。なお、炭素数が多くアルキル鎖が長くなりすぎると、結晶性が高まり安定なガラス状態、過冷却液体状態を保持できなくなるため、1個〜20個の範囲であることが好ましい。
一般式(2)のうち、より具体的な化学構造としては、化7〜化9に示すものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の発光デバイスにおいては、LEDダイが存在しない断面の一部または全部にわたって絶縁層が形成されていてもよい。例えば、LEDダイが存在しない面積の90%を被覆するように絶縁層を形成した場合は、漏れ電流が流れる面積の90%の領域の漏れ電流を抑えることができるため、漏れ電流を10%程度にまで低減できる。
図4は、LEDダイが存在しない部分に絶縁層を配置した本発明の発光デバイスの断面図の模式図である。図4のように、絶縁層は片方の電極側にのみ形成されていてもよいし、両方の電極側に形成されていてもよい。
本発明の発光デバイスにおいては、前記陽極あるいは前記陰極と電気的に接続して電気抵抗を低減する配線が形成されており、前記電気抵抗を低減する配線の一部が前記絶縁層によって被覆されていてもよい。
図5は、LEDダイが存在しない部分において、電極2に接するよう配置された配線の電極1側の表面が絶縁層で覆われた本発明の発光デバイスの断面の模式図である。このような構造の発光デバイスにすることによって、電極2の水平方向の電気抵抗値は前記の配線によって大幅に低減することができるうえに、配線の形成による漏れ電流の増加を抑制することができる。
本発明の製造方法として、まず、電極を有する2つの基板を準備する。準備とは、基板をマザーサイズから切り出す工程と、電極のパターニングが必要であればフォトリソグラフィーなどの方法によるパターニングを実施する工程、配線が必要であれば、基板の上から形成してフォトリソグラフィーなどの方法によるパターニングを実施する工程、スペーサーやその他絶縁層が必要であれば絶縁層を製膜しフォトリソグラフィーなどの方法でパターニングする工程、および紫外線照射、オゾン暴露、プラズマ暴露などの手法による表面洗浄の工程などを含む。
次に、2つの基板のいずれかの上にLEDダイを配置する。所定の位置にLEDダイを配置するためには、配置する基板の外形あるいは基板上のアライメントマークを基準として配置したい位置を認識する工程と、LEDダイを購入時にLEDダイが固定されているブルーシートから離して持ち上げる工程と、配置したい位置に移動させる工程と、LEDダイを基板に下ろして固定する工程などを含む。
LEDダイの固定と電気的な接続を得るために金属を含むペースト状の導電性接着剤を用いる場合には、LEDダイの基板と接触する側に導電性接着剤を付けてから基板上に配置した後、加熱などにより固化する工程をとってもよいし、基板上の所望の位置に導電性接着剤を所定量塗布してからLEDダイをその上に置き、加熱などの方法によって固化してもよい。はんだなど熱溶融性の材料を固定および電気接続に用いる場合も同様に、先にLEDダイ側に付けてから基板と接合してもよいし、先に基板側に配置した後にLEDダイと接合してもよい。ほかのLEDダイの基板への接合方法としては、基板上に有機半導体や有機導電層を形成しておいて、その層の上に接合するか、あるいは層に埋め込ませる形で固定および電気接続を得てもよい。所定の位置にLEDダイを置くための機械設備としては、半導体チップやLEDダイのマウンターを転用することができる。
トリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料はあらかじめ混合しておくことが好ましい。混合方法としては、トリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料の所定の量を秤量して同じ器に入れ、ボールミル法などによって効率的に混合することができる。以下、トリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料を混合したものを有機混合物と呼ぶことがある。
LEDダイを配置した基板あるいはもう片方の基板の上に有機混合物を配置するためには、有機混合物を所定の間隔で全体的に基板上に配置すればよい。これを実施する機械設備としてはディスペンサーなどの既存の設備の転用ができ、より好ましくは有機混合物を溶融し、溶融状態で配置することである。なお、有機混合物あるいはその溶融状態のものを置く基板は、LEDダイを置いた基板側でももう片方の基板側のどちら側でもよい。有機混合物あるいはその溶融状態のものを加熱して粘度を下げる工程には、有機混合物あるいはその溶融状態のものが配置された基板を加熱する方法を適用することができる。有機混合物あるいはその溶融状態のものを2つの基板で挟む工程は、片方あるいは両方の基板を持ち上げて、貼り合わせればよい。空気あるいは気体が入り込むことを防ぐために真空ラミネートとしてもよい。この後、室温に冷やすとトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料を含む有機層は過冷却液体あるいはガラス状態となり、粘度が高くなり接着性を発現するために2つの基板が位置的に固定され、全体として一つの発光デバイスとして扱うことができるようになる。
本実施例ではトリアリールアミン構造を持つ有機材料として化7の化合物、電子受容性の有機材料として化5の化合物を用いる発光デバイスについて述べる。
化7に示す化合物は、下記の方法により合成した。冷却管を備えた200ml容量の三つ口フラスコに、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレンを4.1g、4−オクチルアニリンを1.0g、炭酸カリウムを2.4g、18−クラウン−6−エーテルを0.2g、銅粉を0.9g、メシチレンを5ml投入した。三つ口フラスコに窒素を導入し、十分置換した。次に反応系を170℃に加熱し、撹拌しながらメシチレンを還流させ、6時間反応させた。反応溶液から、トルエン抽出とろ過により固形分である炭酸カリウム、銅粉、生成したヨウ化カリウムを除去した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:9)によって化7に示す化合物2.0g(収率70%)を得た。
図6に化7の化合物の質量分析の結果を示す。イオン化方法は大気圧プラズマ化学イオン化法である。図6の横軸はm/z、縦軸は検出強度である。分子量イオンピーク590が基準イオンピークとして観測され、目的とする化合物が得られていることが支持された。
図7に化7の化合物の重ジメチルスルホキシド溶液中における核磁気共鳴分光分析により得られたスペクトルを示す。図7の横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナル強度である。各シグナルのピーク情報は下記の通りに得られた。δ(ppm)7.96〜7.66(4H、multi)、7.45(2H、d)、7.27(2H、t)、7.21(2H、t)、7.17(2H、s)、7.12(2H、d)、7.02(2H、d)、6.89(2H、d)、2.52(2H、t)、1.54(2H、5重)、1.31(12H、s)、1.28−1.15(10H、multi)、0.83(3H、t)。目的とする化合物から推測されるシグナルと一致することから、目的とする化合物が得られていることが支持された。なお、3.3ppm付近のピークは重ジメチルスルホキシド中に存在する水の水素に起因するピークで、2.45ppm付近のピークは重ジメチルスルホキシド中に存在するジメチルスルホキシドの水素に起因するピークである。
化7の化合物は、室温において透明なガラス状の外観を示す。薬さじなどで表面をこすると、材料が粉状に削れることから、過冷却液体ではなく、ガラス状態であることが示唆された。加熱すると柔らかい水あめ状になるが、加熱下で長時間放置しても結晶化は全く観測されず、その過冷却液体状態が安定であることが示唆された。示差走査熱量測定にて化7の化合物のガラス転移温度を測定したところ42℃であった。
本発明の発光デバイスとして、図8に示す寸法の表面に透明電極を形成したガラス基板2枚を使って、図9に示す上面図と図10に示す図9の点線部分の断面図の発光デバイスを以下の方法により作成した。LEDダイとしてエピスター社の赤色LEDであるES−CAHR509を用いた。LEDダイのサイズは縦×横が230マイクロメートル×230マイクロメートル、厚みは170マイクロメートルである。基板として、ITOからなる電極100nmを製膜した10mm×20mmのガラス基板を用いた(以下、ITO基板1と呼ぶ)。まず、化7の化合物の粉末300mgと化5の化合物の粉末10mgを乳鉢と乳棒にて混ぜ合わせた(以下、混合粉末1とよぶ)。次に、LEDダイをn側がITO基板1のITO電極側になるようにピンセットにて5個配置した。次に対向基板として、LEDダイを配置した基板と同じく、ITOを100nmを製膜した10mm×20mmのガラス基板を準備した(以下、ITO基板2と呼ぶ)。150℃に加熱したホットプレート上にITO基板1およびITO基板2をホットプレート上の別の位置に置いて加熱する。この状態でITO基板2の上に前述の混合粉末1を少量(10ミリグラム程度)配置する。配置された混合粉末1は加熱されると化7の化合物が融液となって粘度が下がり流動性となる。この際、化5の化合物との混合が進み、化7の化合物から化5の化合物へと電子が移動するために黄色〜茶色に着色する。また、同時にITO基板2の上を濡れ広がっていく。この状態でITO基板2を持ち上げ、温度が下がらないうちにLEDダイが配置されたITO基板1の上に図9の位置関係で置く。その直後に30g程度の金属の重しを2枚のITO基板が重なった部分に平等に圧力がかかるように置くと、混合粉末の溶融物は2枚のITO基板が重なっている部分の全体に広がる。その後、互いに重なったITO基板をホットプレートから下ろして冷却すると、粘度が高まることで、力を加えても2つの基板が離れず接着された状態となった。なお、基板1と基板2を接合する工程において、LEDダイは最初に配置した位置から多少移動することが目視で確認されたので、基板1側とLEDダイの間にも化5と化7の混合層が挿入されていると考えられ、図10のような断面になっていると考えられる。
前段落の方法で作製した発光デバイスに対し、ITO基板1がマイナス、ITO基板2がプラスとなるように直流電圧を印加した。1.6V以上の電圧印加によりLEDダイの発光に基づく赤色の発光が得られた。発光状態の写真を図11に示す。図11において配置した5個の全てのLEDダイが同程度の発光輝度で発光していることが分かる。また、本実施例の発光デバイスは2枚のITO基板および化5と化7の化合物の混合膜の透明性が高いため、発光デバイスを通して観測者の向こう側が見られるシースルー性を有している。
実施例1の発光デバイスの電流−電圧特性の評価を行った。作成した発光デバイスのITO基板1がマイナス、ITO基板2がプラスとなるように直流電圧を印加し、0.1Vから2.7Vまで0.1Vずつ電圧を上げたときの電流値を測定した。測定装置には、ADVANTEST社のTR6143を用いた。図12に結果を黒丸のプロットで示す。図12には比較のため、LEDダイ単体を直接端子に接続したときの電流−電圧特性も合わせて黒三角のプロットで示してある。なお、LEDダイ単体は1個のLEDダイであるが、実施例1の発光デバイスには5個のLEDダイが存在している。LEDダイ単体の場合に比べて、実施例1の発光デバイスは0.1〜1.2Vの領域の電流が抑えられており、LEDダイがない部分の漏れ電流値が小さく抑えられていることと、有機層があることによってLEDダイ単体よりも漏れ電流が抑えられることが分かり、オフ時の消費電力を低く抑えられる効果がある。2.0V以上の発光領域では、実施例1の発光デバイスに流れる電流は、LEDダイ単体よりも小さくなる。これは、実施例1に抵抗値が大きいITO電極を用いたためにITO電極部位における電圧降下が大きいことと、実施例1の発光デバイスにおける化5と化7の化合物からなる有機層内での電圧降下が影響していると考えられる。1.6V以上では電流値に応じた明るい発光が確認できることから、本発明の効果は問題なく得られている。LEDダイ単体の電流−電圧特性に近づけて電力効率を高めるためには、電極自体の変更や抵抗値が低い補助配線を設けることや、有機層内の電荷量を高めるために化7の化合物の含有量を増やすなど、改善の方策は数多くある。
比較例1として、化5に示される化合物を混合しなかった以外は、実施例1と同じようにして発光デバイスを作製した。
実施例1と比較例1の発光デバイスにおけるLEDダイの点灯率の評価を行った。実施例1の発光デバイスを5個、比較例の発光デバイスを5個作り、約3Vの外部電源からLEDダイのp側が正極、n側が負極となるように電圧を印加し、発光したLEDダイの数を数えた。実施例1の場合は、発光したLEDダイの数は、それぞれ5個、4個、5個、5個、5個であり、LEDダイが点灯した確率は96%であった。比較例1の場合は、2個、3個、3個、2個、3個であり、LEDダイが点灯した確率は52%であった。トリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料を含む有機層を用いることによって、LEDダイが発光する確率が大幅に高まることが分かった。点灯しないLEDダイが存在する理由は次のように考察される。LEDダイ自体の高さのばらつきや、製造工程中のゴミの混入、LEDダイが基板の水平方向に対して傾いていることによって個々のLEDダイの高さは一般に揃わない。したがって、電極とLEDダイの間の混合有機層の膜厚は個々のLEDダイによってばらつく。化5の化合物が混合されておらず膜中に電荷がない比較例1の場合は膜厚が厚くなると急激に電気抵抗が高くなるために混合層の膜厚が薄いLEDダイの所に優先的に電流が流れ、結果的に発光できるLEDダイの確率は低下する。これに対して、化5の化合物を混合して膜中に電荷を形成した実施例1の場合は膜厚ばらつきが発生しても、電気抵抗値の膜厚依存性がより小さくなるために、多数個のLEDダイに電流をより均等に供給することができ、発光するLEDダイの確率が高くなる。
本発明により提供される発光デバイスは、照明やディスプレイなどに好適に用いることができる。
1 電極1
2 トリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料とを含む有機層
3 電極2
4 LEDダイ
5 はんだや導電ペーストなどの導電材料
6 絶縁層
7 配線
8 ITO基板
9 化7の化合物と化5の化合物を含む有機層
10 LEDダイのp側
11 LEDダイのn側

Claims (6)

  1. いずれかが実質的に透明である陽極と陰極と、前記陽極と陰極の間に配置されたp側とn側を有するLEDダイと、前記陽極と陰極の間に配置され、前記LEDダイに接するトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料とを含む有機層からなる発光デバイスであって、前記LEDダイはn側が陰極側、p側が陽極側になるように配置され、前記有機層はLEDダイが存在する断面においてはn側と陰極の間あるいはp側と陽極の間の少なくともいずれか一方を充填するように配置され、LEDダイが存在しない断面においては陰極と陽極の間を充填するように配置され、LEDダイが存在する部分と存在しない部分にわたって連続的に配置され、LEDダイが存在しない断面における前記有機層の膜厚がLEDダイが存在する断面における前記有機層の膜厚より厚いことを特徴とする発光デバイス。
  2. 請求項1に記載の発光デバイスにおいて、前記電子受容性の有機材料が一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする発光デバイス。
    (式中、CNはシアノ基を表し、n1、n2、n3は0、1、2のいずれかの整数であり、それぞれ同じでも異なっていてもよく、n=1の場合はピラジン環上の置換可能な炭素2つのいずれの位置に置換されていてもよく、n=2の場合は置換可能な炭素2つとも置換していることを意味する。)
  3. 請求項1に記載の発光デバイスにおいて、前記トリアリールアミン構造を持つ有機材料として一般式(2)で表される有機化合物を用いる発光デバイス。
    (式中、R1〜R5は水素、アルキル基あるいはアルコキシ基を表し互いに同じでも異なっていてもよく、このうち一つ以上は炭素数が2以上のアルキル基あるいはアルコキシ基であり、R1はベンゼン環のオルト、メタ、パラ位のいずれの位置に置換されていてもよい。)
  4. 請求項1に記載の発光デバイスにおいて、LEDダイが存在しない断面の一部または全部にわたって絶縁層が形成されていることを特徴とする発光デバイス。
  5. 請求項1に記載の発光デバイスにおいて、前記陽極あるいは前記陰極と電気的に接続して電気抵抗を低減する配線が形成されており、前記電気抵抗を低減する配線の一部が前記絶縁層によって被覆されていることを特徴とする発光デバイス。
  6. 請求項1に記載の発光デバイスの製造方法であって、陽極を有する基板と陰極を有する基板を準備する工程と、前記2つの基板のいずれか片方の上にLEDダイを配置する工程と、あらかじめ混合したトリアリールアミン構造を持つ有機材料と電子受容性の有機材料の混合物をLEDダイを配置した基板あるいはもう片方の基板の上に配置する工程と、前記混合物を加熱して粘度を下げる工程と、粘度を下げた混合物を2つの基板で挟む工程、をこの順に含むことを特徴とする発光デバイスの製造方法。
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