JP2009267002A - 発光素子および発光素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のGaN薄膜は基板から剥離しやすく、GaN薄膜の結晶性は低下してしまう。そのためGaN薄膜を有する発光素子の発光輝度は低かった。
【解決手段】第1電極と、前記第1の電極に対向する位置に設けられた第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ、前記第1電極及び前記第2電極と電気的に接続された、GaNを含む窒化物半導体からなる発光層と、前記発光層と前記第1電極とに囲まれた空洞部と、を備える発光素子。
【選択図】図1
【解決手段】第1電極と、前記第1の電極に対向する位置に設けられた第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ、前記第1電極及び前記第2電極と電気的に接続された、GaNを含む窒化物半導体からなる発光層と、前記発光層と前記第1電極とに囲まれた空洞部と、を備える発光素子。
【選択図】図1
Description
本発明は、発光素子および発光素子の製造方法に関するものである。
近年、青色発光ダイオードや紫外発光ダイオードなどの発光素子に使用される実用的な半導体材料として、窒化ガリウム(GaN),窒化インジウム・ガリウム混晶(InGaN),窒化アルミニウム・ガリウム混晶(AlGaN)あるいは窒化インジウム・アルミニウム・ガリウム混晶(InAlGaN)に代表される窒化物半導体が注目されており、その研究開発が活発に行われている。
例えば、非特許文献1は、サファイア基板上にガリウム酸化物をスパッタリング法にて成膜し、NH3雰囲気中で熱処理を加えることによりガリウム酸化物を窒化させてGaN薄膜を得る技術を開示している。
また、特許文献1は、基板上に成長された棒状の多数の半導体ナノバーをシードとして利用して窒化物半導体薄膜を成長させることにより、多様な基板上に窒化物半導体を成長させる技術を開示している。
Diamond & Related Materials vol.13 P1892−1894 (2004) 特開2005−260230号公報
Diamond & Related Materials vol.13 P1892−1894 (2004)
ところが、非特許文献1が開示する技術では、結晶性が低い膜しか生成できず発光素子に不適である。その理由は、サファイア基板とGaN薄膜との結晶格子の不整合により、窒化の過程において、転位などを生じやすいためである。その問題を改善するには、基板上にあらかじめGaN薄膜と結晶格子定数の近いものを成膜しておくという手段が挙げられる。例えば、GaN薄膜と結晶格子定数が近く、大面積を安価に成膜できるものとして酸化亜鉛(ZnO)が挙げられる。しかしながら、ZnOを基板に対して一様な膜厚に成膜し、その上にガリウム酸化物(GaxOy(0.5≦y/x≦1.5))もしくはガリウム硫化物(Gax'Sy')を成膜したものをNH3雰囲気中で900℃以上の温度で熱処理を行うと、ZnOは熱処理により分解されてしまう。そのため、GaN薄膜と基板との密着性が悪くなるので、GaN薄膜は基板から剥離してしまう。
また、特許文献1が開示する技術では、ZnOナノバー上に直接窒化物半導体薄膜を成長させるが、窒化物半導体薄膜の成長には高温が必要であり、その温度ではZnOが蒸発するため窒化物半導体が成長しにくく剥離しやすいという問題がある。
このように、GaN薄膜が基板から剥離してしまうと、GaN薄膜の結晶性が低下することになる。そのためGaN薄膜を有する発光素子の発光輝度は低下してしまう。
本発明は、上記課題を解決し、発光輝度が高い発光素子および発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的は、以下の発光素子および発光素子の製造方法により達成される。
すなわち、本発明に係る発光素子は、第1電極と、前記第1の電極に対向する位置に設けられた第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ、前記第1電極及び前記第2電極と電気的に接続された、GaNを含む窒化物半導体からなる発光層と、前記発光層と前記第1電極とに囲まれた空洞部と、を備える。
また、本発明に係る発光素子は、第1電極と、前記第1電極に対向する位置に設けられた第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ、前記第1電極及び前記第2電極と電気的に接続された、GaNを含む窒化物半導体からなる発光層と、を備え、前記発光層は、前記第1電極側の主面に、前記第2電極方向に凹な凹部を有する。
また、本発明に係る発光素子の製造方法は、第1電極を形成する工程と、前記第1の電極上に酸化亜鉛を柱状に形成する工程と、前記柱状の酸化亜鉛が形成された前記第1の電極上に、900℃未満の温度でガリウム酸化物またはガリウム硫化物を形成する工程と、アンモニア雰囲気中で900℃以上の温度で熱処理し、窒化物半導体からなる発光層を形成する工程と、前記第1電極と対向し、前記窒化物半導体と電気的に接触する、第2電極を形成する工程と、を備える。
本発明の発光素子によれば、発光層である窒化物半導体が基板から剥離しないので、窒化物半導体の結晶性が高くなる。その結果、発光輝度が高い発光素子を提供することができる。
また、本発明の発光素子の製造方法によれば、発光層である窒化物半導体が基板から剥離せず成膜されるので、結晶性の高い窒化物半導体薄膜を成膜することができる。その結果、発光輝度が高い発光素子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
<実施の形態1に係る発光素子の概略構成>
図1は本実施の形態1に係る発光素子の概略構成図である。発光素子100は、基板10の上に、第1電極としての下部電極20、発光層30、正孔輸送層40、第2電極としての上部電極50が順に積層された層構造を有している。下部電極20と上部電極50は、互いに対向している。発光層30は、下部電極20と電気的に接続されている。また、発光層30は、正孔輸送層40を介して上部電極50と電気的に接続されている。直流電源90は、発光素子100に直流電圧を印加するものである。直流電源90の正極に上部電極50が電気的に接続され、直流電源90の負極に下部電極20が電気的に接続されている。
<実施の形態1に係る発光素子の概略構成>
図1は本実施の形態1に係る発光素子の概略構成図である。発光素子100は、基板10の上に、第1電極としての下部電極20、発光層30、正孔輸送層40、第2電極としての上部電極50が順に積層された層構造を有している。下部電極20と上部電極50は、互いに対向している。発光層30は、下部電極20と電気的に接続されている。また、発光層30は、正孔輸送層40を介して上部電極50と電気的に接続されている。直流電源90は、発光素子100に直流電圧を印加するものである。直流電源90の正極に上部電極50が電気的に接続され、直流電源90の負極に下部電極20が電気的に接続されている。
発光素子100は、空洞部60を有している。この空洞部60は、発光層30と下部電極20とに囲まれた空間である。空洞部60は、下部電極20の主面に対して略垂直方向に形成された柱状の空洞となっている。
発光層30の空洞部60を形成する面は、凹面となっている。したがって、発光層30は下部電極20側の主面に凹部を有している、と表現することもできる。
この空洞部60は、発光層30を作製する過程で形成される。発光層30の製造方法については後述する。
<基板>
基板10は、その上に形成される各層を支持するものである。発光素子100は、900℃以上の高温下での熱処理を経て作製される。そのため、基板10は高温下でも変形しにくいものが望ましい。高温下でも変形しにくい基板は、例えば、石英基板,セラミックス基板,サファイア基板,窒化ホウ素(BN)基板,窒化アルミニウム基板,窒化ガリウム基板,窒化アルミニウム・ガリウム基板,窒化インジウム・ガリウム基板,炭化ケイ素(SiC)基板,シリコン(Si)基板あるいはモリブデン(Mo),チタン(Ti)等の金属基板等である。
基板10は、その上に形成される各層を支持するものである。発光素子100は、900℃以上の高温下での熱処理を経て作製される。そのため、基板10は高温下でも変形しにくいものが望ましい。高温下でも変形しにくい基板は、例えば、石英基板,セラミックス基板,サファイア基板,窒化ホウ素(BN)基板,窒化アルミニウム基板,窒化ガリウム基板,窒化アルミニウム・ガリウム基板,窒化インジウム・ガリウム基板,炭化ケイ素(SiC)基板,シリコン(Si)基板あるいはモリブデン(Mo),チタン(Ti)等の金属基板等である。
発光層30が発する光を基板10側へ取り出す場合、基板10としては、発光層30が発する光の波長に対し光透過性を有するものが望ましい。
<電極>
電極には、下部電極20と上部電極50がある。実施の形態1においては、直流電源90の正極に上部電極50が電気的に接続され、直流電源90の負極に下部電極20が電気的に接続されている。
電極には、下部電極20と上部電極50がある。実施の形態1においては、直流電源90の正極に上部電極50が電気的に接続され、直流電源90の負極に下部電極20が電気的に接続されている。
発光素子100は、900℃以上の高温下での熱処理を経て作製される。そのため、下部電極20に使用する材料は、高温下でも変形あるいは蒸発しにくいものが望ましい。また、この熱処理はNH3雰囲気中で行うので、下部電極20は、NH3によって侵食されにくいものが望ましい。このような電極に用いる材料は、例えば、プラチナ(Pt),金(Au),チタン(Ti),モリブデン(Mo),クロム(Cr),タンタル(Ta)などである。
基板10上に下部電極20を形成する方法としては、例えば、蒸着法やスパッタリング法などその材料に適した成膜方法を適用すれば良い。なお、基板10として、他元素をドーピングしたシリコン基板や金属基板などの導電性基板を使用している場合は、下部電極20は必ずしも必要としない。
また、発光層30が発する光を基板10側から取り出す場合は、その光をできるかぎり透過させるために、下部電極20の膜厚は100nm以下にすることが望ましい。
上部電極50は、例えば、ニッケル(Ni),白金(Pt)および金(Au)などの金属電極やITO電極などの透明導電膜等である。上部電極50は、発光層30を作製した後、すなわち熱処理後に形成されるので、必ずしも耐熱性を必要としない。
発光層30が発する光を上部電極50側から取り出す場合は、その光をできるかぎり透過させるために、上部電極50の膜厚は100nm以下にすることが望ましい。また、正孔を正孔輸送層に注入しやすくするために、上部電極50の仕事関数は5eV以上であることが望ましい。
<正孔輸送層>
正孔輸送層40は、発光層30に対して正孔を効率よく注入するものである。正孔輸送層40の材料には、無機材料と有機材料がある。
正孔輸送層40は、発光層30に対して正孔を効率よく注入するものである。正孔輸送層40の材料には、無機材料と有機材料がある。
正孔輸送性を備える無機材料は、p型伝導性を示す材料であればよい。例えば、MgをドープしたGaN、p型SiC、アモルファスセレン、CuAlO2などが挙げられる。
正孔輸送性を備える有機材料には、大きく分けて、低分子系材料と高分子系材料がある。正孔輸送性を備える低分子系材料としては、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン(TPD)、N,N'−ビス(α−ナフチル)−N,N'−ジフェニルベンジジン(NPD)等、ジアミン誘導体が挙げられる。またさらに、非導電性ポリマーに低分子系の正孔輸送材料を分子分散させた形態も同様に可能である。分子分散系での具体例としては、TPDをポリカーボネート中に高濃度で分子分散させた例があり、そのホール移動度は10-4〜10-5cm2/Vs程度である。
一方、正孔輸送性を備える高分子系材料としては、π共役ポリマーやσ共役ポリマー等があり、例えばアリールアミン系化合物等が組み込まれたものがある。具体的には、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV誘導体)、ポリチオフェン誘導体(PAT誘導体)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP誘導体)、ポリアルキルフェニレン(PDAF)、ポリアセチレン誘導体(PA誘導体)、ポリシラン誘導体(PS誘導体)等が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、低分子系で正孔輸送性を示す分子構造を分子鎖中に組み込んだポリマーでもよく、これらの具体的な例としては、芳香族アミンを側鎖に有するポリメタクリルアミド(PTPAMMA、PTPDMA)、芳香族アミンを主鎖に有するポリエーテル(TPDPES,TPDPEK)等が挙げられる。またさらに、前述した正孔輸送材料を複数種混合して用いてもよい。また、光又は熱で架橋又は重合する架橋性又は重合性材料を含んでいてもよい。
正孔輸送層40は、発光層30よりも大きな禁制帯幅エネルギーを有しているほうが好ましい。これにより、正孔輸送層40をクラッド層として機能させることができるので、キャリアである正孔を発光層30内に効果的に閉じ込めることができる。また、正孔輸送層40が発光層30よりも大きな禁制帯幅エネルギーを有することにより、発光層30から発せられる光の波長は、正孔輸送層40の吸収端波長よりも長くなる。そのため、発光層30から発せられる光は正孔輸送層40の中を減衰することなく透過することができる。したがって、基板10側から効率よく光を取り出すことができるので、光取り出し効率を増大させることができる。
<発光層>
発光層30は、キャリアである正孔及び電子の再結合により発光する。実施の形態1において、電子は、直流電源90の負極に電気的に接続された下部電極20から発光層30に供給される。また、正孔は、直流電源90の正極に電気的に接続された上部基板50から正孔輸送層40を介して発光層30に供給される。
発光層30は、キャリアである正孔及び電子の再結合により発光する。実施の形態1において、電子は、直流電源90の負極に電気的に接続された下部電極20から発光層30に供給される。また、正孔は、直流電源90の正極に電気的に接続された上部基板50から正孔輸送層40を介して発光層30に供給される。
発光層30の材料は、GaNを含む窒化物半導体で形成されている。GaNを含む窒化物半導体とは、例えば、窒化ガリウム(GaN),窒化インジウム・ガリウム混晶(InGaN),窒化アルミニウム・ガリウム混晶(AlGaN)あるいは窒化インジウム・アルミニウム・ガリウム混晶(InAlGaN)である。
<空洞部>
実施の形態1に係る発光素子100は、空洞部60を有している。この空洞部60は、発光層30と下部電極20とに囲まれた空間である。そのため、発光層30において、空洞部60を形成している面は、下部電極20と接触していない。すなわち、発光層30における下部電極20側の主面は、下部電極20と接触している面と、下部電極20と接触していない面とで形成されている。
実施の形態1に係る発光素子100は、空洞部60を有している。この空洞部60は、発光層30と下部電極20とに囲まれた空間である。そのため、発光層30において、空洞部60を形成している面は、下部電極20と接触していない。すなわち、発光層30における下部電極20側の主面は、下部電極20と接触している面と、下部電極20と接触していない面とで形成されている。
空洞部60は、下部電極20の主面に対して略垂直方向に形成された柱状の空洞となっている。実施の形態1において、発光層30は、柱状の空洞部60を複数有している。
発光層30の空洞部60を形成する面は、凹面となっている。したがって、発光層30は下部電極20側の主面に凹部を有している、と表現することもできる。すなわち、発光層30における下部電極20側の主面は、下部電極20と接触している面と、下部電極20と接触していない凹面とで形成されている。
<発光層の製造方法>
発光層30の製造方法について図2(a)〜(c)を用いて説明する。ここでは、発光層30としてGaNを形成する場合の製造方法を例として示す。
発光層30の製造方法について図2(a)〜(c)を用いて説明する。ここでは、発光層30としてGaNを形成する場合の製造方法を例として示す。
図2(a)は、下部電極20上に柱状のZnO70を成長させた図である。柱状のZnO70を成長させる方法は、例えば、化学気相成長法(CVD)や、孔の開いたマスクパターンを用いてスパッタリング法により成長させる方法などがある。ZnOを柱状に成長させる場合、下部電極20の主面に垂直な方向への成長速度が、下部電極20の主面に平行な方向への成長速度よりも大きくなるように成長条件を制御することが好ましい。このように制御することにより、ZnOは、面状ではなく柱状に成長する。柱状のZnO70は、下部電極20上に複数個形成される。
次に、柱状のZnO70の上にガリウム酸化物80を900℃未満の温度下で堆積させる。温度条件を900℃未満としているので、柱状のZnO70は蒸発しない。したがって、ガリウム酸化物80は、下部電極20と柱状のZnO70の上に堆積される。図2(b)は、柱状のZnO70が形成された下部電極20上に、ガリウム酸化物80を堆積させた図である。柱状のZnO70の上にガリウム酸化物80を堆積させる方法は、例えば、蒸着法、スパッタリング法などがある。
次に、柱状のZnO70の上にガリウム酸化物80を堆積させたものを、NH3雰囲気中で900℃以上の温度で熱処理を施す。すると、ガリウム酸化物はNH3により窒化され、GaN薄膜が形成される。ZnO70はGaNと結晶格子定数が近いので、結晶性の良いGaN薄膜が形成される。この熱処理を施す過程において、柱状のZnO70は900℃以上の熱により分解される。ZnO70が分解されることにより、ZnO70が形成されていた場所は図2(c)に示すように空洞部60となる。
空洞部60は、上述した工程を経ることにより形成される。実施の形態1に係る発光素子100の製造方法では、ZnOは、下部電極20上に一様な膜厚の膜としてではなく、柱状に形成されているので、下部電極20の主面の一部が露出している。その結果、ガリウム酸化物80は、下部電極20上にも堆積されることになる。したがって、上述の熱処理によりZnOが分解されたとしても、得られるGaNは下部電極20から剥離することはない。そのため、結晶性が高いGaNを得ることができる。
また、GaNの結晶格子定数と近い結晶格子定数を有する柱状のZnO70上でガリウム酸化物80を窒化させるので、より結晶性が高いGaNを得ることができる。
このように、実施の形態1では、柱状のZnOの上に900℃未満の温度下でガリウム酸化物を成膜している。そのため、ZnOが熱により分解され蒸発することがない。したがって、ガリウム酸化物は、柱状のZnOおよび下部電極上に成膜される。その後、NH3雰囲気中で900℃以上の温度で熱処理を施すことによりZnOが分解されても、下部電極とガリウム酸化物とが接しているため、ガリウム酸化物は下部電極から剥離せずに窒化される。したがって、得られるGaNも下部電極から剥離しないので、結晶性の高いGaNを得ることができる。その結果、発光輝度が高い発光素子を提供することができる。
なお、実施の形態1では、ガリウム酸化物を用いているが、ガリウム酸化物の替わりにガリウム硫化物を用いてもよい。
(実施の形態2)
<実施の形態2に係る発光素子の概略構成>
本発明の実施の形態2に係る発光素子について、図3を用いて説明する。
<実施の形態2に係る発光素子の概略構成>
本発明の実施の形態2に係る発光素子について、図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態2に係る発光素子200の概略構成図である。発光素子200は、実施の形態1に係る発光素子100と比べて、発光層が複数の柱状のGaN31で形成されている点で相違する。その他の構成については、実施の形態1と同じであるため、説明は省略する。
<柱状のGaN>
柱状のGaN31は、下部電極20の主面に対して略垂直な方向に複数個形成されている。また、柱状のGaN31は、それぞれが所定の間隔を空けて形成されている。
柱状のGaN31は、下部電極20の主面に対して略垂直な方向に複数個形成されている。また、柱状のGaN31は、それぞれが所定の間隔を空けて形成されている。
柱状のGaN31は、それぞれが内部に空洞部60を有している。この空洞部60は、柱状のGaN31と下部電極20に囲まれた空間である。そのため、柱状のGaN31において、空洞部60を形成している面は、下部電極20と接触していない。すなわち、柱状のGaN31における下部電極20側の主面は、下部電極20と接触している面と、下部電極20と接触していない面とで形成されている。
空洞部60は、下部電極20の主面に対して略垂直方向に形成された柱状の空洞となっている。
柱状のGaN31は、下部電極20側の主面に上部電極50方向に凹な凹部を有している、と表現することもできる。すなわち、柱状のGaN31における下部電極20側の主面は、下部電極20と接触している面と、下部電極20と接触していない凹面とで形成されている。
図4(a)〜(c)は、柱状のGaN31の製造過程を示す図である。
柱状のZnO70が形成された下部電極20(図4(a))上にガリウム酸化物80を堆積させる際、各柱状ZnO70のまわりに成長したガリウム酸化物80が互いに接触しないようにガリウム酸化物80の堆積時間や柱状のZnOの間隔等を適宜調整する(図4(b))。このようにして成長させたガリウム酸化物80を、NH3雰囲気中で900℃以上の温度で熱処理を施すと図4(c)のように空洞部60を有する柱状のGaN31が形成される。
柱状のGaN31は、それぞれが下部電極20上に形成されているので剥離することがない。また、GaNと結晶格子定数が近いZnO上でガリウム酸化物を窒化させるので、結晶性が高い柱状のGaN31を得ることができる。
また、柱状のGaN31はそれぞれが接触することなく独立に林立しているので、柱状のGaN31と基板10と下部電極20との熱膨張差により生じる熱応力が微小になる。そのため、熱応力によるGaNの剥離を防ぐことができ、より結晶性の高いGaNを形成することができる。したがって、発光輝度が高い発光素子を提供することができる。
なお、実施の形態1と同様に、ガリウム酸化物80の替わりにガリウム硫化物を用いてもよい。
(実施例)
以下に実施例および比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、本発明の要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例)
以下に実施例および比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、本発明の要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1として、実施の形態1に係る発光素子を作製した。
実施例1として、実施の形態1に係る発光素子を作製した。
まず、リンをドープしたn型導電性シリコン基板を用意した。シリコン(Si)基板の大きさは20mm×20mmとした。このSi基板上に、CVD法を用いて柱状のZnOを複数個成長させた。柱状のZnOの形状は、幅平均約200nm、高さ平均600nmとした。その上に、Ga2S3をエレクトロンビーム蒸着法を用いて、柱状のZnOを被覆するよう堆積させた。Ga2S3のSi基板からの膜厚は1000nmとした。蒸着時の基板温度は100℃とした。これを内径50mmの石英管の中に置き、石英管の中にNH3・150sccmおよびN2ガス・100sccmを30分流し続けた。その後、ガス流量を維持したまま管状炉で熱処理を行い、GaN薄膜を作製した。熱処理は、950℃で3時間行った。熱処理終了後、基板を取り出して、抵抗加熱蒸着を用いて有機正孔輸送材料であるα-NPDを蒸着し正孔輸送層を積層させた。正孔輸送層の膜厚は、100nmとした。その上に抵抗加熱蒸着法を用いて上部電極Auを膜厚20nmとなるよう積層した。このようにして出来た発光素子に、Si基板を陰極、Au電極を陽極として電圧をかけると30Vで青色に発光した。実施例1に係る発光素子の発光スペクトルを図5に示す。図5は発光波長における発光輝度特性を示した図である。縦軸は発光輝度(任意単位)、横軸は発光波長(nm)とした。発光スペクトルのピーク波長は435nmだった。これはGaN薄膜にZnが少量ドーピングされたものと考えられる。
(実施例2)
実施例2では、Ga2S3の替わりに、Ga2O3を用いた。スパッタリング法を用いて、Ga2O3のSi基板からの膜厚が1000nmとなるよう堆積させた。その後は実施例1と同じ条件で発光素子を作製した。スパッタリング時の基板温度は200℃とした。実施例1に係る発光素子と同様に、実施例2に係る発光素子に電圧をかけると30Vで発光した。実施例2に係る発光素子の発光スペクトルを図5に示す。実施例2に係る発光素子は、実施例1に係る発光素子のピーク波長や発光輝度に大きな差は見られなかった。
実施例2では、Ga2S3の替わりに、Ga2O3を用いた。スパッタリング法を用いて、Ga2O3のSi基板からの膜厚が1000nmとなるよう堆積させた。その後は実施例1と同じ条件で発光素子を作製した。スパッタリング時の基板温度は200℃とした。実施例1に係る発光素子と同様に、実施例2に係る発光素子に電圧をかけると30Vで発光した。実施例2に係る発光素子の発光スペクトルを図5に示す。実施例2に係る発光素子は、実施例1に係る発光素子のピーク波長や発光輝度に大きな差は見られなかった。
(実施例3)
実施例3として、実施の形態2に係る発光素子を作製した。
実施例3として、実施の形態2に係る発光素子を作製した。
実施例3では、柱状のZnOの形状を幅平均200nm、高さ平均600nmとし、柱状のZnOの間隔が平均1.5μmとなるように成長させた。そして、それぞれを被覆し、Si基板の一部が露出するように柱状のZnO上にGa2S3を堆積させた。Ga2S3の膜厚(柱状のZnOからの厚さ)は400nmとした。その後は、実施例1と同じ条件で発光素子を作製した。実施例1の発光素子と同様に、実施例3の素子に電圧をかけると25Vで青色に発光した。発光スペクトルを同じく図5に示す。ピーク波長は同じであるが、発光輝度は実施例1および2より明るかった。
(比較例)
比較例として、柱状のZnOを形成せずに発光素子を作製した。柱状のZnOを形成しないほかは、実施例1に係る発光素子と同じ条件で発光素子を作製した。比較例に係る発光素子は、電圧を印加しても発光しなかった。
比較例として、柱状のZnOを形成せずに発光素子を作製した。柱状のZnOを形成しないほかは、実施例1に係る発光素子と同じ条件で発光素子を作製した。比較例に係る発光素子は、電圧を印加しても発光しなかった。
10 基板
20 下部電極(第1電極)
30 発光層
31 柱状のGaN
40 正孔輸送層
50 上部電極(第2電極)
60 空洞部
70 柱状のZnO
80 ガリウム酸化物(ガリウム硫化物)
90 直流電源
100、200 発光素子
20 下部電極(第1電極)
30 発光層
31 柱状のGaN
40 正孔輸送層
50 上部電極(第2電極)
60 空洞部
70 柱状のZnO
80 ガリウム酸化物(ガリウム硫化物)
90 直流電源
100、200 発光素子
Claims (8)
- 第1電極と、
前記第1の電極に対向する位置に設けられた第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ、前記第1電極及び前記第2電極と電気的に接続された、GaNを含む窒化物半導体からなる発光層と、
前記発光層と前記第1電極とに囲まれた空洞部と、
を備える発光素子。 - 前記空洞部は、前記第1電極の主面に対して略垂直方向に形成された柱状の空洞である、請求項1に記載の発光素子。
- 第1電極と、
前記第1電極に対向する位置に設けられた第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ、前記第1電極及び前記第2電極と電気的に接続された、GaNを含む窒化物半導体からなる発光層と、を備え、
前記発光層は、前記第1電極側の主面に凹部を有する、発光素子。 - 前記発光層は、複数の柱状の窒化物半導体からなり、
前記柱状の窒化物半導体は、所定の間隔を空けて形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の発光素子。 - 前記第1電極は陰極であり、前記第2電極は陽極であり、前記第2電極と前記発光層との間に、正孔輸送層をさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の発光素子。
- 前記窒化物半導体は、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム・ガリウム混晶(InGaN)、窒化アルミニウム・ガリウム混晶(AlGaN)、窒化インジウム・アルミニウム・ガリウム混晶(InAlGaN)のいずれかである、請求項1から5のいずれかに記載の発光素子。
- 第1電極を形成する工程と、
前記第1の電極上に酸化亜鉛を柱状に形成する工程と、
前記柱状の酸化亜鉛が形成された前記第1の電極上に、900℃未満の温度でガリウム酸化物またはガリウム硫化物を形成する工程と、
アンモニア雰囲気中で900℃以上の温度で熱処理し、GaNを含む窒化物半導体からなる発光層を形成する工程と、
前記第1電極と対向し、前記窒化物半導体と電気的に接触する、第2電極を形成する工程と、
を備える発光素子の製造方法。 - 前記第2電極と前記発光層との間に、正孔輸送層を形成する工程を備える、請求項7に記載の発光素子の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2008113556A JP2009267002A (ja) | 2008-04-24 | 2008-04-24 | 発光素子および発光素子の製造方法 |
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JP (1) | JP2009267002A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101559246B1 (ko) * | 2014-05-02 | 2015-10-14 | 경희대학교 산학협력단 | 갈륨을 포함하는 p형 산화물 반도체를 이용한 태양전지 및 이의 제조 방법 |
WO2016039585A1 (ko) * | 2014-09-11 | 2016-03-17 | 경희대학교 산학협력단 | 갈륨을 포함하는 p형 산화물 반도체를 이용한 유기 발광 다이오드 및 이의 제조 방법 |
JP6149247B1 (ja) * | 2016-11-21 | 2017-06-21 | 株式会社奥本研究所 | 発光デバイスおよびその製造方法 |
US10797192B2 (en) | 2014-03-17 | 2020-10-06 | University-Industry Cooperation Group Of Kyung Hee University | P-type amorphous oxide semiconductor including gallium, method of manufacturing same, and solar cell including same and method of manufacturing said solar cell |
-
2008
- 2008-04-24 JP JP2008113556A patent/JP2009267002A/ja active Pending
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